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特開2023-114044土留工設計装置、土留工設計システム、および土留工設計プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114044
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】土留工設計装置、土留工設計システム、および土留工設計プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/20 20200101AFI20230809BHJP
   G06F 30/13 20200101ALI20230809BHJP
   E02D 17/00 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
G06F30/20
G06F30/13
E02D17/00
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016122
(22)【出願日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】594058333
【氏名又は名称】川田テクノシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168952
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 壮一郎
(72)【発明者】
【氏名】江口 洋介
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146DC06
5B146DG01
5B146DJ01
5B146DJ14
5B146EA01
(57)【要約】
【課題】土留構造物モデルの正当性を判定して結果を出力すること。
【解決手段】
土留工設計装置100は、土留構造物の設計データに基づいて作成されたデータファイルに基づいて設計計算を行う設計計算手段と、設計計算手段による設計計算結果に基づいて土留構造物モデルの正当性を判定する判定手段と、判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土留構造物の設計データに基づいて作成されたデータファイルに基づいて設計計算を行う設計計算手段と、
前記設計計算手段による設計計算結果に基づいて土留構造物モデルの正当性を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えることを特徴とする土留工設計装置。
【請求項2】
請求項1に記載の土留工設計装置において、
前記設計計算手段は、前記データファイルに含まれる掘削深さに基づいて慣用法を用いて設計計算を行うか弾塑性法を用いて設計計算を行うかを決定することを特徴とする土留工設計装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の土留工設計装置において、
前記判定手段は、前記設計計算手段による設計計算結果に基づいて、土留構造物の応力度及び変位が許容値以下の場合は判定結果をOKと判定し、土留構造物の応力度又は変位が許容値よりも大きい場合は判定結果をNGと判定することを特徴とする土留工設計装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の土留工設計装置において、
前記設計データの編集を受け付ける編集受付手段をさらに備えることを特徴とする土留工設計装置。
【請求項5】
請求項4に記載の土留工設計装置において、
前記編集受付手段によって編集を受け付けた後の設計データを前記データファイルに反映させる反映手段をさらに備えることを特徴とする土留工設計装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の土留工設計装置において、
前記設計計算手段は、前記編集受付手段によって編集を受け付けた後の設計データに基づいて再度設計計算を行うことを特徴とする土留工設計装置。
【請求項7】
土留構造物の設計データに基づいて作成されたデータファイルに基づいて設計計算を行う設計計算手段と、
前記設計計算手段による設計計算結果に基づいて土留構造物モデルの正当性を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えることを特徴とする土留工設計システム。
【請求項8】
請求項7に記載の土留工設計システムにおいて、
前記設計計算手段は、前記データファイルに含まれる掘削深さに基づいて慣用法を用いて設計計算を行うか弾塑性法を用いて設計計算を行うかを決定することを特徴とする土留工設計システム。
【請求項9】
請求項7または8に記載の土留工設計システムにおいて、
前記判定手段は、前記設計計算手段による設計計算結果に基づいて、土留構造物の応力度及び変位が許容値以下の場合は判定結果をOKと判定し、土留構造物の応力度又は変位が許容値よりも大きい場合は判定結果をNGと判定することを特徴とする土留工設計システム。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか一項に記載の土留工設計システムにおいて、
前記設計データの編集を受け付ける編集受付手段をさらに備えることを特徴とする土留工設計システム。
【請求項11】
請求項10に記載の土留工設計システムにおいて、
前記編集受付手段によって編集を受け付けた後の設計データを前記データファイルに反映させる反映手段をさらに備えることを特徴とする土留工設計システム。
【請求項12】
請求項10または11に記載の土留工設計システムにおいて、
前記設計計算手段は、前記編集受付手段によって編集を受け付けた後の設計データに基づいて再度設計計算を行うことを特徴とする土留工設計システム。
【請求項13】
土留構造物の設計データに基づいて作成されたデータファイルに基づいて設計計算を行う設計計算手順と、
前記設計計算手順による設計計算結果に基づいて土留構造物モデルの正当性を判定する判定手順と、
前記判定手順による判定結果を出力する出力手順とをコンピュータに実行させるための土留工設計プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載の土留工設計プログラムにおいて、
前記設計計算手順は、前記データファイルに含まれる掘削深さに基づいて慣用法を用いて設計計算を行うか弾塑性法を用いて設計計算を行うかを決定することを特徴とする土留工設計プログラム。
【請求項15】
請求項13または14に記載の土留工設計プログラムにおいて、
前記判定手順は、前記設計計算手順による設計計算結果に基づいて、土留構造物の応力度及び変位が許容値以下の場合は判定結果をOKと判定し、土留構造物の応力度又は変位が許容値よりも大きい場合は判定結果をNGと判定することを特徴とする土留工設計プログラム。
【請求項16】
請求項13~15のいずれか一項に記載の土留工設計プログラムにおいて、
前記設計データの編集を受け付ける編集受付手順をさらに有することを特徴とする土留工設計プログラム。
【請求項17】
請求項16に記載の土留工設計プログラムにおいて、
前記編集受付手順によって編集を受け付けた後の設計データを前記データファイルに反映させる反映手順をさらに有することを特徴とする土留工設計プログラム。
【請求項18】
請求項16または17に記載の土留工設計プログラムにおいて、
前記設計計算手順は、前記編集受付手順で編集を受け付けた後の設計データに基づいて再度設計計算を行うことを特徴とする土留工設計プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土留工設計装置、土留工設計システム、および土留工設計プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
次のような掘削工事の3次元表示装置が知られている。この掘削工事の3次元表示装置では、掘削工事作業の前後関係を判断して、掘削領域の各工程毎の完成形状を自動的に生成して表示する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-249929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
土工掘削工事においては、土留工を施す際に掘削法面に土留構造物を設置する必要がある。このとき、土留構造物の3次元モデルに対して事前に設計計算を行って強度などの正当性を判定するための技術が求められるが、従来はそのような方法については何ら検討されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による土留工設計装置は、土留構造物の設計データに基づいて作成されたデータファイルに基づいて設計計算を行う設計計算手段と、設計計算手段による設計計算結果に基づいて土留構造物モデルの正当性を判定する判定手段と、判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
本発明による土留工設計システムは、土留構造物の設計データに基づいて作成されたデータファイルに基づいて設計計算を行う設計計算手段と、設計計算手段による設計計算結果に基づいて土留構造物モデルの正当性を判定する判定手段と、判定手段による判定結果を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
本発明による土留工設計プログラムは、土留構造物の設計データに基づいて作成されたデータファイルに基づいて設計計算を行う設計計算手順と、設計計算手順による設計計算結果に基づいて土留構造物モデルの正当性を判定する判定手順と、判定手順による判定結果を出力する出力手順とをコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、土留構造物モデルに対して設計計算を行って、その正当性を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】土留工設計装置100の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
図2】土留構造物のモデル化例を示す図である。
図3】データファイルの具体例を模式的に示した図である。
図4】設計計算書の一例を模式的に示した図である。
図5】設計計算結果の表示例を模式的に示す図である。
図6】第1の実施の形態における土留工設計装置100で実行される設計計算処理の流れを示すフローチャート図である。
図7】第2の実施の形態における土留工設計装置100で実行される設計計算処理の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
―第1の実施の形態―
図1は、本実施の形態における土留工設計装置100の一実施の形態の構成を示すブロック図である。土留工設計装置100としては、例えば、サーバ装置やパソコン等が用いられ、図1は、土留工設計装置100としてパソコンを用いた場合の一実施の形態の構成を示している。土留工設計装置100は、操作部材101と、制御装置102と、記録装置103と、表示装置104とを備えている。
【0009】
操作部材101は、土留工設計装置100の操作者によって操作される種々の装置、例えばキーボードやマウスを含む。
【0010】
制御装置102は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路によって構成され、土留工設計装置100の全体を制御する。なお、制御装置102を構成するメモリは、例えばSDRAM等の揮発性のメモリである。このメモリは、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリや、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。
【0011】
記録装置103は、土留工設計装置100が蓄える種々のデータや、制御装置102が実行するためのプログラムのデータ等を記録するための記憶媒体で構成される記録装置であり、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等が用いられる。なお、記録装置103に記録されるプログラムのデータは、CD-ROMやDVD-ROMなどの記録媒体に記録されて提供されたり、ネットワークを介して提供されたりし、操作者が取得したプログラムのデータを記録装置103にインストールすることによって、制御装置102がプログラムを実行できるようになる。
【0012】
表示装置104は、例えば液晶ディスプレイなどであって、制御装置102によって出力された表示用データを表示するための装置である。
【0013】
本実施の形態における土留工設計装置100は、モデル化された土留構造物に基づいて設計計算を行い、土留構造物の断面力と変異が許容値以下であるかどうかを判定することにより、土留構造物モデルの正当性を判定するための機能を提供する。すなわち、掘削範囲に設置する土留構造物は、断面力や変異が所定の閾値よりも大きい場合は、強度に問題がある可能性があるため、土留構造物が十分な強度を有しているかを判定する必要がある。このため、本実施の形態における土留工設計装置100を用いることにより、モデル化された土留構造物に基づいて設計計算を行うことによって土留構造物の断面力と変異が許容値以下であるかどうかを判定して、土留構造物モデルの正当性を判定することができる。以下、土留工設計装置100において制御装置102によって実行される処理について説明する。
【0014】
本実施の形態では、土留工設計装置100には、土留構造物を3次元モデル化するためのモデリングシステム用のプログラムと、モデリングシステムでモデル化された土留構造物に基づいて設計計算を行うための設計計算システム用のプログラムがインストールされている。
【0015】
土留構造物の設計データはモデリングシステムに入力され、モデリングシステムによって、設計計算システムで使用するデータファイルが生成される。土留構造物としては、例えば土留壁、腹起し、切梁、火打ち、または中間杭などが想定され、本実施の形態では、例えばこれらの土留構造物を図2に示すようにモデル化する場合を想定する。この場合、モデリングシステムに入力される土留構造物の設計データは以下のようになる。
・掘削範囲
掘削平面(縦×横):5.0m×10.0m
掘削深さ:4.6m
・土留壁
鋼材:鋼矢板 SP-3型
部材長:8.2m
根入れ長:3.4m
・支保工 1段目
設置位置:2.5m
腹起し
鋼材:H300×300
切梁
設置間隔:5.0m
鋼材:H300×300
火打ち
設置間隔:1.5m
鋼材:H250×250
【0016】
制御装置102は、入力された土留構造物の設計データに基づいて、図3に示すようなデータファイルを作成する。なお、図3は、モデリングシステムで作成されるデータファイルを模式的に示した図である。
【0017】
モデリングシステムで作成されたデータファイルは記録装置103に記録され、制御装置102は、設計計算システムを起動して、モデリングシステムで生成されたデータファイルを読み込んで設計計算処理を実行する。以下、制御装置102によって実行される設計計算処理について説明する。
【0018】
制御装置102は、モデリングシステムで生成されたデータファイルを読み込んで、公知の慣用法や弾塑性法の手法を用いて設計計算を行う。なお、本実施の形態では、制御装置102は、画面が表示されないモードで設計計算システムを起動し、該設計計算システムによる処理によって、モデリングシステムで生成されたデータファイルに基づいて土留構造物の設計計算を行う。慣用法や弾塑性法は公知のため詳細な説明は省略するが、慣用法は、土留壁を支保工と仮想支点に支持された単純梁と考え、見かけの土圧を載荷し、断面力、変位を求める方法である。また、弾塑性法は、土留壁を支保工のばね支点、地盤のばねに支持された連続梁と考え、主動土圧を載荷し、受動側の地盤に塑性領域を考慮して、断面力、変位を求める方法である。
【0019】
本実施の形態では、制御装置102は、データファイルに含まれる掘削深さに基づいて慣用法を用いて設計計算を行うか弾塑性法を用いて設計計算を行うかを決定する。本実施の形態では、制御装置102は、例えば、掘削深さが10m未満の場合は慣用法を用いて設計計算を行い、掘削深さが10m以上の場合は弾塑性法を用いて設計計算を行う。
【0020】
制御装置102は、慣用法または弾塑性法を用いて行った設計計算の結果に基づいて、土留構造物モデルの正当性を判定する。本実施の形態では、制御装置102は、土留構造物の断面力(応力度)及び変位が許容値以下の場合は判定結果をOKとし、土留構造物の断面力(応力度)又は変位が許容値よりも大きい場合は判定結果をNGとする。なお、判定に用いる許容値はあらかじめ設定されており、例えば、変位の許容値は掘削深さの3%とし、応力度の許容値は、矢板式で鋼矢板使用時は270N/mm2とし、矢板式で軽量鋼矢板使用時は210N/mm2とし、親杭式の場合は210N/mm2とし、SMWの場合は210N/mm2とする。
【0021】
制御装置102は、設計計算が完了すると設計計算の結果が記載された設計計算書を出力する。設計計算書の出力項目には、例えば、設計条件、安定計算結果、断面計算結果、応力度の計算結果、変位の計算結果(自立式)、変位の計算結果(切ばり式)、安定計算一覧表、断面計算一覧表の各項目が含まれる。図4は、制御装置102によって出力される設計計算書の一例を模式的に示した図である。
【0022】
また、制御装置102は、出力した設計計算書を記録した設計計算データファイルを記録装置103に記録する。そして、制御装置102は、設計計算システムを終了する。
【0023】
制御装置102は、記録装置103に記録した設計計算データファイルをモデリングシステムに読み込んで、モデリングシステムは、設計計算データファイルを開いて設計計算結果を表示装置104に表示する。これによって、土留工設計装置100は画面上で設計計算結果を確認することができる。
【0024】
図5は、設計計算結果の表示例を模式的に示す図である。制御装置102は、図5(A)に示すように、応力度照査、すなわち上述した設計計算結果に基づく判定結果5aを表示する。なお、図5(A)に示す例では、判定結果がOKの場合は〇が表示され、NGの場合は×が表示されている。制御装置102は、使用者によって判定結果5aがクリックされると、図5(B)に示すように、クリックされた判定結果に応じた設計計算書を表示装置104に表示する。
【0025】
また、使用者は、設計データを修正した場合には、再計算を行いたい項目のチェック欄5bにチェックを入れてチェックボタン5cをクリックすることにより、設計計算の再実行を指示することができる。制御装置102は、チェックボタン5cがクリックされたことを検出した場合には、チェック欄5bにチェックが入れられたデータを対象として設計計算システムで上述し設計計算処理を実行して結果を出力する。
【0026】
図6は、第1の形態における土留工設計装置100で実行される設計計算処理の流れを示すフローチャートである。図6に示す処理は、上述したように、設計計算結果を記録した設計計算データファイルが記録装置103に記録された状態で、制御装置102が上述した設計計算システム用のプログラムを実行することにより、設計計算システムを画面が表示されないモードで起動することによって実行される。
【0027】
ステップS10において、制御装置102は、モデリングシステムで生成されたデータファイルを読み込む。その後、ステップS20へ進む。
【0028】
ステップS20では、制御装置102は、上述したように、公知の慣用法や弾塑性法の手法を用いて設計計算を行う。このとき、制御装置102は、掘削深さが10m未満の場合は慣用法を用いて設計計算を行い、掘削深さが10m以上の場合は弾塑性法を用いて設計計算を行う。その後、ステップS30へ進む。
【0029】
ステップS30では、制御装置102は、上述したように、ステップS20における設計計算の結果に基づいて、土留構造物モデルの正当性を判定する。その後、ステップS40へ進む。
【0030】
ステップS40では、上述したように、設計計算の結果が記載された設計計算書を出力する。その後、ステップS50へ進む。
【0031】
ステップS50では、制御装置102は、上述したように、設計計算書を記録した設計計算データファイルを記録装置103に記録する。その後、処理を終了する。
【0032】
以上説明した第1の実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)制御装置102は、土留構造物の設計データに基づいて作成されたデータファイルに基づいて設計計算を行い、設計計算結果に基づいて土留構造物モデルの正当性を判定し、判定結果を出力するようにした。これによって、土留構造物の3次元モデルに対して設計計算を行って、その正当性を判定することができる。
【0033】
(2)制御装置102は、データファイルに含まれる掘削深さに基づいて慣用法を用いて設計計算を行うか弾塑性法を用いて設計計算を行うかを決定するようにした。これによって、掘削深さに基づく適切な方法で設計計算を行うことができる。
【0034】
(3)制御装置102は、設計計算結果に基づいて、土留構造物の応力度及び変位が許容値以下の場合は判定結果をOKと判定し、土留構造物の応力度又は変位が許容値よりも大きい場合は判定結果をNGと判定するようにした。これによって、土留構造物の断面力(応力度)と変位に基づいて、精度高く土留構造物モデルの正当性を判定することができる。
【0035】
―第2の実施の形態―
上述した第1の実施の形態では、制御装置102は、設計計算システムを画面が表示されないモードで起動して、モデリングシステムでモデル化された土留構造物に基づいて設計計算を行う例について説明した。これに対して、第2の実施の形態では、制御装置102は、設計計算システムを画面が表示されるモードで起動して、使用者が設計システムを操作して土留構造物の設計データを改変しながら設計計算を行うことができる方法について説明する。なお、第2の実施の形態においては、第1の実施の形態で上述した図1図5については、第1の実施の形態と同様のため説明を省略する。
【0036】
第2の実施の形態では、制御装置102は、画面が表示されるモードで設計計算システムを起動する。そして、制御装置102は、画面上にモデリングシステムで生成されたデータファイルを表示して、使用者による設計データの編集を受け付ける。制御装置102は、使用者によって設計データが編集された場合には、修正後の設計データに基づいて、上述した第1の実施の形態と同様に公知の慣用法や弾塑性法の手法を用いて設計計算を行う。そして、制御装置102は、上述した第1の実施の形態と同様に、慣用法または弾塑性法を用いて行った設計計算の結果に基づいて土留構造物モデルの正当性を判定する。
【0037】
制御装置102は、設計計算が完了すると図4に示したような設計計算の結果が記載された設計計算書、および使用者によって編集された設計データを出力する。また、制御装置102は、設計計算書を記録した設計計算データファイルと使用者によって編集された設計データを記録した編集データファイルを記録装置103に記録する。そして、制御装置102は、設計計算システムを終了する。
【0038】
制御装置102は、記録装置103に記録した設計計算データファイルと編集データファイルをモデリングシステムに読み込む。モデリングシステムでは、制御装置102は、設計計算データファイルと編集データファイルを開いてこれらの内容を表示装置104に表示する。これによって、土留工設計装置100は画面上で設計計算結果と使用者によって編集された設計データの内容を確認することができる。
【0039】
また、制御装置102は、記録装置103に記録した編集データファイルを開いて、編集後のデータを上述した設計データのデータファイルに反映する。これによって、使用者による設計データの編集結果をモデリングシステムで生成されたデータファイルに反映させることができるため、例えば、土留構造物モデルの正当性の判定結果がNGの場合に、設計計算上、問題が発生しないように設計計算システムでモデリングデータ、すなわちモデリングシステムでモデル化された設計データを修正することができる。
【0040】
図7は、第2の形態における土留工設計装置100で実行される設計計算処理の流れを示すフローチャートである。図7に示す処理は、上述したように、設計計算結果を記録した設計計算データファイルが記録装置103に記録された状態で、制御装置102が上述した設計計算システム用のプログラムを実行することにより、設計計算システムを画面が表示されるモードで起動することによって実行される。なお、図7では、第1の実施の形態で示した図6と同様の処理については同じステップ番号を付与して説明を省略し、ここでは図6との相違点を中心に説明する。
【0041】
ステップS41では、上述したように、制御装置102は、設計計算が完了すると図4に示したような設計計算の結果が記載された設計計算書、および使用者によって編集された設計データを出力する。その後、ステップS51へ進む。
【0042】
ステップS51では、制御装置102は、上述したように、設計計算書を記録した設計計算データファイルと使用者によって編集された設計データを記録した編集データファイルを記録装置103に記録する。その後、処理を終了する。
【0043】
以上説明した第2の実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)制御装置102は、設計データの編集を受け付けるようにした。これによって、使用者は、土留構造物モデルの正当性がOKとなるように設計データを修正することができる。
【0044】
(2)制御装置102は、使用者から編集を受け付けた後の設計データをデータファイルに反映させるようにした。これによって使用者によって編集された設計データをデータファイルに反映させることができる。
【0045】
(3)制御装置102は、編集後の設計データが反映されたデータファイルに基づいて再度設計計算を行うようにした。これによって使用者によって編集された設計データを反映させたデータファイルに基づいて設計計算を行って土留構造物モデルの正当性を再度判定することができる。
【0046】
―変形例―
なお、上述した実施の形態の土留工設計装置100は、以下のように変形することもできる。
【0047】
(1)上述した第1及び第2の実施の形態では、土留工設計装置100としては、例えば、サーバ装置やパソコン等が用いられる例について説明した。しかしながら、上述した処理を実行することができる装置であれば、サーバ装置やパソコンには限定されない。
【0048】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。また、上述の実施の形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0049】
100 土留工設計装置
101 操作部材
102 制御装置
103 記録装置
104 表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7