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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113233
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】船舶
(51)【国際特許分類】
   B63H 21/32 20060101AFI20230808BHJP
   B63H 21/38 20060101ALI20230808BHJP
   F01N 3/04 20060101ALI20230808BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B63H21/32 Z
B63H21/38 Z
F01N3/04
F01N3/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015438
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】503218067
【氏名又は名称】住友重機械マリンエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】猪又 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】岡下 友則
【テーマコード(参考)】
3G091
【Fターム(参考)】
3G091AA04
3G091AA11
3G091AB09
3G091AB11
3G091AB15
3G091BA14
3G091BA20
3G091CA15
3G091CA17
(57)【要約】
【課題】薬品の漏れを抑制すると共に、薬品供給のためのスペースを低減することができる船舶を提供する。
【解決手段】NaOH水溶液を貯めるNaOHタンク44の上部にポンプユニット80が設けられる。この場合、NaOHタンク44を配置する床(機関室の床)のフットプリントを考慮した場合、ポンプユニット80がNaOHタンク44の上部に設けられた分、ポンプユニット80の分のフットプリントを省略することができる。そのため、薬品供給のためのスペースを低減することができる。また、ポンプユニット80がNaOHタンク44の上部に設けられることで、ポンプユニット80とNaOHタンク44との間のNaOHタンク取り出し管76を短くすることが可能となる。そのため、配管や継手からNaOH水溶液が漏れる可能性を低減することができる。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から大気へ放出される排ガス中の所定成分を低減させるための洗浄水に添加する薬品を貯めるタンクと、
前記薬品を前記洗浄水へ供給する供給部と、を備え、
前記タンクの上部に前記供給部が設けられる、船舶。
【請求項2】
前記供給部は、前記タンクの上壁部から前記タンク中の薬品を取り出す、請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
漏れた前記薬品を回収するドレン回収部を有する、請求項1又は2に記載の船舶。
【請求項4】
前記タンクの上部には、洗浄装置が設けられる、請求項1~3の何れか一項に記載の船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の船舶では、例えば船体の船尾側に機関室が画設され、この機関室に主機(メインエンジン)等のエンジンが配置されている。このような船舶においては、近年、例えばエンジンの排ガス(以下、単に「排ガス」ともいう)の規制が益々厳しくなっていることから、当該排ガスに含まれる成分を除去するための処理を行うシステムの装備が提案されている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08-010564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、船舶には、内燃機関から大気へ放出される排ガス中の所定成分(NOxなど)を低減させるための洗浄水に添加する薬品を貯めるタンクが設けられる。また、このようなタンクの薬品を洗浄水へ供給するポンプなどの供給部が必要となる。この際、ポンプとタンクとの間の配管が長くなることで薬品が漏れる可能性がある。また、機関室などの設置スペースを低減することも求められる。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、薬品の漏れを抑制すると共に、薬品供給のためのスペースを低減することができる船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る船舶は、内燃機関から大気へ放出される排ガス中の所定成分を低減させるための洗浄水に添加する薬品を貯めるタンクと、薬品を洗浄水へ供給する供給部と、を備え、タンクの上部に供給部を設ける。
【0007】
本発明に係る船舶において、薬品を貯めるタンクの上部に供給部が設けられる。この場合、タンクを配置する床のフットプリントを考慮した場合、供給部がタンクの上部に設けられた分、供給部の分のフットプリントを省略することができる。そのため、薬品供給のためのスペースを低減することができる。また、供給部がタンクの上部に設けられることで、供給部とタンクとの間の配管を短くすることが可能となる。そのため、配管から薬品が漏れる可能性を低減することができる。以上より、薬品の漏れを抑制すると共に、薬品供給のためのスペースを低減できる。
【0008】
供給部は、タンクの上壁部からタンク中の薬品を取り出してよい。この場合、仮に供給部とタンクとの間の配管で薬品の漏れが発生したとしても、漏れた薬品をタンクの上壁部で受けることができる。
【0009】
船舶は、漏れた薬品を回収するドレン回収部を有してよい。これにより、仮に薬品が漏れたとしても、ドレン回収部で回収して廃棄することができる。
【0010】
タンクの上部には、洗浄装置が設けられてよい。この場合、作業者に薬品が付着した場合などに、速やかに洗浄装置で洗浄することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、薬品の漏れを抑制すると共に、薬品供給のためのスペースを低減することができる船舶を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る船舶の一例を示す概略断面図である。
図2】EGRシステムの概略構成を示す概略構成図である。
図3】NaOHタンクの周辺構成を示す斜視図である。
図4】(a)は、図3に示すIVa-IVa線に沿った断面図であり、(b)は、図3に示すIVb-IVb線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の排ガス処理システムの好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「前」「後」の語は船体の進行方向に対応するものであり、「横」の語は船体の左右(幅)方向に対応するものであり、「上」「下」の語は船体の上下方向に対応するものである。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る船舶の一例を示す概略断面図である。船舶1は、例えば原油や液体ガス等の石油系液体貨物を運搬する船舶であり、例えば、オイルタンカーである。なお、船舶は、オイルタンカーに限定されず、例えば、バルクキャリア、その他、様々な種類の船舶であってよい。
【0015】
船舶1は、図1に示すように、船体11と、推進器12と、を備えている。船体11は、船首部2と、船尾部3と、機関室4と、ポンプ室5と、貨物室6と、を有している。船体11の上部には(または船内には)甲板19が設けられている。船首部2は、船体11の前方側に位置している。船尾部3は、船体11の後方側に位置している。船首部2は、例えば満載喫水状態における造波抵抗の低減が図られた形状を有している。推進器12は、船体11を推進させるものであり、例えばスクリューシャフトが用いられている。推進器12は、船尾部3における喫水線(海Wの水面)よりも下方に設置されている。また、船尾部3における喫水線よりも下方には、推進方向を調整するための舵15が設置されている。
【0016】
機関室4は、船尾部3の船首側に隣り合う位置に設けられている。機関室4は、推進器12に駆動力を付与するためのエンジン16(内燃機関)を配置するための区画である。甲板19上には、機関室4の上方に居住区33、及び排気用の煙突34が設けられる。ポンプ室5は、機関室4の船首側に隣り合う位置に設けられている。ポンプ室5は、ポンプ17等が配置される区画である。貨物室6は、船首部2とポンプ室5との間に設けられている。貨物室6は、石油系貨物を収容するための区画である。貨物室6は、外板20と内底板21の二重船殻構造を採用することによって、カーゴオイルタンク26とバラストタンク27とに区画されている。カーゴオイルタンク26は、船舶1によって運搬される石油系貨物を積載する。バラストタンク27は、船の大きさ等に応じた量のバラスト水を収容する。
【0017】
機関室4には、エンジン16から大気に放出される所定成分を低減させるためのEGR(Exhaust Gas Recirculation)システム40を有する。本実施形態では、EGRシステム40は、所定成分として、NOxを低減することができる。EGRシステム40は、排ガスの一部を冷却及び清浄した後、掃気レシーバへ再循環させる。これにより、掃気中に含まれる酸素の一部が燃焼によって生成された二酸化炭素と置換される。これによって、掃気中の酸素含有率が低下し、また、熱容量が増大し、その結果、燃焼温度最高点が低下してNOxが低減する。
【0018】
図2は、EGRシステム40の概略構成を示す概略構成図である。図2に示すように、EGRシステム40は、EGRユニット41と、RT(Receiving Tank)ユニット42と、バッファタンク43と、NaOHタンク44と、ドレンタンク46と、WTS(Water Treatment System)47と、を備える。
【0019】
EGRユニット41は、排ガスを再循環させるために排ガスを洗浄するユニットである。EGRユニット41では、EGRプレスプレー及びEGRクーラースプレーによる冷却清浄プロセスが用いられる。EGRユニット41は、洗浄水をRTユニット42へ排出する。RTユニット42は、EGRユニット41から洗浄水を受容して、洗浄水の一部をバッファタンクへ供給し、一部の洗浄水をEGRユニット41へ再循環させる。RTユニット42は、レシービングタンク、プロセス水循環ポンプ、RTU制御弁、pHセンサ等などから構成される。
【0020】
バッファタンク43は、洗浄水を貯めるタンクであり、EGRプロセスにおける洗浄水の量と水質を制御するためのタンクである。バッファタンク43は、一部の洗浄水をポンプ49を介してEGRユニット41へ供給する。また、バッファタンク43は、オーバーフローした洗浄水をドレンとしてドレンタンク46へ供給する。
【0021】
NaOHタンク44は、エンジン16から大気へ放出される排ガス中のNOxを低減させるための洗浄水に添加するNaOH水溶液(薬品)を貯めるタンクである。NaOH水溶液は、システム内の硫酸を中和するための溶液である。NaOHタンク44は、ポンプ48を介して、バッファタンク43からEGRユニット41へ向かう洗浄液に対して供給される。
【0022】
ドレンタンク46は、システム内で生じたドレンを貯めるタンクである。ドレンタンク46は、ドレンをWTS47へ供給する。
【0023】
WTS47は、EGRシステム40で洗浄水が循環する過程において汚濁が生じた場合に、当該洗浄水の水処理を行うシステムである。WTS47は、分離機、フィルタ、油分濃度計、WTS制御盤などから構成される。WTS47は処理後の水を船舶1の外部へ排出する。また、WTS47は水処理のために発生した水の一部をドレンタンク46へ供給する。
【0024】
次に、図3を参照して、NaOHタンク44周辺の構成について説明する。図3は、NaOHタンク44の周辺構成を示す斜視図である。なお、以降の説明においては、図3に示すNaOHタンク44を含む構造物をタンクユニット100と称する場合がある。
【0025】
図3に示すように、タンクユニット100は、前述のNaOHタンク44と、NaOHドレンタンク60と、前述のポンプ48及びポンプ49を含むポンプユニット80(供給部)と、洗浄装置50と、を備える。なお、ポンプ48及びポンプ49は、タンクユニット100と独立に配置することもできる。図3には、XYZ座標が設定されている。X軸方向は、水平方向における一の方向である。Y軸方向は、X軸方向と直交する水平方向である。Z軸方向は上下方向である。Z軸方向の正側が上側である。なお、以降の説明において、「水平方向の内側」とは、水平方向において各タンクの中央位置に近づく側を意味する。
【0026】
NaOHドレンタンク60は、機関室4内の床面上に設置される。NaOHドレンタンク60は、X軸方向に互いに対向する側壁部51,52と、Y軸方向に互いに対向する53,54と、下側の底壁部56と、上側の上壁部57と、を備える。NaOHドレンタンク60の内部にドレンを貯めることができるように、互いの壁部の端部は隙間なく接続されている。NaOHドレンタンク60は、X軸方向に長手方向を有する扁平な直方体箱型の形状を有しているが、形状は特に限定されない。
【0027】
NaOHタンク44は、NaOHドレンタンク60の上壁部57の上面に設置される。NaOHタンク44は、X軸方向に互いに対向する側壁部61,62と、Y軸方向に互いに対向する63,64と、上側の上壁部67と、を備える。なお、NaOHタンク44は、NaOHドレンタンク60の上壁部57を底壁部として共有してもよく、上壁部57の上面に別の板状部材としての底壁部を有してもよい。NaOHタンク44の内部にNaOHを貯めることができるように、互いの壁部の端部は隙間なく接続されている。NaOHタンク44は、X軸方向に長手方向を有する扁平な直方体箱型の形状を有しているが、形状は特に限定されない。
【0028】
NaOHタンク44の各側壁部61,62,63,64は、NaOHドレンタンク60の各側壁部51,62,63,64よりも水平方向の内側に離間した位置に配置される。これにより、NaOHタンク44の下端部の周囲には、NaOHドレンタンク60の上壁部57の上面が所定幅にて露出した状態となる。
【0029】
NaOHタンク44の側壁部61の底面付近の位置には、NaOHタンク44に貯められたNaOH水溶液の温度を測定する温度計71と、NaOHタンクの液面の下降を検知して警報を発するレベル警報器99と、が設けられる。NaOHタンク44の上壁部67には、NaOHタンク取入管72と、NaOHタンク通気管73と、マンホール74と、が設けられる。NaOHタンク取入管72は、NaOHタンク44の内部にNaOH水溶液を取り入れるときの入口となる配管である。NaOHタンク通気管73は、NaOHタンク44内の圧力が上昇または減少しないように空気を流通させるための通気孔となる配管である。マンホール74は、メンテナンスのための開口部を塞ぐための部材である。なお、温度計71、NaOHタンク取入管72、NaOHタンク通気管73、及びマンホール74の配置は、特に限定されず、適宜変更してもよい。
【0030】
NaOHタンク44の上部にはポンプユニット80が設けられる。ポンプユニット80は、NaOHタンク44の上壁部67の上面のうち、X軸方向の正側の位置に配置される。ポンプユニット80のY軸方向の負側の端部には、NaOHタンク取り出し管76が設けられている。NaOHタンク取り出し管76は、NaOHタンク44からNaOH水溶液を吸引して取り出すための配管である。NaOHタンク取り出し管76は、屈曲することでNaOHタンク44の上壁部67に対して上方から垂直に挿入されている。そのため、ポンプユニット80は、NaOHタンク44の上壁部67からNaOHタンク44中のNaOH水溶液を取り出すことができる。ポンプユニット80のY軸方向の負側の端部には、ポンプ49の出口管77が設けられる。出口管77は、NaOHタンク44から取り出したNaOH水溶液と、バッファタンク43内の洗浄水を下流側へ供給するための配管である。
【0031】
ポンプユニット80及びNaOHタンク取り出し管76は、上下方向からみたときに、NaOHタンク44の上壁部67と重なり、当該上壁部67の縁部から外側へはみ出ない構成となっている。従って、ポンプユニット80及びNaOHタンク取り出し管76からNaOH水溶液が漏れた場合、漏れたNaOH水溶液は上壁部67で受けられる。出口管77のポンプユニット80との継手部分も上下方向から見て上壁部67と重なるので、継手部分から漏れるNaOH水溶液は上壁部67で受けられる。
【0032】
NaOHタンク44の上部には、洗浄装置50が設けられる。洗浄装置50は、NaOHタンク44の上壁部67の上面のうち、X軸方向の負側の位置に配置される。洗浄装置50は、タンクユニット100で作業を行う作業者が水を使用して洗浄に用いる装置である。洗浄装置50は、シンク81と、蛇口82と、アイウォッシャー83と、シャワー84と、を備える。これにより、作業者は、NaOHタンク44の上壁部67上にて、自身に付着したNaOH水溶液を洗浄したり、所定の部材を洗浄するなどの作業を行うことができる。また、洗浄装置50には、蛇口82、アイウォッシャー83、及びシャワー84への給水配管86が設けられる。また、洗浄装置50には、シンク81からの排水を流す排水配管87が設けられる。
【0033】
タンクユニット100は、漏れたNaOH水溶液を回収するドレン回収部90を有する。ドレン回収部90は、NaOHタンク44に設けられたコーミング91と、NaOHドレンタンク60に設けられたコーミング92と、タンクトップドレン回収管93と、ドレン開口部94と、を備える。
【0034】
コーミング91は、NaOHタンク44の上壁部67の四方の縁部から上方へ立ち上がるように設けられた堰部材である。図4(a)は、図3に示すIVa-IVa線に沿った断面図である。図4(a)に示すように、コーミング91の下端部は、NaOHタンク44の上壁部67と、側壁部63との間の角部付近に隙間なく固定されている。そして、コーミング91は、当該固定位置から上方に延びている。これにより、ポンプユニット80等から漏れて上壁部67に受け止められたNaOH水溶液W1は、上壁部67の縁部まで至っても、落下することなくコーミング91に堰き止められる。なお、コーミング91による堰き止め効果は、他の側壁部61,62,64付近においても同様に得られる。また、コーミング91を設けず、側壁部63を上壁部67より上方へ延長することもできる。
【0035】
コーミング92は、NaOHドレンタンク60の上壁部57の四方の縁部から上方へ立ち上がるように設けられた堰部材である。図4(b)は、図3に示すIVb-IVb線に沿った断面図である。図4(b)に示すように、コーミング92の下端部は、NaOHドレンタンク60の上壁部57と、側壁部53との間の角部付近に隙間なく固定されている。そして、コーミング92は、当該固定位置から上方に延びている。これにより、NaOHタンク44から漏れて上壁部57に受け止められたNaOH水溶液W1は、上壁部57の縁部まで至っても、落下することなくコーミング92に堰き止められる。これにより、NaOH水溶液は、コーミング92、側壁部63、及び上壁部57によって形成される溝部に貯まる。なお、コーミング92による堰き止め効果は、他の側壁部51,52,54付近においても同様に得られる。また、コーミング92を設けず、側壁部53を上壁部57より上方へ延長することもできる。
【0036】
タンクトップドレン回収管93は、NaOHタンク44の上壁部67上に貯まったNaOH水溶液を回収してNaOHドレンタンク60へ落下させる配管である。上壁部67のY軸方向の負側の端部には、X軸方向の負側の端部付近にて、コーミング91が側壁部63よりも外側へ張り出した部分93aが形成されている。タンクトップドレン回収管93の上端部は、当該部分93aから落下するNaOH水溶液を受ける。タンクトップドレン回収管93の下端部は、ドレン開口部94の位置まで延びている。これにより、タンクトップドレン回収管93を通過したNaOH水溶液は、ドレン開口部94を介してNaOHドレンタンク60へ落下して貯められる。
【0037】
ドレン開口部94は、NaOHドレンタンク60の上壁部57のY軸方向の負側の端部における、X軸方向の負側の端部付近に形成される。ドレン開口部94は、側壁部63とコーミング92との間において、上壁部57を貫通することによって形成される。これにより、コーミング92によって上壁部57に貯まったNaOH水溶液がドレン開口部94を介してNaOHドレンタンク60内へ落下して回収される。なお、側壁部51におけるドレン開口部94付近の位置には、液面の上昇を検知して警報を発するレベル警報器96が設けられる。
【0038】
ドレン回収部90は、ドレン開口部94からNaOHドレンタンク60内へ落下させてNaOH水溶液を回収する。NaOHドレンタンク60で回収されたNaOH水溶液は廃棄される。なお、ドレン回収部90は、必ずしもNaOH水溶液をNaOHドレンタンク60に導かなくともよく、他のタンクへ導いてもよい。また、ドレン回収部90は、コーミング91,92で漏れたNaOH水溶液を留めておくことで、ふき取ることによって回収して、廃棄処理可能としてもよい。
【0039】
次に、本実施形態に係る船舶1の作用・効果について説明する。
【0040】
本実施形態に係る船舶1において、NaOH水溶液を貯めるNaOHタンク44の上部にポンプユニット80が設けられる。この場合、NaOHタンク44を配置する床(機関室の床)のフットプリントを考慮した場合、ポンプユニット80がNaOHタンク44の上部に設けられた分、ポンプユニット80の分のフットプリントを省略することができる。そのため、薬品供給のためのスペースを低減することができる。また、ポンプユニット80がNaOHタンク44の上部に設けられることで、ポンプユニット80とNaOHタンク44との間のNaOHタンク取り出し管76を短くすることが可能となる。そのため、配管や継手からNaOH水溶液が漏れる可能性を低減することができる。以上より、NaOH水溶液の漏れを抑制すると共に、薬品供給のためのスペースを低減できる。
【0041】
また、ポンプユニット80とNaOHタンク44の位置関係が必然的に決定されることで、吸い込み性能に対するポンプ選定が容易となる。すなわち、薬品供給システムの配置場所によるポンプの性能選定が不要となる。
【0042】
ポンプユニット80は、NaOHタンク44の上壁部67からNaOHタンク44中のNaOH水溶液を取り出してよい。この場合、仮にポンプユニット80とNaOHタンク44との間のNaOHタンク取り出し管76でNaOH水溶液の漏れが発生したとしても、漏れたNaOH水溶液をNaOHタンク44の上壁部67で受けることができる。また、NaOHタンク取り出し管76がNaOHタンク44の液面より上方に配置されるので、ポンプ停止時の配管破損によってNaOHタンク44内のNaOH水溶液が漏洩することを抑制できる。
【0043】
船舶1は、漏れたNaOH水溶液を回収するドレン回収部90を有してよい。これにより、仮にNaOH水溶液が漏れたとしても、ドレン回収部90で回収して廃棄することができる。
【0044】
NaOHタンク44の上部には、洗浄装置50が設けられてよい。この場合、作業者に薬品が付着した場合などに、速やかに洗浄装置50で洗浄することができる。
【0045】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0046】
例えば、上述の実施形態では、NaOHタンク44の下部にNaOHドレンタンク60が設けられていたが、NaOHドレンタンク60以外のタンクが設けられてもよく、NaOHドレンタンク60が設けられず、NaOHタンク44が直接床に配置されてもよい。
【0047】
上述の実施形態では、薬品としてNaOH水溶液が例示されたが、尿素水、アンモニア水等が採用されてもよい。また、上記システムが低減できる所定成分として、NOxの他、SOx等を低減してもよい。
【0048】
また、タンクユニット100の各構成要素の位置、形状、大きさ等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…船舶、44…NaOHタンク(タンク)、80…ポンプユニット(供給部)、50…洗浄装置、67…上壁部、90…ドレン回収部。
図1
図2
図3
図4