(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113198
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】信号発生装置、レベル補正値算出システム、レベル補正値算出方法
(51)【国際特許分類】
H04B 17/13 20150101AFI20230808BHJP
H03G 3/30 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
H04B17/13
H03G3/30 E
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015374
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 浩史
(72)【発明者】
【氏名】山下 紘司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 伸一
【テーマコード(参考)】
5J100
【Fターム(参考)】
5J100JA01
5J100LA11
5J100QA02
5J100SA01
(57)【要約】
【課題】信号発生部から測定部までの経路上にある半導体部品の非線形性の影響を抑えて、精度良く可変減衰器の補正値を求めることができる信号発生装置を提供すること。
【解決手段】所定のデジタル信号を発生させる信号発生部2と、信号発生部2で発生されたデジタル信号を所定の無線周波数のアナログ信号に変換するDAコンバータ3と、DAコンバータ3で変換されたアナログ信号を減衰させる可変減衰器40、42、44、46と、可変減衰器40、42、44、46で減衰され、1つ以上の半導体部品を通過した信号のレベルを検出する測定部6と、可変減衰器40、42、44、46の減衰量の最大値を所定の減衰量である変動量で分割した複数のステップそれぞれでの可変減衰器40、42、44、46の減衰量の補正値であるステップエラー値を求める制御部7と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のデジタル信号を発生させる信号発生部(2)と、
前記信号発生部で発生されたデジタル信号を所定の無線周波数のアナログ信号に変換するDAコンバータ(3)と、
前記DAコンバータで変換されたアナログ信号を減衰させる可変減衰器(40、42、44、46)と、
前記可変減衰器で減衰され、1つ以上の半導体部品を通過した信号のレベルを検出する測定部(6)と、
前記可変減衰器の減衰量の最大値を所定の減衰量である変動量で分割した複数のステップそれぞれでの前記可変減衰器の減衰量の補正値であるステップエラー値を求める制御部(7)と、を備え、
前記制御部は、前記信号発生部のゲインをゼロとし、前記可変減衰器での減衰量をゼロとしたときの前記測定部での測定値を減衰量ゼロでのステップエラー値とし、前記信号発生部のゲインをマイナスの前記変動量とし、前記可変減衰器での減衰量を前の測定時の減衰量としたときの前記測定部での測定値を基準値とし、前記信号発生部のゲインをゼロとし、前記可変減衰器での減衰量を前の測定時の減衰量に前記変動量を加えた減衰量としたときの前記測定部での測定値を、前記基準値から減算した値を誤差値とし、前記誤差値と、前のステップのステップエラー値と、を加算した値を次のステップのステップエラー値とし、これを繰り返して前記可変減衰器の補正値を算出する信号発生装置。
【請求項2】
所定のデジタル信号を発生させる信号発生部(2)と、
前記信号発生部で発生されたデジタル信号を所定の無線周波数のアナログ信号に変換するDAコンバータ(3)と、
前記DAコンバータで変換されたアナログ信号を減衰させる可変減衰器(40、42、44、46)と、
前記可変減衰器の減衰量の最大値を所定の減衰量である変動量で分割した複数のステップそれぞれでの前記可変減衰器の減衰量の補正値であるステップエラー値を求める制御部(7)と、を備える信号発生装置(1)と、前記信号発生装置の出力する信号のレベルを検出して前記制御部に送信する測定装置と、を備えるレベル補正値算出システムであって、
前記制御部は、前記信号発生部のゲインをゼロとし、前記可変減衰器での減衰量をゼロとしたときの前記測定装置での測定値を減衰量ゼロでのステップエラー値とし、前記信号発生部のゲインをマイナスの前記変動量とし、前記可変減衰器での減衰量を前の測定時の減衰量としたときの前記測定装置での測定値を基準値とし、前記信号発生部のゲインをゼロとし、前記可変減衰器での減衰量を前の測定時の減衰量に前記変動量を加えた減衰量としたときの前記測定装置での測定値を、前記基準値から減算した値を誤差値とし、前記誤差値と、前のステップのステップエラー値と、を加算した値を次のステップのステップエラー値とし、これを繰り返して前記可変減衰器の補正値を算出するレベル補正値算出システム。
【請求項3】
所定のデジタル信号を発生させる信号発生部(2)と、前記信号発生部で発生されたデジタル信号を所定の無線周波数のアナログ信号に変換するDAコンバータ(3)と、前記DAコンバータで変換されたアナログ信号を減衰させる可変減衰器(40、42、44、46)と、前記可変減衰器で減衰され、1つ以上の半導体部品を通過した信号のレベルを検出する測定部(6)と、前記可変減衰器の減衰量の最大値を所定の減衰量である変動量で分割した複数のステップそれぞれでの前記可変減衰器の減衰量の補正値であるステップエラー値を求める制御部(7)と、を備える信号発生装置(1)のレベル補正値算出方法であって、
前記信号発生部のゲインをゼロとし、前記可変減衰器での減衰量をゼロとしたときの前記測定部での測定値を減衰量ゼロでのステップエラー値とするステップと、
前記信号発生部のゲインをマイナスの前記変動量とし、前記可変減衰器での減衰量を前の測定時の減衰量としたときの前記測定部での測定値を基準値とするステップと、
前記信号発生部のゲインをゼロとし、前記可変減衰器での減衰量を前の測定時の減衰量に前記変動量を加えた減衰量としたときの前記測定部での測定値を、前記基準値から減算した値を誤差値とするステップと、
前記誤差値と、前のステップのステップエラー値と、を加算した値を次のステップのステップエラー値とするステップと、
これらのステップを繰り返して前記可変減衰器の補正値を算出するレベル補正値算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の周波数帯のアナログ信号を生成する信号発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所望の周波数帯のアナログ信号を生成する信号発生装置として、例えば、信号発生器で発生されたデジタル信号を、DAコンバータでアナログ信号に変換し、所望の周波数帯のアナログ信号を生成する信号発生装置が知られている。
【0003】
このような信号発生装置は、例えば、移動体通信端末の試験を行なう移動端末試験装置などに組み込まれ、試験用の信号を生成し、出力するようになっている。
【0004】
特許文献1には、ベースバンド信号発生部の出力信号に従ってローカル信号を変調する直交変調手段と、直交変調手段からの信号のレベルをステップで減衰させる可変ATTとを備え、直交変調手段から可変ATTの入力までの周波数応答特性を補正するための第1の補正値と、可変ATTの各ステップでの減衰量エラーを補正するための第2の補正値を記憶しておき、変調信号出力時にその周波数に対応した第1の補正値及び第2の補正値を基にベースバンド信号発生部に対して出力信号の大きさを可変させることにより補正する信号発生装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、可変減衰器の各ステップでの減衰量の補正値を求める場合、信号発生部のゲインと可変減衰器の減衰量を変えて測定を行なうが、信号発生部のゲインを大きく変えると、信号発生部から測定部までの経路上にある半導体部品の非線形性が影響して、精度良く補正値を求めることができない。
【0007】
そこで、本発明は、信号発生部から測定部までの経路上にある半導体部品の非線形性の影響を抑えて、精度良く可変減衰器の補正値を求めることができる信号発生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の信号発生装置は、所定のデジタル信号を発生させる信号発生部と、前記信号発生部で発生されたデジタル信号を所定の無線周波数のアナログ信号に変換するDAコンバータと、前記DAコンバータで変換されたアナログ信号を減衰させる可変減衰器と、前記可変減衰器で減衰され、1つ以上の半導体部品を通過した信号のレベルを検出する測定部と、前記可変減衰器の減衰量の最大値を所定の減衰量である変動量で分割した複数のステップそれぞれでの前記可変減衰器の減衰量の補正値であるステップエラー値を求める制御部と、を備え、前記制御部は、前記信号発生部のゲインをゼロとし、前記可変減衰器での減衰量をゼロとしたときの前記測定部での測定値を減衰量ゼロでのステップエラー値とし、前記信号発生部のゲインをマイナスの前記変動量とし、前記可変減衰器での減衰量を前の測定時の減衰量としたときの前記測定部での測定値を基準値とし、前記信号発生部のゲインをゼロとし、前記可変減衰器での減衰量を前の測定時の減衰量に前記変動量を加えた減衰量としたときの前記測定部での測定値を、前記基準値から減算した値を誤差値とし、前記誤差値と、前のステップのステップエラー値と、を加算した値を次のステップのステップエラー値とし、これを繰り返して前記可変減衰器の補正値を算出するものである。
【0009】
この構成により、可変減衰器の補正値が所定の変動量ごとに算出され、信号発生部から測定部までの経路上にある半導体部品の非線形性の影響を抑えて、精度良く可変減衰器の補正値を求めることができる。
【0010】
また、本発明のレベル補正値算出システムは、所定のデジタル信号を発生させる信号発生部と、前記信号発生部で発生されたデジタル信号を所定の無線周波数のアナログ信号に変換するDAコンバータと、前記DAコンバータで変換されたアナログ信号を減衰させる可変減衰器と、前記可変減衰器の減衰量の最大値を所定の減衰量である変動量で分割した複数のステップそれぞれでの前記可変減衰器の減衰量の補正値であるステップエラー値を求める制御部と、を備える信号発生装置と、前記信号発生装置の出力する信号のレベルを検出して前記制御部に送信する測定装置と、を備えるレベル補正値算出システムであって、前記制御部は、前記信号発生部のゲインをゼロとし、前記可変減衰器での減衰量をゼロとしたときの前記測定装置での測定値を減衰量ゼロでのステップエラー値とし、前記信号発生部のゲインをマイナスの前記変動量とし、前記可変減衰器での減衰量を前の測定時の減衰量としたときの前記測定装置での測定値を基準値とし、前記信号発生部のゲインをゼロとし、前記可変減衰器での減衰量を前の測定時の減衰量に前記変動量を加えた減衰量としたときの前記測定装置での測定値を、前記基準値から減算した値を誤差値とし、前記誤差値と、前のステップのステップエラー値と、を加算した値を次のステップのステップエラー値とし、これを繰り返して前記可変減衰器の補正値を算出するものである。
【0011】
この構成により、可変減衰器の補正値が所定の変動量ごとに算出され、信号発生部から測定装置までの経路上にある半導体部品の非線形性の影響を抑えて、精度良く可変減衰器の補正値を求めることができる。
【0012】
また、本発明のレベル補正値算出方法は、所定のデジタル信号を発生させる信号発生部と、前記信号発生部で発生されたデジタル信号を所定の無線周波数のアナログ信号に変換するDAコンバータと、前記DAコンバータで変換されたアナログ信号を減衰させる可変減衰器と、前記可変減衰器で減衰され、1つ以上の半導体部品を通過した信号のレベルを検出する測定部と、前記可変減衰器の減衰量の最大値を所定の減衰量である変動量で分割した複数のステップそれぞれでの前記可変減衰器の減衰量の補正値であるステップエラー値を求める制御部と、を備える信号発生装置のレベル補正値算出方法であって、前記信号発生部のゲインをゼロとし、前記可変減衰器での減衰量をゼロとしたときの前記測定部での測定値を減衰量ゼロでのステップエラー値とするステップと、前記信号発生部のゲインをマイナスの前記変動量とし、前記可変減衰器での減衰量を前の測定時の減衰量としたときの前記測定部での測定値を基準値とするステップと、前記信号発生部のゲインをゼロとし、前記可変減衰器での減衰量を前の測定時の減衰量に前記変動量を加えた減衰量としたときの前記測定部での測定値を、前記基準値から減算した値を誤差値とするステップと、前記誤差値と、前のステップのステップエラー値と、を加算した値を次のステップのステップエラー値とするステップと、これらのステップを繰り返して前記可変減衰器の補正値を算出するものである。
【0013】
この構成により、可変減衰器の補正値が所定の変動量ごとに算出され、信号発生部から測定装置までの経路上にある半導体部品の非線形性の影響を抑えて、精度良く可変減衰器の補正値を求めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、信号発生部から測定部までの経路上にある半導体部品の非線形性の影響を抑えて、精度良く可変減衰器の補正値を求めることができる信号発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る信号発生装置のブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る信号発生装置のステップエラー値の算出方法を説明するための図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る信号発生装置のステップエラー算出処理の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る信号発生装置について詳細に説明する。
【0017】
図1において、本発明の一実施形態に係る信号発生装置1は、信号発生部2と、DAコンバータ(DAC:Digital to Analog Converter)3と、RFモジュール4と、ADコンバータ(ADC:Analog to Digital Converter)5と、測定部6と、制御部7とを含んで構成される。
【0018】
信号発生部2は、所定のデジタル信号を発生させて出力する。信号発生部2は、出力するデジタル信号のデジタルゲインを調整することができる。信号発生部2の出力するデジタル信号のデジタルゲインは、制御部7の制御により調整される。
【0019】
DAコンバータ3は、信号発生部2で発生されたデジタル信号を所定の無線周波数(Radio Frequency)のアナログ信号に変換する。
【0020】
RFモジュール4は、DAコンバータ3が出力するアナログ信号のレベルを調整して出力端子10から出力する。
【0021】
RFモジュール4は、入力された信号のレベルを調整する可変減衰器40、42、44、46と、入力された信号を増幅するアンプ41、43、45、49と、可変減衰器46が出力するアナログ信号を出力端子10またはスイッチ48に分配する分配器(Divider)47と、分配器47が出力するアナログ信号と入力端子11に入力されるアナログ信号のいずれかを選択してアンプ49に出力するスイッチ48とを含んで構成される。
【0022】
可変減衰器40、42、44、46は、制御部7の制御により減衰量を変化させる。スイッチ48は、制御部7の制御によりアンプ49に出力する信号を切り替える。
【0023】
ADコンバータ5は、入力端子11に入力されたアナログ信号、またはRFモジュール4内で折り返したアナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0024】
測定部6は、ADコンバータ5が出力するデジタル信号のレベルなどを測定する。測定部6は、制御部7の制御により測定を行ない、測定結果を制御部7に送信する。
【0025】
制御部7は、例えば、コンピュータ装置によって構成される。このコンピュータ装置は、それぞれ図示しないCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、ハードディスク装置などの不揮発性の記憶媒体と、各種入出力ポートと、表示装置と、ポインティングデバイスやキーボード装置などの入力装置とを有する。
【0026】
このコンピュータ装置のROM及びハードディスク装置には、コンピュータ装置を制御部7として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータ装置は、制御部7として機能する。
【0027】
信号発生装置1は、図中Aの点線で示す、信号発生部2が発生した信号を、RFモジュール4でレベルを調整して出力端子10から出力するExternal経路と、図中Bの点線で示す、信号発生部2が発生し、RFモジュール4でレベル調整した信号を、RFモジュール4で折り返してADコンバータ5を介して測定部6に入力するInternal経路と、を選択できるようになっている。
【0028】
本実施形態の可変減衰器40、42、44、46は、非線形の特性を有している。この非線形性を補正する必要があるが、信号発生部2のゲインを大きく変えると、信号発生部2から測定部6までの経路上にある半導体部品の非線形性が影響して、精度良く補正値を求めることができない。
【0029】
このため、本実施形態においては、可変減衰器40、42、44、46の減衰量の最大値を所定の減衰量である変動量で分割し、減衰量を変動量でステップ的に変化させたときの誤差をステップエラー値として算出し、減衰量の補正を行なう。
【0030】
例えば、可変減衰器40、42、44、46の設定可能な減衰量がゼロから30dBであり、最小分解能が1dBである場合、可変減衰器40、42、44、46の減衰量を1dBで分割し、減衰量を1dBでステップ的に変化させたときの誤差をステップエラー値として算出する。
【0031】
制御部7は、信号発生部2が発生し、RFモジュール4でレベル調整した信号を、RFモジュール4で折り返すInternal経路を設定し、信号発生部2が発生する信号のゲインと、可変減衰器40、42、44、46での減衰量を変化させ、ステップエラー値を算出する。
【0032】
制御部7は、信号発生部2のゲインをゼロとし、可変減衰器40、42、44、46での減衰量をゼロとしたときの測定部6での測定値を減衰量ゼロでのステップエラー値とする。
【0033】
制御部7は、例えば、信号発生部2のゲインをマイナスの変動量とし、可変減衰器40、42、44、46での減衰量を前の測定時の減衰量としたときの測定部6での測定値を基準値とする。
【0034】
制御部7は、信号発生部2のゲインをゼロとし、可変減衰器40、42、44、46での減衰量を前の測定時の減衰量に変動量を加えた減衰量としたときの測定部6での測定値を、基準値から減算した値を誤差値とする。
【0035】
制御部7は、誤差値と、前のステップのステップエラー値と、を加算した値を次のステップのステップエラー値とする。
【0036】
次に制御部7は、信号発生部2のゲインをマイナスの変動量とし、可変減衰器40、42、44、46での減衰量を前の測定時の減衰量としたときの測定部6での測定値を基準値とし、これらを繰り返し、各ステップでのステップエラー値を算出する。
【0037】
図2は、可変減衰器40、42、44、46の設定可能な減衰量がゼロから30dBであり、最小分解能が1dBである場合、可変減衰器40、42、44、46の減衰量を1dBで分割し、減衰量を1dBでステップ的に変化させたときのステップエラー値の算出方法を示している。なお、ステップエラー値は、可変減衰器40、42、44、46のそれぞれについて算出する。
【0038】
図2において、制御部7は、信号発生部2のゲインをゼロとし、可変減衰器40、42、44、46での減衰量をゼロとしたときの測定部6での測定値を減衰量ゼロでのステップエラー値とする。
【0039】
制御部7は、信号発生部2のゲインを-1dBとし、対象の可変減衰器の減衰量をゼロとしたときの測定部6での測定値を基準値とする。
【0040】
制御部7は、信号発生部2のゲインをゼロとし、対象の可変減衰器の減衰量を前の測定時の減衰量に変動量を加えた1dBとしたときの測定部6での測定値を測定する。
【0041】
制御部7は、減衰量ゼロでのステップエラー値と、基準値から今回の測定値を減算した値と、を加算した値を次のステップである減衰量1dBでのステップエラー値とする。
【0042】
制御部7は、信号発生部2のゲインを-1dBとし、対象の可変減衰器の減衰量を前の測定時の減衰量の1dBとしたときの測定部6での測定値を基準値とする。
【0043】
制御部7は、信号発生部2のゲインをゼロとし、対象の可変減衰器の減衰量を前の測定時の減衰量に変動量を加えた2dBとしたときの測定部6での測定値を測定する。
【0044】
制御部7は、前のステップの減衰量1dBでのステップエラーの値と、基準値から今回の測定値を減算した値と、を加算した値を次のステップである減衰量2dBでのステップエラー値とする。
【0045】
制御部7は、信号発生部2のゲインを-1dBとし、対象の可変減衰器の減衰量を前の測定時の減衰量である2dBとしたときの測定部6での測定値を基準値とする。
【0046】
制御部7は、信号発生部2のゲインをゼロとし、対象の可変減衰器の減衰量を前の測定時の減衰量に変動量を加えた3dBとしたときの測定部6での測定値を測定する。
【0047】
制御部7は、前のステップの減衰量2dBでのステップエラーの値と、基準値から今回の測定値を減算した値と、を加算した値を次のステップである減衰量3dBでのステップエラー値とする。
【0048】
制御部7は、このような処理を繰り返し、信号発生部2のゲインを-1dBとし、対象の可変減衰器の減衰量を前の測定時の減衰量である29dBとしたときの測定部6での測定値を基準値とする。
【0049】
制御部7は、信号発生部2のゲインをゼロとし、対象の可変減衰器の減衰量を前の測定時の減衰量に変動量を加えた30dBとしたときの測定部6での測定値を測定する。
【0050】
制御部7は、前のステップの減衰量29dBでのステップエラー値と、基準値から今回の測定値を減算した値と、を加算した値を次のステップである減衰量30dBでのステップエラー値として、30dBまでのステップエラー値を算出する。
【0051】
以上のように構成された本実施形態に係る信号発生装置1によるステップエラー算出処理について、
図3を参照して説明する。なお、以下に説明するステップエラー算出処理は、制御部7の入力装置への操作により、ステップエラー算出が選択されると開始される。
【0052】
ステップS1において、制御部7は、信号発生部2のゲインをゼロとし、可変減衰器40、42、44、46での減衰量をゼロとしたときの測定部6での測定値を減衰量ゼロでのステップエラー値とする。ステップS1の処理を実行した後、制御部7は、ステップS2の処理を実行する。
【0053】
ステップS2において、制御部7は、信号発生部2のゲインをマイナスの変動量とし、可変減衰器40、42、44、46での減衰量を前の測定時の減衰量としたときの測定部6での測定値を基準値とする。ステップS2の処理を実行した後、制御部7は、ステップS3の処理を実行する。
【0054】
ステップS3において、制御部7は、信号発生部2のゲインをゼロとし、可変減衰器40、42、44、46での減衰量を前の測定時の減衰量に変動量を加えた減衰量としたときの測定部6での測定値を、基準値から減算した値を誤差値とする。ステップS3の処理を実行した後、制御部7は、ステップS4の処理を実行する。
【0055】
ステップS4において、制御部7は、誤差値と、前のステップのステップエラー値と、を加算した値を次のステップのステップエラー値とする。ステップS4の処理を実行した後、制御部7は、ステップS5の処理を実行する。
【0056】
ステップS5において、制御部7は、可変減衰器40、42、44、46の上限の減衰量までステップエラー値の算出を実施したか否かを判定する。
【0057】
上限の減衰量までステップエラー値の算出を実施したと判定した場合には、制御部7は、ステップエラー算出処理を終了する。上限の減衰量までステップエラー値の算出を実施していないと判定した場合には、制御部7は、ステップS2の処理を実行する。
【0058】
このように、上述の実施形態では、制御部7は、可変減衰器40、42、44、46の減衰量を所定の減衰量である変動量で分割し、信号発生部2のゲインをゼロとし、可変減衰器40、42、44、46での減衰量をゼロとしたときの測定部6での測定値を減衰量ゼロでのステップエラー値とし、信号発生部2のゲインをマイナスの変動量とし、可変減衰器40、42、44、46での減衰量を前の測定時の減衰量としたときの測定部6での測定値を基準値とし、信号発生部2のゲインをゼロとし、可変減衰器40、42、44、46での減衰量を前の測定時の減衰量に変動量を加えた減衰量としたときの測定部6での測定値を、基準値から減算した値を誤差値とし、誤差値と、前のステップのステップエラー値と、を加算した値を次のステップのステップエラー値とし、これを繰り返す。
【0059】
これにより、可変減衰器40、42、44、46の補正値が所定の変動量ごとに算出され、信号発生部2から測定部6までの経路上にある半導体部品の非線形性の影響を抑えて、精度良く可変減衰器40、42、44、46の補正値を求めることができる。
【0060】
なお、本実施形態においては、Internal経路に設定し、信号発生装置1内部で信号を折り返し、測定部6で測定を行なったが、External経路に設定し、外部の測定装置を出力端子10に接続し、測定装置から制御部7に測定値を送信するようなシステムとしてもよい。
【0061】
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0062】
1 信号発生装置
2 信号発生部
3 DAコンバータ
4 RFモジュール
5 ADコンバータ
6 測定部
7 制御部
40、42、44、46 可変減衰器