(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113236
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】筒状部材及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20230808BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20230808BHJP
F16L 11/115 20060101ALI20230808BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
H02G3/04 068
H01B7/00 301
F16L11/115
B60R16/02 623U
B60R16/02 620A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015443
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】金 知聖
(72)【発明者】
【氏名】濱本 直也
(72)【発明者】
【氏名】清水 武史
【テーマコード(参考)】
3H111
5G309
5G357
【Fターム(参考)】
3H111BA15
3H111CA42
3H111CC22
3H111DB23
5G309AA01
5G309AA09
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD02
5G357DD05
5G357DD10
5G357DG04
(57)【要約】
【課題】製造性を向上できる筒状部材及びワイヤハーネスを提供する。
【解決手段】ワイヤハーネス10は、電線21と、電線21が貫通する樹脂製の筒状部材30とを有する。筒状部材30は、筒状部材30の軸方向に沿って第1山部41と第1谷部42とが並んで設けられる蛇腹構造を有する筒状の蛇腹部40と、蛇腹部40よりも曲げ剛性が高い筒状の剛性部50とを有する。剛性部50は、筒状部材30の軸方向に沿って並んで設けられた第2山部51及び第2谷部52と、第2山部51と第2谷部52とによって形成された溝部60と、剛性部50の周方向の一部において溝部60を埋めるように形成された補強部70とを有する。補強部70は、第2山部51の外周面よりも筒状部材30の径方向外側に突出するとともに、筒状部材30の軸方向に沿って延びている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線が貫通する樹脂製の筒状部材であって、
前記筒状部材の軸方向に沿って第1山部と第1谷部とが並んで設けられる蛇腹構造を有する筒状の蛇腹部と、
前記蛇腹部よりも曲げ剛性が高い筒状の剛性部と、を有し、
前記剛性部は、前記筒状部材の軸方向に沿って並んで設けられた第2山部及び第2谷部と、前記第2山部と前記第2谷部とによって形成された溝部と、前記剛性部の周方向の一部において前記溝部を埋めるように形成された補強部と、を有し、
前記補強部は、前記第2山部の外周面よりも前記筒状部材の径方向外側に突出するとともに、前記筒状部材の軸方向に沿って延びている、筒状部材。
【請求項2】
前記第2山部の外形は、前記第1山部の外形よりも小さく形成されており、
前記第2谷部の外形は、前記第1谷部の外形よりも小さく形成されている請求項1に記載の筒状部材。
【請求項3】
前記補強部は、前記剛性部の周方向に厚みを有する板状に形成されており、
前記補強部は、前記第1山部の外周面よりも前記筒状部材の径方向外側に突出している請求項1又は請求項2に記載の筒状部材。
【請求項4】
前記第2谷部の底部の内周面は、前記第1谷部の底部の内周面よりも前記筒状部材の径方向内側に設けられている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の筒状部材。
【請求項5】
前記剛性部は、複数の前記補強部を有し、
前記複数の補強部は、前記剛性部の周方向において互いに離れて設けられている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の筒状部材。
【請求項6】
前記複数の補強部は、前記剛性部の周方向に等角度間隔で設けられている請求項5に記載の筒状部材。
【請求項7】
前記複数の補強部は、前記剛性部の周方向に180度間隔で設けられている請求項6に記載の筒状部材。
【請求項8】
前記複数の補強部は、前記剛性部の周方向に90度間隔で設けられている請求項6に記載の筒状部材。
【請求項9】
前記筒状部材は、複数の前記剛性部を有し、
前記複数の剛性部は、前記筒状部材の軸方向に沿って並んで設けられている請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の筒状部材。
【請求項10】
前記複数の剛性部は、第1剛性部と第2剛性部とを有し、
前記第1剛性部の有する前記補強部は、前記筒状部材の周方向における第1位置に設けられており、
前記第2剛性部の有する前記補強部は、前記筒状部材の周方向における前記第1位置とは異なる第2位置に設けられている請求項9に記載の筒状部材。
【請求項11】
前記複数の剛性部は、前記筒状部材の軸方向において互いに離れて設けられる第1剛性部及び第3剛性部を有し、
前記第1剛性部の有する前記補強部は、前記筒状部材の周方向における第1位置に設けられており、
前記第3剛性部の有する前記補強部は、前記筒状部材の周方向における前記第1位置に設けられている請求項9又は請求項10に記載の筒状部材。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の筒状部材と、
前記筒状部材を貫通する前記電線と、を有するワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、筒状部材及びワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド自動車や電気自動車などの車両に用いられるワイヤハーネスは、高電圧のバッテリやインバータなどの電気機器同士を電気的に接続する電線を備えている。このワイヤハーネスにおいては、電線の保護を目的として、電線の外周が筒状の外装部材によって覆われている。この種の外装部材としては、曲げ剛性が低い蛇腹部と曲げ剛性が高い直管部とを有する樹脂製の筒状部材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の外装部材では、ワイヤハーネスのレイアウト変更等に伴って直管部の長さや位置が変更になった場合には、外装部材を作製するための金型を作り直す必要がある。このため、ワイヤハーネスの製造性が低いという問題がある。
【0005】
本開示の目的は、製造性を向上できる筒状部材及びワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の筒状部材は、電線が貫通する樹脂製の筒状部材であって、前記筒状部材の軸方向に沿って第1山部と第1谷部とが並んで設けられる蛇腹構造を有する筒状の蛇腹部と、前記蛇腹部よりも曲げ剛性が高い筒状の剛性部と、を有し、前記剛性部は、前記筒状部材の軸方向に沿って並んで設けられた第2山部及び第2谷部と、前記第2山部と前記第2谷部とによって形成された溝部と、前記剛性部の周方向の一部において前記溝部を埋めるように形成された補強部と、を有し、前記補強部は、前記第2山部の外周面よりも前記筒状部材の径方向外側に突出するとともに、前記筒状部材の軸方向に沿って延びている。
【0007】
本開示のワイヤハーネスは、前記筒状部材と、前記筒状部材を貫通する前記電線と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の筒状部材及びワイヤハーネスによれば、製造性を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略側面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略断面図(
図2における3-3線断面図)である。
【
図4】
図4は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略断面図(
図2における4-4線断面図)である。
【
図5】
図5は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略斜視図である。
【
図6】
図6は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略断面図(
図4における6-6線断面図)である。
【
図7】
図7は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略断面図(
図4における7-7線断面図)である。
【
図8】
図8は、一実施形態のワイヤハーネスの製造方法を示す概略側面図である。
【
図9】
図9は、一実施形態のワイヤハーネスの製造方法を示す概略断面図である。
【
図10】
図10は、一実施形態のワイヤハーネスの製造方法を示す概略断面図である。
【
図11】
図11は、変更例のワイヤハーネスを示す概略斜視図である。
【
図12】
図12は、変更例のワイヤハーネスを示す概略断面図である。
【
図13】
図13は、変更例のワイヤハーネスの製造方法を示す概略断面図である。
【
図14】
図14は、変更例のワイヤハーネスの製造方法を示す概略断面図である。
【
図15】
図15は、変更例のワイヤハーネスを示す概略断面図である。
【
図16】
図16は、変更例のワイヤハーネスを示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
[1]本開示の筒状部材は、電線が貫通する樹脂製の筒状部材であって、前記筒状部材の軸方向に沿って第1山部と第1谷部とが並んで設けられる蛇腹構造を有する筒状の蛇腹部と、前記蛇腹部よりも曲げ剛性が高い筒状の剛性部と、を有し、前記剛性部は、前記筒状部材の軸方向に沿って並んで設けられた第2山部及び第2谷部と、前記第2山部と前記第2谷部とによって形成された溝部と、前記剛性部の周方向の一部において前記溝部を埋めるように形成された補強部と、を有し、前記補強部は、前記第2山部の外周面よりも前記筒状部材の径方向外側に突出するとともに、前記筒状部材の軸方向に沿って延びている。
【0011】
この構成によれば、蛇腹部の周方向の一部に、第2山部と第2谷部とによって形成された溝部を埋める補強部が設けられる。この補強部によって溝部の一部が埋められるため、溝部が埋められていない場合に比べて、剛性部における曲げ剛性を高めることができる。例えば、補強部によって溝部の一部が埋められると、溝部が埋められていない場合に比べて、剛性部の軸方向において伸び縮み可能な量が小さくなるため、剛性部が曲がり難くなる。これにより、剛性部の曲げ剛性が蛇腹部の曲げ剛性よりも高くなる。このため、筒状部材に電線を貫通させた場合に、その電線の経路を剛性部によって好適に維持することができる。また、剛性部の周方向における補強部の位置を調整することによって、剛性部において曲げ剛性を高められる方向を調整することができる。すなわち、剛性部の周方向における補強部の位置を調整することによって、剛性部において曲げ難くできる方向を調整することができる。さらに、補強部は、例えば蛇腹部における第1山部の一部を潰すことによって形成することが可能である。このため、例えば第1山部を潰す位置を変更することにより、補強部の位置を容易に変更することができる。例えば、筒状部材の軸方向における補強部の位置を変更することによって、筒状部材の軸方向における剛性部の位置を容易に変更することができる。例えば、筒状部材の周方向における補強部の位置を変更することによって、剛性部において曲げ剛性を高められる方向を容易に変更することができる。この結果、ワイヤハーネスの仕様変更に容易に対応することができ、ワイヤハーネスの製造性を向上できる。
【0012】
ここで、本明細書における「筒状」は、周方向全周にわたって周壁が形成されたものを言う。本明細書における「筒状」は、外縁形状が円形の円筒状、外縁形状が楕円形や長円形の筒状、外縁形状が多角形の角筒状、外縁形状が角丸多角形の筒状を含み、外縁形状が直線又は曲線で結ばれる任意の閉じた形状からなるものを言う。また、本明細書における「筒状」は、全体として筒状と見做せればよく、外周の一部や内周の一部に凹凸などが形成されたものも含む。
【0013】
[2]前記第2山部の外形は、前記第1山部の外形よりも小さく形成されており、前記第2谷部の外形は、前記第1谷部の外形よりも小さく形成されていることが好ましい。
この構成によれば、第1谷部よりも外形の小さい第2谷部の周方向の一部に、筒状部材の径方向外側に突出する補強部が形成される。このため、第1谷部の周方向の一部に補強部が形成される場合に比べて、剛性部の外形が大型化することを抑制できる。
【0014】
[3]前記補強部は、前記剛性部の周方向に厚みを有する板状に形成されており、前記補強部は、前記第1山部の外周面よりも前記筒状部材の径方向外側に突出していることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、補強部は、剛性部の周方向に厚みを有する板状に形成される。このため、剛性部の周方向の一部において、第2谷部の底部から補強部がリブ状に突出して形成される。この補強部により、剛性部の曲げ剛性を好適に高めることができる。
【0016】
[4]前記第2谷部の底部の内周面は、前記第1谷部の底部の内周面よりも前記筒状部材の径方向内側に設けられていることが好ましい。
この構成によれば、第2谷部における内部空間が第1谷部における内部空間よりも小さく形成される。このため、剛性部において、蛇腹部よりも筒状部材の内部空間が狭くなる部分が形成される。したがって、筒状部材の内部に電線を貫通させた場合に、剛性部の内部空間において電線がばたつくことを好適に抑制できる。
【0017】
[5]前記剛性部は、複数の前記補強部を有し、前記複数の補強部は、前記剛性部の周方向において互いに離れて設けられていることが好ましい。
この構成によれば、剛性部の周方向において互いに離れて設けられる複数の補強部によって、剛性部において曲げ剛性を高められる方向を複数の方向に設定することができる。すなわち、剛性部の周方向の任意の位置に設けられる複数の補強部により、複数の方向に対して剛性部を曲げ難くすることができる。
【0018】
[6]前記複数の補強部は、前記剛性部の周方向に等角度間隔で設けられていることが好ましい。
この構成によれば、剛性部の周方向に等角度間隔で設けられる複数の補強部により、複数の方向に対して剛性部を曲げ難くすることができる。
【0019】
[7]前記複数の補強部は、前記剛性部の周方向に180度間隔で設けられていることが好ましい。
この構成によれば、剛性部の周方向に180度間隔で設けられる2つの補強部により、2つの方向に対して剛性部を曲げ難くすることができる。
【0020】
[8]前記複数の補強部は、前記剛性部の周方向に90度間隔で設けられていることが好ましい。
この構成によれば、剛性部の周方向に90度間隔で設けられる4つの補強部により、4つの方向に対して剛性部を曲げ難くすることができる。
【0021】
[9]前記筒状部材は、複数の前記剛性部を有し、前記複数の剛性部は、前記筒状部材の軸方向に沿って並んで設けられていることが好ましい。
この構成によれば、蛇腹部よりも曲げ剛性の高い剛性部が複数設けられる。これら複数の剛性部によって、筒状部材の形状を好適に維持できる。また、筒状部材の内部に電線を貫通させた場合には、複数の剛性部によって、電線の経路を好適に維持できる。
【0022】
[10]前記複数の剛性部は、第1剛性部と第2剛性部とを有し、前記第1剛性部の有する前記補強部は、前記筒状部材の周方向における第1位置に設けられており、前記第2剛性部の有する前記補強部は、前記筒状部材の周方向における前記第1位置とは異なる第2位置に設けられていることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、第1剛性部及び第2剛性部では、筒状部材の周方向において互いに異なる位置に補強部が設けられる。このため、第1剛性部において曲げ剛性を高められる方向と、第2剛性部において曲げ剛性を高められる方向とを互いに異なる方向に設定することができる。
【0024】
[11]前記複数の剛性部は、前記筒状部材の軸方向において互いに離れて設けられる第1剛性部及び第3剛性部を有し、前記第1剛性部の有する前記補強部は、前記筒状部材の周方向における第1位置に設けられており、前記第3剛性部の有する前記補強部は、前記筒状部材の周方向における前記第1位置に設けられていることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、第1剛性部及び第3剛性部では、筒状部材の周方向において同じ位置に補強部が設けられる。このため、第1剛性部において曲げ剛性を高められる方向と、第3剛性部において曲げ剛性を高められる方向とを同じ方向に設定することができる。
【0026】
[12]本開示のワイヤハーネスは、前記筒状部材と、前記筒状部材を貫通する前記電線と、を有する。
この構成によれば、上記の筒状部材と同様の作用効果を奏することができる。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の筒状部材及びワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「直交」、「平行」や「全長」は、厳密に直交、平行や全長の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね直交、平行や全長の場合も含まれる。一部の図面には、相互に直交するX軸、Y軸、Z軸を図示している。以下の説明では、便宜上、X軸に沿って延びる方向をX軸方向と称し、Y軸に沿って延びる方向をY軸方向と称し、Z軸に沿って延びる方向をZ軸方向と称する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0028】
図1に示すワイヤハーネス10は、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車等の車両Vに搭載されるものである。ワイヤハーネス10は、2個以上の車載機器同士を電気的に接続する。車載機器は、車両Vに搭載された電気機器である。ワイヤハーネス10は、例えば、車両Vの前部に設置されたインバータ11と、そのインバータ11よりも車両Vの後方に設置された高圧バッテリ12とを電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、車両Vの前後方向に延びるように長尺状に形成されている。ワイヤハーネス10は、例えば、ワイヤハーネス10の長さ方向の中間部分が車両Vの床下などの車室外を通るように車両Vに配索される。
【0029】
インバータ11は、例えば、車両走行の動力源となる図示しない車輪駆動用のモータと接続される。インバータ11は、高圧バッテリ12の直流電力から交流電力を生成し、その交流電力をモータに供給する。高圧バッテリ12は、例えば、数百ボルトの電圧を供給可能なバッテリである。
【0030】
ワイヤハーネス10は、電線部材20を有している。ワイヤハーネス10は、例えば、電線部材20の両端部に取り付けられた一対のコネクタC1,C2と、電線部材20の外周を囲う樹脂製の筒状部材30とを有している。電線部材20の長さ方向の一端部はコネクタC1を介してインバータ11と接続されるとともに、電線部材20の長さ方向の他端部はコネクタC2を介して高圧バッテリ12と接続されている。
【0031】
図2~
図4に示すように、筒状部材30は、全体として長尺の筒状をなしている。筒状部材30の内部空間には、電線部材20が収容されている。
図2に示すように、筒状部材30は、例えば、電線部材20の長さ方向の中間部分を内部に収容している。換言すると、筒状部材30の内部には、電線部材20が貫通している。
【0032】
(電線部材20の構成)
図3及び
図4に示すように、電線部材20は、例えば、1本又は複数本の電線21を有している。本実施形態の電線部材20は、2本の電線21を有している。電線部材20は、例えば、複数本の電線21の外周を一括して包囲する編組部材25を有している。
【0033】
各電線21は、導電性を有する芯線22と、芯線22の外周を囲うとともに絶縁性を有する絶縁被覆23とを有する被覆電線である。各電線21は、例えば、高電圧・大電流に対応可能な高圧電線である。各電線21は、例えば、自身に電磁シールド構造を有しないノンシールド電線であってもよいし、自身に電磁シールド構造を有するシールド電線であってもよい。本実施形態の各電線21は、ノンシールド電線である。
【0034】
芯線22としては、例えば、複数の金属素線を撚り合わせてなる撚線や単一の導体からなる単芯線などを用いることができる。単芯線としては、例えば、内部が中実構造をなす柱状の1本の金属棒からなる柱状導体や内部が中空構造をなす筒状導体などを用いることができる。芯線22としては、撚線、柱状導体や筒状導体を組み合わせて用いてもよい。芯線22の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。
【0035】
絶縁被覆23は、例えば、芯線22の外周面を周方向全周にわたって被覆している。絶縁被覆23は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料により構成されている。
各電線21の長さ方向と直交する平面によって電線21を切断した断面形状、つまり各電線21の横断面形状は、任意の形状に形成することができる。各電線21の横断面形状は、例えば、円形状、半円状、多角形状、正方形状、扁平形状等に形成されている。本実施形態の各電線21の横断面形状は、円形状に形成されている。
【0036】
2本の電線21は、例えば、Y軸方向に沿って並んで設けられている。例えば、2本の電線21は、筒状部材30の内部空間において、筒状部材30の全長にわたってY軸方向に沿って並んで設けられている。
【0037】
編組部材25は、例えば、全体として複数の電線21の外周を一括して包囲する筒状をなしている。編組部材25としては、例えば、複数の金属素線が編成された編組線や、金属素線と樹脂素線とを組み合わせて編成された編組線を用いることができる。金属素線の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。図示は省略するが、編組部材25の長さ方向の両端部は、例えば、コネクタC1,C2(
図1参照)などにおいてアース接続されている。このような編組部材25は、電磁シールド部材として機能する。
【0038】
(筒状部材30の構成)
筒状部材30は、複数の電線21の外周を周方向全周にわたって包囲する筒状をなしている。筒状部材30は、編組部材25の外周を周方向全周にわたって包囲する筒状をなしている。本実施形態の筒状部材30は、円筒状に形成されている。筒状部材30の内径は、複数の電線21及び編組部材25を収容可能な大きさに形成されている。筒状部材30は、例えば、筒状部材30の周方向全周にわたって密閉されている。筒状部材30は、例えば、内部に収容した電線21及び編組部材25を飛翔物や水滴から保護する機能を有している。
【0039】
筒状部材30としては、例えば、樹脂製のコルゲートチューブを用いることができる。筒状部材30の材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。
【0040】
図2に示すように、筒状部材30は、例えば、車両Vに搭載された状態において、二次元的又は三次元的に屈曲されている。本実施形態の筒状部材30は、X軸方向に沿って直線状に延びる直線部31Aと、直線部31Aの一端部に設けられた屈曲部32Aと、屈曲部32AからZ軸方向に沿って下方に延びる直線部31Bとを有している。本実施形態の筒状部材30は、直線部31Bの一端部に設けられた屈曲部32Bと、屈曲部32BからX軸方向に沿って後方に延びる直線部31Cと、直線部31Cの一端部に設けられた屈曲部32Cとを有している。本実施形態の筒状部材30は、屈曲部32CからZ軸方向に沿って上方に延びる直線部31Dと、直線部31Dの一端部に設けられた屈曲部32Dと、屈曲部32DからX軸方向に沿って後方に延びる直線部31Eとを有している。
【0041】
筒状部材30は、1つ又は複数の蛇腹部40と、1つ又は複数の剛性部50とを有している。本実施形態の筒状部材30は、4つの蛇腹部40と、3つの剛性部50とを有している。各蛇腹部40及び各剛性部50はそれぞれ、筒状に形成されている。本実施形態の各蛇腹部40は、円筒状に形成されている。本実施形態の各剛性部50はそれぞれ、全体として円筒状に形成されている。
【0042】
3つの剛性部50は、剛性部50Aと、剛性部50Bと、剛性部50Cとを有している。なお、以下の説明では、剛性部50A,50B,50Cを総称的に示す場合には「剛性部50」と称する。剛性部50Aは、例えば、直線部31Bの一部に設けられている。剛性部50Bは、例えば、直線部31Cの一部に設けられている。剛性部50Cは、例えば、屈曲部32Dに設けられている。各剛性部50A,50B,50Cは、例えば、筒状部材30の中心軸が延びる軸方向において、蛇腹部40とずれた位置に設けられている。各剛性部50A,50B,50Cは、例えば、筒状部材30の軸方向(長さ方向)において、2つの蛇腹部40に挟まれるように設けられている。
【0043】
本実施形態の筒状部材30は、4つの蛇腹部40と、3つの剛性部50とが連続して一体に形成された構造を有している。例えば、4つの蛇腹部40と3つの剛性部50とは、継ぎ目なく連続して一体に形成されている。すなわち、本実施形態の筒状部材30は、4つの蛇腹部40と3つの剛性部50とを含む全体が同一材料よりなる一体成形品である。
【0044】
(蛇腹部40の構成)
図5に示すように、各蛇腹部40は、筒状部材30の軸方向に沿って第1山部41と第1谷部42とが並んで設けられる蛇腹構造を有している。各蛇腹部40は、例えば、複数の第1山部41と複数の第1谷部42とを有している。各蛇腹部40は、例えば、筒状部材30の軸方向に沿って複数の第1山部41と複数の第1谷部42とが交互に連なって設けられた蛇腹構造に形成されている。第1山部41及び第1谷部42の各々は、例えば、筒状部材30の周方向に沿って1周する環構造をなしている。本実施形態の第1山部41及び第1谷部42の各々は、円環構造に形成されている。第1山部41及び第1谷部42の各々は、筒状部材30の周方向全周にわたって周壁が継ぎ目なく連続して延びるように形成されている。各第1山部41と各第1谷部42とは、互いに独立して形成されている。複数の第1山部41の各々は、互いに独立して形成されている。すなわち、各第1山部41は、他の第1山部41と繋がらずに個別に形成されている。複数の第1谷部42の各々は、互いに独立して形成されている。すなわち、各第1谷部42は、他の第1谷部42と繋がらずに個別に形成されている。
【0045】
ここで、本明細書における本明細書における「環」は、全体がつながって切れ目がなく輪になっている構造、つまり始点と終点とが一致する無端状の構造を意味する。また、本明細書における「環」は、外縁形状が円形の円環、外縁形状が楕円形や長円形の環、外縁形状が多角形の環、外縁形状が角丸多角形の環を含み、外縁形状が直線又は曲線で結ばれる任意の閉じた形状からなるものを言う。また、本明細書における「環状」は、全体として環と見做せればよく、外周の一部や内周の一部に凹凸などが形成されたものも含む。
【0046】
図6に示すように、各第1山部41の外径は、各第1谷部42の外径よりも大きい。各第1山部41の内径は、各第1谷部42の内径よりも大きい。蛇腹部40は、例えば、蛇腹部40の全長にわたって厚み(肉厚)が一定に形成されている。例えば、第1山部41の厚み(肉厚)と第1谷部42の厚み(肉厚)とは、互いに等しい。
【0047】
蛇腹部40は、例えば、第1山部41の頂部と第1谷部42の底部との間に設けられた突出部43を有している。突出部43は、例えば、第1谷部42の底部から第1山部41の頂部に向かって筒状部材30の径方向外側に突出するように形成されている。突出部43は、例えば、筒状部材30の径方向に沿って延びている。
【0048】
(剛性部50の構成)
剛性部50は、蛇腹部40よりも曲げ剛性が高く形成されている。剛性部50は、例えば、蛇腹部40よりも曲がり難くなっている。剛性部50は、例えば、電線21よりも曲げ剛性が高く形成されている。剛性部50は、例えば、電線21よりも曲がり難くなっている。剛性部50は、例えば、電線21の経路を維持し得る剛性を有している。剛性部50は、例えば、車両Vに搭載された状態において、車両Vの振動や自重等によって直線状態又は曲げられた状態が解除されない程度の剛性を有している。このため、剛性部50は、例えば、電線21の経路を所望の経路に維持することができる。
【0049】
図5に示すように、各剛性部50は、筒状部材30の軸方向に沿って並んで設けられた第2山部51及び第2谷部52と、第2山部51と第2谷部52とによって形成された溝部60とを有している。各剛性部50は、剛性部50の周方向の一部において溝部60を埋めるように形成された1つ又は複数の補強部70を有している。本実施形態の各剛性部50は、2つの補強部70を有している。各剛性部50は、例えば、蛇腹部40の軸方向の一部に加工を施すことにより形成されている。各剛性部50は、例えば、第1山部41の一部を潰すことにより、第2山部51と第2谷部52と補強部70とが形成されている。
【0050】
複数の第2山部51の各々は、全体として環状に形成されている。複数の第2山部51の各々は、剛性部50の周方向の一部に形成された補強部70と共に全体として環状に形成されている。本実施形態の各第2山部51は、補強部70と共に全体として円環状に形成されている。ここで、補強部70は、例えば、剛性部50の軸方向に隣り合う2つの第2山部51を接続するように形成されている。このため、複数の第2山部51は、補強部70を介して互いに接続されるように形成されている。複数の第2谷部52の各々は、全体として環状に形成されている。複数の第2谷部52の各々は、剛性部50の周方向の一部に形成された補強部70と共に全体として環状に形成されている。本実施形態の各第2谷部52は、補強部70と共に全体として円環状に形成されている。ここで、補強部70は、例えば、剛性部50の軸方向に隣り合う2つの第2谷部52を接続するように形成されている。このため、複数の第2谷部52は、補強部70を介して互いに接続されるように形成されている。
【0051】
(第2山部51及び第2谷部52の構成)
図7に示すように、各第2山部51は、例えば、第2谷部52の底部よりも筒状部材30の径方向外側に突出している。各第2谷部52は、例えば、第2山部51の頂部よりも筒状部材30の径方向内側に凹んでいる。各第2山部51の外形は、各第2谷部52の外形よりも大きい。各第2谷部52の底部の内周面は、各第2山部51の頂部の内周面よりも径方向内側に設けられている。第2山部51の厚み(肉厚)は、例えば、第2谷部52の厚み(肉厚)と等しい。剛性部50では、例えば、剛性部50の全長にわたって第2山部51の厚みと第2谷部52の厚みとが一定に形成されている。第2山部51の厚みは、例えば、第1山部41の厚み及び第1谷部42の厚みと等しい。第2谷部52の厚みは、例えば、第1山部41の厚み及び第1谷部42の厚みと等しい。
【0052】
各第2山部51の頂部の断面形状及び各第2谷部52の底部の断面形状は、任意の形状とすることができる。例えば、各第2山部51の頂部の断面形状及び各第2谷部52の底部の断面形状はそれぞれ、針状に尖った形状であってもよいし、円弧状に湾曲する曲面であってもよい。本実施形態の各第2山部51の頂部は、山側平面部51Aを有している。本実施形態の各第2谷部52の底部は、谷側平面部52Aを有している。山側平面部51A及び谷側平面部52Aは、例えば、筒状部材30の軸方向及び周方向に平面状に広がるように形成されている。山側平面部51A及び谷側平面部52Aは、例えば、筒状部材30の軸方向に平行に広がるように形成されている。山側平面部51A及び谷側平面部52Aは、例えば、筒状部材30の周方向に平行に広がるように形成されている。谷側平面部52Aは、例えば、山側平面部51Aと平行に広がるように形成されている。
【0053】
(第2山部51の構成)
図3及び
図4に示すように、各第2山部51の外形は、例えば、各第1山部41の外形よりも小さい。例えば、補強部70を除いた各第2山部51の外径は、各第1山部41の外径よりも小さい。
図6に示すように、各第2山部51の頂部の外周面、つまり山側平面部51Aの外周面は、例えば、各第1山部41の頂部の外周面よりも筒状部材30の径方向内側に設けられている。山側平面部51Aの外周面は、例えば、各第1山部41の頂部の内周面よりも筒状部材30の径方向内側に設けられている。山側平面部51Aの外周面は、例えば、各第1谷部42の底部の外周面よりも筒状部材30の径方向外側に設けられている。例えば、補強部70を除いた各第2山部51の内径は、各第1山部41の内径よりも小さい。各第2山部51の頂部の内周面、つまり山側平面部51Aの内周面は、例えば、各第1山部41の頂部の内周面よりも筒状部材30の径方向内側に設けられている。山側平面部51Aの内周面は、例えば、各第1谷部42の底部の外周面よりも筒状部材30の径方向内側に設けられている。山側平面部51Aの内周面は、例えば、各第1谷部42の底部の内周面よりも筒状部材30の径方向外側に設けられている。すなわち、各第2山部51は、各第1山部41よりも筒状部材30の内部空間が小さくなるように形成されている。
【0054】
(第2谷部52の構成)
各第2谷部52の外形は、例えば、各第1谷部42の外形よりも小さい。例えば、補強部70を除いた各第2谷部52の外径は、各第1谷部42の外径よりも小さい。各第2谷部52の底部の外周面、つまり谷側平面部52Aの外周面は、例えば、各第1谷部42の底部の外周面よりも筒状部材30の径方向内側に設けられている。谷側平面部52Aの外周面は、例えば、各第1谷部42の底部の内周面よりも筒状部材30の径方向内側に設けられている。例えば、補強部70を除いた各第2谷部52の内径は、各第1谷部42の内径よりも小さい。各第2谷部52の底部の内周面、つまり谷側平面部52Aの内周面は、例えば、各第1谷部42の底部の内周面よりも筒状部材30の径方向内側に設けられている。すなわち、各第2谷部52は、各第1谷部42よりも筒状部材30の内部空間が小さくなるように形成されている。
【0055】
剛性部50は、例えば、各山側平面部51Aと各谷側平面部52Aとの間に設けられた突出部53を有している。突出部53は、例えば、谷側平面部52Aから山側平面部51Aに向かって筒状部材30の径方向外側に突出するように形成されている。突出部53は、例えば、筒状部材30の径方向に沿って延びている。突出部53は、例えば、谷側平面部52A及び山側平面部51Aと交差する平面上に広がるように形成されている。突出部53の径方向に延びる長さは、例えば、突出部43の径方向に延びる長さと等しい、又は突出部43の径方向に延びる長さよりも短い。
【0056】
(溝部60の構成)
溝部60は、例えば、筒状部材30の外周側に設けられた第1溝部61と、筒状部材30の内周側に設けられた第2溝部62とを有している。剛性部50は、例えば、複数の第1溝部61と、複数の第2溝部62とを有している。
【0057】
各第1溝部61は、筒状部材30の外周側において第2山部51と第2谷部52との間に形成されている。各第1溝部61は、筒状部材30の軸方向に隣り合う2つの第2山部51の間に設けられている。各第1溝部61は、例えば、谷側平面部52Aの外周面と谷側平面部52Aの両端からそれぞれ延びる2つの突出部53の外面とによって形成されている。各第1溝部61は、例えば、剛性部50の外周において、剛性部50の周方向に沿って延びている。複数の第1溝部61は、筒状部材30の軸方向に沿って間隔を空けて設けられている。複数の第1溝部61は、互いに独立して形成されている。
【0058】
各第2溝部62は、筒状部材30の内周側において第2山部51と第2谷部52との間に形成されている。各第2溝部62は、筒状部材30の軸方向に隣り合う2つの第2谷部52の間に設けられている。各第2溝部62は、例えば、山側平面部51Aの内周面と山側平面部51Aの両端からそれぞれ延びる2つの突出部53の内面とによって形成されている。各第2溝部62は、例えば、剛性部50の内部において、剛性部50の周方向に沿って延びている。複数の第2溝部62は、筒状部材30の軸方向に沿って間隔を空けて設けられている。複数の第2溝部62は、互いに独立して形成されている。
【0059】
(補強部70の構成)
図5及び
図6に示すように、各補強部70は、剛性部50の周方向の一部のみに設けられている。各補強部70は、例えば、剛性部50の周方向の一部において第1溝部61を埋めるように形成されている。各補強部70は、例えば、剛性部50の周方向の一部において第1溝部61を分断するように形成されている。このため、剛性部50の周方向に沿って延びる第1溝部61は、補強部70によって分断されている。
図6に示すように、各補強部70は、例えば、剛性部50の周方向の一部において第1溝部61を充填するように形成されている。各補強部70は、例えば、谷側平面部52Aの外周面と連続して一体に形成されている。各補強部70は、例えば、山側平面部51Aの外周面と連続して一体に形成されている。各補強部70は、例えば、突出部53の外面と連続して一体に形成されている。各補強部70は、例えば、谷側平面部52Aの外周面から筒状部材30の径方向外側に突出するように形成されている。各補強部70は、例えば、第2山部51の外周面よりも筒状部材30の径方向外側に突出するように形成されている。各補強部70は、例えば、第1山部41の外周面よりも筒状部材30の径方向外側に突出するように形成されている。
【0060】
なお、
図6では、第2山部51及び第2谷部52を判り易くするため、第2山部51及び第2谷部52を二点鎖線にて図示している。但し、実際には、補強部70と第2山部51及び第2谷部52との界面は消失していることがあり、境界は明確ではないことがある。
【0061】
各補強部70は、例えば、剛性部50の周方向の一部において第2溝部62を埋めるように形成されている。各補強部70は、例えば、剛性部50の周方向の一部において第2溝部62を充填するように形成されている。各補強部70は、例えば、剛性部50の周方向の一部において第2溝部62を分断するように形成されている。このため、剛性部50の周方向に沿って延びる第2溝部62は、補強部70によって分断されている。各補強部70は、例えば、山側平面部51Aの内周面と連続して一体に形成されている。各補強部70は、例えば、突出部53の内面と連続して一体に形成されている。各補強部70は、例えば、谷側平面部52Aと連続して一体に形成されている。各補強部70の内周面は、例えば、剛性部50の径方向において、谷側平面部52Aの内周面と同一平面上に形成されている。各補強部70の内周面は、例えば、谷側平面部52Aの内周面と面一に形成されている。
【0062】
図5に示すように、各補強部70は、例えば、板状に形成されている。各補強部70は、例えば、谷側平面部52Aの内周面から筒状部材30の径方向外側に突出する板状に形成されている。各補強部70は、例えば、剛性部50の周方向に所定の厚みを有している。各補強部70は、例えば、筒状部材30の軸方向に沿って延びている。各補強部70は、例えば、剛性部50の軸方向に沿って直線状に延びている。各補強部70は、例えば、剛性部50の軸方向の全長にわたって延びている。各補強部70は、例えば、剛性部50の軸方向に沿って並ぶ複数の第2山部51を接続するように形成されている。換言すると、剛性部50の周方向のうち補強部70の形成された部分では、複数の第2山部51が補強部70を介して一体に形成されている。各補強部70は、例えば、剛性部50の軸方向に沿って並ぶ複数の第2谷部52を接続するように形成されている。換言すると、剛性部50の周方向のうち補強部70の形成された部分では、複数の第2谷部52が補強部70を介して一体に形成されている。各補強部70は、例えば、剛性部50の軸方向に沿って並ぶ複数の第1溝部61を埋めるように形成されている。
図6に示すように、各補強部70は、例えば、剛性部50の軸方向に沿って並ぶ複数の第2溝部62を埋めるように形成されている。このように、剛性部50の周方向のうち補強部70の形成された部分では、補強部70と複数の第2山部51と複数の第2谷部52とが連続して一体に形成されているため、複数の第1溝部61及び複数の第2溝部62が消失している。
【0063】
図5に示すように、各補強部70は、突出先端面71を有している。突出先端面71は、例えば、各補強部70のうち最も径方向外側に位置する端面である。突出先端面71は、剛性部50の軸方向に沿って延びている。突出先端面71は、例えば、剛性部50の軸方向に沿って帯状に延びている。本実施形態の突出先端面71は、平面に形成されている。すなわち、本実施形態の突出先端面71は、凹凸を有していない。
【0064】
図3及び
図4に示すように、複数の補強部70は、剛性部50の周方向において互いに離れて設けられている。複数の補強部70は、例えば、剛性部50の周方向に等角度間隔で設けられている。複数の補強部70は、例えば、剛性部50の周方向に180度間隔で設けられている。すなわち、本実施形態の2つの補強部70は、剛性部50の周方向に等間隔に設けられている。本実施形態の2つの補強部70は、剛性部50の周方向にπ[rad]ずつ離れた位置に設けられている。本実施形態の2つの補強部70は、第2谷部52の内周面から互いに離れる方向に突出している。
【0065】
図2に示すように、剛性部50Aと剛性部50Bとでは、筒状部材30の周方向における補強部70の形成位置が互いに異なる位置に設定されている。
図2及び
図3に示すように、筒状部材30の直線部31Bに設けられた剛性部50Aでは、筒状部材30の周方向における第1位置に補強部70が設けられている。具体的には、
図3に示すように、剛性部50Aでは、2つの補強部70がY軸方向に沿って並ぶように設けられている。すなわち、本実施形態の剛性部50Aでは、電線21の並び方向であるY軸方向に沿って2つの補強部70が並んで設けられている。また、
図2及び
図4に示すように、筒状部材30の直線部31Cに設けられた剛性部50Bでは、筒状部材30の周方向における第1位置とは異なる第2位置に補強部70が設けられている。具体的には、
図4に示すように、剛性部50Bでは、2つの補強部70がZ軸方向に沿って並ぶように設けられている。すなわち、本実施形態の剛性部50Bでは、電線21の並ぶ方向と直交するZ軸方向に沿って2つの補強部70が並んで設けられている。このように、剛性部50Aと剛性部50Bとでは、剛性部50の周方向における補強部70の形成位置が互いに90度ずつずれた位置に設けられている。
【0066】
図2に示すように、剛性部50Aと剛性部50Cとでは、剛性部50の周方向における補強部70の形成位置が同じ位置に設定されている。すなわち、筒状部材30の屈曲部32Dに設けられた剛性部50Cでは、剛性部50Aと同様に、2つの補強部70がY軸方向に沿って並ぶように設けられている。
【0067】
(筒状部材30の作用)
次に、筒状部材30の作用について説明する。
剛性部50の周方向の一部には、第2山部51と第2谷部52とによって形成された溝部60を埋める補強部70が設けられている。この補強部70によって溝部60が埋められるため、溝部60が埋められていない場合に比べて、剛性部50における曲げ剛性を高めることができる。例えば、補強部70によって溝部60が埋められると、溝部60が埋められていない場合に比べて、剛性部50の軸方向において伸び縮み可能な量が小さくなるため、剛性部50が曲がり難くなる。ここで、剛性部50の周方向における補強部70の位置を調整することによって、剛性部50において曲げ剛性を高められる方向を調整することができる。すなわち、剛性部50の周方向における補強部70の位置を調整することによって、剛性部50において曲げ難くできる方向を調整することができる。
【0068】
例えば
図3に示すように、剛性部50Aでは、2つの補強部70がY軸方向に沿って並ぶように設けられている。この剛性部50Aでは、剛性部50Aにおいて曲げ難くできる方向がY軸方向、具体的にはY軸に沿う2方向に設定される。すなわち、剛性部50Aでは、Z軸方向に沿って延びている剛性部50Aの中心軸がY軸方向に曲がるように屈曲されることを好適に抑制できる。詳述すると、剛性部50Aの中心軸がY軸方向に曲がるように剛性部50Aを屈曲させる場合には、その屈曲部分の曲げ内側及び曲げ外側のそれぞれに補強部70が配置されることになる。このとき、補強部70では、剛性部50の軸方向に伸び縮み可能な量が小さくなっている。このため、剛性部50Aの中心軸がY軸方向に曲がるように剛性部50Aが屈曲されることを抑制できる。なお、剛性部50Aの中心軸がX軸方向に曲がるように剛性部50Aを屈曲させる場合には、第2山部51及び第2谷部52における伸び縮みに補強部70がほとんど影響を与えない。このため、剛性部50Aでは、補強部70が設けられている場合であっても、剛性部50Aの中心軸がX軸方向に曲がるように好適に屈曲させることができる。
【0069】
例えば
図4に示すように、剛性部50Bでは、2つの補強部70がZ軸方向に沿って並ぶように設けられている。この剛性部50Bでは、剛性部50Bにおいて曲げ難くできる方向がZ軸方向、具体的にはZ軸に沿う2方向に設定される。すなわち、剛性部50Bでは、X軸方向に沿って延びている剛性部50Bの中心軸がZ軸方向に曲がるように屈曲されることを好適に抑制できる。なお、剛性部50Bでは、補強部70が設けられている場合であっても、剛性部50Bの中心軸がY軸方向に曲がるように好適に屈曲させることができる。
【0070】
(ワイヤハーネス10の製造方法)
次に、ワイヤハーネス10の製造方法について説明する。ここでは、筒状部材30の製造方法について詳述する。
【0071】
図8に示すように、まず、公知の樹脂製のコルゲートチューブ80を準備する。コルゲートチューブ80には、コルゲートチューブ80の軸方向の全長にわたって蛇腹部40が形成されている。蛇腹部40は、コルゲートチューブ80の軸方向に沿って複数の第1山部41と複数の第1谷部42とが交互に並んで設けられている。
【0072】
次に、コルゲートチューブ80に軸方向の一部に対して加工を施すことにより、
図2に示した筒状部材30、つまり複数の剛性部50を有する筒状部材30を形成する。具体的には、コルゲートチューブ80の軸方向の一部に対して、第1山部41を潰す加工を施す。この加工は、例えば、2つの金型90を用いて実施される。2つの金型90は、例えば、コルゲートチューブ80の軸方向の一部において、図中上下からコルゲートチューブ80を挟むように設けられる。すなわち、コルゲートチューブ80の軸方向のうち、剛性部50(
図2参照)を形成する予定の第1部分81のみに2つの金型90が配置されるとともに、その第1部分81が2つの金型90によって上下から挟まれる。2つの金型90の各々は、コルゲートチューブ80の軸方向に沿って延びている。
【0073】
ここで、
図9に示すように、2つの金型90は、互いに対向する対向面91を有している。2つの金型90の各々は、対向面91に形成された収容溝92を有している。収容溝92の内部には、コルゲートチューブ80が収容される。本実施形態の各収容溝92の内面の横断面形状は、円弧状に形成されている。2つの金型90は、対向面91同士の間に隙間93が設けられた状態で使用される。このように隙間93が設けられた状態において、その隙間93と2つの収容溝92とによって収容空間94が形成される。収容空間94は、例えば、横断面円形状に形成されている。収容空間94は、コルゲートチューブ80の軸方向に沿って金型90の全長にわたって形成されている。ここで、収容空間94の内径d1は、第1山部41の外径d2よりも小さく設定されている。収容空間94の内径d1は、例えば、第1谷部42の内径よりも大きく設定されている。
【0074】
続いて、
図10に示す工程では、コルゲートチューブ80の第1部分81を加熱して柔らかくした状態で、第1部分81を2つの金型90で挟んで図中上下から加圧する。本工程により、第1部分81における第1山部41の一部が金型90により潰され、その潰れた部分によって補強部70が形成される。なお、
図10では、第1部分81以外における第1山部41の外周面と第1部分81以外における第1谷部42の内周面とを破線で図示している。例えば、加熱された2つの金型90によって第1部分81が囲まれることにより、第1部分81が加熱されて柔らかくなる。そして、このように第1部分81が加熱された状態で、2つの金型90によって図中上下から第1部分81を加圧する。このとき、
図9に示したように、収容空間94の内径d1が第1山部41の外径d2よりも小さくなっている。このため、2つの金型90により第1部分81が加圧されると、第1部分81における第1山部41の外径及び第1谷部42の外径が縮径される。これにより、
図10に示すように、第1部分81には、第1山部41よりも外径の小さい第2山部51と、第1谷部42よりも外径の小さい第2谷部52とが形成される。さらに、2つの金型90により第1部分81が加圧されると、第1山部41及び第1谷部42の縮径と同時に、内径d1と外径d2(
図9参照)との差の分だけ第1山部41が潰される。この潰れた第1山部41は、第2山部51と第2谷部52とによって形成される溝部60を埋めるように広がるとともに、2つの金型90の間の隙間93に広がる。そして、溝部60及び隙間93に広がった第1山部41が金型90による加圧によって押し固められることにより、第1部分81の周方向の一部に補強部70が形成される。この補強部70は、コルゲートチューブ80の周方向のうち隙間93が設けられている位置に形成される。すなわち、本実施形態では、コルゲートチューブ80の周方向に2つの補強部70が形成される。これにより、金型90によって加熱及び加圧された第1部分81が2つの補強部70を有する剛性部50に形成される。ここで、本加工は、第1部分81の第1山部41の周方向の一部を金型90により潰して押し固めるように実施されるため、本工程を実施する際にコルゲートチューブ80の内部に下敷きとなる芯部材を挿入する必要がない。このため、芯部材の挿入が必要な加工方法と比べて、剛性部50を形成する際の作業性を向上させることができる。
【0075】
以上説明した工程を、コルゲートチューブ80の軸方向のうち剛性部50の形成が必要な部分に対して実施することにより、コルゲートチューブ80の軸方向における所望の位置に剛性部50を形成することができる。このとき、コルゲートチューブ80の軸方向に対する金型90の位置をずらすことにより、剛性部50の位置及び長さを容易に変更することができる。また、コルゲートチューブ80の周方向に対する金型90の隙間93の位置を調整することにより、剛性部50の周方向における補強部70の位置を容易に変更することができる。このため、1種類のコルゲートチューブ80に対して金型90を用いた加工を施すことにより、剛性部50の位置や長さ及び補強部70の位置が異なる複数種類の筒状部材30を製造することができる。すなわち、1種類の金型90によって複数種類の筒状部材30を製造することができる。したがって、例えばワイヤハーネス10のレイアウトが変更になった場合であっても、筒状部材30を作製するための金型を作り直す必要がなく、コルゲートチューブ80に対する金型90の位置を変更するのみによってレイアウト変更に対応できる。
【0076】
次に、本実施形態の効果を説明する。
(1)剛性部50の周方向の一部には、第2山部51と第2谷部52とによって形成された溝部60を埋める補強部70が設けられている。この補強部70によって溝部60の一部が埋められるため、溝部60が埋められていない場合に比べて、剛性部50における曲げ剛性を高めることができる。例えば、補強部70によって溝部60が埋められると、溝部60が埋められていない場合に比べて、剛性部50の軸方向において伸び縮み可能な量が小さくなるため、剛性部50が曲がり難くなる。これにより、剛性部50は、蛇腹部40よりも曲げ剛性が高く形成されている。このため、筒状部材30に電線21を貫通させた場合に、その電線21の経路を剛性部50によって好適に維持することができる。
【0077】
(2)また、剛性部50の周方向における補強部70の位置を調整することによって、剛性部50において曲げ剛性を高められる方向を調整することができる。すなわち、剛性部50の周方向における補強部70の位置を調整することによって、剛性部50において曲げ難くできる方向を調整することができる。ここで、剛性部50の周方向における補強部70の位置は、例えば、車両Vに搭載された際のワイヤハーネス10の配索状態に応じて設定される。例えば、車両Vに搭載された際のワイヤハーネス10において、剛性部50がY軸方向に曲がることを抑制したい場合には、例えば剛性部50の周方向においてY軸方向に沿って並ぶように補強部70を設けるようにする。
【0078】
(3)さらに、補強部70は、例えば蛇腹部40における第1山部41の一部を潰すことによって形成することが可能である。このため、例えば第1山部41を潰す位置を変更することにより、補強部70の位置を容易に変更することができる。したがって、筒状部材30の軸方向における補強部70の位置を変更することによって、筒状部材30の軸方向における剛性部50の位置を容易に変更することができる。また、筒状部材30の周方向における補強部70の位置を変更することによって、剛性部50において曲げ剛性を高められる方向を容易に変更することができる。この結果、ワイヤハーネス10の仕様変更に容易に対応することができ、ワイヤハーネス10の製造性を向上できる。
【0079】
(4)第2山部51の外形が第1山部41の外形よりも小さく形成されるとともに、第2谷部52の外形が第1谷部42の外形よりも小さく形成されている。この構成によれば、第1谷部42よりも外形の小さい第2谷部52の周方向の一部に、筒状部材30の径方向外側に突出する補強部70が形成される。このため、第1谷部42の周方向の一部に補強部70が形成される場合に比べて、剛性部50の外形が大型化することを抑制できる。
【0080】
(5)補強部70は、剛性部50の周方向に厚みを有する板状に形成される。このため、剛性部50の周方向の一部において、第2谷部52から補強部70がリブ状に突出して形成される。この補強部70により、剛性部50の曲げ剛性を好適に高めることができる。
【0081】
(6)第2谷部52の内周面は、第1谷部42の内周面よりも筒状部材30の径方向内側に設けられている。この構成によれば、第2谷部52における内部空間が第1谷部42における内部空間よりも小さく形成される。このため、剛性部50において、蛇腹部40よりも筒状部材30の内部空間が狭くなる部分が形成される。したがって、剛性部50の内部空間において電線21がばたつくことを好適に抑制できる。
【0082】
(7)剛性部50は、剛性部50の周方向において互いに離れて設けられた複数の補強部70を有する。この構成によれば、複数の補強部70によって、剛性部50において曲げ剛性を高められる方向を複数の方向に設定することができる。すなわち、複数の補強部70により、複数の方向に対して剛性部50を曲げ難くすることができる。
【0083】
(8)複数の補強部70は、剛性部50の周方向に180度間隔で設けられている。この構成によれば、剛性部50の周方向に180度間隔で設けられる2つの補強部70により、2つの方向に対して剛性部50を曲げ難くすることができる。例えば、本実施形態の剛性部50Aでは、Y軸方向、具体的にはY軸に沿う2方向に対して剛性部50Aを曲げ難くすることができる。
【0084】
(9)剛性部50Aと剛性部50Bとでは、筒状部材30の周方向における補強部70の形成位置が互いに異なる位置に設定されている。このため、剛性部50Aにおいて曲げ剛性を高められる方向と、剛性部50Bにおいて曲げ剛性を高められる方向とを互いに異なる方向に設定することができる。例えば、剛性部50Aでは、Y軸方向、具体的にはY軸に沿う2方向に対して剛性部50Aを曲げ難くできる一方で、剛性部50Bでは、Z軸方向、具体的にはZ軸に沿う2方向に対して剛性部50Bを曲げ難くできる。
【0085】
(10)剛性部50Aと剛性部50Cとでは、筒状部材30の周方向における補強部70の形成位置が同じ位置に設定されている。このため、剛性部50Aにおいて曲げ剛性を高められる方向と、剛性部50Cにおいて曲げ剛性を高められる方向とを同じ方向に設定することができる。
【0086】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0087】
・上記実施形態では、各剛性部50に2つの補強部70を設けるようにしたが、各剛性部50に設けられる補強部70の数は特に限定されない。例えば、各剛性部50に設けられる補強部70の数を1つにしてもよい。
【0088】
・例えば
図11及び
図12に示すように、剛性部50に3つ以上の補強部70を設けるようにしてもよい。
図12に示すように、本変更例の剛性部50は、4つの補強部70を有している。4つの補強部70は、剛性部50の周方向において互いに離れて設けられている。4つの補強部70は、剛性部50の周方向に等角度間隔で設けられている。4つの補強部70は、剛性部50の周方向に90度間隔で設けられている。すなわち、本変更例の4つの補強部70は、剛性部50の周方向にπ/2[rad]ずつ離れた位置に設けられている。本変更例では、4つの補強部70のうち2つの補強部70がY軸方向に沿って並ぶように設けられている。これら2つの補強部70により、Y軸方向、具体的にはY軸に沿う2方向に対して剛性部50を曲げ難くすることができる。また、4つの補強部70のうち残りの2つの補強部70は、Z軸方向に沿って並ぶように設けられている。これら2つの補強部70により、Z軸方向、具体的にはZ軸に沿う2方向に対して剛性部50を曲げ難くすることができる。これらにより、本変更例の剛性部50では、X軸方向に沿って延びている剛性部50の中心軸がY軸方向又はZ軸方向に曲がるように屈曲されることを好適に抑制できる。
【0089】
次に、本変更例の筒状部材30の製造方法について説明する。
図13に示すように、コルゲートチューブ80の軸方向の一部における第1山部41を潰すことによって剛性部50(
図12参照)を形成する加工は、例えば、4つの金型100を用いて実施される。すなわち、
図9に示した金型90の代わりに、金型100が使用される。各金型100は、他の金型100と対向する対向面101を有している。各金型100は、2つの対向面101を有している。各金型100は、2つの対向面101に形成された収容溝102を有している。収容溝102の内部には、コルゲートチューブ80が収容される。本変更例の各収容溝102の内面の横断面形状は、円弧状に形成されている。4つの金型100は、対向面101同士の間に隙間103が設けられた状態で使用される。すなわち、4つの金型100は、4つの隙間103が設けられた状態で使用される。このように4つの隙間103が設けられた状態において、それら4つの隙間103と4つの収容溝102とによって収容空間104が形成される。収容空間104は、例えば、横断面円形状に形成されている。収容空間104は、コルゲートチューブ80の軸方向に沿って金型100の全長にわたって形成されている。ここで、収容空間104の内径d3は、第1山部41の外径d2よりも小さく設定されている。収容空間104の内径d3は、例えば、第1谷部42の内径よりも大きく設定されている。
【0090】
続いて、
図14に示す工程では、コルゲートチューブ80の第1部分81を加熱して柔らかくした状態で、第1部分81を4つの金型100で挟んでコルゲートチューブ80の径方向内側に向かって加圧する。本工程により、
図10に示した工程と同様に、第1部分81における第1山部41の一部が金型100により潰され、その潰れた部分によって補強部70が形成される。この補強部70は、コルゲートチューブ80の周方向のうち隙間103が設けられている位置に形成される。すなわち、本変更例では、コルゲートチューブ80の周方向に4つの補強部70が形成される。これにより、金型100によって加熱及び加圧された第1部分81が4つの補強部70を有する剛性部50に形成される。なお、
図14では、第1部分81以外における第1山部41の外周面と第1部分81以外における第1谷部42の内周面とを破線で図示している。
【0091】
・例えば
図15に示すように、剛性部50に3つの補強部70を設けるようにしてもよい。3つの補強部70は、剛性部50の周方向において互いに離れて設けられている。3つの補強部70は、剛性部50の周方向に等角度間隔で設けられている。3つの補強部70は、剛性部50の周方向に120度間隔で設けられている。すなわち、本変更例の3つの補強部70は、剛性部50の周方向に2π/3[rad]ずつ離れた位置に設けられている。
【0092】
・例えば、剛性部50に5つ以上の補強部70を設けるようにしてもよい。
・1つの筒状部材30に、互いに異なる数の補強部70を有する複数種類の剛性部50を設けるようにしてもよい。例えば、
図2に示した剛性部50Aの有する補強部70の数を2つに設定し、剛性部50Bの有する補強部70の数を4つに設定し、剛性部50Cの有する補強部70の数を1つに設定するようにしてもよい。
【0093】
・上記実施形態では、複数の補強部70を、剛性部50の周方向に等角度間隔で設けるようにしたが、これに限定されない。例えば、複数の補強部70は、剛性部50の周方向に沿って間隔を空けて設けられていればよく、その間隔は等角度間隔に限定されない。
【0094】
・上記実施形態では、複数の剛性部50を、筒状部材30の軸方向において互いに離れるように設けたが、これに限定されない。例えば、複数の剛性部50を、筒状部材30の軸方向において隣り合うように設けてもよい。
【0095】
・上記実施形態の筒状部材30に設けられる剛性部50の数及び位置は、適宜変更可能である。例えば、筒状部材30に設けられる剛性部50の数を、1つ又は2つとしてもよいし、4つ以上としてもよい。例えば、剛性部50を、屈曲部32A,32B,32Cに設けるようにしてもよい。例えば、剛性部50を、直線部31A,31D,31Eに設けるようにしてもよい。
【0096】
・上記実施形態における各剛性部50の軸方向に沿う長さは、適宜変更可能である。
・上記実施形態では、補強部70の突出先端面71を、凹凸のない平坦な平面状に形成したが、これに限定されない。
【0097】
例えば
図16に示すように、補強部70の突出先端面71に、剛性部50の径方向内側に向かって凹む凹部72を設けるようにしてもよい。本変更例の突出先端面71は、剛性部50の軸方向に沿って間隔を空けて設けられる複数の凹部72を有している。このため、剛性部50の軸方向に沿って並ぶ2つの凹部72の間には凸部73が形成される。本変更例の突出先端面71は、剛性部50の軸方向に沿って複数の凹部72と複数の凸部73とが並ぶ凹凸構造を有している。
【0098】
各凹部72は、例えば、剛性部50の軸方向において第2谷部52に対応する位置に設けられている。各凹部72の底部の断面形状は、任意の形状とすることができる。例えば、各凹部72の底部の断面形状は、針状に尖った形状であってもよいし、円弧状に湾曲する曲面であってもよい。本変更例の各凹部72は、針状に尖った形状に形成されている。
【0099】
各凸部73は、例えば、剛性部50の軸方向において第2山部51に対応する位置に設けられている。各凸部73の頂部の断面形状は、任意の形状とすることができる。例えば、各凸部73の頂部の断面形状は、針状に尖った形状であってもよいし、円弧状に湾曲する曲面であってもよい。本変更例の各凸部73は、円弧状に湾曲する曲面に形成されている。なお、各凸部73の頂部は、例えば、第1山部41の外周面よりも筒状部材30の径方向外側に突出するように形成されている。
【0100】
・上記実施形態では、補強部70を、第1溝部61及び第2溝部62の両方を埋めるように形成したが、これに限定されない。例えば、補強部70を、第1溝部61及び第2溝部62のいずれか一方のみを埋めるように形成してもよい。
【0101】
・上記実施形態では、補強部70を、第1山部41の外周面よりも筒状部材30の径方向外側に突出するように形成したが、これに限定されない。例えば、補強部70の突出先端面71を、第1山部41の外周面よりも筒状部材30の径方向内側に凹んだ位置に設けるようにしてもよい。
【0102】
・上記実施形態では、剛性部50の厚みを蛇腹部40の厚みと等しくしたが、これに限定されない。例えば、剛性部50の厚みを蛇腹部40の厚みよりも薄くしてもよい。
・上記実施形態では、蛇腹部40を、筒状部材30の軸方向に沿って複数の第1山部41と複数の第1谷部42とが交互に連なって設けられる蛇腹構造に形成したが、蛇腹構造はこれに限定されない。例えば、蛇腹部40を、1つの第1山部41が筒状部材30の軸方向に沿って螺旋状に延びるとともに、1つの第1谷部42が筒状部材30の軸方向に沿って螺旋状に延びる構造に変更してもよい。この場合の蛇腹部40であっても、筒状部材30の軸方向に沿って第1山部41と第1谷部42とが並んで設けられる蛇腹構造を有している。なお、この場合には、剛性部50においても、第2山部51が筒状部材30の軸方向に沿って螺旋状に延びるとともに、第2谷部52が筒状部材30の軸方向に沿って螺旋状に延びるように形成される。
【0103】
・上記実施形態において、ワイヤハーネス10が有する電線21の本数は、特に限定されるものではなく、車両Vの仕様に応じて電線21の本数は変更することができる。例えば、ワイヤハーネス10が有する電線21の本数は、1本であってもよく、3本以上であってもよい。例えば、ワイヤハーネス10が有する電線として、低圧バッテリと各種低電圧機器(例えば、ランプ、カーオーディオ等)とを接続する低圧電線を追加した構成としてもよい。
【0104】
・上記実施形態では、電線21を高圧電線に具体化したが、電線21を低圧電線に具体化してもよい。
・上記実施形態の電線部材20では、電磁シールド部材を編組部材25に具体化したが、これに限定されない。例えば、電線部材20における電磁シールド部材を金属箔に具体化してもよい。
【0105】
・上記実施形態における電線部材20における編組部材25を省略してもよい。
・車両Vにおけるインバータ11と高圧バッテリ12の配置関係は、上記実施形態に限定されるものではなく、車両構成に応じて適宜変更してもよい。
【0106】
・上記実施形態では、ワイヤハーネス10によって接続される車載機器としてインバータ11及び高圧バッテリ12を採用したが、これに限定されない。例えば、インバータ11と車輪駆動用のモータとを接続するワイヤハーネスに採用してもよい。すなわち、車両Vに搭載される車載機器間を電気的に接続するものであれば適用可能である。
【0107】
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0108】
10 ワイヤハーネス
11 インバータ
12 高圧バッテリ
20 電線部材
21 電線
22 芯線
23 絶縁被覆
25 編組部材
30 筒状部材
31A,31B,31C,31D,31E 直線部
32A,32B,32C,32D 屈曲部
40 蛇腹部
41 第1山部
42 第1谷部
43 突出部
50 剛性部
50A 剛性部(第1剛性部)
50B 剛性部(第2剛性部)
50C 剛性部(第3剛性部)
51 第2山部
51A 山側平面部
52 第2谷部
52A 谷側平面部
53 突出部
60 溝部
61 第1溝部
62 第2溝部
70 補強部
71 突出先端面
72 凹部
73 凸部
80 コルゲートチューブ
81 第1部分
90,100 金型
91,101 対向面
92,102 収容溝
93,103 隙間
94,104 収容空間
C1,C2 コネクタ
d1,d3 内径
d2 外径
V 車両