(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114089
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】シャワーヘッド
(51)【国際特許分類】
A47K 3/28 20060101AFI20230809BHJP
B05B 1/18 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
A47K3/28
B05B1/18 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016202
(22)【出願日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 壮隆
(72)【発明者】
【氏名】長嶋 友亮
【テーマコード(参考)】
2D132
4F033
【Fターム(参考)】
2D132FA02
2D132FA17
2D132FB02
2D132FC04
2D132FD01
2D132FJ22
2D132FJ26
2D132FJ33
2D132FJ35
4F033AA11
4F033BA04
4F033CA14
4F033DA05
4F033EA01
4F033JA01
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】簡単な操作で微小気泡を含んだシャワーと通常のシャワーとを使い分けられるシャワーヘッドを提供する。
【解決手段】シャワーヘッド1は、第3開口部12c1と第1開口部11dとの間を連結する空洞部11c及び内径部分12aを備えた本体部2と、第1開口部11dに取付けられた散水板4と、散水板4の内側の空洞部11cにワンタッチで脱着可能に配置されたカートリッジ3と、を有している。カートリッジ3には内部を通過する水に微小気泡を発生させる微小気泡発生機構8が備えられている。カートリッジ3を本体部2に取付けたとき微小気泡を含有する水の吐出が可能であり、カートリッジ3を取り外したとき微小気泡を含有しない水の吐出が可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワーヘッドであって、
給水口と吐水口との間を連結する内部空間を備えた本体部と、前記吐水口に取付けられた散水板と、該散水板の内側の前記内部空間にワンタッチで脱着可能に配置されたカートリッジと、を有しており、
該カートリッジには内部を通過する水に微小気泡を発生させる微小気泡発生機構が備えられており、
前記本体部に前記カートリッジを取付けたとき微小気泡を含有する水の吐出が可能であり、
前記本体部から前記カートリッジを取り外したとき微小気泡を含有しない水の吐出が可能であるシャワーヘッド。
【請求項2】
請求項1において、
前記微小気泡発生機構は、前記カートリッジの内部に形成された一端側の入口と他端側の出口との間に円筒状の内筒部を備えたケース部と、該ケース部の前記内筒部の中心軸に対して同軸に重ね合わせた状態で配置された複数の円板状部材と、を有しており、
該円板状部材は板厚方向に水を通す貫通孔が設けられており、
該貫通孔は前記板厚方向に配置された第1貫通孔部と第2貫通孔部とを有し、
前記第1貫通孔部は前記円板状部材の前記板厚方向の一面において前記中心軸を中心として周方向に等間隔で設けられた複数の扇形状の一面側開口が前記円板状部材の前記板厚方向の他面の方向に向かうにつれて前記中心軸を中心に同一回転方向に徐々に回転して前記一面に対して傾斜した孔として形成されており、
前記第2貫通孔部は前記第1貫通孔部の前記他面の方向の他面側開口を連結して前記他面に開口した円環状の孔として形成されており、
前記円板状部材を前記内筒部内に重ね合わせて配置したとき前記貫通孔は連通して前記入口から前記出口までの水の流路を形成しているシャワーヘッド。
【請求項3】
請求項2において、
前記円板状部材には、前記内筒部の中に重ね合わされて配置されたとき、隣り合う前記円板状部材の間の周方向及び径方向への相対移動を止めるために、前記一面に配設されて面外方向に突出する凸部と、前記他面に配設された前記凸部を受け入れて係合可能な凹部と、が形成されているシャワーヘッド。
【請求項4】
請求項3において、前記凸部と前記凹部は、前記円板状部材の中心部及び外周縁部に形成されているシャワーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーヘッドに関する。詳しくは、微小気泡を含有する湯水(以下、「水」と記載する。)を吐出可能なシャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャワーヘッドの中に微小気泡発生機構を配設して、マッサージや洗浄性能の向上のために微小気泡を含有する水をノズルから吐出させるようにしたものが知られている。特許文献1に開示されたシャワーヘッドは、ケース体の開口側から背面側部材、整流板、液流旋回部材、保持部材、中間部材、前面側部材をこの順序で挿入しケース体に組み付けることで形成されている。ケース体の中に液導入路から導入された水は、整流板、液流旋回部材を通ることで旋回流とされ、空気が外部から導入されることによって微細気泡を含んだ渦流が生ずる。この渦流は中間部材を通って渦崩壊を生じ、小径及び高密度の微細気泡となって高密度の微細気泡が含まれたまま前面側部材の液吐出口から外部へ吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、ケース体の中に配設された微小気泡発生機構が、ケース体から容易に脱着できない構成とされている。これによって、同一のシャワーヘッドで微小気泡を含有する水の吐出と、通常の微小気泡を含まない水の吐出と、を簡便な操作で使い分けることが困難であるという問題があった。
【0005】
このような問題に鑑み本発明の課題は、簡単な操作で微小気泡を含んだシャワーと通常のシャワーとを使い分けられるシャワーヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1発明は、シャワーヘッドであって、給水口と吐水口との間を連結する内部空間を備えた本体部と、前記吐水口に取付けられた散水板と、該散水板の内側の前記内部空間にワンタッチで脱着可能に配置されたカートリッジと、を有しており、該カートリッジには内部を通過する水に微小気泡を発生させる微小気泡発生機構が備えられており、前記本体部に前記カートリッジを取付けたとき微小気泡を含有する水の吐出が可能であり、前記本体部から前記カートリッジを取り外したとき微小気泡を含有しない水の吐出が可能であることを特徴とする。
【0007】
第1発明によれば、シャワーヘッドの内部空間にワンタッチでカートリッジを取付け取外しすることで、微小気泡を含んだ水のシャワーと通常の微小気泡を含まない水のシャワーとを使い分けることができる。これによって、機能を高めたシャワーヘッドを提供することができる。
【0008】
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記微小気泡発生機構は、前記カートリッジの内部に形成された一端側の入口と他端側の出口との間に円筒状の内筒部を備えたケース部と、該ケース部の前記内筒部の中心軸に対して同軸に重ね合わせた状態で配置された複数の円板状部材と、を有しており、該円板状部材は板厚方向に水を通す貫通孔が設けられており、該貫通孔は前記板厚方向に配置された第1貫通孔部と第2貫通孔部とを有し、前記第1貫通孔部は前記円板状部材の前記板厚方向の一面において前記中心軸を中心として周方向に等間隔で設けられた複数の扇形状の一面側開口が前記円板状部材の前記板厚方向の他面の方向に向かうにつれて前記中心軸を中心に同一回転方向に徐々に回転して前記一面に対して傾斜した孔として形成されており、前記第2貫通孔部は前記第1貫通孔部の前記他面の方向の他面側開口を連結して前記他面に開口した円環状の孔として形成されており、前記円板状部材を前記内筒部内に重ね合わせて配置したとき前記貫通孔は連通して前記入口から前記出口までの水の流路を形成していることを特徴とする。
【0009】
第2発明によれば、ケース部に重ね合わせて配置された複数の円板状部材の貫通孔の第1貫通孔部は、円板状部材の一面から他面の方向に向かうにつれて扇状の一面側開口が中心軸を中心に同一回転方向に徐々に回転して一面に対して傾斜した孔として形成されている。そして、円板状部材を内筒部内に重ね合わせて配置したとき隣り合う円板状部材の第1貫通孔部と第2貫通孔部は連通して複数の円板状部材の全体として入口から出口までの流路の一部を形成している。これによって、微小気泡発生機構は、内筒部内に同一形状の円板部材を同軸に重ね合わせて配置すれば形成できるので部品種類が少なく内筒部内への組み付けも容易となる。
【0010】
本発明の第3発明は、上記第2発明において、前記円板状部材には、前記内筒部の中に重ね合わされて配置されたとき、隣り合う前記円板状部材の間の周方向及び径方向への相対移動を止めるために前記一面に配設されて面外方向に突出する凸部と、前記他面に配設された前記凸部を受け入れて係合可能な凹部と、が形成されていることを特徴とする。
【0011】
第3発明によれば、複数の円板状部材は、内筒部の中に重ね合わされて配置されたとき、隣り合う円板状部材の凸部と凹部が係合することにより周方向及び径方向への相対移動が止められるので、簡潔な構造で入口から出口までの流路を安定して形成することができる。
【0012】
本発明の第4発明は、上記第3発明において、前記凸部と前記凹部は、前記円板状部材の中心部及び外周縁部に形成されていることを特徴とする。
【0013】
第4発明によれば、第3発明の作用効果に加えて、複数の円板状部材は、隣り合う円板状部材の中心部における凸部と凹部の係合により径方向への相対移動が止められ、隣り合う円板状部材の外周縁部における凸部と凹部の係合により主として周方向への相対移動が止められる。これによって、周方向及び径方向への相対移動がより確実に止められて配置されるので入口から出口までの流路をより安定して形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態であるシャワーヘッドを外側から見た斜視図である。
【
図2】上記実施形態におけるシャワーヘッドの分解斜視図である。
【
図4】上記実施形態における本体部の分解斜視図である。
【
図5】上記実施形態におけるカートリッジの分解斜視図である。
【
図6】カートリッジ内に配置された状態の円板状部材の断面図である。
【
図7】上記実施形態における円板状部材の斜視図である。
【
図8】上記実施形態における円板状部材の平面図である。
【
図10】上記実施形態における円板状部材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係るシャワーヘッド1の構成について、
図1~
図12を用いて説明する。シャワーヘッド1は、浴室において使用者が手で持って使用したり、壁面等に固定された係止具に係止した状態で使用したりするものである。
【0016】
図1~
図3に示すように、シャワーヘッド1は、樹脂製の本体部2と、本体部2の内部に配設されるカートリッジ3と、本体部2に取付けられた散水板4と、を有する。各図において、散水板4から水を吐出する方向をOUTとして矢印で示す。
【0017】
図3及び
図4に示すように、本体部2は、内部に水を通す主体部10と、主体部10のOUT方向の側を覆う前カバー部5と、主体部10のOUT方向と反対の側を覆う後カバー部6と、を有している。
【0018】
主体部10は、OUT方向に開口するカップ状のカップ部11と、カップ部11に対して水を供給するパイプ状の供給管部12と、を有する。カップ部11は、OUT方向から見て略円形の底面部11aと、底面部11aの外周端部からOUT方向に向かって延びる側面部11bと、を有する。底面部11aと側面部11bによって囲まれる領域は略円柱状の空洞部11cとして形成されている。空洞部11cの形状は、カートリッジ3の外形形状に一致するように形成されている。側面部11bにおける、底面部11aと反対側の端部の内径側は円形の第1開口部11dとされている。側面部11bにおける、供給管部12の側には供給管部12の内径部分12aと空洞部11cを連結する第2開口部11eが設けられている。側面部11bにおける、外径部分11fの底面部11aと反対側の端部には、散水板4を取付けるための雄ねじ部11f1が形成されている。供給管部12は、中心軸が湾曲した略円筒状をしており内径部分12aが通水路をなしている。供給管部12の一端部側は、内径部分12aを開閉する開閉機構部12bを介してカップ部11の第2開口部11eに水密状態を保って連結されている。開閉機構部12bには、OUT方向の側に第1キャップ12b1が被せられ、OUT方向と反対の側に第2キャップ12b2が被せられている。第1キャップ12b1をOUT方向と反対の方向に押圧することにより内径部分12aを閉鎖して水を止め、第2キャップ12b2をOUT方向に押圧することにより内径部分12aを開放して水を流すことができるように構成されている。供給管部12の他端部側は、拡径部12cが形成されている。拡径部12cは、一端部側が水栓(図示せず)に連結されたホース(図示せず)の他端部側が水密状態を保って連結される部分である。拡径部12cに設けられた開口部が、第3開口部12c1であり、ここから内径部分12aに水が供給される。これによって、水栓において温度と流量が調節された水が内径部分12aに供給される。ここで、空洞部11cと内径部分12aが、特許請求の範囲の「内部空間」に相当する。また、第1開口部11dと第3開口部12c1が、それぞれ特許請求の範囲の「吐水口」と「給水口」に相当する。
【0019】
前カバー部5は、OUT方向と反対の方向に開口し本体部2のOUT方向の側を覆うような形状の部材で、本体部2に対して取付けられたとき第1開口部11dを露出させる円形の開口5aと、第1キャップ12b1を遊嵌状態で通す丸穴5bと、を有している。後カバー部6は、OUT方向に開口し本体部2のOUT方向と反対の側を覆うような形状の部材で、本体部2に対して取付けられたとき第2キャップ12b2を遊嵌状態で通す丸穴6aを有している。本体部2を中に入れて前カバー部5の開口と後カバー部6の開口とを一致させてビス締め等により取付けたとき、本体部2は第1開口部11dと拡径部12cだけを外部に露出して覆われる。
【0020】
図2、
図3及び
図5に示すように、カートリッジ3は、OUT方向に開口した略円柱カップ状の筐体部7と、筐体部7の中に重ね合わせて配置された6枚の円板状部材20と、を有する。
【0021】
筐体部7は、OUT方向から見て略円形の底壁部7aと、底壁部7aの外周端部からOUT方向に向かって延びる側壁部7bと、を有する。筐体部7は、開口側をOUT方向にした向きでカップ部11の空洞部11cに嵌め込み可能な形状に形成されており、嵌め込まれた状態で供給管の部12の側には底壁部7aと側壁部7bにかけて切欠かれた第4開口部7cが設けられている。筐体部7の内部には底壁部7aからOUT方向に向けて突出する突出部7dが設けられている。突出部7dの内側は中心軸を中心軸CAとする円柱状の内径部7d1として形成され、内径部7d1の供給管部12の側は第4開口部7cにつながり、内径部7d1の供給管部12と反対の側は円形の第5開口部7d2とされている。内径部7d1の直径は円板状部材20の外径よりわずかに大きく設定されている。第5開口部7d2と内径部7d1は同軸で、第5開口部7d2の直径は内径部7d1の直径より若干小さく形成されている。突出部7dは、内径部7d1の中心軸CAがカップ部11の第2開口部11eからカートリッジ3の中に向けて吐水される水流の向きFに対し10度程度OUT方向に傾いた方向となるように設定されている。
図3及び
図5~
図10において示す上下の方向は、内径部7d1における第5開口部7d2の方向が上で、第4開口部7cの方向が下である。以後、必要に応じて上下の方向を用いて説明することがある。ここで、突出部7dと内径部7d1が、それぞれ特許請求の範囲の「ケース部」と「内筒部」に相当する。また、第4開口部7cと第5開口部7d2が、それぞれ特許請求の範囲の「入口」と「出口」に相当する。
【0022】
図6~
図12に示すように、円板状部材20は、円形の上面21と円形の下面22とを有し、外径面23の直径が突出部7dの内径部7d1の内径よりわずかに小さい略円板状に形成されている。下面22の側には、中心軸CAを中心とした円形が上方に向かって延びて形成された外側面22a1と、中心軸CAを中心とした円形が上方に向かって延びて形成された内側面22a2と、を有する円環状の環状凹部22aが形成されている。環状凹部22aは、下面22に対して垂直で径方向に延びる面で切った断面が矩形状をしており、環状凹部22aの円板状部材20の厚み方向の深さである下面22と底面22a3との距離は、円板状部材20の厚みの半分程度に設定されている。ここで、上面21、下面22、環状凹部22aが、それぞれ、特許請求の範囲の「一面」、「他面」、「第2貫通孔部」に相当する。
【0023】
円板状部材20の環状凹部22aの上側部分には、中心軸CAを中心として周方向に等間隔で配置された8つの傾斜貫通孔21aが設けられている。
図8に示すように、傾斜貫通孔21aの上面21における開口21a1は、中心軸CAを中心として中心角θ1が22.5度の扇形状部分の一部である円弧21a11、円弧21a12、径方向部21a13、径方向部21a14で囲まれた形状をしている。円弧21a11を含む円が内側円C1であり、円弧21a12を含む円が外側円C2である。径方向部21a14を含む第1径方向線DL1に対して径方向部21a13を含む第2径方向線DL2は22.5度の角度で交わっている。なお、
図8において、円板状部材20を、筐体部7における突出部7dの内径部7d1の中に配置した状態で、円板状部材20の中心軸は中心軸CAに一致し、径方向部21a14を含む径方向線は第1径方向線DL1と一致するのでその状態で中心軸CAと第1径方向線DL1を表示している。周方向に隣合う開口21a1は、中心軸CAを中心として45度回転させると重なり合う関係にある。
図8及び
図11に示すように、環状凹部22aの底面22a3における開口21a2は、上下方向から見て開口21a1を中心軸CAを中心に中心角θ2である15度反時計回りに回転させた関係にある。円弧21a11は円弧21a21と、円弧21a12は円弧21a22と、径方向部21a13は径方向部21a23と、径方向部21a14は径方向部21a24と対応している。そして、第1径方向線DL1に対して径方向部21a24を含む第3径方向線DL3は15度の角度で交わっている。また、
図10及び
図12に示すように、上面21と底面22a3の間の上下方向の中央部分における開口21a3は、中心軸CAの延びる方向から見て開口21a1を中心軸CAを中心に中心角θ3である7.5度反時計回りに回転させた関係にある。円弧21a11は円弧21a31と、円弧21a12は円弧21a32と、径方向部21a13は径方向部21a33と、径方向部21a14は径方向部21a34と対応している。そして、第1径方向線DL1に対して径方向部21a34を含む第4径方向線DL4は7.5度の角度で交わっている。すなわち、各傾斜貫通孔21aは、上面21における開口21a1を底面22a3に近づくにしたがって中心軸CAを中心に
図8において反時計回りに徐々に回転させて形成した形状をしている。これによって、傾斜貫通孔21aの中を開口21a2から開口21a3を経由して開口21a1に流れる水には分散作用が与えられて空気が微小気泡化される。なお、
図8、
図11及び
図12において、煩雑化を避けるため8つの傾斜貫通孔21aの内1つの傾斜貫通孔21aにのみ符号を付して表している。ここで、傾斜貫通孔21aが、特許請求の範囲の「第1貫通孔部」に相当し、傾斜貫通孔21aと環状凹部22aを合わせたものが、特許請求の範囲の「貫通孔」に相当する。また、開口21a1と開口21a2が、それぞれ、特許請求の範囲の「一面側開口」と「他面側開口」に相当する。
【0024】
図7~
図10に示すように、一対の周縁嵌合凸部24は、上下方向から見て、上面21の外径面23と外側面22a1の間において第1径方向線DL1を中心とする周方向の部分に上方に向けて突出して設けられている。各周縁嵌合凸部24の第1径方向線DL1に対して垂直な周方向の寸法は外径面23の半径の1/2程度であり、各周縁嵌合凸部24の上面21からの突出高さは外径面23の上下方向寸法の1/2程度である。各周縁嵌合凸部24の頂部は面取りが施されている。一対の周縁嵌合凹部25は、上下方向から見て、下面22の外径面23と外側面22a1の間において第2径方向線DL2を中心とする周方向の部分に上方に向けて凹んで設けられている。各周縁嵌合凹部25は、各周縁嵌合凸部24に対して嵌り合う形状に形成されている。上面21の内側円C1の中心部には上方に向けて突出した中央嵌合凸部26が設けられている。中央嵌合凸部26の半径は内側円C1の半径の1/2程度であり、中央嵌合凸部26の上面21からの突出高さは外径面23の上下方向寸法の1/2程度である。中央嵌合凸部26の頂部は面取りが施されている。下面22の内側円C1の中心部には上方に向けて凹む中央嵌合凹部27が設けられている。中央嵌合凹部27は、中央嵌合凸部26に対して嵌り合う形状に形成されている。上下に隣り合う円板状部材20を、一対の周縁嵌合凸部24と一対の周縁嵌合凹部25を嵌め合わせるとともに中央嵌合凸部26と中央嵌合凹部27を嵌め合わせて重ね合わせたとき、隣り合う円板状部材20は中心軸CAを中心に
図8において反時計回りに中心角θ1である22.5度回転させた関係にある。ここで、周縁嵌合凸部24及び中央嵌合凸部26と、周縁嵌合凹部25及び中央嵌合凹部27と、がそれぞれ、特許請求の範囲の「凸部」と、「凹部」と、に相当する。
【0025】
筐体部7における、突出部7dの内径部7d1の中へ6枚の円板状部材20を配設する手順について説明する。内径部7d1の中に第4開口部7cの側から一番上の円板状部材20を上面21の側から挿入して一対の周縁嵌合凸部24の頂部を第5開口部7d2の周縁部の下側面に当接させる。次に、内径部7d1の中に第4開口部7cの側から上から二番目の円板状部材20を上面21の側から挿入して一番上の円板状部材20の一対の周縁嵌合凹部25に一対の周縁嵌合凸部24を嵌め合わせるとともに中央嵌合凸部26に中央嵌合凹部27を嵌め合わせて下面22に当接させる。以下、内径部7d1の中に第4開口部7cの側から円板状部材20を1つずつ上面21の側から挿入して直前に挿入した円板状部材20の一対の周縁嵌合凹部25に一対の周縁嵌合凸部24を嵌め合わせるとともに中央嵌合凸部26に中央嵌合凹部27を嵌め合わせて下面22に当接させていく。その状態をよく表しているのが
図5である。これによって、上下に隣り合う円板状部材20は、互いに中心角θ1である22.5度だけ周方向にずれて重ね合わされている。このとき、上下方向から見て、隣り合う円板状部材20の下面22における開口21a2と上面21の開口21a1とは、中心軸CAを中心に中心角θ2である15度だけ反時計回りにずれているので水の流れに乱流が生じやすくより分散作用が与えられて空気が微小気泡化される。このように重ね合わせて配置された6枚の円板状部材20の一番下の円板状部材20の下面22は、下から図示しない手段により筐体部7に対して上下不動に固定される。このとき、内径部7d1の中心軸と、重ね合わせて配置された6枚の円板状部材20の中心軸と、は一致して中心軸CAとなる。重ね合わせて配置された6枚の円板状部材20の各傾斜貫通孔21aと各環状凹部22aは連通して空洞部Hを形成する。この状態で、供給管部12、内径部7d1の下部、空洞部H、筐体部7の内部は連通して拡径部12cの開口から第1開口部11dへの流路を構成する。微小気泡発生機構8は、筐体部7内に配設された突出部7dと、突出部7d内径部7d1の中に重ね合わせて配置された6枚の円板状部材20と、により構成されている。なお、上述した方法に代えて、円板状部材20を予め
図6に示すような6枚重ねの状態に組み付けてから、6枚重ねの円板状部材20をまとめて内径部7d1の中へ挿入して配設しても良い。
【0026】
図2及び
図3に示すように、散水板4は、円板状の薄板部4aと、外周リング部4bと、を有する。薄板部4aは、肉厚が0.5mm程度のステンレス製の円板に、直径が0.5mm程度の散水口4a1が一定のパターンで数百個形成されたものである。薄板部4aの外周部分には、樹脂製の環状部材である外周リング部4bが配設されている。具体的には、外周リング部4bは径方向の断面が頂点をOUT方向とする逆三角形をしたアウタ部4b1と、径方向の断面が略矩形状をしてアウタ部4b1からOUT方向と反対方向に延びる円筒状のインナ部4b2と、を有する。アウタ部4b1における、インナ部4b2との連結部の径方向外側には、外段差面4b11が形成され、インナ部4b2との連結部の径方向内側には、内段差面4b12が形成されている。インナ部4b2の径方向内側面には、カップ部11の雄ねじ部11f1に対し螺合可能な雌ねじ部4b21が形成されている。薄板部4aは、その外周縁部が外周リング部4bの内段差面4b12に内側からOUT方向に当てられるように配置されて散水板4を構成している。
【0027】
図2及び
図3に示すように、シャワーヘッド1は、微小気泡を含んだ水を吐出させたい場合には、本体部2の空洞部11cの中にカートリッジ3を挿入した状態で、本体部2に対し散水板4を取付けてカートリッジ3が本体部2から脱落しないようにする。具体的には、本体部2のカップ部11の雄ねじ部11f1に対し散水板4の外周リング部4bの雌ねじ部4b21を螺合させることにより取付ける。このとき、外周リング部4bの外段差面4b11は、前カバー部5の開口5aの周縁部に当接して外周リング部4bの外形面と前カバー部5の外形面とがスムーズにつながり外観品質の向上が図られる。外周リング部4bの内段差面4b12は、オーリングRを介してカップ部11の側面部11bのOUT方向端部に当接することによって水密状態が保たれる。この状態で、本体部2の供給管部12から水を供給すると、カートリッジ3の第4開口部7cから内径部7d1に供給された水は、微小気泡発生機構8により微小気泡を含有する水に変換される。そして、微小気泡を含有する水は、カートリッジ3内に充満したのち散水板4の複数の散水口4a1から吐出される。また、シャワーヘッド1は、微小気泡を含まない通常の水を吐出させたい場合には、本体部2の空洞部11cの中にカートリッジ3を挿入しない状態で、本体部2に対し散水板4を取付ければよい。この状態で、本体部2の供給管部12から水を供給すると、微小気泡を含有しない水は、本体部2の空洞部11c内に充満したのち散水板4の複数の散水口4a1から吐出される。
【0028】
以上のように構成される本実施形態は、以下のような作用効果を奏する。シャワーヘッド1は、本体部2の空洞部11cの中に、ワンタッチでカートリッジ3を取付け取外しすることで、微小気泡を含んだ水のシャワーと通常の微小気泡を含まない水のシャワーとを使い分けることができる。これによって、機能を高めたシャワーヘッドを提供することができる。
【0029】
また、カートリッジ3における突出部7dの内径部7d1の中へ重ね合わせて配置された6枚の円板状部材20の各傾斜貫通孔21aは、円板状部材20の上面21から底面22a3に向かうにつれて開口21a1が中心軸CAを中心に
図8において反時計回りに徐々に回転させて形成した形状をしている。そして、6枚の円板状部材20を突出部7dの内径部7d1の中に配置したとき、隣り合う円板状部材20の各傾斜貫通孔21aと各環状凹部22aは上下方向に連通して第4開口部7cから第5開口部7d2までの流路の一部である空洞部Hを形成している。これによって、各傾斜貫通孔21aが水に分散作用を与えて空気の微小気泡を発生させることができる。また、突出部7dの内径部7d1の中に同一形状の円板状部材20を同軸に重ね合わせて配置すればよいので部品種類が少なく突出部7dの内径部7d1の中への組み付けも容易となる。
【0030】
さらに、6枚の円板状部材20は、重ね合わせた状態で、隣り合う円板状部材20の一対の周縁嵌合凹部25と一対の周縁嵌合凸部24とが嵌合するとともに中央嵌合凸部26と中央嵌合凹部27とが嵌合して配置されている。これによって、円板状部材20は周方向及び径方向への相対移動を止められて配置されるので簡潔な構造で第4開口部7cから第5開口部7d2までの流路を安定して形成することができる。
【0031】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、次のようなものが挙げられる。
【0032】
1.上記実施形態においては、微小気泡発生機構8として、筐体部7内に配設された突出部7dと、突出部7d内径部7d1の中に重ね合わせて配置された6枚の円板状部材20と、により構成されているものを採用した。しかし、これに限らず、カートリッジ3の内部に配設されカートリッジ3とともにワンタッチで本体部2に取付け取外しができるものであればその構造は問わない。
【0033】
2.上記実施形態においては、本体部2の空洞部11cの中にカートリッジ3を挿入するにあたり、散水板4の取付け取外しが必要であるものとして構成した。しかし、これに限らず、散水板4を本体部2に取付けたままで空洞部11cの中にカートリッジ3を出し入れする構造とすることもできる。
【0034】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0035】
1 シャワーヘッド、2 本体部、3 カートリッジ、4 散水板、7 筐体部、7c 第4開口部(入口)、7d 突出部(ケース部)、7d1 内径部(内筒部)、7d2 第5開口部(出口)、8 微小気泡発生機構、10 主体部、11 カップ部、11c 空洞部(内部空間)、11d 第1開口部(吐水口)、12 供給管部、12a 内径部分(内部空間)、12c1 第3開口部(給水口)、20 円板状部材、21 上面(一面)、21a 傾斜貫通孔(第1貫通孔部、貫通孔)、21a1 開口(一面側開口)、21a2 開口(他面側開口)、22 下面(他面)、22a 環状凹部(第2貫通孔部、貫通孔)、24 周縁嵌合凸部(凸部)、25 周縁嵌合凹部(凹部)、26 中央嵌合凸部(凸部)、27 中央嵌合凹部(凹部)、CA 中心軸