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特開2023-113467温度制御システム、製造プラント、及び製造プラントにおける機器の設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113467
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】温度制御システム、製造プラント、及び製造プラントにおける機器の設置方法
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20230808BHJP
   F25B 9/00 20060101ALI20230808BHJP
   F25B 5/02 20060101ALI20230808BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230808BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
F25B1/00 321A
F25B9/00 301
F25B5/02 C
G03F7/20 521
H01L21/30 564C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015864
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】594185097
【氏名又は名称】伸和コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】高山 蹊男
(72)【発明者】
【氏名】森宗 歩
【テーマコード(参考)】
2H197
5F146
【Fターム(参考)】
2H197DB17
2H197HA03
5F146JA24
(57)【要約】
【課題】温度制御対象に供給する気体を、エネルギー消費量を抑制しつつ所望状態に高精度に制御し易くなる温度制御システムの提供。
【解決手段】一実施の形態に係る温度制御システムS1は、冷媒を循環させる冷凍サイクル装置100と、冷媒により温度制御される液体を循環させる液体循環装置200と、液体により温度制御される気体を送風機で温度制御対象に供給する1つ又は複数の気体供給装置300と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を循環させる冷凍サイクル装置と、
前記冷媒により温度制御される液体を循環させる液体循環装置と、
前記液体により温度制御される気体を送風機で温度制御対象に供給する1つ又は複数の気体供給装置と、を備える、温度制御システム。
【請求項2】
当該温度制御システムは、複数の前記気体供給装置を備え、
前記液体循環装置は、並列に配置される複数の熱交換器を有し、
前記複数の熱交換器はそれぞれ、前記冷媒により温度制御される前記液体を通過させ、
前記複数の熱交換器はそれぞれ、複数の前記気体供給装置のうちの対応するいずれかの前記気体供給装置における前記気体を前記液体により温度制御する、請求項1に記載の温度制御システム。
【請求項3】
当該温度制御システムは、流体を通流させる流体通流装置をさらに備え、
前記冷凍サイクル装置は、圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された後、膨張された前記冷媒を通流させる、並列に配置された第1蒸発器及び第2蒸発器と、を有し、
前記第1蒸発器は、前記液体循環装置における前記液体を前記冷媒により温度制御し、
前記第2蒸発器は、前記流体通流装置における前記流体を前記冷媒により温度制御し、
前記冷凍サイクル装置は、前記圧縮機から吐出された前記冷媒の一部を分岐させるホットガス分岐流路をさらに有し、
前記ホットガス分岐流路を通流する前記冷媒が前記流体通流装置における前記流体を加熱する、請求項1又は2に記載の温度制御システム。
【請求項4】
冷媒を循環させる冷凍サイクル装置と、
前記冷媒により温度制御される第1液体を循環させる第1液体回路と、前記第1液体により温度制御される第2液体を循環させる第2液体回路とを有する液体循環装置と、
前記第2液体により温度制御される気体を送風機で温度制御対象に供給する1つ又は複数の気体供給装置と、を備える、温度制御システム。
【請求項5】
前記冷凍サイクル装置は、通過させる前記冷媒により前記第1液体を温度制御する制御用熱交換器を有し、
前記第1液体回路は、
第1液体熱交換器を有し、前記制御用熱交換器により温度制御される前記第1液体を前記第1液体熱交換器を通過させて前記制御用熱交換器に戻し、前記第1液体熱交換器で前記第1液体により前記第2液体を温度制御する主回路と、
前記主回路から分岐して前記主回路に再度接続され、前記第1液体を通流させる第1液体分岐路と、前記第1液体分岐路に設けられ前記第1液体を通過させる第2液体熱交換器と、を有する二次回路と、を備える、請求項4に記載の温度制御システム。
【請求項6】
前記第1液体分岐路は、前記主回路における前記第1液体熱交換器の下流側であって前記制御用熱交換器による温度制御位置の上流側の部分で、前記主回路に再度接続される、請求項5に記載の温度制御システム。
【請求項7】
前記冷凍サイクル装置は、
圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された前記冷媒を冷却する吸熱用熱交換器と、前記吸熱用熱交換器から流出した前記冷媒を膨張させる膨張機と、前記膨張機から流出する冷媒を通過させる前記制御用熱交換器とを有し、前記制御用熱交換器から流出する前記冷媒を前記圧縮機に送る冷媒回路と、
前記冷媒回路における前記圧縮機の下流側であって前記吸熱用熱交換器の上流側の部分から分岐し、前記冷媒回路に再度接続され、前記冷媒を通流させる冷媒分岐路と、前記冷媒分岐路に設けられ前記冷媒を通過させる第1ホットガス熱交換器と、を有するホットガス回路と、を備え、
前記第1ホットガス熱交換器は、通過させる前記冷媒により前記第1液体分岐路における前記第2液体熱交換器の上流側の部分を通流する前記第1液体を加熱する、請求項5又は6に記載の温度制御システム。
【請求項8】
前記ホットガス回路は、前記冷媒分岐路における前記第1ホットガス熱交換器の上流側の部分に設けられ、3つのポートのうちの2つのポートで前記冷媒分岐路の一部を構成する第1三方弁と、前記第1三方弁の残りのポートに接続されるとともに、前記冷媒分岐路における前記第1ホットガス熱交換器の下流側の部分に接続され、前記冷媒をバイパスする第1バイパス路と、をさらに有する、請求項7に記載の温度制御システム。
【請求項9】
前記ホットガス回路は、前記冷媒分岐路における前記第1ホットガス熱交換器の下流側の部分に設けられ前記冷媒を通過させる第2ホットガス熱交換器をさらに有し、
前記第2ホットガス熱交換器は、通過させる前記冷媒により前記主回路を通流する前記第1液体を加熱する、請求項7に記載の温度制御システム。
【請求項10】
前記第2液体回路は、並列に配置された複数の熱交換器を有し、
前記複数の熱交換器はそれぞれ、前記第1液体により温度制御される前記第2液体を通過させ、
前記複数の熱交換器はそれぞれ、複数の前記気体供給装置のうちの対応するいずれかの前記気体供給装置における前記気体を前記第2液体により温度制御する、請求項4乃至9のいずれかに記載の温度制御システム。
【請求項11】
前記冷凍サイクル装置は、前記冷媒としての空気を循環させる空気冷凍サイクル装置である、請求項4乃至10のいずれかに記載の温度制御システム。
【請求項12】
前記気体供給装置は、前記冷凍サイクル装置と分離している、請求項1乃至11のいずれかに記載の温度制御システム。
【請求項13】
気体導入口で受け入れた気体を供給される処理室を有する処理装置を備えた処理システムと、
請求項1乃至12のいずれかに記載の温度制御システムと、を備える、製造プラント。
【請求項14】
気体導入口で受け入れた気体を供給される処理室を有する処理装置を備えた処理システムが設けられる製造プラントにおける機器の設置方法であって、
請求項1乃至12のいずれかに記載の温度制御システムを準備する工程と、
前記気体供給装置からの前記気体を、前記温度制御対象としての前記処理室に供給するべく前記気体供給装置及び前記冷凍サイクル装置を配置する工程と、を備える、製造プラントにおける機器の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、冷媒を循環させる冷凍サイクル装置を備える温度制御システム、これを備える製造プラント、及び製造プラントにおける機器の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プラントでは、レジスト塗布処理、露光処理、現像処理、エッチング処理等の各種処理が行われる。こうした処理は、通常、精密に温度及び湿度が制御された処理室内で行われる。
【0003】
上記各処理室における温度及び湿度の制御は、一般に、空調装置から各処理室に空気を供給することで行う。空調装置では、各処理室に供給する空気の温度及び湿度が精密に調整される。空調装置は、通常、冷凍サイクル装置を備え、冷凍サイクル装置の蒸発器で冷却した空気を送風機により各処理室側に送る。
【0004】
半導体製造プラントでは、上述のような処理室を有する複数の処理装置をユニット化したシステムを用いることがある。このようなシステムは、フットプリントを抑制し、ウェハの搬送や、不純物の混入回避でもメリットがあり、半導体のスループットを向上させ得る。このようなシステムに空気を供給する際には、一般に、空調装置に複数のダクトが接続され、各ダクトが対応する処理室に接続されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-44453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、例えばEUV(Extreme Ultra Violet)による露光処理により、配線幅が一桁ナノメートルのパターンを有する半導体の製造が実現されている。このような極微細なパターンを適正に形成するには、各種処理を行う処理室の温度や湿度を従前よりも極めて厳しい精度で管理することが求められる。
【0007】
しかしながら、空調装置に接続された複数のダクトを各処理室に接続する場合には、極微細なパターンを形成するための処理環境を形成できない場合がある。
【0008】
例えば、複数のダクトのうちの2本のダクトが、同じ処理を行う2つの処理室に別々に接続される場合がある。この際、2本のダクトのうちの一方と他方とで長さが異なる状況が生じ得る。この際、長い方のダクトから処理室に供給される空気の温度が、短い方のダクトから処理室に供給される空気よりも高くなることがある。その結果、一方の処理室で適正な処理がなされない虞がある。
【0009】
また、処理装置と、空調装置とが比較的離れる場合には、空調装置から延びるダクトが長くなり、ダクトを曲げる回数が増加し得る。この場合、ダクトでの圧損が大きくなるため、電力消費量が増加する。近年、半導体製造プラントで消費される電力量は、益々増加しつつある。そのため、空気供給の際の圧損は、省エネルギーのために極力抑制することが望まれる。なお、ダクトの長さを抑制するために、処理装置と、空調装置との間の距離を縮めることが考えられる。しかし、このようなレイアウトの変更は、設置スペースの制約や、他の処理装置に接続されるダクトなどとの関係で、実施が困難な場合がある。
【0010】
本発明の課題は、温度制御対象に供給する気体を、エネルギー消費量を抑制しつつ所望状態に高精度に制御し易くなる温度制御システム、製造プラント及び製造プラントにおける機器の設置方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施の形態に係る温度制御システムは、冷媒を循環させる冷凍サイクル装置と、前記冷媒により温度制御される液体を循環させる液体循環装置と、前記液体により温度制御される気体を送風機で温度制御対象に供給する1つ又は複数の気体供給装置と、を備える。
【0012】
この温度制御システムでは、冷凍サイクル装置と気体供給装置との間に液体循環装置を介在させることにより、冷凍サイクル装置を温度制御対象に近づけずに、気体供給装置を温度制御対象に近づけることが可能となる。これにより、気体供給装置から温度制御対象に至るまでに生じる気体に対する圧損及び気体の温度及び/又は湿度の変化を抑制できる。したがって、温度制御対象に供給する気体を、エネルギー消費量を抑制しつつ所望状態に高精度に制御し易くなる。
詳しくは、冷凍サイクル装置の冷媒で気体を直接的に温度制御して温度制御対象に供給する一般的な構造では、冷凍サイクル装置から温度制御対象までの距離が長い場合に、気体を通流させるダクトが長くなり得る。そのため、気体に対する圧損や気体の温度及び/又は湿度の変化が大きくなり得る。これに対して、一実施の形態に係る温度制御システムは、冷凍サイクル装置の冷媒により、液体循環装置が循環させる液体を介して気体を温度制御する。これにより、冷凍サイクル装置を温度制御対象に近づけずに、気体の温度制御位置を温度制御対象に近づけることが可能になる。したがって、一般的な構造で生じ得る、圧損や温度及び/又は湿度の変化の問題が解消され得る。
【0013】
一実施の形態に係る温度制御システムは、複数の前記気体供給装置を備え、前記液体循環装置は、並列に配置される複数の熱交換器を有し、前記複数の熱交換器はそれぞれ、前記冷媒により温度制御される前記液体を通過させ、前記複数の熱交換器はそれぞれ、複数の前記気体供給装置のうちの対応するいずれかの前記気体供給装置における前記気体を前記液体により温度制御してもよい。
【0014】
この構成では、例えば冷凍サイクル装置を、複数の温度制御対象の全部又は一部に近づけられない又は近づけづらい又は近づけることが望ましくない場合に、複数の気体供給装置の全部又は一部と、対応する温度制御対象との距離を抑制できる。また、1つの冷凍サイクル装置により、液体循環装置を介して複数の気体供給装置における気体の温度制御を行うことができる。これにより、複数の温度制御対象に供給する気体を、効果的にエネルギー消費量を抑制しつつ所望状態に高精度に制御し易くなる。また、複数の温度制御対象を温度制御するシステムのフットプリントを抑制できる。
【0015】
一実施の形態に係る温度制御システムは、流体を通流させる流体通流装置をさらに備え、前記冷凍サイクル装置は、圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された後、膨張された前記冷媒を通流させる、並列に配置された第1蒸発器及び第2蒸発器と、を有し、前記第1蒸発器は、前記液体循環装置における前記液体を前記冷媒により温度制御し、前記第2蒸発器は、前記流体通流装置における前記流体を前記冷媒により温度制御し、前記冷凍サイクル装置は、前記圧縮機から吐出された前記冷媒の一部を分岐させるホットガス分岐流路をさらに有し、前記ホットガス分岐流路を通流する前記冷媒が前記流体通流装置における前記流体を加熱してもよい。
【0016】
この構成では、冷凍サイクル装置により、液体循環装置を介して複数の気体供給装置における気体の温度制御を行うことができるとともに、直接的に流体通流装置における流体の温度制御もできる。また、流体通流装置における流体の加熱を電気ヒータではなく冷凍サイクル装置におけるホットガスを利用することでエネルギー消費量を効果的に抑制できる。
【0017】
また、本発明の一実施の形態に係る温度制御システムは、冷媒を循環させる冷凍サイクル装置と、前記冷媒により温度制御される第1液体を循環させる第1液体回路と、前記第1液体により温度制御される第2液体を循環させる第2液体回路とを有する液体循環装置と、前記第2液体により温度制御される気体を送風機で温度制御対象に供給する1つ又は複数の気体供給装置と、を備える。
【0018】
この温度制御システムでは、冷凍サイクル装置と気体供給装置との間に液体循環装置を介在させることにより、冷凍サイクル装置を温度制御対象に近づけずに、気体供給装置を温度制御対象に近づけることが可能となる。これにより、気体供給装置から温度制御対象に至るまでに生じる気体に対する圧損及び気体の温度及び/又は湿度の変化を抑制できる。したがって、温度制御対象に供給する気体を、エネルギー消費量を抑制しつつ所望状態に高精度に制御し易くなる。
詳しくは、一実施の形態に係る温度制御システムは、冷凍サイクルの冷媒により、液体循環装置が循環させる第1液体及び第2液体を介して気体を温度制御する。これにより、冷凍サイクル装置を温度制御対象に近づけずに、気体の温度制御位置を温度制御対象に近づけることが可能になる。また、冷凍サイクル装置と第2液体回路との間に第1液体回路を介在させることにより、第2液体の温度制御を柔軟に調節し易くなる。
【0019】
前記冷凍サイクル装置は、通過させる前記冷媒により前記第1液体を温度制御する制御用熱交換器を有し、前記第1液体回路は、第1液体熱交換器を有し、前記制御用熱交換器により温度制御される前記第1液体を前記第1液体熱交換器を通過させて前記制御用熱交換器に戻し、前記第1液体熱交換器で前記第1液体により前記第2液体を温度制御する主回路と、前記主回路から分岐して前記主回路に再度接続され、前記第1液体を通流させる第1液体分岐路と、前記第1液体分岐路に設けられ前記第1液体を通過させる第2液体熱交換器と、を有する二次回路と、を備えてもよい。
【0020】
この構成では、第1液体回路の主回路における第1液体熱交換器が第2液体を温度制御し、第2液体により気体を温度制御できる。また、第1液体回路の二次回路における第2液体熱交換器が、第1液体により、他の温度制御対象を温度制御できる。
【0021】
前記第1液体分岐路は、前記主回路における前記第1液体熱交換器の下流側であって前記制御用熱交換器による温度制御位置の上流側の部分で、前記主回路に再度接続されてもよい。
【0022】
この構成では、第2液体熱交換器を流出する第1液体が、第1液体熱交換器から流出する第1液体に混ざることで、第2液体熱交換器を流出した第1液体が第1液体熱交換器に流入する第1流体の温度に与える影響を抑制できる。
【0023】
前記冷凍サイクル装置は、圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された前記冷媒を冷却する吸熱用熱交換器と、前記吸熱用熱交換器から流出した前記冷媒を膨張させる膨張機と、前記膨張機から流出する冷媒を通過させる前記制御用熱交換器とを有し、前記制御用熱交換器から流出する前記冷媒を前記圧縮機に送る冷媒回路と、前記冷媒回路における前記圧縮機の下流側であって前記吸熱用熱交換器の上流側の部分から分岐し、前記冷媒回路に再度接続され、前記冷媒を通流させる冷媒分岐路と、前記冷媒分岐路に設けられ前記冷媒を通過させる第1ホットガス熱交換器と、を有するホットガス回路と、を備え、前記第1ホットガス熱交換器は、通過させる前記冷媒により前記第1液体分岐路における前記第2液体熱交換器の上流側の部分を通流する前記第1液体を加熱してもよい。
【0024】
この構成では、第2液体熱交換器に流入する第1液体の温度を迅速に且つエネルギー消費量を抑えつつ、昇温できる。
【0025】
前記ホットガス回路は、前記冷媒分岐路における前記第1ホットガス熱交換器の上流側の部分に設けられ、3つのポートのうちの2つのポートで前記冷媒分岐路の一部を構成する第1三方弁と、前記第1三方弁の残りのポートに接続されるとともに、前記冷媒分岐路における前記第1ホットガス熱交換器の下流側の部分に接続され、前記冷媒をバイパスする第1バイパス路と、をさらに有してよい。
【0026】
この構成では、第1三方弁で第1ホットガス熱交換器による熱交換の有無を切り換えることが可能となるため、第2液体熱交換器を通流する第1液体の温度を柔軟に調節することが可能となる。
【0027】
前記ホットガス回路は、前記冷媒分岐路における前記第1ホットガス熱交換器の下流側の部分に設けられ前記冷媒を通過させる第2ホットガス熱交換器をさらに有し、前記第2ホットガス熱交換器は、通過させる前記冷媒により前記主回路を通流する前記第1液体を加熱してもよい。
【0028】
前記第2液体回路は、並列に配置された複数の熱交換器を有し、前記複数の熱交換器はそれぞれ、前記第1液体により温度制御される前記第2液体を通過させ、前記複数の熱交換器はそれぞれ、複数の前記気体供給装置のうちの対応するいずれかの前記気体供給装置における前記気体を前記第2液体により温度制御してもよい。
【0029】
前記冷凍サイクル装置は、前記冷媒としての空気を循環させる空気冷凍サイクル装置でもよい。
【0030】
この構成では、空気冷凍サイクル装置が出力し得る高い冷凍能力を有効に利用して、効果的に温度制御できる。特に、温度制御対象が複数の場合に、効率的に各温度制御対象を温度制御できる。
【0031】
また、前記気体供給装置は、前記冷凍サイクル装置と分離してもよい。これにより、気体供給装置を温度制御対象に近づけ易くなる。
【0032】
また、一実施の形態に係る製造プラントは、気体導入口で受け入れた気体を供給される処理室を有する処理装置を備えた処理システムと、前記の温度制御システムと、を備える。
【0033】
また、一実施の形態に係る製造プラントにおける機器の設置方法は、気体導入口で受け入れた気体を供給される処理室を有する処理装置を備えた処理システムが設けられる製造プラントにおける機器の設置方法であって、前記の温度制御システムを準備する工程と、前記気体供給装置からの前記気体を、前記温度制御対象としての前記処理室に供給するべく前記気体供給装置及び前記冷凍サイクル装置を配置する工程と、を備える。
【0034】
一実施の形態に係る製造プラント及び製造プラントにおける機器の設置方法によれば、処理装置に供給する気体を、エネルギー消費量を抑制しつつ所望状態に高精度に制御し易くなる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、温度制御対象に供給する気体を、エネルギー消費量を抑制しつつ所望状態に高精度に制御し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】第1の実施の形態に係る温度制御システムを備える製造プラントとしての半導体製造プラントの概略図である。
図2】第1の実施の形態に係る温度制御システムの概略図である。
図3】第2の実施の形態に係る温度制御システムの概略図である。
図4】第3の実施の形態に係る温度制御システムの概略図である。
図5】第3の実施の形態に係る温度制御システムの冷却運転を説明する図である。
図6】第3の実施の形態に係る温度制御システムの加熱運転を説明する図である。
図7】第3の実施の形態に係る温度制御システムの冷却及び加熱のコンビネーション運転を説明する図である。
図8】第4の実施の形態に係る温度制御システムの概略図である。
図9】第5の実施の形態に係る温度制御システムを備える製造プラントとしての半導体製造プラントの概略図である。
図10】第6の実施の形態に係る温度制御システムを備える製造プラントとしての半導体製造プラントの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付の図面を参照しつつ各実施の形態を詳細に説明する。
【0038】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係る温度制御システムS1を備える製造プラントとしての半導体製造プラントPの概略図である。半導体製造プラントPは、温度制御システムS1と、半導体製造システム1と、第1ダクト30と、第2ダクト40と、第3ダクト50と、を備える。
【0039】
半導体製造システム1は、第1ダクト30、第2ダクト40及び第3ダクト50を介して温度制御システムS1と接続する。温度制御システムS1は、所望状態に調節した空気を、第1ダクト30、第2ダクト40及び第3ダクト50を通して半導体製造システム1に供給する。
【0040】
本実施の形態では、温度制御システムS1が設置されるフロアの上方のフロアに半導体製造システム1が設置されている。言い換えると、半導体製造システム1が設置されるフロアの下方のフロアに温度制御システムS1が設置される。そして、第1ダクト30、第2ダクト40及び第3ダクト50は、半導体製造システム1が設置されるフロアを上下方向に通過して半導体製造システム1に至る。
【0041】
以上のようなレイアウトでは、例えば温度制御システムS1で生じ得る塵埃が半導体製造システム1に影響を及ぼすことが回避される。ただし、半導体製造システム1及び温度制御システムS1は同一のフロアに設置されてもよい。以下、半導体製造プラントPの各部について詳述する。
【0042】
(半導体製造システム)
半導体製造システム1は、複数の処理装置2と、内部ダクト4と、を備えている。
【0043】
複数の処理装置2はそれぞれ処理室3を有する。複数の処理装置2は、処理室3内に搬送されるワークとしてのウェハにレジスト膜形成処理、現像処理、機能膜形成処理、洗浄処理等のそれぞれに定められた特定の処理を行う。
【0044】
複数の処理装置2で行う複数の処理の中には、処理室3の状態を、所望の温度及び所望の湿度に高精度に制御することを要するとともに、処理室3に流入する空気の流量を所望の流入状態に制御することを要する処理が含まれる。このような所望状態への制御を要する処理装置2は、温度制御システムS1からの気体としての空気により、処理室3を所望状態に制御する。
【0045】
図1においては、複数の処理装置2のうちの現像装置2Aと、レジスト膜形成装置2B、機能膜形成装置2Cとが示されている。本実施の形態では、複数の処理装置2に、複数(図示例では4つ)の現像装置2Aと、複数(図示例では2つ)のレジスト膜形成装置2Bと、複数(図示例では2つ)の機能膜形成装置2Cとが含まれている。複数の現像装置2Aは、上下方向に積層されている。レジスト膜形成装置2Bも、上下方向に積層されている。複数の機能膜形成装置2Cも、上下方向に積層されている。なお、複数の処理装置2には、その他の処理を行う装置も含まれるが、これらの図示は省略されている。なお、その他の処理を行う装置は、露光装置や洗浄装置等でもよい。
【0046】
内部ダクト4は、第1内部ダクト部4Aと、第2内部ダクト部4Bと、第3内部ダクト部4Cとを有する。第3内部ダクト部4Cは、紙面に直交する方向で第2内部ダクト部4Bの裏側に位置するため、破線で示されている。第1内部ダクト部4Aは、複数の現像装置2Aに側方から隣り合う状態で上下方向に延びている。第2内部ダクト部4Bは、複数のレジスト膜形成装置2Bに側方から隣り合う状態で上下方向に延びている。第3内部ダクト部4Cは、複数の機能膜形成装置2Cに側方から隣り合う状態で上下方向に延びている。
【0047】
第1内部ダクト部4Aは気体導入口5Aを有し、気体導入口5Aに第1ダクト30が接続される。現像装置2Aはそれぞれ、処理室3内に空気を導入するための受入口3Aを有する。同様に、第2内部ダクト部4Bは気体導入口5Bを有し、気体導入口5Bに第2ダクト40が接続される。レジスト膜形成装置2Bはそれぞれ、処理室3内に空気を導入するための受入口3Bを有する。同様に、第3内部ダクト部4Cは気体導入口5Cを有し、気体導入口5Cに第3ダクト50が接続される。機能膜形成装置2Cはそれぞれ、処理室3内に空気を導入するための図示しない受入口を有する。第1内部ダクト部4Aにおける気体導入口5A、第2内部ダクト部4Bにおける気体導入口5B、及び第3内部ダクト部4Cにおける気体導入口5Cは、下方に開口している。
【0048】
本実施の形態では、第1ダクト30から第1内部ダクト部4Aの気体導入口5Aに受け入れられた空気は、第1内部ダクト部4Aの内部を介して各現像装置2Aの受入口3Aから各現像装置2Aの処理室3に供給される。また、第2ダクト40から第2内部ダクト部4Bの気体導入口5Bに受け入れられた空気は、第2内部ダクト部4Bの内部を介して各レジスト膜形成装置2Bの受入口3Bから各レジスト膜形成装置2Bの処理室3に供給される。また、第3ダクト50から第3内部ダクト部4Cの気体導入口5Cに受け入れられた空気は、第3内部ダクト部4Cの内部を介して各機能膜形成装置2Cの受入口から各機能膜形成装置2Cの処理室3に供給される。
【0049】
なお、本実施の形態では、第1内部ダクト部4A、第2内部ダクト部4B、第3内部ダクト部4Cから複数の処理装置2(複数の現像装置2A、複数のレジスト膜形成装置2B、複数の機能膜形成装置2C)に空気が分配されるが、第1内部ダクト部4A又は第2内部ダクト部4B又は第3内部ダクト部4Cから一つの処理装置2に空気が供給される構成でもよい。
【0050】
本実施の形態における半導体製造システム1は、レジスト塗布後、EUV(Extreme Ultra Violet)による露光処理を実施されたウェハに対して、極めて微細なパターンを形成することを想定している。この場合、とりわけレジスト膜形成装置2Bでは、処理室3内の温度、湿度を極めて高精度に制御することが求められ、且つ、処理室3内に流入する空気の流量を比較的大きい流量で一定に保つことが求められる。具体的には、レジスト膜形成装置2Bでは、例えば、目標温度に対する制御精度を、±0.5℃以内にすること、目標湿度に対する制御精度を、±0.5%以内にすることが求められる場合がある。
【0051】
一方で、現像装置2Aでは、レジスト膜形成装置2Bよりも高精度で温度、湿度を制御する必要がない場合もあり、且つ、処理室3内に流入する空気の流量もレジスト膜形成装置2Bが求める流量よりも小さくてよい場合がある。
【0052】
(温度制御システム)
図2は、温度制御システムS1の概略図である。図1及び図2に示すように、温度制御システムS1は、冷媒を循環させる冷凍サイクル装置100と、液体循環装置200と、気体供給装置300と、第1流体通流装置350と、第2流体通流装置360と、を備える。液体循環装置200は、冷凍サイクル装置100が循環させる冷媒により温度制御される液体を循環させる。気体供給装置300は、液体循環装置200が循環させる液体により温度制御される空気を送風機(316、326、336)で温度制御対象(処理室3)に供給するように構成されている。
【0053】
冷凍サイクル装置100は、フッ素系冷媒(非自然冷媒)を循環させる冷凍サイクル装置である。冷凍サイクル装置100は、圧縮機101と、凝縮器102と、第1膨張弁103と、第1蒸発器104とを冷媒がこの順で循環するように接続した主冷媒回路100Aと、主冷媒回路100Aから分岐する二次冷媒回路100Bと、を有する。図1に示すように、冷凍サイクル装置100は、主冷媒回路100A及び二次冷媒回路100Bを筐体100Cに収容している。
【0054】
二次冷媒回路100Bは、主冷媒回路100Aにおける凝縮器102の下流側であって第1膨張弁103の上流側の部分から分岐して、主冷媒回路100Aに再度接続される分岐路105と、分岐路105に設けられる第2膨張弁106及び第2蒸発器107と、を有する。分岐路105は、主冷媒回路100Aにおける第1蒸発器104の下流側であって圧縮機101の上流側の部分で、主冷媒回路100Aに再度接続される。第2膨張弁106は、第2蒸発器107の上流側に設けられる。二次冷媒回路100Bでは、主冷媒回路100Aから分岐路105に流入した冷媒が、第2膨張弁106及び第2蒸発器107を通過した後、主冷媒回路100Aに戻る。
【0055】
圧縮機101で圧縮される冷媒は、凝縮器102を介して第1膨張弁103、第2膨張弁106に分岐して流入する。そして、第1蒸発器104は、第1膨張弁103からの冷媒を通流させる。第2蒸発器107は、第2膨張弁106からの冷媒を通流させる。すなわち、第1蒸発器104及び第2蒸発器107は、冷凍サイクル装置100において並列に配置されている。
【0056】
圧縮機101は、第1蒸発器104及び/又は第2蒸発器107から流出する低温且つ低圧の気体の状態の冷媒を圧縮し、その後、凝縮器102に送る。圧縮機101は、例えばスクロール型の圧縮機でもよいが、その形式は特に限られない。
【0057】
凝縮器102は、圧縮機101から流入する冷媒を冷却して凝縮させる。凝縮器102は、水冷式の熱交換器で構成される。凝縮器102は、冷却水供給管110から冷却水を供給され、冷却水により冷媒を凝縮させる。冷却水は、水でもよい。なお、凝縮器102は、空冷式の熱交換器でもよい。凝縮器102は、吸熱用熱交換器に対応するものである。
【0058】
第1膨張弁103は、凝縮器102から供給された冷媒を膨張させることにより減圧させて、低温且つ低圧の気液混合状態として、第1蒸発器104に供給する。第2膨張弁106は、凝縮器102から供給された冷媒を膨張させることにより減圧させて、低温且つ低圧の気液混合状態として、第2蒸発器107に供給する。
【0059】
第1蒸発器104は、液体循環装置200と接続し、液体循環装置200における液体を冷媒により温度制御する。すなわち、第1蒸発器104は、第1膨張弁103から供給された冷媒を、液体循環装置200における液体と熱交換させる。ここで、液体と熱交換した冷媒は、低温且つ低圧の気体の状態となって第1蒸発器104から流出して再び圧縮機101で圧縮される。第1蒸発器104は、制御用熱交換器に対応するものである。
【0060】
一方で、第2蒸発器107は、第1流体通流装置350と接続し、第1流体通流装置350における流体を冷媒により温度制御する。すなわち、第2蒸発器107は、第2膨張弁106から供給された冷媒を、第1流体通流装置350における液体と熱交換させる。ここで、液体と熱交換した冷媒は、低温且つ低圧の気体の状態となって第2蒸発器107から流出して再び圧縮機101で圧縮される。
【0061】
液体循環装置200は、液体を貯留するタンク201と、タンク201から液体を汲み出すポンプ202と、それぞれポンプ202から流出する液体を通過させる並列に配置される第1熱交換器211、第2熱交換器212及び第3熱交換器213と、を備える。液体循環装置200は、上述したように第1蒸発器104に接続され、第1蒸発器104で冷媒により温度制御される液体を、ポンプ202の駆動により第1熱交換器211、第2熱交換器212及び第3熱交換器213に送る。そして、第1熱交換器211、第2熱交換器212及び第3熱交換器213のそれぞれを流出する液体は、タンク201に循環する。
【0062】
詳しくは、液体循環装置200は、タンク201、ポンプ202、及び第1蒸発器104によって温度制御される被温調部214を有するメイン流路220と、メイン流路220の下流端から分岐する第1分岐流路221、第2分岐流路222及び第3分岐流路223と、を有する。そして、第1分岐流路221、第2分岐流路222及び第3分岐流路223それぞれの下流端は、メイン流路220の上流端に接続する。そして、第1分岐流路221に第1熱交換器211が設けられ、第2分岐流路222に第2熱交換器212が設けられ、第3分岐流路223に第3熱交換器213が設けられる。そして、第1熱交換器211、第2熱交換器212及び第3熱交換器213のそれぞれを流出する液体は、メイン流路220の上流端からタンク201に循環する。液体循環装置200が循環させる液体は、例えば不凍液であり、エチレングリコール水溶液などでもよい。当該液体は特に限られるものではなく、エーテル系液体、フッ素系液体、フッ素エーテル系液体、シリコーンオイルなどでもよい。
【0063】
ここで、液体循環装置200におけるタンク201及びポンプ202は、冷凍サイクル装置100の筐体100Cに収容されている。一方で、第1熱交換器211は、後述する第1気体供給装置310の筐体311に収容される。第2熱交換器212は、後述する第2気体供給装置320の筐体321に収容される。第3熱交換器213は、後述する第3気体供給装置330の筐体331に収容される。液体循環装置200の一部は、冷凍サイクル装置100に一体化されている。一方で、第1気体供給装置310、第2気体供給装置320及び第3気体供給装置330は、冷凍サイクル装置100から分離している。
【0064】
気体供給装置300は、第1気体供給装置310と、第2気体供給装置320と、第3気体供給装置330と、を含む。
【0065】
第1気体供給装置310は、液体循環装置200における第1熱交換器211に接続される。そして、第1気体供給装置310は、第1熱交換器211を通過する液体により温度制御される空気をその送風機316で温度制御対象に供給する。第1気体供給装置310の温度制御対象は、現像装置2Aの処理室3である。
【0066】
第2気体供給装置320は、液体循環装置200における第2熱交換器212に接続される。第2気体供給装置320は、第2熱交換器212を通過する液体により温度制御される空気をその送風機326で温度制御対象に供給する。第2気体供給装置320の温度制御対象は、レジスト膜形成装置2Bの処理室3である。
【0067】
第3気体供給装置330は、液体循環装置200における第3熱交換器213に接続される。第3気体供給装置330は、第3熱交換器213を通過する液体により温度制御される空気をその送風機336で温度制御対象に供給する。第3気体供給装置330の温度制御対象は、機能膜形成装置2Cの処理室3である。
【0068】
図1を参照し、第1気体供給装置310は、気体取込口311A及び気体供給口311Bを有する筐体311と、加熱器314と、加湿器315と、送風機316と、インバータ317と、コントローラ318と、を備える。第1気体供給装置310では、気体取込口311Aから気体供給口311Bまでの気体流路を通流する空気が、第1熱交換器211により冷却された後、加熱器314により加熱され、加湿器315により加湿される。第1熱交換器211は、上記気体流路に配置されている。気体取込口311Aから気体供給口311Bまでの気体流路は、例えば管状の気体通流ダクトにより形成される。
【0069】
図1における二点鎖線の矢印α1は、第1気体供給装置310により温調及び湿調される空気の流れを示している。矢印α1に示すように、気体取込口311Aに流入する空気は、まず、第1熱交換器211により冷却される。この際、除湿も行われる。次いで、空気は、加熱器314により加熱され、その後、加湿器315により加湿される。その後、空気は、気体供給口311Bから第1ダクト30に流入する。気体供給口311Bは、上方に開口している。
【0070】
加熱器314の形式は特に限られるものではなく、電気ヒータで構成されてもよく、冷凍回路(冷凍サイクル装置100)の高温の冷媒を通過させる熱交換器で構成されてもよい。加湿器315の形式も特に限られるものではなく、スチーム(蒸気)式、滴下浸透気化式、及び超音波式のいずれで構成されてもよい。
【0071】
気体取込口311Aから気体供給口311Bまで空気を流すための駆動力は、送風機316が発生させる。送風機316は、ファンを回転させるモータを有し、本実施の形態では、モータとして三相交流モータ又はブラシレスモータが採用される。そして、送風機316は、モータをインバータ317により制御する。インバータ317は、モータに供給する交流電流の周波数を調節することで、モータ回転数を調整する。これにより、送風機316は、流量調節可能に第1内部ダクト部4Aに空気を供給できる。
【0072】
コントローラ318は、加熱器314、加湿器315及びインバータ317を制御する。コントローラ318は、加湿器315の下流側に配置される図示しない一つ又は複数の温度センサ及び一つ又は複数の湿度センサからの検出情報に基づき、加熱器314及び加湿器315の一部又は全部の動作を制御することで、供給する空気の温度が目標温度になるように及び供給する空気の湿度が目標湿度になるように制御してもよい。また、コントローラ318は、加湿器315の下流側に配置される一つ又は複数の流量センサからの検出情報に基づき、処理室3内に流入する空気が目標流量になるようにインバータ317を介して送風機316を制御してもよい。また、第1熱交換器211を通過する冷媒の流量を制御することにより、空気の温度調節が行われてもよい。この際、ポンプ202の回転数を図示しないコントローラで調節することで、冷媒の流量が調節されてもよい。
【0073】
コントローラ318は、CPU、ROM等を含むコンピュータで構成されてもよく、この場合、ROMに格納されたプログラムに従い、各種処理を行う。また、コントローラ318は、その他のプロセッサや電気回路(例えばFPGA(Field Programmable Gate Alley)等)で構成されてもよい。
【0074】
第2気体供給装置320は、気体取込口321A及び気体供給口321Bを有する筐体321と、加熱器324と、加湿器325と、送風機326と、インバータ327と、コントローラ328と、を備える。第2気体供給装置320では、気体取込口321Aから気体供給口321Bまでの気体流路を通流する空気が、第2熱交換器212により冷却された後、加熱器324により加熱され、加湿器325により加湿される。第2熱交換器212は、上記気体流路に配置されている。気体取込口321Aから気体供給口321Bまでの気体流路は、例えば管状の気体通流ダクトにより形成される。
【0075】
図1における二点鎖線の矢印α2は、第2気体供給装置320により温調及び湿調される空気の流れを示している。矢印α2に示すように、気体取込口321Aに流入する空気は、まず、第2熱交換器212により冷却される。この際、除湿も行われる。次いで、空気は、加熱器324により加熱され、その後、加湿器325により加湿される。その後、空気は、気体供給口321Bから第2ダクト40に流入する。気体供給口321Bは上方に開口している。第2気体供給装置320を構成する各部の構成は第1気体供給装置310の各部の構成と基本的に同様であるため、詳しい説明は省略する。
【0076】
第3気体供給装置330は、気体取込口331A及び気体供給口331Bを有する筐体331と、加熱器334と、加湿器335と、送風機336と、インバータ337と、コントローラ338と、を備える。第3気体供給装置330では、気体取込口331Aから気体供給口331Bまでの気体流路を通流する空気が、第3熱交換器213により冷却された後、加熱器334により加熱され、加湿器335により加湿される。第3熱交換器213は、上記気体流路に配置されている。気体取込口331Aから気体供給口331Bまでの気体流路は、例えば管状の気体通流ダクトにより形成される。
【0077】
図1における二点鎖線の矢印α3は、第3気体供給装置330により温調及び湿調される空気の流れを示している。矢印α3に示すように、気体取込口331Aに流入する空気は、まず、第3熱交換器213により冷却される。この際、除湿も行われる。次いで、空気は、加熱器334により加熱され、その後、加湿器335により加湿される。その後、空気は、気体供給口331Bから第3ダクト50に流入する。気体供給口331Bは上方に開口している。第3気体供給装置330を構成する各部の構成は第1気体供給装置310及び第2気体供給装置320の各部の構成と基本的に同様であるため、詳しい説明は省略する。
【0078】
以上のようにして温度制御システムS1は、温度及び湿度が制御された空気を温度制御対象である各処理室3に供給する。第1気体供給装置310、第2気体供給装置320及び第3気体供給装置330は互いに分離している。一方で、第1気体供給装置310、第2気体供給装置320及び第3気体供給装置330はそれぞれ、液体循環装置200の一部と一体化される。詳しくは、第1気体供給装置310、第2気体供給装置320及び第3気体供給装置330はそれぞれ、液体循環装置200の対応する熱交換器211、212、213を内蔵する。液体循環装置200における第1分岐流路221、第2分岐流路222及び第3分岐流路223の一部は、冷凍サイクル装置100における筐体100Cに収容され、第1分岐流路221、第2分岐流路222及び第3分岐流路223の他の部分は、筐体100Cの外部に配置される。第1分岐流路221、第2分岐流路222及び第3分岐流路223における筐体100Cの外部に配置される部分は、筐体100Cから外部に延び出して、対応する第1気体供給装置310、第2気体供給装置320及び第3気体供給装置330に進入する。
【0079】
そして、第1分岐流路221における第1気体供給装置310の内部に位置する部分に第1熱交換器211が設けられる。第2分岐流路222における第2気体供給装置320の内部に位置する部分に第2熱交換器212が設けられる。第3分岐流路223における第3気体供給装置330の内部に位置する部分に第3熱交換器213が設けられる。第1分岐流路221、第2分岐流路222及び第3分岐流路223における外部に露出する部分には、特に断熱性が確保されることが望ましい。第1分岐流路221、第2分岐流路222及び第3分岐流路223には、又はこれら含む液体循環装置200の配管部分の全体には、断熱材が設けられてもよい。
【0080】
一方で、第1流体通流装置350は、図2に示すように第2蒸発器107に接続される。第1流体通流装置350は、流体としての温調液を貯留する温調液タンク351と、温調液タンク351から温調液を汲み出す第1温調液ポンプ352と、それぞれ第1温調液ポンプ352から流出する温調液を通過させる並列に配置される第1加熱器353及び第2加熱器354と、を備える。第1流体通流装置350は、第2蒸発器107で冷媒により温度制御される温調液を、第1温調液ポンプ352の駆動により第1加熱器353及び第2加熱器354に送る。第1加熱器353及び第2加熱器354は、温調液を通過させつつ加熱できる。図示の第1加熱器353及び第2加熱器354は、通路形成部内に電気ヒータを収容する。そして、第1加熱器353及び第2加熱器354のそれぞれを流出する温調液は、図示しない温度制御対象を通過した後、温調液タンク351に循環する。
【0081】
詳しくは、第1流体通流装置350は、温調液タンク351、第1温調液ポンプ352、及び第2蒸発器107によって温度制御される被温調部355を有する温調液メイン流路356と、温調液メイン流路356の下流端から分岐する第1温調液分岐流路357及び第2温調液分岐流路358と、を有する。第1温調液分岐流路357に第1加熱器353が設けられ、第2温調液分岐流路358に第2加熱器354が設けられている。第1温調液分岐流路357及び第2温調液分岐流路358のそれぞれから流出する流体は、対応する温度制御対象を通過した後、温調液メイン流路356の上流端から温調液タンク351に循環する。
【0082】
温調液による温度制御対象は、例えば現像装置2Aにおいてウェハを保持するステージなどでもよい。また、第1流体通流装置350が通流させる温調液は、例えば不凍液であり、エチレングリコール水溶液などでもよい。当該温調液は特に限られるものではなく、エーテル系液体、フッ素系液体、フッ素エーテル系液体、シリコーンオイルなどでもよい。
【0083】
第2流体通流装置360は、第1流体通流装置350の温調液タンク351に接続され、温調液タンク351の温調液を引き込んで温度制御対象を温度制御した後、温調液を温調液タンク351に循環させる。第2流体通流装置360は、温調液タンク351から温調液を汲み出す第2温調液ポンプ362と、それぞれ第2温調液ポンプ362から流出する温調液を通過させる並列に配置される第3加熱器363及び第4加熱器364と、を備える。図示省略したが、図2におけるX1-X1’の間には、温調液タンク351からの温調液を第2温調液ポンプ362側に通流させる配管部材が設けられる。X2-X2’の間には、第3加熱器363及び第4加熱器364から温度制御対象を通過した温調液を温調液タンク351側に通流させる配管部材が設けられる。
【0084】
第2流体通流装置360では、第2温調液ポンプ362から流出する温調液が冷却水熱交換器370で冷却された後、第3加熱器363及び第4加熱器364に送られる。第3加熱器363及び第4加熱器364は、温調液を通過させつつ加熱できる。図示の第3加熱器363及び第4加熱器364は、通路形成部内に電気ヒータを収容する。そして、第3加熱器363及び第4加熱器364のそれぞれを流出する温調液は、図示しない温度制御対象を通過した後、温調液タンク351に循環する。
【0085】
第3加熱器363及び第4加熱器364から流出する温調液による温度制御対象は、例えば現像装置2Aにおける壁部分などでもよい。冷却水熱交換器370は、例えば水により、温調液を温度制御してもよい。冷却水熱交換器370は、空冷式の熱交換器でもよい。なお、第2流体通流装置360の各部の構成及び接続態様は、第1流体通流装置350と同様のため、説明は省略する。
【0086】
(ダクト)
図1に戻り、第1ダクト30は、第1気体供給装置310の気体供給口311Bと、半導体製造システム1における第1内部ダクト部4Aに設けられた気体導入口5Aとを接続している。図1において、符号UDは、鉛直方向を示す。符号Caは、気体供給口311Bの中心を示し、符号Cbは、気体導入口5Aの中心を示している。また、符号L1は、気体供給口311Bの中心Caと気体導入口5Aの中心Cbとを結んだ仮想的な直線を示している。
【0087】
ここで、直線L1が鉛直方向となす角度は0度以上45度以下であり、詳しくは、0度である。そして、気体供給口311Bの中心軸線と、気体導入口5Aの中心軸線とが同軸に位置し、気体供給口311Bと気体導入口5Aとは鉛直方向UDで互いに正対している。そして、第1ダクト30は、気体供給口311Bから気体導入口5Aにわたり真っ直ぐに且つ鉛直方向UDに平行に延びる状態で気体供給口311Bと気体導入口5Aとを接続している。そして、第1ダクト30の中心軸線C1と、直線L1とが一致している。
【0088】
また、第2ダクト40は、第2気体供給装置320の気体供給口321Bと、半導体製造システム1における第2内部ダクト部4Bに設けられた気体導入口5Bとを接続している。図1において、符号Ccは、気体供給口321Bの中心を示し、符号Cdは、気体導入口5Bの中心を示している。符号L2は、気体供給口321Bの中心Ccと気体導入口5Bの中心Cdとを結んだ仮想的な直線を示している。
【0089】
直線L2が鉛直方向となす角度も0度以上45度以下であり、詳しくは、0度である。そして、気体供給口321Bの中心軸線と、気体導入口5Bの中心軸線とが同軸に位置し、気体供給口321Bと気体導入口5Bとは鉛直方向UDで互いに正対している。そして、第2ダクト40は、気体供給口321Bから気体導入口5Bにわたり真っ直ぐに且つ鉛直方向UDに平行に延びる状態で気体供給口321Bと気体導入口5Bとを接続している。そして、第2ダクト40の中心軸線C2と、直線L2とが一致している。
【0090】
なお、本実施の形態のように気体供給口と気体導入口とが互いに正対する場合には、直線L1、L2が鉛直方向となす角度は、0度が良い。直線L1、L2が鉛直方向となす角度は、好ましくは30度以下であり、より好ましくは22.5度以下であり、さらに好ましくは15度以下、10度以下、5度以下である。
【0091】
また、第3ダクト50は、第3気体供給装置330の気体供給口331Bと、半導体製造システム1における第3内部ダクト部4Cに設けられた気体導入口5Cとを接続している。図1において、符号Ceは、気体供給口331Bの中心を示し、符号Cfは、気体導入口5Cの中心を示している。また、符号L3は、気体供給口331Bの中心Ceと気体導入口5Cの中心Cfとを結んだ仮想的な直線を示している。
【0092】
直線L3が鉛直方向となす角度も0度以上45度以下であり、詳しくは、約30度である。そして、第3ダクト50は、気体供給口331Bから気体導入口5Cにわたり真っ直ぐに延び且つその中心軸線C3を直線L3に一致させて延びる状態で気体供給口331Bと気体導入口5Cとを接続している。すなわち、第3ダクト50の中心軸線CCと、直線L3とは一致している。
【0093】
図示の例では、第3ダクト50の両端部が斜めに切り取られることにより、第3ダクト50は、その中心軸線C3を直線L3に一致させて延びる。ただし、図示のように、第3気体供給装置330の気体供給口331Bと、第3内部ダクト部4Cに設けられた気体導入口5Cとが水平方向にずれ、直線L3が鉛直方向UDとなす角度が0度よりも大きい場合、第3ダクト50の両端部のうちの少なくとも一方の端部を含む一部を除く部分における第3ダクト50の中心軸線C3と、直線L3とが一致するように、第3ダクト50が気体供給口331Bと気体導入口5Cとを接続してもよい。すなわち、第3ダクト50の両端部のうちの少なくとも一方の端部を含む一部が曲げられ、第3ダクト50の残り部の部分が、中心軸線L3を直線L3に一致させて延びるように第3ダクト50が気体供給口331Bと気体導入口5Cとを接続してもよい。この場合、第3ダクト50における50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは90%以上の部分で、中心軸線C3が直線L3と一致することが好ましい。中心軸線L3が直線L3に一致する部分が大きくなるほど、ダクト長さ及び圧損を抑制できる。
【0094】
また、気体供給口(311B、321B、331B)は水平方向や斜めに開口してもよく、気体導入口(5A、5B、5C)も水平方向や斜めに開口してもよい。この場合、気体供給口(311B、321B、331B)の中心軸線と、気体導入口(5A、5B、5C)の中心軸線とは、非平行となる。このような場合、以下のような接続態様でダクト(30、40、50)が接続されてもよい。
(1)直線(L1、L2、L3)が鉛直方向UDとなす角度が0度であり、ダクトの両端部のうちの一方の端部を含む一部を除く部分におけるダクトの中心軸線と、前記直線(L1、L2、L3)とが一致するように、ダクトが気体供給口と気体導入口とを接続する。
(2)直線(L1、L2、L3)が鉛直方向UDとなす角度が0度でない場合に、ダクトは、鉛直方向UDと平行に延びる部分と1つの湾曲部分とで気体導入口と気体供給口とを接続する。
【0095】
上記(1)で接続を行う場合、ダクトにおける50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは90%以上の部分で、中心軸線C3が直線L3と一致することが好ましい。上記(2)で接続を行う場合、ダクトにおける50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは75%以上、さらに好ましくは90%以上の部分が、鉛直方向UDと平行に延びることが好ましい。
【0096】
第1ダクト30、第2ダクト40及び第3ダクト50の形式は特に限られるものではなく、折り曲げ可能なフレキシブルダクトでもよいし、折り曲げ不能なリジッドなダクトでもよい。本実施の形態では、第1ダクト30及び第2ダクト40がともに真っ直ぐに延びるため、折り曲げ不要で且つ圧損が抑制される。そのため、リジッドなダクトを用いることで、圧損の更なる抑制とコストダウンを図ってもよい。また、第1ダクト30、第2ダクト40及び第3ダクト50は断面形状が円形でもよいし、矩形でもよい。すなわち第1ダクト30、第2ダクト40及び第3ダクト50は、円形ダクトでもよいし、角形ダクトでもよい。
【0097】
(作用・効果)
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0098】
冷凍サイクル装置100は、第1蒸発器104において冷媒により液体循環装置200における液体を温度制御する。液体循環装置200は、第1蒸発器104で冷媒により温度制御された液体を第1熱交換器211、第2熱交換器212及び第3熱交換器213に送る。そして、第1熱交換器211は、冷媒により温度制御された液体により第1気体供給装置310における空気を温度制御する。第2熱交換器212は、冷媒により温度制御された液体により第2気体供給装置320における空気を温度制御する。第3熱交換器213は、冷媒により温度制御された液体により第3気体供給装置330における空気を温度制御する。
【0099】
そして、第1気体供給装置310では、空気が第1熱交換器211により冷却され、次いで、加熱器314により加熱され、その後、加湿器315により加湿される。その後、空気は、気体供給口311Bから第1ダクト30に流入する。そして、第1ダクト30から第1内部ダクト部4Aの気体導入口5Aに受け入れられた空気は、半導体製造システム1における第1内部ダクト部4Aの内部を介して各現像装置2Aの受入口3Aから各現像装置2Aの処理室3に供給される。
【0100】
同様に、第2気体供給装置320では、空気が第2熱交換器212により冷却され、次いで、加熱器324により加熱され、その後、加湿器325により加湿される。その後、空気は、気体供給口321Bから第2ダクト40に流入する。そして、第2ダクト40から第2内部ダクト部4Bの気体導入口5Bに受け入れられた空気は、半導体製造システム1における第2内部ダクト部4Bの内部を介して各レジスト膜形成装置2Bの受入口3Bから各レジスト膜形成装置2Bの処理室3に供給される。
【0101】
同様に、第3気体供給装置330では、空気が第3熱交換器213により冷却され、次いで、加熱器334により加熱され、その後、加湿器335により加湿される。その後、空気は、気体供給口331Bから第3ダクト50に流入する。そして、第3ダクト50から第3内部ダクト部4Cの気体導入口5Cに受け入れられた空気は、半導体製造システム1における第3内部ダクト部4Cの内部を介して各機能膜形成装置2Cの受入口から各機能膜形成装置2Cの処理室3に供給される。
【0102】
以上のような温度制御システムS1では、冷凍サイクル装置100と、第1気体供給装置310、第2気体供給装置320及び第3気体供給装置330との間に液体循環装置200を介在させる。この場合、冷凍サイクル装置100を温度制御対象に近づけずに、第1気体供給装置310、第2気体供給装置320及び第3気体供給装置330を、対応する温度制御対象に近づけることが可能となる。具体的には、本実施の形態では、第1気体供給装置310、第2気体供給装置320及び第3気体供給装置330を、対応する温度制御対象に近づけている。これにより、第1気体供給装置310、第2気体供給装置320及び第3気体供給装置330から対応する温度制御対象に至るまでに生じる気体(空気)に対する圧損及び空気の温度及び/又は湿度の変化を抑制できる。
【0103】
詳しくは、冷凍サイクル装置の冷媒で気体を直接的に温度制御して温度制御対象に供給する一般的な構造では、冷凍サイクル装置から温度制御対象までの距離が長い場合に、気体を通流させるダクトが長くなり得る。そのため、気体に対する圧損や気体の温度及び/又は湿度の変化が大きくなり得る。例えば、図1における冷凍サイクル装置100の位置で第1蒸発器104により空気を温度制御し、温度制御対象としての現像装置2Aの処理室3、レジスト膜形成装置2Bの処理室3及び機能膜形成装置2Cの処理室3まで3つのダクトを分岐させて空気を送る一般的な構成では、各ダクトの長さは長くなる。この場合、圧損が増加し空気の状態変化も大きくなり得る。一方で、例えば、現像装置2Aの処理室3、レジスト膜形成装置2Bの処理室3及び機能膜形成装置2Cの処理室3の直下にそれぞれ、専用の冷凍サイクル装置を設置することは、省エネルギーや、設備コストなどの観点で望ましいとは言えない。
【0104】
これに対して、温度制御システムS1は、冷凍サイクル装置100の冷媒により、液体循環装置200が循環させる液体を介して空気を温度制御する。これにより、空気の温度制御位置を温度制御対象に近づけることが可能になる。具体的には、第1気体供給装置310における空気の温度制御位置を、現像装置2Aの処理室3及び当該処理室3に対応する気体導入口5Aに近づけることが可能となる。第2気体供給装置320における空気の温度制御位置を、レジスト膜形成装置2Bの処理室3及び当該処理室3に対応する気体導入口5Bに近づけることが可能となる。また、第3気体供給装置330における空気の温度制御位置を、機能膜形成装置2Cの処理室3及び当該処理室3に対応する気体導入口5Cに近づけることが可能となる。したがって、一般的な構造で生じ得る、圧損や温度及び/又は湿度の変化の問題が解消され得る。また、例えばレジスト膜形成装置2Bの処理室3及び機能膜形成装置2Cの処理室3の直下に、冷凍サイクル装置100とは別の専用の冷凍サイクル装置を設置する場合に比べて、温度制御システムS1のフットプリントを大幅に抑制することができる。
【0105】
よって、本実施の形態に係る温度制御システムS1によれば、温度制御対象に供給する気体を、エネルギー消費量を抑制しつつ所望状態に高精度に制御し易くなる。
【0106】
そして、本実施の形態では、上述のように、冷凍サイクル装置100を温度制御対象に近づけずに、第1気体供給装置310における空気の温度制御位置を、現像装置2Aの処理室3及び当該処理室3に対応する気体導入口5Aに近づけることが可能となる。第2気体供給装置320における空気の温度制御位置を、レジスト膜形成装置2Bの処理室3及び当該処理室3に対応する気体導入口5Bに近づけることが可能となる。また、第3気体供給装置330における空気の温度制御位置を、機能膜形成装置2Cの処理室3及び当該処理室3に対応する気体導入口5Cに近づけることが可能となる。これに伴い、第1気体供給装置310の気体供給口311Bを、現像装置2Aの処理室3及び当該処理室3に対応する気体導入口5Aに近づけることが可能となる。第2気体供給装置320の気体供給口321Bを、レジスト膜形成装置2Bの処理室3及び当該処理室3に対応する気体導入口5Bに近づけることが可能となる。第3気体供給装置330の気体供給口331Bを、機能膜形成装置2Cの処理室3及び当該処理室3に対応する気体導入口5Cに近づけることが可能となる。これにより、気体供給口311B、321B、331Bの中心と気体導入口5A、5B、5Cの中心とを結んだ直線が鉛直方向となす角度を、例えば0度以上45度以下にでき、第1ダクト30、第2ダクト40及び第3ダクト50の長さを効果的に抑えることができる。これにより、半導体製造プラントPで消費されるエネルギー量を効果的に抑制できる。
【0107】
半導体製造プラントPにおいて、上述のように第1気体供給装置310、第2気体供給装置320及び第3気体供給装置330を設置する際には、まず、温度制御システムS1が準備される。次いで、気体供給装置300からの空気を、温度制御対象としての処理室3に供給するべく気体供給装置300(310、320、330)及び冷凍サイクル装置100が配置される。気体供給装置300及び冷凍サイクル装置100を配置する工程では、気体供給装置300(310、320、330)は、冷凍サイクル装置100よりも気体導入口5A、5B、5Cに近い位置に配置される。この例では、気体導入口5A、5B,5Cと、冷凍サイクル装置と100が、水平方向に離れるように冷凍サイクル装置100が配置される。そして、この例では、第1気体供給装置310、第2気体供給装置320及び第3気体供給装置330に関して、気体供給口311B、321B,331Bの中心と気体導入口5A、5B,5Cの中心とを結んだ直線L1、L2,L3が鉛直方向UDとなす角度が、0度以上45度以下になるように、第1気体供給装置310、第2気体供給装置320及び第3気体供給装置330が配置される。すなわち、液体循環装置200によって、第1気体供給装置310、第2気体供給装置320及び第3気体供給装置330を、対応する気体導入口5A,5B,5Cに近づけることができる。そして、ダクト長を抑えることにより、ダクト圧損を抑制することができる。
なお、気体供給装置300が、冷凍サイクル装置100よりも気体導入口に近い状態とは、気体供給装置300と気体導入口との間の最短距離が、冷凍サイクル装置100と気体導入口との間の最短距離よりも小さくなる状態を意味する。気体供給装置300及び冷凍サイクル装置100がそれぞれ筐体を有する場合、最短距離の比較は、気体供給装置300の筐体と気体導入口との間の最短距離と、冷凍サイクル装置100の筐体と気体導入口との間の最短距離と、の比較により行われる。また、気体供給装置300及び冷凍サイクル装置100が筐体を有さない又は共通の筐体を有する場合、最短距離の比較は、気体供給装置300の空気の温度制御位置(熱交換器の位置)と気体導入口との間の最短距離と、冷凍サイクル装置100の第1蒸発器104の位置と気体導入口との間の最短距離と、の比較により行われる。
【0108】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。図3は、第2の実施の形態に係る温度制御システムS2の概略図である。本実施の形態の構成部分のうちの第1の実施の形態の構成部分と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0109】
本実施の形態では、冷凍サイクル装置100がホットガス分岐流路120を備える。そして、第1流体通流装置350における第1加熱器353及び第2加熱器354は、ホットガス分岐流路120から供給される高温の冷媒を利用して温調液を加熱する。本実施の形態は、これらの構成で第1の実施の形態と異なる。
【0110】
ホットガス分岐流路120は、主冷媒回路100Aにおける圧縮機101の下流側であって凝縮器102の上流側の部分から延び、途中で二又に分岐して第1加熱器353及び第2加熱器354を通過し、その後、合流する。そして、ホットガス分岐流路120は、第1加熱器353及び第2加熱器354を流出した冷媒を主冷媒回路100Aに戻すべく、その下流端を、主冷媒回路100Aにおける圧縮機101の下流側であって凝縮器102の上流側の部分におけるホットガス分岐流路120の上流端の接続位置よりも下流側に接続する。
【0111】
第1加熱器353及び第2加熱器354は、ホットガス分岐流路120が通流させる高温の冷媒と温調液とを熱交換させることにより温調液を加熱できる。
【0112】
第2の実施の形態によれば、第1流体通流装置350における流体である温調液の加熱を電気ヒータではなく冷凍サイクル装置100におけるホットガスを利用することでエネルギー消費量を効果的に抑制できる。
【0113】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。図4は、第3の実施の形態に係る温度制御システムS3の概略図である。本実施の形態の構成部分のうちの第1及び第2の実施の形態の構成部分と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0114】
本実施の形態に係る温調制御システムS3は、冷凍サイクル装置としての空気冷凍サイクル装置400を備える。また、液体循環装置200が、空気冷凍サイクル装置400が循環させる冷媒である空気により温度制御される第1液体を循環させる第1液体回路240と、第1液体により温度制御される第2液体を循環させる第2液体回路250とを有する。第1気体供給装置310、第2気体供給装置320及び第3気体供給装置330は、第2気体により温度制御される空気を温度制御対象に供給する。本実施の形態は、これらの構成で第1の実施の形態と異なる。
【0115】
空気冷凍サイクル装置400は、圧縮機401と、吸熱用熱交換器402と、回収熱交換器403と、膨張機404と、制御用熱交換器405とを空気がこの順で循環するように配管部材により接続した冷媒回路406を備える。空気は、圧縮機401で圧縮された後、吸熱用熱交換器402及び回収熱交換器403で段階的に冷却され、その後、膨張機404に流入する。その後、空気は膨張機404で膨張させられて、膨張機404から流出する。空気冷凍サイクル装置400は、膨張機404で膨張させた空気を-70℃以下、詳しくは-70℃~-110℃まで降温させて制御用熱交換器405に流入させることが可能となっている。また、空気冷凍サイクル装置400は、膨張機404で膨張させた空気を-40℃~-70℃の範囲にも制御できる。
【0116】
制御用熱交換器405は、液体循環装置200における第1液体回路240に接続しており、制御用熱交換器405に流入した空気は、第1液体回路240における第1液体を温度制御した後、制御用熱交換器405から流出して圧縮機401に送られる。
【0117】
制御用熱交換器405から流出した空気は、圧縮機401に戻る前に、回収熱交換器403で吸熱用熱交換器402を流出した空気と熱交換する。これにより、膨張機404に流入する前の空気が、吸熱用熱交換器402及び回収熱交換器403で段階的に冷却される。吸熱用熱交換器402は、例えば冷却媒体としての冷却水によって圧縮機401から流出する高圧の空気を冷却してもよい。吸熱用熱交換器402は液冷式の冷却器でもよいし、空冷式の冷却器でもよいし、特に限られるものではない。
【0118】
圧縮機401と膨張機404とは、共通のモータ407の駆動軸407Aに接続されている。これにより、駆動軸407Aの回転によって圧縮機401と膨張機404とが連動して回転する。
【0119】
また、空気冷凍サイクル装置400は、ホットガス回路408を備える。ホットガス回路408は、空気を通流させる冷媒分岐路409と、冷媒分岐路409に設けられ空気を通過させる第1ホットガス熱交換器410と、冷媒分岐路409における第1ホットガス熱交換器410の下流側の部分に設けられ空気を通過させる第2ホットガス熱交換器411と、を有する。
【0120】
冷媒分岐路409は、冷媒回路406における圧縮機401の下流側であって吸熱用熱交換器402の上流側の部分から分岐し、冷媒回路406に再度接続される。詳しくは、冷媒分岐路409は、冷媒回路406における圧縮機401の下流側であって膨張機404の上流側の部分における回収熱交換器403の下流側の位置で、冷媒回路406に再度接続される。図4では、図示の簡素化のために、冷媒分岐路409の一部の図示が省略されている。図4におけるY1-Y1’の間、及び、Y2-Y2’の間には、実際上、冷媒分岐路409の一部が存在する。
【0121】
また、ホットガス回路408は、第1三方弁412、第2三方弁413、第1バイパス路414、及び第2バイパス路415をさらに備える。
【0122】
第1三方弁412は、冷媒分岐路409における第1ホットガス熱交換器410の上流側の部分に設けられ、3つのポートのうちの2つのポートで冷媒分岐路409の一部を構成する。第1バイパス路414は、第1三方弁412の残りのポートに接続されるとともに、冷媒分岐路409における第1ホットガス熱交換器410の下流側であって第2ホットガス熱交換器411の上流側の部分に接続され、冷媒をバイパスする。
【0123】
第2三方弁413は、冷媒分岐路409における第1ホットガス熱交換器410の下流側であって第2ホットガス熱交換器411の上流側の部分に設けられ、3つのポートのうちの2つのポートで冷媒分岐路409の一部を構成する。そして、第2バイパス路415は、第2三方弁413の残りのポートに接続されるとともに、冷媒分岐路409における第2ホットガス熱交換器411の下流側の部分に接続され、冷媒をバイパスする。
【0124】
以上のようなホットガス回路408は、後述のように第1液体回路240における第1液体の加熱に利用される。
【0125】
一方で、第1液体回路240は、主回路240Aと、二次回路240Bとを有する。主回路240Aは、制御用熱交換器405に接続される。そして、主回路240Aは、制御用熱交換器405との接続部分において第1液体と制御用熱交換器405に流入した空気とを熱交換させ、これにより、第1液体が空気によって温度制御される。主回路240Aは、第1液体熱交換器241を有し、制御用熱交換器405から流出する第1液体を第1液体熱交換器241を通過させて制御用熱交換器405に戻す。第1液体熱交換器241は、第2液体回路250と接続し、第1液体により第2液体を温度制御する。
【0126】
また、二次回路240Bは、第1液体分岐路242と、第2液体熱交換器243と、を有する。第1液体分岐路242は、主回路240Aにおける制御用熱交換器405による温度制御位置の下流側であって第1液体熱交換器241の上流側の部分から分岐して主回路240Aに再度接続され、第1液体を通流させる。第2液体熱交換器243は、第1液体分岐路242に設けられ第1液体を通過させる。図示の第1液体分岐路242は、主回路240Aにおける制御用熱交換器405による温度制御位置の下流側であって第1液体熱交換器241の上流側の部分から分岐するが、これに限られない。第1液体分岐路242は、第1液体熱交換器241の下流側であって制御用熱交換器405による温度制御位置の上流側の部分から分岐してもよい。また、図示の第1液体分岐路242は、主回路240Aにおける第1液体熱交換器241の下流側であって制御用熱交換器405による温度制御位置の上流側の部分で、主回路240Aに再度接続されている。なお、第1液体分岐路242が、第1液体熱交換器241の下流側であって制御用熱交換器405による温度制御位置の上流側の部分から分岐する場合、第1液体分岐路242は、分岐した位置の下流側の部分で再度接続される。
【0127】
二次回路240Bにおける第2液体熱交換器243は、第1流体通流装置350と接続し、第1液体により第1流体通流装置350における温調液を温度制御する。なお、図示省略するが、第1液体回路240は、第1液体を通流させるためのポンプを備えている。
【0128】
上述したホットガス回路408における第1ホットガス熱交換器410は、第1液体分岐路242における第2液体熱交換器243の上流側の部分に接続している。これにより、第1ホットガス熱交換器410は、通過させる空気により第1液体分岐路242における第2液体熱交換器243の上流側の部分を通流する第1液体を加熱できる。ここで、第1三方弁412は、空気が第1ホットガス熱交換器410に流れる状態と、空気が第1ホットガス熱交換器410に流れないように空気をバイパスする状態とを切り換えることができる。これにより、第1三方弁412は、空気により第1液体分岐路242を通流する第1液体を加熱する状態と、加熱しない状態とを切り換えることができる。なお、第1ホットガス熱交換器410は、第1液体分岐路242における第1液体熱交換器241の下流側の部分に接続してもよい。
【0129】
また、第2ホットガス熱交換器411は、主回路240Aにおける第1液体分岐路242の接続位置の下流側であって第1液体熱交換器241の上流側の部分に接続している。これにより、第2ホットガス熱交換器411は、主回路240Aを通流する第1液体を加熱できる。ここで、第2三方弁413は、空気が第2ホットガス熱交換器411に流れる状態と、空気が第2ホットガス熱交換器411に流れないように空気をバイパスする状態とを切り換えることができる。これにより、第2三方弁413は、空気により主回路240Aを通流する第1液体を加熱する状態と、加熱しない状態とを切り換えることができる。
【0130】
第2液体回路250は、第1の実施の形態の液体循環装置200と基本的に同じ構成である。すなわち、第2液体回路250は、第2液体を貯留するタンク201と、タンク201から第2液体を汲み出すポンプ202と、それぞれポンプ202から流出する第2液体を通過させる並列に配置される第1熱交換器211、第2熱交換器212及び第3熱交換器213と、を備える。
【0131】
上述したように、第2液体回路250は第1液体熱交換器241と接続し、第1液体熱交換器241は、第1液体により第2液体を温度制御する。第1液体熱交換器241で第1液体により温度制御される第2液体は、ポンプ202の駆動により第1熱交換器211、第2熱交換器212及び第3熱交換器213に送られる。そして、第1気体供給装置310は、第1熱交換器211を通過する第2液体により温度制御される空気をその送風機316で温度制御対象に供給する。第2気体供給装置320は、第2熱交換器212を通過する第2液体により温度制御される空気をその送風機326で温度制御対象に供給する。第3気体供給装置330は、第3熱交換器213を通過する第2液体により温度制御される空気をその送風機336で温度制御対象に供給する。
【0132】
以下、温度制御システムS3の動作例を説明する。温調システムS3は、冷却運転、加熱運転、及び、冷却及び加熱のコンビネーション運転を切り換えて行うことができる。図5は、冷却運転を説明図である。図6は、加熱運転を説明図である。図7は、冷却及び加熱のコンビネーション運転を説明図である。
【0133】
図5に示す冷却運転では、ホットガス回路408に圧縮機401が吐出した空気を送らない。この場合、液体循環装置200における第1液体及び第2液体は早期に冷却される。
【0134】
図6に示す加熱運転では、ホットガス回路408にのみ圧縮機401が吐出した空気を送り、吸熱用熱交換器402側に空気を送らない。この場合、液体循環装置200における第1液体及び第2液体は早期に昇温される。
【0135】
図7に示すコンビネーション運転では、圧縮機401が吐出した空気を、吸熱用熱交換器402側と、ホットガス回路408とに送る。この場合、液体循環装置200における第1液体及び第2液体の温度を微調整できる。
【0136】
第1液体の目標温度が、-20~-40℃など、一般的な空気冷凍サイクル運転の膨張後空気温度よりも高い場合には、冷却運転、ホットガス運転、コンビネーション運転をこの順に行うことで、目標温度への制御時間を短縮することが可能となる。ただし、温度制御システムS3の運転状態は、特に限られるものではない。
【0137】
以上に説明した第3の実施の形態に係る温度制御システムS3では、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。また、冷凍サイクル装置100と第2液体回路250との間に第1液体回路240を介在させることにより、第2液体の温度制御を柔軟に調節し易くなる。
【0138】
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態について説明する。図8は、第4の実施の形態に係る温度制御システムS4の概略図である。本実施の形態の構成部分のうちの第1乃至第3の実施の形態の構成部分と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0139】
本実施の形態では、複数の気体供給装置300のうちの第1気体供給装置310が、冷凍サイクル装置100及び液体循環装置200の一部と一体化されている。一方で、第2気体供給装置320及び第3気体供給装置330は、冷凍サイクル装置100から分離している。
【0140】
<第5の実施の形態>
次に、第5の実施の形態について説明する。図9は、第5の実施の形態に係る温度制御システムS5を備える製造プラントとしての半導体製造プラントの概略図である。本実施の形態の構成部分のうちの第1乃至第4の実施の形態の構成部分と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0141】
本実施の形態では、まず、半導体製造システム1と、温度制御システムS5とが同じフロアに設置される点で第1の実施の形態と異なる。
【0142】
そして、半導体製造システム1では、気体導入口5A,5B,5Cの構成が第1の実施の形態と異なる。すなわち、現像装置2Aに接続される第1内部ダクト部4Aの気体導入口5Aは、第1内部ダクト部4Aの側面で開口している。そして、図示の例では、気体導入口5Aが、水平方向に開口している。レジスト膜形成装置2Bに接続される第2内部ダクト部4Bの気体導入口5Bは、第2内部ダクト部4Bの側面で開口している。そして、図示の例では、気体導入口5Bが、水平方向に開口している。図示しないが、機能膜形成装置2Cに接続される第3内部ダクト部4Cの気体導入口5Cも、第3内部ダクト部4Cの側面で開口している。
【0143】
本実施の形態でも、気体供給装置300は、第1気体供給装置310と、第2気体供給装置320と、第3気体供給装置330と、を含む。そして、第1気体供給装置310、第2気体供給装置320及び第3気体供給装置330は、冷凍サイクル装置100から離れた位置に設けられている。なお、第3気体供給装置330は、紙面に直交する方向で第2気体供給装置320の裏側に位置するため、その図示を省略されている。
【0144】
第1気体供給装置310は、その気体供給口311Bが筐体311の側面で開口している点で第1の実施の形態と異なる。詳しくは、気体供給口311Bは、水平方向に開口している。また、第2気体供給装置320も、その気体供給口321Bが筐体321の側面で開口している点で第1の実施の形態と異なる。詳しくは、気体供給口321Bも、水平方向に開口している。図示しないが、第3気体供給装置330の気体供給口331Bも、筐体331の側面で開口している。
【0145】
第1気体供給装置310は、液体循環装置200の一部である第1熱交換器211を内蔵する。そして、第1気体供給装置310では、図9における二点鎖線の矢印α1’に示すように、気体取込口311Aに流入する空気が、まず、第1熱交換器211により冷却される。次いで、空気は、加熱器314により加熱され、その後、加湿器315により加湿される。その後、空気は、気体供給口311Bから第1ダクト30に流入する。ここで、本実施の形態では、送風機316の向きが第1の実施の形態と異なっており、気体供給口311Bから流出する空気は、水平方向に沿って第1ダクト30に流入する。
【0146】
また、本実施の形態では、第1気体供給装置310の気体供給口311Bと、第1内部ダクト部4Aの気体導入口5Aとが水平方向に相対しており、第1ダクト30は、水平方向に真っ直ぐに延びて気体供給口311Bと気体導入口5Aとを接続している。気体供給口311Bの中心と気体導入口5Aの中心とを結ぶ直線は、気体導入口5Aの中心軸線と0度をなすことが望ましいが、45度未満であれば良い。また、第1気体供給装置310は、冷凍サイクル装置100よりも気体導入口5Aに近い位置に配置されている。これにより、冷凍サイクル装置の蒸発器で気体を温度制御して供給する一般的な構造に比べて、ダクト長を抑制できる。なお、第1ダクト30を設けずに、気体供給口311Bと気体導入口5Aとが接続されてもよい。
【0147】
第2気体供給装置320も、液体循環装置200の一部である第2熱交換器212を内蔵する。また、第2気体供給装置320でも、送風機326の向きが第1の実施の形態と異なる。そして、第2気体供給装置320では、図9における二点鎖線の矢印α2’に示すように、気体取込口321Aに流入する空気が、まず、第2熱交換器212により冷却される。次いで、空気は、加熱器324により加熱され、その後、加湿器325により加湿される。その後、空気は、気体供給口321Bから水平方向に沿って第2ダクト40に流入する。なお、第2ダクト40を設けずに、気体供給口321Bと気体導入口5Bとが接続されてもよい。
【0148】
また、第1気体供給装置310側の場合と同様に、第2気体供給装置320の気体供給口321Bと、第2内部ダクト部4Bの気体導入口5Bとは、水平方向に相対しており、第2ダクト40は、水平方向に真っ直ぐに延びて気体供給口321Bと気体導入口5Bとを接続している。気体供給口321Bの中心と気体導入口5Bの中心とを結ぶ直線は、気体導入口5Bの中心軸線と0度をなすことが望ましいが、45度未満であれば良い。また、第2気体供給装置320は、冷凍サイクル装置100よりも気体導入口5Bに近い位置に配置されている。これにより、冷凍サイクル装置の蒸発器で気体を温度制御して供給する一般的な構造に比べて、ダクト長を抑制できる。
【0149】
第3気体供給装置330における構成も、図9に示す第1気体供給装置310及び第2気体供給装置320と同様である。そして、第3気体供給装置330の気体供給口331Bと、第3内部ダクト部4Cの気体導入口5Cとの関係も、図9に示す第1気体供給装置310及び第2気体供給装置320と同様となる。
【0150】
以上のような本実施の形態によっても、冷凍サイクル装置100と、第1気体供給装置310、第2気体供給装置320及び第3気体供給装置330との間に液体循環装置200を介在させる。これにより、冷凍サイクル装置100を温度制御対象に近づけずに、第1気体供給装置310、第2気体供給装置320及び第3気体供給装置330を、対応する温度制御対象に近づけることが可能となる。そして、第1気体供給装置310、第2気体供給装置320及び第3気体供給装置330から対応する温度制御対象に至るまでに生じる気体(空気)に対する圧損及び空気の温度及び/又は湿度の変化を抑制できる。
【0151】
とりわけ、半導体製造システム1と、温度制御システムS5とが同じフロアに設置されることで、ダクト長を抑えやすくなり、圧損を効果的に抑制できる。
【0152】
<第6の実施の形態>
次に、第6の実施の形態について説明する。図10は、第6の実施の形態に係る温度制御システムS6を備える製造プラントとしての半導体製造プラントの概略図である。本実施の形態の構成部分のうちの第1乃至第5の実施の形態の構成部分と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0153】
本実施の形態では、第5の実施の形態と同様に、半導体製造システム1と、温度制御システムS5とが同じフロアに設置される。ただし、半導体製造システム1における気体導入口5A,5B,5Cが下方に開口する点で第5の実施の形態と異なる。また、第1気体供給装置310の気体供給口311Bが上方に開口し、第2気体供給装置320の気体供給口321Bが上方に開口し、図示しない第3気体供給装置330の気体供給口331Bが上方に開口している点で第5の実施の形態と異なる。
【0154】
第1気体供給装置310は、半導体製造システム1における気体導入口5Aよりも下方に位置する。そして、第1気体供給装置310における気体供給口311Bから延びる第1ダクト30は、斜め上方に延びて気体導入口5Aに接続される。同様に、第2気体供給装置320は、半導体製造システム1における気体導入口5Bよりも下方に位置する。そして、第2気体供給装置320における気体供給口321Bから延びる第2ダクト40は、斜め上方に延びて気体導入口5Bに接続される。このような実施の形態によっても、第5の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0155】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施の形態では温度制御システムが半導体製造プラントに適用されているが、温度制御システムは、その他の製造プラントにも適用され得る。
【符号の説明】
【0156】
S1,S2,S3,S4,S5,S6…温度制御システム
1…半導体製造システム
2…処理装置
2A…現像装置
2B…レジスト膜形成装置
2C…機能膜形成装置
3…処理室
3A…受入口
4…内部ダクト
4A…第1内部ダクト部
4B…第2内部ダクト部
4C…第3内部ダクト部
5A,5B,5C…気体導入口
30…第1ダクト
40…第2ダクト
50…第3ダクト
100…冷凍サイクル装置
100A…主冷媒回路
100B…二次冷媒回路
101…圧縮機
102…凝縮器
103…第1膨張弁
104…第1蒸発器
105…分岐路
106…第2膨張弁
107…第2蒸発器
110…冷却水供給管
200…液体循環装置
211…第1熱交換器
212…第2熱交換器
213…第3熱交換器
220…メイン流路
221…第1分岐流路
222…第2分岐流路
223…第3分岐流路
240…第1液体回路
240A…主回路
240B…二次回路
241…第1液体熱交換器
242…第1液体分岐路
243…第2液体熱交換器
250…第2液体回路
300…気体供給装置
310…第1気体供給装置
311A…気体取込口
311B…気体供給口
316…送風機
320…第2気体供給装置
321A…気体取込口
321B…気体供給口
326…送風機
330…第3気体供給装置
331A…気体取込口
331B…気体供給口
336…送風機
350…第1流体通流装置
353…第1加熱器
354…第2加熱器
356…温調液メイン流路
357…第1温調液分岐流路
358…第2温調液分岐流路
400…空気冷凍サイクル装置
401…圧縮機
402…吸熱用熱交換器
403…回収熱交換器
404…膨張機
405…制御用熱交換器
406…冷媒回路
408…ホットガス回路
409…冷媒分岐路
410…第1ホットガス熱交換器
411…第2ホットガス熱交換器
412…第1三方弁
413…第2三方弁
414…第1バイパス路
415…第2バイパス路
P…半導体製造プラント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10