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特開2023-1138新規カンナビノイド組成物および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001138
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】新規カンナビノイド組成物および使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/352 20060101AFI20221222BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20221222BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20221222BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221222BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221222BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20221222BHJP
【FI】
A61K31/352
A61P25/08
A61K31/05
A61P43/00 121
A61K9/08
A61K47/44
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022165695
(22)【出願日】2022-10-14
(62)【分割の表示】P 2019534858の分割
【原出願日】2017-12-20
(31)【優先権主張番号】62/436,861
(32)【優先日】2016-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519224638
【氏名又は名称】ティルレイ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182730
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 浩明
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン ジェイコブソン
(72)【発明者】
【氏名】カレブ ジョシュア イーズ
(57)【要約】
【課題】本開示は、カンナビノイドCBDおよびTHCを特定の相対比で含む特定の組成物が、例えば、特定の疾患、状態、もしくは症状の治療または予防において特に有用である可能性があるという、驚くべき発見に部分的に基づく。
【解決手段】本開示は、様々な新規の組成物および方法を記載し、その組成物および方法は、CBDおよびTHCを特定の相対比で含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンナビジオール(CBD)と、Δ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)とを、約40:1~約60:1の比で含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記CBD:THCの比が、約45:1~約55:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記CBD:THCの比が、約50:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記CBD:THCの比が、50:1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記CBDおよび前記THCが、グレープシードオイル中に配合されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記CBDおよび前記THCが、Cannabis sativa L.から得られる、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記CBDおよび前記THCが、それぞれ約100mg/mLおよび2mg/mLの濃度で提供される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
1種以上の薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
治療を必要とする対象者において小児てんかんを治療する方法であって、前記方法が、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を前記対象者に投与することを含む、方法。
【請求項10】
前記組成物が、1日2回投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、経口投与される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、吸入によって投与される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項13】
前記対象者に、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を、約1mg/kg/日のCBD~約18mg/kg/日のCBDの用量で投与する、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記対象者に、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を、約5mg/kg/日のCBD~約18mg/kg/日のCBDの用量で投与する、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記対象者に、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を、約7mg/kg/日のCBD~約16mg/kg/日のCBDの用量で投与する、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記対象者に、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を、2mg/kg/日のCBD~16mg/kg/日のCBDの用量で投与する、請求項9~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記対象者に、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物を漸増用量で投与し、前記漸増が、7日ごとに約2mg/kg/日のCBDである、請求項9~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
最大用量が、約13mg/kg/日のCBD~約14.5mg/kg/日のCBDである、請求項9~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
最大用量が、約16mg/kg/日のCBDである、請求項9~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記対象者に、少なくとも1種のさらなる併用抗てんかん薬(AED)を投与する、請求項9~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記治療が、発作の頻度または重症度を軽減させる、請求項9~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
小児てんかんの治療に使用するための、カンナビジオール(CBD)と、Δ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)とを、約40:1~約60:1の比で含む、医薬組成物。
【請求項23】
前記CBD:THCの比が、約45:1~約55:1である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記CBD:THCの比が、約50:1である、請求項22に記載の組成物。
【請求項25】
前記CBD:THCの比が、50:1である、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
前記CBDおよび前記THCが、グレープシードオイル中に配合されている、請求項22~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記CBDおよび前記THCが、Cannabis sativa L.から得られる、請求項22~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記CBDおよび前記THCが、それぞれ約100mg/mLおよび2mg/mLの濃度で提供される、請求項22~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
1種以上の薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含む、請求項22~28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物が、1日2回投与される、請求項22~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記組成物が、経口投与される、請求項22~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記組成物が、吸入によって投与される、請求項22~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記組成物が、約1mg/kg/日のCBD~約18mg/kg/日のCBDの用量で投与される、請求項22~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記組成物が、約5mg/kg/日のCBD~約18mg/kg/日のCBDの用量で投与される、請求項22~33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
前記組成物が、約7mg/kg/日のCBD~約16mg/kg/日のCBDの用量で投与される、請求項22~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記組成物が、2mg/kg/日のCBD~16mg/kg/日のCBDの用量で投与される、請求項22~35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記組成物が、漸増用量で投与され、前記漸増が、7日ごとに約2mg/kg/日のCBDである、請求項22~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
投与される最大用量が、約13mg/kg/日のCBD~約14.5mg/kg/日のCBDである、請求項22~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
投与される最大用量が、約16mg/kg/日のCBDである、請求項22~38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
前記対象者に、少なくとも1種のさらなる併用抗てんかん薬(AED)を投与する、請求項22~39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
前記治療が、発作の頻度または重症度を軽減させる、請求項22~40のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国特許法第119条(e)の下で、2016年12月20日に出願された米国仮出願第62/436,861号の利益を主張し、その内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、カンナビノイドTHCおよびCBDを含む経口用溶液を含む物質の新規組成物に関する。本開示は、THCおよびCBDを含む組成物の新規使用方法にさらに関する。
【背景技術】
【0003】
大麻の主な活性成分、THCおよびCBDは、21炭素テルペノフェノール系化合物である。これら2種の化合物は、約60年前に大麻植物体から単離され、それらの構造と化学的性質は、十分に明らかにされている(Gaoni and Mechoulam,1964)。THCおよびCBDの薬理学および潜在的な治療の可能性についての広範な総説がある(Kreitzer and Stella,2009;Pertwee et al.,2010)。
【0004】
THCおよびCBDは、一般に、内因性カンナビノイド系を介してそれらの作用を発揮すると考えられているが、CBDの作用機序は、この系外の受容体および経路を含んでもよい(Pertwee et al.,2010により広範に概説されている)。一次カンナビノイド受容体には、神経調節の役割を有するCB1および免疫調節の役割を有するCB2が挙げられる(GW Pharma,2015)。脳内において、CB1受容体の分布は、不均一であり、植物性カンナビノイドなどのCB1受容体アゴニストのいくつかの十分に実証された薬理学的特性を説明する。CBDは、その化学構造のためにカンナビノイド群の一部と考えられているが、いずれのカンナビノイド受容体に対しても大きな親和性を有するとは思われない(Pacher et al.,2006)。CB1受容体との相互作用の欠如は、CBDの十分に確立された安全性プロファイルおよびTHCと比較した向精神作用の欠如を説明すると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、カンナビノイドCBDおよびTHCを特定の相対比で含む特定の組成物が、例えば、特定の疾患、状態、もしくは症状の治療または予防において特に有用である可能性があるという、驚くべき発見に部分的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態において、組成物がカンナビノイドCBDおよびTHCを含む物質の新規組成物を提供する。本開示の特定の実施形態において、カンナビノイドCBDおよびTHCは、特定の相対比で存在する。本開示の特定の実施形態において、新規組成物中のCBD対THCの相対比は、CBD:THCが少なくとも20:1、好ましくは、CBD:THCが25:1、より好ましくは、CBD:THCが30:1、さらにより好ましくは、CBD:THCが40:1、または最も好ましくは、CBD:THCが50:1である。
【0007】
本開示の特徴は、カンナビノイドCBDおよびTHCが薬剤または医薬組成物中に存在してもよいことである。本開示の一実施形態において、新規薬剤または医薬組成物が提供され、その薬剤または医薬製剤は、カンナビノイドCBDおよびTHCを含む。本開示の特定の実施形態において、カンナビノイドCBDおよびTHCは、特定の相対比で存在する。本開示の特定の実施形態において、新規組成物中のCBD対THCの相対比は、少なくともCBD:THCが20:1、好ましくは、CBD:THCが25:1、より好ましくは、CBD:THCが30:1、さらにより好ましくは、CBD:THCが40:1、または最も好ましくは、CBD:THCが50:1である。薬剤または医薬組成物は、他の賦形剤、担体、安定化剤などをさらに含んでもよい。本開示の特定の実施形態において、薬剤または医薬組成物は、さらに1種以上の賦形剤を含む。特定の実施形態において、1種以上の賦形剤は、担体物質を含む。担体物質は、油脂または脂質系の物質であってもよい。担体は、グレープシードオイル、ココナッツオイル、中鎖トリグリセリド(MCT)、ゴマ油、または同様の物質であってもよい。特定の実施形態において、カンナビノイドCBDおよびTHCは、特定の濃度で、かつ特定の相対比で、担体中に配合される。特定の実施形態において、カンナビノイドは、担体物質中に100mg/mLのCBDおよび2mg/mLのTHCの濃度に配合される。本開示の特定の実施形態において、担体は、グレープシードオイルである。
【0008】
本開示の特定の態様において、様々な疾患、状態、または症状の新規治療方法が提供され、その方法は、本明細書に記載したように、治療有効量の本開示の組成物、薬剤、または医薬製剤を投与することを含む。疾患、状態、または症状には、てんかん、治療抵抗性てんかん、ドラベ症候群、レノックス-ガストー症候群などの発作性障害;多発性硬化症などの痙性障害;パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病またはアミロイド側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患;癌などの増殖性疾患;乾癬などの皮膚疾患;心的外傷後ストレス障害(PTSD)、不眠症、不安、うつ病、または統合失調症などの精神保健疾患;慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0009】
前述の概念と以下でより詳細に論じる追加の概念とのすべての組み合わせが(そのような概念が相互に矛盾しない限り)、本明細書に開示される発明の主題の一部であると企図されることを理解されたい。参照により組み込まれるいずれかの開示においてもまた見られ得る本明細書で明示的に使用される用語は、本明細書で開示される特定の概念と最も一貫性のある意味に一致しなければならないこともまた理解されたい。
【0010】
任意の実施形態の一態様において、カンナビジオール(CBD)と、Δ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)と、を約40:1~約60:1の比で含む医薬組成物が、本明細書に記載される。任意の態様のいくつかの実施形態において、CBD:THCの比は、約45:1~約55:1である。任意の態様のいくつかの実施形態において、CBD:THCの比は、約50:1である。任意の態様のいくつかの実施形態において、CBD:THCの比は、50:1である。
【0011】
任意の実施形態の一態様において、小児てんかんの治療に使用するために、カンナビジオール(CBD)と、Δ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)とを、約40:1~約60:1の比で含む医薬組成物が本明細書に記載される。態様のいずれかのいくつかの実施形態において、CBD:THCの比は、約45:1~から約55:1である。任意の態様のいくつかの実施形態において、CBD:THCの比は、約50:1である。任意の態様のいくつかの実施形態において、CBD:THCの比は、50:1である。
【0012】
任意の態様のいくつかの実施形態において、CBDおよびTHCは、グレープシードオイル中に配合される。任意の態様のいくつかの実施形態において、CBDおよびTHCは、Cannabis sativa L.から得られる。
【0013】
任意の態様のいくつかの実施形態において、CBDおよびTHCは、それぞれ約100mg/mLおよび2mg/mLの濃度で提供される。任意の態様のいくつかの実施形態において、組成物は、1種以上の薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含む。
【0014】
任意の実施形態の一態様において、治療を必要とする対象者において小児てんかんを治療する方法が、本明細書に記載され、その方法は、本明細書に記載される組成物を対象者に投与することを含む。任意の態様のいくつかの実施形態において、組成物は、1日2回投与される。任意の態様のいくつかの実施形態において、組成物は、経口投与される。任意の態様のいくつかの実施形態において、組成物は、吸入によって投与される。
【0015】
任意の態様のいくつかの実施形態において、対象者に、特許請求の範囲第1項~第8項のいずれか一項に記載の組成物を約5mg/kg/日のCBD~約18mg/kg/日のCBDの用量で投与する。任意の態様のいくつかの実施形態において、対象者に、特許請求の範囲第1項~第8項のいずれか一項に記載の組成物を約5mg/kg/日のCBD~約18mg/kg/日のCBDの用量で投与する。任意の態様のいくつかの実施形態において、対象者に、特許請求の範囲第1項~第8項のいずれか一項に記載の組成物を約7mg/kg/日のCBD~約16mg/kg/日のCBDの用量で投与する。任意の態様のいくつかの実施形態において、対象者に、特許請求の範囲第1項~第8項のいずれか一項に記載の組成物を2mg/kg/日のCBD~16mg/kg/日のCBDの用量で投与する。任意の態様のいくつかの実施形態において、対象者に、特許請求の範囲第1項~第8項のいずれか一項に記載の組成物を漸増用量で投与し、その漸増は、7日ごとに約2mg/kg/日のCBDである。任意の態様のいくつかの実施形態において、最大用量は、約13mg/kg/日のCBD~約14.5mg/kg/日のCBDである。任意の態様のいくつかの実施形態において、最大用量は、約16mg/kg/日のCBDである。
【0016】
任意の態様のいくつかの実施形態において、対象者に、少なくとも1種のさらなる併用抗てんかん薬(AED)を投与する。任意の態様のいくつかの実施形態において、治療は、発作の頻度または重症度を軽減する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下は、新規カンナビノイド組成物および使用方法に関連する様々な概念、ならびにその実施形態のより詳細な説明である。開示された概念は、いかなる特定の実施方法にも限定されないため、上記で紹介され、以下でより詳細に論じられる様々な概念は、多数の方法のうちのいずれかにおいて実施してもよいことを理解されたい。具体的な実施および用途の例は、例示を目的として提供されており、限定する目的ではない。
【0018】
本明細書で直接定義されていないいかなる用語も、本開示の技術分野の範囲内で理解されるように、それらの用語に一般的に関連する意味を有すると理解されるものとする。本明細書を通して使用されるように、以下の用語は、他に示さない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0019】
「大麻」という用語は、3つの推定種、Cannabis sativa、Cannabis indica、およびCannabis ruderalisを含む顕花植物の属を意味する。大麻という用語はまた、大麻植物体に由来するかまたは大麻植物体から抽出される植物材料、例えば、葉、茎、種子、開花体、または植物体の他の部分を指してもよい。
【0020】
「カンナビノイド」または「カンナビノイド類」という用語は、植物性カンナビノイド(大麻植物体中に見出される酸素含有C21芳香族炭化水素化合物)を含む化合物の種類、および植物性カンナビノイドの作用を模倣するかまたは類似の構造を有する化合物(例えば、動物の神経系および免疫系に見られ、カンナビノイド受容体を活性化する内因性カンナビノイド)を意味する。植物性カンナビノイドは、大麻植物体中にかなりの量で存在することが知られており、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール(CBD)、カンナビノール(CBN)、およびカンナビゲロール(CBG)を挙げてもよいが、これらに限定されない。
【0021】
「THC」という用語は、テトラヒドロカンナビノールを意味し、Δ-9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)およびΔ-8-テトラヒドロカンナビノール(Δ8-THC)などの異なるイソ型および変種を含んでもよい。
【0022】
「CBD」という用語は、大麻によく見られるカンナビノイドであり、CAS登録番号13956-29-1を有する、カンナビジオールを意味する。カンナビジオールは、本願の他の箇所に記載されているように、多くの有益な薬効を有することが知られている。いくつかの実施形態において、カンナビノイドは、式Iの構造を有する。
【化1】
式I
【0023】
「治療有効量」という用語は、治療効果を発揮するため、症状を軽減するため、疾患の発症もしくは進行を予防するため、または疾患の有効な治療をもたらすために十分な量の用量を意味する。治療有効量は、例えば、用量増加試験または用量漸増によって決定してもよい。
【0024】
「薬剤」という用語は、医学的に有益な効果を発揮するのに十分な量の活性成分および不活性成分を含む医薬組成物を意味する。薬剤は、治療有効量の活性成分を含んでもよい。薬剤は、追加の賦形剤、添加剤、安定剤、担体、または他の化合物をさらに含んで、薬剤の製剤、安定性、バイオアベイラビリティ、薬物動態、薬力学、または他の特性を改善してもよい。本開示の薬剤は、治療有効量のカンナビノイドTHCおよびCBDを特定の相対比で含む。特定の実施形態において、CBDは、比較的少量のTHCを伴う、主要なカンナビノイドである。特定の実施形態において、CBD対THCの比は、20対1よりも大きい。他の実施形態において、CBD対THCの比は、25対1よりも大きい。他の実施形態において、CBD対THCの比は、30対1よりも大きい。他の実施形態において、CBD対THCの比は、40対1よりも大きい。他の実施形態において、CBD対THCの比は、50対1よりも大きい。特定の実施形態において、本開示の薬剤は、グレープシードオイル、ココナッツオイル、中鎖トリグリセリド(MCT)、ゴマ油、または他の担体オイルなどの非極性担体オイルを含む。本開示の特定の実施形態において、担体オイルは、グレープシードオイルである。本開示の特定の実施形態において、本開示の薬剤は、グレープシードオイル中に100mg/mLの濃度のCBDおよび2mg/mLの濃度のTHCを含む。
【0025】
薬学的に許容される担体および希釈剤としては、食塩水、水性緩衝液、溶媒および/または分散媒が挙げられる。そのような担体および希釈剤の使用は、当該技術分野において公知である。薬学的に許容される担体としての機能を果たすことができる材料のいくつかの非限定的な例には、(1)乳糖、グルコース、スクロースなどの糖類、(2)コーンスターチおよびポテトスターチなどのデンプン、(3)セルロース、ならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、微結晶セルロースおよび酢酸セルロースなどのセルロース誘導体、(4)粉末トラガカント、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクなどの滑剤、(8)ココアバターおよび座剤用ワックスなどの賦形剤、(9)落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油などの油脂、(10)プロピレングリコールなどのグリコール、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコール(PEG)などのポリオール、(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)発熱物質を含まない水、(17)等張食塩水、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝液、(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ無水物、(22)ポリペプチドおよびアミノ酸などの増量剤、(23)血清アルブミン、HDLおよびLDLなどの血清成分、(22)エタノールなどのC2~C12アルコール、(23)医薬製剤に用いられる他の非毒性適合物質が挙げられる。湿潤剤、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、防腐剤および酸化防止剤もまた、配合物中に存在することができる。「賦形剤」、「担体」、「薬学的に許容される担体」などの用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0026】
実施形態のいずれかの一態様において、カンナビジオール(CBD)と、Δ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)と、を約40:1~約60:1の比で含む医薬組成物が、本明細書に記載される。CBD:THCの比は、例えば、約40:1~約60:1、約45:1~約55:1、約48:1~約52:1、40:1~60:1、45:1~55:1、48:1~52:1、約50:1、または50:1であり得る。任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物は、CBDおよびTHCを特定の比で含み、1種以上の薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含む、医薬組成物であり得る。本明細書に記載されたCBDとTHCとの比を含む組成物は、小児てんかん患者において発作頻度および/または重症度を低減するという驚くべき効果をもたらし、副作用、例えば、先行技術の製剤で観察される、血圧の上昇、めまい、過敏性、運動失調、かすみ目、視力喪失、発疹、運動失調/転倒、胃腸(食欲不振、食欲不振、悪心、嘔吐、および体重減少)、攻撃性、敵意、過敏性、怒り、および殺人念慮/脅迫の発生率が低い。本明細書に記載された組成物は、大麻、例えば、Cannabis sativa L.から得ることができるCBDおよびTHCを含む。CBDおよびTHCは、当該技術分野で既知の方法によって大麻から単離かつ/または抽出することができる。任意の態様のいくつかの実施形態において、CBDおよびTHCは、油脂、例えば、植物油/植物性油、グレープシードオイル中に配合される。
【0027】
任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物は、植物抽出物、例えば、全植物抽出物であり得る。任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物は、精製組成物であり得る。
【0028】
任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物は、CBDおよびTHCを、それぞれ約80mg/mL~約120mg/mLおよび約1mg/mL~約4mg/mL、それぞれ約90mg/mL~約110mg/mLおよび約1.5mg/mL~約3mg/mL、それぞれ約96mg/mL~約104mg/mLおよび約1.75mg/mL~約2.5mg/mL、それぞれ80mg/mL~120mg/mLおよび1mg/mL~4mg/mL、それぞれ90mg/mL~110mg/mLおよび1.5mg/mL~3mg/mL、それぞれ96mg/mL~104mg/mLおよび1.75mg/mL~2.5mg/mL、それぞれ約100mg/mLおよび約2mg/mL、またはそれぞれ100mg/mLおよび2mg/mLの濃度で含む。
【0029】
有効医薬成分が、ラベル表示されたアッセイ仕様とは異なる濃度で見出されてもよいことは、当業者によって理解される。したがって、本開示の薬剤中の活性成分は、特定の濃度の少なくとも80%~120%で変動すると予測されてもよい。さらなる実施形態において、本開示の薬剤中の活性成分は、特定の濃度の少なくとも90%~110%で変動すると予測されてもよい。
【0030】
任意の実施形態の一態様において、治療を必要とする対象者の小児てんかんを治療する方法が本明細書に記載され、その方法は、本明細書に記載された組成物、例えば、カンナビジオール(CBD)およびΔ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)を約40:1~約60:1の比で含む組成物を対象者に投与することを含む。任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法は、発作の頻度および/または重症度を軽減する。任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法は、副作用の発生率が低く、発作の頻度および/または重症度を軽減するのに有効な、記載した組成物の量および/または投薬回数を投与することを含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された方法は、本明細書に記載された組成物を用いて、てんかん(例えば、小児てんかん)を有するかまたは有すると診断された対象者を治療することに関する。小児てんかんを有する対象者は、小児てんかんを診断する現在の方法を使用して医師によって識別することができる。これらの状態を特徴付け、診断を助ける小児てんかんの症状および/または合併症は、当該分野で公知であり、凝視、発作、振戦、身体の硬直化、意識喪失、呼吸障害、騒音に対する反応の欠如、明白な意識不鮮明、極度の眠気および覚醒時の過敏性、点頭、嘔吐、視力における発話における変化、急な瞬きの周期が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、てんかんの診断に役立つ可能性がある検査には、血液検査、脳波図(EEG)、脳のCT、MRI、またはPET、および遺伝子的原因に関するDNA検査が挙げられるが、これらに限定されない。てんかんの家族歴、または小児てんかんの危険因子(例えば、頭部外傷、脳腫瘍、外傷、脳卒中、または特定の代謝の問題)への曝露もまた、対象者がてんかんを患っている可能性が高いかどうかを決定すること、またはてんかんの診断を行うことに役立つことができる。
【0032】
本明細書に記載された任意の態様のいくつかの実施形態において、対象者は、小児対象者である。特定の状態に対する治療を「必要としている対象者」は、その状態を有する、その状態を有すると診断された、またはその状態を発症する危険性がある対象者であり得る。
【0033】
本明細書で使用するとき、「投与する」という用語は、所望の部位に薬剤を少なくとも部分的に送達することをもたらす方法または経路により、本明細書に開示されているような化合物を対象者内に配置することを指す。本明細書に開示された化合物を含む医薬組成物は、対象者において有効な治療をもたらす任意の適切な経路によって投与することができる。
【0034】
任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物は、例えば、これらに限定されるものではないが、錠剤(刻み目付き錠剤またはコーティング錠が挙げられるがこれらに限定されない)、丸剤、カプレット剤、カプセル剤、チュアブル錠、パウダーパケット、カシェ剤、トローチ剤、オブラート剤、エアゾールスプレーなどの別個の剤形、または、これらに限定されるものではないが、シロップ剤、エリキシル剤、水性液体、非水性液体、水中油型エマルジョン、もしくは油中水型エマルジョン中の溶液もしくは懸濁液などの液体として、経口投与することができる。そのような組成物は、所定量の開示された化合物の薬学的に許容される塩を含み、当業者に公知の調剤学的方法により調製されてもよい。全般的には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Ed.,Lippincott,Williams,and Wilkins,Philadelphia PA.(2005)を参照されたい。
【0035】
任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物は、例えば、蒸気もしくはエアロゾル製剤として吸入により、または噴霧により投与することができる。エアロゾルとして使用するために、本明細書に記載された組成物を溶液または懸濁液で提供することができ、好適な噴射剤、例えば、プロパン、ブタン、またはイソブタンなどの従来の補助剤と共に加圧エアロゾル容器内に包装されてもよい。本明細書に記載された組成物はまた、ネブライザーまたはアトマイザーなどの非加圧形態で投与することもできる。いくつかの実施形態において、組成物はまた、例えば、吸入器と共に使用することによって、乾燥粉末の形態で気道に直接投与することもできる。気道に送達するためのエアロゾルは、当該技術分野で既知である。例えば、Adjei,A.and Garren,J.Pharm.Res.,1:565-569(1990);Zanen,P.and Lamm,J.-W.J.Int.J.Pharm.,114:111-115(1995);Gonda,I.「Aerosols for delivery of therapeutic and diagnostic agents tothe respiratory tract」,in Critical Reviews in Theraputic Drug Carrier Systems,6:273-313(1990);Anderson et al.,Am.Rev.Respir.Dis.,140:1317-1324(1989))を参照されたい、同様にペプチドおよびタンパク質の全身送達の可能性もある(Patton and Platz,Advanced Drug Delivery Reviews,8:179-196(1992));Timsina et. al.,Int.J.Pharm,101:1-13(1995);およびTansey,I.P.,Spray Technol.Market,4:26-29(1994);French,D.L.,Edwards,D.A.and Niven,R.W.,Aerosol Sci.,27:769-783(1996);Visser,J.,Powder Technology 58:1-10(1989));rudit,S.and R.H.Muller,J.Controlled Release,22:263-272(1992);Tabata,Y,and Y.Ikada,Biomed.Mater.Res.,22:837-858(1988);Wall,D.A.,Drug Delivery,2:10 1-20 1995);Patton、J.and Platz、R.、Adv。Drug Del.Rev.,8:179-196(1992);Bryon,P.,Adv.Drug.Del.Rev.,5:107-132(1990);Patton,J.S.,et al.,Controlled Release,28:15 79-85(1994);Damms,B.and Bains,W.,Nature Biotechnology(1996);Niven,R.W.,et al.,Pharm.Res.,12(9);1343-1349(1995);Kobayashi,S.,et al.,Pharm.Res.,13(1):80-83(1996)、これらの全ての内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0036】
本明細書に記載された組成物の用量は、医師によって決定され、必要に応じて治療の観察された効果に適するように調整することができる。治療の期間および頻度に関して、治療が治療上の利益を提供している時期を決定し、用量を増減するか、投与頻度を増減するか、治療を中止するか、治療を再開するか、または治療計画に他の変更を加えるかを決定するために対象者を観察することは、熟練臨床医にとって一般的である。投薬スケジュールは、治療に対する対象者の感受性などのいくつかの臨床的要因に応じて、週に1回から1日2回まで変わり得る。所望の用量または活性化の量は、一度に投与することができ、または2~4回のサブ用量などのサブ用量に分割して、例えば、1日または他の適切なスケジュールを通して適切な間隔で、ある期間にわたって投与することができる。いくつかの実施形態において、投与は、長期的であり得る、例えば、数週間または数か月の期間にわたって毎日1回以上の用量および/または治療であり得る。本明細書に記載された組成物は、5分間、10分間、15分間、20分間、または25分間などのある時間にわたって投与することができる。
【0037】
投薬および/または治療スケジュールの例には、毎週、隔日、毎日、1日2回、1日3回、またはより頻繁な投与を挙げることができる。任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物は、毎日投与される。任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物は、1日2回投与される。
【0038】
任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物の1日用量は、約1mg/kg/日のCBD~約18mg/kg/日のCBDである。任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物の1日用量は、1mg/kg/日のCBD~18mg/kg/日のCBDである。任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物の1日用量は、約5mg/kg/日のCBD~約18mg/kg/日のCBDである。任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物の1日用量は、5mg/kg/日のCBD~18mg/kg/日のCBDである。任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物の1日用量は、約7mg/kg/日のCBD~約18mg/kg/日のCBDである。任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物の1日用量は、7mg/kg/日のCBD~18mg/kg/日のCBDである。
【0039】
任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物の1日用量は、約2mg/kg/日のCBD~約16mg/kg/日のCBDである。任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物の1日用量は、2mg/kg/日のCBD~16mg/kg/日のCBDである。
【0040】
任意の態様のいくつかの実施形態において、対象者に投与される組成物の用量は、例えば、約1mg/kg/日のCBD~約3mg/kg/日のCBDの用量から最大用量まで、経時的に増加する。任意の態様のいくつかの実施形態において、対象者に投与される組成物の用量は、例えば、1mg/kg/日のCBD~3mg/kg/日のCBDの用量から最大用量まで、経時的に増加する。任意の態様のいくつかの実施形態において、用量は、7日ごとに約2mg/kg/日のCBDの割合で増加される。任意の態様のいくつかの実施形態において、用量は、7日ごとに2mg/kg/日のCBDの割合で増加される。
【0041】
任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物の最大用量は、約11mg/kg/日のCBD~約18mg/kg/日のCBDである。任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物の最大用量は、11mg/kg/日のCBD~18mg/kg/日のCBDである。任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物の1日用量は、約13mg/kg/日のCBD~約14.5mg/kg/日のCBDである。任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物の1日用量は、13mg/kg/日のCBD~14.5mg/kg/日のCBDである。任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物の最大用量は、約16mg/kg/日のCBDである。任意の態様のいくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物の最大用量は、16mg/kg/日のCBDである。
【0042】
本明細書に記載された組成物を投与するための用量範囲は、本明細書に記載された方法に従って、例えば、組成物の形態、その効力、および本明細書に記載された症状の兆候、マーカー、または指標が、減少させることが望まれている程度、例えば、発作の頻度または重症度について望ましい減少の割合に依存する。用量は、本明細書の他の箇所に記載されているように、有害な副作用を引き起こすほど多くすべきではない。一般に、用量は、患者の年齢、状態、および性別によって異なることとなり、当業者によって決定することができる。用量はまた、何らかの合併症の場合には個々の医師によって調整することができる。
【0043】
例えば、本明細書に記載された状態の治療に記載の組成物の有効性、または本明細書に記載されたような反応(例えば、発作の軽減)を誘発することは、熟練臨床医によって決定することができる。しかしながら、その用語が本明細書中で使用されるとき、治療が「有効な治療」と見なされるのは、本明細書中に記載された状態の徴候または症状のうちの1つ以上が有益な方法により変化する、他の臨床的に認められている症状が向上するか、もしくはさらに改善される、または所望の反応が、例えば、本明細書に記載された方法に従った治療後少なくとも10%まで誘発される場合である。有効性は、例えば、マーカー、指標、症状、および/または本明細書に記載された方法に従って治療される状態の発生率、または、例えば、発作頻度または本明細書の実施例に記載のマーカーに適切な、任意の他の測定可能なパラメータを測定することによって評価することができる。有効性はまた、入院によって評価されるように個人が悪化しないこと、または医学的介入の必要性(すなわち、疾患の進行が停止すること)によっても測定することができる。これらの指標を測定する方法は、当業者に公知である、かつ/または本明細書に記載されている。
【0044】
治療は、個体または動物(いくつかの非限定的な例には、ヒトまたは動物が含まれる)における疾患の任意の治療を含み、(1)疾患を抑制すること、例えば、症状(例えば、疼痛または炎症)の悪化を予防すること、または(2)疾患の重症度を緩和すること、例えば、症状の軽減をもたらすこと、を含む。疾患の治療のための有効量は、治療を必要とする対象者に投与したときに、その用語が本明細書で定義されるように、その疾患について有効な治療をもたらすのに十分な量を意味する。
【0045】
任意の態様のいくつかの実施形態において、対象者は、追加の療法および/または治療薬を受けているかつ/または投与されている可能性がある。任意の態様のいくつかの実施形態において、対象者は、少なくとも1種のさらなる抗てんかん薬(AED)を、例えば、同時に、併用して、事前に、または事後に投与される。抗てんかん薬または抗けいれん薬は、当該技術分野において公知であり、アセタゾラミド、カルバマゼピン、クロバザム、クロナゼパム、酢酸エスリカルバゼピン、エトスクシミド、ガバペンチン、ラコサミド、ラモトリギン、レベチラセタム、ニトラゼパム、オクスカルバゼピン、ペラムパネル、ピラセタム、フェノバルビタール、フェニトイン、プレガバリン、プリミドン、ルフィナミド、バルプロ酸ナトリウム、スチリペントール、ティアガビン、トピラマート、ビガバトリン、およびゾニサミドを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0046】
例示的な実施形態
【0047】
発明者らは、カンナビノイドCBDおよびTHCを特定の相対比で含む物質の新規組成物を本明細書において記載している。本開示の特定の実施形態において、CBDおよびTHCを特定の相対比で含む物質の新規組成物が提供される。一実施形態において、CBD対THCの比は、少なくとも20対1である。一実施形態において、CBD対THCの比は、少なくとも25:1である。一実施形態において、CBD対THCの比は、少なくとも30対1である。一実施形態において、CBD対THCの比は、少なくとも40対1である。一実施形態において、CBD対THCの比は、少なくとも50対1である。
【0048】
本開示は、疾患もしくは状態の治療もしくは予防、または疾患もしくは状態の症状の緩和に有益な新規薬剤、または医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、薬剤は、THCおよびCBDを特定の相対比で含む。一実施形態において、CBD対THCの比は、少なくとも20対1である。一実施形態において、CBD対THCの比は、少なくとも25対1である。一実施形態において、CBD対THCの比は、少なくとも30対1である。一実施形態において、CBD対THCの比は、少なくとも40対1である。一実施形態において、CBD対THCの比は、少なくとも50対1である。
【0049】
本開示はまた、本開示の開示された新規組成物を用いる新規治療方法を提供する。一実施形態において、疾患の治療または予防の方法が提供され、その方法は、CBDおよびTHCを特定の相対比で含む治療有効量の薬剤を投与することを含む。一実施形態において、CBD対THCの比は、少なくとも20対1である。一実施形態において、CBD対THCの比は、少なくとも25:1である。一実施形態において、CBD対THCの比は、少なくとも30対1である。一実施形態において、CBD対THCの比は、少なくとも40対1である。一実施形態において、CBD対THCの比は、少なくとも50対1である。特定の実施形態において、疾患または状態は、てんかん、治療抵抗性てんかん、ドラベ症候群、レノックス-ゲストー症候群などの発作性障害;多発性硬化症などの痙性障害;パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病またはアミロイド側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患;癌などの増殖性疾患;乾癬などの皮膚症状;心的外傷後ストレス障害(PTSD)、不眠症、不安、うつ病、または統合失調症などの精神的健康状態;慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患であってもよいが、これらに限定されない。本開示の方法は、治療を必要とする患者または対象者に本開示の組成物を提供することを含む。
【0050】
以下の実施例は、説明目的のために提供され、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【実施例0051】
例示的な実施例
【0052】
実施例1-TN-501G医薬品
【0053】
Tilray大麻抽出物-経口液剤として100mg/mLのCBD、2mg/mLのTHCに標準化された活性物質。
【0054】
製造および規制の概要
【0055】
全体的な製造プロセスは、医薬品の製造のための出発原料としてのCannabis sativa L.の栽培を含む。次いで、大麻は、粗抽出物を製造するために粗抽出プロセスにかけられる。プロセスの最終工程は、好適な賦形剤に溶解することによる、粗製抽出物の医薬品への配合である。
【0056】
原材料
【0057】
製造
【0058】
Cannabis sativa L.株は、最高水準の化学物質含有量および微生物純度まで大麻の生産を確実にするために制御かつ監視される最適化環境条件で確立された、施設内で室内栽培される。材料は、抽出効率を最大にするために抽出前に粉砕され、次いで流体抽出プロセスにかけられる。
【0059】
保管
【0060】
粉砕された大麻は、ヒートシールされたポリエチレンバッグ中に約1kgの量で保管される。ラベル表示された保管は、室温である。6か月を超える材料は、抽出に供する前に再分析にかける。
【0061】
粗抽出物
【0062】
製造
【0063】
粗抽出は、登録商標を有する流体による抽出を含む。抽出材料は、USP/EP要件に準拠する。
【0064】
抽出は、脱カルボキシル化加熱サイクルならびにそれに続くロータリーエバポレーターの使用による流体および水分の除去が続く。最終粗抽出物を力価についてアッセイする。
【0065】
保管
【0066】
粗抽出物は、ポリプロピレン製キャップ付きの1LのタイプIIIアンバーガラス瓶に保管される。ラベル表示された保管は、冷蔵である。3か月を超える材料は、精製に供する前に再分析にかける。
【0067】
カンナビノイド精製
【0068】
製造
【0069】
粗抽出物をさらに処理して精製カンナビジオール(CBD)およびΔ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)を単離する。粗抽出物を分取液体クロマトグラフィーおよび選択的結晶化の組み合わせにかける。その後の流体および水分の除去は、回転蒸発を使用することによって実行される。精製CBDまたはTHCは、医薬品への配合の前に純度および不純物についてアッセイされる。
【0070】
医薬品
【0071】
製造
【0072】
精製カンナビノイド物質は、医薬品品質または抽出物の完全溶解を確実にする条件下でGRAS承認された賦形剤(複数可)に溶解される。TN-501G医薬品は、グレープシードオイル中に配合される。力価の工程内確認の後に、最終的に25mLのHDPEボトルに充填する。
【0073】
仕様
【0074】
医薬品は、以下の仕様を満たす。
【表1】
【0075】
試験は、公定法または社内で検証された方法に従って行われる。
【0076】
実施例2
【0077】
背景。ドラベ症候群による治療抵抗性てんかんを有する12か月~18歳の小児におけるアドオン(すなわち、それらの標準的な抗てんかん療法に対する上乗せ)カンナビノールの用量および忍容性を調査するために研究が行われた。ドラベ症候群は、顕著な認知的病的状態および頻繁な発作に関連付けられる薬剤耐性てんかんを引き起こす重篤な症候群である。顕著な病的状態に加えて、難治性てんかんの小児は、発作関連の死亡およびてんかん患者における予期せぬ突然死(SUDEP)のおそれがある。治療抵抗性てんかんにおけるSUDEPの危険性は、150人に1人である。抗てんかん薬、食事療法および迷走神経刺激装置(VNS)装置の現在の対処法は、発作抑制を達成するのに常に成功するわけではない。小児期発症治療抵抗性てんかんの医療費は、十分に確実である。ドラベ症候群では、てんかんの重症度は、頻繁な救急部門看護および入院を必要とすることが多い。
【0078】
ドラベ症候群の小児における発作頻度を低減し(したがって入院を減らす)、長期的な認知的転帰を改善する機会を提供し、それゆえ生涯にわたる神経障害サービスの利用可能性の必要性を減らすための治療の利用可能性は、医療支出における大幅な節約につながるであろう。
【0079】
さらに、この試験製品がドラベ症候群の発作の治療に有効であることは、科学的に有望である。ドラベ症候群の症例の80%では、原因となる遺伝子変異は、ナトリウムチャネルコード遺伝子において検出されている(SCN1a変異)。カンナビノイドCBDおよびCBGは、ヒトおよび動物モデルの両方において強力なナトリウムチャネル遮断薬であることが示されてきた。
【0080】
配合。Tilray TIL-TC150は、THCおよびCBDがグレープシードオイル中に、それぞれ2mg/mLおよび100mg/mLの濃度で配合されている。製品は、標準的な医薬賦形剤を用いて製剤化される。TIL-TC150オイル中の活性成分は、THCおよびCBDであり、1:50の比で存在する。これらの活性成分は、カナダ保健省の医療目的のための大麻規制の下で医療用大麻の連邦認可製造業者および販売業者であるTilrayによって製造されたCannabis sativa L.株に由来する。
【0081】
CBDは、脂溶性が高く、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、およびCYP3A4の強力な阻害剤である。これらの酵素系によって代謝される他の併用薬物レベルの影響は、未知である。CBDは、尿や糞便中に排泄される。血漿ピークは、個体間で有意に変動するが、一般的には1~2時間である。CBDレベルは、投与後最大8時間まで検出される。
【0082】
カンナビノイドは、顕著な心拍数の増加を伴う、収縮期血圧の増加および拡張期血圧の低下につながると考えられる。しかしながら、これらの効果は、おそらくTHC含有量の上昇によるものであり、多くの副作用は、精神活性THC効果と一致していると考えられる。カンナビノイドの混合物は、純粋なTHCよりも精神活性が低い。したがって、他のカンナビノイド(テルペノイドなど)の混合物はまた、潜在的な精神活性の問題を低減してもよい。
【0083】
以下は、AEDおよび/または高THC大麻の最も一般的な副作用である。しかしながら、本明細書に記載された組成物は、THCが非常に低いので、副作用は、わずかであるかまたはまれであると考えられる。
a.めまい、過敏性、運動失調、かすみ眼、複視、発疹、および運動失調/転倒。
b.胃腸(食欲不振、無食欲、吐き気、嘔吐、および体重減少)。本明細書に記載された組成物ではそのような副作用がまれであるにもかかわらず、これらの胃腸への作用のレベルが低いことは、担体オイルによるものであることが、本明細書では企図される。
c.攻撃性、敵意、過敏性、怒り、殺人念慮/脅迫などの精神的かつ行動的な有害反応。
【0084】
本明細書に記載された組成物は、THC用量を低下させながら最適なCBD用量を提供し、その結果、先行技術の製剤と比較して優れた性能をもたらす。
【0085】
最大16mg/kg/日のCBDの用量漸増プロトコールは、患者集団で報告された副作用の頻度を減らすことである。安全性および忍容性のレビューは、ベースライン時、最初の月は2週間ごと、4か月間(暫定的転帰まで)は毎月、次いで、その後は(継続治療を選択している患者集団について)3か月ごとに1回、定期的な臨床評価によって行われた。CBDは、2mg/kg/日のCBDで開始し、16mg/kg/日のCBDに達するまで(または臨床的に最大耐量)、7日ごとに2mg/kg/日のCBDだけゆっくりと増量した。患者はまた、ベースラインおよび最大耐容性CBD用量での併用AEDレベルについても評価された。これらの併用AEDは、毒性のレベルおよび徴候/症状または発作制御の低下に基づいて必要に応じて調整することができる。
【0086】
投薬の安全性は、腎臓機能、血液学的機能および肝機能ならびにAEDレベルの血液検査評価、親/介護者報告、医師の評価、および介護者が報告した忍容性および小児てんかん副作用アンケート(PESQ)を評価することによって測定した。
【0087】
有効性は、ベースラインからの変化を、親が報告した日記を使用する発作頻度、救急薬の使用頻度、入院の結果となるてんかん状態の頻度について評価することによって評価することができる。発作頻度測定はまた、(例えば、スパイク検出ソフトウェアを使用して)電子記録発作頻度の変化率および発作間活動の変化率を測定する24時間携帯型EEG研究を含み得る。
【0088】
本明細書に記載された組成物を投与する前に、患者を4週間モニターした。ベースライン発作頻度の介入前評価の後、参加者は、本明細書に記載されたTIL-TC150製品を開始した。初回用量は、毎週増量を伴う1日2回に分割した2mg/kg/日のCBDである。試験処置は、2mg/kg/日のCBDによって許容されるように毎週増量した。このスケジュールで参加者が増量する場合、8週目が最後の増量となり得る。最大用量は、16/mg/kg/日のCBDである。
【0089】
16週間の治療が終了すると、参加者は、4週間の中間分析期間に入り、その間にTIL-TC150を用量を変えずに続け、4週間の発作日記および24時間携帯型EEG記録を実施し、介入前発作頻度と比較した。最初の介入期間の後もTIL-TC150療法を継続することを選択したそれらの参加者については、その参加者は、より長期にわたる療法で生じる忍容性と安全性の問題を評価するために3か月間隔で診療所の研究チームによって追跡された。参加者は、64週目まで追跡することができる。
【0090】
参加者は、併用AED、おそらく1~4回のAEDを併用することができる。さらに、参加者は、VNS装置が挿入されているか、またはケトン食を摂取してもよい。
【0091】
本明細書に記載された方法に従った治療が、高CBD低THC植物抽出物選択肢を患者の現在のAEDレジメンに追加することにより、発作頻度を減らすことが企図される。
【0092】
本明細書に記載された組成物は、経口投与することができる。
【0093】
結果
【0094】
試験は、19人の患者を追跡調査し、試験完了まで7~16mg/kg/日のCBDのTIL-TC150を達成した。平均用量は、13.3mg/kg/日、用量中央値は、14mg/kg/日であった。患者の45%(すなわち19人中9人)は、16mg/kg/日のCBDの目標用量に達した。上記の治療計画の下で、19人の患者のうち3人では、発作の90%低減が見られた。19人の患者のうち9人では、発作の50~90%低減が見られ、19人中7人には、50%未満の発作の低減が見られた。19人のうち2人では、20週目に発作がなかったのに対し、19人のうち7人では、試験期間中少なくとも4週間連続して発作がなかった。表1および表2に示すように、4週間の期間中の臨床的に明らかな発作の回数(まぶたのミオクローヌスおよびミオクロニーけいれんを除く)は、減少した。治療はまた、生活の質に大きな影響を示した。QOLCE調査を使用すると、この群は、研究期間にわたるQOLCEスコアにおいて平均39.60から46.02への変化、16.21%の改善を示した。
【0095】
治療の副作用は、最小限であった。12人の患者は、血液検査において有意な変化を示さず、残りの患者は、一過性または孤立性の肝臓異常のみを示した。19人の患者のうちの8人において、副作用は、一時的であるかまたは解消した。治療の優れた副作用プロファイルは、PESQ(小児副作用アンケート)スコアにも反映されており、PESQスコアは、ベースライン時の平均9.69から治療16週目の14.69へ、51.52%低下した。患者のうちの14人は、20週目を越えて治療を続けることを選択した。
【0096】
患者19人全員が追加のAEDを服用していた。患者1人当たりのAED数は、1~4の範囲であり、平均は、2.9であった。追加のAEDは、クロバザム(患者14人)およびバルプロ酸(患者12人)を含んでいた。
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
結論
【0100】
本明細書で様々な実施形態を説明かつ図示してきたが、当業者は、機能を実行するため、ならびに/または本明細書で説明する結果および/もしくは1つ以上の利点を得るための様々な他の手段および/または構造を容易に想起するであろうし、そのような変形および/または修正のそれぞれは、本明細書に記載された実施形態の範囲内にあると見なされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載されたすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が、例示的であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成は、開示された教示が使用されている特定の用途に依存することとなることを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載された特定の実施形態と同等の、日常的な実験のみを用いて認識するか、または確かめることができるであろう。したがって、前述の実施形態は、例としてのみ提示されたものであり、本開示およびその均等物の範囲内であること、ならびに、実施形態は、具体的に記載されたものとは異なる方法で実施されてもよいことを理解されたい。本開示の実施形態は、本明細書に記載されたそれぞれの個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法に関する。さらに、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が互いに矛盾していない場合、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の2つ以上の任意の組み合わせは、本開示の範囲内に含まれる。
【0101】
上述した実施形態は、多数の方法のうちのいずれかで実施することができる。また、様々な発明概念が1つ以上の方法として具現化されてもよく、その例が提供されてきた。方法の一部として実行される行為は、任意の好適な方法で順序付けられてもよい。したがって、例示的な実施形態では順次動作として説明したとしても、いくつかの動作を同時に実行することを含んでもよい、説明した順序と異なる順序で、動作が実行されるように実施形態を構成してもよい。
【0102】
すべての定義は、本明細書で定義かつ使用されるとき、辞書の定義、参照により組み込まれる文書中の定義、および/または定義された用語の通常の意味を支配すると理解されたい。
【0103】
不定冠詞「a」および「an」は、本明細書で使用されるとき、そうでないことが明確に示されていない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されたい。
【0104】
「および/または」という句は、本明細書で使用されるとき、そのように等位結合された要素、すなわち、ある場合には等位結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味すると理解されたい。「および/または」で列挙された複数の要素は、同じように、すなわち、そのように等位結合された要素の「1つ以上」と解釈されたい。具体的に識別されたそれらの要素に関連するかどうかにかかわらず、「および/または」節によって具体的に識別された要素以外の他の要素が任意選択的に存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「含む(comprising)」などの非限定的言語と共に使用されるとき、「Aおよび/またはB」への言及は、一実施形態において、Aのみ(B以外の要素を任意選択的に含む)を指し、別の実施形態において、Bのみ(A以外の要素を任意選択的に含む)を指し、さらに別の実施形態において、AおよびBの両方(他の要素を任意選択的に含む)を指すことができる。
【0105】
本明細書で使用されるとき、「または」は、上記で定義されたように「および/または」と同じ意味を有すると理解されたい。例えば、列挙内の項目を区切るとき、「または」または「および/または」は、包括的である、すなわち、多数の要素または要素の列挙、および、任意選択的に、追加の列挙されていない項目の、2つ以上を含む少なくとも1つとして解釈するものとする。それとは反対に、「1つのみ」、「厳密に1つ」、または「からなる」などの明確に示された用語のみが、多数の要素または要素の列挙のうちの厳密に1つの要素の包含を指すこととなる。一般に、「または」という用語は、本明細書で使用されるとき、「いずれか」、「のうち1つ」、「のうち1つのみ」、または「厳密に1つ」など排他性の用語が前に付くとき、排他的な選択肢(すなわち、「どちらか一方で、両方ではない」)を示すものとしてのみ解釈されるものとする。「から本質的になる」は、特許法の分野で使用されるようなその通常の意味を有するものとする。
【0106】
本明細書で使用されるとき、「少なくとも1つ」という句は、1つ以上の要素の列挙を参照して、要素の列挙中の任意の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素の列挙内に具体的に列挙されたあらゆる要素のうちの1つを必ずしも含まず、要素の列挙内の要素のいかなる組み合わせも除外しないことを理解されたいこの定義はまた、「少なくとも1つ」という句が指す要素の列挙内で具体的に識別された要素以外の要素が、具体的に識別された要素に関連するか無関係に関わらず、任意選択的に存在してもよいことを可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または、同等に、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または、同等に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」は、一実施形態において、Bが存在せず(かつB以外の要素を任意選択的に含む)、2つ以上を任意選択的に含む、少なくとも1つのAを指し、別の実施形態において、Aが存在せず(かつA以外の要素を任意選択的に含む)、2つ以上を任意選択的に含む、少なくとも1つのBを指し、よりさらに別の実施形態において、2つ以上を任意選択的に含む、少なくとも1つのAおよび2つ以上を任意選択的に含む、少なくとも1つのB(かつ他の要素を任意選択的に含む)などを指すことができる。
【0107】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「担持する(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」、「から構成される(composed of)」などのすべての移行句は、非限定的である、すなわち、含むがこれらに限定されないことを意味することとなる。「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句のみが、それぞれ、米国特許庁の特許審査手続セクション2111.03に記載されているように、限定的または半限定的な移行句であるものとする。
【0108】
本願全体にわたって引用された参考文献、発行済み特許、公開済み特許出願、および同時係属中の特許出願を含むすべての特許およびその他の出版物は、例えば、本明細書に記載された技術に関連して使用されるであろうそのような刊行物に記載された方法論を記載かつ開示する目的で、参照により本明細書中に組み込まれる。これらの刊行物は、本願の出願日より前のそれらの開示についてのみ提供されている。この点に関しては、先行発明のために、または他の何らかの理由で、本発明者らがそのような開示に先行する権利がないことの承認として解釈されるべきではない。これらの文書の日付に関する記述または内容に関する表現はすべて、出願人が入手可能な情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正確さに関するいかなる承認も構成するものではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の医薬組成物。
【外国語明細書】