(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113720
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】腱干渉アンカー
(51)【国際特許分類】
A61B 17/68 20060101AFI20230808BHJP
【FI】
A61B17/68
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023085146
(22)【出願日】2023-05-24
(62)【分割の表示】P 2021510456の分割
【原出願日】2019-08-27
(31)【優先権主張番号】62/725,831
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519163027
【氏名又は名称】アキュイティブ テクノロジーズ,インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェッレイラ,ルイ,ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン,クリストファー,シー.
(72)【発明者】
【氏名】マッカーシー,マイケル,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ゲイベル,ダグラス,ウィリアム
(57)【要約】 (修正有)
【課題】有利な干渉アンカーを提供する。
【解決手段】有利な腱干渉アンカー450は、嵌入によって挿入されるように構成されている。腱干渉アンカーは、近位端部404、遠位端部406、長手方向軸及び外側表面を有するアンカー本体402、並びにアンカー本体の外側表面からアンカー本体の長手方向軸に非平行の方向に外向きに延在している少なくとも1つの突出部452を含み得る。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸、近位端部、遠位端部、及び外側表面を有するアンカー本体、並びに
アンカー本体の外側表面からアンカー本体の長手方向軸に非平行の方向に外向きに延在している少なくとも1つの突出部
を含む生分解性アンカーであって、
アンカーが、所望の固定位置に少なくとも部分的に嵌入するように構成及び適合されている、
生分解性アンカー。
【請求項2】
少なくとも1つの突出部が、スプライン、Iビーム、かかり、ギザギザ、ネジ山、リブ、リッジ部、タイン、歯、くさび、フィン、溝、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の生分解性アンカー。
【請求項3】
少なくとも1つの突出部がらせん突出部である、請求項1に記載の生分解性アンカー。
【請求項4】
少なくとも1つのらせん突出部が、アンカー本体の近位端部辺りから遠位端部辺りまでねじれている、請求項3に記載の生分解性アンカー。
【請求項5】
アンカー本体が、アンカー本体の外側表面からアンカー本体の長手方向軸に非平行の方向に外向きに延在している5つのらせん突出部をさらに含む、請求項3に記載の生分解性アンカー。
【請求項6】
アンカー本体が、アンカー本体の外側表面からアンカー本体の長手方向軸に非平行の方向に外向きに延在している6つのらせん突出部をさらに含む、請求項3に記載の生分解性アンカー。
【請求項7】
少なくとも1つのらせん突出部が、約180度から約360度のねじれ角を有する、請求項3に記載の生分解性アンカー。
【請求項8】
アンカー本体の近位端部に対して装着要素をさらに含み、装着要素が、アンカーの断面よりも大きい寸法の断面を有する、請求項1に記載の生分解性アンカー。
【請求項9】
遠位端部に対して遠位先端部をさらに含み、遠位先端部が、円錐形の先端部、円筒形の先端部、球形の先端部、ループ状の先端部、及び任意のそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の生分解性アンカー。
【請求項10】
シトレート系(コ)ポリエステルから少なくとも部分的に形成されている、請求項1に記載の生分解性アンカー。
【請求項11】
シトレート系(コ)ポリエステルが、クエン酸及び/又はシトレートと少なくとも1種のC4~C12アルカンジオールとの重縮合生成物である、請求項10に記載の生分解性アンカー。
【請求項12】
シトレート系(コ)ポリエステルが、ポリ(1,8-オクタンジオールシトレート)である、請求項11に記載の生分解性アンカー。
【請求項13】
シトレート系ポリマー及びバイオセラミックを含む複合材料から少なくとも部分的に形成されている、請求項1に記載の生分解性アンカー。
【請求項14】
バイオセラミックが、ヒドロキシアパタイト及びベータ型リン酸三カルシウムからなる群から選択される、請求項13に記載の生分解性アンカー。
【請求項15】
近位端部から遠位端部辺りまで延在するカニューレ穴をさらに含み、カニューレ穴が長手方向軸に実質的に平行である、請求項1に記載の生分解性アンカー。
【請求項16】
アンカー本体の外側表面から長手方向軸に非平行の方向に延在している少なくとも1つの交差穴をさらに含む、請求項1に記載の生分解性アンカー。
【請求項17】
遠位端部、アンカー本体及び近位端部の少なくとも1つが、少なくとも1つのグラフトを受け入れるように構成され、寸法を設定されている、請求項1に記載の生分解性アンカー。
【請求項18】
遠位端部上の遠位先端部がアンカー本体の長手方向軸に少なくとも部分的に非平行である溝をさらに含み、溝が少なくとも1つのグラフトを受け入れるように構成され、寸法を設定されている、請求項1に記載の生分解性アンカー。
【請求項19】
アンカーの長手方向軸に沿った少なくとも2つの位置において、アンカー本体及び少なくとも1つの突出部の組み合わせた断面が異なっている、請求項1に記載の生分解性アンカー。
【請求項20】
長手方向軸、近位端部、遠位端部及び外側表面を有するアンカー本体、並びに
アンカー本体の外側表面からアンカー本体の長手方向軸に非平行な方向へ外向きに延在している少なくとも1つのらせん突出部
を含む、生分解性アンカーであって、
少なくとも1つのらせん突出部が、アンカー本体の近位端部辺りから遠位端部辺りまでねじれており、
アンカーが、所望の固定位置に少なくとも部分的に嵌入するように構成及び適合されている、
生分解性アンカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年8月31日に出願され、出願番号第62/725,831号を付与された、「腱干渉アンカー」と題する米国仮特許出願に対する優先権を請求する。前述の仮出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般に干渉アンカーに、より一般には嵌入によって挿入された腱干渉アンカーに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の腱干渉アンカーは、所望の固定位置(例えば、軟又は硬組織)にねじりによって取り付けられる。従来の取り付け方法では、所望の固定位置の材料に高いねじり応力及び引張応力が加わる。さらに、アンカーのねじ山が腱や骨に沿って絶えずスライドすると摩擦が生じ、腱が裂ける可能性がさらに高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のことを踏まえ、解剖学的損傷の可能性を低減する効果的なアンカーが必要とされている。したがって、改善された腱干渉アンカー及び関連する使用方法に関心が持たれている。これら及びその他の非効率性及び改善の余地は、本開示のアセンブリ、システム及び方法によって対処及び/又は克服される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、軟組織(例えば、腱)及び/又は硬組織(例えば、骨)との固定を改善するために有利なシステムを提供する。特に、本開示は、軟組織、医療用インプラント(例えば、骨プレート)及び/又は硬組織を硬組織に固着させるために、有利な突出部(例えば、スプライン、Iビーム、かかり(barb)、ギザギザ、ネジ山、リブ、リッジ部(ridge)、タイン(tine)、歯、くさび、フィン、溝、及びそれらの任意の組み合わせ)を有する腱干渉アンカーを組み込むシステム/方法を対象とする。より詳細には、アンカー本体及びアンカーを所望の固定位置(例えば、所望の骨の位置)に固定するための突出部を有するアンカーシステムを含む、例示的なシステム/方法が開示されている。開示されたアンカーシステムは、嵌入によって所望の固定位置まで進められ、固定されるように構成されている。
【0006】
例示的な実施形態では、本開示は、様々な解剖学的表面及び/又は構造(例えば、軟組織、硬組織、及び/又は医療用インプラント)間の固定を改善するために有利なアンカーシステムを提供する。開示されたアンカーシステムは、近位端部、遠位端部、長手方向軸、外側表面及び所望の固定位置に対してアンカーシステムを固定するための少なくとも1つの突出部(例えば、1つ以上のスプライン、Iビーム、かかり、ギザギザ、ネジ山、リブ、リッジ部、タイン、歯、くさび、フィン、溝、及びそれらの任意の組み合わせ)を有するアンカー本体を含む。アンカー本体の外側表面は、アンカー本体の長手方向軸に非平行の方向に、そこから外向きに延在している少なくとも1つの突出部を含んでいてもよい。さらに、少なくとも1つの突出部は、長手方向軸から放射状に延在していてもよい。
【0007】
開示されたアンカーシステムは、嵌入によって所望の固定位置に有利に挿入することができる。突出部の形式によっては、嵌入中にアンカーシステムがわずかに回転してもよい。一部の実施形態では、回転は嵌入を助けて、周囲の解剖学的表面及び/又は構造(例えば、軟及び硬組織)に対してアンカーをさらにしっかりと固定する。そのような場合、嵌入力は、アンカーを所望の固定位置に挿入/前進させるときの主要で実質的な推進力であると理解される。その他の実施形態では、嵌入力及び結果として生じる回転力は、アンカーを所望の固定位置に挿入/前進させるために協調して作用する。
【0008】
例示的な実施形態では、有利なアンカーシステムは、近位端部、遠位端部、長手方向軸、外側表面及び開示されたアンカー本体の外側表面に全体的又は部分的に関係付けられた少なくとも1つのらせんスプラインを有するアンカー本体を含む。例示的な実施形態では、開示されたアンカーは、約180度から約360度の範囲のねじれ角を有する5つ又は6つの外部らせんスプラインを含んでいてもよい。しかし、本開示の範囲又は精神から逸脱することなく、大体は外部らせん状スプラインを利用することができる。開示されたアンカーシステムは、アンカーシステムが所望の固定位置に対して嵌入される、及び/又は移動する可能性がある深さを制限するために、広がった頭部をさらに含んでいてもよい。開示されたアンカーシステムは、カニューレ穴及び交差穴のうちの少なくとも1つ(又は両方)をさらに含んでいてもよい。開示された穴(複数可)は、その場で硬化可能なポリマーがアンカー本体に入る、及び/又は通過することを可能にすることができる。
【0009】
別の例示的な実施形態では、有利なアンカーシステムは、近位端部、遠位端部、長手方向軸、外側表面及び開示されたアンカー本体の外側表面に全体的又は部分的に関係付けられた少なくとも1つのらせんスプラインを有するアンカー本体を含む。開示されたアンカー本体は、1つ以上の開示されたスプラインから全体的又は部分的に延在している複数の突出部をさらに含んでいてもよい。開示されたアンカーシステムは、カニューレ穴及び交差穴のうちの少なくとも1つ(又は両方)をさらに含んでいてもよい。前もって大腿骨に固定されている4ストランドグラフトをカニューレ穴から引っ張ることができる。ストランドは、開示されたアンカーの各4分円内に分離され、配置され得る。
【0010】
さらに別の実施形態では、有利なアンカーシステムは、近位端部、遠位端部、長手方向軸、外側表面及び開示されたアンカー本体の外側表面に全体的又は部分的に関係付けられた少なくとも1つのスプラインを有するアンカー本体を含む。開示されたスプライン(複数可)は、とりわけ、開示された固定位置との可能な係合の量を変えるように機能することができ、したがって、アンカー本体に沿った1つの位置で、アンカー本体に沿った別の位置よりも、開示されたスプライン(複数可)は対向する硬/軟組織と係合することができる。開示されたアンカーは、1つ以上のスプラインに沿って少なくとも部分的に配置された複数の突出部をさらに含んでいてもよい。開示されたアンカーシステムは、カニューレ穴及び交差穴のうちの少なくとも1つ(又は両方)をさらに含んでいてもよい。場合によっては、既に大腿骨に固定されている4ストランドグラフトをカニューレ穴から引っ張ることができる。ストランドは、示されたアンカー本体の各4分円内に分離されて配置される。
【0011】
本明細書に開示されたような特徴、機能及び/又は実施形態の任意の組み合わせ又は置き換えが想定される。本開示の開示されたシステム、方法及びアセンブリの追加の有利な特徴、機能及び用途は、特に添付の図面と併せて読む場合、以下の説明から明らかになるであろう。本開示に記載されているすべての参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
実施形態の特徴及び態様は、添付の図面を参照して以下に記載されているが、図面において要素は必ずしも一定の縮尺で示されているわけではない。
【0013】
本開示の例示的な実施形態は、添付の図面を参照してさらに記載されている。以下に記載され、図面に示されている様々な特徴、ステップ及び特徴/ステップの組み合わせは、様々に配置し編成して、依然として本開示の範囲内にある実施形態をもたらすことができることに留意されたい。
【0014】
当業者が開示されたアセンブリ、システム及び方法を作製及び使用するのを支援するために、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】本開示による例示的な腱干渉アンカーを概略的に示した図である。
【
図1B】本開示による例示的な腱干渉アンカーを概略的に示した図である。
【
図2A】本開示による例示的な腱干渉アンカーを概略的に示した図である。
【
図2B】本開示による例示的な腱干渉アンカーを概略的に示した図である。
【
図3A】本開示による例示的な腱干渉アンカーを概略的に示した図である。
【
図3B】本開示による例示的な腱干渉アンカーを概略的に示した図である。
【
図3C】本開示による例示的な腱干渉アンカーを概略的に示した図である。
【
図3D】本開示による例示的な腱干渉アンカーを概略的に示した図である。
【
図4】本開示による例示的な腱干渉アンカーを概略的に示した図である。
【
図5】本開示による例示的な腱干渉アンカー及び所望の固定位置の組み立て図を概略的に示した図である。
【
図6A】本開示による例示的な腱干渉アンカーを概略的に示した図である。
【
図6B】本開示による例示的な腱干渉アンカーを概略的に示した図である。
【
図7】本開示による例示的な腱干渉アンカーを概略的に示した図である。
【
図8】本開示による例示的な腱干渉アンカーを概略的に示した図である。
【
図9】本開示による例示的な腱干渉アンカーを概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で開示した例示的な実施形態は、軟組織(例えば、腱)及び/又は硬組織(例えば、骨)との固定を改善するために有利なシステムを例示している。しかし、開示された実施形態は本開示の単なる例示であり、様々な形態で具体化することができることを理解されたい。したがって、例示的なアセンブリ/製造方法、並びにアセンブリ及び使用に関連する方法/技術に関して本明細書に開示されている詳細は、限定として解釈されるべきではなく、単に当業者に本開示の有利なアセンブリ/システムを作製及び使用する方法を教示するための基礎として解釈されるべきである。
【0017】
本開示は、軟組織、医療用インプラント(例えば、骨プレート)及び/又は硬組織を硬組織に固着させるために、改善された突出部を有する例示的な腱干渉アンカーの有利なシステム/方法を提供する。より詳細には、アンカー本体及びアンカーを所望する骨の位置に固定させるための突出部を有するアンカーシステムを含む、例示的なシステム/方法が開示されている。開示されたアンカーシステムは、特に、挿入の主要な形態が嵌入である場合、所望する骨の位置に実質的に嵌入されるように構成されている。本明細書で使用したように、腱干渉アンカーは、「干渉アンカー」、「アンカーシステム」又は「アンカー」と呼ばれることがある。
【0018】
開示された腱干渉アンカーは、アンカー本体及び少なくとも1つの突出部(例えば、スプライン、Iビーム、かかり、ギザギザ、ネジ山、リブ、リッジ部、タイン、歯、くさび、フィン、溝、及びそれらの任意の組み合わせ)を含んでいてもよい。少なくとも1つの突出部は、アンカー本体の外側表面に少なくとも部分的に関係付けられている。アンカー本体及び少なくとも1つの突出部は、単一の構成成分として製造されてもよく、又は一緒に組み立てられて単一の構成成分の外観/機能をもたらす2つの別個の構成成分であってもよい。本開示は限定を意図するのではなく、「アンカー本体」及び「突出部」の使用は単なる説明に過ぎず、したがって特に明記されていない限り、両方の製造上の変化が想定される。
【0019】
開示されたアンカーは、近位端部、遠位端部及び長手方向軸を有する。遠位端部は、所望の固定位置へのアンカーの挿入を支援するために少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。例えば、アンカーは実質的に円錐形の遠位先端部を含んでいてもよい。しかし、遠位先端部は、円筒形、球形を含み、及び/又は少なくとも1つの縫合糸又はケーブルの保持に適合したループを備えた、様々な形状に製造することができる。開示されたアンカーは、実質的に円形の断面を有するアンカー本体を有していてもよい。しかし、開示されたアンカー本体は開示された断面に限定されず、様々な形状(例えば、卵円形、楕円形、四辺形、三角形又はそれらの組み合わせ)を利用することができる。
【0020】
開示されたアンカーシステムは、カニューレ穴及び交差穴のうちの少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。場合によっては、既に大腿骨に固定されている4ストランドグラフトをカニューレ穴から引っ張ることができる。ストランドは、示されたアンカーの各4分円内に分離され配置され得る。開示されたアンカーシステムは、近位端部に対して配置された、アンカーシステムの断面よりも少なくとも部分的に大きい要素(例えば、釘の頭部)をさらに含んでいてもよい。しかし、その他の場合、要素はすべての方向でアンカーシステムの断面を超えることはできない。開示されたアンカーシステムは、想定される使用に基づいて当業者によって理解されるように、任意の所望の長さに製造することができる。
【0021】
開示されたアンカーは、所望の固定位置(例えば、軟組織及び/又は硬組織)に導入することができる。本明細書で使用したように、所望の固定位置は、解剖学的表面に近接して位置する所望の位置であってもよく、又は開示されたアンカーを導入することができる少なくとも部分的な穴であってもよい。一実施形態では、所望の固定位置は、開示されたアンカー本体の直径と実質的に類似の直径を有する穴を含む。前述のように、開示されたアンカーは嵌入によって所望の固定位置に導入することができる。所望の突出部の形式や向きに応じて、開示されたアンカーは嵌入の間に回転することができる。しかし、アンカーの主要な挿入に関しては、回転は嵌入の補助である。挿入の第2の形態としての回転は、ねじれ挿入の開示された落とし穴に落ちることなく、開示されたアンカーを所望の固定位置に固定するのに役立つ。
【0022】
動作中、嵌入力(impactive force)は、開示されたアンカーの近位端部に直接的/間接的に加えられていてもよい。開示されたアンカーがらせん状の突出部を含む例示的な実施形態では、開示されたアンカーは、嵌入の間に所望の固定位置でわずかに回転してもよい。しかし、開示されたアンカーが非らせん状の突出部を含む別の例示的な実施形態では、開示されたアンカーは、補助的な回転なしに所望の固定位置に嵌入によって(impactively)挿入されてもよい。所望の方法は用途に左右される。
【0023】
開示されたアンカーは、生分解性シトレート系(citrate-based)複合材料から少なくとも部分的に製造することができる。開示されたアンカーは生体吸収性であってもよい。開示されたアンカーシステムは、クエン酸及び/又はシトレートと少なくとも1種のC2~C20アルカンジオールとの重縮合生成物から少なくとも部分的に形成され得る。より詳細には、開示されたアンカーシステムは、クエン酸及び/又はシトレートと少なくとも1種のC4~C12アルカンジオールとの重縮合生成物から少なくとも部分的に形成され得る。ある特定の実施形態では、シトレート系(コ)ポリエステルは、ポリ(1,8-オクタンジオールシトレート)であってもよい。ある特定の実施形態では、開示されたアンカーは、シトレート系ポリマー及びバイオセラミックを含む複合材料から少なくとも部分的に形成され得る。ある特定の実施形態では、バイオセラミックは、ヒドロキシアパタイト及びベータリン酸三カルシウムを含む群から選択される。シトレート系ポリマー及びバイオセラミックは、互いに対して任意の適切な重量比で複合材料中に存在することができる。
【0024】
本開示による腱干渉アンカー及びアンカーシステム/方法の例を
図1~9に例示する。
【0025】
図1A~2Bについては、例示的な腱干渉アンカー10、100は、アンカー本体12及び少なくとも1つの突出部18、102(例えば、スプライン、Iビーム、かかり、ギザギザ、ネジ山、リブ、リッジ部、タイン、歯、くさび、フィン、溝、及びそれらの任意の組み合わせ)を含む。アンカー本体12は、実質的に中実、部分的に中実、又は実質的に中空であってもよい。少なくとも1つの突出部18、102は、アンカー本体12の外側表面に少なくとも部分的に関係している。アンカー10、100は、近位端部14及び遠位端部16及び長手方向軸を有する。遠位端部16は、所望の固定位置へのアンカー10の挿入を支援するために少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。例えば、アンカー10、100は実質的に円錐形の遠位先端部20を含んでいてもよい。アンカー本体12は、
図1B及び2Bに例示したように、実質的に円形の断面を有していてもよい。
【0026】
例示的な実施形態では、少なくとも1つの突出部18、102はスプラインであってもよい。より詳細には、開示されたスプライン18、102は、約180度から約360度の範囲のねじれ角を有するらせんであってもよい。開示されたらせんスプライン18、102は、近位端部14に近接して始まり、遠位端部16に近接して終わっていてもよい。いくつかの例では、開示されたらせんスプライン18、102は、近位端部14辺りから遠位端部16辺りまでねじれていてもよい。スプライン18、102は、アンカー本体12の外側表面からアンカー本体12の長手方向軸と非平行の方向に外向きに延在していてもよい。
図1Aに例示したように、らせんスプライン18のねじれ角は約180度である。一方、
図2Aに例示したように、らせんスプライン102のねじれ角は約360度である。開示されたアンカー10、100は、
図1Bに示したように5つのらせんスプライン18を含んでいてもよく、又は
図2Bに示したように6つのらせんスプライン102を含んでいてもよい。5つのらせんスプライン18及び約180度のねじれ角並びに6つのらせんスプライン102及び約360度のねじれ角を有することが示されているが、以下で述べた
図3に示したように、いくつかの変形が可能である。少なくとも1つの突出部18、102の設計は、所望の固定位置(例えば、軟組織又は硬組織)に応じて最適化することができる。特に、少なくとも1つの突出部18、102は、所望の固定位置に把持され、少なくとも1つの方向の動きに抵抗する(又は実質的に抵抗する)ように、例えば、回転運動、並進運動及び/又は縦方向運動に抵抗する(又は実質的に抵抗する)ように、構成及び適合させることができる。
【0027】
スプライン18、102の設計は、支持面(すなわち、係合面)106及び対向するねじ面108が、アンカー本体12の長手方向軸に対して実質的に同様の角度(すなわち、スプライン/ねじ山角度)を有するように、実質的に対称的(とりわけ、例えば、V字型ねじ、丸みのあるV字型ねじ、四角ねじ、アクメねじ、ナックルねじの断面と同様)であることができる(例えば、
図2Bを参照のこと)。しかし、スプライン角度は、本開示の精神/範囲から逸脱することなく変化させてもよいことを理解されたい。したがって、スプライン角度は、一般的な用途(例えば、金属、木材、プラスチックとの接続又はボルト/ナット構成)で使用される角度に限定されない。
【0028】
或いは、スプライン18、102の設計は、係合した解剖学的表面(複数可)(例えば、腱)の動きを制限するようにバイアスをかけ得る(例えば、下方向にバイアスをかける)ことができる(例えば、
図1Bを参照のこと)。支持面(すなわち、係合面)24は、アンカー本体12の長手方向軸に関して実質的に垂直であってもよい(又はわずかにバイアス/傾斜していてもよい)。対向するねじ面26は、標準的な角度であってもよい(例えば、当業者に知られているように、例えば、30、45、60)。支持面24、106及び対向するねじ面26、108の指定は、らせんスプライン18、102の巻き方向に左右される。
【0029】
本発明の例では、らせんスプライン18、102は、右巻き構成を有すると記載されている。しかし、左巻き構成も可能である。このような場合、支持面24、106及び対向するねじ面26、108は入れ替わる。スプライン18、102の外側表面22、104とアンカー本体12の外側表面との間の距離として定義されるスプライン18、102の深さは、アンカー10、100と所望の固定位置との間の係合のレベルに少なくとも部分的に影響を与えることがある。スプライン角度と同様に、スプラインの深さは用途及び所望の固定位置に応じて変化させることができる。
【0030】
既に述べたように、5つのらせんスプラインアンカー及び6つのらせんスプラインアンカーはそれぞれ、約180度から約360度の範囲のねじれ角を有し得る。既に例示したように、また比較を容易にするために
図3Aとして再掲したように、アンカー10は、約180度のねじれ角を有する5つのらせんスプライン18を有する。
図3Bは、類似の5つのらせんスプラインアンカー10を利用するが、ねじれ角は約360度である。さらに、既に例示したように、また比較を容易にするために
図3Dとして再掲したように、アンカー100は、約360度のねじれ角を有する6つのらせんスプライン102を有する。
図3Cは、類似の6つのらせんスプラインアンカー100を利用するが、ねじれ角は約180度である。
【0031】
別の例示的な実施形態では、
図4に例示したように、腱干渉アンカー200は、アンカー本体202及び少なくとも1つの突出部208(例えば、スプライン、Iビーム、かかり、ギザギザ、ネジ山、リブ、リッジ部、タイン、歯、くさび、フィン、溝及びそれらの任意の組み合わせ)を含む。アンカー200は、近位端部204、遠位端部206及び長手方向軸を有する。アンカー本体202は、実質的に中実、部分的に中実、又は実質的に中空であってもよい。少なくとも1つの突出部208は、アンカー本体202の外側表面に少なくとも部分的に関係している。一部の実施形態では、少なくとも1つの突出部208はスプラインであってもよい。一例では、
図4に例示したように、アンカー200は6つのスプラインを含む。しかし、上記により詳細に記載したように、5つのスプラインを利用してもよい。より詳細には、開示されたスプライン208は、約180度から約360度の範囲のねじれ角を有するらせんであってもよい。いくつかの例では、開示されたらせんスプライン208は、近位端部204辺りから遠位端部206辺りまでねじれていてもよい。
【0032】
近位端部204は、アンカー200の少なくとも一部が所望の固定位置の開口部に近接して確実に留まるように構成及び適合された装着要素(例えば、頭部)212を含んでいてもよい。より詳細には、要素212は、アンカー200の少なくとも一部が確実に所望の固定位置の開口部の外側にあるか、同一平面であるか、又はわずかにはめ込まれる(例えば、皿穴又は座ぐり)ようにすることができる。要素212は、少なくとも1つの突出部(複数可)208及びアンカー本体202の組み合わせた断面よりも少なくとも部分的に大きい断面を有することができる。さらにより詳細には、アンカー200が2つ以上の骨の部分をつなぐ例では、
図5を参照にして以下により詳細に述べたように、要素212は、アンカー200の少なくとも一部が確実に骨の部分の1つの外側にあるか、同一平面であるか、又はわずかにはめ込まれる(例えば、皿穴又は座ぐり)ようにすることができる。
【0033】
一例では、
図4に示したように、要素212は、釘、ねじ等の頭部に類似していてもよい。要素212の断面は、要素212の少なくとも一部が突出部208の断面を超えないように寸法を設定することができる。例えば、アンカー本体202はT字型であってもよく、「T」の鉛直部分はアンカー本体202であり、アンカー本体202の上に垂直に配置された十字部分は要素212である。遠位端部206は、所望の固定位置へのアンカー200の挿入を支援するために少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。例えば、アンカーは実質的に円錐形の遠位先端部210を含んでいてもよい。アンカー本体202は、
図1B及び2Bに例示したように、実質的に円形の断面を有していてもよい。
図1A~3Dに繰り返した製品には、要素212をさらに組み込むことができ、逆に、アンカー200には、
図1A~3Dを参照して上述した特徴をさらに組み込むことができる。したがって、本開示は図によって厳密には定義されず、その他の図の特徴の利用も想定され、奨励されることを理解されたい。
【0034】
別の例示的な実施形態では、
図6A~6Bに例示したように、腱干渉アンカー300は、アンカー本体302及び少なくとも1つの突出部308(例えば、スプライン、Iビーム、かかり、ギザギザ、ネジ山、リブ、リッジ部、タイン、歯、くさび、フィン、溝、及びそれらの任意の組み合わせ)を含む。アンカー300は、近位端部304、遠位端部306及び長手方向軸を有する。アンカー本体302は、実質的に中実、部分的に中実、又は実質的に中空であってもよい。少なくとも1つの突出部308は、アンカー本体302の外側表面に少なくとも部分的に関係している。一部の実施形態では、少なくとも1つの突出部308はスプラインであってもよい。一例では、
図6Aに例示したように、アンカー300は6つのスプラインを含む。しかし、上記でより詳細に記載したように、5つのスプラインを利用してもよい。より詳細には、開示されたスプライン(複数可)308は、約180度から約360度の範囲のねじれ角を有するらせんであってもよい。いくつかの例では、開示されたらせんスプライン308は、近位端部304辺りから遠位端部306辺りまでねじれていてもよい。
【0035】
アンカー300は、少なくとも1つの穴(例えば、カニューレ穴及び交差穴)を含んでいてもよい。例示的な実施形態では、アンカー300は、少なくとも1つの交差穴314及び少なくとも1つのカニューレ穴316を含んでいてもよい。交差穴314は、アンカー300の長手方向軸に対して所望の非平行な角度で少なくとも部分的にアンカー本体302を通って延在していてもよい。例えば、
図6A~6Bに示したように、交差穴(複数可)314は、アンカー300の長手方向軸に実質的に垂直であってもよい。アンカー300は2つの交差穴314を含んでいてもよい。示したように、2つの交差穴314は、アンカー300の長手方向軸に実質的に垂直に配置され、互いに実質的に垂直に配置されていてもよい。しかし、任意の方向を利用してもよいことを理解されたい。例えば、少なくとも2つの交差穴314は、アンカー300の長手方向軸に沿って異なる位置に配置されていてもよい。アンカー300は、少なくとも部分的にアンカー本体300を通って延在しているカニューレ穴316を含んでいてもよい。例えば、カニューレ穴316は、近位端部からアンカー本体302の少なくとも一部を通って延在していてもよい。一例では、カニューレ穴316は、アンカー300の長手方向軸に沿って延在していてもよい。カニューレ穴316は、
図6Bに示したように、交差穴314と少なくとも部分的に交差していてもよい。
【0036】
例示的な実施形態では、カニューレ穴316はアンカー300の近位端部から、アンカー300の長手方向軸に沿って少なくとも部分的にアンカー本体302を通って延在している。少なくとも2つの交差穴314がカニューレ穴316と交差していてもよい。交差穴314は、カニューレ穴316に対して実質的に垂直であってもよく、互いに実質的に垂直であってもよい。交差穴314及びカニューレ穴316は、in situポリマー材料(例えば、低粘度)と周囲の解剖学的構造との間での相互嵌合を容易にすることができる。一例では、アンカー300は、前述のように、所望の固定位置に挿入することができる。挿入されると、in situポリマー材料はカニューレ穴316を通って導入され得る。in situポリマー材料はカニューレ穴316を通って流れ、少なくとも1つの交差穴314から流れ出し、それによって所望の固定位置内の周囲の解剖学的構造と相互嵌合する。別の例では、アンカー300の挿入の前に、in situポリマー材料は所望の固定位置に導入されてもよい。取り付けている間、アンカー300は所望の固定位置内にあるin situポリマー材料を圧縮して、したがってin situポリマー材料は所望の固定位置とアンカー300とを相互嵌合させる(例えば、少なくとも部分的に交差穴314及び/又はカニューレ穴316を通って)。
【0037】
別の例では、アンカー300は、アンカー300の少なくとも一部が所望の固定位置の開口部に近接して確実に留まるように構成及び適合された装着要素312(例えば、頭部)をさらに含んでいてもよい。要素312は近位端部304に関係付けられていてもよい。より詳細には、要素312は、アンカー300の少なくとも一部が確実に所望の固定位置の開口部の外側にあるか、同一平面であるか、又はわずかにはめ込まれる(例えば、皿穴又は座ぐり)ようにすることができる。要素312は、少なくとも1つの突出部308及びアンカー本体302の組み合わせた断面よりも少なくとも部分的に大きい断面を有することができる。さらにより詳細には、アンカー300が2つ以上の骨の部分をつなぐ例では、要素312は、アンカー300の少なくとも一部が確実に骨の部分の1つの外側にあるか、同一平面であるか、又はわずかにはめ込まれる(例えば、皿穴又は座ぐり)ようにすることができる(例えば、
図5を参照のこと)。カニューレ穴316は、少なくとも部分的に要素312を通って延在してもよい。遠位端部306は、所望の固定位置へのアンカー300の挿入を支援するために少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。例えば、アンカーは実質的に円錐形の遠位先端部310を含んでいてもよい。アンカー本体302は、実質的に円形の断面を有していてもよい。
【0038】
別の例示的な実施形態では、
図7及び8に例示したように、腱干渉アンカー400は、アンカー本体402及び少なくとも1つの突出部408(例えば、スプライン、Iビーム、かかり、ギザギザ、ネジ山、リブ、リッジ部、タイン、歯、くさび、フィン、溝、及びそれらの任意の組み合わせ)を含む。アンカー400は、近位端部404、遠位端部406及び長手方向軸を有する。アンカー本体402は、実質的に中実、部分的に中実、又は実質的に中空であってもよい。少なくとも1つの突出部408、452は、アンカー本体402の外側表面に少なくとも部分的に関係している。一部の実施形態では、少なくとも1つの突出部408はスプラインであってもよい。特に、アンカー400は、4つの突出部408、452(例えば、スプライン)を含んでいてもよい。より詳細には、開示されたスプライン(複数可)408は、約1度から約360度の範囲のねじれ角を有するらせんであってもよい。例示的な実施形態では、開示されたスプライン(複数可)408、452はねじれ角が約12.9度であってもよい。スプライン408は、アンカー本体402の外側表面からアンカー400の長手方向軸と非平行の方向に外向きに延在していてもよい。いくつかの例では、開示されたらせんスプライン408は、近位端部404辺りから遠位端部406辺りまでねじれていてもよい。各スプライン408の間は溝409である。溝409は、隣接するスプライン408、452及びアンカー本体402によって画定される。
【0039】
アンカー400は、アンカー本体402を少なくとも部分的に囲む少なくとも1つのノッチ410をさらに含んでいてもよい。ノッチ410は、所望の固定位置からのアンカー400の取り外しが、アンカー400の挿入中よりも困難であるように設計されていてもよい。ノッチ410は、アンカー400の長手方向軸に関して角度が付けられた部分を含んでいてもよい。特に、ノッチ410は、アンカー400の長手方向軸に実質的に垂直な部分を含む。例示的な実施形態では、アンカーは、アンカー本体402を少なくとも部分的に囲む4つのノッチ410を含む。ノッチ410は、in situポリマー材料(例えば、低粘度)と周囲の解剖学的構造との間の相互嵌合を容易にすることができる。一例では、所望の固定位置へのアンカー400の挿入の前に、in situポリマー材料が所望の固定位置に導入されてもよい。アンカー400を取り付けている間に、アンカー400は所望の固定位置内にin situポリマー材料を圧縮して、したがってin situポリマー材料が所望の固定位置とアンカー400とを相互嵌合させる(例えば、少なくとも部分的にノッチ410に関して)。
【0040】
アンカー本体402は、近位端部404から遠位端部406に向かって少なくとも部分的に延在する穴416をさらに含んでいてもよい。例示的な実施形態では、穴416は近位端部404から遠位端部406まで延在し、したがって穴416は貫通穴である。穴416は、アンカー400の長手方向軸に沿って近位端部404から遠位端部406に向かって少なくとも部分的に延在していてもよい。一実施形態では、上述のように、穴416は、in situポリマー材料と周囲の解剖学的構造との間の相互嵌合を容易にすることができる。別の実施形態では、穴416は、グラフト(図示せず)と少なくとも部分的に係合していてもよい。特に、グラフト(例えば、4ストランドグラフト)が既に所望の固定位置(例えば、大腿骨)に固定されている場合、グラフトは、穴416を通って引っ張ることができる。グラフトのストランドをそれぞれの溝409内に分離して配置することができる。グラフトを引っ張って適切な張力を確保しながら、アンカー400を所望の固定位置に(例えば、嵌入によって)挿入する。
【0041】
近位端部404は、アンカー400の少なくとも一部が所望の固定位置の開口部に近接して確実に留まるように構成及び適合された装着要素(例えば、頭部)を含んでいてもよい。より詳細には、装着要素は、アンカー400の少なくとも一部が確実に所望の固定位置の開口部の外側にあるか、同一平面であるか、又はわずかにはめ込まれる(例えば、皿穴又は座ぐり)ようにすることができる。要素は、少なくとも1つの突出部408及びアンカー本体402の組み合わせた断面よりも少なくとも部分的に大きい断面を有することができる。さらにより詳細には、アンカー400が2つ以上の骨の部分をつなぐ例では、要素は、アンカー400の少なくとも一部が確実に骨の部分の1つの外側にあるか、同一平面であるか、又はわずかにはめ込まれる(例えば、皿穴又は座ぐり)ようにすることができる。遠位端部406は、所望の固定位置へのアンカー400の挿入を支援するために少なくとも1つの要素を含んでいてもよい。例えば、アンカーは実質的に円錐形の遠位先端部412を含んでいてもよい。円錐形の遠位先端部412は表面414をさらに含んでいてもよく、これはグラフト(例えば、4ストランドグラフト)からの少なくとも1つのストランドの分離を容易にすることができる。特定の例では、表面414は部分的に角度が付けられ、わずかに凹んでいてもよい。一実施形態では、表面414は、2つのストランドを4ストランドグラフトから分離することができる。分離されたストランドは、前述のように、突出部408、452のそれぞれの溝409内に配置することができる。アンカー本体402は、実質的に円形の断面を有していてもよい。
【0042】
別の例示的な実施形態では、
図8に詳細に例示したように、開示した突出部は、その上に配置された少なくとも1つの追加的突出部(例えば、かかり、ギザギザ、ネジ山、リブ、リッジ部、タイン、歯、くさび、フィン、溝、及びそれらの任意の組み合わせ)をさらに含んでいてもよい。アンカー450はアンカー400の変形であり、同様の特徴には同じ参照番号が付けられている。アンカー450は、上述のように、少なくとも1つの突出部452(例えば、スプライン、Iビーム、かかり、ギザギザ、ネジ山、リブ、リッジ部、タイン、歯、くさび、フィン、溝、及びそれらの任意の組み合わせ)を含む。突出部452はらせんスプラインであってもよい。突出部452の外側表面に配置されているのは、少なくとも1つの第2の突出部454(例えば、かかり、ギザギザ、ネジ山、リブ、リッジ部、タイン、歯、くさび、フィン、溝、及びそれらの任意の組み合わせ)である。突出部452は、アンカー本体402の外側表面からアンカー本体402の長手方向軸と非平行の方向に外向きに延在していてもよい。いくつかの例では、開示されたらせんスプライン452は、近位端部404辺りから遠位端部406辺りまでねじれていてもよい。一例では、複数の第2の突出部454はスプライン452に沿って配置されていてもよい。上記で概説したように、様々な第2の突出部454は、所望の固定位置(例えば、軟骨及び/又は硬骨)に応じて使用することができる。
【0043】
さらに別の例示的な実施形態では、
図9に示したように、腱干渉アンカー500は、アンカー本体502及び少なくとも1つの突出部508(例えば、スプライン、Iビーム、かかり、ギザギザ、ネジ山、リブ、リッジ部、タイン、歯、くさび、フィン、溝、及びそれらの任意の組み合わせ)を含む。アンカー500は、近位端部504、遠位端部506及び長手方向軸を有する。アンカー本体502は、実質的に中実、部分的に中実、又は実質的に中空であってもよい。少なくとも1つの突出部508は、アンカー本体502の外側表面に少なくとも部分的に関係している。一例では、複数の突出部508はアンカー本体502の外側表面に配置されている。突出部508は、アンカー500の断面直径が、アンカー500の長手方向軸に沿った異なる位置で変化するように構成されていてもよい。例えば、アンカー500の中央部分は、アンカー500の少なくとも1つの端部よりも大きな断面直径を有していてもよい。このような寸法の変化は、アンカー500の長手方向軸に沿った位置に応じて、所望の固定位置との異なるレベルの係合をもたらす。アンカー500は、アンカー本体502の外側表面を部分的に覆うことができる追加的突出部510(例えば、スプライン、Iビーム、かかり、ギザギザ、ネジ山、リブ、リッジ部、タイン、歯、くさび、フィン、溝、及びそれらの任意の組み合わせ)をさらに含んでいてもよい。例えば、上述のように、追加的突出部510を利用して、より大きな断面を作り出すことができる。突出部508、510は、アンカー本体502の外側表面からアンカー本体502の長手方向軸と非平行の方向に外向きに延在していてもよい。
【0044】
アンカー500は、側壁514、516によって画定される溝512をさらに含んでいてもよい。アンカー本体502は、溝512の深さの少なくとも一部をさらに画定することができる。溝512は遠位端部506に近接して配置することができる。側壁514、516及び/又はアンカー本体502の少なくとも一部は丸みを帯びていてもよい。溝512は、少なくとも1つのグラフト(graft)(例えば、4ストランドグラフト)を受け入れるように寸法を設定することができる。特に、アンカー500を所望の固定位置に挿入しながら(例えば、嵌入によって)、グラフト(図示せず)を溝512に近接して配置することができる。アンカー500は、嵌入のみによって所望の固定位置に挿入することができる。突出部508、510はアンカー500を所望の固定位置に少なくとも部分的に固定し、溝512はグラフト(図示せず)を置く位置を提供することができる。
【0045】
本開示は、例示的な実例を参照して記載しているが、本開示は、このような例示的な実例によって、又はそれに限定されない。むしろ、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更、改良及び/又は代替の実例を採用することができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸、滑らかな円周面を有しかつ外径を画定する近位端部(14,204,304)、遠位端部(16,206,306)、及び外側表面を有するアンカー本体(12,202,302)、並びに
アンカー本体(12,202,302)の外側表面に関係付けられ、アンカー本体(12,202,302)の長手方向軸に非平行の方向に延在している複数のスプライン(18,102,208,308)
を含む生分解性アンカー(10,100,200,300)であって、
複数のスプライン(18,102,208,308)のそれぞれが、アンカー本体の近位端部におけるアンカー本体の長手方向軸に交わる平面からアンカー本体の遠位端部まで延在し、
複数のスプライン(18,102,208,308)のそれぞれが、アンカー本体の外側表面とスプラインの外側表面(22,104)との間の距離であるスプラインの深さを画定し、
近位端部(14,204,304)の外径がスプラインの外側表面(22,104)に対応し、かつスプラインの深さが近位端部の外径に対して内側に延在し、
アンカー(10,100,200,300)が、所望の固定位置に少なくとも部分的に嵌入するように構成及び適合されている、
生分解性アンカー(10,100,200,300)。
【請求項2】
複数のスプライン(18,102,208,308)のそれぞれが、アンカー本体の近位端部辺りから遠位端部辺りまでねじれている、請求項1に記載の生分解性アンカー(10,100,200,300)。
【請求項3】
複数のスプライン(18,102,208,308)が、アンカー本体(12,202,302)の外側表面に関係付けられた5つのらせんスプラインを含む、請求項1に記載の生分解性アンカー(10,100,200,300)。
【請求項4】
複数のスプライン(18,102,208,308)が、アンカー本体(12,202,302)の外側表面に関係付けられた6つのらせんスプラインを含む、請求項1に記載の生分解性アンカー(10,100,200,300)。
【請求項5】
複数のスプライン(18,102,208,308)のそれぞれが、約180度から約360度のねじれ角を有する、請求項1に記載の生分解性アンカー(10,100,200,300)。
【請求項6】
アンカー本体(12,202,302)の近位端部に対して装着要素(212)をさらに含み、装着要素が、アンカー本体(12,202,302)の直径よりも大きい寸法の直径を有する、請求項1に記載の生分解性アンカー(10,100,200,300)。
【請求項7】
遠位端部(16,206,306)に対して遠位先端部(20,210,310)をさらに含み、遠位先端部が、円錐形の先端部、円筒形の先端部、球形の先端部、ループ状の先端部、及び任意のそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の生分解性アンカー(10,100,200,300)。
【請求項8】
アンカー本体(12,202,302)が、シトレート系(コ)ポリエステルから少なくとも部分的に形成されている、請求項1に記載の生分解性アンカー(10,100,200,300)。
【請求項9】
シトレート系(コ)ポリエステルが、クエン酸及び/又はシトレートと少なくとも1種のC4~C12アルカンジオールとの重縮合生成物である、請求項8に記載の生分解性アンカー(10,100,200,300)。
【請求項10】
シトレート系(コ)ポリエステルが、ポリ(1,8-オクタンジオールシトレート)である、請求項9に記載の生分解性アンカー(10,100,200,300)。
【請求項11】
アンカー本体(12,202,302)が、シトレート系ポリマー及びバイオセラミックを含む複合材料から少なくとも部分的に形成されている、請求項1に記載の生分解性アンカー(10,100,200,300)。
【請求項12】
バイオセラミックが、ヒドロキシアパタイト及びベータ型リン酸三カルシウムからなる群から選択される、請求項11に記載の生分解性アンカー(10,100,200,300)。
【請求項13】
近位端部(14,204,304)から遠位端部(16,206,306)まで延在するカニューレ穴(316)をさらに含み、カニューレ穴が長手方向軸に実質的に平行である、請求項1に記載の生分解性アンカー(10,100,200,300)。
【請求項14】
アンカー本体(12,202,302)の外側表面から長手方向軸に非平行の方向に延在している少なくとも1つの交差穴(314)をさらに含む、請求項1に記載の生分解性アンカー(10,100,200,300)。
【請求項15】
遠位端部(16,206,306)、アンカー本体(12,202,302)及び近位端部(14,204,304)の少なくとも1つが、少なくとも1つのグラフトを受け入れるように構成され、寸法を設定されている、請求項1に記載の生分解性アンカー(10,100,200,300)。
【請求項16】
アンカー本体(12,202,302)の長手方向軸に沿った少なくとも2つの位置において、アンカー本体(12,202,302)及び複数のスプライン(18,102,208,308)の組み合わせた直径が異なっている、請求項1に記載の生分解性アンカー(10,100,200,300)。
【請求項17】
長手方向軸、滑らかな円周面を有しかつ外径を画定する近位端部(14,204,304)、遠位端部(16,206,306)、及び外側表面を有するアンカー本体(12,202,302)、並びに
アンカー本体(12,202,302)の外側表面に関係付けられ、アンカー本体(12,202,302)の長手方向軸に非平行の方向に延在している複数のスプライン(18,102,208,308)
を含む、生分解性アンカー(10,100,200,300)であって、
複数のスプライン(18,102,208,308)のそれぞれが、アンカー本体の近位端部におけるアンカー本体の長手方向軸に交わる平面からアンカー本体の遠位端部まで延在し、
複数のスプライン(18,102,208,308)のそれぞれが、アンカー本体の外側表面とスプラインの外側表面(22,104)との間の距離であるスプラインの深さを画定し、
複数のスプライン(18,102,208,308)のそれぞれが、アンカー本体(12,202,302)の近位端部(14,204,304)から遠位端部(16,206,306)まで約180度から約360度のねじれ角でねじれており、
近位端部(14,204,304)の外径がスプラインの外側表面(22,104)に対応し、かつスプラインの深さが近位端部の外径に対して内側に延在し、
アンカー(10,100,200,300)が、所望の固定位置に少なくとも部分的に嵌入するように構成及び適合されている、
生分解性アンカー(10,100,200,300)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
本開示は、例示的な実例を参照して記載しているが、本開示は、このような例示的な実例によって、又はそれに限定されない。むしろ、本開示の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更、改良及び/又は代替の実例を採用することができる。
本発明は、以下の態様を含む。
[項1]
長手方向軸、近位端部、遠位端部、及び外側表面を有するアンカー本体、並びに
アンカー本体の外側表面からアンカー本体の長手方向軸に非平行の方向に外向きに延在している少なくとも1つの突出部
を含む生分解性アンカーであって、
アンカーが、所望の固定位置に少なくとも部分的に嵌入するように構成及び適合されている、
生分解性アンカー。
[項2]
少なくとも1つの突出部が、スプライン、Iビーム、かかり、ギザギザ、ネジ山、リブ、リッジ部、タイン、歯、くさび、フィン、溝、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、項1に記載の生分解性アンカー。
[項3]
少なくとも1つの突出部がらせん突出部である、項1に記載の生分解性アンカー。
[項4]
少なくとも1つのらせん突出部が、アンカー本体の近位端部辺りから遠位端部辺りまでねじれている、項3に記載の生分解性アンカー。
[項5]
アンカー本体が、アンカー本体の外側表面からアンカー本体の長手方向軸に非平行の方向に外向きに延在している5つのらせん突出部をさらに含む、項3に記載の生分解性アンカー。
[項6]
アンカー本体が、アンカー本体の外側表面からアンカー本体の長手方向軸に非平行の方向に外向きに延在している6つのらせん突出部をさらに含む、項3に記載の生分解性アンカー。
[項7]
少なくとも1つのらせん突出部が、約180度から約360度のねじれ角を有する、項3に記載の生分解性アンカー。
[項8]
アンカー本体の近位端部に対して装着要素をさらに含み、装着要素が、アンカーの断面よりも大きい寸法の断面を有する、項1に記載の生分解性アンカー。
[項9]
遠位端部に対して遠位先端部をさらに含み、遠位先端部が、円錐形の先端部、円筒形の先端部、球形の先端部、ループ状の先端部、及び任意のそれらの組み合わせからなる群から選択される、項1に記載の生分解性アンカー。
[項10]
シトレート系(コ)ポリエステルから少なくとも部分的に形成されている、項1に記載の生分解性アンカー。
[項11]
シトレート系(コ)ポリエステルが、クエン酸及び/又はシトレートと少なくとも1種のC
4
~C
12
アルカンジオールとの重縮合生成物である、項10に記載の生分解性アンカー。
[項12]
シトレート系(コ)ポリエステルが、ポリ(1,8-オクタンジオールシトレート)である、項11に記載の生分解性アンカー。
[項13]
シトレート系ポリマー及びバイオセラミックを含む複合材料から少なくとも部分的に形成されている、項1に記載の生分解性アンカー。
[項14]
バイオセラミックが、ヒドロキシアパタイト及びベータ型リン酸三カルシウムからなる群から選択される、項13に記載の生分解性アンカー。
[項15]
近位端部から遠位端部辺りまで延在するカニューレ穴をさらに含み、カニューレ穴が長手方向軸に実質的に平行である、項1に記載の生分解性アンカー。
[項16]
アンカー本体の外側表面から長手方向軸に非平行の方向に延在している少なくとも1つの交差穴をさらに含む、項1に記載の生分解性アンカー。
[項17]
遠位端部、アンカー本体及び近位端部の少なくとも1つが、少なくとも1つのグラフトを受け入れるように構成され、寸法を設定されている、項1に記載の生分解性アンカー。
[項18]
遠位端部上の遠位先端部がアンカー本体の長手方向軸に少なくとも部分的に非平行である溝をさらに含み、溝が少なくとも1つのグラフトを受け入れるように構成され、寸法を設定されている、項1に記載の生分解性アンカー。
[項19]
アンカーの長手方向軸に沿った少なくとも2つの位置において、アンカー本体及び少なくとも1つの突出部の組み合わせた断面が異なっている、項1に記載の生分解性アンカー。
[項20]
長手方向軸、近位端部、遠位端部及び外側表面を有するアンカー本体、並びに
アンカー本体の外側表面からアンカー本体の長手方向軸に非平行な方向へ外向きに延在している少なくとも1つのらせん突出部
を含む、生分解性アンカーであって、
少なくとも1つのらせん突出部が、アンカー本体の近位端部辺りから遠位端部辺りまでねじれており、
アンカーが、所望の固定位置に少なくとも部分的に嵌入するように構成及び適合されている、
生分解性アンカー。
【外国語明細書】