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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113218
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】半導体装置および回路装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20230808BHJP
【FI】
H01L29/78 656A
H01L29/78 652Q
H01L29/78 653A
H01L29/78 652M
H01L29/78 652J
H01L29/78 652D
H01L29/78 657D
H01L29/78 652S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015406
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 和久
(72)【発明者】
【氏名】波多 俊幸
(57)【要約】
【課題】半導体装置の性能を向上させる。また、半導体装置をスイッチとして用いた回路装置の低損失化を図る。
【解決手段】半導体装置100は、p型のMOSFET(1Q)および寄生ダイオード(D1)を含む半導体チップCHP1と、n型のMOSFET(2Q)および寄生ダイオード(D2)を含む半導体チップCHP2とを備える。半導体チップCHP1の表面TS1には、ソース電極SE1およびゲート配線GW1が形成され、半導体チップCHP1の裏面BS1には、ドレイン電極DE1が形成されている。半導体チップCHP2の表面TS2には、ソース電極SE2およびゲート配線(GW2)が形成され、半導体チップCHP2の裏面BS2には、ドレイン電極DE2が形成されている。ドレイン電極DE2とソース電極SE1とが導電性ペースト30を介して接するように、裏面BS2と表面TS1とが対向している。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
p型の第1MOSFET、および、前記第1MOSFETに形成されている第1寄生ダイオードを含む第1半導体チップと、
n型の第2MOSFET、および、前記第2MOSFETに形成されている第2寄生ダイオードを含む第2半導体チップと、
を備え、
前記第1半導体チップの表面には、第1ソース電極および第1ゲート配線が形成され、
前記第1半導体チップの裏面には、第1ドレイン電極が形成され、
前記第1寄生ダイオードの第1アノードは前記第1ソース電極に接続され、且つ、前記第1寄生ダイオードの第1カソードは前記第1ドレイン電極に接続され、
前記第2半導体チップの表面には、第2ソース電極および第2ゲート配線が形成され、
前記第2半導体チップの裏面には、第2ドレイン電極が形成され、
前記第2寄生ダイオードの第2アノードは前記第2ソース電極に接続され、且つ、前記第2寄生ダイオードの第2カソードは前記第2ドレイン電極に接続され、
前記第2ドレイン電極と前記第1ソース電極とが導電性部材を介して接するように、前記第2半導体チップの裏面と前記第1半導体チップの表面とが対向している、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1ゲート配線は、接地電位に電気的に固定されている、半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第2ゲート配線に電気的に接続された制御回路を含む第3半導体チップを更に備え、
前記制御回路は、前記第2MOSFETのオン状態およびオフ状態を切り替えるために、前記第2ゲート配線にゲート電位を供給する機能を有する、半導体装置。
【請求項4】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記第2半導体チップは、前記第2ゲート配線に電気的に接続された制御回路を更に含み、
前記制御回路は、前記第2MOSFETのオン状態およびオフ状態を切り替えるために、前記第2ゲート配線にゲート電位を供給する機能を有する、半導体装置。
【請求項5】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1半導体チップは、
表面および裏面を有するp型の第1半導体基板と、
前記第1半導体基板の表面側において、前記第1半導体基板に形成されたn型の第1ボディ領域と、
前記第1ボディ領域に形成されたp型の第1ソース領域と、
その底部が前記第1ボディ領域よりも下方に位置するように、前記第1半導体基板の表面側において、前記第1半導体基板に形成された第1トレンチと、
前記第1トレンチの内部に形成された第1ゲート絶縁膜と、
前記第1トレンチの内部を埋め込むように、前記第1ゲート絶縁膜上に形成された第1ゲート電極と、
前記第1半導体基板の表面上に形成された第1層間絶縁膜と、
前記第1層間絶縁膜上に形成され、且つ、前記第1ボディ領域および前記第1ソース領域に電気的に接続された前記第1ソース電極と、
前記第1層間絶縁膜上に形成され、且つ、前記第1ゲート電極に電気的に接続された前記第1ゲート配線と、
前記第1半導体基板の裏面側において、前記第1半導体基板に形成されたp型の第1ドレイン領域と、
前記第1半導体基板の裏面下に形成され、且つ、前記第1ドレイン領域に電気的に接続された前記第1ドレイン電極と、
を含み、
前記第2半導体チップは、
表面および裏面を有するn型の第2半導体基板と、
前記第2半導体基板の表面側において、前記第2半導体基板に形成されたp型の第2ボディ領域と、
前記第2ボディ領域に形成されたn型の第2ソース領域と、
その底部が前記第2ボディ領域よりも下方に位置するように、前記第2半導体基板の表面側において、前記第2半導体基板に形成された第2トレンチと、
前記第2トレンチの内部に形成された第2ゲート絶縁膜と、
前記第2トレンチの内部を埋め込むように、前記第2ゲート絶縁膜上に形成された第2ゲート電極と、
前記第2半導体基板の表面上に形成された第2層間絶縁膜と、
前記第2層間絶縁膜上に形成され、且つ、前記第2ボディ領域および前記第2ソース領域に電気的に接続された前記第2ソース電極と、
前記第2層間絶縁膜上に形成され、且つ、前記第2ゲート電極に電気的に接続された前記第2ゲート配線と、
前記第2半導体基板の裏面側において、前記第2半導体基板に形成されたn型の第2ドレイン領域と、
前記第2半導体基板の裏面下に形成され、且つ、前記第2ドレイン領域に電気的に接続された前記第2ドレイン電極と、
を含み、
前記第1寄生ダイオードは、前記第1ボディ領域と、前記第1ボディ領域の下方に位置する前記第1半導体基板および前記第1ドレイン領域とによって構成され、
前記第2寄生ダイオードは、前記第2ボディ領域と、前記第2ボディ領域の下方に位置する前記第2半導体基板および前記第2ドレイン領域とによって構成されている、半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記第2半導体チップは、前記第2ボディ領域の下方に位置する前記第2半導体基板に形成されたp型のコラム領域を更に含む、半導体装置。
【請求項7】
請求項1に記載の半導体装置をスイッチとして用いた回路装置であって、
正極および負極を有するバッテリーと、
負荷と、
を備え、
前記第1ドレイン電極は、前記正極に電気的に接続され、
前記第2ソース電極は、前記負荷を介して前記負極に電気的に接続されている、回路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および回路装置に関し、特に、n型のMOSFETを備えた半導体装置と、その半導体装置を用いた回路装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、例えばヘッドランプまたはパワーウィンドウのような電力を必要とする多数の電気機器が搭載されている。これらの電気機器にバッテリーからの電力を供給または遮断するためのスイッチとして、従来では、リレーが用いられてきた。近年、リレーに代えて、n型のパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を備えた半導体装置が用いられている。
【0003】
バッテリーのメンテナンスなどを行う際には、バッテリーに接続されていたケーブルが取り外される場合があるが、メンテナンスの終了後、ケーブルはバッテリーに再接続される。その際、バッテリーの正極および負極に対して、ケーブルが逆接続されるという不具合が生じる場合がある。リレーを用いたスイッチでは、スイッチをオフ状態にしておけば、逆接続の場合でも電流は流れない。
【0004】
しかし、半導体装置を用いたスイッチでは、パワーMOSFETをオフ状態にしたとしても、パワーMOSFETに形成されている寄生ダイオードを介して、電流が流れてしまう。そのような電流の逆流を防止するために、n型のパワーMOSFETのドレインとバッテリーの正極との間に、p型のパワーMOSFETを直列接続することが行われている。
【0005】
その場合、半導体装置(半導体モジュール)の形態としては、n型のパワーMOSFETを備えた半導体チップと、p型のパワーMOSFETを備えた半導体チップとを別々のパッケージとして用意する手法が考えられる(第1事例)。または、n型のパワーMOSFETを備えた半導体チップと、p型のパワーMOSFETを備えた半導体チップとを平置きにし、これらを1つのパッケージとして用意する手法が考えられる(第2事例)。しかしながら、第1事例では、半導体モジュールとしての実装面積が大きくなるという問題があり、第2事例では、パッケージの面積が大きくなるという問題がある。
【0006】
特許文献1では、電流の逆流を防止するために、p型のパワーMOSFETの代わりに、ソース・ドレインを逆向きに直列接続したn型のパワーMOSFETが用いられている。2つのn型のパワーMOSFETが同一の半導体基板に形成され、これらが1つのパッケージとして用意された半導体装置(第3事例)が開示されている。一方のn型のパワーMOSFETのソースはバッテリーの正極に接続され、一方のn型のパワーMOSFETのドレインは他方のn型のパワーMOSFETのドレインに接続され、他方のn型のパワーMOSFETのソースはバッテリーの負極に接続されている。
【0007】
また、特許文献2には、トレンチゲート型のn型のパワーMOSFETと、プレーナ型のn型のMOSFETとが、同一の半導体基板に形成された半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2016-207716号公報
【特許文献2】特開2012-243930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の半導体装置(第3事例)では、第1事例および第2事例と比較して、実装面積およびパッケージの面積を小さくすることが可能となる。
【0010】
しかしながら、互いに接続する2つのn型のパワーMOSFETのドレインは、半導体基板内のn型のドリフト領域と、半導体基板の裏面側に形成されたドレイン電極と、ドレイン電極下に形成されたリードフレームとを介して電気的に接続されている。すなわち、横方向における2つのn型のパワーMOSFETの間の抵抗成分が大きくなるので、半導体装置の性能の向上を図り難いという問題がある。それ故、半導体装置をスイッチに用いた場合、スイッチの低損失化を図り難いという問題がある。
【0011】
本願の主な目的は、第1事例および第2事例と比較して、実装面積およびパッケージの面積を小さくすると共に、第3事例と比較して、抵抗成分を少なくし、半導体装置の性能の向上を図ることにある。それによって、半導体装置をスイッチとして用いた回路装置の低損失化を図る。
【0012】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0014】
一実施の形態である半導体装置は、p型の第1MOSFET、および、前記第1MOSFETに形成されている第1寄生ダイオードを含む第1半導体チップと、n型の第2MOSFET、および、前記第2MOSFETに形成されている第2寄生ダイオードを含む第2半導体チップと、を備える。ここで、前記第1半導体チップの表面には、第1ソース電極および第1ゲート配線が形成され、前記第1半導体チップの裏面には、第1ドレイン電極が形成され、前記第1寄生ダイオードの第1アノードは前記第1ドレイン電極に接続され、且つ、前記第1寄生ダイオードの第1カソードは前記第1ソース電極に接続され、前記第2半導体チップの表面には、第2ソース電極および第2ゲート配線が形成され、前記第2半導体チップの裏面には、第2ドレイン電極が形成され、前記第2寄生ダイオードの第2アノードは前記第2ソース電極に接続され、且つ、前記第2寄生ダイオードの第2カソードは前記第2ドレイン電極に接続され、前記第2ドレイン電極と前記第1ソース電極とが導電性部材を介して接するように、前記第2半導体チップの裏面と前記第1半導体チップの表面とが対向している。
【発明の効果】
【0015】
一実施の形態によれば、半導体装置の性能を向上できる。また、半導体装置をスイッチとして用いた回路装置の低損失化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態1における半導体装置を用いた回路装置を示す等価回路図である。
図2】実施の形態1における一方の半導体チップを示す平面図である。
図3】実施の形態1における他方の半導体チップを示す平面図である。
図4】実施の形態1における2つの半導体チップに形成されている2つのMOSFETおよび2つの寄生ダイオードを示す断面図である。
図5】実施の形態1における半導体装置を示す平面図である。
図6】実施の形態1における半導体装置を示す平面図である。
図7】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
図8】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
図9】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
図10】実施の形態1における半導体装置を示す断面図である。
図11】検討例における半導体装置を示す平面図である。
図12】検討例における半導体装置を示す断面図である。
図13】実施の形態1の抵抗値と検討例の抵抗値とを比較した表である。
図14】実施の形態2における他方の半導体チップを示す平面図である。
図15】実施の形態2における制御回路を構成するMOSFETを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0018】
(実施の形態1)
<半導体装置を用いた回路装置>
図1は、実施の形態1における半導体装置100をスイッチとして用いた回路装置を示している。半導体装置100は、半導体モジュールであり、p型のMOSFET1Qおよび寄生ダイオードD1を含む半導体チップCHP1と、n型のMOSFET2Qおよび寄生ダイオードD2とを含む半導体チップCHP2とを備える。また、半導体装置100は、制御回路CTRLを含む半導体チップCHP3も備える場合もある。
【0019】
図1の回路装置は、スイッチとして用いられる半導体装置100と、バッテリーBAと、負荷LADとを備える。負荷LADは、例えばヘッドランプまたはパワーウィンドウのような自動車に搭載されている電気機器である。
【0020】
MOSFET1Qのドレイン電極DE1は、バッテリーBAの正極に電気的に接続されている。MOSFET1Qのソース電極SE1は、MOSFET2Qのドレイン電極DE2に電気的に接続されている。MOSFET2Qのソース電極SE2は、負荷LADを介してバッテリーBAの負極に電気的に接続されている。MOSFET1Qのゲート電極GE1は、接地電位(GND)に電気的に固定されている。MOSFET2Qのゲート電極GE2は、制御回路CTRLに電気的に接続されている。
【0021】
なお、制御回路CTRLは、MOSFET2Qのオン状態およびオフ状態を切り替えるために、ゲート電極GE2にゲート電位を供給する機能を有する。また、制御回路CTRLは、他の機能を有する回路として、昇圧回路、過熱シャットダウン制御回路、過電流制限回路、または、電流検知および電圧検知などを行うモニタ回路などを含む場合もある。
【0022】
寄生ダイオードD1は、MOSFET1Qに形成されている。この寄生ダイオードD1のアノードは、図1に示されるように、ソース電極SE1に接続されている。また、この寄生ダイオードD1のカソードは、図1に示されるように、ドレイン電極DE1に接続されている。
【0023】
寄生ダイオードD2は、MOSFET2Qに形成されている。この寄生ダイオードD2のアノードは、図1に示されるように、ソース電極SE2に接続されている。また、この寄生ダイオードD2のカソードは、図1に示されるように、ドレイン電極DE2に接続されている。
【0024】
MOSFET2Qは、バッテリーBAが半導体装置100に適切に接続されている場合に、必要に応じて負荷LADへ電力を供給するためのスイッチング動作(オン動作およびオフ動作)を行うためのデバイスである。MOSFET1Qは、バッテリーBAが半導体装置100に逆接続された場合に、電流の逆流を防止するためのデバイスである。
【0025】
バッテリーBAが半導体装置100に適切に接続されている場合の回路動作について説明する。まず、バッテリーBAから負荷LADへ電力を供給する場合について説明する。MOSFET1Qのゲート電極GE1は、接地電位に固定されており、ソース電極SE1に対して電位が低い状態になっているので、MOSFET1Qはオン状態である。制御回路CTRLからゲート電極GE2へ、MOSFET2Qの閾値電圧以上のゲート電位を供給し、MOSFET2Qをオン状態にする。これにより、バッテリーBAから負荷LADへ電流が流れる。
【0026】
負荷LADへの電力を遮断する場合について説明する。MOSFET1Qのゲート電極GE1は、接地電位に固定されており、ソース電極SE1に対して電位が低い状態になっているので、MOSFET1Qはオン状態である。制御回路CTRLからゲート電極GE2へ、例えば接地電位(GND)を供給し、MOSFET2Qをオフ状態にする。これにより、バッテリーBAから負荷LADへ電流が流れない。
【0027】
次に、バッテリーBAが半導体装置100に逆接続された場合の回路動作について説明する。逆接続されると接地電位(GND)に固定されていたMOSFET1Qのゲート電極GE1は、バッテリーBAの正極電位(回路内最高電位)に固定され、ソース電極SE1に対して電位が高い状態になるので、MOSFET1Qはオフ状態になる。また、寄生ダイオードD1にも電流が流れない。これにより、バッテリーBAから負荷LADへ電流が流れることを防止できる。
【0028】
<MOSFETおよび寄生ダイオードの構造>
半導体チップCHP1は、表面TS1および裏面BS1を有し、半導体チップCHP2は、表面TS2および裏面BS2を有する。図2は、表面TS1側から見た半導体チップCHP1の平面図である。図3は、表面TS2側から見た半導体チップCHP2の平面図である。なお、半導体チップCHP1の平面積は、半導体チップCHP2の平面積よりも大きくなっている。
【0029】
図2に示されるように、半導体チップCHP1の表面TS1には、ソース電極SE1およびゲート配線GW1が形成されている。半導体チップCHP1の大部分はソース電極SE1で覆われており、MOSFET1Qは、主に、ソース電極SE1の下方に形成されている。また、MOSFET1Qのゲート電極GE1は、ゲート配線GW1に電気的に接続されている。
【0030】
図3に示されるように、半導体チップCHP2の表面TS2には、ソース電極SE2およびゲート配線GW2が形成されている。半導体チップCHP2の大部分はソース電極SE2で覆われており、MOSFET2Qは、主に、ソース電極SE2の下方に形成されている。また、MOSFET2Qのゲート電極GE2は、ゲート配線GW2に電気的に接続されている。
【0031】
以下に図4を用いて、MOSFET1Q、寄生ダイオードD1、MOSFET2Qおよび寄生ダイオードD2の構造について説明する。なお、半導体チップCHP1、CHP2には、実際には、複数のMOSFETが形成されており、これらは並列接続されている。従って、等価回路的には、上記複数のMOSFETは、1つのMOSFETとして見做せる。本願で説明するMOSFET1Q、2Qは、並列接続された上記複数のMOSFETを纏めて1つのMOSFETとしたものである。
【0032】
まず、MOSFET1Qおよび寄生ダイオードD1の構造について説明する。
【0033】
半導体基板SUB1は、表面および裏面を有し、低濃度のp型のドリフト領域PVを有する。ここでは、半導体基板SUB1はp型のシリコン基板であり、半導体基板SUB1自体がドリフト領域PVを構成している。なお、ドリフト領域PVは、p型のシリコン基板と、シリコン基板上にエピタキシャル成長法によってボロン(B)を導入しながら成長させた半導体層との積層体であってもよい。本願では、そのような積層体も半導体基板SUB1であるとして説明する。
【0034】
半導体基板SUB1の表面側において、半導体基板SUB1には、n型のボディ領域NBが形成されている。ボディ領域NBには、p型のソース領域PSが形成されている。ソース領域PSは、ドリフト領域PVよりも高い不純物濃度を有している。
【0035】
半導体基板SUB1の表面側において、半導体基板SUB1には、トレンチTRが形成されている。トレンチTRの底部は、ボディ領域NBよりも深い位置に達している。トレンチTRの内部には、ゲート絶縁膜GIが形成されている。トレンチTRの内部を埋め込むように、ゲート絶縁膜GI上には、ゲート電極GE1が形成されている。すなわち、MOSFET1Qは、トレンチゲート型の構造を成している。ゲート絶縁膜GIは、例えば酸化シリコン膜であり、ゲート電極GE1は、例えばp型の多結晶シリコン膜である。
【0036】
半導体基板SUB1の表面上には、ゲート電極GE1を覆うように、層間絶縁膜ILが形成されている。層間絶縁膜ILは、例えば酸化シリコン膜である。層間絶縁膜ILには、孔CHが形成されている。孔CHは、その底部がボディ領域NB内に位置するように、層間絶縁膜ILおよびソース領域PSを貫通している。また、孔CHの底部において、ボディ領域NB内には、n型の高濃度領域NRが形成されている。高濃度領域NRは、ボディ領域NBよりも高い不純物濃度を有する。
【0037】
層間絶縁膜IL上には、孔CHの内部を埋め込むように、ソース電極SE1が形成されている。ソース電極SE1は、ソース領域PS、ボディ領域NBおよび高濃度領域NRに電気的に接続され、これらにソース電位を供給する。なお、ここでは図示していないが、層間絶縁膜IL上には、ゲート配線GW1も形成されている。複数のゲート電極GE1は、半導体チップCHP1の外周部においてゲート引き出し部に纏めて接続されている。孔CHは、ゲート引き出し部上にも形成され、ゲート配線GW1は、孔CHの内部に埋め込まれている。そのため、ゲート配線GW1は、ゲート電極GE1に電気的に接続され、ゲート電極GE1にゲート電位を供給する。
【0038】
ソース電極SE1およびゲート配線GW1は、例えば、バリアメタル膜と、上記バリアメタル膜上に形成された導電性膜とからなる。上記バリアメタル膜は、例えば窒化チタン膜であり、上記導電性膜は、例えばアルミニウム膜である。
【0039】
なお、ソース電極SE1およびゲート配線GW1は、孔CHの内部を埋め込むプラグ層と、層間絶縁膜IL上に形成された配線部とから構成されていてもよい。その場合、上記配線部は、上述の窒化チタン膜とアルミニウム膜との積層膜であり、上記プラグ層は、窒化チタン膜のようなバリアメタル膜と、タングステン膜のような導電性膜との積層膜である。
【0040】
半導体基板SUB1の裏面側において、半導体基板SUB1には、p型のドレイン領域PDが形成されている。ドレイン領域PDは、ドリフト領域PVよりも高い不純物濃度を有する。半導体基板SUB1の裏面下には、ドレイン電極DE1が形成されている。ドレイン電極DE1は、ドレイン領域PDおよびドリフト領域PVに電気的に接続され、ドレイン領域PDにドレイン電位を供給する。ドレイン電極DE1は、例えばアルミニウム膜、チタン膜、ニッケル膜、金膜若しくは銀膜のような単層の金属膜、または、これらの金属膜を適宜積層させた積層膜からなる。
【0041】
寄生ダイオードD1は、ボディ領域NBと、ボディ領域NBの下方に位置する半導体基板SUB1(ドリフト領域PV)およびドレイン領域PDとによって構成されている。すなわち、寄生ダイオードD1は、半導体チップCHP1において、半導体基板SUB1およびドレイン領域PDをアノードとし、ボディ領域NBをカソードとしたPNダイオードである。
【0042】
次に、MOSFET2Qおよび寄生ダイオードD2の構造について説明する。
【0043】
半導体基板SUB2は、表面および裏面を有し、低濃度のn型のドリフト領域NVを有する。ここでは、半導体基板SUB2はn型のシリコン基板であり、半導体基板SUB2自体がドリフト領域NVを構成している。なお、ドリフト領域NVは、n型のシリコン基板と、シリコン基板上にエピタキシャル成長法によって燐(P)を導入しながら成長させた半導体層との積層体であってもよい。本願では、そのような積層体も半導体基板SUB2であるとして説明する。
【0044】
半導体基板SUB2の表面側において、半導体基板SUB2には、p型のボディ領域PBが形成されている。ボディ領域PBには、n型のソース領域NSが形成されている。ソース領域NSは、ドリフト領域NVよりも高い不純物濃度を有している。
【0045】
半導体基板SUB2の表面側において、半導体基板SUB2には、トレンチTRが形成されている。トレンチTRの底部は、ボディ領域PBよりも深い位置に達している。トレンチTRの内部には、ゲート絶縁膜GIが形成されている。トレンチTRの内部を埋め込むように、ゲート絶縁膜GI上には、ゲート電極GE2が形成されている。すなわち、MOSFET2Qは、トレンチゲート型の構造を成している。ゲート絶縁膜GIは、例えば酸化シリコン膜であり、ゲート電極GE2は、例えばn型の多結晶シリコン膜である。
【0046】
半導体基板SUB2の表面上には、ゲート電極GE2を覆うように、層間絶縁膜ILが形成されている。層間絶縁膜ILは、例えば酸化シリコン膜である。層間絶縁膜ILには、孔CHが形成されている。孔CHは、その底部がボディ領域PB内に位置するように、層間絶縁膜ILおよびソース領域NSを貫通している。また、孔CHの底部において、ボディ領域PB内には、p型の高濃度領域PRが形成されている。高濃度領域PRは、ボディ領域PBよりも高い不純物濃度を有する。
【0047】
層間絶縁膜IL上には、孔CHの内部を埋め込むように、ソース電極SE2が形成されている。ソース電極SE2は、ソース領域NS、ボディ領域PBおよび高濃度領域PRに電気的に接続され、これらにソース電位を供給する。なお、ここでは図示していないが、層間絶縁膜IL上には、ゲート配線GW2も形成されている。複数のゲート電極GE2は、半導体チップCHP2の外周部においてゲート引き出し部に纏めて接続されている。孔CHは、ゲート引き出し部上にも形成され、ゲート配線GW2は、孔CHの内部に埋め込まれている。そのため、ゲート配線GW2は、ゲート電極GE2に電気的に接続され、ゲート電極GE2にゲート電位を供給する。
【0048】
半導体基板SUB2の裏面側において、半導体基板SUB2には、n型のドレイン領域NDが形成されている。ドレイン領域NDは、ドリフト領域NVよりも高い不純物濃度を有する。半導体基板SUB2の裏面下には、ドレイン電極DE2が形成されている。ドレイン電極DE2は、ドレイン領域NDおよびドリフト領域NVに電気的に接続され、ドレイン領域NDにドレイン電位を供給する。
【0049】
ソース電極SE2、ゲート配線GW2およびドレイン電極DE2を構成する材料は、それぞれソース電極SE1、ゲート配線GW1およびドレイン電極DE1を構成する材料と同じである。
【0050】
寄生ダイオードD2は、ボディ領域PBと、ボディ領域PBの下方に位置する半導体基板SUB2(ドリフト領域NV)およびドレイン領域NDとによって構成されている。すなわち、寄生ダイオードD2は、半導体チップCHP2において、ボディ領域PBをアノードとし、半導体基板SUB2およびドレイン領域NDをカソードとしたPNダイオードである。
【0051】
なお、MOSFET2Qには、ボディ領域PBの下方に位置する半導体基板SUB2に、p型のコラム領域PCが形成されている。コラム領域PCは、ボディ領域PBよりも高い不純物濃度を有している。n型のMOSFET2Qの場合、このようなp型のコラム領域PCが形成されていることで、コラム領域PCの周囲を空乏化させ、耐圧を向上させることができる。
【0052】
ここでは、コラム領域PCはボディ領域PBに接しているので、p型のコラム領域PCにもソース電位が供給される。しかし、コラム領域PCは、ボディ領域PBから物理的に分離していてもよく、フローティング構造になっていてもよい。
【0053】
MOSFET1Qにも、コラム領域PCと同じ目的で、n型のコラム領域が形成されていてもよいが、コラム領域を形成すると、オン抵抗が増加することになる。MOSFET2Qは、図1の回路装置でスイッチとなる主デバイスである。それ故、バッテリーBAが接続された場合のスイッチの信頼性を確保するために、MOSFET2Qには、コラム領域PCが形成されている方が好ましい。MOSFET1Qは、負荷LADへ電力を素早く供給するために、コラム領域を設けず、オン抵抗を低減する方が好ましい。
【0054】
<半導体装置の構造>
以下に図5図10を用いて、半導体装置100の構造について説明する。図5は、半導体装置100を示す平面図である。図7は、図5のA-A線に沿った断面図である。図8は、図5のB-B線に沿った断面図である。
【0055】
なお、図6は、制御回路CTRLを含む半導体チップCHP3を半導体チップCHP1上に搭載した場合の様子を示している。半導体チップCHP3は、絶縁性樹脂などを介してソース電極SE2上に設けられる。この場合、図示はしていないが、半導体チップCHP3の表面には制御回路CTRLの一部としてパッド電極が設けられ、このパッド電極とゲート配線GW1とが、ボンディングワイヤのような外部接続用部材11によって電気的に接続される。図7および図8では、説明の簡略化のために、半導体チップCHP3の図示を省略している。
【0056】
図7および図8に示されるように、半導体装置100では、半導体チップCHP1と半導体チップCHP2とが積層されている。すなわち、ドレイン電極DE2とソース電極SE1とが導電性部材を介して接するように、半導体チップCHP2の裏面BS2と半導体チップCHP1の表面TS1とが対向している。導電性部材は、銀ペーストまたは半田のような導電性ペースト30である。なお、平面積の大きい半導体チップCHP1の上に、平面積の小さい半導体チップCHP2を積層する方が、実装の容易性という点で優位である。
【0057】
図5図8に示されるように、半導体チップCHP1の表面TS1側において、ゲート配線GW1は、導電性ペースト10を介して外部接続用部材11に接続されている。半導体チップCHP1の裏面BS1側において、ドレイン電極DE1は、導電性ペースト10を介してリードフレーム12に接続されている。半導体チップCHP2の表面TS2側において、ソース電極SE2およびゲート配線GW2は、導電性ペースト20を介して外部接続用部材21に接続されている。
【0058】
導電性ペースト10、20は、例えば銀ペーストである。外部接続用部材11、21は、例えばクリップ(銅板)であるか、銅またはアルミニウムからなるボンディングワイヤである。ここでは、外部接続用部材11、21がクリップである場合を例示しており、クリップが、半導体チップCHP1の裏面BS1側に折れ曲がるように加工されている。
【0059】
図9および図10に示されるように、半導体チップCHP1、半導体チップCHP2、導電性ペースト30、外部接続用部材11、21およびリードフレーム12は、封止樹脂MRによって封止されている。外部接続用部材11、21およびリードフレーム12の一部は、封止樹脂MRから露出している。これにより、MOSFET1Q、2Qが、露出している外部接続用部材11、21およびリードフレーム12の一部を介して、他の半導体チップ、配線基板または電子機器などに電気的に接続できる。すなわち、MOSFET1Q、2Qによって構成されるスイッチを、図1に示されるようなバッテリーBAおよび負荷LADなどに電気的に接続できる。
【0060】
なお、半導体チップCHP3が図6のように搭載されている場合、半導体チップCHP3を半導体チップCHP1、CHP2と共に封止樹脂MRによって封止することで、半導体チップCHP1~CHP3を1つのパッケージとして提供できる。また、半導体チップCHP3と、半導体チップCHP1、CHP2とは、別々にパッケージされていてもよい。
【0061】
<検討例との比較>
図11および図12は、本願発明者らが、特許文献1(第3事例)に開示されていた2つのn型のMOSFETをパッケージ化する場合について検討した検討例の半導体装置500を示している。
【0062】
図11および図12に示されるように、検討例の半導体チップCHP5は、同一の半導体基板に形成されたn型のMOSFET5Qおよびn型のMOSFET2Qを含む。半導体チップCHP5の表面TS5には、ソース電極SE5およびゲート配線GW5が形成され、半導体チップCHP5の裏面BS5には、ドレイン電極DE5が形成されている。
【0063】
図1の等価回路を参照すると、n型のMOSFET2Qが回路装置でスイッチとなる主デバイスに相当する。そして、n型のMOSFET5Qが、図1のp型のMOSFET1Qの代わりに適用され、電流の逆流を防止するためのデバイスに相当する。n型のMOSFET5Qのドレインをn型のMOSFET2Qのドレインに接続することで、図1と同等な回路装置が提供される。
【0064】
ソース電極SE5およびゲート配線GW5は、直接、外部接続用部材51に接続されている。ドレイン電極DE5は、導電性ペースト52を介してリードフレーム53に接続されている。制御回路CTRLを含む半導体チップCHP3は、絶縁性樹脂54などを介してソース電極SE5上に設けられている。
【0065】
検討例では、2つのMOSFET2Q、5Qのドレインは、半導体基板内のn型のドリフト領域と、ドレイン電極DE5と、リードフレーム53とを介して電気的に接続されている。それ故、横方向における2つのMOSFET2Q、5Qの間の抵抗成分が大きくなり、スイッチの低損失化を図り難いという問題がある。このため、半導体装置の性能の向上を図り難いという問題がある。
【0066】
また、同一の半導体基板にMOSFET2Q、5Qが形成されているので、それぞれの形成面積が小さくなる。特に、主デバイスであるMOSFET2Qを優先すると、MOSFET5Qの形成面積が小さくなり易い。それ故、MOSFET2Q、5Qのオン抵抗の低減を図り難いという問題がある。また、外部接続用部材51の設置面積を広くできないので、これらに関する抵抗値が高くなり易いという問題がある。
【0067】
図13は、各抵抗値に関して、実施の形態1の半導体装置100と、検討例の半導体装置500とを比較した表である。なお、図13の数値は、相対値として示されている。また、ここでは、実施の形態1のMOSFET2Qの形成面積が、検討例のMOSFET2Qの形成面積と同程度であるとして、上記数値が算出されている。
【0068】
一般的に、p型のMOSFETでは、同サイズのn型のMOSFETと比較して、キャリアの移動度が3倍程度低い。それ故、実施の形態1のp型のMOSFET1Qのオン抵抗は、同サイズのn型のMOSFETと比較して増加する。しかし、p型のMOSFET1Qを含む半導体チップCHP1が、半導体チップCHP2と別になっているので、検討例のMOSFET5Qと比較して、MOSFET1Qの形成面積を広くすることができる。従って、MOSFET1Qのオン抵抗をMOSFET5Qオン抵抗とほぼ同等にすることができる。
【0069】
また、実施の形態1では、半導体チップCHP1の表面TS1と半導体チップCHP2の表面TS2とに、それぞれ外部接続用部材11、21を設けることができ、半導体チップCHP1の裏面BS1にリードフレーム12を設けることができる。このため、外部接続用部材およびリードフレームの設置面積が広くなり、これらに関する抵抗値を低減し易くなる。大まかに言えば、実施の形態1では、検討例の4~5倍程の外部接続用部材およびリードフレームを配置することができる。
【0070】
また、検討例では、リードフレーム53などのように、横方向の抵抗成分が多くなっていたが、実施の形態1では、ドレイン電極DE2とソース電極SE1とが、縦方向に導電性ペースト30を介して接している。このため、ドレイン電極DE2とソース電極SE1との間の距離が短いので、2つのMOSFET1Q、2Qの間の抵抗成分を小さくできる。
【0071】
また、従来技術で説明したように、n型のMOSFETを備えた半導体チップと、p型のMOSFETを備えた半導体チップとを実装する手法として、第1事例および第2事例があった。第1事例は、2つ半導体チップを別々の2つのパッケージとして用意する手法であり、第2事例は、2つ半導体チップを横方向で平置きにし、これらを1つのパッケージとして用意する手法である。
【0072】
実施の形態1では、半導体チップCHP1および半導体チップCHP2が、縦方向に積層され、1つのパッケージとして実装されている。従って、実施の形態1では、第1事例および第2事例と比較して、パッケージの面積を小さくでき、且つ、半導体モジュールとしての実装面積も小さくできる。
【0073】
また、実施の形態1では、p型のMOSFET1Qのゲート電極GE1は、接地電位に電気的に固定されている。このため、制御回路CTRLは、MOSFET1Qのオン状態およびオフ状態を切り替えるための機能を必要としない。従って、制御回路CTRLの簡略化を図れると共に、制御回路CTRLを含む半導体チップCHP3の小型化を図れる。
【0074】
このように、実施の形態1によれば、検討例(第3事例)とほぼ同等の実装面積およびパッケージの面積を実現できると共に、検討例よりも抵抗成分の減少を図れるので、半導体装置100の性能を向上できる。また、半導体装置100をスイッチとして用いた回路装置の低損失化を図ることができる。
【0075】
(実施の形態2)
以下に図14および図15を用いて、実施の形態2における半導体装置100について説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点について主に説明し、実施の形態1と重複する点については説明を省略する。
【0076】
実施の形態1では、制御回路CTRLが半導体チップCHP3に含まれていた。図14に示されるように、実施の形態2では、制御回路CTRLは、半導体チップCHP2に含まれている。制御回路CTRLを構成するトランジスタは、半導体基板SUB2のうち、MOSFET2Qが形成されている領域と異なる領域に形成されている。
【0077】
制御回路CTRLを構成するトランジスタは、例えば図15に示されるような、n型のMOSFET3Qおよびp型のMOSFET4Qである。MOSFET3Q、4Qは、プレーナ型の構造を成している。MOSFET3Q、4Qが形成される領域には、半導体基板SUB2にp型のウェル領域DPWが形成されており、ウェル領域DPWによって、MOSFET2QとMOSFET3Q、4Qとが電気的に分離されている。
【0078】
MOSFET3Qの構造について説明する。ウェル領域DPW上には、ゲート絶縁膜GI3を介してゲート電極GE3が形成されている。ウェル領域DPWには、n型の拡散領域N3が形成されている。拡散領域N3は、MOSFET3Qのソース領域またはドレイン領域を構成する。
【0079】
MOSFET4Qの構造について説明する。MOSFET4Qが形成されるウェル領域DPWには、n型のウェル領域NWが形成されている。ウェル領域NW上には、ゲート絶縁膜GI4を介してゲート電極GE4が形成されている。ウェル領域NWには、p型の拡散領域P4が形成されている。拡散領域P4は、MOSFET4Qのソース領域またはドレイン領域を構成する。
【0080】
MOSFET3Q、4Qは、層間絶縁膜ILによって覆われており、層間絶縁膜IL上には、複数のパッド電極PADが形成されている。複数のパッド電極PADは、ゲート電極GE3、GE4および拡散領域N3、P4に電気的に接続されている。なお、複数のパッド電極PADは、ソース電極SE2およびゲート配線GW2と同じ製造工程で形成され、ソース電極SE2およびゲート配線GW2と同じ材料で構成されている。
【0081】
MOSFET3Q、4Qは、それぞれ複数形成されており、複数のパッド電極PADと共にCMOSインバータなどの各種回路を構成する。また、ここでは図示していないが、MOSFET3Q、4Qは、複数のパッド電極PADに接続された外部接続用部材(ボンディングワイヤ)を介して、他の半導体チップ、配線基板または電子機器などに電気的に接続される。このため、MOSFET3Q、4Qは、MOSFET1Q、2Qに電気的に接続できる。
【0082】
このように、制御回路CTRLを半導体チップCHP2に内蔵することで、半導体チップCHP3を用意する必要が無い。このため、半導体装置100の製造を簡略化できる。なお、制御回路CTRLを、半導体チップCHP2に代えて、半導体チップCHP1に内蔵させることもできる。
【0083】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0084】
例えば、上記実施の形態では、回路装置の負荷LADが自動車で使用される電気機器である場合を説明したが、回路装置は、自動車の用途に限られず、負荷LADは、自動車以外で使用される他の電気機器であってもよい。
【0085】
また、上記実施の形態では、半導体基板SUB1、SUB2がシリコン基板であるとして説明した。しかし、半導体基板SUB1、SUB2の材料はシリコンに限られず、半導体基板SUB1、SUB2は、炭化珪素基板(SiC基板)であってもよい。
【0086】
また、上記実施の形態では、MOSFET1Q、2Qがトレンチゲート型の構造になっていた。しかし、ソース電極SE1、SE2およびゲート配線GW1、GW2が表面TS1、TS2側に設けられ、且つ、ドレイン電極DE1、DE2が裏面BS1、BS2側に設けられた構造であれば、MOSFET1Q、2Qはプレーナ型であってもよい。すなわち、トレンチTRが形成されておらず、ゲート電極GE1、GE2が、ゲート絶縁膜GIを介して半導体基板SUB1、SUB2上に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0087】
BA バッテリー
BS1、BS2、BS5 裏面
CH 孔
CHP1~CHP3、CHP5 半導体チップ
CTRL 制御回路
D1、D2 寄生ダイオード
DE1、DE2、DE5 ドレイン電極
DPW ウェル領域
GE1~GE4 ゲート電極
GI、GI3、GI4 ゲート絶縁膜
GW1、GW2、GW5 ゲート配線
IL 層間絶縁膜
LAD 負荷
MR 封止樹脂
N3 拡散領域
NB ボディ領域
ND ドレイン領域
NR 高濃度領域
NS ソース領域
NV ドリフト領域
NW ウェル領域
P4 拡散領域
PAD パッド電極
PB ボディ領域
PC コラム領域
PD ドレイン領域
PR 高濃度領域
PS ソース領域
PV ドリフト領域
1Q~5Q MOSFET
SUB1、SUB2 半導体基板
SE1、SE2、SE5 ソース電極
TR トレンチ
TS1、TS2、TS5 表面
10、20、30、52 導電性ペースト
11、21、51 外部接続用部材
12、53 リードフレーム
54 絶縁性樹脂
100、500 半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15