IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テラ シーオー2 テクノロジー ホールディングス,インコーポレーテッドの特許一覧

特開2023-113756セメント系試薬、その製造方法および使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113756
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】セメント系試薬、その製造方法および使用
(51)【国際特許分類】
   C04B 7/24 20060101AFI20230808BHJP
   C04B 7/36 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
C04B7/24 ZAB
C04B7/36
【審査請求】有
【請求項の数】60
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023089471
(22)【出願日】2023-05-31
(62)【分割の表示】P 2021577288の分割
【原出願日】2020-06-29
(31)【優先権主張番号】62/867,480
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/004,673
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/025,148
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521564308
【氏名又は名称】テラ シーオー2 テクノロジー ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】レイク,ドナルド・ジョン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】世界的に豊富な無機供給原料から生成されるセメント系試薬、およびセメント系試薬を生成する方法を提供する。
【解決手段】セメント系試薬材料とその製造方法、および試薬材料を微小球体ガラス状粒子として形成する方法も記載される。また、球体形態を有するガラス状セメント系試薬の熱化学的生産のための装置、システムおよび方法も記載される。装置、システムおよび方法は、固体粒子が懸濁体として流動され、懸濁体として融解され、次いで懸濁体としてクエンチ処理されるように、気中融解/クエンチ処理技術を利用する。セメント系試薬は、セメント生産と関連するCO排出量を実質的に削減するために、コンクリートで使用され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Si、Al、Fe、Ca、Mg、Na、およびKの原子を含む粒子を含み、
【数1】
であり、
前記粒子は、平均真円度(R)>0.8を有する球体形態を有し、
前記粒子は、少なくとも80%がX線非晶質である、
セメント系試薬。
【請求項2】
前記粒子が、非結晶質固体の形態である、請求項1に記載のセメント系試薬。
【請求項3】
前記粒子が、D[3,2]で20μmまたはそれ未満の粒度分布を含む粉末形態である、請求項1に記載のセメント系試薬。
【請求項4】
前記粒子が、固体微小球体ガラス状粒子である、請求項1に記載のセメント系試薬。
【請求項5】
前記粒子の40%未満が、(R)<0.7の角ばった形態を有する、請求項1に記載のセメント系試薬。
【請求項6】
前記粒子が少なくとも0.9の平均真円度(R)を含む、請求項1に記載のセメント系試薬。
【請求項7】
平均の酸化物式1、
(CaO,MgO)・(NaO,KO)・(Al,Fe・(SiO[式1]
(式中、aは約0~約4であり、
bは約0.1~約1であり、
cは1であり、
dは約1~約20である。)
を含む、請求項1に記載のセメント系試薬。
【請求項8】
前記粒子が約10重量%未満のCaOを含む、請求項7に記載のセメント系試薬。
【請求項9】
前記粒子が、D[3,2]で約20μmまたはそれ未満のサイズ分布を有する、請求項1に記載のセメント系試薬。
【請求項10】
前記粒子が、D[3,2]で約10μmまたはそれ未満のサイズ分布を有する、請求項1に記載のセメント系試薬。
【請求項11】
前記粒子が100%非結晶質である、請求項1に記載のセメント系試薬。
【請求項12】
Si、Al、Fe、Ca、Mg、Na、およびKを含有する非フライアッシュ微小球体ガラス状粒子を含むセメント系試薬を含み、
【数2】
であり、
前記粒子は、平均真円度(R)>0.8を有する球体形態を有し、
前記粒子は、少なくとも90%がX線非晶質である、
補助セメント系材料。
【請求項13】
前記セメント系試薬が、前記補助セメント系材料の少なくとも20重量%を構成する、請求項12に記載の補助セメント系材料。
【請求項14】
固体アルミノケイ酸塩材料を提供するステップ、
前記固体アルミノケイ酸塩材料をミリングして、D[3,2]で20μm未満の粒度分布を有するようにするステップ、
キルン内で前記アルミノケイ酸塩材料を、気中融解によって融解するステップ、および
前記アルミノケイ酸塩材料を、気中クエンチ処理によってクエンチ処理して、固体微小球体ガラス状粒子を生成するステップ
を含む、アルミノケイ酸塩材料からセメント系試薬を生成するための方法。
【請求項15】
前記固体微小球体ガラス状粒子が少なくとも0.8の平均真円度(R)を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記セメント系試薬が、(Ca,Mg)0~12・(Na,K)0.05~1・(Al,Fe3+・Si1~20のモル組成比を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
80%超がX線非晶質である固体微小球体ガラス状粒子が生成されるように、気中クエンチ処理プロファイルを制御するステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
非理想的な固体アルミノケイ酸塩材料の組成を、元素Ca、Na、K、Al、Fe、およびSiの所望の含有量にするステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記キルンを骨材採石場に位置付けるステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記キルンをコンクリートバッチプラントに位置付けるステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2019年6月27日出願の米国仮特許出願第62/867,480号、および2020年4月3日出願の米国仮特許出願第63/004,673号、ならびに2020年5月14日出願の米国仮特許出願第63/025,148号の利益を主張するものであり、上記仮特許出願の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]本開示の分野は、セメント系試薬に関連し、より具体的には、豊富な異種原料からの比較的均質なセメント系材料およびセメント系材料の創製に関連する。
[0003]コンクリートは、何千年もの間文明において重要な役割を果たしてきて、いまだなお最も一般的に使用されている建築材料である。セメントは、流動性コンクリートスラリーを周囲温度で有用な複合材料に硬化させるコンクリートの必須の結合成分である。多くの結合材の化学的性質がコンクリートを作製するために成功裏に使用されてきたが、ポルトランドセメントおよびその変形物はほぼ200年にわたって主要なコンクリート結合材であった。生産効率および材料性能の進歩にもかかわらず、現行方法では合理的なコストで解決することができないポルトランドセメントの化学的性質に関する重要かつ本質的な問題がある。
【0003】
[0004]ポルトランドセメント製造は、世界的な人為的なCO排出量の約8%を引き起こす大量のCOを排出するプロセスである。一部の推測は、セメント需要は2050年までに12~23%増加すると予想している。しかしながら、このセメントの絶対需要の高まりは、UN IPCC気候報告書2018に従って、地球温暖化の壊滅的な影響を回避するために2050年までにまた必要としている経済の完全な脱炭素化の必要性とは食い違っている。したがって、特に絶対生産量が増加しているために、セメントの特定のCO排出を大幅に低下させるための緊急の必要性がある。
【0004】
[0005]業界がセメントのCO排出を削減しようとした1つの方法は、ジオポリマー化(geopolymerization)プロセスを通して硬化する一般にアルミノケイ酸塩無機ポリマーであるジオポリマーセメントの開発である。現在使用されている商業的に妥当なジオポリマーセメントは、いくつかの特定の固形物試薬(一般的には、メタカオリン(MK-750)、高炉スラグ微粉末(ground granulated blast furnace slag)(GGBFS)、および石炭フライアッシュ)へのアクセスを必要とする。しかしながら、これらの試薬は、セメントに対する非常に大きな需要と比べて供給が地理的および量的に限られているため、低COへの世界的な移行を満たすことができない。また、これらの製品の製造場所からの運送費用も、それらの市場価値と比較してかなり高い。
【0005】
[0006]セメント系試薬は、水硬性セメントおよびジオポリマーセメントの両方で有用である。ジオポリマー試薬、および補助セメント系材料(SCM)は、典型的には、いくつかの一般的なセメント系材料、すなわち、燃焼からの副産物の灰(例えば、石炭フライアッシュ)、スラグ副産物(例えば、高炉スラグ微粉末)、焼成クレー(例えば、メタカオリン)、および天然ポゾラン(例えば、火山灰)から選択される。これらの材料は、一般に、実質的に非結晶性であり、ジオポリマー系などのセメント質系において反応性であることもある。
【0006】
[0007]混合水硬性セメントで使用される大部分のSCMは、産業副産物(例えば、石炭燃焼、または高品質鉄生産)であるため、それらの材料特性は産業副産物の結果であり、高品質セメント系試薬として特別に調整されていない。したがって、これらの材料は、理想的なまたは更には一貫した組成および品質のいかなる保証も欠いており、それらのセメント系試薬としての適合性は、プラント間で、および時間と共に変化する。また生産立地に関する管理もなく、コンクリート業界は、これらの非常に重要なセメント系材料の将来的な利用度の管理を欠如している。特に、セメント系材料の運送が非常に高価であるために、生産立地を市場ニーズに基づいて選択することができれば、はるかに有利であるだろう。
【0007】
[0008]フライアッシュは、石炭燃焼のとりわけガラス状のアルミノケイ酸塩副産物である。それは、流動性を改善し、強度、アルカリシリカ反応などに対する抵抗性を含むコンクリートの特性を改善するためのポゾラン反応を作り出すために水硬性セメントミックス中に混和剤(admixture)として頻繁に使用される。残念ながら、ある特定の石炭および燃焼プロセスだけが、コンクリートで使用するために許容される品質のフライアッシュ(例えば、ASTM C型およびF型灰、またはCSA C型、CI、およびF灰)の一貫した供給を作り出す。灰は、最適なSCMとして製造されるのではなく、むしろ、燃焼は発電および汚染防止のために最適化され、副産物の灰の一貫性は保証されていない。コンクリートにおけるフライアッシュの将来についての更なる問題には、多くの市場における石炭エネルギーから天然ガスへの移行による地域的可用率の大幅な低下が含まれ、燃焼後に導入された炭素が、コンクリート中の空気連行に悪影響を与える可能性があり、一時保管場所からの灰の回収がコストを増大させ、品質がその都度、検査を通して検証されねばならない。
【0008】
[0009]高炉スラグ微粉末(GGBFS)は、高炉での鉄生産のガラス状CaO-SiO副産物である。GGBFSを組み込むコンクリートは、改善された化学的耐久性、白色度、水和熱の低減、CO2排出量の軽減、および他の有益な特性を含む多くの有利な特性を有する。残念なことに、大部分の市場で稼働している高炉が少数であるために、高炉スラグの供給は、かなり限られている。したがって、GGBFSは、高品質SCMとして人気が高く、この副産物の価格は、今やセメントそれ自体の価格と同様である。更に、限られた地理的供給は、多くの現地のコンクリート市場に不足や少なくとも高い運送コストをもたらす。最終的に、鉄生産およびそれから得られる高炉スラグ供給は、コンクリート需要に直接結びつかず、これらの重要な混和剤の供給量、現地調達の可能性、および市場価格を大部分は成り行きに任せている。
【0009】
[0010]天然ポゾランは、Ca(OH)とのポゾラン反応において沈殿することができるケイ酸質またはアルミノケイ酸質材料である。これらには、採掘されたままの、もしくは焼成された火山灰、珪藻土、カオリナイトならびに他の粘土、MK-750ならびに他の天然鉱物、および石灰と反応して水和ケイ酸カルシウム化合物を生成する岩石が挙げられる。天然ポゾランは、コンクリート中の非常に効果的なSCMであり得るが、それらは再生不可能資源の採掘を必要とし、ポゾランは、多くの場合、鉱床があまり一般的ではないため、かなりの配送距離を必要とする。また、天然材料は、多くの場合、天然ポゾランの反応性を向上させるためにか焼などのかなりの処理を必要とする。
【0010】
[0011]フライアッシュ(通常は、F型などの低CaO含有量を有するもの)、GGBFS、およびある特定の天然および処理した「ポゾラン」(例えば、火山灰、ゼオライト、およびMK-750)もまた、一般的なジオポリマー試薬であり、供給、地理的利用度、価格、品質、および一貫性に対する同じ不都合な制限が、ジオポリマー結合材およびセメントにおけるそれらの用途に適用される。
【0011】
[0012]これらの既存のSCMおよびジオポリマー試薬供給のある特定の制限を克服するために、いくつかの試みが行われ、伝統的な方法の側面を改善してきた。いくつかの改善にもかかわらず、これらの人造的生産物または組成物は、例えば、ジオポリマー化学で使用するための試薬の反応性および化学的性質に関して(例えば、高配位の、分岐状の、三次元アルカリ/アルカリ土類アルミノケイ酸塩ポリマーを後に生成するために試薬を最適化すること)なお多くの欠陥を有している。それらはまた、高額な実験室グレードの試薬を必要とし、世界的に豊富な原料を単純に使用することができない。
【0012】
[0013]また、以前に製造されたガラス状セメント系試薬は、角ばった粒子または繊維状粒子の形態を有している。したがって、そのような試薬から作製されたセメントペーストは、大量の水を必要とし、実際のコンクリート用途で使用するために障害である比較的不良な加工可能性(例えば、過剰な降伏応力または最適な塑性粘度よりも高いもの)を有する。
【0013】
[0014]燃焼灰およびシリカヒュームは、典型的には、角ばった粒子の形態を有さない。しかしながら、これらは、十分な量だけ利用できず、適切な化学的性質を有さず、および/または高SCMの混合水硬性セメントまたはジオポリマーセメントへの大規模な移行を支援するためにはあまりに高価である。
【0014】
[0015]したがって、同等のポルトランドセメント配合設計における高流動化剤および減水剤と同程度の有効性を備えた、既存の加工可能性の問題を解決するセメント系試薬を必要としている。また、ポルトランドセメントの製造においてCO排出量を削減する方法も必要とされており、特に、水硬性セメントにおいて補助セメント系材料として、および/または固形ジオポリマー試薬として使用することができる低プロセスCO排出量またはゼロプロセスCO排出量を有する設計作製(engineered)セメント系試薬を必要としている。
【0015】
[0016]また、世界的に豊富な原料から広範に生産することができ、セメント質系で反応性であり、かつ加工可能な低降伏応力のセメントミックスを供給するセメント系試薬も必要としている。
【0016】
[0017]更に、生産立地を市場ニーズに基づいて選択することができるセメント系試薬の生産を必要としている。特に、セメント系試薬、ジオポリマー試薬、補助セメント系材料(SCM)、セメントミックスおよびコンクリートで有用な、角ばっていない粒子または微小球体(microspheroidal)ガラス状粒子を必要としている。
【0017】
[0018]また、例えば、世界的に豊富な原料を使用することによる、そのような微小球体ガラス状粒子の経済的な生産も必要としている。また、固体粒子が懸濁体として流動され、懸濁体として融解され、次いで懸濁体としてクエンチ処理されるような気中融解/クエンチ処理を使用する装置、システムおよび方法を必要としている。
【0018】
[0019]本発明は、本開示の考察および以下の本発明の特徴の説明から明らかになるように、これらのニーズおよび他のニーズに対処する。
[0020]現在コンクリートで使用されている主なセメントは、ポルトランドセメントとして知られているケイ酸カルシウムの水和硬化性生物である。残念ながら、ポルトランドセメントクリンカの製造は、世界的に影響力がある(燃料起源のGHG排出量を抜きにして、約3~5%)(石灰石の加熱からの)COプロセス排出を引き起こす。このプロセスは、キルンバーナーに対向して流れる原料粉末(raw meal)を備えたロータリーキルンで行われる。このプロセスは約3~5GJ/トンを消費する非常にエネルギー消費型であり、そのうち約1.5GJ/トンが、単純に石灰石をか焼するために使用される。
セメントの環境的影響を減らすための数少ない加工可能な戦略のうちで、ジオポリマー化学は、改善された環境性能および材料性能を有する世界的に加工可能な代替セメントを提供している。フライアッシュおよびスラグなどの伝統的なジオポリマー試薬の一貫性のない供給および限定された地理的利用度は、ジオポリマーコンクリートの標準化および採用を制限してきた。他方では、水硬性セメントにおける補助セメント系材料(SCM)(材料性能および環境性能を向上させるための)に対する需要の増加は、これらの材料の需要を更に圧迫している。
【0019】
[0021]前述のように、セメント試薬を製造するために様々な試みが行われてきた。しかしながら、これらの方法は、ガラス状セメント系試薬の経済的な製造プロセスを妨げてきた重大な欠陥を抱えている。
【0020】
[0022]例えば、セメント系試薬に関する既存の学術研究において、ガラス融解物を直接入れるために、高温耐火ライニングされた炉およびるつぼが使用されている(伝統的なガラス製造技術の自然な発展)。しかしながら、るつぼおよびそれを取り囲む従来の炉の固体耐火材は、熱衝撃による破損を回避するために低い加熱速度および冷却速度(10~50C/分のオーダー)を必要とする。従来の溶解炉は、高い熱質量を有し、これが長期の立ち上がりおよび停止サイクルの結果として、維持管理を困難かつコストのかかるものにしている。融解物と直接接触する耐火材の必要性を排除し、これにより、複雑さ、摩耗性、およびかなりの立ち上がりならびに停止時間を排除することが好ましい。
【0021】
[0023]セメント系試薬(例えば、高炉スラグ)用の融解ガラスのクエンチ処理は、以前には水を必要としたが、これはコストがかかり、熱回収を阻害し、環境に悪影響を与える場合があり、固液分離の追加の複雑さを必要とし得る。したがって、メルトクエンチング(melt quenching)法は、浪費的であるか、または遅いか、反応性を低下させるかのいずれかである。融解物を冷却する空気クエンチ処理法は、あまりにゆっくりであるか、または最も望ましい供給原料には実現が不可能である約1Pas以下の低融解粘度を確実にするために非常に特殊な化学的性質を必要とするかのいずれかである。
【0022】
[0024]以前のガラス製造方法は、ガラス状製品のコストがかかる粒度の減少(ミリング)を(典型的には、熱加工の前後に)必要としていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
[0025]したがって、世界的に豊富な供給原料からガラス状セメント系試薬を製造する便利で経済的な方法を依然として必要としている。
[0026]また、エネルギー消費を最小限に抑え、溶剤(fluxes)を必要とすることなく非常に高く可変の融解粘度に対処するも必要としている。
【0024】
[0027]また、微小球体ガラス状粒子を生成するための方法およびそのような微小球体ガラス状粒子を生成するために有用な装置ならびにシステムも必要としている。
[0028]本発明は、本開示の考察および以下の本発明の特徴の説明から明らかになるように、これらのニーズおよび他のニーズに対処する。
【課題を解決するための手段】
【0025】
[0029]実施形態は、とりわけ、代替セメント系材料(ACM)に関し、これは、いくつかの実施形態では、平均真円度(R)>0.8であること、および約40%未満の角ばった形態を有する粒子であることのうちの1つ以上の特性を含む固体微小球体ガラス状粒子を含む。
【0026】
[0030]いくつかの実施形態では、粒子は、少なくとも0.9の平均真円度(R)を含む。実施形態では、約30%未満の粒子、または約25%未満の粒子、または約20%未満の粒子、または約15%未満の粒子、または約10%未満の粒子が、角ばった形態を有する(R<0.7)。
【0027】
[0031]いくつかの実施形態では、粒子は平均の酸化物式1(CaO,MgO)a・(NaO,KO)b・(Al,Fe)c・(SiO[式1]を含み、式中、aは約0~約4であり、bは約0.1~約1であり、cは1であり、dは約1~約20である。
【0028】
[0032]いくつかの実施形態では、粒子は、(i)X線非晶質固体の45%~100%、好ましくは90~100%の含有量、および(ii)(CaO,MgO)0~12・(Na,K)0.05~1・(Al,Fe3+)・Si1~20のモル組成比のうちの1つ以上の特性を更に含む。
【0029】
[0033]別の態様によれば、いくつかの実施形態は、本明細書で定義される微小球体ガラス状粒子の混合物を含むセメント系試薬に関する。
[0034]別の特定の態様によれば、いくつかの実施形態の本発明は、微小球体ガラス状粒子の混合物を含むセメント系試薬に関し、これらの粒子は、(i)平均真円度(R)>0.8、(ii)約20%未満の粒子が角ばった形態を有し(R<0.7)、(iii)前に定義された酸化物式1、(iv)45%~100%、好ましくは90~100%のX線非晶質固体の含有量、および(v)(CaO,MgO)0~12・(Na,K)0.05~1・(Al,Fe3+)・Si1~20のモル組成比、ならびに(vi)約<10重量%のCaOの低カルシウム含有量、または約10~約20重量%のCaOの中間カルシウム含有量、または>30重量%のCaOの高カルシウム含有量のうちの1つ以上を含む。
【0030】
[0035]いくつかの実施形態では、セメント系試薬は、非結晶性固体の形態である。いくつかの実施形態では、セメント系試薬は、粉末の形態である。いくつかの
実施形態では、約20μm以下、より好ましくは10μm以下、または最も好ましくは5μm以下の、D[3,2](すなわち、表面積平均値、またはザウター平均径(Sauter Mean Diameter))を有する粒度分布である。一実施形態では、セメント系試薬の微小球体ガラス状粒子の混合物は、うえで定義された酸化物式1を含む。いくつかの実施形態では、セメント系試薬は、約10重量%未満のCaOを含む。いくつかの実施形態では、セメント系試薬は、約30重量%を超えるCaOを含む。いくつかの実施形態では、セメント系試薬は、約40~100%および好ましくは約80%のX線非晶質、90%のX線非晶質、および最大で約100%のX線非晶質であり、いくつかの実施形態では、100%が非結晶性である。
【0031】
[0036]いくつかの実施形態によれば、ジオポリマー結合材は、本明細書で定義されるセメント系試薬を含む。別の特定の態様によれば、本発明のいくつかの実施形態は、本明細書で定義されるセメント系試薬を含む補助セメント系材料(SCM)に関し、例えば、SCMは、少なくとも20重量%のセメント系試薬を含む。
【0032】
[0037]別の特定の態様によれば、いくつかの実施形態は、本明細書で定義されるセメント系試薬を含む固形コンクリートに関する。
[0038]別の特定の態様によれば、いくつかの実施形態は、ジオポリマー結合材またはセメント、水硬性セメント、補助セメント系材料(SCM)および/もしくは固形コンクリートを製造するための本明細書に定義される微小球体ガラス状粒子の使用、ならびに定義されるセメント系試薬の使用に関する。
【0033】
[0039]別の特定の態様によれば、いくつかの実施形態は、(i)固体アルミノケイ酸塩材料を提供するステップと、(ii)該固体アルミノケイ酸塩材料を気中融解/クエンチ処理(in-flight melting/quenching)して、該材料を液体に融解し、その後液体をクエ
ンチ処理して、該微小球体ガラス状粒子を含む融解/クエンチ処理粉末を得て、それによって、微小球体ガラス状粒子の該粉末を含むセメント系試薬を得るステップと、を含む、アルミノケイ酸塩材料からセメント系試薬を生成するための方法に関する。
【0034】
[0040]いくつかの実施形態では、方法は、(iii)微小球体ガラス状粒子の該粉末を微細粉末に研削するステップを更に含む。一実施形態では、粉末は、約20μm以下、より好ましくは10μm以下、または最も好ましくは5μm以下のD[3,2]を有する粒度分布を含む。
【0035】
[0041]いくつかの実施形態では、この方法によって得られたセメント系試薬は、セメント質系および/またはジオポリマー系において反応性であること、セメントペーストがHO/(NaO,KO)<20の酸化物モル比を有するとき、25Pa未満の加工可能な低降伏応力のジオポリマーセメントミックスを供給すること、酸化物モル比HO/(NaO,KO)<20であるようにセメントペーストにおける含水量を必要とすること、および同じ含水量という条件で、実質的に角ばった形態を有する等価なペーストよりも高い加工可能性を有するセメントペーストを供給すること、のうちの1つ以上の特性を含む。
【0036】
[0042]いくつかの実施形態では、非理想的な固体アルミノケイ酸塩材料の組成を、元素Ca、Na、K、Al、Fe、およびSiの所望の含有量に調節するステップを更に含む。一実施形態では、調節するステップは、元素Ca、Na、K、Al、Fe、およびSiの1つまたはいくつかに関する望ましい比率に至らせるために、非理想的なアルミノケイ酸塩材料を組成調節材料とブレンドすることを含む。
【0037】
[0043]いくつかの実施形態では、方法は、固体アルミノケイ酸塩材料を分別して、所望のサイズのアルミノケイ酸塩材料の粉末を得るステップを更に含む。いくつかの実施形態では、方法は、該アルミノケイ酸塩材料から不必要な廃棄材料を廃棄するステップを更に含む。
【0038】
[0044]いくつかの実施形態では、方法は、気中融解(in-flight melting)は、液相温
度よりも高い温度で加熱して液体を得ることを含む。いくつかの実施形態では、温度は、約1000~1600℃、または約1300~1550℃である。
【0039】
[0045]いくつかの実施形態では、方法は、溶剤(fluxing material)を固体アルミノケイ酸塩材料に添加して、その融点を降下させる、および/または液体のより大きなエンタルピー、体積、もしくは解重合を誘発させるステップを更に含む。いくつかの実施形態では、溶剤は、融解の前に、または融解中に、固体アルミノケイ酸塩材料と混合される。
【0040】
[0046]いくつかの実施形態では、気中融解/クエンチ処理は、液体の温度をガラス転移点よりも低く降下させて固体を得ることを含む。いくつかの実施形態では、気中融解/クエンチ処理は、液体の温度を約500℃より低く、または好ましくは約200℃以下よりも低く降下させることを含む。いくつかの実施形態では、液体の温度を降下させることは、約10ks-1~約10Ks-1の速度で、好ましくは>103.5Ks-1の速度でクエンチ処理することを含む。いくつかの実施形態では、クエンチ処理は、冷気の流れ、蒸気、または水を含む。一実施形態では、方法は、サイクロン分離器において、クエンチ処理した固体粒子を熱ガスから分離することを更に含む。
【0041】
[0047]いくつかの実施形態では、アルミノケイ酸塩材料からセメント系試薬を生成するための方法は、固体微小球体ガラス状粒子の粉末の粒度を縮小させることを更に含む。いくつかの実施形態では、粒度を縮小させることは、粉末をボールミル、ローラーミル、垂直ローラーミルなどで破砕および/または粉砕することを含む。
【0042】
[0048]別の態様によれば、いくつかの実施形態は、微小球体ガラス状粒子を生成するための装置に関し、この装置は、バーナー、融解チャンバーおよびクエンチ処理チャンバーを備える。融解チャンバーおよびクエンチ処理チャンバーは、完全に分離されていてもよいか、またはそれぞれ同じチャンバーの第1のセクションおよび第2のセクションであってもよい。
【0043】
[0049]装置は、装置内で固体粒子が懸濁体として流動され、懸濁体として融解され、次いで懸濁体としてクエンチ処理されるように構成され得る。
[0050]いくつかの実施形態では、バーナーは、固体粒子を懸濁体として、該固体粒子が液体に実質的に融解するのに十分な加熱温度まで加熱する火炎を提供する。いくつかの実施形態では、バーナーは、アルミノケイ酸塩供給原料粒子を融解/クエンチ処理チャンバーに向かって同伴するガスで燃料を供給される火炎を構成する。ガスは、酸化剤ガスおよび可燃性燃料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、バーナーは、プラズマトーチ、酸素燃焼バーナー、空気燃焼バーナー、バイオマスバーナー、および太陽集光炉のうちの少なくとも1つを備えている。
【0044】
[0051]いくつかの実施形態では、装置のクエンチ処理チャンバーは、クエンチ処理チャンバー内に冷気を提供するための冷却システムを備えており、冷気は融解粒子を固体微小球体ガラス状粒子にクエンチ処理する。いくつかの実施形態では、冷却システムは、冷却チャンバーの周囲に位置付けられた液体冷却ループを備えている。
【0045】
[0052]いくつかの実施形態では、装置は、微小球体ガラス状粒子を捕集するためのサイクロン分離器を更に備えている。いくつかの実施形態によれば、アルミノケイ酸塩材料からセメント系試薬を生成するための方法は、(i)固体アルミノケイ酸塩材料を提供するステップと、(ii)該固体アルミノケイ酸塩材料を気中融解/クエンチ処理して、該材料を液体に融解し、その後液体をクエンチ処理して、該微小球体ガラス状粒子を含む融解/クエンチ処理粉末を得て、それによって、微小球体ガラス状粒子の該粉末を含むセメント系試薬を得るステップと、を含む。
【0046】
[0053]いくつかの実施形態によれば、微小球体ガラス状粒子を生成するための方法は、(i)バーナー、融解チャンバーおよびクエンチ処理チャンバーを備える気中融解/クエンチ処理装置を提供するステップと、固体粒子を提供するステップと、該固体粒子を、該バーナーによって燃焼されるガス中にて懸濁体として流動させるステップと、該固体粒子を該融解チャンバー内で、液相より高い加熱温度に加熱して、懸濁体として液体粒子を得るステップと、該液体粒子を液相より低い冷却温度に懸濁体としてクエンチ処理して、該微小球体ガラス状粒子を含む粉末を得るステップと、を含む。
【0047】
[0054]これらの方法のいくつかの実施形態では、固体粒子は、アルミノケイ酸塩材料を含む。これらの方法のいくつかの実施形態では、加熱温度は、約1000~1600℃の間、または約1300~1550℃の間である。これらの方法のいくつかの実施形態では、冷却(クエンチ処理)温度は、約500℃より低いか、または約200℃より低い。
【0048】
[0055]これらの方法のいくつかの実施形態では、クエンチ処理することは、冷気をクエンチ処理チャンバー内に提供することを含む。いくつかの実施形態では、これらの方法は
、サイクロン分離器で粉末を捕集することを更に含む。
【0049】
[0056]本発明のいくつかの実施形態の追加の態様は、本明細書で定義される装置、特に、プラズマトーチ、酸素燃焼バーナー、空気燃焼バーナー、バイオマスバーナー、および太陽集光炉のうちの少なくとも1つを備えている装置の、気中融解/クエンチ処理を使用して、微小球体ガラス状粒子を生成するための使用に関する。
【0050】
[0057]本発明のいくつかの実施形態の追加の態様は、本明細書で定義される装置、特に、プラズマトーチ、酸素燃焼バーナー、空気燃焼バーナー、バイオマスバーナー、および太陽集光炉のうちの少なくとも1つを備えている装置の、気中融解/クエンチ処理を使用して、アルミノケイ酸塩材料からセメント系試薬を生成するための使用に関する。
【0051】
[0058]例示的なものであって、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない以下の好ましい実施形態の非限定的な説明を読み取る際に、本発明の追加の態様、利点および特徴は、より明らかになるであろう。
【0052】
[0059]本開示の特徴、利点および原理のより良い理解は、例示的な実施形態を記載する発明を実施するための形態、および添付の図面を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】[0060]いくつかの実施形態による、固体アルミノケイ酸塩材料から出発するセメント系試薬の生成を示すフロー図である。
図2】[0061]いくつかの実施形態による、4つの3成分CaO,MgO-SiO-(NaO,KO)-(Al,Fe)組成図のセットである。
図3】[0062]いくつかの実施形態による、図2でプロットされた同じ材料組成データを使用する(CaO,MgO)-(Al,Fe)-(NaO,KO)-(SiO)空間での三次元4成分図である。
図4】[0063]市販の天然火山ガラス粉末(角ばった形態)および実施例1に従って生成された粒子(球体の形態)について角ばった粒子および球体粒子の粒度分布を比較する粒度分布グラフである。所与の直径(y軸)を下回る粒子の体積パーセントは、マイクロメートルでの粒子直径(x軸)の関数として提供される。電子顕微鏡写真は、試料の粒子形態を明示している。
図5】[0064]いくつかの実施形態による、実施例1~8による加工前(501)および加工後(502)の、いくつかの実施形態による、様々な粉末(以下に定義された、211~218、519、520)の粒子真円度(R)分布の比較を提供するグラフである。画像解析を使用して、Takashimizu & Liyoshiの方法(Takashimizu,Y.,Iiyoshi,M(2016.New parameter of roundness R:circularity corrected by aspect ratio.Progres in Earth and Planetary Sciences 3,2.http://doi.org/10.1186/s40645-015-0078-x)に従って図6および図7に示した同じ粉末の顕微鏡写真からR値を決定した。また、より正確なデータについては表17を参照されたい。便宜上、2つのF型フライアッシュ試料も含まれており、これらは市販されている519(B-FA)選鉱加工フライアッシュ、および石炭火力発電所から直接の520(LFA)未選鉱加工フライアッシュである。
図6】[0065]実施例1~実施例8で記載された様々な材料(以下に定義された211~218)からの未加工粒子(501)および加工された粒子(502)を比較する電子顕微鏡写真ペアのコレクションを示すパネルである。個々のパネルについての視野幅は、140μmである。
図7】[0066]2つのF型フライアッシュ、すなわち、1つはNova Scotiaの石炭火力発電所から直接得たもの(L-FA;520)、およびもう1つは活性炭および他の汚染物質を除去するために選鉱加工された市販のフライアッシュ(B-FA;519)の写真を示すパネルである。個々のパネルについての視野幅は、140μmである。
図8】[0067]本発明の一実施形態による、ガラス状微小球体セメント系試薬を生成するためのシステムの概略的プロセスフロー図である。
図9A】[0068]本発明の一実施形態による、同伴されたアルミノケイ酸塩供給原料粒子を含む融解-クエンチ処理チャンバー(上部)に入るバーナー火炎(底部)のそれぞれの写真および対応する図である。
図9B】[0068]本発明の一実施形態による、同伴されたアルミノケイ酸塩供給原料粒子を含む融解-クエンチ処理チャンバー(上部)に入るバーナー火炎(底部)のそれぞれの写真および対応する図である。
図10】[0069]本発明の一実施形態による、エネルギー投入量およびCО排出量を最小化するための熱回収ループを含む改善された気中融解装置の概略図である。
図11】[0070]いくつかの実施形態による、Si、Al、Fe、Ca+MgおよびNa+Kに近い新規組成の3成分表現の完全なセットである。
図12】[0071]いくつかの実施形態による、Siの視点からの新規組成についての3成分図を示す。
図13】[0072]いくつかの実施形態による、Alの視点からの新規組成についての3成分図を示す。
図14】[0073]いくつかの実施形態による、Feの視点からの新規組成についての3成分図を示す。
図15】[0074]いくつかの実施形態による、Ca+Mgの視点からの新規組成についての3成分図を示す。
図16】[0075]いくつかの実施形態による、比較的小型の分散型気中ミニキルンを使用して代替セメントコンクリートを製造するプロセスを説明する概略的フロー図である。
図17】[0076]いくつかの実施形態による、最新の集中型ポルトランドセメントキルンサプライチェーンにおける従来のセメントおよび骨材分布を示す概略図である。
図18】[0077]いくつかの実施形態による、新規分散型方法における骨材採石場(aggregate quarry)での代替セメント系材料(ACM)のミニキルン(minikiln)を併設させる輸送上の利点を示す概略図である。
図19】[0078]いくつかの実施形態による、新規分散型方法におけるコンクリートバッチプラントでの代替セメント系材料(ACM)のミニキルンを併設させる輸送上の利点を示す概略図である。
図20】[0079]いくつかの実施形態による、骨材採石場およびコンクリートバッチプラントの付近の独立した場所において新規の分散された方式で代替セメント系材料(ACM)のミニキルンを配置する輸送上の利点を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
[0080]本発明の更なる詳細およびその利点は、いくつかの実施形態に従って以下の発明を実施するための形態から明らかになるであろう。
[0081]以下の詳細な説明は、本明細書に開示された実施形態に従って、本開示に記載される本発明の特徴および利点のより良い理解を提供する。詳細な説明は多くの特定実施形態を含むが、これらは例示としてのみ提供されたものであり、本明細書に開示される発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0055】
[0082]以下の実施形態の説明では、添付の図面の参照は、本発明の実施形態が実行され得る一例を示すものである。他の実施形態が、開示された本発明の範囲を逸脱することな
く行われ得ることが理解されよう。
【0056】
[0083]微小球体ガラス状粒子
[0084]いくつかの実施形態は、固体微小球体ガラス状粒子の生成および使用に関する。以下により詳細に説明するように関連する態様は、そのような微小球体ガラス状粒子の混合物または複数のそのような微小球体ガラス状粒子を含むセメント系試薬に関するものである。
【0057】
[0085]本発明によれば、固体微小球体ガラス状粒子は高い真球度の明らかに丸い粒子である。
[0086]本明細書で使用される場合、用語「真円度」および対応する単位「R」とはTakashimizu&ILyoshi(2016)によって定義された真円度を指す。Rを計算するために必要とされる値は粉末の適切な顕微鏡写真で画像解析を実施することによって決定することができる。R(真円度)はKrumbeinの「真円度」と高度に相関する真円度の便利な定量的尺度を提供する(Krumbein、W.C.(1941)Measurement and geological significance of shape and roundness of sedimentary particles.Jounal of Sedimentary Petrology11:64-72.http://doi.org/10.1306/D42690F3-2B26-11D7-8648000102C1865D)。
【0058】
[0087]いくつかの実施形態では、微小球体ガラス状粒子は、少なくとも0.9の平均真円度(R)を有する(標準偏差<0.15)。
[0088]いくつかの実施形態では、微小球体ガラス状粒子は、少なくとも0.8のバルク真円度(R)を有する(標準偏差<0.15)。
【0059】
[0089]いくつかの実施形態では、微小球体ガラス状粒子は、少なくとも0.7、または0.6、または0.5のバルク真円度(R)を有する(標準偏差<0.15)。
[0090]いくつかの実施形態では、微小球体ガラス状粒子の混合物は、角ばった形態を有する(例えば、R<0.7)の約50%未満の粒子、または約40%未満の粒子、または約30%未満の粒子、または約25%未満の粒子、または約20%未満の粒子、または15%未満の粒子、または10%未満の粒子を含む。
【0060】
[0091]いくつかの実施形態では、微小球体ガラス状粒子の混合物、または複数の微小球体ガラス状粒子は、約20μm以下、より好ましくは約10μm以下、または最も好ましくは5μm以下のD[3,2]を有する粒度分布を含む粉末形態で提供される。
【0061】
[0092]いくつかの実施形態では、微小球体ガラス状粒子は、非結晶性固体である。
[0093]いくつかの実施形態では、微小球体ガラス状粒子は、酸化物式1(CaO,MgO)a・(NaO,KO)b・(Al,Fe)c・(SiO[式1]を含み、式中、aは約0~約4であり、bは約0.1~約1であり、cは1であり、dは約1~約20である。
【0062】
[0094]いくつかの実施形態では、微小球体ガラス状粒子は、(i)45%~100%、好ましくは90~100%のX線非晶質固体の含有量、および(ii)(CaO,MgO)0~12・(Na,K)0.05~1・(Al,Fe3+・Si1~20のモル組成比のうちの1つ以上を含む。
【0063】
[0095]いくつかの実施形態では、微小球体ガラス状粒子は、40~100%のX線非晶質であり、より好ましくは約80~約100%のX線非晶質であり、いくつかの実施形態
では、100%の非結晶性である。
【0064】
[0096]いくつかの実施形態では、粒子は、約10重量%未満のCaOを含む。
[0097]いくつかの実施形態では、粒子は、約30重量%を超えるCaOを含む。
[0098]いくつかの実施形態では、粒子は、1~20のSi/(Fe3+,Al)のモル組成、および約10~約50重量%、好ましくは約20~45重量%のCaO含有量を有する高カルシウム含有量を構成する。
【0065】
[0099]いくつかの実施形態では、粒子は、1~20のSi/(Fe3+,Al)のモル組成、および約10~約20重量%のCaO含有量を有する中間カルシウム含有量を構成する。
【0066】
[0100]以下に記載するように、微小球体ガラス状粒子は、アルミノケイ酸塩材料などの世界的に豊富な無機供給原料から有利に生成され得る。本明細書で使用される場合、用語「アルミノケイ酸塩材料」とは、天然の岩石ならびに鉱物、浚渫物質、岩石ならびに鉱物を含む採鉱廃棄物、廃棄ガラス、アルミノケイ酸塩を保有する汚染材料およびアルミノケイ酸工業の副産物から選択される、アルミニウムまたはアルミニウムと鉄、および二酸化ケイ素を含む材料を指す。本発明によるアルミノケイ酸塩材料は、好ましくは結晶性固体の形態である(例えば、少なくとも50重量%、または少なくとも60重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%、または100重量%の結晶性固体)。いくつかの実施形態では、アルミノケイ酸塩材料は、少なくとも2重量%の(NaО,KО)、または少なくとも3重量%の(NaО,KО)、または少なくとも4重量%(NaО,KО)、または少なくとも5重量%の(NaО,KО)、または少なくとも6重量%の(NaО,KО)、または少なくとも7重量%の(NaО,KО)、または少なくとも8重量%の(NaО,KО)、または少なくとも10重量%の(NaО,KО)、または少なくとも12重量%の(NaО,KО)、または少なくとも15重量%の(NaО,KО)、または少なくとも20重量%の(NaО,KО)を含む。いくつかの場合では、無機供給原料は不均質であり、生成されるガラス状粒子は、融解中の部分的均質化中に示されるように供給原料よりも均質である。すなわち生成される粒子の10%超が新しい中間配合範囲内に入る。
【0067】
[0101]いくつかの実施形態では、アルミノケイ酸塩材料は、浚渫沈降物、解体コンクリート、採鉱廃棄物、氷成粘土、氷成堆積物、河川堆積物、岩石と鉱物の混合物、例えば元素Ca,Mg,Na,K,Fe,AlおよびSiのいくつかまたは全てから構成される岩石と鉱物の混合物から選択される。これらのアルミノケイ酸塩材料は、多くの異なる地理的地域で広範囲に豊富である。
【0068】
[0102]以下に記載されるように、供給原料の元素組成は分析され、所望の用途に最適化され得る。供給原料は、XRF、XRD、LIBS、EDS、湿式化学分析、および供給原料元素組成を決定するための様々な他の既存の方法などの定量的もしくは反定量的方法によって分析することができる。
【0069】
[0103]以下に記載されるように、微小球体ガラス状粒子は、出発無機材料を液体に融解するための気中融解/クエンチ処理および/または浮遊融解などの気中熱化学的加工、およびその後の液体を固体粒子にクエンチ処理するためのプロセスまたは方法を使用して生成することができる。本明細書で使用される場合、用語「気中融解/クエンチ処理」または「懸濁体融解」とは、粒子が懸濁体として流動され、懸濁体として融解され、次いで懸濁体としてクエンチ処理されて粉末を得るプロセスを指す。
【0070】
[0104]いくつかの実施形態では、用語「微小球体ガラス状粒子」は、気中融解/クエンチ処理プロセスから直接得られる粉末中で見出される上記に定義された粒子を包含する。実施形態では、用語「微小球体ガラス状粒子」とは、気中融解/クエンチ処理プロセス後に得られた粉末の研削またはミリング(milling)(例えば、ジョークラッシャー、イン
パクトミルなど)後に得られる粒子を指す。
【0071】
[0105]以下に記載するように、微小球体ガラス状粒子は、セメント系試薬の調製のようなまたは調製における、ジオポリマー結合材もしくはセメントの調製のようなまたは調製における、水硬性セメントの調製のようなまたは調製における、補助セメント系材料(SCM)の調製のようなまたは調製における、および固形コンクリートの作製におけるものが含まれるが、これらに限定されない多くの用途を見出す。
【0072】
[0106]1つの追加の用途は、肥料または土壌改良材として、例えば「岩粉」の代用品としての用途であり得る。
【0073】
[0107]セメント系材料
[0108]本明細書で記載されるいくつかの実施形態は、本明細書で定義される微小球体ガラス状粒子を含むセメント系試薬粉末に関する。
【0074】
[0109]いくつかの実施形態はまた、ジオポリマー結合材もしくはセメント、水硬性セメント、補助セメント系材料(SCM)、水硬性コンクリート混合物、および本明細書に定義される微小球体ガラス状粒子を含む固形コンクリート粉末に関する。
【0075】
[0110]粒子の形態は、セメントスラリーの物理的特性および取り扱いにかなりの影響を有する。したがって、本発明による粒子の高真円度形態は高い加工可能性、流動性、および/または少ない水需要をジオポリマーセメントミックスに有利に提供する。特に、高い真円度を有することは、粒子間摩擦を低減することによってセメントミックスの降伏応力および粘度を低減する。更に球状形態は、所定の粒度分布に対して充填を改善することによって水需要を減少させる。
【0076】
[0111]図2および3に示すように、本発明の実施形態によるセメント系試薬の組成は、既存のセメント系材料とは異なる。実際には、元素群(Caо,MgО)、(AlО,FeО)、(NaO,KO)、および(SiO)の3性分組成の組み合わせを考慮すると、セメント系試薬201の実施形態は、これらの図において、フライアッシュ(CおよびF)202、高炉スラグ微粉末(GGBSまたはGGBFS)203、メタカオリン204、およびポルトランドセメント205とは異なり別個であるポジションを占める。特定の供給原料組成の例が図2に示されている。火山軽石211(実施例1)、玄武岩212(実施例2)、第2の玄武岩213(実施例3)、石炭尾鉱試料214(実施例4)浚渫沈殿物215(実施例5)、はん岩銅浮遊選鉱尾鉱216(実施例6)解体コンクリート217(実施例7)、閃緑岩骨材クラッシャーダスト218(実施例8)。
【0077】
[0112]有利なことに、セメント系試薬は、公的な組成の世界的に豊富な岩石、鉱物および化合物から配合される。このようにして、豊富な供給原料は、加工施設、またはセメント工場に非常に遠くから運送される必要がなくてもよい。場合によっては、セメント工場は原料供給場所に建設される。
【0078】
[0113]いくつかの実施形態では、セメント系試薬は、本明細書に定義される微小球体ガラス状粒子の混合物を含み、(i)非結晶性固体の形態であること、(ii)粉末の形態であること、(iii)約20μm以下、より好ましくは10μm以下、または最も好ましくは5μm以下のD[3,2]を有する粒度分布を含むこと、(iv)上記に定義され
る酸化物式1を含むこと、(v)45%~100%、および好ましくは90~100%のX線非晶質な固体の含有量、(vi)(Ca,Mg)0~12・(Na,K)0.05~1・(Al,Fe3+・Si1~20のモル組成比、(vii)約10重量%未満のCaOを含むこと、(viii)約30重量%を超えるCaOを含むこと、(ix)1~20のSi/(Fe3+,Al)のモル組成、および約10~約50重量%、好ましくは約20~約45重量%のCaO含有量を含むこと、(x)1~20のSi/(Fe3+,Al)のモル組成、および約10~約20重量%のCaO含有量を含むこと、(xi)40~100重量%のX線非晶質でありより好ましくは80%を上回る、90%を上回る、およびいくつかの場合、最大100%のX線非晶質であり、いくつかの場合、100%の非結晶性であること、(xii)約20μm以下、より好ましくは約10μm以下、または最も好ましくは約5μm以下のD[3,2]を有する粒度分布を含むこと、のうちの1つ以上の特性を更に含む。
【0079】
[0114]いくつかの場合では、炭酸塩ソースのカルシウムの分解の必要性を回避することによってセメントのCO2の影響を低減するために、CaO含有量は約30重量%より低い。
【0080】
[0115]いくつかの実施形態では、セメント系試薬は約10重量%未満のCaOを含む。いくつかの実施形態では、セメント系試薬は約30重量%を超えるCaOを含む。いくつかの例では、セメント系試薬の(Na,K)、およびCaのモル比に対する組成は結合材の要件に応じて、ある特定の利点を得るために変化してもよい。例えば約10重量%未満のCaOを含むセメント系試薬は、熱硬化ジオポリマーにおいて、およびフライアッシュ代用品として使用するために好適である。代わりに、約30重量%超のCaОを含むセメント系試薬は、水硬性を有し、ジオポリマー樹脂に添加されてジオポリマーセメントの周囲温度硬化を可能にすることができ、混合されたポルトランドセメントにおける高炉スラグに直接置き換わる。
【0081】
[0116]いくつかの実施形態では、セメント系試薬は、1~20のSi/(Fe3+,Al)のモル組成、および約10重量%以下のCaO含有量を有する低カルシウム含有セメント系試薬である。好ましくは、そのようなセメント系試薬は、40~100%のX線非晶質であり、より好ましくは約80%~約100%のX線非晶質であり、いくつかの実施形態では、100%非結晶性である。そのような低カルシウム含有セメント系試薬は、例えば、水硬性セメントにおけるポゾラン混和剤として、および/またはジオポリマー結合材ならびにセメントにおける試薬として、多数の商業的用途を見出すことができる。
【0082】
[0117]いくつかの実施形態では、セメント系試薬は、1~20のSi/(Fe3+,Al)のモル組成、および約10~約50重量%、好ましくは約20~約45重量%のCaO含有量を有する高カルシウム含有セメント系試薬である。好ましくは、そのようなセメント系試薬は、40~100%のX線非晶質であり、より好ましくは約80~約100%のX線非晶質であり、更により好ましくは、100%非結晶性である。そのような高カルシウム含有セメント系試薬は、例えば、混合水硬性セメントにおける水硬性混和剤として、および/またはジオポリマー結合材ならびにセメントにおける試薬として、多数の商業的用途を見出すことができる。
【0083】
[0118]いくつかの実施形態では、セメント系試薬は、1~20のSi/(Fe3+,Al)のモル組成、および約10~約20重量%のCaO含有量を有する中間カルシウム含有セメント系試薬である。好ましくは、そのようなセメント系試薬は、約40~100%および好ましくは約80%~約100%のX線非晶質であり、および更により好ましくは100%非結晶性である。そのような中間カルシウム含有セメント系試薬は、例えば、所望の中間水硬性およびホゾラン特性を有するセメント系試薬として、特に周囲硬化ジオポ
リマー用途において、多数の商業的用途を見出すことができる。
【0084】
[0119]いくつかの実施形態では、セメント系試薬におけるNa,K含有量は最適化される。これはSCM用途に有利である場合があり、ここでは水硬性セメント中の遊離石灰が可溶性アルカリで交換され、セメント系試薬に由来するシアル酸塩分子と配位しある程度まで比較的安定なアルカリアルミノケイ酸塩重合を作り出しこれが伝統的水硬性セメントの化学的特性を大きく改善する。実施形態では、相当量のNa,K含有量を有するジオポリマー試薬が、そうでなければ、必要とされるものよりも少ない可溶性ケイ酸塩硬化剤を必要とするという事実のために、Na,K含有量は最適化され、したがってジオポリマーミックス設計の可溶性ケイ酸塩の要件(およびコスト)を削減する。
【0085】
[0120]調製の方法
[0121]本明細書に定義される微小球体ガラス状粒子、ならびにセメント系試薬、ジオポリマー結合材もしくはセメント、水硬性セメント、補助セメント系材料(SCM)、およびコンクリートなどのそれを含む組成物を任意の好適な方法またはプロセスを使用して調製することができる。
【0086】
[0122]図1は、いくつかの実施形態による、セメント系試薬をアルミノケイ酸塩材料から生成するために必要な例示的なステップを示す。簡単に言うと、微粉化アルミノケイ酸塩材料粉末が選択され101、その化学組成が分析され102、評価される。供給原料は、XRF、XRD、LIBS、EDS、湿式化学分析、および供給原料元素組成を決定するための様々な他の既存の方法などの定量的もしくは反定量的方法によって分析することができる。
【0087】
[0123]選択された組成が許容されない場合、材料は必要に応じて修正され、ブレンドされ(例えば、熱化学的処理の前に容器内で)、例えば組成調節材料の添加を通して104(以下を参照)、または選別されて103、いかなる望ましくない廃棄材料も捨てられてよい。
【0088】
[0124]所望の組成の粉末を含む、得られた固体アルミノケイ酸塩材料は、次に加熱され106、個々の粒子または粒子凝集体は、懸濁体として液体に融解される。次に液体粒子は、懸濁体としてクエンチ処理され107、固体微小球体ガラス状粒子を含む粉末を得る。次に、粒度を縮小し、および/または反応性を最適化することが望ましい場合、粉末は、必要に応じて破砕および/または粉砕されて(部分的にもしくは全体的に)108、セメント系試薬を得る109。
【0089】
[0125]組成調節材料の添加104に関しては、本明細書で使用される場合、用語「組成調節材料」とは、アルミノケイ酸塩材料のバルクまたは表面組成を元素Ca、Na、K、Al、Fe、およびSiのうちの1つまたはいくつかに対して優先的に変更するために、好適な組成を有する任意の固体または液体材料を指す。
【0090】
[0126]カルシウム(Ca)を導入する組成調節材料は、CaCО、Ca(OH)、CaO、CaCl、CaFを含むカルシウム塩、ケイ酸カルシウム鉱物ならびに化合物、ケイ酸アルミニウムカルシウム鉱物ならびに化合物、廃棄ポルトランドセメント製品、廃棄水硬性セメント製品、ウォラストナイト、ゲーレナイト、メリライト群鉱物組成から構成され得る。
【0091】
[0127]アルミニウム(Al)を導入する組成調節材料は、アルミニウム岩石、鉱物、土壌、沈殿物、副産物、およびカオリナイト、ハロイサイト、ならびに他のアルミニウムが豊富な/アルカリ性の少ない粘土鉱物のうちの1つ以上を含む化合物、AlSiO
形体、クロリトイド、スタウロライト、ガーネット、コランダム、ムライト、ゲーレナイト、ジアスポア、ベーマライト、ギブサイト、およびネフェリンならびに他の準長石から構成され得る。使用することができる他の鉱物としては、アルミニウム金属、ボーキサイト、アルミナ、赤泥(アルミナ精錬所残留物)が挙げられる。
【0092】
[0128]鉄(Fe)を導入する組成調節材料は、鉄が豊富な岩石、土壌、沈殿物、副産物、ならびにかんらん石などの化合物、クロライト鉱石(シャモス石、クリノクロア)、輝石、角閃石、針鉄鉱、ヘマタイト、マグネタイト、フェリハイドライト、レピドクロサイト、および他のオキシ水酸化鉄組成物、鉄が豊富な粘土ならびにフィロケイ酸塩鉱物、鉄鉱石尾鉱、および元素鉄から構成され得る。
【0093】
[0129]加熱106に対して、加熱が液相温度よりも高い加熱温度に達するまで、例えば約1000~1600℃、または約1300~1550℃で行われて液体を得る。任意の好適な方法、または装置が加熱におよび液体を得るために使用されてもよく、限定されないが気中融解(すなわち、浮遊融解)が挙げられる。これは例えば、1つ以上のプラズマトーチ、酸素燃焼バーナー、空気燃焼バーナー、バイオマスバーナー、太陽光集光炉を装備した気中融解装置を使用することによって達成することができる。典型的には、1000~1600℃の炉温が必要であり、典型的には所望の液相粒子を懸濁体として迅速に得るために、1000~1600℃の炉温が必要とされ、および最も典型的には1300~1550℃が必要とされる。実施形態では、デバイスは融解が可能な限り高速であるように選択される。好適な気中融解装置の装置および方法の例が以下に記載される。
【0094】
[0130]クエンチ処理107に関して、いくつかの実施形態では、クエンチ処理ステップは、液体の温度をガラス転移より低い温度、例えば約500℃以下、または好ましくは約200℃以下に低下させることを含む。実施形態では、クエンチ処理は急速に行われ、すなわち温度は約10Ks-1~10Ks-1(好ましくは>103.5Ks-1の速度で)低下される。任意の好適な方法がクエンチ処理に使用されてもよく、限定されないが、融解材料を、冷気の十分な流れ、蒸気、または水と適切に接触させて非結晶性固体を生成することが含まれる。
【0095】
[0131]所望であれば、液体のその融点を降下させ、および/または液体の解重合を誘発させるために、溶剤が固体アルミノケイ酸塩材料に添加されてもよい。溶剤は加熱/融解の前にまたは加熱/融解中に固体アルミノケイ酸塩材料と混合されてもよい。融解物の解重合を誘発させ、および/または融解温度を低下させることができる一般的な溶剤としては、CaF、CaCO、廃棄ガラス、くずガラス、ガラスフリット、アルカリ含有鉱物(例えば、長石、ゼオライト、粘土、および準長石鉱物)、ホウ酸塩、ハロゲン化合物(フッ化物ならびに塩化物含有塩)およびカルシウム塩が挙げられる。
【0096】
[0132]任意に破砕および/または粉砕するステップ108に関して、これはボールミル、ローラーミル、および垂直ローラーミルが挙げられるが、これらに限定されない任意の好適な方法または装置を使用して行うことができる。好ましくは、粒度は、縮小され、セメント用途に有用な微粉末を得る。例えば実施例9に記載されるように、より微細な粉末を得ることは、表面積を増大させるために、およびより高速な反応速度を提供するために有用であり得る。当業者であれば、特定のニーズに望ましい粒子のサイズを決定し、球体形態の損失/加工可能性、研削のコスト、および最終的性能要件の間の経済的トレードオフを考慮することができるであろう。実施形態では、粉末はおよそ10μm以下、または好ましくは5μm以下のD[3,2]を有する粒度分布を構成する。そのような粒度は一般的に、十分な反応性および一貫した材料特性を確実にするために望ましい。
【0097】
[0133]アルミノケイ酸塩材料の使用
[0134]本明細書に記載するように、いくつかの実施形態は、本明細書に定義される固体微小球体ガラス状粒子および非結晶性セメント系試薬を生成するためのアルミノケイ酸塩材料を使用に関する。
【0098】
[0135]別の態様は、固体微小球体ガラス状粒子および/または固体セメント系試薬を生成するためのアルミノケイ酸塩材料の気中熱化学的処理の使用である。本明細書に記載されるガラス状粒子およびセメント系試薬は、混合水硬性セメントにおける代替補助セメント系材料(SCM)として、および/またはジオポリマー結合材におけるジオポリマー固体試薬として有利に使用され得る(したがって、MK-750、フライアッシュ、GGBFS、および他の一般的な固体試薬のうちのいくつかまたはそれらの全ての必要性を排除する)。
【0099】
[0136]別の関連する態様は、本明細書に定義される補助セメント系材料(SCM)および固体微小球体ガラス状粒子を含むジオポリマー試薬ならびに/または非結晶性セメント系試薬のうちの少なくとも1つを生成するためのアルミノケイ酸塩材料の使用である。
【0100】
[0137]微小球体粒子およびセメント系試薬の使用
[0138]記載される実施形態の一態様は、本明細書に記載される固体微小球体ガラス状粒子およびセメント系試薬の幅広い関連性に関する。設計作製されたセメント系試薬の適切な組成は、ジオポリマーセメントおよび水硬性セメント(すなわち、水と反応するセメント)の両方においてかなりの比率で互換的に使用され得る。
【0101】
[0139]したがって、いくつかの実施形態では、少なくとも5重量%、または少なくとも10重量%、または少なくとも15重量%、または少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも60重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%、またはそれ以上の本明細書に定義される固体微小球体ガラス状粒子および/またはセメント系試薬を含むジオポリマーセメントまたは水硬性セメントを包含する。
【0102】
[0140]いくつかの態様によれば、本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、本明細書に定義されるセメント系試薬を含む、補助セメント系材料(SCM)に関する。いくつかの実施形態では、SCMは、約5重量%~約50重量%(好ましくは20重量%)の本明細書に定義される固体微小球体ガラス状粒子/またはセメント系試薬を含む。
【0103】
[0141]別の態様によれば、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、それが許容可能な含有量のNa+K(例えば、少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも5重量%)およびAl含有量(例えば、少なくとも5重量%)を伴い、約35重量%未満のCaОを含むこと、および非結晶性固体の形態であることのうちの1つ以上の特性を含む補助セメント系材料(SCM)に関する。
【0104】
[0142]別の態様によれば、いくつかの実施形態は、本明細書に定義される固体微小球体ガラス状粒子および/またはセメント系試薬を含む、すなわち約5重量%~約50重量%(好ましくは少なくとも10重量%、または少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%)の本明細書に定義される固体微小球体ガラス状粒子および/またはセメント系試薬を含む、ソリッドコンクリートに関する。
【0105】
[0143]別の態様によれば、いくつかの実施形態は、約5重量%~約50重量%(好ましくは少なくとも10重量%、または少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%)の本明細書に定義される固体微小球体ガラス状粒子および/ま
たはセメント系試薬を含む固体ジオポリマーコンクリートに関する。
【0106】
[0144]当業者であれば、本発明の実施形態が豊富な安価な天然材料から用途の広い低CО排出量試薬を生成するための手段を有利に提供することを理解することができる。別の顕著な利点は、増え続けるジオポリマー市場のニーズも満たしながら代替SCMに対する現在の仕様基準を満たす単一の試薬を作り出すことである。更に、セメント系試薬が多様な異種供給原料から形成され、記載されたプロセスを通して、より均質かつセメント系試薬として好適な試薬材料をもたらす。
【0107】
[0145]理解されるように、本明細書に記載されるシステムおよび方法の1つの利点は、セメント系試薬の最終組成に対する制御を提供し、これによって予測可能な組成を有する試薬を生成することであり、このことは業界にとって非常に重要である。そのような調整された組成は、他の既存のセメント系試薬では利用可能ではなく、なぜならそれらは典型的には、産業副産物から得られるためである。本明細書に記載される実施形態によれば、必要ならば地元の供給原料を所定の用途に対して性能を標準化するように変更することが可能である。例えば、ポルトランドセメント用のSCMでは、アルカリ含有量を制限することが望ましい場合があるが、ジオポリマー系では、高アルカリ含有量を有しアルカリケイ酸塩硬化剤をあまり必要としないことが望ましい場合もある。両方のシナリオでは、組成の変更は供給原料の組成の変動性を制限するために望ましい場合がある。
【0108】
[0146]ジオポリマー試薬の化学的性質についての別の注目すべき懸念は、不安定なカルシウム含有量である。カルシウム含有量およびカルシウムを含有する相の調整は、両方とも、異なる温度条件下での強度の向上速度およびジオポリマーセメントの最終材料特性を調節するための重要な変数である。本明細書に記載される方法は、副産物ベースのセメント系試薬では現在不可能である微小球体セメント系試薬の特定の有利な組成を設計作製することを可能にする。
【0109】
[0147]気中融解装置、方法およびシステム
[0148]実施形態はまた、球状形態を有するガラス状セメント系試薬の熱化学的生成のための装置、システム、および関連する方法に関する。
【0110】
[0149]いくつかの実施形態によれば装置は、気中融解/クエンチ処理のために構成される。図9Aおよび9Bに示されるものなどのいくつかの実施形態によれば、装置900は、バーナー809、およびクエンチ処理チャンバー902と組み合わされた融解チャンバーを備えている。いくつかの実施形態では、融解チャンバーおよびクエンチ処理チャンバーは、それぞれ同じチャンバー902の第1およびセクションであってもよい。いくつかの実施形態では、融解チャンバーとクエンチ処理チャンバーとは、別個の連続チャンバーである。
【0111】
[0150]図示するように装置900は、気中融解/クエンチ処理のために構成されている。アルミノケイ酸塩供給原料粒子903は、可燃性燃料808で酸化剤ガス807を燃焼する火炎901内に吊るされた融解/クエンチ処理チャンバー(上部、902)に入る。アルミノケイ酸塩供給原料粒子903は、それらが液相転移よりも高く加熱され、最終的に融解するようになると、ベンチュリエダクターによって酸化剤ガス中に同伴され、燃焼中に融解/クエンチ処理チャンバー902に向かって懸濁体として流動する。ガスは、限定されないが酸素が含まれる酸化剤ガス、限定されないがプロパン、メタン、液体炭化水素燃料、石炭、合成ガス、バイオマス、石炭-水スラリー、およびそれらの混合物が含まれる可燃性燃料と混合された空気を含んでもよい。好ましくは、火炎901は、融解/クエンチ処理チャンバー902を保護し、粒子が融解/クエンチ処理チャンバー902の内壁905に粘着することを防止するクエンチエア904の環状流によって安定化される。
【0112】
[0151]装置900では、融解粒子は融解/クエンチ処理チャンバー902の末端部において浮遊状態が乱流になると、空気中で冷却することによって次にクエンチ処理される。融解粒子の冷却/クエンチ処理は、融解/クエンチ処理チャンバー902に直接導入された冷クエンチエアによって、および/または任意の冷却システム、例えば融解/クエンチ処理チャンバー902のクエンチ処理セクションの周りの液体冷却ループ(図示せず)によって提供されてもよい。融解粒子は、非結晶性固体粉末にクエンチ処理または冷却されることができ、微小球体ガラス状粒子を含む粉末をもたらすことができる。装置は、微小球体ガラス状粒子を含む粉末を捕集するための遠心送風機(図示せず)からの、吸引下で動作する任意のサイクロン分離器を更に備えてもよい。
【0113】
[0152]装置900または同様なものは、ガラス状微小球体セメント系試薬を生成するために様々なシステムで使用することができる。図8は、ガラス状微小球体セメント系試薬を生成するための、いくつかの場合では、微小球体ガラス状試薬粉末109を生成するための例示的なシステム800の概略的プロセスフロー図の一実施形態を示す。
【0114】
[0153]図8の実施形態では、システム800は、アルミノケイ酸塩供給原料粉末101を得るためにミリング回路801を備えている。粗いアルミノケイ酸塩供給原料802は、ジョークラッシャーまたはインパクトミル803に送り込まれ、ボールミル805で微細研削を可能にする好適にサイズ調整された供給物804を生成する。得られた生成物は、微粉化アルミノケイ酸塩供給原料粉末101である。
【0115】
[0154]微粉化アルミノケイ酸塩供給原料粉末101が、次に酸化剤ガス(例えば、酸素)807中に同伴され、長いトーチ寿命のために液体冷却ループ810が固定されているバーナー809において、可燃性燃料(例えば、プロパン)808と混合される。周囲温度のクエンチエア811が、好ましくはバーナー809の近くに導入され、バーナー809の壁に融解粒子が粘着することを防止するために融解/クエンチ処理チャンバー812の壁の外側に流れ込む。壁の冷却はクエンチエアによって、および/または任意の液体冷却ループ813によってもたらされてもよい。融解粒子は、融解/クエンチ処理チャンバーの末端部で浮遊状態から乱流になると、冷却クエンチエアによってクエンチ処理される。遠心送風機815からの吸引下で動作するサイクロン分離器814は、微小球体ガラス状試薬粉末109を捕集するために使用することができる。
【0116】
[0155]図9の装置および図8のシステムは、本明細書で定義され以下の実施例で記載されるように、固体微小球体ガラス状粒子、およびそれを含むセメント系試薬を生成するために成功裏に使用された。動作パラメータは、プロパンおよび酸素ガスのおおよその化学量論的燃焼に関与した(実際の質量比は測定されていない)。空気圧分散機からバーナーに入った粉末状供給原料101は、振動フィーダーによって送られた。供給原料と燃焼空気との浮遊物は、酸素および粉末状供給原料のほぼ等質量からなり、例えば1グラムのアルミノケイ酸塩供給原料が1グラムの酸素中に浮遊された。
【0117】
[0156]当業者であれば図示された装置、システムおよびパラメータが本発明によって包含される多くの潜在的に有用な装置およびシステムのうちの1つであることを理解されよう。例えば、代替実施形態では、固体粒子はキャリアガス中において懸濁体として飛行し、1つ以上のエネルギー源によって加熱される。融解のためのエネルギーは、プラズマ(アーク放電または誘導結合)、電気誘導加熱、電気抵抗加熱、マイクロ波加熱、太陽光照射、または化学反応からの熱(例えば、燃焼)などの好適な高温熱源のうちの1つ、または組み合わせによって提供され得る。これらのエネルギー源のいくつかは、プロセスのCОフットプリントを低下させることができるが、CО排出のコストは、各エネルギー源の独自のコストに重み付けされねばならない。現在、多くの管轄区域では、最安価なエ
ネルギー源が可燃性炭化水素燃料に基づいている。したがって、エネルギー源の選択は、所定の管轄区域における価格およびCО排出のコストによって、大部分は従っている。現在の経済的および政治的要因は、好ましくは、燃焼が液相転移を上回る温度まで固体粒子を加熱するように、固体粒子がガス中に懸濁体として飛行することを指示している。
【0118】
[0157]酸素燃料バーナーは、提供された実施例で使用されたが、当業者であればバーナー燃料の選択が適切な加熱が生じる限り、二番目に重要なことに過ぎないことが理解されよう。燃焼、プラズマ、集光型太陽熱発電、原子力などからのいかなる熱源も可能である。
【0119】
[0158]いくつかの実施形態では、酸素富化のコストを回避するために、空気燃焼バーナーが好ましい。約23重量パーセントの酸素のみからなる空気が燃料(例えば、プロパンまたはメタン)で燃焼されると、空気-燃料比はおおよその化学量論的燃焼を維持するために最も高くなる(約4~5倍)。より高い空気-燃料比は、より低い火炎温度をもたらす。したがって、粒子がそれらの固相温度を超えて加熱され、および好ましくはそれらの液相温度近くに、またはそれを超えて加熱される(1000~1600℃、および一般的には1200℃超)ことを確実にするために供給原料粉末質量流量をそれに応じて調節することが好ましい。
【0120】
[0159]図10は、本明細書に記載される実施形態による、気中融解/クエンチ処理のための装置およびシステムの別の実施形態を示す。供給原料101は、バルブ1002を通過してサイクロン1003に入り、ここでは供給原料が、熱を熱ガスで交換することによって余熱される。バルブ1004は、供給原料粉末を計量してパイプ1025を通して流れる熱ガス(例えば、燃焼用空気)に入れる。燃焼用空気および供給原料浮遊物はバーナー1005に運ばれ、ここでは可燃性ガスがパイプ1006を通して導入される。円筒状融解チャンバー1007は、融解1008の様々な段階でアルミノケイ酸塩粒子を同伴した、ガス熱流(例えば、燃焼用ガス)を受け取るように構成されている。融解チャンバー1007は、鋼などの好適な材料を円筒状シェル1009と、好適な耐火性材料の内張り1010とを備える。融解チャンバー1007はまた、上部分配リング1012から注入された冷気流(主としてクエンチエア)1011によって、内部的に保護されている。冷却空気は、融解された浮遊粒子1008の中心流と著しく混合することなく、層流または旋回流1013でチャンバー内壁の周りで融解チャンバー1007の内部を流れる。この空気流もまた、耐火性内張り1010を保護し、熱損失を制限する。
【0121】
[0160]融解粒子1008は、次に冷却チャンバーまたはクエンチゾーン1014に入り、ここでは粒子は一次クエンチエア1013と相互作用し、任意に分配器1016を通過して、冷却チャンバー1014に注入された1017二次冷却クエンチエア1015と相互作用する。
【0122】
[0161]クエンチ処理された熱固体粒子1018は、懸濁体としてパイプ1019を通して流れ、サイクロン分離器1020において熱ガスから分離される。熱固体ガラス状粒子は、バルブ1021を通過し、熱を冷却燃焼用空気1024で交換し、燃焼用空気余熱サイクロン1022において分離される。バルブ1023は、圧力を調節し、微小球体ガラス状生成物109の捕集を可能にする。サイクロン分離器1003、1020,1022は、プロセスのエネルギー効率を増大させる重要な熱回収ループのための固体/ガス熱交換器としても機能する。サイクロン1020では、融解チャンバー1007からの熱ガスは固体から分離され、これらのガスは、サイクロン1003での分離の前に、より低温の供給原料粉末101を余熱する。熱交換された排出ガス1027は、好適な排出システム(例えば、バグハウスおよび送風機)に向かうか、または熱交換サイクロンの更なる段階を通過する。サイクロン1022では、熱クエンチ処理粒子1018は熱を冷燃焼用空気
1024で交換し、余熱された燃焼用空気が余熱された供給原料粉末を融解チャンバー1007に運ぶために使用され、これにより浮遊した粒子の融解を達成するために添加されねばならないエネルギーの相当量を削減する。
【実施例0123】
[0162]実施例1:合成球体粒子による降伏応力の低減
[0163]ジオポリマーセメントミックスの粘度に対する改善を実証するために、以下の手順を採用した。10マイクロメートルのD[3,2]平均粒子直径および微破砕粉末に典型的な角ばった形態を有する、酸化物組成のSiО2-73.77%;Al2О3-11.82%;Fe2О3-1.42%;MgО-0.1%;CaО-0.28%;Na2О-4.22%;K2О-4.09%の市販の破砕化した火山ガラス粉末を購入した。火山ガラス粉末試料402(図4)を、気中融解の本発明で開示された方法によって処理し、11マイクロメートルのD[3,2]平均粒度、および真円度R>8によって特徴付けられた、実質的に球体の形態を有する最適に融解/クエンチ処理された粉末403を作り出した(図4を参照)。より具体的には、天然の火山ガラス粉末(角ばった形態)は、図8および図9に示した装置によって処理された。バーナーは、市販のShanghai Welding & Cutting Tool Works製の、修正された粉末投入部を備えた酸素-プロパンバーナーモデルQHT-7/hAであり、バーナーは水冷壁を備えた鋼融解チャンバーに発火し、粒子温度は材料の平均液相温度、組成データから推測されるように約1300℃を超えた。液相温度は、i)液相での表面張力からの結果としての微小球体形態、ii)均質の組成(後方散乱電子イメージング下で)およびiii)最終的試薬中の未融解または部分的に融解した粒子の不在に基づいて、超過したと解釈される。この実験では、バーナーは融解チャンバーにしっかりと密閉されておらず、それによって冷クエンチエアは、融解チャンバーの壁に沿って押し寄せ、融解を可能にする十分な滞留時間後に融解した同伴粉末のみをクエンチ処理した。クエンチ処理された熱粉末が、図8に示すようにサイクロンで熱燃焼用ガスから分離され、ガラス粉末を試験用に捕集した。この実施例で得られる生成物は、原材料と等しい組成およびほぼ等しい粒度分布(図4)の高度に球体の合成ガラス(D[3,2]=11マイクロメートル)である。
【0124】
[0164]微小球体鉱物ガラス粉末は、19.68のモルSi/(Al,Fe3+)、および(Ca,Mg)0.12・(Na,K)0.89・(Al,Fe3+・Si19.68のモルセメント系試薬式、ならびに0.28重量%のCaО(0.38%のCaО,MgО)を有する。
【0125】
[0165]この実験は、等しい組成およびほぼ等しい粒度分布(レーザー回折粒度分析によって確認、図4)を有する2つのジオポリマー試薬を比較する。大幅に変更された変数は、粒子形態のみである。
【0126】
[0166]上記粉末は、以下の角ばった火山ガラスのための、最小量の水使用に最適化されたミックスデザイン(「ミックスA」)を使用してジオポリマー結合材ペーストとして別々に混合した。
【0127】
[0167]1.77モルの水、0.12モルのNaО+KО、0.82モルのSiОおよび0.08モルのAlО+FeОを含有する99.5gの混合物を作製する。AlО+FeОの供給源は、セメント系試薬ガラスまたは火山ガラスである。SiОの供給源もまた、セメント系試薬または火山ガラスおよびケイ酸カリウムである。酸化カリウムの供給源は、ケイ酸カリウムおよび水酸化カリウムである。各ミックスの酸化物モル比を、以下に示した表1に提供する。
【0128】
[0168]球体ミックスAは、角ばったミックスAと同じ質量比率で混合されるとき、あま
りにも流動性であって、40重量%のHОの非常に高い含水量であっても非常に不良の加工可能性を有した。驚くべきことに、15重量%のHОのみを含有する球体ミックスBは、約6Paの低降伏応力によって示されるように、優れた加工可能性を有した。
【0129】
[0169]ガラス状球体粉末を等量の固体試薬であるが、より低い比率のケイ酸塩硬化剤および水と再度混合した(「ミックスB」)。
[0170]0.73モルの水、0.11モルのNaО+KО、0.8モルのSiОおよび0.08モルのAlО+FeОを含有する79gの混合物を作製した。AlО+FeОの供給源は、球体セメント系試薬である。SiОもまた球体セメント系試薬およびケイ酸カルシウムである。酸化カリウムの供給源はケイ酸カリウムおよび水酸化カリウムである。各ミックスの酸化物モル比を、以下に示した表1に提供する。
【0130】
[0171]ミニコーンスランプ試験(Tanら2017によって記載された)を採用して角ばった粉末ミックスA(広がり半径24mm)、および球体粉末ミックスB(広がり半径60mm)のおよその降伏応力を決定した。角ばった粉末は、425Pa以上のおよその降伏応力を有する非せん断流動質量を生成した(Pierreら2013(Pierre,A.,Lanos,C.,& Estelle,P.(2013).Extension of spread-slump formulae for yield stress evaluation.Applied Rheology,23(6),36-44)に詳説されたスランプフロー方程式10によって計算された)。驚くべきことに、球体ミックスは約6.5Paのみの降伏応力を有する容易に注入可能な樹脂状流体を、更に生成する角ばったミックス(可溶性ケイ酸塩硬化剤中に水を含む)のわずか41%の分子含水量を有した(Tanら2017(Tan,Z.,Bernal,S.A.,& Provis,J.L.(2017).Reproducible mini-slump test procedure for measuring the yield
stress of cementitious pastes.Materials
and Structures,50(6),235)の拡散流方程式によって計算される)。
【0131】
[0172]
【0132】
【表1】
【0133】
[0173]角ばったミックスAおよび球体ミックスBを、密封した容器内で、摂氏80度で6時間、加熱して硬化させた。角ばったペーストは、おそらくは高い含水量が原因で、硬化が不十分であったが、一方球体ペーストは、微細なガラス状表面を有するセラミック様
固体に硬化した。
【0134】
[0174]実施例2:玄武岩「FC」
[0175]新生代玄武岩質岩石を、ブリティッシュコロンビア州のバンクーバーでサンプリングした。岩石の鉱物特性は、斜長石、透輝石および風化生成物の可能性が高い粘土様相により主に支配される(表2、リートベルト法(Rietveld refinement)を用いてXRDにより決定)。主な要素の酸化物組成が、表3に提供される。
【0135】
[0176]
【0136】
【表2】
【0137】
[0177]
【0138】
【表3】
【0139】
[0178]ジョークラッシャーで玄武岩を破砕し、次いでディスクミルで粉砕し、リングミル内でおよそ10μmの平均粒度を有する粉末に更に縮小させた。鉱物を液体転移によりおよそ1450℃に加熱するガラス化装置に粉末を送り込み、続いて迅速なクエンチ処理ステップを行った。得られたガラスは、96.7%のX線非晶質であった(表4)。
【0140】
[0179]
【0141】
【表4】
【0142】
[0180]微小球体玄武岩ガラス粉末は、6.93のモルSi/(Al,Fe3+)、および(Ca,Mg)3.15・(Na,K)0.21・(Al,Fe3+・Si6.93のモルセメント系試薬式ならびに9.51重量%のCaО(17.3%のCaО,MgО)を有した。
【0143】
[0181]個々の粒子が高度に球体であることを観察し、平均真円度Rは>0.8(前に定義したように)であり、D[3,2]は10.5μmである。
[0182]1.31モルの水、0.1モルのNaО+KО、0.88モルのSiОおよび0.24モルのAlО+FeОを含有する131gの混合物を作製した。AlО+FeОの供給源は、上記で調製した微小球体玄武岩粉末である。SiОの供給源も玄武岩粉末およびケイ酸カリウムである。酸化カリウムの供給源は、ケイ酸カリウムおよび水酸化カリウムである。酸化物モル比を、以下に示した表5に提供する。
【0144】
[0183]
【0145】
【表5】
【0146】
[0184]ミニスランプコーン試験をジオポリマーセメントペーストで実行し、98.4mmの流動直径および21.7Paの計算された降伏応力をもたらした。110gの砂をペーストに添加し、続いて摂氏80度で密封養生(sealed curing)を6時間行った。モルタル試料キューブの圧縮強度は、19MPaであると決定した。
【0147】
[0185]実施例3:玄武岩「BD」
[0186]市販の粉末状の玄武岩「BD」は、以下に示す表6に提供される酸化物組成を有する。
【0148】
[0187]
【0149】
【表6】
【0150】
[0188]粉末を、液相変化を介して材料をおよそ1450℃に加熱するガラス化装置に送り込み、続いて迅速なクエンチ処理ステップを行った。高度に球体のバルク粒子形態によって、大部分の粒子についての液相を介しての成功した融解が示された。
【0151】
[0189]微小球体玄武岩試薬粉末「BD」は、7.84のモルSi/(Al,Fe3+)、および(Ca,Mg)2.66・(Na,K)0.23・(Al,Fe3+・Si7.84のモルセメント系試薬式ならびに9.66重量%のCaО(14.04%のCaО,MgО)を有した。個々の粒子が高度に球体であることを観察し、真円度Rは0.8超であり、D[3,2]は、レーザー回折によって測定されるように8.0μmである。
【0152】
[0190]1.53モルの水、0.09モルのNaО+KО、0.75モルのSiОおよび0.17モルのAlО+FeОを含有する116gの混合物を作製した。AlО+FeОの供給源は、上記で調製した微小球体玄武岩粉末である。SiОの供給源も玄武岩粉末およびケイ酸カリウムである。酸化カリウムの供給源は、ケイ酸カリウムおよび水酸化カリウムである。酸化物モル比を、表7に提供する。
【0153】
[0191]
【0154】
【表7】
【0155】
[0192]110gの砂を混合物に添加し、続いて摂氏80度で密封養生を6時間行った。3つの試料から、モルタルの平均圧縮強度は、2.22MPaの標準偏差で27.4MPaであると決定した。
【0156】
[0193]実施例4:石炭尾鉱
[0194]ノバスコシア州ケープブリトンから取得した石炭尾鉱は、およそ60%の残留石炭および40%の鉱物材料からなる。無機部分は、以下に示した表8に提供される酸化物組成を有する。
【0157】
[0195]
【0158】
【表8】
【0159】
[0196]9.9μmの測定されたD[3,2]を有する乾燥石炭尾鉱を、過剰の石炭を燃焼するガラス化装置に送り込み液相変化を通して無機材料をおよそ1450℃に加熱し、続いて迅速なクエンチ処理ステップを行った。供給原料中の石炭部分は、かなりのエネルギーをプロセスに付加し、火炎力は、同じ質量流量で処理された「不活性な」玄武岩と比較して、少なくとも46%の石炭尾鉱の処理を増加させた。
【0160】
[0197]平均真円度(R)>0.8、およびD[3,2]は11.2μmである高度に球体のバルク粒子形態によって、無機粒子についての液相を介しての成功した融解が示された。
【0161】
[0198]微小球体石炭備考試薬粉末は、5.66のモルSi/(Al,Fe3+)、および(Ca,Mg)0.38・(Na,K)0.10・(Al,Fe3+・Si5.66のモルセメント系試薬式ならびに1.7重量%のCaО(2.56%のCaО,MgО)を有する。
【0162】
[0199]0.57モルの水、0.04モルのNaО+KО、0.42モルのSiОおよび0.12モルのAlО+FeОを含有する45gの混合物を作製した。AlО+FeОの供給源は、上記で調製した石炭尾鉱微小球体粉末である。SiОの供給源も石炭尾鉱粉末およびケイ酸ナトリウムである。酸化ナトリウムの供給源は、ケイ酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムである。酸化物モル比を、以下に示した表9に提供する。
【0163】
[0200]
【0164】
【表9】
【0165】
[0201]混合物をキューブ型にキャストし、続いて摂氏80度で密封養生を6時間行った。試料は離型され、21MPaの圧縮強度およびガラス状セラミック様表面を有することが分かった。
【0166】
[0202]実施例5:浚渫沈殿物
[0203]沈殿物試料を、ブリティッシュコロンビア州のバンクーバーハーバーの中心部から取得し、浚渫沈殿物の例として示した。試料は以下に示す表10に提供された酸化物組成を有する。
【0167】
[0204]
【0168】
【表10】
【0169】
[0205]試料を乾燥させ、47μmの質量メジアン直径D50を有することが分かった。次に、試料をふるいにかけ、75μmを通過しない粒子を除去した。
[0206]この粉末を、液相変化を介して材料をおよそ1450℃に加熱するガラス化装置に送り込み、続いて迅速なクエンチ処理ステップを行った。
【0170】
[0207]高度に球体のバルク粒子形態によって、大部分の粒子についての液相を介しての成功した融解が示された。微小球体沈殿物試薬粉末は、11.49のモルSi/(Al,Fe3+)、および(Ca,Mg)1.55・(Na,K)0.51・(Al,Fe3+・Si11.49のモルセメント系試薬式ならびに4.42重量%のCaО(7.14%のCaО,MgО)を有する。
【0171】
[0208]個々の粒子は、平均真円度(R)>0.8、および11.8μmのD[3,2]を有して、高度に球体かつ滑らかである。
[0209]0.89モルの水、0.09モルのNaО+KО、0.8モルのSiОおよび0.13モルのAlО+FeОを含有する98gの混合物を作製する。AlО+FeОの供給源は、上記で調製した微小球体沈殿物粉末である。SiОの供給源も沈殿物鉱粉末およびケイ酸カルシウムである。酸化カリウムの供給源は、ケイ酸カリウムおよび水酸化カリウムである。酸化物モル比を、表11に提供する。
【0172】
[0210]
【0173】
【表11】
【0174】
[0211]110gの砂を混合物に添加し、試料をキューブ型にキャストし、続いて摂氏80度で密封養生を6時間行った。モルタルキューブの圧縮強度を25MPaであると決定した。
【0175】
[0212]実施例6:銅尾鉱
[0213]はん岩銅浮選尾鉱の試料をアルゼンチンから取得し、世界的に豊富なアルミノケイ酸塩廃棄材料の一例として示した。試料は、以下に示す表12に提供された酸化物組成を有する。
【0176】
[0214]
【0177】
【表12】
【0178】
[0215]試料をふるいにかけて、75μmを通過しない粒子を除去した。この粉末を、液相変化を介して材料をおよそ1450℃に加熱するガラス化装置に送り込み、続いて迅速なクエンチ処理ステップを行った。高度に球体のバルク粒子形態によって、大部分の粒子についての液相を介しての成功した融解が示された。
【0179】
[0216]微小球体尾鉱試薬粉末は、14.2のモルSi/(Al,Fe3+)、および(Ca,Mg)0.6・(Na,K)0.5・(Al,Fe3+・Si14.2のモルセメント系試薬式ならびに1.94重量%のCaО(4.87%のCaО,MgО)を有する。
【0180】
[0217]個々の粒子は、高度に球体かつ滑らかであり、平均真円度(R)は0.8超であり、D[3,2]は11.4μmである。
[0218]0.76モルの水、0.11モルのNaО+KО、1.04モルのSiОおよび0.13モルのAlО+FeОを含有する103.6gの混合物を作製する。AlО+FeОの供給源は、上記で調製した微小球体尾鉱粉末である。Si
Оの供給源も尾鉱粉末およびケイ酸カリウムである。酸化カリウムの供給源は、ケイ酸カリウムおよび水酸化カリウムである。酸化物モル比を、以下に示す表13に提供する。
【0181】
[0219]
【0182】
【表13】
【0183】
[0220]110gの砂を混合物に添加し、試料をキューブ型にキャストし、続いて摂氏80度で密封養生を6時間行った。モルタルキューブの圧縮強度を18MPaであると決定した。
【0184】
[0221]実施例7:廃棄コンクリート
[0222]構造コンクリートコアをブリティッシュコロンビア州のバンクーバーの中層マンション建設現場からサンプリングした。材料は以下に示す表14に提供された酸化物組成を有する。
【0185】
[0223]
【0186】
【表14】
【0187】
[0224]試料をふるいにかけて、75μmを通過しない粒子を除去した。この粉末を、液相変化を介して材料をおよそ1450℃に加熱するガラス化装置に送り込み、続いて迅速なクエンチ処理ステップを行った。
【0188】
[0225]高度に球体のバルク粒子形態によって、大部分の粒子についての液相を介しての成功した融解が示された。
[0226]微小球体コンクリート試薬粉末は、12.3のモルSi/(Al,Fe3+)、および(Ca,Mg)3.06・(Na,K)0.7・(Al,Fe3+・Si12.3のモルセメント系試薬式ならびに12.55重量%のCaО(13.97%のCaО,MgО)を有する。
【0189】
[0227]個々の粒子は、高度に球体かつ滑らかであり、平均真円度(R)は0.8超であり、D[3,2]は10.0μmである。
[0228]1.27モルの水、0.08モルのNaО+KО、0.73モルのSiОおよび0.13モルのAlО+FeОを含有する100gの混合物を作製する。AlО+FeОの供給源は、上記で調製した微小球体コンクリート粉末である。SiОの供給源もコンクリート粉末およびケイ酸カリウムである。酸化カリウムの供給源は、ケイ酸カリウムおよび水酸化カリウムである。酸化物モル比を、以下に示す表15に提供する。
【0190】
[0229]
【0191】
【表15】
【0192】
[0230]100gの砂を混合物に添加し、試料をキューブ型にキャストし、続いて摂氏80度で密封養生を6時間行った。モルタルキューブの圧縮強度を27MPaであると決定した。
【0193】
[0231]実施例8:採石骨材
[0232]カナダのバンクーバー近郊の骨材採石場からの花崗閃緑岩クラッシャーダストを以下の実験のためにサンプリングした。試料はおよそSiО-73%;AlО-15%,FeО-3%;MgО-0%;CaO-2%;NaО-3%;KО-4%の酸化物組成(SEM-EDX)を有する。岩石を、75μmを完全に通過する微細粉末に更に破砕およびミリングした。
【0194】
[0233]得られた粉末を、液相変化を介して材料をおよそ1450℃に加熱する気中ガラス化装置によって処理し、続いて迅速なクエンチ処理ステップを行った。
[0234]高度に滑らかかつ球体のバルク粒子形態によって、大部分の粒子についての液相を介しての成功した融解が示された。
【0195】
[0235]個々の粒子は、高度に球体かつ滑らかであり、平均真円度(R)は0.8超であり、D[3,2]は9.3μmである。微小球体花崗閃緑岩ガラス試薬粉末は、16.0のモルSi/(Al,Fe3+)、および(Ca,Mg)2.5・(Na,K)4.4・(Al,Fe3+・Si16.0のモルセメント系試薬式ならびに2重量%のCaО(2%のCaО,MgО)を有する。
【0196】
[0236]1.53モルの水、0.1モルのNaО+KО、0.93モルのSiОおよび0.12モルのAlО+FeОを含有する105gの混合物を作製する。AlО+FeОの供給源は、上記で調製した微小球体骨材粉末である。SiОの供給源も骨材粉末およびケイ酸カリウムである。酸化カリウムの供給源は、ケイ酸カリウムおよび水酸化カリウムである。酸化物モル比を、表16に提供する。
【0197】
[0237]
【0198】
【表16】
【0199】
[0238]上記混合物をペーストとしてキューブ型にキャストし、続いて摂氏80度で密封養生を24時間行った。ペーストキューブの圧縮強度を11MPaであると決定し、予想通りに、材料が熱硬化で強度を増すことを示している。より低い相対強度は、砂の省略(モルタルのように)、および比較的不活性なフィラーとして作用する、他の実施例と比べてより高い未融解の石英鉱物含有量(石英は>1600℃で融解する)によって説明することができる。
【0200】
[0239]実施例1~8の要約
[0240]以下の表17は、実施例1~8の主な結果を要約し、また2つのフライアッシュ、すなわち、1つは加工された市販のF型フライアッシュ(B~FA)、およびカナダのノバスコシア州の石炭火力発電所から直接サンプリングした合成セメント型組成のフライアッシュの性能の比較も提供する。真円度Rの分布の視覚表現を、図5に提供する。
【0201】
[0241]
【0202】
【表17】
【0203】
[0242]実施例9:合成セメント系試薬の代替SCMとしての使用
[0243]上記実施例3の微小球体玄武岩試料「BD」を、リングミルで5分間、粉末を破砕化することによって更に処理し最も粗い粒子を破壊させて、これにより反応性表面積を増加させた。D[3,2]粒度をレーザー回折分析によって、3.6μmであると決定した。興味深いことに、<10μmの小球はミル内でボールベアリングとして作用する傾向があり、破損に抵抗する。試薬の強度活性指数を、SiО-52.09%;AlО-18.58%、FeО-4.25%;MgО-2.98%;CaO-10.25%;NaО-6.03%;KО-1.72%の酸化物組成を有する市販の高品質F型フライアッシュと比較した。
【0204】
[0244]ASTM C618に従って、ポルトランドセメント対照ミックス、フライアッシュを有するポルトランドセメント(20%および40%の代替品)、およびセメント系試薬BD粉末を有するポルトランドセメント(同じく20%および40%の代替品)の50mmキューブをキャストした。表18は、7日目および28日目の圧縮強度の結果を提供する。BDミックスの20%の代替品で性能を市販のF型フライアッシュと比較したところ、強度活性指数は許容可能であった。BDミックスは容易に作業可能であり、問題な
く混合された。とりわけ、BD試薬およびフライアッシュの両方とも、ポルトランドセメントの40%の代替品で28日後に40MPaを超える非常に有用なモルタル強度を生じた。したがって、BDセメント系試薬は圧縮強度に関して好適なフライアッシュ代替品とみなすことができる。
【0205】
[0245]
【0206】
【表18】
【0207】
[0246]セメント系材料
[0247]いくつかの実施形態によれば、セメント系試薬、ジオポリマー試薬および補助セメント系材料(SCM)の生成および使用の新規方法は、既知の方法および製法を超える大幅な利点を提供する。
【0208】
[0248]いくつかの実施形態によれば、セメント系試薬は酸化物式1を含む:(CaO,MgO)a・(NaO,KO)b・(Al,Fe)c・(SiO[式1]
式中、aは約0~約4であり、
bは約0.1~約1であり、
cは1であり、
dは約1~約15である。
【0209】
[0249]好都合なことに、本発明によるセメント系試薬は、豊富な岩石、鉱物および好適な組成の化合物から配合される。好ましくは、セメントのCО2の影響を削減するためにCaO含有量は、約30重量%よりも低い。
【0210】
[0250]いくつかの実施形態では、セメント系試薬は、非結晶性固体の形態である。実施形態では、セメント系試薬は、およそ20μm以下、または好ましくは10μm以下のD50(メジアン直径)を有する粒度分布を構成する粉末形態である。
【0211】
[0251]実施形態では、セメント系試薬は、45%~100%、および好ましくは90~100%の含有量のX線非晶質固体、ならびに(Ca,Mg)0~12・(Na,K)0.05~1・(Al,Fe3+・Si1~20のモル組成比のうちの少なくとも1つの特性を含む。
【0212】
[0252]いくつかの実施形態では、セメント系試薬は、約10重量%未満のCaOを含む。別の実施形態では、セメント系試薬は約30重量%を超えるCaOを含む。(Na,K
)、およびCaのモル比に関するセメント系試薬の組成は、結合材要件に応じてある特定の利点を得るために変化しても良い。例えば、10重量%未満のCaOを有するセメント系試薬は、熱硬化ジオポリマーで使用するために、フライアッシュ代用品として好適である。代わりに、約30重量%超のCaОを含むセメント系試薬は、水硬性を有し、ジオポリマー樹脂に添加されてジオポリマーセメントの周囲温度硬化を可能にすることができ、混合されたポルトランドセメントにおける高炉スラグに直接置き換わる。
【0213】
[0253]いくつかの実施形態では、セメント系試薬は、1~20のSi/(Fe3+,Al)のモル組成、および約10重量%以下のCaO含有量を有する低カルシウム含有セメント系試薬である。好ましくは、そのようなセメント系試薬は、40~100%のX線非晶質であり、より好ましくは約80%~約100%のX線非晶質であり、更により好ましくは、100%非結晶性である。そのような低カルシウム含有セメント系試薬は、例えば、水硬性セメントにおけるポゾラン混和剤として、および/またはジオポリマー結合材ならびにセメントにおける試薬として、多数の商業的用途を見出すことができる。
【0214】
[0254]別の実施形態では、セメント系試薬は、1~20のSi/(Fe3+,Al)のモル組成、および約10~約50重量%、好ましくは約20~約45重量%のCaO含有量を有する高カルシウム含有セメント系試薬である。好ましくは、そのようなセメント系試薬は、40~100%のX線非晶質であり、より好ましくは約80~約100%のX線非晶質であり、更により好ましくは、100%非結晶性である。そのような高カルシウム含有セメント系試薬は、例えば、混合水硬性セメントにおける水硬性混和剤として、および/またはジオポリマー結合材ならびにセメントにおける試薬として、多数の商業的用途を見出すことができる。
【0215】
[0255]別の実施形態では、セメント系試薬は、1~20のSi/(Fe3+,Al)のモル組成、および約10~約20重量%のCaO含有量を有する中間カルシウム含有セメント系試薬である。好ましくは、そのようなセメント系試薬は、約40~100%のX線非晶質、および好ましくは約80%~約100%のX線非晶質であり、および更により好ましくは100%非結晶性である。そのような中間カルシウム含有セメント系試薬は、例えば、所望の中間水硬性およびホゾラン特性を有するセメント系試薬として、多数の商業的用途を見出すことができる。
【0216】
[0256]本発明によるセメント系試薬においてNa/Kを最適化する1つの重要な利点は、1)水硬性セメント中の遊離石灰が可溶性アルカリで交換され、セメント系試薬に由来するシアル酸塩分子と配位しある程度まで比較的安定なアルカリアルミノケイ酸塩重合を作り出し、これが伝統的な水硬性セメントの化学的特性を大いに改善するSCM用途、および2)相当量のNa/K含有量を有するジオポリマー試薬が、そうでなければ、必要とされるものよりも少ない可溶性ケイ酸塩硬化剤を必要とするという事実にあり、したがってジオポリマーミックス設計の可溶性ケイ酸塩の要件(およびコスト)を削減する。
【0217】
[0257]調製の方法
[0258]いくつかの実施形態では、アルミノケイ酸材料は、セメント系試薬を生成するための供給原料として選択される。図1は、本発明の実施形態による、アルミノケイ酸塩材料からセメント系試薬を生成するために必要な例示的なステップを示す。
【0218】
[0259]簡単に言うと、アルミノケイ酸塩材料101が選択され、その化学組成が分析され102、および評価される。供給原料はXRF、リートベルト法を用いたXRD、LIBS、EDS、湿式化学分析、および供給原料の元素組成を決定するための様々な他の既存の方法などの任意の好適な定量的、もしくは半定量的方法によって分析され得る。
【0219】
[0260]選択された組成が許容されない場合、例えば組成調節材料104の添加を通して材料は修正され、ブレンドされ(例えば熱化学的処理の前に容器内で)、または選別される103。本明細書で使用される場合、用語「組成調節材料」とは、アルミノケイ酸塩材料のバルク組成を元素Ca、Na、K、Al、Fe、およびSiのうちの1つまたはいくつかに対して優先的に変更するために、好適な組成を有する任意の固体または液体材料を指す。
【0220】
[0261]上述したように、カルシウム(Ca)を導入する組成調節材料は、CaCО、Ca(OH)、CaO、CaCl、ケイ酸カルシウム鉱物ならびに化合物、ケイ酸アルミニウムカルシウム鉱物ならびに化合物、廃棄ポルトランドセメント製品、ウォラストナイト、ゲーレナイト、および他のメリライト群鉱物組成から構成され得る。
【0221】
[0262]上述したように、アルミニウム(Al)を導入する組成調節材料は、カオリナイト、ハロイサイト、ならびに他のアルミニウムが豊富な/アルカリ性の少ない粘土鉱物、AlSiO多形体、クロリトイド、スタウロライト、ガーネット、コランダム、ムライト、ゲーレナイト、ジアスポア、ベーマライト、ギブサイト、およびネフェリンならびに他の準長石のうちの1つ以上を含むアルミニウム岩石、鉱物、土壌、沈殿物、副産物、および化合物から構成され得る。使用することができる他の材料としては、アルミニウム金属、ボーキサイト、アルミナ、赤泥(アルミナ精錬所残留物)が挙げられる。
【0222】
[0263]上述したように、鉄(Fe)を導入する組成調節材料は、鉄が豊富な岩石、土壌、沈殿物、副産物、ならびにかんらん石などの化合物、クロライト鉱石(シャモス石、クリノクロアなど)、輝石、角閃石、針鉄鉱、ヘマタイト、マグネタイト、フェリハイドライト、レピドクロサイト、および他のオキシ水酸化鉄組成物、鉄が豊富な粘土ならびにフィロケイ酸塩鉱物、および元素鉄から構成され得る。
【0223】
[0264]選別105はまた、組成調節方法103として使用されてもよく、任意の望ましくない廃棄材料が処分されても良い。
[0265]所望の組成を含む得られた固体アルミノケイ酸塩材料は、次に加熱106される。加熱は、液体を得るために液相温度を上回る加熱温度に達するように、例えば約1000~1600℃でまたは約1300~1550℃で行われる。加熱のためにおよび液体を得るために任意の好適な方法または装置を使用することができ、限定されないが、気中融解および/またはバッチ融解が挙げられる。これは例えば、プラズマ炉、酸素燃料炉、アーク炉、反射炉、ロータリーキルン、太陽炉を使用することによって達成することができる。典型的には、所望の液相を得るために、1000~1600℃、および最も典型的には、1300~1550℃の炉温が必要である。
【0224】
[0266]所望であれば、液体のその融点を降下させ、および/または液体の解重合を誘発させるために、溶剤が固体アルミノケイ酸塩材料に添加されてもよい。溶剤は加熱の前に(例えば、容器)または加熱中に固体アルミノケイ酸塩材料と混合されてもよい。融解物の解重合を誘発させ、および/または融解温度を低下させることができる一般的な溶剤としては、CaF2、CaCO3、廃棄ガラス、くずガラス、ガラスフリット、アルカリ含有鉱物(例えば、長石、ゼオライト、粘土、および準長石鉱物)、ホウ酸塩、ハロゲン化合物(フッ化物ならびに塩化物含有塩)およびカルシウム塩が挙げられる。
【0225】
[0267]次に、アルミノケイ酸塩液体は、クエンチ処理され107、固体を得る。実施形態では、クエンチ処理ステップは、液体の温度をガラス転移より低い温度、例えば約500℃以下、または好ましくは約200℃以下に低下させることを含む。実施形態では、クエンチ処理は急速に行われ、すなわち温度は約10Ks-1~10Ks-1(好ましくは>103.5Ks-1の速度で)低下される。任意の好適な方法がクエンチ処理に使
用されてもよく、限定されないが、融解材料を、冷気の十分な流れ、蒸気、または水と適切に接触させて非結晶性固体を生成することが含まれる。
【0226】
[0268]次に、固体は、粒度を縮小させて108、セメント系試薬109を得るために、破砕および/または粉砕される。これはボールミル、ローラーミル、および垂直ローラーミルが挙げられるが、これらに限定されない任意の好適な方法または装置を使用して行うことができる。好ましくは、粒度は縮小され、セメント用途に有用な微粉末を得る。実施形態では、粉末はおよそ20μm以下、または好ましくは10μm以下のD50(メジアン直径)を有する粒度分布を構成する。そのような粒度は一般的に、十分な反応性および一貫した材料特性を確実にするために望ましい。
【0227】
[0269]セメント系試薬の使用
[0270]関連する一態様は、本明細書に記載されるセメント系試薬の幅広い関連性に関する。設計作製されたセメント系試薬の適切な組成は、ジオポリマーセメントおよび水硬性セメント(すなわち、水と反応するセメント)の両方においてかなりの比率で互換的に使用され得る。
【0228】
[0271]したがって、本明細書に記載される実施形態は、少なくとも5重量%、または少なくとも10重量%、または少なくとも15重量%、または少なくとも20重量%、または少なくとも25重量%、または少なくとも30重量%、または少なくとも40重量%、または少なくとも50重量%、または少なくとも60重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%、またはそれ以上の本明細書に記載されるセメント系試薬を含むジオポリマーセメントまたは水硬性セメントを包含する。
【0229】
[0272]別の態様によれば、いくつかの実施形態は、本明細書に定義されるセメント系試薬を含む、補助セメント系材料(SCM)に関する。実施形態では、SCMは、約5重量%~約50重量%(好ましくは少なくとも20重量%)の本明細書に定義されるセメント系試薬を含む。
【0230】
[0273]別の態様によれば、いくつかの実施形態は、それが許容可能な含有量のNa/K(例えば、少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも5重量%)およびAl含有量(例えば、少なくとも5重量%)を伴い、約35重量%未満のCaОを含むこと、および非結晶性固体の形態であることのうちの1つ以上の特性を含む補助セメント系材料(SCM)に関する。
【0231】
[0274]別の態様によれば、いくつかの実施形態は、本明細書に記載されるセメント系試薬を含む、すなわち約5重量%~約50重量%(好ましくは少なくとも20重量%)の本明細書に定義されるセメント系試薬を含む、固形コンクリートに関する。
【0232】
[0275]別の態様によれば、いくつかの実施形態は、ポルトランドセメントとは区別される混合水硬性セメントに関する。例えば、固体状態29Si NMR分光法は、硬化セメント中のシリカ四面体の結合性の量および種類によって、本発明による低鉄含有量(<5重量%)の混合水硬性セメントをポルトランドセメント(主要なCSH結合材構成成分を有する)から区別する。実際には、硬化ポルトランドセメント結合材相は、低配位ならびに水和部位(Q1、Q1(OH)、Q2、およびQ2(OH))、わずかな四面体Al置換、および高配位がないこと(すなわち、Q3およびQ4部位がないこと)によって特徴付けられる。本発明によるセメント系試薬を含む混合水硬性セメントは、アルミニウム置換(例えば、Q2(1 Al))などのユニークな特徴に加えて、上記の典型的なCSH関連部位、およびポルトランドセメントよりも「高い」レベルの配位(すなわち、分岐)
を示すであろう。例えば、本発明による混合水硬性セメントは、少なくともQ3レベルの配位(例えば、Q3(2Al),Q3(1Al),Q3(0 Al))を含む。実施形態では、本発明による混合水硬性セメントは、従来の水硬性セメントでは知られていない、測定可能な比率(>1重量%)の三次元架橋(Q4部位)を含有する。別の態様では、本発明は、本明細書で定義されるセメント系試薬、すなわち、約5重量%~約90重量%(好ましくは、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも50重量%、少なくとも75重量%)の本明細書で定義されるセメント系試薬を含むジオポリマー結合材に関する。
【0233】
[0276]別の態様によれば、いくつかの実施形態は、約5重量%~約50重量%(好ましくは少なくとも20重量%)の本明細書に定義されるセメント系試薬を含む固体ジオポリマーコンクリートに関する。
【0234】
[0277]当業者であれば、本発明が豊富な安価な天然材料から用途の広い低CО排出量試薬を生成するための手段を有利に提供することを理解することができる。別の顕著な利点は、拡大し続けるジオポリマー市場のニーズも満たしながら代替SCMに対する現在の仕様基準を満たす単一の試薬を作り出すことである。
【0235】
[0278]アルミノケイ酸塩材料
[0279]本明細書に記載するように、いくつかの実施形態は、混合水硬性セメントにおける代替補助セメント系材料(SCM)として、および/またはジオポリマー結合材におけるジオポリマー固体試薬として有利に使用され得る(したがって、MK-750、フライアッシュ、GGBFS、および他の一般的な固体試薬のうちのいくつかまたはそれらの全ての必要性を排除する)固体セメント系試薬を生成するために、アルミノケイ酸塩材料の熱化学的処理のための方法を提供する。
【0236】
[0280]いくつかの場合には、アルミノケイ酸塩材料は、非結晶性セメント系試薬を生成するために使用される。いくつかの実施形態では、アルミノケイ酸塩材料は、補助セメント系材料(SCM)およびジオポリマー試薬のうちの少なくとも1つを生成するために使用される。
【0237】
[0281]本明細書で使用される場合、用語「アルミノケイ酸塩材料」とは、天然の岩石ならびに鉱物、浚渫物質、岩石ならびに鉱物を含む採鉱廃棄物、廃棄ガラス、アルミノケイ酸塩を保有する汚染材料およびアルミノケイ酸工業の副産物から選択される、アルミニウムおよび/またはFe3+、ならびに二酸化ケイ素を含む材料を指す。本発明によるアルミノケイ酸塩材料は、好ましくは結晶性固体の形態である(例えば、少なくとも50重量%、または少なくとも60重量%、または少なくとも70重量%、または少なくとも80重量%、または少なくとも90重量%、または100重量%の結晶性固体)。いくつかの実施形態では、アルミノケイ酸塩材料は、少なくとも2重量%の(NaО,KО)、または少なくとも3重量%の(NaО,KО)、または少なくとも4重量%(NaО,KО)の、または少なくとも5重量%の(NaО,KО)、または少なくとも6重量%の(NaО,KО)、または少なくとも7重量%の(NaО,KО)、または少なくとも8重量%の(NaО,KО)、または少なくとも10重量%の(NaО,KО)、または少なくとも12重量%の(NaО,KО)、または少なくとも15重量%の(NaО,KО)、または少なくとも20重量%の(NaО,KО)を含む。
【0238】
[0282]いくつかの実施形態では、アルミノケイ酸塩材料は、浚渫沈降物、解体コンクリート、採鉱廃棄物、氷成粘土、氷成堆積物、河川堆積物、岩石と鉱物の混合物、例えば元素Ca,Mg,Na,K,Fe,AlおよびSiのいくつかまたは全てから構成される岩
石と鉱物の混合物から選択される。
【0239】
[0283]いくつかの実施形態では、アルミノケイ酸塩材料は、セメント系試薬を生成するための供給原料として選択される。供給原料は、XRF、リートベルト法を用いたXRD、LIBS、EDS、湿式化学分析、および供給原料元素組成を決定するための様々な他の既存の方法などの定量的もしくは半定量的方法によって分析することができる。
【0240】
[0284]実施例10:浚渫沈殿物の使用
[0285]沈殿物の試料を、ブリティッシュコロンビア州バンクーバーのフレーザー川の下流の感潮区域から採取した。試料は、細砂、シルトおよび粘土分から構成される。試料の鉱物特性を表19に提供し(リーベルト法を用いたXRDにより決定)、主な元素の酸化物組成を、鉱物特性から推定した(表20)。
【0241】
[0286]
【0242】
【表19】
【0243】
[0287]
【0244】
【表20】
【0245】
[0288]フレーザー川沈殿物(FRS)を乾燥させ、分類し、120μmを通過する部分を、材料を融点からおよそ1450℃に加熱するガラス化装置に送り込み、続いてクエンチ処理ステップによって粉末を冷却した。得られFRSガラス粉末をボールミル内で<20μmのD50に研削した。得られた粉末のX線非晶質成分は、52%であった。鉱物特性結果から、11.46の推定モルSi/(Al,Fe3+)、および(Ca,Mg)1.25・(Na,K)0.34・(Al,Fe3+・Si11.46のモルセメント系試薬組成ならびに3.3重量%のCaОをもたらす。これは、「低Caセメント系試薬」の条件を満たす。
【0246】
[0289]熱硬化ジオポリマー結合材:5部の低Caセメント系試薬を、1部のケイ酸カリウム溶液と混合した(モル比SiO:KO=1.45)。ペーストをしっかりと混合して、密封型に配置し、80℃で4時間硬化させた。得られた硬化ペーストは、シリンダー圧縮試験において、少なくとも20MPaの圧縮強度を達成する。
【0247】
[0290]周囲硬化ジオポリマー結合材:5部の低Caセメント系試薬を、1部のケイ酸カリウム溶液(モル比SiO:KO=1.45)、1部の水、および1.5部の細かく破砕されたCaSiOと混合した。ケイ酸塩溶液をCaSiO3粉末と混合して、15分間反応させた。得られたペーストを、FRSガラス粉末および水としっかりと混合して、密封型に配置し、20℃で7日間硬化させた。得られた硬化ペーストは、シリンダー圧縮試験において、少なくとも20MPaの圧縮強度を達成する。
【0248】
[0291]ポルトランドセメントにおける周囲硬化SCM用途:一連のポルトランドセメントモルタルキューブを、セメントと砂との50:50ミックスからキャストした。低Caセメント系試薬を、モルタルミックス中のポルトランドセメントの代わりに、0%、20%、40%、60%、および80%で置き換えた。キューブを100%の湿度で7日間硬化させて、キューブの圧縮強度を表21に提示する。普通ポルトランドセメント(「OPC」)の最大60%の置き換えは、モルタルのCOフットプリントを比例的に削減しながら、多くの用途に有用な圧縮強度をもたらす。
【0249】
[0292]
【0250】
【表21】
【0251】
[0293]実施例11:解体コンクリートの使用
[0294]構造コンクリートのコアをブリティッシュコロンビア州バンクーバーの2019中層住宅団地からサンプリングした。コンクリートの鉱物組成(微細および粗な骨材を含む)を表22に提供し(リートベルト法を用いるXRD)、およびバルク元素組成を表23の鉱物特性から計算する。
【0252】
[0295]
【0253】
【表22】
【0254】
[0296]
【0255】
【表23】
【0256】
[0297]コンクリートを約20μmのD50を有する粉末に、破砕および粉砕した。材料を融点から1450℃に加熱するガラス化装置に粉末を送り込み、続いてクエンチ処理ステップを行った。得られたガラス状粒子を、およそ5~15μmのD50を有する粉末に細かく研削した。
【0257】
[0298]この粉末の鉱物特性結果は、9.88の推定モルSi/(Al,Fe3+)、および(Ca,Mg)2.79・(Na,K)0.55・(Al,Fe3+・Si19.88モルセメント系試薬組成ならびに11重量%のCaОをもたらす。これは、「中間Caセメント系試薬」として認めることができる。
【0258】
[0299]周囲硬化ジオポリマーセメント:セメントペーストを、粉末状コンクリートガラス(2.5重量部)、モル比SiO:KO=1.45を有するケイ酸カリウム溶液(0.74重量部)、および水(0.08重量部)を使用して十分に混合した。次いで、ペーストを円筒型に配置し、20℃で硬化させた。硬化時間をビカー針侵入試験によって推定した。初期硬化は51分で生じ、最終硬化時間は195分であった。
【0259】
[0300]50:50の周囲硬化ジオポリマーセメントと砂とを含むモルタルミックスの圧縮強度を、シリンダーを圧縮破壊することによって測定した。3日後、圧縮強度はおよそ25MPaを達成し、引っ張り強度はおよそ2MPaであった(分割シリンダー法により)。
【0260】
[0301]高熱性能を試験するために、原構造コンクリートの試料およびジオポリマーの1cm直径のキャストシリンダーを空気中750℃に2時間さらした。ポルトランドセメントコンクリートはヒビが入り、取り扱い時に粉末状になったが、ジオポリマーモルタルシリンダーは、目に見える割れ目または欠損がなく元のままであった。
【0261】
[0302]本明細書に提示される新規方法、システム、装置、および配合物は、全体を通して詳説されたように多くの利点を提供する。いくつかの例では、新規配合物およびプロセスは、水硬性セメントまたはジオポリマーセメント組成における従来のセメント系添加材の代替品として特に有用である粒子、粉末、または試薬をもたらす。新規配合物は、下記のモル組成を構成することができる。
【0262】
[0303]
【0263】
【数1】
【0264】
[0304]
【0265】
【数2】
【0266】
[0305]
【0267】
【数3】
【0268】
[0306]
【0269】
【数4】
【0270】
[0307]
【0271】
【数5】
【0272】
[0308]本明細書に提示される新規配合組成は、全体を通して記載された目的に特に適しているユニークな材料をもたらすが、3成分図が3つの組成部分を正確に可視化することに限界があり、総組成の全ての元素部分が、相互依存関係を有するという事実のために3成分図状の個々の元素範囲または領域のみによって材料を区別することは困難な場合がある。
【0273】
[0309]地球科学的組成は「組成データ」として分類され、単一空間からユークリッド空間への変換(有心対数比変換-CLR)を7成分組成に適用し、標準的統計方法が扱うことができる様式でモル組成中にコード化された情報を保存した。
【0274】
[0310]化学的データのCLR表現では、ランダムフォレストクラス分類を完了し、この予測モデルから8ルールクラス分類セット(以下に提示)を抽出した。このルールセットを使用して、フライアッシュおよび記載された供給原料組成が、3成分図では、これらの
材料間には組成重複があると思われ得る事実にもかかわらず、分離される。このようなクラス分類モデルは、3次元データを超える組成を正確に表現またはクラス分けするのに有用である。
【0275】
[0311]新規配合物および材料のモデル化
[0312]記載されたガラス状試薬(「新規供給原料」、または代替セメント系材料「ACM」)は、時間-温度履歴、ほぼいかなる場所においても製造できること、および問題の重金属汚染物質の比較的低い値などのいくつかの重要な特性においてフライアッシュから区別される。本明細書に記載される主な元素化学組成もまた、組成ルールを使用してフライアッシュから満足のいく程度に容易に区別される。例として、統計的モデルは、文献からのフライアッシュ組成データ、および本明細書に記載される予想された好適な供給原料組成を使用して構築された。クラス分けルールをサブサンプルからトレーニングデータとして生成し、残りの組成(フライアッシュ、および本明細書に記載される新規組成)でテストし、クラス分けルールの精度および予測力を評価した。以下のモデルでは、フライアッシュは94%が文献からの331の広範な組成のフライアッシュであると予測され、他の6%は「ルールセット外」であるとクラス分けされた。フライアッシュ試料で、本明細書に記載される新規供給原料地質材料として誤ってクラス分けされたものはなかった。モデルを、開示されたモル組成範囲に適合する天然地質材料の70,000を超える組成に適用したところ、モデルは本明細書に記載される新規供給原料を99%の成功率で予測する。組成の1%未満が「ルールセット外」のカテゴリーに入った。明確に、本明細書に記載される新規供給原料とフライアッシュなどの他の副産物試薬との間には、有意かつ予測可能な差が存在する。有心対数比座標(CLR)で表される組成物だけでも記載されるガラス状粒子の化学的性質をフライアッシュから見分けることで非常に正確である。
【0276】
[0313]モデルの適用
[0314]以下のモデルを提供するために、
1 任意の好適な分析方法によって所定のガラス状試料のバルク化学組成を測定し、Si、Al、Fe、Ca、Mg、NaおよびKのモル%を提供する。
2 7つの元素についてモルデータをCLR座標に変換する。
3 以下の条件を順次適用し、試料がそれぞれフライアッシュであるかまたはTerra試薬であるかを予測する。
【0277】
[0315]注記:条件が満たされない場合、次の条件を適用する。所定の組成に条件を適用しない場合、ELSEは試料がモデルのルールセット外であり、確実に予測され得ないことを予測する。
【0278】
[0316]ルール
1.<35%に等しい重量%のバルクCaO酸化物を有するガラス状材料について、および
2.>2のバルクモル%比Si/Al。
【0279】
[0317]とりわけ、上記ルール1はスラグを供給原料としてルール除外するために使用することができ、ルール2はメタカオリン、カオリナイト、ならびに他の1:1の粘土が豊富な供給原料を除外するために使用することができる。次の条件を、以下の表24に示した論理IF(条件=TRUE),THEN(予測)、ELSE(次の条件に移動)を使用して、非公開のCLR変換モル試料組成に適用する。
【0280】
[0318]
【0281】
【表24】
【0282】
[0319]図11は、3成分図の完全セットにおける新規7部モル組成の領域を示す。丸で囲んだ区域は、新規供給原料と文献からの広範囲のフライアッシュ試料との間の差を強調している。図示した実施例では、4つの3成分図の最上部の行はSiの視点を表し、より詳細に図12に示される。図11~15を参照すると、試料の黒色輪郭線は本明細書に記載される、代替セメント系材料(「ACM」)を示し、これは新規供給原料と称されてもよい。実施例1~8のACM組成は、実施例の組成に相当する数字でラベル付けされた黒い点として示されている(数字および組成は表17に要約されている)。図に示された灰色の輪郭線は、331個の独自の試料に基づいて、フライアッシュ試料の90%信頼区間を表す(上記統計モデルを使用して分類されたものと同じように)。
【0283】
[0320]図11の第2の行は、Alの視点からの3成分図を表し、図13に更に詳細に示されている。
[0321]図11の第3の行は、Feの視点からの3成分図を表し、図14に更に詳細に示されている。
【0284】
[0322]最終的に図11の最後の行は、Ca+Mgの視点からの3成分図を表し、図15に非常に詳細に示されている。
[0323]図11~15は、それが広範囲のフライアッシュ組成に関するものであり、2つの材料集団が元素モル3成分図であっても互いに非常に区別することができることを明確に示すような新規供給原料を示す。新規供給原料とフライアッシュとの間の明らかに重複する領域は、本明細書に提供される、より高次のクラス分けモデルで区別されることが示されている。本明細書に記載される新規供給原料またはACMは、とり立てて耐アルカリ性ではなく、試薬としてのアルカリ水酸化物または石灰との反応で沈殿する。
【0285】
[0324]図16は、比較的小型の分散型気中ミニキルンを使用して代替セメントコンクリートを作製するプロセス1600の概略フロー図を示す。ミニキルンは任意の好適な場所に位置することができ、ミニキルンのサイズおよび特性のために、骨材採石場において、コンクリートバッチプラントにおいて、採石場とコンクリートバッチプラントの中間において、または任意の好適な場所で併設することに特に適しており、ポルトランドセメントに依存するコンクリートバッチプラントに典型的に必要とされる輸送時間および距離を最
小限に抑えるか、または少なくとも低減する。
【0286】
[0325]1602において、本明細書に記載されるようにアルミノケイ酸塩骨材が提供される。骨材は、任意の好適なアルミノケイ酸塩材料であってもよく、意図した目的のために特別に採掘されてもよく、または尾鉱、研削コンクリート、もしくは何らかの他の種類の骨材などの廃棄材料であってもよい。ブロック1604では、アルミノケイ酸塩材料は、本明細書に記載されるように粉末にミリングされる。
【0287】
[0326]ブロック1606では、ミリングされたアルミノケイ酸塩材料が保管され、運送され、または本明細書に記載されるミニキルンの投入物として提供されてもよい。ブロック1608では、空気/燃料混合物の燃焼、トーチ、工業用熱、または骨材の温度を上昇させるための何らかのエネルギーの他の形態などの、エネルギーがミリングされたアルミノケイ酸塩骨材に付加される。いくつかの実施形態では、アルミノケイ酸塩粒子は、例えば元素Ca、Mg、Na、K、Al、Fe、およびSiのうちの1つまたはいくつかに対して所望の比(複数可)に達するために、組成調節材料の添加を通して必要に応じて修正され、ブレンドされる(例えば、熱化学的処理の前に容器内で)。
【0288】
[0327]ブロック1608では、エネルギーがアルミノケイ酸塩骨材を融解させ、これがいくつかの場合、骨材が空気の柱内におよび/または融解チャンバー内の空気/燃料に同伴されるなどの気中状態を引き起こす。
【0289】
[0328]ブロック1612では、骨材が融解およびクエンチ処理された後に、供給原料はガラス状アルミノケイ酸塩粒子になる。いくつかの場合には、粒子は、実質的に、真円度R>0.8を有する球体である。
【0290】
[0329]ブロック1614では、粒子は、場合によっては、ミニキルンと併設され得るコンクリートバッチ混合プラントで他の成分と組み合わされる。ブロック1616では、例えば、硬化剤、周囲硬化試薬、混和剤、可塑剤、補強材などの添加材がコンクリートに添加され得る。ブロック1618では、当該技術分野において既知であるように、砂および粗骨材がセメントに添加されてもよい。
【0291】
[0330]ブロック1620では、最終コンクリート混合物が形成され、使用できる状態になる。
[0331]いくつかの実施形態によれば、セメント生産の方法は、従来の方法と比べてセメント輸送距離(およびしたがってコスト)を減少させる。いくつかの実施形態は、代替セメント系材料(ACM)のアルミノケイ酸塩骨材採石場およびコンクリートバッチプラントに近接した分散型生産を可能にする。このACMは、費用効果が高くかつCO2が削減されたコンクリートを作製するために使用することができる好適な代替セメント配合物における主要な試薬として有利に使用され得る。
【0292】
[0332]あるいは、ACMは、従来のコンクリートにおけるポルトランドセメントの割合を置き換え、それによって、得られるコンクリートのコストおよび環境への影響を削減する代替補助セメント系材料(ASCM)として使用されてもよい。
【0293】
[0333]図17は、セメントが典型的には、コンクリートバッチプラント1704に到着するために長距離運送される、典型的なポルトランドセメントプラント1702を示す。同様に、採石場1706からの骨材も、コンクリートバッチプラント1704でそれらの目的地に到着するために長距離運送され得る。これらの高密度でボリュームがある産物を輸送するための時間およびエネルギーは、コンクリートの製造に関連するコストを劇的に増加させ、ならびにコンクリート生産に関連する全体のCO排出量に寄与する。
【0294】
[0334]図18は、本明細書に記載されるACMを利用する代替配置1800を示す。場合によっては、ACMミニキルン1802は、骨材採石場1706現場に併設することができる。このようにして、骨材採石場1706で採掘されたアルミノケイ酸塩材料は、骨材を遠隔地に輸送することなく、ACMミニキルン1802の現場で処理することができる。ACMおよび十分な骨材は、次いで、非常に近接し得るコンクリートバッチプラント1704に送ることができる。
【0295】
[0335]図19は、本明細書に記載されるACMを利用する代替配置1900を示す。図示した実施形態では、ACMミニキルン1802は、コンクリートバッチプラント1704と併設され得る。したがって、骨材採石場1706からの骨材は、コンクリートバッチプラント1802に配送することが可能であり、骨材は、本明細書に記載されるACMミニキルン1802によって使用され得、またコンクリートミックス中の粗骨材としても使用され得る。
【0296】
[0336]図20は、本明細書に記載されるACMを利用する代替配置2000を示す。図示した実施形態では、ACMミニキルン1802は、骨材採石場1706とコンクリートバッチプラント1704との間に位置している。この配置では、骨材はACMミニキルンに配送することができ、ACMミニキルンは、本明細書に記載されるように、AXMを配合するために骨材を利用し、ACMおよび追加の骨材は、コンクリートバッチプラントに運送され得る。
【0297】
[0337]ミニキルン構造は、ACMミニキルンのより小型の、更には可搬式の特性をうまく活用する分散システムを可能にする。セメントを長距離運送する必要がある単一の集中型のポルトランドセメントプラントに依存するよりはむしろ、多数のACMミニキルンがポルトランドセメントプラントに取って代わり、運送時間およびコストを劇的に削減することができる。図17~20の図示した実施形態は、骨材採石場、コンクリートバッチプラント、またはそれらの両方に近接してACMミニキルンを位置付けることによって、機動的、効率的であり、廃棄物を削減する構造を提供する。
【0298】
[0338]好適な供給原料および供給原料を微小球体ガラス状粒子に変換するプロセスは、2019年6月27日に出願されたシリアル番号第62/867,480号および2020年4月3日に出願されたシリアル番号第63/004,673号を有する本出願人の同時係属出願に開示されており、これらの開示全体が、それらの全体で参照により本明細書に組み込まれる。好適な供給原料は、一般に、ある割合のアルミニウムおよび酸化ケイ素の両方を保有する岩石および鉱物である。コンクリートで使用される通常の建設用骨材が、理想的なセメント供給原料として使用するために好適であり、経済的であり、かつ立地条件が良い。以前には、そのような通常結晶性のアルミノケイ酸塩材料からセメント系材料を作製することは不可能であった。
【0299】
[0339]アルミノケイ酸塩骨材をACMとして使用する1つの特定の利点は、材料が安価で豊富に入手可能であることである。
[0340]別の特定の利点は、アルミノケイ酸塩骨材は、広範囲に存在しており、一般的に、大部分の市場において、本方法によってACMを作製するために新たな採石場を認める必要がないことである。
【0300】
[0341]アルミノケイ酸塩骨材をACMとして使用する別の特定の利点は、ミニキルン(例えば、シリアル番号第63/004,673号を有する本出願人の同時係属出願に記載されるような)が、骨材採石場、またはコンクリートバッチプラント、あるいはそれらの両方にもしくはそれらの非常に近くに併設することができ、したがって、セメントの輸送
コストを最小限に抑えることができることである。これは、大型の集中型キルンからのセメントが骨材(供給が分散化されている)よりも平均で5~10倍遠くに移動するために、大きな利点を生じ、広範囲の骨材の可用性、骨材の低価格、および骨材運送からの当然の結果である。
【0301】
[0342]アルミノケイ酸塩骨材をACMとして使用する別の特定の利点は、頻繁に、採石場が、「規格外(off-specification)」である豊富な副産物材料を有することであり、規格外とは、そのような材料が主な採石場産物と一般に同一の組成を共有するにもかかわらず、特定の等級に対して一般的な使用法がないものを意味する。そのような副産物材料は、砕石骨材採石場において、ならびに砂と砂利の採石場の両方において、非常に安く入手可能である。
【0302】
[0343]分散型ACMミニキルンの別の特定の利点は、必要資本量の絶対規模が、ポルトランドセメント生産に必要とされるものの1/10のオーダーであるにもかかわらず、スループットの単位当たりの資本コストが、従来のロータリーセメントキルンと同様であると予想されることである。
【0303】
[0344]分散型ACMミニキルンの別の特定の利点は、スループットの単位当たりの事業経費(operating expenditures)が、ポルトランドセメントの製造における対応する費用を超えると予想されないことである。これにより、ACM生産は、より小規模生産でポルトランドセメントとコスト競争力があり、更にその上5~10倍少ない運送費用を必要とするに過ぎない。
【0304】
[0345]本開示は、下記の番号が付された項目を含む。
[0346]項目1 平均真円度(R)>0.8であること;および角ばった形態(R<0.7)を有する約40%未満の粒子であることの、1つまたは複数の性質を含む、固体微小球体ガラス状粒子。
【0305】
[0347]項目2 上記粒子が少なくとも0.9の平均真円度(R)を含む、項目1の粒子。
[0348]項目3 約30%未満の粒子、または約25%未満の粒子、または約20%未満の粒子、または約15%未満の粒子、または約10%未満の粒子が、角ばった形態(R<0.7)を有する、項目1または2の粒子。
【0306】
[0349]項目4 上記粒子が、平均の酸化物式1:(CaO,MgO)a・(NaO,KO)b・(Al,Fe)c・(SiO)d[式1]:を含み、式中、aが約0~約4であり、bが約0.1~約1であり、cが1であり、かつdが約1~約20である、項目1から3のいずれか1つの粒子。
【0307】
[0350]項目5 上記粒子が、(i)45%~100%、好ましくは90~100%の含有量が、X線非晶質固体であること;および(ii)(Ca,Mg)0~12・(Na,K)0.05~1・(Al,Fe3+・Si1~20のモル組成比であることの、1つまたは複数の性質を含む、項目1から4のいずれか1つの粒子。
【0308】
[0351]項目6 上記粒子が、40~100%X線非晶質、より好ましくは約80~約100%X線非晶質、更により好ましくは100%非結晶質である、項目1から5のいずれか1つの粒子。
【0309】
[0352]項目7 上記粒子が、約10重量%未満のCaOを含む、項目1から6のいずれか1つの粒子。
[0353]項目8 上記粒子が、約30重量%超のCaOを含む、項目1から6のいずれか1つの粒子。
【0310】
[0354]項目9 上記粒子が、1~20の間のSi/(Fe3+,Al)および約10~約50重量%、好ましくは約20~45重量%のCaO含有量の高カルシウム含有量を含む、項目1から6のいずれか1つの粒子。
【0311】
[0355]項目10 上記粒子が、1~20の間のSi/(Fe3+,Al)のモル組成、および約10~約20重量%のCaO含有量の中間カルシウム含有量を含む、項目1から6のいずれか1つの粒子。
【0312】
[0356]項目11 項目1から10のいずれか1つで定義された微小球体ガラス状粒子の混合物を含む、セメント系試薬。
[0357]項目12 微小球体ガラス状粒子の混合物を含み、上記粒子が、(i)平均真円度(R)>0.8;(ii)角ばった形態(R<0.7)を有する約20%未満の粒子;(iii)請求項4で定義された酸化物式1;(iv)45%~100%、好ましくは90~100%の含有量がX線非晶質固体であること;および(v)(Ca,Mg)0~12・(Na,K)0.05~1・(Al,Fe3+・Si1~20のモル組成比;および(vi)約<10重量%のCaOである低カルシウム含有量または約10から約20重量%のCaOである中間カルシウム含有量または>30重量%のCaOである高カルシウム含有量の、1つまたは複数の性質を含む、セメント系試薬。
【0313】
[0358]項目13 上記セメント系試薬が非結晶質固体の形態である、項目12のセメント系試薬。
[0359]項目14 上記セメント系試薬が粉末の形態である、項目12または13のセメント系試薬。
【0314】
[0360]項目15 上記セメント系試薬が、D[3,2]で約20μm以下、より好ましくは10μm以下、または最も好ましくは5μm以下の粒度分布を含む、項目12から14のいずれか1つのセメント系試薬。
【0315】
[0361]項目16 上記粒子の混合物が、酸化物式1(CaO,MgO)a・(NaO,KO)b・(Al,Fe)c・(SiO)d[式1]を含み、式中、aが約0~約4であり、bが約0.1~約1であり、cが1であり、かつdが約1~約20である、項目12から15のいずれか1つのセメント系試薬。
【0316】
[0362]項目17 上記セメント系試薬が約10重量%未満のCaOを含む、項目12から16のいずれか1つのセメント系試薬。
[0363]項目18 上記セメント系試薬が、約30重量%超のCaOを含む、項目12から16のいずれか1つのセメント系試薬。
【0317】
[0364]項目19 上記セメント系試薬が、1~20の間のSi/(Fe3+,Al)のモル組成、および約10~約50重量%、好ましくは約20~45重量%のCaO含有量の高カルシウム含有セメント系試薬である、項目12から16のいずれか1つのセメント系試薬。
【0318】
[0365]項目20 上記セメント系試薬が、1~20の間のSi/(Fe3+,Al)のモル組成、および約10~約20重量%のCaO含有量を持つ、中間カルシウム含有セメント系試薬である、項目12から16のいずれか1つのセメント系試薬。
【0319】
[0366]項目21 上記セメント系試薬が、約40~100%、好ましくは約80~約100%がX線非晶質であり、更により好ましくは100%非結晶質である、項目12から20のいずれか1つのセメント系試薬。
【0320】
[0367]項目22 項目11から21のいずれか1つに定義されるセメント系試薬を含む、ジオポリマー結合材。
[0368]項目23 項目11から21のいずれか1つに定義されたセメント系試薬を含む、補助セメント系材料(SCM)。
【0321】
[0369]項目24 上記セメント系試薬の少なくとも20重量%を含む、項目23のSCM。
[0370]項目25 項目11から20のいずれか1つに定義されたセメント系試薬を含む、ソリッドコンクリート。
【0322】
[0371]項目26 ジオポリマー結合材またはセメント、水中セメント、補助セメント系材料(SCM)および/またはソリッドコンクリートを製造するための、項目1から10のいずれか1つに定義された微小球体ガラス状粒子および/または項目11から20のいずれか1つのセメント系試薬の使用。
【0323】
[0372]項目27 (i)固体アルミノケイ酸塩材料を提供するステップ;(ii)上記固体アルミノケイ酸塩材料を気中融解/クエンチ処理して、上記材料を液体に融解し、その後、上記液体をクエンチ処理して、固体微小球体ガラス状粒子を含む溶融/クエンチ処理された粉末を得るステップを含み;それによって、上記微小球体ガラス状粒子の粉末を含むセメント系試薬を得る、アルミノケイ酸塩材料からセメント系試薬を生成するための方法。
【0324】
[0373]項目28 上記方法が、上記微小球体ガラス状粒子の粉末をより微細な粉末に粉砕するステップ(iii)を更に含む、項目27の方法。
[0374]項目29 上記粉末が、D[3,2]で約20μm以下、より好ましくは10μm以下、または最も好ましくは5μm以下の粒度分布を含む、項目27または28方法。
【0325】
[0375]項目30 上記粒子が、少なくとも0.7の平均真円度(R);約20%未満の粒子の角ばった形態;請求項4で定義された酸化物式1;45%~100%、好ましくは90~100%の含有量のX線非晶質固体;(Ca,Mg)0~12・(Na,K)0.05~1・(Al,Fe3+・Si1~20のモル組成比;および約10重量%未満のCaOであるカルシウム含有量の、1つまたは複数の性質を含む、項目27から29のいずれか1つの方法。
【0326】
[0376]項目31 上記セメント系試薬が、セメント系および/またはジオポリマー系において反応性であり;セメントペーストがHO/(NaO,KO)<20の酸化物モル比を有するときに、25Paよりも下で、加工可能な低降伏応力ジオポリマーセメント混合物を送出し;酸化物モル比がHO/(NaO,KO)<20になるようなセメントペースト中の含水量を必要とし;かつ同じ含水量であることを前提として実質的に角ばった形態を持つ同等のペーストよりも、高い加工可能性を持つセメントペーストを送出することの、1つまたは複数の性質を含む、項目27から30のいずれか1つの方法。
【0327】
[0377]項目32 非理想的な固体アルミノケイ酸塩材料の組成を、元素Ca、Mg、Na、K、Al、Fe、およびSiの所望の含有量に調節するステップを更に含む、項目27から31のいずれか1つの方法。
【0328】
[0378]項目33 上記調節するステップが、元素Ca、Mg、Na、K、Al、Fe、およびSiの1種または数種に関して所望の比(複数可)に到達させるために、上記非理想的なアルミノケイ酸塩材料を組成調節材料とブレンドするステップを含む、項目32の方法。
【0329】
[0379]項目34 上記固体アルミノケイ酸塩材料を選別して、所望のサイズのアルミノケイ酸塩粒子の粉末を得るステップを更に含む、項目27から33のいずれか1つの方法。
【0330】
[0380]項目35 上記固体アルミノケイ酸塩材料から、望ましくない廃棄物材料を廃棄するステップを更に含む、項目27から34のいずれか1つの方法。
[0381]項目36 上記気中融解するステップが、液体が得られるように液相温度よりも高い温度で加熱するステップを含む、項目27から35のいずれか1つの方法。
【0331】
[0382]項目37 上記温度が約1000~1600℃または約1300~1550℃である、項目36の方法。
[0383]項目38 フラックス材料を固体アルミノケイ酸塩材料に添加して、その融点を下げかつ/または上記液体のより大きいエンタルピー、体積、もしくは解重合を誘発させるステップを更に含む、項目27から37のいずれか1つの方法。
【0332】
[0384]項目39 フラックス材料を、上記融解の前または最中に上記固体アルミノケイ酸塩材料と混合する、項目38の方法。
[0385]項目40 上記気中融解/クエンチ処理するステップが、固体を実現するために上記液体の温度をガラス転移温度よりも低く低下させるステップを含む、項目27から39のいずれか1つの方法。
【0333】
[0386]項目41 上記気中融解/クエンチ処理するステップが、上記液体の温度を約500℃よりも低く、または好ましくは約200℃もしくはそれよりも低く低下させるステップを含む、項目40の方法。
【0334】
[0387]項目42 上記液体の温度を低下させるステップが、約10s-1から約10s-1の速度で、好ましくは>103.5Ks-1の速度でクエンチ処理するステップを含む、項目41の方法。
【0335】
[0388]項目43 クエンチ処理するステップが、冷気、水蒸気、または水の流れを含む、項目41の方法。
[0389]項目44 上記固体微小球体ガラス状粒子の粉末の粒度を低減させるステップを更に含む、項目27から43のいずれか1つの方法。
【0336】
[0390]項目45 粒度を低減させるステップが、ボールミル、ローラーミル、垂直ローラーミルのいずれか1つで上記粉末を破砕および/または粉砕するステップを含む、項目44の方法。
【0337】
[0391]項目46 クエンチ処理された固体粒子をサイクロン分離器内の高温ガスから分離するステップを更に含む、項目27から45のいずれか1つの方法。
[0392]項目47 バーナー;融解チャンバー;およびクエンチ処理チャンバーを含む、微小球体ガラス状粒子を生成するための装置。
【0338】
[0393]項目48 融解チャンバーおよびクエンチ処理チャンバーが、それぞれ同じチャンバーの第1および第2のセクションである、項目47の装置。
[0394]項目49 上記装置は、固体粒子が上記装置内で、懸濁体として流れ、懸濁体として融解し、次いで懸濁体としてクエンチ処理されるように構成される、項目47または48の装置。
【0339】
[0395]項目50 上記バーナーにより、懸濁体としての炎加熱固体粒子に、上記固体粒子を液体に実質的に融解するのに十分な加熱温度を提供する、項目47から49のいずれか1つの装置。
【0340】
[0396]項目51 上記バーナーは、融解/クエンチ処理チャンバーに向かってアルミノケイ酸塩供給材料粒子を同伴する気体で燃える炎を含む、項目47から50のいずれか1つの装置。
【0341】
[0397]項目52 気体が、酸化剤ガスおよび可燃性燃料を含む、項目51の装置。
[0398]項目53 上記クエンチ処理チャンバーが、クエンチ処理チャンバー内に冷気を提供するための冷却システムを含み、上記冷気は、融解粒子を固体微小球体ガラス状粒子にクエンチ処理する、項目47から52のいずれか1つの装置。
【0342】
[0399]項目54 上記冷却システムは、クエンチ処理チャンバーの周りに位置決めされた液体冷却ループを含む、項目53の装置。
[0400]項目55 装置は、微小球体ガラス状粒子を収集するサイクロン分離器を更に含む、項目47から54のいずれか1つの装置。
【0343】
[0401]項目56 バーナーは、プラズマトーチ、酸素燃焼バーナー、空気燃焼バーナー、バイオマスバーナー、および太陽光集光炉の少なくとも1つを含む、項目47から55のいずれか1つの装置。
【0344】
[0402]項目57 (i)固体アルミノケイ酸塩材料を提供するステップ;(ii)上記固体アルミノケイ酸塩材料を気中融解/クエンチ処理して、上記材料を液体に融解し、その後、上記液体をクエンチ処理して、固体微小球体ガラス状粒子を含む融解/クエンチ処理された粉末を得るステップを含み;それによって、上記微小球体ガラス状粒子の粉末を含むセメント系試薬を得る、アルミノケイ酸塩材料からセメント系試薬を生成するための方法。
【0345】
[0403]項目58 バーナー、融解チャンバー、およびクエンチ処理チャンバーを含む、気中融解/クエンチ処理装置を提供するステップ;固体粒子を提供するステップ;懸濁体にある上記固体粒子を、上記バーナーによって燃焼されることになる気体中に流すステップ;上記固体粒子を上記融解チャンバー内で、液相よりも高い加熱温度に加熱して、懸濁体にある液体粒子を得るステップ;上記懸濁体にある液体粒子を、液相よりも低い冷却温度にクエンチ処理して、固体微小球体ガラス状粒子を含む粉末を得るステップを含む、微小球体ガラス状粒子を生成するための方法。
【0346】
[0404]項目59 融解チャンバーおよびクエンチ処理チャンバーが、それぞれ同じチャンバーの第1および第2のセクションである、項目58の方法。
[0405]項目60 上記加熱温度が約1000~1600℃または約1300~1550℃である、項目58または59の方法。
【0347】
[0406]項目61 冷却温度が500℃よりも低くまたは200℃よりも低い、項目58から60のいずれか1つの方法。
[0407]項目62 上記固体粒子がアルミノケイ酸塩材料を含む、項目58から61のいずれか1つの方法。
【0348】
[0408]項目63 上記バーナーが、融解チャンバーに向かって固体粒子を同伴する気体で燃える炎を含む、項目58から62のいずれか1つの方法。
[0409]項目64 気体が、酸化剤ガスおよび可燃性燃料を含む、項目63の方法。
【0349】
[0410]項目65 上記クエンチ処理するステップが、冷気をクエンチ処理チャンバー内に提供するステップを含む、項目58から64のいずれか1つの方法。
[0411]項目66 サイクロン分離器で上記粉末を収集するステップを更に含む、項目58から65のいずれか1つの方法。
【0350】
[0412]項目67 微小球体ガラス状粒子を生成するための、プラズマトーチ、酸素燃焼バーナー、空気燃焼バーナー、バイオマスバーナー、および太陽光集光炉の少なくとも1つを含む装置の使用。
【0351】
[0413]項目68 アルミノケイ酸塩材料からセメント系試薬を生成するための、プラズマトーチ、酸素燃焼バーナー、空気燃焼バーナー、バイオマスバーナー、および太陽光集光炉の少なくとも1つを含む装置の使用。
【0352】
[0414]項目67 実施例および図を特に参照しながら実質的にこれまで記述されたような、全ての新規な化合物、組成物、プロセス、装置、システム、方法、および使用。
[0415]表題は、参照のために本明細書に含まれ、特定のセクションの位置を見つけるために役立つ。これらの表題は、本明細書に記載される概念の範囲を限定するように意図しておらず、これらの概念は、明細書全体を通して他のセクションで適用性を有する。したがって、本発明は、本明細書に示される実施形態に限定されることを意図していないが、本明細書に開示される原理および新規特徴と一貫性のある最も広い範囲と一致するべきである。
【0353】
[0416]単数形「a」、「an」および「the」は、別段のはっきりとした指示がない限り、対応する複数の指示対象を含む。したがって、「固体微小球体ガラス状粒子(a solid microspheroidal glassy particle)」への言及は、そのような粒子のうちの1つ以上を含み、「方法(the method)」への言及は、本明細書に記載される方法に対して修正または置き換えることができる当業者に既知の等価な工程および方法への言及を含む。
【0354】
[0417]別段の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件、濃度、特性などを表すあらゆる数字は、全ての場合において「約」という用語により修飾されると理解されたい。最低限でも、各数値パラメータは、報告された有効数字の桁数に照らして、かつ通常の四捨五入の手法を適用することによって解釈されるべきである。したがって、そうではないと指示しない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、得ようとしている特性に応じて変化し得る近似値である。実施形態の広い範囲を説明する数値範囲およびパラメータが近似値であることとは無関係に、特定の実施例において記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いかなる数値であっても、実験、試験測定値、統計分析などにおける変動に起因するある特定の誤差が本質的に含まれる。
【0355】
[0418]本明細書に記載される実施例および実施形態は、例示の目的のものに過ぎず、それに照らせば、様々な修正または変更が当業者に示唆され、本発明および添付の請求項の範囲内に含まれるべきであることが理解される。当業者であれば、本明細書に開示されるいかなるプロセスまたは方法も多くの方法で修正され得ることを認識するであろう。本明細書に記載および/または例示されるプロセスパラメータならびに一連の工程は、例とし
てのみ提示されており、必要に応じて変化させることができる。例えば、本明細書に例示および/または記載された工程は、特定の順序で示されまたは論議され得るが、これらの工程は、示されまたは論議される順序で必ずしも実行される必要はない。
【0356】
[0419]本明細書に記載および/または示された様々な例示的な方法もまた、本明細書に記載され、または示された工程の内の1つ以上を省略するか、あるいは開示されたものに加えて追加の工程を含んでも良い。更に、本明細書に開示されるいずれかの方法の工程は、本明細書に開示されるいずれか他の方法のいずれか1つ以上の工程と組み合わせることができる。
【0357】
[0420]特に断りがない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される用語「接続される(connected to)」および「結合される(coupled to)」(ならびにそれらの派生語)は、直接および間接(すなわち、他の要素または構成要素を介した)接続の両方を許容するものとして解釈されるべきである。加えて、本明細書および特許請求の範囲で使用される用語「a」または「an」は、「の少なくとも1つ」を意味するものとして解釈されるべきである。最後に、使いやすくするために、本明細書および特許請求の範囲で使用される用語「含む(including)」および「有する(having)」(ならびにそれらの派生語)は、語「含む(comprising)」と互換的であり、それと同じ意味を有するものとする。
【0358】
[0421]本明細書に開示されるプロセッサは、本明細書に開示されるいずれかの方法のいずれか1つ以上のステップを実行するための命令で構成され得る。
[0422]本明細書で使用される場合、用語「または」は、項目を代替的におよび組み合わせて指すために包括的に使用される。
【0359】
[0423]本明細書で使用される場合、数字などの文字は、同様の要素を指す。
[0424]本開示の実施形態は、本明細書に記載されている通りに記載されてきたが、これらは例示としてのみ提供されている。当業者であれば、本開示の範囲を逸脱することなく、多くの適応、変更、変形および置換を認識するであろう。本明細書に開示される実施形態のいくつかの代替および組み合わせは、本開示ならびに本明細書に開示される本発明の範囲から逸脱することなく利用されても良い。したがって、現在開示されている発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその等価物によってのみ定義されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2023-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって:
アルミノケイ酸塩供給原料の固体粒子を融解チャンバーに導入するステップ;
前記アルミノケイ酸塩供給原料粒子を前記融解チャンバーの中で加熱して、融解粒子を形成するステップ;及び
前記融解粒子をクエンチ処理チャンバーの中で冷却して、微小球体ガラス状粒子を形成するステップ;
を含み、
前記微小球体ガラス状粒子が、
平均真円度(R)>0.7を有し、
【数1】
であるような、Si及びAl、並びに任意の、Fe、Ca、Mg、Na、及びKの1種以上を含むモル組成を有する、前記方法。
【請求項2】
前記アルミノケイ酸塩供給原料が実質的にフライアッシュを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルミノケイ酸塩供給原料粒子を前記融解チャンバーの中で加熱する前に、前記アルミノケイ酸塩供給原料を組成調節材料とブレンドするステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アルミノケイ酸塩供給原料粒子を前記融解チャンバーの中で加熱する間に、前記アルミノケイ酸塩供給原料を組成調節材料とブレンドするステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アルミノケイ酸塩供給原料粒子を前記融解チャンバーの中で加熱する前に、前記固体アルミノケイ酸塩粒子をミリングするステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記アルミノケイ酸塩供給原料粒子を前記融解チャンバーの中で加熱する前に、前記アルミノケイ酸塩供給原料を、前記アルミノケイ酸塩供給原料粒子の融点を低下させるように適合される溶剤と混合するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記アルミノケイ酸塩供給原料粒子をガス流の中に同伴するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ガス流が、酸化剤ガス及び可燃性燃料を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アルミノケイ酸塩供給原料粒子が、酸化剤ガス及び可燃性燃料を含む炎の中に浮遊される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記炎が、クエンチエアの環状流によって安定化される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記アルミノケイ酸塩供給原料粒子が、懸濁体として流動かつ融解され、前記融解粒子が懸濁体として冷却される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記溶融供給原料粒子が、約10Ks-1~約10Ks-1の冷却速度で冷却される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記冷却が、前記融解粒子を、空気、蒸気、及び水からなる群から選択される流体を含む流れと接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記微小球体ガラス状粒子を、約20μm以下のザウター平均径 D[3,2]にミリングするステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記微小球体ガラス状粒子が、少なくとも約40%X線非晶質である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
サイクロン分離器を使用して前記微小球体ガラス状粒子を捕集するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記微小球体ガラス状粒子を、硬化剤、周囲硬化試薬、混和剤、可塑剤、補強材、砂、及び粗骨材からなる群から選択される1種以上の添加材と混合するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
【数2】
であるように、前記微小球体ガラス状粒子がFeを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
【数3】
であるように、前記微小球体ガラス状粒子がCa及びMgを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
【数4】
であるように、前記微小球体ガラス状粒子がNa及びKを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
請求項1、2、及び5~17のいずれか1つに記載の方法であって:
アルミノケイ酸供給原料の固体粒子を提供するステップ;及び
前記アルミノケイ酸塩供給原料の前記固体粒子を組成調節材料とブレンドするステップ;
を更に含み、
前記微小球体ガラス状粒子が、
【数5】
であるような、Si及びAl、並びに任意の、Fe、Ca、Mg、Na、及びKの1種以上を含むモル組成を有する、前記方法。
【請求項22】
前記微小球体ガラス状粒子を、約10μm以下のザウター平均径 D[3,2]にミリングするステップを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記アルミノケイ酸塩供給原料の前記固体粒子及び前記組成調節材料の加熱が、プラズマ熱エネルギー、マイクロ波エネルギー、又は化学熱エネルギーの1種以上によって実施される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記アルミノケイ酸塩供給原料の前記固体粒子を組成調節材料とブレンドするステップが、約10重量%未満のCaOを含む微小球体ガラス状粒子をもたらす、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記微小球体ガラス状粒子をポルトランドセメントと組み合わせるステップを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記組成調節材料を選択して、前記微小球体ガラス状粒子の1種以上の元素Ca、Mg、Na、K、Al、Fe、及びSiの含有量を変更する、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
請求項1~14、16、及び17のいずれか1つに記載の方法であって:
前記微小球体ガラス状粒子が、
少なくとも約40%X線非晶質であり、
【数6】
であるような、Si及びAl、並びに任意の、Fe、Ca、Mg、Na、及びKの1種以上を含むモル組成を有する、前記方法。
【請求項28】
前記微小球体粒子をセメント質系に試薬として加えるステップを更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記アルミノケイ酸塩供給原料の前記固体粒子が、浚渫沈降物、解体コンクリート、採鉱廃棄物、岩石と鉱物の混合物、氷成堆積物、及び河川堆積物の1種以上を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記アルミノケイ酸塩供給原料粒子を前記融解チャンバーの中で加熱することが、プラズマトーチ、酸素燃焼バーナー、空気燃焼バーナー、バイオマスバーナー、電気抵抗加熱、電気誘導加熱、及び太陽集光炉の1種以上を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記アルミノケイ酸塩供給原料粒子を前記融解チャンバーの中で加熱する前に、前記アルミノケイ酸塩供給原料を組成調節材料とブレンドするステップを更に含み、
前記アルミノケイ酸塩供給原料を前記組成調節材料とブレンドするステップが、前記組成調節材料を選択及び添加して、前記微小球体ガラス状粒子中の1種以上のCa、Na、K、Al、Fe、及びSiの含有量を変更する、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
請求項1、2、及び6~17のいずれか1つに記載の方法であって:
アルミノケイ酸塩材料をミリングして、アルミノケイ酸塩供給原料の固体粒子を生成するステップを含み、
前記微小球体ガラス状粒子が、
【数7】
であるような、Si及びAl、並びに任意の、Fe、Ca、Mg、Na、及びKの1種以上を含むモル組成を有する、前記方法。
【請求項33】
前記アルミノケイ酸塩供給原料を組成調節材料とブレンドするステップを更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記アルミノケイ酸塩供給原料粒子を前記融解チャンバーの中で加熱する間に、前記アルミノケイ酸塩供給原料を前記組成調節材料とブレンドするステップを実施する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記アルミノケイ酸塩供給原料を前記組成調節材料とブレンドするステップが、前記アルミノケイ酸塩供給原料のバルク組成を1種以上の元素Ca、Na、K、Al、Fe、及びSiで変更する、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記アルミノケイ酸塩供給原料を水硬性セメントとブレンドするステップを更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記アルミノケイ酸塩供給原料の前記固体粒子が、浚渫沈降物、解体コンクリート、採鉱廃棄物、氷成粘土、氷成堆積物、河川堆積物、及び岩石と鉱物の混合物の1種以上から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記微小球体ガラス状粒子を混合物に試薬として加えるステップを更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
セメント系試薬であって:
微小球体ガラス状粒子であって、平均真円度(R)>0.7を有し、
【数8】
である、Si及びAl、並びに任意の、Fe、Ca、Mg、Na、及びKの1種以上を含むモル組成を有する、前記微小球体ガラス状粒子
を含む、前記セメント系試薬。
【請求項40】
粉末を含む、請求項39に記載のセメント系試薬。
【請求項41】
少なくとも約40%X線非晶質である、請求項39に記載のセメント系試薬。
【請求項42】
前記微小球体ガラス状粒子が少なくとも約40%X線非晶質である、請求項39に記載のセメント系試薬。
【請求項43】
前記微小球体ガラス状粒子が、少なくとも0.9の平均真円度(R)を有する、請求項39に記載のセメント系試薬。
【請求項44】
前記微小球体ガラス状粒子の約50%未満が、0.7未満の平均真円度(R)を有する、請求項39に記載のセメント系試薬。
【請求項45】
前記微小球体ガラス状粒子が、約20μm以下のザウター平均径 D[3,2]を有する、請求項39に記載のセメント系試薬。
【請求項46】
前記モル組成が、
【数9】
を含む、請求項39に記載のセメント系試薬。
【請求項47】
前記モル組成が、
【数10】
を含む、請求項39に記載のセメント系試薬。
【請求項48】
約10重量%未満のCaOを含む、請求項39に記載のセメント系試薬。
【請求項49】
前記モル組成比が、
【数11】
を含む、請求項39に記載のセメント系試薬。
【請求項50】
実質的にフライアッシュを含まない、請求項39に記載のセメント系試薬。
【請求項51】
約1~約20のSi/(Fe3+,Al)のモル比、及び約10重量%以下のCaO含有量を有する、請求項39~43のいずれか1つに記載のセメント系試薬。
【請求項52】
約1~約20のSi/(Fe3+,Al)のモル比、及び約20重量%~約45重量%のCaO含有量を有する、請求項39~43のいずれか1つに記載のセメント系試薬。
【請求項53】
約5重量%~約50重量%の、請求項39に記載のセメント系試薬を含む、固形コンクリート。
【請求項54】
請求項39~45、48,及び50のいずれか1つに記載のセメント系試薬であって:
前記微小球体ガラス状粒子が、
【数12】
である、Si及びAl、並びに任意の、Fe、Ca、Mg、Na、及びKの1種以上を含むモル組成を有する、前記セメント系試薬。
【請求項55】
前記モル組成が、
【数13】
を含む、請求項54に記載のセメント系試薬。
【請求項56】
前記モル組成が、
【数14】
を含む、請求項54に記載のセメント系試薬。
【請求項57】
前記モル組成が、
【数15】
を含む、請求項54に記載のセメント系試薬。
【請求項58】
約1~約20のSi/(Fe3+,Al)のモル比、及び約10重量%以下のCaO含有量を有する、請求項54に記載のセメント系試薬。
【請求項59】
約1~約20のSi/(Fe3+,Al)のモル比、及び約20重量%~約45重量%のCaO含有量を有する、請求項54に記載のセメント系試薬。
【請求項60】
約5重量%~約50重量%の、請求項54に記載のセメント系試薬を含む、固形コンクリート。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0359
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0359】
[0423]本明細書で使用される場合、数字などの文字は、同様の要素を指す。
[0424]本開示の実施形態は、本明細書に記載されている通りに記載されてきたが、これらは例示としてのみ提供されている。当業者であれば、本開示の範囲を逸脱することなく、多くの適応、変更、変形および置換を認識するであろう。本明細書に開示される実施形態のいくつかの代替および組み合わせは、本開示ならびに本明細書に開示される本発明の範囲から逸脱することなく利用されても良い。したがって、現在開示されている発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびその等価物によってのみ定義されるものとする。
本発明の具体的態様は以下のとおりである。
[態様1]
Si、Al、Fe、Ca、Mg、Na、およびKの原子を含む粒子を含み、
【数6】
であり、
前記粒子は、平均真円度(R)>0.8を有する球体形態を有し、
前記粒子は、少なくとも80%がX線非晶質である、
セメント系試薬。
[態様2]
前記粒子が、非結晶質固体の形態である、態様1に記載のセメント系試薬。
[態様3]
前記粒子が、D[3,2]で20μmまたはそれ未満の粒度分布を含む粉末形態である、態様1に記載のセメント系試薬。
[態様4]
前記粒子が、固体微小球体ガラス状粒子である、態様1に記載のセメント系試薬。
[態様5]
前記粒子の40%未満が、(R)<0.7の角ばった形態を有する、態様1に記載のセメント系試薬。
[態様6]
前記粒子が少なくとも0.9の平均真円度(R)を含む、態様1に記載のセメント系試薬。
[態様7]
平均の酸化物式1、
(CaO,MgO) ・(Na O,K O) ・(Al ,Fe ・(SiO [式1]
(式中、aは約0~約4であり、
bは約0.1~約1であり、
cは1であり、
dは約1~約20である。)
を含む、態様1に記載のセメント系試薬。
[態様8]
前記粒子が約10重量%未満のCaOを含む、態様7に記載のセメント系試薬。
[態様9]
前記粒子が、D[3,2]で約20μmまたはそれ未満のサイズ分布を有する、態様1に記載のセメント系試薬。
[態様10]
前記粒子が、D[3,2]で約10μmまたはそれ未満のサイズ分布を有する、態様1に記載のセメント系試薬。
[態様11]
前記粒子が100%非結晶質である、態様1に記載のセメント系試薬。
[態様12]
Si、Al、Fe、Ca、Mg、Na、およびKを含有する非フライアッシュ微小球体ガラス状粒子を含むセメント系試薬を含み、
【数7】
であり、
前記粒子は、平均真円度(R)>0.8を有する球体形態を有し、
前記粒子は、少なくとも90%がX線非晶質である、
補助セメント系材料。
[態様13]
前記セメント系試薬が、前記補助セメント系材料の少なくとも20重量%を構成する、態様12に記載の補助セメント系材料。
[態様14]
固体アルミノケイ酸塩材料を提供するステップ、
前記固体アルミノケイ酸塩材料をミリングして、D[3,2]で20μm未満の粒度分布を有するようにするステップ、
キルン内で前記アルミノケイ酸塩材料を、気中融解によって融解するステップ、および
前記アルミノケイ酸塩材料を、気中クエンチ処理によってクエンチ処理して、固体微小球体ガラス状粒子を生成するステップ
を含む、アルミノケイ酸塩材料からセメント系試薬を生成するための方法。
[態様15]
前記固体微小球体ガラス状粒子が少なくとも0.8の平均真円度(R)を有する、態様14に記載の方法。
[態様16]
前記セメント系試薬が、(Ca,Mg) 0~12 ・(Na,K) 0.05~1 ・(Al,Fe 3+ ・Si 1~20 のモル組成比を有する、態様14に記載の方法。
[態様17]
80%超がX線非晶質である固体微小球体ガラス状粒子が生成されるように、気中クエンチ処理プロファイルを制御するステップを更に含む、態様14に記載の方法。
[態様18]
非理想的な固体アルミノケイ酸塩材料の組成を、元素Ca、Na、K、Al、Fe、およびSiの所望の含有量にするステップを更に含む、態様14に記載の方法。
[態様19]
前記キルンを骨材採石場に位置付けるステップを更に含む、態様14に記載の方法。
[態様20]
前記キルンをコンクリートバッチプラントに位置付けるステップを更に含む、態様14に記載の方法。
【外国語明細書】