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特開2023-113764表皮下水分測定値を用いて損傷した組織を判定するための装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113764
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】表皮下水分測定値を用いて損傷した組織を判定するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0537 20210101AFI20230808BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20230808BHJP
   A61B 5/01 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
A61B5/0537 200
A61B5/00 M
A61B5/01 100
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023090190
(22)【出願日】2023-05-31
(62)【分割の表示】P 2019570080の分割
【原出願日】2018-06-18
(31)【優先権主張番号】62/521,837
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】512286037
【氏名又は名称】ブルーイン、バイオメトリクス、リミテッド、ライアビリティー、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRUIN BIOMETRICS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】マーティン、バーンズ
(72)【発明者】
【氏名】サラ、バーリントン
(72)【発明者】
【氏名】グラハム、ロス
(57)【要約】      (修正有)
【課題】臨床的介入の目的で損傷した組織を判定するため、患者の表皮下水分を測定するための方法、装置及びコンピュータ可読媒体を提供する。
【解決手段】損傷した組織を識別するための装置は、無線周波数信号を発信及び受信して生体インピーダンス信号を生成する1つ又は複数の同軸電極と、生体インピーダンス信号を表皮下水分(「SEM」)値に変換するように構成される得る回路と、回路に電子的に結合し、SEM値を受信するように構成され得るプロセッサとを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
損傷した組織を識別するための装置であって、
解剖学的部位及びその周囲の組織を調べることができる1つ又は複数の同軸電極であって、
前記1つ又は複数の同軸電極の各々が、無線周波数信号を発信及び受信して、生体インピーダンス信号を生成するように構成される、1つ又は複数の同軸電極と、
前記1つ又は複数の同軸電極に電子的に結合し、前記生体インピーダンス信号を表皮下水分(SEM)値に変換するように構成される回路と、
前記回路に電子的に結合し、前記SEM値を受信するように構成されるプロセッサと、
前記プロセッサに電子的に結合され、前記プロセッサ上で実行されると、
前記プロセッサから、前記解剖学的部位で測定された前記SEM値の1つと、前記解剖学的部位及びそれらの相対測定位置の周りで測定された前記SEM値の少なくとも2つとを受信するステップ、
前記解剖学的部位の周りで測定された前記SEM値から最大SEM値を決定するステップ、
前記最大SEM値と、前記解剖学的部位の周りで測定された前記少なくとも2つのSEM値の各々との差を決定するステップ、並びに、
所定の閾値より大きい差に関連する前記相対測定位置に損傷組織というフラグを立てるステップを実行する命令が格納されている持続的なコンピュータ可読媒体と、を備える、損傷した組織を識別するための装置。
【請求項2】
基材をさらに備え、前記1つ又は複数の同軸電極は、前記基材の第1の側面に埋め込まれている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記基材は、可撓性である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記基材は、カプトン、ポリイミド、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される材料を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記基材の前記第1の側面に対向する第2の側面に隣接する層に配置されるコンフォーマル圧力パッドをさらに備える、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記基材は硬い、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記基材の前記第1の側面に対向する第2の側面に配置される第1の圧力センサをさらに備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の圧力センサは、高圧センサ及び低圧センサから選択される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記基材の前記第1の側面に対向する第2の側面上に配置される第2の圧力センサをさらに備える、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の圧力センサは低圧センサであり、前記第2の圧力センサは高圧センサである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記SEM値と、0.5より大きい値の差に関連する前記相対測定位置とを表示するユーザインターフェースをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
データを遠隔装置に受信及び送信するように構成される第2の回路をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記無線周波数信号は、100キロヘルツ(kHz)未満の周波数を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記無線周波数信号は、32kHzの周波数を有する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記1つ又は複数の同軸電極は、4ミリメートル(mm)から40mmの範囲の直径を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
温度プローブをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
損傷した組織を識別するための持続的なコンピュータ可読媒体であって、プロセッサ上で実行されると、
前記プロセッサから、解剖学的部位で測定された少なくとも1つの表皮下水分(SEM)値の1つと、前記解剖学的部位及びそれらの相対測定位置の周りで測定されたSEM値の少なくとも2つとを受信するステップ、
前記解剖学的部位の周りで測定された前記SEM値から最大SEM値を決定するステップ、
前記最大SEM値と、前記解剖学的部位の周りで測定された前記少なくとも2つのSEM値の各々との差を決定するステップ、並びに、
所定の閾値より大きい差に関連する前記相対測定位置に損傷組織というフラグを立てるステップを実行する命令が格納されている、持続的なコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
損傷した組織を識別するための手持ち式デバイスに組み込まれるよう構成されたジオメトリを有する、請求項17に記載の持続的なコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
損傷した組織を識別するための方法であって、前記方法が、
装置を使用して、解剖学的部位及びその周囲で測定された少なくとも3つの表皮下水分値を測定することであって、前記装置が、
解剖学的部位及びその周囲で組織を調べることができる1つ又は複数の同軸電極であって、
無線周波数信号を発信及び受信して、生体インピーダンス信号を生成するように構成される、1つ又は複数の同軸電極と、
前記1つ又は複数の同軸電極に電子的に結合し、前記生体インピーダンス信号を表皮下水分(SEM)値に変換するように構成される回路と、
前記回路に電子的に結合し、前記SEM値を受信するように構成されるプロセッサと、
前記プロセッサに電子的に結合し、前記プロセッサ上で実行されると、
前記プロセッサから、前記解剖学的部位で測定された前記SEM値の1つと、前記解剖学的部位及びそれらの相対測定位置の周りで測定された前記SEM値の少なくとも2つとを受信するステップ、
前記解剖学的部位の周りで測定された前記SEM値から最大SEM値を決定するステップ、
前記最大SEM値と、前記解剖学的部位の周りで測定された前記少なくとも2つのSEM値の各々との差を決定するステップ、並びに、
所定の閾値より大きい差に関連する前記相対測定位置に損傷組織というフラグを立てるステップ、並びに、
前記装置から、損傷組織というフラグを立てられた前記測定位置を取得するステップを実行する命令が格納された持続的なコンピュータ可読媒体と、を備える、損傷した組織を識別するための方法。
【請求項20】
前記解剖学的部位は、骨隆起である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記解剖学的部位の周囲で測定された少なくとも2つのSEM値は、前記骨隆起から等距離で記録される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記骨隆起の周りの1つ又は複数の同心円上に位置する位置で、2つ以上のSEM値が測定されることをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年6月19日に出願された米国仮特許出願62/521,837号の優先権を主張し、参照によりその全ての内容を本願に援用するものである。
【0002】
本開示は、臨床的介入の目的で損傷した組織を判定するため、患者の表皮下水分を測定するための装置及びコンピュータ可読媒体を提供する。また、本開示は、損傷した組織を判定するための方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
皮膚は、人体の中で最大の器官である。皮膚は、様々な種類の損傷及び傷害を受けやすい。皮膚及びその周囲の組織が外部からの圧力及び機械的な力を再分布できないと、褥瘡が形成される可能性がある。褥瘡は、国際的に、緊急的及び長期的治療環境の両方において、重大な健康及び経済的懸念をもたらす。褥瘡は、合衆国において年間約250万の人々に、さらにヨーロッパで同数の人々に影響を与える。長期的及び緊急的治療環境において、高齢及び寝たきり患者の最大25%が褥瘡を発症する。約60,000人の合衆国の患者が、毎年、感染症及び褥瘡によるその他の合併症により死亡している。
【0004】
大半の褥瘡は、圧迫に対する組織がより少なく、血管網内の圧力勾配が変化する骨隆起において発生する。褥瘡は、皮膚は損傷を受けていない状態のままであるが、骨隆起一面が赤くなって見え得る、現在認められている最初期段階(ステージ1)から、組織が破壊され、骨、腱又は筋肉が露出している最終段階(ステージ4)までの4つの段階の1つに分類される。皮膚か破壊される前に褥瘡を発見し、それらを治療して後の段階への進行を防ぐことは、主要経済大国における政策立案者及び医療供給者の目標である。大半の褥瘡は、予防可能であり、褥瘡の第1段階の前に識別されれば、下層組織の悪化を止めることができる。
【0005】
褥瘡の4つの主要ステージのうち、現在認められている最初期段階(ステージ1)は、最も安価で褥瘡につき平均2,000ドルで治療されるが、発見するのは最も困難である。多くの症例で、下層の皮下組織が壊死すると、表皮細胞層上の損傷が存在しない又は見えない。その結果、褥瘡が発生した後期段階で、患者における褥瘡に関する臨床医の第1の診断が出されることが一般的であり、この時点で、治療の平均費用は、ステージ3の褥瘡につき43,000ドル、又はステージ4の褥瘡につき129,000ドルである。褥瘡発生の初期段階で、臨床医が褥瘡を識別及び診断できれば、治療過程は大いに短縮され、治療費用は大幅に低減するであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タイミングよく効率的に褥瘡を治療するために、臨床医は、正確に褥瘡エリアを識別することが必要である。しかし、褥瘡を発見するための現在の基準は、視診によるものであり、主観的であって、信憑性がなく、タイムリーではなく、特異度が低い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、本開示は、損傷した組織を識別するための装置を提供し、及び含む。装置は、解剖学的部位及びその周囲の組織を調べることができる1つ又は複数の同軸電極であって、1つ又は複数の同軸電極の各々が、無線周波数信号を発信及び受信して、生体インピーダンス信号を生成するように構成され得る、1つ又は複数の同軸電極と、1つ又は複数の同軸電極に電子的に結合し、生体インピーダンス信号を表皮下水分(「SEM」)値に変換するように構成される得る回路と、回路に電子的に結合し、SEM値を受信するように構成され得るプロセッサと、プロセッサに電子的に結合されていてもよく、プロセッサ上で実行されると、プロセッサから、解剖学的部位で測定された1つのSEM値と、解剖学的部位及びそれらの相対測定位置の周りで測定された少なくとも2つのSEM値とを受信するステップ、解剖学的部位の周りでの測定値から最大SEM値を決定するステップ、最大SEM値と、解剖学的部位の周りで測定された少なくとも2つのSEM値の各々との差を決定するステップ、及び、所定の値より大きい差に関連する相対測定位置について損傷した組織というフラグを立てるステップを実行する命令が格納されていてもよい持続的なコンピュータ可読媒体とを備えていてもよい。別の態様では、最大SEM値と、解剖学的部位の周りで測定された最小SEM値との差が決定される。
【0008】
さらに別の態様では、装置は、解剖学的部位及びその周囲の組織を調べることができる1つ又は複数の同軸電極であって、1つ又は複数の同軸電極の各々が、無線周波数信号を発信及び受信して、生体インピーダンス信号を生成するように構成され得る、1つ又は複数の同軸電極と、1つ又は複数の同軸電極に電子的に結合し、生体インピーダンス信号をSEM値に変換するように構成される得る回路と、回路に電子的に結合し、SEM値を受信するように構成され得るプロセッサと、プロセッサに電子的に結合されていてもよく、プロセッサ上で実行されると、プロセッサから、解剖学的部位で測定された1つのSEM値と、解剖学的部位及びそれらの相対測定位置の周りで測定された少なくとも2つのSEM値とを受信するステップ、解剖学的部位から概して等距離で測定されたSEM値の各グループの平均SEM値を決定するステップ、平均SEM値から最大SEM値を決定するステップ、最大SEM値と、解剖学的部位の周りで測定された平均SEM値の各々との差を決定するステップ、及び、所定の値より大きい差に関連する相対測定位置について損傷した組織というフラグを立てるステップを実行する命令が格納されていてもよい持続的なコンピュータ可読媒体とを備えていてもよい。
【0009】
さらに別の態様では、本開示は、損傷した組織を識別するための持続的なコンピュータ可読媒体を提供する、及び含む。持続的なコンピュータ可読媒体は、プロセッサ上で実行されると、解剖学的部位で測定された1つのSEM値と、解剖学的部位及びそれらの相対測定位置の周りで測定された少なくとも2つのSEM値とを受信するステップ、解剖学的部位の周りでの測定値から最大SEM値を決定するステップ、最大SEM値と、解剖学的部位の周りで測定された少なくとも2つのSEM値の各々との差を決定するステップ、及び、所定の値より大きい差に関連する相対測定位置について損傷した組織というフラグを立てるステップを実行する命令が格納されていてもよい。別の態様では、最大SEM値と、解剖学的部位の周りで測定された最小SEM値との差が決定される。
【0010】
別の態様では、持続的なコンピュータ可読媒体は、プロセッサ上で実行されると、解剖学的部位で測定された1つのSEM値と、解剖学的部位及びそれらの相対測定位置の周りで測定された少なくとも2つのSEM値とを受信するステップ、解剖学的部位から概して等距離で測定されたSEM値の各グループの平均SEM値を決定するステップ、平均SEM値から最大SEM値を決定するステップ、最大SEM値と、解剖学的部位の周りで測定された平均SEM値の各々との差を決定するステップ、及び、所定の値より大きい差に関連する相対測定位置について損傷した組織というフラグを立てるステップを実行する命令が格納されていてもよい。
【0011】
さらに別の態様では、本開示は、損傷した組織を識別するための方法を提供する、及び含む。本開示に係る方法は、装置を使用して、解剖学的部位及びその周囲で少なくとも3つの表皮下水分値を測定することであって、装置が、解剖学的部位及びその周囲で組織を調べることができる1つ又は複数の同軸電極であって、無線周波数信号を発信及び受信して、生体インピーダンス信号を生成するように構成され得る、1つ又は複数の同軸電極と、1つ又は複数の同軸電極に電子的に結合し、生体インピーダンス信号をSEM値に変換するように構成され得る回路と、回路に電子的に結合し、SEM値を受信するように構成され得るプロセッサと、プロセッサに電子的に結合していてもよく、プロセッサ上で実行されると、プロセッサから、解剖学的部位で測定された1つのSEM値と、解剖学的部位及びそれらの相対測定位置の周りで測定された少なくとも2つのSEM値とを受信するステップ、解剖学的部位の周りで測定された測定値から最大SEM値を決定するステップ、最大SEM値と、解剖学的部位の周りで測定された少なくとも2つのSEM値の各々との差を決定するステップ、及び、所定の値より大きい差に関連する相対測定位置について損傷した組織というフラグを立てるステップを実行する命令が格納された持続的なコンピュータ可読媒体とを備えていてもよい。別の態様では、最大SEM値と、解剖学的部位の周りで測定された最小SEM値との差が決定される。方法は、装置から、損傷した組織というフラグを立てられた相対測定位置を取得するステップをさらに含んでいてもよい。
【0012】
別の態様では、本開示に係る方法は、装置を使用して、解剖学的部位及びその周囲で測定された少なくとも3つの表皮下水分値を測定することであって、装置が、解剖学的部位及びその周囲で組織を調べることができる1つ又は複数の同軸電極であって、無線周波数信号を発信及び受信して、生体インピーダンス信号を生成するように構成され得る、1つ又は複数の同軸電極と、1つ又は複数の同軸電極に電子的に結合し、生体インピーダンス信号をSEM値に変換するように構成され得る回路と、回路に電子的に結合し、SEM値を受信するように構成され得るプロセッサと、プロセッサに電子的に結合していてもよく、プロセッサ上で実行されると、プロセッサから、解剖学的部位で測定された1つのSEM値と、解剖学的部位及びそれらの相対測定位置の周りで測定された少なくとも2つのSEM値とを受信するステップ、解剖学的部位から概して等距離で測定されたSEM値の各グループの平均SEM値を決定するステップ、平均SEM値から最大SEM値を決定するステップ、最大SEM値と、解剖学的部位の周りで測定された平均SEM値の各々との差を決定するステップ、及び、所定の値より大きい差に関連する相対測定位置に損傷組織というフラグを立てるステップを実行する命令が格納された持続的なコンピュータ可読媒体とを備えていてもよい。方法は、装置から、損傷組織というフラグを立てられた相対測定位置を取得するステップをさらに含んでいてもよい。
【0013】
さらに別の態様では、本開示は、損傷した組織を示すSEM画像を解剖学的なグラフ表示上に生成するための方法を提供する、及び含む。SEM画像は、調べられる解剖学的部位のパラメータを取得すること、装置を使用して、解剖学的部位及びその周囲で少なくとも3つの表皮下水分値を測定することによって作成されてもよいものであって、装置が、解剖学的部位及びその周囲で組織を調べることができる1つ又は複数の同軸電極であって、無線周波数信号を発信及び受信して、生体インピーダンス信号を生成するように構成され得る、1つ又は複数の同軸電極と、1つ又は複数の同軸電極に電子的に結合し、生体インピーダンス信号をSEM値に変換するように構成され得る回路と、回路に電子的に結合し、SEM値を受信するように構成され得るプロセッサと、プロセッサに電子的に結合していてもよく、プロセッサ上で実行されると、プロセッサから、解剖学的部位で測定された1つのSEM値と、解剖学的部位及びそれらの相対測定位置の周りで測定された少なくとも2つのSEM値とを受信するステップ、解剖学的部位の周りでの測定値から最大SEM値を決定するステップ、最大SEM値と、解剖学的部位の周りで測定された少なくとも2つのSEM値の各々との差を決定するステップ、及び、所定の値より大きい差に関連する相対測定位置に損傷組織というフラグを立てるステップを実行する命令が格納された持続的なコンピュータ可読媒体とを備えていてもよい。別の態様では、最大SEM値と、解剖学的部位の周りで測定された最小SEM値との差が決定される。方法は、解剖学的部位のパラメータによって定義されるエリアが表示されるグラフ上に、解剖学的部位の相対測定位置に基づいて、の測定されたSEM値を表示することと、損傷組織というフラグを立てられた測定位置を示すことと、をさらに含んでいてもよい。
【0014】
さらに別の態様では、SEM画像は、調べられる解剖学的部位のパラメータを取得すること、装置を使用して、解剖学的部位及びその周囲で少なくとも3つの表皮下水分値を測定することによって作成されてもよいものであって、装置が、解剖学的部位及びその周囲で組織を調べることができる1つ又は複数の同軸電極であって、無線周波数信号を発信及び受信して、生体インピーダンス信号を生成するように構成され得る、1つ又は複数の同軸電極と、1つ又は複数の同軸電極に電子的に結合し、生体インピーダンス信号をSEM値に変換するように構成され得る回路と、回路に電子的に結合し、SEM値を受信するように構成され得るプロセッサと、プロセッサに電子的に結合していてもよく、プロセッサ上で実行されると、プロセッサから、解剖学的部位で測定された1つのSEM値と、解剖学的部位及びそれらの相対測定位置の周りで測定された少なくとも2つのSEM値と、を受信するステップ、解剖学的部位から概して等距離で測定されたSEM値の各グループの平均SEM値を決定するステップ、平均SEM値から最大SEM値を決定するステップ、最大SEM値と、解剖学的部位の周りで測定された平均SEM値の各々との差を決定するステップ、及び、所定の値より大きい差に関連する相対測定位置に損傷組織というフラグを立てるステップを実行する命令が格納された持続的なコンピュータ可読媒体とを備えていてもよい。方法は、解剖学的部位のパラメータによって定義されるエリアが表示されるグラフ上に、解剖学的部位の相対測定位置に基づいて、の測定されたSEM値を表示することと、損傷組織というフラグを立てられた測定位置を示すことと、をさらに含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下、本開示のいくつかの態様を、ほんの一例として、添付図面を参照して説明する。次に、特に詳細に図面を参照して、示した詳細は、一例であって、本開示の実施形態の議論を説明するためのものであることが強調される。ただし、詳細は、図面と併用され、本開示の態様がどのように実施可能であるかは、当業者には明らかである。
図1図1は、1つの同軸電極を備える、本開示に係る装置を例示した図である。
図2図2は、1つ以上の同軸電極を備える、本開示に係る装置の検出ユニットを例示した図である。
図3A図3Aは、本開示に係る同軸電極を例示した図である。
図3B図3Bは、6つの六角形パッド電極に囲まれた点光源電極で構成される、本開示に係る同軸電極を例示した図である。
図3C図3Cは、一式の六角形パッド電極であって、各電極が本開示に係る同軸電極の異なる部位として機能するようプログラムされ得る、一式の六角形パッド電極を例示した図である。
図3D図3Dは、本開示に係る同軸電極エミュレーションを可能にする、一式の六角形パッドの電子的接続の例を示した図である。
図3E図3Eは、電子的に相互に連結された一式の同軸電極を例示した図である。
図4図4は、本開示に係る測定スキームの例を示した図である。
図5A図5Aは、本開示における方法により取得したSEM測定結果の例をSEMマップとして表示した図である。
図5B図5Bは、図5Aのx軸に沿ったSEM測定結果の例をグラフに示した図である。
図5C図5Cは、図5Aのy軸に沿ったSEM測定結果の例をグラフに示した図である。
図6A図6Aは、踵後部から開始してSEM測定を行うための方法を例示した図である。
図6B図6Bは、踵側部から開始してSEM測定を行うための方法を例示した図である。
図6C図6Cは、踵中央部から開始してSEM測定を行うための方法を例示した図である。
図7A図7Aは、仙骨周りの損傷した組織の視覚的評価の例を示した図である。
図7B図7Bは、本開示における方法により取得した、損傷した組織のSEM測定結果の例を示した図である。
図8A図8Aは、仙骨周りの健康な組織の視覚的評価の例を示した図である。
図8B図8Bは、本開示における方法により取得した、健康な組織のSEM測定結果の例を示した図である。
図9A図9Aは、本開示における方法により取得したSEMマップの例を示した図である。
図9B図9Bは、図9Aの損傷した組織の視覚的評価に対応する図である。
図10図10は、本開示における方法により取得したSEM画像の例を示した図である。
図11図11は、本開示における検出装置及び方法の感度を示す経時的SEM画像の例を示した図である。
図12A図12Aは、本開示における検出装置及び方法による様々なSEMレベルの深さを示す有限要素モデルのグラフ表示の例を示した図である。
図12B図12Bは、皮膚のような材料の様々な深さでのSEM測定値のプロット例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書は、本開示が実施され得る様々な方法のすべて、又は本開示に追加され得るすべての特徴を詳細に記載することを意図していない。例えば、一実施形態に関して説明される特徴は、他の実施形態に組み込まれてもよいし、特定の実施形態に関して説明される特徴は、その実施形態から削除されてもよい。したがって、本開示は、本開示のいくつかの実施形態では、本明細書に記載の任意の特徴又は特徴の組み合わせが除外又は省略可能であることを考慮する。また、本明細書に提案される様々な実施形態に対する多数の変形及び追加は、本開示に照らし合わせれば、当業者には明らかであり、本開示から逸脱しない。他の例では、本発明を不必要に曖昧にしないために、周知の構造、インターフェース、及びプロセスは詳細に示されていない。本明細書のいかなる部分も、本発明の全範囲のどの部分についても否定するように構成されることは意図していない。したがって、以下の説明は、本開示のいくつかの特定の実施形態を例示することを目的としていて、そのすべての配列、組み合わせ及び変形を網羅的に明示することを意図していない。
【0017】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する分野の当業者により一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載の本開示の説明で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのもので、本開示を限定することを意図していない。
【0018】
本明細書で引用されているすべての出版物、特許出願、特許及びその他の参考文献は、参照が提示されている文章及び/又は段落に関連する教示について、その全体が参照により援用されている。本明細書で使用される技術への言及は、それらの技術の変形又は当業者には明白な同等の技術への置換を含め、当技術分で一般に理解される技術を参照することを意図している。
【0019】
文脈がそうでないことを示さない限り、本明細書に記載の本開示の様々な特徴を任意に組み合わせて使用可能であることが特に意図されている。さらに、本開示は、本開示のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された特徴又は特徴の組み合わせを除外又は省略可能であることを考慮する。
【0020】
本明細書に開示されている方法は、説明されている方法を達成するための1つ又は複数のステップ又は活動から成る。本方法のステップ及び/又は活動は、本発明の範囲から逸脱することなく、互いに置き換えられてもよい。つまり、ステップ又は活動の特定の順序が、実施形態を適切に使用するのに要求されていない限り、特定のステップ及び/又は活動の順序及び/又は使用は、本発明の範囲から逸脱することなく変更することができる。
【0021】
本開示の説明及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことを意図している。
【0022】
本明細書で使用されるように、「及び/又は(and/or)」は、選択的に解釈される場合の組み合わせの欠如(「又は(or)」)のみならず、関連して記載される項目の1つ又は複数のありとあらゆる可能な組み合わせについて言及し且つ網羅する。
【0023】
本明細書で使用される「約(about)」及び「およそ、概して(approximately)」という用語は、長さ、周波数、又はSEM値などの測定可能な値を指す場合、規定された量の±20%、±10%、±5%、±0.5%、±1%、又は更には±0.1%のばらつきを包含することを意味する。
【0024】
本明細書で使用されるように、「XとYとの間」及び「約XとYとの間」などの語句は、X及びYを含むと解釈されるべきである。本明細書で使用されるように、「約XとYとの間」などの語句は、「約Xと約Yとの間」を意味し、また、「約XからYまで」などの語句は、「約Xから約Yまで」を意味する。
【0025】
本明細書で使用される用語「備える(comprise)」、「備える(comprises)」及び「備えている(comprising)」は、述べられた特徴、整数、ステップ、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を明示するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素及び/又はそれらの集合の存在又は追加を排除しない。
【0026】
本明細書で使用されるように、「から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句は、請求項の範囲が、請求項の範囲に列挙された特定の材料又はステップ、及び請求された開示の基本的及び新規の特徴事項に実質的に影響を及ぼさないものを包含すると解釈されることを意味する。したがって、本開示の請求項の範囲で使用される際の「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、「備える(comprising)」に相当すると捉えられることを意図していない。
【0027】
本明細書で使用されるように、「表皮下水分」という用語は、組織への継続的な圧力、アポトーシス、壊死、及び炎症過程がある場合において、損傷した組織の根本的な構造を変更する血管漏出及びその他の変化によって引き起こされる組織液及び局所浮腫の増加を指す。
【0028】
本明細書で使用されるように、「システム」とは、有線又は無線で相互に通信するデバイスの一群であってもよい。
【0029】
本明細書で使用されるように、「調べる」とは、高周波エネルギーを使用して患者の皮膚に侵入することを指す。
【0030】
本明細書で使用されるように、「患者」とは、人間又は動物の被験者であってもよい。
【0031】
本開示に係る例示的な装置は、図1及び2に示されている。これらは、表皮下水分(「SEM」)を測定するための装置の例であることが理解されよう。いくつかの実施形態では、本開示に係る装置は、手持ち式デバイス、持ち運び可能なデバイス、有線デバイス、無線デバイス、又は人間の患者の一部を測定するのに適したデバイスであってもよい。Sarrafzadeh他に対する米国公開番号2014/0288397 A1は、SEM走査装置を対象としており、その全体が参照として本明細書に援用される。
【0032】
本開示に係る特定の実施形態では、装置は、1つ又は複数の電極を備えていてもよい。本開示による一態様では、同軸電極は概して等方性であるので、四極ECG電極などの電極上に同軸電極を使用することが好ましい場合があり、それにより電極配置方向に関係なくSEM値を取得可能である。同軸電極によって測定されるSEM値は、間隔を空けた2つの双極電極にまたがる組織表面の含水量ではなく、同軸電極の下の組織の含水量を表してもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、装置は、2つ以上の同軸電極、3つ以上の同軸電極、4つ以上の同軸電極、5つ以上の同軸電極、10個以上の同軸電極、15個以上の同軸電極、20個以上の同軸電極、25個以上の同軸電極、又は30個以上の同軸電極を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、前述の同軸電極は、32キロヘルツ(kHz)の周波数でRF信号を発信及び受信するように構成されていてもよい。他の実施形態では、同軸電極は、約5kHzから約100kHz、約10kHzから約100kHz、約20kHzから約100kHz、約30kHzから約100kHz、約40kHzから約100kHz、約50kHzから約100kHz、約60kHzから約100kHz、約70kHzから約100kHz、約80kHzから約100kHz、又は約90kHzから約100kHzの周波数でRF信号を発信及び受信するように構成されていてもよい。また別の実施形態では、同軸電極は、約5kHzから約10kHz、約5kHzから約20kHz、約5kHzから約30kHz、約5kHzから約40kHz、約5kHzから約50kHz、約5kHzから約60kHz、約5kHzから約70kHz、約5kHzから約80kHz、又は約5kHzから約90kHzの周波数でRF信号を発信及び受信するように構成されていてもよい。さらなる実施形態では、同軸電極は、100kHz未満、90kHz未満、80kHz未満、70kHz未満、60kHz未満、50kHz未満、40kHz未満、30kHz未満、20kHz未満、10kHz未満、又は5kHz未満の周波数でRF信号を発信及び受信するように構成されていてもよい。特定の実施形態では、装置のすべての同軸電極は、同じ周波数で動作してもよい。いくつかの実施形態では、装置の同軸電極の中には、異なる周波数で動作するものがあってもよい。特定の実施形態では、同軸電極の周波数は、それらが接続される集積回路上の特定のピンをプログラムすることにより変更されてもよい。
【0034】
本開示に係るいくつかの実施形態では、同軸電極は、第2の内側円形電極の周りに配置された外側環状リングを備える第1の電極を有する双極構成を備えていてもよい。図3Aを参照すると、外側リング電極は、円形内側電極の外径Dよりも大きい外径D及び内径Dを有してもよい。内側円形電極及び外側電極の各々は、各電極に電圧波形を印加可能、生体インピーダンス信号を生成可能、及び静電容量信号をSEM値へ変換可能である1つ又は複数の回路に電気的に結合されていてもよい。特定の実施形態では、生体インピーダンス信号は、例えば、中央電極と環状リング電極との間に印加される電流波形の差を測定することによって生成される静電容量信号であってもよい。いくつかの実施形態では、変換は、24ビットの静電容量-デジタル変換器によって実行してもよい。別の実施形態では、変換は、16ビットの静電容量-デジタル変換器、電荷タイミング静電容量からデジタルへの変換器、シグマ-デルタ静電容量からデジタルへの変換器であってもよい。1つ又は複数の回路は、プロセッサに電子的に結合されていてもよい。プロセッサは、回路によって生成されたSEM値を受信するように構成されていてもよい。
【0035】
特定の実施形態では、1つ又は複数の同軸電極は、同じサイズであってもよい。他の実施形態では、1つ又は複数の同軸電極は、異なるサイズであってもよく、それにより、患者の皮膚を異なる深さで調べるように構成されていてもよい。1つ又は複数の同軸電極の寸法は、患者の皮膚を調べる深さに合わせてもよい。このため、より大きい直径の電極は、より小さいパッドよりも、皮膚のより深くに侵入することができる。所望の深さは、走査される体の範囲、又は患者の年齢、皮膚の組織又は他の特徴に応じて変えてもよい。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の同軸電極は、各同軸電極が独立して動作できるように、2つ以上の別個の回路に結合されてもよい。別の実施形態では、1つ又は複数の同軸電極のすべて又は一部は、同じ回路に結合されてもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、1つ又は複数の同軸電極は、4ミリメートル(mm)、3.5mm、3.0mm、2.5mm、2.0mm、1.0mm、又は0.5mmの表皮深さまでRFエネルギーを放出可能であってもよい。さらなる実施形態では、1つ又は複数の同軸電極は、約5mmから約55mm、約10mmから約50mm、約15mmから約45mm、又は約20mmから約40mmの外径Dを有してもよい。別の実施形態では、1つ又は複数の同軸電極の外側リングは、約4mmから約40mm、約9mmから約30mm、又は約14mmから約25mmの内径Dを有してもよい。さらに別の実施形態では、1つ又は複数の同軸電極の内側電極は、約2mmから7mm、3mmから6mm、又は4mmから5mmの直径Dを有してもよい。
【0037】
さらなる実施形態では、1つ又は複数の同軸電極は、電極間の干渉を回避する距離で離間して設けられてもよい。距離は、センサのサイズと印加される周波数の関数であってもよい。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の同軸電極の各々は、連続的に作動される場合がある。特定の実施形態では、複数の同軸電極は、同時に作動される場合がある。
【0038】
本開示に係る特定の実施形態では、図3Bに示されるように、同軸電極は、ほぼ等距離で離間して設けられた六角形パッド電極によって囲まれた点光源を備えていてもよい。点光源は、六角形のパッド電極を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、点光源は、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つの六角形パッド電極を備えていてもよい。特定の実施形態では、点光源は、6つの六角形パッド電極によって囲まれていてもよい。いくつかの実施形態では、複数の同軸電極は、複数の六角形パッド電極を含む群からエミュレートされてもよく、各六角形パッド電極が、図3C及び図3Dに示すように、フローティンググランド、容量入力、又は容量励起信号に電子的に結合されるようにプログラム可能である。さらなる実施形態では、各六角形パッド電極は、六角形パッド電極が容量入力又は容量励起信号に接続されるかどうかを制御するセレクトラインを有し得るマルチプレクサに接続されてもよい。マルチプレクサは、六角形パッド電極をフローティンググランドに接続するかどうかを制御するイネーブルラインも有していてもよい。特定の実施形態では、マルチプレクサは、パスゲートマルチプレクサであってもよい。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の同軸電極は、マルチプレクサ技術を活用するために、図3Eに示されるように配置される場合がある。理論に限定されることなく、図3Eに示される配置は、1つ又は複数の同軸電極間の干渉を制限してもよい。
【0039】
特定の実施形態では、1つ又は複数の同軸電極は、非導電性基材の第1の側面に埋め込まれてもよい。いくつかの実施形態では、基材は、可撓性又は硬質であってもよい。特定の実施形態では、可撓性基材は、カプトン、ポリイミド、又はそれらの組み合わせから構成されていてもよい。さらなる実施形態では、上部カバーレイは、1つ又は複数の同軸電極の真上に配置されてもよい。特定の実施形態では、上部カバーレイは、両面が銅張りラミネートと銅箔に接着されたポリイミドフィルムの全ポリイミド複合材とから成るものであってもよい。いくつかの実施形態では、上部カバーレイは、Pyralux5ミルのFR0150を含んでいてもよい。理論に限定されることなく、この上部カバーレイを使用にすることで、皮膚表面に自然に存在する寄生電荷がSEM測定値の正確さ及び精度を妨げることを回避することができる。いくつかの実施形態では、1つ又は複数の同軸電極は、本開示に係る装置内の基材にばね取り付けされてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、装置は、プロセッサに電子的に結合される持続的なコンピュータ可読媒体を備えていてもよい。特定の実施形態では、持続的なコンピュータ可読媒体は、プロセッサ上で実行されると、(1)解剖学的部位での少なくとも1つのSEM値を受信するステップ、(2)解剖学的部位及びそれらの相対測定位置の周りで測定された少なくとも2つのSEM値を受信するステップ、(3)解剖学的部位の周りでの測定値から最大SEM値を決定するステップ、(4)最大SEM値と、解剖学的部位の周りで測定された少なくとも2つのSEM値の各々との差を決定するステップ、及び(5)所定の値より大きい差に関連する相対測定位置に損傷組織というフラグを立てるステップを実行可能な命令が格納されていてもよい。別の実施形態では、持続的なコンピュータ可読媒体は、プロセッサによって実行されると、(1)解剖学的部位での少なくとも1つのSEM値を受信するステップ、(2)解剖学的部位及びそれらの相対測定位置の周りで測定された少なくとも2つのSEM値を受信するステップ、(3)解剖学的部位から概して等距離で測定されたSEM値の各グループの平均SEM値を決定するステップ、(4)平均SEM値から最大SEM値を決定するステップ、(5)最大SEM値と、解剖学的部位の周りで測定された平均SEM値の各々との差を決定するステップ、及び(6)所定の値より大きい差に関連する相対測定位置に損傷組織というフラグを立てるステップを実行可能な命令が格納されていてもよい。さらに別の実施形態では、持続的なコンピュータ可読媒体は、プロセッサ上で実行されると、(1)解剖学的部位での少なくとも1つのSEM値を受信するステップ、(2)解剖学的部位及びそれらの相対測定位置の周りで測定された少なくとも2つのSEM値を受信するステップ、(3)解剖学的部位の周りでの測定値から最大SEM値を決定するステップ、(4)解剖学的部位の周りでの測定値から最小SEM値を決定するステップ、(5)最大SEM値と、最小SEM値との差を決定するステップ、及び(6)所定の値より大きい差に関連する相対測定位置に損傷組織というフラグを立てるステップを実行可能な命令が格納されていてもよい。いくつかの実施形態では、所定の値は、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、又は7.5であってもよい。所定の値は設計によって制限されないが、むしろ、当業者は、SEMの所定の単位に基づいて、所定の値を選択することができることが理解されよう。
【0041】
1つ又は複数の領域が身体上で定義されてもよい。一態様では、領域内での測定は、互いに比較可能とみなされる。領域は、身体の皮膚上のエリアとして定義されてもよく、そのエリア内の任意の点で測定が行われてもよい。一態様では、領域は、解剖学的領域(例えば、踵、足首、腰部)に相当する。一態様では、領域は、解剖学的特徴に対する2つ以上の特定部位の一式として定義されてもよく、その特定部位でのみ測定が行われる。一態様では、領域は、身体上の複数の不連続なエリアを含んでいてもよい。一態様では、一式の特定部位は、複数の不連続なエリアにおける部位を含んでいてもよい。
【0042】
一態様では、領域は、表面面積によって定義される。一態様では、領域は、例えば、5~200cm、5~100cm、5~50cm、又は10~50cm、10~25cm、又は5~25cmでもよい。
【0043】
一態様では、特定のパターンで又はその部位において測定を行ってもよい。一態様では、読み取りのパターンは、中心の問題の対象エリアを含むパターンで作成される。一態様では、サイズの増減する1つ又は複数の円形パターン、T字型パターン、一式の特定位置で、又は組織若しくは領域全体でランダムに測定を行う。一態様では、パターンは、解剖学的特徴に関してパターンの第1の測定位置を定義することで身体上に配置され、パターンの残りの測定位置は第1の測定位置からのオフセットとして定義されてもよい。
【0044】
一態様では、組織又は領域全体で複数の測定が行われ、複数の測定の最低測定値と最高測定値との差が、その複数の測定のデルタ値として記録される。一態様では、組織又は領域全体において、3回以上、4回以上、5回以上、6回以上、7回以上、8回以上、9回以上、又は10回以上測定を行う。
【0045】
一態様では、少なくとも1つの領域につき、1個の閾値を設定してもよい。一態様では、少なくとも1つの領域につき、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又はその他の数値の閾値を設定してもよい。一態様では、デルタ値は、領域内で行われた複数の測定のデルタ値がその領域と関連する閾値と一致する又は超える場合、重要であると識別される。一態様では、複数の領域の各々は、異なる閾値を有する。一態様では、2つ以上の領域は、共通の閾値を有する場合がある。
【0046】
一態様では、閾値は、デルタ値成分と時系列成分の両方を有し、デルタ値が時間間隔の所定の部分に対して所定の数値よりも大きい場合、デルタ値は重要であると識別される。一態様では、時間間隔の所定の部分は、最低X日と定義され、その日に行われた複数の測定は、合計Y連続測定日以内に所定の数値以上のデルタ値を生成する。一態様では、時間間隔の所定の部分は、連続1日、2日、3日、4日又は5日と定義されてもよく、その日に行われた複数の測定は、所定の数値以上のデルタ値を生成する。一態様では、時間間隔の所定の部分は、異なる特定の期間(週、月、時間)のある部分として定義されてもよい。
【0047】
一態様では、閾値には、連続した複数の測定のデルタ値の変化が互いに比較される傾向側面がある。一態様では、傾向閾値は、所定の期間にわたるデルタ値の所定の変化として定義され、閾値が一致したか又は超えたかどうかを決定することが重要である。一態様では、重要度を決定すると、警告が発せられる。一態様では、傾向線は、連続した複数の測定の個々の測定の一部から計算される場合もある。一態様では、傾向線は、連続した複数の測定のデルタ値の一部から計算される場合もある。
【0048】
一態様では、単一の領域内で行われた測定の回数は、パターンで定義された測定位置の数よりも少ない場合もある。一態様では、デルタ値は、パターンで定義された測定位置の数よりも少ない所定の初期回数の読み取りが領域内で行われ、同じ領域でそれぞれ追加の読み取りが行われた後に計算されるものであって、デルタ値がその領域に関連する閾値と一旦一致する又は閾値を超えると、追加の読み取りは行われない。
【0049】
一態様では、単一の領域内で行われた測定回数は、パターンで定義された測定位置の数よりも多い場合もある。一態様では、デルタ値は、各追加の読み取り後に計算される。
【0050】
一態様では、複数の測定ごとに品質測定基準を生成してもよい。一態様では、この品質測定基準は、測定の信頼性を評価するために選択される。一態様では、この品質測定基準は、測定を行った臨床医のスキルを評価するために選択される。一態様では、品質測定基準は、1つ又は複数の統計パラメータ、例えば、平均、平均値、又は標準偏差を含んでいてもよい。一態様では、品質測定基準は、個々の測定と所定の領域との1つ又は複数の比較を含む場合もある。一態様では、品質測定基準は、個々の測定と値のパターンとの比較、例えば、所定の位置での測定値と、各所定の位置と関連する範囲との比較を含んでいてもよい。一態様では、品質測定基準は、健康な組織に対してどの測定を行うかの決定と、「範囲」、標準偏差、又はその他のパラメータなど、例えば、範囲、標準偏差、又はその他のパラメータなど、この一部の「健康な」測定内での一貫性についての1つ又は複数の評価とを含んでいてもよい。
【0051】
一態様では、測定値、例えば、閾値は、SEMスキャナモデル200(Bruin Biometrics,LLC、カリフォルニア州ロサンゼルス)によって決定される。一態様では、測定値は、他のSEMスキャナによって決定される。
【0052】
一態様では、測定値は、基準デバイスを参照することにより、静電容量測定に基づいている。一態様では、静電容量測定は、デバイス内のいずれかの電極の位置及びその他の態様によって左右され得る。このようなばらつきは、SEMスキャナモデル200(Bruin Biometrics,LLC、カリフォルニア州ロサンゼルス)などの基準SEMデバイスと比較することができる。当業者は、基準デバイスを参照することにより、異なる静電容量範囲に対応するため、本明細書に記載の測定が調整可能であることを理解する。
【0053】
さらなる実施形態では、前縁にある炎症は、所定の値以上のSEM差によって示されることもある。いくつかの実施形態では、前縁にある炎症は、一式のSEM測定の最大値によって識別されることもある。
【0054】
特定の実施形態では、解剖学的部位は、骨隆起であってもよい。さらなる実施形態では、解剖学的部位は、胸骨、仙骨、踵、肩甲骨、肘、耳、又はその他の肉質組織であってもよい。いくつかの実施形態では、1つのSEM値は、解剖学的部位で測定される。別の実施形態では、平均SEM値は、解剖学的部位で測定された2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個、又は10個より多いSEM値から得られる。
【0055】
本開示の装置は、最適化された測定条件を可能にするために、ユーザが患者の皮膚に加えられる圧力を制御することを可能にし得る。特定の実施形態では、第1の圧力センサは、同軸電極が設けられる基材の第1の側面に対向する第2の側面上に配置されてもよい。さらなる実施形態では、第2の圧力センサは、同軸電極が設けられる基材の第1の側面に対向する第2の側面上に配置されてもよい。特定の実施形態では、第1の圧力センサは低圧センサであってもよく、第2の圧力センサは高圧センサであってもよい。共に、第1及び第2の圧力センサは、目標圧力の所定の範囲で測定を行うことを可能にし得る。いくつかの実施形態では、目標圧力は、約500gであってもよい。高圧及び低圧センサは、設計によって制限されることはないが、むしろ、当業者は、目標圧力の所定の範囲に基づいてこれらのセンサを選択できることが理解されよう。第1及び第2の圧力センサは、抵抗型圧力センサであってもよい。いくつかの実施形態では、第1及び第2の圧力センサは、基材とコンフォーマル圧力パッドとの間に挟まれていてもよい。コンフォーマル圧力パッドは、身体の湾曲及び骨隆起の測定を可能にするサポートとコンフォーマンスの両方を提供する。
【0056】
一実施形態では、装置は、1つ又は複数の同軸電極が皮膚表面と完全に接触することを確実にするために、1つ又は複数の同軸電極の各々と同じ平面表面上及び周囲に、複数の接触センサをさらに備えていてもよい。複数の接触センサは、複数の圧力センサ、複数の光センサ、複数の温度センサ、複数のpHセンサ、複数の発汗センサ、複数の超音波センサ、複数の骨成長刺激センサ、又はこれらのセンサの複数の組み合わせでもよい。いくつかの実施形態では、複数の接触センサは、1つ又は複数の同軸電極を囲む4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、又は10個以上の接触センサから構成されていてもよい。
【0057】
特定の実施形態では、装置は、温度プローブを備えていてもよい。いくつかの実施形態では、温度プローブは、熱電対又は赤外線温度計であってもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、装置は、ユーザインターフェースを有するディスプレイをさらに備えていてもよい。ユーザインターフェースは、ユーザが測定位置データを入力することを可能にし得る。ユーザインターフェースは、更に、ユーザが測定されたSEM値及び/又は損傷した組織の位置を見ることを可能にし得る。特定の実施形態では、装置は、コンピュータ、タブレット又はその他のモバイルデバイス若しくはウェアラブルデバイスなどの遠隔装置との間でデータを受信及び送信するように構成されるトランシーバ回路をさらに備えていてもよい。トランシーバ回路は、例えば、USB、Bluetooth、又はWifiなどの有線又は無線のデータ送信の任意の適切な形式を可能にし得る。
【0059】
本開示に係る方法は、損傷した組織を識別することを提供する。いくつかの実施形態では、方法は、本発明の装置を使用して、解剖学的部位及びその周囲で、少なくとも3つのSEM値を測定することと、損傷組織というフラグを立てられた測定位置を装置から取得することとを含んでいてもよい。特定の実施形態では、解剖学的部位の周囲の1つ又は複数の同心円上にある位置で測定を行ってもよい。図4は、中心を解剖学的部位によって定義した、測定方法を例示する。別の一実施形態では、解剖学的部位から空間的に離れて測定を行ってもよい。さらに別の実施形態では、解剖学的部位を横切る直線上で測定を行ってもよい。さらなる実施形態では、解剖学的部位周囲の湾曲部上で測定を行ってもよい。特定の実施形態では、測定ステップの前に、患者の皮膚表面上の表面水分及び物質を取り除いてもよい。いくつかの実施形態では、測定ステップは、1秒未満、2秒未満、3秒未満、4秒未満、又は5秒未満かかる場合がある。
【0060】
ここで本発明を一般的に説明したが、例示として提供され、且つ、指定されない限り、本開示を限定することを目的としない以下の実施例を参照することで、同様のことがより容易に理解される。
【実施例0061】
実施例1:仙骨の骨隆起での表皮下水分(SEM)値の測定
目視確認によるステージI又はIIの褥瘡を発症し、皮膚に損傷がない被験者を対象に、本開示の装置を使用して、仙骨の骨隆起及びその周囲で、SEMを複数回測定した。測定前に、被験者の皮膚表面の水分とその上の付着物を除去した。装置の電極を所望の解剖学的部位に十分な圧力で当て、約1秒間完全に接触させた。図4記載の通り、マッピングされた位置で追加測定を行った。
【0062】
図5Aは、解剖学的部位を中心としたSEMマップの例を示す。図5Bは、SEMマップのx軸上の個々のSEM値のプロットである。図5Cは、SEMマップのy軸上の個々のSEM値のプロットである。損傷した組織は、中心の解剖学的部位から、0.5超のSEM値の差によって画定される紅斑の端部まで放射状に広がった。
実施例2:踵の骨隆起でのSEM測定
【0063】
以下3つの方法のうちの1つを使用して、踵でSEM測定を行い、電極をヒト患者の皮膚に完全に接触させた。
【0064】
図6Aは、本開示に係る装置を使用して、踵後部から始まるSEM測定で使用する方法を示す。初めに、つま先が脛に向くよう前足部を背屈させ、次に、電極を踵の基部に位置決めした。電極を、その全体が踵に接触するように合わせた後、SEM測定を、つま先に向け直線状に複数回行った。
【0065】
図6Bは、本開示に係る装置を使用して、踵側方から始まるSEM測定で使用する方法を示す。初めに、つま先を体から離す方向に向けて、体の中央側に向け内方に回転させ、次に、電極を踵の側方側の位置に合わせた。電極を、その全体が踵に接触するように合わせた後、SEM測定を、足裏に向け直線状に複数回行った。
【0066】
図6Cは、本開示に係る装置を使用して、踵中央から始まるSEM測定で使用する方法を示す。初めに、つま先を体から離す方向に向けて、体の側方側に向け外方に回転させ、次に、電極を踵の中央側の位置に合わせた。電極は、その全体が踵に接触するように合わせた後、複数の測定を、踵の裏周りを曲線状に複数回行った。
実施例3:損傷組織の領域の識別
【0067】
SEM測定を、患者の仙骨上で各々2cm間隔の直線状に行った。複数の測定を、所定の測定位置で複数回行った。図7Aは、損傷組織の視覚的評価の例である。図7Bは、各測定位置で行うSEM測定の平均値をプロットした対応図である。端部の紅斑は、0.5より大きいSEM値の差によって画定される。
実施例4:健康な組織のSEM測定
【0068】
SEM測定を、患者の仙骨上で直線状に行った。複数の測定を、所定の測定位置で複数回行った。図8Aは、健康な組織の視覚的評価の例である。図8Bは、各測定位置で行うSEM測定の平均値をプロットした対応図である。組織は、SEM値の差が0.5未満である場合はすべて「健康」と定義される。
実施例5:損傷組織のSEM測定マップ
【0069】
SEM測定を実施例1に従って行った。図9Aは、解剖学的部位の周りの同心円上に記入した平均SEM値のマップの例である。図9Bは、患者の皮膚に対応する視覚的評価である。損傷組織は、実線丸で識別され、最大SEM値との比較によるSEM値の差は、0.5より大きい。先端の炎症は、点線丸で識別され、最大SEM値との比較によるSEM値の差は、0.5以上である。先端の炎症は、点線で識別され、SEMマップでは最大値を示す。
実施例6:SEM測定の画像表示の例
【0070】
複数配列の同軸電極でSEM測定を行った。図10は、規定領域上の皮膚の含水量を示すSEM測定画像の出力の例である。SEM値が異なる場合は、違う色で表示する。
実施例7:皮膚含水量のSEM経時測定
【0071】
褥瘡の発症をシミュレートするために保湿剤を使用した。保湿剤0.2mLを、被験者の内側前腕に60秒間塗り、その後、保湿剤を皮膚から拭き取った。複数配列の同軸電極でSEM測定を各々10分間、2時間行った。図11は、被験者の含水量を観察するためのSEM測定画像の時間経過の例を示す。
実施例8:患者の皮膚を調べるための最適な電極の選択
【0072】
図12Aは、本開示の方法に係る様々なSEMレベルの深さを示す、有限要素モデルをグラフ表示した例である。各線は、SEM値及び含水量の深さを示す。
【0073】
本開示に係る装置を使用して、皮膚様材料の様々な深さの、実際のSEMレベルを測定した。具体的には、該装置は、1つの同軸電極を含む。初めに、皮膚様材料をシミュレートする水疱包帯の厚さを測定し、水疱包帯を同軸電極に配置した。その後、本開示に係る許容範囲内で、金属を介して同軸電極に下方の力を加えた。該金属は、管状の第2の金属に嵌合される。該第2の金属は、真鍮、アルミニウム及びステンレス鋼から選択され、SEM測定を記録した。SEM測定をさらに記録するため、さらに別の水疱包帯を同軸電極上に配置した。図12Bは、様々な厚さの水疱包帯における、SEM測定のプロットの例である。異なる管状金属の存在下でのSEM値の変動は、理論に限定されることなく、潜在的な磁場の干渉で起こる場合がある。同軸センサで発生する磁場の最大深さは、金属管が磁場と干渉しなくなる時点の、同軸センサとの距離で決定された。本実施例において、最大深さは、0.135インチから0.145インチの範囲であった。従って、最適な侵入深さを有する電極を選択して、患者の皮膚の特定深さを調べる場合がある。
【0074】
本発明は、特定の実施形態に関連して記載されているものの、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更を行い、またその要素を均等物に置換可能であることを当業者は理解するであろう。さらに、本発明の範囲を逸脱することなく、本発明の教示の特定の状況又は材料が、多く修正される場合がある。
【0075】
従って、本発明は、本発明を実施するために意図する最良の形態として開示される特定の実施形態には限定されないものの、本発明は、添付の請求項の趣旨及び範囲に該当するすべての実施形態を包含することを意図するものである。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
【手続補正書】
【提出日】2023-06-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
損傷した組織を識別するための方法であって、
識別の期間にわたって装置を使用して、解剖学的部位およびその周囲で複数の表皮下水分(SEM)測定値を連続して取得するステップと、
前記連続する複数のSEM測定値の各々のデルタ値を決定するステップと、
前記デルタ値の各々が閾値を超えるか否かを決定するステップと、
時間間隔の所定の部分の期間に前記デルタ値が前記閾値を超えたときに損傷組織を識別するステップと、備え、
前記装置が、
無線周波数信号を発信及び受信して、生体キャパシタンス信号を生成するように構成される、1つ又は複数の同軸電極と、
前記1つ又は複数の同軸電極に電子的に結合され、前記生体キャパシタンス信号を前記複数のSEM測定値に変換するように構成される回路と、
前記1つ又は複数の同軸電極に電子的に結合され、前記SEM値を受信するように構成されるプロセッサと、
前記プロセッサに電子的に結合され、命令が格納された持続的なコンピュータ可読媒体と、を備える、方法。
【請求項2】
前記解剖学的部位は、骨隆起である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記解剖学的部位の周囲で測定された少なくとも2つのSEM値は、前記骨隆起から等距離で記録される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記骨隆起の周りの1つ又は複数の同心円上に位置する位置で、2つ以上のSEM値が測定されることをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
時間間隔の前記所定の部分は、5日である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
時間間隔の前記所定の部分は、4日である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
時間間隔の前記所定の部分は、3日である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
時間間隔の前記所定の部分は、2日である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
時間間隔の前記所定の部分は、1日である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記連続する複数のSEM測定値を遠隔装置に送信するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記装置は、無線データを受信および送信するように構成された第2の回路をさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記遠隔装置は、コンピュータ、タブレット、モバイルデバイス、およびウェアラブルデバイスから成るグループから選択される、請求項10に記載の方法。
【外国語明細書】