(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113377
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】太陽光発電システム及びパワーコンディショナ
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20230808BHJP
G05F 1/67 20060101ALI20230808BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20230808BHJP
【FI】
H02M3/155 W
G05F1/67 A
H02M7/48 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015711
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000217491
【氏名又は名称】ダイヤゼブラ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 隼人
(72)【発明者】
【氏名】山内 裕司
(72)【発明者】
【氏名】新谷 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】竹林 司
【テーマコード(参考)】
5H420
5H730
5H770
【Fターム(参考)】
5H420BB03
5H420BB17
5H420CC03
5H420DD03
5H420EA10
5H420EA40
5H420EA48
5H420EB37
5H420EB39
5H730AA15
5H730AS04
5H730BB14
5H730BB57
5H730BB82
5H730CC11
5H730DD03
5H730FG01
5H770BA11
5H770CA01
5H770CA05
5H770DA01
5H770DA41
5H770JA17Y
(57)【要約】
【課題】特別な制御を必要とすることなく、大容量の太陽電池に対応可能なパワーコンディショナを提供する。
【解決手段】パワーコンディショナ3は、太陽電池2の出力が分岐入力される複数のDC-DCコンバータ4と、複数のDC-DCコンバータ4の出力を直流交流変換をするインバータ5とを備える。複数のDC-DCコンバータ4は、それぞれの定格入力電流容量が前記太陽電池の定格出力電流よりも小さく、かつ、定格入力電流容量の総和が太陽電池の定格出力電流以上になるように構成される。また、複数のDC-DCコンバータ4のそれぞれが互いに独立して最大電力点追従制御を行うコントローラを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池に接続されるパワーコンディショナであって、
前記太陽電池の出力が分岐されてそれぞれに入力されかつそれぞれの出力がDCリンク線に接続された複数のDC-DCコンバータと、
前記DCリンク線の電力を直流交流変換するインバータとを備え、
前記複数のDC-DCコンバータは、それぞれの定格入力電流容量が前記太陽電池の定格出力電流よりも小さく、かつ、前記複数のDC-DCコンバータの定格入力電流容量の総和が前記太陽電池の定格出力電流以上になるように構成され、
前記複数のDC-DCコンバータのそれぞれが互いに独立して最大電力点追従制御を行う
パワーコンディショナ。
【請求項2】
請求項1に記載のパワーコンディショナにおいて、
前記複数のDC-DCコンバータは、互いの定格入力電流容量が等しい
パワーコンディショナ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパワーコンディショナにおいて、
それぞれの前記DC-DCコンバータが互いに独立して最大電力点追従制御を行うことで、時間の経過とともに、前記複数のDC-DCコンバータのうち、発熱したDC-DCコンバータに分岐入力される電流容量は小さくなり、前記発熱したDC-DCコンバータ以外に分岐入力される電流容量が増大する
パワーコンディショナ。
【請求項4】
太陽電池とパワーコンディショナとを備える太陽光発電システムであって、
前記太陽電池は、複数の太陽電池ユニットを含み、
前記パワーコンディショナは、
前記複数の太陽電池ユニットに対応して設けられかつそれぞれの出力がDCリンク線に接続された複数のコンバータ群と、
前記DCリンク線の電力を直流交流変換するインバータとを備え、
それぞれの前記コンバータ群は、対応する前記太陽電池ユニットの出力が分岐されてそれぞれに入力されかつ出力が前記DCリンク線に接続された複数のDC-DCコンバータを備え、
それぞれの前記複数のDC-DCコンバータは、それぞれの定格入力電流容量が接続先の前記太陽電池ユニットの定格出力電流よりも小さく、かつ、前記複数のDC-DCコンバータの定格入力電流容量の総和が当該太陽電池ユニットの定格出力電流以上になるように構成され、
すべての前記DC-DCコンバータは、それぞれが互いに独立して最大電力点追従制御を行う
太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池とパワーコンディショナとを備える太陽光発電システム及び太陽光発電システムに用いられるパワーコンディショナに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電システムにおける太陽電池をより大電力にするニーズがある。大電力用の太陽電池では、取りだす電力の損失を抑える観点からは、太陽電池のセルを直列に接続して高電圧を出力させるのが望ましい。一方で、信頼性を高める観点からは、太陽電池のセルを並列化して、従来よりも大電流を出力させるようにするのが好ましい。例えば、従来の太陽電池では、10A程度の定格出力電流であったものを、15A程度まで高めるニーズがある。
【0003】
これに対し、従来は、太陽電池と1対1対応させてDC-DCコンバータを設ける必要があった。そうすると、太陽電池の出力能力の増加、すなわち、出力電流の増加にあわせた定格入力電流容量のコンバータを用意する必要がある。しかしながら、コンバータの定格入力電流容量を増加させると、装置が大型化するとともに発熱量が増加するという問題がある。具体的に、大電流用のコンバータは、電流の二乗で発熱するので、急激に放熱特性が悪化し、部品の大型化をもたらす。さらに、発熱量の増加に対応するために、高耐熱性の特注部品を使用する必要がある。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1に示されるように、太陽電池の出力を複数のコンバータで受ける電源装置を設けることが検討されている。例えば、特許文献1の
図4ような構成にすることで、入力電力容量が2kWのコンバータを2つ用いて、4kWの太陽電池に対応することができるようになる。
【0005】
また、特許文献2では、太陽電池に複数のコンバータを並列接続させ、複数のコンバータ間で最大電力点追従演算の結果を統一し、その統一された演算結果に基づいて複数のコンバータを制御する技術が示されている。
【0006】
また、特許文献3では、太陽電池に付随させて分散型のコンバータを設け、その切り替えを調整するためのシステムが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-115747号公報
【特許文献2】特開2017-174283号公報
【特許文献3】特開2012-235677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1~3の技術は、複数のコンバータを動作させるための特別な制御を必要とするという課題がある。
【0009】
具体的に、特許文献1の電源装置では、太陽電池の出力を複数のコンバータによって受けるようにするために、複数のコンバータを互いに同期させて最大電力点追従制御を実行するように構成されている。すなわち、同期制御という特別な制御を必要とする。同様に、特許文献2では、前述のとおり、複数のコンバータ間で最大電力点追従演算の結果を統一し、その統一された演算結果に基づいて複数のコンバータを制御している。すなわち、最大電力点追従演算の結果の統一という特別な制御を必要とする。また、特許文献3では、ローカル制御器同士がデータ・バスで接続され、コンバータ間の適切な電流共有を確実にするように動作させている。すなわち、コンバータ間の電流供給に関する特別な制御を必要とする。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、従前から使用されているDC-DCコンバータを用いることができ、かつ、特別な制御を必要とすることなく大容量の太陽電池に対応することができる太陽光発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1態様では、太陽電池に接続されるパワーコンディショナを対象として、前記太陽電池の出力が分岐されてそれぞれに入力されかつそれぞれの出力がDCリンク線に接続された複数のDC-DCコンバータと、前記DCリンク線の電力を直流交流変換するインバータとを備え、前記複数のDC-DCコンバータは、それぞれの定格入力電流容量が前記太陽電池の定格出力電流よりも小さく、かつ、前記複数のDC-DCコンバータの定格入力電流容量の総和が前記太陽電池の定格出力電流以上になるように構成され、前記複数のDC-DCコンバータのそれぞれが互いに独立して最大電力点追従制御を行うように構成した。
【0012】
発明者らは、太陽電池の出力を分岐させて、複数のDC-DCコンバータ(以下、単にコンバータともいう)で処理して、インバータで直流交流変換させる構成についての鋭意検討を重ねた。その検討過程において、複数のコンバータについて、(1)各コンバータの定格入力電流容量が太陽電池の定格出力電流よりも小さくなるように構成し、(2)複数のDC-DCコンバータの定格入力電流容量の総和が太陽電池の定格出力電流以上になるように構成し、かつ、(3)それぞれのコンバータが独立して最大電力点追従制御を行うように構成することを試みた。その結果、複数のDC-DCコンバータを切り替えるための特別な制御をすることなく、太陽電池から複数のコンバータのそれぞれに分岐入力される電流の比率を時間の経過とともに自動的に切り替える機能(以下、「自動切替機能」ともいう)が実現されることを見出した。
【0013】
これにより、例えば、従前から使用されているDC-DCコンバータを用いて、大容量の太陽電池に対応することができる。具体的には、太陽電池の出力を複数のDC-DCコンバータに分散入力させ、特別な制御をすることなく処理することができる。これにより、コンバータの定格入力電流容量を増加させることなく、従前から使用されているDC-DCコンバータを用いて、大容量の太陽電池に対応することができる。言い換えると、大容量の太陽電池に対応するためのDC-DCコンバータの大電流化、大型化を回避することができる。また、その際に、制御プログラムの変更を最小限にすることができる。
【0014】
上記態様のパワーコンディショナにおいて、前記複数のDC-DCコンバータは、互いの定格入力電流容量が等しい、としてもよい。
【0015】
これにより、複数のDC-DCコンバータに同じ設計を用いることができる。
【0016】
上記態様のパワーコンディショナにおいて、それぞれの前記DC-DCコンバータが互いに独立して最大電力点追従制御を行うことで、時間の経過とともに、前記複数のDC-DCコンバータのうち、発熱したDC-DCコンバータに分岐入力される電流容量は小さくなり、前記発熱したDC-DCコンバータ以外に分岐入力される電流容量が増大する。
【0017】
これにより、パワーコンディショナの発熱を抑えることができる。
【0018】
本発明の第2態様では、太陽電池とパワーコンディショナとを備える太陽光発電システムを対象として、前記太陽電池は、複数の太陽電池ユニットを含み、前記パワーコンディショナは、前記複数の太陽電池ユニットに対応して設けられかつそれぞれの出力がDCリンク線に接続された複数のコンバータ群と、前記DCリンク線の電力を直流交流変換するインバータとを備え、それぞれの前記コンバータ群は、対応する前記太陽電池ユニットの出力が分岐されてそれぞれに入力されかつ出力が前記DCリンク線に接続された複数のDC-DCコンバータを備え、それぞれの前記複数のDC-DCコンバータは、それぞれの定格入力電流容量が接続先の前記太陽電池ユニットの定格出力電流よりも小さく、かつ、前記複数のDC-DCコンバータの定格入力電流容量の総和が当該太陽電池ユニットの定格出力電流以上になるように構成され、すべての前記DC-DCコンバータは、それぞれが互いに独立して最大電力点追従制御を行う。
【0019】
上記第2態様によると、第1態様と同様に、コンバータの定格入力電流容量を増加させることなく、従前から使用されているDC-DCコンバータを用いて、大容量の太陽電池に対応することができる。すなわち、大容量の太陽電池に対応するためのDC-DCコンバータの大電流化、大型化を回避することができる。また、その際に、制御プログラムの変更を最小限にすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、複数のDC-DCコンバータを切り替えるための特別な制御を必要とすることなく、従前から使用されているDC-DCコンバータを用いて大容量の太陽電池に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態における太陽光発電システムの全体構成例を示す図
【
図2】太陽光発電システムの動作例を示すタイミングチャート
【
図3】太陽光発電システムの他の動作例を示すタイミングチャート
【
図4】太陽光発電システムの他の動作例を示すタイミングチャート
【
図5】第2実施形態における太陽光発電システムの全体構成例を示す図
【
図6】第3実施形態における太陽光発電システムの全体構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用範囲あるいはその用途を制限することを意図するものではない。したがって、以下の実施形態で示される、数値、回路構成及びその構成要素、各構成要素の配置や接続関係等は、一例であって本開示内容を限定する主旨ではない。よって、以下の実施形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0023】
また、以下の説明において、図中同一または相当部分には同一の符号を付すものとし、繰り返しの説明を省略する場合がある。また、以下の実施形態では、本開示の内容に関連性の高い構成を中心に説明する。
【0024】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の太陽光発電システムの全体構成例である。
図1において、太陽光発電システム1は、太陽電池2とパワーコンディショナ3とを備える。太陽光発電システム1は、太陽電池2で発電された電力を負荷7に供給したり、商用電源系統8に逆潮流させることができるように構成されている。
【0025】
-パワーコンディショナ-
パワーコンディショナ3は、複数のDC-DCコンバータ4(以下、単に「コンバータ4」という)と、インバータ5と、リレー回路6とを備える。この例では、太陽電池2は、1つの太陽電池ユニット21を含む。
【0026】
〔コンバータ〕
この例では、太陽電池ユニット21の出力が分岐されて、2つのコンバータ4のそれぞれに入力される。説明の便宜上、2つのコンバータ4の一方を第1コンバータ41、他方を第2コンバータ42と称する。すなわち、太陽電池ユニット21の出力電流Ipと、第1コンバータ41の入力電流I11及び第2コンバータ42の入力電流I12との間には、以下の関係式が成り立つ。
【0027】
Ip1=I11+I12 (1)
【0028】
第1コンバータ41及び第2コンバータ42は、それぞれの定格入力電流容量Id1,Id2が太陽電池ユニット21の定格出力電流Iprよりも小さくなるように構成される(第1構成条件)。さらに、第1コンバータ41と第2コンバータ42との定格入力電流容量の和が、太陽電池ユニット21の定格出力電流Ipr以上になるように構成される(第2構成条件)。
【0029】
より具体的には、例えば、第1コンバータ41及び第2コンバータ42は、以下の式(2)、(3)、(4)をすべて満たすように構成される。なお、Iprは太陽電池ユニット21の定格出力電流、Id1は第1コンバータ41の定格入力電流容量、Id2は第2コンバータ42の定格入力電流容量である。このように、本開示では、電流や電圧等の各種パラメータの名称と、そのパラメータの数値(変数)を示す識別子とに同じ符号を付して説明する場合がある。
【0030】
Id1 < Ipr (2)
Id2 < Ipr (3)
Id1+Id2 ≧ Ipr (4)
【0031】
上記の式(4)を満たすようにすることで、太陽電池ユニット21によって供給可能(発電可能)な発電電流を制限することなく負荷7や商用電源系統8に供給することができる。さらに、式(4)において、Id1+Id2=Iprとすれば、太陽電池ユニット21の発電電流の供給を制限せずに、かつ、第1コンバータ41及び第2コンバータ42を小型化することができる。なお、上記の条件が満たされるように、太陽電池ユニット21の出力を3つ以上のコンバータ4に分岐入力してもよい。
【0032】
ここで、太陽電池ユニット21の定格出力電流Iprは、例えば、標準的な日射量が照射されたときの発電量で定義される。このとき、太陽電池ユニット21の最大電流は、定格出力電流Iprの1.6~2.0倍程度に設定される。
【0033】
なお、第1コンバータ41の定格入力電流容量Id1と、第2コンバータ42の定格入力電流容量Id2は、互いに等しいのが好ましい。例えば、Id1及びId2は、両方ともに、Iprの1/2またはそれに若干のマージンを付加した値になるように設定される。そうすることで、第1コンバータ41と第2コンバータ42に同じ設計を用いることができる。なお、上記の式(1)~(4)を満たしていれば、Id1とId2が互いに異なる値に設定されてもかまわない。
【0034】
第1コンバータ41の出力は、DCリンク線Ndを介してインバータの入力に接続される。同様に、第2コンバータ42の出力は、DCリンク線Ndを介してインバータの入力に接続される。すなわち、第1コンバータ41の出力及び第2コンバータ42の出力は、共通のDCリンク線を介してインバータの入力に接続される。以下の説明において、DCリンク線Ndの電圧をDCバス電圧Vbと称する。
【0035】
インバータの入力電流I20と、第1コンバータ41の出力電流I21と、第2コンバータ42の出力電流I22との間には、以下の関係式が成り立つ。
【0036】
I20=I21+I22 (5)
【0037】
図1には、第1コンバータ41及び第2コンバータ42として、チョッパ方式のコンバータ4の回路構成例を示している。なお、コンバータ4は、チョッパ方式に限定されず、他の回路構成、例えば、トランス型のコンバータであってもよい。
【0038】
第1コンバータ41は、並列接続された入力コンデンサC1及びスイッチング素子Qdと、第1コンバータ41の正極入力に接続された正極側電線に直列接続されたインダクタLd及びダイオードDを備える。インダクタLdは、入力コンデンサC1とスイッチング素子Qdとの間に接続されている。また、ダイオードD1は、太陽電池ユニット21からインバータ5に向かう送電方向が順方向となるように、スイッチング素子Qdと平滑コンデンサC2との間に接続される。そして、スイッチング素子Qdのゲートには、コントローラ45が接続されている。
【0039】
コントローラ45は、太陽電池ユニット21から取り出す電力量を制御するものであり、スイッチング素子Qdのオンオフ動作を制御することにより、例えば、最大動作点追従制御が可能に構成されている。この最大動作点追従制御を行うことで、太陽電池ユニット21から第1コンバータ41の定格入力電流容量Id1に応じた電力を取り出すことが可能になる。
【0040】
第2コンバータ42の回路構成は、第1コンバータ41と同じであり、対応する回路素子には共通の符号を付している。なお、前述のとおり、第1コンバータ41の定格入力電流容量Id1と、第2コンバータ42の定格入力電流容量Id2とを同じ値にする場合、両コンバータ41,42で各回路素子の特性を互いに等しくなるように設定する。なお、太陽電池ユニット21から第1コンバータ41までの第1の入力インピーダンスと、太陽電池ユニット21から第2コンバータ42までの第2の入力インピーダンスとが実質的に同じに設定するのが好ましい。「実質的に同じ」とは、例えば、製造上または施工上の問題等により第1の入力インピーダンスと第2の入力インピーダンスとが互いに若干異なっている範囲を含む。
【0041】
そして、第2コンバータ42には、第1コンバータ41のコントローラ45とは、互いに独立して動作するコントローラ46が設けられている。
【0042】
コントローラ46は、コントローラ45と同様に、太陽電池ユニット21から取り出す電力量を制御するものである。具体的には、例えば、スイッチング素子Qdのオンオフ動作を制御することにより、最大動作点追従制御が可能に構成されている。この最大動作点追従制御を行うことで、太陽電池ユニット21から第2コンバータ42の定格入力電流容量Id2に応じた電力を取り出すことが可能になる。
【0043】
以上のように、本実施形態では、複数のコンバータ41,42のそれぞれが互いに独立して最大電力点追従制御を行う点に特徴がある。それぞれのコンバータ41,42(コントローラ45,46)が互いに独立して最大電力点追従制御を行うことにより、太陽電池ユニット21からコンバータ41,42のそれぞれに分岐入力される電流の比率を時間の経過とともに自動的に切り替える機能が実現される。具体的な動作例については、後ほど説明する。
【0044】
〔インバータ〕
インバータ5は、変換部51と、フィルタ回路52と、コントローラ53とを備える。
【0045】
変換部51は、DCバス電圧Vbを入力として受け、コントローラ53の制御にしたがってDC/AC変換する機能を有する。
図1の例では、変換部51として、フルブリッジ回路(Q21~Q24)の例を示している。なお、変換部51は、フルブリッジ回路に限定されず、ハーフブリッジ回路や他の方式の回路であってもよい。
【0046】
コントローラ53は、例えばマイクロコンピュータ(以下、単に「マイコン」という)で実現され、例えば、マイコンのメモリに記憶されたプログラムにしたがって動作する。図示しないが、例えば、太陽光発電システム1では、インバータ5が出力する電力をリレー回路6のところで測定するように構成されている。そして、コントローラ53が、その測定電力に基づいてインバータ5の出力電力及び力率を制御する。インバータ5の出力電力及び力率の制御は、従来から知られている技術を適用することができるので、ここではその詳細説明を省略する。
【0047】
なお、第1コンバータ41を制御するコントローラ45と、第2コンバータ42を制御するコントローラ46と、インバータ5を制御するコントローラ53とは、互いに異なるハードウェアで構成されてもよいし、それぞれの構成の一部または全部が共通の1つのマイコンに実装されてもよい。ただし、いずれの構成においても、コントローラ45とコントローラ46とコントローラ53の処理は、互いに独立して実行される。言い換えると、コントローラ45とコントローラ46とコントローラ53のソフトウェアは、それぞれが互いに独立して構成され、かつ、それぞれが互いに独立して動作する。
【0048】
変換部51の出力は、フィルタ回路52を介してインバータ5の出力端子から出力され、後段のリレー回路6に入力される。
【0049】
〔リレー回路〕
リレー回路6は、インバータ5の出力と商用電源系統8との間に設けられた第1リレー61と、インバータ5の出力と負荷7との間に設けられた第2リレー62とを含む。第1リレー61は、インバータ5の出力と商用電源系統8との間を接続する送電路の接続/遮断の切り替えが可能に構成される。第2リレー62は、インバータ5の出力と負荷7との間を接続する送電路の接続/遮断の切り替えが可能に構成される。
【0050】
-太陽光発電システムの動作例(1)-
次に、本実施形態に係る太陽光発電システムの動作について説明する。
【0051】
図2の例では、「Id1+Id2=Ipr」となるように構成されている。すなわち、太陽電池ユニット21の定格出力電流Iprは、第1コンバータ41の定格入力電流容量Id1と第2コンバータ42の定格入力電流容量Id2の和と等しい。また、太陽電池ユニット21から出力電流Ipとして出力電流Ip1が出力されている。出力電流Ip1は、定格出力電流Iprよりも小さい。また、前述のとおり、第1コンバータ41のコントローラ45と、第2コンバータ42のコントローラ46とが互いに独立して最大電力点追従制御を行っている。以下の説明では、第1コンバータ41の最大電力点追従制御における変換効率と、第2コンバータ41の最大電力点追従制御における変換効率とが互いに等しいものとして説明する。
【0052】
図2に示すように、第1コンバータ41の入力電流I11と、第2コンバータ42の入力電流I12の比率が時間の経過とともに自動的に切り替わっている。
【0053】
具体的には、時刻t10から時刻t11の間において、第1コンバータ41には、入力電流I11として定格入力電流容量Id1の電流が入力されている。一方で、第2コンバータ42には、入力電流I12として、太陽電池の出力電流Ip1から第1コンバータ41の定格入力電流容量Id1を引いた差電流(I12=Ip1-Id1)が入力されている。以下では、この時刻t10から時刻t11の間のような状態を「第1入力状態」と称する。
【0054】
時刻t11において、第1及び第2コンバータ41,42への入力電流の状態が、上記の第1入力状態から第2入力状態に自動的に変化する。第2入力状態では、第2コンバータ42には、入力電流I12として定格入力電流容量Id2が入力される。一方で、第1コンバータ41には、入力電流I11として、太陽電池ユニット21の出力電流Ip1から第2コンバータ42の定格入力電流容量Id2を引いた差電流(I11=Ip1-Id2)が入力される。そして、この第2状態が時刻t11から時刻t12の期間継続する。
【0055】
時刻t12において、第1及び第2コンバータ41,42への入力電流の状態が、第2入力状態から第1入力状態に自動的に変化する。そして、第1入力状態が時刻t12から時刻t13の期間継続する。
【0056】
時刻t13において、第1及び第2コンバータ41,42への入力電流の状態が、第1入力状態から第2入力状態に自動的に変化する。そして、第2入力状態が時刻t13から時刻t14の期間中継続する。
【0057】
その後も、第1入力状態と第2入力状態の相互間の状態遷移が自動的に繰り返し実行される。
【0058】
発明者らは、鋭意検討の結果、上記の説明のように、第1入力状態から第2入力状態への状態遷移、及び、第2入力状態から第1入力状態への状態遷移が、状態遷移のための特別な切替制御を実行することなしに自動的に実行されることを見出した。すなわち、前述の第1構成条件及び第2構成条件を満たすように太陽光発電システム1を構成し、第1コンバータ41と第2コンバータ42で互いに独立して最大動作点追従制御を行わせることにより、第1入力状態と第2入力状態の相互間の状態遷移が自動的に繰り返し実行されることを見出した。これにより、太陽電池ユニット21の定格出力電流Iprよりも定格入力電流容量の小さい第1及び第2コンバータ41,42を用いて、大容量の太陽電池に対応することができる。すなわち、第1及び第2コンバータ41,42の定格入力電流容量を任意に設定できるので、従前から使用されているDC-DCコンバータを用いることができる。言い換えると、太陽電池の大容量化・大電流化に伴うDC-DCコンバータの大電流化、大型化を回避することができる。
【0059】
なお、太陽電池ユニット21の定格出力電流Iprが第1及び第2コンバータ41,42の定格入力電流容量Id1,Id2の和よりも大きい場合、太陽電池ユニット21の出力の分岐入力先としてのコンバータ(図示省略)の数を増やせばよく、同様の効果が得られる。言い換えると、本開示の技術は、太陽電池ユニット21の大容量化に対する拡張性にも優れているという特徴がある。
【0060】
なお、第1入力状態と第2入力状態とが切り替わる条件は、第1コンバータ41と第2コンバータ42のそれぞれの稼働状態や周辺環境等によって変化し得る。具体的には、例えば、第1入力状態では、第1コンバータ41の方が、第2コンバータ42よりも多く電流が流れているので、発熱量が大きい。そして、第1コンバータ41と第2コンバータ42との温度差が所定の温度を超えた場合に、第1入力状態から第2入力状態に自動的に切り替わる。第2入力状態から第1入力状態への切り替わりについても同様であり、第2コンバータ42の発熱量が大きい場合に、第2コンバータ42と第1コンバータ41との温度差が所定の温度を超えた場合に、第2入力状態から第1入力状態に自動的に切り替わる。まとめると、時間の経過とともに、複数のDC-DCコンバータのうち、発熱したDC-DCコンバータに分岐入力される電流容量は小さくなり、発熱したDC-DCコンバータ以外に分岐入力される電流容量が増大するといえる。
【0061】
前述のとおり、第1入力状態における第1コンバータ41と第2コンバータ42を総合した変換効率と、第2入力状態における第1コンバータ41と第2コンバータ42を総合した変換効率とが互いに等しい。したがって、DCバス電圧Vbは、第1入力状態か第2入力状態かにかかわらず、所定のバス電圧Vb1になる。その結果、インバータ5の出力電流Ioについても、第1入力状態か第2入力状態かにかかわらず、所定の出力電流Io1となる。
【0062】
-太陽光発電システムの動作例(2)-
本開示の技術は、太陽電池ユニット21の出力が変化した場合においても上記の説明と同様に動作する。
図3の例においても、太陽光発電システム1の構成は、
図1に示したとおりであり、「Id1+Id2=Ipr」となるように構成されている。
【0063】
図3の例では、時刻t20から時刻t21の間において、太陽電池ユニット21から出力電流Ipとして定格出力電流Iprと同じ電流が出力されている。この場合、第1コンバータ41には、入力電流I11として定格入力電流容量Id1の電流が入力される。また、第2コンバータ42には、入力電流I12として定格入力電流容量Id2の電流が入力される。その結果、DCバス電圧Vbは、所定のバス電圧Vb2となり、インバータ5からは、所定の出力電流Io3が出力される。
【0064】
時刻t21において、太陽電池ユニット21の出力電流IpがIprからIp3(Ip3<Ipr)に変化している。そうすると、第1コンバータ41もしくは第2コンバータ42の一方において、自動的に入力電流が減少する。
図3の例では、第2コンバータ42の入力電流I12が減少する。具体的には、第1コンバータ41には、継続して定格入力電流容量Id1が流れる。そして、第2コンバータ42には、入力電流としてI12(I12=Ip3-Id1)の電流が流れる。言い換えると、第1コンバータ41に第1の定格入力電流容量Id1の電流が入力されかつ第2コンバータ42に太陽電池ユニット21の出力電流Ip3から第1の定格入力電流容量Id1を引いた差電流が入力される。すなわち、前述の「第1入力状態」に相当する状態(以下、便宜上「第1入力状態」と称する)となる。そして、この第1入力状態が時刻t21から時刻t22の期間継続する。
【0065】
時刻t22において、第1及び第2コンバータ41,42への入力電流の状態が、第1入力状態から前述の第2入力状態に相当する状態(以下、便宜上「第2入力状態」と称する)に自動的に変化する。ここでの第2入力状態では、第2コンバータ42には、入力電流I12として定格入力電流容量Id2が入力される。一方で、第1コンバータ41には、入力電流I11として、太陽電池ユニット21の出力電流Ip3から第2コンバータ42の定格入力電流容量Id2を引いた差電流(I11=Ip1-Id2)が入力される。そして、この第2状態が時刻t22から時刻t23の期間継続する。そして、その後も、第1入力状態と第2入力状態の相互間の状態遷移が自動的に繰り返し実行される。
【0066】
前述のとおり、第1入力状態における第1コンバータ41と第2コンバータ42を総合した変換効率と、第2入力状態における第1コンバータ41と第2コンバータ42を総合した変換効率とが互いに等しい。したがって、DCバス電圧Vbは、第1入力状態か第2入力状態かにかかわらず、太陽電池ユニット21の出力電流Ip2に対応するバス電圧Vb2または太陽電池ユニット21の出力電流Ip3に対応するバス電圧Vb3になる。その結果、インバータ5の出力電流Ioについても、第1入力状態か第2入力状態かにかかわらず、バス電圧Vb2に対応する出力電流Io2またはバス電圧Vb3に対応する出力電流Io3となる。
【0067】
以上のように、
図3の動作例においても、
図2の場合と同様に第1入力状態と第2入力状態の相互間の状態遷移が特別な切替制御を実行することなしに自動的に実行される。すなわち、
図3の動作例においても、
図2の場合と同様の効果が得られる。
【0068】
-太陽光発電システムの動作例(3)-
図4では、太陽光発電システム1の他の動作例を示している。
図3の例においても、太陽光発電システム1の構成は、
図1に示したとおりであり、「Id1+Id2=Ipr」となるように構成されている。また、この例では、太陽電池ユニット21の出力電流Ip4が、第1コンバータ41の定格入力電流容量Id1及び第2コンバータ42の定格入力電流容量Id2と等しい。
【0069】
図4においても、第1コンバータ41の入力電流I11と、第2コンバータ42の入力電流I12の比率が時間の経過とともに自動的に切り替わっている。
【0070】
具体的に、時刻t30から時刻t31の間において、第1コンバータ41には、入力電流I11として定格入力電流容量Id1の電流が入力される。すなわち、太陽電池ユニット21の出力電流Ip4がすべて第1コンバータ41に入力される。したがって、第2コンバータ42の入力電流I12は、「0A」である。言い換えると、第1コンバータ41に第1の定格入力電流容量Id1の電流が入力されかつ第2コンバータ42に太陽電池ユニット21の出力電流Ip4から第1の定格入力電流容量Id1を引いた差電流(ここでは「0A」)が入力される。すなわち、前述の「第1入力状態」に相当する状態(以下、便宜上「第1入力状態」と称する)となる。
【0071】
時刻t31において、第1及び第2コンバータ41,42への入力電流の状態が、第1入力状態から前述の第2入力状態に相当する状態(以下、便宜上「第2入力状態」と称する)に自動的に変化する。ここでの第2入力状態では、第2コンバータ42には、入力電流I12として定格入力電流容量Id2の電流が入力される。したがって、第1コンバータ41の入力電流I11は、「0A」である。言い換えると、第2コンバータ42に定格入力電流容量Id2の電流が入力されかつ第1コンバータ41に太陽電池ユニット21の出力電流Ip4から定格入力電流容量Id2を引いた差電流(ここでは「0A」)が入力される。そして、この第2状態が時刻t31から時刻t32の期間継続する。そして、その後も、第1入力状態と第2入力状態の相互間の状態遷移が自動的に繰り返し実行される。
【0072】
前述のとおり、第1入力状態における第1コンバータ41と第2コンバータ42を総合した変換効率と、第2入力状態における第1コンバータ41と第2コンバータ42を総合した変換効率とが互いに等しい。したがって、DCバス電圧Vbは、第1入力状態か第2入力状態かにかかわらず、太陽電池ユニット21の出力電流Ip4に対応するバス電圧Vb4になる。その結果、インバータ5の出力電流Ioについても、第1入力状態か第2入力状態かにかかわらず、バス電圧Vb4に対応する出力電流Io4となる。
【0073】
以上のように、
図4の動作例においても、
図2及び
図3の場合と同様に第1入力状態と第2入力状態の相互間の状態遷移が特別な切替制御を実行することなしに自動的に実行される。すなわち、
図4の動作例においても、
図2及び
図3の場合と同様の効果が得られる。
【0074】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態の太陽光発電システムの全体構成例である。以下の説明では、
図1と共通の構成要素について、同一の符号を付しており、ここでは、
図1との違いを中心に説明する。
【0075】
図5の例では、太陽電池2は、2つの太陽電池ユニット21,22を含む。そして、太陽電池ユニット22の出力が分岐されて、2つのコンバータ4のそれぞれの入力に接続される。説明の便宜上、2つのコンバータ4の一方を第3コンバータ43、他方を第4コンバータ44と称する。この例では、第3コンバータ43及び第4コンバータで1つのコンバータ群が構成されている。なお、コンバータ群を構成するコンバータの数は、2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0076】
また、太陽電池ユニット21の出力が分岐されて、第1コンバータ41及び第2コンバータ42のそれぞれの入力に接続される。太陽電池ユニット21、第1コンバータ41及び第2コンバータ42については、
図1と同じ構成である。この例では、第1コンバータ41及び第2コンバータ42でもう1つのコンバータ群が構成されている。すなわち、
図5の例では、2つの太陽電池ユニットに対応するように、2つのコンバータ群が設けられている例を示している。
【0077】
太陽電池ユニット22の出力電流Ipaと、第3コンバータ43の入力電流I13及び第4コンバータ44の入力電流I14の間には、以下の関係式が成り立つ。
【0078】
Ipa=I13+I14 (6)
【0079】
第1実施形態と同様に、第3コンバータ43及び第4コンバータ44は、それぞれの定格入力電流容量Id3,Id4が太陽電池ユニット22の定格出力電流Ipr2よりも小さくなるように構成される(第1構成条件)。さらに、第3コンバータ43と第4コンバータ44との定格入力電流容量Id3,Id4の和が、太陽電池ユニット22の定格出力電流Ipr2以上になるように構成される(第2構成条件)。
【0080】
より具体的には、例えば、第3コンバータ43及び第4コンバータ44は、以下の式(7)、(8)、(9)をすべて満たすように構成される。なお、Ipr2は太陽電池ユニット22の定格出力電流、Id3は第3コンバータ43の定格入力電流容量、Id4は第4コンバータ44の定格入力電流容量である。
【0081】
Id3 < Ipr2 (7)
Id4 < Ipr2 (8)
Id3+Id4 ≧ Ipr2 (9)
【0082】
上記の式(9)を満たすようにすることで、太陽電池ユニット22によって供給可能(発電可能)な発電電流を制限することなく負荷7や商用電源系統8に供給することができる。さらに、式(9)において、Id3+Id4=Ipr2とすれば、太陽電池ユニット22の供給を制限せずに、かつ、第3コンバータ43及び第4コンバータ44を小型化することができる。
【0083】
第1~第4コンバータ41~44の出力は、それぞれDCリンク線Ndを介してインバータの入力に接続される。すなわち、インバータの入力電流I20と、第1コンバータ41の出力電流I21、第2コンバータ42の出力電流I22、第3コンバータ43の出力電流I23及び第4コンバータ44の出力電流I24との間には、以下の関係式が成り立つ。
【0084】
I20=I21+I22+I23+I24 (10)
【0085】
なお、第3コンバータ43及び第4コンバータ44の具体的な回路構成例は、第1実施形態の第1コンバータ41と同じであり、ここでの詳細説明は省略する。
【0086】
コントローラ47は、太陽電池ユニット22から第3コンバータ43に取り出す電力量を制御するものである。同様に、コントローラ48は、太陽電池ユニット22から第4コンバータ44に取り出す電力量を制御するものである。コントローラ47,48は、それぞれ独立して接続先のスイッチング素子Qdのオンオフ動作を制御することにより、例えば、最大動作点追従制御が可能に構成されている。この最大動作点追従制御を行うことで、太陽電池ユニット22から第3コンバータ43に定格入力電流容量Id3に応じた電力を取り出し、太陽電池ユニット22から第4コンバータ44に定格入力電流容量Id4に応じた電力を取りだすことができるようになっている。
【0087】
以上のように、本実施形態では、太陽電池ユニット21に接続された第1及び第2コンバータ41,42、及び、太陽電池ユニット22に接続された第3及び第4コンバータ43,44が、それぞれ、互いに独立して最大電力点追従制御を行うコントローラ45,46,47,48を有する点に特徴がある。このように、それぞれのコンバータ41~44(コントローラ45~48)が互いに独立して最大電力点追従制御を行うことにより、太陽電池ユニット21からコンバータ41,42のそれぞれに分岐入力される電流の比率を時間の経過とともに自動的に切り替える機能が実現される。また、太陽電池ユニット22からコンバータ43,44のそれぞれに分岐入力される電流の比率を時間の経過とともに自動的に切り替える機能が実現される。
【0088】
なお、本実施形態に係る太陽光発電システム1の動作については、第1実施形態で説明した
図2~
図4の場合と同様であるので、ここではその詳細説明を省略する。具体的に、第1及び第2コンバータ41,42は、第1実施形態と同じ動作である。また、第3及び第4コンバータ43,44についても、入出力される電流や電圧の大きさが互いに異なる場合があるものの、動作波形自体は
図2~
図4と実質的に同じような波形になる。
【0089】
<第3実施形態>
図6は、第3実施形態の太陽光発電システムの全体構成例である。以下の説明では、
図5と共通の構成要素について、同一の符号を付しており、ここでは、
図5との違いを中心に説明する。
【0090】
図6では、第3コンバータ43に太陽電池ユニット25が1対1で接続されている。また、第4コンバータ44に太陽電池ユニット26が1対1で接続されている。この例では、太陽電池ユニット25の定格出力電流Ipr5は、第3コンバータ43の定格入力電流容量Id3より小さい。また、太陽電池ユニット26の定格出力電流Ipr6は、第4コンバータ44の定格入力電流容量Id4より小さい。
【0091】
この例においても、第1コンバータ41及び第2コンバータ42は、第1実施形態と同様に動作し、DCリンク線Ndに対して太陽電池ユニット21の出力に応じた出力電流I21,I22をそれぞれ出力する。第3コンバータ43では、コントローラ47が他のコンバータ41,42,44とは独立して最大動作点追従制御を実行することにより、太陽電池ユニット25からその発電量に応じた最大電力を取り出し、DCリンク線Ndに出力電流I23として出力する。第4コンバータ44では、コントローラ48が他のコンバータ41,42,43とは独立して最大動作点追従制御を実行することにより、太陽電池ユニット26からその発電量に応じた最大電力を取り出し、DCリンク線Ndに出力電流I24として出力する。言い換えると、太陽電池ユニット21,25,26のそれぞれからの出力が、それぞれの接続先のコンバータ41~44でDC-DC変換され、DCリンク線Ndで1つにまとめられて、インバータ5に入力される。
【0092】
なお、本実施形態に係る太陽電池ユニット21、第1コンバータ41及び第2コンバータの動作については、第1実施形態で説明した
図2~
図4の場合と同様であるので、ここではその詳細説明を省略する。
【0093】
以上をまとめると、太陽電池ユニット21の出力を分岐させた構成(第1実施形態に相当する構成)と、太陽電池ユニット25,26がそれぞれ1対1でコンバータ4(第3及び第4コンバータ43,44)に接続された構成とが混在するような構成であっても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、バッテリーユニットを含むパワーコンディショナシステムにおいて、DCリンク電圧をより安定させるのに有用である。
【符号の説明】
【0095】
2 太陽電池
3 パワーコンディショナ
4 DC-DCコンバータ
5 インバータ
45,46,47,48 コントローラ
Id1,Id2,Id3,Id4 定格入力電流容量
Ipr,Ipr2 定格出力電流
Nd DCリンク線