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特開2023-113575MRTシステムにおける装置の位置の決定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113575
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】MRTシステムにおける装置の位置の決定
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20230808BHJP
【FI】
A61B5/055 370
A61B5/055 355
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023005283
(22)【出願日】2023-01-17
(31)【優先権主張番号】22154982
(32)【優先日】2022-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516308401
【氏名又は名称】シーメンス ヘルスケア ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ポペスク
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB44
4C096AD06
4C096AD07
4C096AD10
4C096BB02
4C096CC06
4C096CC08
4C096CC40
4C096DA30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】MRTシステムにおける装置の位置を決定すること。
【解決手段】MRTシステム1のイメージングボリューム3の内側における装置の位置を決定するための方法に従い、イメージングボリュームは、縦軸zに沿って静的な基本磁場を作り出すための界磁磁石と傾斜コイル2によって囲まれ、装置はループ平面内に形成された第1の導体ループ4を有し、イメージングボリューム内の交流磁場は、傾斜コイルによって作り出される。少なくとも1つの第1の導体ループによって、少なくとも1つの測定値が決定され、この測定値は、少なくとも1つの導体ループ内の縦軸zに対して直角である交流磁場の構成要素によって誘導される誘導電圧に依存する。イメージングボリューム内部の装置の位置は、少なくとも部分的に、傾斜コイルに対する少なくとも1つの測定値及び所定の磁場モデルの関数として決定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MRTシステム(1)のイメージングボリューム(3)内の装置の位置を決定する方法であって、
前記イメージングボリューム(3)は、縦軸(z)に沿って静的な基本磁場を作り出すための界磁磁石と、MRTシステム(1)の傾斜コイル(2)とによって囲まれており、
前記装置は、第1のループ面内に形成された少なくとも1つの第1の導体ループ(4)を有し、
傾斜コイル(2)により、交流磁場が前記イメージングボリューム(3)内に生成され、
前記少なくとも1つの第1の導体ループ(4)によって、少なくとも1つの第1の測定値が決定され、前記少なくとも1つの第1の測定値が第1の誘導電圧に依存し、前記第1の誘導電圧が少なくとも1つの第1の導体ループ(4)における縦軸(z)に対して直角の交流磁場の第1の構成要素によって誘導されるようになっており、
前記イメージングボリューム(3)の内部における前記装置の位置は、少なくとも1つの第1の測定値と所定の磁場モデルの関数として少なくとも部分的に決定され、
前記イメージングボリューム(3)内の検査オブジェクトからのMR信号が、前記少なくとも1つの第1の導体ループ(4)によって検出され、MR信号の関数としてMR画像が作成されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の測定値を決定するために、MR信号が抑制される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記装置が、第1のループ面が前記縦軸(z)に対して少なくともほぼ平行となるようにイメージングボリューム(3)内に配置される請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記装置が、第2のループ面内に形成された少なくとも1つの第2の導体ループを有し、
前記少なくとも1つの第2の導体ループによって、少なくとも1つの第2の測定値が決定され、前記第2の測定値が、少なくとも1つの第2の導体ループ内の縦軸(z)に対して直角である交流磁場の第2の構成要素によって誘導される第2の誘導電圧に依存し、
前記装置の位置が、少なくとも部分的に、前記少なくとも第1の測定値、前記少なくとも1つの第2の測定値、および前記傾斜コイル(2)に対する磁場モデルの関数として決定される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記装置が、前記第2のループ面が前記縦軸(z)に対して少なくともほぼ平行となるように前記イメージングボリューム(3)内に配置される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記装置が、第3のループ面内に形成された少なくとも1つの第3の導体ループを有し、
少なくとも1つの第3の導体ループによって少なくとも1つの第3の測定値が決定され、前記第3の測定値が、前記少なくとも1つの第3の導体ループ内の前記縦軸(z)に対して直角の交流磁場の第3成分によって誘導される第3の誘導電圧に依存し、
前記イメージングボリューム(3)内の前記少なくとも1つの第1の導体ループ(4)の第1の位置が、前記少なくとも1つの第1の測定値および前記磁場モデルの関数として少なくとも部分的に決定され、
前記イメージングボリューム(3)の前記少なくとも1つの第3の導体ループの第3の位置が、前記少なくとも1つの第3の測定値および前記磁場モデルの関数として少なくとも部分的に決定され、
前記少なくとも1つの第1の導体ループ(4)に対する前記少なくとも1つの第3の導体ループの相対的な位置が、前記第1の位置および前記第3の位置の関数として決定される、
請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
MRTシステム(1)であって、
縦軸(z)および傾斜コイル(2)に沿って静的な基本磁場を生成するための界磁磁石であって、前記界磁磁石および前記傾斜コイル(2)が前記MRTシステム(1)のイメージングボリューム(3)を囲む、界磁磁石と、
第1のループ面内に形成された少なくとも1つの第1の導体ループ(4)を有する装置と、
前記イメージングボリューム(3)内に交流磁場を生成するために前記傾斜コイル(2)を作動させるように構成された制御ユニット(5)と、
少なくとも1つの第1の測定値と前記傾斜コイル(2)のために予め決定された磁場モデルの関数として少なくとも部分的に、少なくとも1つの前記イメージングボリューム(3)の内部における前記装置の位置を決定するように構成された、少なくとも1つの評価ユニット(7)と、
を備え、
少なくとも1つの第1の評価ユニット(7)が、前記イメージングボリューム(3)内の検査オブジェクトからのMR信号に応じて、MR画像を生成するように構成されているMRTシステム(1)。
【請求項8】
前記装置を収容するローカルMR受信コイルアレンジメント(28)を有する請求項7に記載のMRTシステム(1)。
【請求項9】
前記ローカルMR受信コイルアレンジメント(28)が、可撓性表面コイルアレイとして具現化されている請求項8に記載のMRTシステム(1)。
【請求項10】
患者(29)を治療するための装置を有し、
前記少なくとも1つの第1の導体ループ(4)と前記装置が互いに関連する予め決定された空間的位置を有する、
請求項7に記載のMRTシステム(1)。
【請求項11】
前記装置が、
前記少なくとも1つの第1の導体ループ(4)の第1の端子(21a)と前記少なくとも1つの第1の導体ループ(4)の第2の端子(21b)との間に配置された同調キャパシタンス(9、9a、9b)を有し、
前記同調キャパシタンス(9、9a、9b)に電気的に並列に配置された誘導要素(11a、11b、11c)を有する、
請求項7~10のいずれか1項に記載のMRTシステム(1)。
【請求項12】
前記測定ユニット(6)が、
前記第1の端子(21a)および前記第2の端子(21b)に接続される増幅器(17)を有し、
前記少なくとも1つの評価ユニット(7)に接続される前記増幅器(17)の出力に前記少なくとも1つの測定値を提供するように構成される、
請求項11に記載のMRTシステム(1)。
【請求項13】
前記測定ユニット(6)が、前記第1の端末(21a)と前記増幅器(17)の第1の入力との間に、並びに前記第2の端末(21b)と前記増幅器(17)の第2の入力との間に配置されるとともに、前記少なくとも1つの導体ループによって取得されたMR信号を抑制するように構成された、フィルタ回路(15)を有する、請求項12に記載のMRTシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MRTシステムのイメージングボリューム内部の装置の位置を決定するための方法に関し、イメージングボリュームは、縦軸に沿った静的な基本磁場の生成のための界磁磁石と、MRTシステムの傾斜コイルとによって囲まれている。本発明はさらに、対応するMRTシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
MRTシステムと略称される磁気共鳴断層撮影システムは、検査オブジェクトの核スピンを整列させ、RF励起パルスを印加して対応する整列の周りに歳差運動させるために強い外部磁場を使用するイメージング装置である。歳差運動又はスピンの励起状態からより低いエネルギーを有する状態への遷移は、応答として電磁交流磁場を生成し、これは受信アンテナを介してMR信号として検出することができる。
【0003】
傾斜磁場を利用して、信号上に位置符号化を印加することができ、これにより、その後、受信した信号を検査オブジェクトのボリューム要素に割り当てることができる。次に、例えば検査オブジェクトの絵画的表現を作成するために、受信した信号を評価することができる。
【0004】
多くのMRT出願において、例えば患者の解剖学的構造に関して、傾斜コイルによって規定されるイメージングボリューム内の装置の位置、特に位置および/または方向を知ることは有利である。イメージングボリューム内の患者の位置は、例えば視覚マーカーなどによって定義または決定することができるので、装置の位置をできるだけ正確に決定することが望ましい。この装置は、例えば、頭部コイル、膝コイル等のように患者に直接配置されるローカルMR受信コイルを含むことができる。しかしながら、それは、カテーテル、手術器具、生検針、ロボットアームなどのような、患者の治療のための装置を含むこともできる。
【0005】
MRT検査中の患者の動きは、特に時間がかかるMRT検査において、既知の問題である。患者の動きは、測定された信号を変化させ、画像アーチファクトを引き起こすことがあり、これは、重要な特徴、すなわち、特に放射線学的所見の認識を妨げたり、不明瞭にしたりすることができる。特にこのような背景から、装置の位置の決定が有利である。
【0006】
受信コイルの位置を認識するための1つの方法は、静磁場の局所強度を測定するコイル電子回路に一体化されたホールセンサを使用する。イメージングボリュームの外側では、静磁場は非常に不均一であり、強い静傾斜磁場を有する。ホールセンサの測定値を使用して、受信コイルおよび患者が患者テーブルからイメージングボリュームに移動したときの受信コイルの位置を確立することができる。しかしながら、受信コイルが非常に均質な磁場によって特徴付けられるイメージング空間内に位置するとすぐに、ホールセンサの信号は、コイル位置がイメージングボリューム内で変化する場合であっても、本質的に一定のままである。その結果、患者の動きによる受信コイルの位置の変化が検出されないままになる可能性がある。
【0007】
他の方法では、患者が患者テーブルをイメージングボリューム内に持ち込む前に、患者の身体上の受信コイルの位置を認識するためにカメラが使用される。イメージングボリューム内のさらなるカメラは、検査中に受信コイルの動きを認識することができる。しかしながら、これはカメラと受信コイルの間の明瞭な視線が絶対的な要求とされるが、これは、例えば、RF環境を改善するためのカバー、他の付属品、支持要素または誘電体パッド、または患者の四肢の寸法によって妨害され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、MRTシステムのイメージングボリューム内の装置の位置を確実に決定することである。
【0009】
この課題は、独立クレームのそれぞれの主題によって達成される。実施形態の有利な開発および好ましい形態は、従属クレームの主題である。
【0010】
本発明は、傾斜磁場コイルが、傾斜磁場コイルの内側、ひいてはイメージングボリュームの内側に磁場を作り出すという知見に基づいており、基本磁場に平行な成分だけでなく、常に、それに対して直角な顕著な成分も含んでいる。これらの構成要素は、本発明に従って、少なくとも1つの導体ループによって検出され、導体ループの位置を決定するために使用され、それによって装置の位置が決定される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、MRTシステムのイメージングボリューム内の装置の位置を決定するための方法が明記される。この技術分野のMRTシステムは、MRTシステムの縦軸に沿って静的な基本磁場を作り出すための界磁磁石、ならびに、イメージングボリュームを取り囲む傾斜コイルを有する。装置は、第1のループ平面内に形成された少なくとも1つの第1の導体ループを有する。傾斜コイルによって、交流磁場がイメージングボリューム内に生成され、第1の測定値が、少なくとも1つの第1の導体ループによって決定される。この第1の測定値は、縦軸に対して直角である交流磁場の第1の構成要素によって、少なくとも1つの第1の導体ループ内に誘導される第1の誘導電圧に依存する。イメージングボリューム内部の装置の位置は、少なくとも一部が、少なくとも1つの第1の測定値と、傾斜コイルに対する所定の磁場モデルとの関数として決定される。
【0012】
特に、イメージングボリュームは、MRTシステムのMRスキャナ内の領域、特に、いわゆる患者トンネル内の領域を含み、これは、内腔とも呼ばれ、これは、傾斜コイルによって本質的に定義され、無線周波数交流磁場を送るために傾斜コイル内に放射状に配置されたRF送信コイルによって必要な場合には、内腔とも呼ばれる。したがって、イメージングボリュームは、特に、RF送信コイルが受信コイルとしても使用される場合に、検査オブジェクトが原理的にイメージングされ得るボリューム領域として定義される。ローカルMR受信コイルが使用される場合、これは特にイメージングボリューム内に位置する。これは、ローカルMR受信コイルはイメージングボリュームを規定しないが、必要な場合には、ローカルMR受信コイルの内側にさらにイメージングボリュームを規定することを意味する。
【0013】
少なくとも1つの導体ループは、例えば、ローカルMR受信コイルの一部であり得、換言すれば、装置は、次いで、ローカルMR受信コイルに対応し得る。しかしながら、他の形態の実施形態では、装置は専用のセンサ装置として具体化されており、特に、可能なローカルMR受信コイルとは無関係である。この場合の装置の位置の決定は、装置に関するその相対的な位置が、それに対応してあらかじめ決定されているかまたは定義されている場合に、例えば患者の、または患者の身体の一部の、または医療用具の、さらなる検査オブジェクトの位置を推定することを可能にする。
【0014】
装置の位置を少なくとも部分的に判断するために、少なくとも1つの測定値および磁場モデルに応じて、少なくとも1つの導体ループの位置が、特に、少なくとも部分的に判断される。少なくとも1つの導体ループの位置は、装置の位置と同じとすることができ、又は装置の位置は、少なくとも1つの導体ループの位置から導出することができる。
【0015】
また、少なくとも1つの導体ループは、第1のループ平面に対して直角の方向に有限の範囲を有することができる。少なくとも1つの導体ループが第1のループ平面内に形成されたという事実は、少なくとも1つの第1の導体ループのすべての導体ループが互いに平行であり、各場合にループ平面に対して平行であるように解釈することができる。
【0016】
少なくとも1つの導体ループの位置及びそれに応じて装置の位置は、傾斜コイルに関して、所定の座標系、例えば固定点座標系で決定することができる。MRTシステムの縦軸は、例えば、この座標系のz方向、および座標系のxおよびy軸としてのz方向に直角な対応する方向と解釈することができる。しかし、これらがさらなる使用に有利である場合には、他の参照系も選択することができる。位置という用語は、特に、対応する参照系における三次元位置と三次元方位の組合せとして理解することができる。言い換えれば、その位置をポーズと呼ぶこともできる。例えば、位置は、装置の基準点の3次元座標と、装置の特定の基準方向の3つの配向角とによって与えることができる。位置を完全に決定するためには、特に装置の三次元位置及び三次元方向を決定しなければならない。
【0017】
装置の位置が少なくとも部分的には発明の方法で決定されるという事実は、位置が完全にまたは不完全に決定されるような方法で理解することができる。位置の不完全な決定は、例えば、決定されている三次元位置の個々の座標又は三次元方向の個々の角度のみとして理解することができるが、位置の全ての三つの座標及び方向の全ての三つの角度は理解できない。代替形態として、装置の位置の一部の決定は、明示的または暗示的に決定される、6自由度、すなわち3つの座標および3つの方向手段の1つ以上の制限から成ることができ、ここで、制限は、イメージングボリューム内の少なくとも1つの第1の導体ループの配置を超えている。
【0018】
例えば、位置の少なくとも一部の決定は、従って、装置の基準点がイメージングボリュームの中心から、即ち、縦軸まで、どの距離においてどのような距離に位置しているかを決定することを可能にし、この距離において、対応する配向手段は、どのような角度範囲に位置しているか、等々。装置の位置に関して、位置が完全に決定されるか、部分的に決定されるか、どの程度の情報が決定されるかは、少なくとも1つの測定値および位置決定のための磁場モデルと同様に、どのような追加情報が利用可能か、およびどのようなものかに依存する。しかし、このような追加情報がなくても、もっぱら、少なくとも1つの測定値と磁場モデルに基づいて、場所の一部の決定が可能であることを指摘すべきである。しかしながら、原則として位置を完全に決定するには、さらなる情報が必要であり、これは、例えば、構築上の制限の結果として、または、恐らくはホールセンサ、さらなる導体ループ、カメラ等のさらなるセンサシステムによって決定され得る。
【0019】
磁場モデルは、例えば、空間分解された形態で、および3つの空間方向すべてにおいて、または3つの空間次元における任意の事象において、イメージングボリューム内部の傾斜コイルによって生成される磁場を含むことができる。例えば、空間分解された形態および時間分解された形態でもある。このように磁場モデルは、傾斜コイルの幾何学的および電気的特性ならびにおそらく傾斜コイルの活性化に依存する。磁場モデルは、例えば、イメージングボリューム内部の磁場の測定によって、および/またはシミュレーションおよび/または他の計算によって決定可能であり、MRTシステム上、特定MRTシステムの少なくとも1つの評価ユニット上に記憶可能である。
【0020】
MRTシステムの傾斜コイルは、イメージングボリュームの内側で、主に、縦軸方向の磁場の傾斜磁場が生成され得るように設計される。傾斜磁場は、3つの空間方向のうちの1つにおける磁場強度の変化に対応する。この場合のMRTシステムは、規則として、3つのそのような傾斜コイルを有し、そのうち、磁場強度は、異なる空間方向において、それぞれの場合に変化する。しかし、理論的には、例えば無限に大きいコイルに対してのみ、縦軸に沿って専ら配向される磁場が可能である。傾斜コイルの実際のそれぞれの実施において、イメージングボリューム内の前記コイルによって生成される磁場は、常に、3つ全ての空間方向に成分を有する。イメージングボリュームの正確な中心における顕著な対称点は、恐らく例外であり得るが、これは、理論的意義のみが同様である。この知識およびMRTシステムのイメージングボリュームにおける装置の位置の決定に関するこの知識の使用は、本発明の基礎である。
【0021】
特に、縦軸に関してループ平面の方向とは無関係に概説した状況の結果として、対応する誘導電圧または対応する誘導電流を測定することが常に可能であり、磁場モデルの同時知識とともに、少なくとも1つの導体ループの位置について推定を行うことが可能である。このようにして、装置の位置を決定する手段、すなわち特に装置自体の複雑さを減少させることができる。
【0022】
特に、本発明は、ローカルMR受容コイルの導体ループが原則として平行であるか、または基本磁場に対して直角でない事象であるにもかかわらず、ローカルMR受容コイル自体がMR受容コイルの位置を決定するために使用されることを可能にする。これは、ローカルMR受信コイルの基礎となる機能、すなわち検査オブジェクトからのMR信号の検出と、位置を決定する追加の機能との、特に有利な相乗効果的な組み合わせを可能にする。この場合、受信コイルは、送信コイルの高周波交流磁場またはこれらに反応する核スピン共鳴信号のみを取得することができず、また、交流磁場を作り出すために、いかなる事象においてもMRT検査の間に作り出されなければならない、はるかに低い周波数を有する可能性のある傾斜コイルの信号も取得することができないことを指摘すべきである。したがって、傾斜コイルの交流磁場が位置決定専用に作成されることは絶対に必要ではない。これは実際に可能であるが、任意の事象において生成された傾斜パルスを用いることができるのが有利である。
【0023】
装置が位置センサを備え、ローカルMR受信コイルとは独立に専用のセンサシステムとして具現化される場合には、位置センサは、例えば少なくとも1つの第1導体ループのみを有するが、追加的にループ平面に対して直角のさらなる導体ループを有さない位置センサによって、本発明によってより単純に具現化することができる。しかし、これは、装置の最も完全な可能性のある位置決定のために、イメージングボリューム内の異なる位置に設けられた多数のそのような位置センサを除外するものではない。
【0024】
装置の位置が既知であるか、または少なくとも絞り込まれている場合、例えば、MRTシステムのユーザは、位置が所望の位置から逸脱するか、または最適な位置から逸脱するかについて自動的に情報を得ることができる。この上下に、アルゴリズムを採用することができ、これは、例えば加速係数R、位相符号化方向などのように、装置の少なくとも部分的に決定された位置の関数として、1つまたは複数のスキャンパラメータを自動的に選択し、その結果、与えられた位置または患者に関する装置の例が、最適な方法で使用することができる。代替形態として、または追加として、画像再構成アルゴリズムは、例えば、ローカルMR受信コイルのコイル感度のより正確な推定を通じて、少なくとも部分的に決定された位置を順番に使用して、結果として得られる画質を改善することもできる。
【0025】
本発明の方法の少なくとも1つの実施形態によれば、MR画像は、イメージングボリュームにおいて検査される対象からのMR信号の関数として作成することができる。
【0026】
MR画像の作成中に、装置の少なくとも部分的に決定された位置を自動的または手動で考慮することができる。例えば、位置が所定の要件または所定の期待値に対応しない場合に、MR記録を繰り返すか、部分的に繰り返すことができる。MR画像を作成するために、少なくとも部分的に決定された位置に応じて、より多くの運動補償アルゴリズムを自動的に実行することができる。
【0027】
MR信号を作成するために、既知のMRシーケンスを適用することができ、ここで、例えば、イメージングボリュームを取り囲むグローバルRF送信コイルが、対応するRFパルスをイメージングボリューム内に放射し、傾斜コイルによって、イメージングボリューム内に傾斜磁場のシーケンスが作成される。この核スピン共鳴が検査オブジェクトにもたらされ、生成された無線周波数信号が、RF送信コイル(これが受信コイルとして使用される場合)によって、および/または、1つ以上のローカルMR受信コイルによって、検出することができる。
【0028】
本実施形態の少なくとも1つの形態によれば、検査オブジェクトからのMR信号は、少なくとも1つの第1の導体ループによってイメージングボリューム内で検出され、MR信号の関数としてMR画像が作成される。
【0029】
言い換えると、少なくとも1つの第1の導体ループは、少なくとも1つの測定値の作成のため、したがって、装置の位置を少なくとも部分的に決定するためだけでなく、正規のローカルMR受信コイルとしても使用される。このために、装置または少なくとも1つの導体ループは、特に、ローカルMR受信コイルの一部である。
【0030】
原理的には、MR信号はまた、少なくとも1つの導体ループ内の対応する誘導電圧を介して検出される。少なくとも1つの測定値の決定のために採用される、MR信号から生じる誘導電圧と、傾斜コイルの交流磁場のために、時間的にまたは別の方法で、互いに分離することができる。例えば、送信コイルによって生成された信号の周波数、およびそれに応じてMR信号の周波数が、傾斜コイルによって生成された交流磁場の周波数よりも倍数だけ大きいという事実を使用することができる。したがって、特に、傾斜コイルによって生成される交流磁場の検出からMR信号の検出を互いに分離するために、周波数フィルタリングを行うことができる。
【0031】
この場合のMR信号の周波数は、特に画像に用いられる原子核の対応するLarmor周波数に対応する。これは、例えば、MRTシステムの界磁磁石の基本磁場強度に応じて、1MHz~500MHzの周波数範囲内にある。一方、傾斜コイルのパルス傾斜磁場、すなわち傾斜コイルによって作られた交流磁場のパルス傾斜磁場は、数kHzまたは数10kHzの範囲の周波数を有する。
【0032】
少なくとも1つの第1の測定値を決定するために、少なくとも1つの第1の導体ループによってMR信号が検出される、少なくとも1つの実施形態に従って、MR信号またはMR信号から生じるさらなる誘導電圧または対応する信号が、特にフィルタ回路によって抑制される。
【0033】
このようにして達成されるものは、少なくとも1つの測定値が、傾斜コイルの磁場を単に反映するものであり、MR信号を反映するものではない。
【0034】
一方、MR信号の決定又は検出のためには、傾斜コイルの交流磁場から生じる誘導電圧を、例えばフィルタ回路又は更なるフィルタ回路によって抑制することができる。
【0035】
このようにして、MR信号の検出が傾斜コイルの交流磁場の影響を受けないようにすることができる。
【0036】
例えば、少なくとも1つの第1の測定値およびMR信号は、複数の測定チャネルまたは受信チャネルによって検出することができ、フィルタ回路および/またはさらなるフィルタ回路は、対応する測定チャネルに実装される。
【0037】
少なくとも一実施形態に従って、装置は、ループ平面が、縦軸に平行であり、特に、縦軸に少なくともほぼ平行であるような方法で、イメージングボリューム内に位置決めされる。
【0038】
この場合、ループ平面は、例えば、ループ平面に対して直角である正常方向と縦軸との間の角度が、少なくとも90°、すなわち、例えば、60度より大きく120度より小さい、または例えば、70°より大きく110°より小さい、または例えば80°より大きく100°より小さい、との間の角度が、縦軸に対して少なくともほぼ平行であるとき、ループ平面は、縦軸に対して少なくともほぼ平行であると考えることができる。
【0039】
これは、特に、ローカルMR受信コイルの装置が、そのような平面に対応するか、またはその一部である場合に起こり得る。
【0040】
実施形態の少なくとも1つの形態に従って、装置は、第1のループ平面とは異なる第2のループ平面内で延びる、少なくとも1つの第2の導体ループを有する。少なくとも1つの第2の導体ループによって、少なくとも1つの第2の測定値は、少なくとも1つの第2の導体ループ内の縦軸に対して直角である交流場の第2の構成要素によって誘導される、第2の誘導電圧に依存すると決定される。装置の位置は、少なくとも部分的に、少なくとも1つの測定値、少なくとも1つの第2の測定値、および傾斜コイルに対する磁場モデルの関数として決定される。
【0041】
例えば、このような形態の実施形態では、少なくとも1つの第1の導体ループおよび少なくとも1つの第2の導体ループは、ローカルMR受信コイルの一部とすることができる。
【0042】
特に、装置は、第2のループ平面が、縦軸に対して少なくともほぼ平行であり、特に、第1のループ平面が、同様に、縦軸に対して少なくともほぼ平行であるように、イメージングボリューム内に位置決めされる。
【0043】
例えば、少なくとも1つの第2の導体ループに対する少なくとも1つの第1の導体ループの位置は、既知であるか、又は固定された位置として予め決定され得る。従って、装置の位置の少なくとも部分的な判断のために、一方の手では、少なくとも1つの第1の導体ループの位置及び少なくとも1つの第2の導体ループの位置は、記載されるように判断され得る。このように、互いに関連した所定のまたは既知の相対的な位置によって、装置の位置をより正確に決定することができ、それによってより完全に絞り込むことができる。
【0044】
対応する開発において、複数のさらなる導体ループを、少なくとも1つの第1および少なくとも1つの第2の導体ループと同様の方法で使用して、可能な限り正確または完全である装置の位置の決定を可能にすることができ、ここで、さらなる導体ループは、例えば、ローカルMR受信コイルの一部であり得る。
【0045】
実施形態の少なくとも1つの形態によれば、装置は、第3のループ平面内で延びる少なくとも1つの第3の導体ループを有する。少なくとも1つの第3の導体ループによって、少なくとも1つの第3の測定値が決定され、この測定値は、第3の誘導電圧に依存し、この第3の誘導電圧は、少なくとも1つの第3の導体ループ内の縦軸に対して直角の交流場の第3の構成要素によって誘導される。イメージングボリューム内部の前記少なくとも1つの第1の導体ループの第1の位置は、前記少なくとも1つの第1の測定値と前記磁場モデルとの関数として少なくとも部分的に決定され、イメージングボリューム内部の前記少なくとも1つの第3の導体ループの第3の位置は、前記少なくとも1つの第3の測定値と前記磁場モデルとの関数として少なくとも部分的に決定される。少なくとも1つの第1の導体ループに関する少なくとも1つの第3の導体ループの相対的な位置は、第1の位置の関数として、かつ第3の位置の関数として決定される。
【0046】
このような実施形態では、特に第3の導体ループおよび第1の導体ループの相対的な位置は、事前には知られていないか、または正確には知られていないが、記載された方法で決定または概略決定することができる。実施形態のそのような形態は、ローカルMR受信コイルが少なくとも1つの第1の導体ループおよび少なくとも1つの第3の導体ループを含み、例えば可撓性表面コイルとして具体化される場合に、同様に特に有利である。そのような柔軟な表面コイルは、必要に応じて、それ自身が患者の表面などに適応し、その結果、個々の導体ループは、互いに相対的に既知の方向を有しない。前記のようにして、柔軟な表面コイルの表面の位置または形態を決定することができる。
【0047】
本発明のさらなる態様によれば、縦軸に沿って静的な基本磁場を生成するための界磁磁石と、傾斜コイルとを有し、界磁磁石および傾斜コイルが、MRTシステムのイメージングボリュームを取り囲むMRTシステムも特定される。MRTシステムは、少なくとも1つの第1の導体ループを備える装置を有し、少なくとも1つの第1の導体ループは、第1のループ平面内で動作する。MRTシステムは、傾斜コイルを活性化するように構成された制御ユニットを有し、イメージングボリュームに交流磁場を作り出す。MRTシステムは、少なくとも1つの第1の導体ループに接続された測定ユニットを有する。測定ユニットは、少なくとも1つの第1の導体ループ内の縦軸に対して直角である交流場の構成要素によって誘起される第1の誘導電圧に応じて、少なくとも1つの第1の測定値を判断するように構成される。MRTシステムは、少なくとも1つの評価ユニットを有し、この評価ユニットは、少なくとも部分的に、少なくとも1つの第1の測定値と、傾斜コイルに対する所定の磁場モデルとの関数として、イメージングボリューム内部の装置の位置を決定するように構成される。
【0048】
制御ユニットの異なる形態では、測定ユニットおよび/または少なくとも1つの評価ユニットを、互いに別々に提供したり、部分的にまたは完全に組み合わせたりすることができる。
【0049】
実施形態の少なくとも1つの形態によれば、MRTシステムは、装置を含むローカルMR受信コイル構成を有する。
【0050】
実施形態の少なくとも1つの形態によれば、ローカル受信コイル構成は、可撓性表面コイルアレイとして具現化される。
【0051】
次いで、少なくとも1つの第1の導体ループは、表面コイルアレイの表面コイルに対応する。
【0052】
少なくとも1つの実施形態によると、MRTシステムは、患者の治療のための装置を有し、少なくとも1つの第1導体ループおよび装置は、互いに関係して所定の空間的位置を有する。
【0053】
この素子は、例えば、生検針、カテーテル、手術器具、ロボットアームなどを含むことができる。
【0054】
実施形態の少なくとも1つの形態に従って、装置は、同調キャパシタンス、特に少なくとも1つの第1の導体ループの第1の端子と少なくとも1つの第1の導体ループの第2の端子との間にそれぞれ配置される同調キャパシタを有する。装置は、同調キャパシタンスに電気的に並列に配置された誘導要素を有する。
【0055】
装置のこのような形態は、装置がローカルMR受信コイル配列の一部である場合、またはローカルMR受信コイル配列と同じである場合に特に有利である。
【0056】
誘導電圧は、特に少なくとも1つの導体ループの第1の端子と第2の端子との間に存在する。
【0057】
同調キャパシタンスは、同調キャパシタ、すなわち、対応する電子部品として、または少なくとも1つの第1の導体ループの導体セグメント間の寄生キャパシタンスとして実現することができる。
【0058】
例えば、装置は、多数の同調キャパシタンスを有することができ、これらの同調キャパシタンスは、第1の端子と第2の端子との間に配置される。この場合、装置は、特に、各同調キャパシタンスに対して、対応する割り当てられた誘導性構成要素を有し、同調キャパシタンスに電気的に並列に接続される。
【0059】
誘導成分がなければ、少なくとも1つの導体ループは、同調キャパシタンスのため、特に直流に対して非導電性であるか、または低周波交流電流に関して非常に高いインピーダンスを有するであろう。誘導要素を介して、低周波数での導電率が増加する。無線周波数MR信号に関しては、一方で誘導要素のインダクタンスは抵抗として有効に作用し、その結果、同調キャパシタンスへの並列接続の結果として、MR信号の検出中に大きな影響はない。
【0060】
実施形態の異なる形態では、装置はまた、離調キャパシタ、特に離調キャパシタを有することができ、離調キャパシタは、第1の端子と第2の端子との間にそれぞれ配置される。この場合の装置は、同調キャパシタンスと容器に電気的に接続される、さらなる誘導要素を有する。従って、離調キャパシタンスはまた、低周波数において何ら効果を有さず又は殆ど効果を有さず、一方、さらなる誘導要素は、高周波数において顕著な効果を有さず又は有さない。
【0061】
少なくとも1つの実施形態によると、測定ユニットは増幅器を有し、この増幅器は、第1の端子および第2の端子に、特に直接的または間接的に接続され、少なくとも1つの評価ユニットに接続された増幅器の出力において、少なくとも1つの測定値を提供するように構成される。
【0062】
特に、増幅器は第1および第2の入力を有し、第1の入力は第1の端子に接続され、第2の入力は第2の端子に接続される。
【0063】
測定ユニットまたは装置が、第1および第2の端子に同様に接続され、MR信号またはMR信号に依存する測定信号を供給するために、少なくとも1つの評価ユニットに同様に接続される、さらなる増幅器の出力で構成されるさらなる増幅器を有する、少なくとも1つの実施形態に従う。増幅器およびさらなる増幅器は、したがって、特に、少なくとも1つの導体ループで取得された異なる電流を検出する第1および第2の測定チャネルの対応する部分とすることができる。
【0064】
少なくとも一実施形態によると、測定ユニットはフィルタ回路を有しており、フィルタ回路は、第1の端子と増幅器の第1の入力との間に、また、第2の端子と増幅器の第2の入力との間に配置されている。フィルタ回路は、少なくとも1つの導体ループによって取得されるMR信号を抑制するように設計される。
【0065】
フィルタ回路は、特に、第1の端子に接続された第1の入力と、増幅器の第1の入力に接続された第1の出力とを有する。さらに、特にフィルタ回路は、第2の端子に接続された第2の入力と、増幅器の第2の入力に接続された第2の出力とを有する。
【0066】
フィルタ回路は、例えば、ローパスフィルタ又はバンドパスフィルタとして設計することができる。いずれにせよ、フィルタ回路は、傾斜コイル、基本的な磁場、または傾斜コイルの活性化に対して、傾斜コイルの交流磁場に対応する周波数を本質的に流すように調整されるが、一方、それは、MR信号に対応する周波数を本質的に抑制する。
【0067】
例えば、装置は、更なるフィルタ回路を有することができ、それは、第1の端子と更なる増幅器の第1の入力との間に、また、第2の端子と更なる増幅器の第2の入力との間に配置される。さらなるフィルタ回路は、少なくとも1つの第1の導体ループ内の傾斜コイルの交流磁場によって生成される信号を抑制するように設計される。
【0068】
第2のフィルタ回路は、例えば、ハイパス・フィルタまたはさらなる帯域フィルタとして設計することができる。従って、更なるフィルタ回路は、特に、フィルタ回路と相補的に構成される。特に、少なくとも1つの導体ループの第1の端子は、さらなるフィルタ回路の第1の入力に接続され、少なくとも1つの導体ループの第2の端子は、さらなるフィルタ回路の第2の入力に接続されうる。さらなるフィルタ回路の第1の出力は、例えば、さらなる増幅器の第1の入力に接続され、さらなるフィルタ回路の第2の出力は、さらなる増幅器の第2の入力に接続される。
【0069】
本発明のMRTシステムの実施形態のさらに別の形態は、本発明の方法の異なる実施形態に直接従うものであり、逆も同様である。本発明の方法に関する実施態様の異なる形態に関する特定の個別の特徴及び対応する説明は、本発明のMRTシステムの実施態様の対応する形態に類似して転送することができ、逆も同様である。特に、発明のMRTシステムは、発明の方法を実施するために具体化され又はプログラムされている。特に、本発明のMRTシステムは、本発明の方法を実施する。
【0070】
本発明のさらに別の態様によれば、MRTシステムの位置を決定する装置も明記される。装置は、第1のループ平面内に形成された少なくとも1つの第1の導体ループを有する。さらに、装置は、少なくとも1つの導体ループに接続され、少なくとも1つの第1の導体ループに誘導される第1の誘導電圧に応じて、少なくとも1つの第1の測定値を決定するように構成される測定ユニットを有する。
【0071】
装置の少なくとも1つの実施形態によれば、これは、前述のように、同調キャパシタンスおよび誘導成分を有する。
【0072】
本発明の装置の実施形態のさらに別の形態は、本発明のMRTシステムの実施形態の他、本発明の方法とは異なる形態に従う。
【0073】
計算ユニットは、特に、処理回路を含むデータ処理装置として理解することができる。従って、計算ユニットは、計算演算を実行するためのデータを特に処理することができる。これは、例えばLUT(ルックアップテーブル)のようなデータ構造へのインデックス付きアクセスを実行するための動作を含んでもよい。
【0074】
計算ユニットは、特に、1つまたは複数のコンピュータ、1つまたは複数のマイクロコントローラおよび/または1つまたは複数の集積回路、例えば、チップ(SoC)上の1つまたは複数のアプリケーション固有の集積回路、1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)および/または1つまたは複数のシステムを含むことができる。コンピューティングユニットはまた、1つまたは複数の処理装置、例えば、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、1つまたは複数の中央処理ユニット、1つまたは複数のグラフィック処理ユニット(GPU)および/または1つまたは複数の信号処理装置、特に、1つまたは複数のデジタル信号処理装置(DSP)を含むことができる。計算ユニットはまた、コンピュータまたは前記ユニットの他の物理的または仮想ネットワークを含むこともできる。
【0075】
実施形態の異なる形態では、計算ユニットは、1つ以上のハードウェアおよび/またはソフトウェアインターフェースおよび/または1つ以上のメモリユニットを含む。
【0076】
メモリユニットは、例えば、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリまたはスタティック・ランダム・アクセス・メモリとして、または不揮発性データ・メモリとして、例えば、リード・オンリー・メモリとして、プログラマブル・リード・オンリー・メモリとして、プログラマブル・リード・オンリー・メモリとして、プログラム可能リード・オンリー・メモリとして、消去可能リード・オンリー・メモリとして、電気的消去可能リード・オンリー・メモリとして、フラッシュ・メモリまたはフラッシュEEPROMとして、強誘電体ランダム・アクセス・メモリとして、または、強誘電体ランダム・アクセス・メモリとして、磁気記憶ランダム・アクセス・メモリとして、または、磁気記憶ランダム・アクセス・メモリとして、あるいは、相変化ランダム・アクセス・メモリ(PCRAM)である。
【0077】
本発明のMRTシステムの少なくとも1つの評価ユニット、制御ユニットおよび/または測定ユニットは、MRTシステムの1つまたは複数の計算ユニットをこの理解に従った1つまたは複数の計算ユニットを含むことができ、少なくとも1つの評価ユニット、制御ユニットおよび/または測定ユニットを含むことができる。
【0078】
本開示の枠組みの中で、本発明のMRTシステムの構成要素、特に制御ユニット、測定ユニットに関する限りにおいて、MRTシステムの測定ユニットまたは少なくとも1つの評価ユニットは、特定の機能を実施するか実現するように構成され設計されており、特定の効果を達成する、または特定の目的を果たし、これは、コンポーネントが、原理や理論上の有用性や、この機能、効果、またはこの目的に対するコンポーネントの適合性を超えて、対応する適応、プログラミング、物理的実施形態などを通じて理解できるものであり、実際に機能を実行または実現し、効果を達成または目的を果たす、具体的なポジションにある。
【0079】
2つの電気的または電子的構成要素間の接続は、明示的に明記しない限り、構成要素間に電気的接続が存在するか、または1つ以上のスイッチング要素の作動によって確立され得る方法で理解され得る。特に、特に明記しない限り、部品同士を直接または間接的に接続することができる。このような場合、直接接続は、任意の1つ以上のスイッチング要素とは別に、構成要素間に配置されているそれ以上の電気的または電子的構成要素はないが、間接接続は、任意の1つ以上のスイッチング要素に加えて、構成要素間に配置されている抵抗器、コンデンサ、コイルなどの1つ以上の電気的または電子的構成要素があると理解することができる。
【0080】
本発明のさらなる特徴は、請求の範囲、図面及び図面の説明から明らかになる。明細書において上記に与えられた特徴及びそれらの組合せ、並びに図面の記載及び/又は図面における以下に与えられる特徴及び組合せは、各々の場合において明記された組合せだけでなく、本発明の他の組合せにも含めることができる。特定のバージョン及び特徴の組合せは、当初記載された請求の範囲のすべての特徴を有していない発明によって構成することができる。これを超えて、本発明のバージョン及び組み合わせは、請求の範囲の参考文献に記載されている本発明の組合せを超えて、又はそれから逸脱する本発明の組合せを含むことができる。
【0081】
本発明は、具体的な例示的な実施形態および関連する模式図の助けを得て、以下により詳細に説明される。なお、図中において、同一の要素又は同一の機能を有する要素には、同一の参照文字を付与している。同じ要素または同じ機能を持つ要素の記述が、複数の図に関して必ずしも繰り返されるとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0082】
図1】本発明のMRTシステムの実施形態の一例の模式図である。
図2】磁場の模式図を示す図である。
図3】本発明のMRTシステムの実施形態のさらに別の例の装置の模式図である。
図4】本発明のMRTシステムの実施形態のさらに別の例の装置の模式図である。
図5】本発明のMRTシステムの実施形態のさらに別の例の装置の模式図である。
図6】本発明のMRTシステムの実施形態のさらに別の例の装置の模式図である。
図7】本発明のMRTシステムの実施形態のさらに別の例の装置の模式図である。
図8】本発明のMRTシステムの実施形態のさらに別の例の装置の模式図である。
図9】本発明のMRTシステムの実施形態のさらに別の例の装置の模式図である。
図10】ローカルMR受信コイルの可能な基本形の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
図1に模式的に示したものは、本発明のMRTシステム1の実施形態の一例である。
【0084】
また、MRTシステム1は界磁磁石(図示せず)を有し、これは、MRTシステムの縦軸と称することができるz方向のイメージングボリューム3において、試料、例えば患者の核スピンの位置合わせのための静磁場を生成する。イメージングボリューム3は、z方向に非常に均一な静磁場を有することを特徴とする。界磁磁石は、例えば、最大3Tまたはそれ以上の磁束密度を有する磁場を提供することができる超伝導磁石を含むことができる。しかし、より小さな磁場強度の場合は、永久磁石または常電導コイルを有する電磁石も使用することができる。
【0085】
さらに、MRTシステム1は、傾斜コイル2および傾斜コイル2を起動するための制御ユニット5を有し、傾斜コイルは、位置に応じて、3つの空間方向x、y、zすべてに沿って、その量が変化し得る磁場と静磁場とを重ね合わせるように、イメージングボリューム3内で取得されたイメージングボリュームの空間微分のために設計される。傾斜コイル2は、例えば、常電導体のコイルとして具体化することができる。
【0086】
MRTシステム1は、例えば、送信アンテナとして本体コイル30を有することができ、これは、信号線を介して供給される高周波信号をイメージングボリューム3内に放射するように設計されている。
【0087】
また、制御ユニット5は、傾斜コイル2と本体コイル30とを異なる信号で供給することができる。制御ユニット5は、例えば、傾斜制御装置を有することができ、この傾斜制御装置は、時間的に調整された可変電流を用いて供給ラインを介して傾斜コイル2に供給するように設計されており、イメージングボリューム3内に所望の傾斜磁場を提供することができる。
【0088】
制御ユニット5はまた、高周波ユニットを有することができ、これは、患者において核スピンの磁気共鳴を励起するための所定の時間波形、振幅およびスペクトルパワー分布を有する高周波パルスまたは励起パルスを生成するように設計されている。このような場合には、数キロワットの範囲のパルスパワーを使用することができる。励起パルスは、本体コイル30を介して、または1つもしくは複数のローカル送出アンテナを介して、患者内に放射され得る。制御ユニット5はまた、信号バスを介して傾斜コントローラ及び無線周波数ユニットと通信することができるコントローラを含むことができる。
【0089】
本体コイル30は、実施形態によっては、MR信号とも呼ばれる、患者によって発せられた共鳴信号を受信し、それらを信号線を介して出力するためにも使用することができる。このような形態の実施形態の本体コイル30は、このように、受信アンテナとしても、また送信アンテナとしても役立つことができる。
【0090】
任意に、MRTシステム1のローカルMR受信コイル(図示せず)を、患者のすぐ近傍に配置することができ、これは測定ユニット6への接続線を介して連結することができる。また、測定ユニット6は、制御ユニット5の一部とすることもできる。実施形態に依存して、ローカルコイルは、代替物として、または本体コイル30に加えて、受容アンテナとして働くことができる。
【0091】
MRTシステム1はさらに、評価ユニット7を有し、これは、制御ユニット5、特に無線周波数ユニットに接続される。評価ユニット7は、MR信号を評価し、それに基づいて、既知の方法に従ってMR画像を再構成することができる。また、制御ユニット5は評価ユニット7の一部とすることもできる。
【0092】
MRTシステム1は、少なくとも1つの導体ループ4を備えた装置を有し、ループ面はループ平面内で動作し、特に、ループ平面が本質的にz方向に平行に向くようにイメージングボリューム3内に配置される。
【0093】
上述のように、傾斜コイル2は、制御ユニット5によって起動され、イメージングボリューム3内に交流磁場を生成する。この交番磁場は、一般に、3つの空間方向x、y、zすべてに磁場成分を有する。結果として、少なくとも1つの導体ループ4において、ループ面が本質的にz方向に平行に向いている場合であって誘導電圧がもたらされる。
【0094】
測定ユニット6は、少なくとも1つの導体ループ4に接続されており、誘導電圧に応じて、少なくとも1つの測定値を決定するように構成されている。評価ユニット7は、傾斜磁場コイル2についての少なくとも1つの測定値及び所定の磁場モデルに応じて、イメージングボリューム3内部の装置の位置を少なくとも部分的に決定するように構成される。
【0095】
ローカルMR受信コイルを有する実施形態では、これは装置または少なくとも1つの導体ループ4を含むことができる。したがって、装置の位置は、ローカルMR受信コイルの位置に対応する。代替形態として、装置を自己完結型位置センサとして使用することができ、これにより、例えば、イメージングボリューム3内の医療機器(図示せず)の位置を少なくとも部分的に決定することができ、特に、少なくとも1つの導体ループ4に関連した医療機器の相対的位置が既知の場合に、そのようにすることができる。
【0096】
磁場モデルについての一例を図2に模式的に示す。通常の単純化された仮定に反して、イメージングボリューム3内の傾斜コイル2によって生成される傾斜磁場は、静磁場のz方向に正確に平行に整列されない。その代わりに、傾斜コイル2は、zに直交して、すなわちxまたはy軸に沿って整列され、その振幅もz成分と同等である、追加の磁場成分を生成する。xまたはy軸に沿った交流磁場の構成要素は、静的な基本磁場よりも非常に小さいので、これらの構成要素は、正規のMRT画像に対して無視することができる。このため、x軸とy軸に沿った交流磁場の成分は、他の可能な応用についても、過去には考慮されていなかった。それらは、静的な基本磁場とは異なり、時間依存性があるので、導体ループ4内の誘導に大きく寄与し、したがって、本発明に従った位置決定に使用することができる。
【0097】
図2は、一例として、傾斜磁場コイル2の内側で取得されるような、磁場のデカルト成分を示す。この傾斜磁場コイルは、静的モード、すなわち、一定電流で動作され、このとき、界磁磁石の基本磁場は存在しない。各サンプリングポイントにおいて、3つの直交磁場成分Bx、By、Bzに対応する3つの磁場値が、ロボットアームに取り付けられ、今度は480の空間位置に配置されたベクトル磁力計で測定されており、これらは球の表面上に分布している。これらの測定値に基づいて、較正された磁場モデルの助けを借りて、イメージングボリューム3内の任意の所与の場所の磁場を計算することができる。MRTシステム1のイメージングボリューム3内に配置される少なくとも1つの導体ループ4は、したがって、たとえループ面が本質的にz方向に平行に向いていても、パルス化された傾斜磁場によって誘導される信号を取得する。
【0098】
本発明を通して、ローカルMR受信コイルの位置の決定のために追加のセンサを使用することは絶対に必要というわけではない。その代わりに、すでに存在するローカルMR受信コイルの導体ループは、弱い無線周波数MRT信号の検出のために、また、低周波数帯の傾斜パルスによって誘導される信号の検出のために、両方に採用され得る。
【0099】
導体ループによって囲まれた領域を通る磁束が変化するときに導体ループに誘起される電圧は、ループによって囲まれた表面Aにわたる磁気ベクトル場Bの変化の積分によって、すなわちファラデーの誘導の法則の適用によって生成される。
【数1】
【0100】
図3から図5に示されているのは、本発明のMRTシステム1の実施形態の異なる例、例えば図1からのMRTシステム1の、少なくとも1つの導体ループ4を備えた装置の概略的な実装である。
【0101】
これらの装置を通じて、MRTシステム1は、パルス傾斜磁場によって誘起される位置決定のために、無線周波数MR信号と低周波数信号とを同時に受信することができる。
【0102】
マルチチャネルMR受信コイルは、例えば、2個から32個、またはさらに64個の受信要素などの、多数の受信要素からなる二次元の可撓性アレイとして具現化することができる。このような受信要素を図3から図5に示す。受信要素は、例えば、少なくとも1つの銅ループとして設計された少なくとも1つの導体ループ4と、例えば、少なくとも1つの導体ループ4の第1の端子21aと第2の端子21bとの間に配置された同調キャパシタ9a、9bとを有する。離調手段10を設けることもでき、この離調手段は、例えば、離調インダクタンス13およびダイオード14と並列に配置された離調キャパシタ12および直列回路を含む。
【0103】
前記増幅器回路18をさらに設けることができ、これは整合回路16を介してその入力側で端子21a、21bに接続され、またその出力側でアナログ-デジタル変換器19に接続され、これはデータバス20を介して評価ユニット7またはコンピュータにリンクすることができる。同調キャパシタ9a、9bは、例えば、少なくとも1つの導体ループ4に沿って分布されて、電界を減少させるために、そうでなければ、長い線導体セグメントにわたって発生し、誘電損失につながる可能性があり、したがって、信号対雑音比が減少する可能性がある。同調キャパシタ9a、9bのキャパシタンスは、特に、MRTシステム1のLarmor共振周波数で、少なくとも1つの導体ループ4のインダクタンスと共振するように同調され、それは、電界強度に応じて、例えば1MHz~500MHzの範囲の高周波数を有することができる。
【0104】
同調キャパシタ9a、9bに並列に、またそれぞれの場合に離調キャパシタ12には誘導要素11a、11b、11cがあるので、数kHzの範囲の傾斜磁場によって誘起された低周波信号を取得することができる。誘導要素11a、11b、11cの誘導性は、誘導された無線周波数MR信号に対して、これらが高いインピーダンスを有し、実際には開回路に対応するように選択される。対照的に、低周波数における誘導要素11a、11b、11cの電気インピーダンスは、本質的に、パルス化傾斜磁場によって誘発される信号に対して少なくとも1つの導体ループ4を閉じる短絡回路と同等である。Larmorの周波数に依存するこれらの誘導の値は、たとえば数百μHから数mHの範囲にある。
【0105】
実施例のある形態では、信号前置増幅器17は、入力側で、フィルタ回路15を介して接続することができ、このフィルタ回路は、例えば、ローパスフィルタとして、端子21a、21bおよび出力側で、アナログ-デジタル変換器19のさらなる入力に、またはさらなるアナログ-デジタル変換器(図示せず)に、具体化することができる。パルス化された傾斜によって誘起され、少なくとも1つの導体ループ4によって取得された信号は、次に、データバス20を介して読み出され、少なくとも1つの導体ループ4の位置に関する情報を抽出するために、信号処理アルゴリズムによってさらに使用することができる。同様にして、さらなる受信要素の位置も決定することができ、したがって、説明した可撓性マルチチャネルMR受信コイルの形態を決定することができる。
【0106】
図4は、より新しいタイプのMR受信コイルに対する発明のMRTシステム1の実施形態のさらなる形態の装置の受信要素を概略的に示す。このMR受信コイルは、離散キャパシタの代わりに分布同調キャパシタンス9を使用し、これは少なくとも1つの導体ループ4の導体セグメント間の寄生キャパシタンスによって形成される。この場合、別個の導体セグメントは、より低い周波数についての誘導要素11a、11b、11cによって効果的に短絡され、その結果、導体セグメントは二重ループを形成する。また、図4には、前置増幅器回路18に対する供給電圧8が示されている。
【0107】
図5は、本発明のMRTシステム1の実施形態のさらなる形態における装置の受容要素を模式的に示す。受信要素は、図3に示す受信要素に基づいている。
【0108】
図5の受信要素は、対応する形態の実施形態において、ローカルシミングと呼ばれる機能を果たす。この目的のために、例えば、評価ユニット7、又は例えば受信要素に接続された別のコンピュータは、静磁場の局所的な不均一性を補償するために、少なくとも1つの導体ループ4を通る直流電流を適合させることができる。直流の所望のデジタル値は、例えば、更なるデータバス25を介して更なるデジタル-アナログ変換器24に転送され、この変換器の出力は、対応する信号を定電流ドライバ23に出力する。定電流ドライバ23は、例えばさらなるローパスフィルタ22を介して信号を少なくとも1つの導体ループ4に送信することができる。
【0109】
この場合の更なるローパスフィルタ22は、特に、定電流ドライバ23から少なくとも1つの導体ループ4に直流電流値を伝達するように設計され、そのようにすることで、パルス傾斜磁場によって誘起される低周波交流信号ならびに無線周波数MR信号を遮断する。次に、フィルタ回路15は、例えば、パルス傾斜磁場によって誘導される交流信号を通過させ、直流成分および無線周波数MR信号も抑制するように考えられている帯域通過フィルタとして具現化することができる。同様にして、分布同調キャパシタンス9を有する受信要素を、図4のように適合させることができる。
【0110】
イメージングボリューム3内の検査オブジェクトの空間位置は、例えば、直交コイルに依存する信号の処理によって決定することができ、直交コイルは、パルス傾斜磁場によって誘起された電圧の関数として検査オブジェクトに取り付けられる。1つの方法は、初期推定から開始し、次に、特定の収束基準が満たされるまで、検査オブジェクト位置と位置合わせを反復的に適合させることができる。別の方法では、翻訳マトリックスをトレーニング前のステップで校正し、このステップでは、試験対象をステップ的に移動させ、同時にステップごとにイメージングボリュームを取得し、傾斜活性を測定する。これらの方法はまた、説明した本発明の利点を達成するために、発明のMRTシステム1の発明方法、または発明のMRTシステム1の装置の助けを併用することもできる。
【0111】
この上以上で、図6から図9に模式的に示されているように、ローカル可撓性MR受信コイル28の形状および位置を認識し、患者の動きを認識するために、さらに別の方法を用いることができる。この場合、すでに説明した本発明の利点を利用することができる。
【0112】
可撓性MR受信コイル28は、例えば、対応する導体ループを有する比較的多数の受信要素を有し、それらが患者29の身体に取り付けられると、図6から図9に示すように、患者29の身体の輪郭を追跡するために、それらの形状を変化させることができ、また、おそらく患者29の呼吸運動または心拍のためにも動くことができる。
【0113】
図6に示されているのは、多数の受信エレメントを備えた可撓性MR受信コイル28であり、これは対応する導体ループ4を有し、受信エレメントは、例えば、可撓性プラスチック材料26内に埋め込むことができ、コントローラ27に接続することができる。図7は、患者29の頭部をイメージングするための可撓性MR受信コイル28を模式的に示し、図8は、患者29の膝部をイメージングするための可撓性MR受信コイル28を示し、図9は、患者29の腹部をイメージングするための可撓性MR受信コイル28を示す。
【0114】
可撓性MR受信コイル28を高い精度で数学的に記述するためには、四角形表面の数学的モデルを用いることができる。四角形の表面は、球、楕円体、円柱、特に円柱または楕円柱、楕円放物面、放物面円柱、円錐、双曲面、二重層双曲面、双曲面放物面、単層双曲面、一枚または二枚の双曲面、等々を含み、左上から右下に順に図10に概略的に示す。数学的に見ると、4次曲面は、3つの変数x、y、zにおける2次方程式のグラフである。式の一般的な形は、次のように表される。
【数2】
ここで、A~J10は、コイルの形状を適合させるために変化させることができる係数を表す。可撓性MR受信コイル28のこの観測形状および位置に基づいて、受信要素内の時間的に可変な傾斜磁場によって誘導される測定電圧の助けを借りて決定することができる。特に、以下のステップを実施することができる。
a)係数A~Jに初期値を割当てることにより、二次曲面を初期推定形状に初期化する。
b)コイルのオフセット(x、y0)及びx軸に関するコイルの回転角を初期化する。
c)受容要素の配置、すなわち導体ループ4の二次曲面へ適合させる。
d)コイルの電流形状および上述のような傾斜強度を考慮して、導体ループ4に誘導される電圧を計算する。
e)係数A~Jの値に適合させるために勾配降下法を使用して、ステップd)で計算された電圧と測定電圧との間の平均二乗誤差が減少するように、オフセット(x0,y0)及び回転角を調整する。
f)平均四乗誤差が特定の閾値を下回るまで、ステップc)、d)及びe)を繰り返す。
【0115】
この接合部では、この方法の複数のステップもさらに最適化できることを指摘すべきである。図6に示されているような可撓性MR受信コイル28では、初期形状は、例えば、軸に沿って配向された円筒または放物円筒の表面に対応するように制限され得る。x軸に沿って対称である放物線円柱は、非常に簡単な式、
【数3】
によって数学的に記述される。
【0116】
他のMR受信コイル28に対しては、1つ以上の双曲放物面の形状がより適していることができる。この単純化された式では、
【数4】
が適用される。
【0117】
このタイプの事前最適化は、係数Aの数をJに減らし、最終的な解により近い出発点を設定するという点で、反復アルゴリズムの変換速度を高速化する。コイルオフセットとコイル回転についても同様の考察が適用される。これらのパラメータが変化する可能性のある数値範囲は、ここで制限することができ、このようにして、反復アルゴリズムは最終的な解に近いままでいるように強いられる。
【0118】
本発明は、コイル上のアナログ-デジタル変換器をワイヤレスデジタル伝送と組み合わせるワイヤレスコイルにも有利に適用することができる。
【0119】
上述した方法は、ホールセンサ、2Dまたは3DビデオカメラまたはMR移動ナビゲータによるような、患者の動きを認識するための既知の方法によって様々であり、結果をさらに改良し、改善するために組み合わせることができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】