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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113920
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20230808BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20230808BHJP
   A61K 31/216 20060101ALI20230808BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20230808BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230808BHJP
   A61K 31/702 20060101ALI20230808BHJP
   A61K 31/716 20060101ALI20230808BHJP
   A61K 33/00 20060101ALI20230808BHJP
   A23L 2/39 20060101ALI20230808BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
A23L33/10
A61K31/192
A61K31/216
A61P3/04
A61P43/00 121
A61K31/702
A61K31/716
A61K33/00
A23L2/00 Q
A23L2/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096186
(22)【出願日】2023-06-12
(62)【分割の表示】P 2022132108の分割
【原出願日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2022009786
(32)【優先日】2022-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】本岡 香奈
(72)【発明者】
【氏名】中山 克大
(72)【発明者】
【氏名】田中 夏子
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カフェ酸又はその誘導体を有効活用する経口組成物を提供すること。
【解決手段】カフェ酸又はその誘導体と、オリゴ糖、β-グルカン又はペプチドグリカンから選ばれる少なくとも1種の糖類を含有することを特徴とする経口組成物である。より好ましくは、カフェ酸又はその誘導体と、オリゴ糖、β-グルカン又はペプチドグリカンから選ばれる少なくとも1種の糖類と、炭を含有することを特徴とする経口組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カフェ酸又はその誘導体と、オリゴ糖、β-グルカン又はペプチドグリカンから選ばれる少なくとも1種の糖類を含有することを特徴とする経口組成物。
【請求項2】
カフェ酸又はその誘導体が、カフェ酸、モノカフェオイルキナ酸又はジカフェオイルキナ酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項3】
オリゴ糖が、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオースから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の経口組成物。
【請求項4】
さらに炭を含有することを特徴とする請求項1に記載の経口組成物。
【請求項5】
ダイエット用であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カフェ酸又はその誘導体と、オリゴ糖、ペプチドグリカン又はβ-グルカンから選ばれる1種以上を含有することを特徴とする経口組成物に関し、特に、カフェ酸又はその誘導体と、オリゴ糖、ペプチドグリカン又はβ-グルカンから選ばれる1種以上と、炭を含有する経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な生理活性作用を期待した成分として、カフェ酸が注目されている。カフェ酸又はその誘導体には、睡眠改善剤、アルツハイマー病の予防、治療又は改善剤などが開発されている(特許文献1、特許文献2)。しかしながら、カフェ酸又はその誘導体の有する効果を高める食品の開発は十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-199686号公報
【特許文献2】特開2019-178130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明者らは、カフェ酸の有効活用を課題として、種々の検討を行った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その結果、本発明者らは、カフェ酸又はその誘導体とともに特定成分を配合することにより、カフェ酸又はその誘導体の有する効果が高められた経口組成物の開発に成功し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
<1>カフェ酸又はその誘導体と、オリゴ糖、β-グルカン又はペプチドグリカンから選ばれる少なくとも1種の糖類を含有することを特徴とする経口組成物。
<2>カフェ酸又はその誘導体が、カフェ酸、モノカフェオイルキナ酸又はジカフェオイルキナ酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、<1>に記載の経口組成物。
<3>カフェ酸又はその誘導体が、カフェ酸又はモノカフェオイルキナ酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、<2>に記載の経口組成物。
<4>カフェ酸又はその誘導体が、カフェ酸又は5-モノカフェオイルキナ酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、<3>に記載の経口組成物。
<5>オリゴ糖が、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオースから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする<1>に記載の経口組成物。
<6>カフェ酸又はその誘導体と、オリゴ糖、β-グルカン又はペプチドグリカンから選ばれる少なくとも2種の糖類を含有することを特徴とする経口組成物。
<7>さらに炭を含有することを特徴とする<1>に記載の経口組成物。
<8>ダイエット用であることを特徴とする<1>~<7>のいずれかに記載の経口組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カフェ酸又はその誘導体と共に特定の糖類を含有することにより、カフェ酸又はその誘導体の有する様々な生理活性効果を効率的に享受することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の経口組成物について詳細を説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0009】
<カフェ酸又はその誘導体>
本発明の経口組成物は、カフェ酸又はその誘導体を含有することを特徴とする。カフェ酸とは、ケイ皮酸のパラ位及びメタ位がヒドロキシ化された構造を持つ芳香族カルボン酸で、コーヒー酸又はカフェイン酸とも呼ばれる。カフェ酸の誘導体とは、カフェ酸を基本骨格とし、一部がキナ酸やグルコースにより置換したもの、キナ酸やグルコースにカフェ酸が複数結合したもの等が含まれる。カフェ酸の誘導体としては、例えば、モノカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸、トリカフェオイルキナ酸、カフェオイルグルコースが挙げられ、具体的には、3-カフェオイルキナ酸、4-カフェオイルキナ酸、5-カフェオイルキナ酸等のモノカフェオイルキナ酸;3,4-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸、4,5-ジカフェオイルキナ酸等のジカフェオイルキナ酸;3,4,5-トリカフェオイルキナ酸;カフェオイルグルコース、ジカフェオイルグルコースが挙げられる。本発明で使用されるカフェ酸又はその誘導体としては、カフェ酸、モノカフェオイルキナ酸、又はジカフェオイルキナ酸から選ばれる少なくとも1種が好ましく、カフェ酸、3-カフェオイルキナ酸、5-カフェオイルキナ酸(クロロゲン酸)から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。本発明において、カフェ酸又はその誘導体は甘藷の茎及び/又は葉、フキの茎及び/又は葉、コーヒー豆など植物から抽出、精製したものや、合成したものを使用することができるが、安全性、安定性を高め、長期間継続的に経口摂取可能な点から、植物から抽出、精製したものを使用することが好ましい。本発明において、カフェ酸又はその誘導体は1種でも良く、2種以上を使用することもできる。
【0010】
本発明の経口組成物におけるカフェ酸又はその誘導体の含有量は特に制限はなく、例えば、固形分中、0.0001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.0005質量%以上であり、安定性に優れ、容易に、かつ、長期的に経口摂取が可能となる点から特に好ましくは0.001質量%以上である。また、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。なお、本明細書における固形分とは、組成物から水分を除いた量である。また、カフェ酸又はその誘導体を複数種類含有する場合、本発明におけるカフェ酸又はその誘導体の含有量はその合計量である。
【0011】
本発明において、経口組成物中のカフェ酸又はその誘導体の含有量は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて定量することができる。
【0012】
<糖類>
本発明の経口組成物は、カフェ酸と共に、オリゴ糖、β-グルカン又はペプチドグリカンから選ばれる少なくとも1種の糖類を含有することを特徴とする。
【0013】
(オリゴ糖)
オリゴ糖とは、単糖がグリコシド結合によって2~10個結合した糖類である。オリゴ糖の具体例としては、例えば、スクロース、ラクトース、トレハロース、マルトース、ツラノース、セロビオース、ラフィノース、パノース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、メレジトース、ゲンチアノース、アカルボース、スタキオース、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、乳果オリゴ糖などが挙げられ、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、イソマルトオリゴ糖から選ばれる少なくとも1種が好ましく、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオースから選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
【0014】
(β-グルカン)
β-グルカンとは、グルコースがグリコシド結合で連なった多糖であるグルカンの内、β-グリコシド結合で繋がった重合体の総称である。
【0015】
(ペプチドグリカン)
ペプチドグリカンとは、多糖類に短鎖のポリペプチドが結合した化合物である。
【0016】
本発明の経口組成物における糖類の含有量は特に制限はなく、例えば、固形分中、0.0001質量以上が好ましく、より好ましくは0.0005質量%以上であり、カフェ酸又はその誘導体と併用することでダイエット作用に優れる点から特に好ましくは0.001質量%以上である。また、75質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、25質量%以下が特に好ましい。なお、糖類を複数種類含有する場合はその合計量である。
【0017】
本発明の経口組成物におけるカフェ酸又はその誘導体と糖類の含有比は特に制限はなく、例えば、固形分量で、カフェ酸又はその誘導体に対する糖類の比は1:0.00001以上が好ましく、より好ましくは1:0.0001以上であり、カフェ酸又はその誘導体と併用することでダイエット作用に優れる点から好ましくは1:0.001以上である。また、1:1000以下が好ましく、1:200以下がより好ましく、1:10以下が特に好ましい。なお、糖類を複数種類含有する場合はその合計量である。
【0018】
<炭>
本発明の経口組成物は、カフェ酸又はその誘導体と糖類と共に、炭を使用することが好ましい。炭は、草木類や化合物、合成樹脂を高温条件で処理したものであり、主に燃料や、ろ過及び精製の助剤としてとして使用される。本発明で使用できる炭の原料としては、経口摂取可能であれば特に制限はなく、例えば、備長炭に用いられるウバメガシ、クヌギ、クリ、カラマツ、アカマツ、スギ等の木、竹、ヤシ殻、胡桃殻、籾殻、梅種等が挙げられ、竹、アカマツ、ヤシ殻、もみ殻、梅種を用いることが好ましく、竹、アカマツ、梅種が特に好ましい。また、原料を乾留し、さらに高温処理により賦活化して得られる活性炭を用いることもできる。
【0019】
本発明の経口組成物における炭の含有量は特に制限はなく、例えば、固形分中、0.001質量以上が好ましく、より好ましくは0.005質量%以上であり、カフェ酸又はその誘導体、糖類と併用することでダイエット作用に優れる点から特に好ましくは0.01質量%以上である。また、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が特に好ましい。なお、炭を複数種類含有する場合はその合計量である。
【0020】
<その他成分>
本発明の経口組成物には、上記成分以外に、必要に応じてその他の成分を配合することができる。その他の成分としては、例えば、賦形剤、滑沢剤、水溶性食物繊維や不溶性食物繊維等の食物繊維、タンパク質、各種ビタミン類やミネラル類、藻類、酵母等の微生物等を配合することができる。更に、必要に応じて、通常食品分野で用いられる、甘味料、酸味料、栄養補助剤、安定剤、結合剤、光沢剤、増粘剤、着色料、希釈剤、乳化剤、食品添加物、調味料等を挙げることができる。これらその他の成分の含有量は、本発明の組成物の形態等に応じて適宜選択することができる。
【0021】
<ダイエット用組成物>
本発明の経口組成物は、カフェ酸又はその誘導体及び糖類を含有することで、ダイエット効果を得ることを目的とした種々の形態で利用され得る。
【0022】
本発明のダイエット用組成物は、カフェ酸又はその誘導体と共に、オリゴ糖、β-グルカン及びペプチドグリカンから選ばれる少なくとも1種の糖類を含有することを特徴とする。これらの糖類は、カフェ酸又はその誘導体とは別の組成物として使用しても良いが、ダイエット作用の観点から、カフェ酸又はその誘導体を含む組成物として使用することが好ましい。
【0023】
糖類をカフェ酸又はその誘導体とは別の組成物とする場合、糖類を配合した組成物を摂取する方法としては特に限定されないが、例えば、カフェ酸又はその誘導体摂取の3時間前~3時間後が好ましく、2時間前~2時間後がより好ましく、1時間前~1時間後が特に好ましく、カフェ酸又はその誘導体と同時摂取がとりわけ好ましい。
【0024】
本発明の経口組成物は、経口的な使用に適した形態であれば特に限定されないが、摂取のしやすさの観点から、液状、シロップ状、ペースト状、ゲル状、ゼリー状、クリーム状、エマルション状、スプレー状、ムース状、ローション状等の流動状であってもよい。固体状としては、粉末状、顆粒状、粒状、タブレット状、チュアブル状、カプセル状、ソフトカプセル状、などが挙げられる。
【0025】
本発明の経口組成物の1日の使用量は特に限定されず、使用態様や使用者の使用内容などに応じて適宜設定できる。例えば、本発明の経口組成物の1日の使用量は、使用者の体重を基準として、固形分換算で、好ましくは0.01~1000mg/kgであり、より好ましくは0.1~500mg/kgであり、本願発明の経口組成物の効果を発揮する観点から、さらに好ましくは1~100mg/kg である。
【0026】
本発明の経口組成物の1回の使用量についても同様に特に限定されない。例えば、本発明の経口組成物の1回の使用量は、使用者の体重を基準として、固形分換算で、好ましくは0.001~2000mg/kgであり、より好ましくは0.01~1000mg/kgであり、本願発明の経口組成物の効果を発揮する観点から、さらに好ましくは0.1~100mg/kg である。
【0027】
また、本発明の経口組成物の1日の使用量は特に限定されず、例えば、固形分換算で、好ましくは0.001~20g、より好ましくは0.01~10g、本願発明の経口組成物の効果を発揮する観点から、特に好ましくは0.1~5g とすることができる。
【0028】
本発明の経口組成物の1回の使用量は特に限定されず、例えば、固形分換算で、好ましくは0.0001~20g、より好ましくは0.001~10g、本願発明の経口組成物の効果を発揮する観点から、特に好ましくは0.01~5g とすることができる。
【0029】
また、本発明の経口組成物1日の使用量におけるカフェ酸又はその誘導体の含有量は特に限定されず、例えば、好ましくは0.00001~1g、より好ましくは0.00005~0.5g、本願発明の経口組成物の効果を発揮する観点から、特に好ましくは0.0001~0.1g とすることができる。
【0030】
本発明の本発明の経口組成物1日の使用量におけるカフェ酸又はその誘導体の含有量は特に限定されず、例えば、固形分換算で、0.000001~1g、より好ましくは0.000005~0.5g、本願発明の経口組成物の効果を発揮する観点から、特に好ましくは0.00001~0.1g とすることができる。
【0031】
本発明の経口組成物の包装形態は特に限定されず、剤形などに応じて適宜選択できるが、例えば、PTPなどのブリスターパック;ストリップ包装;ヒートシール;アルミパウチ;プラスチックや合成樹脂などを用いるフィルム包装;バイアルなどのガラス容器;アンプルなどのプラスチック容器などが挙げられる。
【実施例0032】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0033】
<試験1 細胞賦活活性の評価>
ヒト肝癌由来細胞株(HepG2)の細胞賦活活性について評価した。HepG2は、脂質代謝を評価するモデル細胞であり、肝臓の代替として長年にわたり使用されている。HepG2を用いた評価は動物試験の代替としても汎用されており、動物試験代替法としての有効性も評価されている。肝臓は、中性脂肪やコレステロール等の代謝において中心的な役割を担う臓器であり、安静時の代謝量が筋肉に次いで2番目に多いことから、HepG2の細胞賦活活性が高ければ、代謝促進作用が強く、抗肥満効果が得られる。
【0034】
[被験物質]
・カフェ酸又はその誘導体として、クロロゲン酸0.5水和物を使用した。
・ペプチドグリカンとして、Bacillus subtilis(枯草菌)由来のペプチドグリカン又は有胞子性乳酸菌由来のペプチドグリカンを使用した。
・オリゴ糖として、マルトトリオースを使用した。
・β-グルカンとして、ラミナラン(アラメ由来)を使用した。
・炭として、竹炭の粉末を使用した。
・ケルセチンとして、ケルセチン二水和物を使用した。
【0035】
[細胞培養]
37℃、5容量%COインキュベーター内で、75cmフラスコを用いて、ヒト肝癌由来細胞株(HepG2)を10%ウシ胎児血清(FBS)含有DMEM培地で培養した。次いで、トリプシン処理により浮遊させた細胞を、75cmフラスコからコラーゲンコートした96ウェルプレートの各ウェルに2.0×10cells/wellの細胞密度で播種し、37℃、5容量%COインキュベーター内で、24時間前培養した。各ウェルより培地を除去後、所定濃度に調製した被験物質含有培地を100μL/well添加し、5容量%COインキュベーター内で24時間培養した。各被験物質の配合は、表1のとおりであり、被験物質の培地中の合計濃度は2μg/mLとした。
【0036】
【表1】
【0037】
[細胞賦活活性]
24時間培養後、培地を除去し、無血清DMEMで30容量倍に希釈したCell Counting Kit-8(同仁化学製)を各ウェルに150μLずつ添加した。37℃、5容量%COインキュベーター内に静置し適度に発色させた後、450nmにおける吸光度を測定した。得られたデータをもとに、% of controlを算出した。
% of control
= (Data sample- Data blank)/( Data control- Data blank)×100
【0038】
比較例1を基準(100)とし、実施例、比較例で得られた値の相対値を算出した。表1にその結果を示す。表1からわかるように、本発明の主要成分(クロロゲン酸と、ペプチドグリカン、マルトトリオース、β-グルカンから選ばれる少なくとも1種)を配合した実施例1~4は、各成分を単独で使用した場合(比較例1~5)と比較して高い細胞賦活活性が認められた。また、クロロゲン酸と、抗肥満効果が知られているケルセチンとを組み合わせて配合した場合(比較例7)に比べても高い細胞賦活活性が認められた。さらに、クロロゲン酸と、特定の糖類に加えて炭を配合した場合(実施例5~11)、全ての処理区において、添加していない処理区よりも細胞賦活活性が向上した。特に、クロロゲン酸と特定の糖を2種以上に加えて炭を配合した場合(実施例9~11)、全ての処理区において、特に細胞賦活活性が向上した。以上より、カフェ酸又はその誘導体と、オリゴ糖、ペプチドグリカン又はβ-グルカンから選ばれる1種以上を含有することを特徴とする本発明の経口組成物は、高い細胞賦活活性を有することが明らかとなり、これにより代謝促進作用が向上し、抗肥満効果が発揮されると考えられる。
【0039】
<製造例1>
下記表2に記載の組成に従って、粉末飲料を製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、カフェ酸又はその誘導体と特定の糖類を配合することから、1日1回、1回あたり10gをお湯に溶かして摂取することで、優れたダイエット効果を享受できる。
【0040】
【表2】
【0041】
<製造例2>
下記表3に記載の組成に従って、組成物を造粒し、粉末飲料を製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、カフェ酸又はその誘導体と特定の糖類を配合することから、1日1回、1回あたり5gをお湯に溶かして摂取することで、優れたダイエット効果を享受できる。
【0042】
【表3】
【0043】
<製造例3>
下記表4に記載の組成に従って、錠剤(1粒あたり300mg)を製造した。下記製造例にて得られた経口組成物は、カフェ酸又はその誘導体と特定の糖類を配合することから、1日1回、1回あたり3粒を摂取することで、優れたダイエット効果を享受できる。
【0044】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の経口組成物は、特定の糖類を含有することにより、カフェ酸又はその誘導体を有効活用できる経口組成物を提供することができることから、産業上の利用の可能性が高いものである。