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  • 特開-海洋係留連結器 図1
  • 特開-海洋係留連結器 図2
  • 特開-海洋係留連結器 図3a
  • 特開-海洋係留連結器 図3b
  • 特開-海洋係留連結器 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113912
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】海洋係留連結器
(51)【国際特許分類】
   B63B 21/04 20060101AFI20230808BHJP
【FI】
B63B21/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023095672
(22)【出願日】2023-06-09
(62)【分割の表示】P 2020560614の分割
【原出願日】2019-01-24
(31)【優先権主張番号】1801168.4
(32)【優先日】2018-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】520270129
【氏名又は名称】ナイラキャスト リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン バンフィールド
(72)【発明者】
【氏名】ナイジェル ブリッグス
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン マコーマック
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高強度で、軽量な係留連結器を提供する。
【解決手段】第1の係留ロープと第2の係留ロープとを接続するための海洋係留連結器は、中空体すなわち外殻および中心コアを有する。海洋係留連結器においては、外殻がロープ通過表面を含み、中心コアが第1の材料を含み、かつ外殻が第2の材料を含み、第1の材料が第2の材料とは異なり、外殻が外表面を有し、外表面が、第1の係留ロープのための第1のロープ通過表面を画定する第1の溝と、第2の係留ロープのための第2のロープ通過表面を画定する第2の溝と、第1の溝及び第2の溝の間に形成され、第1のロープ通過表面及び第2のロープ通過表面を分離する頂部とを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の係留ロープと第2の係留ロープとを接続するための海洋係留連結器であって、前記海洋係留連結器は中心コアおよび外殻を含み、
前記外殻がロープ通過表面を含み、
前記中心コアが第1の材料を含み、かつ前記外殻が第2の材料を含み、前記第1の材料が前記第2の材料とは異なり、
前記外殻が外表面を有し、
前記外表面が、前記第1の係留ロープのための第1のロープ通過表面を画定する第1の溝と、前記第2の係留ロープのための第2のロープ通過表面を画定する第2の溝と、前記第1の溝及び前記第2の溝の間に形成され、前記第1のロープ通過表面及び前記第2のロープ通過表面を分離する頂部とを含む、海洋係留連結器。
【請求項2】
前記中心コアが金属材料を含み、かつ前記外殻が非金属材料を含む、請求項1に記載の海洋係留連結器。
【請求項3】
前記外殻が実質的に前記中心コアを取り囲む、請求項1または請求項2に記載の海洋係留連結器。
【請求項4】
前記外殻が前記中心コアを受けるように整えられた内表面を有する、請求項1、請求項2、または請求項3に記載の海洋係留連結器。
【請求項5】
前記内表面が前記中心コアを受けるための凹所を含む、請求項4に記載の海洋係留連結器。
【請求項6】
前記第1の溝が、中央溝を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の海洋係留連結器。
【請求項7】
前記第2の溝が、前記第2のロープ通過表面が配置された外側溝を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の海洋係留連結器。
【請求項8】
前記外表面が、中央溝と2つの外側溝とを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の海洋係留連結器。
【請求項9】
前記外殻は、外壁により画定された凹所を有し、前記凹所は、前記溝の内側の中空体の部分で前記外壁の厚みが増すように形成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の海洋係留連結器。
【請求項10】
前記第1の溝が中央溝を含み、前記第2の溝が外側溝を含み、前記外側溝は、前記外殻の外周にわたり前記中央溝から等しい間隔を置くことがない、請求項1から9のいずれか一項に記載の海洋係留連結器。
【請求項11】
前記外殻を実質的に取り囲むように構成された外面ケーシングをさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の海洋係留連結器。
【請求項12】
前記外面ケーシングが、ロープが通過できるように構成された1つの凹所を含む、請求項11に記載の海洋係留連結器。
【請求項13】
前記外面ケーシングが、ロープが通過できるように構成された複数の凹所を含む、請求項12に記載の海洋係留連結器。
【請求項14】
前記外面ケーシングが第1のケーシング部および第2のケーシング部を含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の海洋係留連結器。
【請求項15】
前記第1のケーシング部が、ロープが通過できるように構成された前記複数の凹所のうちの少なくとも1つの凹所を含み、かつ前記第2のケーシング部が、ロープが通過できるように構成された前記複数の凹所のうちのさらなる少なくとも1つの凹所を含む、請求項13に従属する場合の請求項14に記載の海洋係留連結器。
【請求項16】
前記中心コアが、中央部分と、外側フランジへ延在する腕とを有する、請求項1から15のいずれか一項に記載の海洋係留連結器。
【請求項17】
前記外側フランジ及び前記中央部分における前記中心コアの直径は、前記腕における前記中心コアの直径よりも大きい、請求項16に記載の海洋係留連結器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、係留連結器、例えば海洋係留連結器に関する。
【背景技術】
【0002】
係留連結器は、洋上設備の構成物、例えばアンカー・チェーンまたは浮体式再生可能エネルギー装置を、係留ロープを介して連結するために使用される装置である。
【0003】
こうした係留連結器は、洋上設備の運用のために不可欠であり、したがって、非常に厳しく、高エネルギーの洋上環境に耐えられなければならない。
【0004】
係留ロープは、連結器の表面に対して引張り状態のもとに保持され、連結器とこれを通過するロープは、うねり、潮の干満、風および他の現象に起因する動きによって、互いに相対的に動く。
【0005】
タンカー、ガス運搬船およびコンテナ船などの大型船舶用の係留ロープは、典型的に鋼線で製造されてきた。しかし、鋼製ロープは重く、このことにより、ロープが取扱いに困難を伴いかつ時間を要するものとなり、乗組員に余分の負担を負わせ、停泊地での時間が増加する。また、ワイヤロープが摩耗するにつれて個々のワイヤが離脱し、離脱したワイヤによりロープを取り扱う作業員が手を切る恐れがある。さらに、塩水環境では、鋼製ロープは腐食を受けやすくなる恐れがある。
【0006】
したがって、合成繊維ロープが、鋼の代替品として提供されてきた。通常この合成繊維ロープは、高弾性率の、ポリエチレン繊維、アラミド繊維または液晶ポリエステル繊維で製造され、これらの繊維の全てが高強度と伸びに対する良好な抵抗力を兼ね備え、合成繊維ロープの性能を鋼製ワイヤロープとほぼ同等にしている。合成繊維ロープは、より軽量で、取扱いがより容易である。合成繊維ロープは、摩耗するにつれて鋭利な繊維を生じる傾向がない。
【0007】
また、鋼製ロープは、デッキに沿って引きずられる際に火花を出しがちであり、タンカーまたはガス運搬船上で発生した場合に重大な影響がある、この火花発生のリスクが、合成繊維ロープでは排除される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
鋼製ロープに対する合成繊維ロープの1つの問題が、合成繊維ロープは相対的に耐摩耗性が劣ることである。係留連結器は通常鋼製である。鋼の表面は、鋼製ワイヤロープに対しては摩耗の問題を生じないが、合成繊維ロープには、鋼の表面は摩耗を促進するに足りるほど粗い。鋼製の係留連結器はさらに、重くかつ錆びる傾向があり、この錆により、合成繊維ロープが連結器を通過する際の、連結器の研磨性が増加する。
【0009】
一部の係留連結器は、非金属材料、例えばポリマーで製造された、露出したスプールを含む。それでもなお、これらの係留連結器の鋼製の部品が、合成繊維ロープに摩耗を引き起こす。1つの解決法は、合成繊維ロープの外表面をポリウレタン・シースで被覆することであるが、ポリウレタン・シースおよびその下にある合成繊維ロープの、擦れによる損傷ならびに摩耗が、なお難題である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、中心コアおよび外殻を含む係留連結器が提供され、外殻はロープ通過表面を含む。
【0011】
中心コアと外殻の組合せにより、高強度で、なお軽量な係留連結器の提供が可能となる。
【0012】
中心コアは第1の材料を含んでよく、外殻は第2の材料を含んでよく、第1の材料は第2の材料とは異なる。このようにすることで、中心コアおよび外殻の材料特性を、係留連結器の強度および重量、ならびにロープ通過表面の摩擦特性が最適となるように適応可能である。中心コアは、係留連結器が所要の強度的特質を有することを確実にするため、金属材料、例えば鋼を含んでよい。
【0013】
外殻は、係留連結器の重量が抑制され、ロープ通過表面が望ましい摩擦特性を有し、かつ係留連結器が良好な耐食性を有することを確実にするため、非金属材料、例えばポリアミドなどのエンジニアリング・ポリマーを含んでよい。
【0014】
外殻は、中心コアを実質的に取り囲んでよい。このようにすることで、係留連結器の耐食性がさらに向上する。
【0015】
外殻は、中心コアを受けるように整えられた内表面を有してよい。その結果、係留連結器の耐用年数を増すことができる。
【0016】
外殻は、ロープ通過表面が形成された外表面を有してよい。外殻は、複数のロープ通過表面を含んでよい。
【0017】
複数のロープ通過表面のうちの少なくとも1つのロープ通過表面は、先細りとすることができる。その結果、係留連結器の信頼性を向上することができる。
【0018】
外殻は、複数のロープ通過表面のうちの第1のロープ通過表面が配置された中央溝を含んでよい。
【0019】
外殻は、複数のロープ通過表面のうちの第2のロープ通過表面が配置された外側溝を含んでよい。
【0020】
外殻は、第1の外殻部および第2の外殻部を含んでよい。第1の外殻部および第2の外殻部は、外殻の中に中心コアを固定するように、互いに締結されてよい。
【0021】
係留連結器は、外殻を実質的に取り囲むように構成された外面ケーシングをさらに含んでよい。このようにすることで、係留連結器の信頼性および耐用年数を増すことができる。
【0022】
外面ケーシングは、ロープが通過できるように構成された1つの凹所を含んでよい。
【0023】
外面ケーシングは、1本または複数本のロープが通過できるように構成された複数の凹所を含んでよい。
【0024】
外面ケーシングは、第1のケーシング部および第2のケーシング部を含んでよい。第1のケーシング部は、ロープが通過できるように構成された複数の凹所のうちの少なくとも1つの凹所を含んでよく、第2のケーシング部は、ロープが通過できるように構成された複数の凹所のうちのさらなる少なくとも1つの凹所を含んでよい。
【0025】
次に添付の図を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の実施形態による係留連結器の斜視図である。
図2図1の係留連結器の、中心コアおよび外殻の分解図である。
図3a図1の係留連結器の、外殻の内表面の斜視図である。
図3b図1の係留連結器の、外殻の外表面の斜視図である。
図4】外面ケーシングを伴う図1の係留連結器の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図を参照すると、係留連結器10がある。係留連結器10は、中空体すなわち外殻12、および中心コア14を有する。
【0028】
中空体すなわち外殻12は、エンジニアリング・ポリマー、例えばポリアミドで形成され、通常円筒形であり、2つの外殻部16、18を有する。中空体12は外表面20および内表面22を有する。
【0029】
外表面20は、中央溝部分すなわちロープ通過表面24、および2つの外側溝部分すなわちロープ通過表面26、28を有する。2つの外側溝部分すなわちロープ通過表面26、28は、中空体すなわち外殻12の全外周にわたり、外側溝部分26、28が中央溝部分24から等しい間隔を置くことがないように、図3aに示す通り、先細りとなっている。
【0030】
図3aを特に参照して、内表面22は、外壁32により画定された凹所30を有する。凹所30は、図3aに示す通り、中空体12の、中央および外側溝部分24、26、28の内側となる部分で、外壁32の厚みが増すように形成される。これは、係留連結器10の、使用に際してロープを支持する範囲において、外殻12が所要の強度を有することを確実にするためである。
【0031】
図3aを特に参照して、凹所30は中央凹所領域34、凹所30の第1の端部にある外側凹所領域36、凹所30の第2の端部にある外側凹所領域38、外側凹所領域36と中央凹所領域34との間の第1の中間凹所領域40、および外側凹所領域38と中央凹所領域34との間の第2の中間凹所領域42を有する。凹所30の外側凹所領域36、38および中央凹所領域34における直径は、凹所30の中間凹所領域40、42における直径より大きい。
【0032】
次に図2を参照して、中心コア14は金属材料、例えば鋼で形成された中実体である。中心コア14は通常円筒形で、中空体すなわち外殻12の凹所30の形状に対応するように構成された形状を有する。中心コア14は、中央部分44、および中央部分44から外側フランジ50、52へ延在する腕46、48を有する。中心コア14の外側フランジ50、52および中央部分44における直径は、中心コア14の腕46、48における直径より大きい。これは、係留連結器10の、使用に際してロープを支持する範囲において、中心コア14が所要の強度を有することを確実にするためである。
【0033】
図4に示す通り、係留連結器10はまた、外面ケーシングすなわちカバー54を有する。外面ケーシングすなわちカバー54は、金属材料または非金属材料で形成され、第1のケーシング部すなわちエンド・キャップ56および第2のケーシング部すなわちエンド・キャップ58を有する。
【0034】
第1のケーシング部すなわちエンド・キャップ56は、円形の外面60、外壁62、上側フランジ64および下側フランジ66を有する。
【0035】
外壁62は、一方の側に一対の開口部または凹所または切り欠き68、70を、かつ反対の側に開口部または凹所または切り欠き72を含む。上側フランジ64は開口または穴74を含む。同様に、下側フランジ66は開口または穴76を含む。
【0036】
同じように、第2のケーシング部すなわちエンド・キャップ58は、円形の外面80、外壁82、上側フランジ84および下側フランジ(図示せず)を有する。
【0037】
外壁82は、一方の側に一対の開口部または凹所または切り欠き88、90を、かつ反対の側にさらなる開口部または凹所または切り欠き(図示せず)を含む。上側フランジ84は開口または穴94を含む。同様に、下側フランジ(図示せず)は開口または穴(図示せず)を含む。
【0038】
外面ケーシング54はまた、連結器100、102を含む。
【0039】
係留連結器は次のように組み立てられる。
【0040】
金属製の中心コア14は、金属材料で鋳造される。2つの外殻部16、18は、エンジニアリング・ポリマー、例えばポリアミドで形成される。
【0041】
中心コア14は外殻部18の凹所30の中に、外側フランジ50が外殻部18の外側凹所領域38の中に収まり、腕46が外殻部18の中間凹所領域42の中に収まり、中央部分44が外殻部18の中央凹所領域34の中に収まり、腕48が外殻部18の中間凹所領域40の中に収まり、かつ外側フランジ52が外殻部18の外側凹所領域36の中に収まるように、はめ込まれる。
【0042】
外殻部16は、外殻部18の上に、外殻部16の内表面22の外壁32が、外殻部18の内表面22の外壁32に接するように置かれる。
【0043】
外殻部18に関して上述したのと同様に、中心コア14は外殻部16の凹所30の中に、中心コア14の外側フランジ50が外殻部16の外側凹所領域38の中に収まり、腕46が外殻部16の中間凹所領域42の中に収まり、中央部分44が外殻部16の中央凹所領域34の中に収まり、腕48が外殻部16の中間凹所領域40の中に収まり、かつ外側フランジ52が外殻部16の外側凹所領域36の中に収まるように、はまる。
【0044】
外殻部16、18は次に、ボルト締めまたは任意の知られている締結方法により、共に締結されてよい。
【0045】
係留連結器の外殻およびコアが組み立てられると、ロープ104、106、108は、図1および図4に示すように、外表面20上に取り付け可能である。ロープ104は外殻12の中央溝24の中に配置され、ロープ106は外殻12の外側溝26の中に配置され、ロープ108は外殻12の外側溝28の中に配置される。
【0046】
次に、外面ケーシング部すなわちエンド・キャップ56、58が、ロープ106、108が第1のケーシング部56の開口部68、70を通り、かつ第2のケーシング部58の開口部88、90を通って延在し、ロープ104が、第1のケーシング部56の開口部70および第2のケーシング部58の開口部(図示せず)を通って延在するように、係留連結器の両端部の周りに配置される。
【0047】
2つのケーシング部56、58を固定するために、連結器100が、第1のケーシング部56および第2のケーシング部58のフランジ64、84の開口74、94に通される。同じように、連結器102が、第1のケーシング部56のフランジ66の開口76および第2のケーシング部58のフランジ(図示せず)の対応する開口(図示せず)に通される。
【0048】
ロープは、稼働状態にある間はユニットが圧縮状態に保持されるように、連結器の周りに配置される。
【0049】
連結器の外面ケーシングは、ロープの「目」を入れ、かつ取り囲むように2つの部分で形成され、その結果組立体を、互いに対向したロープと一体に保つ。
図1
図2
図3a
図3b
図4