(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113882
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】予測デコーディング方法、装置及びコンピュータ記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04N 19/105 20140101AFI20230808BHJP
H04N 19/186 20140101ALI20230808BHJP
H04N 19/593 20140101ALI20230808BHJP
【FI】
H04N19/105
H04N19/186
H04N19/593
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023094669
(22)【出願日】2023-06-08
(62)【分割の表示】P 2021538695の分割
【原出願日】2019-01-02
(71)【出願人】
【識別番号】516227559
【氏名又は名称】オッポ広東移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG OPPO MOBILE TELECOMMUNICATIONS CORP., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 18 Haibin Road,Wusha, Chang’an,Dongguan, Guangdong 523860 China
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】フオ、チュンイェン
(72)【発明者】
【氏名】マー、イェンチュオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シューアイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、フーチョン
(72)【発明者】
【氏名】ラン、チーホン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】検索の複雑さを低減し、ビデオ画像の予測デコーディングパフォーマンスを向上させ、ビットレートを下げる予測デコーディング方法、装置及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】方法は、デコードしようとするブロックに隣接する参照サンプルを取得して、第一隣接参照サンプルセットを取得し、第一隣接参照サンプルセットはデコードしようとするブロックに隣接する参照行又は参照列の参照サンプルからなることと、参照行又は参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定し、Kは1以上の正の整数であることと、確定されたK個の参照サンプルに対応する位置に基づいて、第一隣接参照サンプルセットにおけるK個の参照サンプル以外の隣接参照サンプルを含む第二隣接参照サンプルセットを取得することと、第二隣接参照サンプルセットに基づいて、デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行することと、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予測デコーディング方法であって、
デコードしようとするブロックに隣接する参照サンプルを取得して、第一隣接参照サンプルセットを取得し、前記第一隣接参照サンプルセットはデコードしようとするブロックに隣接する参照行又は参照列の参照サンプルからなることと、
前記参照行又は前記参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定し、Kは1以上の正の整数であることと、
確定されたK個の参照サンプルに対応する位置に基づいて第二隣接参照サンプルセットを取得し、前記第二隣接参照サンプルセットは前記第一隣接参照サンプルセットにおけるK個の参照サンプル以外の隣接参照サンプルを含むことと、
前記第二隣接参照サンプルセットに基づいて、前記デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行することと、
を含み、
前記デコードしようとするブロックの予測モードは多方向線形モデル(MDLM)予測モードであり、前記MDLM予測モードは、MDLM_Lモードを含み、
前記参照行又は前記参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定する前に、前記方法は、
前記MDLM_Lモードでは、前記デコードしようとするブロックの左側辺の長さ及び第二プリセット比率に基づいて計算して、Kの値を獲得することをさらに含む、
ことを特徴とする予測デコーディング方法。
【請求項2】
前記MDLM予測モードは、MDLM_Aモードをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の予測デコーディング方法。
【請求項3】
前記参照行又は前記参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定する前に、前記方法は、
前記MDLM_Aモードでは、前記デコードしようとするブロックの上側辺の長さ及び第一プリセット比率に基づいて計算して、Kの値を獲得することをさらに含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の予測デコーディング方法。
【請求項4】
前記参照行又は前記参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定することは、
前記MDLM_Aモードでは、前記参照行の左端から始めて右に向って、連続するK個の参照サンプルに対応する位置を確定することと、
前記MDLM_Lモードでは、前記参照列の最上部から始めて下に向って、連続するK個の参照サンプルに対応する位置を確定することと、
を含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の予測デコーディング方法。
【請求項5】
前記MDLM_Aモードでは、K個の参照サンプルに対応する位置を確定する前に、前記方法は、
前記参照行の左端の位置から始めて、右に向って連続するi個の参照サンプルに対応する位置を確定することと、
前記参照行の右端の位置から始めて、左に向って連続するj個の参照サンプルに対応する位置を確定することと、
をさらに含み、
ここで、iは正の整数であり、
である、
ことを特徴とする請求項2に記載の予測デコーディング方法。
【請求項6】
前記MDLM_Lモードでは、K個の参照サンプルに対応する位置を確定する前に、前記方法は、
前記参照列の最上部の位置から始めて、下に向って連続するp個の参照サンプルに対応する位置を確定することと、
前記参照列の最下部の位置から始めて、上に向って連続するq個の参照サンプルに対応する位置を確定することと、
をさらに含み、
ここで、pは正の整数であり、
である、
ことを特徴とする請求項1に記載の予測デコーディング方法。
【請求項7】
前記第二隣接参照サンプルセットに基づいて、前記デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行することは、
前記第二隣接参照サンプルセットに基づいて、第一モデルパラメータを確定することと、
前記第一モデルパラメータに基づいて、第一予測モデルを確立することと、
前記第一予測モデルに基づいて、前記デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行することと、
を含み、
前記第一予測モデルは、前記デコードしようとするブロックの各サンプルに対応する第一画像コンポーネントと第二画像コンポーネントとの間の予測関係を表すために用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の予測デコーディング方法。
【請求項8】
前記第二隣接参照サンプルセットに基づいて、デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行する前に、前記方法は、
前記第二隣接参照サンプルセットに基づいて、予め設定されたサンプル数に応じて、選択しようとする参照サンプルの位置を確定することと、
前記選択しようとする参照サンプルの位置に基づいて、前記第二隣接参照サンプルセットから前記選択しようとする参照サンプルの位置に対応する参照サンプルを選択し、選択された参照サンプルから第三隣接参照サンプルセットを構成することと、
をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の予測デコーディング方法。
【請求項9】
前記第二隣接参照サンプルセットに基づいて、デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行することは、
前記第三隣接参照サンプルセットに基づいて、第二モデルパラメータを確定することと、
前記第二モデルパラメータに基づいて、第二予測モデルを確立することと、
前記第二予測モデルに基づいて、前記デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行することと、
を含み、
前記第二予測モデルは、前記デコードしようとするブロックに対応する第一画像コンポーネントと第二画像コンポーネントとの間の予測関係を表すために用いられる、
ことを特徴とする請求項8に記載の予測デコーディング方法。
【請求項10】
予め設定されたサンプル数に応じて、選択しようとする参照サンプルの位置を確定することは、
サンプリング間隔に基づいて、前記第二隣接参照サンプルセットにおける前記選択しようとする参照サンプルの位置を確定する、
ことを特徴とする請求項8に記載の予測デコーディング方法。
【請求項11】
前記サンプリング間隔は等サンプリング間隔であり、サンプリング間隔に基づいて、前記第二隣接参照サンプルセットにおける前記選択しようとする参照サンプルの位置を確定することは、
前記第二隣接参照サンプルセットの参照サンプルに対して等サンプリング間隔で均一サンプリングを実行することにより、前記第二隣接参照サンプルセットにおける前記選択しようとする参照サンプルの位置を確定することを含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の予測デコーディング方法。
【請求項12】
前記サンプリング間隔は不等サンプリング間隔であり、サンプリング間隔に基づいて、前記第二隣接参照サンプルセットにおける前記選択しようとする参照サンプルの位置を確定することは、
前記第二隣接参照サンプルセットの参照サンプルに対して不等サンプリング間隔で不均一サンプリングを実行することにより、前記第二隣接参照サンプルセットにおける前記選択しようとする参照サンプルの位置を確定することを含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の予測デコーディング方法。
【請求項13】
各参照サンプルは輝度位置に対応され、隣接参照サンプルは上側隣接参照サンプル及び左側隣接参照サンプルを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の予測デコーディング方法。
【請求項14】
前記第二隣接参照サンプルセットは、前記第一隣接参照サンプルセットのうちの第(K+1)番目の参照サンプルから開始する、
ことを特徴とする請求項1に記載の予測デコーディング方法。
【請求項15】
予測デコーディング装置であって、
前記予測デコーディング装置は、メモリ及びプロセッサを含み、
前記メモリは、前記プロセッサによって実行可能なコンピュータプログラムを格納するために用いられ、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行することにより、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法を実行するために用いられる、
ことを特徴とする予測デコーディング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオのエンコーディング及びデコーディングの技術分野に関し、さらに具体的に、予測デコーディング方法、予測デコーディング装置及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオの表示品質に対する人々の要求が高くなることに伴って、高解像度ビデオや超高解像度ビデオなどの新しいビデオアプリケーションフォームが登場した。H.265/高効率ビデオコーディング(high efficiency video coding,HEVC)は、現在、最新の国際ビデオ圧縮規格である。H.265/HEVCの圧縮性能は、前世代のビデオエンコーディング標準であるH.264/アドバンスドビデオコーディング(advanced video coding,AVC)の圧縮性能より約50%高くなっているが、H.265/HEVCは依然としてビデオアプリケーション、特に超高精細ビデオや仮想現実(VR)などの新しいビデオアプリケーションの急速な発展の需要を満たすことができない。
【0003】
国際電気通信連合電気通信標準化セクター(international telegraph union telecommunication standardization sector,ITU-T)のビデオエンコーディング専門家グループ(Video encoding experts group,VCEG)と国際標準化機構(international organization for standardization,ISO)/国際電気標準会議(international electrotechnical commission,IEC)の動画専門家グループ(moving picture experts group,MPEG)は、2015年に共同ビデオ専門家チーム(joint video experts team,JVET)を成立して、次世代ビデオエンコーディング標準を設定し始める。2018年4月、JVETは次世代ビデオエンコーディング標準を汎用ビデオコーディング(versatile video coding,VVC)と正式に命名し、対応するテストモデルはVVCテストモデル(VVC test model,VTM)である。VTMリファレンスソフトウェアには、線形モデルベースの予測方法が統合されており、この線形モデルによって現在のデコードしようとするブロックの彩度成分からその輝度成分を予測することができる。ただし、線形モデルを構築する場合、隣接する参照サンプルによって構築された隣接参照サンプルセットは不適切であるので、検索が非常に複雑になり、ビデオ画像の予測デコーディングパフォーマンスが低下する。
【発明の概要】
【0004】
これを考慮して、本出願の実施形態は、予測デコーディング方法、予測デコーディング装置及びコンピュータ記憶媒体を提供し、隣接参照サンプルセットのサンプル数を減らすことにより、検索の複雑さを低減し、ビデオ画像の予測デコーディングパフォーマンスを向上させ、ビットレートを下げることができる。
【0005】
本出願の実施形態の技術的解決策は次のとおりである。
【0006】
第一態様において、本出願の実施形態は予測デコーディング方法を提供する。予測デコーディング方法は、デコードしようとするブロックに隣接する参照サンプルを取得して、第一隣接参照サンプルセットを取得し、第一隣接参照サンプルセットはデコードしようとするブロックに隣接する参照行又は参照列の参照サンプルからなることと、参照行又は参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定し、Kは1以上の正の整数であることと、確定されたK個の参照サンプルに対応する位置に基づいて第二隣接参照サンプルセットを取得し、第二隣接参照サンプルセットは第一隣接参照サンプルセットにおけるK個の参照サンプル以外の隣接参照サンプルを含むことと、第二隣接参照サンプルセットに基づいて、デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行することと、を含む。
【0007】
第二態様において、本出願の実施形態は予測デコーディング装置を提供する。予測デコーディング装置は、取得ユニット、確定ユニット、排除ユニット及び予測ユニットを含む。取得ユニットは、デコードしようとするブロックに隣接する参照サンプルを取得して、第一隣接参照サンプルセットを取得するために用いられ、第一隣接参照サンプルセットはデコードしようとするブロックに隣接する参照行又は参照列の参照サンプルからなる。確定ユニットは、参照行又は参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定するために用いられ、Kは1以上の正の整数である。排除ユニットは、確定されたK個の参照サンプルに対応する位置に基づいて第二隣接参照サンプルセットを取得するために用いられ、第二隣接参照サンプルセットは第一隣接参照サンプルセットにおけるK個の参照サンプル以外の隣接参照サンプルを含む。予測ユニットは、第二隣接参照サンプルセットに基づいて、デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行するために用いられる。
【0008】
第三態様において、本出願の実施形態は予測デコーディング装置を提供する。予測デコーディング装置は、メモリ及びプロセッサを含む。メモリは、プロセッサによって実行可能なコンピュータプログラムを格納するために用いられる。プロセッサは、コンピュータプログラムを実行することにより、第一態様で説明した方法を実行するために用いられる。
【0009】
第四態様において、本出願の実施形態はコンピュータ記憶媒体を提供する。コンピュータ記憶媒体は予測デコーディングプログラムを格納する。予測デコーディングプログラムが少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、第一態様で説明した方法を実行する。
【0010】
本出願の実施形態は、予測デコーディング方法、予測デコーディング装置及びコンピュータ記憶媒体を提供する。デコードしようとするブロックに隣接する参照サンプルを取得して、第一隣接参照サンプルセットを取得し、第一隣接参照サンプルセットはデコードしようとするブロックに隣接する参照行又は参照列の参照サンプルからなり、参照行又は参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定し、Kは1以上の正の整数であり、確定されたK個の参照サンプルに対応する位置に基づいて第二隣接参照サンプルセットを取得し、第二隣接参照サンプルセットは第一隣接参照サンプルセットにおけるK個の参照サンプル以外の隣接参照サンプルを含み、第二隣接参照サンプルセットに基づいて、デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行する。第二隣接参照サンプルセットは、重要ではなく且つ開始位置に近い参照サンプルを含まないので、第二隣接参照サンプルセットを利用して構築されたモデルパラメータは比較的正確であり、予測デコーディングパフォーマンスを向上させる。さらに、第二隣接参照サンプルセットのサンプル数が少ないので、検索の複雑さを低減し、ビデオ画像の圧縮効率を向上させ、ビットレートを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】
図1Aは、関連技術におけるビデオ画像サンプリングフォーマットの概略図である。
【
図1B】
図1Bは、関連技術におけるビデオ画像サンプリングフォーマットの概略図である。
【
図1C】
図1Cは、関連技術におけるビデオ画像サンプリングフォーマットの概略図である。
【
図2】
図2は、本出願の実施形態に係わるビデオエンコーディングシステムのブロック図である。
【
図3】
図3は、本出願の実施形態に係わるビデオデコーディングシステムのブロック図である。
【
図4】
図4は、本出願の実施形態に係わる予測デコーディング方法のフローチャートである。
【
図5】
図5は、本出願の実施形態に係わるMDLM_Aモードで隣接参照サンプルを選択することを示す図である。
【
図6】
図6は、本出願の実施形態に係わるMDLM_Lモードで隣接参照サンプルを選択することを示す図である。
【
図7】
図7は、本出願の別の実施形態に係わるMDLM_Aモードで隣接参照サンプルを選択することを示す図である。
【
図8】
図8は、本出願の別の実施形態に係わるMDLM_Lモードで隣接参照サンプルを選択することを示す図である。
【
図9】
図9は、本出願の実施形態に係わるデコーディングブロックが最大値及び最小値に基づいて予測モデルを構築することを示す図である。
【
図10】
図10は、本出願の実施形態に係わる予測デコーディング装置の構造を示す概略図である。
【
図11】
図11は、本出願の実施形態に係わる予測デコーディング装置の具体的なハードウェア構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本出願の実施形態の特徴と技術内容を詳細に了解するために、以下、図面を参照しながら本出願の実施形態の技術方案を詳細に説明し、添付された図面はただ説明するために用いられ、本出願を限定するものではない。
【0013】
ビデオ画像では、一般的に第一画像コンポーネント、第二画像コンポーネント及び第三画像コンポーネントでデコーディングブロックを示す。第一画像コンポーネント、第二画像コンポーネント及び第三画像コンポーネントは、それぞれ、輝度コンポーネント(luma component)、青彩度コンポーネント(blue chroma component)及び赤彩度コンポーネント(red chroma component)である。具体的には、輝度コンポーネントは一般的に記号Yで示し、青彩度コンポーネントは一般的に記号Cbで示し、赤彩度コンポーネントは一般的に記号Crで示す。
【0014】
本出願の実施形態において、第一画像コンポーネントは輝度コンポーネントYであることができ、第二画像コンポーネントは青彩度コンポーネントCbであることができ、第三画像コンポーネントは赤彩度コンポーネントCrであることができるが、本出願の実施形態はこれに対して具体的に限定しない。現在、一般的に使用されているサンプリングフォーマットはYCbCrフォーマットである。YCbCrフォーマットは、
図1A~
図1Cに示されたように、次のタイプが含まれる。図面の十字(X)は、第一画像コンポーネントのサンプリングポイントを表し、円(○)は、第二画像コンポーネント又は第三画像コンポーネントのサンプリングポイントを表す。YCbCrフォーマットには次のものが含まれる。
【0015】
4:4:4フォーマット:
図1Aに示されたように、第二画像コンポーネント又は第三画像コンポーネントに対してダウンサンプリングを実行しない。各スキャン行において、4つの連続するサンプルごとに、第一画像コンポーネントの4つのサンプル、第二画像コンポーネントの4つのサンプル、第三画像コンポーネントの4つのサンプルを取る。
【0016】
4:2:2フォーマット:
図1Bに示されたように、第一画像コンポーネントは第二画像コンポーネント又は第三画像コンポーネントに対して2:1の水平サンプリングを実行し、垂直ダウンサンプリングは実行されない。各スキャン行において、4つの連続するサンプルごとに、第一画像コンポーネントの4つのサンプル、第二画像コンポーネントの2つのサンプル、第三画像コンポーネントの2つのサンプルを取る。
【0017】
4:2:0フォーマット:
図1Cに示されたように、第一画像コンポーネントは第二画像コンポーネント又は第三画像コンポーネントに対して2:1の水平ダウンサンプリング及び2:1の垂直ダウンサンプリングを実行する。水平スキャン行と垂直スキャン行において、2つの連続するサンプルごとに、第一画像コンポーネントの2つのサンプル、第二画像コンポーネントの1つのサンプル、第三画像コンポーネントの1つのサンプルを取る。
【0018】
ビデオ画像が採用するYCbCrフォーマットが4:2:0フォーマットである場合、ビデオ画像の第一画像コンポーネントが2N×2Nサイズのデコーディングブロックであると、対応する第二画像コンポーネント又は第三画像コンポーネントはN×Nサイズのデコーディングブロックであり、Nはデコーディングブロックの一辺の長さである。以下、4:2:0フォーマットを例として、本出願の実施形態を説明するが、本出願の実施形態の技術方案は同様に他のサンプリングフォーマットを適用できる。
【0019】
H.266のビデオエンコーディング標準では、エンコーディングとデコーディングのパフォーマンスをさらに向上させるために、クロスコンポーネント予測(cross-component prediction,CCP)を拡張し、クロスコンポーネント線形モデル(cross-component linear model,CCLM)予測と多方向線形モデル(multi-directional linear model,MDLM)予測が提案される。H.266では、CCLMとMDLMの両方は、第一画像コンポーネントと第二画像コンポーネントとの間の予測、第一画像コンポーネントと第三画像コンポーネントとの間の予測、及び第二画像コンポーネントと第三画像コンポーネントとの間の予測を実現することができる。
【0020】
第一画像コンポーネントと第二画像コンポーネントとの間の予測を例として、第一画像コンポーネントと第二画像コンポーネントとの間の冗長性を減らすために、VTMでCCLM予測モードが使用され、主にCCLMモードとMDLMモードが含むことができる。ここで、CCLMモードは線形モデル(linear model,LM)モードとも呼ばれる。MDLMモードは、MDLM_A(MDLM_Above)モード及びMDLM_L(MDLM_LEFT)モードを含むことができる。MDLM_Aモードは、MDLM_T(MDLM_Top)モード又はCCLM_T(CCLM_Top)モードとも呼ばれ、MDLM_Lモードは、CCLM_L(CCLM_Left)モードとも呼ばれる。一般に、VVCのリファレンスソフトウェアVTM 3.0では、LMモード、MDLM_Aモード、及びMDLM_Lモードなどの3つのCCLM予測モードは競合関係がある。上記の3つのモードの違いは、モデルパラメータαとβを導出するために構築された隣接参照サンプルセットが異なることである。
【0021】
モデルパラメータαとβを導出するために構築された隣接参照サンプルセットがより正確になって、予測デコーディング性能を改善するために、本出願の実施形態は予測デコーディング方法を提供する。先ず、デコードしようとするブロックに隣接する参照サンプルを取得して、第一隣接参照サンプルセットを取得し、第一隣接参照サンプルセットはデコードしようとするブロックに隣接する参照行又は参照列の参照サンプルからなる。次に、参照行又は参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定し、Kは1以上の正の整数である。さらに、確定されたK個の参照サンプルに対応する位置に基づいて第二隣接参照サンプルセットを取得し、第二隣接参照サンプルセットは第一隣接参照サンプルセットにおけるK個の参照サンプル以外の隣接参照サンプルを含む。最後に、第二隣接参照サンプルセットに基づいて、デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行する。第二隣接参照サンプルセットは、第一隣接参照サンプルセットから重要ではなく且つ開始位置に近い参照サンプル除いた残りの隣接参照サンプルセットを含むので、第二隣接参照サンプルセットを利用して構築されたモデルパラメータは比較的正確であり、予測デコーディングパフォーマンスを向上させる。さらに、第二隣接参照サンプルセットのサンプル数が少ないので、検索の複雑さを低減し、ビデオ画像の圧縮効率を向上させ、ビットレートを下げることができる。以下、添付の図面を参照して、本出願の実施形態について詳細に説明する。
【0022】
図2は、本出願の実施形態に係わるビデオエンコーディングシステムのブロック図である。
図2に示されたように、ビデオエンコーディングシステム200は、変換及び量子化ユニット201、イントラ推定ユニット202、イントラ予測ユニット203、動き補償ユニット204、動き推定ユニット205、逆変換及び逆量子化ユニット206、フィルタ制御分析ユニット207、フィルタリングユニット208、コーディングユニット209、デコードされた画像キャッシュユニット210などを含む。フィルタリングユニット208は、デブロッキング(deblocking,DBK)フィルタリング及びサンプル適応オフセット(sample adaptive offset,SAO)フィルタリングを実現することができる。コーディングユニット209は、ヘッダ情報コーディング及びCABAC(context-based adaptive binary arithmatic coding)を実現することができる。入力された元のビデオ信号に対して、コーディングツリーユニット(coding tree unit,CTU)の分割によって、ビデオコーディングブロックを取得することができる。次に、イントラ予測又はインター予測によって取得された残留サンプル情報に対して、変換及び量子化ユニット201によってビデオコーディングブロックを変換し、残差情報をピクセルドメインから変換ドメインに変換し、ビットレートをさらに下げるために、得られた変換係数を量子化することを含む。イントラ推定ユニット202及びイントラ予測ユニット203は、ビデオコーディングブロックに対してイントラ予測を実行するために用いられる。明らかに説明すると、イントラ推定ユニット202及びイントラ予測ユニット203は、ビデオコーディングブロックをエンコードするために用いられるイントラ予測モードを確定するために用いられる。動き補償ユニット204及び動き推定ユニット205は、時間予測情報を提供するために、1つ又は複数の参照フレーム内の1つ又は複数のブロックに対して、受信されたビデオコーディングブロックのフレーム間予測コーディングを実行するために用いられる。動き推定ユニット205によって実行される動き推定は動きベクトルを生成するプロセスであり、動きベクトルはビデオコーディングブロックの動きを推定することができる。動き補償ユニット204は、動き推定ユニット205によって確定された動きベクトルに基づいて動き補償を実行するために用いられる。イントラ予測モードを確定してから、イントラ予測ユニット203は、さらに選択されたイントラ予測データをコーディングユニット209に提供するために用いられ、動き推定ユニット205は、計算された動きベクトルデータをコーディングユニット209に送信するために用いられる。逆変換及び逆量子化ユニット206は、ビデオコーディングブロックを再構成するために用いられる。残差ブロックはピクセル領域で再構成され、再構成された残差ブロックのブロッキングアーチファクト(blocking artifact)はフィルタ制御分析ユニット207及びフィルタリングユニット208を介して除去され、それから再構成された残差ブロックはデコードされた画像キャッシュユニット210のフレーム内の1つの予測ブロックに追加されて、再構築されたビデオコーディングブロックを生成するために用いられる。コーディングユニット209は、様々なエンコーディングパラメータ及び量子化された変換係数をエンコードするために用いられる。CABACに基づくコーディングアルゴリズムにおいて、コンテキストコンテンツは隣接するコーディングブロックに基づくことができ、ビデオ信号のビットストリームを出力するために、確定されたイントラ予測モードを示す情報をエンコードすることができる。デコードされた画像キャッシュユニット210は、予測参照のために、再構成されたビデオコーディングブロックを格納するために用いられる。ビデオ画像のエンコーディングが進行することにつれて、新しい再構成されたコーディングブロックが絶えずに生成され、これらの再構成されたコーディングブロックは全てデコードされた画像キャッシュユニット210に格納される。
【0023】
図3は、本出願の実施形態に係わるビデオデコーディングシステムのブロック図である。
図3に示されたように、ビデオデコーディングシステム300は、デコーディングユニット301、逆変換及び逆量子化ユニット302、イントラ予測ユニット303、動き補償ユニット304、フィルタリングユニット305、デコードされた画像キャッシュユニット306などを含む。デコーディングユニット301は、ヘッダ情報デコーディング及びCABACデコーディングを実現することができる。フィルタリングユニット305は、DBKフィルタリング及びSAOフィルタリングを実現することができる。入力されたビデオ信号はエンコードされた後(
図2に示されたように)、ビデオ信号のビットストリームを出力する。ビットストリームは、ビデオデコーディングシステム300に入力される。先ず、デコーディングユニット301を介してデコードされた変換係数を取得する。デコードされた変換係数は逆変換及び逆量子化ユニット302によって処理されて、ピクセル領域で残差ブロックを生成する。イントラ予測ユニット303は、確定されたイントラ予測モード及び現在のフレーム又は画像からの前のデコードされたブロックのデータに基づいて、現在のビデオコーディングブロックの予測データを生成するために用いられることができる。動き補償ユニット304は、動きベクトル及び他の関連する構文要素を分析して、ビデオコーディングブロックに使用される予測情報を確定するために用いられ、且つ予測情報を使用して現在デコードされているビデオコーディングブロックの予測ブロックを生成する。逆変換及び逆量子化ユニット302からの残差ブロックと、イントラ予測ユニット303又は動き補償ユニット304によって生成された対応する予測ブロックとを合計することによって、デコードされたビデオブロックを形成する。デコードされたビデオ信号のブロッキングアーチファクトは、フィルタリングユニット305を介して除去され、ビデオの品質を改善することができる。次に、デコードされたビデオブロックは、デコードされた画像キャッシュユニット306に格納される。デコードされた画像キャッシュユニット306は、後続のイントラ予測又は動き補償に使用される参照画像を格納するために用いられ、ビデオ信号を出力するためにも用いられ、即ち復元された元のビデオ信号を取得する。
【0024】
本出願の実施形態は、
図2に示されたイントラ予測ユニット203及び
図3に示されたイントラ予測ユニット303に適用することができる。換言すると、本出願の実施形態は、エンコーディングシステム及びデコーディングシステムの両方に適用可能であるが、本出願の実施形態はこれに関して限定しない。
【0025】
図2又は
図3に示されたアプリケーションシナリオの例に基づいて、
図4を参照してください、
図4は、本出願の実施形態に係わる予測デコーディング方法のフローチャートである。 この方法には以下の内容を含むことができる。
【0026】
S401、デコードしようとするブロックに隣接する参照サンプルを取得して、第一隣接参照サンプルセットを取得し、第一隣接参照サンプルセットはデコードしようとするブロックに隣接する参照行又は参照列の参照サンプルからなる。
【0027】
S402、参照行又は参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定し、Kは1以上の正の整数である。
【0028】
S403、確定されたK個の参照サンプルに対応する位置に基づいて第二隣接参照サンプルセットを取得し、第二隣接参照サンプルセットは第一隣接参照サンプルセットにおけるK個の参照サンプル以外の隣接参照サンプルを含む。
【0029】
S404、第二隣接参照サンプルセットに基づいて、デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行する。
【0030】
デコードしようとするブロックは、第一画像コンポーネント予測、第二画像コンポーネント予測又は第三画像コンポーネント予測を実行しようとするデコーディングブロックである。デコードしようとするブロックに隣接する参照行又は参照列は、デコードしようとするブロックの上側辺に隣接する参照行であることができ、デコードしようとするブロックの左側辺に隣接する参照列であることもでき、又はデコードしようとするブロックの他の辺に隣接する参照行又は参照列であることができ、本出願の実施形態は具体的に限定しない。便利に説明するために、本出願の実施形態において、デコードしようとするブロックに隣接する参照行は、デコードしようとするブロックの上側辺に隣接する参照行を例として説明し、デコードしようとするブロックに隣接する参照列は、デコードしようとするブロックの左側辺に隣接する参照列を例として説明する。
【0031】
デコードしようとするブロックに隣接する参照行内の参照サンプルは、上側辺に隣接する参照サンプル及び右上側辺に隣接する参照サンプル(上側辺及び右上側辺に対応する隣接参照サンプルとも呼ばれる)を含むことができる。上側辺とは、デコードしようとするブロックの上側辺を指す。右上側辺とは、デコードしようとするブロックの上側辺を水平方向に沿って右へ延長して現在のデコードしようとするブロックの幅と等しい長さを有する辺を指す。デコードしようとするブロックに隣接する参照列の参照サンプルは、左側辺に隣接する参照サンプル及び左下側辺に隣接する参照サンプル(左側辺及び左下側辺に対応する隣接参照サンプルとも呼ばれる)を含むことができる。左側辺とは、デコードしようとするブロックの左側辺を指す。左下側辺とは、デコードしようとするブロックの左側辺を垂直方向に沿って下へ延長して現在のデコードしようとするブロックの高さに等しい長さを有する辺を指す。しかしながら、本出願の実施形態はこれに対して具体的に限定しない。
【0032】
K個の参照サンプルは、第一隣接参照サンプルセットにおける重要ではない参照サンプルであり、一般的に参照行又は参照列の開始位置の近傍に分布されている。参照行の開始位置は、参照行の左端の位置を指す。参照列の開始位置は、参照列の最上部の位置を指す。参照行は水平方向であるので、「参照行又は参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定する」とは、参照行の左端の位置から始めて、水平方向に沿って右に向ってK個の参照サンプルに対応する位置を確定することを意味する。参照列は垂直方向であるので、「参照行又は参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定する」とは、参照列の最上部の位置から始めて、垂直方向に沿って下に向ってK個の参照サンプルに対応する位置を確定することを意味する。このように、デコードしようとするブロックに隣接する参照サンプルを取得することにより、第一隣接参照サンプルセットを取得することができる。第一隣接参照サンプルセットはデコードしようとするブロックに隣接する参照行又は参照列の参照サンプルからなる。参照行又は参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定し、Kは1以上の正の整数である。確定されたK個の参照サンプルに対応する位置に基づいて第二隣接参照サンプルセットを取得し、第二隣接参照サンプルセットは第一隣接参照サンプルセットにおけるK個の参照サンプル以外の隣接参照サンプルを含む。第二隣接参照サンプルセットに基づいて、デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行する。第二隣接参照サンプルセットは、第一隣接参照サンプルセットから重要ではなく且つ開始位置に近い参照サンプルを除いた残りの隣接参照サンプルセットを含むので、第二隣接参照サンプルセットを利用して構築されたモデルパラメータは比較的正確であり、予測デコーディングパフォーマンスを向上させる。さらに、第二隣接参照サンプルセットのサンプル数が少ないので、検索の複雑さを低減し、ビデオ画像の圧縮効率を向上させ、ビットレートを下げることができる。
【0033】
本出願の実施形態に係わる予測デコーディング方法は、エンコーディングシステムにも適用可能であることを理解することができる。エンコーディングシステムに第二隣接参照サンプルセットを構築することにより、ビデオ画像の予測エンコーディングパフォーマンスを向上させるだけではなく、エンコーディング圧縮効率を改善し、エンコーディングコードレートを節約することができる。以下、ただデコーディングシステムで第二隣接参照サンプルセットの構築することを例として説明する。
【0034】
いくつかの実施形態において、デコードしようとするブロックの予測モードはMDLM予測モードであり、MDLM予測モードは、MDLM_Aモード及びMDLM_Lモードを含む。
【0035】
いくつかの実装形態において、選択的に、参照行又は参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定する前に、前記方法は、さらに以下の内容を含む。MDLM_Aモードでは、参照行の長さ及び第一プリセット比率に基づいて計算して、Kの値を獲得する。第一プリセット比率は、参照行に対応するプリセット比率である。又は、MDLM_Lモードでは、参照列の長さ及び第二プリセット比率に基づいて計算して、Kの値を獲得する。第二プリセット比率は、参照列に対応するプリセット比率である。
【0036】
いくつかの実施形態において、選択的に、参照行又は参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定する前に、前記方法は、さらに以下の内容を含む。MDLM_Aモードでは、デコードしようとするブロックの上側辺の長さ及び第一プリセット比率に基づいて計算して、Kの値を獲得する。又は、MDLM_Lモードでは、デコードしようとするブロックの左側辺の長さ及び第二プリセット比率に基づいて計算して、Kの値を獲得する。
【0037】
さらに、参照行又は参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定することは、
MDLM_Aモードでは、参照行の左端から始めて右に向って、連続するK個の参照サンプルに対応する位置を確定することと、
MDLM_Lモードでは、参照列の最上部から始めて下に向って、連続するK個の参照サンプルに対応する位置を確定することと、
を含む。
【0038】
第一画像コンポーネントの最大隣接参照値及び第一画像コンポーネントの最小隣接参照値を検索するために構築された隣接参照サンプルセットは、第一隣接参照サンプルセットではなく、第二隣接参照サンプルセットである。第二隣接参照サンプルセットは、開始位置から始めて予め設定された数量(K個)の参照サンプルを除いた残りの参照サンプルを含む。このように、重要ではなく且つ開始位置に近い参照サンプルを排除したので、第二隣接参照サンプルセットを利用して構築されたモデルパラメータは比較的正確であり、予測デコーディングパフォーマンスを向上させる目的に達する。
【0039】
Kの値は、予め設定された参照サンプルの数であることができ、例えば、1、2又は4などであり、又はデコードしようとするブロックの参照行又は参照列の長さ及び対応するプリセット比率に基づいて計算することができ、又はデコードしようとするブロックの辺の長さ及び対応するプリセット比率に基づいて計算することもできる。ただし、実際の応用では、実際の状況に応じて具体的に設定することができ、本出願の実施形態は具体的に限定しない。デコードしようとするブロックの参考行に対応するプリセット比率は第一プリセット比率によって表し、デコードしようとするブロックの参考列に対応するプリセット比率は第二プリセット比率によって表し、第一プリセット比率及び第二プリセット比率の値は同じでもよく、異なってもよく、本出願の実施形態は具体的に限定しない。
【0040】
参照行のすべての参照サンプル(即ち、上側辺と右上側辺に対応する隣接参照サンプル)に適用されるMDLM_Aモード、又は参照列のすべての参照サンプル(即ち、左側辺と左下側辺に対応する隣接参照サンプル)に適用されるMDLM_Lモードに係わらず、前記2つのモードに対して、Nはデコードしようとするブロックの辺の長さ(MDLM_Aモードでは、Nはデコードしようとするブロックの幅であり、即ち、上側辺の長さであり、MDLM_Lモードでは、Nはデコードしようとするブロックの高さであり、即ち、左側辺の長さである)である仮定し、デコードしようとするブロックの辺の長さが異なる場合、Kの値は表1によって直接に取得することができる。表1を参照すると、本出願の実施形態によって提供されるMDLMモードで構築された第二隣接参照サンプルセットの参照サンプルの数を例示している。表1において、N
1は、第一隣接参照サンプルセットにおける隣接参照サンプルの数を表し、N
2は、第二隣接参照サンプルセットにおける隣接参照サンプルの数を表し、Kは、本出願の実施形態における考慮しない隣接参照サンプルのプリセット数を表す。
【表1】
【0041】
MDLM_Aモードでは、参照行のすべての参照サンプル(即ち、上側辺と右上側辺に対応する隣接参照サンプル)が使用可能である場合、以下の2つの処理方式がある。
【0042】
第一処理方式:参照行の長さ及び対応する第一プリセット比率を例として、第一プリセット比率は1/4であり、デコードしようとするブロックの辺の長さ(即ち、上側辺の参照サンプルの数)は8であり、参照行の長さ(即ち、上側辺及び右上側辺の参照サンプルの総数)は16であると仮定すると、Kの値は4である。即ち、上側辺及び右上側辺に対応する隣接参照サンプルセットにおける、右端の位置に近い残りの3/4の参照サンプル(即ち、12個の参照サンプル)で第二隣接参照サンプルセットを構成し、モデルパラメータαおよびβを導出するために用いられる。
【0043】
第二処理方式:デコードしようとするブロックの上側辺の長さ及び対応する第一プリセット比率を例として、第一プリセット比率は1/2であり、デコードしようとするブロックの上側辺の長さ(即ち、上側辺の参照サンプルの数)は8であると仮定すると、Kの値は4である。即ち、上側辺及び右上側辺に対応する隣接参照サンプルセットにおける、右端の位置に近い残りの3/4の参照サンプル(即ち、12個の参照サンプル)で第二隣接参照サンプルセットを構成し、モデルパラメータαおよびβを導出するために用いられる。
【0044】
例示的に、
図5参照すると、
図5は、本出願の実施形態に係わるMDLM_Aモードで隣接参照サンプルを選択することを示す図である。
図5に示されたように、デコードしようとするブロックは正方形であり、灰色の実芯の円は、選択されたデコードされるブロックの隣接参照サンプルを表す。先ず、第一画像コンポーネントに対してダウンサンプリングを実行することを必要として、このようにダウンサンプリングされた第一画像コンポーネントと第二画像コンポーネントは同じ解像度を有する。第一プリセット比率が1/4であり、参照行の長さ(即ち、上側辺及び右上側辺に隣接する参照サンプルの総数)は16であると仮定すると、Kの値は4である。即ち、第一画像コンポーネント及び第二画像コンポーネントに係わらず、すべて参照行の左端から始めて、右に向かって連続する4個の参照サンプルに対応する位置を確定し、確定された4個の参照サンプルを排除し、右端の位置に近い残りの3/4の参照サンプル(即ち、12個の参照サンプル)で第二隣接参照サンプルセットを構成し、モデルパラメータαおよびβを導出するために用いられる。
【0045】
第一プリセット比率は1/4であることができるだけではなく、1/8又は1/2であることもできる。異なる第一プリセット比率は、異なるKの値に対応し、本出願の実施形態はこれに対して具体的に限定しない。
【0046】
MDLM_Aモードでは、参照行のすべての参照サンプル(即ち、上側辺と右上側辺に対応する隣接参照サンプル)が使用可能である一般的なシナリオに加えて、いくつかの例外もある。以下、3つの例外について詳しく説明する。
【0047】
例外1:デコードしようとするブロックの上側辺に対応する隣接サンプルが利用できない場合、隣接参照サンプルはなく、モデルパラメータαは0に設定され、モデルパラメータβは第二画像コンポーネントの中間値512に設定される。即ち、現在のデコーディングブロック内の全てのサンプルに対応する第二画像コンポーネントの予測値は512である。
【0048】
例外2:デコードしようとするブロックの上側辺に対応する隣接サンプルは利用できるが、デコードしようとするブロックの右上側辺に対応する隣接サンプルは利用できない場合、上記の第一処理方式では、参照行の長さ(上側辺の参照サンプルの数のみ)は8であり、第一プリセット比率は1/4であり、Kの値は2である。即ち、デコードしようとするブロックの上側辺に対応する隣接参照サンプルセットにおける、右端の位置に近い残りの3/4の参照サンプル(即ち、6個の参照サンプル)で第二隣接参照サンプルセットを構成し、モデルパラメータαおよびβを導出するために用いられる。上記の第二処理方式では、デコードしようとするブロックの上側辺の長さ(即ち、上側辺の参照サンプルの数)は8であり、第一プリセット比率は1/2であり、Kの値は4である。即ち、デコードしようとするブロックの上側辺に対応する隣接参照サンプルセットにおける、右端の位置に近い残りの1/2の参照サンプル(即ち、4個の参照サンプル)で第二隣接参照サンプルセットを構成し、モデルパラメータαおよびβを導出するために用いられる。
【0049】
例外3:デコードしようとするブロックの上側辺に対応する隣接サンプル及びデコードしようとするブロックの右上側辺に対応する隣接サンプルがすべて利用できる場合、上記の第一処理方式又は第二処理方式と同じな方式で第二隣接参照サンプルセットを構築して、モデルパラメータαおよびβを導出する。
【0050】
MDLM_Lモードでは、参照列のすべての参照サンプル(即ち、左側辺と左下側辺に対応する隣接参照サンプル)が使用可能な場合、以下の2つの処理方式を含む。
【0051】
第三処理方式:参照列の長さ及び対応する第二プリセット比率を例として、第二プリセット比率は1/4であり、デコードしようとするブロックの辺の長さ(即ち、左側辺の参照サンプルの数)は8であり、参照列の長さ(即ち、左側辺及び左下側辺の参照サンプルの総数)は16であると仮定すると、Kの値は4である。即ち、左側辺及び左下側辺に対応する隣接参照サンプルセットにおける、最下部の位置に近い残りの3/4の参照サンプル(即ち、12個の参照サンプル)で第二隣接参照サンプルセットを構成し、モデルパラメータαおよびβを導出するために用いられる。
【0052】
第四処理方式:デコードしようとするブロックの左側辺の長さ及び対応する第二プリセット比率を例として、第二プリセット比率は1/2であり、デコードしようとするブロックの左側辺の長さ(即ち、左側辺の参照サンプルの数)は8であると仮定すると、Kの値は4である。即ち、左側辺及び左下側辺に対応する隣接参照サンプルセットにおける、最下部の位置に近い残りの3/4の参照サンプル(即ち、12個の参照サンプル)で第二隣接参照サンプルセットを構成し、モデルパラメータαおよびβを導出するために用いられる。
【0053】
例示的に、
図6参照すると、
図6は、本出願の実施形態に係わるMDLM_Lモードで隣接参照サンプルを選択することを示す図である。
図6に示されるように、デコードしようとするブロックは正方形であり、灰色の実芯の円は、選択されたデコードされるブロックの隣接参照サンプルを表す。先ず、第一画像コンポーネントに対してダウンサンプリングを実行することを必要として、このようにダウンサンプリングされた第一画像コンポーネントと第二画像コンポーネントは同じ解像度を有する。第二プリセット比率が1/4であり、参照列の長さ(即ち、左側辺及び左下側辺に隣接する参照サンプルの総数)は16であると仮定すると、Kの値は4である。即ち、第一画像コンポーネント及び第二画像コンポーネントに係わらず、すべて参照列の最上部から始めて、下に向かって連続する4個の参照サンプルに対応する位置を確定し、確定された4個の参照サンプルを排除し、参照列の最下部の位置に近い残りの3/4の参照サンプル(即ち、12個の参照サンプル)で第二隣接参照サンプルセットを構成し、モデルパラメータαおよびβを導出するために用いられる。
【0054】
第二プリセット比率は1/4であることができるだけではなく、1/8又は1/2であることもできる。異なる第二プリセット比率は、異なるKの値に対応し、本出願の実施形態はこれに対して具体的に限定しない。
【0055】
MDLM_Aモードでは、参照列のすべての参照サンプル(即ち、左側辺と左下側辺に対応する隣接参照サンプル)が使用可能である一般的なシナリオに加えて、いくつかの例外もある。以下、3つの例外について詳しく説明する。
【0056】
例外1:デコードしようとするブロックの左側辺に対応する隣接サンプルが利用できない場合、隣接参照サンプルはなく、モデルパラメータαは0に設定され、モデルパラメータβは第二画像コンポーネントの中間値512に設定される。即ち、現在のデコーディングブロック内の全てのサンプルに対応する第二画像コンポーネントの予測値は512である。
【0057】
例外2:デコードしようとするブロックの左側辺に対応する隣接サンプルは利用できるが、デコードしようとするブロックの左下側辺に対応する隣接サンプルは利用できない場合、上記の第三処理方式では、参照列の長さ(左側辺の参照サンプルの数のみ)は8であり、第二プリセット比率は1/4であり、Kの値は2である。即ち、デコードしようとするブロックの左側辺に対応する隣接参照サンプルセットにおける、最下部の位置に近い残りの3/4の参照サンプル(即ち、6個の参照サンプル)で第二隣接参照サンプルセットを構成し、モデルパラメータαおよびβを導出するために用いられる。上記の第四処理方式では、デコードしようとするブロックの左側辺の長さ(即ち、左側辺の参照サンプルの数)は8であり、第二プリセット比率は1/2であり、Kの値は4である。即ち、デコードしようとするブロックの左側辺に対応する隣接参照サンプルセットにおける、最下部の位置に近い残りの1/2の参照サンプル(即ち、4個の参照サンプル)で第二隣接参照サンプルセットを構成し、モデルパラメータαおよびβを導出するために用いられる。
【0058】
例外3:デコードしようとするブロックの左側辺に対応する隣接サンプル及びデコードしようとするブロックの左下側辺に対応する隣接サンプルがすべて利用できる場合、上記の第三処理方式又は第四処理方式と同じな方式で第二隣接参照サンプルセットを構築して、モデルパラメータαおよびβを導出する。
【0059】
いくつかの実装形態において、MDLM_Aモードでは、K個の参照サンプルに対応する位置を確定する前に、この方法はさらに以下の内容を含む。参照行の左端の位置から始めて、右に向って連続するi個の参照サンプルに対応する位置を確定する。参照行の右端の位置から始めて、左に向って連続するj個の参照サンプルに対応する位置を確定する。ここで、iは正の整数であり、
である。
【0060】
いくつかの実施形態において、MDLM_Lモードでは、K個の参照サンプルに対応する位置を確定する前に、この方法はさらに以下の内容を含む。参照列の最上部の位置から始めて、下に向って連続するp個の参照サンプルに対応する位置を確定する。参照列の最下部の位置から始めて、上に向って連続するq個の参照サンプルに対応する位置を確定する。ここで、pは正の整数であり、
である。
【0061】
MDLM_Aモード及びMDLM_Lモードに係わらず、参照行又は参照列の開始位置に近いいくつかの参照サンプル及び参照行又は参照列の終了位置に近いいくつかの参照サンプルを排除することができる。第二隣接参照サンプルセットには参照行又は参照列の中間位置に対応する参照サンプルのみが含まれる。iの値とjの値は同じであることができ、異なってもよい。pの値とqの値は同じであることができ、異なってもよい。実際の応用において、iの値、jの値、pの値、qの値は、実際の情況に応じて具体的に設定することができ、本出願の実施形態はこれに対して限定しない。
【0062】
MDLM_Aモードを例とすると、
図7は、本出願の別の実施形態に係わるMDLM_Aモードで隣接参照サンプルを選択することを示す図である。
図7に示されたように、デコードしようとするブロックは正方形であり、灰色の実芯の円は、選択されたデコードされるブロックの隣接参照サンプルを表す。先ず、第一画像コンポーネントに対してダウンサンプリングを実行することを必要として、このようにダウンサンプリングされた第一画像コンポーネントと第二画像コンポーネントは同じ解像度を有する。第一プリセット比率が1/4であり、参照行の長さ(即ち、上側辺及び右上側辺に隣接する参照サンプルの総数)は16であると仮定すると、Kの値は4である。参照行の一端に近い排除しようとするサンプルの数と参照行の他端に近い排除しようとするサンプルの数が同じであると仮定し、即ち、参照行の開始位置に近い1/8の参照サンプルを排除し、参照行の終了位置に近い1/8の参照サンプルを排除し、i=j=2である。従って、第一画像コンポーネント及び第二画像コンポーネントに係わらず、参照行の左端から右に向かって連続する2個の参照サンプルに対応する位置を確定し、参照行の右端から左に向かって連続する2個の参照サンプルに対応する位置を確定し、確定された4個の参照サンプルを排除し、最後に参照行の中間位置に対応する残りの3/4の参照サンプル(即ち、12個の参照サンプル)で第二隣接参照サンプルセットを構成し、モデルパラメータαおよびβを導出するために用いられる。
【0063】
MDLM_Lモードを例とすると、
図8参照すると、
図8は、本出願の別の実施形態に係わるMDLM_Lモードで隣接参照サンプルを選択することを示す図である。
図8に示されるように、デコードしようとするブロックは正方形であり、灰色の実芯の円は、選択されたデコードされるブロックの隣接参照サンプルを表す。先ず、第一画像コンポーネントに対してダウンサンプリングを実行することを必要として、このようにダウンサンプリングされた第一画像コンポーネントと第二画像コンポーネントは同じ解像度を有する。第二プリセット比率が1/4であり、参照列の長さ(即ち、左側辺及び左下側辺に隣接する参照サンプルの総数)は16であると仮定すると、Kの値は4である。参照列の一端に近い排除しようとするサンプルの数と参照列の他端に近い排除しようとするサンプルの数が同じであると仮定し、即ち、参照列の開始位置に近い1/8の参照サンプルを排除し、参照列の終了位置に近い1/8の参照サンプルを排除し、p=q=2である。従って、第一画像コンポーネント及び第二画像コンポーネントに係わらず、参照列の最上部から下に向かって連続する2個の参照サンプルに対応する位置を確定し、参照列の最下部から上に向かって連続する2個の参照サンプルに対応する位置を確定し、確定された4個の参照サンプルを排除し、最後に参照列の中間位置に対応する残りの3/4の参照サンプル(即ち、12個の参照サンプル)で第二隣接参照サンプルセットを構成し、モデルパラメータαおよびβを導出するために用いられる。
【0064】
第一画像コンポーネントと第二画像コンポーネントの間の冗長性を低減するために、VTMでCCLM予測モードが使用されていることが理解できる。LMモード及びMDLMモードなどのCCLM予測モードの場合、第二画像コンポーネントは、同じデコーディングブロックの第一画像コンポーネントの再構成値を予測することによって取得することができる。例えば、式(1)の予測モデルを採用することができる。
【数1】
【0065】
i、jは、デコーディングブロック内のサンプルの位置座標を表す。ここで、iは水平方向を表し、jは垂直方向を表す。 Predc[i、j]は、デコーディングブロックにおける位置座標が[i、j]であるサンプルに対応する第二画像コンポーネントの予測値を表す。RecL[i、j]は、ダウンサンプリングされた同じデコーディングブロックにおける位置座標が[i、j]であるサンプルに対応する第一画像コンポーネントの再構成値を表す。αとβは、上記の予測モデルのモデルパラメータである。
【0066】
上述した取得した第二隣接参照サンプルセットに基づいて、第二モデルパラメータα及びβは、様々な方法で構築することができる。最小二乗法に基づく回帰構築方式であることができ、最大値と最小値の構築方式であることもでき、他の構築方式であることもできる。以下、最小二乗法に基づく回帰構築方式及び最大値と最小値の構築方式を例として説明する。
【0067】
VVCでは、αおよびβは、第二隣接参照サンプルセット内の参照サンプルに対応する第一画像コンポーネント隣接参照値及び第二画像コンポーネント隣接参照値によって、最小二乗法に基づく回帰誤差を利用して導出することができる。αとβは次の式(2)によって導出することができる。
【数2】
【0068】
L(n)は、第二隣接参照サンプルセット内の参照サンプルに対応する第一画像コンポーネント隣接参照値を表し、C(n)は、第二隣接参照サンプルセット内の参照サンプルに対応する第二画像コンポーネント隣接参照値を表し、Nは、第二隣接参照サンプルセット内の参照サンプルの数である。
【0069】
VVCでは、第二隣接参照サンプルセットから最大の第一画像コンポーネント隣接参照値及び最小の第一画像コンポーネント隣接参照値を検索することにより、「2つの点が1つの線を確定する」との原則に基づいて、モデルパラメータαおよびβを導出することができる。αとβは、次の式(3)によって導出することができる。
【数3】
【0070】
L
max及びL
minは、それぞれ第二隣接参照サンプルセット内の参照サンプルに対応する第一画像コンポーネント隣接参照値から検索した最大値及び最小値を表し、C
maxは、L
maxに対応する位置の参照サンプルに対応する第二画像コンポーネント隣接参照値を表し、C
minは、L
minに対応する位置の参照サンプルに対応する第二画像コンポーネント隣接参照値を表す。
図9は、本出願の実施形態に係わるデコーディングブロックが最大値及び最小値に基づいて予測モデルを構築することを示す図である。横座標は、デコーディングブロックに対応する第一画像コンポーネント隣接参照値を表す。縦座標は、デコーディングブロックに対応する第二画像コンポーネント隣接参照値を表す。L
max、L
min、C
max、C
minに基づいて、式(3)によって、モデルパラメータα及びβを計算して得ることができ、構築された予測モデルは、C=α*L+βである。ここで、Lは、デコーディングブロック内の1つサンプルに対応する第一画像コンポーネント再構築値を表し、Cは、デコーディングブロック内のこのサンプルに対応する第二画像コンポーネント予測値を表す。
【0071】
いくつかの実装形態において、第二隣接参照サンプルセットに基づいて、デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行することは、
第二隣接参照サンプルセットに基づいて、第一モデルパラメータを確定することと、
第一モデルパラメータに基づいて、第一予測モデルを確立することと、
第一予測モデルに基づいて、デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行することと、
を含み、第一予測モデルは、デコードしようとするブロックの各サンプルに対応する第一画像コンポーネントと第二画像コンポーネントとの間の予測関係を表すために用いられる。
【0072】
第二隣接参照サンプルセットを取得してから、式(2)又は式(3)に基づいて第一モデルパラメータα1及びβ1を構築することができる。このように、式(1)に基づいて第一予測モデルを確立することができ、第一予測モデルに基づいてデコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行することができる。第二隣接参照サンプルセットには重要ではなく且つ開始位置に近い参照サンプルが含まれないので、検索の複雑さを低減することに加えて、第二隣接参照サンプルセットの参照サンプルによって構築されたモデルパラメータは比較的正確であり、予測デコーディングパフォーマンスを向上させるとともに、ビデオ画像の圧縮効率を向上させ、ビットレートを下げることができる。
【0073】
さらに、取得した第二隣接参照サンプルセットに対して、サンプリング間隔に基づいて、等間隔又は不等間隔で参照サンプルを選択して、第三隣接参照サンプルセットを取得することができる。第三隣接参照サンプルセットに含まれるサンプルの数が少ないので、検索の複雑さをさらに軽減することができる。
【0074】
いくつかの実装形態において、第二隣接参照サンプルセットに基づいて、デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行する前に、前記方法は、
第二隣接参照サンプルセットに基づいて、予め設定されたサンプル数に応じて、選択しようとする参照サンプルの位置を確定することと、
選択しようとする参照サンプルの位置に基づいて、第二隣接参照サンプルセットから選択しようとする参照サンプルの位置に対応する参照サンプルを選択し、選択された参照サンプルから第三隣接参照サンプルセットを構成する。
【0075】
さらに、第二隣接参照サンプルセットに基づいて、デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行することは、
第三隣接参照サンプルセットに基づいて、第二モデルパラメータを確定することと、
第二モデルパラメータに基づいて、第二予測モデルを確立することと、
第二予測モデルに基づいて、デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行することと、
を含み、第二予測モデルは、デコードしようとするブロックの各サンプルに対応する第一画像コンポーネントと第二画像コンポーネントとの間の予測関係を表すために用いられる。
【0076】
予め設定されたサンプル数は、実際の需要に応じて予め設定された参照サンプルの個数である。選択しようとする参照サンプルは、第二隣接参照サンプルセットの参照サンプルに対してプリセットサンプリング間隔で均一サンプリングを実行することによって取得することができ、又は第二隣接参照サンプルセットの参照サンプルに対して異なるプリセットサンプリング間隔で不均一サンプリングを実行することによって取得することもできる。実際の応用では、実際の状況に基づいて具体的に設定することができ、本出願の実施形態は具体的に限定しない。
【0077】
このようにして、第二隣接参照サンプルセットの参照サンプルに対して均一サンプリング又は不均一サンプリングを実行することによって、第三隣接参照サンプルセットを取得することができる。このように、第三隣接参照サンプルセット及び式(2)又は式(3)に基づいて第二モデルパラメータα2及びβ2を構築することができる。次に、式(1)に基づいて第二予測モデルを確立することができ、第二予測モデルに基づいてデコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行することができる。第三隣接参照サンプルセットには重要ではなく且つ開始位置に近い参照サンプルが含まれなく、且つ重要性と分散度も考慮するので、第三隣接参照サンプルセットのサンプル数はさらに少なく、検索の複雑さをさらに低減し、第二隣接参照サンプルセットの参照サンプルによって構築されたモデルパラメータは比較的正確であり、予測デコーディングパフォーマンスを向上させ、ビットレートを下げることができる。
【0078】
いくつかの実施形態において、デコードしようとするブロックは、正方形のデコーディングブロック又は非正方形のデコーディングブロックを含む。換言すると、本出願の実施形態は、正方形デコーディングブロック及び非正方形デコーディングブロックの両方に適用可能であり、本出願の実施形態は具体的に限定しない。
【0079】
上述した実施形態は予測デコーディング方法を提供し、デコードしようとするブロックに隣接する参照サンプルを取得して、第一隣接参照サンプルセットを取得し、第一隣接参照サンプルセットはデコードしようとするブロックに隣接する参照行又は参照列の参照サンプルからなり、参照行又は参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定し、Kは1以上の正の整数であり、確定されたK個の参照サンプルに対応する位置に基づいて第二隣接参照サンプルセットを取得し、第二隣接参照サンプルセットは第一隣接参照サンプルセットにおけるK個の参照サンプル以外の隣接参照サンプルを含み、第二隣接参照サンプルセットに基づいて、デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行する。第二隣接参照サンプルセットを取得して参照サンプルの数を減らすことにより、検索の複雑さを軽減し、ビデオ画像の圧縮効率を向上させ、ビットレートを下げることができる。
【0080】
上述した
図4に示された技術方案と同じ発明概念に基づいて、
図10参照すると、
図10は、本出願の実施形態に係わる予測デコーディング装置100の構造を示す概略図である。予測デコーディング装置100は、取得ユニット1001、確定ユニット1002、排除ユニット1003及び予測ユニット1004を含む。取得ユニット1001は、デコードしようとするブロックに隣接する参照サンプルを取得して、第一隣接参照サンプルセットを取得するために用いられ、第一隣接参照サンプルセットはデコードしようとするブロックに隣接する参照行又は参照列の参照サンプルからなる。確定ユニット1002は、参照行又は参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定するために用いられ、Kは1以上の正の整数である。排除ユニット1003は、確定されたK個の参照サンプルに対応する位置に基づいて第二隣接参照サンプルセットを取得するために用いられ、第二隣接参照サンプルセットは第一隣接参照サンプルセットにおけるK個の参照サンプル以外の隣接参照サンプルを含む。予測ユニット1004は、第二隣接参照サンプルセットに基づいて、デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行するために用いられる。
【0081】
いくつかの実装形態において、デコードしようとするブロックの予測モードはMDLM予測モードであり、MDLM予測モードは、MDLM_Aモード及びMDLM_Lモードを含む。
【0082】
いくつかの実施形態において、
図10に示されたように、予測デコーディング装置100は、計算ユニット1005をさらに含む。計算ユニット1005は、MDLM_Aモードでは、参照行の長さ及び第一プリセット比率に基づいてKの値を計算するために用いられ、第一プリセット比率は参照行に対応する比率であり、又は、MDLM_Lモードでは、参照列の長さ及び第二プリセット比率に基づいてKの値を計算するために用いられ、第二プリセット比率は参照列に対応する比率である。
【0083】
いくつかの実施形態において、計算ユニット1005は、さらに、MDLM_Aモードでは、デコードしようとするブロックの上側辺の長さ及び第一プリセット比率に基づいてKの値を計算するために用いられ、又は、MDLM_Lモードでは、デコードしようとするブロックの左側辺の長さ及び第二プリセット比率に基づいてKの値を計算するために用いられる。
【0084】
いくつかの実施形態において、確定ユニット1002は、具体的に、MDLM_Aモードでは、参照行の左端から始めて右に向って、連続するK個の参照サンプルに対応する位置を確定するために用いられ、又はMDLM_Lモードでは、参照列の最上部から始めて下に向って、連続するK個の参照サンプルに対応する位置を確定するために用いられる。
【0085】
いくつかの実施形態において、MDLM_Aモードでは、確定ユニット1002は、さらに、参照行の左端の位置から始めて、右に向って連続するi個の参照サンプルに対応する位置を確定し、参照行の右端の位置から始めて、左に向って連続するj個の参照サンプルに対応する位置を確定するために用いられ、ここで、iは正の整数であり、
である。
【0086】
いくつかの実施形態において、MDLM_Lモードでは、確定ユニット1002は、さらに、参照列の最上部の位置から始めて、下に向って連続するp個の参照サンプルに対応する位置を確定し、参照列の最下部の位置から始めて、上に向って連続するq個の参照サンプルに対応する位置を確定するために用いられ、ここで、pは正の整数であり、
である。
【0087】
いくつかの実施形態において、確定ユニット1002は、さらに、第二隣接参照サンプルセットに基づいて第一モデルパラメータを確定するために用いられる。予測ユニット1004は、具体的に、第一モデルパラメータに基づいて第一予測モデルを確立し、第一予測モデルに基づいてデコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行するために用いられる。第一予測モデルは、デコードしようとするブロックの各サンプルに対応する第一画像コンポーネントと第二画像コンポーネントとの間の予測関係を表すために用いられる。
【0088】
いくつかの実施形態において、
図10に示されたように、予測デコーディング装置100は、選択ユニット1006をさらに含む。選択ユニット1006は、第二隣接参照サンプルセットに基づいて、予め設定されたサンプル数に応じて、選択しようとする参照サンプルの位置を確定し、選択しようとする参照サンプルの位置に基づいて、第二隣接参照サンプルセットから選択しようとする参照サンプルの位置に対応する参照サンプルを選択し、選択された参照サンプルから第三隣接参照サンプルセットを構成するために用いられる。
【0089】
いくつかの実施形態において、確定ユニット1002は、さらに、第三隣接参照サンプルセットに基づいて第二モデルパラメータを確定するために用いられる。予測ユニット1004は、具体的に、第二モデルパラメータに基づいて第二予測モデルを確立し、第二予測モデルに基づいてデコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行するために用いられ、第二予測モデルは、デコードしようとするブロックの各サンプルに対応する第一画像コンポーネントと第二画像コンポーネントとの間の予測関係を表すために用いられる。
【0090】
本実施形態において、「ユニット」は、回路の一部、プロセッサの一部、プログラムの一部又はソフトウェアの一部などであり得ることが理解され得る。「ユニット」は、モジュール又は非モジュールであることもできる。また、本実施形態に係わる各機能ユニットは、1つの処理ユニットに集積されてもよいし、各ユニットが単独に物理的に存在してもよいし、2つ以上のユニットは1つのユニットに集積してもよい。上記の集積ユニットは、ハードウェア又はソフトウェア機能ユニットの形式で実現することができる。
【0091】
集積ユニットは、ソフトウェアの機能ユニットとして実現され、かつ、独立の製品として販売されたり使用されたりする場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されてもよい。この理解によれば、本出願の技術方案について、本質的な部分、又は従来技術に貢献できた部分、又は該技術方案の全部又は一部は、ソフトウェア製品として表現され得る。このコンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に記憶されており、1つのコンピュータ(パソコン、サーバー、又はネットワークデバイスなどであってもよい)又はプロセッサに本出願の各実施例に係る方法の全部又は一部の過程を実行するための複数のコマンドが含まれている。前記した記憶媒体は、USB(ユニバーサルシリアルバス)フラッシュディスク、モバイルハードディスク、読み出し専用メモリ(Read-Only Memory,ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory,RAM)、磁気ディスク又は光ディスクなどの各種のプログラムコードを記憶可能な媒体を含む。
【0092】
従って、本出願の実施形態は、予測デコーディングプログラムを格納するために用いられるコンピュータ可読記憶媒体を提供する。予測デコーディングプログラムが少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、
図4に示された技術方案で説明した方法を実行する。
【0093】
上述した予測デコーディング装置100の構成及びコンピュータ記憶媒体に基づいて、
図11参照すると、
図11は、本出願の実施形態に係わる予測デコーディング装置100の具体的なハードウェア構造を示す図である。予測デコーディング装置100は、ネットワークインターフェース1101、メモリ1102及びプロセッサ1103を含む。様々な構成要素はバスシステム1104を介して一緒に結合される。バスシステム1104は、これらの構成要素間の接続及び通信を実現するために用いられる。バスシステム1104は、データバスに加えて、電力バス、制御バス及び状態信号バスをさらに含む。しかしながら、説明を明確にするために、
図11において、様々なバスは、バスシステム1104としてマークされている。
【0094】
ネットワークインターフェース1101は、他の外部ネットワーク要素と情報を送受信しながら信号を送受信するために用いられる。メモリ1102は、プロセッサ1103によって実行可能なコンピュータプログラムを格納するために用いられる。コンピュータプログラムがプロセッサ1103によって実行されると、デコードしようとするブロックに隣接する参照サンプルを取得して、第一隣接参照サンプルセットを取得し、第一隣接参照サンプルセットはデコードしようとするブロックに隣接する参照行又は参照列の参照サンプルからなり、参照行又は参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定し、Kは1以上の正の整数であり、確定されたK個の参照サンプルに対応する位置に基づいて第二隣接参照サンプルセットを取得し、第二隣接参照サンプルセットは第一隣接参照サンプルセットにおけるK個の参照サンプル以外の隣接参照サンプルを含み、第二隣接参照サンプルセットに基づいて、デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行する。
【0095】
本出願の実施形態のメモリ1102は、揮発性メモリ又は不揮発性メモリであることができるか、又は揮発性メモリ及び不揮発性メモリの両方を含むことができる。不揮発性メモリは、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory,ROM)、プログラム可能な読み取り専用メモリ(Programmable Read-Only Memory, PROM)、消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(Erasable Programmable Read-Only Memory, EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory, EEPROM)、フラッシュメモリ(Flash Memory)であることができる。揮発性メモリは、外部高速キャッシュとして機能するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory,RAM)であることができる。例示的であるが限定的ではない例として、多い形式のRAMが利用可能であり、例えば、スタティックランダムアクセスメモリ(Static Random Access Memory,SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(Dynamic Random Access Memory,DRAM)、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(Synchronous Dynamic Random Access Memory,SDRAM)、ダブルデータレート同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(Double Data Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory,DDRSDRAM)、拡張同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(Enhanced Synchronous Dynamic Random Access Memory,ESDRAM)、同期接続ダイナミックランダムアクセスメモリ(Synch-link Dynamic Random Access Memory,SLDRAM)、ダイレクトランバスランダムアクセスメモリ(Direct Rambus Random Access Memory,DR RAM)である。本明細書に記載されたシステム及び方法のメモリ1102は、これら及び他の任意の適切なタイプのメモリを含むことができるが、これらに限定されない。
【0096】
本出願の実施形態のプロセッサ1103は、信号処理能力を有する集積回路チップであることができる。実施過程において、上述した方法実施例の各ステップは、プロセッサ1103のハードウェア形態の集積論理回路(integrated logic circuit)又はソフトウェア形態の命令によって完成することができる。上述したプロセッサ1103は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor,DSP)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit,ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array,FPGA)又は他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタロジックデバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネントであることができる。プロセッサは、本出願の実施例で開示された方法、ステップ及び論理ブロック図を実現又は実行することができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサ又は任意の従来のプロセッサなどであることができる。本出願の実施例で開示された方法のステップは、直接にハードウェア復号化プロセッサによって実行及び完成することができるか、又は復号化プロセッサ内のハードウェア及びソフトウェアモジュールの組合せによって実行及び完成することができる。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ、プログラム可能な読み取り専用メモリ、又は電気的に消去可能なプログラム可能なメモリ、レジスタなど本技術分野の成熟した記憶媒体内にあることができる。記憶媒体は、メモリ1102内にある。プロセッサ1103は、メモリ1102内の情報を読み取り、プロセッサのハードウェアとともに上述した方法のステップを完成する。
【0097】
本明細書に記載された実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード又はその組合によって実現できることが理解され得る。ハードウェアによって実現する場合、処理ユニットは、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuits,ASIC)、デジタル信号処理(Digital Signal Processing,DSP)、DSPデバイス(DSP Device)、プログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device,PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array,FPGA)、汎用プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、その他の電子ユニット又はその組合で実現することができる。
【0098】
ソフトウェアによって実現する場合、本明細書に記載された技術は、本明細書に記載された機能を実行するためのモジュール(例えば、手順、機能など)によって実現することができる。ソフトウェアコードはメモリに格納され且つプロセッサで実行される。メモリは、プロセッサ内又はプロセッサの外部で実現することができる。
【0099】
選択的に、別の実施形態として、プロセッサ1103は、コンピュータプログラムを実行するとき、
図4に示された技術方案の方法を実行するために用いられる。
【0100】
本出願の実施形態に記載されている技術方案は、衝突がないかぎり任意に組み合わせることができることに留意されたい。
【0101】
上述したのは、ただ本発明の具体的な実施形態であり、本発明の保護範囲はこれに限定されるものではない。当業者であれば、本発明に開示された技術範囲内で変更又は置換を容易に想到しうることであり、全て本出願の範囲内に含まれるべきである。従って本願の保護範囲は特許請求の範囲によって決めるべきである。
【0102】
産業上の利用可能性
【0103】
本出願の実施形態において、先ず、デコードしようとするブロックに隣接する参照サンプルを取得して、第一隣接参照サンプルセットを取得し、第一隣接参照サンプルセットはデコードしようとするブロックに隣接する参照行又は参照列の参照サンプルからなる。次に、参照行又は参照列の開始位置から始めて、K個の参照サンプルに対応する位置を確定し、Kは1以上の正の整数である。次に、確定されたK個の参照サンプルに対応する位置に基づいて第二隣接参照サンプルセットを取得し、第二隣接参照サンプルセットは第一隣接参照サンプルセットにおけるK個の参照サンプル以外の隣接参照サンプルを含む。最後に、第二隣接参照サンプルセットに基づいて、デコードしようとするブロックに対して予測デコーディングを実行する。第二隣接参照サンプルセットは、重要ではなく且つ開始位置に近い参照サンプルを含まないので、第二隣接参照サンプルセットを利用して構築されたモデルパラメータは比較的正確であり、予測デコーディングパフォーマンスを向上させる。さらに、第二隣接参照サンプルセットのサンプル数が少ないので、検索の複雑さを低減し、ビデオ画像の圧縮効率を向上させ、ビットレートを下げることができる。