(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011327
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
B65B 9/20 20120101AFI20230117BHJP
【FI】
B65B9/20
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115130
(22)【出願日】2021-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】521114516
【氏名又は名称】株式会社HYC
(74)【代理人】
【識別番号】100174182
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 広人
(72)【発明者】
【氏名】山田 貫弐
【テーマコード(参考)】
3E050
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AA08
3E050AB02
3E050AB08
3E050BA04
3E050BA09
3E050BA16
3E050BA17
3E050CA01
3E050DC02
3E050DD04
3E050FA02
3E050FB02
3E050FB07
(57)【要約】
【課題】 物品搬送手段上での作業スペースを確保して小型化を図ることができる包装装置を提供する。
【解決手段】 包装部材が巻かれたロールを軸支する支持軸と、包装部材を搬送する第1搬送手段と、支持軸の下流側に位置して搬送経路に沿って搬送される包装部材を包装部材の両側端部が重なり合うような筒状に形成する製袋器と、包装部材に包装される物品を製袋器に搬送する第2搬送手段とを備え、支持軸の下方に製袋器が位置し、第1搬送手段は、包装部材を製袋器に誘導する誘導手段を有し、製袋器は、誘導手段に誘導された包装部材を搬送方向に沿って折り返す上流端部を有し、物品が搬送される搬送方向の上流側を一方側とした場合に、製袋器の上流端部は、誘導手段よりも一方側に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の包装部材が巻かれたロールを軸支する支持軸と、
前記包装部材を搬送経路に沿って搬送する第1搬送手段と、
前記支持軸の下流側に位置して前記搬送経路に沿って搬送される前記包装部材を前記包装部材の両側端部が重なり合うような筒状に形成する製袋器と、
前記包装部材に包装される物品を前記製袋器に搬送する第2搬送手段と、を備え、
前記支持軸の下方に前記製袋器が位置し、
前記第1搬送手段は、前記包装部材を前記製袋器に誘導する誘導手段を有し、
前記製袋器は、前記誘導手段に誘導された前記包装部材を搬送方向に沿って折り返す上流端部を有し、
前記物品が搬送される搬送方向の上流側を一方側とした場合に、前記製袋器の上流端部は、前記誘導手段よりも一方側に位置する、
ことを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記誘導手段は、前記包装部材が掛け回される取り付け位置が可変な従動軸であり、
前記従動軸から前記製袋器へと誘導される前記包装部材の搬送方向と、前記製袋器の上流端部で折り返された前記包装部材の搬送方向との間の折り返し角度は、前記従動軸の取り付け位置に応じて変更可能であるとともに鋭角に設定される、
ことを特徴とする請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記折り返し角度は、50度から75度の範囲である、
ことを特徴とする請求項2に記載の包装装置。
【請求項4】
前記製袋器の上流端部は、前記包装部材の搬送方向の中央に位置する中央部と、前記中央部から前記搬送方向と直交する方向へ前記搬送経路の下流方向に傾斜しながら延びる傾斜部とを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有形物である物品を包装する包装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来の包装装置を示す概略側面図である。
図5に示すように、従来の横型正ピロー包装装置100は、フィルム等の包装部材Sが巻き重ねられたロールから包装部材Sを引き出して包装部材Sを搬送経路に沿って搬送する搬送手段110と、包装部材Sの両端部を合掌状に重ね合せて帯状の包装部材Sを筒状に成形する製袋器120と、製袋器120内で筒状に形成される包装部材S内に物品を搬送する物品搬送手段とを備えており、搬送手段110は、製袋器120の上流端部121に包装部材Sを誘導する従動ローラ111を有している。横型正ピロー包装装置100では、物品が水平方向に沿って搬送されるとともに、ロールの下方に製袋器120が位置している。
【0003】
上記の横型正ピロー包装装置100では、物品が搬送される搬送方向の上流側を一方(図示左方)とした場合に、包装部材Sが製袋器120の上流端部121に接して鈍角に折り返されるように、従動ローラ111が製袋器120の上流端部121よりも一方側(図示左方側)に位置している。具体的には、横型正ピロー包装装置100が、機体から一方(図示左方)に向かって延びるアーム部材130を有しており、従動ローラ111がアーム部材130の先端で支持され、従動ローラ111の下方に物品搬送手段が位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の横型正ピロー包装装置100では、従動ローラ111及びアーム部材130によって、物品搬送手段上での作業(物品搬送手段に物品を供給する、及び物品搬送手段上で物品の位置を調整する等の作業者による作業)が困難となるおそれがあるとともに、物品搬送手段上での作業スペースを確保する目的で物品搬送手段がより長尺に構成される等、横型正ピロー包装装置100が過大となるおそれもある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、物品搬送手段上での作業スペースを確保して小型化を図ることができる包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するための有効な解決手段を以下に示す。なお、必要に応じてその作用等の説明を行う。また、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成等についても適宜示すが、何ら限定されるものではない。
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明の請求項1に係る発明によれば、
帯状の包装部材が巻かれたロールを軸支する支持軸と、
前記包装部材を搬送経路に沿って搬送する第1搬送手段と、
前記支持軸の下流側に位置して前記搬送経路に沿って搬送される前記包装部材を前記包装部材の両側端部が重なり合うような筒状に形成する製袋器と、
前記包装部材に包装される物品を前記製袋器に搬送する第2搬送手段と、を備え、
前記支持軸の下方に前記製袋器が位置し、
前記第1搬送手段は、前記包装部材を前記製袋器に誘導する誘導手段を有し、
前記製袋器は、前記誘導手段に誘導された前記包装部材を搬送方向に沿って折り返す上流端部を有し、
前記物品が搬送される搬送方向の上流側を一方側とした場合に、前記製袋器の上流端部は、前記誘導手段よりも一方側に位置する、
ことを特徴とする。
【0009】
上記本発明の請求項1に係る発明の包装装置によれば、第1搬送手段が、包装部材を製袋器に誘導する誘導手段を有し、製袋器が、誘導手段に誘導された包装部材を搬送方向に沿って折り返す上流端部を有し、物品が搬送される搬送方向の上流側を一方側とした場合に、製袋器の上流端部が、誘導手段よりも一方側に位置するため、誘導手段が第2搬送手段の上方に位置せず製袋器の上方に位置し、第2搬送装手段上での作業スペースを確保でき、包装装置の小型化を図ることができる。
【0010】
また、上記した目的を達成するために、本発明の請求項2に係る発明によれば、
前記誘導手段は、前記包装部材が掛け回される取り付け位置が可変な従動軸であり、
前記従動軸から前記製袋器へと誘導される前記包装部材の搬送方向と、前記製袋器の上流端部で折り返された前記包装部材の搬送方向との間の折り返し角度は、前記従動軸の取り付け位置に応じて変更可能であるとともに鋭角に設定される、
ことを特徴とする。
【0011】
上記本発明の請求項2に係る発明の包装装置によれば、誘導手段が、包装部材が掛け回される取り付け位置が可変な従動軸であり、従動軸から製袋器へと誘導される包装部材の搬送方向と製袋器の上流端部で折り返された包装部材の搬送方向との間の折り返し角度が、従動軸の取り付け位置に応じて変更可能であるとともに鋭角に設定されるため、例えば、包装部材の材質に応じて従動軸の取り付け位置を変更することにより、製袋器を通過する包装部材を帯状から筒状へと円滑に形成することができる。
【0012】
また、上記した目的を達成するために、本発明の請求項3に係る発明によれば、
前記折り返し角度は、50度から75度の範囲である、
ことを特徴とする。
【0013】
上記本発明の請求項3に係る発明の包装装置によれば、従動軸から製袋器へと誘導される包装部材の搬送方向と製袋器の上流端部で折り返された包装部材の搬送方向との間の折り返し角度が、50度から75度の範囲であるため、従動軸が第2搬送手段の上方に位置しないように製袋器の上方に位置しており、第2搬送手段上での作業スペースを確保でき、包装装置の小型化を図ることができるとともに、製袋器を通過する包装部材を帯状から筒状へと円滑に形成することができる。
【0014】
また、上記した目的を達成するために、本発明の請求項4に係る発明によれば、
前記製袋器の上流端部は、前記包装部材の搬送方向の中央に位置する中央部と、前記中央部から前記搬送方向と直交する方向へ前記搬送経路の下流方向に傾斜しながら延びる傾斜部とを有する、
ことを特徴とする。
【0015】
上記本発明の請求項4に係る発明の遊技機によれば、製袋器の上流端部が、包装部材の搬送方向の中央に位置する中央部と、中央部から搬送方向と直交する方向へ搬送経路の下流方向に傾斜しながら延びる傾斜部とを有するため、製袋器を通過する包装部材を帯状から筒状へと円滑に形成することができる。
【発明の効果】
【0016】
このように、本発明の包装装置においては、物品搬送手段上での作業スペースを確保して包装装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態である包装装置を示す概略側面図である。
【
図2】製袋器の後面を左上方から視た概略斜視図である。
【
図3】
図1の包装装置の一部が拡大された拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
一実施形態である包装装置1について、図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して本実施形態の包装装置1の全体構成について説明する。
図1は、一実施形態である包装装置1の側面図である。なお、
図1において、物品Pが搬送される搬送経路の上流側(図示左方)を包装装置1の前方とし、物品Pが搬送される搬送経路の下流側(図示右方)を包装装置1の後方とする。
【0019】
本実施形態の包装装置1は、床面等の包装装置1の設置面に設置される装置本体2と、物品Pを包装する包装部材Sが巻き重ねられたロールを支持するロール支持軸3と、帯状の包装部材Sを搬送する包装部材搬送手段4と、物品Pを搬送する物品搬送手段5と、帯状の包装部材Sを筒状に形成する製袋器6と、筒状の包装部材Sの重なり合う両端部を接着する接着手段7と、筒状の包装部材Sを袋状に裁断する裁断手段8と、包装部材搬送手段4、物品搬送手段5、接着手段7及び裁断手段8を制御する制御手段9とを備える。
【0020】
本実施形態の包装装置1は、物品Pが自重によって包装部材S内に移動する縦型ピロー包装装置とは異なり、物品Pが物品搬送手段5によって包装部材S内に搬送される横型ピロー包装装置である。また、本実施形態の包装装置1は、ロール支持軸3の上方に製袋器6が配置される横型逆ピロー包装装置とは異なり、ロール支持軸3の下方に製袋器6が配置される横型正ピロー包装装置である。
【0021】
物品Pは、物品搬送手段5によって搬送可能な有形物であればよく、例えば、多面体や球体に形成された個体や、所定の範囲にまとめて載置された個体群、又は個体群や液体を内包するトレーや容器等であればよい。物品Pは、より具体的には、円筒状に形成された乾麺等の食品や、所定の範囲にまとめて載置されたお菓子等の食品群、お菓子等の食品群が乗せられた上面開放のトレー、又は飲料等の液体が封入された容器である。
【0022】
包装部材Sは、連続する長尺な帯状に形成されており、例えば、円筒状の芯材にロール状に巻き重ねられている。包装部材Sは、製袋器6を介して筒状に形成された際に、重なり合う両端部が溶着又は圧着可能な部材であればよく、例えば、ナイロンやビニール等の樹脂製のフィルムや、和紙を含む紙に樹脂等が混合された紙製のシートであればよい。なお、包装部材Sは、紙製等で接着性が無い素材が用いられる場合に、例えば、接着性が無い素材が外層に配され、最内層に接着性を有する接着層が配されるように構成される。
【0023】
本実施形態の包装部材Sには、外層のナイロンと最内層のポリエチレンとから構成されるナイロンポリや、ポリプロピレンから形成される延伸ポリプロピレンや無延伸ポリプロピレンが用いられる。包装部材Sの厚さは、例えば、帯状の形状を筒状及び袋状に形成する際の形成容易性、又は物品Pを包装した後の耐久性の観点から、0.01mm~0.2mmの範囲であるのが好ましく、0.02mm~0.1mmの範囲であるのがより望ましい。また、包装部材Sの幅は、本実施形態の包装装置1の機体に対応するように、例えば、50.0mm~500.0mmの範囲であるのが好ましく、150.0mm~390.0mmの範囲であるのがより望ましい。なお、包装部材Sの搬送速度は、例えば、生産効率及び成形容易性の観点から、8.50m/min~10.50m/minの範囲であるのが好ましく、8.80m/min~9.50m/minの範囲であるのがより望ましい。
【0024】
装置本体2は、枠体と、枠体に支持される外壁とを有しており、略矩形の立体状に形成される。装置本体2は、包装装置1が設置される床面等の設置面に設置されて、ロール支持軸3、包装部材搬送手段4、物品搬送手段5の一部、製袋器6、接着手段7、裁断手段8、及び制御手段9を支持している。なお、装置本体2の外壁は、少なくとも一部が開閉可能に形成されており、外壁を開放した際には、例えば、装置本体2の内部に収納される接着手段7等が装置本体2から露出可能である。
【0025】
物品搬送手段5は、製袋器6に物品Pを水平方向に沿って搬送し得る。物品搬送手段5は、装置本体2の設置位置等に応じて設置面に設置される第1物品搬送手段51と、装置本体2に設けられる第2物品搬送手段55とを有する。第1物品搬送手段51は、物品Pを一方から他方に搬送するコンベヤ52と、設置面に設置されてコンベヤ52を支持する支持部材53と、物品Pの搬送経路の両側に配置される一対のガイド部材54とを有する。
【0026】
コンベヤ52は、例えば、ベルトコンベヤ、メッシュコンベヤ、スラットコンベヤ、及びローラーコンベヤ等から、物品Pの形状や重量等に応じて選択されればよい。なお、本実施形態のコンベヤ52には、ベルトコンベヤが採用されている。
【0027】
ガイド部材54は、コンベヤ52上を搬送される物品Pに接触して、コンベヤ上を搬送される物品Pの搬送位置を調整し得る。詳しくは、ガイド部材54は、コンベヤ52の搬送面の両側端部を搬送方向に沿って延びる一対の壁部材と、該壁部材を搬送経路と直交する左右方向にスライド可能に支持する支持部材とを有している。このような第1物品搬送手段51では、ガイド部材54の壁部材が物品Pのサイズに対応するように搬送方向と直交する左右方向の位置が調整され、コンベヤ52上を搬送される物品Pと壁部材とが接触し、物品Pを搬送経路の中央部で搬送することができる。本実施形態の第1物品搬送手段51は、コンベヤ52上に載置された物品Pを搬送経路に沿って前方から後方へと搬送するとともに、ガイド部材54によって物品Pを搬送経路の中央部へと移動させ、物品Pを第1物品搬送手段51から第2物品搬送手段55へと搬出することができる。なお、第1物品搬送手段51への物品Pの供給は、例えば、図示しない他の搬送手段により第1物品搬送手段51に搬入される態様や、作業者によって第1物品搬送手段51上に載置される態様であってもよい。
【0028】
第2物品搬送手段55は、装置本体2に設けられており、第1物品搬送手段51から搬入された物品Pを製袋器6へと搬出する。第2物品搬送手段55は、物品Pの搬送経路と直交する左右方向において、中央部に設けられた中央側コンベヤと、外側に設けられた外側コンベヤとを有する。中央側コンベヤ及び外側コンベヤの各々は、例えば、ベルトコンベヤ、メッシュコンベヤ、スラットコンベヤ、及びローラーコンベヤ等から、物品Pの形状や重量等に応じて選択されればよい。なお、本実施形態の中央側コンベヤ及び外側コンベヤの各々には、ベルトコンベヤが採用されている。
【0029】
第2物品搬送手段55の外側コンベヤは、第1物品搬送手段51から物品Pが搬入される第2物品搬送手段55の最も上流側に始点が位置し、少なくとも中央側コンベヤに物品Pを搬出できる位置に終点が設けられればよい。また、第2物品搬送手段55の中央コンベヤは、少なくとも第1物品搬送手段51から物品Pが搬入される位置に始点が設けられればよく、製袋器6に物品Pを搬出する第2物品搬送手段55の最も下流側に終点が位置する。なお、本実施形態の外側コンベヤの終点は、後述する製袋器6の形状に応じて、第2物品搬送手段55の搬送経路の中央部付近に設けられている。本実施形態の第2物品搬送手段55は、第1物品搬送手段51から搬入された物品Pを第2物品搬送手段55の搬送経路の始点において中央側コンベヤ及び外側コンベヤによって受け取り、第2物品搬送手段55の搬送経路の終点において、製袋器6の形状に応じて製袋器6に物品Pを搬出することができる。
【0030】
ロール支持軸3は、装置本体2の上端部に軸支されている。ロール支持軸3は、従動軸又は固定軸であり、包装部材Sのロールが配置されている。ロール支持軸3が従動軸の場合に、ロール支持軸3はロールとともに回転してロールから包装部材Sが引き出され、ロール支持軸3が固定軸の場合に、ロール支持軸3に対してロールのみが回転してロールから包装部材Sが引き出される。なお、ロール支持軸3は、例えば、ドラムブレーキ等を用いた回転停止手段が設けられる態様であってもよく、包装部材Sの搬送が停止された際に、包装部材Sが慣性によってロールから引き出されることを抑制することができる。
【0031】
包装部材搬送手段4は、ロール支持軸3を始点に包装部材Sを搬送経路に沿って搬送し得る。包装部材搬送手段4は、ロール支持軸3に配置されたロールから包装部材Sを引き出す引出手段41と、引出手段41に包装部材Sを誘導する少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の第1誘導ローラ42と、引出手段41に引き出された包装部材Sを製袋器6に誘導する少なくとも1つ(本実施形態では2つ)の第2誘導ローラ45とを有する。
【0032】
引出手段41は、回転可能な駆動ローラと、該駆動ローラに圧接及び離間可能な従動ローラとを有している。引出手段41は、従動ローラを例えば上下方向に可動させて従動ローラと駆動ローラとの間で包装部材Sを挟持し、駆動ローラを回転させることによって包装部材Sのロールから包装部材Sを引き出すことができる。なお、従動ローラは、例えば、駆動ローラが回転している際に包装部材Sに対して駆動ローラが空転することを抑制するとともに、ロールから引き出される包装部材Sに過剰な負荷が生じた際に包装部材Sに対して駆動ローラが空転するように、包装部材Sの表面粗さや厚みや伸縮性等に応じて駆動ローラに対して位置決めされることが望ましい。また、このような観点から、引出手段41は、従動ローラを駆動ローラに向かって所定の力で付勢する付勢手段を有する態様であってもよい。
【0033】
第1誘導ローラ42は、ロールから引き出された包装部材Sを受け取る第1従動ローラ43と、第1従動ローラ43から包装部材Sを受け取って引出手段41に包装部材Sを誘導する第2従動ローラ44とを有している。第1従動ローラ43は、包装部材Sがロールから引き出される位置を位置決めし、包装部材Sを第2従動ローラ44へと誘導することができる。
【0034】
第2従動ローラ44は、引出手段41に搬入される包装部材Sの搬送方向を調節することができ、ひいては引出手段41に包装部材Sを円滑に誘導することができる。なお、引出手段41に搬入される包装部材Sの搬送方向は、例えば、引出手段41の駆動ローラの軸心と従動ローラの軸心とを結ぶ直線と直交する方向であるのが望ましく、引出手段41の駆動ローラと従動ローラから包装部材Sに作用する力を包装部材Sの両面に均等に作用させることができ、ひいては包装部材Sにしわ等の不具合が生じることを抑制することができる。
【0035】
第2誘導ローラ45は、引出手段41から包装部材Sを受け取る第1従動ローラ46と、第1従動ローラ46から包装部材Sを受け取って製袋器6に包装部材Sを誘導する第2従動ローラ47とを有する。第1従動ローラ46は、引出手段41によって引き出された包装部材Sを第2従動ローラ47へと誘導し得る。第2従動ローラ47は、例えば、装置本体2に水平方向に沿って形成された溝部に沿ってスライド可能に構成され、製袋器6に搬入される包装部材Sの搬送方向を調節することができ、ひいては製袋器6に包装部材Sを円滑に搬入することができる。
【0036】
製袋器6は、開口部を有する略筒状に形成されており、搬送経路に沿って搬送される包装部材Sを開口部の形状に応じた筒状に形成し得る。
図2は、製袋器6の後面を左上方から視た概略斜視図である。
図1又は
図2に示すように、製袋器6は、矩形の略筒状に形成された本体部61と、本体部61の上面前端部に設けられた包装部材導入部65とを有する。製袋器6は、矩形の略筒状に形成された本体部61の開口部が包装部材Sの搬送経路に対応するように(本実施形態では、開口部が前後方向を向くように)装置本体2に取り付けられている。
【0037】
本体部61は、矩形の略筒状に形成されており、両側面の壁部には、側面視において、搬送方向(前後方向)の中央下端部から搬送方向の上流側(前側)上部に向かって傾斜する傾斜部62が形成されている。なお、傾斜部62の傾斜角度は、例えば、製袋器6に案内された包装部材Sに生じるしわ等の不具合を抑制するとの観点から、25.0度程度であるのが望ましい。また、本体部61の下面の壁部には、包装部材Sの搬送経路の中央部に沿って(本実施形態では、前後方向に沿って)下面の壁部を貫通する直線状の溝部63が形成されている。本体部61の下面の壁部には、下面の壁部の搬送方向の下流側端部(後端部)から壁状に垂下し、溝部63を挟んで対向する後端側案内部64が形成されている。
【0038】
包装部材導入部65は、丸棒が弓状に形成された前端側案内部66と、前端側案内部66を前端で支持するとともに、本体部61の上面の壁部に取り付けられる支持部材67とを有している。支持部材67は、板状に形成されており、本体部61の上面に前後方向(包装部材Sの搬送方向)に位置決め可能に取り付けられる。支持部材67は、例えば、ネジ等の固定部材を用いて本体部61に取り付けられ、支持部材67に前後方向(包装部材Sの搬送方向)に沿った溝が形成され、該溝を介して本体部61に取り付けられる固定部材と本体部61とで支持部材67が本体部61に固定される態様であればよく、支持部材67は、溝に沿って本体部61に対して前後方向の位置決めが可能である。
【0039】
前端側案内部66は、左右方向に沿って延びる中央部と、中央部から後方に傾斜して延びる両側の端部とを有しており、弓状に形成されている。前端側案内部66は、円柱の棒状であり、その後端部が支持部材67の前端部に固着されている。本実施形態の前端側案内部66は、本体部61の上面の左右方向(包装部材Sの搬送方向と直交する方向)の幅と同程度の長さで左右方向に沿って延びる中央部と、該中央部から後方に傾斜して延びる両側の端部とを有している。なお、前端側案内部66は、円弧状に形成される態様であってもよく、単一の半径の円弧状、又は異なる半径の円弧が連続して形成される円弧状であってもよい。このような前端側案内部66では、中央部の左右方向の長さ及び各端部の長さや傾斜角度等が、包装部材Sの材料、厚み及び表面粗さ等に応じて変更されることが望ましく、製袋器6内で包装部材Sにしわ等の不具合が生じることを抑制することができる。
【0040】
接着手段7は、左右方向(包装部材Sの搬送方向と直交する方向)に圧接する一対の圧接ローラ71と、左右方向(包装部材Sの搬送方向と直交する方向)に圧接して包装部材Sを加熱する一対の加熱ローラ72とを有している。一対の圧接ローラ71は、例えば、一方の駆動ローラと駆動ローラに向かって付勢された他方の従動ローラとから構成され、製袋器6で筒状に形成されて折り重なる包装部材Sの両側端部を左右方向から挟持し、筒状の包装部材S及び筒状の包装部材S内の物品Pを搬送経路に沿って搬送する。
【0041】
接着手段7の一対の加熱ローラ72は、例えば、加熱可能な一方の駆動ローラと駆動ローラに向かって付勢された他方の従動ローラとから構成され、折り重なる包装部材Sの両側端部を左右方向から加熱することで、包装部材Sの両側端部を溶着させるとともに、筒状の包装部材S及び筒状の包装部材S内の物品Pを搬送経路に沿って搬送する。なお、圧接ローラ71、加熱ローラ72、圧接ローラ71を駆動するモータや付勢手段、及び加熱ローラを駆動するモータや加熱するヒータや付勢手段は、包装部材Sの搬送経路の下方において、装置本体2内に収納されている。なお、引出手段41から接着手段7の間において、例えば、引出手段41による包装部材Sの搬送速度よりも接着手段7による包装部材Sの搬送速度を僅かに速くすることで、包装部材Sにテンション(包装部材Sの張り)を生じさせることができ、ひいては製袋器6に包装部材Sを円滑に搬入することができる。
【0042】
裁断手段8は、筒状に形成されて物品Pを内包する包装部材Sを物品Pと次の物品Pとの間で裁断する裁断機を有している。裁断機は、物品Pの前方及び後方に所定の間隔を設けて包装部材Sを左右方向(搬送方向と直交する方向)に裁断し得るとともに、裁断して形成される包装部材Sの前方端部及び後方端部を上下に重なり合うように溶着し得る。物品Pは、物品Pを内包する筒状の包装部材Sの前後方向が裁断され、包装部材Sの前方端部及び後方端部が溶着されることによって、包装部材Sに包装される。裁断手段8は、作業者によって操作される態様であってもよいが、例えば、包装部材Sに包装されて包装部材Sとともに搬送される物品Pを検知する検知手段を設け、該検知手段の検知情報及び物品Pを内包する包装部材Sの搬送速度等に基づいて、後述する制御手段9によって操作制御される態様であってもよい。
【0043】
制御手段9は、物品Pを包装部材Sにより包装する作業を行う作業者の操作に基づいて包装装置1を制御する。制御手段9は、作業者の操作に基づいて、例えば、包装部材搬送手段4及び接着手段7による包装部材Sの搬送速度、物品搬送手段5による物品Pの搬送速度、接着手段7及び裁断手段8の加熱温度等を制御し得る。なお、制御手段9は、例えば、予め入力された物品P及び包装部材Sの情報に基づいて、包装部材搬送手段4及び接着手段7による包装部材Sの搬送速度、物品搬送手段5による物品Pの搬送速度、接着手段7及び裁断手段8の加熱温度等を決定及び制御し得る態様であってもよい。ここで物品P及び包装部材Sの情報は、物品Pのサイズや重量や個数、包装部材Sのサイズや材質等である。
【0044】
上述した包装装置1では、包装部材搬送手段4及び接着手段7によって搬送経路に沿って搬送される包装部材Sが製袋器6を通過することにより帯状から筒状に形成されるとともに、製袋器6内で筒状に形成される包装部材S内に物品搬送手段5によって物品Pが搬送される。また、物品Pを内包する包装部材Sが接着手段7を通過することにより折り重なる包装部材Sの両側端部が溶着され、裁断手段8を通過することにより包装部材Sが物品Pの前方及び後方で各々裁断及び溶着され、物品Pが包装部材Sによって包装される。
【0045】
図3は、包装装置1の側面の一部が拡大された拡大側面図である。なお、
図3において包装部材Sは、その理解を容易にするため、搬送方向の中心線に沿った部分のみが記載されている。
図1乃至
図3に示すように、第2誘導ローラ45である第2従動ローラ47は、製袋器6の前端側案内部66に接して鋭角に折り返されるように、包装部材Sを製袋器6に誘導している。このため、第2従動ローラ47が製袋器6の上方に位置し、従来の横型正ピロー包装装置のように第2従動ローラ47が第1物品搬送手段51の上方に位置しないため、第1物品搬送手段51上で物品Pの搬送方向の間隔を調整する等の作業を行う作業スペースを十分に確保でき、包装装置1の小型化を図ることができる。
【0046】
また、本実施形態の包装装置1では、第2従動ローラ47は装置本体2への取り付け位置が可変であり、第2従動ローラ47から製袋器6へと誘導される包装部材Sの搬送方向と、製袋器6の前端側案内部66で折り返された包装部材Sの搬送方向との間の折り返し角度aは、第2従動ローラ47の取り付け位置に応じて変更可能である。また、第2従動ローラ47は、折り返し角度aが鋭角となる範囲で取り付け位置が可変である。本実施形態の包装装置1では、第2従動ローラ47が、例えば、包装部材の材質、厚さ及び表面粗さ等に応じて装置本体2に位置決めされることによって、製袋器6に搬送される包装部材Sの単位搬送量あたりの変形量を調節でき、製袋器6を通過する包装部材Sを帯状から筒状へと円滑に形成することができる。また、このような包装装置1では、製袋器6の前端側案内部66が第2従動ローラ47よりも前側に位置するため、第1物品搬送手段51上で物品Pの搬送方向の間隔を調整する等の作業を行う作業スペースを十分に確保でき、包装装置1の小型化を図ることができる。
【0047】
折り返し角度aは、製袋器6に案内される包装部材Sに生じるしわ等の不具合を抑制するとの観点から、例えば、50.0度~75.0度の範囲であるのが好ましく、60.0度~65.0度の範囲であるのがより望ましい。また、第1従動ローラ46に誘導されて第2従動ローラ47へと搬送される包装部材Sの搬送方向と、第2従動ローラ47に誘導されて製袋器6へと搬送される包装部材Sの包装方向との間の折り返し角度は、第2従動ローラ47と包装部材Sとの接触面積を低減するとの観点から、例えば、90度以上であるのが好ましく、100度以上であることがより望ましい。
【0048】
また、第2従動ローラ47の直径は、製袋器6に案内される包装部材Sに生じるしわ等の不具合を抑制するとの観点から、例えば、25.0mm~40.0mmの範囲であるのが好ましく、30.0mm~35.0mmの範囲であるのがより望ましい。また、第2従動ローラ47と製袋器6の前端側案内部66との間に位置して製袋器6に案内される包装部材Sの長さは、製袋器6に案内される包装部材Sに生じるしわ等の不具合を抑制するとの観点から、例えば、170.0mm以上であるのが好ましく、180.0mm~220.0mmの範囲であるのがより望ましい。
【0049】
また、本実施形態の包装装置1では、製袋器6の前端側案内部66が、包装部材Sの搬送方向の中央に位置する中央部と、中央部から搬送方向と直交する方向へ搬送経路の下流方向に傾斜しながら延びる傾斜部とを有しており、包装部材Sを製袋器6へと円滑に案内することができる。なお、中央部に対する傾斜部の傾斜角度は、例えば、包装部材Sの素材、硬さ、伸縮性、表面粗さ、厚さ、搬送速度等に応じて設定されればよいが、製袋器6に案内される包装部材Sに生じるしわ等の不具合を抑制するとの観点から、20度~40度の範囲であるのが好ましく、29.8度~30.2度の範囲であるのがより望ましい。
【0050】
なお、本実施形態の包装装置1は、第2従動ローラ47の取り付け位置に着脱可能なアーム部材を更に備える態様であってもよく、アーム部材は、装置本体2から前方へと延び、その先端に第3従動ローラを有している。アーム部材の第3従動ローラは、第2従動ローラ47によって誘導される帯状の包装部材Sを製袋器6へと誘導し得る。包装装置1では、包装部材Sが製袋器6の前端側案内部66に接して鋭角に折り返された際に、包装部材Sの材質、厚さ、及び表面粗さ等に応じて帯状から筒状へと変形される包装部材Sの単位搬送量あたりの変形量が過大となり、包装部材Sにしわ等の不具合が生じることがあり、このような場合に、装置本体2にアーム部材を取り付けて、第3従動ローラから製袋器6へと包装部材Sを誘導し、包装部材Sが製袋器6の前端側案内部66に接して鈍角に折り返されるようにすることで、包装部材Sの単位搬送量あたりの変形量を小さくし、第1物品搬送手段51での作業スペースの確保が困難となるものの、包装部材Sにしわ等の不具合が生じることを抑制することができる。
【0051】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記した実施形態は本技術思想を逸脱しない限り、適宜変更が可能である。すなわち、上記実施形態の一部を変更したり、上記複数の実施形態を組み合わせたものであっても本技術思想を適用可能とされる。
【実施例0052】
図1の基本構造を有し、包装部材Sとして厚さ0.05mm、幅300.0mmのナイロンポリが採用され、物品Pとして下辺10.0cm、高さ2.0cmの前後面と20.0cmの長さとを有する矩形状の立方体が採用された包装装置1が、表1の仕様に基づき試作された。試作された包装装置1を用いて、物品搬送手段上での作業性及び包装部材の品質が評価された。各評価方法は、以下の通りである。なお、各比較例及び各実施例では、製袋器6の前端側案内部66の中央部に対する傾斜部の角度は、いずれも30.0度であり、製袋器6の傾斜部62の傾斜角度は、いずれも25.0度である。
【0053】
[物品搬送手段上での作業性]
試作包装装置を作動させ、包装部材Sで複数の物品Pを連続して包装し、物品搬送手段上に作業者によって物品Pを供給するとともに、物品搬送手段上を搬送される物品Pの前後方向の位置を作業者によって調整し、これらの作業性が作業者の官能により総合評価された。評価は、実施例1を100とする評点でされ、数値が大きいほど良好である。
【0054】
[包装部材の品質]
試作包装装置を作動させ、包装部材Sで複数の物品Pを連続して包装し、各物品Pを包装する包装部材Sのしわの有無(しわが有る場合にはしわのサイズ感)、各物品Pを包装する包装部材Sの形状(溶着箇所のずれ感や物品Pとの間に形成される隙間の前後左右上下のバランス感)が、検査官の官能により総合評価された。評価は、実施例1を100とする評点でされ、数値が大きいほど良好である。、
【0055】
図4は、テストの結果を示す表である。
図4に示すように、実施例の包装装置では、比較例1~6に比べて実施例1~10が物品搬手段送上での作業性及び包装部材の品質がバランスよく有意に向上していることが確認できた。