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特開2023-113457織機の緯糸検知方法及びその緯糸検知装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113457
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】織機の緯糸検知方法及びその緯糸検知装置
(51)【国際特許分類】
   D03D 51/34 20060101AFI20230808BHJP
【FI】
D03D51/34
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015843
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】500098552
【氏名又は名称】株式会社北越電研
(74)【代理人】
【識別番号】100092691
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 勇治
(74)【代理人】
【識別番号】100199543
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 隆史
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 登
(72)【発明者】
【氏名】和田 良介
【テーマコード(参考)】
4L050
【Fターム(参考)】
4L050AA14
4L050CB07
4L050EA03
4L050EB14
(57)【要約】
【課題】経糸の杼口に緯糸が緯入れされ、緯糸は筬により緯入位置から織前位置へと筬打移動され、織機の製織が行われることになり、この製織において、上記緯糸の筬打移動に起因して音波を発生させる音波発生部及び音波を検知して緯入れされた緯糸の到達の成否を判定するための音波検知部を備えてなるから、緯糸の素材や太さによる検知精度の低下を抑制することができ、緯糸の有無の検知精度を高めることができ、ひいては、緯糸の到達の成否の判定精度を向上することができ、さらに、各種の緯糸に対する検知の融通性を高めることもできる。
【解決手段】経糸Tの杼口Tに緯糸Yが緯入れされ、緯糸は筬Rにより緯入位置Yから織前位置Yへと筬打移動Rされる織機Mにおいて、緯糸の筬打移動に起因して音波を発生させる音波発生部1及び音波を検知して緯入れされた緯糸の到達の成否を判定するための音波検知部を備えてなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸の杼口に緯糸が緯入れされ、該緯糸は筬により緯入位置から織前位置へと筬打移動される織機において、上記緯糸の筬打移動に起因して発生する音波を検知して該緯入れされた緯糸の到達の成否を判定することを特徴とする織機の緯糸検知方法。
【請求項2】
経糸の杼口に緯糸が緯入れされ、該緯糸は筬により緯入位置から織前位置へと筬打移動される織機において、上記緯糸の筬打移動に起因して音波を発生させる音波発生部及び該音波を検知して該緯入れされた緯糸の到達の成否を判定するための音波検知部を備えてなることを特徴とする織機の緯糸検知装置。
【請求項3】
上記音波発生部は、上記筬打移動途中の上記緯糸に接触可能な擦過部材を有し、該緯糸の該擦過部材に対する移動接触により発する擦過音の音波を発生させるための擦過構造を備えてなることを特徴とする請求項2記載の織機の緯糸検知装置。
【請求項4】
上記擦過部材に対する上記緯糸の移動接触を助長する押圧構造を備えてなることを特徴とする請求項3記載の織機の緯糸検知装置。
【請求項5】
上記音波発生部は、上記筬打移動途中の上記緯糸に対する接触又は離反により行戻揺動可能な揺動部材及び該揺動部材の戻揺動時に叩打される打音部材を有し、該揺動部材による該打音部材に対する叩打により発する打音の音波を発生させるための打音構造を備えてなることを特徴とする請求項2記載の織機の緯糸検知装置。
【請求項6】
上記音波発生部は、上記請求項3記載の擦過構造及び上記請求項5記載の打音構造を備えてなることを特徴とする請求項2記載の織機の緯糸検知装置。
【請求項7】
上記音波検知部は、上記音波発生部からの上記音波を検出する音波検知センサ、音波検知センサからの音波信号の有無により緯糸の到達の成否を判定する到達成否判定部、及び、到達成否判定部からの緯糸有りの緯糸到達信号により上記織機の運転を継続するための運転継続信号を出力し、或いは、到達成否判定部からの緯糸無しの緯糸到達否信号により織機の運転を停止するための運転停止信号を出力し、上記織機の運転継続又は運転停止の制御を行う運転制御部を備えてなることを特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載の織機の緯糸検知装置。
【請求項8】
上記音波検知部に上記緯糸を筬により上記緯入位置から上記織前位置へと筬打移動させる筬打時期において上記音波の検知を行う検知時期を設定する検知時期設定部を備えてなることを特徴とする請求項7記載の織機の緯糸検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ウオータジェット織機、エアジェット織機などの無杼織機の緯入れによる緯糸の到達の成否を判定する際に用いられる織機の緯糸検知方法及びその緯糸検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の織機の緯糸検知方法及びその緯糸検知装置として、経糸の杼口に緯糸が緯入れされ、緯糸は筬により緯入位置から織前位置へと筬打移動される織機において、緯糸検知手段として、発光素子及び受光素子を有する光学式検知手段を採用し、発光素子と受光素子との間に緯糸を通過させ、緯糸の通過により光が遮られ、受光素子の受光レベルの低下を検出し、受光レベルの低下により緯糸の有無を検知し、緯糸の有無により緯糸の到達の成否を判定する構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭57-13653号公報
【特許文献2】実公平3-45980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来構造の場合、透明な緯糸や極めて細い緯糸にあっては、緯糸による上記受光レベルの低下は小さく、このため、緯糸の有無の検知精度が低下し、ひいては、緯糸の到達の成否の判定精度が低下することがあり、各種の緯糸に対する検知の融通性が低下しているという不都合を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はこのような不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうち、請求項1記載の方法の発明は、経糸の杼口に緯糸が緯入れされ、該緯糸は筬により緯入位置から織前位置へと筬打移動される織機において、上記緯糸の筬打移動に起因して発生する音波を検知して該緯入れされた緯糸の到達の成否を判定することを特徴とする織機の緯糸検知方法にある。
【0006】
又、請求項2記載の装置の発明は、経糸の杼口に緯糸が緯入れされ、該緯糸は筬により緯入位置から織前位置へと筬打移動される織機において、上記緯糸の筬打移動に起因して音波を発生させる音波発生部及び該音波を検知して該緯入れされた緯糸の到達の成否を判定するための音波検知部を備えてなることを特徴とする織機の緯糸検知装置にある。
【0007】
又、請求項3記載の発明は、上記音波発生部は、上記筬打移動途中の上記緯糸に接触可能な擦過部材を有し、該緯糸の該擦過部材に対する移動接触により発する擦過音の音波を発生させるための擦過構造を備えてなることを特徴とするものであり、又、請求項4記載の発明は、上記擦過部材に対する上記緯糸の移動接触を助長する押圧構造を備えてなることを特徴とするものである。
【0008】
又、請求項5記載の発明は、上記音波発生部は、上記筬打移動途中の上記緯糸に対する接触又は離反により行戻揺動可能な揺動部材及び該揺動部材の戻揺動時に叩打される打音部材を有し、該揺動部材による該打音部材に対する叩打により発する打音の音波を発生させるための打音構造を備えてなることを特徴とするものであり、又、請求項6記載の発明は、上記音波発生部は、上記請求項3記載の擦過構造及び上記請求項5記載の打音構造を備えてなることを特徴とするものである。
【0009】
又、請求項7記載の発明は、上記音波検知部は、上記音波発生部からの上記音波を検出する音波検知センサ、音波検知センサからの音波信号の有無により緯糸の到達の成否を判定する到達成否判定部、及び、到達成否判定部からの緯糸有りの緯糸到達信号により上記織機の運転を継続するための運転継続信号を出力し、或いは、到達成否判定部からの緯糸無しの緯糸到達否信号により織機の運転を停止するための運転停止信号を出力し、上記織機の運転継続又は運転停止の制御を行う運転制御部を備えてなることを特徴とするものであり、又、請求項8記載の発明は、上記音波検知部に上記緯糸を筬により上記緯入位置から上記織前位置へと筬打移動させる筬打時期において上記音波の検知を行う検知時期を設定する検知時期設定部を備えてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は上述の如く、請求項1及び請求項2記載の発明にあっては、経糸の杼口に緯糸が緯入れされ、緯糸は筬により緯入位置から織前位置へと筬打移動され、織機の製織が行われることになり、この製織において、上記緯糸の筬打移動に起因して音波を発生させる音波発生部及び音波を検知して緯入れされた緯糸の到達の成否を判定するための音波検知部を備えてなるから、緯糸の素材や太さによる検知精度の低下を抑制することができ、緯糸の有無の検知精度を高めることができ、ひいては、緯糸の到達の成否の判定精度を向上することができ、さらに、各種の緯糸に対する検知の融通性を高めることもできる。
【0011】
又、請求項3記載の発明にあっては、上記音波発生部は、上記筬打移動途中の上記緯糸に接触可能な擦過部材を有し、緯糸の擦過部材に対する移動接触により発する擦過音の音波を発生させるための擦過構造を備えて構成しているから、上記緯糸の筬打移動に起因する音波を確実に発生させることができ、緯糸の有無の検知精度を高めることができ、緯糸の到達の成否を確実に判定することができ、又、請求項4記載の発明にあっては、上記擦過部材に対する上記緯糸の移動接触を助長する押圧構造を備えて構成しているから、押圧構造により擦過部材と上記緯糸との押圧接触が良好に行われ、緯糸の筬打移動に起因する擦過音の音波を確実に発生させることができ、緯糸の有無の検知精度を高めることができる。
【0012】
又、請求項5記載の発明にあっては、上記音波発生部は、上記筬打移動途中の上記緯糸に対する接触又は離反により行戻揺動可能な揺動部材及び揺動部材の戻揺動時に叩打される打音部材を有し、揺動部材による打音部材に対する叩打により発する打音の音波を発生させるための打音構造を備えて構成しているから、打音構造により上記緯糸の筬打移動に起因する音波を確実に発生させることができ、緯糸の有無の検知精度を高めることができる。
【0013】
又、請求項6記載の発明にあっては、上記音波発生部は、上記筬打移動途中の上記緯糸に接触可能な擦過部材を有し、緯糸の上記擦過部材に対する移動接触により発する擦過音の音波を発生させるための擦過構造、及び、上記筬打移動途中の上記緯糸に対する接触又は離反により行戻揺動可能な揺動部材及び揺動部材の戻揺動時に叩打される打音部材を有し、揺動部材による打音部材に対する叩打により発する打音の音波を発生させるための打音構造を備えて構成しているから、擦過構造及び打音構造の複数の音波発生部により上記緯糸の筬打移動に起因する音波を確実に発生させることができ、緯糸の有無の検知精度を高めることができ、それだけ、緯糸の到達の成否を確実に判定することができる。
【0014】
又、請求項7記載の発明にあっては、上記音波検知部は、上記音波発生部からの上記音波を検出する音波検知センサ、音波検知センサからの音波信号の有無により緯糸の到達の成否を判定する到達成否判定部、及び、到達成否判定部からの緯糸有りの緯糸到達信号により上記織機の運転を継続するための運転継続信号を出力し、或いは、到達成否判定部からの緯糸無しの緯糸到達否信号により織機の運転を停止するための運転停止信号を出力し、上記織機の運転継続又は運転停止の制御を行う運転制御部を備えているから、音波検知センサからの音波信号の有無により到達成否判定部は緯糸の到達の成否を判定し、到達成否判定部からの緯糸有りの緯糸到達信号により上記織機の運転が継続され、或いは、到達成否判定部からの緯糸無しの緯糸到達否信号により織機の運転が停止され、運転制御部により上記織機の運転継続又は運転停止の制御を行うことができ、上記音波検知部からの音波信号の有無により織機の運転継続又は織機の運転停止の制御を良好に行うことができ、織機の運転制御を確実に行うことができ、又、請求項8記載の発明にあっては、上記音波検知部に上記緯糸を筬により上記緯入位置から上記織前位置へと筬打移動させる筬打時期において音波の検知を行う検知時期を設定する検知時期設定部を備えて構成しているから、検知時期の設定により織機の運転中の常時検知動作よりも確実に検知することができ、検知精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の第一形態例の部分説明斜視図である。
図2】本発明の実施の第一形態例の説明側面図である。
図3】本発明の実施の第一形態例の説明平面図である。
図4】本発明の実施の第一形態例の説明平面図である。
図5】本発明の実施の第一形態例の部分説明側面図である。
図6】本発明の実施の第一形態例の部分分解斜視図である。
図7】本発明の実施の第一形態例の部分説明側断面図である。
図8】本発明の実施の第一形態例の構成ブロック図である。
図9】本発明の実施の第二形態例の部分説明側面図である。
図10】本発明の実施の第二形態例の部分分解斜視図である。
図11】本発明の実施の第二形態例の部分説明側断面図である。
図12】本発明の実施の第二形態例の部分説明側断面図である。
図13】本発明の実施の第三形態例の部分説明側面図である。
図14】本発明の実施の第三形態例の部分分解斜視図である。
図15】本発明の実施の第三形態例の部分説明側断面図である。
図16】本発明の実施の第三形態例の部分説明側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1乃至図16は本発明をウオータジェット織機に適用した実施の形態例を示し、図1乃至図8は請求項1、請求項2、請求項3及び請求項4に対応する第一形態例、図9乃至図12は請求項1、請求項2及び請求項5に対応する第二形態例、図13乃至図16は請求項1、請求項2及び請求項6に対応する第三形態例である。
【0017】
図1乃至図8の第一形態例にあっては、図1図2の如く、織機Mにおいて、図示省略の整経ロールからの整経された経糸T・・は綜絖H・Hの開口運動により開口され、図3の如く、緯入れノズルNから緯糸Yは水流の噴射により杼口Tに飛送され、緯糸Yは経糸T・・の杼口Tの緯入れノズルN側の一方側部から先端側の他方側部に緯入れされ、緯糸Yの両端部は例えば、吸引把持構造の一対の把持部D・Dにより緯糸Yの糸切れを防ぐ一定の張力を保持して釈放自在に把持され、図3から図4の如く、緯糸Yは筬Rにより緯入位置Yから織前位置Yへと筬打移動Rされ、織前Fで経糸T及び緯糸Yにより織布Cが織成され、織布Cは図示省略の布巻ロールに巻き取られ、織機Mによる製織が行われることになる。
【0018】
この場合、図5の如く、上記緯糸Yの筬打移動Rに起因して音波Sを発生させる音波発生部1及び音波Sを検知して緯入れされた緯糸Yの到達の成否を判定するための音波検知部2が設けられている。
【0019】
この場合、上記音波発生部1は、図1図5の如く、上記筬打移動R途中の上記緯糸Yに接触可能な擦過部材3を有し、緯糸Yの擦過部材3に対する移動接触により発する擦過音の音波Sを発生させるための擦過構造Kを備えてなり、すなわち、この場合、図5図6図7の如く、擦過部材3は一対の分離板3a・3bを間隔板3cを挟んでピン3dにより重ね合わせた一体積層構造に形成され、一方の分離板3aの上端面が緯糸Yの移動接触面Kとされ、他方の分離板3bの下端面が緯糸Yの移動接触面Kとされ、一方の分離板3aの上端面の移動接触面Kと他方の分離板3bの下端面の移動接触面Kとに段差が形成され、一方の分離板3aの上端面の移動接触面Kと他方の分離板3bの下端面の移動接触面Kとの段差により緯糸Yを筬Rの筬打移動R方向に直交する緯入れ方向に折曲し、緯糸Yの折曲により緯糸Yを移動接触面K・Kに押圧し、上記擦過部材3に対する上記緯糸Yの移動接触を助長する押圧構造Pを構成している。
【0020】
又、この場合、図5の如く、上記音波検知部2は、上記音波Sを検知して緯入れされた緯糸Yの到達の成否を判定するための音波検知センサQを含んだ構成とされ、音波検知センサQとしては、例えば、動電型(ダイナミック型)音響センサ、静電型(コンデンサ型)音響センサ、圧電型音響センサなどが用いられ、このうち、動電型音響センサにあっては、音波Sにより振動板が振動し、振動板に取り付けたコイルも同時に振動し、コイル内に磁石が設けられ、コイルの振動に伴う電磁誘導により発生した電流を検出することで音波Sを電気的に検知する構造であり、又、静電型音響センサにあっては、音波Sにより振動板が振動し、振動板には平行に設けられた一対の電極があり、振動板と電極間には一定の静電容量が存在し、振動板が振動することで静電容量が変化し、その変化を検出することで音波Sを電気的に検知する構造であり、又、圧電型音響センサにあっては、音波Sが圧電素子に到達して圧電素子に圧力が加わると電位差が生じ、この電位差の変化を検出することで音波Sを電気的に検知する構造となっている。
【0021】
ここに、上記音波Sとは、一般に、20H程度から20,000H(20kH)程度の可聴域、可聴域よりも低い低周波音、20kHよりも高い周波数の音は超音波とされている。
【0022】
また、この場合、図8の如く、上記音波検知部2は、上記音波発生部1からの上記音波Sを検出する音波検知センサQ、音波検知センサQからの音波信号Sを増幅する増幅回路4、ノイズなどの外乱を除去するフィルタ回路5、音波検知センサQからの音波信号Sの有無により緯糸Yの到達の成否を判定する到達成否判定部6、及び、到達成否判定部6からの緯糸Y有りの緯糸到達信号Yにより上記織機Mの運転を継続するための運転継続信号Jを出力し、又は、到達成否判定部6からの緯糸Y無しの緯糸到達否信号Yにより織機Mの運転を停止するための運転停止信号Jを出力し、上記織機Mの運転継続又は運転停止の制御を行う運転制御部7を備えて構成している。
【0023】
この場合、さらに、図8の如く、上記音波検知部2に上記織機Mの回転角を検出する回転角検出回路8及び回転角検出回路8からの角度信号Sに同期して上記緯糸Yを上記緯入位置Yから上記織前位置Yへと筬打移動Rさせる筬打時期において上記音波Sの検知を行う検知時期を設定する検知時期設定部9を備えて構成している。
【0024】
この実施の第一形態例は上記構成であるから、図1図3図4図5の如く、経糸Tの杼口Tに緯糸Yが緯入れされ、緯糸Yは筬Rにより緯入位置Yから織前位置Yへと筬打移動Rされ、織機Mの製織が行われることになり、この製織において、上記緯糸Yの筬打移動Rに起因して音波Sを発生させる音波発生部1及び音波Sを検知して緯入れされた緯糸Yの到達の成否を判定するための音波検知部2を備えてなるから、緯糸Yの素材や太さによる検知精度の低下を抑制することができ、緯糸Yの有無の検知精度を高めることができ、ひいては、緯糸Yの到達の成否の判定精度を向上することができ、さらに、各種の緯糸Yに対する検知の融通性を高めることもできる。
【0025】
この場合、図1図5の如く、上記音波発生部1は、上記筬打移動R途中の上記緯糸Yに接触可能な擦過部材3を有し、緯糸Yの擦過部材3に対する移動接触により発する擦過音の音波Sを発生させるための擦過構造Kを備えて構成しているから、上記緯糸Yの筬打移動Rに起因する音波Sを確実に発生させることができ、緯糸Yの有無の検知精度を高めることができ、緯糸Yの到達の成否を確実に判定することができ、又、この場合、図5図6図7の如く、上記擦過部材3に対する上記緯糸Yの移動接触を助長する押圧構造Pを備えて構成しているから、押圧構造Pにより擦過部材3と上記緯糸Yとの押圧接触が良好に行われ、緯糸Yの筬打移動Rに起因する擦過音の音波Sを確実に発生させることができ、緯糸Yの有無の検知精度を高めることができる。
【0026】
又、この場合、図8の如く、上記音波検知部2は、上記音波発生部1からの上記音波Sを検出する音波検知センサQ、音波検知センサQからの音波信号Sを増幅する増幅回路4、ノイズなどの外乱を除去するフィルタ回路5、音波検知センサQからの音波信号Sの有無により緯糸Yの到達の成否を判定する到達成否判定部6、及び、到達成否判定部6からの緯糸Y有りの緯糸到達信号Yにより上記織機Mの運転を継続するための運転継続信号Jを出力し、或いは、到達成否判定部6からの緯糸Y無しの緯糸到達否信号Yにより織機Mの運転を停止するための運転停止信号Jを出力し、上記織機Mの運転継続又は運転停止の制御を行う運転制御部7を備えているから、音波検知センサQからの音波信号Sの有無により到達成否判定部6は緯糸Yの到達の成否を判定し、到達成否判定部6からの緯糸Y有りの緯糸到達信号Yにより上記織機Mの運転が継続され、或いは、到達成否判定部6からの緯糸Y無しの緯糸到達否信号Yにより織機Mの運転が停止され、運転制御部7により上記織機Mの運転継続又は運転停止の制御を行うことができ、上記音波検知部2からの音波信号Sの有無により織機Mの運転継続又は織機Mの運転停止の制御を良好に行うことができ、織機Mの運転制御を確実に行うことができ、又、この場合、図8の如く、上記音波検知部2に上記緯糸Yを筬Rにより上記緯入位置Yから上記織前位置Yへと筬打移動Rさせる筬打時期において音波Sの検知を行う検知時期を設定する検知時期設定部9を備えて構成しているから、検知時期の設定により織機Mの運転中の常時検知動作よりも確実に検知することができ、検知精度を向上することができる。
【0027】
図9乃至図12の第二形態例にあっては、上記音波発生部1の別例構造を示し、上記第一形態例と同一態様部分には同符号を付して説明すると、この場合、上記音波発生部1は、図9図10図11図12の如く、支持部材11に上記筬打移動R途中の上記緯糸Yに対する接触又は離反により行戻揺動可能な揺動部材10をピン11a及びペーサ11bにより枢着し、揺動部材10にロール状の叩き部材10aをピン10bにより取り付け、支持部材11に揺動部材10の自重による戻揺動時に叩き部材10aにより叩打される打音部材12を設け、揺動部材10による打音部材12に対する叩打により発する打音の音波Sを発生させるため打音構造Bを備えて構成している。
【0028】
この第二形態例にあっては、上記第一形態例と同様な作用効果を得ることができると共に、図9の如く、上記音波発生部1は、上記筬打移動R途中の上記緯糸Yに対する接触又は離反によりピン11aを中心として実線位置と想像線位置との間を行戻揺動可能な揺動部材10及び揺動部材10の自重による戻揺動時に叩打される打音部材12を有し、揺動部材10による打音部材12に対する叩打により発する打音の音波Sを発生させるための打音構造Bを備えて構成しているから、打音構造Bにより上記緯糸Yの筬打移動Rに起因する音波Sを確実に発生させることができ、緯糸Yの有無の検知精度を高めることができる。
【0029】
図13乃至図16の第三形態例にあっては、上記音波発生部1の別例構造を示し、上記第一形態例と同一態様部分には同符号を付して説明すると、この場合、図13図14図15図16の如く、上記音波発生部1は、上記筬打移動R途中の上記緯糸Yに接触可能な上記支持部材11としての擦過部材3を有し、緯糸Yの上記支持部材11としての擦過部材3に対する移動接触により発する擦過音の音波Sを発生させるための擦過構造Kを備えて構成され、かつ、上記音波発生部1は、支持部材11に上記筬打移動R途中の上記緯糸Yに対する接触又は離反により行戻揺動可能な揺動部材10をピン11a及びペーサ11bにより枢着し、揺動部材10にロール状の叩き部材10aをピン10bにより取り付け、支持部材11に揺動部材10の自重による戻揺動時に叩き部材10aにより叩打される打音部材12を設け、揺動部材10による打音部材12に対する叩打により発する打音の音波Sを発生させるため打音構造Bを備えて構成され、すなわち、上記第一形態例の擦過構造K及び上記第二形態例の打音構造Bの複数の音波発生部1・1を備えて構成されている。
【0030】
この第三形態例にあっては、上記第一形態例と同様な作用効果を得ることができると共に、図13図14図15図16の如く、上記音波発生部1は、上記筬打移動R途中の上記緯糸Yに接触可能な上記支持部材11としての擦過部材3を有し、緯糸Yの上記支持部材11としての擦過部材3に対する移動接触により発する擦過音の音波Sを発生させるための擦過構造K、及び、上記筬打移動R途中の上記緯糸Yに対する接触又は離反によりピン11aを中心として実線位置と想像線位置との間を行戻揺動可能な揺動部材10及び揺動部材10の自重による戻揺動時に叩打される打音部材12を有し、揺動部材10による打音部材12に対する叩打により発する打音の音波Sを発生させるための打音構造Bを備えて構成しているから、擦過構造K及び打音構造Bの複数の音波発生部1・1により上記緯糸Yの筬打移動Rに起因する音波Sを確実に発生させることができ、緯糸Yの有無の検知精度を高めることができ、それだけ、緯糸Yの到達の成否を確実に判定することができる。
【0031】
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、例えば、レピア織機、グリッパー織機、エアジェット織機、各種の無杼織機を含む織機Mに適用することができ、又、上記筬R、音波検知センサQ、擦過構造K、押圧構造P、打音構造B、音波発生部1、音波検知部2、到達成否判定部6、運転制御部7、検知時期設定部9の数や形態、構造等は適宜変更して設計されるものである。
【0032】
以上、所期の目的を充分達成することができる。
【符号の説明】
【0033】
M 織機
T 経糸
杼口
Y 緯糸
緯入位置
織前位置
R 筬
筬打移動
S 音波
音波信号
Q 音波検知センサ
緯糸到達信号
緯糸到達否信号
運転継続信号
運転停止信号
K 擦過構造
P 押圧構造
B 打音構造
1 音波発生部
2 音波検知部
3 擦過部材
6 到達成否判定部
7 運転制御部
9 検知時期設定部
10 揺動部材
12 打音部材
図1
図2
図3
図4
図5
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