IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.の特許一覧

特開2023-113923積層型キャパシター及びその製造方法
<>
  • 特開-積層型キャパシター及びその製造方法 図1
  • 特開-積層型キャパシター及びその製造方法 図2
  • 特開-積層型キャパシター及びその製造方法 図3
  • 特開-積層型キャパシター及びその製造方法 図4
  • 特開-積層型キャパシター及びその製造方法 図5
  • 特開-積層型キャパシター及びその製造方法 図6
  • 特開-積層型キャパシター及びその製造方法 図7
  • 特開-積層型キャパシター及びその製造方法 図8
  • 特開-積層型キャパシター及びその製造方法 図9
  • 特開-積層型キャパシター及びその製造方法 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113923
(43)【公開日】2023-08-16
(54)【発明の名称】積層型キャパシター及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/224 20060101AFI20230808BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20230808BHJP
【FI】
H01G4/224 100
H01G4/30 201G
H01G4/30 201K
H01G4/30 201F
H01G4/30 516
H01G4/30 512
H01G4/30 515
H01G4/30 513
【審査請求】有
【請求項の数】44
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096331
(22)【出願日】2023-06-12
(62)【分割の表示】P 2021080803の分割
【原出願日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0146115
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン、ユン スン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ミン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ユン ヒー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】耐湿信頼性が向上して、耐湿信頼性の向上のために絶縁層を採用する場合に部品の大きさの増加を最小化する積層型キャパシターを提供する。
【解決手段】積層型キャパシターは、複数の誘電体層111が積層された積層構造及び誘電体層111を挟んで積層された複数の内部電極121、122を含む本体110と、本体の外部に配置され、内部電極121、122と接続された外部電極131、132と、本体110の表面をカバーする絶縁層112と、を含む。外部電極131、132は、絶縁層112と連結されている金属層31を含み、絶縁層112は、金属層31の金属成分の酸化物を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び前記誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、
前記本体に配置されて前記内部電極と接続された外部電極と、
前記本体の表面をカバーする絶縁層と、を含み、
前記外部電極は、Ti、Al、V、Y、Zr、Nb、Hf、及びTaから構成されたグループから選択された金属を含み、
前記絶縁層は、前記外部電極に含まれた金属の酸化物を含む、積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記外部電極はAlを含み、前記絶縁層はAl酸化物を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記絶縁層の厚さは5nm~1μmである、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
前記外部電極は前記本体の表面をカバーし、その側面は前記絶縁層の側面と連結された、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記外部電極は焼成電極を含む、請求項1に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記外部電極は焼成電極を含む、請求項2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項7】
前記絶縁層の厚さは5nm~1μmである、請求項6に記載の積層型キャパシタ。
【請求項8】
前記外部電極は、Ni及びSnのうち少なくとも一つを含むめっき層をさらに含む、請求項5に記載の積層型キャパシタ。
【請求項9】
前記外部電極は、Ni及びSnのうち少なくとも一つを含むめっき層を含む、請求項6に記載の積層型キャパシタ。
【請求項10】
前記外部電極は樹脂電極を含む、請求項6に記載の積層型キャパシタ。
【請求項11】
誘電体層及び前記誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、
前記本体に配置されて前記内部電極と接続された外部電極と、
前記本体の表面をカバーする絶縁層と、を含み、
前記外部電極は、Ti、Al、V、Y、Zr、Nb、Hf、及びTaから構成されたグループから選択された金属を含む導電層を含み、
前記絶縁層は、前記導電層に含まれた金属の酸化物を含む、積層型キャパシタ。
【請求項12】
前記導電層は前記本体の表面をカバーし、その側面は前記絶縁層の側面と連結された、請求項11に記載の積層型キャパシタ。
【請求項13】
前記外部電極は、前記導電層をカバーする電極層をさらに含む、請求項12に記載の積層型キャパシタ。
【請求項14】
前記導電層の金属と前記電極層の金属は金属間化合物層を形成する、請求項13に記載の積層型キャパシタ。
【請求項15】
前記電極層は焼成電極を含む、請求項13に記載の積層型キャパシタ。
【請求項16】
前記電極層は導電性樹脂電極を含む、請求項13に記載の積層型キャパシタ。
【請求項17】
前記導電層と前記絶縁層は、厚さが互いに同一である、請求項11に記載の積層型キャパシタ。
【請求項18】
前記絶縁層の厚さは5nm~1μmである、請求項11に記載の積層型キャパシタ。
【請求項19】
前記外部電極は、前記導電層と前記本体の間に配置された電極層をさらに含む、請求項11に記載の積層型キャパシタ。
【請求項20】
前記電極層は前記絶縁層より厚い、請求項19に記載の積層型キャパシタ。
【請求項21】
前記電極層の側面と前記絶縁層の間には、前記導電層の一部が配置された、請求項19に記載の積層型キャパシタ。
【請求項22】
前記導電層は前記電極層の表面をカバーし、前記電極層の表面に沿って折り曲がって前記絶縁層と連結された、請求項19に記載の積層型キャパシタ。
【請求項23】
前記外部電極は、前記導電層をカバーする追加電極層をさらに含む、請求項19に記載の積層型キャパシタ。
【請求項24】
前記追加電極層は焼成電極を含む、請求項23に記載の積層型キャパシタ。
【請求項25】
前記追加電極層は導電性樹脂電極を含む、請求項23に記載の積層型キャパシタ。
【請求項26】
前記導電層はAlを含み、前記絶縁層はAl酸化物を含む、請求項11に記載の積層型キャパシタ。
【請求項27】
誘電体層及び前記誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、
前記本体に配置されて前記内部電極と接続された外部電極と、
前記本体の表面をカバーする絶縁層と、を含み、
前記外部電極は、金属及び前記金属の酸化物を含む導電層を含み、
前記絶縁層は、前記導電層に含まれた金属の酸化物を含む、積層型キャパシタ。
【請求項28】
前記導電層は前記本体の表面をカバーし、その側面は前記絶縁層の側面と連結された、請求項27に記載の積層型キャパシタ。
【請求項29】
前記外部電極は、前記導電層をカバーする電極層をさらに含む、請求項28に記載の積層型キャパシタ。
【請求項30】
前記導電層に含まれた金属と前記電極層に含まれた金属は、金属間化合物層を形成する、請求項29に記載の積層型キャパシタ。
【請求項31】
前記電極層は焼成電極を含む、請求項29に記載の積層型キャパシタ。
【請求項32】
前記電極層は導電性樹脂電極を含む、請求項29に記載の積層型キャパシタ。
【請求項33】
前記導電層と前記絶縁層は、厚さが互いに同一である、請求項27に記載の積層型キャパシタ。
【請求項34】
前記絶縁層の厚さは5nm~1μmである、請求項27に記載の積層型キャパシタ。
【請求項35】
前記外部電極は、前記導電層と前記本体の間に配置された電極層をさらに含む、請求項27に記載の積層型キャパシタ。
【請求項36】
前記導電層は前記絶縁層より厚い、請求項35に記載の積層型キャパシタ。
【請求項37】
前記電極層の側面と前記絶縁層の間には、前記導電層の一部が配置された、請求項35に記載の積層型キャパシタ。
【請求項38】
前記導電層は前記電極層の表面をカバーし、前記導電層の表面に沿って折り曲がって前記絶縁層と連結された、請求項35に記載の積層型キャパシタ。
【請求項39】
前記外部電極は、前記導電層をカバーする追加電極層をさらに含む、請求項35に記載の積層型キャパシタ。
【請求項40】
前記追加電極層は焼成電極を含む、請求項39に記載の積層型キャパシタ。
【請求項41】
前記追加電極層は導電性樹脂電極を含む、請求項39に記載の積層型キャパシタ。
【請求項42】
前記導電層は、Ti、Al、V、Y、Zr、Nb、Hf、及びTaから構成されたグループから選択された金属を含む、請求項27に記載の積層型キャパシタ。
【請求項43】
前記導電層はAlを含み、前記外部電極の前記金属の酸化物はAl酸化物を含む、請求項27に記載の積層型キャパシタ。
【請求項44】
前記絶縁層はAl酸化物を含む、請求項43に記載の積層型キャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型キャパシター及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キャパシターは、電気を貯蔵することができる素子であって、一般的に2つの電極を対向させて電圧をかけると各電極に電気が蓄積される原理を利用する。直流電圧を印加した場合には、電気が蓄電されながらキャパシター内部に電流が流れるが、蓄積が完了すると、電流が流れなくなる。一方、交流電圧を印加した場合、電極の極性が反転しながら交流電流が流れるようになる。
【0003】
かかるキャパシターは、電極の間に備えられる絶縁体の種類によって、アルミニウムで電極を構成し、上記アルミニウム電極の間に薄い酸化膜を備えるアルミニウム電解キャパシター、電極材料としてタンタルを用いるタンタルキャパシター、電極の間;://:にチタン酸バリウムなどの高誘電率の誘電体を用いるセラミックキャパシター、電極の間に備えられる誘電体として高誘電率系セラミックを多層構造で用いる積層セラミックキャパシター(Multi-Layer Ceramic Capacitor、MLCC)、電極の間の誘電体としてポリスチレンフィルムを用いるフィルムキャパシターなど、様々な種類に区分され得る。
【0004】
中でも、積層セラミックキャパシターは、温度特性及び周波数特性に優れており、小型で実現可能であるという長所を有することから、近年、高周波回路などの様々な分野で多く応用されている。近年、積層セラミックキャパシターをさらに小さく実現するために、誘電体層と内部電極を薄く形成する試みが続けられている。
【0005】
最近、積層型キャパシターの関連分野では、水分やメッキ液などの浸透による不良を減らして耐湿信頼性を向上させようとする試みが多く行われている。一つの方法として、キャパシター本体のカバー層や外部電極を厚く形成する方法があるが、その場合、部品の大きさが大きくなり、同一の大きさで静電容量が低下するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一目的は、耐湿信頼性が向上した積層型キャパシター及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するための方法であって、本発明は、一例によって積層型キャパシターの新たな構造を提案する。具体的に、複数の誘電体層が積層された積層構造、上記誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、上記本体の外部に配置され、上記内部電極と接続された外部電極と、上記本体の表面をカバーする絶縁層とを含み、上記外部電極は、上記絶縁層と連結されている金属層を含み、上記絶縁層は、上記金属層の金属成分の酸化物を含む。
【0008】
一実施形態において、上記金属層は、上記本体の表面をカバーし、その側面は上記絶縁層の側面と連結されることができる。
【0009】
一実施形態において、上記外部電極は、上記金属層をカバーする電極層をさらに含むことができる。
【0010】
一実施形態において、上記金属層の金属成分と上記電極層の金属成分は、金属間化合物層を形成することができる。
【0011】
一実施形態において、上記電極層は、焼成電極を含むことができる。
【0012】
一実施形態において、上記電極層は、導電性樹脂電極を含むことができる。
【0013】
一実施形態において、上記金属層と上記絶縁層は、厚さが互いに同一であることができる。
【0014】
一実施形態において、上記絶縁層の厚さは、5nm~1μmであることができる。
【0015】
一実施形態において、上記外部電極は、上記金属層と上記本体の間に配置された電極層をさらに含むことができる。
【0016】
一実施形態において、上記電極層は、上記絶縁層より厚いことができる。
【0017】
一実施形態において、上記電極層の側面と上記絶縁層の間には、上記金属層の一部が配置されることができる。
【0018】
一実施形態において、上記金属層は、上記電極層の表面をカバーし、上記電極層の表面に沿って折り曲がって上記絶縁層と連結されることができる。
【0019】
一実施形態において、上記外部電極は、上記金属層をカバーする追加電極層をさらに含むことができる。
【0020】
一実施形態において、上記追加電極層は、焼成電極を含むことができる。
【0021】
一実施形態において、上記追加電極層は、導電性樹脂電極を含むことができる。
【0022】
一実施形態において、上記金属層は、Ti、Al、V、Y、Zr、Nb、Hf、Ta及びTiから構成されたグループから選択された物質を含むことができる。
【0023】
一実施形態において、上記絶縁層は、上記本体の溝にも配置されることができる。
【0024】
本発明の他の側面は、複数の誘電体層が積層された積層構造、及び上記誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体と、上記本体の外部に配置され、上記内部電極と接続された外部電極と、上記本体の表面をカバーする絶縁層と、を含み、上記外部電極は金属層を含み、上記絶縁層は上記金属層の金属成分の酸化物を含む、積層型キャパシターを提供する。
【0025】
一実施形態において、上記外部電極は、上記金属層をカバーする電極層をさらに含み、上記絶縁層は、上記電極層から露出することができる。
【0026】
一実施形態において、上記本体は、上記金属層及び上記絶縁層と接触することができる。
【0027】
一実施形態において、上記金属層の金属成分と上記電極層の金属成分は金属間化合物層を形成することができる。
【0028】
一実施形態において、上記電極層は、焼成電極及び導電性樹脂電極のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0029】
一実施形態において、上記外部電極は、上記金属層と上記本体との間に配置された電極層をさらに含むことができる。
【0030】
一実施形態において、上記外部電極は、上記金属層をカバーする追加電極層をさらに含むことができる。
【0031】
一実施形態において、上記追加電極層は、焼成電極及び導電性樹脂電極のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0032】
一実施形態において、上記金属層は、Ti、Al、V、Y、Zr、Nb、Hf、Ta及びTiから構成されたグループから選択された物質を含むことができる。
【0033】
本発明のまた他の側面は、複数の誘電体層が積層された積層構造、及び上記誘電体層を挟んで積層された複数の内部電極を含む本体を形成する段階と、上記本体の表面をカバーする金属層を形成する段階と、上記複数の内部電極のうち少なくとも一つをカバーするように上記金属層の一部に電極層を形成する段階と、上記金属層で上記電極層から露出した領域を酸化させて絶縁層を形成する段階と、を含む、積層型キャパシターの製造方法を提供する。
【0034】
一実施形態において、上記金属層は、原子層蒸着(ALD)工程で形成されることができる。
【0035】
一実施形態において、上記金属層で上記電極層から露出した領域は、上記本体と接することができる。
【0036】
一実施形態において、上記金属層で上記電極層によってカバーされる領域は、本体と接することができる。
【0037】
一実施形態において、上記金属層を形成する前に上記複数の内部電極のうち少なくとも一つと接続するように下地層を形成する段階をさらに含み、上記金属層で上記電極層によってカバーされる領域は、上記下地層と上記電極層との間に配置されることができる。
【0038】
一実施形態において、上記金属層は、Ti、Al、V、Y、Zr、Nb、Hf、Ta及びTiから構成されたグループから選択された物質を含むことができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の一例による積層型キャパシターの場合、耐湿信頼性が向上することができる。そして、耐湿信頼性の向上のために絶縁層を採用する場合、部品の大きさの増加を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の一実施形態による積層型キャパシターの外観を概略的に示す斜視図である。
図2図1の積層型キャパシターにおいて、I-I'断面図である。
図3図1の積層型キャパシターにおいて、II-II'断面図である。
図4図1の積層型キャパシターを製造する方法の例を示すものである。
図5図1の積層型キャパシターを製造する方法の例を示すものである。
図6図1の積層型キャパシターを製造する方法の例を示すものである。
図7図1の積層型キャパシターを製造する方法の例を示すものである。
図8】変形された実施例による積層型キャパシターを示す断面図である。
図9図8の積層型キャパシターを製造する方法の例を示すものである。
図10図8の積層型キャパシターを製造する方法の例を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、具体的な実施形態及び添付された図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下で説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上の同一の符号で示される要素は同一の要素である。
【0042】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示しており、同一の思想の範囲内の機能が同一の構成要素は、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0043】
図1は本発明の一実施形態による積層型キャパシターの外観を概略的に示す斜視図である。図2図1の積層型キャパシターにおいて、I-I'断面図である。そして、図3図1の積層型キャパシターにおいて、II-II'断面図である。
【0044】
図1から図3を参照すると、本発明の一実施形態による積層型キャパシター100は、誘電体層111、及びこれを挟んで積層された複数の内部電極121、122を含む本体110と、外部電極131、132と、本体110の表面をカバーする絶縁層112とを含み、ここで絶縁層112は、メッキ液や水分などから本体110の内部、特に、内部電極121、122を保護するために採用されたものである。そして、絶縁層112は、外部電極131、132に含まれた構成要素のうち金属層31の金属成分の酸化物を含む。
【0045】
本体110は、複数の誘電体層111を含み、例えば、複数のグリーンシートを積層した後、焼結して得られることができる。かかる焼結工程により複数の誘電体層111は一体化した形態を有することができる。そして、図1に示す形態のように、本体110は直方体と類似の形状を有することができる。本体110に含まれた誘電体層111は高誘電率を有するセラミック材料を含むことができ、例えばBT系、即ち、チタン酸バリウム(BaTiO)系セラミックを含むことができるが、十分な静電容量が得られる限り、当技術分野で知られた他の物質も使用可能である。誘電体層111には、主成分であるかかるセラミック材料と共に、必要な場合、添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤及び分散剤などがさらに含まれることができる。ここで、添加剤の場合、これらは製造過程で金属酸化物の形態で添加されることができる。かかる金属酸化物添加剤の例として、MnO、Dy、BaO、MgO、Al、SiO、Cr及びCaCOのうち少なくともいずれか一つの物質を含むことができる。
【0046】
複数の内部電極121、122は、セラミックグリーンシートの一面に所定の厚さで導電性金属を含むペーストを印刷した後、これを焼結して得られることができる。この場合、複数の内部電極121、122は、本体110の互いに対向する方向(図面を基準としてZ方向)に露出した第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、互いに異なる外部電極131、132と連結されて、駆動時に互いに異なる極性を有することができ、これらの間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。但し、外部電極131、132の個数や内部電極121、122との連結方式は、実施形態によって変えることができる。内部電極121、122をなす主要構成物質は、Ni、Pd、Ag、Cuなどが例として挙げられ、これらの合金も使用することができる。
【0047】
外部電極131、132は、本体110の外部に形成され、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ接続された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。外部電極131、132は金属層31を含み、図示の形態のように金属層31は絶縁層112と連結される。さらに具体的に、金属層31は、本体110の表面をカバーし、その側面は絶縁層112が連結されることができる。金属層31は、Ti、Al、V、Y、Zr、Nb、Hf、Taなどの金属成分を含むことができ、かかる金属成分の酸化物が絶縁層112に含まれる。金属層31と絶縁層112の連結構造、絶縁層112に金属層31の金属酸化物の含まれる形態は、後述するように、金属層31を本体110の表面に全体的に形成した後、一部領域を酸化することにより、薄くて緻密な形態の絶縁層112を形成する方式で得られることができる。かかる観点から、金属層31の金属成分は、電気伝導性の他にも酸化容易性、酸化膜形成時の薄膜実現可能性、緻密度、安定性などを考慮して決められ、Tiがバルブ金属(valve metal)の代表的な例として挙げられる。金属層31がTiを含む場合、絶縁層112はTiOを含むことができる。
【0048】
金属層31と絶縁層121は、相対的に薄くて緻密な形態で実現されることができる。本実施形態のように、金属層31の金属成分が酸化された形態の絶縁層121は、非常に薄い厚さでも緻密な形態を有するため、耐湿性能に優れており、耐湿信頼性の向上のための保護構造を形成する時に部品の大きさが増加することを最小化することができる。例えば、絶縁層121の厚さt1は、5nm~1μmであることができ、さらに好ましくは5~100nmであることができる。この場合、絶縁層121の厚さt1は平均厚さであることができ、一定の間隔で選定された多数の地点(例えば、10個の地点)で測定された値を平均して得られることができる。平均厚さを得にくい場合は、絶縁層121の中央で測定した厚さや最大厚さを絶縁層121の厚さt1として決めることもできる。絶縁層121の厚さt1は、本体110の断面(例えば、図2または図3に示す領域に対応する断面)で測定されることができる。一例として、上記断面はX-Z断面のうちY方向の中間で本体110の中心断面であることができ、他の例として、X-Y断面のうちZ方向の中間で本体110の中心断面であることができる。但し、上記断面の位置はこれらの例に制限されるものではなく、他の領域で断面を選択することもできる。また、厚さの測定時に光学顕微鏡や走査電子顕微鏡(SEM)などを用いることができ、当技術分野で知られた他の方法や装置を用いることもできる。
【0049】
上述した方式で金属層31と絶縁層121を実現する場合、金属層31と絶縁層121は互いに厚さが同一であることができる。ここで、金属層31の厚さは、第1方向(X方向)に測定した厚さt2や第3方向(Z方向)に測定した厚さt3のいずれか一つを意味することができ、t2、t3のいずれも意味することもできる。金属層31の厚さt2、t3は平均厚さであることができ、絶縁層121の場合と同じ方式で測定されることができる。
【0050】
本実施形態の場合、金属層31は相対的に薄く形成され、これにより絶縁層112も薄く形成されることができる。金属層31を薄くて緻密に形成するために、原子層蒸着(Atomic Layer Deposition)を用いることができる。ALD工程などで金属層31を形成する場合、金属層31と絶縁層121は、本体110の表面に存在する溝に沿って形成されることができ、これは図5の工程図でさらに詳しく説明する。
【0051】
外部電極131、132は、金属層31の他に金属層31をカバーする電極層32をさらに含むことができる。電極層32は焼成電極であることができ、具体的に、導電性金属を含む物質をペーストで製造した後、これを金属層31上に塗布する方法などで形成されることができ、導電性金属の例として、Ni、Cu、Pd、Au、またはこれらの合金を有することができる。この場合、金属層31の金属成分と電極層32の金属成分は、金属間化合物層(図6の工程図でI)を形成することができ、例えば、Cu-Ti化合物であることができる。従来の場合、かかる焼成電極が下地電極として採用されることが一般的であったが、本実施形態では、ALD工程などで薄膜形態である金属層31を先に形成し、これを覆うように電極層32を形成した。後述するように、電極層32は、絶縁層112が選択的に酸化される場合、金属層31が酸化されない保護機能を行うことができる。かかる選択的酸化により絶縁層112が形成される場合、図2に示す形態のように、金属層31と絶縁層の界面112は、電極層32の一側面と連結された構造が得られることができる。
【0052】
上述した実施形態では、電極層32がCuなどを焼成して得られた焼成電極の場合を説明したが、電極層32は、導電性樹脂電極であってもよい。導電性樹脂電極の形態で電極層32が実現される場合、積層型キャパシター100を基板などに実装する時に実装安定性が向上することができる。そして電極層32は、焼成電極と導電性樹脂電極のいずれも含んでもよい。一方、外部電極131、132の追加的な構成要素として、電極層32上にはメッキ層33が配置されることができ、例えばメッキ層33は、Ni、Snなどを含む多層構造で実現されることができる。
【0053】
以下では、上述した形態を有する積層型キャパシターを製造する過程について外部電極形成工程を中心として説明する。下記の工程に関する説明により、構造的な特徴はより明確に理解される。図4から図7の工程図面は、図2のI-I'断面図を基準として作成されたものである。
【0054】
図4に示す形態のように、本体110上に金属層140を形成するが、本体110の場合、誘電体層111と内部電極121、122を積層してセラミック積層体の形態で得られることができる。誘電体層111は焼成前であるため、セラミックグリーンシート状態であり、上記セラミックグリーンシートは、セラミック粉末、バインダー、溶剤などを混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法で数μmの厚さを有するシート(sheet)状で製作することができる。上記セラミックグリーンシートは以後焼結されて誘電体層111を形成することができる。上記セラミックグリーンシート上には、内部電極用導電性ペーストを塗布してパターン形態の内部電極121、122を形成することができ、この場合、内部電極121はスクリーン印刷法またはグラビア印刷法によって形成されることができる。上記内部電極用導電性ペーストは、導電性金属と添加剤を含み、上記添加剤は、非金属及び金属酸化物のいずれか一つ以上であることができる。上記導電性金属は、ニッケルを含むことができる。上記添加剤は、金属酸化物としてチタン酸バリウムまたはチタン酸ストロンチウムを含むことができる。
【0055】
金属層140は酸化がよく起こり、酸化が起こった場合に緻密な酸化膜になることができる金属成分としてバルブ金属で形成されることができ、例えば、Ti、Al、V、Y、Zr、Nb、Hf、Taなどを含むことができる。金属層140は、ALD工程で形成されることができ、本体110の表面を全体的にカバーすることができる。この場合、金属層140は薄くて緻密に形成されることができ、図5に示す形態のように、本体110の表面の溝に沿って溝の表面を追従する形態で形成されることができる。後続工程で金属層140の一部が酸化されて絶縁層112になる場合、絶縁層112も上記溝の表面を追従する形態で得られることができ、これは金属層140の残存領域、即ち、金属層31の場合も同一であるといえる。本体110の溝はメッキ液や水分などの浸透経路になり得るが、本実施形態のように、絶縁層112がこれをコンフォーマル(conformal)にコーティングすることで、このような外部からの影響を効果的に低減することができる。
【0056】
次に、図6に示す形態のように、金属層140の一部をカバーし、一部は露出するように電極層31を形成し、そのため導電性ペーストを金属層140上に一部塗布することができる。金属層140と電極層31の界面には、金属層140の金属成分(例えば、Ti)と電極層31の金属成分(例えば、Cu)によって金属間化合物層Iが形成されることができ、金属間化合物層Iは電極層31を塗布後に直ちに形成されるか後続する焼成や硬化工程時に形成されることができる。図6では、金属間化合物層Iが金属層140の内部に形成されたものを示しているが、金属間化合物層Iは電極層32にも形成されることができる。以後の図面では金属間化合物層Iを表現していないが、金属間化合物層Iは積層型キャパシター100の最終構造でも残存し得る。
【0057】
以後の過程において、金属層140のうち一部領域、即ち、電極層32によってカバーされず露出した領域は酸化して絶縁層112となり、図7は、金属層140が絶縁層112と酸化されず残存した金属層31に分離された形態を示す。これにより、金属層31と絶縁層112の界面は、電極層32の一側面と連結された形態になることができる。絶縁層112は、金属層140を自然酸化するか適切な酸化工程を経て形成されることができる。これと違って、陽極酸化工程を別途実行して金属層140の一部領域を酸化させることもでき、この場合、金属層140のうち電極層32によってカバーされず露出した領域が全て酸化される必要はない。また、如何なる酸化方式を選んでも金属層140の露出領域が必ずしも全て酸化される必要はないため、絶縁層112のうち一部には未酸化された金属成分が残存し得て、かかる金属成分は絶縁層112内で島の形態で存在し得る。また、金属層32は一部でも酸化領域が存在し得る。
【0058】
図8を参照して変形された例による積層型キャパシターを説明し、上述の実施形態と外部電極の変わった部分だけを説明する。本変形例の場合、外部電極131'、132'は、金属層31と本体110との間に配置された電極層34をさらに含む。ここで、電極層34は、外部電極131'、132'の下地層としてNi、Cu、Pd、Auなどを含む導電性ペーストを塗布した後、焼成して形成されることができる。そして電極層34は絶縁層112より厚く形成されることができる。
【0059】
上述した実施形態と異なり、金属層31は電極層34上に形成された状態で絶縁層112と連結されることができる。これは上述した方式と同様に、絶縁層112が金属層31と一体で形成されてから選択的に酸化されて得られることができる。この場合、図示の形態のように、電極層34の側面と絶縁層112との間には金属層31の一部が配置されることができる。また、金属層31は、電極層34の表面をカバーし、電極層34の表面に沿って折り曲がって絶縁層112と連結された形態を有することができる。外部電極131'、132'は、金属層31をカバーする追加電極層35をさらに含んでもよく、ここで追加電極層35は焼成電極であってよく、導電性樹脂電極であってもよい。また、追加電極層35は、焼成電極及び導電性樹脂電極のいずれも含んでもよい。そして金属層31と電極層34の界面、金属層31と追加電極層35の界面には、上述したような理由により金属間化合物層が形成されることができる。
【0060】
図9及び図10を参照して、図8の構造を有する積層型キャパシターを製造する過程を説明する。図9を参照すると、本体110をカバーするように電極層34が先に形成された後、金属層150を本体110と電極層34を全体的にカバーするように形成する。金属層150は薄膜形態で形成され、電極層34の表面、そして本体110の表面を追従しながら形成されることができる。そのため、上述した実施形態と同様に、金属層150はALD工程で形成されることができる。この場合、金属層150のうち電極層34と連結された領域は、相互間の金属成分による金属間化合物層が形成されることができる。
【0061】
図10は金属層150のうち一部が酸化されて金属層31と絶縁層112に分離された形態を示し、これは電極層35のない状態で実行されることができる。これは上述したように、金属層150のうち電極層34と連結された領域は、相互間の金属成分による金属間化合物層(例えば、Cu-Ti化合物層)が形成されて実質的に酸化が起きないからである。これと異なり、金属層150のうち電極層34と接しない領域は、自然酸化または後続酸化工程により絶縁層112になり得る。但し、図10に示す形態と異なり、本酸化工程は電極層35を金属層150上に形成した後に進行されてもよい。
【0062】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。従って、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な形態の置換、変形及び変更が可能であるということは当技術分野の通常の知識を有する者には自明なことであり、これも添付の特許請求の範囲に記載された技術的思想に属するといえる。
【符号の説明】
【0063】
100:積層型キャパシター
110:本体
111:誘電体層
112:絶縁層
121、122:内部電極
131、132:外部電極
31、140、150:金属層
34、35:電極層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10