(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011324
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】冷凍装置
(51)【国際特許分類】
F25B 1/10 20060101AFI20230117BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
F25B1/10 R
F25B1/00 361D
F25B1/00 351N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115126
(22)【出願日】2021-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】521362885
【氏名又は名称】コベルコ・コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【弁理士】
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】壷井 昇
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勝之
(72)【発明者】
【氏名】神吉 英次
(57)【要約】
【課題】冷凍装置において、環境性と圧縮性能を両立する。
【解決手段】冷凍装置1は、冷媒を3段階で圧縮する3段型スクリュ圧縮機10を含んでいる。3段型スクリュ圧縮機10は、駆動源であるモータ11と、モータ11と機械的に接続された第1段圧縮部12と、第1段圧縮部12と第1接手18を介して機械的に接続された第2段圧縮部13と、第2段圧縮部13と第2接手19を介して機械的に接続された第3段圧縮部14とを備えている。第1段圧縮部12、第2段圧縮部13、および第3段圧縮部14は、共通の回転軸を有している。冷媒の地球温暖化係数は、1500以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を3段階で圧縮する3段型スクリュ圧縮機を含む冷凍装置であって、
前記3段型スクリュ圧縮機は、
駆動源であるモータと、
前記モータと機械的に接続された第1段圧縮部と、
前記第1段圧縮部と第1接手を介して機械的に接続された第2段圧縮部と、
前記第2段圧縮部と第2接手を介して機械的に接続された第3段圧縮部と
を備え、
前記第1段圧縮部、前記第2段圧縮部、および前記第3段圧縮部は、共通の回転軸を有し、
前記冷媒の地球温暖化係数は、1500以下である、冷凍装置。
【請求項2】
前記第1段圧縮部の吸込口と前記第2段圧縮部の吸込口を流体的に接続する第1バイパス配管と、
前記第1バイパス配管に設けられた第1電磁弁と
をさらに備え、
前記第1段圧縮部および前記第2段圧縮部の圧縮比は、それぞれ固定されている、請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項3】
前記第1段圧縮部の吸込口と前記第3段圧縮部の吸込口を流体的に接続する第2バイパス配管と、
前記第2バイパス配管に設けられた第2電磁弁と
をさらに備え、
前記第1段圧縮部、前記第2段圧縮部、および前記第3段圧縮部の圧縮比は、それぞれ固定されている、請求項1または請求項2に記載の冷凍装置。
【請求項4】
前記第1接手および前記第2接手は、それぞれスプライン接手である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の冷凍装置。
【請求項5】
前記3段型スクリュ圧縮機から吐出された前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、
前記凝縮器で凝縮された前記冷媒を冷却するともに前記第2段圧縮部と前記第3段圧縮部との間に流体的に接続された第1エコノマイザと、
前記第1エコノマイザで冷却された前記冷媒をさらに冷却するとともに前記第1段圧縮部と前記第2段圧縮部との間に流体的に接続された第2エコノマイザと
をさらに備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の冷凍装置。
【請求項6】
前記第2エコノマイザで冷却された前記冷媒をさらに冷却するとともに前記第1段圧縮部の内部空間に流体的に接続された第3エコノマイザをさらに備える、請求項5に記載の冷凍装置。
【請求項7】
前記モータの回転数を調整するインバータをさらに備える、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍装置に使用される冷媒の環境性は、地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)と称される指標値によって評価される。GWPの値は、大きいほど悪く、小さいほど良好である。GWPは、地球温暖化防止の観点から1500以下にすることが求められている。
【0003】
一般的な冷凍装置では、低温用途の冷媒として、R404Aがよく使用されている。冷媒の圧縮比は蒸発温度における冷媒の飽和圧力と凝縮温度における冷媒の飽和圧力とに依存する。R404Aは蒸発温度における飽和圧力が比較的高いため、R404Aの圧縮比は小さく、高い圧縮効率を発揮できる。しかし、R404Aは、GWPが3920と非常に高く、環境性の観点では好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
R404Aに代わる冷媒として、R448AまたはR513Aなどがある。R448AのGWPは1387であり、R513AのGWPは631である。いずれもR404AのGWPよりも小さく環境性に優れている。しかし、R448AまたはR513AなどのようにGWPが比較的小さな冷媒の圧縮比は、大きい傾向にある。圧縮比が大きな冷媒を一般的な2段型スクリュ圧縮機に使用すると、スクリュロータの歯形間で冷媒の漏れが生じ、意図する圧縮性能を確保できないおそれがある。
【0006】
本発明は、冷凍装置において、環境性と圧縮性能を両立することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、冷媒を3段階で圧縮する3段型スクリュ圧縮機を含む冷凍装置であって、前記3段型スクリュ圧縮機は、駆動源であるモータと、前記モータと機械的に接続された第1段圧縮部と、前記第1段圧縮部と第1接手を介して機械的に接続された第2段圧縮部と、前記第2段圧縮部と第2接手を介して機械的に接続された第3段圧縮部とを備え、前記第1段圧縮部、前記第2段圧縮部、および前記第3段圧縮部は、共通の回転軸を有し、前記冷媒の地球温暖化係数は、1500以下である、冷凍装置を提供する。
【0008】
この構成によれば、地球温暖化係数(GWP)が1500以下の冷媒を使用するため、環境性に優れる。また、GWPが1500以下の小さな冷媒を使用しても、3段型スクリュ圧縮機を使用するため、一般的な2段型スクリュ圧縮機と比べて十分な圧縮性能を確保できる。従って、冷凍装置において、環境性と圧縮性能を両立することができる。また、モータ、第1段圧縮部、第2段圧縮部、および第3段圧縮部が機械的に連結されているため、1つの駆動源(モータ)で駆動できる。特に、これらが共通の回転軸を有しているため、3段型スクリュ圧縮機の構造を単純化できる。
【0009】
前記冷凍装置は、前記第1段圧縮部の吸込口と前記第2段圧縮部の吸込口を流体的に接続する第1バイパス配管と、前記第1バイパス配管に設けられた第1電磁弁とをさらに備えてもよく、前記第1段圧縮部および前記第2段圧縮部の圧縮比、すなわち機械的に定まる圧縮比は、それぞれ固定されてもよい。
【0010】
仮に、第1段圧縮部および第2段圧縮部の圧縮比を、それぞれ固定して、何らの工夫なく、運転を開始すると、第1段圧縮部と第2段圧縮部に容量差があるため、第2段圧縮部の吸込口において冷媒が滞留するおそれがある。当該滞留は、第1段圧縮部および第2段圧縮部の圧縮比をそれぞれ可変とし、容量を調整することによって解消することが考えられる。しかし、スライドバルブに例示されるような圧縮比を可変とする構成は複雑であり、採用し難い。従って、上記構成では、第1段圧縮部および第2段圧縮部の圧縮比はともに固定しつつ、第2段圧縮部の吸込口に滞留し得る冷媒を、第1電磁弁を開くことによって第1バイパス配管を通じて第1段圧縮部の吸込口に流すことができる。これにより、第1段圧縮部および第2段圧縮部において、圧縮比を可変とする複雑な構成を採用することなく、簡易な構成で第2段圧縮部の吸込口における冷媒の滞留を抑制できる。
【0011】
前記冷凍装置は、前記第1段圧縮部の吸込口と前記第3段圧縮部の吸込口を流体的に接続する第2バイパス配管と、前記第2バイパス配管に設けられた第2電磁弁とをさらに備えてもよく、前記第1段圧縮部、前記第2段圧縮部、および前記第3段圧縮部の圧縮比は、それぞれ固定されてもよい。
【0012】
仮に、第1段圧縮部、第2段圧縮部、および第3段圧縮部の圧縮比を、それぞれ固定して、何らの工夫なく、運転を開始すると、第1段圧縮部と第3段圧縮部に容量差があるため、第3段圧縮部の吸込口において冷媒が滞留するおそれがある。当該滞留は、第1段圧縮部、第2段圧縮部、および第3段圧縮部の圧縮比をそれぞれ可変とし、容量を調整することによって解消することが考えられる。しかし、スライドバルブに例示されるような圧縮比を可変とする構成は複雑であり、採用し難い。従って、上記構成では、第1段圧縮部、第2段圧縮部、および第3段圧縮部の圧縮比は固定しつつ、第3段圧縮部の吸込口に滞留し得る冷媒を、第2電磁弁を開くことによって第2バイパス配管を通じて第1段圧縮部の吸込口に流すことができる。これにより、第1段圧縮部、第2段圧縮部、および第3段圧縮部において、圧縮比を可変とする複雑な構成を採用することなく、簡易な構成で第3段圧縮部の吸込口における冷媒の滞留を抑制できる。
【0013】
前記第1接手および前記第2接手は、それぞれスプライン接手であってもよい。
【0014】
この構成によれば、簡易かつ低コストの構造のスプライン接手によって簡単に動力伝達できる。
【0015】
前記冷凍装置は、前記3段型スクリュ圧縮機から吐出された前記冷媒を凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器で凝縮された前記冷媒を冷却するともに前記第2段圧縮部と前記第3段圧縮部との間に流体的に接続された第1エコノマイザと、前記第1エコノマイザで冷却された前記冷媒をさらに冷却するとともに前記第1段圧縮部と前記第2段圧縮部との間に流体的に接続された第2エコノマイザとをさらに備えてもよい。
【0016】
この構成によれば、第1エコノマイザおよび第2エコノマイザによって冷媒を冷却することによって、冷凍装置の成績係数(COP:Coefficient of Performance)を向上させることができる。
【0017】
前記冷凍装置は、前記第2エコノマイザで冷却された前記冷媒をさらに冷却するとともに前記第1段圧縮部の内部空間に流体的に接続された第3エコノマイザをさらに備えてもよい。
【0018】
この構成によれば、第3エコノマイザによって冷媒を冷却することによって、冷凍装置のCOPを一層向上させることができる。ここで、第1段圧縮部の内部空間とは、第1段圧縮部の吸込口にも吐出口にも連通していない閉じられた空間をいう。
【0019】
前記冷凍装置は、前記モータの回転数を調整するインバータをさらに備えてもよい。
【0020】
この構成によれば、インバータの制御によって3段型スクリュ圧縮機の駆動量を調整できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、冷凍装置において、地球温暖化係数が1500以下の冷媒を3段階で圧縮する3段型スクリュ圧縮機を使用するため、環境性と圧縮性能を両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る冷凍装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0024】
(第1実施形態)
図1,2を参照して、冷凍装置1は、冷媒流路2において、3段型スクリュ圧縮機10と、油分離貯留器20と、凝縮器30と、膨張弁40と、蒸発器50とを有している。
【0025】
冷媒流路2には、地球温暖化係数(GWP)が1500以下の冷媒が流れている。GWPが1500以下の冷媒は、例えばR448AまたはR513Aなどであり得る。
【0026】
3段型スクリュ圧縮機10は、モータ11と、第1段圧縮部12と、第2段圧縮部13と、第3段圧縮部14とを有している。第1段圧縮部12、第2段圧縮部13、および第3段圧縮部14は、直列に接続され、3段階で冷媒を圧縮する。
【0027】
モータ11は、第1段圧縮部12と、第2段圧縮部13と、第3段圧縮部14とを駆動する駆動源である。モータ11は、ケーシング15内に収容されている。モータ11は、後述する第1段スクリュロータ12a、第2段スクリュロータ13a、および第3段スクリュロータ14aと回転軸16を共有する回転子11aと、回転子11aを包囲する固定子11bとを有している。
【0028】
モータ11には、インバータ17が電気的に接続されている。インバータ17は、図示しない制御装置によって制御されている。インバータ17の制御によって、モータ11の回転数を調整でき、即ち3段型スクリュ圧縮機10の駆動量を調整できる。なお、インバータ17は必須の構成ではなく、必要に応じて省略されてもよい。
【0029】
モータ11には、第1段圧縮部12が機械的に接続されている。当該接続の態様は、特に限定されない。
【0030】
第1段圧縮部12は、ケーシング15の内部に形成した第1段ロータ室R1に雌雄一対の第1段スクリュロータ12aを収容してなる。第1段圧縮部12は、上流側の冷媒流路2に流体的に接続される吸込口12bから冷媒を吸い込み、第1段ロータ室R1にて圧縮し、吐出口12cから吐出する。吐出口12cは、第1段圧縮部12と第2段圧縮部13との間のケーシング15内に画定された第1中間室R12に流体的に接続されている。
【0031】
第1段圧縮部12には、第1接手18を介して第2段圧縮部13が機械的に接続されている。本実施形態では、第1接手18は、スプライン接手である。
【0032】
第2段圧縮部13は、ケーシング15の内部に形成した第2段ロータ室R2に雌雄一対の第2段スクリュロータ13aを収容してなる。第2段圧縮部13は、上流側の第1中間室R12に流体的に接続される吸込口13bから冷媒を吸い込み、第2段ロータ室R2にて圧縮し、吐出口13cから吐出する。吐出口13cは、第2段圧縮部13と第3段圧縮部14との間のケーシング15内に画定された第2中間室R23に流体的に接続されている。
【0033】
第2段圧縮部13には、第2接手19を介して第3段圧縮部14が機械的に接続されている。本実施形態では、第2接手19は、スプライン接手である。
【0034】
第3段圧縮部14は、ケーシング15の内部に形成した第3段ロータ室R3に雌雄一対の第3段スクリュロータ14aを収容してなる。第3段圧縮部14は、上流側の第2中間室R23に流体的に接続される吸込口14bから冷媒を吸い込み、第3段ロータ室R3にて圧縮し、吐出口14cから吐出する。吐出口14cは、下流側の冷媒流路2に流体的に接続されている。
【0035】
第1段スクリュロータ12aは軸受12d,12eによって回転可能に支持され、第2段スクリュロータ13aは軸受13d,13eによって回転可能に支持され、第3段スクリュロータ14aは軸受14d,14eによって回転可能に支持されている。ケーシング15には、軸受12d,12e,13e,14eに油を供給するための油流路3が形成されている。詳細を図示しないが、当該油は、軸受13d,14dと、第1接手18と、第2接手19と対しても直接的または間接的に供給されてもよい。
【0036】
第1段スクリュロータ12aの雄ロータ、第2段スクリュロータ13aの雄ロータ、および第3段スクリュロータ14aの雄ロータは、同軸で回転するようになっている。即ち、第1段圧縮部12、第2段圧縮部13、および第3段圧縮部14は、共通の回転軸16を有している。
【0037】
油分離貯留器20は、3段型スクリュ圧縮機10と冷媒流路2を介して流体的に接続されている。油分離貯留器20は、3段型スクリュ圧縮機10から吐出された油を含む冷媒から油を分離および貯留する。油分離貯留器20は、油を含む冷媒から油を分離するセパレータ21と、セパレータ21にて分離された油を貯留するタンク22とを有している。タンク22に貯留された油は、油流路3を介して3段型スクリュ圧縮機10に供給される。
【0038】
凝縮器30は、油分離貯留器20と流体的に接続されている。凝縮器30は、油分離貯留器20で油を分離された冷媒を冷却して凝縮させる。
【0039】
膨張弁40は、凝縮器30と流体的に接続されている。膨張弁40は、凝縮器30で凝縮された冷媒を膨張させ、減圧させる。
【0040】
蒸発器50は、凝縮器30と3段型スクリュ圧縮機10とに流体的に接続されている。蒸発器50は、膨張弁40で減圧された冷媒を蒸発させる。減圧された冷媒は、3段型スクリュ圧縮機10に供給される。
【0041】
上記の凝縮器30、膨張弁40、および蒸発器50は、一般的な冷凍サイクルに使用される公知の種類のものを使用できる。
【0042】
本実施形態によれば、GWPが1500以下の冷媒を使用するため、環境性に優れる。また、GWPが1500以下の小さな冷媒を使用しても、3段型スクリュ圧縮機10を使用するため、一般的な2段型スクリュ圧縮機と比べて十分な圧縮性能を確保できる。従って、冷凍装置1において、環境性と圧縮性能を両立することができる。また、モータ11、第1段圧縮部12、第2段圧縮部13、および第3段圧縮部14が機械的に連結されているため、1つの駆動源(モータ11)で駆動できる。特に、これらが共通の回転軸16を有しているため、3段型スクリュ圧縮機10の構造を単純化できる。
【0043】
(第2実施形態)
図3に示す第2実施形態の冷凍装置1は、過冷却器とも称される第1エコノマイザ60および第2エコノマイザ70を有している。これに関する構成以外は、第1実施形態と実質的に同じである。従って、第1実施形態にて示した部分については説明を省略する場合がある。
【0044】
本実施形態では、冷媒流路2において凝縮器30と膨張弁40との間に第1エコノマイザ60および第2エコノマイザ70が設けられている。
【0045】
第1エコノマイザ60は、凝縮器30で冷却された冷媒をさらに冷却する。第1エコノマイザ60は、熱交換器61と、膨張弁62とを有している。第1エコノマイザ60では、膨張弁62によって凝縮器30で冷却された冷媒の一部を膨張させるとともに、熱交換器61によって膨張前後の冷媒で熱交換する。これにより、膨張前の冷媒(凝縮器30で凝縮された冷媒)が冷却されるとともに膨張後の冷媒が加熱される。第1エコノマイザ60は、第2段圧縮部13と第3段圧縮部14との間の第2中間室R23に流体的に接続されており、膨張後の冷媒は第2中間室R23に供給される。
【0046】
第2エコノマイザ70は、第1エコノマイザ60で冷却された冷媒をさらに冷却する。第2エコノマイザ70は、熱交換器71と、膨張弁72とを有している。第2エコノマイザ70では、膨張弁72によって第1エコノマイザ60で冷却された冷媒の一部を膨張させるとともに、熱交換器71によって膨張前後の冷媒で熱交換する。これにより、膨張前の冷媒(第1エコノマイザ60で冷却された冷媒)が冷却されるとともに膨張後の冷媒が加熱される。第2エコノマイザ70は、第1段圧縮部12と第2段圧縮部13との間の第1中間室R12に流体的に接続されており、膨張後の冷媒は第1中間室R12に供給される。
【0047】
本実施形態によれば、第1エコノマイザ60および第2エコノマイザ70によって冷媒を冷却することによって、冷凍装置1の成績係数(COP:Coefficient of Performance)を向上させることができる。
【0048】
(第3実施形態)
図4に示す第3実施形態の冷凍装置1は、過冷却器とも称される第3エコノマイザ80を有している。これに関する構成以外は、第2実施形態と実質的に同じである。従って、第1,第2実施形態にて示した部分については説明を省略する場合がある。
【0049】
本実施形態では、冷媒流路2において第2エコノマイザ70と膨張弁40との間に第3エコノマイザ80が設けられている。
【0050】
第3エコノマイザ80は、第2エコノマイザ70で冷却された冷媒をさらに冷却する。第3エコノマイザ80は、熱交換器81と、膨張弁82とを有している。第3エコノマイザ80では、膨張弁82によって第2エコノマイザ70で冷却された冷媒の一部を膨張させるとともに、熱交換器81によって膨張前後の冷媒で熱交換する。これにより、膨張前の冷媒(第2エコノマイザ70で冷却された冷媒)が冷却されるとともに膨張後の冷媒が加熱される。第3エコノマイザ80は、第1段圧縮部の内部空間Sに流体的に接続されており、膨張後の冷媒は内部空間Sに供給される。ここで、内部空間Sは、第1段ロータ室R1において第1段圧縮部12の吸込口12bにも吐出口12cにも連通していない閉じられた空間をいう。
【0051】
本実施形態によれば、第3エコノマイザ80によって冷媒を冷却することによって、冷凍装置1のCOPを一層向上させることができる。
【0052】
(第4実施形態)
図5に示す第4実施形態の冷凍装置1は、第1バイパス配管4および第1電磁弁4aを有している。これに関する構成以外は、第1実施形態と実質的に同じである。従って、第1実施形態にて示した部分については説明を省略する場合がある。
【0053】
本実施形態では、第1段圧縮部12の吸込口12bと第2段圧縮部13の吸込口13bを流体的に接続する第1バイパス配管4が設けられている。第1バイパス配管4には第1電磁弁4aが設けられている。第1電磁弁4aの開閉は図示しない制御装置によって制御されている。第1電磁弁4aは、通常閉じられており、3段型スクリュ圧縮機10が運転を開始した際に開かれる。
【0054】
また、本実施形態では、第1段圧縮部12および第2段圧縮部13の圧縮比は、それぞれ固定されている。
【0055】
本実施形態によれば、運転を開始した際の第2段圧縮部13の吸込口13bにおける冷媒の滞留を抑制できる。仮に、第1段圧縮部12および第2段圧縮部13の圧縮比を、それぞれ固定して、何らの工夫なく、運転を開始すると、第1段圧縮部12と第2段圧縮部13に容量差があるため、第2段圧縮部13の吸込口13bにおいて冷媒が滞留するおそれがある。当該滞留は、第1段圧縮部12および第2段圧縮部13の圧縮比をそれぞれ可変とし、容量を調整することによって解消することが考えられる。しかし、圧縮比を可変とする構成は複雑であり、採用し難い。従って、本実施形態では、第1段圧縮部12および第2段圧縮部13の圧縮比はともに固定しつつ、第2段圧縮部13の吸込口13bに滞留し得る冷媒を、第1電磁弁4aを開くことによって第1バイパス配管4を通じて第1段圧縮部12の吸込口12bに流すことができる。これにより、第1段圧縮部12および第2段圧縮部13において、圧縮比を可変とする複雑な構成を採用することなく、簡易な構成で第2段圧縮部13の吸込口13bにおける冷媒の滞留を抑制できる。
【0056】
(第5実施形態)
図6に示す第5実施形態の冷凍装置1は、第2バイパス配管5および第2電磁弁5aを有している。これに関する構成以外は、第1実施形態と実質的に同じである。従って、第1実施形態にて示した部分については説明を省略する場合がある。
【0057】
本実施形態では、第2段圧縮部13の吸込口13bと第3段圧縮部14の吸込口14bを流体的に接続する第2バイパス配管5が設けられている。第2バイパス配管5には第2電磁弁5aが設けられている。第2電磁弁5aの開閉は図示しない制御装置によって制御されている。第2電磁弁5aは、通常閉じられており、3段型スクリュ圧縮機10が運転を開始した際に開かれる。
【0058】
また、本実施形態では、第1段圧縮部12、第2段圧縮部13、および第3段圧縮部14の圧縮比は、それぞれ固定されている。
【0059】
本実施形態によれば、運転を開始した際の第3段圧縮部14の吸込口14bにおける冷媒の滞留を抑制できる。仮に、第1段圧縮部12、第2段圧縮部13、および第3段圧縮部14の圧縮比を、それぞれ固定して、何らの工夫なく、運転を開始すると、第2段圧縮部13と第3段圧縮部14に容量差があるため、第3段圧縮部14の吸込口14bにおいて冷媒が滞留するおそれがある。当該滞留は、第2段圧縮部13、および第3段圧縮部14の圧縮比をそれぞれ可変とし、容量を調整することによって解消することが考えられる。しかし、スライドバルブに例示されるような圧縮比を可変とする構成は複雑であり、採用し難い。従って、上記構成では、第1段圧縮部12、第2段圧縮部13、および第3段圧縮部14の圧縮比は固定しつつ、第3段圧縮部14の吸込口14bに滞留し得る冷媒を、第2電磁弁5aを開くことによって第2バイパス配管5を通じて第2段圧縮部13の吸込口13bに流すことができる。これにより、第2段圧縮部13、および第3段圧縮部14において、圧縮比を可変とする複雑な構成を採用することなく、簡易な構成で第3段圧縮部14の吸込口14bにおける冷媒の滞留を抑制できる。
【0060】
以上より、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。例えば、個々の実施形態の内容を適宜組み合わせたものを、この発明の一実施形態としてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 冷凍装置
2 冷媒流路
3 油流路
4 第1バイパス配管
4a 第1電磁弁
5 第2バイパス配管
5a 第2電磁弁
10 3段型スクリュ圧縮機
11 モータ
11a 回転子
11b 固定子
12 第1段圧縮部
12a 第1段スクリュロータ
12b 吸込口
12c 吐出口
12d,12e 軸受
13 第2段圧縮部
13a 第2段スクリュロータ
13b 吸込口
13c 吐出口
13d,13e 軸受
14 第3段圧縮部
14a 第3段スクリュロータ
14b 吸込口
14c 吐出口
14d,14e 軸受
15 ケーシング
16 回転軸
17 インバータ
18 第1接手
19 第2接手
20 油分離貯留器
21 セパレータ
22 タンク
30 凝縮器
40 膨張弁
50 蒸発器
60 第1エコノマイザ
61 熱交換器
62 膨張弁
70 第2エコノマイザ
71 熱交換器
72 膨張弁
80 第3エコノマイザ
81 熱交換器
82 膨張弁
R1 第1段ロータ室
R2 第2段ロータ室
R3 第3段ロータ室
R12 第1中間室
R23 第2中間室
S 内部空間