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特開2023-113485情報提示装置、および、情報提示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113485
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】情報提示装置、および、情報提示方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/14 20200101AFI20230808BHJP
   B60W 40/08 20120101ALI20230808BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B60W50/14
B60W40/08
G08G1/16 F
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015891
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】大久保 翔太
(72)【発明者】
【氏名】牧田 光弘
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA51
3D241BA60
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB10Z
3D241DB12Z
3D241DB15Z
3D241DD01Z
5H181AA01
5H181AA21
5H181FF33
5H181LL07
5H181LL08
(57)【要約】
【課題】車酔いへの懸念を連続的に提示して、運転者による運転操作をより的確に改善させることができる、情報提示装置、および、情報提示方法を提供する。
【解決手段】運転状態に応じて変化する、車体または乗員に作用する少なくとも加速度に関連するパラメータを入力値として、乗り物酔いに関するパラメータである出力値を演算し、運転状態に応じて変化する出力値を、乗員に知覚可能に出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転状態に応じて変化する、車体または乗員に作用する少なくとも加速度に関連するパラメータを入力値として、乗り物酔いに関するパラメータである出力値を演算する演算部と、
前記運転状態に応じて変化する前記出力値を、前記乗員に知覚可能に出力する出力部と、
を備えた情報提示装置。
【請求項2】
前記演算部による演算は、
前記入力値が大きいほど、前記出力値が大きくなる演算であって、
前記入力値が0を含む領域1では、より大きな前記入力値に対応する領域2における、前記入力値の増加に対する前記出力値の増加の傾きが小さい、
請求項1に記載の情報提示装置。
【請求項3】
前記領域1と前記領域2の境界の入力値である境界入力値は、
乗り物酔いに対する懸念が一定以上となるような入力値である、
請求項2に記載の情報提示装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記入力値の大きさが前記領域2にある場合、
当該入力値から演算される前記出力値とともに、前記境界入力値または前記領域1の前記入力値から演算される出力値を出力する、
請求項3に記載の情報提示装置。
【請求項5】
前記演算部による演算は、
前記領域2よりも大きい前記入力値に対応する領域3において、
前記入力値の増加に対する前記出力値の増加の傾きが小さい、
請求項2乃至4のいずれか一つに記載の情報提示装置。
【請求項6】
前記出力部は、
キャラクタないしエージェントの頭部の傾き、図形の形状、画像、色、光、または、音により、前記出力値を出力する、
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の情報提示装置。
【請求項7】
前記車体または前記乗員に作用する少なくとも加速度に関連するパラメータは、
前記乗員が感じる鉛直方向の速度の誤差、
前記車体に作用する加速度、および、
前記乗員の頭部に作用する加速度、のうち少なくとも一つである、
請求項1乃至6のいずれか一つに記載の情報提示装置。
【請求項8】
前記演算部は、
運転への習熟が未熟な運転者の場合、上達している運転者に比べて、前記領域1の領域を大きくする、
請求項2乃至7のいずれか一つに記載の情報提示装置。
【請求項9】
運転状態に応じて変化する、車体または乗員に作用する少なくとも加速度に関連するパラメータを入力値として、乗り物酔いに関するパラメータである出力値を演算する演算ステップと、
前記運転状態に応じて変化する前記出力値を、前記乗員に知覚可能に出力する出力ステップと、
を含む情報提示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提示装置、および、情報提示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者の運転を支援する運転支援システムが開示されている。例えば、特許文献1では、車両の横方向の大きな加速度を検出した場合に、乱暴な運転がされていると判断し、車酔いした表現態様でキャラクタ情報を出力する運転支援システムについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-188069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術では、運転システムが、酔いに繋がる乱暴な運転を行ったことを検知するが、運転者は当該運転が車酔いの観点から悪い運転であると知ることしかできず、車酔いが生じない運転へ運転行動を改善させることが難しい、という問題点があった。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、車酔いへの懸念を連続的に提示して、運転者による運転操作をより的確に改善させることができる、情報提示装置、および、情報提示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、運転状態に応じて変化する、車体または乗員に作用する少なくとも加速度に関連するパラメータを入力値として、乗り物酔いに関するパラメータである出力値を演算し、運転状態に応じて変化する出力値を、乗員に知覚可能に出力する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、車酔いへの懸念を連続的に提示して、運転者による運転操作をより的確に改善させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施の形態にかかる情報提示装置100の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、指標値算出部112で算出された指標値(指標値a等)を、単調増加関数によって0以上1以下の値に正規化した例を示す図である。
図3図3は、図2に加え、領域2(NG領域)のうち指標値が十分大きい領域を領域3に細分化した例を示す図である。
図4図4は、本実施形態の情報提示装置100における情報提示処理の基本処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、本実施形態の情報提示装置100における情報提示処理の具体化処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、出力部120による出力値に応じた出力形態の例を示す図である。
図7図7は、出力部120による出力値に応じた出力形態の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
(情報提示装置の構成)
図1は、本実施の形態にかかる情報提示装置100の構成の一例を示すブロック図である。図1のブロック図に示すように、本実施形態が適用される情報提示装置100の構成は、該構成のうち本実施形態に関係する部分のみを概念的に示している。
【0011】
本実施形態の一実施例として、本発明が適用された情報提示装置100が搭載された自動車を考える。図1は、本発明が適応された情報提示装置100の構成であり、情報提示装置100は、演算部110および出力部120から構成される。
【0012】
演算部110は、運転状態に応じて変化する、車体または乗員(運転者および/もしくは同乗者)に作用する少なくとも加速度に関連するパラメータを入力値として、乗り物酔いに関するパラメータである出力値を演算する。車体または乗員に作用する少なくとも加速度に関連するパラメータとしては、以下が挙げられる。
・Δv:乗員が感じる鉛直方向の速度の誤差(後述の参考文献参照)
・車体に作用する加速度(例:ロールとヨー)
・乗員の頭部に作用する加速度(例:車の左右方向の加速度)
【0013】
図1に示すように、本実施形態においては、演算部110は、センサ105を介して運転状態に関する計測値を取得する計測値取得部111と、計測値取得部111により取得された計測値から、車体または乗員に作用するパラメータを入力値として取得して、乗り物酔いに関する指標値に応じた出力値を演算する指標値算出部112と、を備える。
【0014】
センサ105は、車両または乗員が装着するデバイスに搭載されたセンサであり、一例として、加速度センサ、速度センサ、ヨー軸角速度センサ、ロール軸角速度センサ等が挙げられる。
【0015】
乗り物酔いに関する指標値は、乗り物酔いの懸念度合いを示すものであり、一例としてSVC(Subjective Vertical Conflict Theory)モデルなど公知の手法により求めることができる。ここで、SVCモデルとは、移動体の乗員について、頭部に生じる加速度から認知される主観的な移動感覚と、ヒトの内部モデルによる移動感覚の推定値との乖離を時間蓄積することで、乗り物酔いに対する懸念の度合い(MSI:Motion Sickness Incidence)を算出するモデルである(参考文献:藤澤、和田、今野、土居(2012) “ドライバの頭位制御戦略の解析と姿勢制御装置への応用”,計測自動制御学会論文集, Vol.48, No.1, pp.60-66参照)。一例として、乗り物酔いに関する指標値は、SVCモデルで算出される以下の値(「指標値a」と呼ぶ。)またはMSI値であってもよい(参考文献のFig.1参照)。
【0016】
【数1】
【0017】
上記の式により求められる値は、単一処理フレームごとの主観的感覚と推定値の乖離を非線形関数によって正規化されており、この算出値は、現在の運転行動に対する乗り物酔いの懸念度合いの瞬間値と捉えることができる。このように、一例として、SVCモデルを適用することで、演算部110における乗り物酔いの懸念度合いをより適切に算出できる。
【0018】
なお、指標値算出部112は、乗り物酔いに関する指標値に対して各種適応処理を行うことにより、出力値を得てもよい。例えば、指標値算出部112は、計測値取得部111により取得されたセンサ105の計測値に基づいて、車酔いの懸念度として指標値の算出を行った上で、指標値の大きさに合わせて出力値を適応する処理を行ってもよい。指標値の適応処理の演算は、一例として、ローパスフィルタによるノイズ除去や、出力値(制御値)への変換に伴う正規化などが挙げられる。
【0019】
ここで、図2は、指標値算出部112で算出された指標値(指標値a等)を、単調増加関数によって0以上1以下の値に正規化した例を示す図である。図2に示すように、指標値が0付近の領域を領域1(以下「OK領域」)とし、それ以上の領域を領域2(以下「NG領域」)とすると、領域1では酔いの懸念が十分小さいのに対し、領域2では酔いの懸念が一定以上であるため、運転手に懸念を効果的に出力する必要がある。換言すれば、領域1と領域2の境界の入力値である境界入力値は、乗り物酔いに対する懸念が一定以上となるような入力値である。なお、演算部110は、運転への習熟が未熟な運転者の場合、上達している運転者に比べて、領域1の領域を大きくしてもよい。例えば、演算部110は、一定期間の指標値の平均が所定値よりも大きい運転者を、未熟な運転者と判断して、領域1の領域をより大きく、すなわち境界入力値をより大きく設定してもよい。
【0020】
このように、演算部110による演算は、入力値が大きいほど、出力値が大きくなる演算であって、入力値が0を含む領域1では、より大きな入力値に対応する領域2における、入力値の増加に対する出力値の増加の傾きが小さいものであってもよい。言い換えれば、領域2では、領域1より、入力値の増加に対する出力値の増加の傾きが大きいといえる。
【0021】
なお、演算部110は、入力値の大きさが領域2にある場合、出力部120に対し、当該入力値から演算される出力値とともに、境界入力値または領域1の入力値から演算される出力値を与えてもよい。これにより、出力部120は、現在の入力値から演算される出力値とともに、境界入力値(OK領域とNG領域の境界の入力値)または領域1(OK領域)の入力値から演算される出力値を出力する。したがって、酔いへの懸念が大きい場合(すなわちNG領域の場合)に、酔いへの懸念が小さい領域(OK領域)との乖離を表示出力等することで、運転者等の乗員は、現在の運転が酔わない運転から乖離していると気付くことができる。
【0022】
ここで、演算部110による演算は、領域2よりも大きい入力値に対応する領域3において、入力値の増加に対する出力値の増加の傾きが小さいものであってもよい。図3は、図2に加え、領域2(NG領域)のうち指標値が十分大きい領域を領域3に細分化した例を示す図である。領域3では、すでに酔いへの懸念が十分大きいため、演算部110は、指標値の変化に関わらず出力値を一定値としてもよい。まとめると、一例として、領域1~3は、以下の性質をもつ。この例では、領域2においては、最大傾き(MaxDeg:例えば90°)に、指標値a(=0~1)を乗ずることにより、出力時の傾きθを得る。これにより、酔いに繋がる指標値a等の大きさに比例した情報提示を行うことができる。
領域1 : 0付近、不感帯(例:出力時の傾きθ=0°)
領域2: 単調増加(例:出力時の傾きθ=MaxDeg*a)
領域3 : 飽和(例:出力時の傾きθ=MaxDeg)
【0023】
出力部120は、演算部110により演算された、運転状態に応じて変化する出力値を、乗員(運転者および/または同乗者)に知覚可能に出力する。換言すれば、出力部120は、演算部110での演算結果である出力値に応じて、乗員に対して車酔いの懸念に関する出力を行う。
【0024】
出力部120による出力値に応じた出力形態としては、キャラクタないしエージェントの頭部の傾き、図形の形状、画像、色、光、または、音の変化によって、出力値を表現してもよい。このため、出力部120としては、ディスプレイなどの表示部、LED等の発光装置、スピーカなどの音出力部などであってもよい。一例として、車両のダッシュボードに複数のLEDがライン状に配列されており、左右の横Gによる出力値に応じて点灯するLEDが左右に増減するものであってもよい。さらに、領域1では緑色LED、領域2では赤色LEDとなるように配色することによって、領域2に到達したことを乗員に知覚可能に提示してもよい。
【0025】
ここで、出力時の傾きは、運転者に対する場合と、同乗者に対する場合で、反対方向であってもよい。例えば、出力部120は、運転者向けの場合、横G(加速度)の方向に傾け、他の乗員向けの場合は、横G(加速度)と反対方向に傾けてもよい。これにより、各乗員の感覚(主観的感覚)とのずれを適切に表現することができる。
【0026】
出力形態の具体例としては、乗員にかかる加速度が酔いの原因となることから、乗員の体が車両運動に応じて揺れるさまを模擬した態様で、キャラクタの体の傾きとして出力する方法が挙げられる。
【0027】
ここで、情報提示装置100は、ECU(engine control unit)や、CPU等を含む、マイクロコンピュータや、パーソナルコンピュータ、サーバ用コンピュータなどであってもよい。また、情報提示装置100は、CPU等の演算手段のほか、図示しない、SRAM(Static Random Access Memory)、小容量高速メモリ(例えば、キャッシュメモリ)等や、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶部を備えてもよい。また、演算部110等の制御手段、OS(Operating System)等の制御プログラム、各種の処理手順等を規定したプログラム、および所要データを格納するための内部メモリを有し、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行うCPU等のプロセッサであってもよい。
【0028】
以上で、本実施形態の情報提示装置100の各構成の説明を終える。
【0029】
(情報提示処理)
次に、このように構成された本実施形態の情報提示装置100における情報提示処理の一例について、以下に図4図7を参照して詳細に説明する。図4は、本実施形態の情報提示装置100における情報提示処理の基本処理の一例を示すフローチャートである。
【0030】
図4に示すように、まず、計測値取得部111は、加速度センサ等のセンサ105を介して、運転状態に関する計測値を取得する(ステップS-1)。
【0031】
そして、指標値算出部112は、計測値取得部111により取得された計測値から、車体または乗員に作用するパラメータを入力値として取得して、乗り物酔いに関する指標値(指標値a等)に応じた出力値を演算する(ステップS-2)。
【0032】
そして、出力部120は、演算部110により演算された、運転状態に応じて変化する出力値を、乗員に知覚可能に出力する(ステップS-3)。
【0033】
以上が、情報提示装置100における情報提示処理の基本処理の一例である。ここで、指標値(指標値a等)が領域1~3にいずれに含まれるかに応じて、指標値(指標値a等)を補正することで出力値を算出してもよい。ここで、図5は、本実施形態の情報提示装置100における情報提示処理の具体化処理の一例を示すフローチャートである。
【0034】
図5に示すように、まず、計測値取得部111は、加速度センサ等のセンサ105を介して、運転状態に関する計測値を取得する(ステップSA-1)。
【0035】
そして、指標値算出部112は、計測値取得部111により取得された計測値から、車体または乗員に作用するパラメータを入力値として取得して、乗り物酔いに関する指標値(指標値a等)を計算する(ステップSA-2)。
【0036】
そして、指標値算出部112は、指標値が領域1に含まれるか否かを判定する(ステップSA-3)。
【0037】
領域1(0付近、不感帯)に含まれる場合(ステップSA-3、YES)、指標値算出部112は、0付近である指標値を、出力値として最低値(例えば、傾きθ=0°)に補正する(ステップSA-4)。
【0038】
領域1に含まれない場合(ステップSA-3、NO)、指標値算出部112は、指標値が領域2に含まれるか否かを判定する(ステップSA-5)。
【0039】
領域2(単調増加領域)に含まれる場合(ステップSA-5、YES)、指標値算出部112は、指標値に比例した出力値(例えば、傾きθ=MaxDeg*a)に設定する(ステップSA-7)。
【0040】
一方、領域2に含まれない場合(ステップSA-5、NO)、指標値算出部112は、領域3(飽和領域)に含まれると判定して、飽和状態にある指標値を、出力値として最大値(例えば、傾きθ=MaxDeg)に補正する(ステップSA-6)。
【0041】
以上のように指標値算出部112は、指標値の領域に応じて得た出力値を算出し(ステップSA-7)、出力部120は、指標値算出部112により算出された、運転状態に応じて変化する出力値を、乗員に知覚可能に出力する。ここで、図6および図7は、出力部120による出力値に応じた出力形態の例を示す図である。
【0042】
図6の例(MA-0参照)では、表示部等の出力部120に、キャラクタを表示させ、出力値に応じて頭部の傾きθを変化させる。なお、この例では、傾きθの絶対値の最小は、θ=0°であり、最大は、θ=MaxDeg(図では約45°)である。
【0043】
図6のMA-1に示すように、領域1(OK領域)と、領域2(NG領域)の間には、境界が存在する。
【0044】
図6のMA-2に示すように、OK領域(領域1)の場合、出力部120は、出力値θに基づいて、単純にキャラクタを傾けて表示させてもよい。
【0045】
一方、図6のMA-3に示すように、NG領域(領域2の場合)、出力部120は、境界入力値に応じた出力値θに基づいて傾けたキャラクタ(破線部分)を、現在の入力値に応じた出力値θに基づいて傾けたキャラクタと重畳表示させてもよい。
【0046】
このほか、図6のMA-4に示すように、NG領域(領域2の場合)、出力部120は、境界入力値に応じた出力値θによる境界線を、現在の入力値に応じた出力値θに基づいて傾けたキャラクタと重畳表示させてもよい。
【0047】
なお、出力形態はキャラクタの傾きに限られず、図7に示すように図形であってもよい。図7の例(MB-0参照)では、表示部等の出力部120に、図形を表示させ、出力値に応じて図形の傾きθを変化させる。なお、この例では、傾きθの絶対値の最小は、θ=0°であり、最大は、θ=MaxDeg(図では約60°)である。
【0048】
図7のMB-1に示すように、領域1(OK領域)と、領域2(NG領域)の間には、境界が存在する。
【0049】
図7のMB-2に示すように、OK領域(領域1)の場合、出力部120は、出力値θに基づいて、差分を表示させることなく単純に図形を傾けて表示させてもよい。
【0050】
一方、図7のMB-3に示すように、NG領域(領域2の場合)、出力部120は、境界入力値に応じた出力値θに基づいて傾けた図形(破線部分)を、現在の入力値に応じた出力値θに基づいて傾けた図形(実線部分)と重畳表示させてもよい。
【0051】
このほか、図7のMB-4に示すように、NG領域(領域2の場合)、出力部120は、境界入力値に応じた出力値θによる境界線を、現在の入力値に応じた出力値θに基づいて傾けた図形(実線部分)と重畳表示させてもよい。
【0052】
以上で、本実施形態の情報提示装置100における情報提示処理の説明を終える。
【0053】
(本実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0054】
本実施の形態の情報提示装置100は、運転状態に応じて変化する、車体または乗員に作用する少なくとも加速度に関連するパラメータを入力値として、乗り物酔いに関するパラメータである出力値を演算する演算部110と、運転状態に応じて変化する出力値を、乗員に知覚可能に出力する出力部120と、を備える。
【0055】
これにより、車酔いへの懸念を連続的に提示して、運転者による運転操作をより的確に改善させることができる。
【0056】
また、本実施形態では、演算部110による演算は、入力値が大きいほど、出力値が大きくなる演算であって、入力値が0を含む領域1では、より大きな入力値に対応する領域2における、入力値の増加に対する出力値の増加の傾きが小さい。これにより、領域2(NG領域)において領域1(OK領域)からの逸脱度合いを、車酔いへの懸念として連続値的に表現し出力することで、運転者が運転操作をより的確に改善できる。
【0057】
また、本実施形態において、領域1と領域2の境界の入力値である境界入力値は、乗り物酔いに対する懸念が一定以上となるような入力値である。これにより、酔いの懸念が一定以上となる境界入力値を設定することで、運転者に酔いの懸念を適切に伝達することができる。
【0058】
また、本実施形態において、出力部120は、入力値の大きさが領域2にある場合、当該入力値から演算される出力値とともに、境界入力値または領域1の入力値から演算される出力値を出力する。これにより、酔いへの懸念が大きい領域2(NG領域)の場合に、酔いへの懸念が小さい領域との乖離を表示することで、運転者に現在の運転が酔わない運転から乖離していると気付かせることができる。
【0059】
また、本実施形態において、演算部110による演算は、領域2よりも大きい入力値に対応する領域3において、入力値の増加に対する出力値の増加の傾きが小さい。これにより、車酔いの懸念が一定以上大きくなった場合として飽和領域を設けることができる。
【0060】
また、本実施形態において、出力部120は、キャラクタないしエージェントの頭部の傾き、図形の形状、画像、色、光、または、音により、前記出力値を出力する。これにより、様々な出力形態にて出力部120から運転者の理解を促す適切な情報提示を行うことができる。
【0061】
また、本実施形態において、車体または乗員に作用する少なくとも加速度に関連するパラメータは、乗員が感じる鉛直方向の速度の誤差、車体に作用する加速度、および、乗員の頭部に作用する加速度、のうち少なくとも一つである。これにより、酔いに繋がる指標を適切に算出することができる。
【0062】
また、本実施形態において、演算部110は、運転への習熟が未熟な運転者の場合、上達している運転者に比べて、領域1の領域を大きくする。これにより、運転の習熟度によって情報提示を適応させることができる。
【0063】
(その他の実施形態)
さて、これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0064】
例えば、情報提示装置100は、スタンドアローンの形態で処理を行うよう一体として構成された例について説明を行ったが、これに限られず、外部のサーバ等として、車両内クライアント端末からの要求に応じて処理を行い、その処理結果を当該車両内クライアント端末に返却してもよい。換言すれば、情報提示装置100は、車両内の任意の場所に設置されてもよく、あるいは、車両とは遠隔の場所に設置され、通信ネットワークなどを介して指標値が車両へ送信され、車両の乗員に出力されてもよい。
【0065】
また、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0066】
このほか、上記文献中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0067】
また、情報提示装置100等に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、情報提示装置100の各装置が備える処理機能、特に演算部110にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサおよび当該プロセッサにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアプロセッサとして実現してもよい。尚、プログラムは、後述する、コンピュータに本発明に係る方法を実行させるためのプログラム化された命令を含む、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体(ROMまたはHDD等)に記録されており、必要に応じて情報提示装置100に機械的に読み取られる。
【0068】
また、このコンピュータプログラムは、情報提示装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0069】
また、本発明に係るプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USBメモリ、SDカード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD-ROM、MO、DVD、および、Blu-ray(登録商標)Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0070】
また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。プログラムが、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラム製品として本発明を構成してもよい。
【0071】
また、情報提示装置100は、既知のパーソナルコンピュータ、ECU、ワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、該情報処理装置に任意の周辺装置を接続して構成してもよい。また、情報提示装置100は、該情報処理装置に本発明の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0072】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じて、または、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0073】
100 情報提示装置
105 センサ
110 演算部
111 計測値取得部
112 指標値算出部
120 出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7