(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113361
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】配車支援装置、配車支援方法、配車支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20230101AFI20230808BHJP
【FI】
G06Q10/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015685
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】福山 祥代
(72)【発明者】
【氏名】平林 知己
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 奈都
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
5L049CC51
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数のユーザが相乗りする車両へ後から乗車するユーザが損害を受ける可能性を低減させる配車支援装置、配車支援方法及び配車支援システムを提供する。
【解決手段】サーバ装置は、ユーザが過去に配車サービスを利用した履歴情報に基づいて、後行配車リクエストデータが含む希望乗車地へ後行予約ユーザの到着が予定した時間よりも遅延すると予測される時間である遅延予測時間を計算(S7)し、計算した遅延予測時間に基づいて、配車計画が決定している車両に先行予約ユーザが乗車する乗車開始時間よりも前に、後行予約ユーザの希望乗車地及び希望降車地のうち少なくとも希望乗車地を経由して乗車開始時間に先行配車リクエストデータが含む希望乗車地へ到着することが可能な利用可能車両を、配車計画が決定している車両から抽出した1つ以上の車両から特定(S9)し、特定した利用可能車両を後行予約ユーザに配車する車両として設定する(S10)。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの移動に用いる車両を配車する配車サービスを提供する配車支援装置であって、
前記配車サービスを利用する複数人のユーザから、前記車両への乗車を希望する希望乗車日時と、前記車両への乗車を希望する希望乗車地と、前記車両からの降車を希望する希望降車地と、を含む配車リクエストデータを受信する処理と、
前記複数人のユーザのうち先行して配車サービスを予約した先行予約ユーザから受信した前記配車リクエストデータである先行配車リクエストデータに基づいて、前記車両を配車する配車計画を決定する処理と、
前記複数人のユーザのうち前記先行予約ユーザよりも後に前記配車サービスを予約し、且つ前記先行予約ユーザよりも先に前記車両へ乗車する後行予約ユーザから受信した前記配車リクエストデータである後行配車リクエストデータと、前記先行配車リクエストデータと、に基づいて、前記配車計画が決定している車両から1つ以上の車両を抽出する処理と、
前記ユーザが過去に前記配車サービスを利用した履歴情報に基づいて、前記後行配車リクエストデータが含む希望乗車地へ前記後行予約ユーザの到着が予定した時間よりも遅延すると予測される時間である遅延予測時間を計算する処理と、
前記遅延予測時間に基づいて、前記配車計画が決定している車両に前記先行予約ユーザが乗車する乗車開始時間よりも前に、前記後行予約ユーザの希望乗車地及び希望降車地のうち少なくとも希望乗車地を経由して前記乗車開始時間に前記先行配車リクエストデータが含む希望乗車地へ到着することが可能な利用可能車両を、前記抽出した1つ以上の車両から特定する処理と、
前記特定した利用可能車両を、前記後行予約ユーザに配車する車両として設定する処理と、
を実行するコンピュータを備える配車支援装置。
【請求項2】
前記遅延予測時間は、前記後行配車リクエストデータが含む希望乗車日時の曜日に応じて計算する請求項1に記載の配車支援装置。
【請求項3】
前記遅延予測時間は、前記後行配車リクエストデータが含む希望乗車日時の時間帯に応じて計算する請求項1又は請求項2に記載の配車支援装置。
【請求項4】
前記遅延予測時間は、前記後行配車リクエストデータが含む希望乗車日時における天候の予報に応じて計算する請求項1から3のうちいずれか1項に記載の配車支援装置。
【請求項5】
前記遅延予測時間は、前記後行配車リクエストデータが含む希望乗車地の特性に応じて計算する請求項1から4のうちいずれか1項に記載の配車支援装置。
【請求項6】
前記遅延予測時間は、前記後行配車リクエストデータが含む希望乗車地、及び前記後行配車リクエストデータが含む希望乗車地の周辺のうち少なくとも一方で開催されるイベントに応じて計算する請求項1から5のうちいずれか1項に記載の配車支援装置。
【請求項7】
前記遅延予測時間は、前記後行予約ユーザと共に前記車両に乗車する人数、及び前記後行予約ユーザが前記車両に積載する荷物量のうち少なくとも一方に応じて計算する請求項1から6のうちいずれか1項に記載の配車支援装置。
【請求項8】
前記遅延予測時間は、前記後行予約ユーザの属性に応じて計算する請求項1から7のうちいずれか1項に記載の配車支援装置。
【請求項9】
前記遅延予測時間は、前記後行予約ユーザが過去に前記配車サービスを利用した履歴情報に応じて計算する請求項1から8のうちいずれか1項に記載の配車支援装置。
【請求項10】
前記遅延予測時間は、前記後行予約ユーザに属性が類似している他のユーザが過去に前記配車サービスを利用した履歴情報に応じて計算する請求項1から9のうちいずれか1項に記載の配車支援装置。
【請求項11】
ユーザの移動に用いる車両を配車する配車サービスを提供する配車支援方法であって、
前記配車サービスを利用する複数人のユーザから受信した、前記車両への乗車を希望する希望乗車日時と、前記車両への乗車を希望する希望乗車地と、前記車両からの降車を希望する希望降車地と、を含む配車リクエストデータをサーバ装置へ送信し、
前記サーバ装置が、
前記複数人のユーザのうち先行して配車サービスを予約した先行予約ユーザから受信した前記配車リクエストデータである先行配車リクエストデータに基づいて、前記車両を配車する配車計画を決定し、
前記複数人のユーザのうち前記先行予約ユーザよりも後に前記配車サービスを予約し、且つ前記先行予約ユーザよりも先に前記車両へ乗車する後行予約ユーザから受信した前記配車リクエストデータである後行配車リクエストデータと、前記先行配車リクエストデータと、に基づいて、前記配車計画が決定している車両から1つ以上の車両を抽出し、
前記ユーザが過去に前記配車サービスを利用した履歴情報に基づいて、前記後行配車リクエストデータが含む希望乗車地への前記後行予約ユーザの到着が遅延すると予測される時間である遅延予測時間を計算し、
前記遅延予測時間に基づいて、前記配車計画が決定している車両に前記先行予約ユーザが乗車する乗車開始時間よりも前に、前記後行予約ユーザの希望乗車地及び希望降車地のうち少なくとも希望乗車地を経由して前記乗車開始時間に前記先行配車リクエストデータが含む希望乗車地へ到着することが可能な利用可能車両を、前記抽出した1つ以上の車両から特定し、
前記特定した利用可能車両を、前記後行予約ユーザに配車する車両として設定する配車支援方法。
【請求項12】
ユーザの移動に用いる車両を配車する配車サービスを提供する配車支援システムであって、
前記配車サービスを利用する複数人のユーザから受信した、前記車両への乗車を希望する希望乗車日時と、前記車両への乗車を希望する希望乗車地と、前記車両からの降車を希望する希望降車地と、を含む配車リクエストデータを受信するサーバ装置を備え、
前記サーバ装置は、
前記複数人のユーザのうち先行して配車サービスを予約した先行予約ユーザから受信した前記配車リクエストデータである先行配車リクエストデータに基づいて、前記車両を配車する配車計画を決定し、
前記複数人のユーザのうち前記先行予約ユーザよりも後に前記配車サービスを予約し、且つ前記先行予約ユーザよりも先に前記車両へ乗車する後行予約ユーザから受信した前記配車リクエストデータである後行配車リクエストデータと、前記先行配車リクエストデータと、に基づいて、前記配車計画が決定している車両から1つ以上の車両を抽出し、
前記ユーザが過去に前記配車サービスを利用した履歴情報に基づいて、前記後行配車リクエストデータが含む希望乗車地への前記後行予約ユーザの到着が遅延すると予測される時間である遅延予測時間を計算し、
前記遅延予測時間に基づいて、前記配車計画が決定している車両に前記先行予約ユーザが乗車する乗車開始時間よりも前に、前記後行予約ユーザの希望乗車地及び希望降車地のうち少なくとも希望乗車地を経由して前記乗車開始時間に前記先行配車リクエストデータが含む希望乗車地へ到着することが可能な利用可能車両を、前記抽出した1つ以上の車両から特定し、
前記特定した利用可能車両を、前記後行予約ユーザに配車する車両として設定する配車支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車支援装置、配車支援方法、配車支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のユーザが車両を相乗りで予約する際に、他のユーザが先行して予約した車両のうち、相乗り車両に先乗りするユーザの希望乗車地を経由するための調整時間が確保されている車両を、先乗りするユーザに配車する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている技術では、先乗りするユーザが希望乗車地への到着が遅れた場合に発生する乗車遅れ時間が、調整時間の計算に反映されていない。このため、先乗りするユーザの希望乗車地への到着が遅れると、後から乗車するユーザに、乗車が不可能な状況、出発時間が遅延する状況、希望降車地へ到着する時間が遅延する状況等、相乗りする車両へ後から乗車するユーザが損害を受ける可能性がある。
本発明は、複数のユーザが相乗りする車両へ後から乗車するユーザが損害を受ける可能性を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、ユーザの移動に用いる車両を配車する配車サービスを利用する複数人のユーザから、車両への乗車を希望する希望乗車日時と、車両への乗車を希望する希望乗車地と、車両からの降車を希望する希望降車地と、を含む配車リクエストデータを受信する。そして、複数人のユーザのうち先行して配車サービスを予約した先行予約ユーザから受信した配車リクエストデータである先行配車リクエストデータに基づいて、車両を配車する配車計画を決定する。さらに、複数人のユーザのうち先行予約ユーザよりも後に配車サービスを予約し、且つ先行予約ユーザよりも先に車両へ乗車する後行予約ユーザから受信した配車リクエストデータである後行配車リクエストデータと、先行配車リクエストデータと、に基づいて、配車計画が決定している車両から1つ以上の車両を抽出する。また、ユーザが過去に配車サービスを利用した履歴情報に基づいて、後行配車リクエストデータが含む希望乗車地へ後行予約ユーザの到着が予定した時間よりも遅延すると予測される時間である遅延予測時間を計算する。そして、計算した遅延予測時間に基づいて、配車計画が決定している車両に先行予約ユーザが乗車する乗車開始時間よりも前に、後行予約ユーザの希望乗車地及び希望降車地のうち少なくとも希望乗車地を経由して乗車開始時間に先行配車リクエストデータが含む希望乗車地へ到着することが可能な利用可能車両を、抽出した1つ以上の車両から特定する。さらに、特定した利用可能車両を、後行予約ユーザに配車する車両として設定する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、後行予約ユーザが乗車した状態で先行予約ユーザが乗車することが可能な利用可能車両を抽出することが不可能な場合には、先行予約ユーザに配車される車両を、後行予約ユーザに配車しないことが可能となる。このため、複数のユーザが相乗りする車両へ後から乗車するユーザが損害を受ける可能性を低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態の配車支援システムの一例の概略構成図である。
【
図2】
図1のサーバ装置の機能構成の一例の説明図である。
【
図3】配車サービスを利用する際の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の実施形態に例示した装置や方法に特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(構成)
図1は、実施形態の配車支援システムの一例の概略構成図である。配車支援システム1は、ユーザの移動に用いる車両3を配車する配車サービスを提供するシステムである。本明細書においては、配車支援システム1による配車サービスに供される車両3を、「サービス車両」と表記する。
配車支援システム1は、サーバ装置2と、サービス車両3とを少なくとも備える。
第一利用者端末4は、配車支援システム1による配車サービスを利用するユーザの一人(以下、「先行予約ユーザ」と表記する)が使用する端末装置である。第二利用者端末5は、先行予約ユーザとは異なるユーザ(以下、「後行予約ユーザ」と表記する)が使用する端末装置である。第一利用者端末4及び第二利用者端末5は、例えば、ユーザが携行可能な携帯情報端末や、持ち運びが容易な小型コンピュータであってもよい。
先行予約ユーザは、配車サービスを利用する複数人のユーザのうち、先行して配車サービスを予約するユーザである。
後行予約ユーザは、配車サービスを利用する複数人のユーザのうち、先行予約ユーザよりも先にサービス車両3へ乗車するユーザである。
【0010】
先行予約ユーザは、配車サービスを予約する際に、第一利用者端末4を用いてサーバ装置2にアクセスする。先行予約ユーザは、配車サービスを予約する前に、配車支援システム1を使用するための専用アプリケーションソフトウエアを、第一利用者端末4に予めインストールしておき、専用アプリケーションソフトウエアを用いて予約をしてもよい。以下の説明においては、「アプリケーションソフトウエア」を単に「ソフトウエア」と表記する。また、先行予約ユーザは、第一利用者端末4のブラウザ機能を利用して、インターネット上で配車サービスの予約を受け付けるサイトで、配車サービスを予約してもよい。
後行予約ユーザは、配車サービスを予約する際に、第二利用者端末5を用いてサーバ装置2にアクセスする。後行予約ユーザは、配車サービスを予約する前に、配車支援システム1を使用するための専用ソフトウエアを、第二利用者端末5に予めインストールしておき、専用ソフトウエアを用いて予約をしてもよい。また、後行予約ユーザは、第二利用者端末5のブラウザ機能を利用して、インターネット上で配車サービスの予約を受け付けるサイトで、配車サービスを予約してもよい。
【0011】
<第一利用者端末>
第一利用者端末4は、配車サービスの予約に関し、先行予約ユーザによる入力操作を受け付ける。第一利用者端末4は、先行予約ユーザから入力された情報に基づいて、配車サービスの予約を申し込むための先行配車リクエストデータを生成し、サーバ装置2へ先行配車リクエストデータを送信する。先行配車リクエストデータは、先行予約ユーザがサービス車両3への乗車を希望する乗車場所(希望乗車地)と、先行予約ユーザがサービス車両3からの降車を希望する降車場所(希望降車地)の情報を含む。これに加え、先行配車リクエストデータは、先行予約ユーザがサービス車両3への乗車を希望する日付及び時間(希望乗車日時)の情報を含む。また、先行配車リクエストデータは、例えば、先行予約ユーザに関する情報(例えば、先行予約ユーザの属性や識別情報)を含んでもよい。なお、先行予約ユーザの属性とは、例えば、先行予約ユーザの性別、年齢、健康状態、家族構成等である。
第一利用者端末4は、測位装置40と、通信装置41と、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)42と、コントローラ43とを備える。
測位装置40は、第一利用者端末4の現在位置(すなわち、先行予約ユーザの現在位置)を測定する。測位装置40は、例えば、全地球型測位システム(GNSS)受信機を備えてよい。GNSS受信機は、例えば、地球測位システム(GPS)受信機等であってよい。測位装置40は、慣性航法装置を備えてもよい。測位装置50は、第一利用者端末4の現在位置情報をコントローラ34へ出力する。
通信装置41は、第一利用者端末4と外部装置との間における通信機能を提供する。通信装置41による通信方式は、例えば、公衆移動体通信網による無線通信、衛星通信等であってよい。第一利用者端末4は、通信装置41によって、サーバ装置2との間でデータを送受信する。
HMI42は、第一利用者端末4と先行予約ユーザとの間で情報を授受するインタフェース装置である。HMI42は、先行予約ユーザが視認可能な表示装置や、警報音、通知音、音声情報を出力するスピーカやブザーを備える。また、HMI42は、先行予約ユーザによる第一利用者端末4への操作入力を受け付ける操作子や音声入力デバイスを備える。操作子は、ボタンやスイッチ、レバー、ダイヤル、キーボード、タッチパネル等であってもよい。
【0012】
コントローラ43は、第一利用者端末4の動作を制御する電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)である。コントローラ43は、プロセッサ44と、記憶装置45等の周辺部品とを含む。プロセッサ44は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)であってよい。記憶装置45は、レジスタ、キャッシュメモリや、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ等の一時的でない有形の記憶媒体(non-transitory tangible storage media)を含んでよい。
以下に説明する第一利用者端末4の機能は、例えば、プロセッサ44が、記憶装置45に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0013】
<第二利用者端末>
第二利用者端末5は、配車サービスの予約に関し、後行予約ユーザによる入力操作を受け付ける。第二利用者端末5は、後行予約ユーザから入力された情報に基づいて、配車サービスの予約を申し込むための後行配車リクエストデータを生成し、サーバ装置2へ後行配車リクエストデータを送信する。後行配車リクエストデータは、後行予約ユーザがサービス車両3への乗車を希望する乗車場所(希望乗車地)と、後行予約ユーザがサービス車両3からの降車を希望する降車場所(希望降車地)の情報を含む。これに加え、後行配車リクエストデータは、後行予約ユーザがサービス車両3への乗車を希望する日付及び時間(希望乗車日時)の情報を含む。また、後行配車リクエストデータは、例えば、後行予約ユーザに関する情報(例えば、後行予約ユーザの属性や識別情報)を含んでもよい。なお、後行予約ユーザの属性とは、例えば、後行予約ユーザの性別、年齢、健康状態、家族構成等である。
第二利用者端末5は、測位装置50と、通信装置51と、HMI52と、コントローラ53を備える。
測位装置50は、第二利用者端末5の現在位置(すなわち、後行予約ユーザの現在位置)を測定する。測位装置50は、例えば、全地球型測位システム(GNSS)受信機を備えてよい。GNSS受信機は、例えば、地球測位システム(GPS)受信機等であってよい。測位装置50は、慣性航法装置を備えてもよい。測位装置50は、第二利用者端末5の現在位置情報をコントローラ34へ出力する。
【0014】
通信装置51は、第二利用者端末5と外部装置との間における通信機能を提供する。通信装置51による通信方式は、例えば、公衆移動体通信網による無線通信、衛星通信等であってよい。第二利用者端末5は、通信装置51によって、サーバ装置2との間でデータを送受信する。
HMI52は、第二利用者端末5と後行予約ユーザとの間で情報を授受するインタフェース装置である。HMI52は、後行予約ユーザが視認可能な表示装置や、警報音、通知音、音声情報を出力するスピーカやブザーを備える。また、HMI52は、後行予約ユーザによる第二利用者端末5への操作入力を受け付ける操作子や音声入力デバイスを備える。操作子は、ボタンやスイッチ、レバー、ダイヤル、キーボード、タッチパネル等であってもよい。
【0015】
コントローラ53は、第二利用者端末5の動作を制御する電子制御ユニットである。コントローラ53は、プロセッサ54と、記憶装置55等の周辺部品とを含む。プロセッサ54は、例えば、CPUやMPUであってよい。記憶装置55は、レジスタ、キャッシュメモリや、主記憶装置として使用されるROM、RAM等のメモリ等、一時的ではない有形の記憶媒体を含んでよい。
以下に説明する第二利用者端末5の機能は、例えば、プロセッサ54が、記憶装置55に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0016】
<サーバ装置>
サーバ装置2は、第一利用者端末4から先行配車リクエストデータを受信し、第二利用者端末5から後行配車リクエストデータを受信する。そして、先行配車リクエストデータと後行配車リクエストデータに応じた処理を行う。
サーバ装置2は、プロセッサ20と、記憶装置21と、通信装置22と、登録者データベース(登録者DB)23と、地図データベース(地
図DB)24と、予約データベース(予約DB)25を備える。
プロセッサ20は、例えば、CPUやMPUであってよい。記憶装置21は、レジスタ、キャッシュメモリや、主記憶装置として使用されるROM、RAM等のメモリ等、一時的でない有形の記憶媒体を含んでよい。以下に説明するサーバ装置2の機能は、例えば、記憶装置21に格納されたコンピュータプログラムを、プロセッサ20が実行することにより実現される。
【0017】
通信装置22は、サーバ装置2と外部装置との間における通信機能を提供する。通信装置22による通信方式は、例えば、公衆移動体通信網による有線通信や無線通信、衛星通信、サービス車両3との間の路車間通信等であってよい。
サーバ装置2は、通信装置22によって、サービス車両3、第一利用者端末4、第二利用者端末5との間でデータを送受信する。
【0018】
登録者DB23は、配車支援システム1を使用する者を登録するためのデータベースである。以下の説明においては、登録者DB23に登録された者を「登録者」と表記する。例えば、配車支援システム1を使用する者として、配車サービスの利用者が登録者DB23に登録されている。
【0019】
地
図DB24には、配車支援システム1が配車サービスを提供する地域の地図情報が格納されている。地図情報は、例えば、ナビゲーション用の地図データ(以下、単に「ナビゲーション地図」という)であってよい。
サーバ装置2は、第一利用者端末4及び第二利用者端末5から受信した配車リクエストデータに応じて、地
図DB24に格納されている地図情報に基づき、配車リクエストデータに含まれる希望乗車地から希望降車地まで至る走行経路を算出する。また、サーバ装置2は、予約情報に含まれる希望乗車日時にサービス車両3が発車し、走行経路を走行して希望降車地に到着する降車日時を予測する。
サーバ装置2は、配車リクエストデータに含まれる希望乗車地、希望乗車日時、希望降車地と、サーバ装置2が算出した走行経路及び降車日時とを、サービス車両3の走行計画として予約DB25に記憶する。
また、サーバ装置2は、希望乗車地、希望乗車日時、希望降車地、降車日時及び走行経路を含んだ走行計画を、サービス車両3へ送信する。
【0020】
<サービス車両>
サービス車両3は、ユーザの要求に応じて運行する車両(いわゆる、デマンド型交通の車両)であり、例えば、乗り合いタクシーやロボットタクシーであってよい。サービス車両3は、サーバ装置2から送信される走行計画に従って、運転者(人間)が関与せずに、コントローラ34によってサービス車両3を自動的に運転する自律運転車両である。
サービス車両3は、サーバ装置2から走行計画を受信すると、走行計画に含まれる希望乗車日時までに到着するように乗車場所まで走行する。また、乗車場所において利用者がサービス車両3に乗車すると、走行計画に含まれる走行経路に沿って降車場所まで走行する。
サービス車両3は、センサ30と、測位装置31と、地図データベース(地
図DB)32と、通信装置33と、コントローラ34と、アクチュエータ35とを備える。
センサ30は、サービス車両3の周囲の物体を検出する物体センサや、サービス車両3から得られる様々な情報(車両状態)を検出する車両センサを含む。
物体センサは、例えば、サービス車両3の周囲に存在する物体とサービス車両3との相対位置、サービス車両3と物体との距離、物体が存在する方向等のサービス車両3の周囲環境を検出する。物体センサは、例えば、サービス車両3の周囲環境を撮影するカメラを含んでよい。また、例えば、物体センサは、レーザレンジファインダ(LRF)やレーダ、LiDAR(Light Detection and Ranging)のレーザレーダ等の測距装置を含んでもよい。物体センサは、検出したサービス車両3の周囲環境の情報である周囲環境情報を、コントローラ34へ出力する。
車両センサは、例えば、サービス車両3の走行速度(車速)を検出する車速センサ、サービス車両3が備える各タイヤの回転速度を検出する車輪速センサ、サービス車両3の3軸方向の加速度(減速度を含む)を検出する3軸加速度センサ(Gセンサ)、操舵角(転舵角を含む)を検出する操舵角センサ、サービス車両3に生じる角速度を検出するジャイロセンサ、ヨーレイトを検出するヨーレイトセンサを含んでよい。さらに、車両センサは、シートベルトの着脱を検出するシートベルトセンサや、ドアの開閉を検出するドアセンサを含んでよい。車両センサは、車両状態情報をコントローラ34へ出力する。
【0021】
測位装置31は、サービス車両3の現在位置及び姿勢を測定する。測位装置31は、例えば、全地球型測位システム(GNSS)受信機を備えてよい。GNSS受信機は、例えば、地球測位システム(GPS)受信機等であってよい。測位装置31は、慣性航法装置を備えてもよい。測位装置31は、測定した現在位置の現在位置情報をコントローラ34へ出力する。
地
図DB32は、地図情報を記憶する。地図情報は、ナビゲーション用の地図データ(以下、単に「ナビゲーション地図」という)と、自動運転用の地図として好適な高精度地図データ(以下、単に「高精度地図」という)とを含んでいてよい。
通信装置33は、サービス車両3と外部装置との間における通信機能を提供する。通信装置33による通信方式は、例えば、公衆移動体通信網による無線通信、衛星通信、路車間通信等であってよい。
サービス車両3は、通信装置33によってサーバ装置2との間でデータを送受信する。
【0022】
コントローラ34は、サービス車両3を制御する電子制御ユニットである。例えば、コントローラ34は、サービス車両3の自律運転制御を行う。コントローラ34は、プロセッサ36と、記憶装置37等の周辺部品とを含む。プロセッサ36は、例えば、CPUやMPUであってよい。記憶装置37は、レジスタ、キャッシュメモリや、主記憶装置として使用されるROM、RAM等のメモリ等の一時的でない有形の記憶媒体を含んでよい。コントローラ34の機能は、例えば、プロセッサ36が、記憶装置37に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
コントローラ34は、センサ30からの周囲環境情報及び車両状態情報と、測位装置31の測位結果と、地
図DB32の地図情報とに基づいて、サービス車両3を走行計画に従って走行させる自律運転制御を実行する。例えば、コントローラ34は、サービス車両3の現在位置及び姿勢と、走行計画に含まれる走行経路と、地図情報と、サービス車両3の周囲環境とに基づいて、サービス車両3を走行させる目標走行軌道を算出する。これに加え、コントローラ34は、例えば、サービス車両3の周辺の経路や物体の有無を表現する経路空間マップと、走行時の危険度を数値化したリスクマップとを生成し、サービス車両3の運動特性、車両状態情報、経路空間マップと、リスクマップとに基づいて、目標走行軌道を生成する。そして、コントローラ34は、生成した目標走行軌道に沿ってサービス車両3が走行するようにアクチュエータ35を駆動する。
アクチュエータ35は、コントローラ34からの制御信号に応じて、サービス車両3の操舵装置と、駆動装置と制動装置を操作して、サービス車両3の車両挙動を発生させることにより、サービス車両3を自動的に運転する。アクチュエータ35は、操舵アクチュエータと、アクセル開度アクチュエータと、ブレーキ制御アクチュエータを備える。
【0023】
<サーバ装置の機能構成>
以下、サーバ装置2の機能構成について説明する。
図2は、サーバ装置2の機能構成を示すブロック部の、一例を示す説明図である。
サーバ装置2は、配車リクエストデータ取得部60と、配車計画決定部61と、走行計画設定部62と、追加リクエストデータ取得部63と、候補経路作成部64と、相乗り車両抽出部65を備える。これに加え、サーバ装置2は、遅延予測時間計算部66と、走行計画補正部67と、利用可能車両特定部68と、相乗り車両設定部69と、追加分車両配車部70を備える。
【0024】
配車リクエストデータ取得部60は、第一利用者端末4から先行配車リクエストデータを受信すると、先行配車リクエストデータが含む情報(希望乗車地、希望降車地、希望乗車日時)を予約DB25に登録する。そして、先行予約ユーザに対する配車サービスの予約を設定する。
【0025】
配車計画決定部61は、先行配車リクエストデータに含まれている希望乗車地とサービス車両3の現在位置とに基づいて、先行予約ユーザに供するサービス車両3を決定することで、サービス車両3を配車する配車計画を決定する。例えば、配車計画決定部61は、現在では他のユーザによって利用されておらず、且つ希望乗車日時までに希望乗車地へ到着することが可能な複数台のサービス車両3を選択することで、配車計画を決定する。さらに、配車計画決定部61は、選択したサービス車両3の識別情報を予約DB25に記憶する。なお、複数台のサービス車両3を選択することが不可能な場合には、例えば、希望乗車地に最も近い場所に位置するサービス車両3等、1台のサービス車両3を選択することで、配車計画を決定してもよい。
【0026】
走行計画設定部62は、地
図DB24に格納されている地図情報に基づいて、先行配車リクエストデータが含む希望乗車地から希望降車地まで至る走行経路を設定する。また、走行計画設定部62は、希望乗車日時にサービス車両3が発車し、走行経路を走行して希望降車地に到着する降車日時を予測する。走行計画設定部62は、算出した走行経路と降車日時を予約DB25に記憶する。これにより、先行配車リクエストデータが含む希望乗車地、希望乗車日時、希望降車地と、走行計画設定部62が設定した降車日時及び走行経路は、先行予約ユーザに提供される配車サービスの走行計画として、予約DB25に記憶される。
さらに、走行計画設定部62は、走行計画に関する走行計画情報を、配車計画決定部61によって選択されたサービス車両3(すなわち、先行予約ユーザに供するサービス車両3)と、第一利用者端末4へ送信する。
【0027】
追加リクエストデータ取得部63は、第二利用者端末5から後行配車リクエストデータを受信すると、後行配車リクエストデータが含む情報(希望乗車地、希望降車地、希望乗車日時)を予約DB25に登録する。
【0028】
候補経路作成部64は、走行計画設定部62が設定した走行計画と、先行配車リクエストデータと、後行配車リクエストデータとに基づいて、予約済車両(配車計画決定部61が選択したサービス車両3)が走行する経路の候補である候補経路を作成する。
具体的には、配車計画決定部61が選択した1つ以上のサービス車両3のうち、以下の経路条件I及び経路条件IIを満足することが可能な走行経路を、候補経路として作成する。
【0029】
経路条件I:後行配車リクエストデータが含む希望乗車地へ、後行配車リクエストデータが含む希望乗車日時までに到着することが可能な走行経路。
経路条件II:後行予約ユーザが乗車した後に、先行配車リクエストデータが含む希望乗車地へ、先行配車リクエストデータが含む希望乗車日時までに到着することが可能な走行経路。
さらに、候補経路作成部64は、候補経路をサービス車両3が走行するために必要な所要時間と、候補経路をサービス車両3が走行するために確保する調整時間を計算する。なお、調整時間とは、例えば、先行配車リクエストデータが含む希望乗車地や、後行配車リクエストデータが含む希望乗車地へ停車する際に必要となる時間である。
【0030】
相乗り車両抽出部65は、先行配車リクエストデータと、後行配車リクエストデータと、候補経路作成部64が作成した候補経路とに基づいて、配車計画決定部61が選択した1つ以上のサービス車両3から、1つ以上の車両を抽出する。
具体的には、配車計画決定部61が選択した1つ以上のサービス車両3のうち、以下の抽出条件I及び抽出条件IIを満足することが可能な車両を、先行予約ユーザと後行予約ユーザが相乗りすることが可能なサービス車両3として抽出する。
【0031】
抽出条件I:後行配車リクエストデータが含む希望乗車地へ、後行配車リクエストデータが含む希望乗車日時までに到着することが可能な車両。
抽出条件II:後行予約ユーザが乗車した後に、先行配車リクエストデータが含む希望乗車地へ、先行配車リクエストデータが含む希望乗車日時までに到着することが可能な車両。
【0032】
遅延予測時間計算部66は、ユーザ(後行予約ユーザ、又は、後行予約ユーザに属性が類似している他のユーザ)が過去に配車サービスを利用した履歴情報に基づいて、遅延予測時間を計算する。
遅延予測時間は、後行配車リクエストデータが含む希望乗車地へ後行予約ユーザの到着が予定した時間よりも遅延すると予測される時間である。
また、遅延予測時間は、以下の計算条件Iから計算条件VIIIのうち少なくとも一つに応じて計算する。
【0033】
計算条件I:後行配車リクエストデータが含む希望乗車日時の曜日。なお、計算条件Iに応じて遅延予測時間を計算する際には、例えば、平日よりも休日に対して、遅延予測時間を長い時間として計算する。
計算条件II:後行配車リクエストデータが含む希望乗車日時の時間帯。なお、計算条件IIに応じて遅延予測時間を計算する際には、例えば、通勤や通学の時間帯に対して、その他の時間よりも遅延予測時間を長い時間として計算する。
計算条件III:後行配車リクエストデータが含む希望乗車日時における天候の予報。なお、計算条件IIIに応じて遅延予測時間を計算する際には、例えば、晴天の予報よりも荒天の予報に対して、遅延予測時間を長い時間として計算する。
計算条件IV:後行配車リクエストデータが含む希望乗車地の特性。なお、計算条件IVに応じて遅延予測時間を計算する際には、例えば、希望乗車地が住宅街である場合よりも、希望乗車地が商店街や駅である場合等に対して、遅延予測時間を長い時間として計算する。
【0034】
計算条件V:後行配車リクエストデータが含む希望乗車地、及び後行配車リクエストデータが含む希望乗車地の周辺のうち少なくとも一方で開催されるイベント。なお、計算条件Vに応じて遅延予測時間を計算する際には、例えば、イベントに要する時間(イベントを視聴する時間や、イベントに参加する時間等)が長いと予測されるほど、遅延予測時間を長い時間として計算する。
計算条件VI:後行予約ユーザと共にサービス車両3に乗車する人数、及び後行予約ユーザがサービス車両3に積載する荷物量のうち少なくとも一方。なお、計算条件VIに応じて遅延予測時間を計算する際には、例えば、乗車する人数や荷物量が多いほど、遅延予測時間を長い時間として計算する。また、後行予約ユーザと共にサービス車両3に乗車する人数や、後行予約ユーザがサービス車両3に積載する荷物量は、例えば、後行配車リクエストデータに含ませてサーバ装置2へ送信する。
計算条件VII:後行予約ユーザの属性。なお、計算条件VIIに応じて遅延予測時間を計算する際には、例えば、後行予約ユーザの年齢が高いほど、遅延予測時間を長い時間として計算する。また、例えば、後行予約ユーザが足を負傷している等、後行予約ユーザが移動に不利な属性を有している場合に、遅延予測時間を長い時間として計算する。
計算条件VIII:後行予約ユーザに属性が類似している他のユーザが、過去に配車サービスを利用した履歴情報。なお、計算条件VIIIに応じて遅延予測時間を計算する際には、例えば、後行予約ユーザに属性が類似している他のユーザが、過去に配車サービスを利用した際に、希望乗車地へ予定した時間よりも遅延した時間に応じて計算する。
また、計算条件VIIIに応じて遅延予測時間を計算する際には、例えば、計算条件Iから計算条件VIIのうち少なくとも一つの条件と、過去に希望乗車地へユーザの到着が予定した時間よりも遅延した実際の遅刻時間との関係をモデル化してもよい。
【0035】
走行計画補正部67は、候補経路作成部64が作成した候補経路と、遅延予測時間計算部66が計算した遅延予測時間とに基づいて、走行計画設定部62が設定した走行計画を補正することで、予約済車両を運行させる計画の候補である運行計画候補を作成する。
具体的には、候補経路のうち、遅延予測時間を考慮しても、後行予約ユーザの希望乗車地と、先行配車リクエストデータが含む希望乗車地を経由して、先行配車リクエストデータが含む希望降車地へ到着することが可能な経路を算出する。そして、算出した経路を、運行計画候補として作成する。
【0036】
利用可能車両特定部68は、遅延予測時間計算部66が計算した遅延予測時間と、走行計画補正部67が作成した運行計画候補に基づいて、利用可能車両を、相乗り車両抽出部65が出した1つ以上の車両から特定する。
利用可能車両は、乗車開始時間よりも前に、後行予約ユーザの希望乗車地及び希望降車地のうち少なくとも希望乗車地を経由して、乗車開始時間に先行配車リクエストデータが含む希望乗車地へ到着することが可能な車両である。
乗車開始時間は、配車計画が決定している車両に先行予約ユーザが乗車する時間である。
【0037】
具体的には、TA-TB≧t0+t1+t2の条件式が成立する車両を、利用可能車両として特定する。
「TA」は、先行配車リクエストデータが含む希望乗車日時であり、「TB」は、後行配車リクエストデータが含む希望乗車日時である。「t0」は、後行配車リクエストデータが含む希望乗車地から、先行配車リクエストデータが含む希望乗車地までの移動における、基準の所要時間(渋滞等が発生していない状況における所要時間)である。「t1」は、後行配車リクエストデータが含む希望乗車地から、先行配車リクエストデータが含む希望乗車地までの移動において、渋滞等から推定される、基準の所要時間からの遅延時間である。「t2」は、遅延予測時間計算部66が計算した遅延予測時間である。
【0038】
なお、「t1」は、例えば、曜日、時間帯、天候、周辺のイベント情報等によって影響を受ける因子である。また、「t1」の推定には、「TA」から「TB」まで至る道路の渋滞情報(混雑度、走行時間)や、「TA」から「TB」まで至る道路を過去に走行した際の走行履歴の情報を用いる。
また、利用可能車両特定部68は、相乗り車両抽出部65が出した1つ以上の車両から利用可能車両を特定することが不可能であった場合、第二利用者端末5へ、相乗り可能なサービス車両3を配車することが不可能であるメッセージを送信する。
【0039】
相乗り車両設定部69は、利用可能車両特定部68が特定した利用可能車両を、後行予約ユーザに配車する車両として設定する。
【0040】
追加分車両配車部70は、相乗り車両設定部69が設定したサービス車両3に対し、地
図DB24に格納されている地図情報に基づいて、後行配車リクエストデータが含む希望乗車地へ、後行配車リクエストデータが含む希望乗車日時までに到着する走行計画を送信する。これに加え、追加分車両配車部70は、走行計画補正部67が作成した運行計画候補に関する補正経路情報を、相乗り車両設定部69が設定したサービス車両3へ送信する。補正経路情報を受信したサービス車両3は、後行配車リクエストデータが含む希望乗車地から、先行配車リクエストデータが含む希望乗車地を経由して、先行配車リクエストデータが含む希望降車地へ到着する走行経路を走行する。
【0041】
(動作)
図3は、配車サービスを利用する際の動作の一例を示すフローチャートである。
ステップS1において配車リクエストデータ取得部60は、第一利用者端末4から受信した先行配車リクエストデータを取得する。ステップS2において配車計画決定部61は、ステップS1で取得した先行配車リクエストデータに基づいて、配車計画を決定する。ステップS3において追加リクエストデータ取得部63は、第二利用者端末5から受信した後行配車リクエストデータを取得する。ステップS4において走行計画設定部62が設定した走行計画の情報を取得することで、先行予約ユーザの走行計画を取得する。
【0042】
ステップS5において候補経路作成部64は、ステップS3で取得した希望乗車地と、ステップS4で取得した走行計画の情報に応じて、予約済車両(配車計画決定部61が選択したサービス車両3)の候補経路を作成する。ステップS6において候補経路作成部64は、ステップS5で作成した候補経路をサービス車両3が走行するために必要な所要時間と、候補経路をサービス車両3が走行するために確保する調整時間を計算する。ステップS7において遅延予測時間計算部66は、後行予約ユーザの遅延予測時間を計算する。ステップS8において走行計画補正部67は、運行計画候補を作成する。
【0043】
ステップS9において利用可能車両特定部68は、相乗り車両抽出部65が抽出した1つ以上の車両の中に、後行配車リクエストデータを受け付けることが可能な予約済車両が存在するか否かを判定する。後行配車リクエストデータを受け付けることが可能な予約済車両が存在する場合(ステップS9:Y)、処理はステップS10へ進む。後行配車リクエストデータを受け付けることが可能な予約済車両が存在しない場合(ステップS9:N)、処理はステップS11へ進む。
【0044】
ステップS10において相乗り車両設定部69は、利用可能車両特定部68が特定した利用可能車両を、後行予約ユーザに配車する車両として設定することで、後行予約ユーザと、予約済車両のうち利用可能車両として特定された車両とをマッチングさせる。ステップS11において利用可能車両特定部68は、第二利用者端末5へ、相乗り可能なサービス車両3(予約済車両)を配車することが不可能であるメッセージを送信する。
【0045】
(実施形態の効果)
(1)ユーザの移動に用いる車両を配車する配車サービスを提供する配車支援装置と、配車支援方法と、配車支援システム1は、配車サービスを利用する複数人のユーザから、車両への乗車を希望する希望乗車日時と、車両への乗車を希望する希望乗車地と、車両からの降車を希望する希望降車地と、を含む配車リクエストデータを受信し、複数人のユーザのうち先行して配車サービスを予約した先行予約ユーザから受信した配車リクエストデータである先行配車リクエストデータに基づいて、車両を配車する配車計画を決定し、複数人のユーザのうち先行予約ユーザよりも後に配車サービスを予約し、且つ先行予約ユーザよりも先に車両へ乗車する後行予約ユーザから受信した配車リクエストデータである後行配車リクエストデータと、先行配車リクエストデータと、に基づいて、配車計画が決定している車両から1つ以上の車両を抽出し、ユーザが過去に配車サービスを利用した履歴情報に基づいて、後行配車リクエストデータが含む希望乗車地へ後行予約ユーザの到着が予定した時間よりも遅延すると予測される時間である遅延予測時間を計算し、計算した遅延予測時間に基づいて、配車計画が決定している車両に先行予約ユーザが乗車する乗車開始時間よりも前に、後行予約ユーザの希望乗車地及び希望降車地のうち少なくとも希望乗車地を経由して乗車開始時間に先行配車リクエストデータが含む希望乗車地へ到着することが可能な利用可能車両を、抽出した1つ以上の車両から特定し、特定した利用可能車両を、後行予約ユーザに配車する車両として設定する。
これにより、後行予約ユーザが乗車した状態で先行予約ユーザが乗車することが可能な利用可能車両を抽出することが不可能な場合には、先行予約ユーザに配車される車両を、後行予約ユーザに配車しないことが可能となる。このため、複数のユーザが相乗りする車両へ後から乗車するユーザが損害を受ける可能性を低減させることが可能となる。
【0046】
(2)遅延予測時間を、後行配車リクエストデータが含む希望乗車日時の曜日に応じて計算する。
これにより、遅延予測時間の計算に、曜日によって異なる後行予約ユーザの行動を反映させることが可能となる。
【0047】
(3)遅延予測時間を、後行配車リクエストデータが含む希望乗車日時の時間帯に応じて計算する。
これにより、遅延予測時間の計算に、時間帯によって異なる後行予約ユーザの行動を反映させることが可能となる。
【0048】
(4)遅延予測時間を、後行配車リクエストデータが含む希望乗車日時における天候の予報に応じて計算する。
これにより、遅延予測時間の計算に、天候によって異なる後行予約ユーザの行動を反映させることが可能となる。
【0049】
(5)遅延予測時間を、後行配車リクエストデータが含む希望乗車地の特性に応じて計算する。
これにより、遅延予測時間の計算に、車両に乗車する場所によって異なる後行予約ユーザの行動を反映させることが可能となる。
【0050】
(6)遅延予測時間を、後行配車リクエストデータが含む希望乗車地、及び後行配車リクエストデータが含む希望乗車地の周辺のうち少なくとも一方で開催されるイベントに応じて計算する。
これにより、遅延予測時間の計算に、車両に乗車する場所で開催されるイベントや、車両に乗車する場所の周辺で開催されるイベントによって異なる、後行予約ユーザの行動を反映させることが可能となる。
【0051】
(7)遅延予測時間を、記後行予約ユーザと共に前記車両に乗車する人数、及び後行予約ユーザが前記車両に積載する荷物量のうち少なくとも一方に応じて計算する。
これにより、遅延予測時間の計算に、後行予約ユーザと共に車両へ乗車する人数や、後行予約ユーザが車両に積載する荷物量によって異なる、後行予約ユーザの行動を反映させることが可能となる。
【0052】
(8)遅延予測時間を、後行予約ユーザの属性に応じて計算する。
これにより、遅延予測時間の計算に、属性によって異なる後行予約ユーザの行動を反映させることが可能となる。
【0053】
(9)遅延予測時間を、後行予約ユーザが過去に配車サービスを利用した履歴情報に応じて計算する。
これにより、遅延予測時間の計算に、履歴情報によって異なる後行予約ユーザの行動を反映させることが可能となる。
【0054】
(10)遅延予測時間を、後行予約ユーザに属性が類似している他のユーザが、過去に配車サービスを利用した履歴情報に応じて計算する。
これにより、例えば、後行予約ユーザの履歴情報を取得することが不可能な場合であっても、後行予約ユーザに属性が類似している他のユーザの履歴情報を後行予約ユーザの履歴情報の代わりに用いて、遅延予測時間を計算することが可能となる。また、後行予約ユーザの履歴情報と、後行予約ユーザに属性が類似している他のユーザの履歴情報を取得することが可能である場合には、遅延予測時間の計算に、他のユーザの行動を反映させることが可能となる。
【符号の説明】
【0055】
1…配車支援システム、2…サーバ装置、3…サービス車両、4…第一利用者端末、5…第二利用者端末、20、36、44、54…プロセッサ、21、37、45、55…記憶装置、22、33、41、51…通信装置、23…登録者データベース、24、32…地図データベース、25…予約データベース、30…センサ、31、40、50…測位装置、34、43、53…コントローラ、35…アクチュエータ、42、52…ヒューマンマシンインタフェース、60…配車リクエストデータ取得部、61…配車計画決定部、62…走行計画設定部、63…追加リクエストデータ取得部、64…候補経路作成部、65…相乗り車両抽出部、66…遅延予測時間計算部、67…走行計画補正部、68…利用可能車両特定部、69…相乗り車両設定部、70…追加分車両配車部