(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114024
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】電力量計
(51)【国際特許分類】
G01R 22/06 20060101AFI20230809BHJP
G01R 11/04 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
G01R22/06 130H
G01R11/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016082
(22)【出願日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】309042071
【氏名又は名称】東光東芝メーターシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】岩田 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】酒井 晃
(57)【要約】
【課題】外観およびセキュリティ性能を損ねずカバーの開閉検出性能を向上することができる電力量計。
【解決手段】計量装置1と、通信装置2と、端子ブロックを備えた計器ベース6と、カバー4とを備えた電力量計において、カバー4は、凸部40を備え、計量装置は、カバーの開閉を検出するスイッチ12と、押し部品5とを備え、押し部品は、カバーが計量装置を覆ったときカバーの凸部と当接するカバー当接部52と、凸部がカバー当接部に当接したとき凸部の押圧により移動しスイッチをプッシュしてスイッチを閉動作させるスイッチプッシュ部51とを備え、カバーが計量装置を覆ったとき凸部の押圧により圧縮し、カバーが計量装置から取り外されたとき、伸長してスイッチプッシュ部を移動させてスイッチを開動作させるばね53を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量装置と、計量装置に取り付けられ且つ前記計量装置で計量された電力量を外部に送信する通信装置と、前記計量装置に取り付けられ且つ電線と接続する端子ブロックを備えた計器ベースと、前記計量装置と前記通信装置と計器ベースとを覆うカバーとを備えた電力量計において、
前記カバーは、凸部を備え、
前記計量装置は、前記カバーの開閉を検出するスイッチと、押し部品とを備え、
前記押し部品は、前記カバーが前記計量装置を覆ったとき前記カバーの前記凸部と当接するカバー当接部と、前記凸部が前記カバー当接部に当接したとき前記凸部の押圧により移動し前記スイッチをプッシュして前記スイッチを閉動作させるスイッチプッシュ部とを備え、
前記カバーが前記計量装置を覆ったとき前記凸部の押圧により圧縮し、前記カバーが前記計量装置から取り外されたとき、伸長して前記スイッチプッシュ部を移動させて前記スイッチを開動作させる弾性体を備えることを特徴とする電力量計。
【請求項2】
前記押し部品は、さらに、前記カバー当接部に連結され且つ前記弾性体を挿通した弾性体通し部を備えることを特徴とする請求項1記載の電力量計。
【請求項3】
前記弾性体は、前記スイッチプッシュ部を挿通するように設けられていることを特徴とする請求項1記載の電力量計。
【請求項4】
前記弾性体通し部の先端には、爪部を有するスナップフィット又は凸部が形成され、前記スナップフィット又は凸部は、前記押し部品の抜け防止用に設けられていることを特徴とする請求項2記載の電力量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カバーの開閉を検出するスイッチを備えた電力量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電力量計は、電力量計のカバーを第三者が不用意に開閉することを防止する目的でカバーの開閉検出機能を有しており、従来の電力量計では、開閉検出のためにカバーにスイッチプッシュ部と、計量装置に検出スイッチと、計量装置を保持する端子ブロックを備えた計器ベースを有している。
【0003】
カバーに設けられたスイッチプッシュ部が計量装置に設けられた検出スイッチと当接した状態の時、開閉検出機能は「閉」と判断し、カバーに設けられたスイッチプッシュ部が計量装置に設けられた検出スイッチとが離れている状態の時、開閉検出機能は「開」と判断し、それぞれ出力するものとなっている。
【0004】
特許文献1の
図6に記載された計器は、カバーにスイッチプッシュ部とばねとを備え、カバーに設けたスイッチプッシュ部が計量装置に設けたスイッチを押すように機構となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の電力量計では、電力量計を製造するにあたり、異メーカーのカバー、計量装置、計器ベースを組み合わせることがあるが、前記計量装置や前記カバーの取付位置のばらつきが大きくなり、前記計量装置に設けた検出スイッチと前記カバーに設けたスイッチプッシュ部の位置にずれが生じ、前記カバーの開閉を誤検出する恐れがある。
【0007】
また、同メーカーのカバー、計量装置、計器ベースを用いたとしても、前記計器ベースは熱応力などにより、反り返りなどの歪みが生じ易い材料が使用され、前記計量装置に設けた検出スイッチと前記カバーに設けたスイッチプッシュ部の位置にずれが生じ、前記カバーの開閉を誤検出する恐れもある。
【0008】
さらに、特許文献1の電力量計では、透明なカバーを用いる場合、前記カバーの開閉を検出する機構が外部から見えてしまい、見栄えが悪くなる。また、上述した機構がわかるため、セキュリティの面からも問題がある。
【0009】
本発明の課題は、計量装置に設けた検出スイッチとカバーに設けたスイッチプッシュ部の位置が正規の位置ではなく、ずれたとしてもカバーの開閉を検出することができ、構造が判明されにくく、セキュリティも向上する電力量計を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る請求項1の発明は、計量装置と、計量装置に取り付けられ且つ前記計量装置で計量された電力量を外部に送信する通信装置と、前記計量装置に取り付けられ且つ電線と接続する端子ブロックを備えた計器ベースと、前記計量装置と前記通信装置と計器ベースとを覆うカバーとを備えた電力量計において、前記カバーは、凸部を備え、前記計量装置は、前記カバーの開閉を検出するスイッチと、押し部品とを備え、前記押し部品は、前記カバーが前記計量装置を覆ったとき前記カバーの前記凸部と当接するカバー当接部と、前記凸部が前記カバー当接部に当接したとき前記凸部の押圧により移動し前記スイッチをプッシュして前記スイッチを閉動作させるスイッチプッシュ部とを備え、前記カバーが前記計量装置を覆ったとき前記凸部の押圧により圧縮し、前記カバーが前記計量装置から取り外されたとき、伸長して前記スイッチプッシュ部を移動させて前記スイッチを開動作させる弾性体を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載の電力量計において、前記押し部品は、さらに、前記カバー当接部に連結され且つ前記弾性体を挿通した弾性体通し部を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1記載の電力量計において、前記弾性体は、前記スイッチプッシュ部を挿通するように設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項2記載の電力量計において、前記弾性体通し部の先端には、爪部を有するスナップフィット又は凸部が形成され、前記スナップフィット又は凸部は、前記押し部品の抜け防止用に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、カバーが計量装置を覆い、カバーの凸部が押し部品のカバー当接部に当接すると、スイッチプッシュ部は、凸部の押圧により移動しスイッチをプッシュしてスイッチを閉動作させる。
【0015】
弾性体は、カバーが計量装置を覆ったとき凸部の押圧により圧縮し、カバーが計量装置から取り外されたとき、伸長してスイッチプッシュ部を移動させてスイッチを開動作させる。従って、計量装置に設けた検出スイッチとカバーに設けたスイッチプッシュ部の位置が正規の位置ではなく、ずれたとしてもカバーの開閉を検出することができ、構造が判明されにくく、セキュリティも向上する。
【0016】
請求項2の発明によれば、弾性体通し部は、弾性体を挿通し、凸部の押圧により弾性体通し部が移動して弾性体を圧縮又は伸長させる。
【0017】
請求項3の発明によれば、弾性体は、スイッチプッシュ部を挿通するように設けられているので、弾性体通し部とスイッチプッシュ部とを一体化でき、コストを低減できる。
【0018】
請求項4の発明によれば、爪部を有するスナップフィット又は凸部により、押し部品の抜けを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る電力量計の正面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る電力量計の側面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る電力量計の斜視図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る電力量計の計量装置の正面図である。
【
図5】
図4に示す電力量計の計量装置のカバー開状態時のA-A間の断面図である。
【
図6】
図4に示す電力量計の計量装置のカバー開状態時のB-B間の断面図である。
【
図7】
図4に示す電力量計の計量装置のカバー閉状態時のA-A間の断面図である。
【
図8】
図4に示す電力量計の計量装置のカバー閉状態時のB-B間のスイッチがプッシュされた時の断面図である。
【
図9】第1の実施形態に係る電力量計の計量装置と押し部品とを示す斜視図である。
【
図10】
図9に示す計量装置の切欠部に形成された穴部に押し部品が挿入された状態を示す斜視図である。
【
図11】第1の実施形態に係る電力量計の計量装置と通信装置と計器ベースとにカバーを覆う前の断面図である。
【
図12】第1の実施形態に係る電力量計の計量装置と通信装置と計器ベースとにカバーを覆した後の断面図である。
【
図13】本発明の第2の実施形態に係る電力量計の計量装置と押し部品とを示す斜視図である。
【
図14】
図13に示す計量装置の切欠部に形成された穴部に押し部品が挿入された状態を示す斜視図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態に係る電力量計の計量装置のカバー開状態時の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係る電力量計について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の電力量計の正面図である。
図2は、第1の実施形態の電力量計の側面図である。
図3は、第1の実施形態の電力量計の斜視図である。
【0022】
電力量計は、
図1、
図2に示すように、計量装置1と、計量装置1に取り付けられ且つ計量装置1で計量された電力量を外部に送信する通信装置2と、端子ブロック3を備えた計器ベース6と、計量装置1と通信装置2と計器ベース6とを覆うカバー4とを有している。
【0023】
カバー4は、
図2に示すように、カバー凸部40を備えている。計量装置1は、押し部品5を備えている。押し部品5は、
図2に示すように、カバー当接部52と、スイッチプッシュ部51とを備えている。
【0024】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る電力量計の計量装置の正面図である。
図5は、
図4に示す電力量計の計量装置のカバー開状態時のA-A間の断面図である。
図6は、
図4に示す電力量計の計量装置のカバー開状態時のB-B間の断面図である。
図5において、計量装置1は、計量装置ケース1aと、計量装置ベース1bとから構成されている。
【0025】
計量装置ベース1bには基板11が配置され、基板11にはカバー4の開閉を検出するスイッチ12が配置されている。押し部品5は、
図9に示すように、カバー当接部52と、スイッチプッシュ部51と、ばね53を通すためのばね通し部54とを備えている。
【0026】
計量装置ケース1aには、
図9に示すように、押し部品5を収納するための切欠部1cが設けられるとともに、スイッチプッシュ部51を挿入するための穴部1dと、ばね通し部54を挿入するための穴部1eを設けている。
図10は、押し部品5を切欠部1cに収納し、スイッチプッシュ部51を穴部1dに挿入し、ばね通し部54を穴部1eに挿入した状態を示している。
【0027】
図5は、
図4に示す電力量計の計量装置のカバー開状態時の断面を示している。
図5において、カバー当接部52は、カバー4が計量装置1を覆ったときカバー4のカバー凸部40と当接する。
【0028】
スイッチプッシュ部51は、カバー当接部52に連結し、カバー凸部40がカバー当接部52に当接したときカバー凸部40の押圧により移動しスイッチ12をプッシュしてスイッチ12を閉動作させる。
【0029】
ばね通し部54は、カバー当接部52に連結され且つスイッチプッシュ部51と略平行に設けられ、ばね53を挿通している。ばね53は、弾性体からなり、穴部1dに挿入されたとき、ばね先端が穴部1dの底部に固定されるようになっている。
【0030】
ばね53は、カバー4が計量装置1を覆ったときカバー凸部40の押圧により圧縮し、カバー4が計量装置1から取り外されたとき、伸長してスイッチプッシュ部51を移動させてスイッチ12を開動作させる。
【0031】
なお、弾性体として、ばね53を例示したが、ばね53の代わりに例えば、ゴムであってもよく、押圧により伸縮するものであればその他の部材であってもよい。
【0032】
ばね通し部54の先端には、爪部を有する弾性を有するスナップフィット55が形成されている。スナップフィット55は、押し部品5の抜け防止用に設けられている。スナップフィット55を設けることにより、押し部品5の抜けを防止することができる。
【0033】
なお、押し部品5の抜け防止用としてスナップフィット55を提示したが、例えば、先端を凸部にする構造でもよく、押し部品5の抜け防止の効果がある構造であればよい。
【0034】
図7は、
図4に示す電力量計の計量装置のカバー閉状態時のA-A間の断面図である。
図8は、
図4に示す電力量計の計量装置のカバー閉状態時のB-B間のスイッチがプッシュされた時の断面図である。
【0035】
計量装置のカバー閉状態時には、カバー当接部52がカバー4のカバー凸部40に押されて、カバー当接部52とスイッチプッシュ部51とばね通し部54とが左方向に移動してスイッチ12が閉じる。
【0036】
次に、
図11に示すカバー開状態と
図12に示すカバー閉状態とを参照しながら、カバー4の開閉検出の動作を説明する。
【0037】
まず、
図11では、カバー4が開状態である。このとき、カバー当接部52には、カバー凸部40は当接しないため、スイッチプッシュ部51はスイッチ12をプッシュしないため、スイッチ12は開状態である。
【0038】
次に、
図12に示すように、計器ベース6の凹部6aにカバー4のカバー凸部41を嵌合させて、カバー4が計量装置1と通信装置2と計器ベース6とを覆う。
【0039】
このとき、カバー凸部40がカバー当接部52に当接して、カバー当接部52を押す。このため、スイッチプッシュ部51は、カバー凸部40の押圧により移動しスイッチ12をプッシュしてスイッチ12を閉動作させる。
【0040】
また、ばね通し部54は、カバー凸部40の押圧により移動し、ばね53は、カバー凸部40の押圧により圧縮する。
【0041】
ばね53は、カバー4が計量装置1から取り外されたとき、伸長してスイッチプッシュ部51を移動させてスイッチ12を開動作させる。従って、計量装置に設けた検出スイッチとカバーに設けたスイッチプッシュ部の位置が正規の位置ではなく、ずれたとしてもカバーの開閉を検出することができ、構造が判明されにくく、セキュリティも向上する。
【0042】
(第2の実施形態)
図13は、本発明の第2の実施形態に係る電力量計の計量装置と押し部品とを示す斜視図である。
図14は、
図13に示す計量装置の切欠部に形成された穴部に押し部品が挿入された状態を示す斜視図である。
図15は、本発明の第2の実施形態に係る電力量計の計量装置のカバー開状態時の断面図である。
【0043】
第2の実施形態に係る電力量計は、
図13に示すように、カバー当接部52を備えるとともに、ばね通し部とスイッチプッシュ部とを一体化したスイッチプッシュ部51aにばね53を挿通させたことを特徴とする。
【0044】
第2の実施形態に係る電力量計では、
図14に示すように、計量装置ケース1aに形成されるスイッチプッシュ部51aを挿入するための穴部が1つで済む。
【0045】
また、
図15に示すように、ばね53を挿通させたスイッチプッシュ部51aに対向する位置にスイッチ12を設けている。
【0046】
第2の実施形態に係る電力量計によれば、カバー凸部40がカバー当接部52に当接し、カバー当接部52を押す。スイッチプッシュ部51aは、カバー凸部40の押圧により移動しスイッチ12をプッシュしてスイッチ12を閉動作させる。ばね53は、カバー凸部40の押圧により圧縮する。
【0047】
ばね53は、カバー4が計量装置1から取り外されたとき、伸長してスイッチプッシュ部51aを移動させてスイッチ12を開動作させる。従って、計量装置に設けた検出スイッチとカバーに設けたスイッチプッシュ部の位置が正規の位置ではなく、ずれたとしてもカバーの開閉を検出することができ、構造が判明されにくく、セキュリティも向上する。
【0048】
また、ばね通し部とスイッチプッシュ部とを一体化したスイッチプッシュ部51aを用いたので、押し部品の構成が簡単になり、安価となる。
【0049】
なお、押し部品5として、
図9や
図13の形状の押し部品5を示したが、これらは一例である。押し部品5は、これらの形状に限定されることなく、スイッチ12に当接する形状であればよい。
【符号の説明】
【0050】
1 計量装置
1a 計量装置ケース
1b 計量装置ベース
1c 切欠部
1d,1e 穴部
2 通信装置
3 端子ブロック
4 カバー
5 押し部品
6 計器ベース
6a 凹部
11 基板
12 スイッチ
40,41 カバー凸部
51 スイッチプッシュ部
52 カバー当接部
53 ばね
54 ばね通し部
55 スナップフィット