(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113181
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】発泡構造体と、及びその製造方法と、製造装置。
(51)【国際特許分類】
B29C 44/58 20060101AFI20230808BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20230808BHJP
B29C 45/26 20060101ALI20230808BHJP
B29C 45/03 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B29C44/58
B29C44/00 D
B29C45/26
B29C45/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015344
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】711008836
【氏名又は名称】鈴木 康公
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康公
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
4F214
【Fターム(参考)】
4F202AA28
4F202AB02
4F202AP05
4F202AR02
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK12
4F202CK19
4F202CK32
4F202CK86
4F202CK87
4F202CM02
4F202CM03
4F206AA28
4F206AB02
4F206AP05
4F206AR02
4F206JA04
4F206JF04
4F206JL02
4F206JN25
4F206JN27
4F206JQ81
4F214AA28
4F214AB02
4F214AP05
4F214AR02
4F214UA08
4F214UB01
4F214UL25
4F214UL27
4F214UM81
(57)【要約】 (修正有)
【課題】発泡倍率が大きな発泡成形品を得るため、発泡性樹脂を成形空間に充填後、金型を開き(モールド・バック、コア・バック)、成形空間の体積を大きくする際に、金型のPLを強制的に開ける機構を組み込んだ金型装置を提供する。
【解決手段】発泡剤に加熱筒内の温度と圧力とで超臨界態とならない物質の水を注入し、水は、加熱筒の温度、溶融された樹脂の温度によって気化し、水蒸気となる。この水蒸気を加熱筒内の溶融された樹脂中に、スクリューが回転し、加熱筒内に混錬などの物理的な力が働いている段階で、加圧溶解させ、或いは微分散させ、加熱筒内の溶融樹脂に発泡性を付与させる。本発明はエステル構造を含む樹脂の発泡成形に於いて物性の低下がなく/少なく、表面が平滑で綺麗な発泡成形品を製造する手段を提供する。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
23℃でそれに掛かる圧力が1気圧(NPT)の雰囲気で、性状が気体又は/及び、液体又は/及び、固体の発泡剤を用いて発泡成形を行う樹脂の射出発泡成形加工に於(お)いて、
金型構造が2枚型の構造、又は3枚型以上の金型構造の何れかで、
発泡成形品の発泡倍率を高める事を目的に、
モールド・バック、又は及びコア・バックを予定する、前記2枚型、3枚型以上の金型に於いて、
先に成形空間と接するパーティング面に金型後退に追従して開けられる型開機構を設けた
発泡成形品の発泡成形加工に用いる金型装置。
【請求項2】
前記請求項1記載の発泡成形加工を行う金型装置のパーティング面の固定側、又は/及び
可動側に、スプリング(バネ)、ゴム、ガス・スプリング、油圧シリンダー、空圧シリンダー、機械的な機構の型開機構を設置した金型装置。
【請求項3】
請求項1、乃至請求項2記載の発泡成形品の加工の用いる金型装置は、エジェクター機構をスペーサーブロックで囲い込んでシールした金型装置、
又はエジェクターピンをU字形状の加重式Oリング、L字形状の加重式Oリング、U字形状のOリングを用いてシールし、
パーティング(PL)面は、成形空間を、固定側、又は及び可動側にOリングを設置した、
GCP用の金型装置。
【請求項4】
前記請求項1、乃至請求項3に記載の金型装置を用いた発泡倍率を高めた発泡成形品。
【請求項5】
前記請求項3記載のシール金型を用い、GCP装置を用いて予め前記請求項3記載のシール金型内を加圧流体で加圧した状態で、発泡剤を用いて発泡性を付与させ、発泡性を持たせた発泡性樹脂を充填し、充填の途中、又は充填の完了後に、予め金型内を加圧した気体を排気し、排気途中、排気完了後に金型を後退させ、成形空間に充填した、発泡性樹脂を拡張して、
高発泡倍率の発泡成形品製造に用いる金型装置。
【請求項6】
前記請求項1、乃至請求項5に用いる金型装置は、先に金型のパーティング面の設置された型開機構によって開かれ、モールド・バック、コア・バックによって発泡倍率が高められ、冷却・固化が完了した後、引っ張りリング、引っ張りボルト(棒)、チェーンの何れかはストリッパー・プレートに繋がれ、金型の開きの力(成形機のダイプレートの後退によって)を用いて、
ストリッパー・プレートを引っ張り、スプール・ランナーをはらう機構を持たせた発泡成形用の金型装置。
【請求項7】
前記請求項1、乃至請求項6に於いて、3枚型の場合には、PL以外に、固定型の型板と、ストリッパー・プレートの間にも型開機構を組み込んだ金型装置。
【請求項8】
成形品にアンダーカットがある発泡成形品、非発泡成形品でアンダーカットの処理が押し出す軸体の傾斜ピンを用いるスライドの機構に於いて、傾斜コアのシールは荷重式Oリングを用いシールし、荷重式Oリングは入子によって上又は下から固定されている、傾斜コアが組み込まれ、シールされた金型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、23℃でそれに掛かる圧力が1気圧(NPT)の雰囲気で、性状が気体又は/及び、液体又は/及び、固体の発泡剤を用いて発泡成形を行う樹脂の射出発泡成形加工に於いて、
金型構造が2枚型の構造、又は3枚型以上の構造の何れかで、成形空間内に発泡性樹脂を充填させ、モールド・バック、又は/及びコア・バックして発泡倍率の高い発泡成形品を得る手段を提供する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、樹脂(プラスチック)と発泡剤とからなる成形材料をインサートが配置された型内に未充填部を残してショート・ショットし、発泡剤の発泡による膨張力で未充填部を充填する発泡成形方法が記載されている。樹脂は、母材樹脂と、母材樹脂と同種で母材樹脂より低分子量の低分子量樹脂とからなる。
特許文献2には、発泡成形に於いて表面に発生するスワール・マーク{(発泡縞模様)略号は「SM」}を抑える手段のガス・カウンター・プレッシャー(略号は「GCP」)法と、その金型構造が説明され、U字形状のOリングの使用が記載されている。
特許文献3には、液体を用いた発泡成形は記載され、十分な説明がなされているが、PC、PC系樹脂のポリマーアロイの発泡成形に用いる有用な発泡剤は水だけである事と、起泡核剤を用いての発泡セルの微細化は、実施例などを用いて具体的には示されていない。
特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7には、エジェクターピンを荷重式Oリングを用いてシールする手段は記載されているが、スライド・コアの為の傾斜ピンを入子などを用い固定し、その入子をボルトで更に固定して、傾斜コアのロットを荷重式Oリングでシールする具体的な手段は記載されていない。
特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7には、モールド・バック、コア・バックを用いての発泡倍率を高める手段の説明はあるが、3枚型以上の構造の金型ではPLを先に開かなければ発泡倍率を高める事は出来ない。PLにバネなどを用いて、配置して強制的にPLが先に開く事が必要な記載はされていない。又先にストリッパープレートを開き、ピンゲートをカットしてから、PLを開きモールド・バック、コア・バックを実施する場合にストリッパープレートにも、そしてPLにもバネを入れPLも一定量(距離)を金型後退が可能な金型構造は示されていない。
特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7には、エジェクタープレートを2セット用い、押出す軸体であるエジェクターピンを配置するプレートと、流体加圧前に後退する外筒が配されたエジェクタープレートを持つ金型構造は、圧空成形での金型装置として示されている。圧空成形では成形品の中にガスが入りとダメで、金型と樹脂との隙間に加圧流体が入る様に、流体加圧前に外筒を後退させ、空間を作り、その中に加圧流体を入れる事で加圧流体の圧力が分散され中空とならない事は示されているが、加圧流体を成形品の中に入れ、中空部を作り、中空部の中から加圧する中空成形で、十分加圧後に、中空部内部の加圧流体は不要、残圧を完全になくす目的で、ガス注入ピン(内部に中空部を形成させる流体加圧ピン、流体加圧の用いるピン)を後退させ、一気に排気する事で残圧をなくす手段は、中空成形での課題である膨れ、バーストが簡単に、然も確実に解決する事は示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08-103919号公報
【特許文献2】特開平11-216748号公報
【特許文献3】国際公開第2003/026357号公報
【特許文献4】国際出願番号PCT/JP2015/062611号公報
【特許文献5】国際出願番号PCT/JP2015/069216号公報
【特許文献6】国際出願番号PCT/JP2016/086380号公報
【特許文献7】国際出願番号PCT/JP2020/15536号公報
【発明の開示】
【0004】
(発明が解決しようとする課題)
本発明の課題は、高い発泡倍率の発泡成形品を得るには、成形空間に発泡性樹脂を充填後にモールド・バック、コア・バックをして、成形空間を開ける必要がある。
(課題を解決するための手段)
【0005】
モールド・バック、コア・バックをした時に金型のPLを強制的に開ける機構(先型開機構、金型開機構、型開機構)を、金型に組み込んだ。
【発明の構成、作用、効果】
【0006】
(構成)
請求項1、乃至請求項6に係る発明は、金型のPL面を必ず、真っ先に開ける型開機構を持たせた金型装置で、PLにはバネ、ウレタンゴムなど、ガス・スプリングなどで強制的に開けられる部品を配置された金型装置。
更に前記金型装置には、スプール・ランナーを払いのけるストリッパー・プレートには、引っ張りリング、引っ張りボルト、チェーンなどによって払われる機構部品が用いられている。
ストリッパー・プレートは前記引っ張りロングだけでなく、固定側の型板などに油圧シリンダー、空圧シリンダーを用いてストリッパー・プレートを動かし、スプール・ランナーを払いのける事も出来(でき)る。
請求項7では固定型とストリッパープレートの間にも型開機構を設けた。
請求項8では傾斜コアでの荷重式Oリングを用いたシールを入子によって押さえる事の具体的な手段を示した。
【0007】
(作用)
請求項1、乃至請求項6に係る発明は、PLが必ず先、或いは強制的に開かれる金型の構造なので、高い発泡倍率の発泡成形品が得られる。
GCPを用いる事で、表面はスワール・マークのない綺麗なスキン層、内部はモールド・バック、コア・バックによって成された、発泡倍率の高い発泡層を持つ発泡成形品(発泡構造体)で、GCPを適用すればGCPによって作られた表面のスキン層は強度が高いので、GCPを用いずに、表面にスワール・マークのある発泡成形品より衝撃強度などは高い。
請求項7では、例えばピンゲートなどの場合は先に固定型型板とストリッパープレートを開け、ピンゲートをカットしてから、PLを開け発泡倍率を高める事が出来る。
請求項8係る発明は、GCPを用いた発泡成形と、樹脂と金型との隙間に加圧流体を作用させる圧空成形に用いる金型装置で、流体加圧の加圧効果は十分発揮される。
【0008】
(効果)
請求項1、乃至請求項6に係る発明は、金型のPLに簡単な型開機構が設けれ、ストリッパー・プレートには引っ張りリングなどでスプール・ランナーを払いのける機構を持った金型装置を用いれば高発泡倍率の発泡成形品が得られる。
上記の型開機構はGCPのPL、ストリッパー・プレートのシールの邪魔にはならないので、この機構を込み(組み)こんでも金型費はそれ程は高くならない。
PLを開いた時、成形品は可動側(エジェクターピン機構が設けてある側)へ持って来る様に、抜き勾配などを調整して、必要に応じてアンダーカットなどを設けるが、ピンゲート構造の3枚以上金型などでピンゲートを切る力が大きく必要な場合、固定側(エジェクターピン機構が設けてない側)へ取られる(持って行かれる。)危険性がある。ピンゲートの場合は、先にストリッパープレートを開け、ピンゲートをカットしてから、PLを更に必要な距離を開け、モールド・バック、コア・バック、コア・バックをして、成形空間を拡大し、出発泡倍率の発泡成形品を得る。固定側型板とストリッパープレートを先に十分に開けピンゲートカットをカットするには、固定側型板とストリッパープレートの間にも、PLとバネ、ウレタンゴムなどを仕込む必要はある。
請求項7に掛かる発明は、先に固定型型板とストリッパープレートを開け、ピンゲートをカットするので、後のPLを開け発泡倍率を高める時にピンゲートがカットされないままでは成形品が固定側型板に取られる危険性を含んでいるが、先にピンゲートをカットしているのでPL開の工程が安定する。
請求項8記載に係る発明は、傾斜コアを持つ金型装置に於いて、エジェクターピンと、傾斜コアとを荷重式Oリングでシールしたシール金型で、GCPに於いては予めシール金型内を加圧流体で満たすが、軸体それぞれを荷重式Oリング、その他PLなどもOリングを用いているので、エジェクターボックス構造のシール金型を用いた場合より加圧流体の使用量が少なく、生産性も高く、経済的である。成形空間に発泡性樹脂、又は非発泡性樹脂を充填した後に、樹脂と金型との隙間に加圧流体を入れ、加圧流体と、必要に応じて成形機からの樹脂の保圧とで、金型への転写性を高める手段の圧空成形に於いても、加圧流体の使用料を少なく出来るので、エジェクター・ボックス構造では実施が困難であった大型の成形品での圧空成形の実施は容易に可能である。
【0009】
後述する様のピンゲートを用いた3枚型では、先にストリッパープレートと、固定側金型との間を開きピンゲートをカットしてから、PLを開く必要がある場合は、PLに設けたバネなどの強度(バネの反発力、バネ力)よりも、ストリッパープレートと、固定側型板との間のバネなどの方が強度(バネ力)を高める必要がある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(用語の定義)
まず、本発明に於いて用いる用語を定義する。
「金型キャビティ」とは、射出成形、ブロック成形、又は注型成形に於いて、発泡性を持たせた樹脂、又は/及び非発泡性の樹脂で満たされる空間を言う。又「キャビティ内」とは、金型キャビティの内部、空間、又は体積を言う。
「成形空間」とは「金型キャビティ」と同義語である。実際は射出成形加工に於いて第1型(一般的には固定側の金型を示す。)と、第二型(一般的には可動側の金型を示す。)とが合わさると、第1型と、第2型とで画定される空間が出来る。この空間が「成形空間」で発泡性樹脂、又は/及び非発泡性樹脂を充填する空間を示し、単に「キャビティ」と言う場合もある。押し出す軸体とは、主には第2型に設けられるエジェクターピンを示すが、それ以外には傾斜ピン、キッカーピンなども含まれる。
【0011】
本発明は、上記例示された射出成形以外にはダイの工夫によってはシート押出(押し出し)成形、異形押出成形、ブロー成型などでも実施は可能である。
【0012】
「射出」とは、金型キャビティ内に発泡性を持たせた樹脂、又は/及び非発泡性の樹脂を充填する事、注入する事、又はその工程(プロセス)を言う。
「押出」とは、加熱溶融された発泡性樹脂を、又は/及び非発泡性樹脂をダイを通じて連続的に押出成形を行う事である。
非発泡性樹脂と、発泡性樹脂とを押出機ノズル内で混ぜ合わせ(ミックスして、ミックスドとも言う。)、発泡性を付与する手段、又新保實方式の様に押出機ノズル内で気体を、又は/及び液体を加熱溶融された樹脂に混ぜ合わせ発泡性を付与する手段も含まれる。勿論の事新保實方式は射出発泡成形でも有効な手段である。
【0013】
「ブロー」とはパリソンの金型内に入れ、パリソンの中からエアーなどの気体を用いて加圧して成形をする技法を言う。パリソンを発泡性樹脂とすると、発泡性樹脂を用いたブロー成形となる。
【0014】
「充填」とは、射出成形、ブロック成形などの加工に於いて、金型キャビティ内に発泡性を持たせた樹脂、又は/及び非発泡性の樹脂を満たす事を言う。金型キャビティ内の体積よりも少ない量の充填は、ショート・ショット、又はショート・モールドと、同等な量の充填は、フル・ショット、又はフル・パックと、体積よりも多い量の充填は、オーバー・ショット、又はオーバー・パックと言う。ヒケを少なくする、又は転写性を向上するため、フル・ショット後に成形機加熱筒から樹脂の保圧をかける場合は、保圧を使用した事を本発明では明示する。ブロック成形の場合の非加圧、加圧の区分けは、充填後は非加圧、充填後に加圧などと加圧の有無を明示する。「加圧」とは樹脂に大気圧以上に加圧下流体を作用させる事を言う。
【0015】
「加熱筒内の樹脂」とは、加熱溶融前のペレット、バルク、パウダーなど固体(固形)の状態、可塑化途中の段階、可塑化が完了して溶融状態にある熱可塑性樹脂を言う。
【0016】
「発泡剤」の性状は、気体、液体、固体の何れもがあり、大きくは物理発泡剤、化学発泡剤に分類され、其々無機系、有機系の物(モノ)がある。気体は窒素ガス、炭酸ガス(二酸化炭素)、ヘリウム、アルゴンなどの希ガスに代表される不活性ガス、水素などの可燃性ガスが上げられ、これ等は単独で、又は混合ガス(混合した流体)として使用する。液体の発泡剤はNTP{Natural Temperature Pressure,Natural Temperature and Pressure,Normal Temperature Pressure,Normal Temperature and Pressure=温度が23℃、圧力が1気圧(1atm、760mmHg)}で性状が液体である物質を言い、エタノール、プロパノールに代表される1価のアルコール、2価以上のアルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類などと、蒸留水、イオン交換水、市水(水道水)、井戸水などの気化性の物質、これ等の物質を溶媒とした重曹水、クエン酸ナトリウム水などと、加圧と冷却とで液化させた液化炭酸ガス(液体の二酸化炭素)などを言う。固体は化学発泡剤の無機系の熱分解型では炭酸水素塩、炭酸塩、亜硝酸塩、水素化合物、カルボン酸、カルボン酸塩などがある。アドバンセル(商品名)などのミクロバルーン(マクロバルーン、マイクロバルーン)、構造水を含む硫酸銅{硫酸銅5水和物、(今は「結晶水」の概念ではなく「水和物」と言う。)を持っているので、勿論この5モルの構造水も加熱筒内で、加熱筒の温度、加熱溶融された溶融樹脂の温度で気化し、水蒸気は発泡性ガスとして作用する。}、水中に浸漬して含水させたシリカゲル、ABSを水中に長い時間、例えば6時間浸漬し、遠心分離などで表面の水分を除去し、含水させたモノ(ABS)、ABSと同様にPCを、及びPC系樹脂(この場合はPC/ABSとした。)を水中に浸漬し、含水させたモノも水分が、前記構造水と同様に加熱筒内で気化し発泡剤として機能するので発泡剤として使用出来る。これ等は水の場合を例示したが、水に限らずアルコールの有機溶剤でもよ (良)い。極端な例ではあるが、白米を水の中に浸漬して含水させたモノも発泡剤として使用出来る。勿論固体の炭酸ガス(ドライアイス)は固体の発泡剤である。ドライアイスの場合はペレットと混ぜ合わせてホッパー内に入れ、加熱筒内に入れると、ドライアイスは直ぐに気化して気化した炭酸ガスはホッパーから抜け出るので、可塑化計量時にホッパーに栓を為て炭酸ガスが逃げない工夫をする。別にはバレルに穴を開けて溶融樹脂中に、フィードスクリューなどの機構を用い定量して、一定量を安定して投入させる手段が好ましい。
【0017】
無機系の熱分解型の発泡剤には上述した様に炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムに代表される炭酸水素塩、炭酸塩などが例示され、有機系の熱分解型の発泡剤にはアゾ化合物、ヒドラジン誘導体、セミカルバジド化合物、アジ化合物、ニトロソ化合物、トリアゾール化合物などがあり、反応型ではイソシアネート化合物がある。ADCA{アゾ・ジ(ダイ)・カルボン酸アミド}、HDCA(ヒドロ・ジ・カルボン酸アミド)、アゾ・ジ・カルボキシレート(ADCAのBa塩)、HDCAのBa塩、DPT(ジ・ニトロソ・ペンタメチレンテトラミン)、OBSH{P-P’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジッド)}、AIBN(アゾ・ビス・イソブチロ・ニトリル)〕などがあ(上、挙)げられる。発泡剤、発泡成形の詳細は、株式会社技術情報協会1993年8月発行の各種高分子と発泡成形技術に記載されている。
【0018】
液体を発泡剤として熱可塑性樹脂に用いる場合、成形品の重量(wt.)に対して最適な容量を測定(計量)して、加熱筒内の熱可塑性樹脂に一気に、或いは連続して注入し、加熱筒と加熱筒内の温度、加熱筒内の溶融した熱可塑性樹脂の温度、又は/及びノズルの温度、又は/及び金型の温度によって気化して、又は/及び熱分解して、又は/及び化学反応をさせて、又は熱を必要としないで分解、又は/及び化学反応させて発泡成形に有用(有効)な発泡性ガスを発生させる。注入する液体の温度は常温であるが、必要に応じては加温して、気化までの時間を短くする場合もある。液体の圧力を加熱筒何に注入可能な圧力より更に高め、沸点高め注入する場合もある。
【0019】
発生させたガスは、加熱筒内の熱可塑性樹脂中に計量の段階の物理的な力、充填の場合の物理的な力で溶融樹脂中に微分散又は/及び加圧溶解させ、加熱筒内の熱可塑性樹脂は、発泡性を有する熱可塑性樹脂となる。これを金型キャビティ内に充填して、発泡構造を有する成形品を製造する事が出来る。別言すると、「発泡成形」とは、加熱筒内の樹脂に対して、発泡性ガスを分散又は/及び溶解(加圧溶解を含む。)などをさせて発泡性を付与した樹脂を金型に充填して発泡構造体を得る事、及びその工程を言う。尚押出の場合は金型ではなくダイである。
【0020】
「溶融樹脂への発泡性の付与」とは、気体{ガス(例えば窒素ガス)}の場合は大きな塊の発泡性ガス(窒素ガス)をスクリューの回転の力で分散し、背圧の圧力で加圧溶融、又は/及び溶融樹脂中に微分散させる事を言う。液体の場合は加熱筒内の温度、溶融樹脂の温度などによって、気化、熱分解などをして、発泡性ガスが発生し、発泡性ガスをスクリューの回転の力で分散し、背圧の圧力で加圧溶融、又は/及び溶(融)樹脂中に微分散させる事を言う。固体の発泡剤の場合は、化学反応によって発生した発泡性ガスをスクリューの回転の力で分散し、背圧の圧力で加圧溶融、又は/及び溶融樹脂中に微分散させる事を言う。ミクロ(マクロ、マイクロ)バルーンの場合も発生した発泡性ガスをスクリューの回転の力で分散し、背圧の圧力で加圧溶融、又は/及び溶融樹脂中に微分散させる事を言う。スクリューの回転トルクは高く、回転数も高い方が望ましい。背圧を高くすると混練性が上がり発泡性ガスの分散性は高くなる。ノズルに気体の発泡剤の注入口、液体の発泡剤の注入口、加熱溶融された発泡性を持たせた樹脂と非発泡性の樹脂とを混ぜ合わせる場合も含まれる。
【0021】
「起泡」とは、外部からの圧力、例えばGCP、背圧、射出圧力などの力によって発泡性ガスが抑えられた状態(樹脂中に圧縮され体積が小さく微分散した状態又は/及び加圧溶解された状態)から、外部からの圧力が少なくなり、又はなくなり、樹脂中の発泡性ガスの体積が増す事、又は/及び加圧溶解されていた発泡性ガスが気体になる事を言う。又「起泡」には、発泡性を持たせた熱可塑性樹脂が加熱筒から押出されて発泡する場合、又は液状、又は固体の発泡剤の気化、熱分解、化学反応によって発泡性ガスが発生する工程も「起泡」と言う。
【0022】
「発泡」とは、発泡性ガスを溶融状態の熱可塑性樹脂中に微分散又は/及び加圧溶解させ、圧力を下げる事で、熱可塑性樹脂の内部、又は/及び表面で発泡セルが形成させる事{表面に発生した発泡セル(泡)がスワール・マークである。}を言う。熱硬化性樹脂の場合は、発泡剤を加熱する事で、発泡剤が気化、熱分解、化学反応して、発泡性ガスを発生し、熱硬化性樹脂の内部、又は/及び表面で発泡セルを形成させる事を言う。この様に発泡によって内部、又は外部に発泡層を持った成形品を発泡成形品又は発泡構造体と言う。
【0023】
「発泡性樹脂」とは、発泡成形に有用な発泡性ガスを微分散させた、又は/及び加圧溶解させた溶融状態の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を言う。別言すると、「発泡性樹脂」とは、気体の発泡剤、液体の発泡剤、固体の発泡剤を含んだ熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を言う。本発明では「溶融状態の発泡性を持たせた熱可塑性樹脂」、「発泡剤含有の熱可塑性樹脂、又は発泡剤含有の熱硬化性樹脂」と発泡性を持たせた事、気体の発泡剤、液体の発泡剤、固体の発泡剤を含有する事など樹脂の状態を出来るだけ正確に記す。
【0024】
「発泡成形品」とは、発泡性を持たせた熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を成形加工した、内部に不連続な発泡セル(Cell)を持っている樹脂成形品を言う。発泡セルは、そのセルの大きさの平均が5,000μm{ミクロン(μ)、マイクロメーターミクロン(μm)}以下である。本発明では、発泡性樹脂を用いた中空成形で、中空部分と発泡セルとが混在する場合も発泡成形品とする。
【0025】
「併用」とは、それだけでなく、別のモノとともに用いる事、組み合わせる事を言う。例えば成形加工法の1つでも効果があるが、別の方法との併用も可能で、相乗効果を求めたり、一方又は/及び両方の効果の向上が期待出来る。発泡剤も、単独ではなく数種類を併用する事もある。気体、液体、固体の発泡剤を併用する事もある。
【0026】
「発泡助剤」とは、発泡剤の分解温度を下げたり、発泡剤に分解を促進させる目的で使用する物質を言う。有機系発泡剤の発泡助剤は、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、金属石鹸、尿素(ADCAの分解温度を下げる作用・効果がある。)、亜鉛華などが上られ、炭酸塩、炭酸水素塩の分解に用いる無機系、有機系(例えばクエン酸)の酸も発泡助剤であるとも言える。然しPC系樹脂の場合は分解の危険性があるので、其々の物質の添加による物性の低下を事前に確認をする。特に塩基性酸化物(金属酸化物の別言)のCaO、BaO、Cs2OなどはPC系樹脂のPCを分解する危険性が大きい。
【0027】
(PC系樹脂用の起泡核剤、発泡核剤)
「起泡(発泡)核剤、気泡核剤」とは、微細な発泡セルを形成させる目的で、成形予定の樹脂、発泡剤に混ぜ合わせる物質である。起泡核剤は溶融樹脂と起泡核剤との比熱の差を利用して、溶融樹脂と起泡核剤との境界に小さなヒケ(空間)が作られ、そのヒケを核として発泡が開始(そのヒケ=小さな空間に発泡性ガスを集め、発泡ガスが集まり、起泡が始まるスタートの起点)とされ、発泡セルが形成される。この様に起泡核剤は温度差{(比熱の違い。昇温の速度の違い。)(起泡核剤は加熱され周りの溶融樹脂よりも温度が高くなる場合など、反対に低くなる場合などである。)}を利用して発泡セルを微細化する作用・効果を齎す。起泡核剤を例示すると、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、銅(Cu)、銀(Ag)、W(タングシテン)、Cr(クロム)などの金属粉、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などの非金属粉、及びこれ等の酸化物、窒化物、炭化物などがある。
【0028】
それ以外には難燃剤も起泡核剤になり、起泡核剤としての作用・効果を齎す。臭素化エポキシなどの代表されるハロゲン系難燃剤、リン酸系難燃剤、例えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ2,6-キシレニルホスフェート、非(ノン)ハロゲンリン酸エステル{DAIGUARD-1000(商品名)}に代表される非ハロゲンリン酸エステル、芳香族縮合リン酸エステル{CR-7335(商品名)}、芳香族縮合リン酸エステル{CR-741(商品名)}、芳香族縮合リン酸エステル{PX-200(商品名)}に代表される非ハロゲン系リン酸エステル、トリス(クロロプロピル)ホスフェート{TMCPP(商品名)}、トリス(トリブリモネオペンチル)ホスフェート{CR-900(商品名)}に代表される含ハロゲンリン酸エステル、{CR-504L(商品名)}、{CR-570(商品名)}、{DAIGUARD-540(商品名)}に代表される含ハロゲン縮合リン酸エステル、{DAIGUARD-580(商品名)}、{DAIGUARD-880(商品名)}、{DAIGUARD-850(商品名)}に代表される非ハロゲン縮合リン酸エステルなどが上げられる。
【0029】
又上記難燃剤もを併用する、ポリテトラフルオロエチレン(4フッ化) (略号:PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(略号:PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4.6フッ化)(略号:FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(略号:ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(2フッ化) (略号:PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化) (略号:PCTFE)、クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体(略号:ECTFE)などのフッ素含有の樹脂の微粒子も起泡核剤として作用する。粒径がナノレベルの金属粒子も起泡核剤として作用する。
【0030】
例えば水を発泡剤に用いた場合で、ASとABSとではASに比べてABSの方が発泡セルは小さくなる。PSとHIPSではABS同様にHIPSの方が発泡セルは小さくなる。これは樹脂中に配合されているブタジエンにアクリロニトリルとスチレンとをグラフト共重合させたゴム(グラフトゴム)がASの海に島に様に点在する海島構造を持ち、このグラフトゴムが起泡核剤の作用をした。
PC単体でなくPC/ABSの方が発泡セルは小さくなる事が確認されている。これは同じく互いのポリマーの比熱が異(違)なり界面、境界領域で微細な収縮が生じた結果、起泡核剤としての作用・効果を奏した。上記起泡核剤は単独でも使用も可能、必要に応じて2種類以上混ぜ合わせても良い。
【0031】
PC樹脂の発泡成形に有用な発泡剤は気体の窒素ガス、炭酸ガスに代表される気体を計量中に加熱筒に注入し加熱筒内の可塑化溶融された溶融樹脂に発泡性を付与させる、前記気体と同様に水を加熱筒内に入れ、加熱筒の熱(熱エネルギー、温度)、加熱溶融された溶融樹脂の熱(熱エネルギー、温度)の両方、又は何れかによって気化させ、加熱筒内の溶融樹脂中に微分散させ発泡性を付与する。
尚起泡核剤は単独での使用と、2種類以上を混ぜ合わせ使用する場合がある事は上述した。
【0032】
PC系樹脂の場合起泡核剤がPC系樹脂の分解を促進させる触媒として作用する物、起泡核剤自らがPC系樹脂を分解してしまう場合がある。特にPC樹脂の発泡に水を用いる場合PC系樹脂を加水分解させない物質が選ばれる。
【0033】
PC系樹脂の発泡成形に於ける有用な起泡核剤は、PCを分解し物性低下をしない事から酸化銀、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、及び炭化ケイ素などが例示される。本発明の起泡核剤における成分の含有比率は、発明者らが鋭意検討を重ねた結果、酸化アルミニウムが40〜60重量部、酸化銀が20〜40重量部、二酸化ケイ素が1〜10重量部、炭化ケイ素が1〜10重量部である事が好ましい。酸化銀以外の成分の粒子径は、PC系樹脂に配合させるために、30μm以下である事が好ましい。30μmを超えると、樹脂に均一に分散する事が出来ず、又十分な光拡散効果が得られないため好ましくない。より好ましくは、100nm〜10μmである。これ等の成分は市販のモノを使用しても、任意の粒子径に合成しても良い。又粒子径が大きいモノを粉砕しても良い。合成方法は特に限定されるモノではない。
【0034】
酸化銀はPC系樹脂用の起泡核剤としては有用で酸化銀の代わりにCu2O、ZnO、Al2O3、MgO、TiO2、ZrO2、V2O3、V2O5、酸化タングステン、FeO、Fe2O3、酸化マンガン、酸化クロム、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化In、インジューム(In)ティン(Ti)オキサイド、酸化Ge、酸化錫、酸化鉛、コランダム、カーボランダム、Al2O3・MgO(スピネル)、WC(タングステンカーバイト)、TiN(窒化チタン)、CrN(窒化クロム)なども有望である。
【0035】
一方例えば、炭酸カルシウム(Ca)、炭酸マグネシウム(Mg)、炭酸バリウム(Ba)などの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、有機酸のアルカリ金属塩、特にクエン酸2水素1ナトリウム塩、クエン酸2水素1カリウム塩などは有効な起泡核剤の作用をするがPCの分解が懸念される。ヘリカルD(白石カルシウム製のCa含有の無機フィラーである。)も起泡核剤の作用をする。上記の発泡助剤のステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、金属石鹸なども起泡核剤として作用はする。硝子繊維、硝子ビーズ、炭素繊維、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどの炭素の粉体、カーボンナノチューブ(CNT)なども起泡核剤の作用を持つ。更には金属の粉体でも良い。足立新産業(株)のナノマテリアルも起泡核剤になる。樹脂の添加剤、例えば顔料なども起泡核剤として作用する。
【0036】
{起泡核剤の粒子径(粒径)}
起泡核剤の粒径は微細であれば、樹脂中に均一に分散し、発泡セルを、発泡セルの大きさを均一にする事が出来る。使用する起泡核剤によって異なるが、一般的には250ミクロン(μm)以下、好ましくは100μm以下、均一な分散を考慮すれば50μm以下が好ましい。更に微細な100nm(ナノメーター)から10μm程度が良い。
【0037】
(起泡核剤の使用)
使用する起泡核剤は一種類(単一)でも良いが、2種類以上を混ぜ合わせて使用(複合使用)しても良い。粒径も単一でも良いが、単一の場合でも粒径の異なる物を使用しても良い。複合使用の場合には其々の起泡核剤の粒径は同じ物でも、異なる物を使用しても良い。
【0038】
(起泡核剤のマスター・バッチ)
PC系樹脂の発泡成形で使用する有用な起泡核剤は金属の酸化物、金属の炭化物などがあり、これ等の起泡核剤は、樹脂中に混ぜ合わせ(分散をさせて)使用するが、液体の発泡剤ならば、この液体に混ぜ合わせて使用する。発泡予定の樹脂のペレットの中に濃度(起泡核剤の含有量)の高いモノを製造し、マスター・バッチとして使用しても良い。起泡核剤が数種類に及ぶ場合は其々の単体(本発明では一種類の物質の意味)で起泡核剤のマスター・バッチ化して於いて、発泡成形予定の樹脂のペレットに其々の単体の起泡核剤のマスター・バッチを混ぜ合わせ使用する。加熱溶融混錬(例えば押し出し機を用いた溶融混錬、ペレタイザーを用いたペレット化する手段。)して起泡核剤のマスター・バッチを製造しても良いが、PCT/JP2020/15536に記載の発泡予定の樹脂のペレットの表面に担持する方法でも起泡核剤のマスター・バッチ製造は出来る。
【0039】
「混合比」とは、例えば起泡核剤のマスター・バッチの重量(wt.)、又は容量(vol.)を1とし、成形予定の樹脂の重量、又は容量との比で表す。発泡成形予定の樹脂中(一般的には重量を用いる。)に含まれる起泡核剤のマスター・バッチの割合(重量の割合)で表す。例えば、樹脂に対して2wt(重量)%、2vol(容量、体積)%などである。2:100(或いは1:50、或いは1/50)、又は2wt%、2vol%などと表現する。液状発泡剤を使用する場合も同様とする。
【0040】
(起泡核剤の添加量)
起泡核剤の添加量は、樹脂の物性に影響を与えない範囲内で、物性の低下が許容出来る範囲内で添加出来る。添加量は添加予定の発泡をさせる樹脂によって異なり、又発泡を付与する発泡性ガス(例えば窒素ガス、炭酸ガス其々を単独で使用する場合、其々の発泡性ガス、例えば窒素ガス、一酸化炭素、炭酸ガス、水蒸気などを混ぜ合わせ複合ガスとする場合とがある。)のよって決められる。
発泡予定の樹脂に対する起泡核剤の配合量は、樹脂100重量部に対して起泡核剤を0.01から10重量部である。起泡核剤の配合量が0.01重量部未満では発泡セルの粒径が大きくなる。反対に起泡核剤の添加量が多いと発泡セルが微細になり、発泡力が大きくなるので、GCPで表面に発生するスワール・マーク(発泡縞模様)をなくし、表面が平滑で綺麗な外観の発泡成形品を得るには、一般に使用する気体の種類と圧力(発明者は、経済的な事と、発泡成形の容易さを考慮して圧力が1.4MPaのエアーとしている。)を変更する。GCPの圧力を高めればスワール・マークを抑える事は可能、エアーではなく炭酸ガスを用いれば、金型内に充填された発泡性を付与した溶融樹脂の流動先端に炭酸ガスは溶け込み、スワール・マークが少なくなる。参考であるが炭酸ガスを用いたGCPは非発泡性の樹脂の場合も表面は綺麗になる。硝子繊維など複合材も硝子繊維を沈み込ませる作用・効果を持つ。
【0041】
〔ポリカーボネート系樹脂、ポリ炭酸エステル{ポリカーボネート(PC)}〕
本発明で使用するPCに付(つ)いて説明する。PCはビスフェノールAとホスゲン、若しくはジ(ダイ)フェニルカーボネートを原料として製造されるポリ炭酸エステルである。塩化カルボニルを用いる場合は界面縮重合でポリマー化される。ジフェニルカーボネートを用いる場合はエステル交換による重合で合成される。PCは特に限定されず、公知の樹脂を何れも使用出来る。例えば芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲン又は炭酸ジエステルとを溶融法又は溶液法で反応させて得られる樹脂が使用出来る。芳香族ジヒドロキシ化合物の代表的な例として、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド(スルフィド、Sulfide)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどが上げられる。これ等の中でも特にビスフェノールAが好ましく、汎用されている。本発明では、汎用のPCであるビスフェノールA系のPC以外にも、他の2価フェノール類を用いて製造したポリカーボネ−トを使用する事が可能である。
【0042】
更に、以下に示す様な3価以上のフェノール化合物を混合使用しても良い。3価以上のフェノールとしては、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン及び2,2−ビス−〔4,4−(4,4・−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル〕−プロパンなどが上げられる。
【0043】
本発明で使用されるPCの粘度平均分子量は、1,000〜100,000である。より好ましくは10,000〜50,000であり、か(掛)かるPCを製造するに際し、分子量調節剤、触媒などを必要に応じて使用する事が出来る。PC系樹脂は、単独で用いても良く、2種以上を適宜混合して使用しても良い。
【0044】
(PC系樹脂組成物の製造に付いて)
本発明の起泡核剤を混合したPC系樹脂組成物の製造に当たっては、その製造方法は特に限定されるものではないが、本発明の樹脂組成物の好ましい製造方法は、二軸押出機の如き多軸押出機を用いて各成分を溶融混練する方法である。二軸押出機の代表的な例としては、ZSK(WernerアンドPfleiderer社製、商品名)を上げる事が出来る。同様のタイプの具体例としてはTEX{(株)日本製鋼所製、商品名}、TEM{東芝機械(株)製、商品名}、KTX{(株)神戸製鋼所製、商品名}などを上げる事が出来る。その他、FCM(Farrel社製、商品名)、Ko−Kneader(Buss社製、商品名)、及びDSM(Krauss−Maffei社製、商品名)などの溶融混練機も具体例として上げる事が出来る。
【0045】
(PC系樹脂の発泡の目的と意味)
PCは衝撃強度に於いて肉厚依存性が大きい樹脂である。例えばソリッド成形品で肉厚が5mm、6mmの厚い成形品の衝撃強度はABSよりも低い。然し肉厚を薄く1mm、2mmとすると衝撃強度は極端に高くなる。0.2mmのPCを積層すれば大きな衝撃を加えても割れない事は確認されている。ならばPCの物性に影響を与えない水を発泡剤に用いて発泡させ、モルード・バック、コア・バックなどの拡張コアをさせ、発泡倍率を高め表面及び内部に肉厚の薄いPCの発泡セルを形成させれば衝撃強度が十分にあるPCの発泡構造体を得る事が出来る。これが本発明で述べているPC、及びPCを主成分とする樹脂の発泡成形の意味で目的である。PCは他の樹脂例えばABSとのポリマーアロイが多用されているが、この場合も同じ様にABS中でPCは薄い層を持つのでPC/ABSを、又PC/PS、PC/HIPSなどの発泡成形に水を発泡剤に用いる事は可能である。
【0046】
(PC系樹脂の発泡倍率を上げる手段)
発泡剤に水を用い、成形機加熱筒内で発泡性を付与した樹脂を成形空間に充填する。充填後に予め定めた距離だけ金型を後退(一般的には可動側の金型を後退させる事である。別言をすればPLを予め定められた距離を開く事である。)させる。以下詳細なプロセスを示す。金型が閉められ、成形空間に発泡性樹脂が充填される。充填と同時に、或いは充填から少し時間を遅延させて、予め定められた距離だけ金型を開く。この時に発泡性樹脂の発泡力によって成形品は拡張する。別に内部を中空{発泡性樹脂を用いた中空成形で、高圧の窒素ガスなどを成形機のノズルから、又は/及びランナーから、又は/及び成形品へ直接流体(例えば圧力を高めたガス、又は圧力を高めた液体、加熱水蒸気など)を注入して、}にしてその内部に流体の力で拡張させる場合{特に
図11、
図12、
図13、
図14に示すコア・バックは、PLが縦見切りなので、金型を大きく開けてもバリ発生は少ない。然し体積を2倍、5倍、10倍と発泡倍率を極端に大きくすると、発泡力だけでは、金型への転写性は乏しく、そのままでコア・バックをさせると金型から成形品は離れてしまい(しまうので)、}、結果型再現性は低下する。結果高倍率を持つ発泡成形品は得られない。GCPを適用した発泡成形では更に型再現性は低下するので表面が平滑で綺麗な高い発泡倍率の発泡成形品は得られない。この課題を解決する手段に発明者は発泡性樹脂を用いた中空成形を実施し、型再現性が十分得られる事を確認した。又GCPを用い、発泡性樹脂に中空成形を行いモールド・バック、コア・バックすれば表面が綺麗な高発泡倍率の発泡成形品が得られる事も確認をした。冷却・固化が完了し、成形品の内部に加圧流体(「高圧流体」、「圧縮流体」とも言う。一般的には大気圧以上に圧縮された、圧力を高めた気体を用いるが、液体でも構わない。気体の場合は主には空気、窒素、炭酸ガス単体か複合ガスである。液体の場合は主には水であるが、例えば40℃、50℃、90℃と、そして圧力が高いので100℃でも液体を保ちならば可、この様に温度をと高めて使用する場合もある。)を注入した場合は加圧流体を排気して、内部の圧力を膨れ、バーストが発生しない圧力まで下げて、金型を開いて発泡成形品を取り出す。この時に3枚型構造の金型では予めPLが一定の距離開かれていれば、そのままPLを開けてもストリッパー・プレートが開かず、スプール・ランナーは払えないので、金型にはPLが先に開けられても、ストリッパー・プレートも後で開く機構を組み込む必要がある。
尚このモルード・バック、コア・バックをコントロールするソフトは外部にシーケンサー(PLC、PLCを用いたコントローラーボックス)を用い、成形機と信号の交換を行い実施する以外に、成形機に組み込んであるPLCにこれ等の動作をさせるソフトを付加させる事も出来る。
【0047】
本発明の起泡核剤及びPC系樹脂の押出機への供給方法は特に限定されないが、以下の方法が代表的に例示される。
(1)本発明の起泡核剤及びPC系樹脂を独立して押出機中に供給する方法。
(2)本発明の起泡核剤及びPC系樹脂添加剤をスーパーミキサーなどの混合機を用いて予備混合した後、押出機に供給する方法。
【0048】
上記の方法に限らず、起泡核剤を原料のPCに任意量混合した後、樹脂を製造しても良い。PC系樹脂組成物の製造方法は何ら限定されるものではない。本発明の起泡核剤を含有したPC系樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、及びフィルムなどの形での発泡成形にも使用する事が出来る。更に特定の延伸操作をかける事により熱収縮チューブとして成形する事も可能である。
更には回転成形やブロー成形により成形品とする事も出来る。難燃性を有するPC系樹脂組成物(難燃剤、難燃助剤を添加して難燃性を持たせた樹脂)、硝子繊維などのミネラルを添加して剛性などを高めた樹脂の成形品でも実施は可能である。この成形品には、塗装、鍍金などの各種表面処理を行う事も可能である。
【0049】
PC系樹脂の中でPCを主成分とするポリマーアロイ、ポリマーブレンドはPC/PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC/PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PC/ABS(ブタジエンにアクリル・ニトリルとスチレンとをグラフト共重合させたアクリル・ニトリル・スチレン・グラフト三元共重合体と、AS(アクリル・ニトリルとスチレンとの共重合体)}、PC/AES、PC/AAS、PC/ASA、PC/PS(ポリスチレン)、PC/PP(ポリプロピレン、ポリメチル化ビニル)、PC/PE(ポリエチレン、ポリ水素化ビニル)、PC/塩化ビニル(ポリ塩化ビニル、PVC)、PC/PPOなどの発泡成形では、起泡核剤の選定を誤ると本来のPCの物性が発揮されない。
PC系樹脂の発泡成形に有用な発泡剤は水であるが、PCを主成分としたポリマーアロイ、ポリマーブレンドでPET、PBTを含む場合はPETなどのエステル系樹脂は分解し物性が著しく下がる。ポリアミド(PA)の場合は加水分解は殆どしない。
【0050】
「相溶性」とは、熱可塑性樹脂の場合に其々の樹脂が加熱溶融の段階で分子レベルで混ざり合う性質を言い、例えばABSに対しての、ASは相溶性がある、PPO(ポリフェニレンオキサイド)、PPE(ポリフェニレンエーテル)にはPS(ポリスチレン)、HIPS(ハイインパクトポリスチレン)が相溶する。本発明でPPOとPPEとは同物質として取り扱い、「PPO」とする。HIPS又は/及びPS、その他PP、ABS、PAを用いて変性、変成(混ぜ合わせてブレンドポリマー、ポリマーアロイとした。)PPOを変成-PPO、変性-PPO、m-PPOと言う。
【0051】
「相容性」とは、相溶せず一方の樹脂中に他方の樹脂が分散し、海島構造、又はその他の構造を示す場合で、例えばABS中のBゴム{ブタジエンゴムにアクリロ・ニトリル(シアン化ビニル)とスチレン(フェニル化ビニル)とをグラフト共重合させた重合体(高分子)}はASに対して相容性を示す。相溶、相容する場合は物性低下はない、或いは少ない。
【0052】
{相容(溶)化剤}
PCを主成分とするPC/PET、PC/PBT、PC/AS、PC/ABS、PC/PS、PC/HIPSなどのポリマーアロイ、ポリマーブレンドを製造する場合、必要に応じて相容(溶)化剤を使用する。これ等に使用する相容(溶)化剤を例示すると日本油脂などから販売されている。相容(溶)化剤の添加量が少ないと、十分に相容(溶)しないので樹脂の物理的な性質、化学的な性質が十分に発揮出来ない。多い場合は物性の低下が著しいので、添加量はPCの重量に対して物性への影響が少ない範囲内である事が望ましい。
【0053】
(塗装適正)
PC系樹脂成形品の場合内部応力(内部の歪)が大きいと、塗料の溶剤(シンナー)によってマイクロクラックが入りPCの高い衝撃強度が発揮されない。本発明の発泡成形では、射出成形の場合は保圧を使用しない押し切り(打ち切り)の成形であるので、内部応力の存在は少ない。このままで塗装を施しても高い保圧を掛け、内部応力の大きい成形品よりクラック発生による物性低下は少ない。更に2時間程度アニールをして、内部応力を除去すれば更にマイクロクラックによる物性低下(割れなど)は軽減される。
【0054】
(PC系樹脂の発泡成形の実施の形態)
PC系樹脂の発泡成形を実施するに当たり後述の比較例1(使用した発泡剤は炭酸水素ナトリウム)、比較例2(使用した発泡剤はADCA)、比較例3(使用した発泡剤はエタノール)で明らかな様にPCの発泡成形では全くPCとしての特性(衝撃強度が高い事=容易には割れない事)が発揮されない。然し実施例1に示した様に発泡剤を水(化学名は「酸化水素、一酸化二水素」、化学式は「H2O」)を使用すればPCの物性低下は少ない事を確認した。
【0055】
(GCP)
発泡剤に水を用いて、文献PCT/JP2015/062611の
図1と
図4、
図5記載の液体の注入装置、加熱筒に設けた注入口で射出成形機加熱筒内に水を注入し発泡成形を実施した。発泡成形品の表面は発泡剤の水に起因するスワール・マークが発生する。文献PCT/JP2015/062611の
図20、乃至
図22のノズルと、
図23、
図25記載のGCP用にシールがなされたシール金型、
図24記載のGCP装置を用いて、1.4MPaのエアーを用いGCPを行ったところ、表面のスワール・マークはなく綺麗で平滑なスキン層を持ち、内部は微細な発泡層を持つ発泡成形品の生産が可能な事を確認した。
【0056】
(アンダーカットの処理)
成形品には
図17、
図18に示す様にアンダーカット(でっぱり部)形状を持つ場合は、スライドコア(外側スライドコア方式)、傾斜コア方式(傾斜ピン)、油圧、空圧、ラックアンドピニオン、ボールねじ(ネジ)などを用いた機械式のスライドを使用する。
図17は附番57がアンダーカット部分、附番58の矢印がスライド方向である。この場合はアンギュラピンを用い、金型の開閉とスライドの開閉とを連動させる事でアンダーカットの処理(アンダーカット形状を持つ成形品の加工)は可能である。スライドの移動量はアンギュラピンの角度のよって決まるので、スライドが下がり過ぎない様に止めるスライドストッパーなどの部品を新たに設ける場合もある。
附番57で示すアンダーカット部(
図17では穴としている。)が長い場合は油圧などを用いたスライドコアを用いる。附番55は製品の断面(成形空間の断面)を示し、61は金型のPL(パーティング面、パーティング部分、可動側の金型と固定側の金型とが合わさる面、固定側の金型と可動側の金型とが合わさり画定される空間が「成形空間」である。)である。
【0057】
図18の場合の附番59のアンダーカットの処理は傾斜コア方式が主である。尚附番60はスライドの方向を示している。附番56は製品の断面を示し、附番61は金型のPLである。
【0058】
(シール金型)
先に本発明で用いる発泡成形で表面に発生するスワール・マークをなくし表面が平滑な発泡成形品を得る有効な手段であるGCPの為のシール金型の構造を説明する。金型をシールする手段は、シール金型の構造は、エジェクター機構をスペーサーブロックで囲い込むタイプ(金型構造)と、エジェクターピン其々をL字形状の、U字形状の加重式Oリング、U字(凹)形状のOリングでシールするタイプ(金型構造)の2通りがある。
図19スペーサーブロック(附番74)を日本語のカタカナの「ロ」字の様な一体の構造にして、中にエジェクター機構を収めてシールする仕様でエジェクター・ボックスを用いたシール金型の構造である。附番62はスプール・ブッシュで、附番64のOリングでシールされている。附番63は固定(キャビ)側の取付板で、固定側の型板(附番104)との間にはOリング65が組み込まれシールされている。附番89キャビティを形成するは固定側の入子、附番61はPLで、PLには附番69のOリングが配置(設けられて)されている。附番55、附番56は溶融樹脂が充填される成形空間である。附番70は可動(コア)側の型板で、附番92の入子が組み込まれている。入子はボルト(図示せず。)などで固定されている。符番92の入子の隙間(合わさった面)からも成形空間内の圧気の加圧流体の入りと出は行われる。附番87は受板(受け板)である。附番72は可動側の型板(附番70)と附番87との間をシールするOリング、附番73は附番87と附番74(エジェクター機構を囲い込みシールする為に日本語カタカナの「ロ」字の形の加工したスペーサーブロック)との隙間をシールするOリング、これによって附番75のエジェクター・ボックス構造(シール目的でエジェクター機構を空間でを囲い込んだ金型構造)が出来上がる。エジェクターピンは、エジェクター・ボックスによってシールされているので、附番67のエジェクターピン其々のシールは必要ない。附番76はエジェクターピンを固定するエジェクタープレート(上)で、附番77はエジェクターピンを固定するエジェクタープレート(下)である。附番80は可動側の取付板、附番79は附番80と附番74との隙間に設けられたOリングである。附番82はエジェクターロットの穴で、金型が閉じられエジェクタープレートがリターンピン(図示せず。)などによって後退した時にシールする様に附番77の底には附番81で示すOリングが組み込まれている。
【0059】
附番64、附番65、附番69、附番72、附番73、附番79、附番81のOリングは市販の物でその材質はNBR(ニトリル・ブタジエン・ラバー)、シリコンゴム、ウレタンゴムなどを用いる。これ等Oリングは溝を掘り(ほり、彫り)溝の中にはめ込んで使用するが、附番69と附番番81とのOリングは金型の開の時、成形品押し出しの時にOリングを固定している面が離れ、結果Oリングが溝から出てしまう危険性があるので、発明者は附番69、附番81の溝はテーパーエンドミルを用いて蟻溝(断面で上の方が底より狭くなっている形状)として、プレート(板)が離れてもOリングが溝から離れない様に工夫した。
【0060】
次に金型内を圧気{主には大気以上に圧縮した空気(エアー)を用いるが、場合によっては窒素ガス、炭酸ガス、或いはこれ等を混合したガスなどを用いる。}する為のガス回路を説明する。附番88は固定側の入子の底に圧気(ガス、広義の加圧流体)を入れ、固定側の入子(附番89)と附番104(固定側の型板)の隙間(図示せず。)から成形空間55、56内を圧気する回路で発明者はこれをL3(固定側からの成形空間内への圧気)と称している。成形空間内に発泡性樹脂、又は非発泡性樹脂の充填の途中、充填完了後、充填完了してから一定時間経過した後、同じ回路を通じて金型内の圧気は大気中に排気される。附番66の矢印は金型内の圧気流れを示す矢印で、同じ回路で金型内の圧気と排気とが行われる事を示す為に、始め(始点)と終わり(終点)とが共に矢印として図示した。附番90はPLから成形空間55、附番56を圧気する回路で、附番91は加圧流体(例えばガス)の流れ方向を示している。附番90、附番91をL2と称しPLからの成形空間への圧気し、排気する加圧流体(例えばガス)回路である。附番95は附番74に穴を開け、附番75のエジェクター・ボックス内を圧気し、排気する圧気流体(ガス)回路である。附番96はエジェクター・ボックス内の圧気流体(ガス)の流れを示す矢印(L3と同じく始点、終点も矢印で表示している。)である。エジェクター・ボックス内を圧気するとエジェクター・ボックス内の例えば気体(圧気)はエジェクターピンの隙間、入子の隙間を通じて成形空間(附番55、附番56)内を圧気する、本発明ではこれをL1と称する。溶融樹脂の充填後にエジェクター・ボックス内を排気すると、エジェクター・ボックス内の圧力が下がり、結果成形空間内の圧力が下がる。
【0061】
エジェクター・ボックス構造はシールの手段は簡単で、シール効果も高いが、エジェクター・ボックスは成形空間に比べて体積が大きく、エジェクター・ボックス構造でシールした金型を圧気するには多量のエアーを必要とし、然も圧気に時間が掛かるので、圧気に掛かるエアー費用、圧気に掛かる時間が余分で、結果成形サイクルが長くなるなどの経済的問題がある。
【0062】
図20は
図19の課題を解決するエジェクターピンをシールする手段を説明する。
図19と、
図20との違(異、ちがい)いは附番74は「ロ」字形状でエジェクター機構を囲い込んでいるが、エジェクターピンを附番103の加重式Oリングでシールするので附番105のスペーサーブロックは通常の形状の物で構わない。結果附番79、附番81のOリングが必要はない。附番93は可動側入子の底、エジェクターピンの隙間を通じて成形空間55,56を圧気する。附番94は圧気、排気の流体(ガス)の流れを示す矢印で、
図19のL
1に相当する。附番101は附番103をはめ込み固定するシールプレートである。シールプレート101に直接溝を掘り込み附番103を埋め込んでも、附番103を埋め込む為に入子にして良い。
図24で示す傾斜ピンのシールは附番103の加重式Oリングを傾斜ピンと軸心を合わせ平行に設けなければならないので、入子にする方が良い。附番102は受板87とシールプレート101との隙間に組み込まれらOリングである。可動側は大きく異なるが、PLと固定側のシールなどは
図19と、
図20との違いは大きくはない。
【0063】
図21は
図17で示す附番57のアンダーカット形状をスライドコアで処理する際の金型構造を示している。附番69はPLのOリングで、附番97のガイドピン、又はガイドポストで附番69の外に設ける。附番98は附番55,附番56内を圧気する為にPLに設けられた流体(ガス)の回路、符番184は附番90L
2の圧気回路の圧気を吹き出す口で、
図22で示す様に符番98と繋がり符番90とも繋がっている。附番99は符番98の圧気と排気との流れを示す矢印である。附番68はスライドコア、附番78はアンギュラピンが入り込む穴である。附番68のスライドコアは必ず附番69のPLのOリング内に収めなければシール出来ない。スライドの合わせ面(スライドのPL面)にも附番69同様に製品形状の外側をOリングでシール(図示せず)をする必要がある。
図21は
図19、
図20の成形空間を正面から覗き込んだ図である。
【0064】
図22は
図19、
図20の成形空間の断面の図で、附番184はL
2回路、附番98は金型のPLに設けたL
2の流体(ガス)回路(溝)で断面の形状は、発明者は例えば幅(巾、はば)は5mmから10mm程度、深さは1mmから3mm程度としている。附番100はベントで成形空間の55,56へ圧気をする、そして排気をする回路で、全周に設けるのではなく、櫛型の様に一定の間隔{20mmから50mmのピッチ間隔)}を取って設ける。幅は5mmから10mm程度、深さは溶融樹脂によって変わるが、PPの様に流動性の高い樹脂はバリ発生の危険性を鑑み0.03mm程度、ABSでは0.05mm~0.1mm程度、変性PPO、PCなどは流動性が大きくないのでバリ発生の危険性が少なく0.1mm以上で構わない。
【0065】
図23は附番59のアンダーカットを処理する手段(型構造)を示している。この様な形状の場合は傾斜コアを用いる。附番107が傾斜コアである。附番70の可動側型板を含む可動側が後退、付番61のPLが開かれる。成形機に設けられらエジェクターロット(図示せず。)が押される事で附番77、付番78によって構成されているエジェクタープレート(突出板)が前に押されると、付番70のエジェクターピン、付番108のシャフトも矢印(附番109、付番110)の様に押し出される。結果附番56内に充填された樹脂(冷却・固化が完了した成形品。)は押し出される。附番107の傾斜コアは附番111の矢印の方向(
図23では金型の開閉方向とは直角方向、)に動く。傾斜コア107に対して成形品は附番112の様に動いた事になり、付番59のアンダーカットは金型から抜けるので成形品は取り出せる。
図23は荷重式Oリング103、106は成形空間に向かって配置されているが、反対方向ににすれば、成形空間内を真空(大気圧以下の減圧にする意味)にして成形をする金型構造にする事が出来る。
【0066】
図24は傾斜コアが複数本あって、其々が近くで交差(クロス)している場合加重式Oリングが1枚のシールプレートだけで十分シールするのが困難な場合、シールプレートを複数枚(
図24では附番101と附番116の2枚使用を図示している。)使用する事でシールが可能になる。
【0067】
GCPに於いて金型(成形空間、キャビティ)内を「加圧する。」、「圧気する。」。「GCP加圧する」、「GCP圧気する。」、「GCPを掛ける。」などは溶融樹脂の充填の前に金型内の圧力を予め高めておく事と同義語である。又「排気する。」。「GCP排気する」などは溶融樹脂の充填の途中、充填完了後に金型内を加圧した気体を大気中に排気し、金型内の圧力を下げ、発泡をさせる事と同義語である。
【0068】
(中空成形)
エジェクターピン(
図27)とエジェクタースリーブピン(
図28)から成る加圧流体注入ピン(
図29)を用いて非発泡性樹脂の中空成形を行う場合の問題点は、成形品内の加圧流体の排気の速度である。注入は元々高い圧力でキャビティ内の溶融樹脂の中に入れるので、注入の圧力は一定、注入速度はそれ程問題にはならない。排気の場合は
図27、
図28、
図29に示す様に狭い隙間(0.01mm~0.08mm程度)を通じて附番122に中空部内の加圧流体を排気しなくてはならず、排気が進むと成形品内の中空部の圧力が下がり排気しにくくなり、排気速度が遅くなる。中空部内の加圧流体の排気が十分に、完全に行われず金型を開くと中空部内部の残圧によって成形品の膨れ、破裂(バースト)のトラブルになる。この問題を
図25は附番117と付番118からなるエジェクタープレート(B)を配置した金型を使用する。樹脂の充填の前に段付きのエジェクターロットによってエジェクタープレート(B)は前進をさせて於いて非発泡性樹脂、発泡性樹脂を充填させる。樹脂の充填の途中、充填完了後に附番121から加圧流体を入れ、附番120(
図27と
図28とで組み上げた、)に加圧流体注入ピンを通じて成形品内を中空にする。中空後に中空成形装置の排気弁を開き中空内に入れた加圧流体を排気し、圧力が下がった事を見計らいエジェクタープレート(B)を後退{;エジェクターロットを下げる事で可能。エジェクタープレート(B)にはバネ、ガススプリングなどは仕込まれ、エジェクターロットを下げれば、前記バネなどの力でエジェクタープレート(B)は強制的に下がる仕組みになっている。}
させ、加圧流体注入ピン120先端部が成形品の加圧流体注入ピン先端部を囲う附番123のボス(加圧流体を溶融樹脂内に導く事が目的で設けてある。)から離れ、空間が出来るので、一気に排気される。
図25で附番67エジェクターピンはエジェクタープレート(B)を貫いている。
【0069】
発泡性樹脂を用いて発泡倍率の高い発泡成形品、樹脂の剛性が低い熱可塑性エラストマーの場合に有効な手段である。2倍、3倍、5倍など、更にはそれ以上の高い発泡倍率の発泡成形を成形する場合、気体、液体、固体の発泡剤(単独でも或いは複合使用でも構わない。)を用いて発泡性を付与した発泡性樹脂を成形空間内に充填して、内部を中空とする。中空部に圧力を加えたままでモールド・バック、コア・バックさせ中空部の加圧流体を排気して、加圧流体加圧ピンを後退{エジェクタープレート(B)を後退させる。}させると中空部内の圧力が一気に下がり内部に向かって発泡が始まる。
図11、
図12の様にモールド・バックの場合の発泡倍率は2倍程度でないとバリ発生の危険性がある。
図13、
図14に示すコア・バックの場合はバリ発生の危険性はない。
【0070】
(中空成形での膨れ、破裂など不具合の回避の手段)
成形空間への溶融樹脂の充填が開始(射出開始信号が出力)され、充填の途中、又は充填完了後直ぐに、或いは予め定められた遅延時間の経過後に、中空成形装置の注入弁を開けて、溶融樹脂内を中空を開始にする。予め定めれれた注入弁を開ける時間(本発明では「注入時間」と言う。)完了後中空内に加圧流体を閉じ込める。これを本発明では「保持時間」と言う。保持時間完了後に中空成形装置の排気弁を開け中空部内の加圧流体を大気中に排気する。別に設けた排気開始をスタート(トリガー)としたタイマーのタイムアップ後にエジェクタープレート(B)を後退させ中空内の加圧流体に起因する膨れ、破裂(バースト)が発生しないまで下げた後、冷却・固化の完了後に金型を開けて成形品を取り出す。
図25の金型は、GCP仕様のシール金型を示しているが、非発泡性樹脂を用いた中空成形の場合はシールの必要はなく、
図36に示す様にPLなどをシールする必要はない。勿論
図25の金型を用いてGCPを用いないなら、金型の機能は
図36と変わらない。
【0071】
(圧空成形)
モールド・バック、コア・バックをするとその段階で金型から離れ型再現性が低下するので内部から加圧(中空成形にして、)し金型に十分に密着させた状態でモールド・バック、コア・バックをさせる。それとは別に溶融樹脂と金型との隙間に加圧流体を入れて加圧流体の圧力で流体加圧面の反対面に加圧しながらモールド・バック、コア・バックさせる手段でを用いても型再現性の高い非発泡性樹脂を用いた、或いは発泡性樹脂を用いた成形品が得られる。尚中空成形と圧空成形とを併用しても構わない。この場合に中空成形を形成させる加圧流体の圧力(本発明では「H圧力」と言う。)と、圧空成形を実施する加圧流体の圧力(本発明では「P圧力」と言う。)とがP圧力>H圧力の場合と、P圧力=H圧力の場合と、P圧力<H圧力の場合とがあり、其々の場合で中空部形成の大きさが変わる。この中空成形と圧空成形とを併用すると中空成形だけでは難しかったPPの中空成形品での中空部の大きさの制御(コントロール)が可能となる。
【0072】
(圧空成形の金型構造)
図26に圧空成形に用いる金型構造を示した。符番125は加圧流体加圧ピン(
図32)でエジェクターピン(
図30)とエジェクタースリーブ(
図31)の追加工で作られる。加圧流体加圧ピンは使用する圧力が高いので、エジェクターの間に設け、加圧流体を入れるとエジェクターの強度、エジェクタープレートを組み上げているボルトの強度が持たない事が想定されるので、発明者は符番80の可動側取付板に符番133に板を設け、成形機のダイプレート(図示せず。)とスペーサーブロック105とで押さえ込んで十分な強度で固定、加圧流体の圧力を受圧しても耐えられる構造にした。符番127は荷重式Oリングで符番125と符番127との隙間をシールしている。符番128は符番127を設置(固定)する為のシールプレートで必要に応じて符番87と符番101の間に符番102のOリングを設ける。符番129エジェクタープレート(上)と符番130エジェクタープレート(下)に符番126(これもエジェクタースリーブの追加工品である。)を収める。符番129と符番130とからなるエジェクタープレート(C)は、符番130の矢印で示す様にエジェクターロットによって動く。樹脂の充填前にエジェクタープレート(C)は前進した状態で、符番55,56内に樹脂が充填され充填完了後直ぐに、或いは少し遅延をしてエジェクタープレート(C)を後退させると、符番126も後退し、符番135に小さな空間が作られる。この空間に符番132から加圧流体を入れ、加圧流体は符番125の外筒と芯体(内芯)との隙間を通り符番135達し、樹脂と金型との隙間に入り込み樹脂を加圧流体の圧力で加圧する。エジェクタープレート(C)を後退させるのは上述した様に空間を作り圧力を分散させ樹脂の中に張り込んで中空とならない工夫である。圧空成形で中空とならなければこの機構設けなくても良い。図示していないが、符番135の先端部に、必要に応じてはその周りにも、更に圧空を行う面にシボ加工を施す事で、中空とならずに樹脂と金型との隙間に入り込んでシボによって楔効果を発揮させる工夫もされている。
圧空成形に用いる加圧流体の装置は中空成形の物を流用可能(元々同じ装置で中空成形と、圧空宇成形とが実施出来る。この装置を金型ではなく加熱筒の圧縮ゾーンに加圧(圧力は加熱筒内の溶融樹脂の圧力より高くして、)した窒素ガス、炭酸ガスを入れればミューセル、アモッテックの実施も容易、この場合のプログラムも成形機のPLCに書き込んでおけば良い。)である。
【0073】
(モールド・バック、コア・バック、アウターGCP、インナーGCP)
本発明では
図26のシール金型を用い予め金型内を与圧するGCPを正確にはアウターGCPと称し、発泡性樹脂を用いた中空成形をインナー・GCPと称する。インナーGCPを用いると、コア・バック(モールド・バックではバリの問題、中に入れた加圧流体の外部への漏れ出しも問題などで実施は難しい。)を行う事で成形空間の拡張を大きく出来て、モールド・バックより更に発泡倍率の高い発泡成形品が得られる。
インナーGCPを用いてのモールド・バック、コア・バックを行う場合は前記溶融樹脂の中に加圧流体の注入開始と同時に、或いは注入が開始され時間経過した後、或いは注入弁が閉じられ、中空成形(この場合はインナーGCPの事)のプログラムが保持時間となった時、或いは保持時間の途中、或いは保持時間が完了し排気弁が開き排気が開始された時の何れかのタイミングでモールド・バック、コア・バックを開始する。
【0074】
(GCP)
前記中空成形とモールド・バック、コア・バックとにGCPのプログラムを行う事で表面にスワール・マークがない表面が平滑で綺麗な発泡倍率の大きな発泡成形品が作れる。GCPは金型が閉じられた事をGCP装置に指令を発し金型(
図25などで示したシール金型で成形空間を含む金型全体を、)内を与圧する。与圧された状態で、発泡性を付与した発泡性樹脂を成形空間内へ充填させる。充填の途中、或いは充填完了直後、充填完了後にGCP装置の圧気弁を閉じ、排気弁を開けて金型内の圧気を排気する。
【0075】
前記中空成形と、圧空成形と、モールド・バック、コア・バックとGCPとの装置を動かす成形のプログラムは別にコントローラー(PLCが組み込まれている。)を設けて、成形機からコントローラーに指令をする信号を取り出しコントローラーに指令する。又コントローラーから成形機への信号を出力するなど互いの交換(互いの信号で動作する事の意味。)するのが一般的であるが、元々成形機はPLC(シーケンサー)を持っているのでそのPLCの中でこれ等中空成形と、圧空成形と、GCPと、モールド・バックと、コア・バック及び液体の発泡剤を用いる場合は液体の注入装置へ計量開始の信号を送り加熱筒内への注入の開始、注入時間のタイムアップによる液体注入の中止、或いは計量完了による液体注入の中止、予め計量中に液体注入の位置を設定、その位置をスクリューが通過すれば液体注入の開始、予め設定した液体注入停止の位置をスクリューが通過すれば液体の注入を停止するなどのプログラムを書き込んでおけば厄介な信号の取り出し、外部のコントローラーなどと行う必要はない。
ホッパー内窒素封止(ホッパー内へ窒素ガスを入れ変色、焼けなどを防止する手段。)でも計量開始でホッパー内へ窒素ガスの注入を開始、計量停止で窒素ガスを停止するなどのプログラムを書き込んでも良い。成形機の画面上のスイッチの切り替えでホッパー内へ連続をして窒素ガスを入れても良い。計量開始で窒素封止開始、計量完了で窒素ガス封止などと計量と関係させて断続的な注入を行う事もある。
【0076】
本発明で説明した加圧されたガス、加圧された液体に例示される加圧流体を用いた成形法は、GCP装置、中空成形装置、圧空成形装置、液体の注入機などを制御する場合、成形機の制御パネル内のPLC(シーケンサー)に其々のプログラムを書き込み其々の装置を動かす場合と、これ等の装置を動かす目的で別に外部に設置したコントローラーの中のPLCにプログラムを書き込み成形機のの間で信号の交換を行い、これ等装置を動かす場合とがある。以下其々の場合を詳細に説明する。
【0077】
(気体、液体の注入)
(成形機のPLCに書き込む場合)
気体、又は/及び液体を加熱筒内に注入して可塑化の段階の溶融樹脂に発泡性を付与させる為に成形機のソフトを説明する。初めに成形機のPLCのソフトに書き込むプログラムは、計量が開始され、0秒から一定に時間を経過した段階(遅延時間は任意に設定可能とする。)で外部に設けらえた液体、又は/及び気体の注入装置(
図35)の弁(附番161)を開け成形機加熱筒内の圧縮ゾーンの例えば初めの場所に注入される。液体は加熱筒の温度、溶融樹脂の温度で気化し、計量中の背圧、加熱筒内の溶融樹脂に掛かる圧力で加熱筒内の溶融された溶融樹脂内に加圧溶解、微分散される。気体(窒素ガス、炭酸ガスなど)はそのままで溶融樹脂内に加圧溶解、微分散される。
【0078】
注入の停止は、予め設定した任意に位置をスクリューが通過した事で注入を停止する。或いは予め注入を開始するスタートの時間を定め、注入を開始をゼロスタートとして、タイムアップ(終了)すれば注入を停止する。
注入の量は一定でも良いが、スクリューの回転数が変化すれば、当然可塑化される樹脂の量が変わるので、必要に応じて注入量(プランジャーポンプの吐出量)はスクリューの回転数と同期させる場合もある。
【0079】
(外部のコントローラーの場合)
成形機のPLCに気体、又は/及び液体を注入するプログラムを書き込まず、外部コントローラーを用いて実施する場合成形機とコントローラーとの信号を交換する。成形機は計量を開始した事を外部のコントローラーに信号を送信する。信号を受けたコントローラーは予め0秒から一定の遅延時間を任意に設定し、タイムアップのよって気体、又は/及び液体を加熱筒内へ注入を開始しする。停止は成形機で任意に設定された停止位置をスクリューが通過した時点で、コントローラーへ信号を出力、その信号を受けてコントローラーは気体、又は/及び液体注入を停止する。この停止信号でプログラムはリセットされる。
【0080】
時間制御による注入の制御は注入開始の信号を受けたコントローラーは任意に設定可能なタイマーを持ち、任意の注入時間を設定し、注入時間のタイムアップ後に注入を停止する。
スクリューの回転数との同期はスクリューの回転数を連続信号としてコントローラーに出力し、その信号を受けてコントローラーは気体、又は/及び液体の注入装置を制御し注入量を変化させる。
【0081】
注入量の制御は液体の場合は、非圧縮性の物質(圧力による体積の変化量は少ない。)プランジャーポンプのピストンを押す速度、例えばサーボモーターの回転数などを変化させれば容易に可能、気体の場合は圧縮性物質(圧力による体積の変化量は大きい。)なので自動開閉可能なニードル弁などを用いて注入量を制御する。注入機を複数使用する場合もあり成形機からの信号の出力と入力とを受ける事が出来る様に、コントローラーは注入機の台数分プログラムを設置する。
【0082】
(GCPでの圧気)
(成形機のPLCに書き込む場合)
図34はGCP措置の概要を示す模式図である。附番151が圧気弁、付番154が排気弁である。成形機にGCPのプログラムを書きこむ場合は型閉め完了信号を受けて0秒から任意に設定した時間経過後に附番151を開けシール金型内を大気圧以上の圧力でに圧気(与圧)する。金型内を圧気する時間は任意に設定したタイマーを用い、タイムアップ後に成形機は成形空間内に発泡性樹脂、又は非発泡性樹脂の充填を開始する。金型内の圧気の圧力を測定し、予め設定した圧力に達すれば充填を開始する場合もある。
【0083】
(GCPでの圧気)
(外部のコントローラーの場合)
成形機のPLCにはGCPのプログラムを書き込まず、外部コントローラーを用いて
図34に示すGCP装置を制御する場合、成形機は型閉め完了信号を外部コントローラーに出力する。この信号を受けてコントローラーは、GCP装置に附番151を開け金型内を圧気させる。コントローラーに予め定めた金型内の圧気時間のタイムアップ後にコントローラーは成形機へ射出開始の信号を出力し、この信号を受けて成形機は成形空間内に溶融樹脂の充填を開始する。又は金型に設けた圧気の圧力を監視する圧力センサーが、予め設定した圧力に達した事をコントローラーが確認させればコントローラーは成形機に射出開始の信号を出力、その信号を受けて成形機は充填を開始する場合もある。
【0084】
(GCPでの排気)
(成形機のPLCに書き込む場合)
金型内の圧気は充填の途中(スクリューの任意位置で、)、又は充填完了後、充填完了後に一定時間経過した後に排気する其々の場合がある。成形機の場合はPLCにスクリュー位置、又は0秒から任意に設定した時間経過後に排気弁154を開け金型内の圧気を排気する。
【0085】
(GCPでの排気)
(外部のコントローラーの場合)
成形機内のPLCではなく、別に外部コントローラーで排気する場合、成形機からはコントローラーに排気信号を出力する。充填途中の排気は任意に設定した位置をスクリューが通過した時にコントローラーに排気の信号を出力、射出完了後の排気の場合は射出完了(一時圧完了、又は二次圧完了)信号を出力する。この信号を受けてコントローラーは内部のタイマーが起動させ、0秒から任意に設定した時間経過後に排気弁154を開け排気する。
【0086】
{モールド・バック、コア・バック(金型後退)}
(成形機のPLCに書き込む場合)
圧気の排気開始、排気途中、排気完了後0秒から任意に設定した時間経過後の何れかで金型(主には可動側の金型)を任意に設定した距離だけ後退させ発泡倍率を高める。成形機のPLCを用いる場合は、選択した排気開始、排気途中、排気完了後0秒から任意に設定した時間経過後の何れかで実施する。圧力で動作を行う場合は、金型の設けた圧力計が予め設定した圧力(設定した排気圧に、)に達した時に金型後退を開始する。
【0087】
{モールド・バック、コア・バック(金型後退)}
(外部のコントローラーを用いた場合)
外部のコントローラーを用いた場合は、排気開始させれば直ぐに成形機へ金型後退の信号を出力、金型後退させる(排気開始と同時に金型後退)。又は排気開始からタイマーがスタートし、タイマーがタイムアップすれば成形機へ金型後退の信号を出力、金型後退させる(排気途中の金型後退)。コントローラーの排気開始からタイマーがスタートし、排気が十分完了すれば成形機へ金型後退の信号を出力、金型後退させる(排気完了後の金型後退)場合がある。コントローラーにタイマーを持たせずに成形機PLCにタイマーを持たせる事も想定出来る。この場合は排気タイマーの開始の信号を出力する。圧力をモニターして金型後退させるには設定した圧力まで圧気が下がった時に成形機へ金型後退の信号を成形機に出力、その信号を受けて0秒から任意に設定した時間経過後に金型後退させる。
【0088】
前記GCP装置を制御するプログラムは1台の場合を例示したが、複数台(L1、L2、L3=L1=可動側の入子の下の空間、又はエジェクター・ボックスなどの空間、L2=成形空間、L3=固定側の入子の下の空間)用いる場合はその台数分だけ成形機のPLCの場合も、コントローラーの場合も金型内の圧気と排気とのプログラムを準備する。1台のGCP装置でL1、L2、L3を排気する場合もある。圧力計を用いて圧気、排気を行う場合は主に成形空間の圧力とするがそれ以外でも構わない。尚金型後退は成形空間の体積を増し、発泡倍率を上げる手段である。
【0089】
(中空成形での加圧流体注入と、保持と、排気)
(成形機のPLCに書き込む場合)
中空成形(インナーGCPも含む。)は
図35に示す図の装置を用いて成形空間へ発泡性樹脂、又は非発泡性の樹脂の充填途中、又は充填完了後に、例えば附番120の加圧流体注入ピンを用いて成形空間内の溶融樹脂の中に大気圧以上の圧力のガス(使用する例えば空気、窒素ガス、炭酸ガスなど)を入れて内部を中空とする成形法、高圧の加圧された液体(加温水など)を入れて内部を中空とする成形法である。成形機のPLCに書き込む中空成形のプログラムは予め任意に設定した位置をスクリューが通過した時に附番161加圧流体注入弁を開け加圧流体注入する場合(充填途中の加圧流体注入、充填中の加圧流体注入)と、充填完了直ぐに、又は0秒から任意に設定した時間経過後に加圧流体注入する場合(充填完了後の加圧流体注入)とがある。注入の圧力は附番165のレギュレーターを用いて設定する。注入は任意に時間設定(「注入時間」と言う。)をする。注入時間完了後注入弁161は閉じ、金型内へ加圧流体を閉じ込める時間(「保持時間」と言う。)を任意に設定する。保持時間完了後に排気弁163を開け中空内の加圧流体を大気中に排気する。中空成形で加圧流体の圧力を変動させる事は少ないが、例えば初めに高圧で注入し、一旦注入の加圧流体の圧力を下げ、再び上げるなど注入する加圧流体圧力のプロファイルを描かせる場合は注入する加圧流体の圧力を測定し、その圧力を成形機のPLCにフィードバックして、付番165を自動圧力調整が可能なニードル式のレギュレーター(圧力調整弁)を用い注入圧力のコントロールをする。
【0090】
附番120の後退は、大気放出の開始(タイマーのカウントがスタート)の時点、又はカウント開始から一定時間(この時間も任意に時間設定可能)経過した後、成形機は付番117、付番118から成るエジェクタープレート(B)を後退させると、付番120も後退するので、中空部内の加圧流体は完全に排気され、残圧は残らず、金型を開けても膨れ、バーストの問題は解決する。尚次の樹脂の充填の前には必ず附番120は前進端にする必要がある。
【0091】
(中空成形での加圧流体注入と、保持と、排気)
(外部のコントローラーの場合)
外部コントローラーを用い、
図35装置を運転する場合は、この装置を制御するコントローラーを別に設け、成形機からは信号の出力、入力を行い、コントローラーとインタフェースを取って
図35の装置を動作させ中空成形をする。
加圧流体注入のタイミングは樹脂の充填の途中と、充填完了後であり、充填途中の場合は予め任意に定めた位置をスクリューが通過した時点で、成形機はコントローラーに加圧流体注入の指令の信号を出力する。コントローラーはこの信号を受けて附番161の注入弁を開け、溶融樹脂内に加圧流体の注入を開始する。加圧流体注入の時間はコントローラー内に設けたタイマーで設定され、タイムアップ後に附番161の弁は閉じられ、中空内へ加圧流体を閉じ込める。これを発明者は「保持時間」と称する。保持時間の長さは任意に設定可能なコントローラー内のPLCに設けれれたタイマーによって設定される。保持タイマーのタイムアップ後に附番163の弁を開け中空内部の加圧流体を大気中に排気する。排気する時間(「解放時間」、「排気時間」などと言う。)は前記PLC内にタイマーを設け、任意に時間設定を可能とした。大気放出の開始(タイマーのカウントがスタート)の時点、又はカウント開始から一定時間(この時間も任意に時間設定可能)経過した後、又は大気放出のタイマーのカウントが終了した時点で成形機にエジェクタープレート後退信号を送信し、その信号を受け成形機は付番117、付番118から成るエジェクタープレート(B)を後退させると、付番120も後退するので、中空部内の加圧流体は完全に排気され、残圧は残らず、金型を開けても膨れ、バーストの問題は解決する。尚次の樹脂の充填の前には必ず附番120は前進端にする必要がある。
【0092】
(圧空成形)
(成形機のPLCに書き込む場合)
中空成形は加圧流体を成形空間内に充填された樹脂の中に注入する。圧空成形は成形空間内に充填された溶融樹脂と金型との隙間に入れ込み加圧流体の圧力(力)で反対面への転写性向上を図る。
使用する装置は
図35を使用し、金型は
図26を使用する。加圧流体を噴出させる時期は中空成形と同様に充填の途中、充填完了後、充填完了後少し時間経過後の何れ{
図35の装置を複数用いる場合は台数分のプログラムを準備し其々最良の加圧の時期(タイミング)を設定する。}かであり、その後の保持時間、排気時間の設定は中空成形と略同じプログラムである。
【0093】
圧空成形は金型温度を高くすると冷却・固化の速度が遅くなるので加圧流体による転写効果は高くなるが、この場合に加圧流体が樹脂と金型との隙間に入らず内に入ってしまい中空成形となる事を避ける目的で、樹脂の充填の途中、充填完了後の加圧流体噴出前に附番126を後退(附番129と付番130からなるエジェクタープレート(C)を後退させる。)させ、加圧流体噴出の部分に小空間を作り、その中に加圧流体を噴出させる場合がある。附番126後退の時期は成形空間内に溶融樹脂が充填され、0秒から一定に時間を経過した段階(時間は任意に設定可能とする。)とする。この動作は成形機内のPLCに書き込まれたプログラムによって動作する。
【0094】
(圧空成形)
(外部のコントローラーの場合)
圧空成形を成形機のPLCにプログラムを書き込まず外部コントローラーを使用する場合は、前記中空成形の場合と略同様である。附番126の後退は、成形機からコントローラーへ後退の信号を発し、コントローラー内のタイマーが起動0秒から一定に時間を経過した後に後退させる。前記タイマーがタイムアップした後に附番161を開き圧空成形を開始する。圧空の時間を経過した後弁161は閉じ、一旦加圧流体を閉じ込め保持して、保持タイマーが完了すれば排気タイマーカウント開始と共に附番163の排気弁を開け加圧流体を大気中に放出する。加圧流体放出が完了(大気放出のタイムアップ完了)すればコントローラーは成形機に対して金型開の許可信号を送り、成形機はこの信号を受け、冷却時間が完了などの諸条件が整えば金型を開き成形品を取りだす。成形機は金型開の信号などをコントローラーに送りコントローラーのプログラムをリセットさせる。尚次の樹脂の充填の前には必ず附番126が前進端にする必要がある。
【0095】
(手動)
液体の注入、停止、151の弁の開、154の弁の開、161の弁の開、163の弁開など一連の動作は手動で行う必要があるので、成形機のPLCに、及び外部のコントローラーを使用する場合には外部コントローラーに手動のスイッチを設ける。
外部のコントローラーを設ける場合、成形機のPLCと外部コントローラーのPLCとで信号の交換を行う必要があり、互いのプログラムが複雑になる。成形機のPLCのこれ等気体、液体の注入、GCP、中空成形、圧空成形などのプログラムを書き込んだ方が簡単に済み経済的である。更にこれ等のプログラムを複合動作として実施する場合は信号の交換が複雑なので、外部コントローラーを用いるより、成形機のPLCを用いる事を推奨する。
【0096】
以下には比較例、実施例と実施形態を用いて説明をする。
【比較例1】
【0097】
直鎖状芳香族PC系樹脂{帝人化成(株)製、パンライト−L1225WP}、色はナチュラルカラー(透明)を予め80℃で2時間の脱湿関乾燥を行ったペレットに、無機系の化学発泡剤の重曹{(炭酸水素ナトリウム、重炭酸曹達、NaHCO
3)原末なので性状は白色の粉末}を0.7wt.%混ぜ合わせ、
図1、
図2に示す製品形状(天肉の板厚は2mm)金型を、東洋機械金属(株)製の180トンの射出成形機で、GCPなしの発泡成形を行った。成形時の金型の表面温度は固定(キャビ)側、可動(コア)側ともに約45℃、溶融樹脂温度は260℃である。保圧を用いずに射出成形機にスクリューは前進端の打ち切り、ややショート・モールド気味{形状の欠け(ショート・モールド、ショート・ショット)などはなし。}で射出成形加工して、発泡剤に重曹を用いた発泡成形品を得た。
得られた発泡成形品の表面はGCPを実施していないのでスワール・マークが発生している。強度を確認する目的で、成形品を床に置き、上からゆっくりと体重が75kgの者が全体重を掛けて荷重した結果、本来のPCの強度は全くなく、海老煎餅の様に脆い事が確認され、重曹を発泡剤に用いたPCの発泡成形品は通常の使用に耐えない。PCの発泡成形には、発泡剤の重曹は不向きである。
【比較例2】
【0098】
比較例2は前記比較例1に於いて用いた発泡剤の重曹を、有機系化学発泡剤のADCA(原末なので性状は黄色の粉末)に変更した。添加量は重曹の0.7wt.%の半分の0.35wt.%とした。その他使用した金型、射出成形機、成形条件は同じである。得られた成形品を比較例1と同様に荷重して強度を確認したが、比較例1と同様に強度はなく、ADCAを発泡剤に用いたPC成形品は通常のPC成形品の様な使用に耐えない。PCの発泡成形には、発泡剤のADCAは不向きである。
【比較例3】
【0099】
文献PCT/JP2015/062611の
図1記載の液体の注入装置、加熱筒に設けた注入口(PCT/JP2015/062611の
図4、
図5に記載)を用い、加熱筒内のスクリューの圧縮ゾーンの初めに、成形品重量(1回の計量値)に対して1.5wt.%のエタノール(化学式はC
2H
5OH)を計量開始から計量の終了までの間に一定量を連続的に注入をして、可塑化された溶融樹脂にエタノールを用いて発泡性を付与(加熱筒内で気化させエタノール蒸気を計量中の溶融混錬をした溶融樹脂中に加圧溶解、及び又は微分散をさせた。)し、前記比較例1、比較例2と同様にして発泡成形品を得た。比較例1と同様に荷重を掛け強度を確認したが、前記比較例1、比較例2と同様に強度はなく、エタノールを発泡剤に用いたPCの発泡成形品は使用に耐えない。PCの発泡成形には、発泡剤のエタノールは不向きである。エタノールの代(替、か)わりにイソプロパノール(C
3H
7OH)でも同様でPCの発泡成形品の生産にはアルコールは使用には不向きである。
【0100】
前記エタノール、イソプロパノールを用いたABSの発泡成形品、m-PPO(PS、又はHIPS変性の物、PA変性の物、PP変性の物)、PPの発泡成形品、6ナイロンの発泡成形品では前記PCの様に物性低下は殆ど見られない。加熱筒内で超臨界状態となった、エタノール、イソプロパノールの蒸気がアタックして、結果PCの分子構造が変わり物性低下が生じたと推測した。同様な理由でPET、PBTを用いたエタノール、イソプロパノールの発泡成形でも物性低下は著しい。
【比較例4】
【0101】
前記比較例1、比較例2、比較例3はGCPを掛けていないので、何れの発泡成形品の表面はスワール・マークが発生している。文献PCT/JP2015/062611の
図20、乃至
図22のノズルと、
図23、
図25記載のGCP用にシールがなされたシール金型、
図24記載のGCP装置を用いGCPを掛けた(使用した気体はレシプロタイプのコンプレッサーで圧縮した1.4MPaのエアーである。本発明では
図20、
図21に示すシ-ル金型と、
図15のGCP装置。)発泡成形を行い、表面のスワール・マークのない綺麗なスキン層を、内部は微細な発泡セル(発泡層)を持つ発泡成形品を得たが、比較例1、比較例2、比較例3と同様に強度を確認をした結果、比較例1,比較例2、比較例3同様に強度低下は著しい。
【実施例0102】
前記比較例1、乃至比較例4からPC系樹脂の発泡剤を模索する中、未乾燥のPC〔直鎖状芳香族PC系樹脂{帝人化成(株)製、パンライト−L1225WP}〕樹脂ペレット(吸水率は0.1wt.%程度)を比較例1で発泡剤の重曹を使用せずそのままで成形加工を行った結果、樹脂中の水分(元々吸湿していた水分)の起因した数個のボイドが、スプール・ランナーと、成形品に発生した。然しこの未乾燥のPCを用いた成形品は強度低下は起きていなかった。この事から発明者はPCの発泡成形には、水が使用出来るのではないかとの仮説を立て、予備実験の結果から水の可能性・有効性を見出し、鋭意研究を行い、PC系樹脂、広くはエステル系の樹脂の発泡成形には水が有効との事象を確認、本発明の完成に至った。
【0103】
比較例3に於いてエタノールの代わりに0.5wt.%の水(蒸留水、イオン交換水、水道水、市水)を用い発泡成形を行った結果、
図3に示す様に発泡セルは数mm(ミリメートル)と大きいが水を発泡剤として用いた場合は、エタノールの様には物性低下はなく、荷重しても割れはなく、PCの発泡成形品としての物性は十分に維持し、PC成形品として十分に使用可能な発泡成形品を得るには水は有効な発泡剤である。