(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113251
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/4863 20200101AFI20230808BHJP
【FI】
G01S7/4863
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015462
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春瀬 祐太
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 義朗
(72)【発明者】
【氏名】曽根 秀倫
(72)【発明者】
【氏名】本橋 和也
(72)【発明者】
【氏名】林 幸雄
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA07
5J084BA36
5J084BA40
5J084CA03
5J084CA19
5J084CA23
5J084CA32
5J084CA45
5J084CA53
5J084EA04
(57)【要約】
【課題】測定性能の高い測定装置を提供すること。
【解決手段】対象物に向けて光を発光する発光素子と、前記対象物に反射された光を受光する、第1方向に配列された複数の受光素子と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数の受光素子のうち、前記第1方向に2以上の所定個数分並んだ受光素子を包含する第1受光領域内の受光素子に受光させる第1受光処理と、前記所定個数より少ない第1個数分、前記受光領域を前記第1方向に移動する第1移動処理と、前記複数の受光素子のうち、前記第1移動処理後の前記第1受光領域内の受光素子に受光させる第2受光処理と、を実行する測定装置を提供する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に向けて光を発光する発光素子と、
前記対象物に反射された光を受光する、第1方向に配列された複数の受光素子と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記複数の受光素子のうち、前記第1方向に2以上の所定個数分並んだ受光素子を包含する第1受光領域内の受光素子に受光させる第1受光処理と、
前記所定個数より少ない第1個数分、前記受光領域を前記第1方向に移動する第1移動処理と、
前記複数の受光素子のうち、前記第1移動処理後の前記第1受光領域内の受光素子に受光させる第2受光処理と、を実行する測定装置。
【請求項2】
前記第1受光領域は、前記第1受光処理及び前記第2受光処理各々において前記制御部が取得する画像の1画素に対応する受光素子群を含む、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記複数の受光素子の受光によって取得される複数の画像において、一定の画像間隔ごとに前記第1受光処理、前記移動処理及び前記第2受光処理を実行する、請求項1または2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記複数の受光素子は、前記第1方向に交差する第2方向においても配列される、請求項1または2に記載の測定装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1受光処理、前記移動処理及び前記第2受光処理を実行することによって画像を取得した後、
前記複数の受光素子のうち、前記第2方向に2以上の規定個数分並んだ受光素子を包含する第2受光領域内の受光素子に受光させる第3受光処理と、
前記規定個数より少ない第2個数分、前記第2受光領域を前記第2方向に移動する第2移動処理と、
前記複数の受光素子のうち、前記第2移動処理後の前記第2受光領域内の受光素子に受光させる第4受光処理と、
を実行することによって別の画像を取得する、請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記複数の受光素子を包含する包含領域の一部である第1領域において、
前記第1受光処理と、
前記所定個数分、前記第1受光領域を前記第1方向に移動する第3移動処理と、
前記第2受光処理と、を実行し、
前記包含領域から前記第1領域を除外した第2領域において、
前記第1受光処理と、前記第1移動処理と、前記第2受光処理と、を実行する、請求項1から5のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項7】
前記所定個数は3である、請求項1から6のいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項8】
前記第1個数は1である、請求項1から7のいずれか1項に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パルス光を射出してから反射光を受光するまでの光の飛行時間に基づいて、反射物までの距離を測定する測距装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LiDARなどの測定装置を使用する際には、測定性能をなるべく向上させることが好ましい。
【0005】
本発明は、上記点に鑑み、測定性能を向上できる測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は一態様として、対象物に向けて光を発光する発光素子と、前記対象物に反射された光を受光する、第1方向に配列された複数の受光素子と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記複数の受光素子のうち、前記第1方向に2以上の所定個数分並んだ受光素子を包含する第1受光領域内の受光素子に受光させる第1受光処理と、前記所定個数より少ない第1個数分、前記受光領域を前記第1方向に移動する第1移動処理と、前記複数の受光素子のうち、前記第1移動処理後の前記第1受光領域内の受光素子に受光させる第2受光処理と、を実行する測定装置を提供する。
【0007】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、解像度を向上できる測定装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態における、測定装置1の構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態における、測定装置1の機能構成の説明図である。
【
図3】光源12及び受光センサ22の一部を示す図である。なお、理解を容易にするため、裏面(-Z側)からの透視図としている。
【
図4】発光素子123、受光素子222、及び対称物90における照射領域の関係を示す図である。
【
図5】測定例1における、(a)光源12の発光と走査、及び(b)受光センサ22の受光と走査を説明する図である。
【
図6】測定例2における、(a)光源12の発光と走査、及び(b)受光センサ22の受光と走査を説明する図である。
【
図7】制御部30による発光、受光、及び走査に関するフローチャートである。
【
図8】(a)信号処理部362の説明図と(b)ヒストグラムの説明図である。
【
図9】測定例3における受光センサ22の図である。
【
図10】測定例3における(a)区画22Aでの受光と走査、及び(b)区画22Bでの受光と走査の一例を示す図である。
【
図11】第2実施形態における、測定装置100の構成を示す図である。
【
図12】第2実施形態における光源112の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、同一の又は類似する構成について共通の符号を付して重複した説明を省略することがある。
【0011】
===第1実施形態===
(概要)
図1は、測定装置1の全体構成の説明図である。
図2では、測定装置1における各機能部に関する機能ブロックが示されている。
【0012】
測定装置1は、対象物90までの距離を測定する装置である。測定装置1は、測定光を出射し、対象物90の表面で反射した反射光を検出し、測定光を出射してから反射光を受光するまでの時間を計測することによって、対象物90までの距離をTOF方式(Time of flight)で測定する。測定装置1は、照射部10と、受光部20と、制御部30と、記憶部50とを有する。
【0013】
照射部10は、対象物90に向かって測定光を照射する。照射部10は、所定の画角で測定光を照射することになる。照射部10は、光源12と、投光用光学系14とを有する。光源12は、光を出射する。光源12は、例えば面発光レーザー(VCSEL)により構成される。投光用光学系14は、光源12から出射された光を対象物90に照射する光学系である。
【0014】
以下の説明では、投光用光学系14の光軸(
図1において一点鎖線で示す)に沿った方向をZ方向とする。なお、測定装置1の測定対象となる対象物90は、測定装置1に対してZ方向に離れていることになる。また、Z方向に垂直な方向であって、投光用光学系14と受光用光学系24の並ぶ方向をY方向とする。また、Z方向及びY方向に垂直な方向をX方向とする。
【0015】
投光用光学系14は、光源12から出射される光を対象物90に向かって照射するための光学系である。投光用光学系14の焦点面内に光源12が配置されている。投光用光学系14は、光源12の発光素子123(後述)から射出された光をコリメート光として対象物90に照射する。投光用光学系14は、複数枚(例えば5~7枚)のレンズで構成されたレンズ群によってそれぞれ構成される(
図1では、投光用光学系14のレンズ群が簡易的に示されている)。
【0016】
受光部20は、対象物90からの反射光を受光する。受光部20は、受光センサ22と、受光用光学系24とを有する。
【0017】
受光用光学系24は、対象物90からの反射光を受光センサ22に受光させるための光学系である。受光用光学系24の焦点面内に受光センサ22が配置されている。受光用光学系24は、対象物90の反射光を受光センサ22の受光素子222(後述)に集光する。受光用光学系24も、投光用光学系14と同様に、複数枚(例えば5~7枚)のレンズで構成されたレンズ群によってそれぞれ構成されている(
図1では、受光用光学系24のレンズ群が簡易的に示されている)。
【0018】
光源12及び受光センサ22の詳しい構成については、後述する。
【0019】
制御部30は、測定装置1の制御を司る(
図2)。制御部30は、照射部10からの光の照射を制御する。また、制御部30は、受光部20の出力結果に基づいて、対象物90までの距離をTOF方式(Time of flight)で測定する。制御部30は、不図示の演算装置及び記憶装置を有する。演算装置は、例えばCPU、GPUなどの演算処理装置である。演算装置の一部がアナログ演算回路で構成されても良い。
【0020】
制御部30は、設定部32と、タイミング制御部34と、測距部36とを有する。設定部32は、各種設定を行う。タイミング制御部34は、各部の処理タイミングを制御する。例えば、タイミング制御部34は、光源12から光を射出させるタイミングなどを制御する。測距部36は、対象物90までの距離を測定する。測距部36は、信号処理部362と、時間検出部364と、距離算出部366とを有する。信号処理部362は、受光センサ22の出力信号を処理する。時間検出部364は、光の飛行時間(光を照射してから反射光が到達するまでの時間)を検出する。距離算出部366は、対象物90までの距離を算出する。
【0021】
記憶部50は、主記憶装置と補助記憶装置とにより構成され、プログラムやデータを記憶する装置である。記憶部50に記憶されているプログラムを演算装置が実行することにより、対象物90までの距離を測定するための各種処理が実行される。
【0022】
記憶部50は、制御部30が取得したデータを記憶することができる。例えば、受光部20が反射光を受光して得られたデータが記憶部50に保存され、その後の解析処理等に利用される。
【0023】
(光源及び受光センサ)
光源12は、
図3に示すように、XY平面(X方向及びY方向に平行な面)に平行な発光面を有する。発光面は、矩形状に構成されている。光源12から射出された光は、投光用光学系14を介して、対象物90に照射される。
【0024】
光源12は、2次元配置された複数の発光素子123を有している。発光素子123は、
図3に示すように、A、B、C…の各行、及び、1、2、3…の各列に形成される。
【0025】
受光センサ22は、
図3に示すように、2次元配置された複数の受光素子222を有している。受光素子222の数および配列は、発光素子123の数および配列と同じである。受光素子222は、A、B、C…の各行、及び、1、2、3…の各列に形成される。
【0026】
受光素子222は、受光量に応じた信号を出力する。受光素子222の具体例としては様々な種類の素子が考えられるが、一例としてSPAD(Single Photon Avalanche Diode)である。SPADで構成された受光素子222は、フォトンを検出するとパルス信号を出力する。発光素子123は投光用光学系14を介して対象物90に光を照射する。
【0027】
ある発光素子123によって発せられた光を受光する受光素子222の対応関係は予め決められている。詳細に述べると、1つの発光素子123に対して1つの受光素子222が反射光を受光可能に対応付けられており、或る受光素子222の検出位置は、対応する発光素子123の発光位置と共役である。
【0028】
本実施形態では、同行同列にある発光素子123と受光素子222が共役となるように対応付けられている。例えば、
図3におけるA行1列の受光素子222は、A行1列の発光素子123の発光を受光、検知できる。なお、以下では、位置または範囲が光源12及び受光センサ22において同行同列にあることを、簡単に「同じ位置」、「同じ範囲」であると説明する場合がある。
【0029】
図3における範囲Rの受光素子222は、光源12において同じ範囲Rにある発光素子123の発光を受光、検知できる。このとき、発光素子123から出射した測定光は、対象物90上の領域Sで反射し、対応する受光素子222によって受光される(
図4)。
【0030】
範囲Rのように3行3列の矩形状に配列された受光素子222の群は、制御部30によって取得される画像における画素に対応する。なお、画素を形成する受光素子222の個数及び配列の形状は、条件に応じて適宜設定可能である。
【0031】
(測定時の処理:測定例1)
測定時における、制御部30(タイミング制御部34)による発光素子123の制御について説明する。制御部30は、
図7のフローチャートに従い、以下のように受光及び発光を所定の方向に走査させながら、対象物90の測定を行う。
【0032】
まずステップS1において、制御部30(タイミング制御部34)は、光源12の-Y方向端部において、X方向の長さが光源12のX方向全長に等しく、かつ、Y方向に3列分延びる発光範囲を定める。
【0033】
次に制御部30は、発光範囲内にある発光素子123を同時に発光させ、パルス光を出射させる(S3)。なお、
図5(a)では、発光範囲をハッチングで示している。
【0034】
光源12の発光に伴い、対応する受光素子222が反射光を受光する。
図5(b)では、受光している受光素子222の範囲(受光範囲)をハッチングで示し、画素を構成する素子群を太線で示している。
【0035】
上述の通り、1つの発光素子123に対して1つの受光素子222が反射光を受光可能に対応付けられているため、受光センサ22における受光範囲は、光源12における発光範囲と同じである。すなわち、
図5(b)に示すように、受光範囲は、受光センサ22のX方向全長に延び、かつY方向に3列並んだ範囲である。
【0036】
ステップS7において制御部30は、
図5(a)に示すように、発光範囲及び受光範囲を+Y方向に1列分、すなわち1素子分移動させ、発光範囲内の発光素子123を発光させる。これに伴い、受光範囲も1素子分+Y方向に移動される(
図5(b))。
【0037】
制御部30は、ステップS1~S7の処理を一定周期で繰り返す。制御部30は、このように光源12における発光範囲、対象物90上での照射範囲、及び受光センサ22における受光範囲をそれぞれ+Y方向へ走査させていく。
【0038】
制御部30は、上記のような処理を光源12及び受光センサ22の全域にわたって行う。詳細に述べると、制御部30は、発光範囲及び受光範囲が光源12及び受光センサ22の+Y側端部まで移動すると(S5:YES)、処理をステップS1に戻し、再び-Y側端部から発光範囲及び受光範囲の走査を開始する。なお、走査の終点が、光源12及び受光センサ22の+Y側端部以外の位置で定められていてもよい。
【0039】
受光部20による反射光の受光により得られたデータは、記憶部50に保存されるとともに、以下のように処理される。
【0040】
図8(a)は、信号処理部362の説明図である。信号処理部362は、加算部362Aと、比較部362Bと、ヒストグラム生成部362Cとを有する。ここでは、処理信号部は、各受光素子222の出力信号に基づいて、時間相関単一光子計数法(Time Correlated Single Photon Counting(TCSPC)で用いるヒストグラムを生成する。
【0041】
加算部362Aは、画素を構成する受光素子222(SPAD)群の出力信号を加算する。加算部362Aは、受光素子222が出力するパルス幅を調整(整形)した上で、複数の受光素子222の出力信号を加算しても良い。比較部362Bは、加算部362Aの出力信号と閾値とを比較し、加算部362Aの出力信号が閾値以上の場合に信号を出力する。比較部362Bが信号を出力するタイミングは、受光センサ22の受光素子222(SPAD)が光を検知したタイミングであると考えられる。
【0042】
ところで、外乱光のフォトンは時間的にランダムにそれぞれの受光素子222に入射する。これに対し、反射光のフォトンは、光を照射してから所定の遅延時間(対象物90までの距離に応じた飛行時間)にそれぞれの受光素子222に入射する。このため、外乱光のフォトンが時間的にランダムに受光素子222に入射した場合には、加算部362Aの出力信号が閾値以上になる確率は低い。一方、反射光のフォトンが受光素子222に入射した場合には、画素を構成する受光素子222の群が同時にフォトンを検出するため、加算部362Aの出力信号が閾値以上になる確率は高い。このため、複数の受光素子222の出力信号を加算部362Aで加算し、加算部362Aの出力信号と閾値とを比較部362Bに比較させることによって、受光素子222(SPAD)が反射光を検知したと考えられる時間を計測する。
【0043】
図8(b)は、ヒストグラムの説明図である。図中の横軸は、時間であり、縦軸は頻度(回数)である。ヒストグラム生成部362Cは、比較部362Bの出力に基づいて、受光センサ22の受光素子222(SPAD)が光を検知した時間を繰り返し計測するとともに、その時間に対応付けられた頻度(回数)をインクリメントすることによって、ヒストグラムを生成する。ヒストグラム生成部362Cは、頻度(回数)をインクリメントする時、数を1つ増加させる代わりに、加算部362Aの出力信号(加算値)に相当する数を増加させても良い。
【0044】
なお、設定部32(
図2参照)は、ヒストグラムを生成するための積算回数を予め設定する。タイミング制御部34は、設定された積算回数に応じて、照射部10の光源12にパルス光を複数回出射させる。光源12からの1回のパルス光の出射に対して、加算部362Aから信号が1回又は複数回出力される。ヒストグラム生成部362Cは、設定された積算回数に達するまで、比較部362Bの出力信号に応じて、頻度(回数)をインクリメントすることによって、ヒストグラムを生成する。
【0045】
ヒストグラムの生成後、測距部36(時間検出部364)は、ヒストグラムに基づいて、光を照射してから反射光が到達するまでの時間Tfを検出する。
図8(b)に示すように、測距部36(時間検出部364)は、ヒストグラムの頻度のピークに対応する時間を検出し、その時間を時間Tfとする。そして、測距部36(距離算出部366)は、時間Tfに基づいて、対象物90までの距離を算出する。
【0046】
上記のような処理により、制御部30は、各発光素子123に対応した画素を持つ画像を生成するとともに、画素毎に対象物90までの距離を算出することができる。受光センサ22の辺縁部を除き、受光素子222は、一度の画像生成において複数回受光するとともに、画素の中心となることができる。そのため、解像度の高い画像生成が可能となる。
【0047】
(測定例2)
なお、上記の説明では、発光範囲および受光範囲をY方向3列分の範囲としたが、X方向3行分の発光範囲及び受光範囲としてもよい。この場合、発光範囲及び受光範囲のY方向長さは、それぞれ光源12及び受光センサ22のY方向全長と同じである。
【0048】
この場合の走査方向は、
図6に示すように-X方向である。すなわち、発光範囲及び受光範囲は、制御部30によって一定周期で-X方向に走査される。
【0049】
発光範囲及び受光範囲に関し、X方向の走査とY方向の走査を交互に繰り返すことも可能である。例えば、制御部が画像を1枚生成する度に測定方法1と測定方法2とを切り替えて実行し、走査方向を変えることも可能である。
【0050】
受光センサ22の辺縁部を除き、各受光素子222は複数回の受光ができるとともに、画素の中心となることができる。そのため、解像度の高い画像生成が可能となる。
【0051】
(測定例3)
受光センサ22を2以上の区画に分割し、各区画において走査方法を変えてもよい。例えば、画像の中央部において画像の解像度を高くしたい場合、
図8に示すように受光センサ22を中央部の区画22Aと区画22Bとに分割することが考えられる。区画22Aにおいては測定例1に基づく走査を行い(
図10(a))、区画22Bにおいては他の走査方法が適用され得る。例えば、区画22Bにおいては従来と同様に画素ごとの走査、すなわち、受光範囲を3列ずつ+Y方向に移動させる走査が行われる(
図10(b))。
【0052】
なお、区画22Aにおいて測定例2と同様の走査が実行されてもよい。
【0053】
上記のような走査を行うと、受光センサ22中央部の区画22Aにおいて解像度の高い画像が生成できる。また、区画22Bにおいては走査速度を上げ、画像生成に掛かる時間を早めることができる。そのため、迅速に、または効率よく画像生成が可能となる。
【0054】
区画22A及び区画22Bは、画像生成毎に形状を変えることも可能である。例えば、高解像度の画像が必要な領域の移動に応じて、区画22Aの大きさ、形状を適宜変更することが一例として考えられる。
【0055】
===第2実施形態===
第2実施形態による測定装置100について、
図11から
図12を用いて以下に説明する。
【0056】
測定装置100は、測定装置1と同様構成に加えて走査部40をさらに備え、光源12と構成の異なる光源112を備える(
図11)。以下では、第1実施形態の測定装置1と同様の構成、部品等に対しては同じ参照番号を付し、説明を省略する。
【0057】
走査部40は、測定光の照射される角度を変化させることにより、測定光を走査させる機能を有する。走査方法は、フォトニック結晶、液晶などさまざまなものが採用され得る。例えば、走査部40がガルバノスキャナやMEMSミラー等のように、回転または移動する鏡を備え、この鏡にレーザー光を反射させてレーザー光を走査させる構成とすることができる。鏡は、1以上の平面鏡でもよいし、多面体形状に形成されてもよい。あるいは、走査部40がモータ等の駆動装置を備え、投光用光学系14をXY方向に移動させることによって測定光を走査させてもよい。
【0058】
光源112は発光素子123を備えるが、発光素子123の数は第1実施形態と異なり、Y方向3列分だけ配列される(
図12)。受光センサ22の構成は第1実施形態と同じである。
【0059】
測定時における制御部30(タイミング制御部34)による制御は以下のように実行される。制御部30は、光源12の全発光素子123を一定周期で発光させる。並行して、制御部30は走査部40を制御し、走査光の方向を発光素子123の発光の度に+Y方向に変更する。このようにして制御部30は、
図5(b)と同様に、受光センサ22の受光範囲を1列(1素子)ずつ+Y方向に走査させ、第1実施形態と同様の画像形成を実行する。
【0060】
このような処理を行うことにより、測定例1と同様、解像度の高い画像の生成が可能となる。また、光源12を発光素子数の少ない簡易な構成とすることができる。
【0061】
光源112は、発光素子123をY方向1列だけ備えるものとしてもよい。この場合、受光素子222を3列分受光させるのに必要なY方向長さを、発光素子123が持っていればよい。
【0062】
光源12において発光素子123をX方向3行に配列し、X方向に走査する構成としてもよい。この場合は、受光センサ22において測定例2と同様の走査、測定が実行される
【0063】
===変形例===
上記各実施形態では、走査時における受光範囲の移動量は1素子分であったが、1素子以上の大きさで受光範囲が移動されてもよい。すなわち、例えば受光範囲が素子3列(3行)分である場合、受光範囲を光源12の発光毎に2列(2行)分移動させる構成としてもよい。つまり、走査方向における受光範囲長さよりも小さいという条件を満たしつつ、受光範囲の移動量は適宜設定可能である。
【0064】
光源12または受光センサ22における発光素子123または受光素子222の配列は、2次元配列ではなく1次元配列であってもよい。
【0065】
===小括===
測定装置1、100は、対象物90に向けて光を発光する発光素子123と、対象物90に反射された光を受光する、第1方向に配列された複数の受光素子222と、制御部30と、を備える。制御部30は、複数の受光素子222のうち、第1方向(例えばY方向)に2以上の所定個数分並んだ受光素子222を包含する受光範囲(第1受光領域に相当)内の受光素子222に受光させる第1受光処理(S3)と、所定個数より少ない第1個数分、受光範囲を第1方向に移動する第1移動処理(S7)と、複数の受光素子222のうち、第1移動処理後の前記第1受光領域内の受光素子222に受光させる第2受光処理(SS3)と、を実行する。
【0066】
上記構成により、画素単位で走査する場合に起こる解像度の低下を抑制し、解像度の高い画像の生成が可能となる。すなわち測定性能の高い、測定装置1、100を実現できる。光源12の視野全体を一度に照射するのではなく、部分的に照射してスキャンしていくことにより、エネルギ密度を高めることが可能となる。
【0067】
受光範囲内は、第1受光処理及び第2受光処理各々において制御部30が取得する画像の1画素に対応する受光素子222の群を含む。
【0068】
上記構成では、受光素子222としてSPADを用いての走査、計測を実行できる。また、解像度の高い画像が生成できる。詳細に述べると、複数画素をまとめて1画素とする場合は、1つの受光素子222を1画素とした場合と比較して、ダイナミックレンジの拡大や、測距のための積算回数低減が可能となる。そのため、測定性能の高い測定装置1、100を実現できる。
【0069】
制御部30は、複数の受光素子222の受光によって取得される複数の画像において、一定の画像間隔ごとに第1受光処理、移動処理及び第2受光処理を実行する。
【0070】
上記構成では、第1受光処理、前記移動処理及び前記第2受光処理による測定方法と、例えば画素単位での走査を行う測定方法とを、画像1枚ごとに切り替えることが可能となる。解像度の高い画像生成を、一定の画像間隔毎に処理を実行することで、複数の画像生成に掛かる時間を短くし、処理を迅速に実行することができる。また、高解像度の画像生成を、必要な数量に抑制することができる。
【0071】
複数の受光素子222は、第1方向に交差する第2方向(例えばX方向)においても配列される。
【0072】
上記構成により解像度の高い、2次元画像取得が可能となる。
【0073】
制御部30は、第1受光処理、移動処理及び第2受光処理を実行することによって画像を取得した後、複数の受光素子222のうち、第2方向に2以上の規定個数分並んだ受光素子222を包含する第2受光領域内の受光素子222に受光させる第3受光処理と、規定個数より少ない第2個数分、前記第2受光領域を前記第2方向に移動する第2移動処理と、複数の受光素子222のうち、前記第2移動処理後の前記第2受光領域内の受光素子222に受光させる第4受光処理と、を実行することによって別の画像を取得する。
【0074】
上記の構成により、例えば、Y方向への走査による測定(測定例1)と、X方向への走査による測定(測定例2)とを、交互に実行することができる。走査方向を変えることにより、受光センサ22辺縁部以外の受光素子222に均等に受光させ、高解像度の画像を生成できる。
【0075】
制御部30は、複数の受光素子222を包含する包含領域の一部である区画22B(第1領域に相当)において、第1受光処理と、所定個数分、前記受光範囲を前記第1方向に移動する第3移動処理と、第2受光処理と、を実行し、包含領域から前記第1領域を除外した区画22A(第2領域に相当)において、第1受光処理と、第1移動処理と、第2受光処理と、を実行する。
【0076】
上記構成により、例えば測定例3の処理を実行することができる。受光センサ22において、高解像度の画像が必要な区画だけに対して測定例1、2等による処理を実行し、それ以外の区画における走査方法と異なる処理とすることにより、画像を迅速に生成できる。
【0077】
以上、本発明の実施形態につき詳述したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施形態の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1、100 測定装置
10 照射部
12 光源
14 投光用光学系
20 受光部
22 受光センサ
222 受光素子
24 受光用光学系
90 対象物