(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113497
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法及び処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/587 20190101AFI20230808BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20230808BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20230808BHJP
G06F 16/54 20190101ALI20230808BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20230808BHJP
【FI】
G06F16/587
G06F3/01 510
G06F3/0481
G06F16/54
G06T19/00 300B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022015916
(22)【出願日】2022-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】522470080
【氏名又は名称】株式会社NTTコノキュー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊允
(72)【発明者】
【氏名】藤田 遥
【テーマコード(参考)】
5B050
5B175
5E555
【Fターム(参考)】
5B050AA03
5B050BA06
5B050BA09
5B050BA17
5B050BA19
5B050CA07
5B050CA08
5B050EA19
5B050EA26
5B050FA02
5B050FA05
5B175DA02
5B175FB04
5B175HA02
5B175JA02
5E555AA28
5E555BA02
5E555BA05
5E555BA06
5E555BB02
5E555BB05
5E555BB06
5E555BC04
5E555BE17
5E555CA12
5E555CA44
5E555CB14
5E555CB65
5E555CC03
5E555DB56
5E555DC09
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】仮想空間に構築された環境において、ユーザ及びユーザの視線が集中するエリアを把握することが容易となる。
【解決手段】サーバ装置10は、VR空間におけるユーザの位置を時間情報に対応付けた位置情報と、ユーザの操作を示す情報を時間情報に対応付けた操作情報とを、ユーザ端末から収集する情報収集部133と、ユーザ端末から収集された位置情報と操作情報とに対して統計処理を行う統計処理部134と、統計処理の結果を基に、VR空間の3次元地図画像の上に、ビューポイントを来訪したユーザ数の統計値を表す第1の要素と、ビューポイント間のユーザの移動数の統計値を表す第2の要素と、ビューポイントで表示されるコンテンツにユーザの視線が向いた回数及び/または期間の統計値を表す第3の要素とを重畳した重畳画像を生成する作成部135とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツの閲覧位置であるビューポイント間で移動が可能である仮想現実空間を構築し、ユーザが使用するユーザ端末にそれぞれ提供する構築部と、
前記仮想現実空間におけるユーザの位置を時間情報に対応付けた位置情報と、前記ユーザの操作を示す情報を時間情報に対応付けた操作情報とを、前記ユーザ端末から収集する収集部と、
前記ユーザ端末から収集された前記位置情報と前記操作情報とに対して統計処理を行う統計処理部と、
前記統計処理の結果を基に、前記仮想現実空間の3次元地図画像の上に、前記ビューポイントを来訪したユーザ数の統計値を表す第1の要素と、前記ビューポイント間の前記ユーザの移動数の統計値を表す第2の要素と、前記ビューポイントで表示されるコンテンツに前記ユーザの視線が向いた回数及び/または期間の統計値を表す第3の要素とを重畳した重畳画像を生成する作成部と、
前記重畳画像を、前記仮想現実空間の管理者が使用する管理者端末に送信する送信部と、
を有することを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記統計処理部は、前記ビューポイントごとに、前記ビューポイントを所定期間内に来訪したユーザ数を集計して統計処理を行い、
前記作成部は、前記ビューポイントごとに、前記3次元地図画像における前記ビューポイントの位置に対応させて、前記所定期間内に前記ビューポイントを来訪したユーザ数の統計値をグラフ表示した前記第1の要素を前記3次元地図画像に重畳することを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記統計処理部は、所定期間内における前記ビューポイント間の前記ユーザの移動数を集計して統計処理を行い、
前記作成部は、前記ビューポイント間を結ぶ移動線であって、前記所定期間における前記ビューポイント間のユーザの移動数の統計値に応じた太さで表現した移動線を、前記第2の要素として、前記3次元地図画像に重畳することを特徴とする請求項1または2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記収集部は、前記操作情報として、前記ユーザの視線情報と、前記ユーザ端末に接続する入力デバイスを介した画像の拡大操作情報と、前記入力デバイスを介したポインターの位置情報と、のいずれか一つまたは複数を収集し、
前記統計処理部は、前記視線情報と、前記拡大操作情報と、前記ポインターの位置情報とのいずれか一つまたは複数を基に、前記ビューポイントごとに、所定期間内において、前記ビューポイントで表示されるコンテンツにユーザの視線が向いた回数及び/または期間を集計して統計処理を行い、
前記作成部は、頂点が前記ビューポイントの位置に対応して配置され、底面が前記ビューポイントで表示されるコンテンツの位置に向かって配置される円錐画像であって、前記所定期間において、前記コンテンツにユーザの視線が向いた回数及び/または期間の統計値に応じた色または濃度で表現される円錐画像を、前記第3の要素として、前記3次元地図画像の上に重畳することを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の処理装置。
【請求項5】
処理装置が実行する処理方法であって、
コンテンツの閲覧位置であるビューポイント間で移動が可能である仮想現実空間を構築し、ユーザが使用するユーザ端末にそれぞれ提供する工程と、
前記仮想現実空間におけるユーザの位置を時間情報に対応付けた位置情報と、前記ユーザの操作を示す情報を時間情報に対応付けた操作情報とを、前記ユーザ端末から収集する工程と、
前記ユーザ端末から収集された前記位置情報と前記操作情報とに対して統計処理を行う工程と、
前記統計処理の結果を基に、前記仮想現実空間の3次元地図画像の上に、前記ビューポイントを来訪したユーザ数の統計値を表す第1の要素と、前記ビューポイント間の前記ユーザの移動数の統計値を表す第2の要素と、前記ビューポイントで表示されるコンテンツに前記ユーザの視線が向いた回数及び/または期間の統計値を表す第3の要素とを重畳した重畳画像を生成する工程と、
前記重畳画像を、前記仮想現実空間の管理者が使用する管理者端末に送信する工程と、
を含んだことを特徴とする処理方法。
【請求項6】
コンテンツの閲覧位置であるビューポイント間で移動が可能である仮想現実空間を構築し、ユーザが使用するユーザ端末にそれぞれ提供するステップと、
前記仮想現実空間におけるユーザの位置を時間情報に対応付けた位置情報と、前記ユーザの操作を示す情報を時間情報に対応付けた操作情報とを、前記ユーザ端末から収集するステップと、
前記ユーザ端末から収集された前記位置情報と前記操作情報とに対して統計処理を行うステップと、
前記統計処理の結果を基に、前記仮想現実空間の3次元地図画像の上に、前記ビューポイントを来訪したユーザ数の統計値を表す第1の要素と、前記ビューポイント間の前記ユーザの移動数の統計値を表す第2の要素と、前記ビューポイントで表示されるコンテンツに前記ユーザの視線が向いた回数及び/または期間の統計値を表す第3の要素とを重畳した重畳画像を生成するステップと、
前記重畳画像を、前記仮想現実空間の管理者が使用する管理者端末に送信するステップと、
をコンピュータに実行させるための処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理方法及び処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ショッピングモール、アウトドア空間などの様々な世界観を表現した、仮想現実(VR:Virtual Reality)空間をユーザに体感させる技術が提案されている。例えば、仮想店舗ショッピングモール(VRショッピングモール)では、仮想空間上にショッピングモールを再現し、各店舗のEC(Electronic Commerce)サイトと連動することで、実店舗における商品の購買と同程度の購買体験をユーザに提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、複数のビューポイント間を移動することで空間内の移動が可能であるVR空間がある。このようなVR空間では、VR空間内で、ユーザが集中しているエリアや、ユーザの視線が集中するエリアを把握することが難しい場合があった。このため、VR空間に対するマーケティングを効率的に行うことができない場合があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、仮想空間に構築された環境において、ユーザ及びユーザの視線が集中するエリアを把握することが容易となる処理装置、処理方法及び処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る処理装置は、コンテンツの閲覧位置であるビューポイント間で移動が可能である仮想現実空間を構築し、ユーザが使用するユーザ端末にそれぞれ提供する構築部と、仮想現実空間におけるユーザの位置を時間情報に対応付けた位置情報と、ユーザの操作を示す情報を時間情報に対応付けた操作情報とを、ユーザ端末から収集する収集部と、ユーザ端末から収集された位置情報と操作情報とに対して統計処理を行う統計処理部と、統計処理の結果を基に、仮想現実空間の3次元地図画像の上に、ビューポイントを来訪したユーザ数の統計値を表す第1の要素と、ビューポイント間のユーザの移動数の統計値を表す第2の要素と、ビューポイントで表示されるコンテンツにユーザの視線が向いた回数及び/または期間の統計値を表す第3の要素とを重畳した重畳画像を生成する作成部と、重畳画像を、仮想現実空間の管理者が使用する管理者端末に送信する送信部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、仮想空間に構築された環境において、ユーザ及びユーザの視線が集中するエリアを把握することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態における通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すサーバ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、作成部による3次元マッピング画像の作成を説明する図である。
【
図4】
図4は、作成部による3次元マッピング画像の作成を説明する図である。
【
図5】
図5は、コンテンツに対する配置位置判定を説明する図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る通信システムにおける通信処理の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る通信システムにおける通信処理の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る通信システムにおける通信処理の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す配置位置判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る処理装置、処理方法及び処理プログラムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本願に係る処理装置、処理方法及び処理プログラムが限定されるものではない。
【0010】
以下の実施の形態では、実施の形態に係る処理装置、処理方法及び処理プログラムの処理の流れを順に説明し、最後に実施の形態による効果を説明する。
【0011】
[実施の形態]
まず、実施の形態について説明する。実施の形態では、VR空間をユーザに提供するための通信システムについて説明する。
【0012】
実施の形態における通信システムでは、VR空間において、ユーザ及びユーザの視線が集中するエリアを、このVR空間を3次元で表現した地図画像(3次元地図画像)にマッピングした3次元マッピング画像(重畳画像)を作成する。事業者側では、この3次元マッピング画像を確認することで、VR空間内の、ユーザ及びユーザの視線が集中するエリアを俯瞰的に把握することができる。そして、事業者側では、VR空間内のユーザ及びユーザの視線が集中するエリアに、広告用のコンテンツを配置させることで、効果的に商品情報を提供する等のマーケティングを効率的に行うことができる。
【0013】
[通信システムの構成]
実施の形態に係る通信システムの構成を説明する。
図1は、実施の形態における通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、実施の形態に係る通信システムは、各ユーザが使用するユーザ端末20と、VR提供事業者のサーバ装置10(処理装置)と、事業者端末30(管理者端末)とを有する。なお、
図1に示す構成は一例にすぎず、具体的な構成や各装置の数は特に限定されない。
【0015】
サーバ装置10は、VR空間を各ユーザに提供するVR提供事業者のサーバ装置である。例えば、サーバ装置10は、仮想空間上に仮想の街を構築し、その街の中に、複数のVRストアや街頭広告を含んだVRショッピングモールを構築する。また、サーバ装置10は、トレッキングを体感できるように、トレッキング用歩道とその周囲の自然環境とを表現したアウトドア空間を構築する。
【0016】
サーバ装置10は、VR空間内に複数のビューポイントを設定し、これらのビューポイント間を移動することで、ユーザがVR空間内の移動を体感可能であるVR空間を構築する。ビューポイントは、コンテンツの閲覧位置である。ユーザは、ビューポイント間で移動が可能である。そして、サーバ装置10は、VR空間においてユーザ及びユーザの視線が集中するエリアを、VR空間の3次元地図画像にマッピングした3次元マッピング画像を作成する。
【0017】
事業者端末30は、VR提供事業者側において、VR空間の管理者等が使用する端末装置である。例えば、事業者端末30は、サーバ装置10が作成した3次元マッピング画像を表示することで、事業者側のマーケティングを支援する。
【0018】
ユーザ端末20は、ノートPC(Personal Computer)やデスクトップPC等の情報処理装置電子や、タブレット、スマートフォン等のスマートデバイスである。ユーザ端末20は、ネットワークNを介して、サーバ装置10に接続し、サーバ装置10が構築したVR空間の提供を受ける。例えば、ユーザは、例えば、Web VRの仕組みを用いてブラウザ上から、ユーザ端末20を操作することで、VRショッピングモール内で広告の閲覧や商品の購入を行う。さらに、ユーザは、例えばVRゴーグルを装着して、VR空間を体感してもよい。また、ユーザは、例えば、Web VRの仕組みを用いてブラウザ上から、ユーザ端末20を操作することで、アウトドア空間を体感することができる。さらに、ユーザは、例えばVRゴーグルを装着して、VR空間を体感してもよい。
【0019】
[サーバ装置]
次に、サーバ装置10について説明する。
図2は、
図1に示すサーバ装置10の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、サーバ装置10は、各種情報に関する通信を制御する通信部11、制御部13による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納する記憶部12、及び、種々の処理を実行する制御部13を有する。
【0020】
通信部11は、ネットワーク等を介して接続された他の装置との間で、各種情報を送受信する通信インタフェースである。通信部11は、NIC(Network Interface Card)等で実現され、LAN(Local Area Network)やインターネットなどの電気通信回線を介した他の装置と制御部13(後述)との間の通信を行う。
【0021】
例えば、通信部11は、ネットワークNを介して、ユーザ端末20から、VR空間への入場要求を受信する。また、通信部11は、ユーザ端末20から、商品等のコンテンツの閲覧要求や購入要求を受信する。また、通信部11は、ネットワークNを介して、各ユーザ端末20から、VR空間におけるユーザの位置を時間情報に対応付けた位置情報と、ユーザの操作を示す情報を時間情報に対応付けた操作情報とを受信する。
【0022】
また、通信部11は、事業者端末30から、3次元マッピング画像の作成を指示する3次元マッピング指示情報を受信する。3次元マッピング画像は、上述したように、VR空間の3次元地図画像に、VR空間のユーザ及びユーザの視線が集中するエリアをマッピングした画像である。3次元マッピング指示情報は、3次元マッピング画像作成対象のVR空間の識別情報と、作成対象の期間(以降、所定期間)と、3次元マッピング画像の作成指示とを含む。
【0023】
記憶部12は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。なお、記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、NVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)等のデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。記憶部12は、サーバ装置10で実行されるOS(Operating System)や各種プログラムを記憶する。さらに、記憶部12は、プログラムの実行で用いられる各種情報を記憶する。記憶部12は、構築用情報121、ユーザ情報122、店舗及び商品情報123、コンテンツ情報124、ユーザ位置情報125、ユーザ操作情報126及びコンテンツ配置情報127を記憶する。
【0024】
構築用情報121は、VR空間を仮想空間上で構築するために要する情報である。構築用情報121は、VR空間を仮想空間上で構築するための、画像処理条件や画像処理プログラムを含む。また、構築用情報121は、VR空間で表現したい領域を、定点或いは360°で撮影した写真、或いは、これらの写真を画像処理して構築したVR空間の画像を含む。構築用情報121は、例えば、VR空間が、CG(Computer Graphics)で構築される場合には、VR空間で表現したい領域を再現した画像である。また、構築用情報121は、前述したビューポイントの画像情報や位置情報を含む。
【0025】
構築用情報121は、VR空間がVRショッピングモールの場合、VRショッピングモール内で表示したい、街並み、VRストア外観及び内観、商品を、定点或いは360°で撮影した写真、或いは、これらの写真を画像処理して構築したVRストア及びVRショッピングモールの画像を含む。構築用情報121は、VR空間がアウトドア空間の場合、例えば、トレッキング用歩道とその周囲の自然環境とを、定点或いは360°で撮影した写真、或いは、これらの写真を画像処理した画像を含む。
【0026】
ユーザ情報122は、VR空間の入場者として登録されている各ユーザに関する情報である。ユーザ情報122は、例えば、ユーザのIDと、各ユーザIDに対応付けられた閲覧履歴を含む。例えば、閲覧履歴は、閲覧時間、閲覧したコンテンツのIDや名称を項目として有する。VRショッピングモールの場合、ユーザ情報122は、商品の購入履歴を含む。購入履歴は、購入時間、商品を購入した店舗の名称、商品ID、商品名、サイズ、色、個数を項目として有する。
【0027】
VR空間が、VRショッピングモールの場合、記憶部12は、店舗及び商品情報123を記憶する。店舗及び商品情報123は、VRショッピングモールに配置される店舗及びVRストア内に展示される商品に関する情報である。店舗及び商品情報123は、店舗ID、店舗種別、各店舗が保持する商品のうちVRストアや広告に展示可能である商品の商品ID,商品名、サイズ、色、個数を項目として有する。
【0028】
コンテンツ情報124は、VR空間に配置されるコンテンツに関する情報である。コンテンツは、画像コンテンツ、或いは、音声コンテンツである。コンテンツは、例えば、広告や販売のためにVR空間上に配置される。この場合、コンテンツが選択されると、このコンテンツが表示する商品の説明が記載されたポップアップが表示される。或いは、コンテンツが選択されると、このコンテンツが表示する商品を購入可能であるECサイトに遷移することができる。
【0029】
ユーザ位置情報125は、ユーザ端末20から送信された、各ユーザのVR上における位置情報を時間情報に対応付けた情報である。このユーザ位置情報125は、例えば、定期的に各ユーザ端末20から収集され、蓄積されたものである。
【0030】
ユーザ操作情報126は、ユーザ端末20から送信された、各ユーザの操作情報を時間情報に対応付けた情報である。このユーザ操作情報126は、例えば、定期的に各ユーザ端末20から収集され、蓄積されたものである。ユーザ操作情報126は、閲覧または商品の購入に関するユーザの操作情報である。また、ユーザ操作情報126は、ユーザの視線情報、入力デバイスを介した画像の拡大操作情報、入力デバイスを介したポインターの位置情報のいずれか一つまたは複数を含む。
【0031】
コンテンツ配置情報127は、配置判定部136(後述)によって設定された各コンテンツのVR空間上における配置位置を示す情報である。コンテンツの配置位置は、VR空間ごとにそれぞれ設定される。
【0032】
制御部13は、サーバ装置10全体を制御する。制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等の電子回路や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路である。また、制御部13は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、内部メモリを用いて各処理を実行する。また、制御部13は、各種のプログラムが動作することにより各種の処理部として機能する。制御部13は、受付部131、構築部132、情報収集部133(収集部)、統計処理部134、作成部135及び配置判定部136(判定部)を有する。
【0033】
受付部131は、ユーザによるVR空間への入場を受け付ける。また、VR空間がVRショッピングモールの場合には、VRストアへの入店、商品の閲覧、商品の購入を受け付ける。
【0034】
構築部132は、画像或いはCGを用いて、VRショッピングモール、VRストア、アウトドア空間などのVR空間を仮想空間上に構築する。構築部132は、ユーザのVR空間への入場を受け付けると、構築用情報121を取得して、入場を受け付けたVR空間を仮想空間上に構築する。そして、構築部132は、構築したVR空間を、ユーザが使用する各ユーザ端末20にそれぞれ提供する。
【0035】
構築部132は、コンテンツの閲覧位置であるビューポイント間で移動が可能である仮想現実空間を構築し、各ユーザが使用する各ユーザ端末20にそれぞれ提供する。ユーザによってビューポイント上での回転が指示されると、構築部132は、ビューポイント上で回転した際に見える景色を仮想空間上に構築し、ユーザ端末20に提供する。また、ユーザによってビューポイント上で上下左右に視線が動くように指示されると、構築部132は、視線を上下左右に動かした際に見える景色を仮想空間上に構築し、ユーザ端末20に提供する。また、ビューポイントに位置するユーザによって、ビューポイントにおいて閲覧可能であるコンテンツに対し、クリックや拡大操作が行われた場合には、構築部132は、コンテンツの閲覧許可や、コンテンツの拡大を実行する。
【0036】
情報収集部133は、3次元マッピング画像作成のために、VR空間におけるユーザの位置を時間情報に対応付けた位置情報を、各ユーザ端末20から収集し、ユーザ位置情報125に格納する。情報収集部133は、ユーザの操作を示す情報を時間情報に対応付けた操作情報を、各ユーザ端末20から収集し、ユーザ操作情報126に格納する。情報収集部133は、操作情報として、ユーザの視線情報と、ユーザ端末20に接続する入力デバイスを介した画像の拡大操作情報と、入力デバイスを介したポインターの位置情報と、のいずれか一つまたは複数を収集する。ユーザの視線情報は、例えば、ユーザがVRゴールドを装着している場合には、VRゴーグルの角度情報を基に計測される。
【0037】
統計処理部134は、各ユーザ端末20から収集されたユーザ位置情報125とユーザ操作情報126とに対して統計処理を行う。統計処理部134は、事業者端末30による3次元マッピング指示にしたがい、3次元マッピング画像の作成を指示されたVR空間について、指示された所定期間におけるユーザ位置とユーザの操作とについて集計を行う。統計処理部134は、集計結果を基に、合計値、平均値、中央値、最小値または最大値を算出する統計処理を行う。
【0038】
具体的には、統計処理部134は、ビューポイントごとに、ビューポイントを所定期間内に来訪したユーザ数を集計して統計処理を行う。また、統計処理部134は、ビューポイント間の所定期間内におけるユーザの移動数を集計して統計処理を行う。
【0039】
また、統計処理部134は、ユーザ情報122を参照し、所定期間内のユーザによる閲覧回数をコンテンツごとにカウントし、カウントした回数を、そのコンテンツにユーザの視線が向いた回数として統計処理を行う。また、統計処理部134は、コンテンツごとに、所定期間内のユーザによる閲覧期間を取得して、取得した閲覧期間を、ユーザの視線が向いた期間として統計処理を行ってもよい。
【0040】
また、統計処理部134は、視線情報と、拡大操作情報と、ポインターの位置情報とのいずれか一つまたは複数を基に、ビューポイントごとに、所定期間において、ビューポイントで表示されるコンテンツにユーザの視線が向いた回数及び/または期間を集計して統計処理を行う。
【0041】
統計処理部134は、視線情報から、ユーザの視線が向く方向に位置するコンテンツと、このコンテンツに対してユーザの視線が向けられた期間及び回数とを取得する。統計処理部134は、ユーザの視線が向けられた回数をコンテンツごとにカウントする。この際、統計処理部134は、所定時間以上、視線が向けられた場合にのみカウントしてもよい。また、統計処理部134は、コンテンツに視線が向けられた期間及び回数を基に、コンテンツごとに、視線が向けられた平均期間を計算してもよい。
【0042】
また、統計処理部134は、拡大操作情報から、ユーザが拡大したコンテンツを特定する。統計処理部134は、コンテンツごとに拡大操作数をカウントし、カウントした回数を、そのコンテンツにユーザの視線が向いた回数とする。
【0043】
また、統計処理部134は、ポインターの位置情報から、ポインターが停止したコンテンツを特定する。統計処理部134は、特定したコンテンツごとに停止回数をカウントするカウントし、カウントした回数を、そのコンテンツにユーザの視線が向いた回数とする。
【0044】
作成部135は、統計処理の結果を基に、VR空間のユーザ及びユーザの視線が集中するエリアを、VR空間の3次元地図画像にマッピングした3次元マッピング画像を作成する。作成部135は、統計処理部134における統計処理の結果を基に、VR空間の3次元地図画像の上に、第1の要素と、第2の要素と、第3の要素とを重畳した3次元マッピング画像を作成する。そして、作成部135は、通信部11を介して、3次元マッピング画像のデータを、事業者端末30に送信する。
【0045】
第1の要素は、ビューポイントを来訪したユーザ数の統計値を表す。第2の要素は、ビューポイント間のユーザの移動数の統計値を表す。第3の要素は、ビューポイントで表示されるコンテンツにユーザの視線が向いた回数及び/または期間の統計値を表す。
【0046】
図3及び
図4を参照して、3次元マッピング画像の作成について説明する。
図3及び
図4は、作成部135による3次元マッピング画像の作成を説明する図である。
図3及び
図4では、街並みを体感できるVR空間の3次元地図画像M1,M2を一例として説明する。このVR空間では、3次元地図画像M1に示すように、ビューポイントP1~P3が設定されている。ユーザは、ビューポイントP1,P2間で移動が可能である。また、ユーザは、ビューポイントP1,P3間で移動が可能である。
【0047】
ユーザは、各ビューポイントP1~P3において、このビューポイントが設定された地面上を180°回転することができる。また、各ビューポイントP1~P3では、ユーザが視線を上下左右に動かすようなイメージで操作した場合、上下左右に視線を動かした際に見ることができる景色を示す画像が、ユーザ端末20に表示される。
【0048】
作成部135は、ビューポイントP1~P3ごとに、ビューポイントP1~P3の位置に対応させて、所定期間内にビューポイントP1~P3を来訪したユーザ数の統計値をグラフ表示した第1の要素を、VR空間の3次元地図画像M1に重畳する。
【0049】
例えば、
図3に示すように、作成部135は、ビューポイントP1~P3ごとに、ビューポイントP1~P3を来訪したユーザ数の合計値を表す棒グラフB1~B3を、第1の要素として作成し、3次元地図画像M1に重畳する。この結果、ビューポイントP1~P3ごとに、来訪したユーザ数の合計値が、棒グラフB1~B3で表される(
図3の(1))。作成部135は、棒グラフB1~B3の色を、人数が多くなるほど濃くなるように設定するほか、人数に応じて変えてもよい。事業者等は、3次元地図画像M1上の棒グラフB1~B3を確認することで、どのビューポイントにユーザが集中したかを把握することができる。
【0050】
作成部135は、ビューポイントP1~P3間を結ぶ移動線であって、所定期間におけるビューポイント間のユーザの移動数の統計値に応じた太さで表現した移動線L1~L5を、第2の要素として作成し、3次元地図画像M1に重畳する。
【0051】
例えば、作成部135は、第2の要素として、ビューポイントP1~P3間をそれぞれ結ぶ移動線L1~L5を作成する。そして、作成部135は、所定期間におけるビューポイントP1~P3間のユーザ数の移動数の合計値に応じて、各移動線L1~L5の太さを設定し、各移動線L1~L5を3次元地図画像M1に重畳する。例えば、作成部135は、ビューポイントP1~P3間を移動するユーザ数が多いほど、移動線L1~L5の太さを太くする。
【0052】
この結果、ビューポイントP1~P3間の移動数は、移動線L1~L5で表される(
図3の(2))。作成部135は、ユーザの移動数に応じて、移動線L1~L5の色や濃淡を変えてもよい。事業者等は、3次元地図画像M1上の移動線L1~L5を確認することで、どのビューポイント間でユーザの移動が集中したかを把握することができる。
【0053】
作成部135は、所定期間において、コンテンツにユーザの視線が向いた回数及び/または期間の統計値を表す円錐画像C1を、第3の要素として、3次元地図画像M1の上に重畳する。円錐画像C1は、頂点がビューポイントP1~P3の位置に対応して配置され、底面がビューポイントで表示されるコンテンツの位置に向かって配置される。そして、円錐画像C1は、コンテンツにユーザの視線が向いた回数及び/または期間の統計値に応じた色または濃度で表現される。なお、円錐画像は、第3の要素の一例であり、例えば、第3の要素は、円柱画像、角錐画像、または、角柱画像などであってもよい。
【0054】
この円錐画像C1は、どのビューポイントから、どのコンテンツに、どの程度の数の視線が集まったかを示す視点レベルを表現する。作成部135は、各ビューポイントP1~P3の各コンテンツ配置方向に対応させて、円錐画像C1を3次元地図画像M1の上に重畳する。これによって、3次元マッピング画像では、商品やオブジェクトなどが存在する方向にのみ視点レベル(円錐画像)が表示される(
図3の(3))。事業者等は、3次元地図画像M1上の円錐画像C1を確認することで、どのビューポイントのどの方向にユーザの視線が集中したかを把握することができる。
【0055】
図4を参照して、円錐画像について説明する。
図4では、例えば、
図3のビューポイントP1上にユーザが位置する場合に、ユーザ端末20に提供されるVR空間の3次元地図画像M2を示す。
図4に示すように、ユーザは、ビューポイントP1では、位置P1-1,P1-2,P1-3に配置されたコンテンツ画像が表示される。この位置P1-1,P1-2,P1-3は、コンテンツ画像配置位置として予め設定された位置である。
【0056】
統計処理部134は、例えば、ユーザによる所定期間内の、各位置P1-1,P1-2,P1-3に配置されたコンテンツ画像の閲覧回数の合計値を求める。作成部135は、頂点がビューポイントP1の位置に対応して配置され、底面がコンテンツの位置P1-1,P1-2,P1-3に向かって配置される円錐画像C1-1~C1-3を作成して、3次元地図画像M2に重畳する。この結果、3次元地図画像M2には、商品やオブジェクトなどが存在する方向にのみ視点レベル(円錐画像C1-1~C1-3)が表示される(
図4の(1))。
【0057】
この際、作成部135は、コンテンツの位置P1-1,P1-2,P1-3に配置されたコンテンツ画像にユーザの視線が向いた回数及び/または期間に応じて、円錐画像C1-1~C1-3の色を変化させる(
図4の(2))。
【0058】
例えば、また、作成部135は、円錐画像C1-1~C1-3の色を、視線を向けたユーザ数に応じて変える。また、作成部135は、円錐画像C1-1~C1-3の色の濃さを、ユーザの視線が向いた回数が多いほど濃くなるように設定してもよい。また、作成部135は、円錐画像C1-1~C1-3の色の濃さを、ユーザの視線が向いた期間が長いほど濃くなるように設定してもよい。事業者等は、3次元地図画像M2上の各円錐画像C1-1~C1-3を確認することで、ビューポイントP1において、どの方向にユーザの視線が集中したかを把握することができる。
【0059】
なお、統計処理部134は、3次元マッピング画像作成指示の際に指示された属性に対応させて統計を取る。例えば、属性として、年代、性別、興味を有するカテゴリ等がある。
【0060】
図3に示すVR空間に所定期間(例えば、1か月以内)において入場した20代男性を対象に、3次元マッピング画像の作成を指示された場合について説明する。この場合、統計処理部134は、ユーザ情報、ユーザ操作情報のうち、
図3に示すVR空間に所定期間内に入場した20代男性に該当する情報を取得して、統計処理を行う。そして、作成部135は、統計処理部134による統計処理結果を基に、3次元マッピング画像を作成する。この結果、サーバ装置10は、
図3に示すVR空間に所定期間内に入場した20代男性を対象として3次元マッピング画像を、事業者端末30に提供する。
【0061】
事業者端末30は、作成部135によって作成された3次元マッピング画像を受信し、表示出力する。事業者側では、この3次元マッピング画像を確認することで、このVR空間における、ユーザ及びユーザの視線が集中するエリアやコンテンツを俯瞰的に把握することができる。
【0062】
そして、事業者は、事業者端末30を操作し、サーバ装置10に、3次元マッピング画像に対応するVR空間のユーザ及びユーザの視線が集中するエリアに、コンテンツを自然に配置するよう、配置候補のコンテンツに対する配置設定を指示する。例えば、配置候補のコンテンツは、事業者が販売する商品や、広告主より広告を依頼された商品の画像である。
【0063】
配置判定部136は、配置候補のコンテンツ(例えば、画像)の配置設定指示を受けると、コンテンツの配置を指示されたVR空間について、ユーザ及びユーザの視線が集中するエリアのどの位置に、どのコンテンツを配置させるかを自動的に判定する。配置候補のコンテンツの配置位置は、座標等を用いて指示される。配置候補のコンテンツは、例えば、事業者が販売する商品や、広告主より広告を依頼された商品の画像である。配置判定部136は、2段階の判定を行う。
【0064】
まず、配置判定部136は、1段階目の判定として、コンテンツの配置位置を、指示されたエリア内に設定する際に、配置対象のVR空間の世界観と比較して、このコンテンツ自体がVR空間において適切か否かを判定する。配置判定部136は、配置候補のコンテンツと、配置対象のVR空間の世界観との類似度を基に、配置候補のコンテンツを配置対象のVR空間に対して配置するか否かを判定する。
【0065】
例えば、配置判定部136は、配置候補のコンテンツに対する画像認識結果と、配置対象のVRの世界観として予め設定されているフレーズとの類似度を基に、配置候補のコンテンツを配置対象のVR空間に対して配置するか否かを判定する。
【0066】
まず、配置判定部136は、配置候補のコンテンツに対して画像認識を行う。そして、配置判定部136は、配置対象のVR空間の世界観として予め設定されているフレーズと、コンテンツに対する画像認識により得られたテキストとの類似度を取得する。配置判定部136は、word2vecなどのテキスト類似度算出法等を用いて、VR空間の世界観として設定されたフレーズと、コンテンツに対する画像認識により得られたテキストとの類似度を取得する。
【0067】
類似度が所定の閾値以上である場合、配置候補のコンテンツがVR空間の世界観に類似すると考えられるため、配置判定部136は、配置候補のコンテンツを、このVR空間への配置が適切であるコンテンツ(配置対象のコンテンツ)であると判定する。一方、類似度が所定の閾値未満である場合、配置候補のコンテンツがVR空間の世界観に類似していないと考えられるため、配置判定部136は、配置候補のコンテンツを、配置対象のコンテンツではないと判定する。
【0068】
なお、フレーズが複数設定されている場合、配置判定部136は、複数のフレーズのうちの一つとの類似度が所定の閾値以上であれば、配置対象のコンテンツとして判定してもよい。また、配置判定部136は、複数のフレーズとの類似度の平均値等の統計値を用いて、配置対象のコンテンツであるかを判定してもよい。
【0069】
また、配置候補のコンテンツがVR空間の世界観に類似するかについては、管理者等に判断させてもよい。配置判定部136は、類似度の閾値を用いて、VR空間の世界観のフレーズと、コンテンツに対するテキストとの類似度合いが、大きくかけ離れている場合(あきらかに不自然である場合)か、僅少しか離れていない場合(少し不自然である場合)かに応じて、管理者等に類似しているか否かを判断させるように通知を行ってもよい。例えば、配置判定部136は、類似度合いが、大きくかけ離れていて明らかに不自然であれば、配置候補のコンテンツを、配置対象のコンテンツではないと判定し、次の処理に進む。一方、配置判定部136は、類似度合いが僅少しか離れておらず少し不自然である場合には、管理者等に類似判断依頼を通知する。
【0070】
また、配置判定部136は、自然判定される場合も実際にユーザが視認した際に微妙に不自然を感じる場合があることを想定し、類似度と閾値との差分値に応じて、管理者等に類似判断依頼を通知してもよい。
【0071】
続いて、配置判定部136は、ユーザ及びユーザの視線が集中するエリアのうち、配置対象のコンテンツが配置可能である各位置について、第2の判定を行う。配置判定部136は、2段階目の判定として、配置対象のコンテンツの配置位置を仮定し、仮定した配置位置に配置対象のコンテンツを配置した場合に、コンテンツの配置が、自然または不自然であるかを判定する。配置判定部136は、画像の自然・不自然を判定する判定器を用いて、第2の判定を実行する。判定器は、例えば、ニューラルネットワークなどを用いて構成される。
【0072】
なお、配置判定部136は、配置位置に関するフレーズを登録しておき、仮定した配置位置と登録されたフレーズとが所定値以上の類似度を有する場合に、仮定した配置位置が、配置対象のコンテンツの配置位置であると判定してもよい。また、配置判定部136は、仮定した配置位置を画像認識し、画像認識結果より、仮定した配置位置が、配置対象のコンテンツの配置位置であると判定してもよい。例えば、仮定した配置位置が川と画像認識された場合、配置判定部136は、この川に配置対象のテントのコンテンツを配置する位置ではないと判定する。また、配置判定部136は、自然、不自然の部分について、所定の閾値を基に、判定してもよい。例えば、配置判定部136が、明らかに不自然、少し不自然、明らかに自然という複数の段階(n段階)を判定できるよう、段階ごとに閾値が設けられる。
【0073】
配置判定部136は、仮定した配置位置に配置対象のコンテンツを配置した場合に、自然であると判定した場合、仮定した配置位置を、このコンテンツの配置位置として設定する。配置判定部136は、仮定した配置位置に配置対象のコンテンツを配置した場合に、不自然であると判定した場合には、仮定した配置位置を、このコンテンツの配置位置として設定しない。
【0074】
なお、配置判定部136は、不自然な配置位置に配置対象のコンテンツを配置したいとなった場合には、管理者等に配置の可否を判断させるように通知をおこなってもよい。また、配置候補のコンテンツを仮定した配置位置に配置することが不自然であるか否かは、管理者等に判断させてもよい。配置判定部136は、明らかにに不自然である場合か、少し不自然である場合かに応じて、管理者等に配置の可否を判断させるように通知を行ってもよい。
【0075】
例えば、配置判定部136は、明らかに不自然であれば、仮定した配置位置は、配置候補のコンテンツの配置位置ではないと判定し、次の処理に進む。一方、配置判定部136は、少し不自然である場合には、管理者等に配置の可否判断依頼を通知する。また、配置判定部136は、自然判定される場合も実際にユーザが視認した際に微妙に不自然を感じる場合があることを想定し、判定値と自然判定される際に使用される閾値との差分値に応じて、管理者等に類似判断依頼を通知してもよい。
【0076】
図5は、コンテンツに対する配置位置判定を説明する図である。
図5を参照して、アウトドアの世界観を表現するVR空間V1に、テントの画像であるコンテンツG1及びコップの画像であるコンテンツG2の配置を検討する場合について説明する(
図5の(1),(3))。
【0077】
配置判定部136は、コンテンツG1,G2に対して画像認識を行い、それぞれテキスト「テント」,「コップ」を得る。配置判定部136は、VR空間V1の世界観として予め設定されているフレーズ(例えば「アウトドア」、「キャンプ」、「テント」など)と、画像認識により得られたコンテンツG1のテキスト「テント」及びコンテンツG2のテキスト「コップ」との類似度を取得し、第1の判定を行う。なお、配置判定部133は、画像認識の結果のみでなく、フレーズを追加できるオプションも持っており、フレーズとの類似度も用いて、第1の判定を行ってもよい。
【0078】
図5の例の場合、VR空間V1の世界観として予め設定されているフレーズと、コンテンツG1のテキスト「テント」とが一致する。このため、配置判定部136は、コンテンツG1を、VR空間V1に配置する配置対象のコンテンツであると判定する。一方、コンテンツG2のテキスト「コップ」と、VR空間V1の世界観として予め設定されているフレーズとは、類似度が所定の閾値未満である。このため、配置判定部136は、コンテンツG2が、VR空間V1に配置する配置対象のコンテンツとして不適切であると判定し(
図5の(4))、配置対象のコンテンツではないと判定する。
【0079】
続いて、配置判定部136は、配置対象のコンテンツG1を配置可能である位置R1,R2について、第2の判定を行う。配置判定部136は、コンテンツG1を、位置R1,R2にそれぞれ配置した際の位置R1,R2及びその周囲のコンテンツの画像を基に、コンテンツG1の配置が自然または不自然であるかを判定する。判定器は、例えば、VR空間V1全体のピクセルデータを取得して判定を行う他、コンテンツの配置位置と、その周辺の所定数のピクセルのデータを取得して判定を行ってもよい。
【0080】
位置R2は、川W1の上であるため、テントを配置することは不自然である。このため、配置判定部136は、位置R2については、コンテンツG1の配置位置としては不適切であると判定する(
図5の(4))。これに対し、位置R1は、川から離れた空き地であるため、テントを配置することは自然である。配置判定部136は、位置R1については、コンテンツG1の配置位置として適切であると判定し(
図5の(2))、位置R1を、コンテンツG1の配置位置として設定する。
【0081】
[通信処理の処理手順1]
図6は、実施の形態に係る通信システムにおける通信処理の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
図6は、ユーザ端末20へのVR空間の提供に関する処理の処理手順を示す。
【0082】
図6に示すように、サーバ装置10は、受付部131が、ユーザ端末20からVR空間への入場申し込みを受け付けると(ステップS1,S2)、構築部132が、構築用情報121、コンテンツ情報124を取得して(ステップS3)、VR空間を仮想空間上に構築する(ステップS4)。そして、構築部132は、ユーザ端末20にVR空間を提供する(ステップS5)。
【0083】
サーバ装置10は、VR空間におけるユーザの位置を時間情報に対応付けた位置情報を、各ユーザ端末20から収集し(ステップS6)、ユーザ位置情報125に格納する(ステップS8)。サーバ装置10は、ユーザの操作を示す情報を時間情報に対応付けた操作情報を、各ユーザ端末20から収集し(ステップS7)、ユーザ操作情報126に格納する(ステップS8)。
【0084】
[通信処理の処理手順2]
図7は、実施の形態に係る通信システムにおける通信処理の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
図7は、事業者端末30への3次元マッピング画像の提供に関する処理の処理手順を示す。
【0085】
図7に示すように、サーバ装置10は、事業者端末30から、3次元マッピング画像の作成指示を受け付けると(ステップS11)、ユーザ位置情報125とユーザ操作情報126とを読み出す(ステップS12)。
【0086】
そして、サーバ装置10は、読み出した情報を基に、3次元マッピング画像の作成を指示されたVR空間について、指示された所定期間におけるユーザ位置とユーザの操作とに対して統計処理を行う(ステップS13)。
【0087】
サーバ装置10は、統計処理の結果を基に、VR空間のユーザ及びユーザの視線が集中するエリアを、VR空間の3次元地図画像にマッピングした3次元マッピング画像を作成する(ステップS14)。サーバ装置10は、ステップS13における統計処理の統計処理結果を基に、3次元マッピング画像の作成を指示されたVR空間の3次元地図画像の上に、上述した第1の要素と第2の要素と第3の要素とを重畳した3次元マッピング画像を作成する。
【0088】
サーバ装置10は、作成した3次元マッピング画像のデータを、事業者端末30に送信する(ステップS15)。事業者端末30は、サーバ装置10によって作成された3次元マッピング画像を受信し、表示出力する(ステップS16)。
【0089】
[通信処理の処理手順3]
図8は、実施の形態に係る通信システムにおける通信処理の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
図8は、コンテンツの配置位置の設定処理の処理手順を示す。
【0090】
図8に示すように、サーバ装置10は、事業者端末30から、配置候補のコンテンツの配置設定指示を受けると(ステップS21)、コンテンツの配置を指示されたVR空間について、ユーザ及びユーザの視線が集中するエリアの、どの位置に、どのコンテンツを配置させるかを判定する。
【0091】
まず、サーバ装置10は、配置対象となるVR空間の各種情報、このVR空間のビューポイント情報、ビューポイント上において閲覧可能であるコンテンツの配置位置に関する情報を取得する(ステップS22)。コンテンツの配置位置は、ビューポイントごとに、一または複数の位置が予め設定されている。
【0092】
続いて、サーバ装置10は、コンテンツの配置を指示されたVR空間について、指示されたユーザ及びユーザの視線が集中するエリアの、どの位置に、どのコンテンツを配置させるかを判定する配置判定処理を行う(ステップS23)。配置判定処理では、配置候補のコンテンツのうちの配置対象のコンテンツを判定するとともに、配置対象のコンテンツが自然に配置される位置を判定する。サーバ装置10は、判定結果を基に、配置対象のコンテンツと、このコンテンツの配置位置とを設定し(ステップS24)、配置対象のコンテンツとコンテンツの配置位置との設定情報を事業者端末30に通知する(ステップS25)。
【0093】
この処理によって、VR空間のユーザ及びユーザの視線が集中するエリアの各コンテンツ配置位置のうち、配置対象のVR空間の世界観とマッチするコンテンツが、自然な位置に配置されるよう設定される。
【0094】
[配置判定処理]
次に、
図8に示す配置位置判定処理(ステップS23)について説明する。
図9は、
図8に示す配置位置判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0095】
図9に示すように、サーバ装置10では、配置判定部136が、事業者から配置候補として指示されたコンテンツの各種情報を、例えば、コンテンツ情報124から取得する(ステップS31)。配置判定部136は、配置対象のVR空間の世界観として予め設定されているフレーズを取得する(ステップS32)。
【0096】
配置判定部136は、配置候補のコンテンツに対して画像認識を行う(ステップS33)。そして、配置判定部136は、配置対象のVR空間の世界観として予め設定されているフレーズと、コンテンツに対する画像認識により得られたテキストとの類似度を取得する(ステップS34)。配置判定部136は、類似度が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS35)。
【0097】
類似度が所定の閾値以上である場合(ステップS35:Yes)、配置判定部136は、配置候補のコンテンツを、このVR空間に配置する配置対象のコンテンツであると判定する(ステップS36)。類似度が所定の閾値未満である場合(ステップS35:No)、配置判定部136は、配置候補のコンテンツを、配置対象のコンテンツではないと判定し、ステップS41に進む。
【0098】
続いて、配置判定部136は、指示されたエリアの配置可能である位置のうちいずれかを、配置対象のコンテンツの配置位置として仮定する(ステップS37)。配置判定部136は、この配置位置に、配置対象のコンテンツを配置した際に、コンテンツの配置が、自然または不自然であるかを判定する(ステップS38)。
【0099】
ステップS38の判定処理の判定結果が自然である場合(ステップS39:自然)、配置判定部136は、仮定した配置位置を、このコンテンツの配置位置として設定する(ステップS40)。一方、ステップS38の判定処理の判定結果が不自然である場合(ステップS39:不自然)、配置判定部136は、ステップS37に戻り、他の位置を仮定して、自然・不自然判定を行う。
【0100】
ステップS40の処理後、配置判定部136は、次の配置候補のコンテンツがあるか否かを判定する(ステップS41)。配置候補のコンテンツがある場合(ステップS41:Yes)、配置判定部136は、ステップS31に戻り、配置候補のコンテンツに対する配置判定処理を実行する。一方、配置候補のコンテンツがない場合(ステップS41:No)、配置判定部136は、配置判定処理を終了する。
【0101】
[実施の形態の効果]
このように、実施の形態に係るサーバ装置10は、VR空間の3次元地図画像の上に、ビューポイントを来訪したユーザ数の統計値を表す第1の要素と、ビューポイント間のユーザの移動数の統計値を表す第2の要素と、ビューポイントで表示されるコンテンツにユーザの視線が向いた回数及び/または期間の統計値を表す第3の要素とを重畳した3次元マッピング画像を生成し、提供する。
【0102】
事業者等は、この3次元マッピング画像を確認することで、このVR空間のユーザ及びユーザの視線が集中するエリア(或いはコンテンツ)を、俯瞰的にを把握することができる。この結果、例えば、事業者側では、VR空間のユーザ及びユーザの視線が集中するエリアに、広告用のコンテンツを配置させることで、効果的に商品等を宣伝することができるなどのマーケティングを効率的に行うことができる。このように、実施の形態によれば、事業者等におけるマーケティングの効率化を図ることができる。
【0103】
さらに、サーバ装置10は、ユーザ及びユーザの視線が集中するエリアにおいて、配置対象のVR空間の世界観とマッチするコンテンツが、より自然な位置に配置されるよう自動的に設定する。このため、実施の形態では、VR空間の世界観とマッチするコンテンツを選別し、選別したコンテンツを自然な位置に配置させるという煩雑な処理を、各事業者等が行わずともよい。さらに、実施の形態では、VR空間に自然に配置されたコンテンツを提供することで、ユーザの快適なVR空間の体感を実現するとともに、コンテンツを介した各種商品のユーザへのアピール及び販売が可能となる。
【0104】
[システム構成等]
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUやGPU及び当該CPUやGPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0105】
また、本実施形態において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0106】
[プログラム]
また、上記実施形態において説明したサーバ装置10が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。例えば、実施形態におけるサーバ装置10が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。この場合、コンピュータがプログラムを実行することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、かかるプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより上記実施形態と同様の処理を実現してもよい。
【0107】
図10は、プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
図10に例示するように、コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインタフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインタフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインタフェース1070とを有し、これらの各部はバス1080によって接続される。
【0108】
メモリ1010は、
図10に例示するように、ROM(Read Only Memory)1011及びRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、
図10に例示するように、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1100に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、例えばマウス1110、キーボード1120に接続される。ビデオアダプタ1060は、例えばディスプレイ1130に接続される。
【0109】
ここで、
図10に例示するように、ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、上記の、プログラムは、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュールとして、例えばハードディスクドライブ1090に記憶される。
【0110】
また、上記実施形態で説明した各種データは、プログラムデータとして、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020が、メモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出し、各種処理手順を実行する。
【0111】
なお、プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限られず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【0112】
上記の実施形態やその変形は、本願が開示する技術に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0113】
10 サーバ装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
20 ユーザ端末
30 事業者端末
121 構築用情報
122 ユーザ情報
123 店舗及び商品情報
124 コンテンツ情報
125 ユーザ位置情報
126 ユーザ操作情報
127 コンテンツ配置情報
131 受付部
132 構築部
133 情報収集部
134 統計処理部
135 作成部
136 配置判定部