(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113428
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】インペラおよび回転機械
(51)【国際特許分類】
F04D 29/30 20060101AFI20230808BHJP
【FI】
F04D29/30 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015795
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐野 岳志
(72)【発明者】
【氏名】深尾 伸次
(72)【発明者】
【氏名】中川 篤
(72)【発明者】
【氏名】松本 圭介
(72)【発明者】
【氏名】宮川 和芳
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA12
3H130AB27
3H130AB46
3H130AC30
3H130BA04C
3H130CB01
3H130EB00C
3H130EB04C
(57)【要約】
【課題】インペラおよび回転機械において、流出口での圧力変動を低減することで圧力脈動の発生を抑制する。
【解決手段】軸線を中心する円板形状をなすハブと、ハブに対して軸線の方向に対向して配置されるシュラウドと、ハブとシュラウドとの間で周方向に間隔をあけて配置される複数のブレードと、を備え、子午面形状が周方向で相違する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を中心する円板形状をなすハブと、
前記ハブに対して前記軸線の方向に対向して配置されるシュラウドと、
前記ハブと前記シュラウドとの間で周方向に間隔をあけて配置される複数のブレードと、
を備え、
子午面形状が周方向で相違する、
インペラ。
【請求項2】
前記ハブと前記シュラウドと一対の前記ブレードとにより区画された流路は、外周部側の流出口の位置が、周方向の異なる位置で前記軸線の方向にずれる、
請求項1に記載のインペラ。
【請求項3】
前記流出口は、周方向に沿う基準線に対して、所定の傾斜角度をもつ傾斜線に沿って配置される、
請求項2に記載のインペラ。
【請求項4】
前記流出口は、通路形状が四角形状をなす、
請求項3に記載のインペラ。
【請求項5】
前記流出口は、通路形状が六角形状をなす、
請求項3に記載のインペラ。
【請求項6】
前記ブレードは、前記ハブと前記シュラウドとの中間部における外周部側の厚さが、前記ハブ側における外周部側の厚さおよび前記シュラウド側における外周部側の厚さより薄い、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のインペラ。
【請求項7】
複数のブレードの一方が前記ハブに固定されて他方が前記シュラウドに固定されるクローズドインペラである、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のインペラ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のインペラを有する回転機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インペラおよび回転機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転機械として、内部にインペラを収容した遠心圧縮機がある。遠心圧縮機は、インペラを回転させることで、流体に圧力エネルギーおよび速度エネルギーを与える。遠心圧縮機に適用されるインペラとして、ハブとシュラウドとの間に複数のブレードを配置したクローズドインペラがある。クローズドインペラとしては、例えば、下記特許文献に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的なクローズドインペラは、中心側にある流入口から外周部にある流出口に向けて螺旋形状をなす流路が設けられる。流路は、放射状に設けられることから、外周部に向けて通路面積が急拡大して流体が剥離しやすく、損失が発生しやすい。そのため、流入口から流出口に向けてブレードの厚さを徐々に厚くすることで、通路面積の急拡大を抑制することが考えられる。ところが、流入口から流出口に向けてブレードの厚さを徐々に厚くすると、ブレードの厚さ分だけ、複数の流出口が周方向で途切れる。すると、外周部の各流出口からの吐出される流体の圧力が周方向に変動し、圧力脈動が発生してしまうという課題がある。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、流出口での圧力変動を低減することで圧力脈動の発生を抑制するインペラおよび回転機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本開示のインペラは、軸線を中心する円板形状をなすハブと、前記ハブに対して前記軸線の方向に対向して配置されるシュラウドと、前記ハブと前記シュラウドとの間で周方向に間隔をあけて配置される複数のブレードと、を備え、子午面形状が周方向で相違する。
【0007】
また、本開示の回転機械は、前記インペラを有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示のインペラおよび回転機械によれば、流出口での圧力変動を低減することで圧力脈動の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態のインペラが適用された回転機械の要部を表す断面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態のインペラの上半部の子午面形状を表す
図2の矢視IIIの位置での断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態のインペラの上半部の子午面形状を表す
図2の矢視IVの位置での断面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態のインペラの上半部の子午面形状を表す
図2の矢視Vの位置での断面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態のインペラの上半部の子午面形状を表す
図2の矢視VIの位置での断面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態のインペラの流出口を表すインペラの要部側面図である。
【
図8】
図8は、インペラにおけるハブ側でのブレード形状を表す概略図である。
【
図9】
図9は、インペラにおけるハブとシュラウドとの中間部でのブレード形状を表す概略図である。
【
図10】
図10は、インペラにおけるシュラウド側でのブレード形状を表す概略図である。
【
図11】
図11は、第1変形例のインペラの流出口を表すインペラの要部側面図である。
【
図12】
図12は、第2変形例のインペラの流出口を表すインペラの要部側面図である。
【
図13】
図13は、第3変形例のインペラの流出口を表すインペラの要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0011】
[実施形態]
<遠心圧縮機>
図1は、回転機械に適用されたインペラの上半部の子午面形状を表す断面図である。本実施形態にて、回転機械として、遠心圧縮機を適用して説明する。
【0012】
図1に示すように、遠心圧縮機10は、ケーシング11と、回転軸12と、インペラ13とを備える。遠心圧縮機10は、インペラ13を回転させることで、作動流体(液体または気体など)に圧力エネルギーおよび速度エネルギーを与える。
【0013】
ケーシング11は、回転軸12の一部と、インペラ13を収容する。ケーシング11は、回転軸12の軸線Oの延びる方向(以下、軸線方向Daと称する)に長い筒形状をなす。ケーシング11は、軸線方向Daに沿う円柱形状をなす第1空間部21と、軸線方向Daに対して直交する方向(以下、径方向Drと称する)に広がる円板形状をなす第2空間部22とが設けられる。第2空間部22は、第1空間部21の軸線方向Daに間隔を空けて複数配置される。第1空間部21と複数の第2空間部22は、連通する。第1空間部21は、回転軸12が収容され、複数の第2空間部22は、それぞれインペラ13が収容される。
【0014】
ケーシング11は、軸線方向Daにおける一方側(
図1の左方側)に作動流体Gをインペラ13に導入する流入通路23が設けられる。また、ケーシング11は、径方向Drにおける一方側(
図1の上方側)に作動流体Gをインペラ13から排出する排出通路24が設けられる。排出通路24は、下流側がU字状をなすように軸線Oに向かって屈曲した後、L字状をなすように軸線方向Daの他方側(
図1の右方側)に沿って屈曲する。すなわち、排出通路24は、図示しないが、下流側に、ディフューザ部、リターンベンド部、戻り流路が設けられる。排出通路24は、戻り流路が軸線方向Daに隣接するインペラ13の流入通路23に連通する。
【0015】
回転軸12は、ケーシング11に対して軸線O回りに回転自在に支持される。回転軸12は、軸線方向Daの両端部がそれぞれ軸受(図示略)によりケーシング11に回転自在に支持される。インペラ13は、回転軸12に固定される。インペラ13は、回転軸12と一体となって回転する。インペラ13は、遠心力を利用して作動流体Gを圧縮する。
【0016】
<インペラの基本的構成>
図2は、インペラを表す正面図である。
【0017】
図1および
図2に示すように、インペラ13は、ハブ31と、シュラウド32と、複数のブレード33とを備えるクローズドインペラである。インペラ13は、ハブ31とシュラウド32との間に、複数のブレード33が周方向Dcに間隔(好ましくは、等間隔)を空けて配置されて構成される。複数のブレード33は、軸線方向Daの一方がハブ31に固定され、他方がシュラウド32に固定される。インペラ13は、ハブ31とシュラウド32と複数のブレード33とに囲まれる複数のインペラ流路34が設けられる。インペラ流路34は、軸線C側から外周部側にかけて、略90度屈曲すると共に、軸線Oを中心とする螺旋形状をなすように配置される。
【0018】
ハブ31は、軸線Oを中心とした円板形状をなす。ハブ31は、軸線方向Daの一方から他方に向けて、径方向Drの外方に徐々に拡径する。ハブ31は、中心部である軸線Oの位置に、軸線方向Daに貫通する円形の貫通孔41が形成される。ハブ31は、貫通孔41の内周面が回転軸12の外周面に嵌まり込んだ状態で、回転軸12に対して一体に固定される。
【0019】
ハブ31は、軸線方向Daの一方側に主面42形成される。主面42は、軸線方向Daの一方から他方に向かって、径方向Drの外方に広がる。主面42は、軸線方向Daの一方側の部分では、径方向Drの外方側を向き、軸線方向Daの他方側の部分では、軸線方向Daの一方側を向く。すなわち、主面42は、軸線方向Daの一方側から他方側に向かうに伴って、軸線方向Daの一方側を向くように湾曲することで、凹曲面状をなす。
【0020】
シュラウド32は、ハブ31に対して、軸線方向Daの他方側に所定距離だけ離間して配置される。シュラウド32は、軸線方向Daの一方から他方に向けて、径方向Drの外方に徐々に拡径する。シュラウド32は、軸線方向Daの他方側Dadに対向面43が形成される。対向面43は、軸線方向Daの一方側から他方側に向って、径方向Drの外方に広がる。対向面43は、軸線方向Daの一方側の部分では、径方向Drの外側を向き、軸線方向Daの他方側の部分では、軸線方向Daの他方側を向く。すなわち、対向面43は、軸線方向Daの一方側から他方側に向かうに伴って、軸線方向Daの他方側を向くように湾曲することで、凸曲面状をなす。
【0021】
ブレード33は、ハブ31とシュラウド32とを接続する。ブレード33は、軸線方向Daの一方がハブ31の主面42に固定され、軸線方向Daの他方がシュラウド32の対向面43に固定される。ブレード33は、軸線方向Daの一方側から径方向Drの外側に向かって万曲するように延びる。ブレード33は、軸線O周りの周方向Dcに間隔をあけて複数配置される。複数のブレード33は、軸線Oを中心として径方向Drの外方に向かって放射状に複数配列される。ブレード33は、径方向Drの内方側から径方向Drの外方に向かうに伴って、インペラ40の回転方向の後方に向かうように湾曲する。
【0022】
インペラ流路34は、ハブ31とシュラウド32との間で、複数のブレード33により周方向Dcに複数区画されて形成される。インペラ流路34は、軸線方向Daの一方側から他方側に向かうに伴って、径方向Drの内側から外側に向かうように湾曲しながら延びる。インペラ流路34は、径方向Drの内側で、且つ、軸線方向Daの一方側に開口する流入口44を有する。また、インペラ流路34は、径方向Drの外側で、且つ、軸線方向Daの他方側に開口する流出口45を有する。流入口44は、流入通路23に連通し、流出口45は、排出通路24に連通する。
【0023】
<インペラの子午面形状>
図3は、本実施形態のインペラの上半部の子午面形状を表す
図2の矢視IIIの位置での断面図、
図4は、本実施形態のインペラの上半部の子午面形状を表す
図2の矢視IVの位置での断面図、
図5は、本実施形態のインペラの上半部の子午面形状を表す
図2の矢視Vの位置での断面図、
図6は、本実施形態のインペラの上半部の子午面形状を表す
図2の矢視VIの位置での断面図である。
【0024】
インペラ13は、ハブ31と、シュラウド32と、複数のブレード33とを備え、ハブ31とシュラウド32と複数のブレード33により複数のインペラ流路34が形成されるクローズドインペラである。そして、インペラ13は、子午面形状が周方向Dcで相違する。
【0025】
すなわち、インペラ13にて、ハブ31とシュラウド32と複数のブレード33とにより区画された複数のインペラ流路34は、外周部側の流出口45の位置が、周方向Dcの異なる位置で軸線方向Daにずれる。
【0026】
図3から
図6は、周方向Dcにおける異なる位置でのインペラ13の上半部の子午面形状を表す断面図である。
図3に示すように、第1位置でのインペラ13の子午面形状にて、インペラ流路34-1は、基準インペラ流路34-0に対して、流出口45側が軸線方向Daで最もハブ31側に位置する。このとき、流出口45は、軸線方向Daの高さH1が基準インペラ流路34-0の高さHに対して短くなる。
図4に示すように、第2位置でのインペラ13の子午面形状にて、インペラ流路34-2は、基準インペラ流路34-0に対して、流出口45側が軸線方向Daでハブ31とシュラウド32の中間位置に対してややハブ31側に位置する。このとき、流出口45は、軸線方向Daの高さH2が基準インペラ流路34-0の高さHに対して短くなる。
【0027】
図5に示すように、第3位置でのインペラ13の子午面形状にて、インペラ流路34-3は、基準インペラ流路34-0に対して、流出口45側が軸線方向Daでハブ31とシュラウド32の中間位置に対してややシュラウド32側に位置する。このとき、流出口45は、軸線方向Daの高さH3が基準インペラ流路34-0の高さHに対して短くなる。
図6に示すように、第4位置でのインペラ13の子午面形状にて、インペラ流路34-4は、基準インペラ流路34-0に対して、流出口45側が軸線方向Daで最もシュラウド32側に位置する。このとき、流出口45は、軸線方向Daの高さH4が基準インペラ流路34-0の高さHに対して短くなる。
【0028】
なお、各位置でのインペラ13の子午面形状にて、軸線方向Daのインペラ流路34(流出口45)高さH1,H2,H3,H4は、同じ高さでもよいし、異なる高さであってもよい。
【0029】
図7は、本実施形態のインペラの流出口を表すインペラの要部側面図である。
【0030】
図7に示すように、インペラ13は、インペラ流路34における流出口45の位置が周方向Dcの異なる位置で軸線方向Daにずれる。そのため、インペラ13を外周部側から径方向Drに見た流出口45の形状は、周方向Dcに沿う基準線L1に対して、所定の傾斜角度θをもつ傾斜線L2に沿って配置される。このとき、流出口45は、通路形状が四角形状(平行四辺形状)をなす。
【0031】
ブレード33は、本体部33aと、2個の延出部33b,33cとを有する。本体部33aは、軸線方向Daの一方がハブ31に固定されて他方がシュラウド32に固定される。延出部33bは、本体部33aから周方向Dcの一方にシュラウド32に沿って先細をなすように延出し、シュラウド32に固定される。延出部33cは、本体部33aから周方向Dcの他方にハブ31に沿って先細をなすように延出し、ハブ31に固定される。インペラ流路34(流出口45)は、ブレード33の本体部33aの面34aと、延出部33bの面34bと、隣接するブレード33の本体部33aの面34cと、延出部33cの面34dとにより区画されて形成され、四角形状(平行四辺形状)をなす。なお、インペラ13は、周方向Dcの他方側(
図7の左方側)に回転することから、ブレード33は、面34dが圧力面となり、面34bが負圧面となる。
【0032】
この場合、インペラ流路34(流出口45)は、
図3から
図6の各位置でのインペラ流路34-1,34-2,34-3,34-4の形状がインペラ流路34の長手方向で連続して変化することで、面34b,34dが形成され、流出口45が四角形状(平行四辺形状)になる。なお、インペラ流路34(流出口45)は、
図3から
図6の各位置でのインペラ流路34-1,34-2,34-3,34-4の形状がインペラ流路34の長手方向で段階的に変化させてもよい。
【0033】
図8は、インペラにおけるハブ側でのブレード形状を表す概略図、
図9は、インペラにおけるハブとシュラウドとの中間部でのブレード形状を表す概略図、
図10は、インペラにおけるシュラウド側でのブレード形状を表す概略図である。
【0034】
上述したように、インペラ13は、流出口45の形状が傾斜線L2に沿った六角形状をなすことから、ブレード33は、軸線方向Daにおける異なる位置で、厚さが相違する。
図8は、ハブ31側でのブレード形状を表し、
図9は、ハブ31とシュラウド32の中間部でのブレード形状を表し、
図10は、シュラウド32側でのブレード形状を表す。
図8から
図10に示すように、ブレード33は、ハブ31とシュラウド32との中間部における外周部側(流出口45)の厚さが、ハブ31側における外周部側(流出口45)の厚さおよびシュラウド32側における外周部側(流出口45)の厚さより薄い。
【0035】
すなわち、
図7に示すように、ブレード33は、ハブ31側における外周部側(流出口45側)の厚さC1と、シュラウド32側における外周部側(流出口45側)の厚さC3は、同じである。そして、ブレード33は、ハブ31とシュラウド32との中間部における外周部側(流出口45側)の厚さC2が、ハブ31側の厚さC1およびシュラウド32側の厚さC1,C3より薄く設定される。
【0036】
図8から
図10に示すように、ブレード33は、ハブ31側における厚さとシュラウド32側における厚さが軸線O側からインペラ13の外周部側に向けて徐々に厚くなる。そのため、インペラ流路34は、ハブ31側における幅とシュラウド32側における幅がほぼ同じであり、流入口44から流出口45に向けたインペラ流路34は、通路面積の急拡大が抑えられている。そのため、インペラ13は、インペラ流路34における通路面積の急拡大が抑制されることから、インペラ流路34の内面からの作動流体の剥離が抑制され、損失が低減される。
【0037】
一方、ブレード33は、ハブ31とシュラウド32との中間部における厚さが軸線O側からインペラ13の外周部側に向けてほぼ一定である。インペラ13は、インペラ流路34におけるハブ31側の領域やシュラウド32側の領域より、ハブ31とシュラウド32との中間部の領域で効率良く作動流体を圧縮する。そのため、この領域の容積を十分に確保することで、効率的に揚程(圧力)を確保することができ、効率を向上させることができる。
【0038】
そして、ブレード33は、ハブ31とシュラウド32との中間部における流出口45側での厚さが、ハブ31側およびシュラウド32側における流出口45側の厚さより薄い。すると、インペラ13の外周部に設けられる複数の流出口45は、周方向Dcにほぼ連続するものとなる。すなわち、複数の流出口45は、ブレード33における本体部33aの厚さ分だけしか途切れない。そのため、各流出口45からの作動流体の吐出が途切れにくくなって、圧力変動が小さくなり、圧力脈動の発生を抑制することができる。
【0039】
本実施形態のインペラ13は、切削加工により製造するものであるが、製造方法は限定されない。例えば、AM(Additive Manufacturing)などの三次元積層造形方法により製造してもよい。
【0040】
[変形例]
図11は、第1変形例のインペラの流出口を表すインペラの要部側面図、
図12は、第2変形例のインペラの流出口を表すインペラの要部側面図、
図13は、第3変形例のインペラの流出口を表すインペラの要部側面図である。
【0041】
第1変形例において、
図11に示すように、インペラ13Aは、ハブ31と、シュラウド32と、複数のブレード33Aとを備え、ハブ31とシュラウド32と複数のブレード33Aにより複数のインペラ流路34Aが形成されるクローズドインペラである。そして、インペラ13Aは、子午面形状が周方向Dcで相違する。すなわち、インペラ13Aにて、ハブ31とシュラウド32と複数のブレード33Aとにより区画された複数のインペラ流路34Aは、外周部側の流出口45の位置が、周方向Dcの異なる位置で軸線方向Daにずれる。
【0042】
インペラ13Aは、
図3から
図6で示すように、周方向Dcにおける異なる位置での子午面形状が相違する。つまり、インペラ13Aは、回転方向の上流側から、
図3、
図4、
図5、
図6の順に子午面形状が変化する。インペラ13Aにおける子午面形状の変化は、上述した実施形態と同様である。そして、インペラ13Aを外周部側から径方向Drに見た流出口45の形状は、周方向Dcに沿う基準線L1に対して、所定の傾斜角度θをもつ傾斜線L3に沿って配置される。このとき、流出口45は、通路形状が六角形状をなす。
【0043】
ブレード33Aは、本体部33aと、2個の延出部33b,33cとを有する。本体部33aは、軸線方向Daの一方がハブ31に固定されて他方がシュラウド32に固定される。延出部33bは、本体部33aから周方向Dcの一方にシュラウド32に沿って先細をなすように延出し、シュラウド32に固定される。延出部33cは、本体部33aから周方向Dcの他方にハブ31に沿って先細をなすように延出し、ハブ31に固定される。インペラ流路34A(流出口45)は、ブレード33Aの本体部33aの面34aと、延出部33bの面34bと、シュラウド32の面34cと、隣接するブレード33Aの本体部33aの面34dと、延出部33cの面34eと、ハブ31の面34fとにより区画されて形成され、六角形状をなす。
【0044】
第2変形例において、
図12に示すように、インペラ13Bは、ハブ31と、シュラウド32と、複数のブレード33Bとを備え、ハブ31とシュラウド32と複数のブレード33Bにより複数のインペラ流路34Bが形成されるクローズドインペラである。そして、インペラ13Bは、子午面形状が周方向Dcで相違する。すなわち、インペラ13Bにて、ハブ31とシュラウド32と複数のブレード33Bとにより区画された複数のインペラ流路34Bは、外周部側の流出口45の位置が、周方向Dcの異なる位置で軸線方向Daにずれる。
【0045】
インペラ13Bは、
図3から
図6で示すように、周方向Dcにおける異なる位置での子午面形状が相違する。つまり、インペラ13Aは、回転方向の上流側から、
図6、
図5、
図4、
図3の順に子午面形状が変化する。インペラ13Bにおける子午面形状の変化は、上述した第1変形例と逆である。そして、インペラ13Bを外周部側から径方向Drに見た流出口45の形状は、周方向Dcに沿う基準線L1に対して傾斜した傾斜線L4に沿って配置される。このとき、流出口45は、通路形状が平行四角形状をなす。つまり、周方向Dcの異なる各位置でのインペラ13Bの子午面形状にて、軸線方向Daに沿う流出口45の高さは、同じ高さである。
【0046】
第3変形例において、
図13に示すように、インペラ13Cは、ハブ31と、シュラウド32と、複数のブレード33C,33Dとを備え、ハブ31とシュラウド32と複数のブレード33C,33Dにより複数のインペラ流路34A,34Bが形成されるクローズドインペラである。そして、インペラ13Cは、子午面形状が周方向Dcで相違する。すなわち、インペラ13Cにて、ハブ31とシュラウド32と複数のブレード33C,33Dとにより区画された複数のインペラ流路34A,34Bは、外周部側の流出口45の位置が、周方向Dcの異なる位置で軸線方向Daにずれる。
【0047】
すなわち、インペラ13Cは、第1実施形態(
図7)と第2変形例(
図12)の組合せであり、異なる形状のブレード33C,33Dを周方向Dcに交互に配置することで、異なる形状のインペラ流路34A,34Bを周方向Dcに交互に配置する。
【0048】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係るインペラは、軸線Oを中心する円板形状をなすハブ31と、ハブ31に対して軸線方向Daに対向して配置されるシュラウド32と、ハブ31とシュラウド32との間で周方向Dcに間隔をあけて配置される複数のブレード33,33A,33B,33C,33Dとを備え、子午面形状が周方向Dcで相違する。
【0049】
第1の態様に係るインペラによれば、インペラ13,13A,13B,13Cの子午面形状が周方向Dcで相違することから、例えば、流出口45の特定の位置をハブ31側やシュラウド32側にずらして偏られることで、複数の流出口45が周方向Dcにほぼ連続するものとなる。すなわち、複数の流出口45は、ブレード33,33A,33B,33C,33Dにおける本体部33aの厚さ分だけしか途切れず、各流出口45からの作動流体の吐出が途切れにくくり、圧力変動が小さくなり、流出口45での周方向の圧力変動を低減することで圧力脈動の発生を抑制することができる。
【0050】
第2の態様に係るインペラは、ハブ31とシュラウド32と一対のブレード33,33A,33B,33C,33Dとにより区画されたインペラ流路34,34A,34Bは、外周部側の流出口45の位置が、周方向Dcの異なる位置で軸線方向Daにずれる。これにより、複数の流出口45同士を周方向Dcにできるだけ接近させることができ、流出口45での圧力変動が小さくなり、圧力脈動の発生を抑制することができる。
【0051】
第3の態様に係るインペラは、流出口45は、周方向Dcに沿う基準線L1に対して、所定の傾斜角度θをもつ傾斜線L2,L3,L4に沿って配置される。これにより、複数の流出口45同士を周方向Dcにできるだけ接近させることができる。
【0052】
第4の態様に係るインペラは、流出口45は、通路形状が四角形状をなす。これにより、ブレード33による流出口45を閉塞する領域を周方向Dcに減少させることができ、周方向Dcの圧力脈動を効果的に抑制することができ、性能を向上することができる。
【0053】
第5の態様に係るインペラは、流出口45は、通路形状が六角形状をなす。これにより、ブレード33による流出口45を閉塞する領域を周方向Dcに減少させることができ、周方向Dcの圧力脈動を効果的に抑制することができ、性能を向上することができる。
【0054】
第6の態様に係るインペラは、ブレード33,33A,33B,33C,33Dは、ハブ31とシュラウド32との中間部における外周部側の厚さC2が、ハブ31側における外周部側の厚さC1およびシュラウド32側における外周部側の厚さC3より薄い。これにより、ハブ31側とシュラウド32側におけるブレード33,33A,33B,33C,33Dの厚さを外周部側に向けて徐々に厚くなることで、インペラ流路34,34A,34Bの通路面積の急拡大が抑制される。そのため、インペラ流路34の内面からの作動流体の剥離が抑制され、損失を低減することができる。一方で、ハブ31とシュラウド32との中間部におけるブレード33,33A,33B,33C,33Dの厚さが外周部側に向けてほぼ一定であることから、この領域の容積を十分に確保することで、効率的に揚程(圧力)を確保することができ、効率を向上させることができる。
【0055】
第7の態様に係るインペラは、複数のブレード33,33A,33B,33C,33Dの一方がハブ31に固定されて他方がシュラウド32に固定されるクローズドインペラである。これにより、インペラ13,13A,13B,13Cの流出口45での圧力変動を小さくし、圧力脈動の発生を抑制することができる。
【0056】
第8の態様に係る回転機械は、インペラ13,13A,13B,13Cを有する。これにより、インペラ13,13A,13B,13Cの流出口45での圧力変動が小さくなり、圧力脈動の発生を抑制することができ、その結果、回転機械の効率を向上することができる。
【0057】
なお、上述した実施形態では、インペラ13,13A,13B,13Cの子午面形状を周方向Dcにて、
図3から
図6の順、または、その逆に変化するものとし、流出口45の形状を六角形状や四角形状としたが、この形状に限定されるものではない。インペラの子午面形状が周方向Dcの異なる位置で相違していれば、いかなる形状であってもよい。
【0058】
また、上述した実施形態では、インペラ13,13A,13B,13Cをクローズドインペラとしたが、ハブとブレードがシュラウドに対して回転するオープンインペラであってもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、回転機械を遠心圧縮機として説明したが、他の回転機械であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 遠心圧縮機(回転機械)
11 ケーシング
12 回転軸
13,13A,13B,13C インペラ
21 第1空間部
22 第2空間部
23 流入通路
24 排出通路
31 ハブ
32 シュラウド
33,33A,33B,33C,33D ブレード
34,34A,34B インペラ流路
41 貫通孔
42 主面
43 対向面
44 流入口
45 流出口