(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113297
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】止水開閉体装置の制御システム及び制御方法
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20230808BHJP
E06B 7/16 20060101ALI20230808BHJP
E05F 15/603 20150101ALI20230808BHJP
E05F 15/40 20150101ALI20230808BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20230808BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B7/16 C
E05F15/603
E05F15/40
E04H9/14 Z
H04Q9/00 301C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015554
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】大館 一樹
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大助
(72)【発明者】
【氏名】宮本 顕
【テーマコード(参考)】
2E036
2E052
2E139
2E239
5K048
【Fターム(参考)】
2E036AA01
2E036CA01
2E036DA04
2E036EB02
2E036FA01
2E036FB01
2E036GA02
2E036HB08
2E036HC02
2E052KA27
2E139AA08
2E139AC19
2E239AC04
5K048AA05
5K048BA51
5K048EB02
5K048EB07
5K048EB12
5K048EB15
(57)【要約】
【課題】浸水の状態や障害物の有無などを確認しながら、遠隔地から安全かつ確実に動作を制御することのできる止水開閉体装置の制御システム及び制御方法を提供する。
【解決手段】止水開閉体装置は、開口部の周縁部に設けられた止水開閉手段と、止水開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、止水開閉手段と開口部の周縁部とを水密状態にし、また止水開閉手段と開口部の周縁部との水密状態を解除する水密手段と、開閉機を駆動して、止水開閉手段の動作を電動で制御し、また水密手段の動作を電動で制御する制御手段とを備える。制御システムは、止水開閉手段の周囲の画像を取得する画像取得手段と、画像取得手段及び制御手段をインターネットに接続するインターネット接続手段と、インターネットを介して画像取得手段が取得した画像を表示し、かつ、インターネットを介して制御手段を遠隔制御する遠隔制御端末とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の周縁部に設けられた止水開閉手段と、
前記止水開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、
前記止水開閉手段と前記開口部の周縁部とを水密状態にし、また前記止水開閉手段と前記開口部の周縁部との水密状態を解除する水密手段と、
前記開閉機を駆動して、前記止水開閉手段の動作を電動で制御し、また前記水密手段の動作を電動で制御する制御手段とを有する止水開閉体装置の制御システムであって、
前記止水開閉手段の周囲の画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段及び前記制御手段をインターネットに接続するインターネット接続手段と、
インターネットを介して前記画像取得手段が取得した画像を表示し、かつ、インターネットを介して前記制御手段を遠隔制御する遠隔制御端末とを備えたことを特徴とする止水開閉体装置の制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の止水開閉体装置の制御システムにおいて、前記インターネット接続手段は、商用電源からの電力の供給が無いときに、前記画像取得手段及び前記制御手段へ電力を供給する非常用電源を有することを特徴とする止水開閉体装置の制御システム。
【請求項3】
開口部の周縁部に設けられた止水開閉手段と、
前記止水開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、
前記止水開閉手段と前記開口部の周縁部とを水密状態にし、また前記止水開閉手段と前記開口部の周縁部との水密状態を解除する水密手段と、
前記開閉機を駆動して、前記止水開閉手段の動作を電動で制御し、また前記水密手段の動作を電動で制御する制御手段とを有する止水開閉体装置の制御方法であって、
前記止水開閉手段の周囲の画像を取得する画像取得手段を設け、
インターネット接続手段を用いて、前記画像取得手段及び前記制御手段をインターネットに接続し、
インターネットを介して、前記画像取得手段が取得した画像を遠隔制御端末に表示し、かつ、インターネットを介して、前記遠隔制御端末により前記制御手段を遠隔制御することを特徴とする止水開閉体装置の制御方法。
【請求項4】
請求項3に記載の止水開閉体装置の制御方法において、前記インターネット接続手段に非常用電源を設け、商用電源からの電力の供給が無いときに、前記非常用電源から前記画像取得手段及び前記制御手段へ電力を供給することを特徴とする止水開閉体装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大雨時などにおいて、ビル、工場、倉庫、車庫等の建物の出入口などの開口部、または地下鉄の駅や地下街の出入口などの開口部を水密状態に閉鎖する止水装置の制御システム及び制御方法に係り、特に、シャッターなどの開閉体を用いて構成された止水開閉体装置の制御に好適な止水開閉体装置の制御システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地下鉄の駅や地下街などの地下施設へ通じる地上の出入口や、建物の出入口などには、大雨などによる水が地下施設または建物内部へ流入することを防止するための止水装置が設けられる。
このような止水装置として、特許文献1に記載の密閉式開閉装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
止水装置がシャッターなどの止水開閉体を用いて構成された止水開閉体装置である場合、従来の止水開閉体装置は、止水開閉体の近傍に設けられた押しボタンスイッチなどの操作スイッチにより運転操作が行われ、浸水などの危険な状態であっても、止水開閉体の傍まで行かないと、止水開閉体の運転操作を行うことができなかった。
また、止水開閉体装置の操作スイッチを遠隔地に設け、止水開閉体の運転操作を遠隔制御で行う場合も、浸水の状態が確認できないと止水の解除が可能か否か判断できず、また、止水開閉体の近くに人や物などの障害物があるかどうか確認できないため、例えば、下降動作中の止水開閉体の下を人が横切って止水開閉体の下降動作が中断され、止水状態にならない場合などがあった。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、浸水の状態や障害物の有無などを確認しながら、遠隔地から安全かつ確実に動作を制御することのできる止水開閉体装置の制御システム及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の止水開閉体装置の制御システムの第1の特徴は、開口部の周縁部に設けられた止水開閉手段と、止水開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、止水開閉手段と開口部の周縁部とを水密状態にし、また止水開閉手段と開口部の周縁部との水密状態を解除する水密手段と、開閉機を駆動して、止水開閉手段の動作を電動で制御し、また水密手段の動作を電動で制御する制御手段とを有する止水開閉体装置の制御システムであって、止水開閉手段の周囲の画像を取得する画像取得手段と、画像取得手段及び制御手段をインターネットに接続するインターネット接続手段と、インターネットを介して画像取得手段が取得した画像を表示し、かつ、インターネットを介して制御手段を遠隔制御する遠隔制御端末とを備えたことにある。
【0007】
インターネット接続手段を用いて、画像取得手段及び制御手段をインターネットに接続し、インターネットを介して、画像取得手段が取得した止水開閉手段の周囲の画像を遠隔制御端末に表示し、かつ、インターネットを介して、遠隔制御端末により制御手段を遠隔制御するので、浸水の状態や障害物の有無などを確認しながら、止水開閉手段の動作の制御が遠隔地から安全かつ確実に行われる。
【0008】
止水開閉手段は、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物などの構造物における、出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部を電動で開閉移動するシャッターカーテンなどの開閉部材で構成される。止水開閉手段が、シャッターカーテンの場合には、建物などの開口部の周縁部の一つである上部に収納され、まぐさなどを通過してシャッターカーテンが下降し、開口部を電動で開閉動作する。これ以外にも、止水開閉手段が開口部の下部に収納されて、上昇方式にて電動で開閉移動したり、止水開閉手段が側部に収納されて、スライド方式にて電動で移動したりすることもある。また、止水開閉手段には、閉鎖によって開口部を全閉できるものも全閉できないものも含む。
【0009】
本発明の止水開閉体装置の制御システムの第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の止水開閉体装置の制御システムにおいて、インターネット接続手段が、商用電源からの電力の供給が無いときに、画像取得手段及び制御手段へ電力を供給する非常用電源を有することにある。
洪水等の災害による停電などで商用電源からの電力の供給が遮断されても、非常用電源から供給される電力を用いて、止水開閉手段の周囲の監視、及び止水開閉手段の開閉動作が行われる。
【0010】
本発明の止水開閉体装置の制御方法の第1の特徴は、開口部の周縁部に設けられた止水開閉手段と、止水開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、止水開閉手段と開口部の周縁部とを水密状態にし、また止水開閉手段と開口部の周縁部との水密状態を解除する水密手段と、開閉機を駆動して、止水開閉手段の動作を電動で制御し、また水密手段の動作を電動で制御する制御手段とを有する止水開閉体装置の制御方法であって、止水開閉手段の周囲の画像を取得する画像取得手段を設け、インターネット接続手段を用いて、画像取得手段及び制御手段をインターネットに接続し、インターネットを介して、画像取得手段が取得した画像を遠隔制御端末に表示し、かつ、インターネットを介して、遠隔制御端末により制御手段を遠隔制御することにある。
これは、前記第1の特徴に記載の止水開閉体装置の制御システムに相当する、止水開閉体装置の制御方法である。
【0011】
本発明の止水開閉体装置の制御方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の止水開閉体装置の制御方法において、インターネット接続手段に非常用電源を設け、商用電源からの電力の供給が無いときに、非常用電源から画像取得手段及び制御手段へ電力を供給することにある。
これは、前記第2の特徴に記載の止水開閉体装置の制御システムに相当する、止水開閉体装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の止水開閉体装置の制御システム及び制御方法によれば、浸水の状態や障害物の有無などを確認しながら、遠隔地から安全かつ確実に動作を制御することのできる止水開閉体装置の制御システム及び制御方法を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施の形態による止水開閉体装置である止水シャッター装置の概略構成を示す図である。
【
図3】止水開閉体装置の制御システムの構成例を示す図である。
【
図5】操作ボタンで止水解除操作を制限する方法の例を示す図である。
【
図6】停止(停)ボタン、止水開始(止水ON)ボタン、及び止水解除(止水OFF)ボタンの配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に従って、本発明に係る止水開閉体装置の制御システム及び制御方法の好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では、止水用の開閉手段として、上下に開閉動作されるシャッターカーテンを備えた止水シャッター装置を例に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による止水開閉体装置である止水シャッター装置の概略構成を示す図である。
図1において、止水開閉体装置10は、開口部を上下に開閉する止水シャッター装置である。
【0015】
なお、止水開閉体装置は、例えば特開2000-73469号公報に記載されているような、パネル状の開閉体が上下に開閉動作されるパネルシャッター装置であってもよい。
【0016】
止水開閉体装置10は、建物等の構造物などの開口部や、地下鉄の駅や地下街の出入口などの開口部に設けられており、基本的に、シャッターケース11、シャッターカーテン12、止水板12a、ガイドレール13,14、巻取シャフト15、チェーン16、モータ17、連動中継器19、水密装置20、シャッター制御盤30、IoT制御盤40、及び監視カメラ50などを含んで構成されている。
【0017】
ガイドレール13,14は、シャッターカーテン12の両端部に接するように建物等の構造物などの開口部の両端側に設けられ、まぐさ部から床面まで掛け渡された断面形状がコの字型の案内溝を有する金属製部材又はこれと同等の部材で構成されている。シャッターカーテン12は、このガイドレール13,14の各案内溝に沿って上昇下降して開閉動作を行う。
【0018】
シャッターカーテン12の下部には、所定の高さの止水板12aが取り付けられている。この止水板12aとガイドレール13,14とは、後述する水密装置20により、水などの液体がそれらの隙間を通って流れ出ない水密状態にされる。
【0019】
巻取シャフト15は、シャッターケース11の両端側に回動可能に設けられ、シャッターカーテン12を巻き取ったり巻き戻したりする。チェーン16は、モータ17の回転軸に設けられた主動スプロケットと巻取シャフト15の回転軸に設けられた従動スプロケットとを連結している。従って、モータ17の回転駆動力は、チェーン16を介して巻取シャフト15側に伝達され、モータ17が回転すると、チェーン16を介して巻取シャフト15が回転し、シャッターカーテン12の開閉動作が制御されるようになっている。
【0020】
モータ17には図示しないブレーキが取り付けられており、この止水開閉体装置10は、平常時、シャッターカーテン12が巻取シャフト15に巻き取られている開放状態を、モータ17に取り付けられたブレーキによって機械的に保持している。そして、外部から火災の発生などを示す非常信号BSなどが連動中継器19へ入力された場合、連動中継器19は、モータ17及びシャッター制御盤30へ閉鎖指示信号を送信し、シャッター制御盤30は、閉鎖指示信号に応じてモータ17のブレーキを開放し、モータ17のブレーキによるシャッターカーテン12の開放状態の保持を解除する。モータ17のブレーキによる開放状態の保持が解除されると、シャッターカーテン12は、その自重で自然降下して、建物等の構造物などの開口部を自動的に閉鎖する。
【0021】
非常信号BSは、火災発生などの非常時に外部の制御室などから供給される直流電圧24[V]の信号であり、危害防止用の連動中継器19に入力される。連動中継器19には、商用電源の電源ラインACから、例えば100Vの交流電力が供給される。
【0022】
なお、外部からの非常信号BSの入力と併せて、又は代わりに、シャッターケース11の内側であって、まぐさ部の開口部近傍、すなわちシャッターカーテン12が昇降する部分に温度感知器などを設けてもよい。この温度感知器としては、常時接点がオン状態にあり、接点が所定温度(摂氏100~300度の範囲の任意温度)に達した時点で接点を開きオフ状態となるB接点の自動復帰型の高温度用バイメタル式サーモスタットなどで構成され、接点が開いた場合には火災などが発生したことを示す信号を非常信号BSに相当する信号として出力するようにしてもよい。
【0023】
モータ17には、その回転位置を検出して、シャッターカーテン12の巻き取り過ぎ及び巻き戻し過ぎを防止するための図示しないリミットスイッチが設けられている。リミットスイッチの検出信号は、シャッター制御盤30へ入力される。
【0024】
シャッター制御盤30は、マイクロコンピューター構成になっており、商用電源の電源ラインACから、例えば200Vの交流電力が供給されている。
シャッター制御盤30内には、図示しない操作スイッチが収納されている。操作スイッチは、シャッターカーテン12の開閉停の各動作に対応した制御スイッチとして、上昇(開)ボタン、停止(停)ボタン、下降(閉)ボタンをそれぞれ有し、これら各操作ボタンの操作状態に応じた制御信号を出力する。
また、操作スイッチは、後述する水密装置20の運転操作用の操作ボタンを有し、当該操作ボタンの操作状態に応じた制御信号を出力する。
シャッター制御盤30は、シャッター制御盤30内に収納された操作スイッチ上の各操作ボタンの操作状態に対応した制御信号や、モータ17に設けられたリミットスイッチからの検出信号などに基づいて、モータ17の回転を制御したり、非常信号BSに基づいてモータ17のブレーキを解除したりする。
また、シャッター制御盤30は、シャッター制御盤30内に収納された、水密装置20の運転操作用の操作ボタンの操作状態に対応した制御信号に応じて、水密装置20の動作を制御する。
【0025】
IoT制御盤40は、後述するように、シャッター制御盤30及び監視カメラ50を、インターネットに接続する。
監視カメラ50は、シャッターカーテン12の周囲の画像を取得する。監視カメラ50は、閉鎖状態のシャッターカーテン12の下端部と、その周囲の洪水などの状態が視野に入る位置に設置されている。監視カメラ50が取得した画像は、IoT制御盤40へ入力される。
【0026】
図2は、IoT制御盤の一例を示す図である。IoT制御盤40は、通信機41、送受信機42、端子台43、遮断器44、スイッチングハブ45、モニター用ディスプレイ46、レコーダー47、及び非常用電源48などを含んで構成されている。
通信機41は、インターネットのルーターと通信を行い、インターネットを経由して受信した後述する遠隔制御端末の操作信号を、送受信機42へ無線で送信する。
送受信機42は、通信機41から無線で受信した遠隔制御端末の操作信号を、シャッター制御盤30へ出力する。
【0027】
端子台43には、電源や、図示しない操作スイッチ等の配線などが接続されている。
遮断器44は、IoT制御盤40内に流れる過電流を遮断する。
スイッチングハブ45は、集線装置であって、LANケーブル、通信機41、レコーダー47、及び監視カメラ50などが接続されている。
【0028】
モニター用ディスプレイ46は、監視カメラ50が取得した画像を表示する。モニター用ディスプレイ46の画像は、例えば、作業者が監視カメラ50の視野や画質等の調節を行う際の確認などに用いられる。
レコーダー47は、監視カメラ50が取得したシャッターカーテン12の周囲の画像を記録する。
【0029】
非常用電源48は、洪水等の災害による停電などで商用電源の供給が無いときに、監視カメラ50及びシャッター制御盤30へ商用電源と同じ電圧の電力を供給する。
監視カメラ50は、商用電源又は非常用電源48から供給された電力により、シャッターカーテン12の周囲の画像を取得する。
また、シャッター制御盤30は、商用電源又は非常用電源48から供給された電力により、モータ17及び水密装置20を制御する。
洪水等の災害による停電などで商用電源からの電力の供給が遮断されても、非常用電源48から供給される電力を用いて、シャッターカーテン12の周囲の監視、シャッターカーテン12の開閉動作、及び水密装置20の動作が行われる。
なお、非常用電源48から電力を供給する際は、レコーダー47への電力供給を遮断することにより、消費電力を削減することができる。
【0030】
以下、遠隔制御端末として、スマートフォンを用いる例について説明する。
なお、遠隔制御端末は、スマートフォンに限らず、コンピュータやタブレット端末など、インターネットに接続できる機器であればよい。
これらの遠隔制御端末には、止水開閉体装置10の制御用のアプリケーションソフトウェアがインストールされる。
【0031】
図3は、止水開閉体装置の制御システムの構成例を示す図である。本実施の形態による止水開閉体装置10の制御システム100は、シャッター制御盤30、IoT制御盤40、監視カメラ50、遠隔制御端末としてのスマートフォン60、並びに、インターネットのクラウドサーバー70及びルーター80を含んで構成されている。
【0032】
IoT制御盤40は、スイッチングハブ45に接続された監視カメラ50が取得したシャッターカーテン12の周囲の画像を、インターネットのルーター80へ送信する。IoT制御盤40から送信されたシャッターカーテン12の周囲の画像は、ルーター80及びクラウドサーバー70を介して、スマートフォン60で受信される。スマートフォン60は、受信したシャッターカーテン12の周囲の画像を、自身の画面に表示する。
【0033】
スマートフォン60の画面に表示される、後述する操作ボタンの操作で発生した、シャッターカーテン12の動作に関する操作信号、及び水密装置20の動作に関する操作信号は、スマートフォン60からクラウドサーバー70及びルーター80を介して送信され、IoT制御盤40の通信機41で受信される。そして、通信機41で受信された操作信号は、通信機41から送受信機42へ無線で送信される。
送受信機42により無線で受信された操作信号は、送受信機42からシャッター制御盤30へ入力される。シャッター制御盤30は、入力されたシャッターカーテン12の動作に関する操作信号に応じ、モータ17を制御して、シャッターカーテン12を開閉動作させ、また停止させる。また、シャッター制御盤30は、入力された水密装置20の動作に関する操作信号に応じ、水密装置20を制御して、止水板12aとガイドレール13,14との水密状態を開始し、また水密状態を解除する。
【0034】
一方、シャッターカーテン12の動作中を示す動作中信号、水密装置20による水密状態の開始又は解除を示す止水ON信号又は止水OFF信号、図示しないリミットスイッチの検出信号、図示しない障害物感知装置の障害物感知信号などが、シャッター制御盤30から送受信機42へ入力され、送受信機42から通信機41へ無線で送信される。通信機41は、これらの信号と、インターネットへの接続状態を確認するための通信確認信号とを、ルーター80へ送信し、送信されたこれらの信号は、ルーター80及びクラウドサーバー70を介して、スマートフォン60で受信される。
【0035】
IoT制御盤40を用いて、監視カメラ50及びシャッター制御盤30をインターネットに接続し、インターネットを介して、監視カメラ50の画像をスマートフォン60に表示し、かつ、インターネットを介して、スマートフォン60によりシャッター制御盤30を遠隔制御するので、浸水の状態や障害物の有無などを確認しながら、シャッターカーテン12の動作の制御が遠隔地から安全かつ確実に行われる。
【0036】
図4は、水密装置の動作を説明する図である。
図4(a),(b)は、止水板12a及びガイドレール13,14の、
図1のA-A部の断面図と、水密装置20とを示している。
止水板12aは、軽量化を図るため、内部に空洞を有する中空構造となっている。
水密装置20は、電動アクチュエータ21及び押し付け機構22を含んで構成されている。押し付け機構22は、電動アクチュエータ21の作動により、
図4(a),(b)の図面上下方向に移動する。
なお、
図4(a)は止水板12aとガイドレール13,14との水密状態が解除された状態を示し、
図4(b)は水密状態を示している。
【0037】
図4(a),(b)において、止水板12aの、ガイドレール13,14の図面下側の内壁と向かい合う面の両端部には、帯状の止水ゴム12bが、図面手前方向及び図面奥行き方向の止水板12aの高さに渡って取り付けられている。
また、ガイドレール13,14には、止水板12aの止水ゴム12bが取り付けられた面と反対側の面に向き合って、押し付け機構22が、
図1に破線で示す様に、ほぼ止水板12aの高さに渡って取り付けられている。
なお、押し付け機構22は、ほぼ止水板12aの高さに渡って設ける代わりに、止水板12aの少なくとも4隅に設けてもよい。
【0038】
止水板12aとガイドレール13,14との水密状態を開始する際、スマートフォン60の操作者は、後述する止水開始(止水ON)ボタンを操作して、止水開始を指示する。また、止水板12aとガイドレール13,14との水密状態を解除する際、スマートフォン60の操作者は、後述する止水解除(止水OFF)ボタンを操作して、止水解除を指示する。
【0039】
止水解除(止水OFF)ボタンが操作されると、電動アクチュエータ21は、押し付け機構22を、
図4(a)に示す位置へ移動させる。これにより、止水板12aに取り付けられた止水ゴム12bとガイドレール13,14の内壁との間に隙間が生じて、止水板12aとガイドレール13,14との水密状態が解除される。
【0040】
止水開始(止水ON)ボタンが操作されると、電動アクチュエータ21は、押し付け機構22を、
図4(b)に示す位置へ移動させる。押し付け機構22は、止水板12aに接触して、止水板12aを矢印で示すガイドレール13,14の図面下側の内壁方向へ移動させ、止水板12aに取り付けられた止水ゴム12bを、ガイドレール13,14の内壁に密着させて押し付ける。これにより、止水板12aとガイドレール13,14とが、水密状態になる。
【0041】
なお、シャッターカーテン12の内側の、止水板12aの下端部が接する床面には、止水板12aの下端部に密着して止水板12aに掛かる水圧を受ける、図示しない耐水圧受けが設けられており、この耐水圧受けが、水密装置として、止水板12aと止水板12aの下端部が接する床面とを水密状態にする。
【0042】
また、止水開閉体装置が、パネル状の開閉体を上下に開閉動作するパネルシャッター装置である場合、パネル状の開閉体の底面には、パネル状の開閉体の幅に渡って帯状の止水ゴムが取り付けられており、水密装置には、パネル状の開閉体を床面に押し付ける押し付け機構と、当該押し付け機構を移動させる電動アクチュエータとが含まれ、それらの働きにより、パネル状の開閉体と床面とが水密状態になる。
【0043】
以下、止水開閉体装置10の制御用のアプリケーションソフトウェアを起動したときにスマートフォン60の画面に表示される、操作スイッチの例を説明する。
図5は、操作ボタンで止水解除操作を制限する方法の例を示す図である。
図5(a)は、スマートフォン60に表示される操作スイッチの各操作ボタンの配置を、シャッター制御盤30内に設けられた操作スイッチの各操作ボタンの配置と同じにした例である。本例では、上昇(開)ボタン61、停止(停)ボタン62、及び下降(閉)ボタン63が、上下方向に一列に配置されている。そして、それらの右側に、水密装置20による水密状態の開始を指示するための止水開始(止水ON)ボタン64と、水密装置20による水密状態の解除を指示するための止水解除(止水OFF)ボタン65とが、上下方向に一列に配置されている。
【0044】
図5(b)は、スマートフォン60の画面に止水解除(止水OFF)ボタンを表示しない例である。本例では、止水解除(止水OFF)ボタンを表示しないので、スマートフォン60の操作者は、止水解除の操作を行うことができない。
【0045】
図5(c)は、監視カメラ50が取得したシャッターカーテン12の周囲の監視カメラ画像66を、操作ボタンと一緒に表示する例である。
この例では、監視カメラ画像66が所定期間(例えば、数秒間)表示されるまでは、止水解除(止水OFF)ボタン65の操作が制限されていて、止水解除(止水OFF)ボタン65の操作が無効となっている。
そして、監視カメラ画像66が所定期間だけ表示された後に、止水解除(止水OFF)ボタン65の操作の制限が解除されて、止水解除(止水OFF)ボタン65の操作が有効となる。従って、操作者に対して、シャッターカーテン12の周囲の環境を確認する機会が与えられる。
【0046】
図5(d)は、止水解除(止水OFF)ボタン65が操作されたとき、スマートフォン60の画面にダイヤログボックス67を表示して、シャッターカーテン12の周囲の画像を確認したか否かの問合せを行う例である。
確認入力(YES)があるまでは、既に行われた止水解除(止水OFF)ボタン65の操作が保留となっている。
そして、確認入力(YES)があった後に、止水解除(止水OFF)ボタン65の操作の保留が解除されて、止水解除が開始される。従って、シャッターカーテン12の周囲の画像を確認することなく止水状態を解除することが、防止される。
【0047】
図5(b)、
図5(c)又は
図5(d)に示した例によれば、止水解除(止水OFF)ボタン65が誤って操作されて、シャッターカーテン12の止水状態が解除されて浸水が発生するおそれがない。
【0048】
図6は、停止(停)ボタン、止水開始(止水ON)ボタン、及び止水解除(止水OFF)ボタンの配置例を示す図である。
図6(a)は、
図5(a)と同様に、スマートフォン60に表示される操作スイッチの各操作ボタンの配置を、シャッター制御盤30内に設けた操作スイッチの各操作ボタンの配置と同じにした例である。
【0049】
図6(a)の例では、停止(停)ボタン62が略長方形のスマートフォン60の短辺方向の左側に配置されている。そのため、略長方形のスマートフォン60を短辺方向に左手で握って、停止(停)ボタン62を左手親指で操作するときと、略長方形のスマートフォン60を短辺方向に右手で握って、停止(停)ボタン62を右手親指で操作するときとで、停止(停)ボタン62の操作性が変化する。
【0050】
図6(b)は、停止(停)ボタン62を略長方形のスマートフォン60の短辺方向の中央に配置し、止水開始(止水ON)ボタン64及び止水解除(止水OFF)ボタン65を、停止(停)ボタン62の左右に配置した例である。
図6(b)の例によれば、略長方形のスマートフォン60を短辺方向に左右どちらの手で握っていても、停止(停)ボタン62の操作性が変わらず、特に緊急性を要する可能性のある停止(停)ボタン62が良好に操作される。
【0051】
なお、
図6(b)の例では、停止(停)ボタン62、止水開始(止水ON)ボタン64、及び止水解除(止水OFF)ボタン65が、略長方形のスマートフォン60の短辺方向に狭い間隔で配置されているため、停止(停)ボタン62を操作するつもりが、誤って止水開始(止水ON)ボタン64又は止水解除(止水OFF)ボタン65を操作してしまうという、誤操作が発生するおそれがある。
そこで、シャッターカーテン12の上昇動作又は下降動作を行っている際に、止水開始(止水ON)ボタン64又は止水解除(止水OFF)ボタン65が操作されたときには、シャッターカーテン12の上昇動作又は下降動作を停止するようにシャッター制御盤30を構成すると、停止(停)ボタン62の代わりに止水開始(止水ON)ボタン64又は止水解除(止水OFF)ボタン65が操作される誤操作があっても、動作中のシャッターカーテン12を停止させることができる。
【0052】
以上説明した実施の形態では、上下昇降方式で繰り出される止水シャッター装置を例に説明したが、シャッター状、シート状、またはパネル状などの止水用の開閉体が横引き方式で繰り出されたり、あるいは水平方式で繰り出されたりする開閉体装置であっても、同様に適応することができる。開閉体装置としては、例えば、シャッター装置、窓シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、移動間仕切装置、引き戸装置、開き戸装置、折れ戸装置、門扉装置、オーニング装置、防水板装置などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
10…止水開閉体装置
11…シャッターケース
12…シャッターカーテン
12a…止水板
12b…止水ゴム
13,14…ガイドレール
15…巻取シャフト
16…チェーン
17…モータ
19…連動中継器
20…水密装置
21…電動アクチュエータ
22…押し付け機構
30…シャッター制御盤
40…IoT制御盤
41…通信機
42…送受信機
43…端子台
44…遮断器
45…スイッチングハブ
46…モニター用ディスプレイ
47…レコーダー
48…非常用電源
50…監視カメラ
60…スマートフォン
61…上昇(開)ボタン
62…停止(停)ボタン
63…下降(閉)ボタン
64…止水開始(止水ON)ボタン
65…止水解除(止水OFF)ボタン
66…監視カメラ画像
67…ダイヤログボックス
70…クラウドサーバー
80…ルーター
100…止水開閉体装置の制御システム