(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113302
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】下水の処理方法
(51)【国際特許分類】
B01D 21/02 20060101AFI20230808BHJP
B01D 21/00 20060101ALI20230808BHJP
B01D 21/18 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B01D21/02 F
B01D21/00 C
B01D21/02 J
B01D21/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015565
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000229162
【氏名又は名称】日本ソリッド株式会社
(72)【発明者】
【氏名】波多野 倫
(57)【要約】
【課題】
スカムが発生する下水の処理においてスカムの除去を目的とする下水の処理方法。
【解決手段】
下水を処理するにあたり、二次沈殿池内に水流傾斜膜間の上部間隔部を
遮蔽材で封鎖した水流傾斜膜を連設して設けた水流傾斜膜列を二次沈殿池に設けて処理する下水の処理方法。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水を沈砂池、一次沈殿池、反応タンクおよび二次沈殿池で順次処理するにあたり、前記二次沈殿池内に、フロートの下部に垂下膜を吊下させた水流傾斜膜を、隣接するフロート間を密接させて連設して設け、かつ隣接する垂下膜との間に間隔をあけるように設け、さらに連設された水流傾斜膜間の上部に有する間隔部を遮蔽材で封着してなる水流傾斜膜列を、水流に対して対向するように、少なくとも一条展張して処理することを特徴とする下水の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下水は、下水処理場において、まず沈砂池で大きなごみや石、砂等を除去し、次に一次沈殿池によって沈砂池で除去できなかった細かい汚れをゆっくり流して沈降させる。次に反応タンクで処理汚水に活性汚泥と空気を送り込んで撹拌し、さらに二次沈殿池で処理水をゆっくり流して活性汚泥を沈降させて清澄化した処理水を消毒設備で消毒を行った後川や海に放流していた。
【0003】
さらに近年は、前記下水の処理を行う際、二次沈殿池として、傾斜板および/または傾斜管を設置した沈殿池に、前記傾斜板または傾斜管の上手側に、隣接するシート膜間に間隔を設けたシート膜を設置する沈殿池で行うことが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の連設されたシート膜を用いた沈殿池で処理しても、下水を処理した場合、特有のスカムが発生するために、シート膜の間隔部からスカムが流出し、所望する処理が行えない欠点があった。
そこで本発明者は、汚濁粒子の沈降効率を損なうことなく、かつスカムも同時に除去する方法について種々研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、下水を沈砂池、一次沈殿池、反応タンクおよび二次沈殿池で順次処理するにあたり、前記二次沈殿池内に、フロートの下部に垂下膜を吊下させた水流傾斜膜を、隣接するフロート間を密接させて連設して設け、かつ隣接する垂下膜との間に間隔をあけるように設け、さらに連設された水流垂下膜間の上部に有する間隔部を遮蔽材で封着してなる水流傾斜膜列を、水流に対して対向するように、少なくとも一条展張して処理する、下水の処理方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明方法によれば、下水中の汚濁粒子の沈降分離機能を低下させることなく、処理中に発生するスカムを水流傾斜膜列によって流出を防止すると共に、スカムの団粒化を行い、沈降分離させることができるので処理水の清澄化効率を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】本発明の他の形態を示す水流傾斜膜列の正面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明方法に使用する連設された水流傾斜膜列について説明する。
図1は本発明の連設された水流傾斜膜列の正面図である。フロート1の下部に垂下膜2を吊下させて水流傾斜膜を構成する。垂下膜2は水流傾斜膜を連設したときに、隣接する垂下膜2との間に間隔が設けられるように設ける。垂下膜2の下縁部には重錘3を設けることが好ましい。このように構成された水流傾斜膜列は隣接するフロート1間に、例えば緩衝材4を介して密着した状態で連設し、水流傾斜膜列を構成する。
連設された水流傾斜膜列の垂下膜2間に設けられた間隔部の上部部位を遮蔽材5で封着するように設ける。
遮蔽材5は、
図1に示すように、一枚の横長の長方形のシート状の遮蔽材を水流垂下膜間の上部間隔部を封鎖するように設け、垂下膜2の両縁部で縫い付けることによって固定することができる。他の方法として、垂下膜2と遮蔽材5を熱溶着して封着するかあるいは金具(例えばボルトナット等)で封着することもできる。
また
図3に示すように連設するフロート1の端部を略中心としてフロート1を遮蔽材5で覆うように巻きつけて封着し、上部間隔部を封ずるように固定する。
遮蔽材5の鉛直方向の長さは、スカムが滞留したときの層厚をカバーする長さがあれば充分である。一般的には10~50cm程度の長さで十分である。
使用する遮蔽材5としては、天然繊維または合成繊維製、金属製、ゴム製の膜状体あるいは板状体またはネット体が用いられる。ネット体を用いる場合、網目の大きさは、10mm以下、好ましくは5mm以下が好ましい。
【0010】
水流傾斜膜を連設して水流傾斜膜列を構成する方法としては、例えばフロート1にロープ挿通口6を設け、該フロート1の挿通口6にロープ7を通して所望の数の水流傾斜膜を連設することによって製作することができる。
図2は、水流傾斜膜の側面図である。
図3は、水流傾斜膜列の他の形態を示す正面図である。
図4は、
図3の側面図である。
図5は、本発明の二次沈殿池の平面概略図である。
図5に示すように処理水流入口8から二次沈殿池に導入された処理水は整流壁9を通りゆっくりと流れる間に汚濁粒子の沈降分離が行われる。また処理中に発生したスカム10は、二次沈殿池の流出口11近傍に水流に対して対向するように設けられた、水流傾斜膜列によって堰止められ、該箇所に滞留している間にスカムが成長して団粒化し、池底に沈降する。
スカムが除去された処理水は、越流壁12から流出口11を通過し、消毒設備に送られ消毒処理を行った後、川や海に放流される。
なお本発明方法に用いられる垂下膜2および遮蔽材5の素材としては特にポリエステル樹脂を原料としたものが団粒化したスカムの剥離性が良いので好ましい。該原料を用いることによって、表面に団粒化したスカムが表面に付着してもある程度の重量に成長すると表面から剥離し池底に沈降するので、水流傾斜膜のフロート1の浮力も軽減させることができる(フロートの小型化を計ることができる)。
【符号の説明】
【0011】
1・・・・フロート
2・・・・垂下膜
5・・・・遮蔽材