IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社カーメイトの特許一覧

特開2023-114054C型チャンネル用取付ナットのスペーサー
<>
  • 特開-C型チャンネル用取付ナットのスペーサー 図1
  • 特開-C型チャンネル用取付ナットのスペーサー 図2
  • 特開-C型チャンネル用取付ナットのスペーサー 図3
  • 特開-C型チャンネル用取付ナットのスペーサー 図4
  • 特開-C型チャンネル用取付ナットのスペーサー 図5
  • 特開-C型チャンネル用取付ナットのスペーサー 図6
  • 特開-C型チャンネル用取付ナットのスペーサー 図7
  • 特開-C型チャンネル用取付ナットのスペーサー 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114054
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】C型チャンネル用取付ナットのスペーサー
(51)【国際特許分類】
   F16B 37/04 20060101AFI20230809BHJP
   F16B 43/00 20060101ALI20230809BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
F16B37/04 K
F16B43/00 Z
F16B37/04 W
F16B5/10 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016144
(22)【出願日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】田中 晃渡
【テーマコード(参考)】
3J001
3J034
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GC07
3J001GC14
3J001JA04
3J001JD18
3J001KA12
3J001KA13
3J001KB03
3J001KB04
3J034AA08
3J034BA11
3J034EA05
(57)【要約】
【課題】C型チャンネルの任意位置で取付ナットを位置決めする作業を簡便に行えるC型チャンネル用取付ナットのスペーサーを提供する。
【解決手段】本発明のC型チャンネル用取付ナットのスペーサー10は、C型チャンネルの開口から内部に挿入して、締結孔2を開口と重なるように配置する取付ナット本体1の背面とC型チャンネルのリップと対向する内面の隙間を埋める保持部20を有し、
前記保持部20は、前記取付ナット本体1の背面に接触し、前記締結孔2と前記開口が重なるように配置したときに前記内面に接触して、前記取付ナット本体1の背面から前記リップに向けて押し当てて前記開口の任意位置で位置決めできる弾性力を有することを特徴している。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
C型チャンネルの開口から内部に挿入して、締結孔を前記開口と重なるように配置する取付ナット本体の背面と前記C型チャンネルのリップと対向する内面の隙間を埋める保持部を有し、
前記保持部は、前記取付ナット本体の背面に接触し、前記締結孔と前記開口が重なるように配置したときに前記内面に接触して、前記取付ナット本体の背面から前記リップに向けて押し当てて前記開口の任意位置で位置決めできる弾性力を有することを特徴とするC型チャンネル用取付ナットのスペーサー。
【請求項2】
請求項1に記載されたC型チャンネル用取付ナットのスペーサーであって、
前記取付ナット本体の背面に接触して前記保持部を前記取付ナット本体の背面に固定する取付部を備えたことを特徴とするC型チャンネル用取付ナットのスペーサー。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたC型チャンネル用取付ナットのスペーサーであって、
前記保持部は前記締結孔に螺合するボルトの先端が貫通する逃げ孔を備えたことを特徴とするC型チャンネル用取付ナットのスペーサー。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載されたC型チャンネル用取付ナットのスペーサーであって、
前記保持部は、前記取付ナット本体の両側面から背面を跨ぐように凸状に延出する樹脂部材であることを特徴とするC型チャンネル用取付ナットのスペーサー。
【請求項5】
請求項1に記載されたC型チャンネル用取付ナットのスペーサーであって、
前記保持部は、前記取付けナット本体の背面側の締結孔の外周を囲むように取り付けて前記締結孔に対して直交する方向に伸縮するコイルバネであることを特徴とするC型チャンネル用取付ナットのスペーサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型チャンネルの開口の任意位置に取付ナットを位置決めすることができるC型チャンネル用取付ナットのスペーサーに関する。
【背景技術】
【0002】
C型チャンネルは断面形状がC字形のアルミチャンネルの立ち上がり部分をさらに互いに接近するように90度折り曲げた形状(以下、90度折り曲げた部分をリップという)である。このようなC型チャンネルは、機械部品や建材などに利用されている。一つの利用例として、C型チャンネルの開口(スリットともいう)から内部へ締結孔を備えた取付ナットを挿入して、締結孔が開口と重なるように取付ナットを配置し、任意の取付位置でナットに締結ボルトを螺合して種々の物品を固定する用途がある。従来、取付ナットは、C型チャンネルの両端から挿入、又はリップの一部を切り欠いて拡張した開口部分から内部へ挿入して長手方向に沿ってスライドして取り付けていた。
【0003】
その際、C型チャンネルの開口から挿入できる取付ナットは厚みが薄く、任意位置で位置決めできてもナットの背面側に隙間が生じているため保持又は仮置きすることができなかった。
そこで特許文献1に開示のフレキシブルナットは、ナットの一側面から背面に延びる板バネを付設して、板バネがナット両側をリップに押圧してその弾性で任意の位置に保持している。
しかしながら特許文献1に開示の技術では、ナットと同種となる金属性の板バネを用いて板バネ付きの取付ナットを新たに製作しなければならず既存の取付ナットに適用することはできない。
また板バネ付きの取付ナットは、その板バネの弾性が作用する範囲のC型チャンネルしか適用できず、C型チャンネルの選択に制限がある。
またC型チャンネル内でナットをリップ側に押し付ける板バネの弾性の調整が難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61-198718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、C型チャンネルの任意位置で取付ナットを位置決めする作業を簡便に行えるC型チャンネル用取付ナットのスペーサーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、C型チャンネルの開口から内部に挿入して、締結孔を前記開口と重なるように配置する取付ナット本体の背面と前記C型チャンネルのリップと対向する内面の隙間を埋める保持部を有し、
前記保持部は、前記取付けナット本体の背面に接触し、前記締結孔と前記開口が重なるように配置したときに前記内面に接触して、前記取付ナット本体の背面から前記リップに向けて押し当てて前記開口の任意位置で位置決めできる弾性力を有することを特徴とするC型チャンネル用取付ナットのスペーサーを提供することにある。
上記第1の手段によれば、既存のC型チャンネル用の取付ナットを利用してC型チャンネルの任意位置で取付ナットを位置決めする作業を簡便に行える。
また、保持部の弾性力が異なる複数のスペーサーを用意すれば、C型チャンネルの選択の自由度を高めることができる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、第1の手段において、前記取付ナット本体の背面に接触して前記保持部を前記取付ナット本体の背面に固定する取付部を備えたことを特徴とするC型チャンネル用取付ナットのスペーサーを提供することにある。
上記第2の手段によれば、新たにスペーサー用の取付ナットを用意する必要がなく既存の取付ナットに適用できる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、第1又は第2の手段において、前記保持部は前記締結孔に螺合するボルトの先端が貫通する逃げ孔を備えたことを特徴とするC型チャンネル用取付ナットのスペーサーを提供することにある。
上記第3の手段によれば、リップと対向する面に断面視で凸形に締結ボルトの逃げスペースを設けた形状のC型チャンネルに取り付ける際に締結ボルトの先端が逃げ孔を貫通して、長尺の締結ボルトにも適用できる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するための第4の手段として、第1ないし第3のいずれか1の手段であって、前記保持部は、前記取付ナット本体の両側面から背面を跨ぐように凸状に延出する樹脂部材であることを特徴とするC型チャンネル用取付ナットのスペーサーを提供することにある。
上記第4の手段によれば、C型チャンネルの金属部材に対して滑り易く取付ナットの位置決めの際に容易に移動できる。また位置決めの摺動の際にチャンネル内部を傷つけることがない。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための第5の手段として、第1の手段であって、前記保持部は、前記取付けナット本体の背面側の締結孔の外周を囲むように取り付けて前記締結孔に対して直交する方向に伸縮するコイルバネであることを特徴とするC型チャンネル用取付ナットのスペーサーを提供することにある。
上記第5の手段によれば、安価かつ簡易なコイルバネの構成でC型チャンネル用取付ナットのスペーサーの保持部を形成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、既存のC型チャンネル用取付ナットを利用してC型チャンネルの任意位置で取付ナットを位置決めする作業を簡便に行える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のC型チャンネル用取付ナットのスペーサーの分解斜視図である。
図2】本発明のC型チャンネル用取付ナットのスペーサーを用いたC型チャンネルの位置決め方法の説明図である。
図3】逃げ孔を有するC型チャンネル用取付ナットのスペーサーの分解斜視図である。
図4】逃げ孔を有するC型チャンネル用取付ナットのスペーサーを用いた位置決め方法の説明図である。
図5】複数の保持部を有するC型チャンネル用取付ナットのスペーサーの分解斜視図である。
図6】複数の締結孔の間に取り付けるC型チャンネル用取付ナットのスペーサーの分解斜視図である。
図7】保持部がコイルバネのC型チャンネル用取付ナットのスペーサーの分解斜視図である。
図8】C型チャンネルの内部で本発明のC型チャンネル用取付ナットのスペーサーが摺動する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のC型チャンネル用取付ナットのスペーサーの実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
図1は本発明のC型チャンネル用取付ナットのスペーサーの分解斜視図である。図2は本発明のC型チャンネル用取付ナットのスペーサーを用いたC型チャンネルの位置決め方法の説明図である。図3は逃げ孔を有するC型チャンネル用取付ナットのスペーサーの分解斜視図である。図4は逃げ孔を有するC型チャンネル用取付ナットのスペーサーを用いた位置決め方法の説明図である。
【0014】
本発明のC型チャンネル用取付ナットのスペーサー10の取付対象となる取付ナット本体1は、プレートに孔をあけて、その孔の縁を円筒状に伸ばすバーリング加工を施し、ついで円筒内をねじ切り加工した締結孔2を備えたナットプレートである。本実施形態の取付ナット本体1は、主面に対して凸状の締結孔2が形成された一方の主面を背面とし(図1参照)、凸状の締結孔2が形成されずC型チャンネル5のリップ6と対向する面となる平面状の他方の主面を表面とする(図2参照)。この表面はC型チャンネルの取り付け時にリップと接して開口から見える面である。この他、プレートの孔の周囲にナットを溶接したナットプレートなどC型チャンネルの開口7に挿入できる厚みのナットプレートである。このような形状の取付ナット本体1は、材質に所定強度を備えた金属部材、プラスチック樹脂材などを適用することができる。
【0015】
C型チャンネル5は断面形状がC字形のアルミチャンネルの立ち上がり部分をさらに互いに接近するように90度折り曲げた形状(図2参照)のほか、リップ6と対向する面に断面視で凸形に締結ボルト先端の逃げスペースを設けた形状である(図4参照)。
【0016】
[C型チャンネル用取付ナットのスペーサー10]
図1に示すように本発明のC型チャンネル用取付ナットのスペーサー10は(以下、単にスペーサーということあり)、C型チャンネル5の開口7から内部に挿入して、締結孔2を開口7と重なるように配置する取付ナット本体1の背面とC型チャンネル5のリップ6と対向する内面の隙間を埋める保持部20を有し、
保持部20は、取付ナット本体1の背面に接触し、締結孔2と開口7が重なるように配置したときに内面に接触して、取付ナット本体1の背面からリップ6に向けて押し当てて開口7の任意位置で位置決めできる弾性力を有している。
また、取付ナット本体1の背面に接触して保持部20を固定する取付部30を備えている。
図1に示すC型チャンネル用取付ナットのスペーサー10は材質に樹脂部材を用いている。樹脂部材は一例として、所定の強度を備えたナイロン、ポリプロピレンなどで良い。
保持部20は、取付ナット本体1の長手方向の両側面側から背面を跨ぐように凸状に延出する樹脂部材であり、図1に示す保持部20は、取付ナット本体1の両側面側から締結孔2を跨ぐように半円状に延出している。また保持部20はC型チャンネル5内に配置したときに半円状の頂点がC型チャンネル5のリップ6と対向する内面に接触して、取付ナット本体1の背面からリップ6に向けて取付ナット本体1を押し当てる弾力性を有するように半円の大きさを設定している。この他保持部20の形状は半円状以外の多角形状、楕円形状、弧状など前述の弾力性を有する形状であれば良い。
【0017】
取付部30は取付ナット本体1の背面に接触して保持部20を取付ナット本体1の背面に固定する部材である。図1に示す取付部30は取付ナット本体1とほぼ同じ大きさのプレートに凸状の締結孔2が嵌る孔32を有し、保持部20と同種の樹脂を用いた部材である。なお、取付ナット本体1に取り付ける取付部30の形態はこれに限らず、凹凸部材又は雌雄部材の嵌め合い構造、金属製の取付ナット本体のアウトサート成形などを適用することができる。
なお保持部の弾性力は例えば、凸状の大きさを変えたり、樹脂の厚み、換言すると硬さを変えたりすることによって任意に設定変更できる。弾性力の異なる複数のスペーサーをあらかじめ用意することで取付対象となるC型チャンネルの選択の自由度を高めることができる。
【0018】
[C型チャンネル用取付ナットの位置決め方法]
上記構成によるC型チャンネル用取付ナットのスペーサー10を用いた位置決め方法について、以下説明する(図2参照)。
(ステップ1)
取付ナット本体1に取り付けたC型チャンネル用取付ナットのスペーサー10のいずれか1方の長手方向の側面をC型チャンネル5の開口7に挿入する。このとき挿入する長手方向の側面はどちらでも良い。
(ステップ2)
開口に挿入する際、所定の弾性力を有する保持部20が歪んで変形して取付ナット本体1及びスペーサー10を挿入できる。取付ナット本体1に取り付けたC型チャンネル用取付ナットのスペーサー10がC型チャンネルの内部に挿入されたら、ナットの表面(スペーサーを取り付けていない面)がC型チャンネル5のリップ6側に向くように90度回転させる。このとき半円状の保持部20の形態によりC型チャンネル5の内部で引っ掛かることなく容易に回転することができる。
(ステップ3)
取付ナット本体1の締結孔2と開口7が重なる、換言すると開口7から締結孔2が見えるように重ねる。
図8はC型チャンネルの内部で本発明のC型チャンネル用取付ナットのスペーサーが摺動する説明図である。図示のようにC型チャンネル5の任意の取付位置に移動させる又は位置合わせする際は、C型チャンネル5の金属部材に対して樹脂製の保持部20により滑りやすく容易に摺動して任意の位置に位置決めできる。また位置決めの摺動の際にチャンネル内部を傷つけることがない。
【0019】
[変形例1](逃げ孔)
図3に示すC型チャンネル用取付ナットのスペーサー10Aは、C型チャンネル5のリップ6と対向する面に断面視で凸形に締結ボルト先端の逃げスペースを設けた形状のC型チャンネル5Aに取り付けるときに適用できるスペーサーである。その他の構成は図1,2に示す構成と同一である。スペーサー10Aは、保持部20Aに締結孔2に螺合するボルトの先端が貫通する逃げ孔22を備えている。逃げ孔22は取付ナット本体1に取り付けた際に締結孔2と対向する箇所、換言すると凸状の頂点部分に設けた締結ボルトのボルト径とほぼ同じ大きさの孔である。なおC型チャンネル用取付ナットのスペーサー10Aは、図2に示すC型チャンネル5に用いることもできる。
【0020】
上記構成によるC型チャンネル用取付ナットのスペーサー10Aを用いた位置決め方法について、以下説明する(図4参照)。
(ステップ1)
取付ナット本体1に取り付けたC型チャンネル用取付ナットのスペーサー10Aのいずれか1方の長手方向の側面をC型チャンネル5Aの開口7に挿入する。このとき挿入する長手方向の側面はどちらでも良い。
(ステップ2)
開口に挿入する際、所定の弾性力を有する保持部20Aが歪んで変形して取付ナット本体1及びスペーサー10Aを挿入できる。取付ナット本体1に取り付けたC型チャンネル用取付ナットのスペーサー10AがC型チャンネルの内部に挿入されたら、ナットの表面(スペーサーを取り付けていない面)がC型チャンネル5Aのリップ6側に向くように90度回転させる。このとき半円状の保持部20Aの形態によりC型チャンネ5Aの内部で引っ掛かることなく容易に回転することができる。
(ステップ3)
取付ナット本体1の締結孔2と開口7が重なる、換言すると開口7から締結孔2が見えるように重ねる。図8に示すようにC型チャンネル5Aの任意の取付位置に移動させる又は位置合わせする際は、C型チャンネル5Aの金属部材に対して樹脂製の保持部20Aにより滑りやすく容易に摺動して任意の位置に位置決めできる。また位置決めの摺動の際にチャンネル内部を傷つけることがない。締結孔2に締結ボルトを螺合させるとボルト先端が逃げ孔22を貫通してC型チャンネル5Aの凸状の逃げスペースまで達することができる。これにより長尺の締結ボルトにも適用できる。
【0021】
[変形例2](複数の保持部)
図5は複数の保持部を有するC型チャンネル用取付ナットのスペーサーの分解斜視図である。
図5に示すC型チャンネル用取付ナットのスペーサー10Bは、複数の保持部20B(同図では2つ)を取付部30に設けたスペーサーである。2つの保持部20Bは取付ナット本体1の背面側から見て間から締結孔2が見えるように配置している。
このような構成の変形例2のスペーサーによれば、既存のC型チャンネル用取付ナットを利用してC型チャンネルの任意位置で取付ナットを位置決めする作業を簡便に行える。
また2つの保持部20Bの隙間は変形例1の逃げ孔と同様に、締結孔2に締結ボルトを螺合させるとボルト先端が隙間から貫通してC型チャンネルの凸状の逃げスペースまで達することができる。これにより長尺の締結ボルトにも適用できる。
【0022】
[変形例3](複数の締結孔間)
図6は複数の締結孔の間に取り付けるC型チャンネル用取付ナットのスペーサーの分解斜視図である。
図6に示すC型チャンネル用取付ナットのスペーサー10Cの取付対象となる取付ナット本体1Aは、図1に示す取付ナット本体1よりも長尺のプレートに2つの締結孔2を備えた部材である。
この取付ナット本体1Aに取り付けるスペーサー10Cは、2つの締結孔2の間のスペースに取り付けている。具体的には取付部30に凹凸部材又は雌雄の嵌め合い構造を採用している。同図では、取付ナット本体1A側に取付孔34、スペーサー10A側に取付孔34に嵌め合う突起35を備えている。保持部20Cには、締結するボルトの接触を回避するための切り欠きを設けている。
このような構成のスペーサー10Cは図2,4に示す位置決め方法と同様の方法で位置決めすることができる。
このような変形例3のスペーサーによれば、1の取り付け作業により、実質的に複数(同図では2つ)の取付ナットを取り付けることができ、取付作業を迅速に行うことができる。
【0023】
[変形例4](コイルバネ)
図7は保持部がコイルバネのC型チャンネル用取付ナットのスペーサーの分解斜視図である。
図示のように締結孔2の形成時にバーリング加工を施して締結孔2の断面視が凸状に形成された取付けナット本体1の場合、断面視凸状の締結孔2の外周に沿って保持部としてコイルバネ40を嵌め合わせて弾性体を有するC型チャンネル用取付ナットのスペーサー10Dとする構成であっても良い。
このような構成のスペーサー10Dは図2,4に示す位置決め方法と同様の方法で位置決めすることができる。
このような変形例4のスペーサーによれば、安価かつ簡易なコイルバネの構成でC型チャンネル用取付ナットのスペーサーの保持部を形成することができる。
【0024】
このような本発明によれば、既存のC型チャンネル用取付ナットを利用してC型チャンネルの任意位置で取付ナットを位置決めする作業を簡便に行える。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【符号の説明】
【0025】
1,1A 取付ナット本体
2 締結孔
5,5A C型チャンネル
6 リップ
7 開口
10,10A,10B,10C,10D C型チャンネル用取付ナットのスペーサー
20,20A,20B,20C 保持部
22 逃げ孔
30 取付部
32 孔
34 取付孔
35 突起
40 コイルバネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8