(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113647
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】ドライアイ症候群を治療するための抗生物質マクロライドを送達する組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/706 20060101AFI20230808BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230808BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20230808BHJP
A61K 9/26 20060101ALI20230808BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230808BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20230808BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230808BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230808BHJP
【FI】
A61K31/706
A61P27/02
A61K9/00
A61K9/26
A61K47/02
A61K47/04
A61K47/32
A61K47/34
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023077694
(22)【出願日】2023-05-10
(62)【分割の表示】P 2019566112の分割
【原出願日】2018-05-30
(31)【優先権主張番号】62/512,682
(32)【優先日】2017-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】517183339
【氏名又は名称】エキシモア・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Eximore Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】イシャイ・アッタール
(72)【発明者】
【氏名】エヤル・シートリト
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ドライアイ症候群を治療するための生物活性剤を送達するための組成物および方法を提供する。
【解決手段】それを必要とする哺乳動物の眼に組成物を投与することを含んでなる、ドライアイ症候群の治療方法であって:該組成物は徐放性組成物であり、該組成物は、1日あたり有効量の活性剤を少なくとも7日間の治療期間放出するように構成されており;および該活性剤がタクロリムスである、方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする哺乳動物の眼に組成物を投与することを含んでなる、ドライアイ症候群の治療方法であって:
該組成物は徐放性組成物であり、
該組成物は、1日あたり有効量の活性剤を少なくとも7日間の治療期間放出するように構成されており;および
該活性剤がタクロリムスである、
方法。
【請求項2】
活性剤の有効量が0.5~10マイクログラムである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
活性剤の有効量が0~60重量%(w/w)である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
活性剤の有効量が5~40重量%(w/w)である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
活性剤の有効量が5~20重量%(w/w)である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
活性剤の有効量が10~20重量%(w/w)である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
活性剤の有効量が10~17重量%(w/w)である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
活性剤の有効量が10~15重量%(w/w)である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
活性剤の有効量が10~13重量%(w/w)である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
活性剤の有効量が13~20重量%(w/w)である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
活性剤の有効量が15~20重量%(w/w)である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
治療期間が少なくとも14日間である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
治療期間が少なくとも21日間である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
治療期間が少なくとも30日間である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
治療期間が少なくとも60日間である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
治療期間が少なくとも90日間である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
放出の治療期間が7~90日間である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
組成物の形状が、円筒形、プラグ、コイン、ディスク、プレート、立方体、球体、繊維、箱、菱形、リング、「S」、「L」、「T」、クモの巣状、ネット、メッシュ、「U」、および「V」からなる群から選択される形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
組成物の形状が、円筒形、プラグ、コイン、ディスク、プレート、立方体、球体、繊維、箱、菱形、リング、「S」、「L」、「T」、クモの巣状、ネット、メッシュ、「U」、または「V」を含んでなる形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
以下を含む組成物:
カオリンを含んでなる増量剤、
ヒュームドシリカを含んでなる吸収材料、
エポキシを含んでなる結合剤、および
タクロリムスを含んでなる活性剤。
【請求項21】
組成物の形状が、円筒形、プラグ、コイン、ディスク、プレート、立方体、球体、繊維、箱、菱形、リング、「S」、「L」、「T」、クモの巣状、ネット、メッシュ、「U」、および「V」からなる群から選択される形態である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
組成物の形状が、円筒形、プラグ、コイン、ディスク、プレート、立方体、球体、繊維、箱、菱形、リング、「S」、「L」、「T」、クモの巣状、ネット、メッシュ、「U」、または「V」を含んでなる形態である、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
以下を含む組成物:
ヒュームドシリカを含んでなる吸収材料、
エポキシを含んでなる結合剤、および
タクロリムスを含んでなる活性剤。
【請求項24】
組成物の形状が、円筒形、プラグ、コイン、ディスク、プレート、立方体、球体、繊維、箱、菱形、リング、「S」、「L」、「T」、クモの巣状、ネット、メッシュ、「U」、および「V」からなる群から選択される形態である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
組成物の形状が、円筒形、プラグ、コイン、ディスク、プレート、立方体、球体、繊維、箱、菱形、リング、「S」、「L」、「T」、クモの巣状、ネット、メッシュ、「U」、または「V」を含んでなる形態である、請求項23に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年5月30日に提出の米国仮出願(米国特許出願番号62/512,682;発明の名称「非抗生物質マクロライドを送達する組成物および方法」)の優先権を主張する。
【0002】
技術分野
実施形態として、本発明は、生物活性剤を送達するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ドライアイ症候群としても知られる乾性角結膜炎(KCS)は、角膜前涙液膜における1以上の要素の欠乏に起因する慢性の眼疾患である。50歳以上の人口の約2パーセントがKCSに罹患している。KCSの一般的な症状としては、涙液産生の低下または涙液の不十分な分泌、および過剰な涙液蒸発が挙げられる。KCSの長期にわたる治療は、これらの症状の緩和に役立ち得る。
【発明の概要】
【0004】
実施形態として、本発明の組成物は、タクロリムス(FK-506)が組成物に添加されていてもよい薬物送達デバイスである。涙液膜の浸透圧亢進による眼の炎症は、シクロスポリンやタクロリムス(FK-506)などの局所免疫抑制剤を使用して治療できる。特定の一実施形態として、シクロスポリンまたはタクロリムス(FK-506)などの局所免疫抑制剤を使用して、涙液膜の浸透圧亢進による眼の炎症を抑制することができる。別の実施形態として、コンポジットマトリックス上強膜インプラントまたは涙点プラグは、タクロリムスなどの薬物を徐放的に角膜に送達する。一例では、本発明の眼用インプラントは、コンポジットマトリックス-タクロリムスからなる涙点プラグ、によるKCSの長期治療をもたらす。さらに別の実施形態として、タクロリムスを含有するコンポジットマトリックス上強膜インプラントまたはコンポジットマトリックスプラグは、毒性レベル未満のタクロリムスの持続放出を可能にし、全身副作用なしに局所療法よりも高い薬物濃度を可能にする。
【0005】
別の実施形態として、インプラントは約900マイクログラムのTACを含む。1つの具体例では、TACの放出は、in vitroで最初の1か月は2μg/日、その後の2~3か月は定常状態の放出で1.5μg/日であり、最初の3か月間は平均約1.7μg/日であった。さらに別の実施形態として、in vitroでの放出の推定持続期間は6ヶ月である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明は、添付の図面を参照してさらに説明され、いくつかの図を通して、同様の構造は同様の数字で参照される。図面は必ずしも縮尺通りではなく、本発明の原理を例示することに重点が置かれている。さらに、いくつかの特徴は、特定のコンポーネントの詳細を示すために誇張されている場合がある。
【
図1】
図1は、化学構造を示して本発明の組成物の実施形態を説明する。
【
図2】
図2A~2Eは、プラグを様々に示して、本発明の組成物の実施形態を説明する。
【
図3】
図3は、本発明の組成物の製造方法の実施形態を示す。
【
図4】
図4は、放出プロファイルを示して本発明の組成物の実施形態を説明する。
【
図5】
図5は、本発明の組成物の実施形態の放出プロファイルのグラフを示す。
【
図6】
図6Aおよび
図6Bは、本発明の組成物の配置の実施形態の写真である。
図6Cは、グラフを示して本発明の組成物の実施形態を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
例示的な実施形態の記載
図面は本明細書の一部を構成し、本発明の例示的な実施形態を含み、その様々な目的および特徴を示している。さらに、図面は必ずしも縮尺どおりではなく、いくつかの特徴は特定のコンポーネントの詳細を示すために誇張されている場合がある。さらに、図に示されている寸法、仕様などはすべて、限定ではなく例示を目的としている。したがって、本明細書で開示される特定の構造および機能の詳細は、限定として解釈されるべきではなく、単に本発明を様々に適用する当業者に教示するための典型的な基準として解釈されるものである。
【0008】
開示されたこれらの利益および改善のうち、本発明の他の目的および利点は、添付の図面と併せて以下の記載から明らかになるであろう。本発明の詳細な実施形態は本明細書に開示されている;但し、開示された実施形態は、様々な形態で具現化され得る本発明の単なる例示であると理解される。さらに、本発明の様々な実施形態に関連して記載された実施例はそれぞれ、限定ではなく例示を意図したものである。
【0009】
明細書および特許請求の範囲を通じて、以下の用語は、文脈からそうでないことが明らかでない限り、本明細書で明示的に関連付けられた意味を有する。本明細書で使用される「一実施形態として」および「実施形態として」という語は、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らないが、そうであってもよい。さらに、本明細書で使用される「別の実施形態として」および「他の実施形態として」という語は、異なる実施形態を指す場合もあるが、必ずしもそうではない。したがって、以下に記載するように、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明のさまざまな実施形態を容易に組み合わせることができる。
【0010】
さらに、本明細書で使用される「または」という用語は、包括的な「または」の演算子であり、文脈から明らかにそうでない限り、「および/または」という用語と同等である。「~に基づいて」という用語は排他的ではなく、文脈から明らかにそうでない限り、記載されていないさらなる要素に基づくことを可能にする。さらに、本明細書全体を通じて、「a」、「an」、および「the」の意味には複数への参照が含まれる。「in」の意味には「in」と「on」が含まれる。
【0011】
本発明は、一般に、生物活性剤を長期間にわたって投与するための、デバイスと薬物を組み合わせた医薬品の分野に関する。より具体的には、眼への治療化合物の持続的送達のための埋め込み式の眼用デバイスに関する。本発明において、持続放出は、所定の速度で薬物を放出して、最小の全身副作用で、特定の期間、実質的に一定の薬物濃度を維持するよう設計された剤形の一種である。
【0012】
実施形態として、本発明は、単位体積当たり一定量の薬物を含有し放出するように構成されたコンポジットデバイスである。実施形態として、デバイスは、複数の薬物(例えば、2種類の薬物、3種類の薬物、4種類の薬物、5種類の薬物が挙げられるが、これらに限定されない)の搭載が可能なように構成される。実施形態として、薬物分子はマトリックスに物理的に結合している。実施形態として、非金属コーティングにより、2つの異なる速度で(最初の数週間は高い速度で、その後は低い速度で)ゼロ次またはほぼゼロ次の薬物放出動態がもたらされる。
【0013】
実施形態として、本発明の組成物は、所望の本体/形状に成形された薬物送達デバイスコンポジットであり、コンポジットは少なくとも以下を含んでなる:表面積が大きく嵩密度が低い多孔質構造の不活性材料の粒子。適切な不活性材料として、ヒュームドシリカ、シリカゲル、活性炭、活性アルミナ、ゼオライトの製品、またはそれらの組み合わせが、連続気泡(open cell)スポンジと同様の相互に接続された毛細管ネットワークを有する多孔質構造を提供するが、これらに限定されない。
【0014】
実施形態として、細孔の小さな直径は、液体を粒子に引き込む高い毛管力をもたらす。この物理的な吸収メカニズムは、液体の化学的特性に依存しないと考えられるため、極性液体と非極性液体の両方を吸収し得る。例えば、たとえば、フュームドシリカの表面積は10~600m2/g、シリカゲルの場合は約800m2/gである。一例として、完成した吸収物は以下を含む:(1)粒子表面または細孔内部の50~75%の薬物を含む液体活性物質(例えば、マクロライドを負荷した(すなわち、結合させた)ヒュームドシリカが挙げられるがこれに限定されない);(2)増量剤(例えば、カオリンが挙げられるがこれに限定されない);(3)接着結合剤(例えばセラミック接着剤、例えば、エポキシ接着剤が挙げられるがこれに限定されない);(4)疎水性の可塑性ポリマー(例えば、ポリウレタンが挙げられるがこれに限定されない)またはこれらの任意の組み合わせ。実施形態として、液体活性物質を吸着する物理的メカニズムは受動的である。
【0015】
実施形態として、完成した吸収物は以下を含む:(1)粒子表面または細孔内部の50~75%の薬物を含む液体活性物質(例えば、マクロライドを負荷した(すなわち、結合させた)ヒュームドシリカが挙げられるがこれに限定されない);(2)接着結合剤(例えばセラミック接着剤、例えば、エポキシ接着剤が挙げられるがこれに限定されない);(3)疎水性の可塑性ポリマー(例えば、ポリウレタンが挙げられるがこれに限定されない)またはこれらの任意の組み合わせ。
【0016】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、
a)以下を含むコンポジット:(i)不活性材料の粒子であって、不活性材料は粒子の表面上で薬物(例えば粒子と結合する薬物)をまたは細孔内で薬物(例えば細孔内に収容される薬物)を吸着している;(ii)増量剤;(iii)接着結合剤;(iv)疎水性の可塑性ポリマー、またはこれらの任意の組み合わせ、および
b)場合により、本体/コアの外表面全体のまたは一部分のコーティング(このコーティングは、完全な/連続的なまたは有孔のコーティングであり得、例えば、コーティングはブタバール(butvar)ブおよび/またはパリレン(parylene)であり得るが、これらに限定されない。)
を含んでなる薬物送達デバイスである。
【0017】
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、
a)以下を含むコンポジット:(i)不活性材料の粒子であって、不活性材料は粒子の表面上で薬物(例えば粒子と結合する薬物)をまたは細孔内で薬物(例えば細孔内に収容される薬物)を吸着している;(ii)接着結合剤;(iii)疎水性の可塑性ポリマー、またはこれらの任意の組み合わせ、および
b)場合により、本体/コアの外表面全体のまたは一部分のコーティング(このコーティングは、完全な/連続的なまたは有孔のコーティングであり得、例えば、コーティングはブタバール(butvar)ブおよび/またはパリレン(parylene)であり得るが、これらに限定されない。)
を含んでなる薬物送達デバイスである。
【0018】
実施形態として、本発明の組成物は、免疫抑制薬を含有し、免疫抑制薬としては、シクロスポリン、アザチオプリン、タクロリムス、およびそれらの誘導体またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。実施形態として、本発明の組成物は、免疫抑制薬を含有し、免疫抑制薬は、免疫抑制剤または免疫調節剤またはそれらの任意の組み合わせとして使用される、タクロリムス、シクロスポリン、ピメクロリムス、およびシロリムス、エベロリムス、デフォロリムス、テムシロリムス、ゾタロリムス、アベチムス、グスペリムス、およびミコフェノール酸のような抗生物質マクロライドである。実施形態として、2種類以上(例えば、2、3、4、5種類)の薬物をマトリックスに含有させて、独立に並行して放出させ、各薬物は(a)外部媒体におけるその本来の溶解度、および(b)疎水性ポリマー、外部の不透過性バリア、あるいはその両方によるバリアに従って放出される。実施形態として、マトリックス中のマクロライドの濃度は、約1~約60重量%である。実施形態として、マトリックス中のマクロライドの濃度は、重量で約30%~約40%重量%である。実施形態として、マトリックス中のマクロライドの濃度は、約10~約17重量%である。
【0019】
本発明の組成物の実施形態として、マトリックス中のマクロライドの濃度は約10~約15重量%である。実施形態として、マトリックス中のマクロライドの濃度は約10~約13重量%である。実施形態として、マトリックス中のマクロライドの濃度は約5~約20重量%である。実施形態として、マトリックス中のマクロライドの濃度は約10~約20重量%である。実施形態として、マトリックスのマクロライドの濃度は約13~約20重量%である。実施形態として、マトリックス中のマクロライドの濃度は約15~約20重量%である。
【0020】
実施形態として、本発明の組成物は、
a)以下を含むコンポジット:(i)不活性材料の粒子であって、不活性材料は粒子の表面上で薬物(例えば粒子と結合する薬物)をまたは細孔内で薬物(例えば細孔内に収容される薬物)を吸着している;(ii)増量剤;(iii)接着結合剤;および
b)場合により、本体/コアの外表面全体のまたは一部分のコーティング(このコーティングは、完全な/連続的なまたは有孔の(perforated)コーティングであり得、例えば、コーティングはパリレンであり得るが、これらに限定されない。)
を含んでなる薬物送達デバイスである。
【0021】
実施形態として、本発明の組成物は、
a)以下を含むコンポジット:(i)不活性材料の粒子であって、不活性材料は粒子の表面上で薬物(例えば粒子と結合する薬物)をまたは細孔内で薬物(例えば細孔内に収容される薬物)を吸着している;(ii)接着結合剤;および
b)場合により、本体/コアの外表面全体のまたは一部分のコーティング(このコーティングは、完全な/連続的なまたは有孔のコーティングであり得、例えば、コーティングはパリレンであり得るが、これらに限定されない。)
を含んでなる薬物送達デバイスである。
【0022】
本発明の組成物の実施形態として、マトリックス中のマクロライドの濃度は約30~約40重量%である。実施形態として、マトリックス中のマクロライドの濃度は約32~約38重量%である。実施形態として、マトリックス中のマクロライドの濃度は約5~約40重量%である。実施形態として、マトリックス中のマクロライドの濃度は約10~約40重量%である。いくつかの実施形態において、マトリックス中のマクロライドの濃度は約23~約40重量%である。実施形態として、マトリックス中のマクロライドの濃度は約15~約40重量%である。
【0023】
本発明の組成物の実施形態として、パリレンコーティングの厚さは約0.3μm~約20μmである。実施形態として、パリレンコーティングの厚さは約0.3μm~約10μmである。実施形態として、パリレンコーティングの厚さは約0.3μm~約5μmである。実施形態として、パリレンコーティングの厚さは約0.3μm~約3μmである。実施形態として、パリレンコーティングの厚さは約0.3μm~約1μmである。実施形態として、パリレンコーティングの厚さは約1μm~約20μmである。実施形態として、パリレンコーティングの厚さは約3μm~約20μmである。実施形態として、パリレンコーティングの厚さは約5μm~約20μmである。実施形態として、パリレンコーティングの厚さは約10μm~約20μmである。
【0024】
本発明の組成物の実施形態として、ブタバールコーティングの厚さは約1μm~約20μmである。実施形態として、ブタバールコーティングの厚さは約5μm~約20μmである。実施形態として、ブタバールコーティングの厚さは約10μm~約20μmである。実施形態として、ブタバールコーティングの厚さは約15μm~約20μmである。実施形態として、ブタバールコーティングの厚さは約1μm~約15μmである。実施形態として、ブタバールコーティングの厚さは約1μm~約10μmである。実施形態として、ブタバールコーティングの厚さは約1μm~約5μmである。実施形態として、ブタバールコーティングの厚さは約5μm~約15μmである。
【0025】
本発明の組成物の実施形態として、コア/本体は、コア/本体の遠位先端部分に取り付けられた細管状の延長部をさらに含み、この細管状延長部は、涙点開口部と涙点から挿入して涙小管内に配置されるよう構成されている。一部の実施形態として、細管状延長部は長さL1を有し、本体は長さL2を有し、長さL1と長さL2との比は約2:1~約10:1である。実施形態として、長さL1対長さL2の比は、約2:1~約8:1である。実施形態として、長さL1対長さL2の比は、約2:1~約6:1である。一部の実施形態として、長さL1と長さL2との比は、約2:1~約4:1である。実施形態として、長さL1対長さL2の比は、約4:1~約10:1である。実施形態として、長さL1対長さL2の比は、約6:1~約10:1である。実施形態として、長さL1対長さL2の比は、約8:1~約10:1である。
【0026】
本発明の組成物の実施形態として、細管状延長部は、涙小管および/または鼻涙管内に配置されるように構成される。実施形態として、コア/本体は外表面を有し、涙点開口部から挿入され、涙点または涙小管に配置されるように構成され、本体はモノリシックカプセル構造かまたは円筒の形状である。実施形態として、組成物は、本体の外表面を覆うパリレンコーティングまたはブタバールコーティングを含み、パリレンコーティングまたはブタバールコーティングは、薬物(例えば、マクロライド)に対して実質的に不透過性であり(厚さが1.4ナノメートルを超える場合は表面は不透過性である);および、パリレンコーティングまたはブタバールコーティングの細孔の少なくとも1つの細孔であって、孔の量および/またはサイズは、マクロライド(例えば、タクロリムスが挙げられるがこれに限定されない)を治療有効用量で1~360日(1、2、3、4、5日など)放出するように構成されている。実施形態として、期間は1~180日間である。実施形態として、期間は1~120日間である。実施形態として、期間は1~90日間である。実施形態として、期間は1~60日間である。実施形態として、期間は1~30日である。実施形態として、期間は1~21日間である。実施形態として、期間は1~14日間である。実施形態として、期間は1~10日間である。実施形態として、期間は1~7日間である。実施形態として、期間は7~180日間である。実施形態として、期間は10~180日間である。実施形態として、期間は14~180日間である。実施形態として、期間は21日~180日間である。実施形態として、期間は30~180日間である。実施形態として、期間は60~180日間である。実施形態として、期間は90~180日間である。実施形態として、期間は120~180日間である。実施形態として、期間は7~180日間である。実施形態として、期間は10~180日間である。実施形態として、期間は14~180日間である。実施形態として、期間は21日~180日間である。実施形態として、期間は30~120日間である。実施形態として、期間は60~120日間である。実施形態として、期間は90~120日間である。実施形態として、期間は60~90日間である。
【0027】
実施形態として、細菌Streptomyces tsukubaensis由来の抗生物質マクロライドであるタクロリムス(FK-506)は、インターロイキン(IL)-2およびIL-4転写に必須のタンパク質であるカルシニューリンの阻害により、Tリンパ球による炎症性メディエーターの産生を減少させることができる強力な免疫調節物質である。
【0028】
タクロリムス(IUPAC名:(3S,4R,5S,8R,9E,12S,14S,15R,16S,18R,19R,26aS)-5,19-ジヒドロキシ-3-{(1E)-1-[(1R,3R,4R)-4-ヒドロキシ-3-メトキシシクロヘキシル]プロパン-1-エン-2-イル}-14,16-ジメトキシ-4,10,12,18-テトラメチル-8-(プロパン-2-エン-1-イル)-5,6,8,11,12,13,14,15,16,17,18,19,24,25,26,26a-ヘキサデカヒドロ-3H-15,19-エポキシピリド[2,1-c][1,4]オキサアザシクロトリコシン-1,7,20,21(4H,23H)-テトロン;C
44H
69NO
12(FK-506、FR-900506、フジマイシンとも呼ばれる))は、
図1に示す化学構造を有する、ストレプトマイセスから単離されたマクロライドである。
【0029】
タクロリムスはFKBP-12タンパク質に結合し、カルシウム依存性タンパク質と複合体を形成し、それによりカルシニューリンホスファターゼ活性を阻害してサイトカイン産生の減少をもたらす。この薬剤は、in vivoで強力な免疫抑制活性を示し、抗原刺激またはマイトジェン刺激に応答したTリンパ球の活性化を防ぐ。
【0030】
タクロリムスはまた、角膜移植片拒絶、眼の炎症、眼の類天疱瘡、アレルギー性鼻炎、ブドウ膜炎などの免疫介在性疾患の治療にも有効である。
【0031】
本発明の組成物の実施形態として、コンポジット中のマクロライドの濃度は1~50重量%であり、最終の涙点プラグ中のマクロライドの濃度は20%~40%である。
【0032】
本発明は、医薬組成物およびKCS治療方法を提供する。本発明は、インプラントの形態の組成物であり、インプラントは、1以上の治療薬の延長された放出時間をもたらすように構成される。実施形態として、インプラントはコアの形状である。実施形態として、インプラントはプラグの形状である。実施形態として、治療薬はマクロライドである。実施形態として、マクロライドはタクロリムスである。
【0033】
本発明の組成物のいくつかの実施形態において、インプラントは、一定期間にわたって、例えば、タクロリムスを含有するインプラントの眼内投与後、少なくとも1週間、または例えば約2ヶ月~約6ヶ月間、薬物を放出するように構成される。実施形態として、期間は1週間~1年間である。実施形態として、期間は1週間~9ヶ月間である。実施形態として、期間は1週間~6ヶ月間である。実施形態として、期間は1週間~3ヶ月間である。実施形態として、期間は1週間~1ヶ月間である。実施形態として、期間は1ヶ月~1年間である。実施形態として、期間は1ヶ月~9ヶ月間である。実施形態として、期間は1ヶ月~6ヶ月間である。実施形態として、期間は1ヶ月~3ヶ月間である。実施形態として、期間は3ヶ月~1年間である。実施形態として、期間は6ヶ月~1年間である。実施形態として、期間は9ヶ月~1年間である。実施形態として、期間は3ヶ月~9ヶ月間である。実施形態として、期間は3ヶ月~6ヶ月間である。実施形態として、期間は6ヶ月~9ヶ月間である。
【0034】
本発明の組成物の実施形態として、組成物は、例えば眼の状態を治療するために、眼内使用のために構成された医薬組成物プラグである。実施形態として、医薬組成物は、固体コンポジットの粉末を含んでなるプラグであり、固体コンポジットの粉末は少なくとも1つの軟質ポリマーに分散している。実施形態として、固体コンポジットの粉末は、生物活性剤、不活性担体、結合剤、またはそれらの任意の組み合わせを含む有機微粒子を含む。本発明の組成物の実施形態として、有機微粒子は、薬物を吸収するように構成される、すなわち、薬物を担持する(すなわち、薬物担体;例えば、ヒュームドシリカが挙げられるがこれに限定されない)ように構成される。有機微粒子の表面積は5~1000m2/g(ヒュームドシリカの表面積は10~600m2/g、シリカゲルは約800m2/g、炭酸カルシウムの表面積は5~24m2/gである)。
【0035】
本発明の組成物の実施形態として、生物活性剤は、溶解、分散、乳化、結合、吸着、含浸、混合、または他の方法により、固体の有機マトリックスにすることができる。実施形態として、生物活性剤は、有機マトリックスと直接混合してもよい。実施形態として、生物活性剤は、有機マトリックスと混合することができる別の材料、例えば粒子状物質および/または繊維状物質に吸着させることができる。
【0036】
本発明の組成物の実施形態として、生物活性剤は、最初に、有機化合物(または、例えばその前駆体)溶融物、溶液、エマルジョンまたは分散液に溶解、分散、または乳化される。実施形態として、固体の有機マトリックスは、ポリマー、オリゴマー、モノマー、ワックス、油、可塑剤、およびそれらの任意の組み合わせから構成され得る。
【0037】
本発明の組成物の実施形態として、薬物(例えば、マクロライド、例えば、タクロリムス)を含む有機粒子は、少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される添加剤または担体(例えば:クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム)および/または(a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤または増量剤;(b)カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、アカシアなどの結合剤;(c)グリセロールなどの保湿剤;(d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカ澱粉、アルギン酸、特定のケイ酸塩および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(e)パラフィンなどの溶解遅延剤;(f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;(g)セチルアルコールやグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤;(h)カオリンおよびベントナイトクレーおよびペクチンなどの吸収剤(i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの滑沢剤、またはそれらの任意の組み合わせが挙げあれるがこれらに限定されない)と混合され得る。
【0038】
本発明の組成物の実施形態として、有機微粒子および不活性担体は、結合剤と一緒に結合して、コンポジットマトリックスを生成する。実施形態として、ポリマーの例としては、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリウレタン、エポキシ、メチルメタクリレートポリマー、アクリルコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンコポリマーおよびターポリマー、プロピレンコポリマーおよびターポリマー、フルオロポリマー、ビニル、スチレン、ポリカーボネート、アミノ樹脂、およびフェノール樹脂またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。他のポリマーの例としては、紫外線(UV)硬化により形成されたネットワークを含む架橋アクリルまたはメタクリルネットワークが含まれる。実施形態として、コア(薬物が吸収されているかまたは存在している)は、熱硬化性ポリマーを含んでなる。実施形態として、ワックスの例としては、パラフィン、アミド、エステル、脂肪酸誘導体、脂肪アルコール誘導体、シリコーン、およびリン脂質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
本発明の組成物のいくつかの実施形態において、生物活性剤(例えば、タクロリムスが挙げられるがこれに限定されない)を含有するコンポジットマトリックスは、粉末、フレーク、繊維、またはそれらの任意の組み合わせ等の固体の形態であり得る。実施形態として、乳鉢および乳棒、電子粉砕機などの粉砕装置を使用して、コンポジットを<100μmのまたは<30μmのサイズの微細粉末に粉砕および/または微粉化することができる。実施形態として、微細なコンポジットの粉末を可塑性ポリマーと分散および/または混合することができる。実施形態として、可塑性ポリマーは、例えば、親水性および/または疎水性の特性を有するポリマーを含む、医療用ポリマーであり得る。実施形態として、ポリマーの例としては、シリコーン、ポリアクリレート、ポリウレタン、または2つ以上のポリマーの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
本発明の組成物の実施形態として、デバイスから患者への生物活性剤の所定の放出速度を達成するために、ポリウレタンを所望なように成形するか、その透過性を所望なように調整することができる。実施形態として、ポリマーは、ホモポリマーまたはヘテロポリマーで作られた1以上のポリマーを含んでなる。
【0041】
本発明の組成物の実施形態として、混合物は、(1)ポリマーおよび(2)固体の、自立型の形状に形成される粉末を含む。実施形態として、自立型の形状は、組成物(すなわち、固体のコア)の所望の形状であり得、例えば、トリミングまたはカッティングにより、所望の形状にさらに処理され得る。実施形態として、形状は、円筒形、プラグ、コイン、ディスク、プレート、立方体、球体、繊維、箱、菱形、リング、「S」、「L」、「T」、クモの巣状、ネット、メッシュ、「U」、または「V」が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
実施形態として、涙点プラグの組成は、以下の組成物の1以上に適切に類似するものであり得る:Evolute(登録商標)(Mati Therapeutics、テキサス州オースティン)、Bimatoprost SR(Allergan, ダブリン、アイルランド)、ENV515 (Envisia Therapeutics, Inc.、ノースカロライナ州ダーラム)、OTX-TP(Ocular Therapeutics、マサチューセッツ州ベッドフォード)、およびiDose(商標)(Glaukos、カリフォルニア州サン・クレメンテ)。
【0043】
本発明の組成物の実施形態として、アウターシェルコーティングを固体コアの外部に追加してもよい。実施形態として、コーティングは、治療化合物(例えば、マクロライド、例えばタクロリムス、であるがこれに限定されない)に対して実質的に不透過性の第2の非生分解性ポリマーを含んでなる。実施形態として、このコーティングは、第1の非生分解性ポリマーに対する治療化合物の透過性と比較して、少なくとも透過性が低い(例えば、透過性1%未満、透過性5%未満、透過性10%未満、透過性20%未満、透過性30%未満、透過性40%未満、透過性50%未満、透過性60%未満、透過性70%未満等)。実施形態として、アウターシェルコーティングは、ブタバールおよび/またはパリレンであり得る。
【0044】
本発明は、以下を含む薬物送達デバイスを記載する:1)粒子の表面または細孔内部に薬物が吸収された不活性材料の粒子;2)薬物-不活性材料粒子が分散している不活性なポリマーマトリックスであって、ポリマーは、薬物と化学的に相互作用せず、機械的パッケージを提供し、粒子上の薬物濃度およびポリマーマトリックス内の粒子の搭載量は薬物貯蔵容量を制御するように設定される;3)ある形状にポリマーマトリックスと連結して薬物放出のバリアを生じる、疎水性の可塑性ポリマー;4)疎水性ポリマーが放出を制御するには不十分である場合、有孔のアウターバリアを固体コアに適用する。実施形態として、バリアの透過性、および/または孔のサイズおよび数は、薬物(例えば、タクロリムスが挙げられるがこれに限定されない)の放出速度を制御するように構成される。
【0045】
図2Aは、本発明の実施形態を説明するものであり、涙点プラグまたはインプラントの斜視図を示す。
【0046】
図2Bは、本発明の実施形態を説明するものであり、断面A-Aが涙液排出のための1以上の空洞を有するインプラントを下から上に見た、涙点プラグまたはインプラントの透視図を示す。
【0047】
図2Cは、本発明の実施形態を説明するものであり、線A-Aがインプラントの側面である、涙点プラグまたはインプラントの透視図を示す。
【0048】
図2Dおよび2Eは、本発明の実施形態を説明するものであり、断面B-Bが線B-Bについての断面図である、涙点プラグまたはインプラントの斜視図を示す。
【0049】
図3は、本発明の実施形態を説明するものであり、涙点プラグの製造プロセスの概略図を示す。一実施形態として、プロセスの第1段階は、タクロリムス、ヒュームドシリカ、および溶媒からなる微粒子(PS)の製造からなる。プロセスの第2段階は、コンポジットマトリックスの作製であり、マトリックスは、粒子状物質とカオリンを組み合わせた後、エポキシ接着剤と混合することからなる。コンポジットマトリックスはペースト状混合物を形成し、涙点プラグ成形キャビティを充填するために使用される。24時間のコンポジットの硬化後、最終形状のプラグが金型から抜き取られる。
【0050】
本発明の組成物の実施形態として、組成物は、(1)カオリンを含んでなる増量剤、(2)ヒュームドシリカを含んでなる吸収材料、(3)エポキシを含んでなる結合剤、および(4)5~40重量%のタクロリムスを含んでなる第1の活性剤を含む、薬物送達組成物を含んでなる。
【0051】
本発明の組成物の実施形態として、組成物は、(1)カオリンを含んでなる増量剤、(2)ヒュームドシリカを含んでなる吸収材料、(3)エポキシを含んでなる結合剤、および(4)5~40重量%のタクロリムスを含んでなる第1の活性剤を含む、薬物送達組成物を含んでなり、涙点プラグの形態である。
【0052】
実施形態として、本発明は、(1)1日あたり0.5~10マイクログラムの第1の活性剤を放出する組成物を、それを必要とする哺乳動物の眼に投与することを含む方法であって、該組成物は、(2)カオリンを含んでなる増量剤、(3)ヒュームドシリカを含んでなる吸収材料、(4)エポキシを含んでなる結合剤、および(5)5~40重量%のタクロリムスを含んでなる第1の活性剤を含有する、方法である。
【0053】
本発明の組成物の実施形態として、組成物は、(1)ヒュームドシリカを含んでなる吸収材料、(2)エポキシを含んでなる結合剤、および(3)5~40重量%のタクロリムスを含んでなる第1の活性剤を含有する薬物送達組成物を含んでなる。
【0054】
本発明の組成物の実施形態として、組成物は、(1)ヒュームドシリカを含んでなる吸収材料、(2)エポキシを含んでなる結合剤、および(3)5~40重量%のタクロリムスを含んでなる第1の活性剤を含む、薬物送達組成物を含んでなり、涙点プラグの形態である。
【0055】
実施形態として、本発明は、(1)1日あたり0.5~10マイクログラムの第1の活性剤を放出する組成物を、それを必要とする哺乳動物の眼に投与することを含む方法であって、該組成物は、(2)ヒュームドシリカを含んでなる吸収材料、(3)エポキシを含んでなる結合剤、および(4)5~40重量%のタクロリムスを含んでなる第1の活性剤を含有する、方法である。
【0056】
本発明の方法および組成物のいくつかの実施形態は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2016/083891号として公開されたPCT/IB2015/002345に記載の方法および組成物をさらに使用し得る。
【実施例0057】
実施例:プラグ/固体コアの調製
本発明の組成物の実施形態の一例では、タクロリムスを含有するプラグサンプルを調製した。サンプルを種々の時間37℃にてインキュベーションして、サンプルから極性溶液(PBS)へのタクロリムス放出プロファイルに対する時間の影響を調べた。
【0058】
微粒子の調製
最初に、生物活性剤をヒュームドシリカ(FS)に吸着またはロードした。生物活性剤はタクロリムス(TAC)とした。0.331gのFSを、10gの溶媒(THF:エタノール(1:1(w/w))に溶解した0.222gのTACと混合した。極性溶媒の他の例としては、メタノール、イソプロパノール、アセトン、および/または酢酸エチルが挙げられる。TAC/FS混合物を室温で24時間乾燥させた。
【0059】
コンポジットマトリックスの調製及び成型
タイプA:コンポジットマトリックス
コンポジットマトリックスの製造例として、0.046gのカオリン粉末と0.123gのFS微粒子および0.076gの医療グレードのエポキシ(EPO-TEK 301、米国のEpo-Tek製)を混合した。ペーストが形成されるまで混合した。ペーストを金型内で室温にて24時間硬化させた。得られた組成物は、固体のコンポジットプラグの特性を有していた。
図3は、コンポジットマトリックス涙点プラグの調製と製造を示す概略図である。
【0060】
タイプB:エポキシマトリックス
増量剤(すなわち、カオリン粉末)を使用せずにエポキシマトリックスを作製する例として、0.123gのFS粒子と0.123gの医療グレードのエポキシ(EPO-TEK 301、米国のEpo-Tek製)を混合した。ペーストが形成されるまで混合した。ペーストを金型内で室温にて24時間硬化させた。得られた組成物は、固体のコンポジットプラグの特性を有していた。
【0061】
溶液調製-放出媒体緩衝液
溶液に以下のものを含有させた:0.01M PBS、0.005%BAK、および0.1%TRITON X-100
【0062】
プラグコーティングプロセス
プラグの外層コーティングは以下のものであってよい:(1)溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)中の5%(W/V)ブトバールまたは(2)パリレンコーティング-ポリウレタンプラグを蒸着プロセスを使用してパリレンで2~5μmコーティングした。プラグをコーティングするため、プラグを真空蒸着チャンバー(Simtal Coating Ltd.)に入れ、チャンバー内を約0.1torrまで減圧した。パリレン二量体(ジパラキシリレン)を約150℃で気化させた。次いで、モノマー(パラキシリレン)の熱分解を約680℃、0.5torrで起こさせた(例、ジクロロ[2.2]パラシクロファンのアリール-塩素結合は680℃(標準熱分解温度)で切断されるが、それに限定されない)。その後、モノマーをほぼ室温(約25℃)の蒸着室に入れ、ポリウレタンプラグ上に吸着および重合させた。
【0063】
最終プラグサンプルの特性
コンポジットは30%タクロリムスを含んで重量3mgである。詳細はTable 1を参照。
【表1】
実施例
【0064】
タクロリムス(TCM)のHPLC-MS-MS法の開発
タクロリムス(TCM)検量線:
【表2】
【0065】
【0066】
【0067】
結果:
Table 2は、それぞれ
図4および
図5に示した持続放出プロファイルおよび累積持続放出プロファイルで使用されるサンプルのリストを示す。サンプル19-1~19-8はタイプA、COM TAC 1である。サンプル19-9~19-16は、タイプA、COM TAC 2である。サンプル19-17~19-24はタイプB、EPO TAC 1である。サンプル19-25~19-32はタイプB、EPO TAC 2である。詳細は、Table 2を参照。
【表5】
【0068】
図4は、コンポジットマトリックス タクロリムスプラグおよびエポキシマトリックス タクロリムスプラグの3ヶ月の持続放出プロファイルを示す。
【0069】
図5は、コンポジットマトリックス タクロリムスプラグおよびエポキシマトリックス タクロリムスプラグの3ヶ月の累積持続放出プロファイルを示す。
【0070】
In vivo 実験
イヌモデルにおけるEXP-DE涙点プラグの有効性および実現可能性を評価する実験
モデル:重度の臨床KCSを持つペキニーズ犬、涙液のシルマーテスト=0mm/min、涙液産生なし。イヌにおける正常な涙液産生の基準範囲は15~20mm/minである。
手順:各眼にタクロリムスを含有する涙点プラグを麻酔下で結膜下移植。
【0071】
図6Aおよび6Bは、イヌモデルにおける涙点プラグの結膜下移植を示す。
【0072】
涙点プラグは円筒の形状であり、それぞれTable 3に示す長さと直径を有する。
【表6】
【0073】
手術後2、4、8、および16週間後のフォローアップ(赤目、眼漏、およびシルマー涙液試験(STT)の実施)。
【0074】
結果:
・移植:OD、OS STT=0
・術後2週間:OD、OS STT=10 mm/min
・術後4週間:OD、OS STT>20 mm/min
・新たな移植:OD
・術後8週間:OD=12 mm/min OS=7 mm/min
・術後13週間:OD=15 mm/min OS=10 mm/min
【0075】
図6Cは、STTの結果を示して、イヌモデルの涙液産生に対するタクロリムスを含有する結膜下涙点プラグインプラントの効果を示す。