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特開2023-113777テーブルゲームの管理システム及びゲーム管理システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113777
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】テーブルゲームの管理システム及びゲーム管理システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 1/06 20060101AFI20230808BHJP
   A63F 1/14 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
A63F1/06 Z
A63F1/06 A
A63F1/14
【審査請求】有
【請求項の数】50
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091255
(22)【出願日】2023-06-01
(62)【分割の表示】P 2019090747の分割
【原出願日】2019-05-13
(31)【優先権主張番号】P 2018093247
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カジノ遊技場の経営ないし運用の改善に役立つ経営情報を得ることができるテーブルゲームの管理システムを提供する。
【解決手段】管理制御装置(50)は、ゲーム参加人が遊技テーブルのベットエリア上に置いたチップの位置と種類と枚数とを特定し、ゲーム参加人が遊技テーブルのベットエリア上に置いたチップの賭け総額を検知し、更にカードシュー(3)及び測定装置(21)から得る情報を使用してゲーム主催者側の勝ち又は負け金額を検知する。売上収支管理部は、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額と賭け総額との比率である対売上利益率を、理論上の利益率又は過去の平均利益率と比較し比較結果を出力する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーブルゲームの管理システムであり、
遊技テーブルにおいて各ゲームの勝敗結果を判定する勝敗判定装置と、
前記遊技テーブル上に置いた遊技用代用貨幣の種類と枚数を測定する測定装置と、
各ゲームにおいて前記測定装置の測定結果を用いて、ゲーム参加人が前記遊技テーブルのベットエリア上に置いた遊技用代用貨幣の位置と種類と枚数とを特定し記憶する管理制御装置と、を有し、
前記遊技用代用貨幣は、複数の色の異なるプラスチックの着色部分を備え、外観から遊技用代用貨幣の種類が特定可能な構成を備えており、
前記測定装置は、カメラを用いて遊技用代用貨幣の位置と種類と枚数とを検知する構成を有しており、
前記管理制御装置は前記測定装置から得た情報を使用して、ゲーム参加人が前記遊技テーブルのベットエリア上に置いた遊技用代用貨幣の合計額である賭け総額(B)を検知可能であり、
前記管理制御装置は、更に前記勝敗判定装置及び前記測定装置から得る情報を使用してゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)を検知し、前記ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)と、前記賭け総額(B)と、の比率である対売上利益率(X)を出力可能であり、
また更に、前記管理制御装置は前記対売上利益率(X)を、理論上の利益率又は過去の平均利益率と比較し比較結果を出力可能な構成である、テーブルゲームの管理システム。
【請求項2】
テーブルゲームの管理システムであり、
遊技テーブルにおいて各ゲームの勝敗結果を判定する勝敗判定装置と、
前記遊技テーブル上に置いた遊技用代用貨幣の種類と枚数を測定する測定装置と、
各ゲームにおいて前記測定装置の測定結果を用いて、ゲーム参加人が前記遊技テーブルのベットエリア上に置いた遊技用代用貨幣の位置と種類と枚数とを特定し記憶する管理制御装置と、を有し、
前記遊技用代用貨幣は、複数の色の異なるプラスチックの着色部分を備え、外観から遊技用代用貨幣の種類が特定可能な構成を有するとともにユニークなIDを備えており、
前記測定装置は、前記遊技用代用貨幣が備えるユニークなIDを読み取って遊技用代用貨幣の位置と種類と枚数とを検知する、及び/又はカメラを用いて遊技用代用貨幣の位置と種類と枚数とを検知する構成を有し、
前記管理制御装置は前記測定装置から得た情報を使用して、ゲーム参加人が前記遊技テーブルのベットエリア上に置いた遊技用代用貨幣の合計額である賭け総額(B)を検知可能であり、
前記管理制御装置は、更に前記勝敗判定装置及び前記測定装置から得る情報を使用して、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)を検知し、前記ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)と、前記賭け総額(B)と、の比率である対売上利益率(X)を出力可能であり、
また更に、前記管理制御装置は前記対売上利益率(X)を、理論上の利益率又は過去の平均利益率と比較し比較結果を出力可能な構成である、テーブルゲームの管理システム。
【請求項3】
前記測定装置は、前記遊技用代用貨幣の位置と種類と枚数とを、ディープラーニングを用いて検知する構成を有する、請求項1又は2に記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項4】
前記管理制御装置は、ゲーム毎に前記賭け総額(B)、または前記ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)、あるいは前記対売上利益率(X)を出力可能な構成である、請求項1から3のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項5】
前記測定装置は、更に前記遊技テーブルのプレイヤポジション毎の前記賭け総額(B)を検知する構成を有しており、
前記管理制御装置は、前記測定装置から得た情報を使用して、前記プレイヤポジション毎の前記賭け総額(B)及び/又は前記対売上利益率(X)を出力可能である、請求項1から4のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項6】
前記管理制御装置は、前記プレイヤポジションと前記遊技テーブルにおける特定のゲーム参加人とを、関連付け可能な構成である、請求項5に記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項7】
前記管理制御装置は、前記遊技テーブルにおけるゲーム参加人が置いた遊技用代用貨幣をスタック毎に把握可能であり、
前記各スタックと前記遊技テーブルにおける特定のゲーム参加人とを、関連付け可能な構成である、請求項5に記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項8】
前記管理制御装置は、ゲーム数と当該ゲーム数にかかった時間との関係を把握可能な構成を有し、ゲーム参加人毎、あるいは遊技テーブル毎、及び/又は各テーブルを担当するディーラ毎に、所定ゲーム数あたりの、前記賭け総額(B)、または前記ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)、あるいは前記対売上利益率(X)を出力可能な構成である、請求項1から7のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項9】
前記管理制御装置は、前記遊技テーブルにおけるゲーム参加人が置いた遊技用代用貨幣の賭け位置及び/又はスタック数、あるいはスタック毎の前記遊技用代用貨幣の枚数を更に把握し、ゲーム数及び当該ゲーム数にかかった時間と関連付けて出力可能な構成を備えた、請求項1から8のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項10】
前記管理制御装置は、前記遊技テーブルにおけるゲーム参加人数を更に把握し、ゲーム数及び当該ゲーム数にかかった時間と関連付けて出力可能な構成を備えた、請求項1から8のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項11】
前記管理制御装置は、各遊技テーブルを担当するディーラを把握可能であり、ディーラ毎に、
1)ベット時間、
2)チップ回収時間、
3)チップ支払時間、
4)ゲーミング時間、
の少なくとも一つの要素時間を検出し記憶する機能を備えた、請求項8から10のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項12】
前記テーブルゲームは、プレイングカードを使用するゲームであって、
前記管理制御装置は、各ゲームの前記プレイングカードの配布の開始時間と終了時間を検出可能であり、前記プレイングカードの配布の開始時間から終了時間までの時間を前記ゲーミング時間として把握する機能を備えた、請求項11に記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項13】
遊技テーブル毎の最低賭け額が設定可能であり、前記管理制御装置は、所定の時間内あるいは期間における前記賭け総額(B)を上げるために、前記最低賭け額を前記遊技テーブルに提案する出力が可能な構成を備えた、請求項1から12のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項14】
複数の遊技テーブルを管理する全体管理装置を更に備え、
前記全体管理装置は、各遊技テーブルあるいは複数の遊技テーブル単位での所定の時間内あるいは期間における前記賭け総額(B)を上げるために、各遊技テーブルにそれぞれ異なる前記最低賭け額を提案する出力が可能な構成を備えた、請求項1から13のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項15】
複数の遊技テーブルを管理する全体管理装置を更に備え、
前記全体管理装置は、複数の遊技テーブル単位で、前記プレイヤポジション毎または特定のゲーム参加人毎の賭け額の情報を把握し、当該情報を基にして前記各遊技テーブルの前記最低賭け額を提案する出力が可能な構成を備えた、請求項1から13のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項16】
複数の遊技テーブルを管理する全体管理装置を更に備え、
前記全体管理装置は、複数の遊技テーブル単位で、ゲーム毎の賭け総額(B)及び/又は所定の時間又は期間における賭け総額(B)を把握し、新規にオープンする遊技テーブルの前記最低賭け額を提案する出力が可能な構成を備えた、請求項1から13のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項17】
前記管理制御装置は、前記遊技テーブルの最低賭け額に対して所定の比率以上の額で賭けるゲーム参加人が所定の比率以上のときに、前記最低賭け額を上げることを前記遊技テーブルに提案する出力が可能な構成を備えた、請求項13から16のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項18】
前記全体管理装置は、前記最低賭け額が高額の遊技テーブルにおける平均のゲーム参加人数をより少なくするように、各遊技テーブルに前記最低賭け額を提案する出力が可能な構成を備えた、請求項14から17のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項19】
前記全体管理装置は、ゲーム参加人数が所定人数以下の遊技テーブルが所定の比率以上のときに、前記最低賭け額を下げることを前記遊技テーブルに提案する出力が可能な構成を備えた、請求項14から17のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項20】
複数の遊技テーブルを管理する全体管理装置を更に備え、
前記全体管理装置は、所定の時間又は期間における前記ゲーム参加人毎の賭け総額を把握し、所定の条件で前記ゲーム参加人にポイントまたはステイタスを付与し、これを出力可能な構成である、請求項1から10のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項21】
複数の遊技テーブルを管理する全体管理装置を更に備え、
前記全体管理装置は、所定の時間又は期間における前記ゲーム参加人毎のネット利益を把握し、所定の条件で前記ゲーム参加人にポイントまたはステイタスを付与し、これを出力可能な構成である、請求項1から10のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項22】
複数の遊技テーブルを管理する全体管理装置を更に備え、
前記全体管理装置は、所定の時間又は期間における前記ゲーム参加人毎の参加ゲーム数を把握し、所定の条件で前記ゲーム参加人にポイントまたはステイタスを付与し、これを出力可能な構成である、請求項1から10のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項23】
複数の遊技テーブルを管理する全体管理装置を更に備え、
前記全体管理装置は、週単位または月単位、あるいは所定の期間における、ゲーム参加人毎の、
1)当該遊技場への訪問回数、
2)賭け回数、
3)勝ち金額、
4)負け金額、
の少なくとも一つの情報を記憶する機能を備えた、請求項1から22のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項24】
前記全体管理装置は、前記1)から4)の少なくとも一つの情報を、前記ゲーム参加人が前記遊技場に入場する際に出力する構成である、請求項23に記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項25】
複数の遊技テーブルを管理する全体管理装置を更に備え、
前記全体管理装置は、前記ゲーム参加人毎の累積もしくは所定の期間の賭け額を当該ゲーム参加人の与信情報として出力する構成である、請求項1から22のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項26】
前記全体管理装置は、所定の時間又は期間における前記ゲーム参加人の前記遊技用代用貨幣の購入情報を把握可能であり、前記ゲーム参加人毎の賭け金額、あるいは勝ち又は負け金額と、前記購入情報とを関連付けて出力可能な構成を備えた、請求項20から22のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項27】
前記全体管理装置は、前記遊技用代用貨幣の種類毎に前記購入情報を把握可能な構成を備えた、請求項26に記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項28】
前記所定の時間又は期間は、一日単位もしくは連続した複数日間又は一か月単位あるいは累積で、前記ポイントまたはステイタスが付与される構成である、請求項20から22のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項29】
前記所定の時間又は期間において集中的にポイントが付与されると、更に追加して前記ポイントまたはステイタスが付与される構成である、請求項20から22のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項30】
前記ポイントまたはステイタスの所定の条件に基づき、VIPルームへの入室権を付与する構成を備えた、請求項20から22のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項31】
前記ポイントまたはステイタスは、所定の条件に基づき換金不能な遊技用代用貨幣に交換可能な構成を備えた、請求項20から22のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項32】
前記ポイントまたはステイタスは、所定の条件に基づきホテルもしくは所定の施設の利用料金の支払いに使用可能な構成を備えた、請求項20から22のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項33】
前記管理制御装置は、以下の項目1)から3)を記憶する機能を備え、
1)前記遊技テーブルで行われる個別のゲームの賭け金(B)、
2)前記遊技テーブルで行われる個別のゲームの勝敗結果(W&L)、
3)遊技テーブルで行われるゲームのルールに基づく粗利率(R%)、
ゲーム毎及び/又は所定の時間又は期間における前記1)から3)の項目の情報を用いて、以下の式、
Y=Σ(B×W&L×R%)
を計算し粗利(Y)を出力可能な構成を備えた、請求項1から32のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項34】
前記管理制御装置は、所定の時間毎の前記遊技テーブルにおけるゲーム参加人が置いた遊技用代用貨幣の賭け位置及び/又はスタック数、あるいはスタック毎の前記遊技用代用貨幣の枚数を更に出力可能な構成を備えた、請求項33に記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項35】
前記管理制御装置は、遊技テーブルで行われるゲームのルールに基づく前記粗利率(R%)が、前記遊技テーブルのレイアウト又はベットエリア毎に異なる粗利率である場合には、それらの異なる粗利率(R1%、R2%、・・・)を採用して粗利(Y)を計算する機能を備えた、請求項33または34に記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項36】
前記管理制御装置は、前記遊技テーブルのレイアウト又はベットエリア毎に異なる粗利率が設定されている場合には、それらの異なる粗利率(R1%、R2%、・・・)のレイアウト又はベットエリア毎に、ゲームの賭け金総額(TB)及び/又はゲームの賭け金額(B)の分布状態を出力する機能を備えた、請求項35に記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項37】
前記管理制御装置は、前記遊技テーブルのレイアウト又はベットエリア毎に異なる粗利率が設定されている場合には、異なる粗利率(R1%、R2%、・・・)毎に、レイアウト又はベットエリア毎のゲームの賭け金総額(TB)及び/又はゲームの賭け金額(B)の分布状態を出力する機能を備えた、請求項35に記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項38】
複数の遊技テーブルを管理する全体管理装置を更に備え、
前記全体管理装置は、前記遊技テーブルのレイアウト又はベットエリア毎に異なる粗利率が設定されている場合には、それらの異なる粗利率(R1%、R2%、・・・)のレイアウト又はベットエリアを備えた前記遊技テーブル単位でそれぞれの前記遊技テーブルの粗利(Y)または総粗利率(R%)を比較可能な機能を備えた、請求項35に記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項39】
前記測定装置は、前記遊技用代用貨幣が備えるユニークなIDを読み取って、及び/又はカメラを用いて、前記遊技テーブルに設けたチップトレイに存在する遊技用代用貨幣の総額を測定する構成を有し、
前記管理制御装置は、各ゲームにおいて前記勝敗判定装置及び前記測定装置から得る情報を使用してゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)を検知し、前記チップトレイに存在する遊技用代用貨幣の総額の増減額と、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)とが、各ゲームにおいて一致するか否かを検出する不一致検出を行い出力する構成を備えた、請求項1から38のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項40】
前記管理制御装置は、前記チップトレイに存在する遊技用代用貨幣の総額の増減額と、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)とが一致するか否か比較する不一致検出の回数をカウントし出力する構成を備えた、請求項39に記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項41】
前記管理制御装置は、前記チップトレイに存在する遊技用代用貨幣の総額の増減額と、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)とを比較し、不一致があった時に不一致の額(L)をカウントし出力する構成を備えた、請求項39に記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項42】
前記管理制御装置は、不一致の額(L)の累積額を把握し出力する構成を備えた、請求項41に記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項43】
前記管理制御装置は、前記チップトレイに存在する遊技用代用貨幣の総額の増減額と、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)とを比較し、不一致の額(L)をカウントし、以下の式、
Y’=Σ(B×W&L×R%±L)
を計算し粗利(Y’)を出力可能な構成を備えた、請求項41に記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項44】
前記管理制御装置は、前記チップトレイに存在する遊技用代用貨幣の総額の増減額とゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)とを比較し、不一致の額(L)をカウントし、ゲーム参加人毎あるいは各遊技テーブルを担当するディーラ毎に、不一致の額(L)を出力する構成を備えた、請求項43に記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項45】
前記管理制御装置は、所定のゲーム数が終了した時点における、ゲーム参加人毎または各遊技テーブルを担当するディーラ毎の現実の勝率及び粗利(Y)の合計額の結果と、確率統計計算上の数字または過去の蓄積データに基づく数字と、を比較して両者に有意差があるか否かを判定し、有意差の生じているゲーム参加人またはディーラ、あるいは遊技テーブルの少なくとも一つを特定する計算機能を更に備えた、請求項1から44のいずれかに記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項46】
前記管理制御装置は、異なる粗利率(R%)の賭け位置における各遊技テーブルの賭けチップ額を記憶し、前記有意差の生じた一連のゲームにおける有意差の生じた原因が、前記異なる粗利率(R%)の賭け位置に関連するか否かを特定する計算機能を備えた、請求項45に記載のテーブルゲームの管理システム。
【請求項47】
遊技場で行われるカジノゲームを管理するゲーム管理システムであって、
遊技テーブルにおいて各ゲームの勝敗結果を判定する勝敗判定装置と、
前記遊技テーブル上に置いた遊技用代用貨幣の位置と種類と枚数を測定する測定装置と、
各ゲームにおいて前記測定装置の測定結果を用いて、前記遊技テーブルのプレイヤポジション毎に前記遊技テーブルのベットエリア上に置いた遊技用代用貨幣の位置と種類と枚数とを特定し記憶する管理制御装置と、
複数の遊技テーブルを管理する全体管理装置と、を有し、
前記管理制御装置は、前記プレイヤポジションと前記遊技テーブルにおける特定のゲーム参加人とを関連付けて、前記勝敗判定装置及び前記測定装置から得た情報を使用して、ゲーム参加人毎の勝ち又は負け金額を検知可能であり、
前記全体管理装置は、
所定の時間又は期間における前記ゲーム参加人毎の前記遊技用代用貨幣の購入情報及び売却情報を把握し、前記ゲーム参加人毎の購入情報及び売却情報と前記管理制御装置が検知した前記ゲーム参加人毎の勝ち又は負け金額とを加減算して、所定のタイミングにおける前記ゲーム参加人毎の保有する遊技用代用貨幣の残高を把握する機能を備えた、ゲーム管理システム。
【請求項48】
前記全体管理装置は、各ゲーム参加人が遊技場に入場してから退場するまでの期間におけるゲーム参加人毎の前記遊技用代用貨幣の購入情報及び売却情報を把握可能な構成である、請求項47に記載のゲーム管理システム。
【請求項49】
前記ゲーム参加人の遊技場への入退場を認識する入退場管理装置を更に備え、
前記全体管理装置は、前記入退場管理装置から得た情報を使用して前記ゲーム参加人の前記遊技場への入退場に際して、退場しようとするゲーム参加人を把握し、当該ゲーム参加人が保有する遊技用代用貨幣の残高が所定以上であれば、当該ゲーム参加人の退場に対する警告機能を更に備えた、請求項47または48に記載のゲーム管理システム。
【請求項50】
前記ゲーム参加人は、カメラから得た画像を用いた顔認証システム、あるいは前記ゲーム参加人が所持するメンバーズカードまたはクレジットカードの読取により特定される、請求項47から49のいずれかに記載のゲーム管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブルゲームを提供するカジノ遊技場にて用いられるテーブルゲームの管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カジノ遊技場では、ゲーム主催者ないし経営者が経営分析を行うための情報として、カジノ遊技場における所定期間内の収入(粗利益)が用いられている。収入は、所定期間にカジノ遊技場で行われるゲームにおいて、負けたプレイヤからベット額を回収し、勝ったプレイヤに必要な払出しをしたときの、当該期間の初めと終わりとの間のゲーム主催者(ハウス)の所持金の差額として求めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、単に収入の大小を把握するだけでは、適切な経営分析を行うことができない。すなわち、カジノ遊技場ゲーム主催者は、収入額が目標とする額あるいは理想的な額から乖離している場合に、どこに改善の余地があるかを分析する情報を持っていなかった。
【0004】
そこで、本発明は、カジノ遊技場の経営ないし運用の改善に役立つ経営情報を得ることができるテーブルゲームの管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、テーブルゲームの管理システムであり、遊技テーブルにおいて各ゲームの勝敗結果を判定する勝敗判定装置と、前記遊技テーブル上に置いた遊技用代用貨幣の種類と枚数を測定する測定装置と、各ゲームにおいて前記測定装置の測定結果を用いて、ゲーム参加人が前記遊技テーブルのベットエリア上に置いた遊技用代用貨幣の位置と種類と枚数とを特定し記憶する管理制御装置と、を有し、前記遊技用代用貨幣は、複数の色の異なるプラスチックの着色部分を備え、外観から遊技用代用貨幣の種類が特定可能な構成を備えており、前記測定装置は、カメラを用いて遊技用代用貨幣の位置と種類と枚数とを検知する構成を有しており、前記管理制御装置は前記測定装置から得た情報を使用して、ゲーム参加人が前記遊技テーブルのベットエリア上に置いた遊技用代用貨幣の合計額である賭け総額(即ち、売上)(B)を検知可能であり、前記管理制御装置は、更に前記勝敗判定装置及び前記測定装置から得る情報を使用してゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)を検知し、前記ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)と、前記賭け総額(B)と、の比率である対売上利益率(X)を出力可能であり、また更に、前記管理制御装置は前記対売上利益率(X)を、理論上の利益率又は過去の平均利益率と比較し比較結果を出力可能な構成である。
【0006】
この構成により、自動で賭け総額(B)及び勝ち又は負け金額(Y)を取得して、対売上利益率(X)を評価することができる。
【0007】
テーブルゲームの管理システムであり、遊技テーブルにおいて各ゲームの勝敗結果を判定する勝敗判定装置と、前記遊技テーブル上に置いた遊技用代用貨幣の種類と枚数を測定する測定装置と、各ゲームにおいて前記測定装置の測定結果を用いて、ゲーム参加人が前記遊技テーブルのベットエリア上に置いた遊技用代用貨幣の位置と種類と枚数とを特定し記憶する管理制御装置と、を有し、前記遊技用代用貨幣は、複数の色の異なるプラスチックの着色部分を備え、外観から遊技用代用貨幣の種類が特定可能な構成を有するとともにユニークなIDを備えており、前記測定装置は、前記遊技用代用貨幣が備えるユニークなIDを読み取って遊技用代用貨幣の位置と種類と枚数とを検知する、及び/又はカメラを用いて遊技用代用貨幣の位置と種類と枚数とを検知する構成を有し、前記管理制御装置は前記測定装置から得た情報を使用して、ゲーム参加人が前記遊技テーブルのベットエリア上に置いた遊技用代用貨幣の合計額である賭け総額(即ち、売上)(B)を検知可能であり、前記管理制御装置は、更に前記勝敗判定装置及び前記測定装置から得る情報を使用して、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)を検知し、前記ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)と、前記賭け総額(B)と、の比率である対売上利益率(X)を出力可能であり、また更に、前記管理制御装置は前記対売上利益率(X)を、理論上の利益率又は過去の平均利益率と比較し比較結果を出力可能な構成である。
【0008】
この構成によっても、自動で賭け総額(B)及び勝ち又は負け金額(Y)を取得して、対売上利益率(X)を評価することができる。
【0009】
上記の管理システムにおいて、前記測定装置は、前記遊技用代用貨幣の位置と種類と枚数とを、ディープラーニングを用いて検知する構成を有していてよい。
【0010】
この構成により、遊技用代用貨幣の一部が隠れている等の場合にも、その位置と種類と枚数とを認識できる。
【0011】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、ゲーム毎に前記賭け総額(B)、または前記ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)、あるいは前記対売上利益率(X)を出力可能な構成であってよい。
【0012】
この構成により、ゲームごとに対売上利益率(X)を評価できる。
【0013】
上記の管理システムにおいて、前記測定装置は、更に前記遊技テーブルのプレイヤポジション毎の前記賭け総額(B)を検知する構成を有していてよく、前記管理制御装置は、前記測定装置から得た情報を使用して、前記プレイヤポジション毎の前記賭け総額(B)及び/又は前記対売上利益率(X)を出力可能であってよい。
【0014】
この構成により、プレイヤポジションごとに賭け総額(B)及び対売上利益率(X)を評価できる。
【0015】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、前記プレイヤポジションと前記遊技テーブルにおける特定のゲーム参加人とを、関連付け可能な構成であってよい。
【0016】
この構成により、ゲーム参加人毎に対売上利益率(X)を評価でき、極端に勝っているゲーム参加人を特定できる。
【0017】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、前記遊技テーブルにおけるゲーム参加人が置いた遊技用代用貨幣をスタック毎に把握可能であってよく、前記各スタックと前記遊技テーブルにおける特定のゲーム参加人とを、関連付け可能な構成であってよい。
【0018】
この構成により、遊技テーブル上の遊技用代用貨幣のスタックをゲーム参加人と関連付けることができる。
【0019】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、ゲーム数と当該ゲーム数にかかった時間との関係を把握可能な構成を有し、ゲーム参加人毎、あるいは遊技テーブル毎、及び/又は各テーブルを担当するディーラ毎に、所定ゲーム数あたりの、前記賭け総額(B)、または前記ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)、あるいは前記対売上利益率(X)を出力可能な構成であってよい。
【0020】
この構成により、ゲームにかかった時間からゲーム進行の効率を評価できる。
【0021】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、前記遊技テーブルにおけるゲーム参加人が置いた遊技用代用貨幣の賭け位置及び/又はスタック数、あるいはスタック毎の前記遊技用代用貨幣の枚数を更に把握し、ゲーム数及び当該ゲーム数にかかった時間と関連付けて出力可能な構成を備えていてよい。
【0022】
この構成により、スタックの数とかかった時間との関係を評価できる。
【0023】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、前記遊技テーブルにおけるゲーム参加人数を更に把握し、ゲーム数及び当該ゲーム数にかかった時間と関連付けて出力可能な構成を備えていてよい。
【0024】
この構成により、ゲーム参加人数とかかった時間との関係を評価できる。
【0025】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、各遊技テーブルを担当するディーラを把握可能で、ディーラ毎に、1)ベット時間、2)チップ回収時間、3)チップ支払時間、4)ゲーミング時間、の少なくとも一つの要素時間を検出し記憶する機能を備えていてよい。
【0026】
この構成により、ディーラの要素時間を評価できる。
【0027】
上記の管理システムにおいて、前記テーブルゲームは、プレイングカードを使用するゲームであってよく、前記管理制御装置は、各ゲームの前記プレイングカードの配布の開始時間と終了時間を検出可能であり、前記プレイングカードの配布の開始時間から終了時間までの時間を前記ゲーミング時間として把握する機能を備えていてよい。
【0028】
この構成により、ゲーミング時間を評価できる。
【0029】
上記の管理システムにおいて、遊技テーブル毎の最低賭け額が設定可能であってよく、前記管理制御装置は、所定の時間内あるいは期間における前記賭け総額(B)を上げるために、前記最低賭け額を前記遊技テーブルに提案する出力が可能な構成を備えていてよい。
【0030】
この構成により、賭け総額(B)を上げるように最低賭け額を提案できる。
【0031】
上記の管理システムは、複数の遊技テーブルを管理する全体管理装置を更に備えていてよく、前記全体管理装置は、各遊技テーブルあるいは複数の遊技テーブル単位での所定の時間内あるいは期間における前記賭け総額(B)を上げるために、各遊技テーブルにそれぞれ異なる前記最低賭け額を提案する出力が可能な構成を備えていてよい。
【0032】
この構成により、複数の遊技テーブルでの賭け総額(B)を上げるように各遊技テーブルの最低賭け額を提案できる。
【0033】
上記の管理システムは、複数の遊技テーブルを管理する全体管理装置を更に備えていてよく、前記全体管理装置は、複数の遊技テーブル単位で、前記プレイヤポジション毎または特定のゲーム参加人毎の賭け額の情報を把握し、当該情報を基にして前記各遊技テーブルの前記最低賭け額を提案する出力が可能な構成を備えていてよい。
【0034】
この構成により、最低賭け額を適切に提案できる。
【0035】
上記の管理システムは、複数の遊技テーブルを管理する全体管理装置を更に備えていてよく、前記全体管理装置は、複数の遊技テーブル単位で、ゲーム毎の賭け総額(B)及び/又は所定の時間又は期間における賭け総額(B)を把握し、新規にオープンする遊技テーブルの前記最低賭け額を提案する出力が可能な構成を備えていてよい。
【0036】
この構成により、新規にオープンする遊技テーブルの最低賭け額を適切に提案できる。
【0037】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、前記遊技テーブルの最低賭け額に対して所定の比率以上の額で賭けるゲーム参加人が所定の比率以上のときに、前記最低賭け額を上げることを前記遊技テーブルに提案する出力が可能な構成を備えていてよい。
【0038】
この構成により、最低賭け額を適切に変更できる。
【0039】
上記の管理システムにおいて、前記全体管理装置は、前記最低賭け額が高額の遊技テーブルにおける平均のゲーム参加人数をより少なくするように、各遊技テーブルに前記最低賭け額を提案する出力が可能な構成を備えていてよい。
【0040】
この構成により、最低賭け額が高額の遊技テーブルにおけるゲーム参加人数を少なくして、回転率を上げ、それによって売上を向上させることができる。
【0041】
上記の管理システムにおいて、前記全体管理装置は、ゲーム参加人数が所定人数以下の遊技テーブルが所定の比率以上のときに、前記最低賭け額を下げることを前記遊技テーブルに提案する出力が可能な構成を備えていてよい。
【0042】
この構成により、ゲーム参加者が少ない場合に最低賭け額を下げることでゲーム参加者の増加を促すことができる。
【0043】
上記の管理システムは、複数の遊技テーブルを管理する全体管理装置を更に備えていてよく、前記全体管理装置は、所定の時間又は期間における前記ゲーム参加人毎の賭け総額を把握し、所定の条件で前記ゲーム参加人にポイントまたはステイタスを付与し、これを出力可能な構成であってよい。
【0044】
この構成により、ポイント又はステイタスの付与によってゲームへの参加を促すことができる。
【0045】
上記の管理システムは、複数の遊技テーブルを管理する全体管理装置を更に備えていてよく、前記全体管理装置は、所定の時間又は期間における前記ゲーム参加人毎のネット利益(即ち、ゲーム参加人の勝ち金額から負け金額を引いた額の総額)を把握し、所定の条件で前記ゲーム参加人にポイントまたはステイタスを付与し、これを出力可能な構成であってよい。
【0046】
この構成により、所定の時間又は期間におけるゲーム参加人毎のネット利益に基づいて、ゲーム参加人がより多くのゲームに参加することを促すようにポイント又はステイタスを付与できる。
【0047】
上記の管理システムは、複数の遊技テーブルを管理する全体管理装置を更に備えていてよく、前記全体管理装置は、所定の時間又は期間における前記ゲーム参加人毎の参加ゲーム数を把握し、所定の条件で前記ゲーム参加人にポイントまたはステイタスを付与し、これを出力可能な構成であってよい。
【0048】
この構成により、所定の時間又は期間におけるゲーム参加人の参加ゲーム数に応じてより多くのゲームに参加することを促すようにポイント又はステイタスを付与できる。
【0049】
上記の管理システムは、複数の遊技テーブルを管理する全体管理装置を更に備えていてよく、前記全体管理装置は、週単位または月単位、あるいは所定の期間における、特定のゲーム参加人毎の、1)当該遊技場への訪問回数、2)賭け回数、3)勝ち金額、4)負け金額の少なくとも一つの情報を記憶する機能を備えていてよい。
【0050】
この構成により、ゲーム参加人が所定期間に遊技場でゲームに参加したかを把握できる。
【0051】
上記の管理システムにおいて、前記全体管理装置は、前記1)から4)の少なくとも一つの情報を、前記ゲーム参加人が前記遊技場に入場する際に出力する構成であってよい。
【0052】
この構成により、ゲーム参加人が遊技場に入場したことを把握できる。なお、入場時に、ゲーム参加人の訪問回数、賭け回数によって、入場を制限してもよい。
【0053】
上記の管理システムは、複数の遊技テーブルを管理する全体管理装置を更に備えていてよく、前記全体管理装置は、前記ゲーム参加人毎の累積もしくは所定の期間の賭け額を当該ゲーム参加人の与信情報として出力する構成であってよい。
【0054】
この構成により、遊技場での賭け額を与信情報として利用することができる。
【0055】
上記の管理システムにおいて、前記全体管理装置は、所定の時間又は期間における前記ゲーム参加人の前記遊技用代用貨幣の購入情報を把握可能であってよく、前記ゲーム参加人毎の賭け金額、あるいは勝ち又は負け金額と、前記購入情報とを関連付けて出力可能な構成を備えていてよい。
【0056】
この構成により、遊技用代用貨幣の購入情報、賭け金額、勝ち又は負け金額をゲーム参加人毎に把握することで、ゲーム参加人の所持しているはずの遊技用代用貨幣の額を把握でき、例えばマネーロンダリング等の疑いを検知できる。
【0057】
上記の管理システムにおいて、前記全体管理装置は、前記遊技用代用貨幣の種類毎に前記購入情報を把握可能な構成を備えていてよい。
【0058】
この構成により、遊技用代用貨幣の種類ごとの購入情報を把握できる。
【0059】
上記の管理システムにおいて、前記所定の時間又は期間は、一日単位もしくは連続した複数日間又は一か月単位あるいは累積で、前記ポイントまたはステイタスが付与される構成であってよい。
【0060】
この構成により、適切にポイント又はステイタスを付与できる。
【0061】
上記の管理システムにおいて、前記所定の時間又は期間において集中的にポイントが付与されると、更に追加して前記ポイントまたはステイタスが付与される構成であってよい。
【0062】
この構成により、所定の時間又は期間において集中的にポイントを獲得したゲーム参加者にボーナスのポイント又はステイタスを付与できる。
【0063】
上記の管理システムは、前記ポイントまたはステイタスの所定の条件に基づき、VIPルームへの入室権を付与する構成を備えていてよい。
【0064】
この構成により、ポイント又はステイタスに基づいてVIPルームへの入室を許可できる。
【0065】
上記の管理システムにおいて、前記ポイントまたはステイタスは、所定の条件に基づき換金不能な遊技用代用貨幣に交換可能な構成を備えていてよい。
【0066】
この構成により、ポイント又はステイタスに応じて、ゲームへの参加を促すことができる。
【0067】
上記の管理システムにおいて、前記ポイントまたはステイタスは、所定の条件に基づきホテルもしくは所定の施設の利用料金の支払いに使用可能な構成を備えていてよい。
【0068】
この構成により、ポイント又はステイタスに応じてホテル等の施設の利用を促し、長く滞在してもらうことでより多くカジノで賭けを行ってもらうことができる。
【0069】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、以下の項目1)から3)を記憶する機能を備え、1)前記遊技テーブルで行われる個別のゲームの賭け金(B)、2)前記遊技テーブルで行われる個別のゲームの勝敗結果(W&L)、3)遊技テーブルで行われるゲームのルールに基づく粗利率(R%)、ゲーム毎及び/又は所定の時間又は期間における前記1)から3)の項目の情報を用いて、以下の式、
Y=Σ(B×W&L×R%)
を計算し粗利(Y)を出力可能な構成を備えていてよい。
【0070】
この構成により、賭け金、勝敗結果、及び粗利率から粗利(Y)を算出できる。
【0071】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、所定の時間毎の前記遊技テーブルにおけるゲーム参加人が置いた遊技用代用貨幣の賭け位置及び/又はスタック数、あるいはスタック毎の前記遊技用代用貨幣の枚数を更に出力可能な構成を備えていてよい。
【0072】
この構成により、賭け位置又はスタックごとに賭け金を把握できる。
【0073】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、遊技テーブルで行われるゲームのルールに基づく前記粗利率(R%)が、前記遊技テーブルのレイアウト又はベットエリア毎に異なる粗利率である場合には、それらの異なる粗利率(R1%、R2%、・・・)を採用して粗利(Y)を計算する機能を備えていてよい。
【0074】
この構成により、レイアウトごとに異なる粗利率を用いて粗利(Y)を計算して、レイアウトを評価できる。
【0075】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、前記遊技テーブルのレイアウト又はベットエリア毎に異なる粗利率が設定されている場合には、それらの異なる粗利率(R1%、R2%、・・・)のレイアウト又はベットエリア毎に、ゲームの賭け金総額(TB)及び/又はゲームの賭け金額(B)の分布状態を出力する機能を備えていてよい。
【0076】
この構成により、レイアウト又はベットエリアごとに賭け金の分布を把握して、どのレイアウトにおいてより高倍率の対象に賭けられているかを分析できる。
【0077】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、前記遊技テーブルのレイアウト又はベットエリア毎に異なる粗利率が設定されている場合には、異なる粗利率(R1%、R2%、・・・)毎に、レイアウト又はベットエリア毎のゲームの賭け金総額(TB)及び/又はゲームの賭け金額(B)の分布状態を出力する機能を備えていてよい。
【0078】
この構成により、粗利率ごとに賭け金額の分布を把握して、どのレイアウトにおいてより高倍率の対象に賭けられているかを分析できる。
【0079】
上記の管理システムは、複数の遊技テーブルを管理する全体管理装置を更に備えていてよく、前記全体管理装置は、前記遊技テーブルのレイアウト又はベットエリア毎に異なる粗利率が設定されている場合には、それらの異なる粗利率(R1%、R2%、・・・)のレイアウト又はベットエリアを備えた前記遊技テーブル単位でそれぞれの前記遊技テーブルの粗利(Y)または総粗利率(R%)を比較可能な機能を備えていてよい。
【0080】
この構成により、テーブルごとに賭け金額の分布を把握して、どのレイアウトにおいてより高倍率の対象に賭けられているかを分析できる。
【0081】
上記の管理システムにおいて、前記測定装置は、前記遊技用代用貨幣が備えるユニークなIDを読み取って、及び/又はカメラを用いて、前記遊技テーブルに設けたチップトレイに存在する遊技用代用貨幣の総額を測定する構成を有していてよく、前記管理制御装置は、各ゲームにおいて前記勝敗判定装置及び前記測定装置から得る情報を使用してゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)を検知し、前記チップトレイに存在する遊技用代用貨幣の総額の増減額と、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)とが、各ゲームにおいて一致するか否かを検出する不一致検出を行い出力する構成を備えていてよい。
【0082】
この構成により、遊技用代用貨幣の回収や払出しにおける不正やミスを検知できる。
【0083】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、前記チップトレイに存在する遊技用代用貨幣の総額の増減額と、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)とが一致するか否か比較する不一致検出の回数をカウントし出力する構成を備えていてよい。
【0084】
この構成により、遊技用代用貨幣の回収や払出しにおける不正やミスの回数を把握できる。
【0085】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、前記チップトレイに存在する遊技用代用貨幣の総額の増減額と、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)とを比較し、不一致があった時に不一致の額(L)をカウントし出力する構成を備えていてよい。
【0086】
この構成により、技用代用貨幣の回収や払出しにおける不正やミスによって生じた不一致額を把握できる。
【0087】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、不一致の額(L)の累積額を把握し出力する構成を備えていてよい。
【0088】
この構成により、技用代用貨幣の回収や払出しにおける不正やミスによって生じた不一致額の累積額を把握できる。
【0089】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、前記チップトレイに存在する遊技用代用貨幣の総額の増減額と、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)とを比較し、不一致の額(L)をカウントしてよく、以下の式、
Y’=Σ(B×W&L×R%±L)
を計算し粗利(Y’)を出力可能な構成を備えていてよい。
【0090】
この構成により、不一致の額を考慮して粗利を計算することができる。
【0091】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、前記チップトレイに存在する遊技用代用貨幣の総額の増減額とゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)とを比較し、不一致の額(L)をカウントし、ゲーム参加人毎あるいは各遊技テーブルを担当するディーラ毎に、不一致の額(L)を出力する構成を備えていてよい。
【0092】
この構成により、ディーラごと又はゲーム参加人ごとに、不一致の額を把握することで、不正が疑われる者を特定できる。
【0093】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、所定のゲーム数が終了した時点における、ゲーム参加人毎または各遊技テーブルを担当するディーラ毎の現実の勝率及び粗利(Y)の合計額の結果と、確率統計計算上の数字または過去の蓄積データに基づく数字と、を比較して両者に有意差があるか否かを判定し、有意差の生じているゲーム参加人またはディーラ、あるいは遊技テーブルの少なくとも一つを特定する計算機能を更に備えていてよい。
【0094】
この構成により、ゲーム単位では発見できない高度な不正がされた場合であっても、勝率や粗利について統計的計算をすることで不正が疑われる者を特定することができる。
【0095】
上記の管理システムにおいて、前記管理制御装置は、異なる粗利率(R%)の賭け位置における各遊技テーブルの賭けチップ額を記憶し、前記有意差の生じた一連のゲームにおける有意差の生じた原因が、前記異なる粗利率(R%)の賭け位置に関連するか否かを特定する計算機能を備えていてよい。
【0096】
この構成により、例えば、勝率は通常であるが勝つときにはいつも高倍率に賭けている等のゲーム参加人、あるいはそのようなゲーム参加人と結託しているディーラを発見することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
図1図1は、遊技テーブルシステムの構成を示す図である。
図2図2は、遊技用代用貨幣の斜視図である。
図3図3は、カードシューの構成を示す斜視図である。
図4図4は、カードシューの構成を示すブロック図である。
図5図5は、読取結果表示部を示す拡大図である。
図6図6は、記録部に記録されるデータを示す図である。
図7図7は、リーダライタ及びメンバーズカードを示す図である。
図8図8は、メンバーズカード1に記憶される情報を示す図である。
図9図9は、ディーラチップトレイの平面図である。
図10図10は、ディーラチップトレイの回収フロートの拡大斜視図である。
図11図11は、ディーラチップトレイの構成を示すブロック図である。
図12図12は、テーブルゲームの管理のフロー図である。
図13図13は、4段階の不正検知における各構成要素の役割を示すフロー図である。
図14図14は、ゲーム開始時のベット情報とゲーム終了時のベット情報との比較結果を示すモニタ画面の例である。
図15図15は、レイトベッティングが行われた場合のモニタ画面の例である。
図16図16は、アンベッティングが行われた場合のモニタ画面の例である。
図17図17は、カジノ遊技場の構成の例を示す図である。
図18図18は、ゲームごとに生成されるゲームレコードの構成を示す図である。
図19図19は、全体管理装置の構成を示すブロック図である。
図20図20は、全体管理装置の売上収支管理部が生成する売上表の例を示す図である。
図21図21は、全体管理装置の売上収支管理部が生成する粗利表の例を示す図である。
図22図22は、カジノ遊技場全体の売上が低く抑えられてしまう状況を説明する図である。
図23A図23Aは、カジノ遊技場全体の売上が低く抑えられてしまう状況を説明する図である。
図23B図23Bは、カジノ遊技場全体の売上が低く抑えられてしまう状況を説明する図である。
図24A図24Aは、実際のベット額に応じた最低賭け額の設定の例を示す図である。
図24B図24Bは、実際のベット額に応じた最低賭け額の設定の例を示す図である。
図25A図25Aは、テーブル混雑度に応じた最低賭け額の推奨値の決定の例を示す図である。
図25B図25Bは、テーブル混雑度に応じた最低賭け額の推奨値の決定の例を示す図である。
図26A図26Aは、あるエリアにおいて新たに遊技テーブル4をオープンさせる例を説明する図である。
図26B図26Bは、あるエリアにおいて新たに遊技テーブル4をオープンさせる例を説明する図である。
図26C図26Cは、あるエリアにおいて新たに遊技テーブル4をオープンさせる例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
【0099】
本実施の形態では、カジノ遊技場における種々の不正やミスを発見ないし防止するための構成を説明するとともに、そのような構成を用いてカジノの運営や経営に活かすための構成を説明する。カジノにおけるゲームは、ベット、ゲーム、清算(敗者のチップの回収及び勝者への払出し)という段階を経る。ゲームテーブルでの不正は、ベット終了から清算までの間に行われることが多い。
【0100】
本実施の形態のテーブルゲームの管理システム100は、複数の遊技テーブルシステム10を備えている。各遊技テーブルシステム10ないし管理システム100は、各種のセンシング技術及び情報処理技術を用いて、リアルタイムに、あるいは事後的に不正ないしミス、又はその疑いを発見する。また、本実施の形態の管理システムは、不正やミスの発見のために取得したセンシングデータを情報処理することにより、カジノの運営や経営に役立つデータを算出する。
【0101】
<遊技テーブルシステム10>
図1は、遊技テーブルシステムの構成を示す図である。遊技テーブルシステム10は、遊技テーブル4と、カメラ2と、カードシュー3と、ディスプレイ15と、リーダライタ5と、ディーラチップトレイ17と、テーブル管理制御装置50が設けられている。カメラ2、カードシュー3、リーダライタ5、ディスプレイ15、及びディーラチップトレイ17は、それぞれテーブル管理制御装置50に接続されている。また、複数の遊技テーブルシステム10のテーブル管理制御装置50が、全体管理装置60に有線又は無線で通信可能に接続されて、全体としてテーブルゲームの管理システム100が構成される。
【0102】
<テーブル管理制御装置50>
テーブル管理制御装置50は、プロセッサ及びメモリを備えたコンピュータであり、本実施の形態の制御プログラムに従って動作する。テーブル管理制御装置50はさらに不揮発性メモリ等の記録装置も備えている。テーブル管理制御装置50は、さらに、カメラ2、リーダライタ5、ディスプレイ15、ディーラチップトレイ17と接続される入出力ポートを備えている。また、テーブル管理制御装置50は、全体管理装置60と通信するための通信機能を備えている。テーブル管理制御装置50と全体管理装置60とが無線通信をする場合には、通信機能はアンテナを含んで構成される。
【0103】
<遊技テーブル4>
遊技テーブル4は、概ね楕円形に形成されており、短径の一方側の中央はディーラDが位置するディーラポジションとされ、他方側に複数のゲーム参加人(以下、「プレイヤ」という)Pがそれぞれ位置する複数のプレイヤポジションが設けられる。図1の例では、7つのプレイヤポジションが設けられている。遊技テーブル4におけるディーラポジションには、ディーラチップトレイ17が埋め込まれている。7つのプレイヤポジションには、「1」、「2」、「3」、「5」、「6」、「7」、「8」の番号が付与されている。
【0104】
遊技テーブル4の中央部分には、PLAYERハンドエリア451、及びBANKERハンドエリア452を含むハンドエリア45が設けられている。上述のように、図1のレイアウトでは、プレイヤポジションごとにすべての種類のベット対象のベットエリアが設けられている。すなわち、図1のレイアウトでは、ベットエリア44として、PLAYERエリア441、BANKERエリア442、TIEエリア443、BANKER PAIRエリア444、PLAYER PAIRエリア445の各ベット対象がプレイヤポジションごとに設けられている。
【0105】
<遊技用代用貨幣9>
図2は、遊技用代用貨幣の斜視図である。遊技用代用貨幣(以下「チップ」という。)9は、少なくとも3枚のプラスチック板材を積層して熱圧着した後にパンチングによって切り出されて製造される。チップ9は、円板形状を有しており、表面及び裏面には同一の模様が施されている。また、表面及び裏面には、当該チップの価値を示す数字が表記されている。
【0106】
積層される複数の層のうちの最外層は、当該チップの価値に関わらず同一の白色又は淡色とし、中間の層の色は価値に応じて異なる色とする。この構成によって、チップ9の価値は、その裏表の面のデザイン(価値を示す数字を含む)から視覚的に把握されるだけでなく、その側面の中間層(「中心線」ともいう。)の色によっても把握される。
【0107】
また、チップ9の層の間には、RFIDタグが埋め込まれる。RFIDタグには、少なくともそのチップの価値を表す情報が記憶される。このように、チップ9は、電磁波を利用してRFIDタグを読み取ることによってその価値を把握可能であり、また、表裏の面又は側面の外観を視覚的に読み取ることによって、画像に基づいてその価値を把握することも可能である。
【0108】
<カメラ2及び測定装置21>
カメラ2は、デジタルカメラであり、撮影によって得られた画像及び映像を測定装置21に出力する。所定の時間間隔で画像(静止画)を撮影する。あるいは、カメラ2は、映像(動画)を撮影しつつ、定期的に画像(静止画)を撮影してもよい。カメラ2は、プレイヤPがベットするチップ9を置くベットエリア44、ディーラDがカードシュー3から引いたカードを置くハンドエリア45、及びディーラチップトレイ17を撮影するように設置されている。カメラ2にさらに、各プレイヤポジションにいるプレイヤを撮影させてもよい。
【0109】
なお、1つの遊技テーブル4にカメラ2を複数設置して、各カメラ2が異なる範囲をそれぞれ分担して撮影してもよい。例えば、左側のベットエリア44、右側のベットエリア44、ハンドエリア45、ディーラチップトレイ17、プレイヤポジションをそれぞれ撮影する複数のカメラが設けられてもよい。また、1つのカメラ21が視野を変更してそれぞれ異なる範囲を撮影するようにしてもよい。さらに、カメラが複数ある場合において、複数のカメラが同一のチップ9のスタックを撮影することもある。この場合において、いずれの画像においても死角がなく、スタックがきれいに見えているときは、より近くから撮影された画像を採用する。
【0110】
測定装置21は、カメラ2から取得した画像に対して画像認識を行う。この画像認識によって、遊技テーブル4上のチップ9が認識される。この画像認識には、画像から物体を検出する種々の技術を採用することができる。物体検出においては、深層ニューラルネットワーク、ディープラーニング等の機械学習技術が有効に用いられる。機械学習による物体検出では、チップ9を1枚ごとに識別してよい。なお、測定装置21は、LSTM等の再帰型ニューラルネットワークを用いることで、複数枚の連続する画像ないし映像のような時系列データに対して画像認識を行って物体を検出してもよい。
【0111】
測定装置21は、積み重ねられた(スタックされた)チップ9について、そのスタックごとにその価値と枚数を同時に識別して、プレイヤポジションないしプレイヤとの関連付けを行ってもよい。この場合には、例えば、「4枚の積み重なった100ドルチップ」、「5枚の積み重なった1,000ドルチップ」のような枚数と価値との組み合わせごとにラベルが用意されて、機械学習及び物体検出が行われる。このようにすることで、仮に積み重なった結果隠れてしまっているチップ9がある場合にも、積み重なったチップ9の枚数を正確に認識できる可能性がある。また、ある画像において、チップ9のスタックの周辺に死角となる他のスタックがありそうな場合には、測定装置21は、死角になっていないほうのスタックを認識して、その価値及び枚数を把握する。
【0112】
測定装置21は、さらに、遊技テーブル4のレイアウトにおける各ベットエリア441~445も識別可能である。ベットエリア44の識別にも機械学習技術を用いることができる。例えば、測定装置21は、画像に対してセマンティックセグメンテーションを行うことで、画像における各プレイヤポジションの各ベットエリア441~445に該当する領域を特定し、プレイヤポジションの番号とベットエリアの種類(ベット対象)との組み合わせからなるタグを付与する。
【0113】
測定装置21は、この画像セグメンテーションの結果とチップ9の認識結果とを合わせて、どのプレイヤポジションのどのベット対象にどの価値のチップ9が何枚置かれているか、即ち、各プレイヤポジションにおけるベット対象とベット額を把握する。
【0114】
測定装置21は、さらに、ディーラチップトレイ17内のチップの画像に対して画像認識を行うことで、ディーラチップトレイ17内にどの種類のチップが何枚あるかを把握してもよい。ディーラチップトレイ17に収容されたチップ9はいずれもその側面がトレイから露出しているので、測定装置21は、チップ9の側面の模様を認識することで、チップ9の価値を認識することができる。テーブル管理制御装置50は、この認識結果に基づいて、ディーラチップトレイ17内のチップの総額を算出する。
【0115】
測定装置21は、さらに、カメラ2の画像を分析することで、カードシュー3から引き出されて遊技テーブル4のハンドエリア45に表向きに置かれたカードの位置及び内容(ランク及びスート)を把握してもよい。この場合に、測定装置21は、画像認識によって認識したカードの位置及び内容と、記憶しているゲームルールに基づいて、ゲームの開始、終了、ゲーム結果を認識してもよい。なお、この画像認識にニューラルネットワーク技術を用いることで、カードがスクイーズされて折れ曲がっていたとしても、テーブル面に表向きに置かれたカードの内容を読み取ることが可能となる。
【0116】
測定装置21がゲームテーブル4上のカードに対しても画像認識を行う場合には、測定装置21は、ゲームの進行状況を判断することができる。具体的には、測定装置21は、カメラ2の画像を分析することで、ベットエリアにチップが置かれている(第1状態)か否か、いずれかのカードが引き出されている(第2状態)か否か、引き出されるべきカードがすべて引き出されてカードエリアに置かれている(第3状態)か否か、遊技テーブル4からカードおよびチップがすべて除かれている(第4状態)か否かを認識することで、ゲームの進行状況を把握する。
【0117】
測定装置21は、第1状態~第4状態に対応する第1状態フラグ~第4状態フラグを用意して、フラグによってゲームの進行状況を把握してよい。すなわち、第1状態フラグのみがオンである状態は、プレイヤがベットしている状態である。また、第1状態フラグのみがオンである状態から、第1状態フラグ及び第2状態フラグがオンになった状態は、カードの引き出しによるゲームが進行しているゲーミング状態である。さらに第3状態フラグがオンになると、ゲーミング状態が終了してゲーム結果が確定し、チップの回収及び払出が行われる清算状態である。第4状態フラグがオンになってから、第4状態フラグがオフになって第1状態フラグがオンになるまでの間は、前のゲームと次のゲームとの間のインターバル状態である。このように、テーブル管理制御装置50は、カメラ2の画像を分析することで、各状態フラグのオン/オフし、各状態フラグのオン/オフの組み合わせによって、ゲームの進行状況(状態)を把握する。
【0118】
また、バカラでは、遊技テーブル4上にそれぞれ「PLAYER」「BANKER」と表記された2枚の札が置かれ、ディーラがゲーム結果に応じてそれらのいずれかを裏返し、それによって当該ゲームの結果をプレイヤに明示することが行われることがある。この場合には、測定装置21は、カメラ2の画像を分析して、そのような札のいずれかが裏返されたことを把握することで、ゲーム結果が確定したことを認識して第3状態フラグをオンにしてもよい。また、このとき、測定装置21は、カメラ2の画像を分析して、裏返された札を判別することで、ゲーム結果を把握してもよい。なお、測定装置21は、テーブル管理制御装置50と同じハードウェアを用いて構成されていてもよい。
【0119】
なお、上記の実施の形態では、カメラ2及び測定装置21を用いて画像認識によって、ベットされたチップ9の位置、種類、枚数を把握したが、これに加えて、又はこれに代えて、RFIDを用いてベットされたチップ9を把握してもよい。この場合には、遊技テーブル4のテーブル面のベットエリアに対応する位置の内部に、ベットエリアに置かれたチップ9に内蔵されたRFIDタグを読み取るためのRFIDリーダが内蔵され、このRFIDリーダの読取結果がテーブル管理制御装置50に報告される。
【0120】
<カードシュー3>
図3は、カードシューの構成を示す斜視図である。カードシュー3は、収容部31に複数デッキ(例えば、8デッキ)のカードを収容可能である。ディーラDは、カードシュー3の引出口32から手動で1枚ずつカードを引き出すことができる。カードシュー3の側面には、スタンバイボタン33と、読取結果表示部34が設けられる。スタンバイボタン33は、ゲームにおいてカードの引出しが終了した際(即ち、ゲーム結果が確定した際)に操作するように用いられるボタンである。読取結果表示部34は、液晶モニタで構成される。
【0121】
また、カードシュー3の引出口32と反対側の端の上面にはゲーム結果表示ランプ35が設けられている。ゲーム結果表示ランプ35は、複数のランプを備え、いずれのランプを点灯するかでゲーム結果を示す。ゲーム結果表示ランプ35には、ゲーム結果がTIEであったときに点灯するTIEランプと、ゲーム結果がPLAYERであったときに点灯するPLAYERランプと、ゲーム結果がBANKERであったときに点灯するBANKERランプと、PLAYERがPAIRであったときに点灯するP.PAIRランプと、BANKERがPAIRであったときに点灯するB.PAIRランプとが含まれる。
【0122】
図4は、カードシューの構成を示すブロック図である。カードシュー3は、図3に示した構成に加えて、カード読取部36、ゲーム進行判定部37、ゲーム結果判定部38、ドロー制限部39、打刻部40、及び記録部41を備えている。
【0123】
カード読取部36は、ディーラDがカードシュー3の引出口32からカードを引き出す際に、引き出されるカードのランク及びスートを読み取る。カードのランク及びスートを表示する表(おもて)の面(以下、「おもて面」という。)には、人が視認可能なランク及びスートの表記の他に、ランク及びスートを表す特殊な加工がなされていている。例えば、カードに、人間の目には見えない方式でランクとスートを表す記号ないし二次元または一次元のコードが印刷され、カード読取部36はその印刷を読み取ることでカードのランクとスートを認識してもよい。
【0124】
なお、カードにそのような特殊な加工がされていなくてもよい。この場合には、カード読取部36は、カードのおもて面を撮影して画像を生成し、カードのおもて面に視認可能に印刷された、ランクを表す数字及びスートを表す記号を画像認識によって認識してもよい。あるいは、カードに記憶媒体を内蔵させてランクとスートの情報を記憶させ、カード読取部36この記憶媒体から非接触方式で情報を読み出すことで引き出されるカードのランク及びスートを認識してもよい。
【0125】
ゲーム進行判定部37は、カード読取部36の読取結果に基づいてゲームの進行を把握する。ゲーム進行判定部37は、バカラのルールに従って、ドローされるカードがバンカハンドであるかプレイヤハンドであるかを判断する。また、ゲーム進行判定部37は、バカラのルール及びゲームの開始から最初にドローされた4枚のカードのスーツ及びランクに基づいて、プレイヤ又はバンカに3枚目のカードをドローする必要があるか否かを判断する。
【0126】
図5は、読取結果表示部を示す拡大図である。読取結果表示部34は、読み取られたスーツ及びランクをバンカハンド341とプレイヤハンド342とに分けて簡易なマークによって表示する。読取結果表示部34は、ゲーム進行判定部37におけるドローされたカードがプレイヤハンドであるかバンカハンドであるかの判定結果に従って、カード読取部36で読み取られた結果(スーツ及びランク)を表示する。
【0127】
図4に戻って、ゲーム結果判定部38は、ゲーム進行部37がすべてのカードがドローされたと判断したときに、カード読取部36の読取結果とバカラのルールに従って、ゲーム結果を判定する。具体的には、ゲーム結果判定部38は、PLAYER、BANKER、TIEのいずれが勝ちであるか、PLAYERがペアになっているか、BANKERがペアになっているかを判断する。
【0128】
バカラはプレイヤPやディーラDの判断によってゲーム結果が左右されることはなく、カードシュー3において引き出されたカードのランク及びスートを把握するのみでゲーム結果を決定できる。このように、ゲーム結果判定部38を備えたカードシュー3は、勝敗判定装置としても機能する。ゲーム結果判定部38にて判定されたゲーム結果は、日時、テーブル番号とともに記録部41に記録される。
【0129】
ゲーム結果表示ランプ35は、スタンバイボタン33が押されると、ゲーム結果判定部38の判定結果に従ってランプを点灯させる。具体的には、ゲーム結果表示ランプ35は、PLAYER、BANKER、TIEのいずれが勝ちであるかに従って、PLAYERランプ、BANKERランプ、TIEランプのいずれかを点灯させる。また、ゲーム結果判定部38にて、PLAYERがペアになっていると判定された場合には、P.PAIRランプを点灯させ、BANKERがペアになっていると判定された場合には、B.PAIRランプを点灯させる。
【0130】
上述のように、スタンバイボタン33は、すべてのカードが引き出されて、プレイヤによるスクイーズが終了して遊技テーブル4においてゲーム結果が明らかになったタイミングでディーラDによって押下される。そして、スタンバイボタン33が押下されると、カードシュー3のゲーム結果表示ランプ35が点灯する。したがって、ディーラDは、遊技テーブル4上で表向きに置かれたカードによるゲーム結果とゲーム結果表示ランプ35が示すゲーム結果とが一致しているかを確認できる。
【0131】
不正なプレイヤPがカードに対して不正を行った場合(例えば、カードシュー3からドローされたカードと自ら持参したカードとをすり替えた場合)には、遊技テーブル4上で表向きに置かれたカードによるゲーム結果とゲーム結果表示ランプ35が示すゲーム結果とが一致しないことになり、ディーラDは不正を発見できる。ゲーム表示ランプ35は、スタンバイボタン33が押下されるとすべてのランプを消灯する。
【0132】
ドロー制限部39は、ドロー禁止期間にカードが引出口32からドローされようとする際に、カードの引出しを制限する。ドロー制限部39は、物理的な機構によって、引出口32からのカードの引出しを困難にし、あるいはカードの引出しを阻止する。引出しを困難にする場合には、ディーラDが誤ってカードをドローしそうになったときにディーラに注意喚起をするのに有効であり、引出しを阻止する場合には、プレイヤPが不正にカードを引き出すことを阻止するのに有効である。
【0133】
ドロー禁止期間とは、ゲームにおいてドローすべき枚数(PLAYER、BANKERの各々につき2~3枚)のカードがすべてドローされてからスタンバイボタン33が押下されるまでの間である。ドロー制限部39は、ゲーム進行判定部37からゲームの進行状況の情報を取得し、スタンバイボタン33が押下されたか否かの情報を取得し、それらに基づいてドロー禁止期間であるか否かを判断する。また、ドロー制限部39は、不正やミスなどが検知されたときに、管理テーブル管理制御装置50からの制御信号に従って、カードの引出しを制限する。
【0134】
上述のように、ディーラDは、テーブル上ですべてのカードが表向きにされてゲーム結果が確定した後にスタンバイボタン33を押下する。よってスタンバイボタン33の押下のタイミングは、ゲームの終了及び清算の開始を意味する。また、スタンバイボタン33が押下された後に最初のカードがドローされるタイミングは、ベットの終了及びゲームの開始を意味する。
【0135】
よって、打刻部40は、スタンバイボタン33の押下を検知してその時刻をゲーム終了(清算開始)時刻として記録部41に記録する。また、打刻部40は、スタンバイボタン33の押下後にカード読取部36が最初にカードを読み取ったことを検知してその時刻をゲーム開始(ベット終了)時刻として記録部41に記録する。すなわち、カードシュー3は、カードの配布の開始時刻をゲーム開始時刻とする。
【0136】
図6は、記録部に記録されるデータを示す図である。図6には1ゲーム分のレコードを示しており、記録部41にはこれらのレコードがゲームごとに記録されている。記録部41には、打刻部40によって打刻されたゲーム終了時刻及びゲーム開始時刻以外に、ゲーム結果判定部38が判定した勝敗結果(PLAYER、BANKER、TIEのいずれか)、PLAYER PAIRの有無、及びBANKER PAIRの有無が記録される。
【0137】
なお、記録部41に記録されたデータは、管理テーブル管理制御装置50に送信される。なお、図6に示すデータが記録部41に記録されることなく管理テーブル管理制御装置50に送信されて管理テーブル管理制御装置50において記録されてもよい。
【0138】
<リーダライタ5及びメンバーズカード1>
図7は、リーダライタ及びメンバーズカードを示す図である。メンバーズカード1は、プラスチック製のカードであり、その内部には、RFタグ11が内蔵されている。RFタグ11には、メンバ登録によってプレイヤ(メンバ)に付与されたメンバID及び当該プレイヤが保有しているポイント(保有ポイント)等が記憶されている。RFタグ11には、アンテナが備えられており、リーダライタ5によって非接触で情報の書込み及び読出しが可能である。
【0139】
リーダライタ5は、無線部51と、着席ボタン52と、離席ボタン53と、ポジション指定ボタン54とを備えている。無線部51は、メンバーズカード1に内蔵されたRFタグ11に対してRFID方式で情報の書込み及び読出しを行う。ポジション指定ボタン54は、遊技テーブル4の7つのポジションにそれぞれ対応するボタン「1」「2」「3」「5」「6」「7」「8」と、指定をキャンセルするボタン「C」とを含む。
【0140】
図8は、メンバーズカード1に記憶される情報を示す図である。メンバーズカード1には、メンバID、保有ポイント、直近の収支、直近3日の獲得ポイント、直近1ヶ月の獲得ポイント、及び直近1年の獲得ポイントが記録されている。直近の収支としては、前回の着席から離席までの間に払い出された額(プラス)と回収された額(マイナス)の合計の値が記録される。
【0141】
ディーラDは、プレイヤPが遊技テーブル4のプレイヤポジションに着くと、当該プレイヤPからメンバーズカード1を預かって、メンバーズカード1をリーダライタ5に読み取らせる。具体的には、ディーラDは、該当するプレイヤポジションのポジション指定ボタン54を押下して、着席ボタン52を押下し、無線部51にメンバーズカード1をかざしてメンバーズカード1に記録された情報を読み取らせる。これによって、リーダライタ5は、各プレイヤポジションにいるプレイヤPをメンバIDで特定することができ、リーダライタ5はプレイヤ特定手段として機能する。
【0142】
リーダライタ5は、無線部51で読み取った情報と、着席ボタン52の押下に応じた着席信号と、そのメンバIDに対応するプレイヤが着席したプレイヤポジションの情報をテーブル管理制御装置50に出力(送信)する。テーブル管理制御装置50は、リーダライタ5から受けた情報を記録するとともに、着席信号を受けた時刻を開始時間として記録する。開始時間は日時の形式で記録される。また、テーブル管理制御装置50は、開始時間の情報とリーダライタ5から受けたメンバIDを全体管理装置60に送信する。
【0143】
テーブル管理制御装置50では、リーダライタ5から受けたメンバIDとプレイヤポジションの情報を基に、どのプレイヤポジションでどのメンバIDのプレイヤPがプレイをしているかを把握する。すなわち、テーブル管理制御装置50は、遊技テーブル4の各プレイヤポジションと遊技テーブル4における特定のプレイヤPとを関連付けることができる。プレイヤPが複数回のゲームをプレイしている間は、テーブル管理制御装置50は、各メンバIDについて、ベット額、払出額、回収額を求めて記録していく。
【0144】
ディーラDは、プレイヤPが遊技テーブル4から離れる際には、当該プレイヤPから預かったメンバーズカード1をリーダライタ5に読み取らせる。この場合には、ディーラDは、離席ボタン53を押下して、無線部51にメンバーズカード1をかざしてメンバーズカード1からメンバIDを読み取らせる。
【0145】
リーダライタ5は、メンバIDと離席信号をテーブル管理制御装置50に出力(送信)する。テーブル管理制御装置50は、リーダライタ5から受けたメンバIDと離席信号を受けると、離席信号を受けた時刻を終了時間として記録する。終了時間は、日時の形式で記録される。また、テーブル管理制御装置50は、そのメンバIDについての開始時間から終了時間までの累積のベット額及び累積の収支を求める。さらに、テーブル管理制御装置50は、開始時間から終了時間までの累積のベット額に基づいて獲得ポイントを算出する。
【0146】
テーブル管理制御装置50は、着席時にメンバーズカード1から読み出した保有ポイントに算出した獲得ポイントを加算して保有ポイントを更新する。また、算出した獲得ポイントに基づいて、直近3日の獲得ポイント、直近1ヶ月の獲得ポイント、直近1年の獲得ポイントをすべて更新する。テーブル管理制御装置50は、更新された保有ポイント、直近3日の獲得ポイント、直近1ヶ月の獲得ポイント、直近1年の獲得ポイント、開始時間から終了時間までの累積の収支をリーダライタ5に出力する。リーダライタ5は、これらの情報でメンバーズカード1の情報を書き換える。なお、開始時間から終了時間までの累積の収支は、直近の収支として記録される。
【0147】
テーブル管理制御装置50及びリーダライタ5の上記の機能により、メンバーズカード1には、実際のベット額に応じたポイントを付与することが可能となり、また、プレイヤPは、保有ポイントをメンバーズカード1に記憶しておくことができる。
【0148】
また、プレイヤ特定手段として、顔認証システムを使用してもよい。顔認証システム用のカメラは、天井に設置されているカメラ、ベットエリアを認識するカメラ、またはテーブル毎に設置された顔認識用カメラを用いてよい。メンバーズカードと同様に、顔認証システムが認識したプレイヤ情報とベット金額等を結びつけて記録してよい。また、一つのプレイヤポジションに対して複数のプレイヤが賭ける(バックベット)場合に、それぞれのチップが誰によって賭けられたかを認識できる。
【0149】
<ディスプレイ15>
ディスプレイ15は、液晶ディスプレイである。なおディスプレイ15は、ランプを2次元配置したものであってもよい。ディスプレイ15は、プレイヤポジションにいるプレイヤPやその周辺にいる客から視認可能な位置及び向きに設置されている。
【0150】
ディスプレイ15は、各種の情報を表示する。例えば、遊技テーブル4がクローズしている場合には、そのことを示す表示(例えば、「CLOSED」の文字)を表示し、遊技テーブル4がオープンしている場合には最低賭け額(ミニマムベット額)(例えば「MIN.$100」の文字)及び最高賭け額(マキシマムベット額)(例えば「MAX.$100,000」の文字)等のゲーム条件を表示する。
【0151】
<ディーラチップトレイ17>
図9は、ディーラチップトレイの平面図である。ディーラチップトレイ17には、縦向きの複数の溝が横に並んで設けられている。各溝は、ディーラD側が若干低くなるように傾けて形成されている。これにより、溝に収容されたチップ9は、自重によってディーラDの手前側に移動し、よって、ディーラDの手前側から順に積み重ねられる。
【0152】
右側の2本の溝は、清算時に負けプレイヤPから回収したチップ9を一時的に収容するための回収フロート171であり、その他は価値別にチップ9を収容するための収容フロート172である。ディーラDは、遊技テーブル4から回収したチップ9をいったん回収フロート171に収容し、その後、勝ちプレイヤPに対して収容フロート172からチップ9を払い出して、最後に回収フロート171に収容しておいたチップ9を価値ごとに該当する収容フロート172に収容する。
【0153】
ディーラチップトレイ17の上辺には、ベット確認ランプ173、回収確認ランプ174、及び払出確認ランプ175の3つの確認ランプが設けられている。ベット確認ランプ173は、ゲーム開始時とゲーム終了時との間にベットされたチップ9に変動(レイトベッティング又はアンベッティング)がなかったかを確認した結果に応じて点灯する。回収確認ランプ174は、回収額及び回収したチップ9が真正である否かの確認結果に応じて点灯する。払出確認ランプ175は、払出額が正しいが否かの確認結果に応じて点灯する。
【0154】
ディーラチップトレイ17の内部にはチップ9に内蔵されたRFIDタグを読み取るためのRFIDリーダ176が設けられている。このRFIDリーダ176によって、回収フロート171及び収容フロート172を含むすべての溝に収容されたチップ9のRFIDタグを読み取ることができる。上述のように、各チップ9のRFIDタグには当該チップ9の価値を示す情報が記録されているので、RFIDリーダ176がディーラチップトレイ17内のすべてのチップ9のRFIDタグを読み取ることで、ディーラチップトレイ17内のチップ9の総額を把握することができる。
【0155】
なお、RFIDリーダ176は、回収フロート171に収容されたチップ9のRFIDタグと収容フロート172に収容されたチップ9のRFIDタグとを読み分けることができる。すなわち、RFID176は、RFIDタグを読み取ったときに、それが回収フロート171に収容されたチップ9のものであるか、収容フロート172に収容されたチップ9のものであるかを区別できる。なお、このような読み分けを行うために、RFIDリーダ176は、回収フロート171に収容されたチップ9のRFIDタグを読み取るためのアンテナと、収容フロート172に収容されたチップ9のRFIDタグを読み取るためのアンテナとをそれぞれ別々に備えていてもよく、あるいは、溝ごとにアンテナを備えていてもよい。
【0156】
図10は、ディーラチップトレイの回収フロートの拡大斜視図である。回収フロート171において収容するチップ9の側面に沿って曲面に形成された部分には、回収フロート171の長さ方向に沿ってスリット177が形成されている。このスリット177には、ライン状の光学センサ(ラインセンサ)178が設けられている。この光学センサ178によって、回収フロート171のどの高さまでチップ9が収容されているか、あるいは、何枚のチップ9が収容されているかを把握することができる。なお、同様のスリット及び光学センサが収容フロート172にも設けられていてよい。また、溝に一続きのスリットを形成して、裏側からカメラ(例えば赤外線カメラ)でスリットを撮像し、得られた画像に対して認識処理を行うことで、当該溝に収容されたチップ9の枚数を把握するようにしてもよい。
【0157】
図11は、ディーラチップトレイの構成を示すブロック図である。ディーラチップトレイ17は、上記で説明した構成に加えて、確認部179を備えている。確認部179は、コンピュータによって構成され、所定のプログラムを実行することで、ベット情報把握確認部1791、回収確認部1792、真贋判定部1793、及び払出確認部1794が構成される。確認部179には、テーブル管理制御装置50から各種のデータ及び指令が入力される。
【0158】
また、確認部179は、ベット確認ランプ173、回収確認ランプ174、払出確認ランプ175と接続されており、これらのランプを制御する。具体的には、確認部179は、ベット確認ランプ173、回収確認ランプ174、払出確認ランプ175を点灯、点滅、消灯を制御し、また、その発光色を制御する。確認部179の動作については後述する。
【0159】
<ゲームごとの不正検知>
以上のとおり、テーブル管理制御装置50には、不正やミス(以下単に「不正」という。)を検知するための情報が、カメラ2、カードシュー3、ディーラチップトレイ17からそれぞれ入力される。以下では、ゲームごとに不正を検知する方法について説明する。
【0160】
図12は、本実施の形態のテーブルゲームの管理のフロー図である。本実施の形態の不正検知は、ゲーム結果の把握・確認(ステップS121)、チップ9のベット情報の把握・確認(ステップS122)、チップ9の回収の確認及び真贋判定(ステップS123)、チップ9の払出しの確認(ステップS124)の4つの段階に分けられる。
【0161】
このうちのチップ9のベット情報の把握・確認(ステップS122)、チップ9の回収の確認及び真贋判定(ステップS123)、及びチップ9の払出しの確認(ステップS124)は、それぞれ、ディーラチップトレイ17の確認部179のベット情報把握確認部1791、回収確認部1792、真贋判定部1793、及び払出確認部1794によって実行される。
【0162】
テーブル管理制御装置50には、モニタが接続されており、チップ9のベット情報の把握・確認(ステップS122)、チップ9の回収の確認及び真贋判定(ステップS123)、チップ9の払出しの確認(ステップS124)については、確認のための画面がモニタに表示される。モニタは、テーブル管理制御装置50と接続されて、バックヤードに設置され、監視員によって目視確認される。なお、モニタは、バックヤードに加えて、又はバックヤードに代えて、遊技テーブル4に設置されてもよい。
【0163】
図13は、4段階の不正検知における各構成要素の役割を示すフロー図である。最左の列は遊技テーブル4におけるゲームの進行及びディーラのオペレーションのフローである。図13のフローにおいて、カードシュー3、カメラ2、ディーラチップトレイ17、及びテーブル管理制御装置50の間の連携は、テーブル管理制御装置50の制御によって行われる。
【0164】
まず、ディーラDの指示によりプレイヤPによるベットが開始される(ステップS01)。プレイヤPは各々ベットエリアにチップ9を置くことでベットを行う。すべてのプレイヤPのベットが終了すると、ディーラDは「ノーモアベット」の合図をし(ステップS02)、それ以降は、プレイヤPはベット対象及びベット額を変更することが許されない。
【0165】
ベットが終了すると、ディーラDは、カードシュー3から最初のカードをドローする(ステップS03)。カードシュー3は、前回のゲームのスタンバイボタン33が押下されて以降、最初にカードのドローを検知したときに、最初のカードのドローであると検知し(ステップS31)、打刻部40が打刻をしてその時刻を記録部41に記録し、テーブル管理制御装置50に報告する。
【0166】
テーブル管理制御装置50は、カメラ2を制御してベットエリアを撮影させる(ステップS21)。カメラ2は撮影した画像をテーブル管理制御装置50に送信し、テーブル管理制御装置50は、この画像に対して画像認識を行ってゲーム開始時のベット情報を認識する(ステップS501)。また、テーブル管理制御装置50は、ディーラチップトレイ17を制御して、RFIDリーダ176によってディーラチップトレイ17内のすべてのチップ9を読み取って、ディーラチップトレイ17内のすべてのチップ9の総額を確認する(ステップS171)。
【0167】
なお、カメラ2は所定の時間間隔で常にベットエリアを撮影してテーブル管理制御装置50に画像を送信してもよく、この場合には、テーブル管理制御装置50は、カードシュー3から最初のカードのドローを検知したことの報告を受けた後に最初にカメラ2から取得した画像について画像認識を行ってゲーム開始時のベット情報を認識してよい。ここで、ベット情報とは、どのプレイヤがどのベット対象(PLAYER、BANKER、TIE、PLAYER PAIR、BANKER PAIR)にどの価値のチップ9を何枚ベットしたかを示す情報である。テーブル管理制御装置50は、このゲーム開始時のベット情報を記憶しておく。
【0168】
ディーラDが順にカードをドローしていき、最後のカードをドローして(ステップS04)、プレイヤPによるスクイーズを経てすべてのカードがオープンになると(ステップS05)、遊技テーブル4上でゲーム結果が確定する。なお、上述のように、ディーラDが順にカードをドローしていくときに、カードシュー3は、ドローされるカードのランクとスートを読み取っている。
【0169】
ディーラDは、すべてのカードがオープンになると、カードシュー3のスタンバイボタン33を押下する(ステップS06)。カードシュー3は、スタンバイボタン33の押下を検知すると(ステップS32)、それまでに読み取ったカードのランク及びスートと、バカラのルールとに基づいて、ゲーム結果を判定し(ステップS33)、ゲーム結果に従ってゲーム結果表示ランプ35を点灯する(ステップS34)。
【0170】
ディーラDは、遊技テーブル4上でオープンになっているカードから判断されるゲーム結果と、カードシュー3のゲーム結果表示ランプ35が示すゲーム結果とを比較して、両者が一致していることを確認する(ステップS07)。この確認が、図12のフローのゲーム結果の把握・確認(ステップS121)に相当する。
【0171】
一方、カードシュー3は、スタンバイボタン33の押下を検知すると(ステップS32)、これをテーブル管理制御装置50に報告する。テーブル管理制御装置50は、カメラ2を制御してベットエリア44を撮影させる(ステップS22)。カメラ2は撮影した画像をテーブル管理制御装置50に送信し、テーブル管理制御装置50は、この画像に対して画像認識を行ってゲーム終了時のベット情報を認識する(ステップS502)。
【0172】
ゲーム開始(ベット終了)からゲーム終了までは、プレイヤPはベット内容(ベット対象、ベット額)を変更することは許されないので、不正がない場合には、制御装置5で認識されたゲーム開始時のベット情報(ステップS501)とゲーム終了時のベット情報(ステップS502)とは一致しているはずである。そこで、テーブル管理制御装置50は、この両者を比較する(ステップS503)。
【0173】
テーブル管理制御装置50は、比較結果として、一致又は不一致をディーラチップトレイ17に報告する。比較結果が不一致である場合には、ゲーム開始時よりもゲーム終了時のチップ9の総数又は総額が増加している場合(勝ちプレイヤPが試みるレイトベッティング)、及びゲーム開始時よりもゲーム終了時のチップ9の総数又は総額が減少している場合(負けプレイヤPが試みるアンベッティング)が含まれる。
【0174】
ディーラチップトレイ17のベット情報把握確認部1791は、テーブル管理制御装置50からの比較結果に応じて、ベット確認ランプ173を点灯させる(ステップS172)。ここで、ベット情報把握確認部1791は、比較結果が一致である場合には、ベット確認ランプ173を緑色に点灯し、比較結果が不一致である場合は、ヘッド確認ランプ173を黄色で点滅させる。
【0175】
ディーラDは、ベット確認ランプ173が緑色に点灯していることを確認して(ステップS08)、負けプレイヤPからチップ9を回収して回収フロート171に収容する(ステップS09)。テーブル管理制御装置50では、カードシュー3が判定したゲーム結果と、認識したベット情報に基づいて、回収すべきチップ9の額(回収額)を算出する(ステップS504)。回収額は、回収すべきチップ9の価値と枚数から計算される。テーブル管理制御装置50は、算出された回収額をディーラチップトレイ17に通知する。
【0176】
ディーラDが回収したチップ9をディーラチップトレイ17の回収フロート171に入れると、ディーラチップトレイ17の回収確認部1792は、RFIDリーダ176から読取情報を取得して、回収フロート171に収容されたチップ9の回収額を把握し、これをテーブル管理制御装置50から通知された算出された回収額と比較することにより、回収額(価値ごとの枚数)が正しいか否かを確認する(ステップS173)。なお、RFIDリーダ176では、チップ9を読み取った結果、読み取り情報として価値ごとの枚数の情報が得られ、テーブル管理制御装置50も回収額を価値ごとの枚数として算出する。よって、比較においても、これらの価値ごとの枚数が一致するかを判断する。
【0177】
またこのとき、真贋判定部1793は、RFIDリーダ176で認識したチップ9の枚数と光学センサ178で検出したチップ9の枚数とが一致するかを判断することによって、回収したチップ9の真贋判定を行う(ステップS174)。プレイヤPからRFIDタグを内蔵していない不正なチップ9を回収した場合には、光学センサ178によっては当該不正なチップ9が検知されるが、RFIDリーダ176によっては当該不正なチップ9は検知されないため、両者に不一致が生じて、不正なチップ9の存在を検知できる。
【0178】
回収確認部1792及び真贋判定部1793は、回収額の確認及び真贋判定の結果に従って、回収確認ランプ174を点灯する(ステップS175)。具体的には、ディーラチップトレイ17は、RFIDリーダ176で検出した回収額が、テーブル管理制御装置50から取得した計算上の回収額と一致し、かつ、回収したチップ9が真正である場合には、回収確認ランプ174を緑色に点灯し、回収額が一致せず、あるいは不正なチップ9が存在する場合には、回収確認ランプ174を黄色で点滅させる。
【0179】
ディーラDは、回収確認ランプ174が緑色に点灯していることを確認して(ステップS10)、勝ちプレイヤに対してチップ9を払い出す(ステップS12)。テーブル管理制御装置50では、カードシュー3が判定したゲーム結果と、認識したベット情報に基づいて、チップ9の払出額を算出する(ステップS505)。テーブル管理制御装置50は、算出された払出額をディーラチップトレイ17に通知する。ここでも払出額は、価値ごとの枚数の情報として算出される。
【0180】
ディーラDがディーラチップトレイ17から遊技テーブル4上にチップ9を払い出すと、ディーラチップトレイ17は、RFIDリーダ176を用いてディーラチップトレイ17に収容されたチップ9の払出額を求め、テーブル管理制御装置50から通知された算出された払出額と比較することにより、払出額が正しいか否かを確認する(ステップS176)。RFIDリーダ176によって、払出額は価値ごとの枚数の情報として得られる。
【0181】
ここで、ディーラチップトレイ17における払出額の確認について説明する。ディーラチップトレイ17はゲームが開始したときにディーラチップトレイ17の総額を確認している(ステップS171)。そして、テーブル管理制御装置50から計算上の回収額と払出額の通知を受けている(ステップS504、S505)。この回収額と払出額から、増減額が算出される。ステップS171で確認したゲーム開始時のディーラチップトレイ17内のチップ9の総額に、算出された増減額を加えることで、清算後にディーラチップトレイ17内にあるべきチップ9の総額が算出される。ここでも、チップ9の総額は、価値ごとの枚数として算出される。
【0182】
この算出された総額と、払出後にRFIDリーダ176によって読み取られたチップ9の総額とが一致していれば、回収及び払出しが正確に行われたということになる。ステップS173において回収が正しく行われていることが確認されているので、このことは払出しが正しく行われたことを意味する。よって、ディーラチップトレイ17の払出確認部1794は、計算によって得られた清算後のディーラチップトレイ17内にあるべきチップ9の総額(価値ごとの枚数)(テーブル管理制御装置50から取得する)と、RFIDリーダ176によって読み取られたチップ9の総額(価値ごとの枚数)とを比較することで、払出額が正しいか否かを判断する(ステップS176)。
【0183】
なお、上記に代えて、以下の方法により払出しの確認をしてもよい。すなわち、回収が正しく行われたことを確認した後に、ディーラチップトレイ17のRFIDリーダ176がディーラチップトレイ17内のすべてのチップ9のRFIDタグを読み取って、ディーラチップトレイ17内の回収後払出前の実際の総額(価値ごとの枚数)を把握し、払出後に再度RFIDリーダ176がディーラチップトレイ17内のすべてのチップ9のRFIDタグを読み取って、ディーラチップトレイ17内の払出後の実際の総額(価値ごとの枚数)を把握し、それによって、実際にディーラチップトレイ17から払い出された額を求め、この実際の払出額とテーブル管理制御装置50で算出された払出額とを比較することで、払出しが正しく行われたかを確認してもよい。
【0184】
ディーラチップトレイ17は、払出額の確認結果に従って、払出確認ランプ175を点灯する(ステップS177)。具体的には、ディーラチップトレイ17は、実際の払出額が計算上の払出額と一致する場合には、払出確認ランプ175を緑色に点灯し、実際の払出額が計算上の払出額と一致しない場合には、払出確認ランプ175を黄色で点滅させる。ディーラは、払出確認ランプ175が緑色に点灯していることを確認して(ステップS12)、ゲームを終了する。
【0185】
なお、本実施の形態では、確認部179をディーラチップトレイ17に設ける例を説明したが、確認部179の一部又はすべての機能は、テーブル管理制御装置50に設けられていてもよい。この場合には、テーブル管理制御装置50にて上記の確認部179による処理を行った後に、テーブル管理制御装置50からディーラチップトレイ17のベット確認ランプ173、回収確認ランプ174、及び払出確認ランプ175のそれぞれに対して、点灯、点滅、消灯の各指示がされる。
【0186】
図14は、ゲーム開始時のベット情報とゲーム終了時のベット情報との比較結果を示すモニタ画面の例である。画面の上段にはベット情報が表形式で示され、下段には、ディーラチップトレイ17の情報が示されている。ベット情報は、プレイヤポジションごとにどのベット対象にどの価値のチップ9が何枚ベットされているかが示される。図14の例では、3番のプレイヤポジションにおいて、BANKERに4枚の10,000ドルチップがベットされ、6番のプレイヤポジションにおいて、PLAYERに3枚の1,000ドルチップがベットされている。これらの状況は、上述のように測定装置21においてカメラ2の画像に対して画像認識をすることで把握される。
【0187】
下段の「(1)1st Card」は、ゲーム開始時(最初のカードをドローした時)にディーラチップトレイ17内に収容されているチップ9の価値ごとの枚数を示している。「(2)Game Result」は、ゲームの結果に応じた収支をチップ9の価値ごとの枚数で示している。この例では、ゲームの清算をすることでディーラチップトレイ17から10,000ドルチップが4枚減少し、1,000ドルチップが3枚増加することを示している。
【0188】
「(3)Calculated」は、(1)に対して(2)の収支の計算をした結果、即ち、清算後にディーラチップトレイ17内にあるべきチップ9の価値ごとの枚数を示している。「(4)Discard」は、廃棄ボックスへのカードの廃棄をトリガーにしてRFIDリーダ176で読取られたディーラチップトレイ17内の実際のチップ9の枚数を示している。「(5)Judgement」は、(3)と(4)の比較結果を出力する。即ち、(5)Judgementは、(3)において計算された各チップ9の枚数と、(4)においてRFIDリーダ176で読み取られた実際の各チップ9の枚数との比較結果を示している。
【0189】
図15は、レイトベッティングが行われた場合のモニタ画面の例である。図15の例では、ゲーム開始時には2番のプレイヤポジションにおいてBANKERにベットされていた1,000ドルチップは4枚であったが、ゲーム終了時には5枚に増えている。モニタ画面では、この相違があることを画面右下に「Difference」として表示している。また、上段のベット情報の表において、レイトベッティングが検知されたマス(図15の例では、2番のプレイヤポジションのBANKER)がハイライトされている。
【0190】
図16は、アンベッティングが行われた場合のモニタ画面の例である。図16の例では、ゲーム開始時には6番のプレイヤポジションにおいてPLAYERにベットされていた1,000ドルチップは3枚であったが、ゲーム終了時には2枚に減っている。モニタ画面では、この相違があることを画面右下に「Difference」として表示している。また、上段のベット情報の表において、アンベッティングが検知されたマス(図16の例では、6番のプレイヤポジションのPLAYER)がハイライトされている。
【0191】
なお、図14図15図16のようなモニタ画面が生成されなくてもよく、生成するが保存のみして表示しないようにしてもよい。また、監視員による特定の指示に応じて上記のようなモニタ画面を表示するようにしてよく、あるいは、上記のレイトベッティングやアンベッティング等の異常が検知されたときにモニタ画面を生成して、表示及び/又は保存をするようにしてよい。
【0192】
<カジノの経営分析>
以上のように、本実施の形態の遊技テーブルシステムでは、各種のセンシング技術や画像認識技術を用いることで、ゲームの各段階での不正を検出する。本実施の形態の遊技テーブルシステム及び複数の遊技テーブルシステムを含む管理システムは、これらのセンシング及び画像認識の結果をゲームごとの不正発見だけでなく、カジノの経営情報としても利用する。なお、カジノの経営情報には、ゲームごとの不正検知のみでは発見できない高度な不正検知も含まれる。このために、各遊技テーブルシステムのテーブル管理制御装置50は、全体管理装置60に接続されており、各種の情報を全体管理装置60に送信する。
【0193】
図17は、カジノ遊技場の構成の例を示す図である。カジノ遊技場には、複数の遊技テーブル4が設置されている。図17の例では、4つの遊技テーブル4が示されている。また、図17の遊技テーブル4は、バカラ用のテーブルである。以下、遊技テーブルでバカラがプレイされる場合について説明をする。
【0194】
4つの遊技テーブルには2種類のテーブル面レイアウト(以下単に「レイアウト」という。)がある。第1のタイプのレイアウト(Type-a)の遊技テーブル4Aは、7人分のプレイヤポジション(プレイヤポジション1,2,3,5,6,7,8)が用意されており、第2のタイプのレイアウト(Type-b)の遊技テーブル4Bには5人分のプレイヤポジション(プレイヤポジション1,2,3,5,6)が用意されている。
【0195】
第1のタイプの遊技テーブル4Aでは、各プレイヤポジションに対応する位置にベット対象であるPLAYER(プレイヤ)、BANKER(バンカ)、TIE(タイ)、PLAYER PAIR(プレイヤペア)、BANKER PAIR(バンカペア)のベットエリアが設けられている。一方、第2のタイプの遊技テーブル4Bでは、各プレイヤポジションに対応する位置には、ベット対象としてPLAYER(プレイヤ)及びBANKER(バンカ)のベットエリアのみが設けられ、TIE(タイ)、PLAYER PAIR(プレイヤペア)、BANKER PAIR(バンカペア)のベットエリアはそれぞれまとまって配置されている。
【0196】
図18は、ゲームごとに生成されるゲームレコードの構成を示す図である。このゲームレコードは、テーブル管理制御装置50において生成されて、適宜のタイミングで全体管理装置60に送信される。ゲームレコードには、「日時」、「テーブルID」、「レイアウト」、「最低賭け額」、「ディーラID」、「ベット時間」、「ゲーミング時間」、「チップ回収時間」、「チップ払出時間」、「ゲーム結果」、「開始時ディーラチップ額」、「清算後ディーラチップ額」、「検証結果」の各情報が含まれる。
【0197】
「日時」は、ゲームの開始日時である。なお、「日時」として、ゲーム開始日時に加えて、又は代えて、ゲームの終了日時を記録してもよい。「テーブルID」は、各テーブルに固有に与えられたIDである。テーブルIDによってテーブルを特定できる。「レイアウト」は、テーブル面のレイアウトの種類を表す。図17の例では2種類のレイアウト(Type-a及びType-b)があるが、「レイアウト」はそのいずれの種類であるかを表している。
【0198】
「最低賭け額」は、そのゲームにおいて設定された最低のベット額(ミニマムベット額)である。ゲームに参加するプレイヤは、各ゲームにおいてこの最低賭け額以上の額のチップをベットしなければならない。なお、最低賭け額は、ゲームとゲームとの間のタイミングに適宜変更されてもよい。また、最低賭け額に加えて、当該遊技テーブル4の1ゲームでベット最高額である最高賭け額(マキシマムベット額)を設定して記録してもよい。
【0199】
「ディーラID」は、当該遊技テーブル4でディーリングを担当しているディーラDを特定するIDである。各ディーラDにはディーラIDを記憶したICタグを内蔵したディーラカードが与えられており、ディーラDが遊技テーブル4に着いたときにディーラカードのICタグをリーダライタ5に読み込ませ、リーダライタ5が読み取ったディーラIDをテーブル管理制御装置50に出力してよい。あるいは、テーブル管理制御装置50が入力装置を備え、遊技テーブル4に着いたディーラDが入力装置から自らのディーラIDを入力してもよい。
【0200】
「ベット時間」は、ベットが開始してからベットが終了するまでの時間である。テーブル管理制御装置50は、ディーラチップトレイ17において前のゲームの払出しが正常に完了したと判断されたときに、ベットが開始されたと認識する。また、テーブル管理制御装置50は、カードシュー3において、最初のカードのドローが検知されたときに、ベットが終了したと認識する。カードシュー3は、最初のカードがドローされたときにその時刻を打刻してテーブル管理制御装置50に報告しているので、テーブル管理制御装置50はこの報告に基づいてベット終了時刻を把握する。
【0201】
なお、遊技テーブル4に使用後のカードを廃棄する廃棄ボックスを設け、廃棄ボックスにセンサを設けてよく、その場合には、テーブル管理制御装置50は、当該センサによりカードの廃棄を検知したときに、(次のゲームの)ベットが開始されたと認識してよい。また、カードシュー3等に何らかのベットの開始を指示するための操作部材を設けて、ディーラがベットの開始直前に当該操作部材を操作する運用としてよく、その場合には、テーブル管理制御装置50は、当該操作部材の操作を検知したときに、ベットが開始されたと認識してよい。さらには、テーブル管理制御装置50は、カメラ2の画像を認識することにより、ベットされたチップ9を検出することで、ベットの開始を認識してもよい。
【0202】
「ゲーミング時間」は、ディーラDがカードシュー3から最初のカードをドローしてから、スタンバイボタン33が押下されるまでの時間である。すなわち、最後のカードがカードシュー3から引き出された後、プレイヤPによるスクイーズを経てすべてのカードがオープンになって遊技テーブル4上でゲーム結果が明らかになり、それに応じてディーラDがスタンバイボタン33を押下するまでの時間もゲーミング時間に含まれる。
【0203】
「チップ回収時間」は、ゲームが終了してから、負けたプレイヤPからのチップ9の回収が終了するまでの時間である。上述のように、ディーラDがゲームの結果が確定した直後にスタンバイボタン33を押下した時刻がゲームの終了時刻とされる。また、テーブル管理制御装置50は、ディーラチップトレイ17から回収の確認の報告がされた時刻を回収の終了時刻とする。
【0204】
「チップ払出時間」は、負けたプレイヤPからのチップ9の回収が終了してから勝ったプレイヤPへのチップ9の払出しが終了するまでの時間である。テーブル管理制御装置50は、ディーラチップトレイ17から払出しの確認の報告がされた時刻を払出しの終了時刻とする。あるいは、テーブル管理制御装置50は、カメラ2の画像を分析することでチップ回収時間及びチップ払出時間を把握してもよい。あるいは、廃棄ボックスへのカードの廃棄を検知した時を「チップ払出時間」の終了としてもよい。
【0205】
「ゲーム結果」は、PLAYER、BANKER、TIEのいずれか、及びPLAYER PAIR、BANKER PAIRの有無である。上述のように、カードシュー3から引き出されるカードのランク及びスートを読み取ることでゲーム結果を把握し、テーブル管理制御装置50はカードシュー3からゲーム結果の情報を受け取る。
【0206】
「開始時ディーラチップ額」は、ゲームの開始時にディーラトレイ17に収容されているチップ9の総額であり、図13のステップS171でディーラチップトレイ17にて取得され、テーブル管理制御装置50に報告される。「清算後ディーラチップ額」は、ゲームの清算が終了した後のディーラトレイ17に収容されているチップ9の総額であり、図13のステップS176で把握されてテーブル管理制御装置50に報告される。
【0207】
「検証結果」は、理論上の清算後ディーラチップ額と実際の清算後ディーラチップ額とが一致するか否かを検証した結果であり、OKかNGのいずれかで示される。テーブル管理制御装置50は、ディーラチップトレイ17で読み取られた実際の清算後のディーラチップトレイ17のチップ9の総額(上記の「清算後ディーラチップ額」)と、カードシュー3によるカードの読み取りで把握されるゲーム結果に基づいて、理論上の収支を算出し、この収支をディーラチップトレイ17で読み取られた実際の開始時のディーラチップトレイ17のチップ9の総額(上記の「開始時ディーラチップ額」)に加算することで理論上の清算後のディーラチップトレイ17の総額(理論上の清算後ディーラチップ額))を求め、これらを比較する(図13のステップS176に相当)。
【0208】
テーブル管理制御装置50は、ゲームごとに、理論上の清算後ディーラチップ額と実際の清算後ディーラチップ額とを比較して、一致する場合には検証結果を「OK」とし、不一致の場合には検証結果を「NG」とする。
【0209】
ゲームレコードには、さらに、各「プレイヤポジション」について、「メンバID」、「ベット額」、「ベット対象」、「払出(-)/回収(+)」、「売上」、「ネット利益」が含まれる。「プレイヤポジション」としては、図1に示すように、テーブルのプレイヤポジションに応じて番号が付与されている。プレイヤPは、あらかじめメンバ登録をしている。メンバ登録をしたプレイヤPには、メンバIDが付与され、メンバIDを記憶したメンバーズカード1が与えられる。メンバーズカード1には、メンバIDのほか、当該メンバが取得しているポイントも記録されている。
【0210】
「ベット額」は、プレイヤポジションごとのベット額であり、各プレイヤポジションのチップ9の価値ごとの枚数で示される。これに加えて、又はこれに代えて、「ベット額」の情報として、カメラ2及び測定装置21で画像認識をした際のチップ9のスタックごとにベット額の情報が表されてもよい。この場合には、「ベット額」には、各プレイヤポジションについて、スタック数及びスタックごとのチップ9の価値と枚数の情報が含まれる。
【0211】
「払出(-)/回収(+)」は、各プレイヤポジションに対する払出し又は回収の額である。テーブル管理制御装置50は、「払出(-)/回収(+)」として、勝ったプレイヤPについては、ベットされた額とは別にディーラDから払い出す額をマイナスの符号をつけて記録し、負けたプレイヤPについてはベットされた額にプラスの符号をつけて記録する。
【0212】
「売上」は、当該ゲームにおけるすべてのプレイヤPのベット額を足し合わせた総ベット額である。テーブル管理制御装置50は、すべてのプレイヤPのベット額を足し合わせることで「売上」を算出して記録する。「ネット利益」は、当該ゲームにおけるすべてのプレイヤの払出額(-)と回収額(+)を足し合わせた額であり、当該ゲームにおけるゲーム主催者(ハウス)の利益である。テーブル管理制御装置50は、すべてのプレイヤPの払出額と回収額を足し合わせることで「ネット利益」を算出して記録する。なお、売上(総ベット額)は、チップ9の価値ごとの枚数として記録される。
【0213】
このように、テーブル管理制御装置50は、遊技テーブル4ごとに、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額であるネット利益(Y)、プレイヤPが置いたチップ9の合計額である賭け総額(売上)(B)を出力する。特に、カメラ2及び測定装置21は、遊技テーブル4のプレイヤポジションごとの賭け総額(B)を検知し、テーブル管理制御装置50は、ゲームレコードとして、プレイヤPごと、及びプレイヤポジションごとの賭け総額(B)の情報を出力する。
【0214】
テーブル管理制御装置50は、ゲームごとに上記のゲームレコードを生成する。各遊技テーブル4のテーブル管理制御装置50は、全体管理装置60に接続されており、テーブル管理制御装置50にて生成されたゲームレコードは、テーブル管理制御装置50から全体管理装置60に送信される。なお、テーブル管理制御装置50と全体管理装置60とは、有線又は無線で通信可能に接続されている。全体管理装置60は、複数のテーブル管理制御装置50から得たゲームレコードを集計して以下の処理をする。
【0215】
図19は、全体管理装置の構成を示すブロック図である。全体管理装置60は、演算装置61と、記録装置62と、通信装置63とを備えている。演算装置61は、売上収支管理部611と、損失管理部612と、オペレーション管理部613と、レイアウト管理部614と、ポイント管理部615と、ミニマムベット管理部616と、ディーラチップ管理部617とを備えている。
【0216】
全体管理装置60は、プロセッサ及びメモリを備えたコンピュータであり、演算装置61が本実施の形態の管理制御プログラムに従って動作することで、上記の売上収支管理部611と、損失管理部612と、オペレーション管理部613と、レイアウト管理部614と、ポイント管理部615と、ミニマムベット管理部616と、ディーラチップ管理部617とが構成される。全体管理装置60はさらにハードディスク等の記録装置も備えている。また、全体管理装置60は、テーブル管理制御装置50と通信するための通信機能を備えている。
【0217】
<売上及び収支の管理>
図21は、全体管理装置60の売上収支管理部611が生成する売上表の例を示す図である。即ち、図20は、遊技テーブル4ごとのディーラチップトレイ17に収容されているチップ9の額、すなわちカジノが持っているチップ9の在庫状況を示す表である。売上収支管理部611は、遊技テーブル4ごとに、所定期間ごと(例えば、1時間ごと、24時間ごと)の売上を算出する。ここで、売上とは、プレイヤによってベットされた額(ベット額)である。
【0218】
売上収支管理部611は、所定期間におけるハウスの売上を、遊技テーブル4ごとにベットされたチップ9の価値及び枚数で管理し、かつ、遊技テーブル4ごとの総売上額でも管理している。また、売上収支管理部611は、所定期間におけるハウスの売上を、チップ9の価値ごとの枚数でも管理している。さらに、売上収支管理部611は、所定期間におけるハウスの売上を、すべての遊技テーブル4の合計の総売上額でも管理している。売上表には、売上収支管理部611で管理されるそれらの数値が示されている。
【0219】
図21は、全体管理装置60の売上収支管理部611が生成する粗利表の例を示す図である。売上収支管理部611は、遊技テーブル4ごとに、所定期間ごと(例えば、1時間ごと、24時間ごと)の粗利(収入)を管理する。ここで、粗利とは、清算において回収したチップ9の額から、清算において払い出したチップ9の額を引いた額であり、ハウスの収入である。なお、売上に対する粗利の割合(対売上利益率)は粗利率となる。
【0220】
売上収支管理部611は、所定期間におけるハウスの収入(粗利益)を、遊技テーブル4ごとに管理する。また、売上収支管理部611は、所定期間におけるすべての遊技テーブル4の総粗利益も管理する。さらに、売上収支管理部611は、所定期間における遊技テーブル4ごとの粗利率、及びすべての遊技テーブル4の総粗利率も管理する。粗利表では、売上収支管理部611で管理されるそれらの数値が各遊技テーブル4の売上及びすべての遊技テーブル4の総売上とともに示されている。
【0221】
全体管理装置60は、上述のように、売上及び粗利率を管理する。ハウスの収入は、売上と粗利率との積から不正やミスによる損失を引いた額として得られる。すなわち、以下の式(1)が成り立つ。
収入=売上×粗利率-損失 ・・・(1)
よって、ゲーム主催者は、売上を大きくし、かつ粗利率を大きくし、かつ損失を小さくすることで収入(粗利益)を大きくすることができる。なお、ミスや不正による損失を減少させるのは、上述した各種のセンサを用いたテーブルシステムによって実現される。以下では、売上及び粗利率を大きくするための処理について説明する。
【0222】
売上及び粗利率の情報のみでは、それらの情報を売上及び粗利率を増大させる具体的な経営施策に結びつけることが困難である。そこで、全体管理装置60は、売上及び粗利率を複数の構成要素に分解して、各要素を改善するのに有用な情報を算出する。
【0223】
売上は、取引数とベット額の単価(以下、「ベット単価」という。)の積で表される。すなわち、以下の式(2)が成り立つ。
売上=取引数×ベット単価 ・・・(2)
ここで、取引数とは、1人のプレイヤPによる1ゲームのプレイをいう。例えば、1つの遊技テーブル4で3人のプレイヤPがプレイしている場合には、1ゲームにおける取引数は3となり、3つの遊技テーブル4の各々で2人のプレイヤPがプレイしている場合には、1ゲームにおける取引数は2×3=6となる。また、ベット単価とは、各プレイヤPの1ゲームにおける(1取引における)平均のベット額(売上)である。すなわち、売上を大きくするためには、取引数を大きくし、かつ、ベット単価を大きくすればよい。
【0224】
取引数は、プレイヤ数(集客数)と回転率の積で表される。すなわち、以下の式(3)が成り立つ。
取引数=プレイヤ数×回転率 ・・・(3)
ここで、プレイヤ数とは、ゲームに参加をしている(ベットをする)プレイヤの数であり、回転率とは、1ゲームに要する時間の逆数(即ち、ゲームの進行スピード)である。よって、取引数を大きくするためには、ゲームに参加するプレイヤ数とゲームの回転率を大きくすればよい。
【0225】
また、粗利率は、ゲームの結果が理論上の確率と一致する場合には控除率(ハウスエッジ)となる。したがって、粗利率は、勝越率と控除率との積で表され、以下の式(4)が成り立つ。
粗利率=勝越率×控除率 ・・・(4)
ここで、勝越率とは、ゲームのルールから導かれる理論上のハウスの勝率からハウス側がどれだけ勝ち越しているかを示す割合であり、ハウスの勝率が理論上の勝率と一致する場合に1となり、ハウスの勝率が理論上の勝率を上回る場合に1より大きくなり、ハウスの勝率が理論上の勝率を下回る場合に1より小さくなる。また、勝越率は、プレイヤPの勝率がゲームのルールから導かれる理論上の勝率と一致する場合に1となり、プレイヤPの勝率が理論上の勝率を上回る場合に1より小さくなり、プレイヤPの勝率が理論上の勝率を下回る場合に1より大きくなる。
【0226】
また、控除率とは、ベット額に対してハウス側が徴収する手数料の割合であり、オッズの設定を含むゲームのルールによって決定される。控除率は、勝越率が1、即ち、ゲームの結果が理論上の結果と一致する場合に、ハウス側が例えば1~3%の利益を受けることができるように設定される。例えば、サイコロの目を予想するゲームでは、プレイヤの勝率は1/6であるが、オッズを6倍ではなく5.9倍とすることで、約1.7%の控除率が設定される。
【0227】
控除率は、遊技テーブル4のレイアウトの種類ごと、又はベットエリアごとに異なる値が設定されてよい。例えば、バカラのTIE、PAIRには、BANKERやPLAYERとは異なる控除率が設定され、ルーレットの「0」及び「00」にも他の赤又は黒の数字とは異なる控除率が設定される。
【0228】
以上の式(1)~(4)から、ハウスの収入(粗利益)は以下の式(5)ように複数の要素に分解できる。
収入=プレイヤ数×回転率×ベット単価×勝越率×控除率-損失 ・・・(5)
【0229】
まず、式(1)の要素分解によって、収入の大まかな構造を分析できる。例えば、収入(粗利益)が1万ドルある場合に、それが100万ドル売り上げに対する1%の利益なのか、10万ドルの10%の利益なのか、1000万ドルの0.1%の利益なのか等を把握できる。そこで、売上収支管理部611は、この粗利率を所定の基準粗利率(例えば、2%)ないし基準粗利率レンジ(例えば、1~3%)と比較して、粗利率が極端に低い(例えば、1%以下)場合、及び極端に高い(例えば、3%以上)場合に警告を生成する。
【0230】
式(4)が示すように、粗利率は勝越率と控除率とに要素分解できるが、控除率はゲーム主催者が設定するものであるので、粗利率が極端に高い又は低い場合には、勝越率が極端に高い又は低いことが考えられる。そこで、粗利率が極端に高い又は低い場合には、プレイヤPやディーラDによる勝越率を操作するような不正が疑われる。
【0231】
そこで、売上収支管理部611は、プレイヤPごと、ディーラDごと、遊技テーブル4ごとに、それぞれ所定期間の粗利率を算出する。これらの粗利率についても、極端に低い場合及び極端に高い場合には警告を生成する。生成された警告は、ゲーム主催者のコミュニケーションアカウント(例えば電子メールアドレス)に通知されてもよいし、記録部62に記録されてもよい。
【0232】
売上収支管理部611は、各テーブル管理制御装置50から得たゲームレコードを分析することで、所定期間のゲーム数、プレイヤ数、ベット単価のそれぞれの統計を生成する。ゲーム主催者は、売上が理想的でない場合に、ゲーム数、プレイヤ数、ベット単価のいずれに改善の余地があるかを知ることができ、また、ゲーム数、プレイヤ数、ベット単価を増やすための改善策を講じた場合に、ゲーム数、プレイヤ数、ベット単価の推移をみることで、そのような改善策の効果が得られているかを検証することができる。
【0233】
売上収支管理部611は、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額であるネット利益(Y)と、プレイヤPが置いたチップ9の合計額である賭け総額(売上)(B)との比率である対売上利益率(X)を算出して出力する。また、売上収支管理部611は、対売上利益率(X)を、理論上の利益率又は過去の平均利益率と比較し比較結果を出力する。売上収支管理部611は、所定の期間ごと、又はゲームごとに、遊技テーブル4ごと、プレイヤPごと、プレイヤポジションごと、又はディーラDごとの対売上利益率(X)を算出して、必要に応じて出力する。
【0234】
また、売上収支管理部611は、ゲーム数と当該ゲーム数にかかった時間(ベット時間+ゲーミング時間+チップ回収時間+チップ払出時間)との関係を把握する。また、売上収支管理部611は、プレイヤPごと、又は遊技テーブル4ごと、及び/又は各遊技テーブル4を担当するディーラDごとに、所定ゲーム数あたりの、賭け総額(B)、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)、及び/又は対売上利益率(X)を算出して、必要に応じて出力する。
【0235】
また、売上収支管理装置611は、1)遊技テーブル4で行われる個別のゲームの賭け金(B)、2)遊技テーブル4で行われる個別のゲームの勝敗結果(W&L)、3)遊技テーブルで行われるゲームのルールに基づく粗利率(R%)を記録装置62に記録する。そして、売上収支管理装置611は、ゲームごとの1)から3)の情報、及び/又は所定の時間又は期間における1)から3)の情報を用いて、以下の式(6)を計算して粗利益(Y)を出力する。
Y=Σ(B×W&L×R%) ・・・(6)
【0236】
ここで、1)遊技テーブル4で行われる個別のゲームの賭け金(B)は、各ゲームにおける売上である。2)遊技テーブル4で行われる個別のゲームの勝敗結果(W&L)は、上記の勝越率と同義である。この勝敗結果(W&L)について、カジノ側が勝った(チップを回収する)場合は+1となるが、カジノ側が負けた(チップを払出す)場合には-1となる。3)遊技テーブルで行われるゲームのルールに基づく粗利率(R%)は、上記の控除率と同義であり、オッズの設定を含むゲームのルールによって決定される。この粗利率は、例えば、BANKER又はPLAYERに賭けた場合は100%となるが(即ち、プレイヤは勝ったらベット額と同額の払出しを受け、負けたらベット額が全額回収される)、PAIRに賭けた場合において、プレイヤが勝ったときは800%となり、ディーラが勝ったときは100%となる(即ち、プレイヤは勝ったらベット額の8倍の額の払出しを受け、負けたらベット額が全額回収される )。
【0237】
なお、遊技テーブル4のレイアウトの種類ごと又はベットエリア(ベット対象)ごとに異なる粗利率が設定される場合(例えば、TIEやPAIRのオッズを高くする場合)には、売上収支管理部611は、それらの異なる粗利率(R1%、R2%、・・・)を採用して粗利(Y)を計算する。売上収支管理部611は、遊技テーブル4のレイアウトの種類ごと又はベットエリア(ベット対象)ごとに異なる粗利率が設定されている場合には、それらの異なる粗利率(R1%、R2%、・・・)のレイアウトの種類ごと又はベットエリア(ベット対象)ごとに、ゲームの賭け金総額(TB)及び/又はゲームの賭け金額(B)の分布状態を出力する。これにより、例えば、TIEへの賭け金額のみを把握することができる。
【0238】
さらに、売上収支管理部611は、遊技テーブル4のレイアウトの種類ごと又はベットエリア(ベット対象)ごとに異なる粗利率が設定されている場合には、異なる粗利率(R1%、R2%、・・・)ごとに、レイアウトの種類ごと又はベットエリア(ベット対象)ごとのゲームの賭け金総額(TB)及び/又はゲームの賭け金額(B)の分布状態を出力する。これにより、例えば、粗利率が極端に高くなっているベット対象のベット額を把握することができる。
【0239】
さらに、売上収支管理部611は、遊技テーブル4のレイアウトの種類ごと又はベットエリアごとに異なる粗利率が設定されている場合には、それらの異なる粗利率(R1%、R2%、・・・)のレイアウトの種類又はベットエリア(ベット対象)を備えた遊技テーブル4単位でそれぞれの遊技テーブル4の粗利(Y)又は総粗利率(R%)を比較する。これにより、テーブルごとに粗利率を比較できる。
【0240】
<損失管理>
損失管理部612は、ゲームごとの不正やミスを検知するのではなく、複数の遊技テーブル4での複数のゲームのレコードを統計的に分析することで不正やミスを検知する。損失管理部612は、ディーラチップトレイ17に存在するチップ9の総額の増減額と、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)とが一致するか否か比較する不一致検出の回数をカウントして出力する。この不一致は、ゲームレコード(図18参照)の「検証結果」がNGとなっていることで検出できる。損失管理部61は、遊技テーブル4ごと、ディーラごと、プレイヤごとのカウント値を記録装置62に記録する。これにより、カウント値が高い遊技テーブル4、ディーラD、又はプレイヤPがあれば、それについてさらなる調査を行って不正を発見することが可能となる。
【0241】
また、損失管理部612は、ディーラチップトレイ17に存在するチップ9の総額の増減額と、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)とを比較し、不一致があった時に不一致の額(L)をカウントして出力する。この不一致の額(L)は、損失管理部612にてゲームレコードの「開始時ディーラチップ額」と「清算後ディーラチップ額」との差分と「ネット利益」とを比較することで算出できる。損失管理部61は、遊技テーブル4ごと、各遊技テーブル4を担当するディーラDごと、プレイヤPごとのカウント値を記録装置62に記録する。損失管理部612は、定期的に記録装置62を参照して、不一致の額(L)の累積額を把握して出力する。これにより、カウント値が高い遊技テーブル4、ディーラD、又はプレイヤPがあれば、それについてさらなる調査を行って不正を発見することが可能となる。
【0242】
また、損失管理部612は、ディーラチップトレイ17に存在するチップ9の総額の増減額と、ゲーム主催者側の勝ち又は負け金額(Y)とを比較し、不一致の額(損失額)(L)をカウントし、式(6)を以下の式(7)に補正して、粗利(Y’)を出力する。
Y’=Σ(B×W&L×R%±L) ・・・(7)
これにより、損失額(L)を考慮した粗利の計算が可能となる。
【0243】
さらに、損失管理部612は、所定のゲーム数が終了した時点で、プレイヤPごと、各遊技テーブル4を担当するディーラDごと、及び遊技テーブル4ごとに、現実の勝率及び粗利(Y)の合計額の結果と、確率統計計算上の数字または過去の蓄積データに基づく数字とを比較して、両者に有意な差があるか否かを判定し、有意な差が生じているプレイヤP、ディーラD、及び遊技テーブル4を特定する。これにより、確率統計計算上の数字または過去の蓄積データに基づく数字と比較して、極端に多く勝っている、あるいは極端に多く負けているプレイヤPやディーラDを発見することができ、遊技テーブル4で発見されなかった不正についても発見できる。
【0244】
損失管理部612は、有意な差を検知した場合には、異なる粗利率(R%)のベットエリア(賭け位置)における各遊技テーブル4の賭けチップ額を記録装置62に記録し、有意差の生じた一連のゲームにおける有意差の生じた原因が、異なる粗利率(R%)のベットエリア(賭け位置)(例えば、バカラの「TIE」)に関連するか否かを特定する。これにより、例えば、勝つ回数は標準的であるが、勝つ場合には常に高倍率のベット対象に賭けているというプレイヤPを特定することができ、不正の発見につなげることができる。
【0245】
また、損失管理部612は、チップ9の種類ごとに、各プレイヤPのチップ9の購入情報を把握可能である。この購入情報は、例えば、チップ9を購入するためのキャッシャーに備えられた装置から取得することができ、遊技テーブル4でチップ9を購入する場合には、カメラ2と測定装置21による画像認識によって取得してもよい。この購入情報には、購入したチップ9の価値ごとの枚数と、購入日時とが含まれる。
【0246】
損失管理部612は、所定の時間又は期間におけるプレイヤPのチップ9の購入情報を把握して、プレイヤPごとの賭け金額、あるいは勝ち金額又は負け金額と、購入情報とを関連付けて記録装置62に記録し、必要に応じて出力する。これにより、プレイヤPとディーラDの結託によるマネーロンダリングの疑いを検知することができる。
【0247】
<オペレーション管理>
オペレーション管理部613は、ディーラDごとに所定期間のゲーム数及びプレイヤ数を算出する。一般にプレイヤ数が多くなると、チップ9の回収及び払出しに時間がかかり、回転率(即ち、単位時間当たりのゲーム数)は大きくならない。プレイヤ数が多いにもかかわらず回転率が大きい場合には、ディーラDのゲームの進行オペレーションがスムーズであることを意味している。逆に、プレイヤ数が少ないにもかかわらず回転率が小さい場合には、ディーラDのゲームの進行オペレーションが遅いという問題があることを意味している。
【0248】
よって、オペレーション管理部613は、所定期間の回転率×プレイヤ数、即ち取引数が所定の閾値に満たないディーラDを抽出する。ゲーム主催者は、抽出されたディーラDについて、ゲームの進行を早めるようにオペレーションを改善する努力をすることにより、売上を向上させることができる。
【0249】
オペレーション管理部613は、さらに、ディーラDごとに、ベット時間、ゲーミング時間、チップ回収時間、及びチップ払出時間の統計を作成する。各ディーラDについて、回転率が大きいことが望ましいが、回転率が大きくならない要因として、ベット時間、チップ回収時間、チップ払出時間、及びゲーミング時間のいずれが長いかを分析することが有効である。ベット時間の長短は、プレイヤPのベッティング動作によるところが大きく、ディーラDがコントロールできる要素が少ない。一方で、チップ清算時間の長短は、ディーラの動作によるところが大きく、ディーラDの努力によって短くすることができる。ゲーミング時間の長短については、プレイヤPとディーラDのいずれの挙動も影響し得る(例えば、バカラにおけるプレイヤPのスクイーズはゲーミング時間に影響する)。ゲーミング時間はさらに、ディーラDによるディーリング時間と、プレイヤPによるスクイーズ時間に分けられる。
【0250】
そこで、オペレーション管理部613は、ゲームレコードごとに、チップ回収時間/プレイヤ数、及びチップ払出時間/プレイヤ数を算出する。そして、オペレーション管理部613は、ディーラDごとに、複数のゲームレコードについてのベット時間の平均、チップ回収時間/プレイヤ数の平均、チップ払出時間/プレイヤ数の平均、及びゲーミング時間の平均を算出し、それらの平均が所定の閾値より大きいディーラD、所定の閾値より小さいディーラDを抽出する。ゲーム主催者は、これらの統計データを用いてディーラDに対して必要な指導を行うことができる。
【0251】
また、オペレーション管理部613は、テーブル管理制御装置50から送られてくるゲームレコードに基づいて、各遊技テーブル4を担当するディーラを把握して、ディーラごとに、1)ベット時間、2)チップ回収時間、3)チップ支払時間、4)ゲーミング時間の少なくとも一つの要素時間を検出して、記録装置62に記憶する。
【0252】
また、オペレーション管理部613は、遊技テーブル4におけるゲーム参加人が置いたチップ9の賭け位置(ベット対象)及び/又はスタック数、あるいはスタックごとのチップ9の枚数を把握して、ゲーム数及び当該ゲーム数にかかった時間と関連付けて出力する。また、オペレーション管理部613は、遊技テーブル4におけるプレイヤ数を把握して、ゲーム数及び当該ゲーム数にかかった時間と関連付けて出力する。ここで、ゲームにかかった時間は、当該ゲーム数のベット時間、ゲーミング時間、チップ回収時間、及びチップ払出時間の合計であってよく、あるいは、各ゲームのチップ回収時間とチップ払出時間のみの合計(チップ清算時間)であってもよく、チップ回収時間、又はチップ払出時間のいずれかであってもよい。
【0253】
<レイアウト管理>
レイアウト管理部614は、レイアウトの種類ごとに、所定期間の粗利率を計算する。この粗利率を研究することで、いずれのレイアウトがより粗利率を高くできるかを知ることができる。レイアウト管理部614は、ベット対象ごとのベット額を求める。レイアウトごとの各ベット対象のベット額を分析することで、いずれのレイアウトがより望ましいかを判断することができる。
【0254】
レイアウト管理部614は、レイアウトの違いが売上に影響するか否かについて分析を行う。具体的には、レイアウト管理部614は、各ゲームレコードについて、ベット単価/最低賭け額を算出して、レイアウトごとに集計を行う。また、レイアウト管理部614は、より詳細には、レイアウトごとにどのベット対象(PLAYER、BANKER、TIE、PLAYER PAIR、BANKER PAIR)のベット回数又はベット額が大きいかを分析することで、レイアウトの評価を行う。例えば、TIE、PLAYER PAIR、BANKER PAIRへのベット額が大きいレイアウトは、売上の増大に貢献をしていると評価できる。
【0255】
上記のように、プレイヤ数及びベット単価が大きいほどハウスの売上が大きくなる。プレイヤ数及びベット単価については、ディーラへの指導によって直接的に増加できるものではないので、プレイヤに働きかけをすることが有効である。プレイヤへの働きかけとして、ポイント付与と最低賭け額の設定がある。以下、順に説明する。
【0256】
<ポイント管理>
ポイント管理部615は、メンバであるプレイヤPにポイントを付与し、ポイントに対応した特典を付与する。プレイヤPは、ポイントをその大きさに応じて各種の特典に換えることができる。ポイント管理部615が特典の設定を工夫することで、プレイヤ数及びベット単価を大きくすることができる。
【0257】
記録部62には、各メンバの所有ポイントが記憶されている。ポイント管理部615は、メンバにポイントを付与する際には、付与ポイントをテーブル管理制御装置50に通知するとともに、記録部62に記憶された当該メンバの所有ポイントを更新する。テーブル管理制御装置50は、全体管理装置60にて付与されたポイントを当該プレイヤPの所有ポイントに加算して、所有ポイントを更新する。リーダライタ5は、当該プレイヤPのメンバーズカード1に、更新された所有ポイントを記録する。
【0258】
ポイント管理部615は、プレイヤPのベット額に応じたポイント数のポイントを付与する。あるいは、ポイント管理部615は、所定の時間又は期間におけるプレイヤPごとの参加ゲーム数を把握して、所定の条件でプレイヤPにポイントまたはステイタスを付与してもよい。ゲーム主催者の総利益から損失額を引いた値がプラスであればゲーム主催者は利益を得ることになり、マイナスであればゲーム主催者に損失が生じる。このゲーム主催者の総利益から損失額を引いた値をゲーム主催者のネット利益といい、メンバに付与する特典に係るゲーム主催者のコストは全体でこのネット利益に応じて決定されることが望ましい。
【0259】
ポイント管理部615は、ネット利益に応じて、プレイヤPのベット額に対する付与ポイントの比率、及び特典と消費ポイントとの関係を調整する。また、ポイント管理部62は、ゲームレコードにおけるプレイヤ数やベット単価に応じて、それらを増加させるように、一時的なキャンペーンプロモーションとして、プレイヤのベット額に対する付与ポイントの比率、及び特典と消費ポイントとの関係を調整する。これらのプレイヤのベット額に対する付与ポイントの比率、及び特典と消費ポイントとの関係は、記録部62に記憶されている。
【0260】
また、ポイント管理部615は、週単位または月単位、あるいは所定の期間における、特定のゲーム参加人ごとの1)当該遊技場への訪問回数、2)賭け回数、3)勝ち金額、4)負け金額の少なくとも1つの情報を記録装置62に記録し、該当するプレイヤPがカジノ遊技場に入場する際に、1)から4)の少なくとも一つの情報を記録装置62から読み出して出力する。特定のプレイヤPが当該遊技場に訪問したことは、遊技場への入場時におけるメンバーズカード1を用いたID確認によって把握してよく、チップを購入する際にメンバーズカード1を用いたID確認を行って把握してもよく、遊技テーブル4におけるリーダライタ5でメンバーズカード1を読み取ることで把握してもよい。
【0261】
また、チップの購入情報及び売却情報、勝ち金額、負け金額を加減算することで、所定のタイミングにおけるプレイヤの所持しているはずチップの残高を確認することができる。遊技場からの退場時にも入場時と同様にメンバーズカード等を用いてID確認を行ってよく、その時点での残高を把握できる。さらに、チップの残高が所定以上であれば、退場に対する警告を出す機能を有していてよい。
【0262】
メンバは、所有ポイントを消費することで特典やステイタスを受けることができるが、所定の特典やステイタスについては、所有ポイントの消費以外に特定の付与条件が設定され、当該付与条件を満たすプレイヤPにのみ当該特典やステイタスを付与する。
【0263】
また、ポイント管理部615は、売上に応じてポイントやステイタスを付与するだけでなく、特定の付与条件を満たす場合に、特別にポイントやステイタスを付与してもよい。特定の付与条件は、所定の時間又は期間にベット金額、賭け回数、勝ち金額、負け金額が所定の条件を満たすことであってよい。ここで、所定の時間又は期間は、一日単位もしくは連続した複数日間又は一か月単位、あるいは累積(無期限)であってよい。また、ポイント管理部615は、所定の時間又は期間において集中的にポイントを付与したメンバに対して、更に追加してポイントまたはステイタスを付与してもよい。
【0264】
例えば、所定期間のネット利益が所定額以上であるメンバには翌日以降もカジノ遊技場に滞在してゲームに参加してもらうために、長期滞在を促すためのホテルのサービス(例えば、現在宿泊しているホテルのチェックアウト日を延期する、部屋をアップグレードする)等の利用料金の支払いとして、直ちに利用可能な特典を付与することが有効である。よって、ポイント管理部615は、例えば、現在滞在しているホテルのチェックアウト日の延期、部屋のアップグレードという特典には、所定期間のプレイヤのネット利益が所定額以上であるという付与条件を付ける。
【0265】
一方、所定期間のプレイヤのネット利益が所定額以下である場合には、所定期間経過後に使用できる時限チップや、ベット可能であるが換金不能なチップや、カジノ遊技場で利用できるクーポンを特典として付与することが有効である。よって、ポイント管理部615は、例えば、所定期間経過後に使用できる時限チップやカジノ遊技場で利用できるクーポンという特典には、所定期間のプレイヤの利益が所定額以下であるという付与条件を付ける。もちろん、特典の中には付与条件が設定されておらず、ポイントを消費するだけで得られるものが含まれていてもよい。
【0266】
メンバは、保有ポイントを特典と引き換える際には、メンバーズカード1を用いる。ポイント管理部615は、ポイントを特典に引き換える要求を取得して、記録部62を参照して、要求された特典について、該当するメンバIDの保有ポイントがその特典に対応する消費ポイント数に足りているか否か、付与条件が設定されている場合にはそれを満たすか否かを判断する。
【0267】
ポイント管理部615は、保有ポイントが足りており、付与条件が満たされている場合には、特典に対応するポイント数を保有ポイントから減算することで保有ポイントを更新する。ポイント管理部615は、特典の付与によって更新された保有ポイントで記録部62の保有ポイントを書き換える。
【0268】
特典は、カジノ遊技場、関連するホテル、所定の施設で利用することができる。特典をカジノ遊技場で利用する場合には、特典はVIPルームへの入室権、又は換金不能な遊技用代用貨幣であってよい。この場合に、ポイント管理部615は、所定数のポイントと引き換えにVIPルームへの入室権を付与してもよく、保有ポイントが所定値以上である場合に、ポイント数に応じた額の換金不能な遊技用代用貨幣を付与してよい。また、特典をホテルで利用する場合には、特典はホテルの各種サービスであってよい。
【0269】
ポイント管理部615は、メンバに所有ポイントに応じた特典を付与するにあたって、ポイントの消費をしないで特典を付与してもよい。すなわち、所有ポイントに応じてメンバのステイタスの設定(格付け)を行い、ステイタスに応じた特典を付与してもよい。あるいは、ポイントに代えてステイタスを付与してもよい。この場合には、ポイント管理部615は、特典を受けようとするメンバの所有ポイントを確認して、所定の値以上である場合に特典を付与する。例えば、所有ポイント数が所定の閾値を上回るメンバにVIPルームを使用する権利を付与してよい。
【0270】
また、ポイント管理部615は、ゲーム参加人ごとの累積の賭け額、又は所定の期間の賭け額を当該ゲーム参加人の与信情報として出力してもよい。
【0271】
また、メンバーズカードにかえて、もしくは加えて、顔認証によるユーザーの認識を行ってよい。入退場時、ケージ、テーブルでのチップの購入または換金時、テーブルでのベット時などに顔認証を行うことができる。さらに、VIP会員かどうか、会員か非会員か、外国人か内国人か、入場記録、退場記録との照合などを行ってよい。また、例えば過去に怪しい勝ち方をしたプレイヤを登録しておき、登録された特定のプレイヤを認識できるようにしてもよい。メンバーズカードと紐づけられたデータベースを参照して照合を行って認識し、データベースにない場合には新規登録を行ってよい。
【0272】
<ミニマムベット管理>
ミニマムベット管理部616は、テーブル管理制御装置50から取得したゲームレコードに基づいて、各遊技テーブル4の最低賭け額(あるいはその推奨値)を決定する。カジノ遊技場における複数の遊技テーブル4の最低賭け額を適切に設定することで、ゲーム数、プレイヤ数、ベット単価を最適化して売上を向上させることができる。即ち、ある遊技テーブル4において、最低賭け額より十分に高いベット額でプレイしているプレイヤ(高額プレイヤ)と、最低賭け額又はそれよりわずかに高いベット額でプレイしているプレイヤ(低額プレイヤ)とが混在していると、カジノ遊技場全体の売上が低く抑えられてしまうことがある。
【0273】
図22は、そのような状況を説明する図である。いま、図22の上段に示すように、ある遊技テーブルにおいて最低賭け額が1,000ドルに設定されており、そこでベット額が10,000ドル程度の高額プレイヤが1人でプレイしているとする。このとき、1ゲームの平均所要時間(ベット時間、チップ清算時間(チップ回収時間+チップ払出時間)、及びゲーミング時間を含む)は60秒であり、1時間当たりの平均売上は、60万ドルである。
【0274】
この遊技テーブル4に、ベット額が1,000ドル程度の低額プレイヤが3人加わると、この遊技テーブル4の合計ベット額は1,3000ドル程度に上昇するが、プレイヤ数の増加に伴って1ゲームの平均所要時間も増加する。1プレイヤ増加するごとにプレイ時間が10秒増加すると仮定すると、プレイヤ数が4人になると1ゲームのへ近所要時間は90秒になる。その結果、1時間当たりの売上は、60万ドル程度から52万ドル程度に減少してしまう。このように、高額プレイヤと低額プレイヤが同一の遊技テーブルに混在することで、プレイヤの数が増えてもハウスの売上は減少してしまう。
【0275】
図23A及び図23Bは他の例を説明する図である。いま、図23Aに示すように、2つの遊技テーブルのうちの一方の最低賭け額が10,000ドルに設定され、他方の最低賭け額が1,000ドルに設定されている。高額プレイヤの遊技テーブルにおける1ゲームの平均所要時間は70秒であり、1時間当たりの売上は103万ドル程度になる。一方、低額プレイヤの遊技テーブルにおける1ゲームの平均所要時間は90秒となり、1時間当たりの売上は16万ドル程度になる。よって、2つの遊技テーブルの1時間当たりの合計の売上は119万ドル程度になる。
【0276】
図23Bの例では、図23Aの2人の高額プレイヤが別々の遊技テーブルに分散している。すなわち、最低賭け額が1,000ドルに設定された遊技テーブルが2つあり、いずれの遊技テーブルにおいても、ベット額が10,000ドル程度の高額プレイヤ1人と、ベット額が1,000ドル程度の低額プレイヤ2人がプレイしている。このとき、各遊技テーブル4の1ゲームの平均所要時間は80秒であり、1時間当たりの売上は54万ドル程度であり、2つの遊技テーブル4の1時間当たりの合計の売上は108万ドル程度になる。
【0277】
このように、高額プレイヤが複数の遊技テーブル4に分散して各遊技テーブル4において高額プレイヤと低額プレイヤが混在することになると、ハウスの売上は(図23A及び図23Bの場合は、119万ドルから108万ドルに)減少してしまう。
【0278】
上記の例のように、最低賭け額を適切に設定せずに高額プレイヤと低額プレイヤが遊技テーブル4に混在することで、ハウスの売上が減少するだけでなく、高額プレイヤにとっては1ゲームの所要時間が長くなって快適にプレイすることが困難になるという問題もある。
【0279】
そこで、ミニマムベット管理部616は、各テーブル管理制御装置50から送られてくるゲームレコードに基づいて、カジノ遊技場の各遊技テーブル4の適切な最低賭け額を設定する。
【0280】
ミニマムベット管理部616は、売上及び対売上粗利率を大きくするように、各遊技テーブル4の最低賭け額を設定する。また、ミニマムベット管理部616は、単位時間あたりのゲーム数又はゲームあたりのベット総額の平均値を大きくするように、各遊技テーブル4の最低賭け額を設定するものであってもよい。
【0281】
ミニマムベット管理部616には、複数段階に分けた最低賭け額の候補が設定されている。本実施の形態では、ミニマムベット管理部616には、100ドル、500ドル、1,000ドル、5,000ドル、10,000ドルという5段階の最低賭け額の候補が用意されている。ミニマムベット管理部616は、これらの最低賭け額の候補の中からいずれかを選択することで設定する。なお、ミニマムベット管理部616は、用意された候補以外に、より適切な最低賭け額の設定することで、予め設定された最低賭け額の候補では不適切な場合に、より細かくクラス分けを行うことができるものであってもよい。
【0282】
全体管理装置60は、設定された最低賭け額を該当する遊技テーブル4のテーブル管理制御装置50に出力(送信)する。テーブル管理制御装置50は、全体管理装置60から受けた最低賭け額をディスプレイ15に表示する。テーブル管理制御装置50は、全体管理装置60から設定された最低賭け額を受けたときに、当該推奨値をそのままディスプレイ15に表示してもよいし、いったんディーラにのみ示して、ディーラの判断及び操作に応じてディスプレイ15に表示するようにしてもよい。
【0283】
(実際のベット額に基づく最低賭け額の設定)
ミニマムベット管理部616は、ゲームレコードにおけるプレイヤ数の情報と、プレイヤポジションごとのベット額のうちの最低額となるベット額の情報あるいは平均ベット額の情報とを基に、複数段階に分けた最低賭け額の候補からいずれかを選択する。
【0284】
ミニマムベット管理部616は、遊技テーブル4ごとに、ゲームごと及び/又は所定の時間ごと若しくは所定の期間ごとの各プレイヤのベット総額を把握して、各遊技テーブル4の最低賭け額を設定する。本実施の形態では、ミニマムベット管理部616は、遊技テーブル4の現在の最低賭け額に対して所定の比率以上の額で賭けるプレイヤが所定の比率以上いるときに、最低賭け額を上げる。
【0285】
具体的には、ミニマムベット管理部616は、各遊技テーブル4について、プレイヤポジションごとに、過去の所定ゲーム数(本実施の形態では、5ゲーム)のベット額のうちの最低額が最低賭け額の所定の比率(本実施の形態では、150%)以上であるプレイヤを高額プレイヤとして格付けする。ミニマムベット管理部616は、遊技テーブル4に高額プレイヤが所定の比率(本実施の形態では、50%)以上いる場合には、当該遊技テーブル4について、すでに設定されている最低賭け額より高額の最低賭け額を設定する。
【0286】
図24A及び図24Bは、実際のベット額に応じた最低賭け額の設定の例を示す図である。図24A及び図24Bの例では、4人のプレイヤがゲームに参加しており、最低賭け額は1,000ドルに設定されている。
【0287】
図24Aの例では、プレイヤ1の過去5ゲームにおけるベット額のうちの最低額は1,000ドルであり、プレイヤ2の過去5ゲームにおけるベット額のうちの最低額は2,000ドルであり、プレイヤ3の過去5ゲームにおけるベット額のうちの最低額は1,500ドルであり、プレイヤ4の過去5ゲームにおけるベット額のうちの最低額は1,000ドルである。この場合、プレイヤ2とプレイヤ3については、過去5ゲームの最低ベット額が、現在の最低賭け額1,000ドルの150%である1,500ドル以上であり、高額プレイヤとして格付けされる。そして、ゲームに参加している4人のプレイヤのうちの高額プレイヤ(2人)の比率が50%であり、基準である50%に達しているので、ミニマムベット管理部616は、すでに設定されている最低賭け額1,000ドルより高額の最低賭け額を推奨値として決定する。
【0288】
一方、図24Bの例では、プレイヤ1の過去5ゲームにおけるベット額のうちの最低額は1,000ドルであり、プレイヤ2の過去5ゲームにおけるベット額のうちの最低額は1,500ドルであり、プレイヤ3の過去5ゲームにおけるベット額のうちの最低額は1,000ドルであり、プレイヤ4の過去5ゲームにおけるベット額のうちの最低額は1100ドルである。この場合、プレイヤ2については、過去5ゲームの最低ベット額が、現在の最低賭け額1,000ドルの150%である1,500ドル以上であり、高額プレイヤとして格付けされる。そして、ゲームに参加している4人のプレイヤのうちの高額プレイヤ(1人)の比率が25%であり、基準である50%に満たないので、ミニマムベット管理部616は、すでに設定されている最低賭け額1,000ドルを変更せず、現在の最低賭け額1,000ドルを推奨値として決定する。
【0289】
ミニマムベット管理部616は、最低賭け額を上げる場合には、最低賭け額を1段階上げて上記と同様の計算を行う。図24Aの場合には、現在の最低賭け額を1段階上の5,000ドルとした場合には、より高い最低賭け額を推奨値として決定する条件を満たさないので、5,000ドルを最低賭け額の推奨値として決定する。最低賭け額を1段階上げて同様の計算をした場合に、さらに上記の条件を満たす場合には、最低賭け額をもう1段階上げ、これを上記の条件を満たさなくなるまで繰り返す。
【0290】
上記の例では、ミニマムベット管理部616は、各プレイヤポジション(プレイヤ)の過去5ゲームのベット額のうちの最低額を評価したが、これに代えて、各遊技テーブル4について、プレイヤポジション毎に、過去の所定ゲーム数(例えば、5ゲーム)のベット額の平均値(平均ベット額)が最低賭け額の所定の比率(例えば、300%)以上であるプレイヤを高額プレイヤとして格付けしてもよい。
【0291】
また、上記の例では、高額プレイヤが所定の比率以上の場合に、最低賭け額をあらかじめ決められた候補の中から1段階高額の額に変更したが、これに代えて、最低賭け額の所定の比率(例えば、150%)に上げてもよく、すなわち上記の図24Aの例では最低賭け額1,000ドルの150%の1,500ドルを最低賭け額として設定してもよい。また、この図24Aの例において、現在のミニマムベット額が500ドルである場合に、ミニマムベット額をプレイヤの最低賭け額である1,000ドルまで上げてもよい。
【0292】
(テーブル混雑度に応じた最低賭け額の推奨)
次に、テーブル混雑度に応じた最低賭け額の推奨値の決定について説明する。ミニマムベット管理部616は、ゲームレコードのプレイヤの数の情報に基づき、各遊技テーブル4のテーブル混雑度を算出する。なお、テーブル混雑度は各遊技テーブル4の定員に対してゲームに参加しているプレイヤの数の比率である。ミニマムベット管理部616は、ミニマムベット管理部616にて判定されたテーブル混雑度に応じて、各遊技テーブル4の最低賭け額を設定する。
【0293】
図25A及び図25Bは、テーブル混雑度に応じた最低賭け額の推奨値の決定の例を示す図である。いま、図25Aに示すように、4つの遊技テーブル4a~4dがあり、そのうちの2つの遊技テーブル4a、4bは最低賭け額が10,000ドルに設定されており、他の2つの遊技テーブル4c、4dは、最低賭け額が1,000ドルに設定されている。
【0294】
図25Aに示すように、最低賭け額が10,000ドルに設定されている2つの遊技テーブル4a、4bはゲームに参加しているプレイヤの数が多く(テーブル混雑度が高く)、最低賭け額が1,000ドルに設定されている2つの遊技テーブル4c、4dはゲームに参加しているプレイヤの数が少ない(テーブル混雑度が低い)。
【0295】
ミニマムベット管理部616は、このような状況において、最低賭け額が1,000ドルである遊技テーブル4c、4dのうちゲームに参加しているプレイヤが最も少ない(テーブル混雑度が最も低い)遊技テーブル4dの最低賭け額を10,000ドルに上げる。そうすることで、図25Bに示すように、遊技テーブル4dでゲームに参加していたプレイヤは、最低賭け額が1,000ドルである遊技テーブル4cに移動し、最低賭け額が10,000ドルの遊技テーブル4a、4bでゲームに参加していたプレイヤの一部が、最低賭け額が10,000ドルに上がった遊技テーブル4dに移動することが期待される。
【0296】
図23A及び図23Bで説明したように、図25Aと比較して図25Bの方がハウスの売上が上がることは明らかである。このように、ミニマムベット管理部616は、ミニマムベット管理部616にて判定されたテーブル混雑度に応じて、高額プレイヤがより少人数の遊技テーブル4でプレイできるように、エリア毎の各遊技テーブル4の最低賭け額を設定する。
【0297】
このように、ミニマムベット管理部616は、最低賭け額が高額の遊技テーブル4における平均のゲーム参加人数をより少なくするように、各遊技テーブル4の最低賭け額の推奨値を決定する。このために、ミニマムベット管理部616は、ゲーム参加人数が所定人数以下の遊技テーブル4が所定の比率以上のときに、最低賭け額の推奨値を下げてよい。
【0298】
以上説明したように、本例では、ミニマムベット管理部616は、複数の遊技テーブル4を管理し、複数の遊技テーブル4ごとに、ゲーム毎及び/又は所定の時間毎若しくは期間毎のプレイヤ毎のベット総額を把握し、複数の遊技テーブル4の各々についてそれぞれ異なる最低賭け額を設定する。
【0299】
(エリア混雑度に基づく遊技テーブルのオープン/クローズ)
ミニマムベット管理部616は、プレイヤ数判定装置としてのテーブル管理制御装置50が判定したプレイヤの数の情報に基づき、カジノ遊技場を複数のエリアに分けたときの各エリアのエリア混雑度を算出する。エリア混雑度は、当該エリアの総プレイヤポジション数に対するプレイヤの総数の比率である。なお、ミニマムベット管理部616は、エリアごとに、テーブル混雑度が所定の値(例えば、80%)を超える遊技テーブル4の比率をエリア混雑度としてもよい。
【0300】
ミニマムベット管理部616は、カジノ遊技場内のすべての遊技テーブル4及びそのうちのオープンしている遊技テーブル4の数を把握しており、ミニマムベット管理部616にて判定されたエリア混雑度に応じて、エリア毎にオープンすべき遊技テーブル4の推奨数を決定する。具体的には、ミニマムベット管理部616は、エリア混雑度が所定の値(本実施の形態では、80%)以上になると、当該エリアにおいて新たに遊技テーブル4をオープンすることを決定する。
【0301】
新たな遊技テーブル4をオープンさせる場合には、ミニマムベット管理部616は、遊技テーブル4の最低賭け額を設定する。ミニマムベット管理部616は、単純に、新たにオープンする遊技テーブル4の周囲の遊技テーブル4の最低賭け額と同じ最低賭け額を当該新たにオープンする遊技テーブル4に設定してよい。これにより、そのエリアにお客を誘導して、効率よくプレイしてもらうことができる。
【0302】
一方で、ミニマムベット管理部616は、新たに遊技テーブル4をオープンさせる際には、ハウスの売上が最大化するように、最低賭け額を設定してよい。図26A図26Cは、あるエリアにおいて新たに遊技テーブル4をオープンさせる例を説明する図である。ここでも、プレイヤが1人でプレイしているときの1ゲームの平均所要時間は60秒であり、プレイヤが1人増加するごとに1ゲームの平均所要時間は10秒ずつ増加するものとする。また、高額プレイヤ(図においてハッチングされたプレイヤ)の平均ベット額は5,000ドルとし、低額プレイヤ(図において白色で塗りつぶされたプレイヤ)の平均ベット額は1,000ドルとする。
【0303】
図26Aの場合には、遊技テーブル4a、4cがオープンしており、8人の定員に対してそれぞれ7人のプレイヤがゲームに参加しており、そのうちの4人が高額プレイヤであり、3人が低額プレイヤである。図26Bは、図26Aの状況において、新たに遊技テーブル4bをオープンさせて、その最低賭け額を5,000ドルとした場合を示している。新たにオープンする遊技テーブル4bの最低賭け額を5,000ドルと設定することで、図26Bに示すように、遊技テーブル4a、4cでプレイしていた高額プレイヤがすべて遊技テーブル4bに移動してしまうことも考えられる。
【0304】
この図26Bの場合には、図26Aの状況で1時間当たり138万ドルあった平均売上は、1時間当たり137.7万ドルに減少してしまう。このように、新たに遊技テーブル4をオープンする場合には、最低賭け額の設定次第では、売上が大して増加しないか、場合によっては減少してしまうことすらある。さらに、新たな遊技テーブル4をオープンすることでかかるコストも考慮すると、カジノ経営者の利益は減少してしまうことになる。
【0305】
図26Aの場合には、図26Cのように、新たにオープンする遊技テーブル4bについて、低額の最低賭け額を設定すると同時に、すでにオープンしている遊技テーブル4a、4cについては、最低賭け額を上げることが有効である。こうすることで、図26Aの状況で1時間当たり138万ドルあった平均売上は、1時間当たり176万ドルに増加する。
【0306】
このように、ミニマムベット管理部616は、新たにオープンする遊技テーブル4の最低賭け額を当該遊技テーブル4の周辺の遊技テーブル4の最低賭け額及び実際のベット額に基づいて決定する。また、ミニマムベット管理部616は、図26Cの例のように、遊技テーブル4を新たにオープンするタイミングで、その周辺の遊技テーブル4の最低賭け額を変更することで、周辺の遊技テーブル4から新たにオープンする遊技テーブル4へのプレイヤの移動を促す。
【0307】
ミニマムベット管理部616は、出勤しているディーラを管理しており、ディーラの数に応じて新たな遊技テーブル4をオープンするか否かを決定する。具体的には、エリア混雑度が高くなった場合にも、待機している(出動可能な)ディーラがなくなったとき(即ち、すべてのディーラが遊技テーブル4についているとき)、及び新たにオープンできる遊技テーブル4がなくなったとき(即ちすべての遊技テーブル4をオープンしてしまっているとき)には、ミニマムベット管理部616は、新たな遊技テーブル4をオープンすることを決定せず、ミニマムベット管理部616がすでにオープンしている遊技テーブル4の最低賭け額を変更することで対応する。
【0308】
ミニマムベット管理部616は、エリア混雑度の推移をエリア毎に記録部62に記録し、記録された推移の情報を基に、エリア毎にオープンすべき遊技テーブル4の推奨数を決定してもよい。すなわち、ミニマムベット管理部616は、エリア混雑度が上昇傾向にある場合には、当該エリアにおいてエリア混雑度が所定の値になる前に、新たな遊技テーブル4をオープンするよう決定する。
【0309】
以上説明したように、本例では、ミニマムベット管理部616は、複数の遊技テーブル4を管理し、複数の遊技テーブル4ごとに、ゲーム毎及び/又は所定の時間毎若しくは期間毎のプレイヤ毎のベット総額を把握し、新たにオープンする遊技テーブルについて最低賭け額を設定する。
【0310】
(プレイヤの特定に基づく最低賭け額の設定)
ミニマムベット管理部616は、ゲームレコードに含まれるベット額及び払出/回収の情報をメンバIDと関連付けて記録部62に記録する。このようにして、ミニマムベット管理部616は、各プレイヤについて、過去のプレイ内容を記録部62に記録する。
【0311】
ミニマムベット管理部616は、さらに、ゲームレコードに基づいて、各プレイヤについて、過去のプレイ内容から、平均ベット額、同じテーブルでの平均連続プレイ時間、最低賭け額上昇時の離席率、最近の勝率及び勝ち越し額等を求めて、それらを各プレイヤの傾向情報として、メンバIDと関連付けて記録部62に記憶する。
【0312】
ミニマムベット管理部616は、各エリアについて、記録部62に記録された当該エリア内の複数のプレイヤの傾向情報に基づいて、新たにオープンすべき遊技テーブルの推奨数を決定してよい。また、ミニマムベット管理部616は、各エリアについて、記録部62に記録された当該エリア内の複数のプレイヤの傾向情報に基づいて、現在オープンしている遊技テーブル4の最低賭け額を設定し、あるいは、新たにオープンする遊技テーブル4の最低賭け額を設定してよい。
【0313】
即ち、上記では、図26Aの状態から図26Bに示すように新たに最低賭け額が比較的高い遊技テーブル4bをオープンさせたときに、高額プレイヤがすべて当該遊技テーブル4bに移動することを想定したが、実際には図26Bのようにはプレイヤが移動しない可能性もある。また、図26Cでは、遊技テーブル4a、4cにおいて最低賭け額を上昇させた場合に低額プレイヤがすべて離席することを想定したが、低額プレイヤが上昇した最低賭け額に対応してベット額を上げて同じ遊技テーブル4a、4cに残ることもあり得る。よって、ミニマムベット管理部616は、記録部62に記憶されたプレイヤごとの傾向を踏まえて確率を用いたシミュレーションを行って、売上を最大化するように最低賭け額を設定する。
【0314】
<ディーラチップ管理>
ディーラは、負けプレイヤから回収したチップ9をディーラチップトレイ17に収容し、また、勝ちプレイヤに対してディーラチップトレイ17からチップ9を払い出す。したがって、ディーラチップトレイ17内のチップ9は増減する。
【0315】
多くのチップ9を回収して、遊技テーブル4にて収容しきれなくなると、ディーラは最寄りのピットのスタッフ(ピットマネージャ)を呼んでチップ9を回収しに来てもらう。逆に、多くのチップ9を払い出して、ゲームの清算において払い出すチップが足りなくなる場合にも、ディーラは最寄りのピットのスタッフを呼んでチップ9を補充してもらう。
【0316】
ディーラチップ管理部617は、テーブル管理制御装置50から送られてくるゲームレコードにおける清算後ディーラチップ額が所定の上限閾値を上回った場合、及び所定の下限閾値を下回った場合には、その旨を当該遊技テーブル4の最寄のピットに通知する。この通知には、少なくとも該当する遊技テーブル4のテーブル番号と、回収であるか補充であるかの情報が含まれる。
【0317】
これにより、ピットマネージャは、全体管理装置60からの通知に従って該当する遊技テーブル4に対して、回収又は補充の作業を行うことができる。また、ディーラは、ピットマネージャを呼び出すタイミングについて注意を払う必要がなく、ゲームのディーリングに集中することができる。
【0318】
以上のように、本実施の形態のテーブルゲームの管理システムによれば、各遊技テーブル4に各種のセンサを設置することで不正やミスを自動的に発見し、不正やミスを減少させることでハウスの粗利益を増大する。また、不正やミスの発見のために取得したセンシングデータを統計的に処理することにより、ハウスの粗利益を増大させるための各種の分析を行い、ゲーム主催者に提示する。これにより、ゲーム主催者は、不正やミスによる損失という消極要因を減少させることで粗利益を増大させるだけでなく、より積極的な要因を強化することでも粗利益を増大させることができる。
【0319】
なお、上記の実施の形態では、管理システム100は、遊技テーブル4ごとに設置された複数のテーブル管理制御装置50と、それらの複数のテーブル管理制御装置50に接続された全体管理装置60とを備える構成を有していたが、テーブル管理制御装置50の一部又は全部の機能が全体管理装置60に備えられていてもよく、全体管理装置60の一部または全部の機能が各遊技テーブル4のテーブル管理制御装置50に備えられていてもよい。すなわち、上記のテーブル管理制御装置50及び全体管理装置60の構成及び機能は、各遊技テーブル4に備えられた装置で実現されてよいし、遊技テーブル4とは別の場所(例えば、バックヤード)に備えられた装置で実現されてもよい。
【0320】
なお、テーブル管理制御装置50又は管理制御装置60は、モニタを備えていてよい。この場合に、テーブル管理制御装置50又は管理制御装置60は、各種の画面を生成してモニタに表示させてよい。以下では、画面を生成するテーブル管理制御装置50又は管理制御装置60を画面生成装置という。画面生成装置は、把握されたディーラチップトレイ17内のチップ9の状況を示す画面を生成してモニタに表示する。
【0321】
具体的には、画面生成装置は、所定の時間ごと、または所定のゲーム数ごとに、ディーラチップトレイ17に収容されている各種類(価値)のチップ9の数量又はそれらの総額を時系列に表すグラフ又は表を生成し、生成したグラフ又は表を表す画面を生成する。また、画面生成装置は、所定の時間ごと、または所定のゲーム数ごとに、「ベット時間」、「ゲーミング時間」、「チップ回収時間」、「チップ払出時間」及びそれらの総時間を時系列に表すグラフ又は表を生成し、生成したグラフ又は表を表す画面を生成する。
【0322】
また、画面生成装置は、所定の時間ごと、または所定のゲーム数ごとに、各ベットエリアへのベット額、各ベットエリアにおける利益率を時系列に表すグラフ又は表を生成し、生成したグラフ又は表を表す画面を生成する。また、画面生成装置は、所定の時間ごと、または所定のゲーム数ごとに、プレイヤポジション毎の平均または合計ベット額、利益率を時系列に表すグラフ又は表を生成し、生成したグラフ又は表を表す画面を生成する。
【0323】
さらに、画面生成装置は、所定のゲーム数のゲームの結果及びベッティングを記録して、それらの結果及びベッティングが生じる可能性を計算し、可能性が所定の閾値より低い場合、あるいは可能性が所定の閾値より低くかつ払い出し額が所定の閾値より高い場合に、警告をする画面を生成する。これらの複数の種類の画面は、複数のモニタを用いて表示されてもよいし、1つのモニタで複数の種類の画面を切り替えて表示してもよい。また、上記の各画面は、テーブルごとに生成されてもよいし、複数のテーブルの合計について、あるいはカジノのすべてのテーブルの合計について生成されてもよい。
【符号の説明】
【0324】
2 カメラ
3 カードシュー
4 遊技テーブル
5 リーダライタ
9 遊技用代用貨幣(チップ)
10 遊技テーブルシステム
15 ディスプレイ
17 ディーラチップトレイ
21 測定装置
31 収容部
32 引出口
33 スタンバイボタン
34 読取結果表示部
35 ゲーム結果表示ランプ
36 カード読取部
37 ゲーム進行判定部
38 ゲーム結果判定部
39 ドロー制限部
40 打刻部
41 記録部41
50 テーブル管理制御装置
51 無線部
52 着席ボタン
53 離席ボタン
60 全体管理装置
61 演算装置
62 記録装置
63 通信装置
100 テーブルゲームの管理システム
171 回収フロート
172 収容フロート
173 ベット確認ランプ
174 回収確認ランプ
175 払出確認ランプ
176 RFIDリーダ
177 スリット
178 光学センサ
179 確認部
611 売上収支管理部
612 損失管理部
613 オペレーション管理部
614 レイアウト管理部
615 ポイント管理部
616 ミニマムベット管理部
617 ディーラチップ管理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23A
図23B
図24A
図24B
図25A
図25B
図26A
図26B
図26C