(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113567
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】基準点指定装置
(51)【国際特許分類】
B25H 7/00 20060101AFI20230808BHJP
B25H 7/02 20060101ALI20230808BHJP
E04G 21/18 20060101ALI20230808BHJP
G01C 15/06 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
B25H7/00 Z
B25H7/00 A
B25H7/02 Z
E04G21/18 B
G01C15/06 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022199991
(22)【出願日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】P 2022015537
(32)【優先日】2022-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】桐生 徳康
(72)【発明者】
【氏名】陣内 瞭輔
(72)【発明者】
【氏名】西田 信幸
【テーマコード(参考)】
2E174
【Fターム(参考)】
2E174DA40
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡単に各種部材に設置可能であり、精度よく部材の基準点を指定可能な基準点指定装置を提供する。
【解決手段】回転可能な連結点によって等辺平行四辺形10が形成され、該等辺平行四辺形を形成する各辺を延出させ、各延出した部分の先端に接触子12a,12b,12c,12dを設け、前記等辺平行四辺形の対峙する1組の辺の中点間を連結するリンクプレート14を設け、該リンクプレートに指示具17を設け、前記接触子は前記等辺平行四辺形の伸縮によって測定対象に当接可能であり、前記接触子が測定対象に当接した状態で前記指示具が前記測定対象の基準点を指定する様構成された。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な連結点によって等辺平行四辺形が形成され、該等辺平行四辺形を形成する各辺を延出させ、各延出した部分の先端に接触子を設け、前記等辺平行四辺形の対峙する1組の辺の中点間を連結するリンクプレートを設け、該リンクプレートに指示具を設け、前記接触子は前記等辺平行四辺形の伸縮によって測定対象に当接可能であり、前記接触子が測定対象に当接した状態で前記指示具が前記測定対象の基準点を指定する様構成された基準点指定装置。
【請求項2】
前記リンクプレートの中点に前記指示具を設け、更に前記中点に基準点設定プレートを回転可能に設け、該基準点設定プレートの先端に測定対象に当接可能なストッパピンを設けた請求項1に記載の基準点指定装置。
【請求項3】
比例目盛バーを具備し、該比例目盛バーは、前記1組の辺の中点間に連結され、前記比例目盛バーの両端にはそれぞれ測定対象の側面に位置する第1比例起点、第2比例起点が設けられ、前記比例目盛バーには前記第1比例起点、前記第2比例起点間を等分する比例目盛が設けられ、前記指示具は前記比例目盛バーの任意な位置に取付けられる請求項1に記載の基準点指定装置。
【請求項4】
比例目盛バーを更に具備し、該比例目盛バーは、前記リンクプレートの中点に回転可能に設けられ、前記比例目盛バーの両端にはそれぞれ測定対象の側面に位置する第1比例起点、第2比例起点が設けられ、前記比例目盛バーには前記第1比例起点、前記第2比例起点間を等分する比例目盛が設けられ、前記指示具は前記比例目盛バーの任意な位置に取付けられる請求項1に記載の基準点指定装置。
【請求項5】
オフセットバーを更に具備し、該オフセットバー、前記リンクプレートの中点に回転可能に設けられ、該オフセットバーにはガイド溝が形成され、前記等辺平行四辺形の伸縮方向に位置する少なくとも1つの連結点にガイドピンが設けられ、該ガイドピンが前記ガイド溝に摺動可能に嵌合し、前記オフセットバーには少なくとも中心位置を示す中心メモリが設けられ、前記指示具は前記オフセットバーの任意な位置に取付けられる請求項1に記載の基準点指定装置。
【請求項6】
前記等辺平行四辺形の延出した2組の部分に、それぞれ前記等辺平行四辺形と同形の等辺平行四辺形を構成する補助リンク組を設けた請求項1に記載の基準点指定装置。
【請求項7】
前記等辺平行四辺形の延出した1組の延出部の先端にそれぞれナットを設け、該ナットにスクリューロッドの両端部を螺合させ、前記ナット、前記スクリューロッドの螺合を両端部で逆螺子とし、前記スクリューロッドの正逆回転で前記基準点指定装置が伸縮する様構成した請求項1に記載の基準点指定装置。
【請求項8】
前記等辺平行四辺形の各辺の連結点の少なくとも1箇所に、連結点で各辺間の回転を拘束するロックボルトを設けた請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の基準点指定装置。
【請求項9】
前記連結点間、又は前記連結点に前記等辺平行四辺形を伸長又は短縮させる様付勢する付勢手段を設けた請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の基準点指定装置。
【請求項10】
ロックプレートを更に具備し、該ロックプレートの基端を前記リンクプレートの中点に回転可能に取付け、該ロックプレートは延出部の1つと交差する長さを有し、前記ロックプレートと前記延出部の少なくとも一方に長孔を設け、前記ロックプレートに前記長孔を摺動可能であり、所要位置で前記ロックプレートと前記延出部とを固定するロックボルトを設けた請求項1~請求項4、請求項6のいずれか1項に記載の基準点指定装置。
【請求項11】
前記指示具は再帰反射体又は転写具を含む請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の基準点指定装置。
【請求項12】
前記接触子に隣接して高さ調整部材を設け、該高さ調整部材の下面は、前記指示具の最下層面と同一平面上に位置する様構成された請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の基準点指定装置。
【請求項13】
前記高さ調整部材は、中心側から外周側に向って漸次厚みが増大するガイド部を有する請求項12に記載の基準点指定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種部材の測定の基準となる点を指定する基準点指定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築現場等で施工された各種部材の位置を測定する場合は、各種部材の測定の基準となる点を指定する必要がある。例えば、部材が杭打ちされたコンクリートパイルで、コンクリートパイルの中心を基準点として指定する場合、従来の方法としては、杭打されたパイルの上面をコンベックス等で測定し、中心位置を求め筆記具等で中心点を罫書いている。
【0003】
従来の方法では、作業が複雑で、人為的な誤差が発生し易く、又精度は作業者の熟練度による等の問題があり、作業効率もよくなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、簡単に各種部材に設置可能であり、精度よく部材の基準点を指定可能な基準点指定装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、回転可能な連結点によって等辺平行四辺形が形成され、該等辺平行四辺形を形成する各辺を延出させ、各延出した部分の先端に接触子を設け、前記等辺平行四辺形の対峙する1組の辺の中点間を連結するリンクプレートを設け、該リンクプレートに指示具を設け、前記接触子は前記等辺平行四辺形の伸縮によって測定対象に当接可能であり、前記接触子が測定対象に当接した状態で前記指示具が前記測定対象の基準点を指定する様構成された基準点指定装置に係るものである。
【0007】
又本発明は、前記リンクプレートの中点に前記指示具を設け、更に前記中点に基準点設定プレートを回転可能に設け、該基準点設定プレートの先端に測定対象に当接可能なストッパピンを設けた基準点指定装置に係るものである。
【0008】
又本発明は、比例目盛バーを具備し、該比例目盛バーは、前記1組の辺の中点間に連結され、前記比例目盛バーの両端にはそれぞれ測定対象の側面に位置する第1比例起点、第2比例起点が設けられ、前記比例目盛バーには前記第1比例起点、前記第2比例起点間を等分する比例目盛が設けられ、前記指示具は前記比例目盛バーの任意な位置に取付けられる基準点指定装置に係るものである。
【0009】
又本発明は、比例目盛バーを更に具備し、該比例目盛バーは、前記リンクプレートの中点に回転可能に設けられ、前記比例目盛バーの両端にはそれぞれ測定対象の側面に位置する第1比例起点、第2比例起点が設けられ、前記比例目盛バーには前記第1比例起点、前記第2比例起点間を等分する比例目盛が設けられ、前記指示具は前記比例目盛バーの任意な位置に取付けられる基準点指定装置に係るものである。
【0010】
又本発明は、オフセットバーを更に具備し、該オフセットバー、前記リンクプレートの中点に回転可能に設けられ、該オフセットバーにはガイド溝が形成され、前記等辺平行四辺形の伸縮方向に位置する少なくとも1つの連結点にガイドピンが設けられ、該ガイドピンが前記ガイド溝に摺動可能に嵌合し、前記オフセットバーには少なくとも中心位置を示す中心メモリが設けられ、前記指示具は前記オフセットバーの任意な位置に取付けられる基準点指定装置に係るものである。
【0011】
又本発明は、前記等辺平行四辺形の延出した2組の部分に、それぞれ前記等辺平行四辺形と同形の等辺平行四辺形を構成する補助リンク組を設けた基準点指定装置に係るものである。
【0012】
又本発明は、前記等辺平行四辺形の延出した1組の延出部の先端にそれぞれナットを設け、該ナットにスクリューロッドの両端部を螺合させ、前記ナット、前記スクリューロッドの螺合を両端部で逆螺子とし、前記スクリューロッドの正逆回転で前記基準点指定装置が伸縮する様構成した基準点指定装置に係るものである。
【0013】
又本発明は、前記等辺平行四辺形の各辺の連結点の少なくとも1箇所に、連結点で各辺間の回転を拘束するロックボルトを設けた基準点指定装置に係るものである。
【0014】
又本発明は、前記連結点間、又は前記連結点に前記等辺平行四辺形を伸長又は短縮させる様付勢する付勢手段を設けた基準点指定装置に係るものである。
【0015】
又本発明は、ロックプレートを更に具備し、該ロックプレートの基端を前記リンクプレートの中点に回転可能に取付け、該ロックプレートは延出部の1つと交差する長さを有し、前記ロックプレートと前記延出部の少なくとも一方に長孔を設け、前記ロックプレートに前記長孔を摺動可能であり、所要位置で前記ロックプレートと前記延出部とを固定するロックボルトを設けた基準点指定装置に係るものである。
【0016】
又本発明は、前記指示具は再帰反射体又は転写具を含む基準点指定装置に係るものである。
【0017】
又本発明は、前記接触部に隣接して高さ調整部材を設け、該高さ調整部材の下面は、前記指示具の最下層面と同一平面上に位置する様構成された基準点指定装置に係るものである。
【0018】
更に又本発明は、前記高さ調整部材が中心側から外周側に向って漸次厚みが増大するガイド部を有する基準点指定装置に係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、回転可能な連結点によって等辺平行四辺形が形成され、該等辺平行四辺形を形成する各辺を延出させ、各延出した部分の先端に接触子を設け、前記等辺平行四辺形の対峙する1組の辺の中点間を連結するリンクプレートを設け、該リンクプレートに指示具を設け、前記接触子は前記等辺平行四辺形の伸縮によって測定対象に当接可能であり、前記接触子が測定対象に当接した状態で前記指示具が前記測定対象の基準点を指定する様構成されたので、簡単に各種部材に設置可能であり、精度よく部材の基準点を指定可能であり、人為的な誤差が無く、作業効率もよいという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る基準点指定装置の斜視図である。
【
図2】(A)(B)は第1の実施例に係る基準点指定装置に於いて、測定対象が円形の場合の作用説明図である。
【
図4】第1の実施例に於いて、測定対象が壁材である場合の作用説明図である。
【
図5】第1の実施例に於いて、測定対象が壁材である場合の作用説明図である。
【
図6】(A)(B)は、第2の実施例の説明図である。
【
図14】第5の実施例に於ける比例目盛バーの概略図である。
【
図17】第6の実施例に於けるオフセットバーの説明図である。
【
図20】(A)は、第8の実施例に係る基準点指定装置を示す部分断面図であり、(B)は、第8の実施例の変形例に係る基準点指定装置を示す部分断面図であり、(C)(D)は高さ調整部材の変形例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0022】
図1を参照して、本発明の第1の実施例に係る基準点指定装置11について説明する。
【0023】
第1リンクプレート1と第2リンクプレート2とは基端(第1連結点6)に於いて回転自在に連結され、先端は自由端となっている。第3リンクプレート3と第4リンクプレート4とは基端(第2連結点7)に於いて回転自在に連結され、先端は自由端となっている。
【0024】
前記第1リンクプレート1と前記第3リンクプレート3とは、中途位置(第3連結点8)で回転自在に連結され、前記第2リンクプレート2と前記第4リンクプレート4とは中途位置(第4連結点9)で回転自在に連結されている。
【0025】
前記第1連結点6と前記第3連結点8間の距離、前記第1連結点6と前記第4連結点9間の距離、前記第2連結点7と前記第3連結点8間の距離、前記第2連結点7と前記第4連結点9間の距離は、全て同一となっており、前記第1連結点6、前記第2連結点7、前記第3連結点8、前記第4連結点9を頂点とする等辺平行四辺形10が形成され、更に、該等辺平行四辺形10は正方形から各辺が密着する迄、自在に変形可能となっている。
【0026】
前記第1リンクプレート1の前記等辺平行四辺形10から延出する部分の先端には接触子12aが設けられている。該接触子12aは円形の断面を有し、前記第1リンクプレート1に対して垂直であり、下方に突出している。
【0027】
前記第2リンクプレート2、前記第3リンクプレート3、前記第4リンクプレート4についても同様に延出する部分の先端には接触子12b,12c,12dが設けられている。
【0028】
又、前記第3連結点8と前記接触子12aの中心迄の距離、前記第4連結点9と前記接触子12bの中心迄の距離、前記第3連結点8と前記接触子12cの中心迄の距離、前記第4連結点9と前記接触子12dの中心迄の距離は全て同一となっている。
【0029】
前記第1リンクプレート1に於ける前記第1連結点6と前記第3連結点8間の中点13a及び前記第4リンクプレート4に於ける前記第2連結点7と前記第4連結点9間の中点13bをそれぞれ連結点として、前記第1リンクプレート1と前記第4リンクプレート4間に第5リンクプレート14が設けられる。
【0030】
該第5リンクプレート14は、前記第2リンクプレート2、前記第3リンクプレート3に対して平行リンクとなっており、前記第2リンクプレート2、前記第3リンクプレート3の動きに追従する様に成っている。
【0031】
前記第5リンクプレート14の中間位置に指示具ホルダ15が設けられており、該指示具ホルダ15の中心線は前記中点13a、前記中点13b間の中点を通過する様になっている。
【0032】
前記第1連結点6と前記第2連結点7とを結ぶ直線と、前記第3連結点8と前記第4連結点9とを結ぶ直線は直交し、その交点Oは前記等辺平行四辺形10の中心となっている。前記指示具ホルダ15の中心は前記交点O上に位置し、前記等辺平行四辺形10の変形に拘らず、常に該等辺平行四辺形10の中心に位置する。
【0033】
又前記接触子12a,12b,12c,12dの中心は、前記交点Oに対して左右、上下対称の位置にあり、前記接触子12a,12b,12c,12dの中心と前記交点O間の距離はそれぞれ同一となっている。
【0034】
前記等辺平行四辺形10は前記交点Oを中心として左右、上下対称に変形し、又前記接触子12a,12b,12c,12dは前記等辺平行四辺形10の変形に追従して、前記交点Oを中心に左右、上下対称に位置が変化する。
【0035】
前記第1連結点6及び前記第2連結点7には、基準点指定装置11の伸縮状態を維持、固定する固定手段として、ロックボルト16が設けられ、該ロックボルト16を締付けると、連結点での第1リンクプレート1、第2リンクプレート2間の回転(前記等辺平行四辺形10の各辺間の回転)が固定され、前記等辺平行四辺形10の変形が拘束される。前記ロックボルト16を緩めると、回転が自由になって、前記等辺平行四辺形10が自在に変形し得る様になっている。尚、前記ロックボルト16は、前記等辺平行四辺形10の各連結点に設けてもよく、或は前記等辺平行四辺形10の変形を拘束する必要が無ければ省略してもよい。
【0036】
前記指示具ホルダ15には基準点を指示する為の指示具17が嵌脱可能に設けられる。
【0037】
該指示具17は、基準測定対象としての例えば再帰反射体18を具備し、該再帰反射体18の光学中心は、前記指示具ホルダ15の中心線上に位置し、且つ前記基準点指定装置11の基準面からの高さが既知となっている。前記再帰反射体18としては、全方向からの光を再帰反射できることが好ましく、全方向プリズム、全周プリズム、球面或は円筒面に設けられた反射シート等が用いられてもよい。尚、前記指示具17は前記再帰反射体18の光学中心の高さを調整する機能を具備してもよい。
【0038】
更に、基準測定対象としては、再帰反射体に限られるものではない。例えば、基準点(中心点)を測定可能であればよく、円柱、球体等の立体形状物、或は発光体、ターゲットマーカ等種々の基準測定対象が採用可能である。
【0039】
尚、前記基準点指定装置11の基準面としては、前記第4リンクプレート4の下面としてもよい。この場合、前記第2リンクプレート2、前記第3リンクプレート3、第5リンクプレート14の少なくとも1つの裏面の適宜位置に前記第4リンクプレート4の板厚と同じ厚みの小片を設けてもよい。尚、基準面としては前記第5リンクプレート14の上面等であってもよく、前記第4リンクプレート4の下面に限定されない。
【0040】
又、前記指示具17としては、前記交点Oの位置を転写可能な罫書き針、或は筆記具の様な転写具であってもよい。
【0041】
又、前記基準点指定装置11の用途が固定される場合は、前記指示具ホルダ15を介さず指示具17を直接前記第5リンクプレート14に取付けてもよい。
【0042】
図2(A)、
図2(B)を参照して、上記基準点指定装置11の作用について説明する。尚、
図2(A)、
図2(B)中、21は測定対象部材として杭打ちされたコンクリートパイル21を示している。尚、以下では、前記基準点指定装置11が設置される部材を測定対象として説明する。
【0043】
前記コンクリートパイル21の様に断面が円の場合は、通常測定基準点として円の中心が求められる。
【0044】
前記基準点指定装置11を伸長させた状態で(本例の場合、前記等辺平行四辺形10を上下に伸長された状態)前記コンクリートパイル21の上面に設置する。
【0045】
前記接触子12a,12b,12c,12dが前記コンクリートパイル21の外周面に当接する迄、前記基準点指定装置11を縮短させる。
【0046】
前記接触子12a,12b,12c,12dが前記コンクリートパイル21の外周に当接した状態で、前記指示具17の中心は前記コンクリートパイル21の上面の円中心を示している。即ち、前記基準点指定装置11を前記コンクリートパイル21の上面に設置し、前記接触子12a,12b,12c,12dが前記コンクリートパイル21の外周に当接する迄、前記基準点指定装置11を縮短させれば、直ちに前記指示具17の中心が前記コンクリートパイル21の中心と合致し、該コンクリートパイル21の中心が求められる。
【0047】
又、前記基準点指定装置11が前記コンクリートパイル21の中心を指示した状態を維持したい場合、即ち基準点指定装置11の伸縮状態を維持したい場合は、前記ロックボルト16を締付ければよい。
【0048】
前記指示具17が転写具を具備する場合は、転写具によって前記コンクリートパイル21の上面に中心が罫書かれる。
【0049】
又、前記指示具17が再帰反射体を具備する場合は、トータルステーション等の測定機によって再帰反射体が測定され、前記コンクリートパイル21の中心位置を測定することができる。
【0050】
上記した実施例では、前記第1リンクプレート1、前記第2リンクプレート2、前記第3リンクプレート3、前記第4リンクプレート4の先端が自由端であり、補強の必要がある場合は、
図3に示される様に、同方向に延出する1組の前記第1リンクプレート1、前記第3リンクプレート3の延出部の先端及び同方向に延出するもう1組の前記第2リンクプレート2、前記第4リンクプレート4の延出部の先端にそれぞれに、前記等辺平行四辺形10と同形の等辺平行四辺形を形成する様、補助リンク組20a,20bを設ければよい。
【0051】
図4、
図5を参照して、測定対象がプレキャスト製の壁材23であった場合について説明する。
【0052】
1つの基準点指定装置11を用いて、前記壁材23の任意の位置の厚み中心を求めることもできるが、
図4に示される様に、2つの基準点指定装置11を用いることで、厚みの中心線を求めることができる。
【0053】
プレキャスト製の壁材等測定対象が平面で形成される場合は、前記基準点指定装置11により表面裏面間の中心を指示する(求める)ことができる。
【0054】
図4に示される上側の基準点指定装置11は伸長状態で、該基準点指定装置11が前記壁材23に設置されていない状態であり、下側の基準点指定装置11は縮短し、接触子12a,12cが前記壁材23の表面に、接触子12b,12dが前記壁材23の裏面にそれぞれ当接した状態(設置された状態)となっている。該基準点指定装置11が、設置された状態では、前記指示具17の中心は壁材23の厚み中心に位置する。即ち、前記指示具17は前記壁材23の表面裏面間の中心を指示する。
【0055】
2つの基準点指定装置11が設置されることで、厚み中心2点が求められ、厚みの中心線が求められるので、前記壁材23の中心位置が求められると共に該壁材23の水平面に於ける傾斜、回転を求めることもできる。
【0056】
図4は、壁材23がクレーン等により吊下げられた状態を示している。
図4では、3つの基準点指定装置11が用いられ、上面に2箇所、側面に1箇所前記基準点指定装置11を設けることで、前記壁材23の厚みの中心に位置する面(中心面)を確定する3点を指定することができる。尚、前記基準点指定装置11は上面に1箇所、側面に2箇所設けられてもよい。
【0057】
中心面を指定することができることで、前記壁材23の水平面に於ける傾斜、回転を求めると共に、所定の鉛直面に対する傾斜角傾斜方向を求めることができる。
【0058】
図6(A)、6図(B)は、第2の実施例を示しており、第2の実施例に係る基準点指定装置11では壁材23の厚み中心を指定すると共に、側面からの所定の距離に基準点を指定可能としている。
【0059】
第5リンクプレート14の中点に、基準点設定プレート25の基端を回転可能に連結する。該基準点設定プレート25は前記第5リンクプレート14に直接回転可能に設けてもよく、或は指示具ホルダ15に回転自在に外嵌してもよく(図示では外嵌している状態を示している)、或は指示具ホルダ15に対して着脱可能とし、指示具17と交換可能としてもよい。
【0060】
前記基準点設定プレート25の先端部は、左右対称形のY字形状となっており、各先端にストッパピン26,26が下方に突出する様設けられている。該ストッパピン26,26は、前記基準点設定プレート25の回転中心(交点O)を通過する中心線に関して対称の位置、又は中心線に対して直交する線上に設けられている。尚、前記基準点設定プレート25の形状はY字形状に限定されるものではない。
【0061】
又、前記ストッパピン26,26の下端(前記壁材23と接触する点)と前記基準点設定プレート25の回転中心とは、既知の値、即ち、側面から設定したい距離Dとなっている。
【0062】
基準点を設定する場合は、前記接触子12a,12b,12c,12dが壁材23の表面裏面にそれぞれ当接した状態で、更に前記ストッパピン26,26を側面に当接させれば(
図6(B))、前記壁材23の厚さの中心で側面から距離Dに基準点を指定することができる。或は、前記ストッパピン26,26を側面に当接させた状態で、前記接触子12a,12b,12c,12dを壁材23の表面裏面に当接させてもよい。
【0063】
又、前記基準点設定プレート25を伸縮可能とし、距離Dを任意の値に調整可能としてもよい。
【0064】
又、前記ストッパピン26は、前記基準点設定プレート25の中心線と第1連結点6又は第2連結点7とを合致可能とすれば、前記ストッパピン26は1本でもよい。尚、合致させる方法としては、前記基準点設定プレート25の中心線上に前記第1連結点6又は第2連結点7を視認可能な孔を設ける等が挙げられる。
【0065】
図7~
図11は第3の実施例を示している。第3の実施例では基準点指定装置11を縮短方向に付勢する付勢手段を設け、前記基準点指定装置11を測定対象に設置した場合に、付勢手段によって接触子12a,12b,12c,12dが測定対象に押圧され、設置状態が維持される様にしたものである。尚、第3の実施例の場合、前記ロックボルト16を併用してもよく、或は省略してもよい。
【0066】
第3の実施例では、付勢手段としてスプリング27が用いられている。尚、付勢手段としては、連結点間に設けられる伸縮スプリングでもよく、連結点の軸に設けられる捩りコイルバネであってもよく、或は連結点間に設けられるゴム等であってもよい。
【0067】
図7に示す例では、接触子12dと第1連結点6間にスプリング27が設けられ、該スプリング27より前記基準点指定装置11が縮短方向に付勢されている。尚、この場合、第2連結点7と接触子12bとの間、接触子12cと第1連結点6間、接触子12aと第2連結点7間のいずれかにスプリング27が設けられてもよい。
【0068】
図8に示す例では、第3連結点8と第4連結点9間にスプリング27が設けられ、該スプリング27より前記基準点指定装置11が縮短方向に付勢されている。
【0069】
図9に示す例では、前記基準点指定装置11に補助リンク組20a,20bが設けられた場合であり、前記補助リンク組20aの外端の連結点21aと第3連結点8間及び前記補助リンク組20bの外端の連結点21bと第4連結点9間にそれぞれスプリング27を設けられ、該スプリング27により前記基準点指定装置11が縮短方向に付勢されている。尚、この例では、いずれか一方のスプリング27を省略してもよい。
【0070】
図10に示す例では、接触子12bと接触子12dとの間にスプリング27が設けられ、該スプリング27より前記基準点指定装置11が伸長方向に付勢されている。尚、この場合、接触子12cと接触子12aとの間にもスプリング27が設けられてもよい。
【0071】
前記基準点指定装置11が伸長方向に付勢される場合の使用例としては、例えば円筒穴或は溝に設けられ、円筒穴或は溝の中心を基準点として指定する場合である。
【0072】
図11に示す例では、第1連結点6と第2連結点7との間にスプリング27が設けられ、該スプリング27より前記基準点指定装置11が伸長方向に付勢されている。
【0073】
図12は第4の実施例を示している。第4の実施例では、伸縮手段28を具備し、該伸縮手段28は、基準点指定装置11を伸長、縮短させると共に伸長、縮短させた状態を維持可能としたものである。
【0074】
第4の実施例に係る基準点指定装置11を説明する。
【0075】
第2リンクプレート2の先端にナット29aが設けられ、該ナット29aは第2リンクプレート2に垂直な軸心を中心に回転自在となっている。又、第4リンクプレート4の先端にナット29bが設けられ、該ナット29bは第4リンクプレート4に垂直な軸心を中心に回転自在となっている。
【0076】
前記ナット29a、前記ナット29bの一方、例えば前記ナット29aには右螺子が設けられ、他方の前記ナット29bには左螺子が設けられている。
【0077】
前記ナット29a、前記ナット29bに掛渡ってスクリューロッド31が設けられる。該スクリューロッド31の両端部には螺子が刻設され、両端部はそれぞれ前記ナット29a、前記ナット29bと螺合する。前記スクリューロッド31の両端部は、逆螺子となっており、例えば前記ナット29aと螺合する部分には右螺子が刻設され、前記ナット29bと螺合する部分には左螺子が刻設されている。
【0078】
従って、前記スクリューロッド31を正逆回転させることで、前記ナット29a,29bが近接離反し、スクリューロッド31の回転方向に応じて、前記基準点指定装置11が伸縮する。
【0079】
前記接触子12a,12b,12c,12dが測定対象に当接した後、更に所要量、前記スクリューロッド31を締込めば、前記接触子12a,12b,12c,12dを所要の押圧力で測定対象に当接されることができ、基準点指定装置11を測定対象に設置した状態を維持することができる。尚、前記ナット29a,29bは第2リンクプレート2、第4リンクプレート4を前記接触子12b,12dより更に延出させ、その先端に設けてもよい。
【0080】
【0081】
第5の実施例では、上述した基準点指定装置11に於いて、第5リンクプレート14を兼ねる比例目盛バー33が設けられる。尚、該比例目盛バー33は第5リンクプレート14に重ねて設けられてもよい。
【0082】
該比例目盛バー33は、第1連結点6と第3連結点8の中点13a、第2連結点7と第4連結点9の中点13bで第1リンクプレート1と第4リンクプレート4とにそれぞれ回転自在に連結され(又は第1連結点6と第4連結点9の中点、第2連結点7と第3連結点8の中点で第2リンクプレート2と第3リンクプレート3とにそれぞれ回転自在に連結され)ている。
【0083】
前記比例目盛バー33は前記中点13a,13bから更に外方に延出し、一端は接触子12a,12cの中心を結ぶ線上に略位置し、同様に他端は接触子12b,12dの中心を結ぶ線上に略位置している。
【0084】
前記比例目盛バー33の一端に前記壁材23の壁面の位置を示す第1比例起点34aが設けられる。該第1比例起点34aは、前記接触子12a,12cが前記壁材23に接触する接点を結ぶ線上に位置する。前記比例目盛バー33の他端に前記壁材23の壁面の位置を示す第2比例起点34bが設けられる。該第2比例起点34bは、前記接触子12b,12dが前記壁材23に接触する接点を結ぶ線上に位置する。
【0085】
前記比例目盛バー33には、前記第1比例起点34a、前記第2比例起点34b間を所定等分した比例目盛35が設けられる。該比例目盛35にはそれぞれ指示具17が取付け可能となっている。例えば、前記比例目盛35の位置に、指示具取付け用穴を設け、前記指示具17を嵌脱可能としてもよい。
【0086】
上記構成に於いて、第1比例起点34aの中心と前記接触子12cの接点と第2連結点7と交点Oとは平行四辺形を形成するので(及び第2比例起点34bの中心と前記接触子12bの接点と連結点第1連結点6と交点Oとは平行四辺形を形成するので)、前記接触子12a,12b,12c,12dが壁材23の壁面に接触した状態では、前記基準点指定装置11の伸縮に拘らず、前記第1比例起点34a、前記第2比例起点34bは前記壁材23の壁面に位置する。
【0087】
従って、前記比例目盛35が前記第1比例起点34a、前記第2比例起点34b間を10等分するものである時、前記指示具17が前記第2比例起点34bから2つ目の比例目盛35xに設けられた場合は、前記指示具17は前記壁材23の厚みの2:8の位置を指示する。
【0088】
尚、前記比例目盛バー33は壁材23の厚みより充分に長いものとし、第5リンクプレート14の中点即ち前記交点Oの一点で回転可能に設け、該比例目盛バー33の両端に壁材23の両面に当接可能な接触子を設けたものであってもよい。
【0089】
【0090】
第6の実施例では、壁材23の中心位置からオフセットとされた任意の位置に基準点を指定可能としたものである。
【0091】
基準点指定装置11の両端にそれぞれ補助リンク組20a、補助リンク組20bが設けられており、前記補助リンク組20aの先端の連結点にはガイドピン37aが設けられ、前記補助リンク組20bの先端の連結点にはガイドピン37bが設けられている。
【0092】
又、第3連結点8、第4連結点9にもそれぞれガイドピン38a,38bが7設けられている。従って、前記ガイドピン37a,37b、前記ガイドピン38a,38bは前記基準点指定装置11の伸縮方向に位置する(前記等辺平行四辺形10の伸縮方向の中心線上に位置する)。
【0093】
第5リンクプレート14の中点(交点O)に、オフセットバー39が中心位置で回転自在に連結されている。
【0094】
該オフセットバー39には略全長に亘ってガイド溝40が設けられており、該ガイド溝40に前記ガイドピン37a,37b、前記ガイドピン38a,38bが摺動自在に嵌合している。又、前記ガイド溝40には指示具17が摺動可能に設けられており、又該指示具17は前記ガイド溝40の任意の位置で固定可能となっている。
【0095】
前記オフセットバー39の少なくとも中心位置には中心を示す中心メモリが設けられている。
【0096】
前記壁材23の厚みに対応して前記基準点指定装置11が伸縮した場合、前記ガイドピン37a,37b、前記ガイドピン38a,38bは前記ガイド溝40に案内され摺動する。
【0097】
オフセット量を設定したい場合は、前記基準点指定装置11を前記壁材23に設置後、前記指示具17を前記中心メモリから所定のオフセット量の位置に固定すればよい。
【0098】
尚、
図18に示される様に、前記オフセットバー39にオフセット目盛41を刻設又は印刷し、該オフセット目盛41に従って所定の位置に前記指示具17を固定してもよい。
【0099】
又、第6の実施例に示される基準点指定装置11は、コンクリートパイル21の様な円形部材にも適用可能であり、該基準点指定装置11が円形部材に適用された場合は、前記オフセットバー39の中心線を所要の方向に向けることで、オフセット方向も設定することができる。
【0100】
尚、前記ガイドピン37a,37b、前記ガイドピン38a,38bのいずれか一方は省略してもよい。或は、前記ガイドピン37a,37b、前記ガイドピン38a,38bの内少なくとも、1本のガイドピンがあればよい。又、前記基準点指定装置11で充分な強度が得られれば、前記補助リンク組20a,20bは省略してもよい。
【0101】
図19は第7の実施例を示している。尚、
図19中、
図1中で示したものと同等のものには同符号を付し、その説明省略する。第7の実施例は、更にロック手段43を具備するものである。
【0102】
前記第5リンクプレート14の中点(等辺平行四辺形10の交点の位置)にロックプレート44の基端が回転可能に取付けられる。該ロックプレート44は湾曲した形状となっており、前記リンクプレートは、所要のリンクプレート、例えば第2リンクプレート2と交差可能な長さ、形状を有している。
【0103】
前記ロックプレート44には湾曲形状に倣った長孔45が設けられている。又、前記第2リンクプレート2の延出部には先端から基端に向って所要長さの長孔46が設けられている。
【0104】
前記ロックプレート44には、前記長孔45を摺動可能なロックボルト47が設けられている。該ロックボルト47は、前記長孔45と前記長孔46の交差する位置で前記長孔45,46を貫通し、該長孔45,46を摺動可能となっている。又、前記長孔46にはスライドナット(図示せず)が設けられ、該スライドナットには前記ロックボルト47が螺合可能であり、該スライドナットは前記ロックボルト47と螺合した状態で、前記長孔46を摺動可能となっている。
【0105】
基準点指定装置11を測定対象、例えばコンクリートパイル21に設置する場合を
図2(A)、
図2(B)を参照して説明する。
【0106】
前記ロックボルト47を緩めた状態で、前記コンクリートパイル21の上面に基準点指定装置11を設置し、前記基準点指定装置11を縮短させ、接触子12a,12b,12c,12dを前記コンクリートパイル21の側面に当接させる。前記基準点指定装置11の縮短過程で、前記長孔45,46の交差位置は移動し、前記ロックボルト47は前記長孔45,46を摺動する。
【0107】
前記接触子12a,12b,12c,12dが前記コンクリートパイル21の側面に当接状態では、前記基準点指定装置11の中心が前記コンクリートパイル21の中心に合致し、前記コンクリートパイル21の中心線上に前記再帰反射体18の光学中心が位置する。前記ロックボルト47を締めることで、該ロックボルト47の前記長孔45,46内での動きが拘束される。前記ロックプレート44は基端と前記ロックボルト47とで固定され、前記基準点指定装置11の伸縮状態が固定、維持される。
【0108】
尚、前記長孔46は、更に他のリンクプレート、例えば第4リンクプレート4に設けてもよい。該ロックプレート44に長孔46が設けられることで、前記基準点指定装置11の使用状態に応じて前記ロックプレート44を付け替えることができる。
【0109】
前記ロックプレート44を湾曲させ、該ロックプレート44、前記第2リンクプレート2に長孔を設けることで、前記ロックボルト47の摺動が円滑になり、又前記基準点指定装置11の伸縮の可動範囲が大きくなる。
【0110】
尚、前記ロックプレート44は真直であってもよく、又ロックプレート44と第2リンクプレート2のいずれか一方にのみ長孔が設けられてもよい。
【0111】
又、前記ロック手段43は上記した各実施例で、等辺平行四辺形10の変形が自在な実施例にも適宜実施可能であることは言う迄もない。
【0112】
次に、
図20(A)に於いて、本発明の第8の実施例について
図1を参照して説明する。尚、
図20(A)中、
図1中と同等のものには同符号を付し、その説明を省略する。又、
図20(A)では、第1リンクプレート1について説明している。
【0113】
特に、基準点指定装置11を大型化した場合、前記第1リンクプレート1の自重により、又接触子12aの重量により、前記第1リンクプレート1が下方に撓む場合がある。該第1リンクプレート1が撓んだ場合、測定対象(コンクリートパイル21)と前記接触子12aとの接触状態が変化する為、前記コンクリートパイル21の中心と指示具との間に位置ズレが生じる虞れがある。
【0114】
第8の実施例では、前記接触子12aの周囲に、或は該接触子12aに隣接して、例えばスペーサ等の高さ調整部材51を設けている。該高さ調整部材51は、例えば円柱状であり、該高さ調整部材51の下面は、第4リンクプレート4の下面と同一平面上に位置する様構成される。即ち、前記基準点指定装置11を前記コンクリートパイル21に取付けた際には、前記第4リンクプレート4の下面(即ち、前記基準点指定装置11の最下層の下面)と前記高さ調整部材51の下面とが、同一平面上で前記コンクリートパイル21の上面と接触する。
【0115】
前記高さ調整部材51の下面が前記コンクリートパイル21の上面と接触する様、前記基準点指定装置11を前記コンクリートパイル21に取付けることで、前記第1リンクプレート1を撓ませることなく前記接触子12aの周面を前記コンクリートパイル21の周面に接触させることができる。従って、該コンクリートパイル21の中心と前記指示具との間に生じる位置ズレを防止することができ、前記コンクリートパイル21の中心の測定精度を向上させることができる。
【0116】
尚、上記では、前記第1リンクプレート1について説明したが、第2リンクプレート2及び第3リンクプレート3についても前記第1リンクプレート1と同様に、撓みを防止する為の高さ調整部材が設けられる。
【0117】
図20(B)は、第8の実施例の変形例を示している。第8の実施例では、前記高さ調整部材51を円柱状としているが、該高さ調整部材51を円柱状とした場合、該高さ調整部材51の周面と前記コンクリートパイル21の周面との接触を、前記接触子12aの周面と前記コンクリートパイル21の周面との接触と誤認する虞れがある。
【0118】
第8の実施例の変形例では、例えば高さ調整部材52を下方に向って縮径する円錐台形状としている。即ち、該高さ調整部材52は、周囲が漸次厚みが増大するスロープ状のガイド部52aとなっている。
【0119】
前記高さ調整部材52の周面、即ち前記ガイド部52aが前記コンクリートパイル21の周縁(角部)に接触した際には、該コンクリートパイル21の角部が前記ガイド部52aで摺動し、ガイドされるので、前記接触子12aの周面と前記コンクリートパイル21の周面とが接触する迄、前記第1リンクプレート1の移動が妨げられることがない。従って、該高さ調整部材52の周面と前記コンクリートパイル21の周面との接触を、前記接触子12aの周面と前記コンクリートパイル21の周面との接触と誤認することを防止でき、基準点指定装置11の設置作業性を向上させると共に前記コンクリートパイル21の中心の測定精度を向上させることができる。
【0120】
尚、
図15(C)に示される様に、第1リンクプレート1の先端部裏面に凹部53を形成し、該凹部53に前記接触子12aと前記指示具とを結んだ直線と平行な方向にのみスロープ状のガイド部54aが形成された高さ調整部材54を設けてもよい。前記凹部53に前記高さ調整部材54を設けることで、前記ガイド部54aの先端を鋭利にすることなく前記コンクリートパイル21の角部が確実に前記ガイド部54aに当接するので前記ガイド部54aの加工が容易になる。又、
図15(D)に示される様に、湾曲した曲面を有するガイド部55aを有する高さ調整部材55を用いてもよい。
【0121】
第8の実施例及び変形例では、第1の実施例に係るリンクプレートに高さ調整部材を設けた場合について説明したが、他の実施例のリンクプレートに本実施例の高さ調整部材を設けてもよいのは言う迄もない。
【符号の説明】
【0122】
1 第1リンクプレート
2 第2リンクプレート
3 第3リンクプレート
4 第4リンクプレート
10 等辺平行四辺形
11 基準点指定装置
12a,12b,12c,12d 接触子
14 第5リンクプレート
15 指示具ホルダ
17 指示具
18 再帰反射体
25 基準点設定プレート
27 スプリング
29a,29b ナット
31 スクリューロッド
33 比例目盛バー
39 オフセットバー
43 ロック手段
44 ロックプレート