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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113272
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】クッションテープの貼り付け方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 41/00 20060101AFI20230808BHJP
   B65H 29/54 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B65H41/00 B
B65H29/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015498
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006943
【氏名又は名称】リョービ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 慧
(72)【発明者】
【氏名】小林 敬和
(72)【発明者】
【氏名】児玉 直弥
【テーマコード(参考)】
3F053
3F108
【Fターム(参考)】
3F053AA01
3F053AA08
3F053LA16
3F053LB07
3F108JA02
(57)【要約】
【課題】ワークにクッションテープを正確に貼り付けることができる貼り付け方法を提供する。
【解決手段】所定長さのクッションテープをワークに貼り付ける方法であって、セパレータに所定長さの多数のクッションテープがその幅方向を並列方向として並んでいるシートからクッションテープを順次剥離する剥離工程と、剥離工程で剥離したクッションテープをワークに貼り付ける貼り付け工程と、を含み、剥離工程において、シートの並列方向の第一端部に位置するクッションテープS1を最初に剥離し、シートの並列方向の第二端部に位置するクッションテープE1を、最後に剥離するのではなく最後よりも前に剥離する。
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長さのクッションテープをワークに貼り付ける方法であって、
セパレータに所定長さの多数のクッションテープがその幅方向を並列方向として並んでいるシートからクッションテープを順次剥離する剥離工程と、
剥離工程で剥離したクッションテープをワークに貼り付ける貼り付け工程と、を含み、
剥離工程において、
シートの並列方向の第一端部に位置するクッションテープを最初に剥離し、シートの並列方向の第二端部に位置するクッションテープを、最後に剥離するのではなく最後よりも前に剥離する、クッションテープの貼り付け方法。
【請求項2】
前記第二端部のクッションテープを最後から二番目に剥離し、前記第二端部のクッションテープの隣に位置するクッションテープを最後に剥離する、請求項1記載のクッションテープの貼り付け方法。
【請求項3】
剥離工程において、
クッションテープを吸着して剥離する吸着体を所定位置に配置し、
吸着体に対して並列方向の両側にそれぞれ第一規制部材と第二規制部材を配置し、
前記第一端部のクッションテープを剥離する際には、第一規制部材で前記第一端部のクッションテープの隣りのクッションテープを規制し、
前記第二端部のクッションテープを剥離する際には、第二規制部材で前記第二端部のクッションテープの隣りのクッションテープを規制する、請求項1又は2記載のクッションテープの貼り付け方法。
【請求項4】
剥離工程において、
吸着体に対して並列方向の両側のうち第二規制部材と同じ側に第三規制部材を配置し、最後のクッションテープを剥離する際には、第三規制部材でセパレータを規制する、請求項3記載のクッションテープの貼り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークにクッションテープを貼り付ける方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1においては、所定幅に形成されたシールパッキンをワークに貼り付ける装置が記載されている。この装置は、ロール状に巻回されたシールパッキンを繰り出してワークに貼り付けると共に、そのシールパッキンを所定長さに切断する。
【0003】
しかしながら、シールパッキンがロール状に巻回されているため、シールパッキンに巻き癖がつきやすい。そのため、シールパッキンをワークに貼り付けた際に、貼り付けムラが生じやすく、正確に貼り付けることが困難であったり、貼り付け不良が生じやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-213105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ワークにクッションテープを正確に貼り付けることができる貼り付け方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るクッションテープの貼り付け方法は、所定長さのクッションテープをワークに貼り付ける方法であって、セパレータに所定長さの多数のクッションテープがその幅方向を並列方向として並んでいるシートからクッションテープを順次剥離する剥離工程と、剥離工程で剥離したクッションテープをワークに貼り付ける貼り付け工程と、を含み、剥離工程において、シートの並列方向の第一端部に位置するクッションテープを最初に剥離し、シートの並列方向の第二端部に位置するクッションテープを、最後に剥離するのではなく最後よりも前に剥離する。
【0007】
この方法によれば、ロール状に巻回されたクッションテープを使用するのではなく、所定長さのクッションテープが多数並設された枚葉型のシートを使用する。そのため、ロール状のクッションテープに比して巻き癖が付きにくく、セパレータから剥離したクッションテープの形状が安定する。
【0008】
また、剥離工程においては、シートの並列方向の第一端部に位置するクッションテープを最初に剥離する。一方、シートの並列方向の第二端部に位置するクッションテープについては、最後の順番では剥離しない。つまり、第二端部に位置するクッションテープについては、最後よりも前の順番で剥離する。シートの並列方向の両端部に位置するクッションテープは、粘着剤がセパレータの端面にはみ出していることが多いために、セパレータから剥離しにくい。第一端部のクッションテープを最初に剥離する際には、その隣りのクッションテープを抑えながら剥離することができる。そして、第二端部に位置するクッションテープを最後よりも前の順番で剥離すると、その隣りには、まだ剥離されていないクッションテープが残っている。そのため、第二端部のクッションテープを剥離する際には、その隣りのクッションテープを抑えながら剥離することができる。そのため、第二端部のクッションテープを容易に剥離することができる。
【0009】
特に、第二端部のクッションテープを最後から二番目に剥離し、第二端部のクッションテープの隣に位置するクッションテープを最後に剥離することが好ましい。この方法によれば、第一端部のクッションテープから、第二端部から数えて三列目のクッションテープまでを続けて剥離することができる。そのため、効率良くクッションテープを剥離することができる。
【0010】
また、剥離工程において、クッションテープを吸着して剥離する吸着体を所定位置に配置し、吸着体に対して並列方向の両側にそれぞれ第一規制部材と第二規制部材を配置し、第一端部のクッションテープを剥離する際には、第一規制部材で第一端部のクッションテープの隣りのクッションテープを規制し、第二端部のクッションテープを剥離する際には、第二規制部材で第二端部のクッションテープの隣りのクッションテープを規制することが好ましい。この方法によれば、吸着体の両側に第一規制部材と第二規制部材をそれぞれ配置することにより、効率良くクッションテープを剥離することができる。
【0011】
また、剥離工程において、吸着体に対して並列方向の両側のうち第二規制部材と同じ側に第三規制部材を配置し、最後のクッションテープを剥離する際には、第三規制部材でセパレータを規制することが好ましい。最後のクッションテープを剥離する際には、その隣りにクッションテープが残っていない。第三規制部材でセパレータを規制すると、最後のクッションテープを容易に剥離することができる。第三規制部材は、吸着体に対して第二規制部材側に配置されているので、セパレータを容易に規制することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、所定長さのクッションテープが多数並設された枚葉型のシートを使用することにより、ワークにクッションテープを正確に貼り付けることができる。そして、第二端部のクッションテープを最後よりも前の順番で剥離することにより、シートからクッションテープを容易に且つ確実に剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(a)は本発明の一実施形態における貼り付け方法によってクッションテープが貼り付けられたバッテリケースを示す平面図、(b)は(a)のA-A断面図。
図2】同貼り付け方法において使用するシートの斜視図。
図3】(a)は同シートの断面図、(b)はクッションテープを剥離する際の状態を示す断面図。
図4】同貼り付け方法を使用した貼り付け装置の全体構成を示す概略平面図。
図5】同貼り付け装置の要部正面図。
図6】同貼り付け装置の要部正面図。
図7】同貼り付け方法の貼り付け工程を示す断面図。
図8】同貼り付け方法の剥離工程を示す斜視図。
図9】同貼り付け方法の剥離工程を示す斜視図。
図10】同貼り付け方法の剥離工程を示す斜視図。
図11】(a)は同剥離工程を示す平面図、(b)は同剥離工程を示す側面図。
図12】(a)は同剥離工程を示す正面図、(b)は同剥離工程を示す平面図。
図13】(a)及び(b)は同剥離工程を示す正面図。
図14】(a)は同剥離工程を示す平面図、(b)は同剥離工程を示す側面図。
図15】(a)は同剥離工程を示す正面図、(b)は同剥離工程を示す側面図。
図16】(a)は同剥離工程を示す平面図、(b)は同剥離工程を示す側面図。
図17】(a)は同剥離工程を示す平面図、(b)は同剥離工程を示す側面図。
図18】(a)乃至(c)は同剥離工程を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態にかかるクッションテープの貼り付け方法及び貼り付け装置について図1図18を参酌しつつ説明する。まず、所定長さのクッションテープ(以下、単にテープ1という。)を貼り付ける対象物であるワークの一例について説明する。ワークの種類、形状等は任意である。本実施形態では、ワークがバッテリケース(以下、単にケース2という。)である場合について説明する。ケース2は、例えば車載用であって、例えば金属製であり、例えば、ダイカスト製である。ケース2の形状は種々であってよく、また、それに貼り付けられるテープ1の位置、長さ、本数等についても任意であるが、以下、その一例を説明する。
【0015】
図1に、テープ1が貼り付けられたケース2を示している。図中、テープ1には、多数のドットを付して示しており、他の図面においても同様である。テープ1は、ケース2の内面に貼り付けられている。ケース2は、上面に開口部を有する有底の箱形であって、その内部にバッテリ3が収容される。図1においてバッテリ3を二点鎖線で示している。ケース2の平面視の形状は任意であるが、本実施形態では平面視矩形状であって、詳細には、所定方向に長い長方形状である。
【0016】
ケース2は、底面部4と、底面部4の周縁部から上方に立ち上がる側面部5とを有している。側面部5の上端部には、外側に向けてフランジ部6が延設されている。フランジ部6は例えば全周に亘って設けられる。底面部4と側面部5により、バッテリ3を収容するための収容空間が画成される。底面部4には、収容空間を複数に仕切る仕切り壁7が設けられている。仕切り壁7の有無及び個数は任意であるが、本実施形態では中央部に一箇所設けられている。仕切り壁7は、底面部4から上方に立ち上がっている。仕切り壁7は、ケース2の長手方向に沿って設けられている。収容空間は、仕切り壁7によって二つに区画されている。各収容空間がそれぞれバッテリ3を収容するためのバッテリ収容部8である。バッテリ収容部8は、ケース2の長手方向に沿って長い形状であって、そこに収容されるバッテリ3も、ケース2の長手方向に沿って長い形状である。各バッテリ収容部8にバッテリ3が一つずつ収容される。本実施形態では合計二つのバッテリ3が収容され、二つのバッテリ3は互いに平行に収容される。
【0017】
底面部4は、ケース2の長手方向に沿って延び、下方に凹んだ凹条4aと、凹条4aの両側に設けられた載置面部4bとを有している。凹条4aと載置面部4bは、各収容空間毎に設けられる。従って、底面部4には、一対の凹条4aと二対の載置面部4bが設けられている。一対の載置面部4bにバッテリ3がテープ1を介して載置される。即ち、載置面部4bがテープ1の貼り付け面であり、各載置面部4bにそれぞれテープ1が貼り付けられ、そのテープ1の上にバッテリ3が載せられる。載置面部4bはケース2の長手方向に沿って長い形状である。
【0018】
テープ1は、所定長さを有する帯状である。テープ1は、ケース2の長手方向に沿って貼り付けられている。テープ1の幅は、載置面部4bの幅よりも狭い。テープ1は、載置面部4bに一直線状に貼り付けられる。合計四つの載置面部4bにそれぞれ一本ずつテープ1が貼り付けられる。そのため、本実施形態では、合計四本のテープ1がケース2に貼り付けられるが、テープ1の本数等についても種々であってよい。各テープ1は互いに同じ長さであって、且つ、互いに平行である。また、各載置面部4bの高さも互いに同じであるため、テープ1の貼り付け高さも全て一定であるが、これらについても種々変更可能である。本実施形態では、二本のテープ1で一つのバッテリ3が支えられる。バッテリ3とケース2の間、具体的には、バッテリ3と載置面部4bとの間にテープ1が介在することにより、空気漏れが防止され、シール効果が得られる。尚、緩衝効果や防振効果を目的にしてテープ1を設けてもよく、テープ1を設ける目的や効果は種々であってよい。尚、凹条4aとバッテリ3の下面との間には空間が形成され、その空間は例えばバッテリ3の冷却のために使用される。また、ケース2には図示しない蓋が装着されてもよい。蓋は、例えばフランジ部6に取り付けられる。本実施形態の貼り付け方法は、このようなケース2にテープ1を貼り付ける方法である。
【0019】
貼り付け方法には、図2及び図3(a)に示しているようなカッティングシート(以下、単にシート10という。)が使用される。シート10は枚葉型であって所定形状を有している。シート10は、所定形状のセパレータ11(図3(a)参照)に、多数のテープ1が、後述のカット線14を介して、テープ1の幅方向を並列方向として並んだものである。シート10は、矩形状であり、長方形状や正方形状である。
【0020】
シート10における互いに直交する二辺の方向をそれぞれテープ長手方向Xとテープ幅方向Yと称する。テープ長手方向Xとテープ幅方向Yは互いに直交する。テープ長手方向Xがテープ1の長手方向である。テープ幅方向Yがテープ1の幅方向であって且つテープ1の並列方向である。全てのテープ1は同一長さであり且つ同一幅である。尚、テープ1の幅や長さ、一枚のシート10あたりのテープ1の本数は任意である。テープ1の本数は三本以上であって、十本以上が好ましい。
【0021】
シート10は、三層からなり、下から順に、セパレータ11(剥離紙)と粘着層12とクッション層13を有する。クッション層13は、好ましくは各種の合成樹脂からなる発泡層であって、例えばスポンジである。粘着層12は例えば両面テープである。各層の厚さは任意であるが、クッション層13が最も厚く、粘着層12はクッション層13よりも薄い。クッション層13の厚さは、テープ1の幅の1/2以上であることが好ましい。セパレータ11の上に粘着層12が積層され、粘着層12の上にクッション層13が積層されている。粘着層12とクッション層13は一体となってセパレータ11から剥離される。粘着層12とクッション層13によりテープ1が構成される。
【0022】
クッション層13が所定幅毎にテープ長手方向Xに沿って切断されることにより、複数のテープ1が形成されている。クッション層13を切断する際に、粘着層12も同時に切断されるが、粘着層12はその全厚に亘って切断されるのではなく全厚のうち一部(上部)のみが切断される。即ち、粘着層12はハーフカットされている。クッション層13が切断された切断線をカット線14と称する。テープ1はカット線14を介して並設されている。カット線14は、クッション層13を分離しているが、粘着層12の下面までは達しておらず、セパレータ11までは達していない。そのため、隣り合うテープ1同士は、不完全に切断された粘着層12によって接続された状態にある。但し、カット線14がその全長のうち部分的に粘着層12の下面まで達していてもよいし、セパレータ11まで達していてもよい。カット線14の深さは一定でなくてもよい。
【0023】
<貼り付けシステム20>
ケース2にテープ1を自動的に貼り付ける貼り付けシステム20の概要について説明する。貼り付けシステム20の概要を図4図10に示している。図4には貼り付けシステム20の全体構成を示し、図5には、貼り付けシステム20を図4の矢印Bの方向から見た状態を示している。貼り付けシステム20は、ケース2を搬送する搬送装置21と、シート10からテープ1を剥離すると共にそのテープ1をケース2に貼り付ける貼り付け装置22とを備えている。
【0024】
搬送装置21には、ケース2が投入される投入ステーション30と、ケース2にテープ1が貼り付けられる貼り付けステーション31と、テープ1が貼り付けられたケース2を検査する検査ステーション32が設けられている。投入ステーション30と貼り付けステーション31と検査ステーション32は、その順で一直線状に並んでいる。搬送装置21は、ケース2が載置され、ケース2を投入ステーション30から検査ステーション32まで搬送するケース搬送台33を備えている。ケース搬送台33は例えばリフト&キャリーやベルトコンベアである。ケース2は、その長手方向がケース搬送方向Pとなるようにしてケース搬送台33に設置される。ケース搬送方向Pは、載置面部4bの長手方向であり、テープ1の長手方向である。
【0025】
ケース搬送台33は、ケース2を間欠送りする。ケース搬送台33は、投入ステーション30に投入されたケース2を貼り付けステーション31まで搬送してそこで停止する。ケース搬送台33は、貼り付けステーション31においてケース2にテープ1が貼り付けられるまでケース2を搬送せずに待機する。ケース搬送台33は、ケース2にテープ1が貼り付けられた後に再び作動して、テープ1が貼り付けられたケース2を検査ステーション32まで搬送し、そこで停止する。検査ステーション32では、テープ1の貼り付け状態を検査する。
【0026】
<貼り付け装置22>
貼り付け装置22は、搬送装置21の貼り付けステーション31に隣接している。貼り付け装置22は、シート10が載置され、そのシート10を所定方向に搬送するシート搬送台40を備えている。シート搬送台40は、例えばベルトコンベアやローラコンベヤである。シート10は、シート搬送台40に、テープ幅方向Yがシート搬送方向Qとなるようにして載置される。シート搬送方向Qは、搬送装置21のケース搬送方向Pに対して例えば平面視において直交している。シート搬送台40は、シート10を搬送装置21に向けて搬送する。即ち、シート搬送方向Qの下流側に搬送装置21が配置されている。
【0027】
貼り付け装置22には、シート10が供給される供給ステーション41と、シート10からテープ1を剥離する剥離ステーション42が設けられている。供給ステーション41は搬送装置21から遠く、剥離ステーション42は搬送装置21に近い。供給ステーション41は搬送方向の上流側に位置し、剥離ステーション42は搬送方向の下流側に位置する。供給ステーション41においてシート搬送台40にシート10が載置される。シート搬送台40は、シート10を供給ステーション41から剥離ステーション42まで搬送する。
【0028】
貼り付け装置22は、シート搬送台40に載置されたシート10を案内するシートガイド43と、シート10をシートガイド43に誘導する誘導ローラ44を備えている。シートガイド43は、シート搬送方向Qに沿って延びている。シートガイド43は、シート10のテープ長手方向Xの両端部のうち一端部を案内する。シート10のテープ長手方向Xの両端部のうちシートガイド43によって案内されない端部を第一端部10aとし、シートガイド43によって案内される端部を第二端部10bとする。シート10のテープ長手方向Xの第一端部10aを以下単にシート10の第一端部10aと称し、シート10のテープ長手方向Xの第二端部10bを以下単にシート10の第二端部10bと称する。また、シート10の第一端部10aに位置するテープ1の長手方向の端部をテープ1の第一端部1aと称し、シート10の第二端部10bに位置するテープ1の長手方向の端部をテープ1の第二端部1bと称する。
【0029】
シート10は、シートガイド43に摺動しながら搬送される。シートガイド43により、シート10のテープ長手方向Xの位置が定まる。シートガイド43は、供給ステーション41から剥離ステーション42の近傍まで設けられている。誘導ローラ44は、シート10の上側に位置している。誘導ローラ44とシート搬送台40との間をシート10が通過する。誘導ローラ44は、シート搬送台40と連動し、シート搬送台40から駆動力が伝達されて回転する。誘導ローラ44の軸線は、平面視においてテープ長手方向Xに対して僅かに傾斜している。誘導ローラ44が回転することにより、シート10はシートガイド43に向けて押し付けられる。
【0030】
尚、シート10は、少なくとも剥離ステーション42に送られた後においては、間欠送りされる。シート10の間欠送りのピッチは、テープ1の幅に相当する。但し、後述のように、テープ1の剥離順序を変更するタイミングにおいては、間欠送りのピッチや、前進、後退という搬送の向きについて変更される。そのように、シート10の搬送は、テープ1の剥離状況に応じて制御される。
【0031】
また、図3(b)のように、シート搬送台40には、ヒータ45が内蔵されていることが好ましい。ヒータ45は、少なくとも剥離ステーション42に設けられていることが好ましい。ヒータ45は、剥離ステーション42において、シート10を加熱する。それにより、テープ1をセパレータ11から剥離しやすくなる。
【0032】
次に、剥離ステーション42について説明する。剥離ステーション42には、テープ1を吸着してシート10から剥離すると共にケース2にテープ1を貼り付ける吸着体50と、吸着体50のシート搬送方向Qの上流側に隣接し、シート10の浮上を規制する第一規制部材としてのメインローラ51と、吸着体50のシート搬送方向Qの下流側に隣接し、シート10の浮上を規制する第二規制部材としてのサブローラ52と、吸着体50に対してシート搬送方向Qの下流側に位置し、セパレータ11の浮上を規制する第三規制部材としての規制板53と、テープ1を剥離する直前にテープ1の端部をテープ長手方向Xに押す押圧体54とが配置されている。メインローラ51とサブローラ52は、吸着体50を挟んでシート搬送方向Qの両側に位置している。
【0033】
また、剥離ステーション42の上部には、吸着体50を上下方向に平行移動させる昇降装置55と、昇降装置55を水平方向に平行移動させる移送装置56が配置されている。昇降装置55と移送装置56には、例えば電動シリンダが使用される。吸着体50は、昇降装置55の下部に取り付けられている。移送装置56は、吸着体50と共に昇降装置55を剥離ステーション42と貼り付けステーション31との間を往復させる。
【0034】
吸着体50は、一本のテープ1を吸着保持する。吸着体50は、シート10からテープ1を一本ずつ剥離する。吸着体50は、その下面に図示しない吸引口を有していて、下面にテープ1を吸着する。即ち、吸着体50の下面が吸着面である。吸着体50の下面は、シート搬送台40の上面と平行であり、シート10の上面と平行である。吸着体50の下面の大きさは、一本のテープ1の長さと幅に対応している。吸着体50は、例えば、図8のように板状であり、その板の長さと板厚がテープ1の長さと幅に対応している。吸着体50の下面の長手方向はテープ長手方向Xであり、吸着体50の下面の短手方向はシート搬送方向Q(テープ幅方向Y)である。吸着体50は、シート搬送台40の上方に配置されている。吸着体50は、下降することによりシート搬送台40に接近し、上昇することによりシート搬送台40から離反する。吸着体50は、シート搬送方向Qの所定位置に待機していて、その下方にシート10が搬送される。
【0035】
<メインローラ51とサブローラ52>
図8図10には、メインローラ51とサブローラ52のうちメインローラ51のみを図示している。図8図10は、シート搬送方向Qの上流側から見た斜視図である。図5及び図6に示しているように、シート搬送台40の上方には、メインローラ51をテープ長手方向Xに平行移動させる第一駆動装置57と、サブローラ52及び規制板53をテープ長手方向Xに平行移動させる第二駆動装置58が配置されている。
【0036】
メインローラ51は、第一ステー59を介して第一駆動装置57に取り付けられている。第一駆動装置57は、メインローラ51に対してシート搬送方向Qの上流側に位置する。サブローラ52と規制板53は、第二ステー60を介して第二駆動装置58に取り付けられている。第二駆動装置58は、サブローラ52に対してシート搬送方向Qの下流側に位置する。第一駆動装置57と第二駆動装置58は、例えば電動シリンダである。第一駆動装置57と第二駆動装置58は互いに平行に配置され、且つ、テープ長手方向Xに延びている。第一駆動装置57と第二駆動装置58は互いにシート搬送方向Qに所定間隔で離間して対峙している。
【0037】
メインローラ51とサブローラ52は互いにシート搬送方向Qに所定間隔で離間して配置されている。メインローラ51とサブローラ52の間を吸着体50が昇降する。メインローラ51の軸線とサブローラ52の軸線は、何れもシート搬送方向Qに沿っている。メインローラ51とサブローラ52は、互いに同一高さに設定されていて、メインローラ51の軸線とサブローラ52の軸線は互いに同軸上にある。メインローラ51とサブローラ52は、シート搬送台40に対して所定高さに設定されていて、メインローラ51とサブローラ52は、その所定高さを維持しつつテープ長手方向Xに平行移動する。メインローラ51及びサブローラ52とシート搬送台40との間の上下方向の離間距離は、シート10の厚さよりも若干大きい。即ち、メインローラ51とサブローラ52は、シート10の上面に対して若干上方に配置されている。メインローラ51及びサブローラ52とシート搬送台40の間をシート10が僅かな隙間を介して通過できる。メインローラ51とサブローラ52は、互いに同一径であるが、異なる直径であってもよい。メインローラ51及びサブローラ52の幅は、テープ1の幅よりも広いことが好ましい。従って、メインローラ51とサブローラ52の幅は、吸着体50の下面の幅よりも広いことが好ましい。
【0038】
<規制板53>
規制板53は、サブローラ52と共に一体となって平行移動する。規制板53は、平面視において細幅の板状であって、薄い板状である。規制板53は、サブローラ52の下方位置からシート搬送方向Qの下流側に向けて延びている。平面視において、規制板53はサブローラ52の軸線の延長線上に位置する。規制板53は、シート搬送方向Qに沿って長い形状である。規制板53は、シート搬送台40から上方に僅かな隙間を介して配置されている。規制板53とシート搬送台40との間の隙間をセパレータ11が通過する。規制板53とシート搬送台40との間の隙間は、シート10の厚さ未満であって、シート10は規制板53の下方を通過できない。規制板53のシート搬送方向Qの上流側の端部53aは、サブローラ52の下側に位置する。規制板53のシート搬送方向Qの上流側の端部53aは、シート搬送方向Qの上流側に向けて上昇するように傾斜している。規制板53のシート搬送方向Qの上流側の端部53aは、セパレータ11を規制板53の下側に誘導する。規制板53のシート搬送方向Qの上流側の端部53aは、吸着体50に対して1ピッチ分以上離れている。
【0039】
<押圧体54>
押圧体54は、テープ1の第一端部1aの端面1cを、テープ長手方向Xに押す。押圧体54は、平面視において吸着体50に対してテープ長手方向Xの外側に配置されている。即ち、押圧体54は、シートガイド43に対してテープ長手方向Xの反対側に位置している。平面視において、押圧体54と吸着体50は、テープ長手方向Xに並んでいる。押圧体54の形状は種々であってよいが、本実施形態ではテープ1の幅よりも細い棒状であって、テープ長手方向Xに延びている。押圧体54の先端部54aは、平面視において吸着体50に向けられている。押圧体54の先端部54aは、斜め上方に向けて傾斜している。
【0040】
押圧体54は、押圧駆動部61により駆動されてテープ長手方向Xに往復動する。押圧体54は、シート10に対して接近離反する。押圧体54は、通常はシート10から側方に離れた側方待機位置に位置している。押圧体54は、側方待機位置からシート10に向けて前進して、テープ1の第一端部1aの端面1cを押し、その後、シート10から後退して側方待機位置に戻る。図11は、押圧体54が側方待機位置に位置している状態を示している。
【0041】
<貼り付け方法>
貼り付け方法は、シート10からテープ1を剥離する剥離工程と、剥離したテープ1をケース2に貼り付ける貼り付け工程とを含んでいる。以下、順に詳細に説明する。
【0042】
<剥離工程>
剥離工程は、剥離ステーション42で行う。剥離工程においては、剥離対象のテープ1を吸着体50で吸着する一方、剥離対象のテープ1の隣りのテープ1の浮上をメインローラ51あるいはサブローラ52で規制し、その状態で吸着体50を上昇させる。これにより、剥離対象のテープ1をセパレータ11から剥離する。以下、剥離対象のテープ1を剥離する手順について説明する。
【0043】
尚、シート10における多数のテープ1を区別する場合には以下のように称し、特に区別しない場合には単にテープ1と称する。シート搬送方向Qの下流側の端部(前端部、並列方向の第一端部)のテープ1を、前第一テープS1とする。前第一テープS1は、先頭のテープ1である。前第一テープS1の上流側の隣りのテープ1を前第二テープS2とする。以下、順に上流側に向けて前第三テープS3、前第四テープS4・・・と称する。即ち、シート搬送方向Qの下流側の端部から数えて一列目のテープ1が前第一テープS1であり、二列目のテープ1が前第二テープS2であり、三列目、四列目のテープ1がそれぞれ前第三テープS3、前第四テープS4である。
【0044】
逆に、シート搬送方向Qの上流側の端部(後端部、並列方向の第二端部)のテープ1を後第一テープE1とする。後第一テープE1は、最後尾のテープ1である。以下、下流側に向けて順に後第二テープE2、後第三テープE3、後第四テープE4・・・と称する。即ち、シート搬送方向Qの上流側の端部から数えて一列目のテープ1が後第一テープE1であり、二列目のテープ1が後第二テープE2であり、三列目、四列目のテープ1が後第三テープE3、後第四テープE4である。
【0045】
本実施形態では、前第一テープS1から順に前第二テープS2、前第三テープS3、前第四テープS4という順で、一本ずつシート10から剥離していく。以下、まず、剥離順序が一番目である前第一テープS1を剥離する手順について説明する。
【0046】
前第一テープS1を剥離する手順について図6図11~17に示している。まず、図6図11に、シート10がシート搬送台40によって剥離ステーション42に搬送されている途中の状態を示している。シート10が剥離ステーション42に送られるまでの間、図6のように吸着体50は、シート搬送台40から上方に離れた上方待機位置で待機している。また、メインローラ51、サブローラ52及び規制板53は、図11のように、シート10のテープ長手方向Xの中央部に対応した位置で待機している。そして、図12のように、前第一テープS1がメインローラ51の下方を通過して剥離場所70に到達する。吸着体50の直下の場所が剥離場所70である。このとき、吸着体50は、シート搬送台40から上方に離れた上方待機位置で待機している。尚、図面では、メインローラ51とシート10の上面が接触しているように見えるが、実際には、両者の間には僅かな隙間が生じている。但し、シート10にうねりや反りが発生している等の場合には、シート10の上面にメインローラ51が接触することがある。
【0047】
前第一テープS1が剥離場所70に到達すると、メインローラ51の下側には、前第二テープS2が位置する。メインローラ51は、シート10のテープ長手方向Xの中央部から、剥離開始位置であるシート10の第一端部10aに移動する。即ち、メインローラ51は、シートガイド43に対して、テープ長手方向Xの反対側に移動する。メインローラ51は、前第二テープS2の第一端部1aの上に位置する。尚、メインローラ51と共に、サブローラ52と規制板53も、シート10の第一端部10a側に移動する。
【0048】
メインローラ51が前第二テープS2の第一端部1aに位置すると、吸着体50は、上方待機位置から下降して、図13(a)のように、前第一テープS1から僅かに上方に離れた規制位置に位置する。規制位置において、吸着体50の下面は、メインローラ51の最下点よりも上方に位置している。仮にシート10にうねりや反りが生じていて前第一テープS1の上面の高さが一定ではない場合には、規制位置の吸着体50によって前第一テープS1が矯正されて、前第一テープS1の上面の高さ変化が抑制されることになる。
【0049】
次に、吸着体50が規制位置に位置した状態で、図14のように押圧体54が前第一テープS1に向けて前進し、前第一テープS1の端面1cをテープ長手方向Xに押す。この押圧体54の押圧により、前第一テープS1の第一端部1aはテープ長手方向Xに部分的に圧縮されてセパレータ11から剥離する。吸着体50が規制位置に位置しているので、仮に前第一テープS1がうねっていたりしても、押圧体54が前第一テープS1の第一端部1aを確実に押すことができる。図14(b)のように、押圧体54の先端部54aが斜め上方に傾斜しているので、前第一テープS1の第一端部1aのせり上がりを防止しつつ効率良くセパレータ11から剥離でき、また、押圧体54の先端部54aが前第一テープS1の第一端部1aに突き刺さることも防止できる。その後、押圧体54は後退して元の側方待機位置に戻る。
【0050】
そして、図13(b)のように、吸着体50は規制位置から更に下降して、前第一テープS1を吸着する吸着位置に位置し、下面の吸引口からエアを吸引することによって前第一テープS1を吸着する。吸着位置は、吸着体50の下面が前第一テープS1の上面に接触する位置である。その後、図15のように、メインローラ51が前第二テープS2の第一端部1aに位置した状態で、吸着体50が剥離位置まで上昇する。吸着体50が剥離位置に上昇することにより、前第一テープS1の全体が吸着体50によって持ち上げられる。更に、シート10が吸着体50に吸着されてシート搬送台40から浮上する。一方、メインローラ51の高さは一定のままである。吸着体50の隣りにおいては、メインローラ51が前第二テープS2の第一端部1aを上から抑えてその浮上を規制している。そのため、前第一テープS1と前第二テープS2の間において粘着層12が完全に切断し、前第一テープS1の第一端部1aが前第二テープS2の第一端部1aと分離し、前第一テープS1の第一端部1aがセパレータ11から剥離する。上述のように、押圧体54が前第一テープS1の第一端部1aを一度剥離しているので、前第一テープS1の第一端部1aが容易に剥離する。尚、吸着体50の剥離位置の高さは、種々設定されてよいが、吸着位置に対してシート10の厚さ以上の高さであることが好ましい。
【0051】
続いて、吸着体50が剥離位置に停止している状態で、図10及び図16のように、メインローラ51を前第二テープS2の第二端部1bに向けて移動させる。メインローラ51がその高さを維持しつつ平行移動することにより、メインローラ51は前第二テープS2の上面を回転しながら走行する。メインローラ51が第二端部1bに向けて走行することにより、前第一テープS1は、テープ長手方向Xに前第二テープS2から徐々に分離していくと共に徐々にセパレータ11から剥離していく。
【0052】
尚、本実施形態では、メインローラ51と共に、サブローラ52と規制板53もシート10の第二端部10b側に移動するが、メインローラ51のみが移動してもよい。但し、ある程度の本数のテープ1が剥離されてセパレータ11が規制板53の下側に位置している状態においては、規制板53をメインローラ51と共にテープ長手方向Xの第二端部10b側に移動させることが好ましい。規制板53が移動することにより、セパレータ11のうねり等の浮上が規制されてセパレータ11が安定する。
【0053】
やがて、図17のようにメインローラ51が前第二テープS2の第二端部1bまで到達する。これにより、前第一テープS1は前第二テープS2と全長に亘って分離し、セパレータ11から剥離される。
【0054】
その後、吸着体50は、図5に示すように剥離位置から移動位置まで上昇する。そして、吸着体50は、移送装置56によって剥離ステーション42から図5に二点鎖線で示している貼り付けステーション31に移送される。貼り付けステーション31において、吸着体50は、下降して、図5及び図7のように、前第一テープS1をケース2に貼り付け、そして、再び、剥離ステーション42へと戻る。
【0055】
一方、剥離ステーション42に戻った吸着体50は、再び、上方待機位置で待機する。シート搬送台40がシート10を1ピッチ分、間欠送りして前第二テープS2を剥離場所70に位置させ、前第三テープS3をメインローラ51の下側に位置させる。そして、前第一テープS1と同様に前第二テープS2を剥離し、剥離した前第二テープS2をケース2に貼り付ける。この動作を、前第三テープS3、前第四テープS4という順で、順次繰り返し行い、ケース2に合計四本のテープ1を貼り付ける。テープ1の貼り付けが完了したケース2は貼り付けステーション31から検査ステーション32へと搬送され、次のケース2が投入ステーション30から貼り付けステーション31へと搬送される。尚、四本のテープ1の貼り付け順序は任意である。また、例えば吸着体50を複数備えて、複数の吸着体50で一度に複数のテープ1をケース2に貼り付けるようにしてもよい。
【0056】
次に、後第三テープE3以降の剥離の手順について説明する。図18(a)に後第三テープE3が剥離場所70に到達した状態を示している。前第一テープS1から後第三テープE3までの剥離動作は上述したものと同様であり、前第一テープS1から後第三テープE3までは、シート搬送方向Qに一本ずつ順にテープ1を剥離していく。
【0057】
そして、後第三テープE3を剥離した後、吸着体50が貼り付けステーション31から剥離ステーション42の上方待機位置に戻ってくると、シート搬送台40はシート10を2ピッチ分下流側に送る。通常であれば、シート搬送台40は1ピッチ分、即ち、テープ1の幅の分だけシート10を下流側に送るが、このときは2ピッチ分送る。これにより、図18(b)のように、後第二テープE2は剥離場所70を通過してサブローラ52の下側に位置し、後第一テープE1が剥離場所70に位置する。つまり、後第二テープE2よりも先に後第一テープE1を剥離する。
【0058】
図18(b)において、吸着体50は上方待機位置から規制位置へと下降し、上述したと同様に、押圧体54が前進して後第一テープE1の第一端部1aを押して剥離させ、その後、吸着体50が吸着位置に下降して後第一テープE1を吸着する。そして、吸着体50が剥離位置まで上昇するが、その際、メインローラ51の下側にはテープ1が存在しない。後第一テープE1を剥離する際には、メインローラ51に代えてサブローラ52が機能する。即ち、吸着体50が剥離位置まで上昇した際に、サブローラ52が後第二テープE2を上から抑えてその浮上を規制する。そして、サブローラ52がシート10の第二端部10b側に走行する。それによって、後第一テープE1が後第二テープE2から分離し、セパレータ11から剥離される。剥離された後第一テープE1は吸着体50に吸着された状態で貼り付けステーション31まで運ばれてケース2に貼り付けられる。
【0059】
後第一テープE1の貼り付け作業が終わった吸着体50が貼り付けステーション31まで戻ってくると、シート搬送台40は通常とは逆向きにシート10を移動させる。即ち、シート搬送台40はシート10を剥離ステーション42から供給ステーション41に向けて1ピッチ分だけ逆送りして、図18(c)のようにサブローラ52の下方に位置していた後第二テープE2を剥離場所70まで戻す。
【0060】
そして、これまでと同様に吸着体50が規制位置に下降し、押圧体54が前進して後第二テープE2の第一端部1aを押して剥離させ、吸着体50が吸着位置に下降して後第二テープE2を吸着する。その後、吸着体50が剥離位置まで上昇する。その際、メインローラ51の下側にはテープ1が存在せず、サブローラ52の下側にもテープ1が存在しない。後第二テープE2を剥離する際には、メインローラ51とサブローラ52に代えて規制板53が機能する。即ち、吸着体50が剥離位置まで上昇した際に、規制板53がセパレータ11を上から抑えてその浮上を規制する。そして、規制板53がシート10の第二端部10b側に平行移動することにより、後第二テープE2は第二端部1bに向けて徐々にセパレータ11から剥離される。剥離された後第二テープE2は、同様に貼り付けステーション31まで運ばれてケース2に貼り付けられる。
【0061】
以上のような順序でシート10から全てのテープ1が剥離される。全てのテープ1が剥離された後、セパレータ11は更に下流側の廃棄場所へと送られる。そして、次のシート10が供給ステーション41から剥離ステーション42へと送られて、上記と同様にして剥離工程を行われる。
【0062】
このように、本実施形態における貼り付け方法においては、所定長さのテープ1が多数並設された枚葉型のシート10を用いる。そのため、ロール状のテープ1を繰り出して所定長さに切断するという方法に比して、テープ1に巻き癖が付きにくい。従って、吸着体50がテープ1をしっかりと安定して吸着することができ、また、ケース2の載置面部4bに正確にテープ1を貼り付けることができる。つまり、貼り付け不良が生じにくく、歩留まりに優れている。
【0063】
更に、枚葉型のシート10を用いるので、ロール状のテープ1を使用する方法に比して、ケース2の貼り付け面の制約が少ないという利点もある。即ち、ロール状のテープ1を剥離しながらワークに貼り付けていく場合には、貼り付け面の周りに障害物がなく、貼り付け面が平坦面や凸部である必要がある。従って、本実施形態のように、貼り付け面がケース2の内面(凹部)に設定されている場合には、ケース2の側面部5が邪魔になって貼り付けが困難となる。それに対して、本実施形態においては、所定長さに切断されたテープ1が多数並設されたシート10からテープ1を剥離し、その後に、その剥離したテープ1をケース2に貼り付けるので、ケース2の底面部4にも容易にテープ1を貼り付けることができる。しかも、剥離工程において吸着体50がテープ1を剥離してそのまま吸着体50がケース2にテープ1を貼り付けるので、効率良くテープ1を貼り付けることができると共に正確にテープ1を貼り付けることができる。
【0064】
一方、剥離工程においては、吸着体50とメインローラ51の協働によってシート10からテープ1を一本ずつ剥離する。そのため、多数のテープ1がカット線14を介して並んでいても、剥離対象のテープ1を隣のテープ1から確実に分離して剥離できる。そして、吸着体50がテープ1を吸着したまま貼り付けステーション31まで移動することにより、吸着体50によってケース2に容易にテープ1を貼り付けることができる。
【0065】
特に、メインローラ51をテープ長手方向Xに走行させるので、テープ1をテープ長手方向Xに沿って連続的に且つスムーズに剥離していくことができる。また、メインローラ51の幅がテープ1の幅よりも広いので、メインローラ51の走行によってテープ1を安定して剥離できる。サブローラ52の幅についても同様である。
【0066】
更に、吸着体50がテープ1を吸着する前に、押圧体54がテープ1の第一端部1aを押してその第一端部1aを局所的に先行して剥離するので、その後の吸着体50とメインローラ51によるテープ1の剥離がスムーズに開始されることになる。また、押圧体54がテープ1を押す前に、吸着体50が規制位置まで下降するので、仮にテープ1に反りやうねり等が生じていても、吸着体50がテープ1の反り等をある程度矯正する。そのため、押圧体54はテープ1の第一端部1aを確実に押圧することができ、剥離不良を防止することができる。
【0067】
また、シートガイド43がシート10の第二端部10bを案内していて、シート10がその第二端部10b側に移動することを阻止している。そのため、メインローラ51がテープ長手方向Xに走行する際において、シート10のテープ長手方向Xの位置ずれが防止されて、テープ1を安定して剥離することができる。更には、押圧体54がテープ1をテープ長手方向Xに押圧する際においても、シート10の位置ずれが防止されて、押圧体54による押圧力がテープ1に確実に作用する。
【0068】
一方、剥離順序については、最後尾の後第一テープE1を最後の順番で剥離するのではなく、それよりも前の順番で剥離する。具体的には、後第一テープE1を最後から二番目に剥離し、その隣の後第二テープE2を最後に剥離する。後第一テープE1は、シート10の後端部に位置しているため、粘着層12の粘着剤がセパレータ11の端面にはみ出している等の理由によって、他のテープ1、例えば後第二テープE2よりも剥離しにくい。そのため、後第二テープE2よりも先に後第一テープE1を剥離することによって、後第二テープE2を押さえながら後第一テープE1を確実に剥離することができる。
【0069】
特に、吸着体50のシート搬送方向Qの下流側にはサブローラ52が配置されている。そのため、サブローラ52で後第二テープE2の浮上を規制することができ、後第一テープE1を容易に剥離することができる。後第二テープE2を剥離する際には、既に後第一テープE1が剥離されているため、後第一テープE1よりも後第二テープE2は剥離しやすい。そして、吸着体50のシート搬送方向Qの下流側には規制板53が配置されていて、規制板53でセパレータ11の浮上を規制することができる。そのため、最後の順番の後第二テープE2についても、確実に剥離することができる。規制板53についても、メインローラ51やサブローラ52と同様にテープ長手方向Xに移動するので、後第二テープE2を第一端部1aから第二端部1bに向けて徐々に、しかも、スムーズに剥離できる。更に、規制板53が移動することによってセパレータ11のうねり等が解消されるので、その後のセパレータ11の下流側への搬送がスムーズなものとなり、搬送不良が生じにくくなる。
【0070】
また、剥離ステーション42に吸着体50、メインローラ51、サブローラ52、規制板53、及び押圧体54を配置して待機させ、剥離ステーション42にシート10を搬送すると共に間欠送りするので、多数のテープ1を連続して容易に剥離することができる。特に、テープ幅方向Y(テープ1の並列方向)をシート搬送方向Qとしているので、テープ1を一本ずつ容易に剥離していくことができる。
【0071】
尚、本実施形態では、後第一テープE1を最後から二番目に剥離したが、最後から三番目等に剥離してもよい。例えば、後第一テープE1を最後から三番目に剥離する場合、最後から二番目に後第三テープE3を剥離して最後に後第二テープE2を剥離してもよいし、最後から二番目に後第二テープE2を剥離して最後に後第三テープE3を剥離してもよい。
【0072】
規制部材としてローラを使用したが、回転しない部材であってもよい。また、規制部材を平行移動させたが、複数の規制部材によって規制ポイントをテープ長手方向Xに移動させるようにしてもよい。例えばテープ長手方向Xに間隔をあけて複数の規制部材を配置すると共にテープ1の上方に離反して配置する。そして、テープ1の第一端部1aに位置する規制部材から順に下降させてテープ1の浮上を規制すると共に、規制ポイントを第二端部1b側に移動させるようにしてもよい。
【0073】
尚、上記実施形態では、テープ1を剥離した吸着体50がケース2にテープ1を貼り付けたが、例えば、吸着体50から別の貼り付け部材にテープ1を受け渡してその貼り付け部材がテープ1を貼り付けるようにしてもよい。また、吸着体50からテープ1を人が受け取って人がテープ1を貼り付けるようにしてもよい。
【0074】
また、吸着体50以外の手段によってシート10からテープ1を剥離するようにしてもよく、剥離手段は任意である。
【符号の説明】
【0075】
1 テープ(クッションテープ)
1a 第一端部(長手方向一端部)
1b 第二端部(長手方向他端部)
1c 第一端部の端面
2 ケース(ワーク)
3 バッテリ
4 底面部
4a 凹条
4b 載置面部(貼り付け面)
5 側面部
6 フランジ部
7 仕切り壁
8 バッテリ収容部
10 シート
10a 第一端部
10b 第二端部
11 セパレータ
12 粘着層
13 クッション層
14 カット線
20 貼り付けシステム
21 搬送装置
22 貼り付け装置
30 投入ステーション
31 貼り付けステーション
32 検査ステーション
33 ケース搬送台
40 シート搬送台
41 供給ステーション
42 剥離ステーション
43 シートガイド
44 誘導ローラ
45 ヒータ
50 吸着体
51 メインローラ(第一規制部材)
52 サブローラ(第二規制部材)
53 規制板(第三規制部材)
53a 端部
54 押圧体
54a 先端部
55 昇降装置
56 移送装置
57 第一駆動装置
58 第二駆動装置
59 第一ステー
60 第二ステー
61 押圧駆動部
70 剥離場所
S1 前第一テープ(並列方向の第一端部のテープ)
S2 前第二テープ
S3 前第三テープ
S4 前第四テープ
E1 後第一テープ(並列方向の第二端部のテープ)
E2 後第二テープ
E3 後第三テープ
E4 後第四テープ
X テープ長手方向
Y テープ幅方向
P ケース搬送方向
Q シート搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18