IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社の特許一覧

特開2023-113352光デバイス、位相シフタ及び光通信装置
<>
  • 特開-光デバイス、位相シフタ及び光通信装置 図1
  • 特開-光デバイス、位相シフタ及び光通信装置 図2
  • 特開-光デバイス、位相シフタ及び光通信装置 図3
  • 特開-光デバイス、位相シフタ及び光通信装置 図4
  • 特開-光デバイス、位相シフタ及び光通信装置 図5
  • 特開-光デバイス、位相シフタ及び光通信装置 図6
  • 特開-光デバイス、位相シフタ及び光通信装置 図7
  • 特開-光デバイス、位相シフタ及び光通信装置 図8
  • 特開-光デバイス、位相シフタ及び光通信装置 図9
  • 特開-光デバイス、位相シフタ及び光通信装置 図10
  • 特開-光デバイス、位相シフタ及び光通信装置 図11
  • 特開-光デバイス、位相シフタ及び光通信装置 図12
  • 特開-光デバイス、位相シフタ及び光通信装置 図13
  • 特開-光デバイス、位相シフタ及び光通信装置 図14
  • 特開-光デバイス、位相シフタ及び光通信装置 図15
  • 特開-光デバイス、位相シフタ及び光通信装置 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113352
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】光デバイス、位相シフタ及び光通信装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20230808BHJP
   G02B 6/122 20060101ALI20230808BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
G02F1/01 F
G02B6/122
G02B6/12 361
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015669
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 昌樹
【テーマコード(参考)】
2H147
2K102
【Fターム(参考)】
2H147AA01
2H147AB02
2H147AB04
2H147AB05
2H147AB11
2H147AC05
2H147BA05
2H147BD01
2H147CD02
2H147DA08
2H147DA11
2H147EA13A
2H147EA13C
2H147EA14B
2H147GA10
2H147GA19
2H147GA29
2K102AA28
2K102BA01
2K102BB04
2K102BC10
2K102BD01
2K102CA11
2K102DA05
2K102DB10
2K102DD03
2K102EA05
(57)【要約】
【課題】ヒータ電極への駆動電流量を抑制しながら、光の挿入損失を低減できる光デバイス等を提供する。
【解決手段】光デバイスは、基板と、前記基板上に積層された誘電体と、前記誘電体に囲まれた光導波路と、当該光導波路上に配置され、前記誘電体に囲まれたヒータ電極と、を有する。前記光導波路は、スラブ上にリブを備え、前記ヒータ電極の下方にあるリブ型光導波路であって、前記スラブの幅を前記リブの幅の11倍以下にする構造を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に積層された誘電体と、
前記誘電体に囲まれた光導波路と、
当該光導波路上に配置され、前記誘電体に囲まれたヒータ電極と、を有し、
前記光導波路は、
スラブ上にリブを備え、前記ヒータ電極の下方にあるリブ型光導波路であって、前記スラブの幅を前記リブの幅の11倍以下にする構造を有することを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記光導波路は、
前記ヒータ電極に供給する駆動電流量が、前記リブ型光導波路の前記リブの厚みと同一とするチャネル型光導波路使用時に比較して1倍よりも大きく、かつ、1.2倍以下になるように、前記スラブの幅が前記リブの幅の11倍以下にする構造を有することを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記ヒータ電極下の前記光導波路は、
N本の直線部を折り返し、折り返されたN本の直線部を並列に配置し、前記スラブの幅を前記リブの幅の11N倍以下にする構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記光導波路は、
前記直線部と、前記直線部を折り返す折り返し部とを有し、
前記直線部は、
リブ型光導波路で構成し、
前記折り返し部は、
チャネル型光導波路で構成することを特徴とする請求項3に記載の光デバイス。
【請求項5】
前記直線部と前記折り返し部との間の接合部は、
前記直線部から前記折り返し部に向かって前記スラブの幅が徐々に狭くなる構造を有することを特徴とする請求項4に記載の光デバイス。
【請求項6】
基板と、
前記基板上に積層された誘電体と、
前記誘電体に囲まれた光導波路と、
当該光導波路上に配置され、前記誘電体に囲まれたヒータ電極と、を有し、
前記光導波路は、
スラブ上にリブを備え、前記ヒータ電極の下方にあるリブ型光導波路であって、前記スラブの幅を前記リブの幅の11倍以下にする構造を有することを特徴とする位相シフタ。
【請求項7】
電気信号に対する信号処理を実行するプロセッサと、
光を発生させる光源と、
前記プロセッサから出力される電気信号を用いて、前記光源から発生する光を変調する光変調器と、を有する光通信装置であって、
前記光変調器内の位相シフタは、
基板と、
前記基板上に積層された誘電体と、
前記誘電体に囲まれた光導波路と、
当該光導波路上に配置され、前記誘電体に囲まれたヒータ電極と、を有し、
前記光導波路は、
スラブ上にリブを備え、前記ヒータ電極の下方にあるリブ型光導波路であって、前記スラブの幅を前記リブの幅の11倍以下にする構造を有することを特徴とする光通信装置。
【請求項8】
光を発生させる光源と、
前記光源からの光を用いて受信光信号を復調する光受信器と、を有する光通信装置であって、
前記光受信器内の位相シフタは、
基板と、
前記基板上に積層された誘電体と、
前記誘電体に囲まれた光導波路と、
当該光導波路上に配置され、前記誘電体に囲まれたヒータ電極と、を有し、
前記光導波路は、
スラブ上にリブを備え、前記ヒータ電極の下方にあるリブ型光導波路であって、前記スラブの幅を前記リブの幅の11倍以下にする構造を有することを特徴とする光通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイス、位相シフタ及び光通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速の光通信に使用される光通信装置内の光変調器及び光受信器には位相シフタが内蔵されている。位相シフタは、ヒータ熱で光導波路内の温度を上昇させ、温度上昇による光導波路内の屈折率が変化し、屈折率の変化に応じて光導波路内を通過する信号光の位相をシフトさせることになる。
【0003】
図15は、従来の位相シフタ200の一例を示す平面模式図、図16は、位相シフタ200の図15に示すH-H線略断面図である。図15に示す位相シフタ200は、Si基板201と、誘電体202と、光導波路203と、ヒータ電極204と、電極パッド205とを有する。誘電体202は、Si基板201上に積層され、Si基板201上に配置された光導波路203の周囲及び光導波路203上に配置されたヒータ電極204の周囲を囲っている。
【0004】
誘電体202は、例えば、SiO等で形成されるクラッド層である。光導波路203は、例えば、Siで形成され、信号光が通過するチャネル型導波路である。ヒータ電極204は、例えば、Ti等の抵抗のある金属で形成され、駆動電流に応じてヒータ熱を発生し、光導波路203内の温度を上昇させる。電極パッド205は、ヒータ電極204と接続し、ヒータ電極204に電流を入力する入力側の電極パッド205Aと、ヒータ電極204から電流を出力する出力側の電極パッド205Bとを有する。
【0005】
位相シフタ200は、ヒータ電極204への駆動電流に応じてヒータ熱が発生し、このヒータ熱で光導波路203内の温度を上昇させる。更に、光導波路203は、温度上昇によるSiの熱光学効果に応じて光導波路203内の屈折率が変化する。更に、位相シフタ200は、屈折率の変化に応じて光導波路203内を通過する信号光の位相をシフトする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/258094号明細書
【特許文献2】国際公開第2016/92829号
【特許文献3】米国特許第9477039号明細書
【特許文献4】特開2003-228031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の位相シフタ200では、チャネル型光導波路を使用するため、光の伝搬損失が大きくなるため、ヒータ電極204への駆動電流量を高くすることになる。そこで、ヒータ電極204への駆動電流量を小さくするためにヒータ電極204の電極長を長くすることも考えられるが、ヒータ電極204の電極長を長くすると、光の挿入損失が大きくなる。
【0008】
一つの側面では、ヒータ電極への駆動電流量を抑制しながら、光の挿入損失を低減できる光デバイス等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一つの態様の光デバイスは、基板と、基板上に積層された誘電体と、誘電体に囲まれた光導波路と、当該光導波路上に配置され、誘電体に囲まれたヒータ電極と、を有する。光導波路は、スラブ上にリブを備え、ヒータ電極の下方にあるリブ型光導波路である。光導波路は、スラブの幅をリブの幅の11倍以下にする構造を有する。
【発明の効果】
【0010】
一つの側面によれば、ヒータ電極への駆動電流量を抑制しながら、光の挿入損失を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施例の光通信装置の一例を示す説明図である。
図2図2は、実施例1の位相シフタの一例を示す平面模式図である。
図3図3は、位相シフタの図2に示すA-A線略断面図である。
図4図4は、比較例の位相シフタの略断面図である。
図5図5は、位相シフタの駆動電流量とスラブ幅/リブ幅との関係の一例を示す説明図である。
図6図6は、実施例2の位相シフタの一例を示す平面模式図である。
図7図7は、位相シフタの図6に示すB-B線略断面図である。
図8図8は、実施例3の位相シフタの一例を示す平面模式図である。
図9図9は、位相シフタの図8に示すC-C線略断面図である。
図10図10は、位相シフタの図8に示すD-D線略断面図である。
図11図11は、実施例4の位相シフタの一例を示す平面模式図である。
図12図12は、位相シフタの図11に示すE-E線略断面図である。
図13図13は、位相シフタの図11に示すF-F線略断面図である。
図14図14は、位相シフタの図11に示すG-G線略断面図である。
図15図15は、従来の位相シフタの一例を示す平面模式図である。
図16図16は、従来の位相シフタの図15に示すH-H線略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願が開示する光デバイス等の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例0013】
図1は、本実施例の光通信装置1の一例を示す説明図である。図1に示す光通信装置1は、出力側の光ファイバ2A(2)及び入力側の光ファイバ2B(2)と接続する。光通信装置1は、DSP(Digital Signal Processor)3と、光源4と、光変調器5と、光受信器6とを有する。DSP3は、デジタル信号処理を実行する電気部品である。DSP3は、例えば、送信データの符号化等の処理を実行し、送信データを含む電気信号を生成し、生成した電気信号を光変調器5に出力する。また、DSP3は、受信データを含む電気信号を光受信器6から取得し、取得した電気信号の復号等の処理を実行して受信データを得る。
【0014】
光源4は、例えば、レーザダイオード等を備え、所定の波長の光を発生させて光変調器5及び光受信器6へ供給する。光変調器5は、DSP3から出力される電気信号によって、光源4から供給される光を変調し、得られた光送信信号を光ファイバ2Aに出力する光デバイスである。光変調器5は、位相シフタ10等を備えた光変調器等である。光変調器5は、光源4から供給される光が導波路を伝搬する際に、この光を変調部へ入力される電気信号によって変調することで、光送信信号を生成する。位相シフタ10は、光導波路13を通過する信号光の位相をシフトする。
【0015】
光受信器6は、光ファイバ2Bから光信号を受信し、光源4から供給される光を用いて受信光信号を復調する。そして、光受信器6は、復調した受信光信号を電気信号に変換し、変換後の電気信号をDSP3に出力する。尚、光受信器6にも、位相シフタ10等を備えている。
【0016】
図2は、実施例1の位相シフタ10の一例を示す平面模式図、図3は、位相シフタ10の図2に示すA-A線略断面図である。図2に示す位相シフタ10は、Si基板11と、誘電体12と、光導波路13と、ヒータ電極14と、電極パッド15とを有する。
【0017】
誘電体12は、Si基板11上に積層され、Si基板11上に配置された光導波路13の周囲及び光導波路13上に配置されたヒータ電極14の周囲を囲っている。誘電体12は、例えば、SiO等で形成される。誘電体12内の光導波路13は、例えば、Siで形成され、信号光が通過する導波路である。誘電体12内のヒータ電極14は、例えば、Ti等の抵抗のある金属で形成され、駆動電流に応じてヒータ熱を発生し、ヒータ熱で光導波路13内の温度を上昇させる。電極パッド15は、ヒータ電極14に電流を入力する入力側の電極パッド15Aと、ヒータ電極14から電流を出力する出力側の電極パッド15Bとを有する。
【0018】
光導波路13は、スラブ13B上にリブ13Aを備えるリブ型光導波路である。スラブ13Bの幅寸法X2は、リブ13Aの幅寸法X1の11倍以下とする。位相シフタ10では、光導波路13のスラブ13Bの幅を制限することで熱の拡散を防ぎ、光導波路13の加熱効率の低減を抑制する。更に、光の伝搬損失を小さくするためにはスラブ13Bの幅はリブ13Aの幅より大きくする必要があるが、加熱効率を改善するためにはスラブ13Bの幅を制限するのが効果的である。
【0019】
図4は、比較例の位相シフタ100の略断面図である。図4に示す位相シフタ100は、Si基板11と、誘電体12と、光導波路130と、ヒータ電極14とを有する。尚、図4に示す位相シフタ100と図3に示す位相シフタ10とが異なるところは、ヒータ電極14下方に配置された光導波路130の構造にある。光導波路130は、スラブ130B上にリブ130Aを備えるリブ型光導波路であるものの、スラブ130Bの幅寸法はリブ130Aの幅寸法の11倍を超える構造を有する。比較例の位相シフタ100では、光導波路130として、チャネル型光導波路の代わりにリブ型光導波路を採用することで、光の伝搬損失を小さくし、光の挿入損失も小さくできる。
【0020】
ヒータ電極14における光の損失は、光導波路13の長さL及び単位長当たりの光の損失をαとした場合、αLとする。チャネル型光導波路及びリブ型光導波路のリブの厚みが同一の場合の単位長当たりの光損失は、チャネル型光導波路の場合が0.21dB/mm、リブ型光導波路の場合が0.14dB/mmである。光導波路13の長さはチャネル型光導波路の場合が1.2mm、リブ型光導波路の場合が20%増で1.44mmである。従って、光の挿入損失はチャネル型光導波路の場合は0.25dB、リブ型光導波路の場合は0.20dBとなる。従って、リブ型光導波路の光の挿入損失は、チャネル型光導波路の光の挿入損失に比較して0.05dB小さくなる。
【0021】
しかしながら、比較例の位相シフタ100では、Siのスラブ幅が広く、Siの熱伝導率がSiO2よりも大きいので、ヒータ電極14で発生した熱がスラブ130Bで拡散し、光導波路130の加熱効率が低下する。その結果、比較例の位相シフタ100では、位相シフタ10に比較して駆動電流量を大きくすることになる。
【0022】
図5は、位相シフタ10の駆動電流量とスラブ幅/リブ幅との関係の一例を示す説明図である。例えば、スラブ幅がリブ幅の1倍であるチャネル型の光導波路203のヒータ電極204の駆動電流量を“1”とする。そして、ヒータ電極14の下方に配置された光導波路13をチャネル型光導波路からリブ型光導波路に代えた場合には、消費電力の節減の観点から、ヒータ電極14の駆動電流量をチャネル型光導波路の駆動電流量の1.2倍以下に抑える必要がある。
【0023】
そこで、比較例の位相シフタ100のようにスラブ130Bの幅がリブ130Aの幅の11倍を超えるリブ型光導波路のヒータ電極14への駆動電流量は、チャネル型光導波路のヒータ電極204への駆動電流量に比較して1.2倍を超える。これに対して、位相シフタ10のようにスラブ13Bの幅X2がリブ13Aの幅X1の11倍以下のリブ型光導波路のヒータ電極14への駆動電流量は、チャネル型光導波路のヒータ電極204への駆動電流量に比較して1.2倍以下に抑制できる。
【0024】
実施例1の位相シフタ10では、ヒータ電極14下のリブ型光導波路の光導波路13を配置し、光導波路13のスラブ13Bの幅X2をリブ13Aの幅X1の11倍以下にする構造にした。その結果、位相シフタ10は、比較例の位相シフタ100に比較して、ヒータ電極14への駆動電流量を小さくしながら、光の挿入損失を低減できる。
【0025】
光通信装置1は、光変調器5と光受信器6とが1チップで集積されるため、光通信装置1全体の小型化に大きく貢献できる。
【0026】
尚、実施例1の位相シフタ10では、ヒータ電極14の下方に1本のリブ型の光導波路13を配置する場合を例示した。しかしながら、ヒータ電極14の下方にN本のリブ型の光導波路13を折り返し配置しても良く、その場合の実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。
【実施例0027】
図6は、実施例2の位相シフタ10Aの一例を示す平面模式図である。図7は、位相シフタ10Aの図6に示すB-B線略断面図である。尚、実施例1の位相シフタ10と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。実施例1の位相シフタ10と実施例2の位相シフタ10Aとが異なるところは、リブ型光導波路の光導波路13が折り返しの2本の直線部131をヒータ電極14の下方に並列に配置した点にある。また、出力側の電極パッド15B1は、ヒータ電極14の入力側の電極パッド15Aと反対側に配置した。
【0028】
光導波路13は、往路側の直線部131A(131)と、復路側の直線部131B(131)と、往路側の直線部131Aを復路側の直線部131Bに折り返す折り返し部132とを有する。更に、光導波路13は、ヒータ電極14の下方に、往路側の直線部131A及び復路側の直線部131Bを並列に配置した。光導波路13は、スラブ13Bの幅寸法X2をリブ13Aの幅寸法X1の(11×2)倍以下にする構造を有する。リブ型光導波路では、チャネル型光導波路に比較して光導波路13への光の閉じ込めが小さく、小さい曲率半径で折り返し部132を構成した場合、光が放射して光損失が発生することになる。しかしながら、光導波路13は、スラブ13Bの幅寸法X2をリブ13Aの幅寸法X1の(11×2)倍以下にする構造であるため、曲率半径が小さい折り返し部132を構成したとしても、ヒータ電極14への駆動電流量を抑制しながら、光の挿入損失を低減できる。しかも、位相シフタ10Aのサイズを小型化できる。
【0029】
実施例2の位相シフタ10Aは、ヒータ電極14下のリブ型導波路の往路側の直線部131A及び復路側の直線部131Bを配置し、スラブ13Bの幅寸法X2がリブ13Aの幅寸法X1の(11×2)倍以下にした。その結果、位相シフタ10Aでは、光導波路13を折り返し構造にした場合でも、ヒータ電極14への駆動電流量を抑制しながら、光の挿入損失を低減できる。
【0030】
尚、実施例2の位相シフタ10Aでは、往路側の直線部131A及び復路側の直線部131Bの2本の直線部131をヒータ電極14の下方に並列に配置する場合を例示した。しかしながら、直線部131は2本に限定されるものではなく、2本以上であるN本の直線部131でも良い。この場合、光導波路13は、スラブ13Bの幅がリブ13Aの幅の(11×N)倍以下にする構造であればよく、直線部131の本数Nは適宜変更可能である。
【実施例0031】
次に実施例3の位相シフタ10Bについて説明する。図8は、実施例3の位相シフタ10Bの一例を示す平面模式図、図9は、位相シフタ10Bの図8に示すC-C線略断面図、図10は、位相シフタ10Bの図8に示すD-D線略断面図である。尚、実施例2の位相シフタ10Aと同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0032】
光導波路13は、往路側の直線部131Aと、復路側の直線部131Bと、折り返し部132とを有し、往路側の直線部131A及び復路側の直線部131Bは、リブ型光導波路で構成する。折り返し部132は、チャネル型光導波路で構成する。
【0033】
図9に示す光導波路13内の往路側の直線部131A及び復路側の直線部131Bは、リブ型光導波路で構成する。図10に示す光導波路13内の折り返し部132は、チャネル型光導波路で構成する。
【0034】
実施例3の位相シフタ10B内の光導波路13は、往路側の直線部131Aと、復路側の直線部131Bと、折り返し部132とを有し、往路側の直線部131A及び復路側の直線部131Bをリブ型光導波路とし、折り返し部132をチャネル型光導波路とする。その結果、位相シフタ10Bは、折り返し部132をチャネル型光導波路で構成するため、折り返し部132における光の損失を抑制できる。
【0035】
尚、実施例3の位相シフタ10Bは、往路側の直線部131A及び復路側の直線部131Bをリブ型光導波路、折り返し部132をチャネル型光導波路にした。しかしながら、往路側の直線部131Aと折り返し部132との間の接合部と、復路側の直線部131Bと折り返し部132との間の接合部とをテーパ形状にしても良く、その実施の形態につき、実施例4として以下に説明する。
【実施例0036】
図11は、実施例4の位相シフタ10Cの一例を示す平面模式図、図12は、位相シフタ10Cの図11に示すE-E線略断面図、図13は、位相シフタ10Cの図11に示すF-F線略断面図、図14は、位相シフタ10Cの図11に示すG-G線略断面図である。尚、実施例3の位相シフタ10Bと同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【0037】
実施例4の位相シフタ10Cと実施例3の位相シフタ10Bとが異なるところは、直線部131と折り返し部132との間の接合部133を、リブ型光導波路からチャネル型光導波路に向かってスラブ13Bの幅が徐々に狭くなるテーパ形状にした点にある。
【0038】
図12に示す光導波路13内の往路側の直線部131A及び復路側の直線部131Bはリブ型光導波路で構成する。図14に示す光導波路13内の折り返し部132はチャネル型光導波路で構成する。
【0039】
図13に示す光導波路13は、往路側の直線部131Aと折り返し部132との間の往路側の接合部133Aと、復路側の直線部131Bと折り返し部132との間の復路側の接合部133Bとを有する。往路側の接合部133Aは、リブ型光導波路である往路側の直線部131Aからチャネル側光導波路の折り返し部132に向かってスラブ13Bの幅が徐々に狭くなるテーパ形状であって、往路側の直線部131Aのリブ13Aと折り返し部132のリブとが接合する。復路側の接合部133Bは、チャネル側光導波路の折り返し部132からリブ型光導波路である復路側の直線部131Bに向かってスラブ13Bの幅が徐々に広くなるテーパ形状であって、復路側の直線部131Bのリブ13Aと折り返し部132のリブとが接合する。
【0040】
実施例4の位相シフタ10Cは、往路側の直線部131Aと折り返し部132との間の往路側の接合部133Aと、復路側の直線部131Bと折り返し部132との間の復路側の接合部133Bとを有する。往路側の接合部133Aは、リブ型光導波路である往路側の直線部131Aからチャネル側光導波路の折り返し部132に向かってスラブ13Bの幅が徐々に狭くなるテーパ形状であって、往路側の直線部131Aのリブ13Aと折り返し部132のリブとが接合する。復路側の接合部133Bは、チャネル側光導波路の折り返し部132からリブ型光導波路である復路側の直線部131Bに向かってスラブ13Bの幅が徐々に広くなるテーパ形状であって、復路側の直線部131Bのリブ13Aと折り返し部132のリブとが接合する。つまり、実施例4の位相シフタ10Cでは、直線部131と折り返し部132との間の接合部133をリブ型光導波路からチャネル型光導波路に向けてスラブ13Bの幅を徐々に小さくするテーパ構造にした。その結果、位相シフタ10Cは、スラブ13Bとチャネル型光導波路のリブとの間をテーパ構造で幅を徐々に変化にすることで急激な光の変化を抑制できる。
【0041】
尚、実施例2~4の位相シフタ10A,10B,10Cは、ヒータ電極14の下方に往路側の直線部131A及び復路側の直線部131Bの2本の直線部131を並列配置する場合を例示した。しかしながら、直線部131は2本に限定されるものではなく、2本以上のN本にしても良く、適宜変更可能である。
【0042】
実施例2~4の位相シフタ10A,10B,10Cは、出力側の電極パッド15B1の先に光導波路13の折り返し部132を配置する場合を例示した。しかしながら、出力側の電極パッド15B1内に折り返し部132を配置しても良く、適宜変更可能である。その結果、折り返し部132を出力側の電極パッド15B1の下方に配置することになるため、位相シフタ10A、10B,10Cの全長を短縮化できる。
【0043】
実施例1の光通信装置1は、光変調器5及び光受信器6を内蔵する場合を例示したが、光変調器5及び光受信器6の何れか一つのみを内蔵した光通信装置1でも良く、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 光通信装置
3 DSP
4 光源
5 光変調器
6 光受信器
10、10A,10B,10C 位相シフタ
11 Si基板
12 誘電体
13 光導波路
14 ヒータ電極
131 直線部
131A 往路側の直線部
131B 復路側の直線部
132 折り返し部
133 接合部
133A 往路側の接合部
133B 復路側の接合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16