(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114117
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】逆止弁
(51)【国際特許分類】
F16K 15/06 20060101AFI20230809BHJP
E03C 1/042 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
F16K15/06
E03C1/042 E
E03C1/042 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016274
(22)【出願日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 峻平
(72)【発明者】
【氏名】片岡 健介
【テーマコード(参考)】
2D060
3H058
【Fターム(参考)】
2D060BA01
2D060BB01
2D060BC21
2D060BF01
2D060BF09
2D060BF10
3H058AA02
3H058BB28
3H058BB29
3H058CA04
3H058CA32
3H058CC08
3H058CC11
3H058CD05
3H058EE02
(57)【要約】
【課題】配管への組み付けと配管と別の配管との接続端部間のシールとを合理的に行うことが可能な逆止弁を提供すること。
【解決手段】逆止弁10は、逆流を防止するよう作動する弁体11と、弁体11を管周方向に取り囲んで支持する弁本体12と、弁本体12の外周部12Aに結合されるパッキン15と、を有する。パッキン15が、弁本体12の外周部12Aと被接続管4(配管)の管壁部との間を管周方向の全域に亘ってシールする弁シール部15Aと、弁本体12の外周部12Aにより管径方向の内側から支持され、弁本体12の外周部12Aと共に被接続管4の内部に管軸方向に圧入される圧入部15Bと、被接続管4と被接続管4に接続される接続管5(別の配管)との互いに管軸方向に対向する各接続端部4A,5Bの間に挟まれることでこれらの間を管周方向の全域に亘って管軸方向にシールする管接続シール部15Cと、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の内部に組み込まれる逆止弁であって、
逆流を防止するよう作動する弁体と、
前記弁体を管周方向に取り囲んで支持する弁本体と、
前記弁本体の外周部に結合されるパッキンと、を有し、
前記パッキンが、前記弁本体の前記外周部と前記配管の管壁部との間を前記管周方向の全域に亘ってシールする弁シール部と、前記弁本体の前記外周部により管径方向の内側から支持され、前記弁本体の前記外周部と共に前記配管の内部に管軸方向に圧入される圧入部と、前記配管と前記配管に接続される別の配管との互いに前記管軸方向に対向する各接続端部の間に挟まれることでこれらの間を前記管周方向の全域に亘って前記管軸方向にシールする管接続シール部と、を有する逆止弁。
【請求項2】
請求項1に記載の逆止弁であって、
前記弁本体が、前記外周部の前記管周方向の全域から前記管径方向の外側に輪状に張り出すフランジを一体的に有し、
前記パッキンの前記弁シール部が、前記フランジに前記管周方向の全域に亘って前記管径方向の外側から嵌め込まれる輪状の嵌合溝を有し、前記フランジに前記管軸方向に挟み込むようにシールされる逆止弁。
【請求項3】
請求項2に記載の逆止弁であって、
前記弁本体の前記フランジが、各前記接続端部の間に前記弁シール部を介して前記管軸方向に挟まれる配置とされ、当該挟まれる配置により、前記弁シール部が、前記フランジと前記配管の前記接続端部とに対して前記管軸方向にシールされると共に、各前記接続端部の間を前記管軸方向にシールする前記管接続シール部としても機能する逆止弁。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の逆止弁であって、
前記圧入部が、前記弁本体の前記外周部を取り囲む環状部と、前記環状部の前記管周方向の複数の外周面箇所から前記管軸方向に筋状に延びる形に突出する各リブと、を有し、各前記リブにより、前記配管の内周面に圧入に伴う押圧力を作用させる逆止弁。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の逆止弁であって、
前記配管が、施工壁の接続口に接続される前記別の配管を成す接続管と接続されて前記接続管の下流側の流路を成すように前記施工壁に取り付けられる水栓本体の被接続管とされる逆止弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆止弁に関する。詳しくは、配管の内部に組み込まれる逆止弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、配管内に圧入されて設けられる逆止弁が開示されている。具体的には、逆止弁の外周部に、配管内に管軸方向に圧入されることで固定される圧入部が形成されている。逆止弁は、圧入部が配管内に圧入されることで、配管の内壁と水密な状態に密着され、流体の流れを一方向にのみ許容する状態に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成では、逆止弁を配管の接続端部に設ける場合、別途、配管とこれに接続される別の配管との接続端部間にシール用のパッキンを設けなければならない。そのため、配管への組み付け部品が増大し、組み付け作業が煩雑となる。そこで、本発明は、配管への組み付けと配管と別の配管との接続端部間のシールとを合理的に行うことが可能な逆止弁を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の逆止弁は、次の手段をとる。すなわち、本発明の第1の発明は、配管の内部に組み込まれる逆止弁であって、逆流を防止するよう作動する弁体と、前記弁体を管周方向に取り囲んで支持する弁本体と、前記弁本体の外周部に結合されるパッキンと、を有し、前記パッキンが、前記弁本体の前記外周部と前記配管の管壁部との間を前記管周方向の全域に亘ってシールする弁シール部と、前記弁本体の前記外周部により管径方向の内側から支持され、前記弁本体の前記外周部と共に前記配管の内部に管軸方向に圧入される圧入部と、前記配管と前記配管に接続される別の配管との互いに前記管軸方向に対向する各接続端部の間に挟まれることでこれらの間を前記管周方向の全域に亘って前記管軸方向にシールする管接続シール部と、を有する逆止弁である。
【0006】
第1の発明によれば、パッキンの圧入部により、逆止弁の弁体を支持する弁本体を配管の内部に圧入して固定することができる。パッキンの管接続シール部により、配管と別の配管との各接続端部の間をシールすることができる。パッキンの弁シール部により、弁本体の外周部と配管の管壁部との間をシールすることができる。このように、逆止弁の弁本体に上記構成を備えるパッキンを結合する構成により、配管への組み付けと配管と別の配管との接続端部間のシールとを合理的に行うことが可能な逆止弁を構成することができる。なお、配管の「管壁部」とは、配管の内周面や接続端部を含む壁部を指している。
【0007】
本発明の第2の発明は、上記第1の発明において、前記弁本体が、前記外周部の前記管周方向の全域から前記管径方向の外側に輪状に張り出すフランジを一体的に有し、前記パッキンの前記弁シール部が、前記フランジに前記管周方向の全域に亘って前記管径方向の外側から嵌め込まれる輪状の嵌合溝を有し、前記フランジに前記管軸方向に挟み込むようにシールされる逆止弁である。
【0008】
第2の発明によれば、パッキンの弁シール部を、弁本体の外周部に対し、管軸方向に強く結合させた状態にシールさせることができる。
【0009】
本発明の第3の発明は、上記第2の発明において、前記弁本体の前記フランジが、各前記接続端部の間に前記弁シール部を介して前記管軸方向に挟まれる配置とされ、当該挟まれる配置により、前記弁シール部が、前記フランジと前記配管の前記接続端部とに対して前記管軸方向にシールされると共に、各前記接続端部の間を前記管軸方向にシールする前記管接続シール部としても機能する逆止弁である。
【0010】
第3の発明によれば、パッキンの構成を合理化することができると共に、弁本体をパッキンに対してより適切にシールすることができる。
【0011】
本発明の第4の発明は、上記第1から第3のいずれかの発明において、前記圧入部が、前記弁本体の前記外周部を取り囲む環状部と、前記環状部の前記管周方向の複数の外周面箇所から前記管軸方向に筋状に延びる形に突出する各リブと、を有し、各前記リブにより、前記配管の内周面に圧入に伴う押圧力を作用させる逆止弁である。
【0012】
第4の発明によれば、圧入部の構造強度の確保と圧入しやすさの確保との両立を図ることができる。
【0013】
本発明の第5の発明は、上記第1から第4のいずれかの発明において、前記配管が、施工壁の接続口に接続される前記別の配管を成す接続管と接続されて前記接続管の下流側の流路を成すように前記施工壁に取り付けられる水栓本体の被接続管とされる逆止弁である。
【0014】
第5の発明によれば、水栓本体を施工壁に取り付けたり施工壁から取り外したりする際、接続管を水栓本体の被接続管から取り外しても、逆止弁を水栓本体の被接続管から脱落させることなく内部に圧入固定した状態に保持することができる。したがって、施工作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施形態に係る逆止弁の概略構成を表す斜視図である。
【
図2】接続管と被接続管との接続部分を拡大して表す部分断面斜視図である。
【
図3】接続管と被接続管との接続部分の分解斜視図である。
【
図6】逆止弁の組み付け前の状態を表す
図2に対応する断面図である。
【
図7】逆止弁を被接続管の内部に圧入した状態を表す断面図である。
【
図8】被接続管に接続管を接続した状態を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
《第1の実施形態》
(逆止弁10の概略構成)
始めに、本発明の第1の実施形態に係る逆止弁10の構成について、
図1~
図8を用いて説明する。なお、以下の説明において、手前、奥、上、下、左、右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。各図中に示す方向は、それぞれ、本実施形態に係る逆止弁10が適用された混合水栓1を正面から見た方向となっている。以下の説明において、具体的な参照図を示さない場合、或いは参照図に該当する符号がない場合には、
図1~
図8のいずれかの図を適宜参照するものとする。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る逆止弁10は、浴室の壁面(施工壁W)に設置されるいわゆる壁付タイプの混合水栓1に適用されている。上記混合水栓1は、施工壁Wの裏側から供給される湯と水とを内部で混合して吐出することができる機能を備える。
【0019】
具体的には、混合水栓1は、その水栓本体2が、浴室の施工壁Wに対して、湯水の供給配管となる左右一対のクランク状に折れ曲がった各偏心管3を介して流路接続された状態に取り付けられている。各偏心管3は、向かって右側の偏心管3が水の供給配管とされ、向かって左側の偏心管3が湯の供給配管とされる。
【0020】
各偏心管3は、水栓本体2とその奥側の施工壁Wとの間で互いに正面視「ハ」の字を成す形に設けられる。各偏心管3は、それらの「ハ」の字の下端側の各接続部が、それぞれ、図示奥側へと円管状に延びて、施工壁Wの対応する各位置に形成された湯水の各接続口Waに図示手前側から捩じ込まれて流路接続されている。また、各偏心管3の「ハ」の字の上端側の各接続部は、それぞれ、図示手前側へと円管状に延びて、水栓本体2の奥面の対応する各位置に形成された湯水の各被接続管4に螺合されて流路接続されている。
【0021】
より具体的には、
図2~
図3に示すように、各偏心管3は、それらの「ハ」の字の上端側の各接続部に、それぞれ、外周部に袋ナット5Aが装着された円管状の接続管5が流路接続された構成とされる。各偏心管3は、それらの袋ナット5Aが、水栓本体2の奥面の対応する各位置に形成された湯水の各被接続管4の外周部に図示奥側から螺合されることで、対応する各被接続管4に流路接続されている。
【0022】
各被接続管4は、それぞれ、水栓本体2の奥面の対応する各位置に形成された図示しない湯水の各接続口Waに図示奥側から捩じ込まれて流路接続されている。それにより、各被接続管4は、水栓本体2の奥面から図示奥側へ円管状に延びる形に設けられている。各被接続管4の管内部には、それぞれ、逆止弁10が図示奥側から組み込まれている。これら逆止弁10により、混合水栓1は、各偏心管3から各被接続管4へ向けた湯水の流れは許容されるが、その逆方向の流れは防止されるようになっている。
【0023】
各逆止弁10は、各被接続管4の管内部にそれぞれ水密な状態に組み込まれており、管内部を流れる湯水の逆流を適切に防止できるようになっている。また、各逆止弁10は、各被接続管4への組み込みにより、各被接続管4とこれらに接続される各偏心管3の接続管5との接続端部4A,5B間を管周方向の全域に亘ってシールするようにも機能する構成となっている。
【0024】
そのようなことから、各逆止弁10により、各被接続管4の管内部における逆流防止と、各被接続管4と各偏心管3の接続管5との接続端部4A,5B間のシールと、を合理的に行うことができる。ここで、各被接続管4が、それぞれ、本発明の「配管」に相当する。また、各偏心管3の接続管5が、それぞれ、本発明の「別の配管」に相当する。
【0025】
また、各逆止弁10は、各被接続管4の管内部にそれぞれ図示奥側から組み込まれることで、それぞれの管内部に圧入されて組み込まれた状態に保持される構成とされる。したがって、各逆止弁10を対応する各被接続管4の管内部に組み込んだ後、施工者が各逆止弁10を手で保持することなく、各被接続管4に各偏心管3の接続管5を接続する作業を行うことができる。
【0026】
具体的には、混合水栓1は、上述した各構成部品が水栓本体2に組み付けられたユニット化された状態で、施工現場へと持ち込まれる。そして、混合水栓1は、先ず、施工現場において、各偏心管3の接続管5が各被接続管4との接続状態から外されて、各偏心管3が施工壁Wの各接続口Waに個々に捩じ込まれて正面視「ハ」の字を成す形に接続される。次いで、施工壁Wに接続された各偏心管3の接続管5に水栓本体2の各被接続管4が袋ナット5Aの螺合により接続される。
【0027】
上記施工時において、各逆止弁10は、各被接続管4の管内部に圧入されていることから、各偏心管3の接続管5が各被接続管4との接続状態から外されても、各被接続管4の管内部から脱落することなく管内部に保持される。したがって、混合水栓1を施工壁Wに取り付けたりメンテナンス時に取り外したりする際に、施工者が各逆止弁10を手で保持する必要がなく、係る取り付け・取り外し作業を簡便に行うことができる。なお、各逆止弁10の具体的な構成については後に詳述する。
【0028】
図1に示すように、上記混合水栓1は、水栓本体2の向かって左側の側部に取り付けられた略円筒型の温度調節ハンドル6の操作により、各偏心管3から水栓本体2に供給される湯水の混合割合を内部で調節することができる構成とされる。また、混合水栓1は、水栓本体2の向かって右側の側部に取り付けられた略円筒型の切替ハンドル7の操作により、混合した湯水の吐水/止水を切り替えたり、吐出する湯水の量を調節したりすることができる構成とされる。
【0029】
具体的には、使用者が温度調節ハンドル6を所望の回転位置へと回すことで、水栓本体2の内部で混合される湯水の混合割合が、上記の回転位置に応じた設定温度となるように調節される。また、使用者が切替ハンドル7を所定の止水位置(図示位置)から上向きに回すことで、その回転移動量に応じた量の湯水が、水栓本体2の奥面に流路接続されたシャワエルボ8から不図示のシャワーヘッドへと吐出される。
【0030】
また、使用者が切替ハンドル7を所定の止水位置(図示位置)から下向きに回すことで、その回転移動量に応じた量の湯水が、水栓本体2の下面に流路接続されたカラン9から吐出される。
【0031】
(逆止弁10の構成)
以下、
図2~
図3で上述した各被接続管4の管内部に組み込まれる逆止弁10の具体的な構成について詳しく説明する。なお、各逆止弁10及びこれらの各被接続管4の管内部への組み付け構造は、左右で互いに同一の構成となっている。したがって、以下では、これらを代表して、
図1の向かって右側となる水側の被接続管4及びその内部に組み込まれる逆止弁10の構成について詳しく説明することとする。
【0032】
図2は、水側の被接続管4と偏心管3の接続管5との接続部分を縦向きに切って表す部分断面斜視図である。
図3は、水側の被接続管4と逆止弁10と偏心管3の接続管5とを分解して表す分解斜視図である。また、
図4~
図5には、逆止弁10の単体の斜視図が示されている。これらの図に示すように、逆止弁10は、逆流を防止するよう作動する駒状の弁体11と、弁体11を管周方向に取り囲んで支持する弁本体12と、を有する。
【0033】
また、
図2及び
図4に示すように、逆止弁10は、弁体11を弁本体12に対してばね付勢力により閉弁した状態に保持する金属製の圧縮ばね13を有する。また、逆止弁10は、弁体11の先端に装着されて圧縮ばね13の一端を弁体11に係止させるキャップ14を有する。また、逆止弁10は、弁本体12の外周部12Aに装着されるゴム製輪状のパッキン15を有する。上述した弁体11、弁本体12及びキャップ14は、それぞれ、インジェクション成形された樹脂部品から成る。
【0034】
図2に示すように、弁体11は、管軸方向に円筒状に延びる有天円筒形状の座部11Aと、座部11Aの図示奥側の天板中央部から図示奥側に向かって管軸方向に円筒状に延びる軸部11Bと、を有する形状とされる。また、弁体11は、座部11Aの外周部に装着されたゴム製輪状の弁パッキン11Cを有する。弁パッキン11Cは、座部11Aの外周部に形成された輪状の溝に嵌め込まれて座部11Aと一体化されている。弁パッキン11Cは、座部11Aの外周部から輪状に張り出す形に設けられる。
【0035】
弁本体12は、管軸方向に円筒状に延びる外周部12Aと、外周部12Aの筒内部の中心部を管軸方向に円筒状に延びるガイド筒12Bと、ガイド筒12Bと外周部12Aとを放射状に繋ぐ4本のスポーク12C(
図4参照)と、を有する形状とされる。弁本体12は、その外周部12Aとガイド筒12Bとの間に形成される4本のスポーク12Cの間の隙間が、湯水を管軸方向に流通させる流通路12Dとして形成される。
【0036】
図2に示すように、弁本体12には、そのガイド筒12Bの筒内に弁体11の軸部11Bが図示手前側から奥側へと貫通するように組み付けられる。この組み付けにより、弁本体12には、その外周部12Aの筒内に弁体11の座部11Aが管径方向の内外に緩やかに嵌合する形に組み付けられる。また、弁体11の軸部11Bも、弁本体12のガイド筒12Bの筒内に管径方向の内外に緩やかに嵌合する形に組み付けられる。
【0037】
これらの組み付けにより、弁本体12は、その外周部12Aとガイド筒12Bとによって弁体11の座部11Aと軸部11Bとをそれぞれ管周方向に取り囲んで、管軸方向に摺動可能なように管径方向の外側から支持する状態とされる。上記弁本体12は、弁体11が図示奥側へと押し込まれる移動により、その外周部12Aの図示手前側の底端面上に、弁体11の座部11Aの外周部に装着された弁パッキン11Cが図示手前側から管周方向の全域に亘って押し付けられる。
【0038】
それにより、
図4で示した弁本体12の流通路12Dが、弁体11によって下流側(
図2の手前側)から閉塞される(閉弁される)。また、弁本体12は、弁体11が
図2の手前側へと引き込まれる移動により、弁体11の弁パッキン11Cが外周部12Aの図示手前側の底端面との密着状態から引き離される。それにより、
図4で示した弁本体12の流通路12Dが、弁体11による閉塞状態から開放される(開弁される)。
【0039】
図2及び
図4に示すように、圧縮ばね13は、弁本体12のガイド筒12Bに図示奥側から被せられるように組み付けられる。そして、圧縮ばね13の組み付け後に、ガイド筒12Bに通された弁体11の軸部11Bの先端にキャップ14が図示奥側から被せられることにより、キャップ14が軸部11Bの先端にスナップフィット嵌合されて一体的に装着される。それにより、圧縮ばね13が、弁体11の軸部11Bの先端に装着されたキャップ14と、弁本体12の各スポーク12Cが延び出すガイド筒12Bの外周部分との間で管軸方向に押し挟まれた状態にセットされる。
【0040】
上記組み付けにより、
図2に示すように、弁体11には、常時、圧縮ばね13のバネ付勢力によって弁パッキン11Cが弁本体12の外周部12Aの図示手前側の底端面に図示手前側から押し付けられて閉弁された状態に保持される力が掛けられる。それにより、逆止弁10は、常時、被接続管4の管内部において湯水が下流側(図示手前側)から上流側(図示奥側)へと逆流することを防止する。
【0041】
また、上記逆止弁10は、被接続管4の管内部において湯水が上流側(図示奥側)から下流側(図示手前側)へと流される水圧が掛けられた時には、この水圧により弁体11が圧縮ばね13のばね付勢力に抗して図示手前側へと押し動かされる。それにより、逆止弁10は、湯水の上流側(図示奥側)から下流側(図示手前側)へ向けた流れを許容する。
【0042】
図2、
図4~
図5に示すように、パッキン15は、輪状の弁シール部15Aと、弁シール部15Aの図示手前側の内周縁から図示手前側に向かって管軸方向に輪状に延びる圧入部15Bと、を有する形状とされる。パッキン15は、次のように弁本体12の外周部12Aに管周方向の全域に亘ってシールされた状態に組み付けられる。
【0043】
先ず、
図6に示すように、パッキン15を、弁本体12の外周部12Aに図示手前側から被せるように管軸方向に通す。次に、パッキン15の図示奥側の縁部に形成された弁シール部15Aを、弁本体12の外周部12Aの図示奥側の端部から管径方向の外側に輪状に張り出すフランジ12Eに引掛けた状態に組み付ける。
【0044】
それにより、パッキン15の弁シール部15Aが、弁本体12のフランジ12Eに管周方向の全域に亘って管軸方向に挟み込む状態にセットされる。また、上記組み付けにより、パッキン15は、圧入部15Bが弁本体12の外周部12Aに嵌合して、弁本体12の外周部12Aにより管周方向の全域に亘って管径方向の内側から支持された状態にセットされる。
【0045】
具体的には、弁シール部15Aは、その輪形状の内周部に、管周方向の全域に亘って輪状(無端状)に切り込まれた嵌合溝Abが形成された構成とされる。弁シール部15Aは、その嵌合溝Abの内部に弁本体12の外周部12Aから輪状に張り出すフランジ12Eを嵌め込むことで、フランジ12Eを管周方向の全域に亘って取り囲むと共に管軸方向の両側から挟み込んだ状態に組み付けられる。
【0046】
弁本体12の外周部12Aに形成されたフランジ12Eは、被接続管4の管内径よりも大きく、かつ、管外径よりは小さな外径寸法を有する形状とされる。弁本体12は、
図7に示すように、そのフランジ12Eを残すその他の部分が被接続管4の管内に図示奥側から挿通され、フランジ12Eが被接続管4の管外で接続端部4Aと管軸方向に対向する状態にセットされる構成とされる。
【0047】
弁シール部15Aは、上記弁本体12のフランジ12Eに装着された状態において、被接続管4の管外径より小さな外形寸法を成す構成とされる。弁シール部15Aは、弁本体12が圧入部15Bと共に被接続管4の管内に図示奥側から挿通されることで、被接続管4の接続端部4Aに図示奥側から管周方向の全域に亘って管軸方向に当てられる状態にセットされる。
【0048】
そして、上記セットの後、
図8に示すように、被接続管4の外周部に偏心管3の接続管5に装着された袋ナット5Aが螺合されて流路接続されることにより、弁シール部15Aは、図示奥側から押し込まれる接続管5の接続端部5Bと被接続管4の接続端部4Aとの間に管軸方向に押し挟まれる。それにより、弁シール部15Aは、弁本体12のフランジ12Eと被接続管4の接続端部4Aとの間を管周方向の全域に亘って管軸方向にシールした状態にセットされる。
【0049】
併せて、弁シール部15Aは、接続管5の接続端部5Bと被接続管4の接続端部4Aとの間を管周方向の全域に亘って管軸方向にシールした状態にセットされる。このように、弁シール部15Aは、弁本体12の外周部12Aに管周方向の全域に亘ってシールされる機能に加え、接続管5の接続端部5Bと被接続管4の接続端部4Aとの間を管周方向の全域に亘って管軸方向にシールする管接続シール部15Cとしての機能も兼ねる構成とされる。
【0050】
上記管接続シール部15Cとしての機能も兼ねる弁シール部15Aは、弁本体12のフランジ12Eを管軸方向に挟み込んだ状態として、接続管5の接続端部5Bと被接続管4の接続端部4Aとの間に管軸方向に挟まれた状態にセットされる。それにより、弁シール部15Aは、接続管5の接続端部5Bと被接続管4の接続端部4Aとの間から管軸方向に外れないようフランジ12Eにより強く支持される構成とされる。上記フランジ12Eによる支持により、パッキン15は、逆止弁10をその撓みによって被接続管4の管内部で管軸方向に過度に揺動させないよう定位置に安定して保持できるようになっている。
【0051】
図5に示すように、圧入部15Bは、弁本体12の外周部12Aを取り囲むように管軸方向に輪状に延びる環状部Baと、環状部Baの管周方向の4箇所の外周面上から管軸方向に筋状に延びる形に突出する各リブBbと、を有する形状とされる。圧入部15Bは、環状部Baが被接続管4(
図6参照)の管内径よりも僅かに小さい略同一の外径を有する円環形状とされる。しかし、圧入部15Bは、各リブBbの突出により、被接続管4の管内径よりも僅かに大きな外径を有する形状とされる。
【0052】
それにより、圧入部15Bは、
図6~
図7に示すように、弁本体12の外周部12Aに装着された状態で、弁本体12の外周部12Aと共に被接続管4の管内に図示奥側から挿通されることで、各リブBb(
図5参照)を押し潰しながら被接続管4の管内に圧入される構成とされる。その際、圧入部15Bは、各リブBbが管周方向に断続的に分かれて形成され、かつ、弁本体12の外周部12Aを取り囲む環状部Baから突出する突出長さの短く抑えられた構成とされることから、横向きに折れ曲がるような座屈を伴うことなく管径方向の内側に比較的真っ直ぐ押し潰されるようになっている。
【0053】
そのようなことから、圧入部15Bは、各リブBbの弾発力をコントロールしやすい構成とされて、被接続管4の管内部への圧入のしやすさと、圧入後の適切な保持力の確保と、の両立を図ることができる構成とされる。
【0054】
以上をまとめると、第1の実施形態に係る逆止弁10は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0055】
すなわち、逆止弁(10)は、配管(4)の内部に組み込まれる逆止弁(10)であって、逆流を防止するよう作動する弁体(11)と、弁体(11)を管周方向に取り囲んで支持する弁本体(12)と、弁本体(12)の外周部(12A)に結合されるパッキン(15)と、を有する。パッキン(15)が、弁本体(12)の外周部(12A)と配管(4)の管壁部との間を管周方向の全域に亘ってシールする弁シール部(15A)と、弁本体(12)の外周部(12A)により管径方向の内側から支持され、弁本体(12)の外周部(12A)と共に配管(4)の内部に管軸方向に圧入される圧入部(15B)と、配管(4)と配管(4)に接続される別の配管(5)との互いに管軸方向に対向する各接続端部(4A,5B)の間に挟まれることでこれらの間を管周方向の全域に亘って管軸方向にシールする管接続シール部(15C)と、を有する。
【0056】
上記構成によれば、パッキン(15)の圧入部(15B)により、逆止弁(10)の弁体(11)を支持する弁本体(12)を配管(4)の内部に圧入して固定することができる。パッキン(15)の管接続シール部(15C)により、配管(4)と別の配管(5)との各接続端部(4A,5B)の間をシールすることができる。パッキン(15)の弁シール部(15A)により、弁本体(12)の外周部(12A)と配管(4)の管壁部との間をシールすることができる。このように、逆止弁(10)の弁本体(12)に上記構成を備えるパッキン(15)を結合する構成により、配管(4)への組み付けと配管(4)と別の配管(5)との接続端部(4A,5B)間のシールとを合理的に行うことが可能な逆止弁(10)を構成することができる。
【0057】
また、弁本体(12)が、外周部(12A)の管周方向の全域から管径方向の外側に輪状に張り出すフランジ(12E)を一体的に有する。パッキン(15)の弁シール部(15A)が、フランジ(12E)に管周方向の全域に亘って管径方向の外側から嵌め込まれる輪状の嵌合溝(Ab)を有し、フランジ(12E)に管軸方向に挟み込むようにシールされる。上記構成によれば、パッキン(15)の弁シール部(15A)を、弁本体(12)の外周部(12A)に対し、管軸方向に強く結合させた状態にシールさせることができる。
【0058】
また、弁本体(12)のフランジ(12E)が、各接続端部(4A,5B)の間に弁シール部(15A)を介して管軸方向に挟まれる配置とされる。この挟まれる配置により、弁シール部(15A)が、フランジ(12E)と配管(4)の接続端部(4A)とに対して管軸方向にシールされると共に、各接続端部(4A,5B)の間を管軸方向にシールする管接続シール部(15C)としても機能する。上記構成によれば、パッキン(15)の構成を合理化することができると共に、弁本体(12)をパッキン(15)に対してより適切にシールすることができる。
【0059】
また、圧入部(15B)が、弁本体(12)の外周部(12A)を取り囲む環状部(Ba)と、環状部(Ba)の管周方向の複数の外周面箇所から管軸方向に筋状に延びる形に突出する各リブ(Bb)と、を有し、各リブ(Bb)により、配管(4)の内周面に圧入に伴う押圧力を作用させる。上記構成によれば、圧入部(15B)の構造強度の確保と圧入しやすさの確保との両立を図ることができる。
【0060】
また、配管(4)が、施工壁(W)の接続口(Wa)に接続される別の配管(5)を成す接続管(5)と接続されて接続管(5)の下流側の流路を成すように施工壁(W)に取り付けられる水栓本体(2)の被接続管(4)とされる。上記構成によれば、水栓本体(2)を施工壁(W)に取り付けたり施工壁(W)から取り外したりする際、接続管(5)を水栓本体(2)の被接続管(4)から取り外しても、逆止弁(10)を水栓本体(2)の被接続管(4)から脱落させることなく内部に圧入固定した状態に保持することができる。したがって、施工作業性を向上させることができる。
【0061】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
【0062】
1.本発明の逆止弁は、水栓金具の配管の内部に組み込まれるものの他、他の液体用・気体用の配管の内部に組み込まれるものであっても良い。また、逆止弁が圧入される配管は、この配管と接続されて逆止弁により接続端部間がシールされる別の配管の下流側となる配管の他、上流側となる配管であっても良い。逆止弁が圧入される配管は、水栓本体より上流側の流路を成すものの他、シャワーホース等の水栓本体より下流側の流路を成すものであっても良い。
【0063】
2.弁本体の外周部に結合されるパッキンは、弁シール部、圧入部、管接続シール部のいずれが弁本体の外周部に結合される構成であっても良い。また、パッキンは、上記以外の部位が弁本体の外周部に結合される構成であっても良い。パッキンの弁本体の外周部に対する結合は、パッキンを弁本体の外周部に設けた輪状の溝やフランジに嵌め込むことで管軸方向に一体的となる状態に結合するものであっても良い。また、パッキンは、弁本体との一体成形や、接着剤、溶剤、粘着テープ或いは高周波振動を用いた溶着等による接着により弁本体の外周部に結合される構成であっても良い。
【0064】
3.パッキンの弁シール部は、弁本体の外周部と配管の管壁部との間を管周方向の全域に亘ってシールするものであれば良く、弁本体の外周部と配管の接続端部との間に管軸方向に押し付けられてシールするものの他、弁本体の外周部と配管の内周面との間に管径方向に押し付けられてシールするものであっても良い。また、上記実施形態では、パッキンの弁シール部が管接続シール部を兼ねた構成を例示したが、弁シール部が管接続シール部とは別に形成された構成であっても良い。
【0065】
4.パッキンの管接続シール部は、逆止弁が圧入される配管とこの配管に接続される別の配管との接続端部間に挟まれることでこれらの間を管周方向の全域に亘って管軸方向にシールするものであれば良い。例えば、管接続シール部は、弁本体の外周部に配管と別の配管との接続端部の間に張り出すフランジを形成することなく、単体で配管と別の配管との接続端部間に挟まれてシールされる構成とされても良い。
【0066】
5.圧入部は、弁本体の外周部により管径方向の内側から支持されて弁本体の外周部と共に配管の内部に管軸方向に圧入されるものであれば良い。例えば、圧入部は、弁本体の外周部上の管周方向の複数箇所に断続的に分かれて形成された構成であっても良い。また、圧入部は、弁本体の外周部を取り囲む環状部と、環状部の外周面箇所から管周方向に筋状に延びる形に突出するリブと、を有し、リブにより、配管の内周面に圧入に伴う押圧力を作用させる構成とされたものであっても良い。リブは、環状部の外周面箇所から管軸方向或いは管周方向に筋状に延びる形に突出するものの他、環状部の管周方向の複数箇所から柱状や点状に突出するものであっても良い。
【0067】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
1…混合水栓、2…水栓本体、3…偏心管、4…被接続管(配管)、4A…接続端部、5…接続管(別の配管)、5A…袋ナット、5B…接続端部、6…温度調節ハンドル、7…切替ハンドル、8…シャワエルボ、9…カラン、10…逆止弁、11…弁体、11A…座部、11B…軸部、11C…弁パッキン、12…弁本体、12A…外周部、12B…ガイド筒、12C…スポーク、12D…流通路、12E…フランジ、13…圧縮ばね、14…キャップ、15…パッキン、15A…弁シール部、Ab…嵌合溝、15B…圧入部、Ba…環状部、Bb…リブ、15C…管接続シール部、W…施工壁、Wa…接続口