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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113919
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】口腔訓練器具
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/06 20060101AFI20230808BHJP
   A61H 1/00 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
A61C19/06 Z
A61H1/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096147
(22)【出願日】2023-06-12
(62)【分割の表示】P 2020515207の分割
【原出願日】2018-09-13
(31)【優先権主張番号】2017903725
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2018901645
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(71)【出願人】
【識別番号】508058893
【氏名又は名称】クリストファー ジョン ファレル
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ジョン ファレル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】人の舌と唇を訓練するための口腔訓練器具を提供する。
【解決手段】器具200は、前部および2つのアームと、内壁20および外壁22とを備えるU字型の本体を備える。舌訓練部材202は内壁から延びており、使用者の舌による移動に応じて、静止構成から訓練構成へと移動可能である。器具はまた、口唇訓練部材204を備え、使用者の下唇の移動に応じて静止構成から訓練構成へと移動可能であり、口唇訓練部材は静止構成に向かって付勢されている。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の舌および唇を訓練するための口腔訓練器具であって、
前部および2つのアームと、内壁および外壁とを備えるU字型の器具本体と、
上歯列弓収容チャネルを画定するように、前記内壁と前記外壁を相互接続するウェブと、
使用時に前記内壁から後方に延び、舌の上方に位置するように構成された舌訓練部材であって、前記使用者の舌による上方への移動に応じて、静止構成から訓練構成へと移動可能であり、前記静止構成に向かって付勢されている舌訓練部材と、
使用時に前記使用者の唇の間を延びるように構成された、前記前部の前方に伸びる口唇訓練部材であって、前記使用者の唇の移動に応じて静止構成から訓練構成へと移動可能であり、前記静止構成に向かって付勢されている口唇訓練部材と、
を備え、前記口唇訓練部材は、前記口唇訓練部材を介した呼吸を可能にするように、呼吸通路を画定する上壁および下壁を有することを特徴とする口腔訓練器具。
【請求項2】
前記口唇訓練部材は、中空の圧縮可能な弾性部材であり、及び/又は、前記舌訓練部材は、圧縮可能な部材を備えることを特徴とする請求項1に記載の口腔訓練器具。
【請求項3】
前記舌訓練部材は、後方に面した開口部を有する空洞を画定する上壁および下壁を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の口腔訓練器具。
【請求項4】
前記舌訓練部材は、上壁および下壁を有し、前記上壁および下壁は、横断貫通孔を形成することを特徴とする請求項1または2に記載の口腔訓練器具。
【請求項5】
前記舌訓練部材の前記上壁は、上口蓋と適合するように構成された上面を有することを特徴とする請求項3または4に記載の口腔訓練器具。
【請求項6】
前記舌訓練部材の前記下壁は、前記使用者の舌端を快適に収容するための表面を画定するために実質的に凹状形状を有する下面を有することを特徴とする請求項3~5のいずれか一項に記載の口腔訓練器具。
【請求項7】
舌訓練部材は、タブ部材と、前記タブ部材を前記内壁に接続する接続部材と、を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の口腔訓練器具。
【請求項8】
前記舌訓練部材が前記静止構成にある時、前記タブ部材は、使用時に前記使用者の硬口蓋の下方に一定距離を持たせた位置にあるように構成されることを特徴とする請求項7に記載の口腔訓練器具。
【請求項9】
前記タブ部材上での前記使用者の舌の上方への移動が、前記タブ部材を前記使用者の前記硬口蓋に向かって押すことを特徴とする請求項8に記載の口腔訓練器具。
【請求項10】
前記口唇訓練部材は、前記呼吸通路が前記訓練位置にある時に前記静止位置にある時よりも小さい呼吸用の断面積を有するように構成されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の口腔訓練器具。
【請求項11】
前記器具本体の前記前部上の前記口唇訓練部材のそれぞれの側に設けられた呼吸孔を更に備えることを特徴とする請求項10に記載の口腔訓練器具。
【請求項12】
前記内壁および前記外壁はそれぞれ、下歯列弓収容チャネルを画定する前記ウェブから垂れ下がる下部をさらに備えることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の口腔訓練器具。
【請求項13】
前記上歯列弓収容チャネルおよび前記下歯列弓収容チャネルは下顎の前進のために構成されていることを特徴とする請求項12に記載の口腔訓練器具。
【請求項14】
前記外壁の前記下部はリップバンパーを更に備えることを特徴とする請求項12または13に記載の口腔訓練器具。
【請求項15】
前記内壁の前記下部は、舌持ち上げ部を更に備えることを特徴とする請求項12~14のいずれか一項に記載の口腔訓練器具。
【請求項16】
前記舌訓練部材は、弾性プラスチック材料から前記器具本体と一体に形成され、ここにおいて、前記舌訓練部材は前記弾性プラスチック材料によって前記静止構成に向けて付勢されることを特徴とする請求項1~15のいずれか一項に記載の口腔訓練器具。
【請求項17】
前記プラスチック材料は、集団における通常の使用者の最大舌圧(60kPa~70kPa)よりも大きい弾性限界を有することを特徴とする請求項16に記載の口腔訓練器具。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の口腔訓練器具であって、前記舌訓練部材は前記器具本体と一体に成形されることを特徴とする口腔訓練器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有益な筋機能習慣の訓練および促進を手助けし得る口腔訓練器具に関する。この器具は、正しい歯の咬合を実現するための最も好適な口腔内環境を構築することを手助けし得る。従って、この適用例を参照して本発明を以下に説明することが好都合であろう。本開示はまた、開示された口腔訓練器具を使用する改善された口腔形態をもたらすための筋機能訓練の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人間には、上歯列弓を形成する上顎と呼ばれる上部の顎と、下歯列弓を形成する下顎と呼ばれる蝶番式に連結された下部の顎がある。上歯列弓が下歯列弓のサイズと形状に整合し、その結果、顎が閉じている時に上顎と下顎の歯が合っている場合、咬合が正しいことになる。更に、上歯列弓および下歯列弓の個々の歯は、それらが互いに正しく整合するように、互いに対して歯列弓の長さに沿って正しく位置付けられている。しかし、上歯列弓および下歯列弓はほぼ同じサイズであるが、互いに対しては僅かにずれている。具体的には、上歯列弓の歯は、下歯列弓の歯に対してずれており、上歯列弓の各歯の少なくとも一部は、下歯列弓の対応する歯の外側に位置している。下歯列弓の切歯は上歯列弓の切歯の後ろ側に位置している。
【0003】
しかし、上顎と下顎のサイズの不整合を伴う不正咬合は、世界中の人間母集団において比較的一般的な状態である。下顎後退または過蓋咬合と呼ばれる2級不正咬合では、下顎が後退し、上顎と歯が、下顎と歯に重度に重なっている。3級不正咬合では、突出しているのは下顎である。
【0004】
顔の筋肉は、発話、嚥下、咀しゃくなどの口腔顔面機能の実行において重要な役割を有する。口腔顔面筋機能障害(OMD)は、顔の筋肉および機能の障害である。歯の上の舌、ならびに関連する上顎および下顎の内力と、唇および頬の筋肉の外力との間には、精巧な平衡がある。OMDの結果としてのこのような平衡のいかなる乱れも、顔の骨格の成長と発達に有意な影響を与える可能性がある。
【0005】
従って、骨格が成長中の子供における、母指吸引癖、舌突出癖、および非栄養吸引などの悪い口腔習癖は、悪い口腔形態、ならびに、例えば、不正咬合、混雑歯、開咬、狭い歯列弓形成などのいくつかの問題を引き起こす可能性がある。
【0006】
本願の明細書では、「正しい口腔形態」または「正しい口腔習癖」という用語には、上口蓋への舌の正しい配置、適切な口唇閉鎖、舌が正しい位置にある正しい嚥下パターンのうちの1つ以上が含まれ、正しい嚥下というものが存在する。それは、嚥下が頬、唇または顎の筋肉の使用を伴わず、鼻呼吸を伴わないことを意味する。
【0007】
本願の明細書において、「悪い口腔習癖」または「悪い口腔形態」という用語は、正しくない1つ以上の形態または習癖を含み、正しい位置にない舌、舌突出癖、指の吸引、不適切な口唇閉鎖、異常嚥下パターン、および口呼吸を含む。
【0008】
成長中の子供の幼い頃にこれらの問題の治療に失敗した場合に対する従来の歯列矯正手法は、後日におけるブレースおよび/または手術などの物理的介入である。これは、子供または若者にとって最も望ましくない結果である。
【0009】
代替的で確実に侵襲性の低い手法は、骨と歯が正常に成長できるように、乱れた内力/外力の平衡を操作するように設計された口腔内機能的器具の使用である。
【0010】
習慣的な口呼吸および/または悪い口腔形態は、重大な悪影響を与える可能性のあるOMDである。舌が自然な静止位置にある時、舌端は上口蓋の前部の切歯乳頭に位置する。舌端がこの位置にある状態で、舌の背部は上小臼歯の歯冠と歯根の間の歯頚の3分の1を動く。舌根は大臼歯で下に下がり、舌骨において挿入されるに至る。舌端がその生理学的位置にある時、その舌背と舌根も同様にその生理学的位置に再配置する傾向があり、舌根は大臼歯部で下降する。この位置は重要である。その理由は、舌が正しい位置にあるおかげで、舌が上顎の成長を誘導するからである。
【0011】
しかし、口呼吸をすると、舌が下がった位置にあって、子供または人が口を通して呼吸することがより容易にできるようになる。これにより、頬筋が上顎を内側に押し込むことが可能になり、それにより上顎の発達は悪影響を受ける。各鼻腔の側壁は主に上顎で構成されているので、鼻腔は縮小され、それにより鼻呼吸に悪影響を及ぼすことになる。
【0012】
口呼吸をする子供は、異型の顔の特徴、すなわち、長い顔、目の隈、狭い鼻孔、上顎の横収縮、高アーチ型口蓋、およびII級または時にはIII級不正咬合に関連するガミースマイルを有し、後交叉咬合および前開咬の高い罹患率を伴う。
【0013】
2級不正咬合、および上歯突出が大きい骨格性2級プロファイルは、口呼吸を行い、下顎を後方および下方に回転させる子供に生じる可能性がある。顎を押し下げて口を開ける筋肉は後向きの圧力を下顎に加え、それにより、下顎は遠位方向に変位し、その成長が遅れる。頬筋は口を開けることで緊張し、上顎の小臼歯と大臼歯に舌圧を加える傾向があり、これらは舌から十分な支持を受けないので、口蓋と上歯列弓は非常に狭くなる。唇の機能は異常であり、下唇は大きくて膨らんでおり、上唇は短く機能しておらず、しばしば下唇が上顎切歯の下に押し上げられる。上顎切歯は上歯突出(上顎切歯縁部と舌顎切歯の唇側面の間の測定値)の増加を伴って更に突出している。
【0014】
口呼吸はまた、3級不正咬合のいくつかの形態の発生にも役割を果たす場合がある。口呼吸をする子供は、常に顎が開いており、舌が下がった形態を有し、これが下顎の過剰な成長をもたらし、成長刺激となる場合がある口窩から下顎関節頭が定常的に逸れる場合がある。加えて、口蓋および上顎への舌突出の欠如は、上歯突出の低減または反転を伴う、矢状方向および横断方向の上顎骨格欠損を引き起こす可能性がある。
【0015】
狭い歯列弓の高い有病率は、一般に、特に上顎での歯の密生をもたらす。
【0016】
成人の口呼吸は悪影響を及ぼす可能性もあり、いびきおよび閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSA)を含む睡眠呼吸障害(SDB)に関連している。口呼吸は、過呼吸症候群(HVS)にも関連している。
【0017】
正しくない舌位置は、指の吸引、非栄養吸引、舌突出癖などの他の口腔習癖でも発生する。
【0018】
舌の位置が低いことの更なる影響は誤嚥である。嚥下のためには、口内に負圧または吸引が必要である。正常な嚥下は、十分な口唇閉鎖を伴って歯が噛み合っている場合に生じる。舌が上口蓋を押して吸引力が生み出される。吸引力を高めるために、舌は上口蓋を横切って動く。嚥下の吸引力が高まった時に、舌と唇との間に相互作用が生じる。舌のこの動きはまた、上顎を拡張するような前方、上方への力をもたらし、これは顔の発達に有益である。
【0019】
一方、正しくない嚥下時には、歯の間に舌が置かれて歯が僅かに離れており、閉鎖が不十分である。閉鎖が不十分であるため、唇、頬、顎の筋肉が補償として使用されて、歯列に吸引され、それにより顔および口蓋に更なる力が掛かる。これが頬筋の過剰発達を引き起こす可能性があり、それにより上顎に、より強い圧迫力が掛かる。それはまた、オトガイ筋(顎の筋肉)の活動過多をもたらす。
【0020】
前述のように、機能的器具を使用して、OMDによって引き起こされた力の不整合に平衡を取り戻すように操作することにより、不正咬合を矯正できる。1950年代、Rolf Frankelは機能的器具(現在はフレンケル装置として知られている)を開発し、これにより、上顎および下顎の筋肉が、矯正治療に重要な役割を果たすこと、および望ましくない力を制限することを可能にした。
【0021】
しかし、機能的器具は不正咬合を矯正しながらも、それ自体では、舌と口腔顔面の筋肉を適切な口腔形態に再訓練するとは限らない。理由の1つは、舌と口腔顔面の筋肉が障害のある形態で機能するように訓練されてきたこと、または換言すると、障害のある機能が習癖になっていることである。適切な嚥下の欠如は、舌の萎縮と衰弱を引き起こす場合がある。
【0022】
習癖は、繰り返しによって自発性になった行動または状態である。異常な口腔習癖は非常に静かに無意識に作用するので、患者でさえもその存在に気付かないことが頻繁にある。そのような単純な習癖は全て、最初は意識的な努力によって行われる。反復する毎に、意識的な努力は次第に少なくなり、厳密に運動反応のみが適用されるようになる。最終的には、それは完全に無意識に行われ、意識が排除された心の日課の一部になる。
【0023】
従って、器具を装着していない時、患者は乱れた口腔形態を再開することになる。多くの場合、口唇筋が弱くなり、口唇閉鎖を維持することができない。これは唇の不全として知られている。舌は口内で低い位置に戻る。患者が習慣的な口呼吸者ならば、口呼吸を続けることになる。
【0024】
従って、OMDに適切に対処するためには、舌と唇を再訓練する必要がある。これは筋機能療法として知られている。従って、筋機能療法は、機能的器具による治療に対する重要な補助となる。
【0025】
従って、このような悪い口腔習癖の再訓練には相当の筋機能療法が必要であり、患者の順守が重要であることが理解されよう。しかし、理学療法は筋機能療法を含めていずれも、患者の順守と同程度にしか重要でない。
【0026】
適切な口唇閉鎖を促進するための筋機能口唇運動の例には、患者に、上唇または下唇を他方の下唇または上唇の上に伸ばすようにさせることが含まれる。唇を合わせてしっかりと閉じることによる別の運動が行われ、これは能力を高めるのに役立つ。別の運動は「ボタン引き」運動として知られており、この運動では、糸をボタンに通し、患者は唇の背後にボタンを配置し、口唇閉鎖を用いてボタンが引き離されることに抵抗する。
【0027】
唇および顔面筋を強化するために提案されている器具も多数ある。そのような装置の1つが「口腔スクリーン」として知られており、それは、唇と歯の間に置かれる湾曲した部材を有し、唇の間に保持リングまたはコードが延びている。スクリーンは装着時に、舌突出および口呼吸を防ぐ。保持リングまたはストラップを引っ張ってスクリーンを取り外すことに抵抗するように唇を使用することにより、スクリーンを療法にも使用できる。
【0028】
口唇筋および顔面筋を運動させると言われている多数の他の装置がある。多くの装置は開位置に付勢され口内に置かれる部材を有し、人は付勢力に抗して唇を合わせて閉じるように指示される。多くのそのような装置および関連する運動は、主に顔面筋の調子を整え、または引き締め、唇への血流を改善して、主張される美容効果をもたらすことに関係する。
【0029】
一方、筋機能療法は、口唇閉鎖、口蓋での舌静止位置、および鼻呼吸を促進するための適切な形状を実現するための筋肉の訓練に関係する。美容目的で使用されるこれらの運動および装置は、悪い口腔形態を矯正するための筋肉訓練に関係しておらず、口蓋での舌の適切な位置は考慮されていない。
【0030】
ここで筋機能舌運動に目を向けると、一般的な運動は4S運動として知られ、(1)正しい口蓋の位置または「スポット」を特定すること、(2)唾液腺を刺激するスポットに舌を置くこと、(3)歯を閉じて、「スポット」に対して舌を押し付けた後、弛緩させること、(4)歯を合わせて舌端を「スポット」に当てて嚥下すること、を含む。この運動を1日に少なくとも40回実践することが推奨される。子供は親の監督に大きく依存するので、この運動は順守することが重要なことが理解されよう。同じく、運動が正しく行われていることを親が確認することはできない。
【0031】
舌を正しい位置に誘導するためのガイドを有する口腔内器具、または舌突出癖に対する障壁を提供する口腔内器具もある。実際には、これら器具は、正しい位置を維持し、正常な嚥下のための十分な力が得られるように、舌を正しい位置に訓練することも、舌筋を強化することもしない。
【0032】
歯科矯正および筋機能療法の分野において、既存の器具および治療に代わるものを患者に提供でき、患者にとって異なるまたはより良い結果を提供できる、新しい器具および治療方法を提供することが常に望まれていることが理解されよう。
【発明の概要】
【0033】
本開示の一態様によると、使用者の舌および唇を訓練するための口腔訓練器具が提供され、口腔訓練器具は、
前部および2つのアームと内壁および外壁とを備えるU字型の器具本体と、
上歯列弓収容チャネルを画定するように、内壁と外壁を相互接続するウェブと、
使用時に内壁から後方に延び、舌の上方に位置するように構成された舌訓練部材であって、使用者の舌による上方への移動に応じて、静止構成から訓練構成へと移動可能であり、静止構成に向かって付勢されている、舌訓練部材と、
前部の前方に延びる口唇訓練部材であって、使用時に使用者の唇の間を延びるように構成され、使用者の下唇の移動に応じて静止構成から訓練構成へと移動可能であり、静止構成に向かって付勢されている、口唇訓練部材と、を備え、前記口唇訓練部材は、前記口唇訓練部材を介した呼吸を可能にするように、呼吸通路を画定する上壁および下壁を有する。
【0034】
上記のように、悪い口腔習癖を矯正するために患者が筋機能療法で治療を受けている場合、患者に順守させることが困難であることが認められている。これは、特に、集中力が続かない子供に当てはまる。機能的器具は、下にある成長する構造を顔面筋の逸脱した動作から保護することはできるとはいえ、それ自体で、唇および舌を再訓練し正しくない嚥下を矯正する役割を担うことはない。そのような訓練を行わないと、機能的器具による療法を中止した後、口腔形態が悪いと、その療法を後戻りさせることになる。
【0035】
本発明者はまた、当該技術分野で周知の器具を、それ自体で使用する口唇運動は、適切な口唇閉鎖を自動的にもたらさないことを理解している。これは、口唇閉鎖が適切であるためには、必要な程度の吸引を提供するように、舌が口蓋の正しい位置にあることも重要だからである。更に、嚥下中に舌が正しくない位置にあると、嚥下に必要な吸引は舌によって生成されず、頬筋およびオトガイ筋によって補償されなければならない。
【0036】
口腔器具本体は好適には、軟質および/または弾性材料、好適には熱可塑性樹脂材料から製造される。
【0037】
口腔器具本体、特にアームは、好適には、口腔器具を様々なサイズの歯列弓を持つ使用者に適合させることができるように、ある程度の伸展性を有する。
【0038】
熱可塑性樹脂材料は、使用者が成形できるように、100℃未満の温度で軟化してもよい。このような材料にはエチレンビニルアセテート(EVA)が含まれ、これは、マウスガードで周知のとおり、使用者が温水で装置を柔らかくし、使用者の歯の周りで装置を成形できる。
【0039】
この場合、口腔装置はまた、器具に構造的支持をもたらすように、100℃未満で軟化しない材料、例えばポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィンで作られたコアまたはフレームを有してもよい。
【0040】
代替として、口腔器具は、100℃未満で軟化しない軟質ポリマーであるが室温で柔らかく柔軟な軟質熱可塑性樹脂材料、例えば、ポリウレタン、液体シリコーンゴム、またはシリコーンから形成されてもよい。
【0041】
シリコーン、ポリウレタン、および液体シリコーンゴムは、柔軟であり、使用者の歯に成形する必要がないため特に好適である。これにより、快適性が改善され、使用者はある程度の顎移動をできるようになり、それにより使用者の快適さに貢献し、従って順守することに貢献する。
【0042】
好適には、口腔器具は射出成形によって作製されてもよい。
【0043】
器具本体は、複数の異なるストックサイズで作製できるので、人口の大部分が、上歯列弓上に適度なフィットで取り付けられ得る器具を選択できる。
【0044】
開示された訓練器具は、好適には、上歯列弓収容チャネルおよび下歯列弓収容チャネルの両方を有する。器具を患者の口の中に固定する場合、下歯列弓が下歯列弓収容チャネル内に収容されるように下顎を位置付ける必要がある。人が口呼吸者の場合、口呼吸を促進するために下顎を下げることが多い。従って、器具を装着することで、そのような患者が下顎を持ち上げることが促進される。
【0045】
更に、器具の上歯列弓および下歯列弓は、装着時に患者の上歯列弓および下歯列弓が正しい咬合になり得る、または正しい咬合に近くなり得るように、互いに対して位置合わせされていてもよい。例えば、患者が2級不正咬合を有する場合、上歯列弓収容チャネルおよび下歯列弓収容チャネルは、下顎を前進させるように構成されていてもよい。
【0046】
開示された器具は、使用時に内壁から後方に延び、舌の上方に位置するように構成された舌訓練部材を有する。
【0047】
舌端は非常に敏感であり、口内の物体を触覚的に探索し、口内の物体のサイズと形状の知覚をもたらす。これは、咀しゃくと嚥下にとって重要である。舌訓練部材が口の中にあると、一般に、舌が舌訓練部材に触れて探索しようとする自発的反応が呼び起こされることになる。これにより、刺激効果が生まれ、より多くの血流が舌に促進されることになる。この自発的反応は、正しい舌の配置を意識レベルから無意識レベルに変換することを手助けする。
【0048】
舌訓練部材は、静止構成および訓練構成を有し、静止構成に向かって付勢されている。訓練構成とは、舌訓練部材が舌の動作によって静止構成から移動した任意の構成を意味する。
【0049】
舌訓練部材は、静止位置に向かう付勢力に抗して、舌訓練部材上の舌が上方に移動することにより、静止構成から訓練構成に移動させることができる。これは、舌筋、特にオトガイ舌筋(舌体の大部分を形作り、下顎骨に結合している外因性舌筋)に作用する。
【0050】
舌の強さは、複数の周知の技術によって測定され得る。例は、IOPI Medicalから入手可能な舌の強さの測定装置である。典型的には、空気で充填されたバルブなどの圧力測定装置を口の上部に置いて、患者は装置に対して舌を「できるだけ強く」持ち上げるように求められる。得られる最大圧力が、舌の強さの評価である。一般に、37kPa~44kPaの最大舌圧は、異常に低い舌の強さと相関すると考えられている。人口の平均の舌の強さは、およそ60kPa~70kPaである。
【0051】
舌訓練部材は静止構成に向かって付勢されているので、舌訓練部材は、舌の移動により静止構成と訓練構成との間を移動することができる。これが、舌根の唾液腺を刺激する可能性があり、また口腔内の吸引力を高める可能性がある。吸引はまた、以下で論じるように、口唇閉鎖を構築することを手助けし得る。
【0052】
舌訓練部材は、舌の上方への動きを可能にし、静止構成に向かって付勢された任意の好適な形状および/または構成であってもよい。
【0053】
好適には、舌訓練部材は、器具の内壁の上部から後方に延びている。
【0054】
好適には、舌訓練部材は、器具本体と一体に形成された弾性プラスチック材料であり、付勢はプラスチック材料の弾性変形によって提供される。
【0055】
プラスチック材料の弾性限界は、望ましくは、通常の母集団の最大舌圧(約60kPa~約70kPa)よりも大きいことが理解されよう。
【0056】
一態様では、舌訓練部材は、タブ状部材と、ヒンジ部によって内壁に接続するための接続部材とを備える。舌によるタブの上方への移動が、ヒンジ部の周りで弾性変形を引き起こす。この観点において、タブ部材が静止構成にある時、タブ部材は人の硬口蓋の下方に一定距離を空けて置かれる。
【0057】
タブ部材上での舌の上方への移動は、タブ部材を人の上口蓋に向かって押す。人の舌がより強くなると、舌訓練部材の利用可能な最大変形を増加させなければならない。好適には、人の舌が一般母集団の舌圧に対応する最大舌圧に達した場合、タブ部材の上部面が上口蓋に当接または接触し、それにより使用者に正のフィードバックを提供し得る。
【0058】
好適には、舌訓練部材の上面は、快適さのために上口蓋と適合するように形作られている。
【0059】
好適には、舌端を快適に収容するための表面を画定するように、舌訓練部材の下面は凹状である。
【0060】
舌訓練部材は、口腔訓練器具本体と一体であってもよく、その場合には、プラスチック材料から一体として成形されてもよい。代替的として、舌訓練部材を別個に形成し、それらを、例えば2段階成形プロセスで接合してもよい。このようにして、舌訓練部材を、例えば弾性、柔軟性などの点で本体とは異なる物理的特性を有するプラスチック材料から形成してもよい。
【0061】
舌訓練部材は、ゴム材料などの中実の圧縮可能な弾性部材であってもよい。
【0062】
舌訓練部材は、中空の圧縮可能な弾性部材であってもよい。
【0063】
好適には、舌訓練部材は、上壁、下壁を有し、これらの間に空洞または横断貫通孔が画定されている。空洞および貫通孔は、舌運動中に舌を刺激することによって生じる過剰な唾液を収容してもよい。
【0064】
別の実施形態では、空洞は後方に面する開口部を有する。空洞は、運動と運動との間に静止している時に使用者の舌端を収容するように構成されてもよい。このようにして、舌は正しい位置に維持される。
【0065】
別の実施形態では、舌訓練部材は、変形して訓練構成になり、舌圧が解放された時に静止位置に戻る、形状記憶を有するプラスチック材料から形成された中実部材であってもよい。
【0066】
器具はまた、外壁から前方に延びる口唇訓練部材を有し、口唇訓練部材は、装着時に口唇訓練部材が使用者の唇の間に延びるように、静止構成および訓練構成を有する。
【0067】
口唇訓練部材は、静止構成および訓練構成を有する。訓練構成とは、口唇訓練部材が唇の動作によって静止構成から移動した構成を意味する。
【0068】
好適には、口唇訓練部材は上面および下面を有し、使用時、下面は患者の下唇の上方への移動に応答して静止位置から訓練構成へと移動可能であり、口唇訓練部材は静止位置に向かって付勢されるように構成されている。
【0069】
口唇訓練部材は、訓練器具本体と一体であってもよく、その場合には、器具はプラスチック材料から一体として成形されてもよい。代替として、口唇訓練部材は別個に形成され、器具本体に接合されてもよい。口唇訓練部材を、例えば弾性、柔軟性などの点で本体とは異なる物理的特性を有するプラスチック材料から形成してもよい。
【0070】
口唇訓練部材は、中実の圧縮可能な弾性部材であってもよい。
【0071】
口唇訓練部材は、中空の圧縮可能な弾性部材であってもよい。
【0072】
一態様では、口唇訓練部材は、上壁、下壁、およびそれらの間の横断貫通孔を有する。
【0073】
前述のように、患者が習慣的な口呼吸者の場合、下顎は通常、安静時には下がっている。器具の下歯列弓収容チャネルに係合させるために、患者は、器具を口内に保持するように下顎を上げる必要がある。これにより、直ぐに下唇が持ち上がる。
【0074】
好適には、口唇訓練部材は、下歯列弓が下歯列弓収容チャネル内に収容されるように下顎を動かすと、下唇が口唇訓練部材の下面に接触するか、または下面に十分に接近し、それにより、オトガイ筋の過度の緊張なしに、下唇を上げて口唇訓練部材の下面に接触できるように構成されている。口呼吸者は、口を閉じようとする時、一般に、オトガイ筋を使用して下唇を上げることにより補償し、それによりこの筋肉に緊張をもたらす。
【0075】
好適には、上唇は、口唇訓練部材の上面と接触する。そのような唇の接触は、唇を刺激し、血流を増加させ、口唇訓練部材に対して唇を動かすための自発的な反応を生じさせ得る。
【0076】
使用者は、唇を一緒に合わせるように促される。こうするには、一般に、上唇の下向きの動きよりも下唇の上向きの動きの程度を大きくする必要がある。下唇の上方への動きは、口唇訓練部材を静止構成への付勢力に抗して動かす。この動きは唇を整え強化し、一方で同時に、舌は正しい位置にある。
【0077】
口内の器具の存在が明確なフィードバックをもたらすことになり、自発的な反応が順守を促進し得ることが理解されよう。これは、舌訓練部材に応じて口内で自然に起こるため、人が舌で「スポットを見つける」必要はない。
【0078】
更に、患者が口唇閉鎖運動をしている際に、舌タブ上での舌の動きと組み合わされて吸引が促進され得る。吸引が、口唇閉鎖を促進することになる。
【0079】
好適には、この器具はまた、2級不正咬合の患者で頻繁に観察されるオトガイ筋の過活動を防ぐリップバンパーを有する。リップバンパーは、好適には、唇の粘膜に触れて、オトガイ筋の過活動を抑制する1つ以上の突起の形態である。リップバンパーは、頬側面上に、例えばアレイ状に配置された複数のディンプル状の突出部を備えてもよい。
【0080】
使用者は、口唇訓練部材の周りに唇を合わせて置き、下顎を正しい位置に置き、舌を舌訓練部材に抗して所定位置に置き、それにより正しい口唇閉鎖が手助けされた状態で嚥下するように指示され得る。換言すれば、人は正しい嚥下パターンのための正しい口腔形態を有する。上述のように、嚥下中、舌の動作により口内の吸引が増加する。舌と唇との間の相互作用の結果として、この運動は、唇を適切な口唇閉鎖の形成に向けて訓練および強化することを手助けし得る。
【0081】
上述のように、口唇閉鎖が不十分で舌の位置が不適当な場合、人は唇、顎、頬の筋肉を使用して歯列に対して吸引し、必要な吸引を嚥下から提供することにより、不十分な閉鎖を補償する。しかし、頬を吸引する口唇筋の使用は、外壁の頬側面によって防止される。オトガイ筋の活動は、リップバンパーによって減少する。舌が正しい上昇位置にあることによって必要な吸引が提供されるので、唇を合わせて押し付けて閉鎖を形成することは必要ない。
【0082】
換言すれば、開示されている訓練器具を装着して舌と唇を動作させると、人は正しい嚥下パターンでのみ嚥下できる。正しい嚥下パターンを意識的に1日に何度も行うことにより、正しい嚥下パターンが習癖になる。
【0083】
器具本体は、複数の様々なサイズで作製してもよく、サイズは、人口の大部分が、上歯列弓上に適度なフィットで取り付けられ得る器具を選択できるように選択してもよい。典型的には、器具本体のサイズは3~4種類あり得る。
【0084】
口腔訓練器具は、正しい口腔形態を促進するために、従来の口腔筋機能療法に対する代替または補助として使用できる。好適には、患者は器具を1日あたり約2~10回、およびその間の任意の回数を、5~30分の期間にわたって装着するように求められることになる。装着した時、患者は、舌訓練部材を圧縮し、過剰な唾液を生成させ、舌を所定位置に置いて嚥下することを練習するように指示されることになる。患者は、口唇訓練部材を圧縮する練習を個別に、または舌訓練部材の操作と併せて行うように指示されることになる。
【0085】
口腔訓練装置は、悪い口腔習癖を見せている子供によって、それら習癖が歯および/または骨格に有害な変化を引き起こす前またはその初期に使用することができる。
【0086】
従って、人に良好な口腔習癖を訓練する方法も開示される。方法は、本明細書に開示される口腔訓練器具を提供し、人に器具を装着させている間に、舌で舌訓練部材を動作させ、唇で口唇訓練部材を動作させることを含む。
【0087】
使用者は、口唇訓練部材の周りに唇を合わせて置き、下顎を正しい位置に置き、舌を舌訓練部材に抗して所定位置に置き、それにより正しい口唇閉鎖が手助けされた状態で嚥下するように指示され得る。
【0088】
使用者は、舌訓練部材および口唇訓練部材を個別に、静止構成から訓練構成に移動するように指示されてもよい。
【0089】
有害な歯および/または骨格の変化を生じた、または生じ始めた人、特に成長中の子供のために、開示された口腔訓練器具は、機能性筋機能器具療法に対する補助として使用できる。機能的器具は典型的には、一晩中、および毎日数時間装着される。開示された口腔訓練器具は、機能的器具を装着していない時間に訓練目的で使用してもよい。
【0090】
従って、上記の方法は、使用者に、機能性口腔器具を一定期間、好適には一晩、装着させ、そして開示された口腔器具を日中、定期的に使用させ、唇と舌の強化運動を行わせることにより、筋機能療法の一部を更に形成し得る。
【0091】
機能的器具による治療が完了する前に、またはそれと同時に、患者の口腔習癖が再訓練されたとしたら、有益な結果と見なされるであろう。
【0092】
代替構成では、口唇訓練部材は、器具本体の前面にある孔と連通する呼吸通路を画定し、静止位置にある時に患者がそれを通して呼吸できてもよい。この変形形態は、習慣的な口呼吸者であり、徐々に鼻呼吸を学んでいる人に好適となり得る。そのような人は、正常な、または正常に近い咬合を有する成人であって、睡眠中の習慣的な口呼吸が、いびきおよび/または睡眠時無呼吸症として現れる得る成人であり得る。睡眠中に舌が下がった位置にあると、筋肉が弛緩し舌が後方に落ちて咽頭を部分的にまたは完全に遮断する可能性がある。
【0093】
これは、舌が正しい前方位置にあって気道が開放されたままになる鼻呼吸では発生しない。従って、開示された器具はまた、正常な咬合および歯列を有し得る成人によって使用されて、舌を正しい位置に再配置し、口唇閉鎖を形成し鼻呼吸を促進するように唇を再訓練するように成人を訓練することができる。
【0094】
大人がいびき、無呼吸症、またはSDBを患っている場合、器具を夜間に睡眠中に装着してもよい。上述のように、舌は自然に正しい口蓋の位置を見つけ、後舌を速やかに気道から離れるように前方に移動させる。気道を更に開くために、器具は、舌を更に前方に移動させるように、ある程度の下顎の変位を提供するように構成されてもよい。
【0095】
その人が習慣的な口呼吸者であり、通常、睡眠中に口呼吸する場合、器具が少なくともある程度の口呼吸を提供できることが望ましい。SDBの専門家ではない多くの人々が、口呼吸を防ぎ鼻呼吸を強制するためにマウスガードまたはテープの使用を奨励しているが、呼吸をより困難にする可能性があるので、当業者は、それを使用しないように警告している。習慣的な口呼吸者は、睡眠中、自動的に口呼吸に戻る。もし口呼吸に戻ることができないと、窒息感およびパニックを引き起こし得る。最悪のシナリオは、人が呼吸を停止する場合があることである。
【0096】
更に、人は不完全な鼻道を有する場合があり、それにより鼻から呼吸することができる空気の量が阻害される。
【0097】
好適には、口唇訓練部材は、器具のウェブにある呼吸孔と連通する呼吸通路を画定する。人が睡眠中、口唇訓練部材の付勢力により、人の唇が口唇訓練部材の上面および下面に置かれた状態において呼吸通路を開いたままにする。
【0098】
人は、舌、唇、嚥下運動のために、1日を通した期間にわたり装置を装着することになる。この構成では、覚醒中、口唇訓練部材を唇によって意識的に作動させることにより、口唇訓練部材が圧縮され、呼吸通路の断面積が減少するか、または更には閉鎖され得る。これが、人を徐々に鼻呼吸に慣れさせることを手助けすることができる。
【0099】
前述のように、従来の口腔筋機能運動では、順守することが困難なことは十分に認識されている。本発明の口腔訓練装置では、口内での装置の存在により、舌と唇が実際に刺激され、同時に正しい位置に移動する。
【0100】
舌の強さは、外傷、神経性疾患または加齢によって不完全になる場合もある。舌筋が弱くなると、口腔相および咽頭相において様々な問題が発生し、正常な嚥下が困難になる。
【0101】
従って、本発明の口腔器具は、唇の運動を提供せずに、嚥下を改善する目的で、舌を強化するための運動に用途を見出すことができる。
【0102】
従って、別の態様では口腔訓練器具が開示され、口腔訓練器具は、前部および2つのアームと、内壁および外壁とを備えるU字型の器具本体と、
上歯列弓収容チャネルを画定するように、内壁と外壁を相互接続するウェブと、
使用時に前記内壁から後方に延び、舌の上方に位置するように構成された舌訓練部材であって、人の舌による上方への移動に応じて、静止構成から訓練構成へと移動可能であり、静止構成に向かって付勢されている、舌訓練部材と、を備える。
【0103】
本明細書に開示される口腔訓練器具を提供し、使用者に器具を定期的に装着させている間に、舌の移動により舌訓練部材を静止構成と訓練構成との間で移動させることを含む舌強化療法の方法も開示される。
【0104】
好適には、治療中に舌の強さが定期的に監視される。
【0105】
本開示による口腔訓練器具は、様々な形態で明示され得る。以下、本発明のいくつかの実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明することが好都合であろう。この詳細な説明を提供する目的は、本開示の主題に関心を持つ人に、本発明を実施して実用的な効果を得る方法を提示することである。しかし、この詳細な説明の特定の性質は、前述の広範な説明の一般性に取って代わるものではないことを明確に理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0106】
図1】本開示の一実施形態による口腔訓練器具の正面斜視図である。
図2図1の器具の背面斜視図である。
図3図1の器具の正面図である。
図4図1の器具の背面図である。
図5図1の器具の上面図である。
図6図1の器具の底面図である。
図7図1の器具の側面図である。
図8図1の器具の側断面図であり、断面は器具の中心を通っている。
図9図1に示す口唇訓練部材の構成の器具に対する変形である器具の上面斜視図である。
図10図9に示されるような器具の背面斜視図である。
図11図9に示されるような器具の正面図である。
図12図9に示されるような器具の背面図である。
図13】本開示の更なる実施形態による口腔訓練器具の正面斜視図である。
図14図13の器具の背面斜視図である。
図15図13の器具の正面図である。
図16図13の器具の背面図である。
図17図13の器具の上面図である。
図18図13の器具の側面図である。
図19】本開示の更なる実施形態による口腔訓練器具の断側面図である。
図20】本開示のなお更なる実施形態による口腔訓練器具の断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0107】
図1図8において、参照番号10は、全体的に、本開示の一実施形態による口腔訓練器具を指す。
【0108】
口腔訓練器具10は、患者の上歯列弓上に取り付けるためのU字型の器具本体を含む。器具10は、図5および図6に明確に示すように、前部14と、そこから延びる2つのアーム16、18とを有する。器具本体12は、好適には、シリコーンなどの可撓性材料から形成され、一体として成形される。
【0109】
器具本体12は、使用時に患者の歯列弓の舌側に位置するU字型の内壁20と、歯列弓の顔側および頬側に位置する外壁22とを含む。
【0110】
外壁22は、顔前面22fおよび頬側面22bを有する。外壁22の頬側面22bは、後方歯の頬側面から頬を遠ざけて移動または保持する役割を担う。これにより、頬筋が生成するいかなる力からも歯が保護される。
【0111】
器具はまた、使用時に上歯列弓と下歯列弓の歯列間にある、内壁20と外壁22を相互接続するウェブ24を含む。
【0112】
内壁20は、器具10が上歯列弓に取り付けられた時にウェブ24から上方に突き出る上部22uと、ウェブ24から下方に突き出る下部20lとを含む。同様に、外壁22は、ウェブ18の上方の上部22uと、ウェブ24の下方の下部22lとを備える。
【0113】
内壁20、外壁22およびウェブ24は、上歯列弓収容チャネル26および下歯列弓収容チャネル28を画定し、その内部に上歯列弓および下歯列弓をそれぞれ収容できる。
【0114】
内壁20は、舌面32およびチャネル表面34を有する。外壁22も同様にチャネル表面36を有する。
【0115】
外壁22は、ウェブ24の下に位置する顔前面22fにリップバンパーを有する。リップバンパーは、過活動のオトガイ筋を伸ばして不活動化し得るディンプル状の突出部38のアレイを備える。
【0116】
内壁20の下部20lは、舌持ち上げ部40を含む。内壁20は、下部末端縁部領域を有し、下部末端縁部領域は厚くされて舌持ち上げ部40を形成している。舌持ち上げ部40は、下顎に隣接する下歯列弓内に舌が静止しないように手助けする。
【0117】
舌訓練部材44は、内壁20の上部20uにおいて内向きかつ実質的に中央にて、患者の歯列の中心線に対応するように、かつ上口蓋に向かってまたは上口蓋に隣接して延びている。舌訓練部材44は、器具本体12と一体成形されている。
【0118】
舌訓練部材44は中実ではなく、前後軸に沿って凸状の上面を有する上壁48、前後軸に沿って凹状の下面を有する下壁50、および横軸方向に凹状である湾曲した背面壁または後壁51によって画定された横断貫通孔46を有する。
【0119】
上面の曲率は、使用者の上口蓋の対応する凸面と適合する。これは、図8に示す断面図で、より明確に見ることができる。この構成により、舌訓練部材44は上口蓋に快適に接触して口内に収まることが可能になる。
【0120】
下面の凹面は、舌端の上面と相補的であり、舌端が正しい接触点を見つけることが可能になる。
【0121】
背面51の凹面もまた、舌端を収容するように寸法決めされている。
【0122】
器具10が、舌が正しくない下がった位置にある使用者の口内に置かれた場合、口内の器具の存在により、口腔の体性感覚認識が刺激され、舌は触覚的に異物を探査し、舌端が舌訓練部材44の下面を自然に見つけることになる。下面は舌の形状を補完するように湾曲しているので、舌はその位置で快適である。舌訓練部材44との接触により、体性感覚認識が刺激され、器具10が装着されていない場合に、舌を習慣的に口蓋に抗して置くように舌を再訓練することを手助けする。
【0123】
舌訓練部材44は可撓性材料から形成されているので、そのような探索中に、舌が下面40lを上方に押し、それにより下面を上方に移動させて、貫通孔46を圧縮してもよい。シリコーンなどの可撓性材料は弾性を有し弾性変形を受け、それにより舌訓練部材は、貫通孔46がその静止構成にある静止位置に向かって付勢されている。舌は上口蓋に隣接する正しい位置を探すように自然に促進される。
【0124】
外壁22の前部14は、前部14から延びる突起54の形の口唇訓練部材を有し、この突起は、使用時に使用者の上唇と下唇との間に突き出る。口唇訓練部材54は、上壁53および下壁55を有する。図7の側面図から、上部壁の表面が実質的に平坦であり、下壁55の表面が前後軸方向に凹状であることが分かる。口唇訓練部材は貫通孔56を有する。口唇訓練部材54は、可撓性および弾性を有する材料から形成され、弾性変形を受ける。使用時、使用者は、下壁55を上壁53に向かって押し上げ、貫通孔56を圧縮することができる。
【0125】
使用時、患者は、口唇訓練部材54の付勢力に抗して唇を圧縮および解放するように指示されることになる。好適には、患者は、口唇訓練部材54の付勢力に抗して口唇圧縮運動のセットを行う。
【0126】
器具10は、前部14に2つの呼吸孔60と、各アーム16、18の自由端の方に空気ばねクッション孔62とを有する。呼吸孔60により、患者は運動セットの間に口を通して呼吸できる。これにより、口呼吸する患者は、器具装着時に、ある程度の自信を得る。口呼吸が完全に遮断されると、患者はパニックに陥り、口を開けたくなる場合がある。更に、重度の不正咬合の場合、鼻道が減少するような上顎の不完全さにより、鼻呼吸が抑制される場合がある。
【0127】
患者が唇を合わせて圧縮すると、唇は呼吸孔60を閉じ、口唇訓練部材の唇の周りに口唇閉鎖を形成する。
【0128】
不適切な唇を持つ患者は、多くの場合、下唇を上げるためにオトガイ筋を使用することによって補償し、それにより緊張が生じる。リップバンパーはこの緊張を緩和する場合がある。
【0129】
舌が正しい位置をとり始め、舌訓練部材44の操作により吸引が生じることを考慮すると、この吸引は口唇閉鎖を手助けし、オトガイ筋の緊張を減らし、それにより口唇閉鎖位置をより長く維持することができる。
【0130】
患者は、舌を所定位置に保ち、口唇閉鎖状態で嚥下するように求められ得る。これにより、舌の位置に関する更なる訓練が提供される。
【0131】
器具10は、口を閉じた状態で歯の間に保持されることにより所定位置に維持され、患者は口を閉じたままにして鼻から呼吸するように言われる。口を閉じたままにしておくことは、いくつかの理由で重要である。舌を正しい静止位置にするには、口を閉じている必要がある。更に、口を閉じることで鼻呼吸が促進される。開口による口呼吸は、多くの口腔障害に起因する、またはその原因となる口腔習癖である。また更に、口が開いている場合、口唇訓練器と頬側面は最適な形態で意図した機能を実行できない。
【0132】
器具は、患者によって随意に口内に固定し、口から取り出すことができる。器具は、上歯列弓に永続的に取り付けられているわけではない。従って、ライフスタイルのニーズと考慮事項に応じて、患者によって随意に、患者の口内に固定し、口から取り出すことができる。
【0133】
図9図12は、本明細書に開示される別の口腔訓練器具100を示す。別途記載のない限り、図1におけるものと同じ構成要素を指すために同じ参照番号が使用される。以下の説明では、この器具と図1の器具の違いに重点を置く。
【0134】
器具100は、図1に示されているものと同じ、内壁20および外壁22の構成ならびに舌訓練部材44を有する。図1図8に示すような器具10と比較した主な違いは、口唇訓練部材154およびウェブ124の構成である。
【0135】
図9図12から分かるように、ウェブ124は前部呼吸孔112を有する。口唇訓練部材154は断面が楕円形であり、上壁155、下壁153を有し、これらが呼吸孔112と流体連通する呼吸通路114を画定し、それにより、器具を装着している人は、唇を静止させた状態で呼吸孔112を通して呼吸できる。
【0136】
患者は口唇圧縮運動のセットを行うように指示され、その運動では、上壁155および下壁153を合わせるように促され、それによって呼吸通路114を圧縮する。舌訓練部材によって指示されるような、口唇圧縮と、正しい舌の位置および移動との間には相乗的関係があることが理解されよう。
【0137】
人の唇が強くなると、唇は呼吸通路を更に圧縮することができ、それにより鼻呼吸が促進される。
【0138】
器具100はまた、各アーム16、18の自由端の方に3つの空気孔120を有する。
【0139】
図13図18は、開示された口腔器具200の更なる実施形態を示す。この器具は、内壁20および外壁22の構成に関して同じ基本構造を有する。同じ参照番号は、同じ構成要素を指すために使用される。主な違いは、舌訓練部材202と口唇訓練部材204の構成にある。
【0140】
舌訓練部材202は、上壁206、下壁208、および対向する側縁部210、212を有し、これらが空洞214を画定し、空洞214は後方に面する開口部216を有し、開口部216は上縁部218および下縁部220を有する。図17で最もよく分かるように、側縁部210、212は弓形であり、内壁20の前部に向かって内向きに湾曲している。縁部218および220は凸状である。図13で最もよく分かるように、上壁206および下壁208も湾曲している。上壁206の湾曲は、口内に快適に適合するように、使用者の口蓋を補完する。湾曲した縁部は、舌の滑らかな表面を画定する。
【0141】
空洞214は、開口部216から内壁20に向かって幅が狭くなり、内壁20に向かって高さも減少する。空洞214は、舌端を快適に収容するように構成されている。上述のように、舌は口の中の物体に能動的に噛み合う。このようにして、器具は舌が正しい位置にあるよう教える。
【0142】
舌訓練部材202は、使用者が下壁208を上壁206に向かって上向きに押すことができるように、ある程度の弾性を伴って可撓性を有する。圧力が解放されると、舌訓練部材は静止位置に戻る。
【0143】
口唇訓練部材204は、上壁226、下壁228、および対向する側縁部230、232を有し、これらが呼吸通路234を画定し、呼吸通路234は前方に面する開口部236を有し、開口部236は上縁部238および下縁部240を有する。図18で最もよく分かるように、上壁226および下壁228は外壁22に向かって先細になっている。口唇訓練部材204は、いくつかの運動では開口部を完全に閉じることさえあり得る。
【0144】
図17で最もよく分かるように、側縁部230、232は外壁22に向かって先細になっている。縁部228および222は凸状である。図18で最もよく分かるように、上壁226および下壁228も湾曲している。
【0145】
口唇訓練部材は、使用者が下唇を使用して下壁228を上壁226に向かって押すという点で、上述のように操作される。
【0146】
図19は、舌訓練部材302の更なる実施形態を示す。舌訓練部材302は、ヒンジ部306によって内壁20に接続されたタブ部304を有する。舌訓練部材302は、静止位置で示されている。使用時、使用者は、タブ部304をヒンジ部306の周りで上口蓋に向かって上方に押す。
【0147】
図20は、口唇訓練部材が圧縮可能な中実の部材である更に別の態様400を示す。
【0148】
SDBでは、舌が後退し、気道を遮断するか、または部分的に遮断する。舌を前に出すことで症状が緩和される場合がある。上述のように、舌は自然に舌訓練部材に到達し、それにより舌は前方に移動する。従来技術のいびき防止器具で知られているように、下顎を前進させることにより舌を更に前方に移動させることもできる。
【0149】
人は、舌、唇、および嚥下運動を行うために、日中に器具を装着する。
【0150】
上記は本発明の例示的な例としてのみ与えられており、当業者には明らかな上記に対する修正形態および変形形態は全て、本発明の広範な範囲および領域に含まれると見なされることが当然ながら理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【手続補正書】
【提出日】2023-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の唇運動させるための口腔訓練器具であって、
前部および前記使用者の上歯列弓の上方に取り付けるための2つのアームと、内壁および外壁と、上歯列弓収容チャネルを画定するように、前記内壁と前記外壁を相互接続するウェブとを備える器具本体と、
使用時に前記使用者の唇の間を延びるように構成された、前記器具本体の前記前部の前方に伸びる口唇訓練部材であって、圧縮可能な弾性部材であり、静止構成に向かって付勢されている口唇訓練部材と、
を備え、前記口唇訓練部材は、前記使用者の唇の動きに応じて、前記静止構成から前記使用者の唇を運動させるための訓練構成へと変形することを特徴とする口腔訓練器具。
【請求項2】
前記口唇訓練部材は、中空であり、前記器具本体を装着している間に前記使用者が呼吸できる呼吸通路を形成する貫通孔を画定し、
前記口唇訓練部材の前記呼吸通路は、前記訓練構成においては、前記静止構成よりも小さい断面積を有することを特徴とする請求項1に記載の口腔訓練器具。
【請求項3】
前記口唇訓練部材は、上壁および下壁を有し、
前記貫通孔は、前記上壁と前記下壁との間に画定されることを特徴とする請求項2に記載の口腔訓練器具。
【請求項4】
前記下壁は湾曲しており、
前記上壁および前記下壁は、前記器具の外壁に向かって先細りになる縁部を有することを特徴とする請求項3に記載の口腔訓練器具。
【請求項5】
前記内壁および前記外壁はそれぞれ、下歯列弓収容チャネルを画定する前記ウェブから垂れ下がる下部を有することを特徴とする請求項1に記載の口腔訓練器具。
【請求項6】
前記外壁の前記下部は、前記使用者の下唇に接触するためのリップバンパーをさらに備え、
前記内壁の前記下部は、舌持ち上げ部をさらに備え、
前記器具本体は、自由端に向かって各アーム上にばねクッション孔を有することを特徴とする請求項5に記載の口腔訓練器具。
【請求項7】
前記器具本体と前記口唇訓練部材は、室温で柔らかく適合性のあるポリマーで一体に形成されており、前記口唇訓練部材が変形したときに前記使用者の唇を運動させるのに適切なレベルの弾性と圧縮性を付与することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の口腔訓練器具。
【請求項8】
使用者の唇を運動させるための口腔訓練器具であって、
前部および前記使用者の上下の歯列弓の上方に取り付けるための2つのアームと、内壁および外壁と、上下の歯列弓収容チャネルを画定するように、前記内壁と前記外壁を相互接続するウェブとを備える器具本体と、
使用時に前記使用者の唇の間を延びるように構成された、前記器具本体の前記前部の前方に伸びる口唇訓練部材であって、圧縮可能な弾性部材であり、静止構成に向かって付勢され、前記使用者の唇の動きに応じて前記静止構成から訓練構成へと変形する口唇訓練部材と、
を備え、前記器具本体と前記口唇訓練部材は、室温で柔らかく適合性を有するとともに前記口唇訓練部材が変形したときに前記使用者の唇を運動させるのに適切なレベルの弾性と圧縮性を付与するシリコーンゴムで一体に形成されていることを特徴とする口腔訓練器具。