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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023113993
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】計量充填方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 1/32 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
B65B1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016013
(22)【出願日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000142850
【氏名又は名称】株式会社古川製作所
(72)【発明者】
【氏名】原田 史紀
(72)【発明者】
【氏名】行広 政洋
(72)【発明者】
【氏名】貞守 政晴
【テーマコード(参考)】
3E118
【Fターム(参考)】
3E118AA07
3E118AB03
3E118AB05
3E118BA05
3E118BA07
3E118BA10
3E118BB10
3E118CA03
3E118DA03
3E118EA10
3E118FA07
3E118FA09
(57)【要約】
【課題】従来の計量充填方法では、充填装置から充填される被包装物の落差分の誤差を補正するためには、2つの計量装置が必要となり、製造コストがアップするという課題があった。
【解決手段】本発明の計量充填方法は、第1と第2の充填機16,19と、被包装物Yの充填された袋Xを持ち替えて計量する計量装置17とを備え、計量装置17により計量して被包装物Yの充填重量の誤差の校正を行うことなく、複数回繰り返して充填動作を行う通常動作モードと、所定の条件で、通常動作モードと通常動作モードの間に、第1、第2の充填機の充填重量の誤差の校正を行う計量安定化モードと、を実施し、通常動作モードで連続して動作させている際において所定の条件になった場合に、計量安定化モードを動作させて第1と第2の充填機16,19の充填重量の校正を行うために、充填機を制御するパルス数を変更する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を袋内に大容量で充填するパルス制御の第1の充填機と、第1の充填機の下流側に配置された小容量で充填するパルス制御の第2の充填機と、第2の充填機とともに設置されて被包装物の充填された袋を持ち替えて計量する計量装置と、を備えた計量充填装置の計量充填方法であって、
第1、第2の充填機により充填された被包装物の充填重量を計量装置により計量して被包装物の充填重量の誤差の校正を行うことなく、複数回繰り返して充填動作を行う通常動作モードと、所定の条件で、通常動作モードと通常動作モードの間に、第1、第2の充填機の充填重量の誤差の校正を行う計量安定化モードと、を実施し、
前記計量安定化モードは、第1の充填機では、被包装物を計量することなく、所定の充填量の被包装物を粗充填し、
第2の充填機では、袋を計量装置に持ち替えて、まず第1の充填機で粗充填した被包装物の粗充填重量を計量した後、第2の充填機から被包装物を充填しながら前記計量装置で計量し、目標充填重量の被包装物が充填された時点で被包装物の充填を停止し、さらに、充填停止後の被包装物の最終重量を前記計量装置で計量する、
ことを特徴とする計量充填方法。
【請求項2】
粗充填重量が第1の充填機の第1の充填目標の閾値内か否かを判断し、閾値内なら第1の充填機の先の充填量を維持し、閾値外なら第1の充填機のパルス数を補正する粗充填重量の校正を行い、
最終重量から、目標設定重量を差し引いて、第2の充填機から袋内に充填中の被包装物の落差分の落差分重量を出し、さらに、最終重量から、落差分重量と粗充填重量を差し引いた計算充填重量を第2の充填機に入力された総パルス数で割って第2の充填機の1パルス充填重量を算出し、
第2の充填機に入力された総パルス数から、落差分重量に相当するパルス数を補正して第2の充填機に入力された総パルス数の校正を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の計量充填方法。
【請求項3】
通常動作モードを所定の動作時間または所定の回数で実行するか、環境条件に応じて、計量安定化モードを実施することを特徴とする請求項1に記載の計量充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋に被包装物を計量しながら充填する計量充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
袋に粒体や粉体などの被包装物を計量しながら充填する計量充填装置は広く知られている。このような計量充填装置を用いて、一対のグリッパーにより袋の上部両側を把持した包装機で袋を間欠的に搬送しながら(以下、「間欠移動」と称す)、被包装物を計量充填する。このような計量充填装置の計量充填方法において、まず、充填能力が大きい第1の充填機により、被包装物を目標充填重量より若干少ない充填重量となるように充填(粗充填)し、この後、充填能力が小さい第2の充填機により、正確な設定重量となるように被包装物を少量ずつ充填する充填方法が取られている(補正充填)。前記の第1の充填機や第2の充填機として、通常、オーガ充填機が用いられており、このオーガ充填機はオーガの回転数や回転速度をパルス制御することが可能で、パルス信号により充填量を制御できる利点がある。このような計量充填方法により、単一の充填機で計量しながら充填する場合と比較して、高速で、かつ比較的精度よく被包装物を充填することが可能となる。
【0003】
前記のような計量充填方法として、例えば、特許文献1などに、間欠移動する一対のグリッパーで袋を把持した状態で、第1の充填機で被包装物を袋に粗充填した後、第2の充填セクションに袋を間欠移動させた後に、計量装置に備えられた把持部で袋を持ち替え、第2の充填機で被包装物を補正充填しながら計量し、その後、袋をシールする方法が開示されている。
【0004】
ところで、それ程正確な計量充填が要求されない、例えば小麦粉や澱粉のような被包装物の場合は、特許文献1に開示されている粗充填と補正充填からなる計量充填方法で十分である。しかしながら、より正確さが要求される被包装物、例えば高価な被包装物を計量充填する場合は、オーガ充填機では不都合な点がある。即ち、前記のように、第2のオーガ充填機はオーガの回転数や回転速度をパルス制御により所定の重量の被包装物を補正充填するが、オーガ充填機の充填終了時の落下中の被包装物の誤差(以下、「落差誤差」と称する。)が生じる。
【0005】
図4は、その落差誤差を説明するための説明図であって、計量装置31(把持部のみを示す。)に袋Xを持ち替えて第2の充填機30により充填した充填終了直後を図示している。第2の充填機30のオーガは、計量装置31から目標設定重量に達したとの信号が出力された時点で停止する。しかし、充填装置31が充填重量として検知する被包装物Yは袋X内に落下したものに限られ、落下中の落差分Yaは検知されていない。落差分Yaは計量装置31が設定重量に達したと検知した後に落下するので、落差分Yaだけ目標設定重量より重くなり、その分の充填重量は正確ではないということになる。充填機30の高さが異なったり、袋Xの種類が異なったりすると、最終の目標充填重量に影響が出るおそれがある。
【0006】
これに対処する方法として、図5に簡略的に示すように、第2の充填機52に対応する箇所に計量装置(第1の計量装置)53(把持部のみを示す。)を配置するだけでなく、これよりも下流の箇所にも計量装置(第2の計量装置)54を設ければよい。そして、第1の計量装置53で予め設定した重量に達したことを検知した時点で、第2の充填機52の充填動作を停止させるとともに下流側に間欠移動させ、その後、第2の計量装置54で、最終的な被包装物Yの最終重量を計量する。なお、図5におけるXは袋、Yは被包装物、50は包装機のグリッパー、51は第1の充填機である。特許文献2においては、第2の充填機や第1の計量装置よりも下流側に配置しているベルトコンベアにウエイトチェッカーを組み込んで計量するシステム(計量充填装置)が開示されている。
【0007】
前記の計量充填方法によれば、第2の充填機52の充填動作が停止した際の被包装物の重量(第1の計量装置53で検出した重量)を、第2の計量装置54で検出した重量から差し引くことで、第2の充填機52から袋Xに向けて落下している途中の落差分Yaの重量が計算できるので、この落差分Yaだけ第2の充填機52の充填量をフィードバック制御すれば、目標充填重量に近づけることができて、精度を向上させることができる。
【0008】
前記の計量充填方法によれば、最終的な被包装物の充填重量を計量する第2の計量装置54が、第2の充填機52のセクションとは別のセクションにあるので、第1の計量装置53の計量時間を短く抑えることができると共に、包装機の間欠移動の全体時間を短くできて包装機の処理能力が向上する利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭62-52001号公報
【特許文献2】特開平11-314602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図5に示すような計量充填方法では、第1の計量装置53に加えて第2の計量装置54が必要となるため、製造コストがアップしてしまうという問題点がある。また、特許文献2のウエイトチェッカーを組み込んで計量するシステムは、不良品が多くなり、計量誤差による被包装物の廃棄も増えることになる。
【0011】
本発明は、かかる課題に対して、包装機の間欠移動の処理能力の低下を最小限に抑えながら、製造コストのアップを押えることができると共に、計量誤差による被包装物の廃棄も少なくすることができる計量充填方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の計量充填方法は、粉粒体を袋内に大容量で充填するパルス制御の第1の充填機と、第1の充填機の下流側に配置された小容量で充填するパルス制御の第2の充填機と、第2の充填機とともに設置されて被包装物の充填された袋を持ち替えて計量する計量装置と、を備えた計量充填装置の計量充填方法であって、第1、第2の充填機により充填された被包装物の充填重量を計量装置により計量して被包装物の充填重量の誤差の校正を行うことなく、複数回繰り返して充填動作を行う通常動作モードと、所定の条件で、通常動作モードと通常動作モードの間に、第1、第2の充填機の充填重量の誤差の校正を行う計量安定化モードと、を実施し、前記計量安定化モードは、第1の充填機では計量することなく、所定の充填量の被包装物を粗充填し、第2の充填機では、袋を計量装置に持ち替えて、まず第1の充填機で粗充填した被包装物の粗充填重量を計量した後、第2の充填機から被包装物を充填しながら前記計量装置で計量し、目的充填重量が充填された時点で被包装物の充填を停止し、さらに、充填停止後の被包装物の最終重量を前記計量装置で計量する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の計量充填方法によれば、所定の条件になった場合のみ、計量安定化モードを動作させることで、計量装置により充填重量を正確に計量することができるので、計量精度が低下することを最小限に抑えることができる。しかも、1つの計量装置を配置するだけで済むので、製造コストの増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の計量充填方法を実施するロータリー包装機を簡略的に示す平面図
図2】本発明の計量充填方法を簡略的に説明するための説明図
図3】本発明の計量充填方法の説明図
図4】従来の計量充填方法の課題を説明するための説明図
図5】従来の計量充填方法を簡略的に示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下において、本発明の計量充填方法の実施の形態について説明するが、その前に、本発明を実施するための包装装置の一例であるロータリー包装機について簡単に説明する。
【0016】
図1の符号の1は、粉粒体などの被包装物Yを袋Xに連続して所定の重量ずつ充填して包装するロータリー包装機である。このロータリー包装機1は、基台4にロータリー包装機1が設置され、周辺部に袋箱13や包装された袋Xを下流側に搬出する搬出コンベヤ2を備えるとともに、ロータリー包装機1を含めた包装装置全体を制御する制御装置(図示せず)も備えられている。なお、本発明の計量充填方法を実施するには、このロータリー包装機1に限るものではなく、直線式の包装機や楕円形の包装機であってもよい。
【0017】
ロータリー包装機1は、袋Xの上部両側を把持するグリップが先端に取り付けられている一対のグリッパー3(図2ではグリッパー3の把持部のみを示している)が、円形ロータ11の周縁に8組、取付けられている。そして、円形ロータ11の下方の基台4内に配置された駆動モータの回転駆動力が円形ロータ11に伝達されることにより、円形ロータ11は円周方向に45゜のピッチで時計まわり方向(回転方向R)に間欠回転する。
【0018】
円形ロータ11には、次のようなセクションが割り振られており、各セクションで次のような包装作業を行う。
(1)袋供給機構12により袋箱13から空の袋Xが供給される袋供給セクション
(2)印字装置14により袋Xに賞味期限等を印字するとともに、袋口開機構23により袋Xの袋口が開口される印字・袋口開セクション
(3)大容量ホッパー15を備え、大容量の被包装物Yを袋Xに高速で(後述する第2の充填機19よりも高速で)被包装物Yを粗充填する第1充填セクション
(4)計量装置17が設けられ、第1の充填機16で被包装物Yが充填された袋Xをグリッパー3から持ち替えて、小容量ホッパー18から小容量の被包装物Yを第2の充填機19により低速で精度よく補正充填する第2充填セクション
(5)振動板24により袋Xの袋底をタッピングして被包装物Yを袋内に落とし込むタッピングセクション
(6)脱気装置20により袋X内の空気を脱気する脱気セクション
(7)袋Xの袋口をシール装置21によりシールするシールセクション
(8)袋Xのシール部をシール冷却装置22により冷却するとともに、包装した袋Xが円形ロータ11から搬出コンベヤ2により系外に搬出される冷却・搬出セクション
【0019】
上記セクションのうち、袋供給セクション(1)、印字・袋口開セクション(2)、タッピングセクション(5)、脱気セクション(6)、シールセクション(7)、冷却・搬出セクション(8)は、従来の技術と同様であるので、詳細な説明は省略する。本発明の特徴部分である、第1充填セクション(3)と、第2充填セクション(4)について以下詳細に説明する。
【0020】
第1充填セクション(3)には、大容量ホッパー15を備え、大容量の被包装物Yを袋Xに高速で粗充填する第1の充填機16が設置されている。この第1の充填機16は、従来から公知のオーガ充填機を用いている。第1の充填機16は、充填用のオーガ(スクリュ)をサーボモータにより駆動しており、このサーボモータの回転数や回転速度は、制御装置からのパルス信号により制御する。第1の充填機16により、袋X内に被包装物Yを最終的に充填しなければならない目標充填重量(以下、「目標充填重量」と称する。)より少ない充填量(「第1充填目標」の閾値の範囲内)となるように、サーボモータを制御する。この第1充填セクション(3)で、被包装物Yを目標充填重量よりオーバ充填した場合に、後のセクションで被包装物を取り出す機構が無いため、重量オーバの袋Xは不良品として系外排出しなければならなくなるので、必ず目標充填重量より少ない充填量となるように設定されている。
【0021】
第1充填セクション(3)では、第2充填セクション(4)のような計量装置17を設けず、計量しない状態で被包装物Yが第1の充填機16から充填される。このため、後述する通常動作モードの場合は、継続的に先の設定されたパルス数の信号が制御装置から第1の充填機16に出力される。誤差を補正する第1,第2の充填機16,19の校正時の計量安定化モードに切り替わった時に、第1の充填機16による充填重量が第1充填目標の閾値内となるように、制御装置からのパルス数を制御する。
【0022】
なお、前記第1充填目標の閾値の設定について説明すると、目標充填重量を仮に112gとすると、第1の充填機16から充填する被包装物Yの充填量は、目標充填重量112gより少ない105gと設定する。さらに、この第1充填目標の閾値は、例えば±1.5gの範囲と設定し、103.5g~106.5gの範囲を閾値とする。なお、この閾値は、被包装物Yをオーバ充填しないように安全性を見越して設定するものであるから、後述する第1の充填機16の充填に支障をきたさない程度の精度範囲で設定すればよい。
【0023】
第2充填セクション(4)には、小容量ホッパー18を備え、小容量の被包装物Yを低速で精度よく補正充填する第2の充填機19が設置されている。この第2の充填機19も、従来から公知のオーガ充填機であるが、第1の充填機16より小型である。第2の充填機19も充填用のオーガ(スクリュ)をサーボモータにより駆動しており、このサーボモータの回転数や回転速度は、制御装置からのパルス信号により制御する。
【0024】
第2充填セクション(4)には、計量装置17が設置されている。この計量装置17はロードセルのような装置を用いており、この計量装置17には、ロータリー包装機1のグリッパー3に保持された袋Xを、計量装置17側に持ち替える計量用の把持具17aを備えている。通常動作モードの場合は、第1充填セクション(3)で被包装物Yが充填された袋Xを前記把持具17aで把持し、第2の充填機19から被包装物Yを充填し、目標充填重量に達するまで被包装物Yを充填する。計量安定化モードの場合は、先ず、第1充填セクション(3)で被包装物Yが充填された袋Xを前記把持具17aで把持して第1充填セクション(3)での被包装物Yの充填量を計量した後、計量装置17の計量を継続しながら、第2の充填機19から被包装物Yを充填し、目標充填重量に達するまで被包装物Yを充填する。さらに、目標充填重量に達した段階で、被包装物Yの充填を停止して袋Xの最終の最終重量を計量する。
【0025】
次に、第1充填セクション(3)及び第2充填セクション(4)において、被包装物Yを充填する際の2つのモードについて説明する。この2つのモードは、以下のような通常動作モードと計量安定化モードがある。
【0026】
(通常動作モード)
通常動作モードは、第1充填セクション(3)での第1の充填機16からの被包装物Yの充填は、所定のパルス数のパルスを制御装置から第1の充填機16に入力する。所定のパルス数とは、ロータリー包装機1の始動時に後述する校正を行った時、この校正のデータのパルス数を第1の充填機16に出力する。充填作業が継続中の時は、先の校正の際のパルス数をそのまま入力し、前回と同様のパルス数のパルスが制御装置から第1の充填機16に出力されて被包装物Yの充填を継続する。
【0027】
さらに、通常動作モードでは、図4を用いて説明した、第2の充填機30に対する、被包装物Yの落差誤差の校正も実施しない。この通常動作モードは、このような第1の充填機16及び第2の充填機19に対する校正を実施しないことから、被包装物Yの充填作業は迅速になるが、落差分Yaの誤差が生じるおそれがある。しかし、この誤差は下記の計量安定化モードを定期的に実施することにより、誤差を極力小さくすることができる。
【0028】
(計量安定化モード)
(第1充填セクションの計量安定化モード)
定期的に実施する計量安定化モード時に、第1充填セクション(3)の被包装物Yの充填重量が、第1の充填目標の閾値から外れた場合には、第1の充填機16のオーガの回転数を対応する値となるように制御装置からのパルス数を補正する。具体的には、第2充填セクション(4)で、第2の充填機から包装物Yを充填する前に、第1充填セクション(3)で充填された被包装物Yの充填重量を計量する。この充填重量の直近の所定回数分(例えば3回分)の平均値を算出し、前記平均の計量重量を、第1の充填機16の総パルス数で割り、1パルス当たりの充填重量(g/pulse)を算出する。この新しい1パルス当たりの充填重量(g/pulse)で、第1の充填機16の充填重量が閾値内となるように第1の充填機16のパルス数を増減して補正する。
【0029】
具体的な例を挙げて説明すると、最終の目標充填重量を112gとし、第1の充填目標を105とし、±1.5gの範囲の閾値(103.5g~106.5g)とする。そして、計量安定化モード直近の計量重量が、105.05g,105.58g,105.28gとすると、第1の充填機16の直近3回の平均値は、105.30gとなる。この時の直近3回の総パルス数が各々9,130パルスとすると、1パルス当たりの被包装物Yの充填重量(g/pulse)は、0.0115gとなる。この例では、第1の充填機16の直近の平均値は、105.30gで閾値内にあるから、補正の必要は無いが、閾値から外れた場合には、前記の新しい1パルス当たりの被包装物Yの充填重量0.0115gを用いて、第1の充填機16の充填重量を閾値内に入るようにパルス数を増減する。
【0030】
(第2充填セクションの計量安定化モード)
前記したように、第2充填セクション(4)において、計量装置17により計量しながら第2の充填機19により被包装物Yを充填し、計量装置17が被包装物Yの目標充填重量を検知した瞬間に第2の充填機19の充填を停止する。しかし、目標充填重量を検知した瞬間に第2の充填機19の充填を停止すると、図4に示すように、第2の充填機30から袋Xに向けて充填中の落差分Yaだけ多く充填することとなり、落差誤差が生じることとなる。計量安定化モードでは、この落差誤差を校正するために、第2充填セクション(4)において、以下のようステップで校正を行う(図3を参照)。
【0031】
(ステップ1)
袋Xを第2充填セクション(4)に移動して間欠停止すると、計量装置17に備えられた把持部17aで袋Xを把持し、グリッパー3を放して、第1セクション(3)で粗充填された被包装物Yの重量を計量する(図3-1)。この時の被包装物Yの重量を「粗充填重量(A)」とする。従って、この時点では、まだ第2の充填機19により、被包装物Yの充填は行われていない。
【0032】
(ステップ2)
粗充填重量(A)の計量後、第2の充填機19から補正充填が開始される(図3-2)。この補正充填は、被包装物Yの充填を少量ずつ目標設定重量(B)(目標設定重量(B)は、目標充填重量と同一に設定する。)となるように充填し、計量装置17の計量値が目標設定重量(B)に達した瞬間に、第2の充填機19のオーガを停止する。従って、落差分Yaの重量(落差分重量(C))は、目標設定重量(B)には含まれていない。
【0033】
(ステップ3)
第2の充填機19による充填が停止した後、計量装置17により袋Xの最終の重量を計量する(図3-3)。この最終重量(D)は、目標設定重量(B)と落差分重量(C)を合計した重量となる(目標設定重量(B)+落差分重量(C))。
【0034】
(ステップ4)
第4ステップでは、第2の充填機19の1パルス当たりの被包装物Yの充填重量(g/pulse)(1パルス充填重量(E))を算出する。第2の充填機19の1パルス充填重量は、最終重量(D)から、粗充填重量(A)と落差分重量(C)を差し引いた計算充填重量(F)を第2の充填機19に入力された総パルス数で割って算出したものである(計算充填重量(F)/総パルス数)。
【0035】
(ステップ5)
前記のように、第2の充填機19から袋Xに向けて充填中被包装物Yは、落差分Yaだけ多く充填することとなり、落差誤差が生じる。そこで、ステップ5では、前記で算出した1パルス充填重量(E)から、第2の充填機19に入力するパルス数を校正する。目標設定重量(B)は目標充填重量と同一に設定しているので、実際の最終重量(D)は目標充填重量より落差分重量(C)だけ多くなる。従って、以後の通常動作モードでは、第2の充填機19の総パルス数を落差分重量(C)だけ少なく補正し、通常動作モード間では最終重量(D)が目標充填重量に近づくように、第2の充填機19のパルス数を校正する。
【0036】
第2充填セクション(4)の計量安定化モードで前記のように、第2の充填機19に入力するパルス数を校正した後、通常動作モードに戻り、次の計量安定化モードになるまで、所定の回数だけ通常動作モードを繰り返す。通常動作モードから計量安定化モードに切り換える条件としては、通常動作モードを所定の動作時間(例えば1時間ごと)、または所定の回数(例えば1000回に達した時)を実行した場合に、計量安定化モードを実施するようにしてもよい。その他、被包装物Yの重量が変動するのは、温度や湿度などの環境の変化による場合が多いので、環境が変わった場合(この場合、温度や湿度を定期的に測定する。)に、計量安定化モードを実施するようにしてもよい。さらに、被包装物の種類やロットなどが変わった際も計量安定化モードを実施するようにしてもよい。さらに、ロータリー包装機を始動する際に、まず、計量安定化モードから実施し、その後に通常動作モードに切り替え、定期的に計量安定化モードを実施するようにしてもよい。
【0037】
以上のように、定期的に計量安定化モードを実施することで、1つの計量装置17で正確な充填が可能となり、充填誤差を最小限に抑えることができる。しかも、第2充填位置に対応して1つの計量装置17を配置するだけで済むので、製造コストのコストアップを押えることができる。さらに、ウエイトチェッカーを組み込んで計量するシステムに比べて格段に不良品が減り、計量誤差による被包装物の廃棄を少なくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、袋に被包装物を充填しながら計量する各種の包装機の計量充填方法において有用である。
【符号の説明】
【0039】
1 ロータリー包装機
2 搬出コンベヤ
3 グリッパー
11 円形ロータ
12 袋供給機構
13 袋箱
14 印字装置
15 大容量ホッパー
16 第1の充填機
17 計量装置
17a 把持具
18 小容量ホッパー
19 第2の充填機
20 脱気装置
21 シール装置
22 シール冷却装置
23 袋口開機構
24 振動板
Y 被包装物
X 袋
図1
図2
図3
図4
図5