(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113260
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
B60P 1/44 20060101AFI20230808BHJP
B60P 1/43 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B60P1/44 Z
B60P1/43 B
B60P1/44 B
B60P1/44 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015481
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】兪 貴裕
(57)【要約】
【課題】車両の後方側の領域において、荷物の積みおろしのための作業条件が制限される中でも、巧くその作業を行うことができるできる荷受台昇降装置とする。
【解決手段】車両の荷箱と地面との間で昇降される荷受台を備えるとともに前記車両の後方側に取り付けられる荷受台昇降装置を対象とする。荷受台は、その側方部位には外側領域に突出可能なフラップ部が設けられており、当該フラップ部は、前記外側領域に突出した状態の突出姿勢と、前記突出した状態よりも内側領域で格納された状態の格納姿勢とに姿勢変更可能な構成を有している構成とする。。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷箱と地面との間で昇降される荷受台を備えるとともに前記車両の後方側に取り付けられる荷受台昇降装置であって、
前記荷受台は、その側方部位には外側領域に突出可能なフラップ部が設けられており、
当該フラップ部は、前記外側領域に突出した状態の突出姿勢と、前記突出した状態よりも内側領域で格納された状態の格納姿勢とに姿勢変更可能な構成を有している
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
前記フラップ部は、
前記側方部位に固定された固定部と、
前記固定部に固定されて前記車両の前後方向を長手方向とする第1軸部と、
当該第1軸部に軸支されてその周方向に回動可能な第1フラップ部と、
を有し、
前記第1フラップ部には、当該第1フラップ部が起立姿勢のときに前記周方向の回動を規制する規制部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項3】
前記フラップ部は、
前記側方部位に固定された固定部と、
前記固定部に固定されて前記車両の前後方向を長手方向とする第1軸部と、
当該第1軸部に軸支されてその周方向に回動可能な第1フラップ部と、
を有するとともに、
前記突出姿勢から前記格納姿勢に姿勢変更される際に、前記第1フラップ部が前記第1軸部の周方向に回動されて前記内側領域で重畳状態とされる
ことを特徴とする請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項4】
前記フラップ部は、
前記側方部位に固定された固定部と、
前記固定部に支持されて前記外側領域に突出可能な第1フラップ部と、
当該第1フラップ部に固定されて前記車両の前後方向を長手方向とする第2軸部と、
当該第2軸部に軸支されてその周方向に回動可能な第2フラップ部と、
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後方側に取り付けられて、地面と荷箱床面との間の荷物の積みおろしに利用される荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷受台昇降装置には、車両の荷箱床面に対してアーム(平行リンク)を上下に回動させることで、アームに取り付けた荷受台を上下に平行移動させて荷役作業を支援するものや、荷箱の左右後端部に固定されたポストに沿って荷受台を昇降させるものがある。いずれの荷受台昇降装置も、荷箱床面と荷受台の荷物載置面が略面一状態のときに、荷箱内から荷物を車両後方側に移動させて荷受台に載置し、その荷受台が下降されることで荷物をおろすことができる。また、荷物載置面に荷物を載せた状態で荷受台が荷箱床面と略面一状態となるまで上昇されることで、荷物載置面から車両前方側の荷箱床面に荷物を移動させることができる。
【0003】
荷物を載置する荷受台の形状は様々であり、荷受台の厚み分だけ地面に対して段差が生じるものもある。こうした段差を解消する手段として、荷受台の先端側に回動式のフラップを設け、スロープ形状に変更する構成などが知られている(特許文献1)。こうしたフラップを利用することで、地面に対して荷受台の上に載せる荷物(例えば台車など)をスムーズに積みおろしできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした既知の荷受台昇降装置に関しては、車両の後方側に荷物の積みおろしを行う点で非常に役立つ中、本発明者らは車両の後部に取り付けられる荷受台昇降装置の利便性をさらに向上する点に着目した。
【0006】
既知の荷受台昇降装置は、車両の前後方向に沿った荷物の積みおろしに用いられている。具体的には、荷物を荷箱内からおろす際、荷箱から車両後部にある荷受台に荷物を移動し、荷受台が接地された後に荷受台から車両後方側のスペースに荷物をおろす。荷物を荷箱内に積む際は逆の手順となる。つまり、荷物の積みおろしには、荷箱から車両後方側に張り出した荷受台のさらに後方側に積みおろし対象となる荷物を置くスペースが最低限必要となる。
【0007】
しかしながら、荷物を積みおろしするために車両を停める際、車両後方側に荷受台を張り出すためのスペースに加え、荷物を置くためのスペースも十分に確保できるとは必ずしも限らない。特に、上述のとおり、荷物を車両前後方向に移動させるため、これらスペースを車両前後方向に沿って確保する必要がある。
【0008】
本発明の目的は、車両の後方側の領域において、荷物の積みおろしのための作業条件が制限される中でも、巧くその作業を行うことができるできる荷受台昇降装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、車両の後方側に取り付けられる荷受台昇降装置に関して、荷受台は、その側方部位には外側領域に突出可能なフラップ部が設けられた構成とした。さらに、このフラップ部は、外側領域に突出した状態の突出姿勢と、突出した状態よりも内側領域で格納された状態の格納姿勢とに姿勢変更可能な構成を有している。フラップ部については、側方部位に固定された固定部と、固定部に固定されて車両前後方向を長手方向とする第1軸部と、第1軸部に軸支されてその周方向に回動可能な第1フラップ部とを有し、第1フラップ部には、当該第1フラップ部が起立姿勢のときに前記周方向の回動を規制する規制部が設けられている構成としても良い。他にも、フラップ部が、側方部位に固定された固定部と、固定部に固定されて前記車両の前後方向を長手方向とする第1軸部と、第1軸部に軸支されてその周方向に回動可能な第1フラップ部とを有するとともに、突出姿勢から格納姿勢に姿勢変更される際に、第1フラップ部が第1軸部の周方向に回動されて内側領域で重畳状態とされる構成としても良い。その他にも、フラップ部が、側方部位に固定された固定部と、固定部に支持されて前記外側領域に突出可能な第1フラップ部と、第1フラップ部に固定されて前記車両の前後方向を長手方向とする第2軸部と、第2軸部に軸支されてその周方向に回動可能な第2フラップ部とを有するようにしても良い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、車両の前後方向に交差する方向にフラップ部が突出可能となっているので、車両後方側のスペースが限られる場合にも巧く荷物の積みおろしを行うことができ、荷受台昇降装置の汎用性を高めることができる。また、作業者の作業迅速性や安全性の向上にも役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置を車両に取り付けた様子を表す斜視図及びその一実施形態に係る荷受台昇降装置の側面図
【
図2】本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置の展開状態となる荷受台の平面図
【
図3】本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置に設けられたフラップ部の姿勢変更を示す荷受台を前方から見た正面図
【
図4】本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置に設けられたフラップ部の説明図
【
図5】本発明の他実施形態に係る荷受台昇降装置に設けられたフラップ部の説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0013】
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る荷受台昇降装置100を取り付けた車両200の後部を表す斜視図を示し、
図1(b)は荷箱1の後方側における荷受台2の昇降動作を示す荷受台昇降装置100の側面図である。本願明細書では車両を基準として前後を定義する。つまり車両200の運転席(不図示)の正面方向(
図1では左斜め上方向)を前方とする。
図1に示した荷受台昇降装置100は平行リンクにより荷受台2を昇降させて荷役作業を支援する装置であり、主に荷箱と地面との間における荷物の積みおろしに利用される。なお、本実施形態に係る荷受台昇降装置100は、車両200の走行時には荷箱1に対して荷受台2を起立させて格納状態とする。この荷受台昇降装置100は、支持フレーム3、左右のリフトアーム4、荷受台2、左右のリフトシリンダ5、左右のチルトシリンダ6を備えている。
【0014】
本実施形態では、荷受台2を駆動する駆動装置には2つの油圧シリンダが含まれる。リフトシリンダ5が荷受台2の昇降動作に用いられ、チルトシリンダ6が荷受台2の傾斜に用いられる。荷役作業時には主にリフトシリンダ5が用いられ、荷受台2を格納する(格納姿勢に移行させる)際にはチルトシリンダ6が用いられる。リフトシリンダ5及びチルトシリンダ6は単動式の油圧シリンダが用いてあるが複動式のものでも良い。
【0015】
まず支持フレーム3は、車両200に取り付けられる荷受台昇降装置100の基部構造体であり、車両200の車枠(シャシフレーム)の後部下側に取り付けられている。支持フレーム3の後端面には左右に延びるバンパB1-B3が取り付けられている。バンパB1-B3は左右に並んでおり、中央のバンパB1と左右のバンパB2,B3との間には、上下に回動する左右のリフトアーム4を通すために所定の間隔が介在している。
【0016】
リフトアーム4は、車両に対して上下に回動する部材であり、チルトアーム7を介して支持フレーム3に連結されている。
図1(b)のように、チルトアーム7は左右に延びるピンP0を介して上端部が支持フレーム3に連結されており、ピンP0を中心に支持フレーム3に対して回動自在である。リフトアーム4の基端部(前端部)はピンP0よりも下側の位置で左右に延びるピンP1を介してチルトアーム7に連結されている。リフトアーム4はピンP1を中心にチルトアーム7に対して回動自在である。リフトアーム4の先端部(後端部)は左右に延びるピンP2を介して荷受台2の基端部分の上部に連結されている。つまり荷受台2はリフトアーム4の先端にピンP2を中心にして上下に回動自在に連結されている。
【0017】
チルトシリンダ6は、リフトアーム4に対して荷受台2を上下に回動(傾斜)させる油圧シリンダである。チルトシリンダ6の基端部(前端部)はピンP1よりも下側の位置で左右に延びるピンP3を介して支持フレーム3に連結されている。チルトシリンダ6はピンP3を中心に支持フレーム3に対して回動自在である。チルトシリンダ6の先端部(後端部)は左右に延びるピン(不図示)を介して荷受台2の基端部分の下部に連結されている。チルトシリンダ6と荷受台2は当該ピンを中心に相対的に回動自在である。
【0018】
リフトシリンダ5は、リフトアーム4を上下に回動させて荷受台2を昇降させる油圧シリンダである。リフトシリンダ5の基端部(前端部)はピンP3よりも下側の位置で左右に延びるピンP4を介してチルトアーム7に連結されている。リフトシリンダ5はピンP4を中心にチルトアーム7に対して回動自在である。リフトシリンダ5の先端部(後端部)は左右に延びるピンP5を介してリフトアーム4の先端付近の下部に連結されている。リフトシリンダ5とリフトアーム4はピンP5を中心にして相対的に回動自在である。
【0019】
ここで、チルトシリンダ6は、チルトアーム7及びリフトアーム4と共に平行リンクを構成するリンクアームを兼ねる。チルトシリンダ6が収縮して荷受台2が水平になると、リフトシリンダ5が伸縮することでリフトアーム4及びチルトシリンダ6が平行を保って回動し、荷受台2が上下に平行移動する。このとき、荷受台2は水平姿勢を保持したまま昇降される。ただし、荷受台2が下降されて接地した際にはリフトシリンダ5が更に収縮すると、チルトアーム7がピンP0を支点に後方(
図1(b)では反時計回り)に回動する。これにより支持フレーム3に装着されたピンP3に相対してチルトアーム7に装着されたピンP1が後方に移動し(チルトシリンダ6に対してリフトアーム4が後方に移動し)、先端が接地する(一点鎖線の状態)まで荷受台2が後傾する。
【0020】
チルトシリンダ6を伸縮させると、荷受台2はリフトアーム4に対してピンP2を支点に回動し傾斜動作する。荷受台2が荷箱1の床面1Fの高さに位置する場合にチルトシリンダ6を伸長させると、車両の荷箱Aの後面に沿って荷受台2が起立し格納姿勢(
図1(a)参照)に移行する。反対にチルトシリンダ6を収縮させれば、格納姿勢の荷受台2を基準角度(例えば水平)に展開して荷役作業に使用できる状態にできる。
【0021】
図2は、荷箱1の床面1F高さで水平姿勢の荷受台2を示す平面図である。本実施形態に係る荷受台2は、平面視で矩形状の荷受台本体部21を有し、この荷受台本体部21の側方部位であって車両200の左舷側(図中の右側部側)の位置にフラップ部22が設けられている。このフラップ部22は、図示のとおり、その一部が荷受台本体部21の外側領域に突出した姿勢となっている。
【0022】
フラップ部22は、荷受台本体部21の側方部位に固定された固定部221と、当該側方部位から外側領域に突出した状態の第1フラップ部222と、第1フラップ部222からさらに外側領域に位置する第2フラップ部223と、固定部221に取り付けられて第1フラップ部222を軸支する第1軸部224と、第1フラップ部222に取り付けられて第2フラップ部223を軸支する第2軸部とを有している。いずれも図示のとおり車両前後方向(図中の上下方向)を長手方向とし、荷受台本体部21の長さ(車両前後方向に沿った大きさ)よりも短い状態で設けられている。なお、第1軸部224は、蝶番部T224を介して設けられており、この蝶番部T224は車両前後方向に沿って所定の間隔に離れた状態で3つ設けられている。
【0023】
第1フラップ部222は、第1軸部224の周方向に回動可能であり、回動されることで固定部221に対して重なるように姿勢変更可能となっている。第2フラップ部223は、第2軸部225の周方向に回動可能であり、回動されることで第1フラップ部222に対して重なるように姿勢変更可能となっている。また、第2フラップ部223が第1フラップ部222に重なった状態を保持する保持部226が、固定部221の車両前方側に設けられている。保持部226は、拡大図に示すように、固定部221の上面に固定されてハット状断面を有するプレート部2261と、そのプレート部2261の上面に取り付けられて車両前後方向(図中の上下方向)に付勢されて車両後方側に突出可能なピン状部2262とを有する。ピン状部2262は、車両前後方向を長手方向とする筒材2262aと、筒材2262a内に設けられたバネ材2262bと、バネ材2262bの付勢力を受けて車両後方側(図中の上側)に付勢されるピン材2262cと、ピン材2262cの周面に固設されてピン材2262cの長手方向と垂直方向に突出したレバー部2262dとを有している。筒材2262aにはレバー部2262dの移動を許容又は規制するための切り欠き部2262eが設けられている。レバー部2262dを持って切り欠き部2262eの下端部まで移動すると、ピン材2262cに押されてバネ材2262bが収縮される。その状態からレバー部2262dを離すと、バネ材2262bの付勢力を受けてピン材2262cが車両後方側に移動されて、図示のようにプレート部2261から突出した状態となる。このとき、後述する第2プレート部223に設けられたストッパ部と係止可能な状態となる。
【0024】
次に、フラップ部22の機能について、さらに
図3を用いて説明する。
図3は、
図2のように水平姿勢の荷受台2を車両前方側から車両後方側の方向に見た状態を示している。フラップ部22は、
図2のように突出した姿勢と、荷受台本体部21の内側領域で折り畳まれて格納された姿勢とに変更可能な構成を有しており、フラップ部22は
図3(a)から
図3(d)の順に、格納姿勢から突出姿勢に姿勢変更可能となっている。
【0025】
本実施形態に係る荷受台昇降装置100では、フラップ部22を用いないときには、
図3(a)のように、荷受台本体部21の内側領域に重畳した状態(折り畳まれた格納状態)となっている。第2プレート部223の側部(車両前方側部位)には、延伸状のプレート材でフラップ22の姿勢変更を規制可能なストッパ部227が設けられている。ストッパ部227は、その一端が第2プレート223に設けられたピンP223に軸支され、他端がその一部に形成された長孔227aに上記のピン材2262cが係脱可能となっている。フラップ部22が図示する重畳した状態のときには、ピン材2262cがプレート部2261から突出するとともに上記長孔227aに挿通された係合状態となっている。
【0026】
次に、荷受台昇降装置100を利用する際には、荷受台2は水平姿勢とされる(
図1(b)参照)。このとき、フラップ部22の第1フラップ部222及び第2フラップ部223を手で持って
図3(b)の矢印で示すように起立姿勢に姿勢変更することができる。この姿勢変更においては、長孔227aにピン材2262cが係合状態となっているため、図示する起立姿勢よりも外側にプラップ部22が姿勢変更することが規制され、このフラップ部22が荷受台2に載置された荷物が側方から落下しないようにするための落下防止部材として活用可能となる。
【0027】
そして、荷物を荷受台本体部21の外側に移動することにフラップ部22を用いる場合には、レバー部2262dを手で操作してピン材2262cを長孔227aから抜き、そのタイミングに続いて
図3(c)のようにフラップ部22を外側領域に突出した状態へと姿勢変更する。具体的には、第1フラップ部222を図示するように第1軸部224を中心に時計回りに回動し、第2フラップ223は第2軸部225を中心に反時計回りに回動する。
【0028】
第2軸部225は図示のように、第1フラップ部222と第2フラップ部223が重畳した状態では互いの接触面側に設けられているので、
図3(d)のように第1フラップ部222と第2フラップ部223が略面一状態(略一直線状態)のときには両者の端面同士が接触し、それ以上の回動が規制される。したがって、図示のように略一直線状態で外側領域にフラップ部22が突出した状態には、下方側にフラップ部22が折れ曲がる状態になることを防止でき、荷受台本体部21に載置された荷物を移動する際に、フラップ部22を安全に利用することができる。
【0029】
フラップ部22を荷物の移動に利用できることで、荷受台2よりもさらに車両後方側に荷物を移動させることだけに荷受台昇降装置100の利用方法が限定されないので、その汎用性が向上する。例えば荷箱1から荷物をおろす際には、荷受台2に荷物を載置した状態で荷受台2が下降される。このとき、荷受台2のさらに車両後方側に荷物をおろすために十分なスペースがない場合には、車両後方側ではなく車両側方側(車両200の左舷側)に荷物をおろすことができる。車両側方側に荷物をおろすことが可能になることで、車両200の停止位置も自由度が高まるため好ましい。
【0030】
また、荷受台2が最も下まで下降される前で、荷物をおろす箇所が地面よりも高位置にある場合には、
図3(d)のようにその箇所に合わせてフラップ部22が略一直線状とすることができる。ただし、
図4(a)のように、荷物をおろす箇所が荷受台2より低い場合でも、第2フラップ部223が第2軸部225を中心に下方側に回動可能なのでスロープ機能を発揮することができる。これによって、荷受台2と荷物をおろす箇所との間に段差Hが存在する場合でも、巧く荷物をおろすことができる。特に、本実施形態に係る荷受台昇降装置100の場合、荷受台2が水平姿勢のままで下降されて地面に接地するとそのまま先端が接地するまで荷受台2が後傾姿勢に姿勢変更される。このため、下降されて地面に接地する際又はその前に下降動作を停止することで、荷受台2が水平姿勢のままフラップ部22を利用して車両側方側に荷物をおろすことができる点でも好ましい。他にも
図4(b)のように、接地させたい荷受台2の周辺に高さH2の縁石STなどの凸部となり得る障害物が存在する場合でも、その障害物を超えて巧く第2フラップ部223の先端部を接地させることができる点でも、車両200の停止条件を緩和できるため好ましい。
【0031】
上記のとおり、車両200の側方側に荷物をおろすことができる荷受台昇降装置100の適用は、車両200の後方側のスペースの制限を緩和できる効果のほか、荷物をおろした後の迅速で安全な荷物の搬送作業の面でも大きな効果を奏する。車両200は道路の左端に寄せた状態で停止する際、代表例として歩道に接近した状態で運転手は車両200を停止する。車両200が走行する車道に対して歩道は若干ながら段差を有することも多く、荷受台昇降装置100を利用して車両後方側に荷物をおろすと、その荷物を搬送する際には歩道に移動するために上記段差を超えて歩道に移動する必要がある。このため、搬送作業に台車を用いるケースであれば、その段差を超えることに手間がかかるが、本実施形態に係るフラップ部22を用いることで、荷受台2から歩道に直接移動させることができる。つまり、台車等の搬送作業の迅速性及び安全性で大きな効果を得ることもできる。
【0032】
上述した機能や効果に関して、荷箱1から荷受台2を用いて荷物をおろす作業を挙げて説明したが、荷受台2を用いて荷箱1に荷物を積む作業においても同等の機能及び効果を奏することができる。従来のように、荷箱1と荷受台2における荷物の移動方向、荷受台2の起立姿勢と水平姿勢の回動方向、及び荷受台2と地面における荷物の移動方向のいずれの方向も車両前後方向に沿った方向となるのではなく、荷受台2と地面における荷物の移動方向を車両前後方向に略垂直な方向も付加できることで、荷物の積みおろし作業における汎用性が高まり、作業の迅速性及び安全性の向上につながる点で好ましい。
【0033】
本発明に関しては上述した実施形態に限定されない。例えば、
図5に示す異なる実施形態に係るフラップ部も適用可能である。例えば、
図5(a)は荷受台本体部21の側端部に設けられたフラップ部22Aを示している。図示する位置にフラップ部22Aが設けられていることで、荷受台2において荷物を載置することのできる荷物載置領域を広く活用することができる。また、フラップ部22Aを起立姿勢(一点鎖線部分)に姿勢変更した際には、その起立位置が外側領域となるので同様に荷物載置領域の拡張効果を奏する。
【0034】
また、
図5(b)のように他の実施形態に係るフラップ部22Bも適用可能である。フラップ部22Bは、第2フラップ部223Bが荷受台本体部221の側端部よりも外側に延出した延出部B1を有している。この延出部B1を有している分だけ、フラップ部22Bが突出姿勢となった際にその張出領域を長くすることができる。また、縁石などの障害物を超えて荷受台2に対する荷物の積みおろしの自由度も高くなる。さらに、フラップ部22Bは
図5(a)のフラップ部22Aと同様に荷受台本体部21の側端部に設けられているので荷物載置領域も広く確保できる。なお、本実施形態においては、図示する内側領域内でフラップ部22Bが折り畳まれて格納された状態とされる。
【0035】
他にも、
図5(c)のように荷受台本体部21の側端面21Sに対して当接する構成を有するフラップ22Cとする実施形態を採ることもできる。フラップ部22Cは、固定部221Cと、上面がテーパ形状となる主面部222Cと、固定部221Cに取り付けられて車両前後方向を軸中心とする軸部223Cと、軸部223Cに軸支されて軸部223Cを中心に上下回動する回動プレート224Cとを有する。主面部222Cは図示のとおり、回動プレート224Cの回動先端部に固定されている。なお、固定部221C、軸部223C、及び回動プレート224Cは、主面部222Cの一端部に位置する部分のみ図示するが、その他端部(車両前後方向の後方側)にも同様に設けられている。
【0036】
図5(c)に示す実施形態においては、主面
図222Cが図中の矢印A22で示す方向に回動されて、折り畳まれた格納姿勢(不図示)から突出した姿勢に姿勢変更された際に端面2221Cが荷受台本体部21の側端面21Sに当接することでその回動が規制される。端面2221Cと側端面21Sが当接状態で、主面部222Cはその先端部位が荷受台本体部21の下方側の距離H3に至る位置までテーパ面(回動先端側に向かって細くなるテーパ面)となっている。このテーパ面によって台車等の荷物を簡易に積みおろしすることができる。なお、主面部222Cが格納姿勢に姿勢変更された際には固定部221Cに取り付けられて回動可能なレバー部225Cの回動先端部2251Cが、回動プレート224Cに設けられた挿通孔2241Cに係合されることで、フラップ部22Cの格納姿勢が保持される。
【0037】
以上、各実施形態のとおり、側方に突出可能なフラップ部22、22A、22B、22Cが設けられた荷受台昇降装置100について説明したが、荷受台昇降装置100に関してはリフトアーム4が上下回動して荷受台2が昇降されるものに限定されず、既知の左右の支柱に沿って荷受台が昇降するタイプの荷受台昇降装置にも適用可能である。また、本発明は、荷受台2が車両走行時に起立姿勢とされる荷受台昇降装置100(又は上記異なるタイプの荷受台昇降装置)以外にも、荷箱1の下方に引き込まれて収納(格納)されて同じく既知の荷受台昇降装置にも同様に適用可能である。
【0038】
また、フラップ部22、22A、22B、22Cはいずれも回動されることで、突出姿勢と格納姿勢とに姿勢変更される形態としたが、スライド機構を利用して姿勢変更するプラップ部としても構わない。
【符号の説明】
【0039】
1…荷箱、2…荷受台、3…支持フレーム、4…リフトアーム、5…リフトシリンダ、6…チルトシリンダ、21…荷受台本体部、22…フラップ部、221…固定部、222…第1フラップ部、223…第2フラップ部、224…第1軸部、225…第2軸部、226…保持部、227…ストッパ部、100…荷受台昇降装置、200…車両