(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113438
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】電動作業車
(51)【国際特許分類】
H02J 7/04 20060101AFI20230808BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230808BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20230808BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20230808BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20230808BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20230808BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20230808BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230808BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
H02J7/04 C
H02J7/00 P
H02J7/00 303C
H02J7/10 J
B60L50/60
B60L53/14
B60L58/12
B60L1/00 L
H01M10/48 P
H01M10/44 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015812
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】青木 啓太
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 一人
(72)【発明者】
【氏名】丹波 大樹
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 竣也
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA04
5G503BA02
5G503BB02
5G503CB06
5G503DA07
5G503DB01
5G503EA05
5G503EA08
5G503FA06
5G503GB03
5G503GB06
5G503GC04
5H030AA10
5H030AS08
5H030BB01
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BA00
5H125BB09
5H125BC21
5H125BC25
5H125BE02
5H125DD02
5H125EE27
5H125EE47
(57)【要約】
【課題】当該作業車が使用されない状態が長く続くことがあっても、電動モータを駆動できる状態にまでバッテリーを充電できるようにすることが要望されていた。
【解決手段】車体を走行駆動可能な電動モータMと、電動モータMに駆動用電力を供給するとともに、外部の給電装置KDにより充電可能な第一バッテリー4と、車体に搭載されている電装品に電力を供給するとともに、充電可能な第二バッテリー41と、第一バッテリー4と第二バッテリー41との間で電圧値を調整しながら電力を供給可能な電圧変換器42と、第二バッテリー41からの電力が供給されて、給電装置KDによる充電状態を制御するとともに、電圧変換器42の作動を制御する制御装置43と、が備えられ、制御装置43は、設定周期毎に繰り返し、第一バッテリー4からの電力により第二バッテリー41を充電するように、電圧変換器42の作動を制御するインターバル充電処理を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体を走行駆動可能な電動モータと、
前記電動モータに駆動用電力を供給するとともに、外部の給電装置により充電可能な第一バッテリーと、
車体に搭載されている電装品に電力を供給するとともに、充電可能な第二バッテリーと、
前記第一バッテリーと前記第二バッテリーとの間で電圧値を調整しながら電力を供給可能な電圧変換器と、
前記第二バッテリーからの電力が供給されて、前記給電装置による充電状態を制御するとともに、前記電圧変換器の作動を制御する制御装置と、が備えられ、
前記制御装置は、設定周期毎に繰り返し、前記第一バッテリーからの電力により前記第二バッテリーを充電するように、前記電圧変換器の作動を制御するインターバル充電処理を実行する電動作業車。
【請求項2】
前記設定周期は、その周期内において充電が行われなくても充電量を確保することが可能な程度の長さに設定されている請求項1に記載の電動作業車。
【請求項3】
前記制御装置は、前記電動モータの作動を制御するように構成され、
持ち運び可能な操作キーが車体に近接する状態、あるいは、前記操作キーが被装着部に装着された状態で、手動操作されることにより、前記制御装置を動作可能状態に切り換える始動指令手段、が備えられ、
前記制御装置は、前記操作キーが車体から離間する状態あるいは前記操作キーが前記被装着部から取り外された状態に切り換わると、前記電動モータの作動制御を行わない非作動状態に切り換わるように構成され、
前記制御装置は、前記非作動状態においても前記インターバル充電処理を実行可能に構成されている請求項1又は2に記載の電動作業車。
【請求項4】
前記制御装置は、前記操作キーが車体から離間する状態あるいは前記操作キーが前記被装着部から取り外された状態に切り換わったのちは、前記インターバル充電処理のみを実行可能な省電力モードで作動するように構成されている請求項3に記載の電動作業車。
【請求項5】
前記第二バッテリーとは別に、前記制御装置に対して電力を供給可能な予備バッテリーが備えられている請求項1から4のいずれか1項に記載の電動作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体を走行駆動可能な電動モータと、電動モータに駆動用電力を供給するバッテリーと、を備えた電動作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電動作業車には、例えば、特許文献1に記載されるように、車体走行用の電動モータに電力を供給するバッテリー(第一バッテリー)とは別に、各種制御を実行する制御装置等の電子機器に電力を供給する低電圧の車載バッテリー(第二バッテリー)が備えられている。制御装置は、電動モータの作動及びバッテリーへの充電等の制御を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第一バッテリーは電動モータを駆動するために大容量に構成されるが、第二バッテリーは第一バッテリーに比べて容量が小さい。そして、当該作業車が使用されない状態が長く続くと、第二バッテリーが放電して充電量が大きく低下することがある。このように第二バッテリーの充電量が低下してしまうと、制御装置を作動させることができないおそれがある。そうすると、第一バッテリーに対する充電を行うことができず、電動モータを駆動して走行することができない状態となる。
【0005】
そこで、当該作業車が使用されない状態が長く続くことがあっても、電動モータを駆動できる状態にまでバッテリーを充電できるようにすることが要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電動作業車の特徴構成は、車体を走行駆動可能な電動モータと、前記電動モータに駆動用電力を供給するとともに、外部の給電装置により充電可能な第一バッテリーと、車体に搭載されている電装品に電力を供給するとともに、充電可能な第二バッテリーと、前記第一バッテリーと前記第二バッテリーとの間で電圧値を調整しながら電力を供給可能な電圧変換器と、前記第二バッテリーからの電力が供給されて、前記給電装置による充電状態を制御するとともに、前記電圧変換器の作動を制御する制御装置と、が備えられ、前記制御装置は、設定周期毎に繰り返し、前記第一バッテリーからの電力により前記第二バッテリーを充電するように、前記電圧変換器の作動を制御するインターバル充電処理を実行する点にある。
【0007】
本発明によれば、制御装置は、設定周期が経過する毎にインターバル充電処理を実行する。すなわち、第一バッテリーからの電力により第二バッテリーを充電する。例えば、当該作業車が使用される状態から使用されない状態になった場合であっても、その後において、設定周期毎に繰り返しインターバル充電処理を実行することにより、第二バッテリーの充電量が低下することを回避することができる。
【0008】
その結果、使用されずに長時間放置される場合であっても、第二バッテリーの充電量が大きく低下することを回避することができ、制御装置を作動させて外部の給電装置により第一バッテリーを充電することが可能となる。
【0009】
従って、当該作業車が使用されない状態が長く続くことがあっても、電動モータを駆動できる状態にまで第一バッテリーを充電できるようにすることが可能となった。
【0010】
本発明においては、前記設定周期は、その周期内において充電が行われなくても充電量を確保することが可能な程度の長さに設定されていると好適である。
【0011】
本構成によれば、インターバル充電処理を実行するときには、第二バッテリーの充電量が確保されており、放電によって制御装置を作動させることができない程度にまで充電量が低下することがない。
【0012】
本発明においては、前記制御装置は、前記電動モータの作動を制御するように構成され、持ち運び可能な操作キーが車体に近接する状態、あるいは、前記操作キーが被装着部に装着された状態で、手動操作されることにより、前記制御装置を動作可能状態に切り換える始動指令手段、が備えられ、前記制御装置は、前記操作キーが車体から離間する状態あるいは前記操作キーが前記被装着部から取り外された状態に切り換わると、前記電動モータの作動制御を行わない非作動状態に切り換わるように構成され、前記制御装置は、前記非作動状態においても前記インターバル充電処理を実行可能に構成されていると好適である。
【0013】
本構成によれば、操作キーが車体に近接する状態、あるいは、操作キーが被装着部に装着された状態で、始動指令手段が手動操作されると、制御装置が動作可能状態に切り換わり、当該作業車による作業等が行われる。そして、作業が終了したのち、オペレータが操作キーを持ったまま車体から離間する、あるいは、操作キーが被装着部から取り外された状態に切り換わると、制御装置は、電動モータの作動制御を行わない非作動状態に切り換わる。
【0014】
制御装置が非作動状態に切り換わったのちは、作業が終了して、オペレータが車体から離れた状態であるから、当該作業車が使用されずにそのまま長時間放置されることが考えられる。しかし、制御装置は、このように非作動状態に切り換わった後においても、インターバル充電処理を実行可能であるから、第二バッテリーが放電して充電量が低下することを防止できる。
【0015】
本発明においては、前記制御装置は、前記操作キーが車体から離間する状態あるいは前記操作キーが前記被装着部から取り外された状態に切り換わったのちは、前記インターバル充電処理のみを実行可能な省電力モードで作動するように構成されていると好適である。
【0016】
本構成によれば、当該作業車が使用されずにそのまま長時間放置される状態であっても、制御装置が省電力モードで作動することで、第二バッテリーの電力消費を抑制することができ、第二バッテリーが早期に充電量が低下することを防止できる。
【0017】
本発明においては、前記第二バッテリーとは別に、前記制御装置に対して電力を供給可能な予備バッテリーが備えられていると好適である。
【0018】
本構成によれば、何らかの要因で第二バッテリーの充電量が低下した場合であっても、予備バッテリーによって制御装置を作動させてインターバル充電処理を実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図6】別実施形態の充電用の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図中の矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。図中の矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0021】
〔トラクタの全体構成〕
以下では、本発明に係る電動作業車の一例としてのトラクタについて説明する。
図1に示すように、トラクタは、左右の前車輪10、左右の後車輪11、カバー部材12を備えている。
【0022】
トラクタは、機体フレーム2及び運転部3を備えている。機体フレーム2は、左右の前車輪10及び左右の後車輪11に支持されている。
【0023】
カバー部材12は、機体前部に配置されている。そして、運転部3は、カバー部材12の後方に設けられている。言い換えれば、カバー部材12は、運転部3の前方に配置されている。
【0024】
運転部3は、保護フレーム30、運転座席31、ステアリングホイール32を有している。オペレータは、運転座席31に着座可能である。これにより、オペレータは、運転部3に搭乗可能である。ステアリングホイール32の操作によって、左右の前車輪10は操向操作される。オペレータは、運転部3において、各種の運転操作を行うことができる。
【0025】
トラクタは、第一バッテリーとしての走行用バッテリー4を備えている。カバー部材12は、機体左右方向に沿う開閉軸芯Q周りに揺動可能に構成されている。これにより、カバー部材12は、開閉可能に構成されている。カバー部材12が閉状態であるとき、走行用バッテリー4は、カバー部材12に覆われている。
【0026】
図2に示すように、トラクタは、インバータ14及び電動モータMを備えている。走行用バッテリー4は、インバータ14へ電力を供給する。インバータ14は、走行用バッテリー4からの直流電力を交流電力に変換して電動モータMへ供給する。そして、電動モータMは、インバータ14から供給される交流電力により駆動する。
【0027】
図2及び
図3に示すように、トラクタは、静油圧式無段変速機15及びトランスミッション16を備えている。
図3に示すように、静油圧式無段変速機15は、油圧ポンプ15a及び油圧モータ15bを有している。
【0028】
油圧ポンプ15aは、電動モータMからの回転動力により駆動する。油圧ポンプ15aが駆動することにより、油圧モータ15bから回転動力が出力される。尚、静油圧式無段変速機15は、油圧ポンプ15aと油圧モータ15bとの間で回転動力が変速されるように構成されている。静油圧式無段変速機15は、変速比を無段階に変更可能に構成されている。
【0029】
油圧モータ15bから出力された回転動力は、トランスミッション16に伝達される。トランスミッション16に伝達された回転動力は、トランスミッション16の有するギヤ式変速機構によって変速され、左右の前車輪10及び左右の後車輪11へ分配される。これにより、左右の前車輪10及び左右の後車輪11が駆動する。
【0030】
図2及び
図3に示すように、トラクタは、ミッドPTO軸17及びリヤPTO軸18を備えている。電動モータMから出力された回転動力は、油圧ポンプ15a、ミッドPTO軸17、リヤPTO軸18へ分配される。これにより、ミッドPTO軸17及びリヤPTO軸18が回転する。
【0031】
ミッドPTO軸17又はリヤPTO軸18に作業装置が接続されていれば、ミッドPTO軸17又はリヤPTO軸18の回転動力により、作業装置が駆動することとなる。例えば、
図2に示すように、本実施形態では、ミッドPTO軸17に草刈装置19が接続されている。ミッドPTO軸17の回転動力により、草刈装置19が駆動する。
【0032】
〔モータの制御に係る構成〕
図4に示すように、電動モータMの制御に係る構成は、アクセル装置33と、電動モータMの作動を制御する制御装置34と、インバータ14と、を備えている。アクセル装置33は、ステアリングホイール32の近傍に備えられている。アクセル装置33は、図示はしないが、揺動操作可能なレバーと、レバーの揺動操作によって操作されるポテンショメータとを備えている。アクセル装置33は制御装置34と接続されている。制御装置34は、信号用ハーネス35を介してインバータ14と接続されている。制御装置34は、アクセル装置33の指令に応じて、インバータ14に指令するように構成されている。インバータ14は、制御装置34の指令に応じて、走行用バッテリー4から電動モータMに供給される電力を調整して電動モータMの出力を制御するように構成されている。
【0033】
〔充電に係る構成〕
図4に示すように、走行用バッテリー4は外部の給電装置KDにより充電可能である。トラクタには、給電装置KDの給電用コネクタ36が接続可能な充電用接続部37が備えられている。充電用接続部37は、カバー部材12の内部に備えられ、カバー部材12を揺動開放すると、外方に露出する。制御装置34は、電動モータMの作動を制御するとともに、給電装置KDによる充電状態を制御する。
【0034】
充電用接続部37は、一般的に使用される標準的な規格に準拠したものである。給電用コネクタ36が充電用接続部37に接続された状態で、電力供給線39を介して走行用バッテリー4に対する充電が行われる。走行用バッテリー4は、電力供給線39を介して高電圧(例えば、数十ボルト~数百ボルト)の電力を、インバータ14、電動モータMに供給する。
【0035】
走行用バッテリー4は、例えば、リチウムイオンバッテリーを用いて構成され、図示はしないが、低電圧の小型の単位電池(セル)を多数積層した状態で構成され、外側が収納ケースによって密閉状態で覆われて収納されている。
【0036】
トラクタには、走行用バッテリー4の他に、制御装置34及びその他の電装品に電力を供給する第二バッテリーとしての電装品用バッテリー41が備えられている。電装品用バッテリー41は、電装品を駆動するために低電圧(12ボルト)の電力を供給する。電装品用バッテリー41は、DC/DCコンバータ(電圧変換器)42を介して走行用バッテリー4から供給される電力にて充電される。DC/DCコンバータ42は、走行用バッテリー4と電装品用バッテリー41との間で電圧値を調整しながら電力を供給可能である。すなわち、電力を供給して充電可能である。
【0037】
運転部3に、制御装置34を動作可能状態と非作動状態とに切り換え可能な始動指令手段としての切換操作部44が備えられている。切換操作部44は、持ち運び可能な操作キー45が差し込み装着可能な被装着部としての差し込み部46と、手動にて押し操作可能な押しボタン式のスイッチ47とを備えている。操作キー45が差し込み部46に差し込み装着された状態で、スイッチ47が押し操作されることにより、制御装置34を非作動状態から動作可能状態に切り換えることができる。操作キー45は、一般的な車両用のキーと同様に、当該作業車でのみ識別可能な鍵として機能するものである。
【0038】
操作パネル43には、例えば、車体の走行状態、作業状態、バッテリーの情報(充電量や温度)等を表示するメータパネル48が備えられている。メータパネル48は、制御装置34に接続され、制御装置34にて作動が制御されている。
【0039】
制御装置34、インバータ14、走行用バッテリー4、DC/DCコンバータ42、メータパネル48、及び、充電用接続部37等は、CAN(Controller Area Network)方式の信号用ハーネス35を介してデータを通信可能に接続されている。制御装置34は、充電通信用ハーネス49を介して充電用接続部37との間で通信が行われ、給電用コネクタ36が充電用接続部37に接続されているか否かについての情報、及び、作業車側で必要とされる充電電流の情報等が伝達される。充電用接続部37と給電装置KDとの間でも信号が通信可能に構成されている。又、制御装置34に切換操作部44の操作情報が入力される。
【0040】
制御装置34は、給電用コネクタ36が充電用接続部37に接続されている状態で、操作キー45が差し込み部46に差し込み装着されると、充電モードに切り換わり、給電装置KDにより走行用バッテリー4への充電を行うことができる。
【0041】
制御装置34は、操作キー45が差し込み部46に差し込み装着されている状態で、スイッチ47が押し操作されると、電動モータMを動作可能な動作可能状態に切り換わる。制御装置34は、操作キー45が差し込み部46から取り外された状態に切り換わると、電動モータMの作動制御を行わない非作動状態に切り換わるように構成されている。
【0042】
制御装置34は、非作動状態においても、設定周期毎に繰り返し、走行用バッテリー4からの電力により電装品用バッテリー41を充電するようにDC/DCコンバータ42の作動を制御するインターバル充電処理を実行するように構成されている。
【0043】
以下、
図5のフローチャートを参照しながら制御装置34の制御について説明する。
当該作業車にて作業を行う場合には、オペレータにより運転部3の操作パネル43に備えられた切換操作部44において、操作キー45が差し込み部46に差し込み装着される。そのとき、給電装置KDの給電用コネクタ36が充電用接続部37に接続されていれば、走行用バッテリーに対する充電処理を実行する(ステップ♯1、♯2、♯3)。
【0044】
充電処理においては、給電装置KDに対して給電を行うように充電通信用ハーネス49を介して必要な情報を送信して、給電装置KDによる走行用バッテリー4に対する充電作動を開始する。そして、走行用バッテリー4が予め設定されている充電状態まで充電が行われ、満充電状態になると充電を停止する。
【0045】
給電用コネクタ36が充電用接続部37に接続されていない状態で、スイッチ47が押し操作されると、電動モータMを動作可能な動作可能状態に切り換わる(ステップ♯04)。そして、詳述はしないが、オペレータによる操作指令に基づいて電動モータMの作動を制御する(ステップ♯05)。尚、この電動モータMの作動制御において、スイッチ47が再度押し操作されると、電動モータMの作動を停止させることができる。
【0046】
当該作業車による作業が終了したのち、オペレータが操作キー45を差し込み部46から抜き外すことになるが、操作キー45が抜き外されると、制御装置34は、電動モータMの作動制御を行わない非作動状態に切り換わる(ステップ♯06、♯07)。非作動状態に切り換わると、後述するインターバル充電処理のみを実行可能な省電力モードに切り換わる。省電力モードは、電動モータMを作動させて作業を行う通常電力モードに比べて消費電力が少ない状態となる。
【0047】
非作動状態に切り換わると、設定周期毎に繰り返し、走行用バッテリー4からの電力により電装品用バッテリー41を充電するように、DC/DCコンバータ42の作動を制御するインターバル充電処理を実行する。
【0048】
すなわち、非作動状態に切り換わると、タイマーカウントを開始し(ステップ♯08)、タイマーカウント時間が設定時間(設定周期に対応)に達すると、DC/DCコンバータ42の作動を制御して走行用バッテリー4からの電力により電装品用バッテリー41を充電する(ステップ♯10、♯11)。充電処理が終了すると、タイマーカウント値をリセットして(ステップ♯12)、再度、タイマーカウントを開始する。そして、ステップ♯08~ステップ♯12の処理が設定時間毎に繰り返し行われることになる。このステップ♯08、♯10、♯11、♯12の処理がインターバル充電処理に対応する。
【0049】
インターバル充電処理を実行している途中で、操作キー45が差し込み部46に差し込み装着されると、初期状態(ステップ♯01)にリターンする(ステップ♯09)。尚、そのとき、省電力モードから通常電力モードに復帰することになる。その後は、走行用バッテリー4への充電処理、あるいは、電動モータMの作動制御を実行することができる。
【0050】
設定時間(設定周期)は、その周期内において充電が行われなくても充電量を確保することが可能な程度の長さに設定されている。例えば、1週間程度の長さに設定することができる。要するに、電装品用バッテリー41が放電して充電量が非常に少なくなるおそれがない程度の長さである。
【0051】
このようなインターバル充電処理を実行することにより、当該作業車が使用されない状態が長期間継続することがあっても、電装品用バッテリー41の充電量が非常に少なくなることを未然に回避して、走行用バッテリー4への充電を良好に行うことができる。
【0052】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、制御装置34が、インターバル充電処理を実行するとともに、電動モータMの作動を制御する構成としたが、この構成に代えて、走行用バッテリー4や電装品用バッテリー41への充電処理を実行する第一の制御装置と、電動モータMの作動を制御する第二の制御装置とを各別に備えて、第一の制御装置がインターバル充電処理を実行するように構成されるものでもよい。
【0053】
(2)上記実施形態では、操作キー45が差し込み部46に差し込み装着可能に構成されるものを示したが、この構成に代えて、操作キー45が機体側の受信部との間で無線通信可能であり、操作キー45が車体に近接する状態でスイッチ47が操作されると、制御装置34が動作可能状態に切り換わる構成としてもよい。
【0054】
(3)上記実施形態では、制御装置34は操作キー45が差し込み部46から取り外された状態に切り換わったのちは省電力モードに切り換わる構成としたが、この構成に代えて、操作キー45が差し込み部46から取り外された状態に切り換わったのちにおいても通常電力モードに維持される構成としてもよい。
【0055】
(4)上記実施形態では、制御装置34に電力を供給するバッテリーとして電装品用バッテリー41だけが備えられる構成としたが、この構成に代えて、
図6に示すように、電装品用バッテリー41とは別に、何等かの理由により電装品用バッテリー41が作動しない場合等において使用可能な予備バッテリー50を備える構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、トラクタに限らず、田植機、コンバイン、建設機械等、種々の電動作業車に適用できる。
【符号の説明】
【0057】
4 走行用バッテリー(第一バッテリー)
34 制御装置
41 電装品用バッテリー(第二バッテリー)
42 DC/DCコンバータ(電圧変換器)
43 制御装置
44 スイッチ(始動指令手段)
45 操作キー
46 差し込み部(被装着部)
KD 給電装置
M 電動モータ