(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113606
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】CCD測定間のクロストークを低減するためのデバイスおよび方法を含む、アッセイ装置、方法および試薬
(51)【国際特許分類】
G01N 21/17 20060101AFI20230808BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
G01N21/17 A
G01N21/27 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023074050
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2021562804の分割
【原出願日】2020-04-22
(31)【優先権主張番号】62/837,567
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505243216
【氏名又は名称】メソ スケール テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クリヴォーイ,ゲーリー,アイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン,セシリア
(72)【発明者】
【氏名】バンデルサール,ジュールズ
(72)【発明者】
【氏名】コヴァックス,サンダー
(72)【発明者】
【氏名】ライムクエラー,アーロン
(72)【発明者】
【氏名】タバキン,レオ
(72)【発明者】
【氏名】ウィロビー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】コチャー,マニッシュ
(72)【発明者】
【氏名】クリントン,チャールズ,エム
(57)【要約】
【課題】アッセイを行うための装置、システム、方法、試薬、およびキット、ならびにそれらの調製のためのプロセスの提供。
【解決手段】特に、マルチウェルプレートアッセイ形式で自動分析を行うのに十分好適である。また、複数の空間的に分離された対象の測定の間のクロストークを低減した測定値を生成するためのCCDカメラベースシステムを使用するために、本明細書に提供されるシステム、デバイス、および方法も、開示される。本明細書に提供されるようなCCDカメラベースシステムは、CCDの読み出し中に基準レベルを完全にリセットするように構成された改良された基準レベルクランプ回路を使用し、それによって、測定の間のクロストークのレベルを低減する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析物間のクロストークが低減されたアッセイプレート内の複数の分析物を測定するように構成されたシステムであって、前記システムが、
CCD、アナログフロントエンド回路、およびアナログからデジタルへの回路を備える、CCDカメラを備え、前記CCDカメラが、前記複数の分析物を測定するように構成されており、集束システム、および前記複数の分析物の測定を容易にするように前記アッセイプレートを配置するように構成されたプレートキャリッジシステムに結合されており、
前記アナログフロントエンド回路が、前記CCDのシリアルレジスタから読み出し信号を受信するように、かつ前記読み出し信号を前記アナログからデジタルへの回路に転送して、複数の画像データポイントを生成するように構成されており、前記アナログフロントエンド回路が、前記複数の分析物のうちの第1の分析物の第1の測定値と、前記複数の分析物のうちの第2の分析物の第2の測定値との間のクロストークを低減するように、連続する画像データポイント読み取り値の間の基準レベルを完全にリセットするように選択された時定数を伴って構成された基準レベルクランプ回路を含む、システム。
【請求項2】
前記複数の分析物のうちの前記第1の分析物、および前記複数の分析物のうちの前記第2の分析物が、前記アッセイプレートの単一のウェルに収容されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の分析物のうちの前記第1の分析物、および前記複数の分析物のうちの前記第2の分析物が、前記アッセイプレートの異なるウェルに収容されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
連続した画像データポイント読み取り値の間の前記基準レベルを完全にリセットすることが、前記基準レベルの振幅を、連続した画像データポイント読み取り値の間の所定の値に戻す、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
連続した画像データポイント読み取り値の間の前記基準レベルを完全にリセットすることが、第1の画像データポイント値の後に連続して取得される第2の画像データポイント値に対する前記第1の画像データポイント値の影響を低減する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記時定数が、前記基準レベルクランプ回路の減衰時定数である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の画像データポイントの各々が、前記CCDの画素を表す、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の画像データポイントの各々が、前記CCDの複数のビニングされた画素を表す、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の分析物が、互いから空間的に分離されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
CCDカメラによって実行されるアッセイプレート内の複数の分析物の測定値間のクロストークを低減する方法であって、前記方法が、
前記CCDカメラを用いて前記複数の分析物を測定することであって、前記CCDカメラが、CCD、アナログフロントエンド回路、およびアナログからデジタルへの回路を含み、集束システム、および前記複数の分析物の測定を容易にするように前記アッセイプレートを配置するように構成されたプレートキャリッジシステムに結合されている、測定す
ることと、
前記アナログフロントエンド回路を介して、前記CCDのシリアルレジスタから読み出し信号を受信することであって、前記読み出し信号を受信することが、
前記シリアルレジスタから、前記アナログからデジタルへの回路に前記読み出し信号を転送して、第1の画像データポイントを生成すること、
時定数を有する基準レベルクランプ回路を介して、前記アナログフロントエンド回路の基準レベルを完全にリセットすること、および
前記シリアルレジスタから、前記アナログからデジタルへの回路に前記読み出し信号を転送して、第2の画像データポイントを生成すること、を含む、受信することと、含み、
前記時定数が、前記複数の分析物のうちの第1の分析物の第1の測定値と、前記複数の分析物のうちの第2の分析物の第2の測定値との間のクロストークを低減するように選択される、方法。
【請求項11】
前記複数の分析物のうちの前記第1の分析物、および前記複数の分析物のうちの前記第2の分析物が、前記アッセイプレートの単一のウェル内に収容されている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の分析物のうちの前記第1の分析物、および前記複数の分析物のうちの前記第2の分析物が、前記アッセイプレートの異なるウェル内に収容されている、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
連続した画像データポイント読み取り値の間の、前記アナログフロントエンド回路の前記基準レベルをリセットすることが、前記基準レベルの振幅を、連続した画像データポイント読み取り値の間の所定の値に戻すことを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
連続した画像データポイント読み取り値の間の前記基準レベルをリセットすることが、第1の画像データポイント値の後に連続して取得される第2の画像データポイント値への、前記第1の画像データポイント値の影響を低減させる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記時定数が、前記基準レベルクランプ回路の減衰時定数である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の画像データポイントの各々が、前記CCDの画素を表す、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の画像データポイントの各々が、前記CCDの複数のビニングされた画素を表す、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の分析物が、互いから空間的に分離されている、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
機器であって、
CCDセンサおよび光学レンズシステムを備える、光検出システムを備え、前記光検出システムが、単一のウェルの上方に、前記単一のウェルの電気化学発光分析を行うためのマルチウェルプレート内で同時に位置決めされ、前記CCDセンサの面積が、前記単一のウェルの面積と実質的に同じであり、
前記光検出システムが、前記CCDセンサを冷却するようにサイズおよび寸法決定された冷却デバイスをさらに備え、
前記機器が、前記冷却デバイスから排気される加熱された空気を流れ充満空間に、かつ前記機器の外に引き寄せるように、ある角度に配向された少なくとも1つのファンを備える熱除去システムをさらに備える、機器。
【請求項20】
前記光学レンズシステムが、複数のレンズを備え、前記複数のレンズが、球面および非球面の両方を有する、請求項19に記載の機器。
【請求項21】
前記複数のレンズの面積が、前記単一のウェルの面積よりも大きい、請求項20に記載の機器。
【請求項22】
前記光検出システムが、ハウジング上面に、実質的に垂直の方向に装着されている、請求項19に記載の機器。
【請求項23】
前記熱除去システムもまた、ハウジング上面に装着されている、請求項19に記載の機器。
【請求項24】
前記少なくとも1つのファンが、前記流れ充満空間内に収容されている、請求項19に記載の機器。
【請求項25】
前記充満空間が、少なくとも1つの印刷回路基板(PCB)をさらに収容し、前記少なくとも1つのPCBと、前記充満空間の外側の電気構成要素との間の電気的接続を可能にするための少なくとも1つの開口部を備える、請求項24に記載の機器。
【請求項26】
フローバッフルが、前記機器内の空気の再循環を最小化するように、前記充満空間内に位置決めされている、請求項25に記載の機器。
【請求項27】
前記加熱された空気が、前記機器を出る前に、前記カメラおよびプレートから流出する、請求項25に記載の機器。
【請求項28】
前記加熱された空気が、前記機器を出る前に、前記少なくとも1つのPCBを横切ってさらに流れる、請求項27に記載の機器。
【請求項29】
機器であって、
接触プラットフォームであって、前記接触プラットフォームが、少なくとも一対の電気接触プローブを備え、前記少なくとも一対の電気接触プローブが、直立したばね仕掛けピンを備える、接触プラットフォームと、
前記少なくとも一対の電気接触プローブに電圧を伝導するように、電圧源に動作可能に接続されたコントローラと、
前記電圧をプレート上の1つ以上のウェルに印加することができるように、単一ウェルアドレス指定可能なマルチウェルプレートを搬送するように、かつ前記マルチウェルプレートを前記接触プラットフォームに対して位置決めするように適合されたプレートキャリッジフレームと、
前記マルチウェルプレートの底部の上に配置された対応する電極接点に前記接触プラットフォームを移動させるための垂直リフトシステムであって、前記垂直リフトシステムが、親ねじのギヤ付き部分と噛み合うウオームギヤを備え、その結果、前記ウオームギヤの回転が、前記親ねじを回転させ、前記親ねじが、前記接触プラットフォームを支持する支持ベースにねじ込み可能に取り付けられ、その結果、前記親ねじの回転が、前記支持ベースおよび前記接触プラットフォームを上昇または下降させる、垂直リフトシステムと、を備える、機器。
【請求項30】
前記ウオームギヤを回転させるように適合されたモータをさらに備え、前記モータが、前記コントローラによって制御される、請求項29に記載の機器。
【請求項31】
前記垂直リフトシステムは、ガイドシャフトであって、前記支持ベースが前記ガイドシャフトに沿ってスライドすることを可能にするように、前記支持ベース内の対応するホール内でスライドするようにサイズおよび寸法決定された、ガイドシャフト、をさらに備える、請求項29に記載の機器。
【請求項32】
前記ウオームギヤが、実質的に水平方向に配向され、前記親ねじが、実質的に垂直方向に配向されている、請求項29に記載の機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本仮特許出願は、2014年1月3日に出願された「Assay Apparatuses,Methods and Reagents」と題する米国特許出願第14/147,216号の関連出願であり、米国特許法第119条(e)の下で、2013年1月4日に出願された「Assay Apparatus,Methods and Reagents」と題する米国仮出願第61/749,097号に基づく優先権を主張する。これらの特許出願の開示は、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0002】
また、2014年7月10に発行された「Assay Apparatuses,Methods and Reagents」と題する共同所有された国際特許出願公開第WO2014/107576号も参照され、米国特許出願第14/147,216号と同じ明細書および図面を共有する。この国際特許公開は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
また、米国特許出願公開第2011/0143947号、同第2012/0195800号、同第2007/0231217号、同第2009/0263904号、および同第2011/025663号も参照される。これらの出願の各々の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
発明は、アッセイを実施するための装置、システム、方法、試薬、およびキットに関する。本発明の装置、システム、方法、試薬、およびキットのある特定の実施形態は、マルチウェルプレートアッセイ形式で自動サンプリング、サンプル調製、および/またはサンプル分析を実施するために使用され得る。
【背景技術】
【0005】
化学的、生化学的、および/または生物学的アッセイを実施するために、数多くの方法およびシステムが開発されてきた。これらの方法およびシステムは、医療診断、食品および飲料の試験、環境モニタリング、製造品質管理、創薬、ならびに基礎科学研究を含む広範な分野において不可欠である。
【0006】
マルチウェルアッセイプレート(微量定量プレートまたはマイクロプレートとしても知られている)は、複数のサンプルの処理および分析のための標準形式になっている。マルチウェルアッセイプレートは、様々な形式、サイズ、および形状を取り得る。便宜上、ハイスループットアッセイ用サンプルを処理するために使用される計測装置のためのいくつかの標準が登場した。マルチウェルアッセイプレートは、通常、標準のサイズおよび形状で作製され、ウェルの標準的な配列を有する。ウェルの配列としては、96個ウェルプレート(12×8アレイのウェル)、384個ウェルプレート(24×l6アレイのウェル)、および1536個ウェルプレート(48×32アレイのウェル)に見られるものが挙げられる。ANSI/SLASは、推奨されるマイクロプレート仕様を公開している。(www.slas.org/SLAS/assets/File/ANSI_SLAS l-2004_FootprintDimensions.pdfを参照。)
【0007】
マルチウェルプレートでアッセイ測定を実施するために、様々なプレートリーダが利用可能であり、これには、光学的吸光度の変化、ルミネッセンスの放出(例えば、蛍光、燐光、化学発光、もしくは電気化学発光)、放射線の放出、光散乱の変化、および磁場での
変化を測定するリーダが含まれる。Wohlstadterらの米国特許出願公開2004/0022677および米国特許第7,842,246号は、それぞれ、マルチウェルプレート形式で単一および多重ECLアッセイを実行するのに有用である解決策について記載している。それらは、ウェルの壁を形成するスルーホールを有するプレート上部、およびウェルの底部を形成するためにプレート上部に対して封止されるプレート底部を備えるプレートを含む。このプレート底部は、結合反応のための固相支持体、ならびに電気化学発光(ECL)を誘導するための電極の両方として機能する電極表面をそれらのウェルに提供するパターン形成された導電層を有する。この導電層はまた、電気エネルギーを電極表面に印加するための電気接点も含み得る。
【0008】
アッセイを実施するためのそのような既知の方法およびシステムにもかかわらず、マルチウェルプレートアッセイ形式において、自動サンプリング、サンプル調製、および/またはサンプル分析を実施するための改良された装置、システム、方法、試薬、およびキットが必要とされる。
【0009】
さらに、CCD(電荷結合デバイス)カメラシステムなどのプレート読み取りシステムは、マルチウェルアッセイプレート内の分析物の特性を測定するために、従来から使用されている。従来のCCDカメラシステムは、分析物測定間の過度なクロストークに悩まされる場合がある。ある1つの分析物の測定は、別の、続いて測定される分析物の測定に悪影響を及ぼす可能性がある。本明細書に記載される装置、システム、および方法は、マルチウェルアッセイプレート内の分析物を測定するためのCCDカメラシステムにおけるクロストークの量を低減または除去することができる。
【発明の概要】
【0010】
本発明の実施形態には、分析物間のクロストークを低減するアッセイプレート内で複数の分析物を測定するように構成されたシステムが含まれる。このシステムは、CCD、アナログフロントエンド回路、およびアナログからデジタルへの回路を含むCCDカメラを含み、そのCCDカメラは、複数の分析物を測定するように構成され、集束システム、および複数の分析物の測定を容易にするためのアッセイプレートを配置するように構成されたプレートキャリッジシステムに結合される。そのアナログフロントエンド回路は、CCDのシリアルレジスタから読み出し信号を受信し、読み出し信号をアナログからデジタルへの回路に転送して、複数の画像データポイントを生成するように構成され、そのアナログフロントエンド回路は、複数の分析物のうちの第1の分析物の第1の測定と、複数の分析物のうちの第2の分析物の第2の測定との間のクロストークを低減するように、連続する画像データポイント読み取り値の間の基準レベルを完全にリセットするように選択された時定数で構成される基準レベルクランプ回路を含む。
【0011】
別の実施形態において、CCDカメラによって実行されるアッセイプレート内の複数の分析物の測定の間のクロストークを低減する方法がある。この方法は、CCDカメラを用いて複数の分析物を測定することであって、そのCCDカメラは、CCD、アナログフロントエンド回路、およびアナログからデジタルへの回路を含み、集束システム、および複数の分析物の測定を容易にするようにアッセイプレートを配置するように構成されたプレートキャリッジシステムに結合されている、測定することと、アナログフロントエンド回路を介して、CCDのシリアルレジスタから読み出し信号を受信することと、を含む。その読み出し信号を受信することは、第1の画像データポイントを生成するように、シリアルレジスタから、アナログからデジタルへの回路に読み出し信号を転送すること、時定数を有する基準レベルクランプ回路を介して、アナログフロントエンド回路の基準レベルを完全にリセットすること、および第2の画像データポイントを生成するように、シリアルレジスタから、アナログからデジタルへの回路に読み出し信号を転送すること、を含み、その時定数は、複数の分析物のうちの第1の分析物の第1の測定と、複数の分析物のうち
の第2の分析物の第2の測定との間のクロストークを低減するように選択される。
【0012】
本発明は、機器を対象にしており、その機器は、
接触プラットフォームであって、その接触プラットフォームは、少なくとも一対の電気接触プローブを備え、その少なくとも一対の電気接触プローブは、直立したばね荷重ピンを備える、接触プラットフォームと、
電圧を少なくとも一対の電気接触プローブに伝導させるように、電圧源に動作可能に接続されるコントローラと、
電圧がプレート上の1つ以上のウェルに印加されることができるように、単一ウェルアドレス指定可能なマルチウェルプレートを搬送し、マルチウェルプレートを接触プラットフォームに対して位置決めするように適合されたプレートキャリッジフレームと、
接触プラットフォームの上方に位置決めされた光学センサと、その光学センサに対して接触プラットフォームを位置合わせするように、接触プラットフォームから光学センサに向けて突出する光源を備える第1の位置合わせ機構と、を備える。
その機器は、プレートキャリッジフレーム上に配置された複数のアパーチャを備える第2の位置合わせ機構をさらに備え得、プラットフォームからの光源は、プレートキャリッジフレームを接触プラットフォームにさらに位置合わせするように、アパーチャを通って照光される。プレートキャリッジフレームは、マルチウェルプレートの外周部上の裾部を支持するようにサイズおよび寸法決定される矩形開口部を備え得る。複数のアパーチャは、矩形開口部の少なくとも2つの側面上に位置決めされる。プレートキャリッジフレームは、マルチウェルプレートをプレートキャリッジフレームに保持するためのラッチ機構を備え得る。
その機器は、光学センサが集束機構に対して集束されることを可能にするプレートキャリッジフレーム上に配設される集束機構をさらに備え得る。その機器は、プレートキャリッジフレーム上に配置される導電性表面を備える第3の位置合わせ機構をさらに備え得、その結果、接触プラットフォーム上の電気接点が導電性表面と接触するようになったときに、電流は、接触プラットフォーム上の電気接点の間に流れて、電気接点とプレートキャリッジフレームとの間の所定の距離を示す。
【0013】
特定の実施形態において、本発明は、マルチウェルプレート内でルミネッセンスアッセイを実施するための機器を含む。その機器は、光検出サブシステムおよびプレート操作サブシステムを備え、そのプレート操作サブシステムは、
(a)ハウジングおよび取り外し可能な引き出しを備える遮光容器であって、
(x)そのハウジングは、ハウジング上部、ハウジング前部、1つ以上のプレート導入アパーチャ、検出アパーチャ、プレート導入アパーチャを封止するためのスライド式遮光扉、および、ハウジングが取り外し可能な引き出しを受容するように適合される複数の位置合わせ特徴、を備え、
(y)取り外し可能な引き出しは、
(i)ハウジング内の取り外し可能な引き出しを光検出サブシステムに対して位置合わせさせるように、複数の位置合わせ特徴に嵌合および係合するように構成された複数のコンパニオン位置合わせ特徴を含むx-yサブフレームであって、取り外し可能な引き出しの重量がハウジング上部によって支持されるx-yサブフレーム、
(ii)昇降され得るプレートリフトプラットフォームを有する1つ以上のプレート昇降機であって、プレート導入アパーチャの下方に位置決めされている、1つ以上のプレート昇降機、および
(iii)1つ以上の水平方向にプレートを並進させるためのプレート並進ステージであって、そのステージは、プレートを支持するためのプレートキャリッジを備え、そのプレートキャリッジは、プレート昇降機がプレートキャリッジの下方に位置決めされてプレートにアクセスおよび持ち上げることを可能にする開口部を有し、そのプレート並進ステージは、検出アパーチャの下方に位置決めし、かつプレート昇降機の上方にプレートを
位置決めするように構成されている、プレート並進ステージ、を備える、遮光容器と、
(b)プレート導入アパーチャの上方に、ハウジング上部の上に装着される1つ以上のプレートスタッカであって、そのプレートスタッカは、プレートをプレート昇降機に受容または送達するように構成される、プレートスタッカと、を含み、
光検出サブシステムは、容器上部の上に装着され、かつ遮光シールで検出アパーチャに結合される光検出器を備える。
【0014】
その機器は、マルチウェルプレート内でルミネッセンスアッセイを実施するために使用され得、マルチウェルプレートを支持するためのプレートキャリッジであって、フレームおよびプレートラッチ機構を含む、プレートキャリッジ、を含むプレート操作サブシステムを備える。そのプレートラッチ機構は、
(a)プレートキャリッジ棚状突起と、
(b)棚状突起に対して垂直であり、かつ棚状突起に対して近接端部および遠位端部を含むプレートクランプアームであって、そのアームは、近接端部でフレームに取り付けられ、アームは、遠位端部でx-y平面内で回転可能であり、アームは、プレートに係合するように構成された傾斜面を含む上位クランプをさらに備える、プレートクランプアームと、
(c)ロッド、ペダル、およびばねを備えるプレート位置決め要素であって、そのロッドは、アームに対して実質的に垂直であり、棚状突起に対して実質的に平行であり、ばねを介してアームの遠位端部に取り付けられ、そのペダルは、ある角度でロッドに取り付けられている、プレート位置決め要素と、
(d)アームに対して実質的に平行であり、位置決め要素と棚状突起との間に実質的に垂直で、かつ配設されているプレート壁であって、その壁は、(i)マルチウェルプレート裾部に係合するように構成された下部プレートクランプ、および(ii)その下部プレートクランプを裾部に向けて駆動するように構成された下部プレートクランプ傾斜路、を備える、プレート壁と、を備える。
【0015】
本発明は、すぐ上で考察した機器内にマルチウェルプレートを係合させる方法をさらに対象にする。この方法は、
(a)プレートをフレーム上に配置するステップと、
(b)プレート位置決め要素のばねを圧縮し、それによって、ペダルをプレートに対して棚状突起に向けて押し、かつx-y平面内でアームをプレートに向けて回転させるステップと、
(c)上位クランプをプレートに接触させ、それによって、キャリッジ壁に向けてプレートを押すステップと、
(d)下部プレートクランプを裾部に接触させ、それによって、プレートをキャリッジ内にロックするステップと、を含む。
【0016】
さらに、本発明は、マルチウェルプレート内でルミネッセンスアッセイを実施するための機器を提供し、マルチウェルプレートを支持するためのプレートキャリッジ、およびプレートラッチ機構を含むプレート操作サブシステムを備え、
そのマルチウェルプレートは、少なくとも第1、第2、第3、および第4の側面を有し、第1および第3の側面は、互いに実質的に平行であり、第2および第4の側面は、互いに実質的に平行であり、
プレートキャリッジは、マルチウェルプレートと実質的に同じ形状を有し、かつマルチウェルプレートの外周部の周りに位置決めされた棚状突起を支持するためにマルチウェルプレートよりも小さい寸法を有するアパーチャを画定し、そのプレートキャリッジは、マルチウェルプレートの第1および第2の側面にそれぞれ対応する第1(501)および第2(513)の止め具を備え、
プレートラッチ機構は、1つのマルチウェルプレートを受容するための開放構成から、
マルチウェルプレートをプレートキャリッジにラッチするためのクランプ構成に移動可能であり、
プレートラッチ機構は、クランプ位置に付勢され、かつマルチウェルプレートの第1の側面を第1の止め具に向けて押すように適合されたペダル(511)を有する第1のラッチ部材(509)と、クランプ位置に向かって付勢され、プレートクランプアーム(502)に枢動可能に接続され、かつ第2の側面を第2の止め具(513)に向けて押すように適合されているブラケット(503)を有する、プレートクランプアーム(502)と、を備え、第1のラッチ機構(509)は、プレートクランプアーム(502)に接続されており、
プレートラッチ機構は、第2の止め具(513)に近接して位置決めされて、プレートキャリッジへのマルチウェルトレイの裾部にクランプする少なくとも1つの付勢されたクランプ(515)を備える。
【0017】
またさらに、本発明は、システムであって、
(i)単一ウェルアドレス指定可能なプレートまたはマルチウェルアドレス指定可能なプレートからなる群から選択されるマルチウェルアッセイプレートと、
(ii)単一ウェルアドレス指定可能なプレートの単一ウェルから、およびマルチウェルアドレス指定可能なプレートのウェルのグループ分けから電気化学発光(ECL)を測定するように構成された装置と、を備える、システム、を提供する。
【0018】
本発明は、単一ウェルアドレス指定可能なプレートまたはマルチウェルアドレス指定可能なプレートからなる群から選択されるプレートタイプのマルチウェルプレートからのルミネッセンスを測定するための装置をさらに含み、その装置は、
(i)プレートタイプを識別するためのプレートタイプ識別インターフェースと、
(ii)マルチウェルプレートをx-y平面内で保持および並進させるためのプレート並進ステージと、
(iii)複数の接触プローブを含み、ならびにプレート並進ステージの下方に、かつそのステージの運動範囲内に位置決めされたプレート接触機構であって、その機構は、並進ステージ上に位置決めされたときに、プローブにプレートの底部接触表面と接触および非接触させる機構を昇降させることができる接触昇降機の上に装着される、プレート接触機構と、
(iv)接触プローブを介してプレートに電位を印加するための電圧源と、
(v)プレート並進ステージの上方に位置決めされ、かつプレート接触機構に垂直に位置合わせしている画像化システムであって、
(a)その画像化システムは、P×Qマトリックスのウェルを画像化するように構成され、プレート接触機構は、マトリックスに関連付けられた底部接触表面に接触するように構成され、プレート並進ステージは、画像化システムおよびプレート接触機構と位置合わせしてマトリックスを位置決めするためのプレートを並進するように構成され、
(b)その装置は、単一ウェルアドレス指定可能なプレートのマトリックス内の各ウェルに電圧を順次印加し、かつマトリックスを画像化するように構成され、
(c)その装置は、マルチウェルアドレス指定可能なプレートのマトリックス内の各ウェルに電圧を同時に印加し、かつマトリックスを画像化するように構成されている、画像化システムと、備える。
【0019】
また、単一ウェルアドレス指定可能なプレートまたはマルチウェルアドレス指定可能なプレートからのルミネッセンスを測定するための方法も提供され、この方法は、
(a)プレート並進ステージ上にプレートを装填することと、
(b)プレートを、単一ウェルまたはマルチウェルアドレス指定可能なプレートであるものとして識別することと、
(c)プレート並進ステージを移動させて、ウェルの最初のP×Qマトリックスをプレ
ート接触機構および画像化システムに位置合わせさせることと、
(d)接触機構上の接触プローブがウェルのP×Qマトリックスに関連付けられた底部接触表面に接触するように、プレート接触機構を上昇させることと、
(e)プレートが単一ウェルアドレス指定可能なプレートである場合、グループが画像化されている間に、グループ内の各ウェルに電圧を順次印加することによって、P×Qマトリックス内でルミネッセンスを生成および画像化することと、
(f)プレートがマルチウェルアドレス指定可能なプレートである場合、マトリックスが画像化されている間に、グループ内の各ウェルに電圧を同時に印加することによって、P×Qマトリックス内でルミネッセンスを生成および画像化することと、
(g)プレート内の追加のP×Qマトリックスについて、ステップ(c)からステップ(f)までを繰り返すことと、を含む。
【0020】
本発明はまた、CCDセンサおよび光学レンズシステムを有する光検出システムを備える機器に関する。この光検出システムは、マルチウェルプレート内で同時に単一ウェルの上方に位置決めされて、当該単一ウェルの電気化学発光分析を実施する。CCDセンサの面積は、当該単一ウェルの面積と実質的に同じである。光検出システムは、CCDセンサを冷却するための、サイズおよび寸法決定された冷却デバイスをさらに備える。ある角度で配向された少なくとも1つのファンを備える熱除去システムは、当該冷却デバイスから排気された熱せられた空気を流れ充満空間に引き込み、そして機器から外側に出すように提供される。
【0021】
光学レンズシステムは、複数のレンズを備え、またそれらの複数のレンズは、球面および非球面の両方を有することが好ましい。複数のレンズの面積は、当該単一ウェルの面積よりも大きく、CCDセンサの面積よりも大きい。
【0022】
光検出システムがハウジング上面に実質的に垂直方向に装着され、熱除去システムもまた、ハウジング上面に装着されることが好ましい。
【0023】
少なくとも1つのファンが流れ充満空間内に収容され、その流れ充満空間は、少なくとも1つの印刷回路基板(PCB)をさらに収容し、かつ少なくとも1つのPCBと、充満空間の外側の電気構成要素との間の電気接続を可能にする少なくとも1つの開口部を備えることが好ましい。フローバッフルが充満空間内に位置決めされて、機器内の空気の再循環を最小限に抑えることが好ましい。加熱された空気が、機器を出る前に、少なくとも1つのPCBを横切ってカメラおよびプレートから流れ去ることが好ましい。
【0024】
また、接触プラットフォームを備える機器が提供され、その接触プラットフォームは、好ましくは直立したばね荷重ピンである少なくとも一対の電気接触プローブと、電圧源に動作可能に接続されて、電圧を少なくとも一対の電気接触プローブに伝導させるコントローラと、単一ウェルアドレス指定可能なマルチウェルプレートを搬送し、接触プラットフォームに対してマルチウェルプレートを位置決めするように適合されたプレートキャリッジフレームと、を備え、その結果、電圧は、プレート上の1つ以上のウェル、および垂直リフトシステムに印加され得る。垂直リフトシステムは、好ましくは、接触プラットフォームを移動させて、当該マルチウェルプレートの底部に配置される対応する電極接点に接触させる。垂直リフトシステムは、好ましくは、親ねじのギヤ付き部分と噛み合うウオームギヤを備え、その結果、ウオームギヤの回転が、親ねじを回転させる。親ねじは、接触プラットフォームを支持する支持ベースにねじ込み可能に取り付けられ、その結果、親ねじの回転は、支持ベースおよび接触プラットフォームを昇降させる。
【0025】
モータがウオームギヤを回転させるように適合され、そのモータがコントローラによって制御されることが好ましい。垂直リフトシステムは、支持ベースがガイドシャフトに沿
ってスライドすることを可能にするために、支持ベース内の対応するホール内でスライドするようにサイズおよび寸法決定されたガイドシャフトを備えることができる。ウオームギヤが実質的に水平の方向に配向され、親ねじが実質的に垂直の方向に配向されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の前述、ならびに他の特徴および利点は、添付図面に例示されるように、本明細書の実施形態の以下の説明から明らかであろう。それらの添付図面は、本明細書に組み込まれ、明細書の一部を形成し、本発明の原理を説明すること、および当業者が本発明を作製および使用することを可能にすることにさらに役立つ。それら図面は、縮尺通りではない。
【0027】
【
図1(a)-(b)】図案化されたカバーを有する装置100のそれぞれの正面図および背面図を示し、
図1(c)~(d)は、それぞれ、カバーを有さない装置の対応する正面図および背面図を示す。
【
図2(a)-(c)】プレート操作サブシステムおよび光検出サブシステムの詳細図を示す。
【
図3】装置100内のプレート操作サブシステムの取り外し可能な引き出しの図を示す。
【
図4(a)-(f)】取り外し可能な引き出し240、および引き出し内に位置決めされたサブ構成要素の様々な詳細図を示す。
【
図5(a)-(o)】プレートキャリッジおよびプレートラッチ機構の詳細図を示す。
【
図6(a)-(b)】装置内に組み込むことができる光学集束機構の2つの代替の実施形態を示す。
【
図7(a)-(l)】プレート接触機構の詳細図を示す。
【
図8(a)-(c)】光検出サブシステムの様々な構成要素を示す。
【
図9】光検出サブシステムで使用され得るレンズ構成の1つの非限定的な実施形態を示す。
【
図10(a)-(b)】図案化されたカバーを有する装置1000のそれぞれの斜視図および側面図である。
図10(c)は、部分的に切断された図案化されたカバーを有する装置100の斜視図である。
図10(d)は、部分的に切断された図案化されたカバーを有する装置1000の斜視図である。
【
図11(a)-(b)】装置1000のためのプレート接触機構の詳細図を示す。
図11(c)は、接触プラットフォームの拡大図である。
図11(d)は、単一ウェルアドレス指定可能なマルチウェルプレート上の電気接点ピンおよび電気接点の部分的な重なりを示す略図である。
【
図12】カバーのない装置1000の斜視図である。
図12(b)は、熱除去システムを示す拡大部分斜視図である。
【
図13】別の熱除去システムを示す拡大部分斜視図である
【
図15】光検出システム1010内のレンズの概略図である。
【
図16】本明細書の実施形態と一致するCCDカメラデバイスの概略図である。
【
図17】従来のCCDカメラシステムを用いて完了した試験測定と、本明細書の実施形態と一致する改良されたCCDカメラシステムを用いて完了した試験測定との間の比較を例示する。
【
図18】従来のCCDカメラシステムを用いて実行された分析物測定の結果を例示する。
【
図19】分析物測定クロストークを低減するために最適化された例示的なアナログフロントエンド回路の概略図である。
【
図20】クロストークが低減される、分析物を測定するプロセスフローを図示してあるプロセスフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
発明の詳細な説明のセクションでは、本発明のある特定の実施形態の説明が提供され、それらは、限定的なものとみなされるべきではなく、ある特定の本発明の態様を例示することが企図される。本明細書において、特に定義されない限り、本発明に関連して使用される科学的および技術的用語は、当業者によって通常理解される意味を有するものとする。さらに、特に文脈によって必要とされない限り、単数形の用語は、複数形を含み、また複数形の用語は、単数形を含むものとする。冠詞「a」および「an」は、本明細書において、その冠詞の文法的な対象の1つまたは2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「要素」は、1つの要素または2つ以上の要素を意味する。さらに、「備える」を記載する請求項は、他の要素がその請求項の範囲内に含まれることを可能にし、本発明はまた、「備える」用語ではなく、移行句「本質的に~からなる」(すなわち、他の要素がその発明の実施に実質的に影響を及ぼさない限り、他の要素がその請求項の範囲内に含まれることを可能にする)または「~からなる」(すなわち、本発明に通常関連付けられる付随的要素または重要でない作用を除いて、その請求項に列挙された要素のみを許容する)を列挙するそのような請求項によっても記載される。これらの3つの移行のいずれも、本発明を請求するために使用され得る。
【0029】
本発明の特定の実施形態が、図を参照して、以降に説明される。以下の詳細な説明は、本来、単なる例示的なものであり、本発明、ならびに本発明の用途および使用を限定することを意図するものではない。さらに、前述の技術分野、背景技術、簡単な要約、または以下の詳細な説明で提示される任意の明示的または暗示的な理論によって拘束される意図はない。
【0030】
マルチウェルプレート形式でアッセイを実施するための装置が、本明細書に記載されており、その装置は、以下の望ましい属性、すなわち、(i)高感度、(ii)広いダイナミックレンジ、(iii)小さいサイズおよび軽量、(iv)アレイベースの多重化機能、(v)自動式動作、ならびに(vi)複数のプレートを処理する能力、のうちの1つ以上を有する。我々はまた、そのような装置で使用される構成要素およびサブシステム、ならびにその装置およびサブシステムを使用する方法についても説明する。装置および方法は、1つ以上の検出可能な信号を測定する技術を含むが、これらに限定されない様々なアッセイ検出技術とともに使用され得る。それらのいくつかは、電気化学発光測定に好適であり、特に、Wohlstadterらの米国特許出願公開2004/0022677および米国特許第7,842,246号のそれぞれ、およびGlezerらの米国特許第7,807,448号に記載されているものなどの、一体化された電極を備えるマルチウェルプレート(およびこれらのプレートを使用するアッセイ方法)とともに使用するのに好適である実施形態である。
【0031】
好ましい実施形態において、マルチウェルプレート内でルミネッセンスアッセイを実施するための装置が提供される。1つの実施形態は、光検出サブシステムおよびプレート操作サブシステムを備え、そのプレート操作サブシステムは、ルミネッセンス測定が実行され得る光のない環境を提供する遮光容器を含む。この容器は、ハウジング、およびハウジング内に配置される取り外し可能な引き出しを含む。このハウジングはまた、プレートが引き出し内で(手動でまたは機械的に)プレート並進ステージ上に降下され得るか、またはそれから取り外され得る、1つ以上のプレート導入アパーチャを有するハウジング上部も含む。ハウジング内のスライド式遮光扉を使用して、ルミネッセンス測定を実行する前に、プレート導入アパーチャを環境光からシールする。ハウジングは、さらに検出アパーチャを含み、この検出アパーチャは、ハウジング上部上に装着された光検出器、およびプ
レート導入アパーチャの上方のハウジング上部の上に装着された1つ以上のプレートスタッカに結合されており、そのプレートスタッカは、プレートを、取り外し可能な引き出し内に受容させるかまたは送達するように構成される。取り外し可能な引き出しは、プレート並進ステージを含み、そのプレート並進ステージは、引き出し内でプレートを水平に、特定のアッセイ処理および/または検出ステップが実行される装置内のゾーンまで並進する。取り外し可能な引き出しはまた、引き出し内で昇降することができる、プレートリフトプラットフォームを備える1つ以上のプレート昇降機も含み、そのプレート昇降機は、1つ以上のプレート導入アパーチャの下方に位置決めされる。プレート並進ステージは、プレートを検出アパーチャの下方に位置決めし、プレートをプレートリフトプラットフォーム上のプレート昇降機の上方に位置決めするように構成される。
【0032】
この装置はまた、ハウジング上部上の検出アパーチャに装着される光検出器も含む(例えば、遮光コネクタまたはバッフルを介して)。ある特定の実施形態において、光検出器は、CCDカメラなどの画像化光検出器であり、レンズもまた含んでもよい。この光検出器は、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、光電子増倍管などの従来の光検出器であってもよい。好適な光検出器はまた、そのような光検出器のアレイも含む。使用され得る光検出器はまた、CCDおよびCMOSカメラなどの画像化システムも含む。この光検出器はまた、検出器上に光を方向付け、集束、および/または画像化するためのレンズ、光ガイド等も含むことができる。ある特定の具体的な実施形態において、画像化システムを使用して、アッセイプレートの1つ以上のウェル内の拘束領域のアレイからのルミネッセンスを画像化し、アッセイ装置は、アレイの個々の要素から放出されるルミネッセンスのルミネッセンス値を報告する。光検出器は、遮光シールを備えるハウジング上部上に装着される。この装置の追加の構成要素は、プレートへの電気接触を行い、(例えば、ECLを誘導するために)光検出器の下に位置決めされるウェル内の電極に電気エネルギーを供給するためのプレート接触を含む。
【0033】
本発明の装置の特定の実施形態が、各図に例示される。
図1(a)~(b)は、様式化されたカバーを有する装置100のそれぞれの正面図および背面図を示し、
図1(c)~(d)は、カバーを有さない装置のそれぞれの対応する正面図および背面図を示す。図に示すように、例えば、
図1(c)において、装置は、光検出サブシステム110およびプレート操作サブシステム120を含む。さらに詳細な図が、
図2(a)~(b)に提供されている。このプレート操作サブシステム120は、遮光容器130を含み、その遮光容器は、ハウジング上部232、底部233、前部234、および後部235を有するハウジング231を備える。そのハウジングはまた、複数の位置合わせ特徴も含み、そのハウジングは、取り外し可能な引き出し前部を備え、かつ単一の鋳造要素からなる取り外し可能な引き出し240を受容するように適合されている。取り外し可能な引き出しの壁は、複数のコンパニオン位置合わせ特徴を含む、
図4(d)の剛性のあるx-yサブフレーム415を画定する。引き出しがハウジング内に適切に配置されると、位置合わせおよびコンパニオン位置合わせ特徴は、嵌合および係合し、それによって、引き出しおよびその構成要素を光検出サブシステムの構成要素に位置合わせする。位置合わせ/コンパニオン位置合わせ特徴が係合されると、取り外し可能な引き出しの重量は、ハウジング上部によって支持される。
図1(a)~(b)に図示してある装置100内の取り外し可能な引き出し240は、
図3に最もよく示され、部分的に開放または閉鎖された位置にある。取り外し可能な引き出し240はまた、以下に詳細に説明される様々な内部サブシステムを搬送する
図4(a)、およびハウジング231内に組み付けられる
図4(b)にも例示されており、そこでは、明確にするため、ハウジング後部235およびハウジング側面が省略されている。
図4(c)は、取り外し可能な引き出し240を受容するように位置決めおよび寸法決定された開口部、ならびに位置合わせ特徴405、406、および407を有するハウジング231を示す。
【0034】
一実施形態において、プレート操作サブシステムは、サブシステム内のプレートを検出するように構成されたプレートセンサをさらに備える。好適なプレートセンサとしては、容量性センサ、接触スイッチ、超音波センサ、重量センサ、もしくは光学センサ、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
図2(a)を参照すると、ハウジング上部232はまた、1つ以上のプレート導入(および排出)アパーチャ236および237もそれぞれ含み、プレートは、それらを通って、(手動でまたは機械的に)プレート並進ステージに下降されるか、またはそれから取り外される。スライド式遮光扉(
図2(c)に239として示されている)を使用して、ルミネッセンス測定を実行する前に、プレート導入アパーチャ236、237を環境光からシールする。さらに、ハウジング上部はまた、プレート上の識別子に格納されたデータを読み取り、処理するための識別子コントローラも含む。一実施形態において、識別子コントローラは、ハウジング上部内のアパーチャ上に遮光シールを介して装着されたバーコードリーダ(238)であり、そこでは、バーコードリーダは、ハウジング内のプレート並進ステージ上に配置されたプレート上のバーコードを読み取るように構成される。好ましい実施形態において、プレート上のバーコードは、プレートが引き出しの中に降下されると、読み取られる。代替または追加の実施形態において、プレートは、EEPROMまたはRFIDを備え、ハウジング上部および/または引き出しは、これらの識別子の各々と通信するのに好適な識別子コントローラを含む。さらなる追加の実施形態において、識別子コントローラが、装置とは別個に提供され得る。この実施形態において、1つのプレートに取り付けられか、または1つのプレートもしくは一組のプレートに関連付けられた識別子に格納された情報は、装置に取り付けられたコンピュータおよび/もしくはネットワークを介してその装置に転送され、かつ/またはコンピュータおよび/もしくはネットワークのユーザインターフェースを介して手動で入力される。この点において、米国特許出願公開第US2011/0022331号および米国特許第8,770,471号が参照され、それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
プレート操作サブシステムは、プレート導入アパーチャ236、237の上方のハウジング上部232上に装着された1つ以上のプレートスタッカをさらに含み、そのプレートスタッカは、プレートをプレート昇降機に受容または送達させるように構成されている。プレート操作サブシステムは、所望の条件下でサブシステムの温度を維持するための加熱および/または冷却機構(例えば、抵抗ヒータ、ファン、ヒートシンク、または熱電ヒータ/冷却器)を任意選択的に含む。それはまた、湿度制御機構(例えば、所望の条件下でサブシステムの湿度を維持するための加湿器および/もしくは除湿器、または乾燥チャンバ)も含み得る。
【0037】
プレート操作サブシステムの取り外し可能な引き出しの詳細図が、
図4に示されている。
図4(a)を参照すると、引き出しは、(i)昇降され得る、プレートリフトプラットフォーム401および402を備えるプレート昇降機機構400、ならびに(ii)プレートを1つ以上の水平方向に並進させるためのプレート並進ステージ403であって、そのステージは、プレートを支持するためのプレートキャリッジ404を含む、プレート並進ステージ、を含む。プレートキャリッジ404は、好ましくは、プレートキャリッジ404の下方に位置決めされたプレート昇降機400がプレートにアクセスしてそれを上昇させることを可能にする開口部420を有し、プレート並進ステージ403は、ハウジング上部232上の検出アパーチャの下方に、かつ光検出システム110内の光検出器の下方にプレートを位置決めし、またプレート昇降機400の上方にそれらのプレートを位置決めするように構成される。プレート昇降機400のプレートリフトプラットフォーム401、402は、装置内での移動中にプレートリフトプラットフォーム上でプレートの動きを防止するための滑り止め面を備えることが好ましい。プレート並進ステージ403は、水平運動、例えば、引き出し内でプレートを水平に、特定のアッセイ処理および/また
は検出ステップが実行される装置内の1つ以上の領域に向かって並進させるための、実質的に水平の面の上またはX方向およびY方向への運動を有する。1つの非限定的な例において、
図4(e)に例示するように、プレート並進ステージ403は、レール422に沿って1つの水平方向に移動可能であり、プレートキャリッジ404は、プレート並進ステージ403上のレール424上で、直交する水平方向に移動可能である。好ましい実施形態において、プレート並進ステージは、2つの運動軸xおよびyを有し、運動軸に結合されたモータが、ステージ上でのプレートの自動式移動を可能にする。
【0038】
遮光容器130内に取り外し可能な引き出し240を含めることにより、装置の保守性および製造性が強化される。ハウジング231内の引き出し240の適切な位置合わせ、および、したがって、引き出し240内のサブシステムの、光検出サブシステム110との適切な位置合わせを確実にするために、ハウジングは、複数の位置合わせ特徴を含み、引き出しのx-yサブフレームは、ハウジングの位置合わせ特徴に嵌合および係合するように構成された複数のコンパニオン位置合わせ特徴を含む。ハウジング後部235を有するハウジング231内に配置された引き出し240、および明確にするために省略され、かつ光検出サブシステム110に適切に位置合わせされたハウジング側面の切取図が、
図4(b)に示されている。
【0039】
好ましい実施形態において、引き出し240の位置合わせ特徴は、複数のホールを備え、ハウジング231上の対応する位置合わせ特徴は、それらのホール内に適合するようにサイズ決定された複数のピンを備える。
図4(c)に示すように、ハウジング231は、少なくとも3つの位置合わせピン、すなわち、ハウジング前部234上に位置決めされているピン405および406、ならびにハウジングの反対側の端部に位置決めされているピン407、を含むことが好ましい。必要に応じて、追加の位置合わせ特徴が、ハウジングおよび引き出し内に含まれ得る。位置合わせ特徴がハウジング上部に対して位置決めまたは較正され、その結果、引き出し240の重量がハウジング上部232によって支持されることが好ましい。位置合わせピン405、406、および407に嵌合および係合するように構成されている、引き出し上のコンパニオン位置合わせ特徴は、
図4(d)にホール408、409、410として示されている(
図4(d)に示された実施形態において、位置合わせピン405は、ホール408に嵌合および係合し、ピン406は、ホール409に嵌合および係合し、ピン407は、ホール410に嵌合および係合する)。加えて、引き出しはまた、位置合わせラッチ416および417(
図4(a)に示す)も含み、それらの位置合わせラッチは、コンパニオン位置合わせ受け金具418および419(
図4(c))に嵌合および係合して、ハウジング内の引き出しをロック/ロック解除する。
【0040】
位置合わせ特徴405~407および408~410がハウジング上部232に位置決めまたは較正され、同時に取り外し可能な引き出し240がX-Yフレーム415によって誘導されるハウジング231中に挿入されることに起因して、取り外し可能な引き出し240がハウジング231中に完全に挿入された後、ハウジング上の引き出し240および構成要素の重量は、ハウジング上部232によって支持される。この特徴の利点は、光検出システム110もまた、ハウジング上部232上に装着されているため、引き出し240とハウジング上部232との間のいかなる間隙または間隔も考慮することを必要とせずに、引き出し240上のサブシステムの、光検出システム110との任意の較正または位置合わせが光検出システム110に対して直接実行することができることである。
【0041】
1つ以上の追加の係合/ロック特徴が、例えば、
図4(e)に示すように、ハウジングおよび/または引き出し内に含まれ得、そこには、ばね荷重ピン411が、引き出し240に装着され、プレートキャリッジ403内に位置決めされたホール412に嵌合および係合するように構成される。一実施形態において、ソレノイドを使用して、ピン411な
どのばね荷重ピンを作動させる。
図4(f)に示す実施形態において、プレートキャリッジおよびプレート並進ステージが位置合わせされたときに、プレート並進ステージ内の位置合わせ特徴、すなわち、ピン411は、
図4(f)に示すように、プレートキャリッジ内の対応するロック特徴、すなわち、要素412に嵌合および係合する。これらの位置合わせおよび/または係合特徴は、プレートキャリッジを所定の位置にロックして、例えば、輸送中および/または組み付け中の損傷からサブアセンブリを保護する。
【0042】
さらに好ましい実施形態において、
図4(c)~(d)に示すように、ハウジング上部は、電気接続接触機構413を備え、引き出し前部は、コンパニオン電気接続、すなわち、要素414を備え、この電気接続およびそのコンパニオンは、ハウジング内の引き出しの適切な挿入および位置合わせ時に、互いに嵌合および係合するように構成される。
【0043】
図4(a)を参照すると、好ましい実施形態において、プレートキャリッジは、キャリッジプラットフォーム404と、
図5(a)~(b)に示すように、キャリッジプラットフォーム404上に配置された、以下に426としてラベル付けされる例示的なプレートを受容および係合するように構成されたプレートラッチ機構を備える(
図5(a)は、所定の位置にロックされたプレート426を有するプレートキャリッジの図を示し、
図5(b)は、ロック位置でプレートに視認可能であり係合されたプレートラッチ機構の構成要素を有する同じ図を示す)。
図5(b)に示すように、プレートの外側縁端部は、マルチウェルプレートの標準的な設計規則に従い、プレートの壁を取り囲み、かつそれよりも低い高さにある裾部522を含む(拡大図が
図5(o)に示されている)。言い替えると、裾部522は、プレート426の底部に近接して位置決めされている。プレートラッチ機構は、プレートキャリッジ内の2つの対応する物理的な止め具に対して、プレートの2つの直交側面上の裾部の外側縁端部を押圧するように設計されて、キャリッジ内のプレートの画定された再現可能な位置決めを提供する。プレートラッチ機構はまた、画定された場所での下向きの力をプレート裾部の上部に加えるように設計されて、垂直方向にプレートを再現可能にかつ固定して保持する。
【0044】
プレート426を有するプレートキャリッジ404およびプレートラッチ機構が、
図5(a)~(b)に示されている。プレートラッチ機構の動作を例示する順番は、
図5(c)~5(f)に示され、以下に考察される。特定の実施形態において、プレートキャリッジ404は、少なくとも第1、第2、第3、および第4の側面を有するマルチウェルプレート426(または、本明細書に記載されているような装置内で使用するように構成されたマルチウェル/マイクロタイタープレートと同じ占有面積および外部の物理的な幾何形状を有する消耗品)を支持し、第1および第3の側面は、実質的に互いに平行であり、第2および第4の側面は、実質的に互いに平行である。プレートキャリッジ404は、マルチウェルプレート426の外周部の周りに位置決めされた裾部または棚状突起522を支持するために、マルチウェルプレート426と実質的に同じ形状を有し、かつマルチウェルプレートよりも小さい寸法を有するアパーチャ420を画定する。プレートキャリッジは、第1(501)および第2(513)の停止面をさらに備え、それらの停止面は、プレート426が完全にラッチされたときに、マルチウェルプレートの第1および第2の側面上に裾部522の水平位置をそれぞれ画定する。プレートラッチ機構は、
図5(i)および5(j)に最もよく示されているように、開放構成から移動可能であり、
図5(a)および5(b)に最もよく示されているように、プレート426をクランプ構成に受容させて、プレートをプレートキャリッジにラッチさせる。
【0045】
プレートラッチ機構は、(i)クランプ位置に付勢され、ペダル511、作動ロッド510、およびばね512からなり、付勢力を提供し、好ましくは高いばね力を有する第1のラッチ部材(509)を備える。ペダル(511)は、第1の止め具501、およびばね512によってもクランプ位置に付勢されたプレートクランプアーム(502)に向け
て、マルチウェルプレート426の第1の側面を押圧するように適合され、第1のラッチ機構(509)は、プレートクランプアーム(502)に接続される。プレートラッチ機構は、(ii)プレートクランプアーム(502)に枢動可能に接続され、プレート426の第2の側面を第2の止め具(513)に向けて押圧するように適合されているブラケット(503)をさらに含む。プレートラッチ機構はまた、(iii)プレートキャリッジ404に対してマルチウェルプレート426の裾部522にクランプするために、第2の止め具(513)に近接して位置決めされ、それによって、垂直運動を防止する少なくとも1つの付勢されたクランプ(515)も備える。クランプ515は、プレート裾部に係合し、プレートの裾部に下向きの力を加える。ブラケット(503)は、少なくとも2つの脚部(504、506)を備え、その脚部の両方がマルチウェルプレートの第4の側面に接触していることが好ましい。少なくとも一方の脚部(504、506)は、第2の止め具への横方向の力、およびマルチウェルプレートの裾部への下向きの力の両方を加えるための傾斜路(507、508)を備える(
図5(e)~(i)に示すように)。
【0046】
第1のラッチ部材509は、作動ロッド(510)を備え、その作動ロッドは、ばね(512)によってクランプ位置に付勢され、クランプ位置内にプレートキャリッジの一方の縁端部を通過して延在する(
図5(c)に示すように)。プレートの装填および取り出し中に、プレートキャリッジ404がプレート昇降機と位置合わせして移動したときに、作動ロッド(510)の延在した部分510aは、ハウジング内の物理的な止め具、例えば、引き出し240の後部壁、またはハウジング後部235に対して押圧され、その物理的な止め具は、ロッド(510)の延在した部分510aをキャリッジ内に押圧し、
図5(d)に最もよく示されているように、ロッド510は、まだ係合されておらず、
図5(e)に最もよく示されているように、ロッド510は、押圧されている。プレートキャリッジ404が物理的な止め具に対して移動されたときに、ロッド510、および付勢された両方のクランプ515は押圧され、
図5(d)および5(i)は、明確にするために、ロッド510の後退のみを示していることに留意されたい。ロッド(510)の動きにより、ペダル511がロッド510に向けて強制的に後退して、プレート426のための空間を作る。
図5(c)に示すように、ペダル511は、ロッド510に取り付けられ、ばねのように曲がる能力を有するカンチレバー型アームである。プレートキャリッジ404に固定して取り付けられた支持台524は、ロッド510が内向きに押されたときに、ペダル511が
図5(d)に示す矢印の方向に後退または移動することを強制する。
図5(a)に最もよく示されているように、支持台526はまた、第1のラッチ部材509をカバーするシース526上にも配置され得る。プレートクランプアーム502は、一方の端部528においてロッド510に枢動可能に接続されることが好ましく、反対側の端部530においてプレートキャリッジ404に枢動可能に接続されることが好ましい。ブラケット503は、枢動ポイント531においてプレートクランプアーム502に枢動可能に接続されている。
図5(d)に最もよく示されているように、ロッド510が内向きに押圧されたときに、ペダル511、およびブラケット503を有するプレートクランプアーム502は、後退するか、または開口部420から離れるように移動する。
【0047】
ブラケット503をプレートクランプアーム502に枢動可能に接続することの利点は、ブラケット503が、プレートクランプアーム502に対して、好ましくはわずかに回転することができ、その結果、ブラケット503の脚部504および506の両方が、ラッチ工程中にプレート426と接触することができることである。
【0048】
上で考察したように、プレートキャリッジ404が物理的な止め具に対して移動すると、ロッド510、および付勢された両方のクランプ515は、押圧される付勢されたクランプ515の延在部分515が内向きに押圧されると、この動作により、付勢された端部515bは、ばね532の力に対抗して上向きに上昇する。付勢された端部515bが開放位置に上昇すると、その端部は、プレート426の裾部を受容するようにサイズおよび
寸法決定され、付勢されたクランプ515が解放されると、ばね532は、付勢された端部515bを下向きに強制し、裾部522をクランプして、上向きの運動に対してプレート426を保持する。
【0049】
装置は、ラッチ機構からプレート426を解放するためのエジェクタ(516)をさらに備える。エジェクタ516は、延在した作動要素(521)を有し、プレートキャリッジがプレート昇降機と位置合わせして配置されたときに、機器内の止め具に対して、作動ロッド(510)のように再び押圧され、その結果、エジェクタは、マルチウェルプレート426を第2の止め具513から離れるように移動させる。エジェクタ516は、ばね514によってばね荷重され、任意選択的にオーバートラベル防止器534を含むことが好ましい。エジェクタ516は、作動時に、プレート426を押圧して止め具513から離し、エジェクタ516の作動時に、ロッド510、および付勢されたクランプ515はまた、開放位置に移動され、その結果、プレート426は、止め具513および付勢されたクレーム端部515bから離れるように押圧され得る。オーバートラベル防止器534は、弾性的に変形して、エジェクタのある程度の運動を吸収することができる。キャリッジプレート404がプレートの装填/取り出し位置(すなわち、プレート昇降機と位置合わせしている)から離れるように移動することにより、ロッド(510)およびエジェクタ(516)の動きが逆転し、ラッチ機構をラッチされる構成にリセットする。
【0050】
マルチウェルプレート426をプレートラッチ機構に係合させてプレートキャリッジ404内でプレート426をロックすることが、
図5(i)~(m)に例示されている。
図5(i)は、ペダル511が後退し、アーム502/ブラケット503が開放位置にある状態での第1のラッチ部材509を示す
図5(d)と同様である。そのラッチ機構は、係合されず、
図5(j)の開放位置に留まり、マルチウェルプレート426がプレートキャリッジ404内の開口部420の上に配置されるのを可能にする。
図5(j)に図示してある開放構成において、ペダル511、クランプアーム502、ブラケット503、および付勢されたクランプ515は、開口部420から離れるように付勢されて、プレート426がプレートキャリッジ404内に装填されるのを可能にする。
図5(j)に示すように、延在した部分510aおよび515aは、引き出し240またはハウジング後部235の背面などの戻り止め具に対するプレートキャリッジ404の運動によって、すべて内向きに押圧される。
【0051】
図5(k)に示すように、プレート426がプレートキャリッジ404内に配置され、プレートキャリッジ404が戻り止め具から離れるように移動すると、ペダル511は、支持台524から離れて外側に移動して、第1の止め具501に対してプレート426を押圧および付勢する。プレートクランプアーム502はまた、ロッド510とともに移動して、ブラケット503が第2の止め具513に対してプレート426を押圧するのを可能にする。
図5(k)に示すように、脚部504のみが、プレート426に接触しているが、枢動ポイント531における枢動接続に起因して、第2の脚部506は、ブラケット503が枢動軸531の周りを回転するときに、プレート426に自動的かつ迅速に接触することになる。付勢されたクランプ515は、ばね532によってばね荷重されていることが好ましいが、
図5(l)に示すように、プレートの第2の側面上のマルチウェルプレート426のプレート裾部522に係合し、ブラケット503はまた、プレート裾部522とも係合し、かつそのプレート裾部に押し下げる。上で考察したように、ブラケット503の脚部504および506は、図に示してあるように、角度の付いた傾斜路507、508を有する。脚部504および506がプレート426を押圧すると、傾斜路507、508が、裾部522に接触し、プレート426を2つの方向、すなわち、第2の止め具513に向けて、また下向きに押圧する。
図5(m)に示すように、付勢されたクランプ515は、プレート裾部522に係合する。
【0052】
好ましい実施形態において、プレートキャリッジ404はまた、コントラストおよび焦点を測定するために、上述した光検出システム110内の光検出器などの、装置内の光学センサによって使用される光学集束機構も含む。光学集束機構は、プレートキャリッジに対して、またその結果として、集束のための目標面(すなわち、プレートキャリッジ404内に保持された96個ウェルプレート426のウェルの底部)に対して異なる高さで、少なくとも2つ、または好ましくは、少なくとも3つのパターン形成された面を含む。本発明は、複数の表面を画像化し、またその画像に基づいて目標面に焦点を合わせるのに必要とされる画像調整の大きさおよび方向を計算するための方法を含む。一実施形態において、コントラスト値が、各表面の画像について計算され、焦点の高さは、高さの変化と対比した変化が最小化され、または代替的に、所定の閾値を下回る高さとして決定される。
【0053】
一実施形態において、プレートキャリッジは、プレートキャリッジに対してそれぞれの高さで少なくとも3つのパターン形成された面を含む。光学集束機構の2つの代替の実施形態が、
図6(a)~(b)に示されている。ある特定の好ましい実施形態において、それらの面は、特異な透過性のパターン(例えば、不透明な基板にエッチング形成または切削加工されたパターン、または透明な表面の上にパターン形成された不透明なインクもしくは印刷された薄膜)を有し、それらのパターンは、基板を通って透過した光を使用して画像化され得る。代替の実施形態において、表面/パターンは、透明ではなく、そのパターンは、表面から光を反射させる光源を使用して画像化される。
【0054】
集束機構は、光学センサから離間した少なくともパターン形成された高位、中位、下位の面を含み、パターン形成された中位面、および目標面は、実質的に同じ平面のレベルに位置合わせされ、パターン形成された高位面と、パターン形成された中位面との間の第1の距離、およびパターン形成された中位面と、パターン形成された下位面との間の第2の距離は、実質的に等しく、以下に説明されるように、光学センサおよびパターン形成された面は、高位のパターンと中位のパターンとの間のコントラスト値の第1の対と、中位のパターンと下位のパターンとの間のコントラスト値の第2の対との差が、約±2.0無次元単位の所定の値よりも下回るまで、互いに対して移動される。この差は、±3.0もしくは±4.0、または±1.0程度である。コントラスト差の値が高いほど、焦点合わせは、より容易ではあるが、精度が低くなり、コントラスト差の値が低いほど、焦点合わせは、より困難ではあるが、精度が高くなる。
【0055】
図6(a)~(b)に示すように、その機構は、複数のパターン形成された表面、例えば、少なくとも2つ、および任意選択的に3つのパターン形成された表面(601~603)を含むことが好ましく、パターン形成された表面は、実質的に同じパターン、例えば、グリッドパターンを備える。パターン形成された表面は、グループ化の中で、互いに隣接していることが好ましい。
図6(a)に示す実施形態において、その機構はまた、パターン形成されていない表面604も含む。パターン形成された表面の各々は、平行な平面上に配置されていることが好ましい。好ましい実施形態において、パターン形成された中位面は、所定の量の流体で満たされたマルチウェルプレート426内のウェルの焦点位置と実質上等価である高さに存在する。パターン形成された下位面は、パターン形成された中位面の下方約0.25mmである高さに存在し、パターン形成された上位面は、パターン形成された中位面の上方約0.25mmである高さに存在する。一実施形態において、パターン形成された下位面は、プレートキャリッジの上方(すなわち、プレートがリセットするキャリッジプラットフォームの上方)約4~4.75mmの高さに存在する。パターン形成された下位面は、プレートキャリッジの上方約4.5~4.7mmの高さに存在することが好ましく、パターン形成された下位面は、プレートキャリッジの上方約4.6~4.7mmの高さに存在することが最も好ましい。パターン形成された中位面は、プレートキャリッジの上方約4.5~5.0mmの高さに存在し、プレートキャリッジの上方約4.7~4.9mmの高さに存在することが好ましく、プレートキャリッジの上方約4
.7~4.8mmの高さに存在することが最も好ましい。また、パターン形成された高位面は、プレートキャリッジの上方約4.75~5.10mmの高さに存在し、プレートキャリッジの上方約4.8~5.0mmの高さに存在することが好ましく、プレートキャリッジの上方約4.85~4.95mmの高さに存在することが最も好ましい。表面601、602および603のうちの任意の1つは、パターン形成された中位面、高位パターン面、または下位パターン面であり得ることが留意される。好ましい実施形態において、光学集束機構は、プレートキャリッジに隣接している。
【0056】
したがって、本発明は、光学センサを目標面に集束させるための方法を提供し、この方法は、(a)少なくともパターン形成された高位、中位、および下位の表面601~603を提供するステップであって、パターン形成された中位面、および目標面は、同じ焦点高さに存在し、パターン形成された高位面と、パターン形成された中位面との間の第1の距離、およびパターン形成された中位面と、パターン形成された下位面との間の第2の距離は、実質的に等しい、提供するステップと、(b)光学センサを用いて、パターン形成された高位面と、パターン形成された中位面との間の第1のコントラスト値の差を取得するステップと、(c)光学センサを用いて、パターン形成された中位面と、パターン形成された下位面との間の第2のコントラスト値の差を取得するステップと、(d)第1および第2のコントラスト値の差を比較し、目標面が焦点内に存在するかどうかを判定し、かつ/または目標面を焦点内に配置するのに必要とされる焦点調整の大きさおよび方向を決定するステップと、を含む。
【0057】
動作中、プレート並進ステージ403は、プレートキャリッジ404を並進させて、
図7(a)~7(c)(1)に示す接触機構上に光学集束機構を位置決めし、その光学集束機構は、
図7(c)(1)に示した光放出口725~728などの光源を含む。光放出口725~728は、単一の発光ダイオード(LED)に接続され得、または各光放出口は、それ自体のLEDまたは他の光源を有してもよい。光源が、照光され、光ビームが、光学集束機構の下側、より具体的には表面601~603の下に照らされる。光放出口725~728は、表面601~603への均一な照光を与えることが好ましい。したがって、光検出サブシステム110内の光学センサまたはカメラは、光学集束機構を画像化し、上述したコントラスト値での差を計算し、目標が焦点に合っているかどうかを判定し、かつ/または目標面に焦点を配置するのに必要となる焦点調整の大きさおよび方向を決定する。その計算に基づいて、光学センサの焦点は、これに従って、手動によるか、または例えば、電動焦点調整の使用を介して、自動的に調整される。この方法はまた、光学センサと目標面との間の距離を調整するステップと、第1および第2のコントラスト値を取得して、それらのコントラスト値を比較するステップを、第1および第2のコントラスト値の間の差が所定の値を下回るまで繰り返すステップと、を含むことが好ましい。コントラスト値を決定する好適な計算は、焦点目標、例えば、表面601、602、もしくは603、またはその一部分のドットパターンによって覆われている画像の領域または関心(ROI)を取得することである。そのROI内のすべての画素の平均および標準偏差が測定される。そのROIのコントラスト値(%CV)を計算するための平均(AVG)および標準偏差(StDEV)は、測定または確認される。
%CV=(StDEV/AVG)×100
次いで、各ROI(高いおよび低い)の%CVは、その後、引き算されて、操作者に報告される差分値を作成する。上記に示したような%CVは、単位のない、または無次元の値である。
【0058】
%CVコントラスト値における差の好ましい所定の値は、公称値からの焦点はずれの関数としてECL値を比較することによって、実験的に±2.0として決定される。この差の大きさは、コントラスト関数に応じて変化し得る。ある程度の焦点はずれの量は、ECLに悪影響を及ぼさずに、許容可能であった。±2の推奨値は、この範囲内にある。より
小さな値、例えば、±1.5または±1.0は、より正確ではあるが、焦点動作中に達成するには、より困難になり得る。より大きな値、例えば、±3.0または±4.0は、より不正確ではあるが、達成するには、より容易になる。当業者は、本発明の教示に従って、正確さ、および動作の困難さのバランスを取ることができる。±1.0と±4.0との間のコントラスト値の差は、本発明の範囲内にある。
【0059】
コントラスト値を計算または確認する他の方法論としては、例えば、Eli Peliによる「Contrast in Complex Images」、Journal of the Optical Society of America,No.10,October 1990,2032-2040頁に公開され、記載された方法論が使用され得る。この参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
さらに、プレートキャリッジ404は、複数の基準要素を収容する。1つの基準要素は、
図5(n)に示すように、プレートキャリッジ404の底面に配設されている導電性底面536を備え、その導電性底面は、装置のセットアップ中に、プレートキャリッジ404内に保持されたプレート426の底部に接触するために使用される接触機構の位置決めを訓練するために使用される。以下により詳細に説明されるように、この接触機構は、一連のばね仕荷重接触部材を含み、例えば、ECL測定を開始するために、プレート426の底面に接触するように持ち上げられ得る。
図5(n)に示すように、導電性底面536は、プレートキャリッジ404の下側にあり、それは、プレート426がプレートキャリッジ404内でラッチされたときに、プレート底部と同じ高さになるように構成されている。装置のセットアップまたは調整中、接触機構は、接触部材が表面536に接触する高さに到達するまで上昇し、接触部材間の抵抗値降下を電気的に測定することによって検出されたときに、接触部材が導電性表面536に適切に接触し、ECL測定中にプレート底部に適切に接触することを信号で伝える。この測定された高さを使用して、プレートキャリッジ404内に保持されたプレート426に接触するための接触機構の高さを設定する。
【0061】
またさらに、プレートキャリッジ404は、別の基準要素も備える(プレートキャリッジ404内に切り込まれた半円形のアパーチャ、すなわち、要素517~520として、
図5(c)に図示してある)。接触機構内の光放出口またはLED722などの光源は、各アパーチャ517~522を通って投射される。上で考察した水平面内を移動するプレート並進ステージ403は、
図7(c)(1)に示した光放出口722の上方の各アパーチャ517~522を位置決めする。各アパーチャを通って投射された光は、光検出システム110内の光検出器によって画像化され、装置の他の構成要素に対して水平面のx-y空間内にプレートキャリッジ404の場所を参照する。好ましい実施形態において、基準要素は、例えば、プレートプラットフォームの縁端部上に、例えば、
図5(c)に示すように、基準面/止め具(501)および(503)の2つの端部に、1つ以上の凹みまたは切り欠き部を備える。有利なことに、それらの要素はまた、プレートが正しい方向にあるかどうかを確認するために、画像化することができる。
【0062】
光放出口722および光放出口725~728は、単一のLEDによって照光されることが好ましい。好適なLEDは、光放出口に通じる光パイプまたは導波管に接続され得る。好適なLEDは、印加される電圧に応じて異なる強度出力を有することができる。一例では、
図7(h)に例示するように、LED739は、多重化装置738に接続されている。マイクロプロセッサ729は、多重化装置738に命令して、第1の電圧をLED739に印加させ、光放出口722を作動させ、第2の電圧をLED739に印加させて、光放出口725~728を作動させることができる。代替的に、複数のLEDが、光放出口のために使用され得る。
【0063】
プレート操作サブアセンブリはまた、上で考察され、かつ
図4(e)に最もよく例示されているように、輸送中にプレートキャリッジを所定の位置にロックするための1つ以上の輸送ロックも含む。好ましい実施形態において、輸送ロックは、プレート並進ステージ403上のホール412内に受容される取り外し可能な引き出し240上にソレノイド駆動ピン411を含む。プレートキャリッジ404は、レール422、424の上に乗っており、キャリッジを所定の位置にロックするためのクランプを備えることが好ましい。またさらに、プレートキャリッジ404は、通常スマートフォンで使用される加速度計または電子水準器などのプレート配向センサを含み、プレートキャリッジ404上に配置されたマルチウェルプレート426が正しい配向にあることを確実にする。代替的に、反射型光学センサが、プレートキャリッジに取り付けられ得るか、または貼り付けられ得、カメラによって感知され得る。任意選択的に、超音波センサ、接触スイッチ、および容量性センサもまた、使用され得る。
【0064】
プレート操作サブアセンブリ120はまた、プローブを持ち上げるためのプレート接触昇降機に装着された電気接触プローブを含むプレート接触機構も含み、プレートのウェル内の電極に順番に接続されている、上で考察したマルチウェルプレート426の底部上の電気接点に接触する。それらの接触プローブを使用して、電圧を、マルチウェルプレート426の1つ以上のウェル内の電極に印加する。プレート接触機構および画像化装置は、位置合わせされており、その結果、電気接触は、画像化装置の画像化フィールド内の真下、およびその中にあるウェルまたはウェルのセットを用いて行われる。接触機構は、
図7(a)~(b)に示されており、4つの問い合わせゾーン702~705を備える接触機構プラットフォーム701を含み、各領域は、問い合わせゾーンに電位を伝導させるための一対の電気接触プローブを含む。問い合わせゾーン702~705は、各象限または2×2マトリックスで配列されていることが好ましい。ただし、問い合わせゾーンは、直線様式または任意のP×Qマトリックスで配列され得、ここで、PおよびQは整数であり、互いに異なり得る。以下にさらに詳細に考察しているように、本発明の機器100で使用可能なマルチウェルプレート426は、M×Nマトリックスで配列され得、ここで、M×Nマトリックスは、P×Qマトリックスよりも大きい。上で考察したように、P×Qマトリックスは、12×8、24×16、48×32ウェル、または任意の数のウェルとすることができる。
【0065】
この装置はまた、電圧源に動作可能に接続されたコントローラであって、その電圧源は、電気接触プローブの1つ以上の対に接続可能である、コントローラと、そのコントローラ、および単一の問い合わせゾーンの電気接触プローブの対に電圧源を選択的に接続するか、または2つ以上の問い合わせゾーンの電気接触プローブの対に電圧源を接続するための電圧源に接続された多重化装置と、をも含む。本明細書で使用される場合、「電圧源」は、電圧源(複数可)および電流源(複数可)を含む。コントローラの構成要素を示すブロック図が、
図7(h)に示されており、マイクロプロセッサ729を含み、電源730およびデジタルアナログ変換器731に接続され、そのデジタルアナログ変換器は、低域通過フィルタ732および733、電流モニタ734、別の取捨選択可能な電源737、およびアナログデジタル変換器736、ならびに多重化装置738に接続されている。コントローラはまた、LED739に動作可能に接続され、そのLED739は、上で考察した接触機構の構成要素である。
【0066】
プロセッサ729によって制御される多重化装置737は、その機器内で使用されるプレートのタイプに基づいて、上で識別されたような電位の印加を指示する。マルチウェルプレート426が一度に1個のウェルを分析するように構成され、本明細書では単一ウェルアドレス指定可能なプレートと称され、プレートのウェルが接触機構プラットフォームのゾーンに対応する場合、多重化装置737は、各ゾーンを電気的に絶縁し、かつ最初のゾーン内のみに電位を選択的に印加することによって、電位の選択的な印加をもたらす。
これに対して、本明細書ではマルチウェルアドレス指定可能なプレートと称される、マルチウェルプレートが一度に2つ以上のウェルを分析するように構成される場合、多重化装置737は、2つ以上のゾーンを電気的に接続し、かつそれらの2つ以上のゾーン内に電位を選択的に印加することによって、電位の選択的な印加を指示する。一実施形態において、プレートは、プレート構成情報を含むバーコードを備え、装置100は、プレート構成情報を読み取り、かつスタッカ内に位置決めされたプレートのタイプを識別するバーコードリーダ238を備える。
【0067】
好ましい実施形態において、装置は、P×Qマトリックスで配列されている複数の問い合わせゾーン702~705を含む。P×Qマトリックスは、2x2マトリックスであることが好ましい。プレート接触機構プラットフォーム701上の電気接触プローブの対は、直立したピン、例えば、ばね仕掛けのピンを備えることが好ましい。またさらに、装置は、プラットフォーム701の上方に位置決めされた、光検出システム110内の光検出器などの光学センサをさらに含み、プラットフォーム701は、プラットフォームから光学センサに向けて投射して、光学センサに対してプラットフォーム701を位置合わせする光放出口722などの光源を備える第1の位置合わせ機構を含むことが好ましい。一実施形態において、光源(例えば、LED、または他のタイプの電球)は、接触機構内のアパーチャ、例えば、
図7(c)(1)に示すように、プラットフォーム(701)の中央にあるアパーチャ(722)、の下に位置決めされ、またそのアパーチャを通って光を照らす。その装置はまた、好ましくは、プレートキャリッジフレーム(例えば、
図5(c)に示した要素517~520)上に配置された複数のアパーチャを備える第2の位置合わせ機構を含み、プラットフォーム701からの光源722は、これらのアパーチャを通って照光され、光学センサによって検出されて、プレートキャリッジフレームをプラットフォーム701にさらに位置合わせすることができる。複数のアパーチャは、プレートキャリッジフレームの少なくとも2つの側面上に位置決めされ得る(上記の説明を参照)。さらに、その装置は、さらに好ましくは、プレートキャリッジフレーム上に配置された導電性表面(例えば、
図5(n)の表面536)を備える第3の位置合わせ機構を含み、その結果、プラットフォーム上の電気接点が導電性表面と接触されたときに、電流がプラットフォーム上の電気接点の間を流れて、電気接点とプレートキャリッジフレームとの間の所定の距離を示す。その装置は、好ましくは、パターン形成された集束目標(例えば、
図6(a)および6(b)の表面601~603)を備える第4の位置合わせ/集束機構を含み、接触機構プラットフォームは、上で考察したように、パターンの画像化を可能にするために光をパターンを通して通過させるための1つ以上の光源を含む。光源(複数可)は、上述したように、アパーチャ(722)の下にある光源であってもよい。任意選択的に、複数の光源(例えば、LED、または他のタイプの電球)を使用して、より広くてより均一な光フィールド、例えば、
図7(c)(1)に示すように、プレート接触機構プラットフォーム内に埋め込まれた4つのLED(725~728)を生成することができる。
【0068】
好ましい実施形態において、その装置は、マルチウェルプレートに収容されたサンプルの状態を問い合わせるように適合され、そのマルチウェルプレートは、M×Nマトリックスに配列された複数のウェルを備え、その装置は、マルチウェルプレートを支持するように構成されたキャリッジフレームを含み、そのキャリッジフレームは、複数の問い合わせゾーンを備える接触機構プラットフォームに対して移動可能であり、各問い合わせゾーンは、少なくとも一対の電気接触プローブを備えて、電位を少なくとも1つのウェルに印加する。この装置はまた、モータに動作可能に接続されてプラットフォームに対してキャリッジフレームを移動させ、かつ電圧源に動作可能に接続されたコントローラも含み、その電圧源は、1つ以上の対の電気接点に接続可能であり、多重化装置は、電圧源を単一の問い合わせゾーンの電気接触プローブの対に選択的に接続するか、または電圧源を2つ以上の問い合わせゾーンの電気接触プローブの少なくとも1つの対に接続するために、コントローラおよび電圧源に接続される。問い合わせゾーンは、P×Qマトリックスに配列され
、M×Nマトリックスは、2×2マトリックスであり得るP×Qマトリックスよりも大きいことが好ましい。各問い合わせゾーンは、マルチウェルプレート426上の1つのウェルに問い合わせるように、サイズおよび寸法決定されることが好ましい。
【0069】
接触機構プラットフォーム上の電気接触プローブは、複数の作業電極接触プローブを含み、それらの作業電極接触プローブは、問い合わせるウェルの数を決定するために、コントローラによって電圧源に選択的に接続されることが好ましい。一実施形態において、作用電極プローブは、1つのウェル内の作用電極に接続され、または代替的に、1つの作用電極プローブが、複数のウェル内の作用電極に接続される。接続されていない作用端子電極プローブは、使用されていないときに、多重化装置内で電気的に絶縁され得、それによって、複数の作用電極プローブ(例えば、4つのプローブ)が複数のウェル内の複数または作用電極に、一度に1つのウェルに電位を印加する(例えば、4つのウェルのグループに、一度に1個のウェルに電位を印加する)ために使用されるのを可能にする。プラットフォーム上の電気接点は、少なくとも1つの電気的戻りもしくは1つの電気的経路、または代替的に少なくとも1つの電気的接地に電気的に接続されている複数の対向電極プローブをさらに備え得る。一実施形態において、複数のウェルのためのプラットフォーム上の対向電極プローブに接続されているマルチウェルプレートの底部電気接点は、電気的に接続されている。代替的に、すべてのウェルのためにプラットフォーム上の対向電極プローブに接続されているマルチウェルプレートの底部電気接点は、電気的に接続されている。またさらに、少なくとも1つのウェルのためにプラットフォーム上の対向電極プローブに接続されているマルチウェルプレートの底部電気接点は、電気的に絶縁され得る。コントローラは、P×Q以下の数のウェルを同時に問い合わせることができる。
【0070】
図7(c)(2)~(g)を参照すると、接触機構プラットフォーム701は、複数の作用接触プローブ706~713、および対向接触プローブ714~721を含む。
図7(c)(2)に示すように、コントローラ709が2つ以上の問い合わせゾーンに電気的に接続するように構成されている場合、機器100は、2つ以上のゾーン、例えば、ゾーン703および704内に電位を選択的に印加し、それによって、作用電極接触プローブ706および710、ならびに709および713のそれぞれの両端に電位を印加し、対向電極接触プローブ714~717および718~721を接続する。プラットフォーム701およびプレート426における対向電極の接続について、以下に考察される。また、以下に考察されるように、1つの作用接触電極、および1つの対向接触電極のみが必要である。システムの冗長性を提供するために、それぞれのうちの2つが接続されると、ECL信号は、1つの電極が故障したときであっても生成される。
【0071】
代替的に、切り替え機構が各ゾーンを電気的に絶縁するように構成されている場合、その機器は、例えば、
図7(d)に示すように、第1のゾーン内に電位を選択的に印加し、その場合、ゾーン703は、絶縁され、電位が、作用電極接触プローブ706および710の両端に印加される。一実施形態において、すべての対向電極接触プローブ714~717および718~721は、接地に接続されており、プラットフォーム701において電気的に接続されている。
図7(k)に関連して以下に考察されるように、各ウェルの対向電極接触プローブは、プレート426の底部上の対向電極によって絶縁されている。
図7(d)に示された例において、ゾーン703の真上のウェルは、対向電極接触プローブ718および719に接続する対向電極を有するが、プラットフォーム701上の他の対向電極接触プローブからは、絶縁している。代替的に、各問い合わせゾーンの対向電極もまた、プラットフォーム701において絶縁され得る。
【0072】
同様に、
図7(e)~(g)は、接触機構が第1のゾーン、702(
図7(e))、705(
図7(f))、および704(
図7g)内に電位をどのように印加するように構成されるかを例示しており、電位が、作用接触プローブ707および712(
図7(e)中
)、708および711(
図7(f)中)、または709および713(
図7(g)中)の両端に、それぞれ印加され、一方、対向接触プローブ714~717および718~721は、プラットフォーム701において電気的に接続されているが、各問い合わせゾーンの対向接触プローブは、各問い合わせゾーンの真上のプレート426上のウェル上の対向電極によって絶縁されている。接触プローブは、それぞれ、ばね仕掛けの接触部材、例えば、接触ピンとは独立していることが好ましい。
【0073】
好ましい実施形態において、マルチウェルプレート426は、各ウェルのプレートの底面に底部電気接点を備え、その底部電気接点は、プラットフォーム701上の電気接触プローブの対(複数可)に接触するように構成されている。底部電気接点は、プレートのウェル内の対向電極に接続されている対向電極接点、およびプレートのウェル内の作用電極に接続されている作用電極接点を含む。各ウェルは、少なくとも1つの作用電極、および1つの対向電極を含み、それらの電極は、プレート形式に応じて、プレートの他のウェル内の作用電極および対向電極とは、電気的に接続(接触)されてもよく、または電気的に独立していてもよい。
【0074】
例示的な底部電気接触パターンの非限定的なセットが、
図7(i)~(l)に示されており、
図7(i)は、
図7(c)(2)と実質的に同様のプラットフォーム701のピン接触構成を示す。
図7(k)は、問い合わせゾーン702~705に部分的に重なる例示的な4つのウェルの下での底部電気接点の部分的な重なりを示す。各ウェルは、例示的な「Z字形」を有する底部対向電極740、ならびに2つの作用電極742および744を有する。底部対向電極740は、互いに電気的には接続されておらず、したがって、各ウェルまたは各問い合わせゾーンの対向電極は、プレート426において分離または絶縁されている。
【0075】
ゾーン703の場合、Z字形底部対向電極740は、対向電極718および719に接続する。底部作用電極742および744は、それぞれ、作用電極710および706に接続されている。
【0076】
ゾーン705の場合、Z字形底部対向電極740は、対向電極720および721に接続する。底部作用電極742および744は、それぞれ、作用電極711および708に接続されている。ゾーン702および704も、同様に接続されている。
【0077】
次の電気接続は、ウェル自体の内側に向けてである。
図7(l)に示すように、この例での各ウェルは、ウェル作用電極750、ならびにウェル対向電極752および754を有する。ここで、ウェル作用電極750は、Z字形を有し、底部作用電極742および744の両方に接続し、ウェル対向電極752および754は、底部対向電極740に接続されている。
【0078】
ゾーン705の場合、プラットフォーム701上の作用電極711および708は、各ウェルの底部電極742および744、ならびにウェル作用電極750に接続されている。プラットフォーム701上の対向電極720および721は、各ウェルの底部対向電極740、ならびにウェル対向電極752および754に接続されている。底部電極740およびウェル電極750のZ字形は、十分な電気接触に耐えるように設計されている。任意の形状を使用することができ、本発明は、いかなる特定の形状にも限定されない。
【0079】
上記の考察に示すように、各ウェルおよび各問い合わせゾーンは、2つの作用電極、例えば、ゾーン705の場合、708および711、ならびに2つの対向電極、例えば、ゾーン705の場合、720および721を有する。上に示したように、両方の作用電極、および両方の対向電極は、ウェルに電気的に接続されている。一方の対の作用電極および
対向電極だけが、ECL電位をウェルに伝導させるために必要である。他方の対は、1つ以上の電極が動作不良を起こした場合の冗長性を持たせるためである。
【0080】
各ウェルが別々に問い合わせ得る、
図7(i)、7(k)、および7(1)に関連して上で考察された例において、各問い合わせゾーンおよびウェルの作用電極は、プラットフォーム701および多重化装置738において絶縁されており、各問い合わせゾーンおよびウェルの対向電極は、プレート426およびその底部電極、ならびに電極において、絶縁されていることにさらに留意されたい。
【0081】
図7(j)は、問い合わせゾーン702~705に部分的に重なる4つのウェルが同じプラットフォーム701からの接触ピンまたは電極を使用して同時に問い合わせることができる例を示す。図に示すように、このマルチウェルプレート426は、作用電極707、708および709に部分的に重なる底部作用電極760を有する。プレート426はまた、少なくとも対向電極719、720、715および716に部分的に重なる底部対向電極762も有する。底部作用電極760および底部対向電極762は、4つのすべてのウェルに上向きに電気的に接続されている。1つ以上の作用電極707、708および709、ならびに1つ以上の対向電極719、720、715および716を活性化することにより、ECLの電位を4つのすべてのウェルに提供することになる。冗長性はまた、複数の利用可能な作用電極および対向電極によっても提供される。
【0082】
本発明の実施形態によれば、プレート底部は、底部電気接点に接続されて電位をウェル内に伝導させる内部電気接点導管を備える。一実施形態において、少なくとも1つのウェルの底部電気接点は、隣接するウェルの底部電気接点から電気的に絶縁され、任意選択的に、少なくとも1つのウェルの内部電気接点導管は、隣接するウェルの底部電気接点から電気的に絶縁され得る。米国特許第7842246号および米国特許出願第2004/0022677号(両方とも、「Assay Plates,Reader Systems and Methods for Luminescence Test Measurements」と題され、2002年6月28日に出願され、参照により本明細書によって組み込まれる)は、本明細書に開示された接触機構によって問い合わせることができるプレート底部の追加の実施形態を開示している。
【0083】
したがって、本発明は、M×Nマトリックスのウェルを有するマルチウェルプレート内に収容されるサンプルに応答するための方法を提供し、その方法は、(a)複数の問い合わせゾーンを有するプレート接触機構プラットフォームを提供するステップと、(b)各問い合わせゾーンの少なくとも一対の電気接触プローブ(例えば、作用電極接触プローブおよび対向電極接触プローブ)を提供するステップであって、各問い合わせゾーンは、単一ウェルに問い合わせするように適合されている、提供するステップと、(c)選択的に、電位を、(i)1つ以上のウェルに同時に問い合わせるための1つの問い合わせゾーン、または(ii)複数のウェルに問い合わせるための複数の問い合わせゾーン、に印加するステップと、(d)マルチウェルプレートをプラットフォームに対して移動させて、追加のウェルに問い合わせるステップと、を含む。単一ウェルに問い合わせることができ、またはM×N個のウェルに問い合わせることもできる(M×Nは、P×Qマトリックスよりも大きい)。この方法はまた、(e)プラットフォーム上の電気接触プローブの対のうちの少なくとも1つの正のアクティブ接触プローブ(例えば、作用電極プローブ)を選択してその電位に接続することによって、ステップ(c)での電位の印加を制御するステップも、含むことができる。ステップ(e)はまた、その電位に接続されていない、少なくとも1つの正のアクティブ接触プローブを電気的に絶縁するステップも含むことができる。この方法はまた、(f)マルチウェルプレートの底面上に底部電気接点を提供するステップと、任意選択的に、(g)少なくとも1つの電気的戻し、または代替的に底部電気接点から少なくとも1つの接地接触プローブ(例えば、対向電極プローブ)を電気的に絶縁
するステップも、含むことができる。任意選択的に、電気的戻し、または底部電気接点からの接地接触プローブは、すべて、互いから絶縁されている。
【0084】
上述したように、この装置を使用して、2つの代替タイプのマルチウェルプレートである、単一ウェルアドレス指定可能なプレート(すなわち、その装置によって1つのウェルを一度に問い合わせられるプレート)、および/またはマルチウェルアドレス指定可能なプレート(すなわち、その装置によって1つのセクタを一度に問い合わせられるプレートであり、セクタは、隣接するウェルのグループ分けである)からルミネッセンスを測定することができる。単一ウェルおよびマルチウェルアドレス指定可能なプレートを含む様々なタイプのマルチウェルプレートは、米国特許第7842246号および米国特許出願第2004/0022677号(両方とも、「Assay Plates,Reader Systems and Methods for Luminescence Test Measurements」と題され、2002年6月28日に出願され、参照により本明細書によって組み込まれる)に記載されている。この発明のプレートは、いくつかの要素を含み、以下に限定されないが、プレート上部、プレート底部、複数のウェル、作用電極、対向電極、基準電極、誘電体材料、電気接続、導電性スルーホール、およびアッセイ試薬を含む。プレートのウェルは、プレート上部内のホール/開口部によって画定され、プレート底部は、プレート上部に直接かまたは他の構成要素と組み合わせて取り付けられ得、プレート底部は、ウェルの底部としての機能を果たし得る。1つ以上のアッセイ試薬が、ウェル、および/またはプレートのアッセイドメイン内に収容され得る。これらの試薬は、ウェルの表面のうちの1つ以上の上に、好ましくは電極の表面の上に、最も好ましくは作用電極の表面の上に、固定化または配置され得る。それらのアッセイ試薬は、ウェル内の特徴によって収容または局所化され得、例えば、パターン形成された誘電体材料は、流体を閉じ込め、または局所化することができる。プレート上部は、ポロスチレン、ポリエチレン、またはポリプロピレンなどの剛性のある熱可塑性材料から作製された単一の成形構造を備えることが好ましい。プレート底部は、電極(例えば、作用電極および/または対向電極)を含み、それらの電極は、炭素を含むことが好ましく、炭素層を含むことがより好ましく、スクリーン印刷された炭素インクの層を含むことが最も好ましい。別の好ましい実施形態において、プレート底部は、基材上に堆積されたスクリーン印刷された導電性インクからなる電極を含む。
【0085】
単一ウェルアドレス指定可能なプレートは、プレート上部開口部を有するプレート上部、およびプレート上部に噛み合わされて単一ウェルアドレス指定可能なプレートのウェルを画定するプレート底部を含み、そのプレート底部は、上部に電極パターン形成された上面、および上部にパターン形成された電気接点を有する底面を有する基材を備え、電極および接点は、パターン形成されて単一ウェルアドレス指定可能なプレートの複数のウェル底部を画定し、ウェル底部内のパターンは、(a)基材の上面上の作用電極であって、その作用電極は、電気接点に電気的に接続されている、作用電極、および(b)基材の上面の上の対向電極であって、その対向電極は、電気接点に電気的に接続されているが、単一ウェルアドレス指定可能なプレートの追加のウェル内の追加の対向電極とは接続されていない、対向電極、を備える。単一ウェルアドレス指定可能なプレートの電極および接点は、別々にアドレス指定可能であることが好ましい。
【0086】
マルチウェルアドレス指定可能なプレートは、プレート上部開口部、およびプレート上部に噛み合わされてマルチウェルアドレス指定可能なプレートのウェルを画定するプレート底部を有するプレート上部を含み、そのプレート底部は、上部にパターン形成された電極を有する上面、および上部に形成された電気接点を含む底面を有する基材を備え、その電極および電気接点は、パターン形成されて、2つ以上の連帯してアドレス指定可能なアッセイウェルのうちの2つ以上の独立してアドレス指定可能なセクタを画定し、各セクタは、(a)基材の上面上の連帯してアドレス指定可能な作用電極であって、それらの作用
電極の各々は、互いに電気的に接続され、かつ電気接点のうちの少なくとも第1の接点に接続されている、作用電極、および(b)基材の上面上の連帯してアドレス指定可能な対向電極であって、それらの対向電極の各々は、互いに電気的に接続されているが、作用電極には接続されず、かつ電気接点のうちの少なくとも第2の接点に接続されている、対向電極、を有する2つ以上のウェルを備える。一実施形態において、独立してアドレス指定可能なセクタは、マルチウェルアドレス指定可能なプレートのウェルの50%未満を含み、マルチウェルアドレス指定可能なプレートのウェルの20%未満を含むことがより好ましい。独立してアドレス指定可能なセクタは、4×4アレイのウェル、または2×3アレイである独立してアドレス指定可能なセクタを備えることができる。代替的に、独立してアドレス指定可能なセクタは、1つ以上の行ウェル、または1つ以上の列ウェルを備えることができる。
【0087】
単一ウェルまたはマルチウェルアドレス指定可能なプレートは、4ウェルプレート、6ウェルプレート、24ウェルプレート、96ウェルプレート、384ウェルプレート、1536ウェルプレート、6144ウェルプレート、または9600ウェルプレートとすることができる。どちらかのプレート形式の電極は、炭素粒子を含み、印刷された導電性材料をさらに含み得、それらの電極のうちの1つ以上は、上部に形成された複数のアッセイドメインを備える。複数のアッセイドメインは、少なくとも4つのアッセイドメイン、好ましくは7つのドメイン、より好ましくは少なくとも10個のアッセイドメインを含むことができ、それらの複数のアッセイドメインは、作用電極上に支持された1つ以上の誘電体層内の開口部によって画定され得る。装置内で使用され得るプレートは、Meso Scale Discovery社(Rockville,MD;www.mesoscale.com)から市販されており、それらには、以下のマルチウェルアドレス指定可能なプレート(Meso Scale Discovery社カタログ番号)である、L15XA-3、L15XB-3、L15AA-1、L15AB-1、L15SA-1、L15SB-1、L15GB-1、L45XA-3、L45XB-3、N45153A-2、N45153B-2、N45154A-2、およびN45154B-2、ならびに以下の単一ウェルアドレス指定可能なプレート(Meso Scale Discovery社カタログ番号)である、L55AB-1、L55SA-1、L55XA-1、およびL55XB-1が含まれるが、これらに限定されない。
【0088】
したがって、この装置は、まず、装置内のプレートタイプを検出すること、例えば、プレート構成情報を含む、マルチウェルプレート上のバーコードを読み取ること、問い合わせゾーンまたはゾーンが画像化装置の画像化フィールドの直下または中にあるように、接触機構および画像化装置を位置合わせすること、および(a)接触機構の各問い合わせゾーンを電気的に絶縁し、かつ第1のゾーン内にのみ電位を選択的に印加する(単一ウェルアドレス指定可能なプレートの場合)か、または(b)2つ以上のゾーンを電気的に接続し、かつそれらの2つ以上のゾーン内に電位を選択的に印加する(マルチウェルアドレス指定可能なプレートの場合)ことによって、電位の選択的印加に方向付けること、によって、マルチウェルプレートからのルミネッセンスを測定する。
【0089】
マルチウェルアドレス指定可能なプレートが装置内で使用されている場合、画像化システムおよび接触機構は、隣接するウェルのグループ分けまたはセクタ、例えば、4つの隣接するウェルのグループ分けに対応する問い合わせゾーンに位置合わせされ、装置は、そのセクタのすべてのウェルに電圧を選択的に印加する。次いで、その装置は、プレート並進ステージを介してプレートを移動させて、接触機構および画像化システムを、ウェルの追加のセクタまたはグループ分けに対応する追加の問い合わせゾーンに再位置合わせし、その追加のセクタのウェルに電圧を選択的に印加する。
【0090】
単一ウェルアドレス指定可能なプレートが装置内で使用されている場合、画像化システ
ムおよび接触機構は、隣接するウェルのグループ分けまたはセクタ、例えば、4つの隣接するウェルのグループ分けに対応する問い合わせゾーンに位置合わせされ、装置は、そのセクタの各ウェルに一度に1つずつ電圧を選択的に印加する。同様に、プレートは、プレート並進ステージを介して移動されて、接触機構および画像化システムを、ウェルの追加のセクタに対応する追加の問い合わせゾーンに再位置合わせし、その追加のセクタの各ウェルに一度に1つずつ問い合わせる。
【0091】
本発明の別の実施形態によれば、別の装置、好ましくは別のECLリーダが、単一ウェルアドレス指定可能なマルチウェルプレートに問い合わせ、またはそれを読み出すように、特別に構築される。装置1000が、
図10(a)および(b)に示されている。このリーダは、上に図示および考察した装置100と実質的に同じ水平占有面積を有し得るが、それにもかかわらず、異なる様式化されたカバー1001を備える。
図10(c)および10(d)は、装置100および1000の内部機構またはサブシステムを比較しており、それらが、以下に説明されているようなことを除いて、同等であることを示している。
図10(c)および(d)に示すように、両方の装置は、遮光容器へのアクセスのための取り外し可能な引き出し240を備えた遮光容器130を有する。両方の装置は、導入アパーチャ236および排出アパーチャ237、ならびに上部に装着されたバーコードリーダ238を有するハウジング上部232を有する。また、装置100のハウジング上部232上には、光検出サブシステム100も装着されている。装置1000のハウジング上部232上には、以下で考察される、異なる光検出システム1010が装着されている。
【0092】
装置またはリーダ1000が単一ウェルアドレス指定可能なマルチウェルプレートを特別に読み取るように設計されているため、そのプレート接触機構は、
図11(a)~(c)に例示されているように、単純化されている。ウオームギヤ機構723が、モータ723aによって駆動されて、親ねじ724の噛み合うギヤ付き底部の部分724aを回転させる。親ねじ724は、ねじが切られたメインシャフト723bを有し、そのメインシャフトは、支持ベース700内の対応するねじ切りホールにねじ込まれる。ウオームギヤ723が回転するにつれて、そのウオームギヤは、親ねじ724の噛み合う部分724aを回転させ、それは、支持ベース700のねじ切りホール内で回転する。これらの回転運動は、支持ベース700を昇降させて、プレート接触機構の垂直高さを調整し、本明細書に考察されているように、マルチウェルプレートの導電性底部に接触させる。ガイドシャフト700aは、ねじ山のない方が好ましく、支持ベース700内の対応するホール内でスライドするように適合され、支持ベース700の昇降を誘導するために含まれている。
【0093】
接触プラットフォーム1701は、この実施形態では単一ウェルアドレス指定可能なプレートであるプレート426上で、一度に単一ウェルを電気的に接触させるようにサイズおよび寸法決定されている。接触プラットフォーム1701は、少なくとも1つの作用電極接触プローブ、および1つの対向電極接触プローブを収容して、ECL分析を受けているウェル内の作用電極および対向電極に電気を伝導させる。一組のバックアップまたは冗長性のある作用電極プローブおよび対向電極プローブが含まれていることが好ましい。この例では、2つの作用電極接触プローブおよび2つの対向電極接触プローブを含み4つの接触プローブ1703が例示されている。接触プローブ1703は、直立したばね仕掛けピンであることが好ましい。
【0094】
図11(d)は、単一ウェルアドレス指定可能なマルチウェルプレートの底部上にある電気接点上での接触プローブ1703の部分的な重なりを示す。プレート426は、各ウェルの下に、少なくとも1つの作用電極接点1705および少なくとも1つの対向電極接点1707を有する。正の電荷を輸送する接触プローブ(複数可)1703は、少なくとも1つの作用電極接点1705と接触することになる。上で考察したように、他の作用電
極接点1705と接触する第2の接触プローブ1703は、バックアップである。好ましくは電気的な戻りないし接地の代替物に接続されている少なくとも1つの接触プローブ1703は、対向電極接点1707と接触している。対向電極接点1707に接触する他の接触プローブ1703は、バックアップである。
【0095】
接触プラットフォーム1701は、一度に単一ウェルに接触する必要があるだけであるため、接触プラットフォーム701よりも寸法が小さくてもよい。接触プラットフォーム1701はまた、本明細書に考察されているように、位置決め目的のための光放出口722、および集束機構、例えば、パターン形成された表面601~603を照光するための光放出口725~728も収容することが好ましい。
【0096】
装置100、1000はまた、角度的に配向されたファン1202、およびカバーマニホールド1204を含む改良された熱除去システム1200も有し、その熱除去システムは、ファンおよび制御基板を含む印刷回路基板(PCB)などの電子機器を装置1000の残りの内部から分離しており、
図12(a)および12(b)に最もよく示されている。カバーマニホールド1204もまた、半透明の部品として、
図10(d)に示されている。光検出システム110または1010内部のCCDセンサは、以下に考察されるように、冷却され、この冷却により、冷却ファン1208によって光検出110、1010から除去される熱を発生する。除去された熱は、通常、装置1000のカバー1001の上部に上昇し、
図10(d)、または装置100に最もよく示されている。ファン1202は、光検出システム110、1010の上部に向けて配向されて、矢印1210によって示されるように、発生した熱を装置100、1000の内部から引き出し、より具体的には、光検出110、1010の上部からカバーマニホールド1204に、そして矢印1214によって示されるように、通気孔開口部1212を通って装置1000の外に引き出す。加熱された空気が出ると、新鮮な周囲の空気が装置内に引き込まれる。
【0097】
カバーマニホールド1204は、流れ充満空間として機能し、そこでは、加熱された空気は、カバーマニホールド内に引っ張られ、通気孔開口部1212を通って外に強制されて、化粧塗布または様式化されたカバー1001内での流れの再循環を最小限に抑え、これにより熱除去効率を低下させることになる。カバーマニホールド1204内のPCBもまた、熱を発生させ得、その熱もまた、空気の流れが装置1000を出る前にPCB上を通過するときに、この空気の流れ1210、1214によって除去される。
【0098】
カバーマニホールド1204は、PCBと、ハウジング上部232上の電気および電子構成要素との間の電気接続1220のための1つ以上の開口部1216を有する。開口部1216を通って起こり得る流れの再循環を最小限に抑えるために、バッフル1218が、カバーマニホールド1204内に設けられている。
図12(b)に示すように、バッフル1218は、概して垂直であり、ハウジング上部232に向かって下向きに、好ましくは電気接続1220の背後に延在する。
【0099】
図13は、2つのファン202、およびカバーマニホールド204を備える装置100のための熱除去システム200の拡大図である。ファン202は、通気孔開口部1212に隣接して配置されている。熱除去システム200はまた、
図1(c)、1(d)、2(c)、4(b)、および4(c)にも見ることができる。各ファン202は、ファン1202よりもサイズが小さく、流量が少ない。1つの非限定的な例において、ファン202は、それぞれ、約11.3ft
3/分の流量を有し、40mm×40mmの占有面積を有する。ファン202は、約9,500rpmで動作する。単一のファン1202は、約36.3ft
3/分の流量の能力があり、70mm×70mmの占有面積を有する。ファン1202は、約3,900rpmで回転する。ファン1202は、ファン202よりも非常に高い実効流量、およびより遅い回転速度を有する。以下の試験結果によって示されて
いるように、熱除去システム1200は、装置100または1000を、より効率よく、かつより低い騒音レベルで冷却する。
【0100】
【表1】
【表2】
さらに、96ウェルプレート内の4つのコーナーウェル、および中央ウェルの平均温度は、2つのファン構成の場合、約1.2°Cであり、より大型の単一ファンの場合、より低い0.5°Cである。
【0101】
特定の実施形態において、この装置は、単一ウェルアドレス指定可能なプレートまたはマルチウェルアドレス指定可能なプレートからのルミネッセンスを測定することができ、その装置は、以下を含む。
(i)プレートタイプを識別するためのプレートタイプ識別インターフェース。
(ii)マルチウェルプレートを、x-y平面内で保持および並進するためのプレート並進ステージ。
(iii)複数の接触プローブを備え、プレート並進ステージの下方に、かつステージの運動範囲内で位置決めされたプレート接触機構であって、この機構は、その機構を昇降することができる接触機構昇降機上に装着されて、並進ステージ上に位置決めされたときに、プレートの底部接触表面とのプローブの接触および非接触を実行させる、プレート接触機構。
(iv)接触プローブを介してプレートに電位を印加するための電圧源。
(v)プレート並進ステージの上方に位置決めされ、かつプレート接触機構に垂直に位置合わせしている画像化システムであって、
(a)その画像化システムは、ウェルのP×Qマトリックスを画像化するように構成され、プレート接触機構は、マトリックスと関連付けられた底部接触表面に接触するように構成され、プレート並進ステージは、プレートを並進させ、マトリックスを位置決めして、画像化システムおよびプレート接触機構と位置合わせするように構成されている。
(b)その装置は、単一ウェルアドレス指定可能なプレートのマトリックス内の各ウェルに連続して電圧を印加し、マトリックスを画像化するように構成されている。
(c)その装置は、マルチウェルアドレス指定可能なプレートのマトリックス内の各ウ
ェルに同時に電圧を印加し、マトリックスを画像化するように構成されている。
【0102】
P×Qマトリックスは、例示的なマルチウェルアドレス指定可能なプレートの場合、2×2アレイのウェルであることが好ましい。画像化システムは、単一ウェルアドレス指定可能なプレートのマトリックス内の各ウェルにそれぞれの電圧を連続して印加するために個別の画像を収集することができ、P×Qマトリックスは、1×1アレイのウェルである。プレートタイプ識別インターフェースは、バーコードリーダ、EPROMリーダ、EEPROMリーダ、またはRFIDリーダを含むことができ、または代替的に、プレートタイプ識別インターフェースは、ユーザがプレートタイプ識別情報を入力するのを可能にするように構成されたグラフィカルユーザインターフェースを備える。
【0103】
したがって、そのような装置を使用して、単一ウェルアドレス指定可能なプレートまたはマルチウェルアドレス指定可能なプレートからのルミネッセンスを測定するための方法は、
(a)プレート並進ステージ上にプレートを装填することと、
(b)プレートを、単一ウェルまたはマルチウェルアドレス指定可能なプレートであるものとして識別することと、
(c)プレート並進ステージを移動させて、ウェルの最初のP×Qマトリックスをプレート接触機構および画像化システムに位置合わせさせることと、
(d)接触機構上の接触プローブがウェルのP×Qマトリックスに関連付けられた底部接触表面に接触するように、プレート接触機構を上昇させることと、
(e)プレートが単一ウェルアドレス指定可能なプレートである場合、グループが画像化されている間に、グループ内の各ウェルに電圧を順次印加することによって、P×Qマトリックス内でルミネッセンスを生成および画像化することと、
(f)プレートがマルチウェルアドレス指定可能なプレートである場合、マトリックスが画像化されている間に、グループ内の各ウェルに電圧を同時に印加することによって、P×Qマトリックス内でルミネッセンスを生成および画像化することと、
(g)プレート内の追加のP×Qマトリックスのために、ステップ(c)~(f)を繰り返すことと、を含む。
取り外し可能な引き出しは、検出アパーチャの下に隠れて、かつプレート並進ステージの昇降の下方に配置された光源(例えば、LED)を含むことができる。一実施形態において、この光源または複数の光源は、プレート接触機構の構成要素である。光学集束機構に関連して上述したように、接触機構内の光源(複数可)は、光学集束機構に関連して使用され、プレートに対する光検出器のコントラストおよび焦点を調節する。
【0104】
図10~12およびそれらの下位区分に示したように、単一ウェルアドレス指定可能なプレートからのルミネッセンスを測定するための方法は、
(a)プレート並進ステージ上にプレートを装填するステップと、
(b)プレートを単一ウェルアドレス指定可能なプレートであるものとして、任意選択的に確認するステップと、
(c)プレート並進ステージを移動させて、最初のウェルをプレート接触機構および画像化システムに位置合わせするステップと、
(d)接触機構上の接触プローブが最初のウェルに関連付けられた底部接触表面に接触するように、プレート接触機構を上昇させるステップと、
(e)グループが画像化されている間に、最初のウェルに電圧を印加することによって、P×Qマトリックス内にルミネッセンスを生成および画像化するステップと、
(g)プレート内の追加のウェルについて、ステップ(c)~(e)を繰り返すステップと、を含むことができる。
【0105】
追加の実施形態において、1つ以上の光源(複数可)はまた、基準のホールまたはウィ
ンドウに関連して使用されて、プレート位置合わせの誤差を矯正することもできる。光源からの光が、基準を通過して、画像化装置上に画像化され、その結果、プレートの正しい位置合わせを決定する。有利なことに、プレートは、プレート上部に噛み合わされるプレート底部から形成される(例えば、米国特許第7,842,246号および第6,977,722号に記載されているように、射出成形されたプレート上部に噛み合わされる、スクリーン印刷されたプレート底部を有するプレートは、プレート底部にパターン形成された(例えば、スクリーン印刷された)または切り込みされた基準を含み、プレート上部に対してプレート底部の位置合わせ不良を矯正する)。1つの特定の実施形態において、そのようなプレート上のプレート上部は、プレート底部上の基準に位置合わせされたホールを含み(例えば、プレート上部の外側フレーム内に)、基準の画像化を可能にする。したがって、プレートの下で生成された光の画像化を使用して、プレートの正確な位置を画像処理ソフトウェアに伝達して、再度カメラの焦点チェックを提供することもできる。次いで、プレートは、2軸位置決め装置を使用して再位置合わせされ得る。したがって、その装置は、(1)光経路開口部を有するプレートを提供すること、(2)底部からプレート照光すること、(3)光経路開口部を通って来た光を検出すること、および(4)任意選択的に、プレートを再位置合わせすること、を含む、プレート位置決め方法を介してプレートを処理することができる。
【0106】
好ましい実施形態において、接触機構プラットフォームは、第1の位置合わせ特徴722を含み、光検出サブシステムは、第1の位置合わせ特徴に対して調整可能であるプラットフォームの上方に位置決めされたカメラを備える。第1の位置合わせ特徴は、光源、例えば、LEDであることが好ましい。光検出サブシステム内のカメラは、x-y平面内の位置合わせ特徴に対して調整可能である。プラットフォームは、複数の追加の位置合わせ特徴、例えば、各象限内に少なくとも1つの追加の位置合わせ特徴をさらに含むことができ、カメラ位置は、各追加の位置合わせ特徴に対して調整可能である。追加の位置合わせ特徴は、光源、例えば、LEDを備えることができる。したがって、上述したように、その装置は、光学集束機構を使用して、(1)接触機構位置合わせ特徴を照光すること、(2)位置合わせ特徴から来る光を検出すること、ならびに(4)任意選択的に、プレート並進ステージ、光検出器、および/または接触機構を再位置合わせすること、によって、接触機構および検出アパーチャの適切な位置合わせを確認することができる。1つの好ましい実施形態において、その装置は、プレートに接触する前に、接触機構の適切な位置合わせを確認し、次いで、プレート位置は、プレート内の光経路開口部から来る光を検出し、必要に応じてプレートを再位置合わせすることによって、確認される。
【0107】
図7(a)~(b)に例示するように、接触機構プラットフォームの高さは、上で考察したように、プラットフォームが親ねじ機構724および支持ベース700を駆動するウオームギヤ723をさらに含むため、調整可能である。一実施形態において、ギヤ機構は、ウオームギヤを備える。好ましい実施形態において、プラットフォームは、マイクロタイタープレート、例えば、マルチウェルプレートを収容するためにサイズ決定されたプレート表面エリアを備え、プラットフォームは、マルチウェルプレート内に収容され得る流体の不測の漏出から引き出しの構成要素を保護するために、プレート表面エリアを取り囲む漏出収集エリアをさらに含む。
【0108】
装置100の光検出サブシステム110は、遮光コネクタまたはバッフルを介して、ハウジング上部上の検出アパーチャに取り付けることができる光検出器を備える。ある特定の実施形態において、光検出器は、CCDカメラなどの画像化光検出器であり、それには、レンズも含まれる。例示的な光検出サブシステム110が、
図8(a)に示されている。このサブシステムは、光検出器(図示せず)を取り囲み、かつ検出アパーチャ上のハウジング上部にボルト留めされている鋳造型構成要素802を介して、ハウジング上部に取り付けられた光検出器ハウジング801を含む。
図8(b)に示すように、鋳造型構成要
素の上方に、ねじ804およびギヤ805からなる調整機構を含むバックルまたはクランプ803が着座している。カメラ集束機構はまた、手動であるか、電動式要素を介してか、またはその両方で、必要に応じてx、y、およびz方向にカメラの焦点を合わせるようにも構成されている。光検出サブシステムは、光検出サブシステム内、または光検出サブシステムとハウジング上部との間の合わせ目における光漏洩を防止するための1つ以上の遮光要素をさらに含む。例えば、成形ゴムまたは他の圧縮性材料を、光漏洩を防止するために、接合される構成要素の間にサンドイッチ状にはさむことができる。加えて、光検出器ハウジングは、ハウジング内の光検出器を冷却するための1つ以上の通気孔および/または冷却要素を含む。一実施形態において、ハウジングは、吸気通気孔および排気通気孔を含み、それぞれは、ハウジングの両端に位置決めされている。追加の通気孔が、ハウジング内に位置決めされ得る。好ましい実施形態において、吸気通気孔は、ハウジング内に位置決めされる冷却ファンに適合するようにサイズ決定される。
【0109】
カメラに結合されたレンズを使用して、遮光容器内のプレートから生成されたルミネッセンスの集束された画像を提供する。レンズにシールされた絞り、および容器の上部にある検出アパーチャにより、画像化システムが、環境光から保護された遮光環境内に容器を維持しながら、容器からの光を画像化するのを可能にする。画像化システム内で使用するのに好適なカメラには、フィルムカメラ、CCDカメラ、CMOSカメラなどの従来のカメラが含まれるが、これらに限定されない。CCDカメラは、電子ノイズを低減するために冷却される場合がある。レンズは、ガラスまたは射出成形プラスチックから作製され得る高開口数レンズであることが好ましい。画像化システムを使用して、プレートの1つのウェルまたは複数のウェルを一度に画像化することができる。単一ウェルからの光を画像化する場合の光収集効率は、CCDチップのサイズ、および画像化される面積がほぼ一致することに起因して、ウェルの1つのグループを画像化する場合よりも高い。画像化面積のサイズを低減し、収集効率を高めることにより、検出時の高感度を維持しながら、小型で安価なCCDカメラおよびレンズの使用が可能になる。
【0110】
高解像度が必要とされない場合、測定の感度は、画像収集中にCCD上でのハードウェアビニングを使用することによって、向上し得る。ビニングとは、CCD内の隣接画素に蓄積された電荷が結合してスーパー画素を作り出すプロセスであり、これは、単位面積当たりの電子読み取りノイズを効果的に低減する。好ましいビニングは、CCD画素の視野、縮小倍率、およびサイズに依存する。好ましい実施形態において、装置100の光検出器110は、512×512画素を有するCCDを有するカメラを備え、各画素サイズは、24×24μm、総面積は、12.3×12.3mmであり、レンズは、1.45倍の画像縮小倍率を有する。そのような検出器およびレンズの組み合わせの場合、4×4ビニング(すなわち、4×4グループ画素内の16画素を組み合わせることによってスーパー画素を作り出すこと)が好ましく、その結果として、ほぼ100×100μmのスーパー画素サイズが得られ、これは、ECL電極での物体平面において、ほぼ150μmの解像度に換算される。それらが低コストでかつ小型サイズであるために、非冷却カメラ、または最小限の冷却(好ましくは、約-20°C、約-10°C、約0°C、またはより高い温度)を伴うカメラを使用することが、特に有利である。好ましい実施形態において、光検出サブシステムは、画像化されたウェルのテレセントリック図を生成するように設計された一連のレンズ要素(904および905)と、レンズアセンブリ内にある光学経路内の光学バンドパスフィルタ(903)と、からなるレンズアセンブリを含み、その結果、フィルタを通過する光線は、フィルタに対して実質的に垂直の入射になる。
図9に示された実施形態において、カメラは、画像化されるウェル(901)のテレセントリック図が提供される。
【0111】
図10(c)および(d)に示すように、装置1000の光検出システム1010は、上で考察されたように、単一ウェルアドレス指定可能なマルチウェルプレートを読み取る
ように適合され、装置100の光検出システム110よりも小さい、ハウジング上部232上の寸法または占有面積を有し得る。共同所有されている米国特許出願第14/147,216号の教示によれば、単一ウェルからの光を画像化するための光収集効率は、典型的なCCDチップのサイズ、および画像化される面積、すなわち、マルチウェルプレート内の単一ウェルの面積がほぼ一致していることに起因して、ウェルの1つのグループを画像化するための光収集効率よりも高い。さらに、一度に単一ウェルからの光を画像化することにより、ウェル間の光学的クロストークを矯正する必要性がなくなる。画像化面積のサイズを低減し、収集効率を高めることにより、検出時の高感度を維持しながら、より小型で安価なCCDカメラおよびレンズの使用が可能になる。装置1000のCCDカメラのサイズは、装置100のCCDカメラのそれよりも小さいことが好ましい。
【0112】
一例では、光検出システム1010のCCDカメラは、1392画素×1040画素を有し、各画素は、6.45×6.45μmである。CCDの総面積は、約8.98mm×6.7mmであり、これは、光検出システム110用のCCDカメラよりも小さい。光検出システム1010の好適なCCDカメラは、SonyICX825CCDである。光検出システム1010とともに使用可能なレンズは、1:1の比率を有し、いかなる拡大または縮小も有さない。4×4ビニング技術もまた、好ましい。
【0113】
光検出システム1010が、
図14にさらに例示されている。カメラ1012が、この検出システムの頂上に着座している。CCDセンサは、以下に考察されているように、レンズシステム1900の一方の端部に位置決めされている。例示的なシステムにおいて、カメラウィンドウは、光路内に配置された光学バンドパスフィルタを備え得る。レンズをカメラ1012に取り付けるために、カメラからレンズへのアダプタ1014が提供されている。クランプ機構1016は、光検出システムをハウジング上部232に固定する。レンズシステム1900を通過する光の波長を制限するために、光バンドパス1018が、光路内に収容されてもよい。好ましくは、光バンドパス1018を通過する波長の範囲については、以下に考察される。
【0114】
図15に示された好適で例示的なレンズシステム1900は、マルチウェルプレート上の単一ウェルと、CCDセンサとの間に配置されている。1つの例示的な実施形態において、レンズシステムは、出力半値において約550nm~約750nm、および約570nm~約670nmのスペクトル帯域用に設計されている。レンズシステム1900の大きさは、単一ウェルまたはCCDの面積よりも大きいことが好ましい。いかなる特定の理論にも拘束されずに、より大きなレンズにより、光のより広い円錐角度を取り込むことによって、高い光収集効率を維持することができる。レンズシステム1900は、その端部に配置されたキャップ1902、1904を有し、それらのキャップは、輸送中に光学要素を保護し、接地前に取り外される。2つの例示的な二重要素1906は、ハウジング1908内において、互いに対して逆方向に配設されている。各二重要素1906は、球面1914で互いに接触する外側レンズ1910および内側レンズ1912を備える。外面1916および内面1918は、非球面である。非球面レンズは、球形または円柱形の部分ではない表面プロファイルを有する。非球面レンズは、非点収差などの光学的収差を低減すること、およびより複雑な光学系を簡略化することを含む様々な理由で光学系に利用されているが、これらの理由に限定されない。非球面レンズはまた、レンズの厚さを低減するために使用され得る。他の好適なレンズ系が、共同所有の米国特許出願公開第US2012/0195800号および国際特許出願公開第WO2009/126303号に開示されており、それらは、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に考察されるレンズは、ガラスまたはプラスチックから作製され得る。
【0115】
プレート操作システムのハウジング上部は、プレート導入アパーチャの上方のハウジング上部上に装着されたプレートスタッカをさらに含み、そのプレートスタッカは、プレー
トを受容するか、またはそのプレートをプレート昇降機に送達するように構成されている。このプレートスタッカは、複数のプレートを収容し、機器上でのプレートの動きを防止するように構成された取り外し可能な積層式入れ子を含み得、それによって、積層式入れ子内の各プレートの、プレート昇降機への適切な導入の連携を図っている。一実施形態において、この積層式入れ子は、少なくとも5個のプレート、好ましくは少なくとも10個のプレートを収容することができ、その積層式入れ子は、その積層式入れ子の容量をさらに拡張するように構成されたプレート入れ子拡張要素を収容し得る。プレート昇降機は、プレート検出センサ、例えば、静電容量センサを備え、スタッカもまた、プレート検出センサ、例えば、静電容量センサ、重量センサ、または光学センサを含み得る。
【0116】
マルチウェルプレート内で測定を行うための装置を使用するための方法が提供される。プレートは、従来のマルチウェルプレートであってもよい。使用され得る測定技術としては、細胞培養ベースのアッセイ、結合アッセイ(凝集アッセイ、免疫アッセイ、核酸ハイブリダイゼーションアッセイ等を含む)、酵素アッセイ、比色アッセイなどの当技術分野で既知の技術が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な技術は、当業者には容易に明らかであろう。
【0117】
分析物の量を測定するための方法はまた、分析物に直接的または間接的に(例えば、分析物のラベル付きの結合パートナーの使用を通じて)付与され得るラベルの検出を通じて分析物を測定する技術も含まれる。好適なラベルには、直接視覚化することができるラベルが含まれる(例えば、視覚的に見ることができる粒子、および光散乱、吸光度、蛍光、化学発光、電気化学発光、放射能、磁場などの測定可能な信号を生成するラベル)。使用することができるラベルはまた、光散乱、吸光度、蛍光などの測定可能な信号をもたらす化学的活性を有する、酵素または他の化学反応種も含まれる。生成物の形成は、例えば、吸光度、蛍光、化学ルミネッセンス、光散乱などの測定可能な性質における、基質の差によって、検出可能であり得る。本発明による固相結合法を用いて使用することができるある特定の(ただし、必ずしもすべてではない)測定方法は、固相から非結合成分(例えば、ラベル)を除去するための洗浄工程から利益を得るか、またはその洗浄工程を必要とする場合がある。
【0118】
一実施形態において、本発明の装置を用いて行われる測定は、電気化学発光ベースのアッセイ形式、例えば、電気化学発光ベースの免疫アッセイを使用することができる。ECLの高感度、広いダイナミックレンジ、および選択性は、医療診断にとって重要な要因である。市販されているECL機器は、並外れた性能を示し、それらの優れた感度、ダイナミックレンジ、精度、および複雑なサンプルマトリックスの許容誤差を含む理由のために、広く使われるようになった。ECLを放出するように誘導することができる種(ECL活性種)は、ECLラベルとして使用されてきており、例えば、(i)金属が、例えば、第VIII族の貴金属からのものであり、トリスビピリジルルテニウム(RuBpy)部分などの、Ruを含有し、かつOsを含有する有機金属化合物を含む、有機金属化合物、ならびに(ii)ルミノールおよび関連化合物を含む。ECLプロセスでECLラベルとともに参加する種は、本明細書では、ECL共反応物と称される。一般的に使用される共反応物としては、第三級アミン(例えば、米国特許第5,846,485号を参照)、シュウ酸塩、ならびにRuBpyからのECL用過硫酸塩、およびルミノールからのECL用過酸化水素(例えば、米国特許第5,240,863号を参照)が挙げられる。ECLラベルによって生成される光は、診断手順におけるリポーター信号として使用することができる(Bardら、米国特許第5,238,808号、参照により本明細書に組み込まれる)。例えば、ECLラベルは、抗体、核酸プローブ、受容体、または配位子などの結合剤に共有結合させることができ、結合相互作用における結合試薬の関与は、ECLラベルから放出されるECLを測定することによって監視することができる。代替的に、ECL活性化合物からのECL信号は、化学的環境を示し得る(例えば、ECL共反応物の形
成または破壊を監視するECLアッセイについて記載している米国特許第5,641,623号を参照)。ECLアッセイを行うためのECL、ECLラベル、ECLアッセイ、および機器使用に関するより多くの背景技術については、米国特許第5,093,268号、同第5,147,806号、同第5,324,457号、同第5,591,581号、同第5,597,910号、同第5,641,623号、同第5,643,713号、同第5,679,519号、同第5,705,402号、同第5,846,485号、同第5,866,434号、同第5,786,141号、同第5,731,147号、同第6,066,448号、同第6,136,268号、同第5,776,672号、同第5,308,754号、同第5,240,863号、同第6,207,369号、同第6,214,552号、および同第5,589,136号、ならびに公開公報PCT第WO99/63347号、同第WO00/03233号、同第WO99/58962号、同第WO99/32662号、同第WO99/14599号、同第WO98/12539号、同第WO97/36931号、および同第WO98/57154号、を参照し、これらのすべては、参照により本明細書に組み込まれる。
【0119】
ある特定の実施形態において、電気化学発光(ECL)アッセイで使用するために適合されるプレートは、米国特許第7842246号に記載されているように、使用される。本発明の装置は、一度に1つのウェルから、または一度に2つ以上のウェルからECLを検出するように構成されているプレートを使用することができる。上述したように、一度に1つのウェルから、または一度に2つ以上のウェルからECLを検出するように構成されているプレートは、電極および電極接点を含み、これらの電極等は、特別にパターン形成されて、一度に1つのウェルのみ、または一度に2つ以上のウェル内の電極に電気エネルギーを印加することができる。この装置は、例えば、Glezerらの米国特許第7,807,448号に記載されているように、乾燥試薬および/または密封ウェルを収容するプレート内でアッセイを実行するのに、特に打ってつけであり得る。
【0120】
一実施形態において、この方法は、(a)プレートをプレートスタッカに導入することと、(b)遮光扉を開放することと、(c)プレート並進ステージ上で、プレートスタッカから上昇プラットフォームにプレートを下げることと、(d)遮光扉を封止することと、(e)プレートを並進させて、光検出器の下に1つ以上のウェルを位置決めすることと、(f)1つ以上のウェルからルミネッセンスを検出することと、(g)遮光扉を開放することと、(h)プレートをプレートスタッカの下の位置まで並進させることと、(i)プレートをプレートスタッカまで引き上げることと、を含む。好ましい実施形態において、この方法はまた、プレート上のプレート識別子を読み取って、プレート構成を識別することと、プレートを並進させて光検出器の下に1つ以上のウェルを位置決めすることと、任意選択的に、接触機構上の1つ以上の位置合わせ特徴を画像化して、接触機構に対して光検出器の位置を調整することと、プレート構成に基づいて1つ以上の問い合わせゾーン内に電位を選択的に印加することと、をも含む。この方法は、プレートキャリッジを並進させて光検出器の下に1つ以上の追加のウェルを位置決めすることと、1つ以上の追加のウェルからの発光を検出することと、をさらに含むことができる。この方法はまた、任意選択的に、ウェルのうちの1つ以上の電極に電気エネルギーを印加することも含み得る(例えば、電気化学発光を誘導させるために)。
【0121】
ECLベースの多重化試験については、米国特許第7,842,246号および同第6,977,722号のそれぞれの米国公開公報2004/0022677および同2004/0052646、米国特許第7,063,946号の米国公開公報2003/0207290、米国特許第7,858,321号の米国公開公報2003/0113713、米国特許第7,497,997号の米国公開公報2004/0189311、ならびに米国特許第7,981,362号の米国公開公報2005/0142033に記載されている。
【0122】
本明細書に記載されている装置を使用して、生物剤のアッセイを行うための方法もまた、提供される。一実施形態において、その方法は、結合アッセイである。別の実施形態では、この方法は、固相結合アッセイ(一例では、固相免疫アッセイ)であり、アッセイ組成物を、そのアッセイ内に存在する関心分析物(またはそれらの結合競合物質)を結合する1つ以上の結合表面に接触させることを含む。この方法はまた、アッセイ組成物を、特に関心分析物に結合する能力がある1つ以上の検出試薬に接触させることも含むことができる。好ましい実施形態に基づく多重化された結合アッセイ法は、当技術分野で利用可能ないくつかの形式を含むことができる。好適なアッセイ方法は、サンドイッチ型または競合結合型アッセイ形式を含む。サンドイッチ型免疫アッセイの例は、米国特許4,168,146および同4,366,241に記載されている。競合型免疫アッセイの例には、Buechlerらの米国特許4,235,601、同4,442,204、および同5,208,535に開示されたものが含まれる。一例では、海洋生物毒素および真菌毒素などの小型分子毒素が、競合型免疫アッセイ形式で、有利に測定することができる。
【0123】
一例では、装置100は、上述したように、(i)マルチウェルアドレス指定可能なマルチウェルプレート、例えば、4つのウェルアドレス指定可能な96ウェルプレートか、または(ii)単一ウェルアドレス指定可能なマルチウェルプレート、例えば、単一ウェルアドレス指定可能な96ウェルプレートのどちらかついてのECL試験を行うように適合されたECLリーダである。それらのウェルは、1スポット、または1スポットの小さなスポット、4、7、10スポットであり得る。装置100は、マルチウェルアドレス指定可能なモードまたは単一ウェルアドレス指定可能なモードに応じて、約1:29分か、または2:42分のいずれかでプレートを読み取ることができる。適切に較正されたECLリーダでは、10スポット暗騒音は13/14ECLカウントであり、10スポット飽和は、モードに応じて、約1.9×106/2.2×106ECLカウントであり、その結果、約1.4×105~約1.5×105の実効ダイナミックレンジ(飽和値/暗騒音)を得た。非限定的で、例示的な較正されたECLリーダは、Meso Scale Diagnostics社(Rockville、Maryland)から市販されている、MSD Free Tag ECL15,000ソリューションを収容するMSDQUICKPLEXプレート内で生成されたECLに対して15,000カウントの公称信号を提供するために較正された機器である。装置100は、V-PLEX、U-PLEX、およびR-PLEXアッセイキットと互換性があり、これもまた、Meso Scale
Diagnostics社から市販されている。V-PLEX、U-PLEX、および他のアッセイキットについては、共同所有され、国際公開されている特許出願第WO2018/017156A1号および同第WO2017/015636A1号に記載されており、それらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0124】
別の例では、装置1000は、上述したように、単一ウェルアドレス指定可能なマルチウェルプレート、例えば、単一ウェルアドレス指定可能な96ウェルプレート1スポット、または単一ウェルアドレス指定可能な96ウェルプレート1スポット小スポット上でECL試験を実行するように設計されたECLリーダである。装置100はまた、4スポット、7スポット、または10スポットプレートとともに使用することができる。上で考察されるように、適切に較正された場合、装置1000は、約8ECLカウントの1スポット暗騒音を伴う約2:37分でそのような1つのプレートを読み取ることができ、1スポットの飽和は、約1.3×10
6ECLカウントであり、その結果、約1.6×10
5の実効ダイナミックレンジ(飽和値/暗騒音)を得た。装置1000は、U-PLEXおよびR-PLEXアッセイキットと互換性があり、Meso Scale Diagnostics社(Rockville、Maryland)から市販されている。非限定的な例示的な装置1000の仕様は、以下の通りである。
【表3】
【0125】
検出試薬として使用することができる結合試薬、結合表面の結合成分、および/または架橋試薬には、抗体、受容体、配位子、付着素、抗原、抗原決定基、ミモトープ、アプタマー、ハイブリダイゼーションパートナー、およびインターカレーターが含まれるが、これらに限定されない。好適な結合試薬組成物には、たんぱく質、核酸、薬物、ステロイド、ホルモン、脂質、多糖類、およびこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。「抗体」という用語には、完全抗体分子(抗体サブユニットの生体外再会合によって組み立てられたハイブリッド抗体を含む)、抗体フラグメント、および抗体の抗原結合ドメインを含む組み換え型たんぱく質構築物(例えば、Porter&Weir、J.CellPhysiol.、67(Suppl1)、51~64、1966、Hochman et al.、Biochemistry12、1130~1135、1973に記載されているように、これによって、参照により本明細書によって組み込まれる)が含まれる。また、この用語には、例えば、ラベルの導入によって化学的に修飾された完全抗体分子、抗体フラグメント、および抗体構築物が含まれる。
【0126】
本明細書で使用される場合の測定とは、定量的および定性的測定を包含すると理解され、様々な目的のために実行される測定を包含し、それらには、分析物の存在を検出すること、分析物の量を定量化すること、既知の分析物を識別すること、および/またはサンプル中の未知の分析物の素性を決定することが含まれるが、これらに限定されない。一実施形態によれば、1つ以上の結合表面に結合された第1の結合試薬および第2の結合試薬の量は、サンプル中の分析物の濃度値、すなわち、サンプルの体積当たりの各分析物の量として提示され得る。
【0127】
分析物は、電気化学発光ベースのアッセイ形式を使用して検出され得る。電気化学発光測定は、電極表面上に固定化され、ないし収集された結合試薬を使用して実行されることが好ましい。特に好ましい電極には、特別に設計されたカートリッジおよび/またはマルチウェルプレート(例えば、24、96、384等のウェルプレート)の底部にパターン形成することができるスクリーン印刷された炭素インク電極が含まれる。炭素電極の表面上でのECLラベルからの電気化学発光は、米国特許第7,842,246号および同第6,977,722号(両方とも、「Assay Plates,Reader Systems and Methods for Luminescence Test Measurements」と題され、2002年6月28日に出願され、これによって、参照により組み込まれる)に記載されているように、画像化プレートリーダを使用して、
誘導され、測定される。類似プレートおよびプレートリーダが、現在、市販されている(MULTISPOT(商標)およびMULTI-ARRAY(商標)プレートおよびSECTOR(商標)機器、Meso Scale Discovery社、Meso Scale Diagnostics部門、LLC(Rockville、MD))。
【0128】
一実施形態において、プレート内の電極上に固定化されている抗体を使用して、サンドイッチ型免疫アッセイ形式で選択された生物学的薬剤を検出することができる。別の実施形態では、プレート内の一体型電極上にパターン形成された抗体のマイクロアレイを使用して、サンドイッチ型免疫アッセイ形式で複数の選択された生物学的薬剤を検出することになる。したがって、各ウェルは、プレートの作用電極上に固定化された1つ以上の捕捉抗体、ならびに任意選択的に、乾燥形態でまたは別個の成分として、例えばキット内で、サンプルの分析のために、かつ正および負の制御を実行するために必要とされるラベル付き検出抗体およびすべての追加試薬を収容する。
【0129】
上述した装置100および1000などのECLリーダは、最初の使用の前に、または定期的に認定されることが好ましい。好ましくは、ECLリーダを認定するためのステップは、総合的にかつ認定プロセスの開始時に完了されるべきであり、その理由は、動作可能なECLを有することは、いかなるアッセイ実行にも必要であるからである。このECL認定には、電子プレートを用いてECLリーダを実行するステップが含まれ、この電子プレートは、プレートに印加する電流を測定する。これにより、印加される電流が適切かつ均一になることを確実にする。別のステップは、次のステップになり得るが、空のアッセイマイクロプレート、例えば、MSD96ウェルプレートを用いてECLリーダを走らせ、ECLリーダ内の電子ノイズまたはバックグランド/暗雑音のレベルを測定することである。別のステップは、他の2つのステップの後に続く可能性があるが、Meso Scale Diagnostics Read Buffer社の非結合SULFO-TAG(以降、「フリータグ」と称する)からなる試薬をアッセイプレートに充填して、ECLリーダが予想されるカウントを読み取ることを検証することである。例えば、300,000カウントのフリータグを検出試薬として使用して、ECL信号を生成することができる。したがって、ECLリーダは、小さな所定の範囲内で各ウェルから約300kカウントを読み取る必要がある。300kのフリータグは、Meso Scale Diagnostics社から市販されている。
【0130】
一例では、8行(A~H)および12列(1~12)を有する標準的な96ウェルプレートと類似の電子プレートであり、その認定ステップは、例示的なウェル位置A9、B10、C11、D12、およびE4、F3、G2、H1におけるウェルを読み取って、その読み取り値が、所定の量、例えば、2000カウント以上であるかどうかを判定することができる。他のウェル位置、および異なる数のウェル位置が、選択され得る。ECLリーダが読み取るように予想されている各ウェル構成の電子プレートは、認定されている必要がある。
【0131】
本開示に引用された特許、特許出願、刊行物、および試験方法は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本発明は、本明細書に説明された特定の実施形態によって範囲を限定されるべきではない。実際、本明細書に記載されている発明に加えて、本発明の様々な修正が、前述の説明および添付図面から、当業者にとっては明らかであろう。そのような修正は、特許請求の範囲内に入ることが意図されている。
【0132】
上で考察したように、1つの分析物の測定は、別の後続の被測定分析物の測定に悪影響を及ぼす可能性がある。本発明の他の実施形態によれば、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、マルチウェルアッセイプレート内の分析物を測定するためのCCDカメラシステムでのクロストークの量を低減または排除することができる。以下の考察は、
好ましくは、装置100に組み込まれ、また装置1000と併せて使用することもできる。
【0133】
図16は、CCDカメラシステム1300の概略図である。このCCDカメラシステムは、CCD1301、CCDクランプコンデンサ1322を有するアナログフロントエンド回路1303、およびアナログからデジタルへの回路1304を含む。CCDカメラシステム1300は、出力を出力デバイス1321に与える。この出力デバイス1321は、ディスプレイモニタまたはコンピュータシステムなどの、CCDカメラシステム1300によって出力されたデータを解釈するための任意の好適なデバイスを含むことができる。CCDカメラシステム1300は、アッセイプレート内で複数の空間的に分離された分析物を測定するように構成されており、上で考察したように、集束システム、およびアッセイプレートを配置するように構成されたプレートキャリッジシステムに結合されて、複数の分析物の測定を容易にする。
【0134】
CCD1301は、行および列の状態で配列された複数の画素1311を含む。CCD1301の露出中に、CCD1301の画素1311は、CCDに当たる光を検出し、検出された光の関数として電荷を蓄積する。露出後、画素1311の各々の中の電荷の値が、以下のように、読み取り信号としてアナログフロントエンド回路によって受信される。画素1311の最下行の電荷は、シリアルレジスタ1320に転送される。アナログフロントエンド回路1303は、動作して、CCD1301の読み取り信号をアナログからデジタルへの回路1304に転送して、複数の画像データポイントに変換する。変換後、複数の画像データポイントは、分析のために任意の関連するシステムに出力され得る。
【0135】
画像データポイントの連続した測定の間に、クランプコンデンサ1322は、アナログフロントエンド回路1303の基準レベルクランプ回路部分を介して、基準電圧レベルにリセットされる。リセットされた後、クランプコンデンサ1322は、シリアルレジスタ1320の次の(または最初の)データ要素からデータ電圧を受け取る。アナログフロントエンド回路1303は、クランプコンデンサ1322からの基準レベルおよびデータレベルをサンプリングすることによって(例えば、相関二重サンプリング、または他の好適な技術を介して)、動作する。次いで、基準レベル電圧振幅とデータ電圧振幅との間の差は、アナログからデジタルへの回路1304によって、デジタル信号に変換されて、画像データポイントとして出力される。各データ電圧が読み取られた後、基準レベルクランプ回路は、シリアルレジスタ1320の次のデータ要素のデータ電圧がクランプコンデンサ1322に転送される前に、クランプコンデンサ1322を基準レベル電圧に復元する。シリアルレジスタ1320のデータ要素のすべてが読み取られた後、画素1311の次の行からの電圧は、シリアルレジスタ1320の中に引っ張り込まれて、アナログフロントエンド回路303によって順次読み取られる。さらなる実施形態において、画素1311は、読み出し前に平均化するために、画素の2×2グループまたは4×4グループなどのグループ内でともにビニングされる。
【0136】
このようにして、画素1311の全体は、アナログフロントエンド回路1303によって読み取られ得、アナログからデジタルへの回路1304によって画像データポイントに変換され得る。アナログフロントエンド回路1303において、基準レベルクランプ回路部分は、各画像データポイントが測定された後に、基準レベル電圧を所定の値に完全にリセットするように動作する。すなわち、基準レベル電圧は、各画像データポイントが読み取られた後に、実質的に同じ電圧(例えば、アナログからデジタルへの回路1304の解像度範囲内で)に戻される。基準レベルクランプ回路は、基準レベル電圧を所定の値に戻すために選択された時定数を有する。特に、基準レベルクランプ回路の減衰時定数は、基準レベル電圧が完全にリセットされることを確実にするように選択される。基準レベル電圧を完全にリセットすることにより、各連続した画像データポイント読み取りが以前の画
像データポイント読み取りによって影響を受けないことを確実にする。これにより、今度は、アッセイプレート上の異なる分析物の測定間のクロストークを低減する。
【0137】
これは、基準レベルクランプ回路部分のタイミングは、各画像データポイント読み取りの間にクランプコンデンサ上の基準レベル電圧を完全にはリセットすることができない、いくつかの従来のシステムとは対照的である。特に、基準レベル電圧を完全にリセットすることができないそのような失敗は、高い電圧値がシリアルレジスタのデータ要素から読み取った後に、より一般的であり得る。そのような高い電圧読み取りは、CCDが明るい画像を記録したときに、起こり得る。明るい画像の高い電圧の読み取りは、明るい画素の後に記録されたいくつかの画素の読み取りに悪影響を及ぼす場合があり、輝点が故意に引き上げられた値を有した後に画像データポイントが記録されたため、画像内に「スミア」または「ストリーク」を引き起こす可能性がある。そのようなスミアリングの影響が、
図17と関連して例示されている。
【0138】
図17は、ピンホール試験装置におけるスミアリングの影響を例示している。
図17は、アナログフロントエンド回路の最適化前後のピンホールCCD試験の結果を例示している。単一の光スポットがCCDに到達することができるように構成されたピンホール試験ジグを用いて、ピンホールCCD試験が実行されている。光源は、中にピンホールを有する不透明材料の後ろに配置されている。このピンホールにより、単一ウェル状に描かれたスポット内で、光が不透明材料を通過してCCDに到達することを可能にしている。CCDが適切に動作している場合、出力画像データポイントは、スポットライトからの光が入るCCDのそれらの部分にのみ対応することになる。
【0139】
画像1401、1402、1403、1404、および1405は、1ミリ秒の間に、画像1401から1405まで照射レベルを増加させながら、ピンホール試験ジグを使用して生成されたものである。画像1401、1402、1403、1404、および1405は、それぞれ、ピンホールスポット照射、および付随する白色スミアである。画像1401、1402、1403、1404、および1405を生成する際に、クランプコンデンサを完全にリセットするに失敗する基準レベル回路時定数を有するアナログフロントエンド回路が使用された。上で考察されるように、そのスミアは、リセットしない時定数を有する基準レベル回路によって生成されたアーチファクトである。CCD上への輝点照射は、連続して読み取った画像データポイントの間に、基準レベルをリセットすることができない失敗をもたらす。基準レベルクランプ回路での基準レベルが適切にリセットされないため、連続した画像データポイントの測定値は、以前の画像データポイントの測定によって影響または被害を受ける。スポット照射の明るい画像データポイントにより、スポットの外側の連続した画像データポイントの値が、人為的に引き上げられることになる。画像1401~1405に見られるように、このアーチファクトは、多くの画像データポイントを通って照射されたスポットの右の方に延びている。画素の各ラインは、シリアルレジスタから、左から右へ読み取られるため、明るい画素は、最初に照射されたスポットから右方向へ延びるストリークを引き起こす。行の最後の画素が読み取られた後、次の行の最初の画素が読み取られる。したがって、ある行の最後の画素読み取りは、次の行の最初の画素読み取りに悪影響を及ぼす可能性があり、これにより、スミアの影響を「巻き込み(wrap around)」、画像1402~1405に見られるように、次の行に現れる可能性がある。
【0140】
画像1411、1412、1413、1414、および1415は、1ミリ秒の間に、画像1411から1415まで照射レベルを増加させながら、ピンホール試験ジグを使用して生成されたものである。画像1411~1415の照射レベルは、それぞれ、画像1401~1405のレベルに対応する。画像1411~1415を取り込む際に、本明細書に開示されているように、修正改良されたアナログフロントエンド回路1303を使用
した。上で考察したように、アナログフロントエンド回路1303は、データ読み取りの間にクランプコンデンサを完全にリセットするために選択された時定数を有する基準レベルクランプ回路を含む。改良された基準レベルクランプ回路により、基準レベルが、各画像データポイント読み取り後に、完全にリセットするのを可能にする。各画像データポイント読み取り後に、基準レベルクランプ回路を完全にリセットすることにより、最初の画像データポイント読み取りが2番目の連続した画像データポイント読み取りに依存するという悪影響を低減または排除する。
【0141】
図17および画像1401~1405に関連して説明したアーチファクトエラーは、単一の画像内で複数の分析物を測定しようとするときに、特に面倒な問題となり得る。
図18は、アッセイプレート1500の複数のウェル1510(ここでは、4つのウェル)を占有する複数の分析物1501の取り込まれた画像を示す。アッセイプレート1500の各ウェル1510は、4つの空間的に分離された分析物1501を収容する。CCDカメラを使用して、4つのウェル1510、およびその中に収容された分析物1501のすべての画像を取り込んでいる。スミアリングによって引き起こされる分析物測定の問題は、分析物1501の各々に見ることができる。上に考察したように、クランプコンデンサを完全にリセットすることができないアナログフロントエンド回路に結合されたCCDカメラを使用して画像を取り込むことにより、結果として、輝点のスミアリングがもたらされる可能性がある。分析物1501の画像は、近くの分析物1501の画像を汚す。各分析物1501は、次の分析物1501のスポット位置へ右方向に延びるスミア1503を有し、潜在的には、それらの分析物1501の間違った測定を引き起こす可能性がある。同様のスミアは、従来のアナログフロントエンド回路を使用したときに、ウェル1510内のすべての分析物1501とともに生じる。本明細書の実施形態と一致するクランプコンデンサを完全にリセットするために選択された時定数を有するアナログフロントエンド回路の使用を通じてスミアを排除することにより、優れた精度を生み出し、その理由は、第1の分析物1501の測定が、第2の分析物1501への影響を低減または排除するからである。
【0142】
図18に示すように、分析物1501の間のクロストーク、例えば、スミアリングは、アッセイプレートの単一ウェル内の複数の分析物の間、および/またはアッセイプレートの異なるウェル内に収容された複数の分析物の間で生じ得る。本明細書の実施形態と一致するアナログフロントエンド回路1303を使用する本発明のCCDカメラベースのシステムは、両方の状況においてカメラスミアリングであるクロストークを改善することができる。
【0143】
図19は、本明細書の実施形態と一致するアナログフロントエンド回路1600の例を示す。アナログフロントエンド回路600は、基準レベルクランプ回路1601、アナログデジタル変換器バッファ回路1602、およびクランプコンデンサ1603を含む。クランプコンデンサ1603は、CCDおよびプリアンプ1604の出力に接続されている。クランプコンデンサ1603は、CCDおよびプリアンプ1604のシリアルレジスタのデータ要素からの電圧レベルを、アナログデジタル変換器バッファ回路1602上の電圧にシフトさせる。クランプコンデンサ1603上のデータ電圧の読み取りの間に、基準レベルクランプ回路1601は、クランプコンデンサ1603上の電圧を基準レベルにリセットする。アナログデジタル変換器回路(図示せず)は、データ電圧と基準レベル電圧を交互にサンプリングし、上記2つの間の電位差を、画像データポイントとして出力するためのデジタル信号に変換する。
【0144】
基準レベルクランプ回路1601は、最適化されて、クランプコンデンサ1603上のデータ電圧読み取りの間の基準レベル電圧を完全にリセットする。特に、基準レベルクランプ回路601の時定数は、クランプコンデンサ1603上のデータ電圧読み取り値が後
続のデータ電圧読み取り値に悪影響を及ぼさないように選択される。すなわち、基準レベルクランプ回路1601は、連続したデータ電圧読み取りの間にメモリがないように、クランプコンデンサ1603での基準レベル電圧を完全にリセットする。この最適化は、最適化されていない基準レベルクランプ回路1601と組み合わせた明るいピンホールスポットによって引き起こされる、画像1401~1405に示したストリーキングまたはスミアリングを低減または排除するのに役立つ。
【0145】
図20は、分析物測定プロセス1700の実施態様を例示するプロセスフローチャートである。
図7に図示してある様々な処理動作および/またはデータの流れは、本明細書において、より詳細に説明される。説明されている動作は、上で詳細に説明されたシステム構成要素のうちのいくつかまたはすべてを使用して達成することができ、いくつかの実施態様では、様々な動作が、異なった順番で実行されてもよく、様々な動作が省略されてもよい。追加の動作は、図示されたフロー図に示した動作の一部またはすべてとともに実行されてもよい。1つ以上の動作が、同時に実行されてもよい。したがって、例示されている(また、以下でより詳細に説明されている)ような動作は、本来、例示的なものであり、したがって、限定的であるものとみなされるべきではない。
【0146】
動作1702において、プロセス1700は、CCDカメラを使用して、1つ以上の画像化ゾーン内で複数の分析物を測定することを含む。CCDカメラは、CCD、アナログフロントエンド回路、およびアナログからデジタルへの回路を含む。CCDカメラは、集束システム、および複数の分析物の測定を容易にするためのアッセイプレートを配置するように構成されたプレートキャリッジシステムに結合されている。CCDカメラは、CCD露出中に、複数の分析物からの光を捕捉または検出することによって、複数の分析物を測定する。さらなる実施形態において、CCD露出中に、任意の他の試験対象からの光を捕捉または検出して、CCD測定値を生成することができる。
【0147】
動作1702において、プロセス1700は、アナログフロントエンド回路を介して、CCDのシリアルレジスタからの読み出し信号を受信することを含む。
【0148】
動作1704において、シリアルレジスタからの読み出し信号を受信することは、読み出し信号を、シリアルレジスタから、アナログからデジタルへの回路に転送して、第1の画像データポイントを生成することを含む。
【0149】
動作1706において、読み出し信号を受信することは、時定数を有する基準レベルクランプ回路を介して、アナログフロントエンド回路の基準レベルを完全にリセットすることをさらに含む。その時定数は、選択されて、複数の分析物のうちの第1の分析物の第1の測定と、複数の分析物のうちの第2の分析物の第2の測定との間のクロストークを低減する。
【0150】
動作1708において、読み取り信号を受信することは、読み取り信号を、シリアルレジスタから、アナログからデジタルへの回路に転送して、第2の画像データポイントを生成することを含む。
【0151】
したがって、複数の分析物の測定の間にクロストークを低減するためのシステム、デバイス、および方法が提供されている。本発明による様々な実施形態が上で説明されてきたが、それらの実施形態は、単なる例示および例、ならびに非限定的なものとして提示されていることを理解されたい。本明細書に提示された改良されたCCDカメラベースシステムを使用することができる。
【0152】
形式および詳細における様々な変更が、本発明の趣旨および範囲を逸脱せずに、その点
で行うことができることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本発明の間口および範囲は、上述した例示的な実施形態のうちのいずれによっても限定されるべきではない。さらなる実施形態および組み合わせは、以下の番号が付けされた段落に記述されている。本明細書に考察された各実施形態、および本明細書に引用された各参考文献のそれぞれの特徴は、任意の他の実施形態の特徴と組み合わせて使用することができることも理解されるであろう。触覚効果を表現する上記の方法の態様は、本明細書に記載された他の方法との任意の組み合わせで使用することができ、または本方法を別個に使用することができる。本明細書で考察されたすべての特許および刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析物間のクロストークが低減されたアッセイプレート内の複数の分析物を測定するように構成されたシステムであって、前記システムが、
CCD、アナログフロントエンド回路、およびアナログからデジタルへの回路を備える、CCDカメラを備え、前記CCDカメラが、前記複数の分析物を測定するように構成されており、集束システム、および前記複数の分析物の測定を容易にするように前記アッセイプレートを配置するように構成されたプレートキャリッジシステムに結合されており、
前記アナログフロントエンド回路が、前記CCDのシリアルレジスタから読み出し信号を受信するように、かつ前記読み出し信号を前記アナログからデジタルへの回路に転送して、複数の画像データポイントを生成するように構成されており、前記アナログフロントエンド回路が、前記複数の分析物のうちの第1の分析物の第1の測定値と、前記複数の分析物のうちの第2の分析物の第2の測定値との間のクロストークを低減するように、連続する画像データポイント読み取り値の間の基準レベルを完全にリセットするように選択された時定数を伴って構成された基準レベルクランプ回路を含む、システム。
【外国語明細書】