(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113662
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】有機的に強化された無機肥料のコーティング又は表面層における生物活性分子の送達
(51)【国際特許分類】
C05G 5/30 20200101AFI20230808BHJP
A01N 43/70 20060101ALI20230808BHJP
A01N 51/00 20060101ALI20230808BHJP
A01N 63/20 20200101ALI20230808BHJP
A01P 21/00 20060101ALI20230808BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20230808BHJP
A01P 7/00 20060101ALI20230808BHJP
A01N 33/18 20060101ALI20230808BHJP
A01N 47/36 20060101ALI20230808BHJP
A01N 39/04 20060101ALI20230808BHJP
B01J 2/00 20060101ALI20230808BHJP
C05G 5/12 20200101ALN20230808BHJP
【FI】
C05G5/30
A01N43/70
A01N51/00
A01N63/20
A01P21/00
A01P13/00
A01P7/00
A01N33/18 B
A01N47/36 101E
A01N39/04 A
B01J2/00 B
B01J2/00 C
C05G5/12
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078388
(22)【出願日】2023-05-11
(62)【分割の表示】P 2021526473の分割
【原出願日】2019-11-13
(31)【優先権主張番号】62/767,172
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521207438
【氏名又は名称】アヌビア・プラント・ニュートリエンツ・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・シー・バーナム
(72)【発明者】
【氏名】サンフォード・エイ・シーゲル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】有害又は望ましくない物質が土壌に入り込まない肥料製品及び製法を提供する。
【解決手段】コーティングされた肥料顆粒、並びに顆粒を製造する方法、及び有機的に強化された無機肥料顆粒を使用する方法を志向するものであり、この顆粒は、コーティングが除草剤、農薬、植物成長調節剤、微生物又は有益な要素などの生物活性剤を含有するように、コアの上に1つ以上の同心円状の層のコーティングを組み込んでいる。肥料顆粒へのコーティングの適用は、好ましくは、顆粒の表面又は顆粒内の有機成分への生物活性剤の結合を伴う。顆粒のコーティング及び/又は表面からの生物活性剤の放出は、好ましくは、2段階に分けて放出され、土壌中への生物活性剤の第1の段階の高速放出と、第2の段階の徐放又は持続放出により、作物の成長若しくは保護のため、及び/又は望ましくない植生若しくは害虫を防除するための生物活性剤の生物学的利用能が調整される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加水分解された肥料顆粒をコーティングする方法であって、
有機材料で構成された加水分解された肥料顆粒を提供するステップであって、該加水分解された肥料顆粒が、スルフェート系及び/又はホスフェート系である、ステップと、
前記加水分解された肥料顆粒を、生物活性剤を含むコーティング剤と接触させるステップであって、前記コーティング剤又は前記生物活性剤が、前記肥料顆粒の表面及び/又は内部の荷電した有機分子と化学的に反応して、前記肥料顆粒のコアの外側200μm内に拡散するコーティングを形成し、前記コーティング剤が液体であり、前記生物活性剤が、除草剤、農薬、植物ホルモン、酵素、珪藻土、抗微生物剤、及び微生物の株若しくは種からなる群より選択される、ステップと、
コーティングされた肥料顆粒を形成するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
コーティング剤がトール油を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
肥料顆粒が、コーティング剤に結合するスルフェート又はホスフェートの分子、有機分子、鉄分子、又はアルミニウム分子のうちの1種以上を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
接触させることが、コーティング及び活性剤の肥料顆粒への付着を促進する界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
コーティングが、乾燥肥料顆粒1トン当たり約5ポンド~約100ポンドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
コーティングが、乾燥肥料顆粒1トン当たり約10~約40ポンドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
コーティングされた肥料顆粒が、約95%~約100%の固形分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
コーティングされた肥料顆粒は、コーティング剤と接触していない肥料顆粒と比較して硬度及び/又は圧潰強度が増加している、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
コーティングされた肥料顆粒は、コーティング剤と接触していない肥料顆粒と比較して粉塵形成が減少している、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
コーティングされた肥料顆粒は、コーティング剤と接触していない肥料顆粒と比較して吸湿性が低い、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
コーティングされた肥料顆粒が、土壌への適用後の最初の2週間にわたる高速放出と、その後の持続放出の第2の段階とを含む2段階放出栄養プロファイルを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
生物活性剤が、1種以上の微生物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
1種以上の微生物が、枯渇した土壌微生物相を補充することによって標的作物を有益化し、標的作物への1種以上の栄養素の移動を増強し、及び/又は植物成長若しくは植物生産を増加させる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
1種以上の微生物が、毒性の化学物質又は化合物を代謝し、及び/又はバイオレメディエーションを行う、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
コーティングされた肥料顆粒に第2のコーティングが付加される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
第2のコーティングが、アルコール系剤、ワックス、ポリマー、ウレタン、ポリウレタン、結晶性パラフィン、非結晶性パラフィン、カルシウム含有化合物、硫黄含有化合物、ホスフェート含有化合物、ケイ素含有化合物、金属含有化合物、ラテックス化合物、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される第2のコーティング剤を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
生物活性剤を含むコーティング剤とともに加水分解された肥料顆粒を含むコーティングされた肥料顆粒であって、前記コーティング剤又は前記生物活性剤が、前記肥料顆粒の表面及び/又は内部の荷電した有機分子と化学的に反応してコーティングを形成し、前記コーティング剤が液体であり、前記生物活性剤が、除草剤、農薬、植物ホルモン、酵素、珪藻土、抗微生物剤、及び微生物の株若しくは種からなる群より選択される、コーティングされた肥料顆粒。
【請求項18】
有機材料が、スルフェート系及び/又はホスフェート系である、請求項17に記載の顆粒。
【請求項19】
生物活性剤が、コーティングされた肥料顆粒のコアの外側200μm内に存在する、請求項17に記載の顆粒。
【請求項20】
生物活性剤が、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び/又は親油性である、請求項17に記載の顆粒。
【請求項21】
コーティングされた肥料顆粒が第2のコーティングを含む、請求項17に記載の顆粒。
【請求項22】
第2のコーティングが、アルコール系剤、ワックス、ポリマー、ウレタン、ポリウレタン、結晶性パラフィン、非結晶性パラフィン、カルシウム含有化合物、硫黄含有化合物、ホスフェート含有化合物、ケイ素含有化合物、金属含有化合物、ラテックス化合物、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される第2のコーティング剤を含む、請求項21に記載の顆粒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2018年11月14日に出願された米国特許出願第62/767,172号の優先権を主張するものであり、その全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、有機物を含有する無機肥料に関し、特に、例えば除草剤又は農薬などの生物活性物質を肥料層又はコーティングに組み込むことにより処理された肥料を、望ましくない植生又は害虫の効果的な抑制剤又は殺滅剤として使用したり、作物に栄養素又は他の有益な要素を提供したりすることを志向する。有機物を含有する無機質複合肥料としては、カリウム、アンモニウム、ホスフェート、及びスルフェートの塩、又はそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0003】
硫酸アンモニウム、尿素、リン酸二アンモニウム、リン酸一アンモニウム又はリン酸カルシウムからなるか、又はそれらを含むほとんどの肥料は、特に同心円状の層を有するように製造されているわけではない。しかしながら、一部の肥料顆粒は特定のコーティングが施されている。これらのコーティングは、処理された土壌への栄養素の放出速度を制御し、顆粒自体の散布を防止するのに役立つ。例えば、米国特許第6,165,550号明細書は、ポリ尿素-ウレタンでコーティングされた対称形の肥料顆粒を製造することで、土壌への顆粒栄養素の浸出を遅延させることに関する。米国特許第5,679,129号明細書;6,176,891及び同第5,993,505号明細書に見出される他の顆粒は、顆粒の内部からの植物栄養素の放出を制御するための、顆粒の表面上の合成樹脂又はポリマーの被膜に関する。同様に、米国特許第6,187,074号明細書は、時間をかけて緩慢に目標作物に放出されるように、無機又は有機肥料を内包した、カルボキシル基を有するエチレンコポリマーのコーティングに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,165,550号明細書
【特許文献2】米国特許第5,679,129号明細書
【特許文献3】米国特許第6,176,891号明細書
【特許文献4】米国特許第5,993,505号明細書
【特許文献5】米国特許第6,187,074号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらのコーティングは、原材料として高価であり、肥料材料に適用するのに費用と手間がかかることがある。さらに、作物に適用すると、これらの顆粒状肥料のコーティングは、有害又は望ましくない物質を土壌に導入する可能性がある。有害又は望ましくない物質が土壌に入り込まない肥料製品及び製法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、現在の戦略及び設計に関連する問題及び欠点を克服し、新しい肥料及び肥料の調製方法、特に肥料のコーティング顆粒を提供する。
【0007】
本発明の一実施形態は、有機材料で構成された肥料顆粒を提供するステップと、肥料顆粒を当該肥料顆粒の表面と化学的に反応する生物活性剤と接触させるステップと、肥料顆粒を乾燥させて乾燥肥料顆粒を形成するステップとを含む、肥料顆粒のコーティング方法を志向する。好ましくは、有機材料はスルフェート系及び/又はホスフェート系であり、顆粒はトール油(tall oil)(液体ロジン又はtallolとも呼ばれる)、ラテックス、アミド結合炭化水素化合物、ウレタン又はポリウレタン、アクリル系樹脂すなわちポリアクリレート)又は結晶性及び若しくは非結晶性パラフィンワックスを含むコーティング剤と接触する。好ましくは、肥料顆粒は、薬剤に結合するスルフェート又はホスフェートの分子、有機分子、又は鉄若しくはアルミニウムの分子のうちの1種以上を含有する。好ましくは、生物活性剤は、除草剤、農薬、微生物、植物成長調節剤、例えば、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び/又は親油性である生物活性剤などを含む。好ましくは、コーティングされた肥料顆粒は、精製パラフィンワックスコーティングをさらに含み、顆粒へのコーティング及び活性剤の付着を促進する界面活性剤をさらに含む。好ましくは、コーティングは、乾燥肥料顆粒1トン当たり約5~約40ポンド、又は乾燥肥料顆粒1トン当たり約10~約25ポンドを含まれる。好ましくは、乾燥肥料顆粒は、約92%~約100%の固形分、約96%~約99%の固形分、又は約98%~約99%の固形分を含む。好ましくは、乾燥肥料顆粒は、薬剤と接触させていない肥料顆粒と比較して硬度及び/又は圧潰強度が増加し、薬剤と接触させていない肥料顆粒と比較して粉塵形成が減少し、薬剤と接触させていない肥料顆粒と比較して吸収性が低く、薬剤と接触させていない肥料顆粒と比較して臭気が減少し、及び/又は徐放性栄養プロファイルを有する。
【0008】
本発明の別の実施形態は、本明細書に開示及び記載の方法によって作製される、本明細書に開示及び記載のコーティング及び/又は生物活性剤を含有する乾燥肥料顆粒を志向する。
【0009】
本発明の別の実施形態は、本明細書に開示及び記載の肥料顆粒を形成するための造粒機及びコーターを含む肥料顆粒を製造するシステムを志向する。
【0010】
本発明の他の実施形態及び利点は、以下の説明に部分的に記載されており、この説明から部分的には明らかになり得るか、又は本発明の実施から習得され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】生物活性分子(X)がコアの周囲に分布している肥料顆粒の一部の概略図である。
【
図1B】生存可能な微生物(M)がコアの周囲に分布している肥料顆粒の一部の概略図である。
【
図1C】生物活性分子(X)及び生存可能な微生物(M)がコアの周囲に分布している肥料顆粒の一部の概略図である。
【
図1D】生物活性分子(X)及び生存可能な微生物(M)が保護外側コーティング(O)を有するコアの周囲に分布している肥料顆粒の一部の概略図である。
【
図2】生物活性分子上の第二級アミンと肥料表面内又は肥料表面上に存在するビスルフェート分子との間の塩基性反応を示す図である。
【
図3】農薬又は植物成長調節剤の例-肥料顆粒の表面上の重硫酸基に結合する除草剤(アトラジン)の図である。
【
図4】有機的に強化された硫酸アンモニウム肥料顆粒の外側域に含まれる有機マトリックスに結合する除草剤(ジニトロアニリン)第一級アミンの図である。
【
図5】顆粒ビスルフェート表面にイオン的に結合したアトラジンは、塩化カルシウム又は他のカチオン性塩と反応して、遊離アトラジン及び顆粒の表面上の沈殿物又は重炭酸塩のいずれかを形成する。
【
図6】土壌への適用後の数日間にわたる、本明細書に記載されているように調製された肥料からの生物活性分子、窒素及び硫酸アンモニウムの放出を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
肥料は世界中で長年利用されており、作物に日常的に適用されている。多くの場合、特定の作物は、望ましくない雑草又は害虫を防除するために除草剤又は農薬を必要とし、作物に追加で適用する必要がある。さらに、肥料は典型的には顆粒状の形態であるため、粉塵が大いに発生し、意図された標的である植物に到達する肥料の量が少なくなる。コーティングされた肥料が利用可能であるが、これらのコーティングは有害又は望ましくない物質を土壌に導入する。
【0013】
驚くべきことに、有害又は望ましくない物質が土壌に入り込むことはないが、代わりに複数の利点を提供するコーティングされた肥料が発見された。本明細書に開示及び記載されているように、肥料顆粒をコーティングする方法及びコーティングされた顆粒それ自体が、生物活性剤を組み込む。これらの薬剤は、好ましくは、コーティング中に組み込まれるか、又は肥料顆粒と相互作用する反応性化学基を含有し、生物活性化合物がコーティングの成分に結合し、及び/又はコア肥料顆粒内に拡散するようにしたものである。好ましくは、コーティングに用いられる生物活性剤は、アニオン性若しくはカチオン性、又は顆粒の有機コーティング及び有機マトリックスへの適切な溶解性としての、化学的機能特性の組み合わせを示す。本明細書に記載されているようなコーティングされた肥料は、望ましくない植生、昆虫又は寄生生物などの害虫の殺滅、抑制及び/又は防除すること、並びに(例えば、細菌若しくは真菌感染、又は他の微生物によって引き起こされ得る)疾患を予防又は防除することを含む、直接的及び/又は間接的な利益を植物へ提供する。コーティングされた顆粒状肥料の製法及び使用法、並びにコーティング内に生物活性剤を組み込むための方法も本明細書に開示及び記載されている。
【0014】
肥料の製造は周知であり、ほとんどの固形肥料は顆粒状形態で製造されている。本明細書に記載されているように任意の肥料顆粒をコーティングすることができるが、コーティング用の好ましい肥料顆粒としては、有機的に強化された無機肥料(例えば、米国特許第7,513,927号明細書、同第7,662,205号明細書;同第7,662,206号明細書;同第7,947,104号明細書;同第8,105,413号明細書;同第8,557,013号明細書;同第8,992,654号明細書及び同第9,856,178号明細書を参照されたい)などの有機材料から作製された肥料が挙げられる。肥料用のコアを生成するための多くの望ましい手順は、生物(例えば、米国特許第6,841,515号明細書、同第8,992,654号明細書、及び同第9,856,178号明細書を参照されたい)を死滅させる高熱を伴う。例えば、多くの有機材料は、病原体の処理のためUSEPAのクラスA基準を達成するために高温にされ、次いで冷却され得る。生物活性剤は、製造プロセス中に、好ましくは、さもなければ生物活性剤を破壊又は損傷するであろう高熱の適用後に、顆粒の中及び/又は上に組み込むことができる。
【0015】
本発明の一実施形態は、肥料顆粒のコーティングが1種以上の生物活性剤を含有するコーティングされた肥料顆粒を志向する。コーティング剤は、液体又は固体(例えば、粉末コーティング)として適用することができ、例えば、油性剤、アルコール系剤、ワックス、ポリマー、ポリウレタンを含むウレタン、結晶性及び非結晶性パラフィン、トール油(tall oil)(液体ロジン又はtallolとも呼ばれる)、カルシウム含有化合物、硫黄含有化合物、ホスフェート含有化合物、ケイ素含有化合物、金属含有化合物(例えば、第一鉄又は第二鉄、ホウ素、マグネシウム、又はマンガンの塩)、ラテックス化合物、脂肪酸、脂質、タンパク質、糖類及び多糖類、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。コーティングは、硬質表面を形成してもよいし、又は多孔質若しくは非多孔質表面であってもよい。用いることができる様々なコーティング、並びにコーティングの方法及びシステムとしては、例えば、米国特許第10,266,620号明細書(2019年4月23日発行)、米国特許第10,207,284号明細書(2019年2月19日発行)、米国特許第9,844,793号明細書(2017年12月19日発行)、米国特許第9,539,371号明細書(2017年1月10日発行)、及び米国特許第9,267,052号明細書(2016年2月23日発行)に開示されているものが挙げられる。コーティング剤は、生物活性剤と混合され、一緒に顆粒に適用されてもよいし、又は個別に適用されてもよい。別々に適用される場合、一般的に、生物活性剤は顆粒に適用され、コーティング剤は、生物活性剤及び顆粒を包み込むように適用される。
【0016】
生物活性剤は、流体、液体又は固体、例えば乾燥粉末(例えば、凍結乾燥材料)であってもよい。好ましくは、液体生物活性剤は、処理中に肥料顆粒に付着する薬剤と混合されるか、又は固体生物活性剤は、液体付着剤と混合され、肥料顆粒に適用される。好ましくは、組み込みは、必要に応じて特定の界面活性剤の利用を含み、肥料に適用されるアミド系及び/又はワックス系のコーティングを伴う。生物活性剤はまた、コーティング剤の一部又は全部として機能し得る。
【0017】
生物活性剤としては、肥料が適用される土壌又は動物相に直接的又は間接的に利益を与える物質、例えば(合成又は天然の化学物質、化合物、化学構造、酵素、及び/又は微生物)が挙げられる。直接的に有益な薬剤の例としては、例えば、栄養素及び植物成長調節剤(例えば、植物ホルモン)が挙げられる。植物成長調節剤は、植物細胞、組織及び器官の成長並びに/又は分化に影響を及ぼす化学物質である。植物成長調節剤は、植物における細胞間コミュニケーションのための化学的メッセンジャーとして機能する。植物成長調節剤としては、例えば、オーキシン、ジベレリン、サイトカイニン、アブシシン酸、並びにそれらの誘導体及び変異体が挙げられる。間接的な利益を提供する生物活性剤としては、例えば、侵入植物又は感染生物の成長を駆除又は防除する除草剤、殺虫剤及び殺真菌剤が挙げられる。さらなる生物活性剤としては、微生物、例えば、植物の利益のために空気及び他の供給源から窒素を固定する微生物、又は害虫若しくは他の微生物の増殖を死滅させるか若しくは防除する有益な微生物が挙げられる。さらに、好ましい生物活性剤は以下のとおりである:(a)アニオン性のもの;(b)カチオン性のもの;又は(c)肥料コーティングに含まれる界面活性剤を通じて適用される、非イオン性若しくは親油性のもの。
【0018】
効果的にコーティングに含むことができる除草剤の例は、とりわけ、トリアジン、グリホサート、アリールオキシフェノキシ化合物、イミダゾリノン、イソオキサゾリジノン、スルホニル尿素、トリアゾロピリミジン、ジニトロアニリン及び安息香酸除草剤の除草剤クラスのメンバーである。これらのコーティング用の農薬の例は、ワックス材料への溶解度が高く、肥料顆粒にアミンが結合するフェニルピラゾール(フィプロニル)である。そのようなものの例は、オーキシン、ジベレリン、サイトカイニン及びアブシシン酸、並びに成長抑制剤、成長遅延剤及び成長刺激剤である。肥料顆粒をコーティングするために使用することができる様々な化学物質は、例えば、Wiley-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA(2002)によって出版されたUllmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistryに、特に肥料造粒を論じる章で記載されている。生物活性剤は、洗剤(例えば、イオン性又は非イオン性)、酵素、及び/又は天然産物(例えば、珪藻土)を含み得る。
【0019】
肥料のコーティングは、生物活性剤が顆粒表面上に存在しないか、又は実質的に存在しないように、生物活性剤を含有してもよいし、生物活性剤を包含してもよい。コーティング剤としては、例えば、ラテックス、パラフィン(例えば、結晶性又は非結晶性パラフィン)、アクリルアミド(例えば、ポリアクリルアミド)、ウレタン(例えば、ポリウレタン)、トール油、カルシウム含有化合物、ケイ素含有化合物、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0020】
好ましくは、コア肥料顆粒は、有機分子(例えば、バイオマス)、特に両性分子から構成されたマトリックスを含有する。分子の正電荷及び負電荷は、硫酸アンモニウム肥料の場合のように、アンモニウムイオン又は硫酸イオンなどの無機栄養成分に結合する。両性電荷を有するこのマトリックスの外側域は、微生物、農薬又は植物成長調節剤などの生物活性剤の結合メカニズムであり得る。層又はコーティング材料は、a)組み込まれた生物活性剤を含む顆粒成分の迅速な溶解に対するバリアを形成し、b)必要に応じて栄養素及び微量栄養素を結合し、c)湿度及び取り扱いから顆粒を保護し、粉塵形成を減少させるように処理される。コーティングされた肥料顆粒は、顆粒表面に生物活性剤を実質的に含まないか、又は全く含まないことが好ましい。生物活性剤の顆粒への分子結合は、特にコアの外側域又はコア表面の顆粒の中及び/又は表面に露出している硫酸基又はリン酸基に対するものであり得る。硫酸基及びリン酸基に結合する生物活性剤は、本質的にイオン性であり得る(
図2を参照)。同様に、有機物又は有機マトリックスへのこれらの薬剤の結合は、静電/イオン結合であり得る。生物活性剤がコーティング材料に含まれるアミド結合に結合する場合、それはイオン性でもある。
【0021】
肥料顆粒からの生物活性剤の放出は、1、2又はそれ以上の段階で起こり得る。第1の放出段階は、即時放出から肥料の適用後約2週間かかる放出まで任意の時間であり得る。放出速度は、結合した生物学的薬剤の溶解速度に依存し得、これは塩(例えば、顆粒からのアンモニウム塩又はスルフェート)の形態であり得る。生物活性剤の遅延放出は、複数の段階にわたるボーラスとして起こることもあれば、経時的に徐々に起こることもある。例えば、生物活性剤は、コア肥料顆粒の外側領域の両性有機分子に結合し、土壌中の水分の量に応じて、又は水分が土壌に加えられた場合に、緩慢に土壌中に放出され得る。あるいは、生物活性剤は、周囲層を有するコア、又は栄養素含有量、密度、硬度、溶解度、組成、微生物含有量及び/若しくは浸透性若しくはこれらの組み合わせに関してコアと区別可能な1つ以上の同心円状の外層を有するコアを含む顆粒に対して、少なくとも2種の成分が存在するように、肥料顆粒上に層及び/又は同心円状に構築された層として適用することができる。これらの層の外側は、肥料用コーティングであり、顆粒を断面にして顕微鏡下で観察したときに見られる顆粒構造の外側約200μmまでを占めることができる。生物活性剤は、肥料顆粒のこれらの同心円状の層又はコーティングの1つ以上に含まれ得る(
図1A~
図1Dを参照)。
【0022】
コーティングは、アミド結合した炭化水素のようにアミド系であってもよいし、ワックス又はワックス系であってもよく、これらのコーティングは、コーティング及び含有除草剤の延伸能力と顆粒の外側成分との架橋を補助するために界面活性剤と共に利用されてもよい。実質的に任意のクラスの界面活性剤を使用することができる。界面活性剤の1つの利点は、界面活性剤をその物理的特性に関係なく用いることができることである。しかしながら、選択された界面活性剤が周囲温度で液体として供給される場合に、利点が実現され得る。界面活性剤の例は、N-オレイル-1,3-ジアミノプロパンである。除草剤及び農薬は、多くの場合、それらがミネラルスピリットなどのわずかに極性のある溶媒中に分散しているという点で、溶媒として利用可能であり/溶解される。これらは、コーティング及び顆粒に吸収されるが、界面活性剤が利用される場合、これらは、有機的に強化された無機肥料中に存在する有機物質及び有機マトリックスへの活性剤の結合を特に補助することができる。
【0023】
コーティングされた肥料顆粒のコーティング材料は、肥料顆粒の乾燥質量1トン当たり約5~約30ポンドを含む。好ましくは、コーティング組成物は、顆粒の総乾燥重量に対して、好ましくは少なくとも約8~約10ポンド/トン、さらにより好ましくは少なくとも約15~約20ポンド/トンを表す。
【0024】
特に有利なコーティングされた肥料は、標的植物作物を加工する上で、特定の最終用途のために選択された1種以上の微生物を結合又は含有するか、又は土壌を改善するためのバイオレメディエーション戦略で使用されるポリマーなどの材料でコーティングされた肥料コアを含む。
【0025】
製造ステップでは、ポリマー、ポリマー前駆体、より小さい粘土粒子、バイオ固体又は他の有機材料などの材料の1つ以上の層をコア粒子に適用することができる。多種多様な材料及びそれらの使用法が、層を形成するのに適している。本発明の実施形態はさらに、化学的に耐久性のある(ポリマー若しくは化学コーティング)又は機械的に耐久性のある(コロイド付着など)コーティングをコアに加えるステップを含み、コーティング中に1種類以上の細菌を様々に組み込んで、バイオレメディエーション材料若しくはツール、農薬管理材料若しくはツール、又は農場若しくは廃棄物処分場などの栄養素を有する細菌が望ましく分布し得る他の使用として価値を付加することができる。有利な実施形態では、コーティング中の生物活性分子及び/又は微生物は、マグネシウム、ホウ素、マンガン、及び/又は亜鉛などの植物微量栄養素と組み合わせて、顆粒コアの上に適用することができる。
【0026】
肥料顆粒に適用されたコーティングは、貯蔵及び取り扱い中に、流動性のような良好な物理的条件の維持を促進する。ケーキングは、肥料粒子がその接触点で付着して凝集し、分解しにくい緻密な塊を形成することである。ケーキングは、肥料の流動性に悪影響を及ぼし、したがって、コーティングは、貯蔵時のケーキングを最小化又は排除する。
【0027】
本明細書に記載のコーティングされた肥料は、土壌修復、又は牧草及び/又は作物施肥に使用することができる有機物含有肥料のための組成物を提供する。本明細書に記載の1つ以上の外層による肥料コアのコーティングは、コーティングされていない肥料よりもいくつかの利点を提供することによって大きな価値を加える。1つの利点は、層状の肥料が生物活性剤を肥料と共に物理的に担持することであり、これにより、特定の作物に必要な適用回数を減らすことができる。第2の利点は、層又はコーティングが、肥料表面及び/又はコーティング自体の構造からの活性分子の放出を制御又は制限することができることである。第3の利点は、生物活性分子がコーティングとして顆粒に、又は肥料コアの有機分子、部分、若しくはマトリックスに付着できることである。生物活性剤は、約50~約1,000μmの深さまでコアに浸透してもよく、顆粒全体に浸透してもよく、又は製造中に適用される異なる層に浸透してもよい。好ましくは、生物活性剤は、顆粒表面の約50μm以内、顆粒表面の約100μm以内、顆粒表面の約200μm以内、顆粒表面の約300μm以内、顆粒表面の約400μm以内、又は顆粒表面の約500μm以内に浸透する。浸透の深さを使用して、生物活性剤の制御放出を提供することができ、例えば放出を約2~約15週間、好ましくは約3~約12週間、より好ましくは約3~約8週間遅延させることができる。生物活性剤のこの放出は、適用時の生物活性剤のドリフトが排除されるか、又は少なくとも最小限に抑えられるという点で、生産者にとって有利である。第4の利点は、製造時に肥料コアが形成された後に、感温剤(熱又は冷感剤)を顆粒のコーティング又は外側領域に加えてもよく、それによって、その領域又は製造若しくは輸送中に存在し得る高温又は低温(例えば、約150℃(302°F)超又は約0℃(32°F)未満)から薬剤が保護されることである。第5の利点は、コーティング内の生物活性剤が光分解から保護されることである。第6の利点は、農地全体にわたる、さらなる適用のための巡回が排除され、それによってコスト及びエネルギーが節約されることである。第7の利点は、コーティングによって、動物又は人に有害であり得る活性剤への曝露が適用中に制限されることである。第8の利点は、生物活性剤を肥料顆粒と共に直接挿入することが、挿入された薬剤、例えば微生物の有益な特性に応じて、標的作物のさらなる強化を提供することである。例えば、微生物は、微生物栄養素を含まない従来の無機コア上にあるのとは対照的に、有機的に強化された無機(硫黄又はホスフェート系)顆粒コア上に担持されることによって利益を受けるだろう。
【0028】
本明細書に記載のコーティングされた肥料は、作物の要求を効果的・経済的に満たすために栄養素及び/又は微生物の制御を提供することができ、それによって収量及び肥料コストを増加させて(複数回適用した場合)農家の利益を増加させる。肥料コア構造体に適用されるコーティングの量は、肥料1トン当たり約5ポンド~肥料1トン当たり約100ポンド、好ましくは肥料1トン当たり約15ポンド~約75ポンド、好ましくは肥料1トン当たり約25ポンド~約50ポンド、好ましくは肥料1トン当たり約15ポンド~約40ポンドの範囲である。予め加熱又は滅菌された肥料粒子は、続いて、生存可能な生物を含むコーティングでコーティングされてもよい。そのような生存可能な生物は、休眠形態であり得るか、又は凍結乾燥技術のように物理的に生存可能な状態で保存されてもよい。
【0029】
コーティングされた肥料顆粒は、1、2、3又はそれよりも多い同心円状の層及び中心コアを有してもよい。コアは、好ましくは、米国特許第8,992,654号明細書(例えば、バイオ固体、消化若しくは未消化の食物廃棄物及び/又は消化若しくは未消化の動物の排泄物などの都市廃棄物から得られる有機物に結合した硫酸アンモニウム分子)に記載されているように無機物に結合した有機物を含有する。同様に、肥料は、リン酸二アンモニウム又はリン酸一アンモニウムのようなリン酸アンモニウム系で、有機物がアンモニウム又はリン酸の荷電分子と同様に結合したものであり得る。
【0030】
コーティングされた肥料は、顆粒コアの外側域に、コアに適用される1つ以上の同心円状の層で微生物を含有し得る。コーティングに含めることができる微生物としては、細菌、藻類、酵母、真菌、及び/又はそれらの組み合わせ(例えば、天然フローラ、土壌、水、並びに他の生物及び遺伝子操作された微生物の内部又は表面に存在し、それらから単離された微生物の混合物など)が挙げられる。好ましくは、取り込まれた微生物は、毒性化学物質又は化合物を代謝し、枯渇した土壌微のミクロフローラを補充し、及び/又は標的作物への栄養素の移動を増強する。組み込むことができる微生物の例としては、Pseudomonas stutzeri(シュードモナス・スタッツェリ)KC株、Nocardia salmonicolor(ノカルジア・サルモニカラー)、Nocardia globerula(ノカルジア・グロベルラ)、Nocardia paraffinae(ノカルジア・パラフィネ)、Nocardia poaca(ノカルジア・ポアカ)、Pseudomonas putida(シュードマナス・プチダ)、Pseudomonas oleovorans(シュードモナス・オレオボランス)、Pseudomonas aeruginosa(シュードモナス・エルギノーザ)、Pseudomonas fluoroscens(シュードモナス・フルオレッセンス)、Mycobacterium phlei(マイコバクテリウムフレイ)、Mycobac-terium lacticola(マイコバクテリウム・ラクチコラ)、Mycobacterium paraffinicum(マイコバクテリウム・パラフィニクム)、Aerobacter aerogenes(アエロバクター・アエロゲネス)、Bacillus subtilis(バチリス・サブティリス)、Bacillus lichiniformis(バシラス・リケニホルミス)、Bacillus circulans(バシラス・サーキュランス)、Bacillus polymyxa(バシラス・ポリミキサ)、Bacillus coagulans(バシラス・コアグランス)、Bacillus macerans(バシラス・マセランス)、Bacillus azotofixans(バシラス・アゾトフィキサンス)、Sacharomyces cereviseae(サッカロミセス・セレビシエ)、Bacterium acidipropionci(バクテリウム・アシディプロピオニシ)、Bacterium aliphaticium liquifaciens(バクテリウム・アリファティクム・リクファシエンス)、Arthrobacter paraffinens(アルスロバクター・パラフィニエンス)、Rhodococcus rhodochrous(ロドコッカス・ロドクラウス)、Acinetobacter calcoaceticus(アシネトバクター・カルコアセティカス)Clostridium cellulolytican(クロストリジウム・セルロリティカン),Clostridium aerotolerans(クロストリジウム・アエロトレランス)、Clostridium acetobutylican(クトストリジウム・アセトブチリカン)、Clostridium pasturianum(クロストリジウム・パストゥリアナム)、様々なアゾトバクター属、バシラス属、クロストリジウム属、フザリウム属、カンジダ属、フラボバクテリウム属、コリネバクテリウム属、アクロモバクタ-属、アシネトバクター属、ロドコッカス属、シュードモナス属、マイコバクテリウム属、ノカルジア属、ロドトルラ属、フィラメンタス属、抗真菌剤、例えばペニシリウム属、及びヒゲカビ属、及びアスペルギルス属、ストレプトマイセス・グリゼウス属が挙げられる、がこれらに限定されない。遺伝子操作された微生物は、好ましくは、標的作物の成長及び果実生産の増強をもたらすように、又は肥料が適用される土壌に存在する毒性化学物質及び化合物を代謝する微生物の能力を向上させるように操作されている。
【0031】
コーティングされた肥料顆粒のコーティングは、特に土壌への適用時に再活性化される場合に、微生物の生存可能性及び生理学的活性に有益な、微量栄養素を含有し得る。微量栄養素及び/又は微生物は、顆粒の外側域の1つ以上に、及び/又はコア顆粒の周囲の1つ以上の層に存在してもよい。好ましくは、微生物を含有する顆粒は、微生物の熱破壊を回避するために加熱後の製造ステップでコーティングされる。そのような顆粒では、好ましくは、顆粒の外側保護層を活性化又は溶解する所定の環境条件下で微生物の放出が刺激され得る。微生物は、その放出時に、有機的に強化された顆粒の他の成分に由来する成長刺激栄養素を利用することができる。
【0032】
本発明の別の実施形態は、生物活性剤を肥料に接触させる方法を志向する。好ましくは、肥料は有機材料を含有し、米国特許第7,947,104号明細書;同第8,557,013号明細書又は同第8,992,654号明細書に記載されているように最初に調製される。造粒プロセス中又は造粒プロセス後に、生物活性剤を肥料と接触させ、コーティングされた顆粒を形成する。生物活性剤は、肥料顆粒に付着する薬剤と組み合わせてコーティングを形成してもよい。接触は、生物活性剤を液体として顆粒の表面上に噴霧することによって、又は顆粒を流体に浸漬することによって行ってもよい。同じ若しくは異なる生物活性剤又は薬剤の組み合わせを含有する追加のコーティングを適用することができる。好ましくは、最終コーティングは、顆粒上に滑らかな表面を生成する。ここでコーティングされた肥料顆粒を所望のレベルの乾燥度まで乾燥させ、選別及び最終的な輸送のためのサイズにする。顆粒はコーティングされているので、顆粒内の有害な化学物質及び他の物質への曝露が低減又は排除される。
【0033】
従来のコーティングプロセスでは、添加された物質とコーティング分子との間の包接及びイオン反応は、肥料顆粒へのコーティングの適用前に行われる。コーティングの好ましい方法では、例えば、アミド結合炭化水素又はワックス(例えば、パラフィン)などの材料は、周囲温度で固体である。生物活性剤とコーティング材料との間の相互作用反応は、約49℃(120°F)~66℃(150°F)の間の温度で、少なくとも1時間、より好ましくは少なくとも12時間、さらにより好ましくは少なくとも24時間にわたって起こる。生物活性剤は、実際に肥料コアに適用される前に数ヶ月間コーティングと共に貯蔵され得るため、必要な上限はない。
【0034】
コーティングされた肥料顆粒を適用する方法としては、有害廃棄物で汚染された環境に低コストの処理を提供するin-situ修復が挙げられる。処理され得る環境としては、土地の汚染領域(例えば、埋め立て地、汚染地、牧草地)及び望ましくない炭化水素汚染物質を有する領域が挙げられる。望ましくない汚染物質を消化することができる微生物を含有する肥料の利用は、汚染物質の抽出又は排出を必要とせずに有害物質を処理する手段を提供する。さらに、バイオレメディエーション(バイオスティミュレーション及びバイオオーグメンテーションの両方)は、有害廃棄物をその場で分解することができる細菌の活性集団を維持するために栄養素又は緩衝液の定期的又は連続的な導入を必要とする。多くのサイトを処理するためには、栄養素又は他の環境調節剤を持続的に送達する必要があり得る。本明細書に記載のコーティングされた肥料顆粒は、微量栄養素(例えば、活性微生物集団を維持するための栄養素の制御されたレベル)、微生物、又は化学反応物質を送達して長期間にわたって分解をもたらす安価な手段を提供する。これは、有害物質で汚染された環境を生物学的に修復することができる栄養素、微生物環境調節剤及び/又は反応物を溶解して送達することができる固相肥料顆粒を送達することによって達成される。さらに、徐放性又は遅延放出性肥料顆粒をコーティングすることにより、成長期における栄養素放出のさらなる制御が可能になる。
【0035】
以下の実施例は、本発明の実施形態を例示するが、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【実施例0036】
[実施例1]
アミド系コーティングの場合、材料は、C18ステアリルアミンにエステル化された脂肪酸から構成されるアミドである。脂肪酸は、異なる炭素長であってもよく、最適にはC12又はC14炭素であるが、より好ましくはC16又はC18炭素である。このアミドは、52℃(125°F)未満の周囲温度で固体である。このアミド化合物を使用する実施形態では、コーティングにより、アミドと生物活性分子上の活性基との結合がある程度可能になる。一次結合は、生物活性分子と硫酸成分との間で、顆粒の表面及び外側100μm以内の両方で起こる。生物活性物質(例えば、除草剤及び/又は農薬)はまた、除草剤又は農薬がコーティングから顆粒表面及びコア構造に移動する際に、顆粒コア中にある負電荷を含有する有機物又はマトリックスと結合する。生物活性分子はまた、顆粒表面及びコア構造上にも存在する鉄及びアルミニウム分子と結合する。
【0037】
コーティングは、49℃(120°F)~63℃(145°F)、好ましくは52℃(125°F)~57℃(135°F)の間の融点を有する油又はパラフィンワックスを含んでもよい。ワックスコーティングは、生物活性分子を含有し、肥料顆粒コアに適用するために使用される。ワックスは、周囲温度及び54℃(130°F)未満の温度で固体である。コーティング分子への生物活性物質の分布及び付着を促進するために、顆粒状肥料への適用前に界面活性剤を溶融ワックスと混合する。界面活性剤は、N-オレイル-1-1,3-ジアミノプロパンであり、炭化水素末端はワックスと相互作用し、除草剤又は農薬との結合を可能にする。ジアミン界面活性剤は、カルボン酸と顆粒表面との間の架橋として機能し、肥料が溶解して除草剤が土壌に放出されるまで、除草剤を顆粒表面に固定することができる。
【0038】
生物活性物質をコーティングに添加するための手順は、ワックス及び界面活性剤のコーティング配合物を60℃(140°F)の温度に加温し、この加温した液体コーティングに加温した除草剤を適正な量添加することである。好ましくは、混合容器は、生物活性剤の添加中及び/又は輸送若しくは使用前の貯蔵中のいずれかにコーティングの固化を防止するために加熱及び断熱される。コーティングに添加される生物活性剤の量は、適用される特定の除草剤の推奨事項によって異なる。コーティングは、肥料の乾燥質量1トン当たり2ポンド~30ポンドで適用されるので、肥料の農学的適用量が、望ましくない植生を抑制若しくは死滅させたり、効果的な作用を可能にしたりするのに十分な除草剤又は農薬が処理された土壌に行き渡るように、十分な除草剤、農薬、植物成長剤又は微生物を含有すべきである。除草剤(例えば、アトラジン)などの生物活性物質を、スプレーのように、別個のコーティングステップで添加し、アミド又はワックスの最終コーティングの前に適用することで、除草剤が外側コーティングの下にある顆粒構造の外側約100μmに存在するようにすることができる。
【0039】
米国特許第8,992,654号明細書及び同第9,856,178号明細書に開示されているように、肥料が有機的に強化された硫酸アンモニウムであるため、除草剤又は農薬の一部が顆粒の表面の硫酸基と直接結合する。農学的な割合で目標作物の土壌に肥料を適用すると、除草剤又は農薬は、顆粒状肥料の溶解時に塩、例えばスルフェートとして緩慢に放出され、望ましくない植生、例えば雑草又は害虫を抑制するために土壌中で利用可能となる。同様に、含有された微生物の放出は、顆粒状肥料成分の溶解時に起こる。
【0040】
本発明の参照肥料の平均適用量は、例えば米国特許第8,992,654号明細書及び同第9,856,178号明細書に記載されているように、芝生100平方フィート当たり1~2ポンドの窒素分であり、トウモロコシ、綿、米及び小麦などの条植え作物の場合は1エーカー当たり平均して150~400ポンドの生産物となる。生物活性分子を含有する肥料を目標作物に適用すると、除草剤又は農薬が遊離分子として放出され、肥料顆粒表面に塩(例えば、カルシウム塩又は重炭酸塩)が沈殿物として残る。この放出メカニズムは、顆粒からの栄養素(例えば、窒素)の放出後に2つの段階で放出が起こるという点で、望ましくない植生の防除において非常に有利である。生物活性分子の大部分は、肥料の適用後最初の2週間以内に放出され(
図6参照)、残りは次の3週間から12週間にわたって緩慢に放出され、より好ましくは3週間から8週間の期間にわたって緩慢に放出される。
【0041】
[実施例2]
消化された食品廃棄物及び堆肥(バイオ固体とも呼ばれる)で構成される湿ったコミュニティ廃棄物有機物は、約17.0%パーセントの固形分で、肥料製造施設で受け取られる。プラントは、1日当たり220湿潤トンの有機物処理速度で動作するように設定される。この実施例では、材料を予め乾燥させた有機材料と混合して、約20%~26%、又はより好ましくは約22%~24%の固形分の、好ましいパーセントの固形分を得る。この調整された有機混合物を、加水分解のために第1の容器に圧送する。第1の容器のオリフィスで、調整された有機混合物を、予め計算された量の93%硫酸とさらに混合して、完成した肥料中で110℃(230°F)となる水和熱の温度、及び合計で約17%の硫黄が得られるようにする。容器の内容物を360RPMの速度で約30秒~10分間、又は好ましくは約2分~6分間激しく混合する。容器内で、酸性化された混合物が徐々に容器の上4分の1に押し出され、そこで反応後に排出される。この第1の容器において、有機物からのタンパク質が、様々な長さのポリペプチド又は好ましくは単量体アミノ酸に加水分解される。存在する他の巨大有機化合物も、より小さな分子形態に加水分解される。加水分解は、容器の内容物の流動性を、好ましくは1000cP未満まで増加させる。次いで、この流動化され酸性化された混合物を、アンモニア処理のために第2の圧力容器の底部オリフィスに圧力をかけて移送し、ここで、混合物は、当該混合物の温度が150°F(65℃)超(又は代替的に300°F(149℃)超)まで上昇させるのに十分な気化した無水アンモニアと混合される。第2の容器の内圧は、35psi以上であり得、得られる肥料の最終配合物中の窒素(N)濃度を、完成品の乾燥重量で約16%~17%の窒素にするのに十分である。アンモニア処理された混合物は、オリフィスを通して造粒機に排出される前に、6分間の反応時間にわたって第2の圧力容器内に維持される。排出された混合物(溶融物とも呼ばれる)は、第1の圧力容器の排出物と比較して粘度がわずかに増加するが、好ましくは約1200cP未満の粘度を有する。この放出された溶融物は加圧下にあり、したがって造粒機に入り、再生肥料顆粒(例えば、プロセス空気処理システムに含まれる様々な集塵器から収集された粉砕肥料材料又は微小な肥料材料又は肥料粉塵材料)の受入床に噴霧される。スプレーは、受入れた肥料顆粒をコーティングし、一連のコーティング又は造粒物を徐々に構築し、材料の大部分が所望の製品サイズである顆粒状肥料が製造されるようにする。所望のサイズは、例えば、商業的農業での使用に適した直径約1.7mm~3.5mm(170sgn~350sgn;「サイズガイドナンバー」)の顆粒であり得る。噴霧コーティングの適用に続いて、又はそれと同時に、所定量の硬化剤が造粒機内の顆粒に適用される。好ましくは、硬化剤の量は、完成した顆粒の硬度が約5lbs~8lbsの圧潰強度の範囲に達するのに十分である。次いで、この材料を、例えば回転ドラム乾燥機で約98%以上の固形分まで乾燥させ、次いで、約1.7mm~1.9mm、約1.2mm~1.4mm、及び約2.6mm~3.5mmの3つの市販サイズのうちの1つに篩分する。より小さな材料は、再循環床の一部として造粒機に戻される。より大きな材料はすべて、チェーンミルで粉砕され、再循環床の一部として造粒機に戻される。適切なサイズの製品の一部、好ましくは市販の製品サイズで約2.4mm~3.0mmの製品はまた、製造プロセスの物質収支を維持するために再循環床に戻してもよい。このプロセスの当該ステップは、粉塵を最小限に抑え、臭気が製造環境に放出されるのを防ぐために負圧下で行った。プロセス空気は、製造特性のフェンスラインで有害な臭気が知覚されないように、堅牢な臭気制御システムを通じて処理した。アンモニウムイオン(この例では硫酸アンモニウム)などのスクラブされた栄養素をプロセス水タンクに戻し、そこで、第1の圧力容器に入る調整された混合物の固形分及び流動性を制御するのを補助するために第1のミキサーに加えた。これにより、肥料製造プロセスから排出されるのが(都市有機材料及び冷却システムから排出される必要があり得る任意の冷却水から)処理された凝縮水と処理されたプロセス空気のみとなるように、製造プロセスの効率が最大化される。本実施例で製造された肥料において、窒素の徐放率は、製品中の全窒素の約30%であった。この徐放性窒素は、マトリックスのコアに含まれるポリペプチド及びアミノ酸などの有機化合物上の負電荷に正電荷のアンモニウムイオンが静電的に結合している有機マトリックスの形態である。回転乾燥機を出た後、製品を製品冷却器に通して、製品の温度を約115°F(46℃)~160°F(71℃)、より好ましくは約130°F(54℃)~150°F(65℃)に低下させる。この冷却された製品を、135°F(57℃)の平均顆粒温度で、コーティング温度を160°F(71℃)に設定して、1トン当たり5~10ポンドのアミド系炭化水素コーティングで最初にコーティングする。次いで、製品は倉庫に運ばれ、出荷待ちとなる。出荷が予定されている場合、製品は、1トン当たり10~20ポンドの製品を追加して2回目のコーティングが行われる。除草剤は、このコーティングに含まれるか、又は出荷時コーティングとなる最終コート層の適用前にスプレーとして適用されてもよい。この実施例では、アトラジンが使用される(
図3、
図4及び
図5を参照)。アトラジンは、トリアジンクラスの除草剤である。アトラジンは、トウモロコシ(corn)及びサトウキビなどの作物並びに芝生、例えばゴルフコース及び住宅芝生において、出芽前及び出芽後の広葉雑草を防止するために使用される。アトラジンは、米国及びオーストラリアの農業において最も広く使用されている除草剤の1つである。アトラジンは、脂質可溶性ブレンドとしてアミドコーティングに添加される。肥料顆粒に適用されると、アトラジンを含むコーティングは固化し、非常に防塵性で取り扱いに耐える表面コーティングを形成する。コーティングとの界面に位置するアトラジンは、顆粒構造の外側約100μmに露出した重硫酸アニオンに結合する(
図1及び
図3参照)。固化したアミドコーティングの本体に担持されたアトラジンは、緩慢に移動し、追加のビスルフェート分子を見つけ出し結合する。アトラジンは、除草剤の乾燥質量が製品質量の0.25%~0.75%になるように有機的に強化された硫酸アンモニウム肥料に含有される。これは、顆粒に適用する前に、1トンの溶融コーティングに5ポンド~15ポンドの除草剤を含める必要があることを意味する。この量であれば、アトラジン又は他の除草剤を別のコーティングステップで添加し、アミド又はワックスの最終コーティングの前に適用して、除草剤が外側アミドコーティング又はワックスコーティングのいずれかの下にある顆粒構造の外側約100μmに存在するような別の実施形態が必要になる場合がある。
【0042】
その結果、滑らかにコーティングされた顆粒状肥料となり、倉庫保管における粉塵及び取り扱いに対する保護、肥料の中間流通業者、及び最終的にはエンドユーザーである農家による輸送及び取り扱いに対する保護が強化される。この実施例の製品は、望ましくない植生を抑制するのに十分なアトラジン(0.5%~1.5%(w/w))を含有する完成した顆粒の乾燥重量で16-1-0-20-1-16(N-P-K-S-Fe-有機物)の栄養分が配合された98%乾燥顆粒肥料を含有していた。
【0043】
[実施例3]
実施例1及び2のように形成された顆粒において、除草剤2,4-Dを含有するコーティングを、約131°F(55℃)の融点を有する精製パラフィンワックス中に脂溶性除草剤として適用する。ここでも製品1トン当たり5~30ポンドの間のコーティングを使用する。2,4-Dは、顆粒の表面及び顆粒の外側100μmで硫黄及び有機分子に再び結合する。この結合は、固化したワックスコーティング中の2,4-Dが顆粒の表面に移動し、より多くのスルフェートを見つけ出してイオン結合することによって、経時的に増加する。完成肥料中の2,4-Dの濃度は、農学者の推奨事項に基づいて、通常0.05%~0.5%である。
【0044】
[実施例4]
実施例1及び2のように形成された肥料顆粒では、界面活性剤を含有する精製ワックスコーティングが25ポンド/トンで適用され、このコーティングは、スルホニル尿素クラスの除草剤を含有する。これは、広葉雑草及び一部の一年草を枯らす効果的な除草剤クラスである。その活性型の1つが、メトスルフロンメチルとして販売されており、この化合物は、葉面及び土壌での活性を有する浸透性化合物で、新芽及び根の細胞分裂を抑制し、その芳香環によりパラフィンワックスコーティングと優れた適合性を有し、4.5~6.0の間の肥料pHで、肥料の外側100μmにあるスルフェート及び有機分子とよく結合する。この結合は、除草剤の安定性を高め、他の適用方法よりも有利になる。
【0045】
[実施例5]
実施例1の方法と同様に製造された肥料顆粒において、リン酸二アンモニウム系の肥料を製造したという点で異なる。この肥料を25ポンドの精製パラフィンワックスでコーティングした。この肥料の栄養配合は、16-34-0-7-1-12(乾燥重量でN-P-K-S-Fe-有機物)である。ジニトロアニリンクラスの除草剤を炭化水素アミドコーティングに添加した。この除草剤は、親油性の性質のためにワックスコーティングとの優れた適合性を有し、顆粒コア及び表面領域の外側範囲でホスフェート及び有機成分、特にこの肥料中の有機マトリックスによく結合する。ニトロアニリンによって示される緊密な有機結合は、圃場におけるこの除草剤の徐放に寄与し、それによって雑草防除を拡大する。
【0046】
[実施例6]
実施例1及び2の方法と同様に作製された肥料顆粒において、リン酸二アンモニウム系肥料コアを製造したという点で異なる。この肥料の栄養配合は、14-24-0-10-1-10(乾燥重量でN-P-K-S-Fe-有機物)である。製造された肥料コア上の第1のコーティングは、コア1トン当たり12ポンドのコーティング割合で顆粒コアに適用された、凍結乾燥アシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)の懸濁液を含有する軽量鉱油ベースのコーティングである。乾燥後、このコアと第1のコーティングとを、次いで、いずれも約75°F(24℃)で固体である20ポンド/トンの加温パラフィンワックス又は20ポンドの加温油性アミドコーティングの保護層でさらにコーティングする。
【0047】
[実施例7]
実施例1及び2の方法と同様に作製された肥料顆粒において、リン酸二アンモニウム系肥料コアを製造したという点で異なる。この肥料の栄養配合は、14-24-0-10-1-12(乾燥重量でN-P-K-S-Fe-有機物)である。製造された肥料コア上の第1のコーティングは、改質されたトール油性のコーティングであって、長い炭化水素鎖の中央にアミド結合を含み、顆粒コアの外側域領域への結合を補助する。この第1のコーティングは、製造中にコア1トン当たり10ポンドのコーティングの割合で高温(約130°F~約160°F;又は約55℃~約71℃)の顆粒コアに適用される。乾燥後、このコアと第1のコーティングとを、次いで、多くの場合には出荷時に、コーティングの質量に対して3%の活性イミダクロプリド2Fを含有する同様のトール油コーティング22ポンド/トンの保護層でさらにコーティングする。これは、イミダクロプリドが有機物に結合して、適用後に殺虫剤が経時的に緩慢に放出されることを可能にするため、有機物をそれらの構造中に含有する肥料のための良好な活性剤である。イミダクロプリドは、活性化合物0.1ポンド/エーカーの1エーカー当たりの適用量で効果を発揮する。この実施例の肥料を1エーカー当たり300ポンドの典型的な適用量で適用する場合、各エーカーを0.1ポンドの活性イミダクロプリド2Fで処理することになる。この濃度は、規制によりイミダクロプリド2Fの最大量が1エーカー当たり0.4ポンド未満の活性化合物に制限されているので、年3回の適用プロトコルによく適合するであろう。イミダクロプリドは昆虫神経毒として作用し、ネオニコチノイドと呼ばれる化学物質のクラスに属する浸透性殺虫剤であるため、これは特に有用な含有物である。イミダクロプリドは、農業における害虫防除に広く使用されている。
【0048】
[実施例8]
肥料顆粒は、基本的に米国特許第8,992,654号明細書に記載されているように調製し、液体肥料を再生肥料材料に噴霧して顆粒を作製する。スプレーはまた、肥料顆粒を一緒にコーティングする所定量の除草剤を含有する。第2の液体は、植物栄養素と所定量の硬化剤を含んだものを、同じ又は異なるノズルから、再び噴霧によって肥料顆粒に導入する。好ましくは、硬化剤の量は、完成した顆粒の硬度が約5lbs~8lbsの圧潰強度の範囲に達するのに十分である。次いで、この材料を回転ドラム乾燥機で約98%以上の固形分まで乾燥させる。得られた肥料製品は、滑らかにコーティングされた顆粒状肥料となり、倉庫保管における粉塵及び取り扱いに対する保護、肥料の中間流通業者、及び最終的にはエンドユーザーである農家による輸送及び取り扱いに対する保護が強化される。製品は、望ましくない植生を抑制するのに十分なアトラジン(0.5%~1.5%(w/w))と、植物の成スルフェート長及び発育を促進するのに十分な栄養素とを含む複数のコーティング層を含む。
【0049】
本発明の他の実施形態及び使用は、本明細書の考察及び本明細書に開示される本発明の実施から当業者には明らかであろう。本明細書で引用したすべての参考文献は、すべての出版物、米国及び外国の特許及び特許出願を含み、具体的には、参考文献Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,Published by Wiley-VCH Verlag GmbH&Co.KGaA(2002)が、具体的・完全に参照により組み込まれる。本明細書及び実施例は、以下の特許請求の範囲によって示される本発明の真の範囲及び精神をもって、例示的にのみ見なされることが意図される。さらに、「から構成される(comprising of」という用語は、「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語を含む。