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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113220
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/06 20060101AFI20230808BHJP
【FI】
F25D23/06 Z
F25D23/06 302A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015408
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】森元 博美
(72)【発明者】
【氏名】漢 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】中島 秀樹
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102LC21
3L102MA01
3L102MB17
(57)【要約】
【課題】複数枚のパネルを組み立ててなる冷蔵庫において、寸法ばらつきを吸収できるようにするとともに、パネルの反り等の変形を防ぐ。
【解決手段】複数枚のパネルPを組み立ててなる冷蔵庫100であって、パネルPが、庫外側を向くアウタ部材10と、庫内側を向くインナ部材20と、アウタ部材10及びインナ部材20の間に介在してこれらを接続する接続部材40とを備え、接続部材40が、アウタ部材10が挿入されるアウタ挿入部41、及び、インナ部材20が挿入されるインナ挿入部42を有し、アウタ挿入部41とアウタ部材10との間、又は、インナ挿入部42とインナ部材20との間の少なくとも一方に隙間G2、G3が形成されているようにした。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のパネルを組み立ててなる冷蔵庫であって、
前記パネルが、
庫外側を向くアウタ部材と、
庫内側を向くインナ部材と、
前記アウタ部材及び前記インナ部材の間に介在してこれらを接続する接続部材とを備え、
前記接続部材が、
前記アウタ部材が挿入されるアウタ挿入部、及び、前記インナ部材が挿入されるインナ挿入部を有し、
前記アウタ挿入部と前記アウタ部材との間、又は、前記インナ挿入部と前記インナ部材との間の少なくとも一方に隙間が形成されている、冷蔵庫。
【請求項2】
前記アウタ挿入部と前記アウタ部材との間、及び、前記インナ挿入部と前記インナ部材との間の双方に隙間が形成されている、請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記アウタ挿入部に対する前記アウタ部材の挿入方向と、前記インナ挿入部に対する前記インナ部材の挿入方向とが互いに直交する、請求項1又は2記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記アウタ挿入部又は前記インナ挿入部の少なくとも一方が、前記アウタ部材又は前記インナ部材の挿入により弾性変形するとともに、その復元力により挿入されている前記アウタ部材又は前記インナ部材を保持する一対の保持部を有している、請求項1乃至3のうち何れか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記アウタ部材又は前記インナ部材の挿入方向に沿った前記一対の保持部の長さが、互いに異なる、請求項4記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記一対の保持部のうちの一方が、他方から離れるように窪む窪み部を有する、請求項5記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記アウタ挿入部又は前記インナ挿入部の一方には、扉が着磁する金属部材が、前記アウタ部材又は前記インナ部材とともに挿入されており、
挿入されている前記アウタ部材又は前記インナ部材と前記金属部材との間に隙間が形成されている、請求項1乃至6のうち何れか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記アウタ部材又は前記インナ部材の一方が、他方に向かって起立するサイド部材を一体的に有している、請求項1乃至7のうち何れか一項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時の冷蔵庫は、対面型やアイランド型といったキッチンのタイプ、冷蔵庫の設置スペース、生活習慣に合わせたレイアウトなど、ユーザのニーズが多様化しており、これらのニーズに応えるためには、多様なサイズや形状の筐体が必要となる。
【0003】
従来の冷蔵庫は、1つの製品に対して1つの筐体を作る一体型構造であり、筐体のサイズを多様に展開しようとすると、その数だけ金型設備が必要となる。
【0004】
一方、生産者目線では、筐体の製造には大型の成形金型やウレタンの発泡治具が1つの筐体ごとに必要となるため、商品開発時のコストの肥大化から、提供できる筐体のバリエーションを増やしにくい。
【0005】
また、上述した一体構造の生産工場では、筐体のウレタン発泡が生産のボトルネックであることや、設備投資が大きいことも課題であり、製造後の冷蔵庫に対しては、大部分が空気であることから輸送効率が悪く、輸送コストが高いといった課題もある。
【0006】
そこで、これらを一挙に解決するべく、複数枚のパネルを組み立ててなる冷蔵庫が知られている(特許文献1)。
【0007】
このような構成であれば、パネルのサイズを変更することにより、多様な製品サイズに対応することが可能となり、生産工場においては、大型の成形金型やウレタン発泡治具を不要にすることで、設備投資の削減を図れ、しかも、パネル化による輸送コストの削減も見込まれる。
【0008】
しかしながら、パネルを組み立ててなる冷蔵庫は、パネルの構成要素である樹脂成形品に寸法ばらつきが生じると、互いに隣り合うパネル間に隙間が生じてしまう恐れがあり、そうすると断熱性や強度の低下を招く。
【0009】
さらに、パネルの別の構成要素であるウレタンは、発泡時には熱くなり、固まる際に冷えて収縮するので、その際に周りの部材が引き込まれることにより、パネルの反り等の変形が発生する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2018-151112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、上述した問題点を一挙に解決すべくなされたものであり、複数枚のパネルを組み立ててなる冷蔵庫において、寸法ばらつきを吸収できるようにするとともに、パネルの反り等の変形を防ぐことを主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち本発明に係る冷蔵庫は、複数枚のパネルを組み立ててなる冷蔵庫であって、前記パネルが、庫外側を向くアウタ部材と、庫内側を向くインナ部材と、前記アウタ部材及び前記インナ部材の間に介在してこれらを接続する接続部材とを備え、前記接続部材が、前記アウタ部材が挿入されるアウタ挿入部、及び、前記インナ部材が挿入されるインナ挿入部を有し、前記アウタ挿入部と前記アウタ部材との間、又は、前記インナ挿入部と前記インナ部材との間の少なくとも一方に隙間が形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
このように構成された冷蔵庫によれば、複数枚のパネルにより組み立てられるので、多様な製品サイズへの対応、生産工場への設備投資の削減、及び輸送コストの削減など、冷蔵庫のパネル化による種々のメリットを享受することができる。
そのうえで、アウタ挿入部とアウタ部材との間、又は、インナ挿入部とインナ部材との間の少なくとも一方に隙間が形成されているので、パネルの構成要素である樹脂成形品に寸法ばらつきが生じたとしても、そのばらつきを上述した隙間で吸収することができる。
さらに、上述した隙間によりアウタ部材やインナ部材の動きが許容されるので、パネルの構成要素であるウレタンの冷却時におけるパネルの反り等の変形を防ぐことができる。
【0014】
寸法ばらつきをより確実に吸収するともに、パネルの反り等の変形をより確実に抑制するためには、前記アウタ挿入部と前記アウタ部材との間、及び、前記インナ挿入部と前記インナ部材との間の双方に隙間が形成されていることが好ましい。
【0015】
前記アウタ挿入部に対する前記アウタ部材の挿入方向と、前記インナ挿入部に対する前記インナ部材の挿入方向とが互いに直交することが好ましい。
このような構成であれば、アウタ部材を接続部材に対して例えば水平方向から差し込み、それらに対してインナ部材を上下方向から差し込むことで、アウタ部材及びインナ部材が接続部材を介して接続されるので、パネルの組み立てが容易である。もちろん、パネルの組立手順はこれに限られるものではなく、上述した手順は一例である。
【0016】
前記アウタ挿入部又は前記インナ挿入部の少なくとも一方が、前記アウタ部材又は前記インナ部材の挿入により弾性変形するとともに、その復元力により挿入されている前記アウタ部材又は前記インナ部材を保持する一対の保持部を有していることが好ましい。
このような構成であれば、アウタ部材又はインナ部材の少なくとも一方が弾性変形するので、この挿入部に対してアウタ部材又はインナ部材を無理なく挿入することができ、さらに、挿入されているアウタ部材又はインナ部材が保持されるので、パネルの組立作業を安定して行うことができる。
【0017】
前記アウタ部材又は前記インナ部材の挿入方向に沿った前記一対の保持部の長さが、互いに異なることが好ましい。
これならば、アウタ部材又はインナ部材を長さの長い方の保持部に沿わせながら挿入させることで、その長い方の保持部がガイドとして機能するので、作業性の向上を図れる。
【0018】
前記一対の保持部のうちの一方が、他方から離れるように窪む窪み部を有することが好ましい。
このような構成であれば、一対の保持部に保持されているアウタ部材又はインナ部材と窪み部との間に隙間が形成されて、その隙間が、ウレタン等の発泡樹脂が流れ込む樹脂溜まりとして機能するので、過剰な発泡樹脂の漏れを防ぐことができる。
【0019】
前記アウタ挿入部又は前記インナ挿入部の一方には、扉が着磁する金属部材が、前記アウタ部材又は前記インナ部材とともに挿入されており、挿入されている前記アウタ部材又は前記インナ部材と前記金属部材との間に隙間が形成されていることが好ましい。
このような構成であれば、この隙間にウレタン等の発泡樹脂を流し込むことで、その発泡樹脂を介して金属部材とインナ部材とを接着させることができる。
【0020】
前記アウタ部材又は前記インナ部材の一方が、他方に向かって起立するサイド部材を一体的に有していることが好ましい。
これならば、部品点数が少なくて済み、製造コストや製造工程の削減を図れる。
【発明の効果】
【0021】
このように構成した本発明によれば、複数枚のパネルを組み立ててなる冷蔵庫において、寸法ばらつきを吸収できるようにするとともに、パネルの反り等の変形を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態における冷蔵庫の組立前後の構成を示す模式図。
図2】同実施形態におけるパネルの構成を示す断面図。
図3】同実施形態における接続部材及びその周囲の構成を示す模式図。
図4】同実施形態における接続部材及びその周囲の構成を示す断面図。
図5】同実施形態におけるパネルの組み立て手順の一態様を説明する模式図。
図6】同実施形態における冷蔵庫における前面側フランジ部に構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明に係る冷蔵庫の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
本実施形態に係る冷蔵庫100は、図1に示すように、複数枚のパネルPを用いて組み立てられるパネル組立式のものであり、庫内のサイズに応じた種々の大きさのパネルPを備えるものである。
【0025】
そして、この冷蔵庫100は、全部又は一部のパネルPに特徴があるので、以下では、冷蔵庫100の上壁を構成するものを特徴的なパネルPとして取り上げて説明する。
【0026】
このパネルPは、図2に示すように、庫外側を向くアウタ部材10と、庫内側を向くインナ部材20と、アウタ部材10及びインナ部材20に取り囲まれる空間Zに封入されたウレタン等の断熱材とを備えるものである。
【0027】
アウタ部材10は、図2及び図3に示すように、冷蔵庫100の庫外側を向く外向き面11を有する金属製のものであり、ここでは平板矩形状の板金である。
【0028】
インナ部材20は、図2及び図3に示すように、冷蔵庫100の庫内側を向く内向き面21を有する樹脂製のものであり、例えばインジェクションにより成形された樹脂成形品である。
【0029】
本実施形態のインナ部材20は、枡状をなすものであり、具体的には上述した内向き面21の裏面(外向き面)22からアウタ部材10に向かって起立するサイド部材30が一体的に形成されたものである。すなわち、本実施形態のサイド部材30は、インナ部材20の一部をなすものであり、裏面22の4辺それぞれに対応して設けられている。
【0030】
そして、本実施形態の冷蔵庫100は、図2及び図3に示すように、アウタ部材10及びインナ部材20の間に介在してこれらを接続する接続部材40をさらに備えている。
【0031】
この接続部材40は、アウタ部材10の外縁部に沿って延びる長尺状のものであり、ここではアウタ部材10の4辺それぞれに対応して4つの接続部材40が設けられている。
【0032】
それぞれの接続部材40は、図3及び図4に示すように、アウタ部材10が挿入されるアウタ挿入部41と、インナ挿入部42が挿入されるインナ挿入部42とを有しており、ここでは、アウタ挿入部41に対するアウタ部材10の挿入方向と、インナ挿入部42に対するインナ部材20の挿入方向とが互いに直交している。
【0033】
まず、アウタ挿入部41について説明する。
アウタ挿入部41は、図3及び図4に示すように、アウタ部材10の挿入方向に窪みつつ、アウタ部材10の外縁部に沿って延びる凹部43が形成されたものであり、この凹部43にアウタ部材10が挿入される。
【0034】
ここでのアウタ挿入部41は、図4に示すように、凹部43へのアウタ部材10の挿入により弾性変形するとともに、その復元力により挿入されたアウタ部材10を保持する一対の保持部43a、bを有しており、言い換えれば、一対の保持部43a、bにより凹部43が形成されている。
【0035】
これら一対の保持部43a、bは、アウタ部材10の外縁部を厚み方向から挟み込むものであり、この実施形態では、アウタ部材10の挿入方向に沿った長さが互いに異なるものである。
【0036】
具体的には、アウタ部材10の内向き面12に当接する第1の保持部43aの方が、アウタ部材10の外向き面11に当接する第2の保持部43bよりも長い。
かかる構成により、アウタ部材10を第1の保持部43aに沿わせながら挿入することで、この第1の保持部43aがアウタ部材10の挿入をガイドする機能を発揮する。これにより、作業性の向上を図れる。
【0037】
また、一対の保持部43a、bのうちの一方が、他方から離れるように窪む窪み部44を有する。この窪み部44は、アウタ部材10と非接触な箇所となり、ここでは上述した第1の保持部43aに設けられている。
かかる構成により、アウタ部材10と窪み部44との間に隙間G1が形成されて、その隙間G1が、ウレタン等の発泡樹脂が流れ込む樹脂溜まりとして機能する。これにより、過剰な発泡樹脂の漏れを防ぐことができる。
【0038】
然して、上述した一対の保持部43a、bによりアウタ部材10が保持されている状態において、図4に示すように、アウタ部材10とアウタ挿入部41との間には、隙間G2が形成されている。
【0039】
より具体的に説明すると、この隙間G2は、構造的には、上述した凹部43をアウタ部材10の外縁部よりもやや広くしておくことにより形成されており、機能的には、アウタ挿入部41に対するアウタ部材10の移動又は変形を許容するものである。
【0040】
本実施形態の隙間G2は、図4に示すように、アウタ部材10の挿入方向に沿って形成された第1要素G2aと、アウタ部材10の厚み方向に沿って形成された第2要素G2bとから構成されており、第1要素G2aが、アウタ部材10の厚み方向への移動又は変形を許容し、第2要素G2bが、アウタ部材10の挿入方向への移動又は変形を許容する。
【0041】
次に、インナ挿入部42について説明する。
インナ挿入部42は、図3及び図4に示すように、インナ部材20の挿入方向に窪みつつ、インナ部材20の外縁部に沿って延びる凹部45が形成されたものであり、この凹部45にインナ部材20が挿入される。
【0042】
本実施形態のインナ部材20は、上述した通りサイド部材30が一体的に設けられた枡状のものであり、このサイド部材30の端部が凹部45に挿入されることになる。すなわち、この実施形態では、サイド部材30を凹部45に挿入するということは、言い換えれば、インナ部材20を凹部45に挿入するということである。
【0043】
ここでのインナ挿入部42は、アウタ挿入部41と同様に、凹部45へのインナ部材20の挿入により弾性変形するとともに、その復元力により挿入されたインナ部材20を保持する一対の保持部45a、bを有しており、言い換えれば、一対の保持部45a、bにより凹部45が形成されている。
【0044】
これら一対の保持部45a、bは、インナ部材20の端部を厚み方向から挟み込むものであり、この実施形態では、インナ部材20の挿入方向に沿った長さが互いに異なるものである。
【0045】
具体的には、インナ部材20の内向き面21に当接する第3の保持部45aの方が、インナ部材20の外向き面22に当接する第4の保持部45bよりも長い。
かかる構成により、インナ部材20を第3の保持部45aに沿わせながら挿入することで、この第3の保持部45aがインナ部材20の挿入をガイドする機能を発揮する。これにより、作業性の向上を図れる。
【0046】
然して、上述した一対の保持部45a、bによりインナ部材20が保持されている状態において、図4に示すように、インナ部材20とインナ挿入部42との間には、隙間G3が形成されている。
【0047】
より具体的に説明すると、この隙間G3は、構造的には、上述した凹部45をインナ部材20の外縁部よりもやや広くしておくことにより形成されており、機能的には、インナ挿入部42に対するインナ部材20の移動又は変形を許容するものである。
【0048】
本実施形態の隙間G3は、図4に示すように、インナ部材20の挿入方向及びインナ部材20の厚み方向のそれぞれに対して交差する方向に沿って形成された斜め要素G3aを少なくとも備えており、この斜め要素G3aにより、インナ部材20の挿入方向への移動又は変形と、インナ部材20の厚み方向への移動又は変形とを許容する。
【0049】
より具体的に説明すると、インナ部材20の外縁部(ここではサイド部材30の端部)の外面と、凹部45の内面とは、互いに対向する領域にインナ部材20の挿入方向及びインナ部材20の厚み方向のそれぞれに対して傾斜する傾斜面23、46が形成されており、これらの傾斜面23、46の間が上述した斜め要素G3aとして形成されている。
【0050】
なお、図4においては、インナ部材20の挿入方向を向く先端面24と、この先端面24に対向する凹部45の底面451との間にも隙間が形成されているが、この隙間は必ずしも形成されている必要はなく、前記先端面24及び前記底面451が接触していても良い。
【0051】
続いて、上述したパネルPを組み立てる手順について、図5を参照しながら説明する。
【0052】
まず、接続部材40のアウタ挿入部41に対してアウタ部材10を取り付ける(S1)。
本実施形態では、アウタ部材10が矩形状をなすところ、このアウタ部材10の4辺の外縁部それぞれに対して接続部材40を取り付ける。なお、互いに隣り合う接続部材40の端部の間には、図示しないシール部材を設けても良い。
【0053】
次に、接続部材40のインナ挿入部42に対してインナ部材20を取り付ける(S2)。
本実施形態では、インナ部材20が枡状をなすところ、このインナ部材20を構成するサイド部材30の端部に対して、4つの接続部材40を一挙に取り付ける。
【0054】
そして、アウタ部材10及びインナ部材20に囲まれた内部空間Zにウレタン等の発泡樹脂たる断熱材を封入して(S3)、パネルPの組み立てを完了し、その後、ここでのパネルPは、冷蔵庫100の上壁を構成することになる。
【0055】
ところで、これまでは冷蔵庫100の上壁について説明したが、以下では、図6に示すように、扉が磁着される部位に着目して説明する。
【0056】
具体的にこのパネルPは、冷蔵庫100の例えば側壁を構成するものであり、その前面側フランジ部50に扉のマグネットパッキンが磁着されるものである。
【0057】
このパネルPのインナ挿入部42には、扉のマグネットパッキンが着磁される金属部材60が、インナ部材20とともに挿入されている。
【0058】
より具体的に説明すると、金属部材60は、例えば平板状の板金からなるものであり、挿入側端部61が、その表裏が重なり合うように折り曲げられている。
【0059】
このように挿入側端部61を折り曲げることにより、エッジを現れないようにするとともに、挿入側端部61をインナ挿入部42に挿入しやすい形状としている。
【0060】
また、この金属部材60は、挿入側端部61とは反対側の反挿入側端部62も、その表裏が重なり合うように折り曲げられており、この反挿入側端部62がインナ部材20の表面に接触するように配置されている。
【0061】
このように反挿入側端部62を折り曲げることにより、エッジが現れないようにするとともに、この反挿入側端部62よりも挿入側が金属部材60の厚み分、インナ部材20の表面から離れて非接触な状態となるようにしている。
【0062】
かかる構成により、金属部材60とインナ部材20との間に隙間G4が形成される。そして、インナ部材20における隙間G4に臨む位置に貫通孔Hが形成されており、この貫通孔Hを介してパネルP内に封入したウレタン等の発泡樹脂が、隙間G4に流れ込むようにしてある。
これにより、金属部材60とインナ部材20とが、隙間G4に流れ込んだ発泡樹脂により接着されている。
【0063】
このように構成された冷蔵庫100によれば、複数枚のパネルPにより組み立てられるので、多様な製品サイズへの対応、生産工場への設備投資の削減、及び輸送コストの削減など、冷蔵庫100のパネル化による種々のメリットを享受することができる。
そのうえで、アウタ挿入部41とアウタ部材10との間、及び、インナ挿入部42とインナ部材20との間それぞれに隙間G2、3が形成されているので、パネルPの構成要素である樹脂成形品に寸法ばらつきが生じたとしても、そのばらつきを上述した隙間G2、3で吸収することができる。
さらに、上述した隙間G2、3によりアウタ部材10やインナ部材20の動きが許容されるので、パネルPの構成要素であるウレタンの冷却時におけるパネルPの反り等の変形を防ぐことができる。
【0064】
また、アウタ挿入部41に対するアウタ部材10の挿入方向と、インナ挿入部42に対するインナ部材20の挿入方向とが互いに直交するので、例えば、アウタ部材10を接続部材40に対して例えば水平方向から差し込み、それらに対してインナ部材20を上下方向から差し込むことで、アウタ部材10及びインナ部材20が接続部材40を介して接続され、パネルPの組み立てが容易である。
【0065】
アウタ挿入部41が、弾性変形するとともにアウタ部材10を保持する一対の保持部43a、bを有するので、アウタ部材10を無理なく挿入することができ、さらに、そのアウタ部材10が保持されるので、パネルPの組立作業を安定して行うことができる。
【0066】
また、インナ挿入部42が、弾性変形するとともにインナ部材20を保持する一対の保持部45a、bを有するので、インナ部材20を無理なく挿入することができ、さらに、そのインナ部材20が保持されるので、パネルPの組立作業を安定して行うことができる。
【0067】
なお、本発明は、前記実施形態に限られるものではない。
【0068】
例えば、前記実施形態では、アウタ挿入部41とアウタ部材10との間、及び、インナ挿入部42とインナ部材20との間それぞれに隙間G2、3が形成されていたが、アウタ挿入部41とアウタ部材10との間、又は、インナ挿入部42とインナ部材20との間の一方のみに隙間G2、3が形成されていても良い。
【0069】
また、アウタ挿入部41に対するアウタ部材10の挿入方向と、インナ挿入部42に対するインナ部材20の挿入方向とは、必ずしも互いに直交している必要はなく、それぞれの部材の形状などによっては、斜めに交差しても良い。
【0070】
さらに、一対の保持部43a、bや一対の保持部45a、bは必ずしも長さを変える必要はなく、互いに同じ長さにしても構わない。
【0071】
そのうえ、サイド部材30は、前記実施形態ではインナ部材20と一体的なものであったが、アウタ部材10と一体的なものであっても良い。
【0072】
そのうえ、前記実施形態では、アウタ部材10の1辺に対して1つの長尺状の接続部材40を取り付けていたが、アウタ部材10の1辺に対して複数個の短尺状の接続部材40を間欠的に又は密接させて取り付けても良い。
【0073】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0074】
100・・・冷蔵庫
P ・・・パネル
10 ・・・アウタ部材
20 ・・・インナ部材
30 ・・・サイド部材
40 ・・・接続部材
41 ・・・アウタ挿入部
42 ・・・インナ挿入部
43 ・・・凹部
43a・・・保持部
43b・・・保持部
44 ・・・窪み部
G2 ・・・隙間
45 ・・・凹部
45a・・・保持部
45b・・・保持部
G3 ・・・隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6