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特開2023-113539屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113539
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具
(51)【国際特許分類】
   A01G 23/00 20060101AFI20230808BHJP
   E02F 3/36 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
A01G23/00 551F
E02F3/36 Z
A01G23/00 513B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022037790
(22)【出願日】2022-03-11
(31)【優先権主張番号】P 2022015563
(32)【優先日】2022-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】516215970
【氏名又は名称】有限会社ウエスト興業八頭
(74)【代理人】
【識別番号】100118393
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 康裕
(72)【発明者】
【氏名】大野 憲一
【テーマコード(参考)】
2D012
【Fターム(参考)】
2D012FA01
(57)【要約】
【課題】本発明は、屈伸するアームを有する集材用作業車において、様々な物をアームに簡単に着脱できる取付具を提供することを目的とする。
【解決手段】集材対象物Wに取り付けたロープ6と、屈伸するアーム55を有する集材用作業車5と、締付具41と当接具42からなり、締付具41と当接具42とでロープ6の挿通路44を形成するクランプ4と、を用い、集材対象物Wの集材を行う集材作業に用いるクランプ取付具100であって、アーム55のアイドラリンク58に用いるアイドラリンクピンに代わる交換ピン部材1と、交換ピン部材1に取り付ける取付部材2と、を備え、この取付部材2はクランプの締付具41を回動可能に取り付ける。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具であって、
前記アームのリンク部に用いるピン部材と、
前記ピン部材に取り付けられる取付部材と、
からなることを特徴とする屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具。
【請求項2】
前記ピン部材の挿入方向における前記アームとの隙間を調整する隙間部材を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具。
【請求項3】
前記取付部材の回動を阻止する回動阻止部材を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具。
【請求項4】
前記ピン部材は、前記集材用作業車に用いられている既存のものとは異なる交換ピン部材であることを特徴とする請求項1に記載の屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具。
【請求項5】
請求項1に記載する屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具は、
対象物に取り付けた紐状部材と、
前記紐状部材を保持する保持具と、
を用い、前記対象物の移動を行う移動作業に用いるものであり、
前記取付部材は、前記保持具を取り付けることを特徴とする屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具。
【請求項6】
前記対象物の移動を行う前記移動作業は、集材対象物の集材を行う集材作業であり、
前記保持具は、締付具と当接具からなり、該締付具と該当接具とで前記ロープの挿通路を形成するクランプであり、
前記取付部材は、前記クランプの前記締付具を回動可能に取り付けることを特徴とする請求項5に記載の取付具。
【請求項7】
前記取付部材に前記締付具を押圧して前記挿通路を広げるロック解除手段を設けたことを特徴とする請求項5に記載の集材作業に用いるクランプ取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具であって、より詳しくは、アームのリンク部に用いるピン部材と、ピン部材に取り付けられる取付部材と、からなり、この取付部材を利用して様々な物を取り付ける屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、林業において、集材用作業車の近くに木材を集める際に、ブームとアームを有した集材用作業車のブームや回転体等に取り付けられたウインチを用いた方法で木材が集められる。具体的には、ウインチからロープ(ここでは、金属のワイヤ、非金属のロープを総称して「ロープ」と記す。)を延ばし、アーム先端近傍に取り付けられた滑車にロープを通して木材に引っ掛けた後でウインチによりロープを巻き取っている。
【0003】
特許文献1のように、ウインチの力のみで木材を寄せる集材方法は、ウインチに大きな引張力が必要となる。このため、非常に高価なウインチが必要となる。そこで、本願の発明者は特許文献2に示されるようにアームの屈伸や回転力を利用して集材する方法を考えた。この方法では、アームにクランプを設けて、アームが伸展するときはロープがクランプの挿通路で可動にされ、アームが屈曲するときはロープがクランプの挿通路で不動にされる。
【0004】
また、この方法で用いた非特許文献1にあるようなクランプには、固定されたロープを不動方向に強く引っ張ったとき(アームが屈曲するとき)に、締付部がロープに強く食い込んでしまい、その後クランプを可動方向に所定の引張力で引っ張っても(アームを伸展するとき)締付部のロープへの食い込みによって、締付部が可動方向に回転せずに、ロープが固定されたままでクランプが動かなくなる、というような問題点がある。そこで、本願の発明者は、特許文献3に示されるようにこれを解決するクランプ装置の特許を出願した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-315226号公報
【特許文献2】特開2018-11514号公報
【特許文献3】特開2021-116189号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】株式会社キトー、[online]、ワイヤーロープ専用固定器具キトークリップ、インターネット〈https://www.kito.co.jp/products/lb/_id_61/〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2の第2実施形態のクランプや特許文献3のクランプをアームに取り付けるには集材用作業車のアームに孔を開けたり、溶接したりするなどの加工が必要である。ところで、集材用作業車は非常に高額であるために、購入するのではなくリース品を用いることも多い。しかしながら、特許文献2や特許文献3のクランプを溶接等の加工で取り付け方法では、リースの集材用作業車の場合にはリース契約上の問題もあるので、適用し難いという問題があった。
【0008】
また、集材用作業車は実際には集材専用ということはあまりなく、集材作業以外にも使用される汎用性の高い作業車が多い。そのため、集材作業以外の作業を行う際にはクランプが必要ないため、できればクランプを取り外しておきたいという要望も多い。したがって、クランプの着脱を簡単に行えることが望まれていた。
【0009】
また、特許文献1の図7にあるようなウインチとワイヤを使った一般的な集材作業においても、集材作業車のアーム(56)の先端側に固定されたフック(56a)を介して滑車(60)が取り付けられている。このような滑車の取り付けにおいても、アームへのフックの溶接加工を行ったりすれば、上記と同様の問題がある。
【0010】
また、ウインチを使った集材に限らず、例えば、バンドで対象物を拘束し、集材作業車のアームの先端側に取り付けたフックにバンドを引っ掛けて、対象物の位置を少し移動させるような場合もある。
【0011】
特に重機が不足しているような災害現場等では、屈伸するアームを備えた作業車の活用は重要であり、バンドを使って対象物を急遽移動させるようなことが生じる場面は十分に想定できることでもある。そこで、バンドを引っ掛けるフックの取り付けにおいても、ウインチや滑車と同様の問題がある。
【0012】
更に、災害現場のような緊急時であれば、屈伸するアームの先端に光源を取り付けることで、屈伸するアームを備えた作業車を簡易の照明装置として利用するようなことも想定できる。アームの先端に光源を取り付けられると、アームの屈伸や移動により光源の高さや位置を簡単に調整できるので非常に便利である。したがって、屈伸するアームを備えた作業車においては、上記のようなクランプや滑車、フック以外にもアームの先端側へ様々な物を取り付ける活用が広く考えられることから、このような取り付けにおいても、同様の問題がある。
【0013】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、屈伸するアームを有する集材用作業車において、様々な物をアームに簡単に着脱できる取付具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具は、前記アームのリンク部に用いるピン部材と、前記ピン部材に取り付けられる取付部材と、からなることを特徴とする。
【0015】
クランプ、滑車、フック、光源等様々な物をアームに取り付ける場合、アームのリンク部を利用し、リンク部に用いるピン部材と、ピン部材に取り付けられる取付部材とで、構成された取付具で、これらの物を取り付けることができるので、溶接等の加工も必要としない。また、必要でない場合は、クランプ等を取付部材から取り外しておくことができ、また、取付部材についてもピン部材から取り外しておけばよいので、本発明の屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具によれば、様々な物をアームに簡単に着脱できる。
なお、本発明におけるアームのリンク部としては、アイドラリンクやバケットリンクを利用することができる。
【0016】
また、本発明の屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具は、前記ピン部材の挿入方向における前記アームとの隙間を調整する隙間部材を更に備えることが好ましい。
【0017】
このようにピン部材の挿入方向におけるアームとの隙間を調整する調整部材を備えているので、アームの寸法が異なる多種の集材用作業車にもクランプを取り付けることができる。
【0018】
また、本発明の屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具は、前記取付部材の回動を阻止する回動阻止部材を更に備えることが好ましい。
このような構成によりアームの寸法が異なる多種の集材用作業車にも様々な物を取り付けることができる。そして、取付部材が独自に回動することなく、より確実にアームと一体となって動くことになる。
【0019】
また、本発明の屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具は、前記ピン部材が、前記集材用作業車に用いられている既存のものとは異なる交換ピン部材であることが好ましい。
【0020】
このような交換ピン部材であれば、既存ピン部材を取付具として用いる場合には、長さが不足する等の可能性もあるが、既存ピン部材とは異なる専用に制作された交換ピン部材であれば長さの不足等の問題も生じない。
【0021】
また、本発明の屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具は、対象物に取り付けた紐状部材と、前記紐状部材を保持する保持具と、を用い、前記対象物の移動を行う移動作業に用いるものであり、前記取付部材は、前記保持具を取り付けるものである。
【0022】
保持具として、特許文献1のような滑車の他、フック等、紐状部材を保持するものを取り付ける際に、保持具を簡単に取り付けることができる。なお、紐状部材としては、対象物を拘束できるものであれば、ロープ、ワイヤ、チェーン、バンド等様々なものを用いることができる。
【0023】
そして、本発明の屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具は、前記対象物の移動を行う前記移動作業が、集材対象物の集材を行う集材作業であり、前記保持具が、締付具と当接具からなり、該締付具と該当接具とで前記ロープの挿通路を形成するクランプであり、前記取付部材は、前記クランプの前記締付具を回動可能に取り付けるものであることが好ましい。
【0024】
これにより、特許文献2や特許文献3のような、集材用作業車のアームの屈伸によりロープを引き寄せることで集材対象物の集材を行うクランプを、アームのリンク部に用いるピン部材と取付部材とで取り付けるので、アームに孔を開けたり、溶接したりするなどの加工を必要とすることなく簡単に取り付けることができる。したがって、本発明者によりなされた特許文献2のような集材方法であっても、例えば、リースの集材用作業車を用いて容易に行うことができる。
【0025】
そして本発明におけるピン部材は、アイドラリンクやバケットリンクに用いられる既存ピン部材に代えて交換ピン部材を用いことがより好ましい。これは既存のピン部材では取付部材を取り付けるには短い場合があり、既存ピン部材に代えて長い交換ピン部材を用いた方が安定して取付部材を取り付けることができるためである。また、リンク部としては、アイドラリンクが好ましい。これは、バケットリンクの方が、アームの先端に近くなって長い牽引のストロークとなることから、集材作業を効率的に行うことができる一方で、バケットリンクの場合はアームの先端にバケットやグラップルのようなアタッチメントが存在しているため、集材作業において邪魔になるおそれがあるからである。
また、前記保持具が前記クランプである場合には、前記取付部材に前記締付具を押圧して前記挿通路を広げるロック解除手段を設けることが好ましい。
【0026】
これにより、ロープで所定位置まで集材対象物を引き寄せたときに、自動的にロープのロックを解除することができる。また、クランプに強く食い込んだロープを強制的に開放させることができる。
【0027】
更に、前記保持具が前記クランプである場合には、前記取付部材の回動を阻止する回動阻止部材を更に備えることが好ましい。このような構成によりアームの寸法が異なる多種の集材用作業車にもクランプを取り付けることができる。そして、取付部材が独自に回動することなく、より確実にアームと一体となって動くことになるので、ロック解除手段が取り付けられる取付部材の場合には、ロック解除手段回動も回動しないことから、アームの屈伸角度に応じてロック解除を行う際にロック解除手段の動作が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】Aは本発明の第1実施形態に係るクランプ取付具が集材用作業車にクランプを取り付けた状態を示す側面図であり、BはAのクランプ取付具部分の拡大斜視図であり、CはBとは異なる方向から見た斜視図である。
図2】Aは図1のCとは異なる方向から見た斜視図であり、BはAとは異なる方向から見た斜視図である。
図3】Aはクランプの挿通路が狭くなってロープで集材対象物を寄せる状態を示す断面図であり、Bはクランプの挿通路が広くなってクランプを集材対象物側に繰り出すことができる状態を示す断面図であり、Cはロック解除手段によってロックの解除状態を示す断面図である。
図4】Aはクランプ取付具の要部の構成を示す斜視図であり、BはAとは異なる方向から見た斜視図であり、Cは交換ピン部材の溶接された部品を示す斜視図である。
図5】Aはクランプ取付具が集材用作業車に装着された状態を示す側面図であり、BはAのVB-VB断面図である。
図6】クランプ取付具が集材用作業車に装着される手順を示す斜視図である。
図7】Aは第2実施形態のクランプ取付具の構成を示す斜視図であり、BはAを正面から見た図であり、CはAを側面から見た図である。
図8】Aは第2実施形態のクランプ取付具が集材用作業車に装着された状態を示す斜視図であり、BはAのピン部の断面拡大図である。
図9】Aは第3実施形態の取付具に滑車が取り付けられた状態を示す側面図であり、BはAの正面図である。
図10】Aは第4実施形態の取付具にフックが取り付けられた状態を示す側面図であり、BはAの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、実施形態及び図面を参照にして本発明を実施するための形態を説明するが、以下に示す実施形態は、本発明をここに記載したものに限定することを意図するものではなく、本発明は発明請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。なお、この明細書における説明のために用いられた各図面においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせて表示しており、必ずしも実際の寸法に比例して表示されているものではない。
【0030】
本発明の屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具は、アームのリンク部に用いるピン部材と、ピン部材に取り付けられる取付部材と、からなることを特徴としている。より詳しくは、この取付具は、対象物に取り付けた紐状部材と、この紐状部材を保持する保持具と、を用い、対象物の移動を行う移動作業に用いるものであり、取付部材は、紐状部材を保持する保持具を取り付けるものである。
【0031】
移動作業における対象物としては、具体的には、林業における木材や、災害現場における廃材など、移動距離の大小に関わらず、移動を必要とする物である。また、この対象物に取り付けた紐状部材とは、対象物を拘束するものであり、具体的には、ロープ、ワイヤ、チェーン、ベルト等である。また、この紐状部材を保持する保持具とは、具体的には、クランプ、滑車、フックのようなものである。これらの具体例を基に以下の実施形態について説明を行う。
【0032】
[第1実施形態]
図1図5を用いて本願の第1実施形態のクランプ取付具100の要部を説明する。図1図2はクランプ取付具100がクランプ4を集材作業車5に取り付けた状態を示す図であり、図3はクランプ4の動作を示す図であり、図4図5はクランプ取付具100の要部の構成を示す図である。なお、本発明は、本発明者が先に発明した特許文献2、3のクランプの取付方法に関するものであるので、本実施形態における集材方法やクランプ4の原理に関してはそれらの特許文献と基本的には同じである。
【0033】
本実施形態のクランプ取付具100は、本発明の取付具の具体例であり、図1Aに示すように、バケット51を備えた集材作業車5に装着される。集材作業車5はブームシリンダ52の伸縮でブーム53を回動させ、アームシリンダ54の伸縮でブーム53の先端のアーム55を回動させ、バケットシリンダ56の伸縮でアーム55の先端のバケット51を回動させる。そして、バケット51を回動させるためにアーム55の先端には、いわゆるアイドラリンク58とより先端側に位置するバケットリンクが設けられている。本実施形態においては、回動可能なアーム55の先端のアイドラリンク58に用いられるアイドラリンクピン57の位置を利用してクランプ取付具100が装着され、そしてブーム53とアーム55の回動により行われるアーム55の屈伸によって、クランプ取付具100に取り付けられたクランプ4が集材対象物(例えば、林業では木材)Wを引き寄せる。なお、図1Aの拡大図ではアイドラリンクピン57として示しているが、後述するように既存ピン部材であるアイドラリンクピン57に代えて交換ピン部材1を用いており、他の図面では交換ピン部材1として図示する。
【0034】
[クランプ4の構成]
図3を用いて、第1実施形態のクランプ4の要部の構成を説明する。図3Aはクランプ4の締め付け状態を示す図であり、図3Bは解放状態を示す図であり、図3Cはロック解除手段によって、ロープ6のロックを解除させる状態を示す図である。
【0035】
図3Aに示すように、クランプ4は、締付具41と、当接具42と、締付具41と当接具42を回動可能に軸支するクランプ軸43と、からなる。そして、締付具41の締付面41aと当接具42の当接面42aが対面して設けられ、その隙間がロープ6の挿通路44となる。また、図1Bに示すように、クランプ軸43は、特許文献3と同様に、止め輪431(図1Bに示す)によって、容易に着脱可能であり、これにより、クランプ4へのロープ6の着脱がされる。また、図3Aに示すように、締付具41にはクランプ取付具100にクランプ4を回動可能に取り付けるための取付孔41bが設けられている。
【0036】
なお、本実施形態においてクランプ4と記している物は、図示しているクランプ4のような部材や、非特許文献1にあるようなワイヤーロープを固定する物のことである。そして、これはワイヤークランプと呼ばれたりもしている。
【0037】
[クランプ4の締付/解放]
締付具41の当接面41aは円弧面であり、その円弧の中心O1は、クランプ軸43の中心O2から(図3Aで示す)右方に変位した構成となっている。このため、図3Aに示すように、挿通路44は、左方から右方へ徐々に狭くなっている。
【0038】
このため、図3Aに示すように、ロープ6がクランプ4から左方に移動すると挿通路44での摩擦により、締付具41と当接具42が挿通路44を狭くする方向に回転してロープ6を締め付ける。したがって、アーム55の屈曲動作では、ロープ6を締め付けたクランプ4がロープの左方側に保持した集材対象物Wを右方側に牽引することができる。
【0039】
逆に、図3Bに示すように、ロープ6がクランプ4から右方に移動すると挿通路44での摩擦により、締付具41と当接具42が挿通路44を広くする方向に回転してロープ6の移動を許容する。したがって、アーム55の伸展動作では、ロープ6を解放した状態でクランプ4を左方の集材対象物W側に繰り出すことができる。
【0040】
また、クランプ4は左方をバケット側にして、アーム55の先端側にクランプ取付具100を介して回動可能に取り付けられている。これにより、アーム55が集材対象物W側に伸展した状態では、当接具42の自重により挿通路44が狭くなって、次のアーム55の屈曲動作に向けてロープを締め付け易くなる。逆に、アーム55が屈曲した状態では、当接具42の自重により挿通路44が広くなって、次のアーム55の伸展動作に向けてロープを解放し易くなる。
【0041】
[クランプ4のロック解除]
集材対象物Wを牽引するときはロープ6に大きな力が加わる。このために、ロープ6が挿通路44に食い込んでロックすることがある。そこで、第1実施形態のクランプ取付具100はクランプ4のロックを解除するロック解除手段28を備える。
【0042】
このロック解除手段28は、アーム55の屈伸に伴ってクランプ取付具100とともに回動するように設けられている。そして、アーム55が集材対象物Wを引き寄せるときの所定の角度になったときに、図3Cに示すように、当接具42をロック解除方向に押圧して回転させることができるよう、ロック解除手段28は雄ねじの押圧部28aを備えている。なお、押圧部28aの位置はネジの螺入により調整可能となっている。
【0043】
[クランプ取付具100の構成]
本実施形態のクランプ取付具100は、アーム55のリンク部の1つであるアイドラリンク58に用いるピン部材を用いており、このピン部材としてアイドラリンクピン57である既存ピン部材に代えて交換可能な交換ピン部材1を用いている。そして、クランプ取付具100はこの交換ピン部材1と、この交換ピン部材1に取り付けられる取付部材2を備え、この取付部材2は、クランプ4の締付具41を回動可能に取り付けるように形成されている。
【0044】
より具体的には、図1図2図4図5に示すように、クランプ取付具100は、集材用作業車5のアイドラリンク58のアーム55側ピン部の既存ピン部材と交換可能な交換ピン部材1と、交換ピン部材1に取り付けられる取付部材2と、取付部材2に設けられたクランプ4のロックを解除するロック解除手段28からなる。
【0045】
交換ピン部材1は、図4Cに示すように、ピン11と、ピン11に溶接された係合部12からなる。このピン11は、既存ピン部材であるアイドラリンクピン57よりも長くなっている。係合部12は、一方(図1の手間側)のアイドラリンク58と係合する切欠き121を備え、これにより、ピン11はアイドラリンク58の回転に伴って回転する。なお、ピン11がアイドラリンク58の回転に伴って回転する機能は既存ピン部材である本実施形態のアイドラリンクピン57が備えている機能であり、交換ピン部材1もこの機能を備えることで、既存ピン部材と同じ働きを損なうことなく交換することができる。また、集材作業車5にも様々なものがあることから、本実施形態とは異なる既存ピン部材のアイドラリンクピンにこのような機能が不要であれば、係合部12や切欠き121も不要とできる。
【0046】
取付部材2は、本実施形態において、第1軸受部21と、第2軸受部22と、シムスペーサからなる隙間部材23と、ボルト状の抜け止め部24と、第1当て板25(図2Aの拡大図参照)と、回動阻止部材26と、クランプ取付部27と、このクランプ取付部27に設けられたロック解除手段28と、からなる。
【0047】
より具体的に取付部材2の構成部品について説明する。第1軸受部21は、アーム55の側面に沿った側面部分にピン11を受けるための第1軸受211を備え、第2軸受部22もアーム55の側面に沿った側面部分にピン11を受けるための第2軸受221を備えており、第1軸受部21と第2軸受部22とで、アーム55の両側面と底面を囲うようなコ字状部品を形成している。なお、図1C図5Bに示すように、第1ボルトB1で第1軸受部21と第2軸受部22が連結される。また、本実施形態の第1軸受部21と第2軸受部22とで形成したコ字状部品については、1つのコ字状部品で形成することも可能である。
【0048】
隙間部材23は、ピン11の軸方向の隙間を調整するためのものであり、調整のために必要な枚数が適宜用いられる。なお、隙間部材23は、複数・複種類あり、図5Bに示すように、第1軸受部21と係合部12との間に、また第2軸受221側のアイドラリンク58と第2軸受221との間に、更には第2軸受221と第1当て板25との間に、それぞれ挿入され、ピン11の軸方向の隙間を調整している。ピン11の軸方向の隙間は、各メーカーの集材作業車によって、またアーム55やアイドラリンク58の寸法によって変わってくるので、隙間部材23を複数、また厚さの異なる複数の種類を準備しておくことで、その隙間寸法に応じて隙間部材23の枚数や厚みを変更して適切に調整することができる。
抜け止め部材24は、第2軸受221がピン11から抜けるのを阻止するためのものであり、端部に2つの六角ナットが止められている。
【0049】
第1当て板25は、隙間部材23と抜け止め部24の間に挿入されて隙間部材23の当てとなるものであり、両端にはボルト状の抜け止め部24に挿嵌する曲げが形成されている(図2Aの拡大図参照)。
回動阻止部材26は、取付部材2がピン11の軸を中心に回動するのを阻止するためのものであり、詳細を後述する。
【0050】
クランプ取付部27は、図1Aのような側面視において、T字状の部品からなり、天面271を第1軸受部21と第2軸受部22とで形成されたコ字状部品の底面に固定し、垂直面272にクランプ4を回転可能に取り付けるクランプ支持部273とロック解除手段28が設けられる孔部274(図5Bを参照)を備える。
【0051】
ロック解除手段28は、クランプ4のロックを解除するものであり、本実施形態においてはクランプ取付部27の孔部274に螺着されるボルト状の部品で構成されている。
【0052】
このような交換ピン部材1と取付部材2とにおいては(図5Bに示されるピン11への挿入部品の断面図のように)、ピン11に溶接された係合部12と、抜け止めとしてピン11に挿入された抜け止め部24との間に、図5Bの右方から順に、一方のアイドラリンク58、アーム55、他方のアイドラリンク58、3つの隙間部材23、第2軸受部22の第2軸受221、1つの隙間部材23、第1当て板25が挿入されている。このようにして、ピン11は、抜けないように第2軸受部22等と共に集材用作業車5に取り付けられる。なお、第2軸受部22にはアーム55と当接してピン11への挿入の位置決めとなる当接部222(図2C図5B参照)が設けられている。
【0053】
また、アーム55の底面と、第1軸受部21と第2軸受部22とで形成されるコ字状部品の底面との間には隙間L(図5B参照)が生じる。この隙間Lがあると、集材の際のアーム55の動きで、取付部材2がアーム55の動きとは別に単独で回動してしまうおそれがある。そこで、本実施形態においては、回動阻止部材26を用いてアーム55との隙間Lを所定の寸法に小さくなるよう調整し、取付部材2の動きを阻止している。
【0054】
具体的には、回動阻止部材26は、図2Bに示すように、4本の第2ボルトB2と傷防止の為の第2当て板261で構成されている。そして、図2B図5Bに示すように、第2当て板261を第2ボルトB2でアーム55の底面に当てるようにして用いる。このように第2ボルトB2と第2当て板261を用いることで、アーム55に対する取付部材2の動きを阻止している。また、本実施形他においては取付部材2がロック解除手段28を備えているので、回動阻止部材26によって取付部材2の回動を防止することで、取付部材2の動きに伴うロック解除手段28の動きも阻止されることになるので、アーム55の屈伸角度に応じてロック解除を行うロック解除手段28の動作が非常に安定する。なお、本実施形態において、第2当て板261は両端が曲げ加工されたコの字形となっており、これにより第1軸受部21と第2軸受部22と形成されるコ字状部品の底面と係合しやすく、また、変形し難くなっている。
【0055】
また、図2A図2Bに示すように、4本の第3ボルトB3でクランプ取付部27の天面271が第1軸受部21と第2軸受部22とで形成されるコ字状部品の底面に螺着されている。そして、クランプ取付部27の孔部274にはロック解除手段28が設けられている。そして、図1図2に示すように、クランプ取付部27のクランプ支持部273にクランプ4が回動可能に軸支されている。
【0056】
より具板的には、本実施形態においては、クランプ支持部273は、クランプ4の締付具41を挟み込むように垂直面272から突出する2つの突起部で構成している。そして、この2つの突起部に挟まれたクランプ4の締付具41は、締付具41の取付孔41bを軸材で軸支することで、締付具41が回動可能となっている。なお、クランプ支持部273の構成は、例えば、1つの突起部で構成するように他の構成を採用することも可能である。
【0057】
[クランプ取付具100の取り付け手順例]
図6のS1~S6を用いてクランプ取付具100の取り付け手順例を説明する。
図6のS1に示す図の手前から、係合部12が溶接されたピン11からなる交換ピン部品1が、アーム55のアイドラリンク58の取り付け位置においてに挿入される(S1)。このとき、係合部12の切欠き121がアイドラリンク58に係合される。
次に、係合部12側のピン11に、3つの隙間部材23と第1軸受部21の第1軸受211が順次挿入される(S2、S3)。
次に第1軸受部21とは逆側のピン11に、3つの隙間部材23と第2軸受部22の第2軸受221が順次挿入される(S4)。
【0058】
次いで、第2軸受221側のピン11に、1つの隙間部材23と第1当て板25が挿入され、アーム55の底部と、第1軸受部21と第2軸受部22とで形成されるコ字状部品の底面との間に第2当て板261が挿入された状態で、ピン11に抜け止め部24が取り付けられ、2本の第1ボルトB1(図1C参照)で第1軸受部21と第2軸受部22が連結される(S5)。
【0059】
次に、4本の第2ボルトB2で第2当て板261をアーム55の方へ移動させる(S6)。その後(図6のS6の後)、クランプ取付部27の天面271が、第1軸受部21と第2軸受部22とで形成されるコ字状部品の底面に4本の第3ボルトB3で螺着され、クランプ4がクランプ取付部27に回動可能に軸支される。
【0060】
本実施形態のクランプ取付具100は、このように、アーム55のアイドラリンク58に用いる既存ピン部材に代えて交換可能な交換ピン部材1と、この交換ピン部材1に取り付ける取付部材2と、で構成され、この取付部材2は、クランプ4の締付具41を回動可能に取り付けるように形成されている。したがって、集材用作業車5へクランプ4を取り付ける際に、アーム55に孔を開けたり、溶接したりするなどの加工が不要となる。また、取り外しも簡単に行うことができるので、集材作業以外に集材用作業車5を用いる場合に、簡単にクランプ4を取り外すことができる。
【0061】
なお、本実施形態においては、クランプ4の締付具41を回動可能に取り付ける取付部材2の構成として、クランプ取付部27を、第1軸受部21と第2軸受部22とで形成されるコ字状部品の底面に螺着されている構成、つまりクランプ取付部27が別体の構成となっていた。しかしながら、クランプ取付部27は必ずしも別体である必要はなく、例えば、第1軸受部21をL字状としてこの底面に垂直面272を有するような構成を採用することもできる。
【0062】
また、本実施形態においては、クランプ取付部27は、第1軸受部21と第2軸受部22とで形成されるコ字状部品の底面に螺着して固定する構成であった。しかしながら、底面に固定する構成に限定するものでもなく、例えば、第1軸受部21の第1軸受211が設けられている側面部分にクランプ取付部27を固定する構成を採用することもできる。
【0063】
[第2実施形態]
図7図8を用いて第2実施形態のクランプ取付具100Aの要部の構成を説明する。図7A図7Cは第2実施形態のクランプ取付具100Aの要部を示す図であり、図8A図8Bはクランプ取付具100Aが集材用作業車5に取り付けられた状態を示す図である。
【0064】
第2実施形態のクランプ取付具100Aにおいては、第1実施形態のクランプ取付具100と構成が同一の部分については同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略し、構成が異なる同一名の部分については参照符号に添え字「A」を付す。概略、第1実施形態のクランプ取付具100は、クランプ4の締付具41を回動可能に取り付ける取付部材2に、クランプ取付部27が設けられている構成となっていたが、本実施形態のクランプ取付具100Aは、取付部材2Aが交換ピン部材1Aを用いてクランプ4の締付具41を回動可能に取り付ける構成となっている。
具体的には、図7図8に示すように、クランプ取付具100Aは、交換ピン部材1Aと取付部材2Aからなる。
【0065】
交換ピン部材1Aは、図8Bに示すように、ピン11Aと、ピン11Aの端に固着される接続部13と、からなる。なお、接続部13は後述のクランプ抜止部材30をピン11Aに螺着する為のものであり、ピン11Aに固着される。
【0066】
取付部材2Aは、L字状の部材からなり垂直面にピン11Aが挿通する第1軸受211Aを備えた第1軸受部21Aと、ボルト状の抜け止め部24Aと、回動阻止部材26Aと、クランプ抜止部材30と、ロック解除手段28Aと、スペーサ29と、からなる。
【0067】
より具体的に取付部材2Aの構成部品について説明する。第1軸受部21Aは、L字状の垂直面にピン11Aが挿通される第1軸受211Aを備え、また、垂直面の端部にはロック解除手段28Aが設けられるロック解除取付板21Aaを備えている。
【0068】
抜け止め部材24Aは、ピン11Aのピン軸方向の動きを規制するためのものであり、ピン11Aの設けられているピン軸方向と直交する貫通部に挿入される。なお、この抜け止め部材24Aは、第1実施形態の抜け止め部材24と同じもので構わない。
回動阻止部材26Aは、本実施形態においては第2ボルトB2のみからなるが、第1実施形態と同様に第2当て板261を更に用いても構わない。
【0069】
クランプ抜止部材30は、図8Bに示すように、ピン11Aの端部に嵌合するようなキャップ状の部材であり、第1軸受部211Aやクランプ4Aの締付具41A等がピン11Aから抜けないように、第4ボルトB4でピン11Aの接続部13に螺着される。
【0070】
ロック解除手段28は、図7に示すように、第1軸受部21Aのロック解除取付板21Aaに設けられる。なお、ロック解除手段28Aは、第1実施形態と同様に、ロック解除取付板21Aaの孔部(図示せず)に螺着されるボルト状の部品で構成されている。
スペーサ29は、第1軸受部211Aとクランプ4Aが直接接触しないように、その間に挿入される。
【0071】
このような構成からなる第2実施形態のクランプ取付具100Aは、クランプ4Aの締付具41Aにある取付孔を、交換ピン部品1Aを形成するピン11Aに直接嵌入し、取付部材2Aを形成するクランプ抜止部材30が装着されることによって、クランプ4Aの締付具41Aを回動可能に取り付ける。つまり、本実施形態のクランプ取付具100Aは、取付部材2Aが交換ピン部材1Aを用いてクランプ4の締付具41を回動可能に取り付ける構成となっている。
【0072】
したがって、第1実施形態のクランプ取付具100と同様の効果を奏するとともに、第2実施形態のクランプ取付具100Aは、このような簡単な構成でクランプ4Aが直接ピン11Aに取り付けられるので、小型・安価となる。
【0073】
このように第1実施形態、第2実施形態のクランプ取付具は、屈伸するアームの力で集材対象物を引き寄せる集材作業に用いるクランプの取付具として、アームに孔を開けたり、溶接したりするなどの加工が不要となる。また、集材作業に用いるクランプの取り外しも簡単に行うことができる。このため、特許文献2のような集材方法において非常に適したクランプ取付具となる。
【0074】
また、第1実施形態、第2実施形態のクランプ取付具は、ピンの軸方向の隙間を調整する隙間部材を別途設け、また、クランプ取付具とアームの隙間を減少させてクランプ取付具の回動を阻止する回動阻止部材を別途設けるので、各メーカーや機種毎に寸法が異なる集材用作業車への適用範囲が拡大する。
【0075】
また、上述の実施形態はリンク部としてアイドラリンク58を利用したが、アイドラリンク58よりもアームの先端にあるバケットリンクを利用することもできる。ただし、バケットリンクの先にはバケット51があるため、バケット51が邪魔になる可能性があるので、バケット51から離れたアイドラリンク58を利用した方が好ましい。なお、上述の実施形態はアーム55の先端のアタッチメントとしてバケットを備えた集材用作業車であったが、これに限定するものではなく、例えば、アタッチメントをグラップルにしたものでもよい。
【0076】
また、実施形態においては、リンク部に用いるピン部材としては既存ピン部材に代えて交換ピン部材を何れも用いていたが、既存ピン部材(アイドラリンクピンやバケットリンクピン)をそのまま用いても構わない。ただし、既存ピン部材は取付部材を取り付けるには短い場合があるので、既存ピン部材に代えて十分な長さを確保でき、また加工を施したピンを用いることができる交換可能な交換ピン部材を用いた方がよい。
【0077】
[第3実施形態]
図9を用いて第3実施形態の滑車取付具100Bの要部の構成を説明する。本実施形態では、紐状部材を保持する保持具の具体例として、滑車7を用いる。図9は本実施形態の滑車取付具100Bの要部を示す図である。本実施形態の滑車取付具100Bにおいては、第1実施形態のクランプ取付具100と構成が同一の部分については同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略し、構成が異なる同一名の部分については参照符号に添え字「B」を付す。
図9(A)は本実施形態の滑車取付具100Bに滑車7を取り付けた状態を示す側面図であり、図9(B)は図9(A)の正面図である。
【0078】
本実施形態の滑車取付具100Bは、第1実施形態のクランプ取付具100と同じであり、第1実施形態のクランプ支持部273に対応する滑車支持部273Bに、クランプ4の代わりに滑車7を取り付けただけである。より具体的には、垂直面272Bから突出する2つの突起部の間に滑車の取付孔71を配し、軸支することで、滑車7を取り付けている。
【0079】
本実施形態においては、集材を行う方法は、実施形態1のようにアーム55の屈曲で対象物を引き寄せるのではなく、ウインチ(図示せず)の力で直接対象物を引き寄せることで行う方法となる。そして、滑車7が取り付けられていれば、対象物Wを引き寄せるときに、旋回体(図示せず)を回転させて滑車7を左右に回動させることで、対象物Wを左右に移動させることができる。例えば、対象物Wを所定の位置に集めて置くときや、切り株や木の残骸を避けるときに対象物を左右に移動させる。
【0080】
このように、保持具として滑車7の取り付けにも、本発明を適用することができる。なお、滑車7は第2実施形態のように、ピン11Aに直結することもできる。また、図9に図示した滑車7は、取付孔71の部分と滑車7の本体部分とが一体となっている構成、つまり取付孔71と滑車の支持部材とが一体の構成であったが、取付孔71の部分と支持部材とが別体で構成され、それらが回転自在に固定されている構成の滑車でも構わない。
【0081】
[第4実施形態]
図10を用いて第4実施形態のフック取付具100Cの要部の構成を説明する。本実施形態では、紐状部材を保持する保持具の具体例として、フック8を用いる。図10は本実施形態のフック取付具100Cの要部を示す図である。本実施形態のフック取付具100Cにおいては、第1実施形態のクランプ取付具100と構成が同一の部分については同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略し、構成が異なる同一名の部分については参照符号に添え字「C」を付す。
【0082】
図10(A)は本実施形態のフック取付具100Cにフック8を取り付けた状態を示す側面図であり、図10(B)は図10(A)の正面図である。フック8は取付孔81を備えている。
【0083】
本実施形態のフック取付具100Cも、第1実施形態のクランプ取付具100と同じであり、第1実施形態のクランプ支持部273に対応するフック支持部273Cに、クランプ4の代わりにフック8を取り付けただけである。より具体的には、垂直面272Bから突出する2つの突起部の間にフックの取付孔81を配し、軸支することで、フック8を取り付けている。
【0084】
フック8は集材用作業車5に取り付けられて、対象物を持ち上げたり、位置を移動したりする移動作業に用いられる。このようなフック8の取り付けにも、本発明を適用することができる。なお、フック8も第2実施形態のように、ピン11Aに直結することもできる。
【0085】
このように、上記実施形態において、屈伸するアーム55を有する集材用作業車5に用いる取付具は、保持具としてクランプ4、滑車7、フック8、を用い、取付部材にこれらの保持具を取り付けることで、対象物Wの移動を行う移動作業に用いる取付具として説明したが、移動作業に用いるものに限定されるだけでない。
【0086】
本発明の屈伸するアームを有する集材用作業車に用いる取付具は、クランプ4、滑車7、フック8の代わりに例えば、光源を取付部材に取り付けて、集材用作業車5を簡易の外灯装置として用いることができ、また、例えばカメラを取付部材に取り付けて、集材用作業車5を簡易の撮影装置として用いることができる。つまり、災害時等の緊急事態において、集材用作業車をこのように活用することができる。そして、光源やカメラ等をアームの先端に取り付けられると、アームの屈伸や移動により光源等の高さや位置を簡単に調整できるので非常に便利である。
【符号の説明】
【0087】
100、100A:クランプ取付具
100B:滑車取付具
100C:フック取付具
1、1A:交換ピン部材
11、11A:ピン
2、2A、2B:取付部材
21、21A:第1軸受部
22、22A:第2軸受部
23:隙間部材
26、26A:回動阻止部材
27:クランプ取付部
27B:滑車取付部
27C:フック取付部
28、28A:ロック解除手段
30:クランプ抜止部材
4、4A:クランプ
41、41A:締付具
42:当接具
43:クランプ軸
44:挿通路
5:集材用作業車
55:アーム
58:アイドラリンク
7:滑車
8:フック
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10