(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113301
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】物品配送システムおよび物品配送方法
(51)【国際特許分類】
B64D 5/00 20060101AFI20230808BHJP
B64C 13/18 20060101ALI20230808BHJP
B64D 1/08 20060101ALI20230808BHJP
G05D 1/10 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B64D5/00
B64C13/18 Z
B64D1/08
G05D1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015564
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】中野 栄治
(72)【発明者】
【氏名】高橋 潤
(72)【発明者】
【氏名】池田 ゆきこ
(72)【発明者】
【氏名】山本 新之介
(72)【発明者】
【氏名】三原 真哉
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA06
5H301AA10
5H301BB05
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD15
5H301HH01
5H301HH02
(57)【要約】
【課題】無人航空機による物品の配送を適切に制御する技術を提供する。
【解決手段】物品配送システム12は、物品を保持した状態で飛行可能な第1無人航空機100と、第1無人航空機100を保持した状態で飛行可能な第2無人航空機200を備える。第2無人航空機200は、物品の配送先における配送地点の状況を判断する。第2無人航空機200は、配送地点の状況の判断において、第2無人航空機200が物品を配送地点に配送することで第2無人航空機200の帰還が困難と判断された場合、第2無人航空機200から第1無人航空機100を切り離し、第1無人航空機100に物品を配送させ、第2無人航空機200を帰還させるよう制御する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を着脱可能に保持し、前記物品を保持した状態で飛行可能な第1無人航空機と、
少なくとも1台の前記第1無人航空機を着脱可能に保持し、前記第1無人航空機を保持した状態で飛行可能な第2無人航空機と、
前記物品の配送先における配送地点の状況を判断する配送地点判断部と、
前記配送地点判断部により、前記第2無人航空機が前記物品を前記配送地点に配送することで前記第2無人航空機の帰還が困難と判断された場合、前記第2無人航空機から前記第1無人航空機を切り離し、前記第1無人航空機に前記物品を配送させ、前記第2無人航空機を帰還させるよう制御する配送制御部と、
を備える物品配送システム。
【請求項2】
前記配送地点判断部は、前記物品の配送先における配送地点が特定できないことを判断し、
前記配送制御部は、前記配送地点判断部により、前記物品の配送先における配送地点が特定できないことに基づいて前記第2無人航空機が前記物品を配送することで前記第2無人航空機の帰還が困難と判断された場合、前記第2無人航空機から前記第1無人航空機を切り離し、前記第1無人航空機に前記物品を配送させ、前記第2無人航空機を帰還させるよう制御する、
請求項1に記載の物品配送システム。
【請求項3】
前記配送地点判断部は、前記物品の配送先における配送地点への前記第2無人航空機による配送が困難であることを判断し、
前記配送制御部は、前記配送地点判断部により、前記物品の配送先における配送地点への前記第2無人航空機による配送が困難であることに基づいて前記第2無人航空機が前記物品を配送することで前記第2無人航空機の帰還が困難と判断された場合、前記第2無人航空機から前記第1無人航空機を切り離し、前記第1無人航空機に前記物品を配送させ、前記第2無人航空機を帰還させるよう制御する、
請求項1に記載の物品配送システム。
【請求項4】
前記配送地点判断部は、前記物品の配送先における配送地点への前記第2無人航空機による前記物品の投下が困難である場合に、前記第2無人航空機による配送が困難であると判断する、
請求項3に記載の物品配送システム。
【請求項5】
物品配送システムにより実行される方法であって、
前記物品配送システムは、物品を着脱可能に保持し、前記物品を保持した状態で飛行可能な第1無人航空機と、少なくとも1台の前記第1無人航空機を着脱可能に保持し、前記第1無人航空機を保持した状態で飛行可能な第2無人航空機とを備え、
前記物品の配送先における配送地点の状況を判断し、
前記配送地点の状況の判断において、前記第2無人航空機が前記物品を前記配送地点に配送することで前記第2無人航空機の帰還が困難と判断された場合、前記第2無人航空機から前記第1無人航空機を切り離し、前記第1無人航空機に前記物品を配送させ、前記第2無人航空機を帰還させるよう制御する、
物品配送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品配送システムおよび物品配送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無人航空機(いわゆるドローン)を用いて、被災者や救助対象者に物資を輸送するサービスが開始されている。例えば、以下の特許文献1では、救助対象者を探索して、救助対象者に救援物資を提供するドローンが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
災害等における救援対象者にドローンを用いて救援物資を運搬する場合、救援対象者の位置を明確に特定できず、また、救援物資の配送地点がドローンの降下に適していないことがある。このような場合、人命救助を優先するために、ドローンの帰還よりも救援物資の提供が優先されることもある。ドローンは、バッテリによるモータ駆動で飛行するため、飛行可能距離や飛行可能時間が比較的短い。そのため、ドローンが帰還できない場合、次の救援物資の運搬や、他の救援対象者への救援物資の運搬が滞ってしまうことがある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、無人航空機による物品の配送を適切に制御する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の物品配送システムは、物品を着脱可能に保持し、物品を保持した状態で飛行可能な第1無人航空機と、少なくとも1台の第1無人航空機を着脱可能に保持し、第1無人航空機を保持した状態で飛行可能な第2無人航空機と、物品の配送先における配送地点の状況を判断する配送地点判断部と、配送地点判断部により、第2無人航空機が物品を配送地点に配送することで第2無人航空機の帰還が困難と判断された場合、第2無人航空機から第1無人航空機を切り離し、第1無人航空機に物品を配送させ、第2無人航空機を帰還させるよう制御する配送制御部とを備える。
【0007】
本発明の別の態様は、物品配送方法である。この方法は、物品配送システムにより実行される方法である。物品配送システムは、物品を着脱可能に保持し、物品を保持した状態で飛行可能な第1無人航空機と、少なくとも1台の第1無人航空機を着脱可能に保持し、第1無人航空機を保持した状態で飛行可能な第2無人航空機とを備える。上記方法は、物品の配送先における配送地点の状況を判断し、配送地点の状況の判断において、第2無人航空機が物品を配送地点に配送することで第2無人航空機の帰還が困難と判断された場合、第2無人航空機から第1無人航空機を切り離し、第1無人航空機に物品を配送させ、第2無人航空機を帰還させるよう制御する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無人航空機による物品の配送を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施例の第1無人航空機の構成を模式的に示す図である。
【
図2】第1実施例の第2無人航空機の構成を模式的に示す図である。
【
図3】第1実施例の物品配送システムの構成を示す図である。
【
図4】第1実施例の物品配送システムの動作を示すフローチャートである。
【
図5】第2実施例の物品配送システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施例>
本発明の第1実施例を説明する。第1実施例では、相対的に小型の第1無人航空機と、相対的に大型の第2無人航空機とを用いて物品を配送する物品配送システムを提案する。第1無人航空機と第2無人航空機は、例えばドローンである。第1実施例の物品配送システムでは、第1無人航空機を搭載した第2無人航空機が物品を配送することで第2無人航空機の帰還が困難と判断される場合、第2無人航空機から第1無人航空機を切り離し、第1無人航空機に物品を配送させる一方、第2無人航空機を帰還させる。
【0012】
図1は、第1実施例の第1無人航空機の構成を模式的に示す。第1無人航空機100は、救援物資等の物品10を着脱可能に保持し、物品10を保持した状態で飛行可能な無人航空機である。第1無人航空機100は、少なくとも1個の物品10を保持して飛行可能な大きさと推進力を備える。第1無人航空機100は、飛行駆動部102、リリース機構104、接続部106、撮影部108を備える。
【0013】
飛行駆動部102は、第1無人航空機100が浮上および飛行するために駆動する機構であり、実施例では回転翼を含む。リリース機構104は、第1無人航空機100に保持された物品10を第1無人航空機100からリリースする(言い換えれば、切り離す)機構である。接続部106は、第2無人航空機200との接続に用いる部材である。撮影部108は、第1無人航空機100の周囲の空間を撮影する。撮影部108による撮影対象は、第1無人航空機100から鉛直下向き方向の空間を含み、すなわち、飛行中の第1無人航空機100の下の地点を含む。
【0014】
図2は、第1実施例の第2無人航空機の構成を模式的に示す。第2無人航空機200は、少なくとも1台の第1無人航空機100を着脱可能に保持し、第1無人航空機100を保持した状態で飛行可能な無人航空機である。第2無人航空機200は、物品10を保持した少なくとも1台の第1無人航空機100を搭載(言い換えれば装着)して飛行可能な大きさと推進力を備える。第2無人航空機200は、飛行駆動部202、接続機構204、撮影部206を備える。
【0015】
飛行駆動部202は、第2無人航空機200が浮上および飛行するために駆動する機構であり、実施例では回転翼を含む。接続機構204は、第1無人航空機100を保持するための機構であり、第1無人航空機100の接続部106と接続される。撮影部206は、第2無人航空機200の周囲の空間を撮影する。撮影部206による撮影対象は、第2無人航空機200から鉛直下向き方向の空間を含み、すなわち、飛行中の第2無人航空機200の下の地点を含む。
【0016】
第2無人航空機200が1台の第1無人航空機100を搭載する場合、第2無人航空機200の重心直下に第1無人航空機100が搭載されてもよい。また、第2無人航空機200が複数台の第1無人航空機100を搭載する場合、第2無人航空機200の重心の同心円上の直下に複数台の第1無人航空機100が搭載されてもよい。また、第2無人航空機200が複数台の第1無人航空機100を搭載する場合、リリース時には、複数台の第1無人航空機100を同時にリリースしてもよい。
【0017】
第2無人航空機200は、第1無人航空機100および物品10を搭載した状態で、例えば、数km~数10kmなど比較的長距離の飛行が可能である。第1無人航空機100は、物品10を搭載した状態で、例えば、数百mなど比較的短距離の飛行が可能である。
【0018】
図3は、第1実施例の物品配送システム12の構成を示す。物品配送システム12は、第1無人航空機100と第2無人航空機200を備える。第1無人航空機100と第2無人航空機200は、有線通信または無線通信にてデータを送受信する。
【0019】
図3は、第1無人航空機100および第2無人航空機200の機能ブロックを示すブロック図を含む。本明細書のブロック図で示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのプロセッサ、CPU、メモリをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0020】
第1無人航空機100は、飛行駆動部102、リリース機構104、接続部106、撮影部108、処理部110、通信部112を備える。処理部110は、各種データ処理を実行する。処理部110は、CPUやメモリを含むECU(Electronic Control Unit)により実現されてもよい。通信部112は、所定の通信プロトコルで外部装置と通信する。処理部110は、通信部112を介して、第2無人航空機200とデータを送受信する。
【0021】
処理部110は、飛行制御部114とリリース制御部116を含む。これら複数の機能ブロックの機能を含むコンピュータプログラムが第1無人航空機100のストレージにインストールされてもよい。処理部110のCPUは、このコンピュータプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより上記複数の機能ブロックの機能を発揮してもよい。
【0022】
飛行制御部114は、飛行駆動部102の動作を制御することにより、第1無人航空機100の飛行を制御する。リリース制御部116は、リリース機構104の動作を制御することにより、第1無人航空機100から物品10をリリースする。
【0023】
第2無人航空機200は、飛行駆動部202、接続機構204、撮影部206、処理部210、通信部212を備える。処理部210は、各種データ処理を実行する。処理部210は、CPUやメモリを含むECUにより実現されてもよい。通信部212は、所定の通信プロトコルで外部装置と通信する。処理部210は、通信部212を介して、第1無人航空機100とデータを送受信する。
【0024】
処理部210は、飛行制御部214、接続制御部216、位置情報取得部218、配送地点判断部220、配送制御部222を含む。これら複数の機能ブロックの機能を含むコンピュータプログラムが第2無人航空機200のストレージにインストールされてもよい。処理部210のCPUは、このコンピュータプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより上記複数の機能ブロックの機能を発揮してもよい。
【0025】
飛行制御部214は、飛行駆動部202の動作を制御することにより、第2無人航空機200の飛行を制御する。接続制御部216は、接続機構204の動作を制御することにより、第1無人航空機100の装着とリリースを制御する。位置情報取得部218は、GPS(Global Positioning System)等の公知技術を用いて、第2無人航空機200の現在位置を検出する。
【0026】
配送地点判断部220は、撮影部206により撮影された画像等に基づいて、物品10の配送先における配送地点の状況を判断する。配送地点判断部220は、配送地点の状況に基づいて、第2無人航空機200が物品10を配送地点に配送することで第2無人航空機200が配送元(第1無人航空機100や物品10を搭載した地点等)に帰還することが困難であるか否かを判断する。
【0027】
配送制御部222は、配送地点判断部220により、第2無人航空機200が物品10を配送地点に配送することで第2無人航空機200が配送元に帰還することが困難であると判断された場合、第1無人航空機100と第2無人航空機200を分離して物品10を配送する処理(以下「分離配送処理」とも呼ぶ。)を実行する。
【0028】
第1実施例では、配送地点判断部220は、物品10の配送先における配送地点が明確に特定できたか否かを判断する。配送地点判断部220は、物品10の配送先における配送地点が明確に特定できないことに基づいて、第2無人航空機200が物品10を配送することで第2無人航空機200の配送元への帰還が困難と判断する。配送制御部222は、配送地点判断部220により、物品10の配送先における配送地点が明確に特定できないことに基づいて第2無人航空機200が物品10を配送することで第2無人航空機200の配送元への帰還が困難と判断された場合、分離配送処理を実行する。
【0029】
配送地点判断部220により、物品10の配送先における配送地点が明確に特定できない場合とは、例えば、緯度経度で指定された物品の配送地点(投下地点)に、物品の受取人が存在しない場合や、物品の配送(投下)が可能な状態ではない場合などである。例えば、第2無人航空機200が、物品の受取人が来るまで待機することで、第2無人航空機200の飛行時間が余計に必要となり、第2無人航空機200の配送元への帰還が困難となる場合などである。また、物品の配送(投下)が可能な位置を検索することで、第2無人航空機200の飛行時間が余計に必要となり、第2無人航空機200の配送元への帰還が困難となる場合などである。
【0030】
分離配送処理は、以下の(1)~(3)の処理を含む。
(1)配送制御部222は、第2無人航空機200から第1無人航空機100を切り離すよう指示する信号を接続制御部216へ送信する。これにより、第2無人航空機200から第1無人航空機100を切り離す。
(2)配送制御部222は、第1無人航空機100に物品10を配送させるように指示する信号を第1無人航空機100の飛行制御部114へ送信する。これにより、第1無人航空機100に物品10を配送させる。
(3)配送制御部222は、第2無人航空機200を配送元に帰還させるよう指示する信号を飛行制御部214へ送信する。これにより、第2無人航空機200単独で配送元に帰還させる。
【0031】
以上の構成による第1実施例の物品配送システム12の動作を説明する。
図4は、第1実施例の物品配送システム12の動作を示すフローチャートである。
図2に示したように、第2無人航空機200は、配送すべき物品10を保持する第1無人航空機100を搭載した状態で、予め記憶された配送先への移動を開始する(ステップS10)。予め記憶された配送先は、配送すべき物品10を保持する第1無人航空機100を搭載した第2無人航空機200が、配送元などから無給電で往復可能な距離に存在する。配送すべき物品10を保持する第1無人航空機100を搭載した第2無人航空機200が、無給電で往復可能な距離の起点は、配送元または給電地点などであり、以下の説明においては、配送元として説明する。ステップS10において、第2無人航空機200の飛行制御部214は、予め記憶された配送先の位置情報に基づいて、無線制御または自律制御により飛行駆動部202を動作させることにより、配送元から配送先へ第2無人航空機200を飛行させる。
【0032】
第2無人航空機200の位置情報取得部218は、第2無人航空機200の現在位置を逐次検出する。第2無人航空機200の配送地点判断部220は、位置情報取得部218により検出された第2無人航空機200の現在位置に基づいて、予め定められた配送先の近傍(例えば半径10メートル内)に到着したか否かを判断する。第2無人航空機200が配送先近傍に到着していなければ(ステップS11のNo)、第2無人航空機200の飛行制御部214は、配送先への飛行を継続する。
【0033】
第2無人航空機200が配送先近傍に到着した場合(ステップS11のYes)、配送地点判断部220は、撮影部206による撮影画像に基づいて、配送地点に関する状況判断を開始する(ステップS12)。配送地点は、物品10を投下する地点であり、物品投下地点とも呼ぶ。具体的には、配送地点判断部220は、配送地点を特定できたか否かを判断する(ステップS13)。例えば、配送地点判断部220は、撮影部206による撮影画像をもとに配送先近傍に人物が存在するか否かを検出してもよい。配送地点判断部220は、配送先近傍に人物を検出した場合、人物を検出した位置を配送地点として特定してもよい。
【0034】
配送地点を特定した場合(ステップS13のYes)、配送制御部222は、特定した配送地点に向けて降下するよう指示する信号を飛行制御部214へ送信する。飛行制御部214は、配送地点に向けて第2無人航空機200を降下させる。配送制御部222は、物品10をリリースするよう指示する信号を第1無人航空機100のリリース制御部116へ送信する。リリース制御部116は、リリース機構104を制御して物品10をリリースし、物品10の配送を完了する(ステップS14)。ステップS14において、第1無人航空機100を保持した第2無人航空機200の着陸の有無は問わない。例えば、第2無人航空機200は、着陸せずに、配送地点の上空数10センチメートル~数メートルの高さから物品10を投下してもよい。
【0035】
物品10の配送完了後、配送制御部222は、配送元へ帰還するよう指示する信号を飛行制御部214へ送信する。飛行制御部214は、予め記憶された配送元の位置情報に基づいて、無線制御または自律制御により飛行駆動部202を動作させることにより、配送先から配送元へ第2無人航空機200を飛行させる(ステップS15)。ステップS15では、第2無人航空機200は、第1無人航空機100を保持した状態で配送元まで帰還する。
【0036】
配送地点を特定できない場合(ステップS13のNo)、配送地点判断部220は、第2無人航空機200のバッテリ残量と、第2無人航空機200の重量と、第1無人航空機100の重量とに基づいて、第2無人航空機200の飛行可能距離を推定する。配送地点判断部220は、第2無人航空機200の飛行可能距離の推定値に基づいて、配送先近傍に更に滞在した場合に配送元への第2無人航空機200の帰還が困難になるか否かを判断する。例えば、配送地点判断部220は、第2無人航空機200の飛行可能距離の推定値が、現在位置(配送先の近傍位置)から配送元までの距離未満となり、または、前者の距離から後者の距離を引いた余裕値が所定の閾値未満となった場合に、配送元への第2無人航空機200の帰還が困難と判断してもよい。
【0037】
配送先近傍に更に滞在した場合に配送元への第2無人航空機200の帰還が困難でなく、言い換えれば、第2無人航空機200の帰還が可能であると配送地点判断部220により判断された場合(ステップS16のNo)、飛行制御部214は、第2無人航空機200に配送先の近傍範囲(例えば半径10~50メートル)の飛行を継続させる。配送地点判断部220は、配送地点(言い換えれば物品投下地点)の特定を再度試行する。そしてステップS13の判断に戻る。
【0038】
配送先近傍に更に滞在した場合に配送元への第2無人航空機200の帰還が困難になると配送地点判断部220により判断された場合(ステップS16のYes)、配送制御部222は、第1無人航空機100をリリースするよう指示する信号を接続機構204へ送信し、また、配送地点判断部220により特定された配送地点を示すデータを第1無人航空機100の飛行制御部114へ送信する。接続機構204は、第1無人航空機100をリリースし、第1無人航空機100の飛行制御部114は、自律飛行を開始する(ステップS17)。また、配送制御部222は、配送元への飛行を指示する信号を飛行制御部214へ送信する。飛行制御部214は、飛行駆動部202を制御して、第2無人航空機200を配送元に帰還させる(ステップS18)。
【0039】
第1無人航空機100は、第2無人航空機200から提供された配送地点を示すデータと、撮影部108による撮影画像とに基づいて、配送地点(物品投下地点)を特定する(ステップS19)。第1無人航空機100のリリース制御部116は、特定された配送地点にて、リリース機構104を制御して物品10をリリースし、物品10の配送を完了する(ステップS20)。
【0040】
第1無人航空機100は、第2無人航空機200よりも小型であり、第1無人航空機100の飛行可能距離は、第2無人航空機200の飛行可能距離より短い。そのため、
図4には不図示だが、第2無人航空機200からリリースされた第1無人航空機100は、配送地点を特定できない場合でも、配送先の近傍(すなわち第2無人航空機200からリリースされた位置の近傍)に物品10を投下し、または着地する。この場合、第1無人航空機100は、配送元に帰還しない。
【0041】
第1実施例の物品配送システム12によると、配送先への物品10の配送可能性を低下させずに、無人航空機(特に第2無人航空機200)の帰還可能性を高めることができる。これにより、次の物品10の運搬や、他の配送先への物品10の運搬が滞ってしまうことを防止しやすくなる。
【0042】
<第2実施例>
本発明の第2実施例を説明する。第2実施例では、第1実施例と相違する点を中心に説明し、共通する点の説明を省略する。第2実施例の特徴は、第1実施例の特徴および変形例の特徴と任意の組合せが可能であることはもちろんである。
【0043】
第2実施例の物品配送システム12の構成は、
図3に示した第1実施例の物品配送システム12の構成と同様である。また、第2実施例の第1無人航空機100の機能ブロックは、
図3に示した第1実施例の第1無人航空機100の機能ブロックと同様であり、第2実施例の第2無人航空機200の機能ブロックは、
図3に示した第1実施例の第2無人航空機200の機能ブロックと同様である。
【0044】
第2実施例では、配送地点判断部220は、撮影部206により撮影された画像等に基づいて、物品10の配送先における配送地点への第2無人航空機200による配送が困難であるか否かを判断する。具体的には、配送地点判断部220は、配送地点への第2無人航空機200による物品10の投下が困難である場合に、第2無人航空機200による配送が困難であると判断する。配送地点判断部220は、配送地点への第2無人航空機200による配送が困難であるか否かに基づいて、第2無人航空機200が物品10を配送することで第2無人航空機200の配送元への帰還が困難か否かを判断する。
【0045】
配送制御部222は、配送地点判断部220により、物品10の配送先における配送地点への第2無人航空機200による配送が困難であることに基づいて、第2無人航空機200が物品10を配送することで第2無人航空機200の配送元への帰還が困難と判断された場合、第1実施例と同様の分離配送処理を実行する。
【0046】
図5は、第2実施例の物品配送システム12の動作を示すフローチャートである。ステップS30~ステップS32の処理は、第1実施例(
図4)のステップS10~ステップS12の処理と同じであるため説明を省略する。第2無人航空機200の配送地点判断部220は、配送地点(物品投下地点)の特定を繰り返し試行する(ステップS33のNo)。第2実施例では、配送地点が特定されることとする。なお、試行回数が所定の閾値以上にも配送地点が特定できない場合、第1実施例(
図4)のステップS13のNo以降の処理を実行してもよい。
【0047】
配送地点判断部220は、配送地点を特定した場合(ステップS33のYes)、その配送地点に対する物品投下可能位置まで第2無人航空機200が接近することが困難か否かを、撮影部206による撮影画像や、不図示のセンサ(例えば風速センサ)による計測値に基づいて判断する(ステップS34)。言い換えれば、配送地点判断部220は、配送地点に対する物品投下可能位置まで第2無人航空機200が接近することが可能か否かを判断する。例えば、配送地点判断部220は、配送地点の周囲に多くの障害物(木など)が存在することや、強風などの理由により、配送地点に対する物品投下可能位置まで第2無人航空機200が接近することが困難である場合、そのことを検出する。物品投下可能位置は、予め定められた、配送地点の上空数10センチメートル~数メートルの高さの位置であってもよい。
【0048】
配送地点に対する物品投下可能位置まで第2無人航空機200が接近することが困難とは判断されず、言い換えれば、その接近が可能と判断された場合(ステップS34のNo)、ステップS35に進む。すなわち、第2無人航空機200は、第1無人航空機100を搭載したまま物品10を配送して帰還する。ステップS35とステップS36の処理は、第1実施例(
図4)のステップS14、ステップS15の処理と同じであるため説明を省略する。
【0049】
配送地点に対する物品投下可能位置まで第2無人航空機200が接近することが困難と判断された場合(ステップS34のYes)、第1実施例と同様に、配送地点判断部220は、第2無人航空機200の飛行可能距離の推定値に基づいて、配送先近傍に更に滞在した場合に配送元への第2無人航空機200の帰還が困難になるか否かを判断する。
【0050】
配送先近傍に更に滞在した場合に配送元への第2無人航空機200の帰還が困難でなく、言い換えれば、第2無人航空機200の帰還が可能と配送地点判断部220により判断された場合(ステップS37のNo)、飛行制御部214は、第2無人航空機200に配送先の近傍範囲(例えば半径10~50メートル)の飛行を継続させる。配送地点判断部220は、配送地点の特定を再度試行する(ステップS38)。そしてステップS34の判断に戻る。
【0051】
配送先近傍に更に滞在した場合に配送元への第2無人航空機200の帰還が困難になると配送地点判断部220により判断された場合(ステップS37のYes)、ステップS39に進み、分離配送処理を実行する。ステップS39~ステップS42の処理は、第1実施例(
図4)のステップS17~ステップS20の処理と同じであるため説明を省略する。
【0052】
第2実施例の物品配送システム12によると、第1実施例の物品配送システム12と同様に、配送先への物品10の配送可能性を低下させずに、無人航空機(特に第2無人航空機200)の帰還可能性を高めることができる。これにより、次の物品10の運搬や、他の配送先への物品10の運搬が滞ってしまうことを防止しやすくなる。
【0053】
以上、本発明を第1実施例、第2実施例をもとに説明した。これらの実施例に記載の内容は例示であり、各実施例の構成要素や処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0054】
変形例を説明する。物品配送システム12は、第1無人航空機100、第2無人航空機200に加えて、不図示の情報処理装置(サーバ等)をさらに備えてもよい。上記の情報処理装置は、移動通信システムやインターネット等の通信網を介して第2無人航空機200と接続され、第2無人航空機200と信号を送受信してもよい。上記実施例において第2無人航空機200の処理部210が備えた複数の機能ブロックのうち一部の機能ブロックの機能は、上記の情報処理装置に実装されてもよい。例えば、上記の情報処理装置のプロセッサ(CPU等)は、配送地点判断部220と配送制御部222の機能が実装されたコンピュータプログラムを実行することにより配送地点判断部220と配送制御部222の処理を実行し、その処理結果を第2無人航空機200へ送信してもよい。
【0055】
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0056】
12 物品配送システム、 100 第1無人航空機、 200 第2無人航空機、 220 配送地点判断部、 222 配送制御部。