(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114119
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】部品収容ボックス
(51)【国際特許分類】
B65D 85/86 20060101AFI20230809BHJP
H01G 13/00 20130101ALI20230809BHJP
H01G 2/10 20060101ALI20230809BHJP
B65D 81/02 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
B65D85/86 100
H01G13/00 321Z
H01G2/10 M
B65D81/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016276
(22)【出願日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】大谷 知之
【テーマコード(参考)】
3E066
3E096
5E082
【Fターム(参考)】
3E066AA71
3E066CA01
3E066FA06
3E066JA01
3E066NA43
3E096AA09
3E096BA08
3E096CA01
3E096CA08
3E096CB03
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3E096DA03
3E096DA18
3E096DB01
3E096EA02X
3E096EA06X
3E096FA08
3E096FA09
3E096FA10
3E096FA11
3E096FA27
3E096FA30
5E082BC40
5E082HH01
5E082PP10
(57)【要約】
【課題】複数の部品をばらで収容する場合に部品に欠けや割れ等の物理的損傷が生じにくい部品収容ボックスを提供する。
【解決手段】互いに対向する第1の主板部21a及び第2の主板部21bと、互いに対向する第1の側板部22a及び第2の側板部22bと、互いに対向する第1の端板部23a及び第2の端板部23bと、により、部品収容空間20sが形成される少なくとも1つのボックス体20を備え、部品収容空間20sには、第1の主板部21aと前記第2の主板部21bとの間にわたって設けられる緩衝材40が配置されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1の主板部及び第2の主板部と、
互いに対向する第1の側板部及び第2の側板部と、
互いに対向する第1の端板部及び第2の端板部と、により、部品収容空間が形成される少なくとも1つのボックス体を備え、
前記部品収容空間には、前記第1の主板部と前記第2の主板部との間にわたって設けられる緩衝材が配置されている、部品収容ボックス。
【請求項2】
前記緩衝材は、少なくとも第1の緩衝材及び第2の緩衝材を含み、
前記第1の緩衝材の緩衝作用位置と前記第2の緩衝材の緩衝作用位置とが互いに異なる、請求項1に記載の部品収容ボックス。
【請求項3】
前記第1の端板部及び前記第2の端板部の少なくとも一方は、前記部品収容空間を外部に開放する開口部が形成されるように開閉可能に設けられている、請求項1または2に記載の部品収容ボックス。
【請求項4】
前記第1の緩衝材は、第1のメッシュパターンを有する第1のプレートを含み、
前記第1のメッシュパターンは、少なくとも1つの第1の枠部及び当該第1の枠部の両側に配置される一対の第1の通路を有する、請求項2に記載の部品収容ボックス。
【請求項5】
前記第2の緩衝材は、第2のメッシュパターンを有する第2のプレートを含み、
前記第2のメッシュパターンは、少なくとも1つの第2の枠部及び当該第2の枠部の両側に配置される一対の第2の通路を有し、
前記第1の端板部から前記第2の端板部に向かう方向でみた場合に、前記第2の枠部が前記第1の通路に重なる位置に配置されている、請求項4に記載の部品収容ボックス。
【請求項6】
前記第1のプレート及び前記第2のプレートのうち、少なくとも一方を複数有する、請求項5に記載の部品収容ボックス。
【請求項7】
前記ボックス体は金属製である、請求項1~6のいずれか1項に記載の部品収容ボックス。
【請求項8】
前記ボックス体の前記第1の主板部及び前記第2の主板部のそれぞれに、前記部品収容空間を外部に開放する開放部が設けられている、請求項1~7のいずれか1項に記載の部品収容ボックス。
【請求項9】
前記開放部は、複数の孔を含むメッシュ部である、請求項8に記載の部品収容ボックス。
【請求項10】
前記メッシュ部は、前記孔の開孔率が40%以上90%以下であり、
前記第1の主板部及び前記第2の主板部のそれぞれは、前記メッシュ部を支持する桟部をそれぞれ有する、請求項9に記載の部品収容ボックス。
【請求項11】
前記ボックス体として、少なくとも第1のボックス体と第2のボックス体との2つを備え、
前記第1のボックス体と前記第2のボックス体とを互いに連結する連結部を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の部品収容ボックス。
【請求項12】
前記連結部は、前記第1のボックス体と前記第2のボックス体とを、
互いに重なる折り畳み状態と、当該折り畳み状態から互いに離間する開放状態との2つの状態に開閉可能に連結する、請求項11に記載の部品収容ボックス。
【請求項13】
前記部品収容空間は、電子部品を収容する、請求項1~12のいずれか1項に記載の部品収容ボックス。
【請求項14】
前記第1の端板部に対応して前記開口部が設けられ、前記第2の端板部が底部とされ、前記開口部から前記底部に向けて、前記部品収容空間に部品が落下状態で投入される構成であって、
複数の前記緩衝材が、前記開口部から前記底部にわたり配置され、
当該複数の緩衝材のうち、最も前記開口部に近い緩衝材は、前記開口部から前記底部に至る落下距離に対し、前記開口部から10%以上13%以下の位置に配置されている、請求項3に記載の部品収容ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品等の部品を収容する部品収容ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のチップ状の小型電子部品をばらの状態で所定の収容容器であるボックスに収容して運搬したり保管したりする場合がある。また、場合によってはボックスごと熱処理等の所定の処理を施すことが行われている。この種のボックスにあっては、電子部品をボックス内に投入して収容する際に、電子部品がボックス内面に衝突したり、電子部品同士が衝突して摩擦し合ったりする場合がある。特許文献1には、高分子型帯電防止剤により帯電防止処理が施された材料でボックスを構成することにより、摩擦による電子部品の帯電の抑制を図った技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品がボックス内面に衝突したり電子部品同士が衝突したりすると、電子部品に欠けや割れが発生するおそれがある。上記特許文献1は、衝突で生じる摩擦に起因する電子部品の電気的損傷の抑制に関するものであり、電子部品の欠けや割れ等の物理的損傷の対策に関しては記載されていない。
【0005】
そこで本発明は、複数の部品をばらで収容する場合に部品に欠けや割れ等の物理的損傷が生じにくい部品収容ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る部品収容ボックスは、互いに対向する第1の主板部及び第2の主板部と、互いに対向する第1の側板部及び第2の側板部と、互いに対向する第1の端板部及び第2の端板部と、により、部品収容空間が形成される少なくとも1つのボックス体を備え、前記部品収容空間には、前記第1の主板部と前記第2の主板部との間にわたって設けられる緩衝材が配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の部品をばらで収容する場合に部品に欠けや割れ等の物理的損傷が生じにくい部品収容ボックスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る2つのボックス体を備えた部品収容ボックスの斜視図であって、2つのボックス体を折り畳んだ状態を示している。
【
図2】実施形態に係る2つのボックス体を備えた部品収容ボックスの斜視図であって、2つのボックス体を開いた状態を示している。
【
図3】実施形態に係る部品収容ボックスの分解平面図である。
【
図4】実施形態に係る1つのボックス体を示す斜視図である。
【
図7】上記ボックス体の内枠フレームを示す斜視図である。
【
図8】上記ボックス体に取り付けられる第1のプレート及び第2のプレートを示す正面図である。
【
図10】実施形態に係る部品収容ボックスに収容される電子部品である積層セラミックコンデンサの一例を示す概略斜視図である。
【
図11】
図10に示す積層セラミックコンデンサの製造方法の一例を概略的に示す製造フローである。
【
図12】製造後の積層セラミックコンデンサに対して行う実施形態の処理工程を示す図である。
【
図13】製造後の積層セラミックコンデンサに対して行う検査工程で使用する検査装置を模式的に示す図である。
【
図14】上記検査装置の検査部に部品収容ボックスから積層セラミックコンデンサを落下させて供給する場合にボックス体に装着される漏斗部材を示す図であって、左側は装着前の側面図、右側は装着後であって積層セラミックコンデンサを排出させる状態を示す側面図である。
【
図15】製造後の積層セラミックコンデンサに対して行う熱処理工程を行う熱処理ラインを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ実施形態について説明する。
図1及び
図2は、実施形態に係る部品収容ボックス1の斜視図である。
図3は、部品収容ボックス1の分解平面図である。実施形態の部品収容ボックス1は、同一構成の金属製の2つのボックス体20、すなわち第1のボックス体20Aと第2のボックス体20Bとが、連結部29を介して折り畳み可能に連結された構成を有する。
図1は、第1のボックス体20Aと第2のボックス体20Bとが折り畳まれて互いに重なった状態を示している。
図2は、第1のボックス体20Aと第2のボックス体20Bとが互いに離間した開放状態を示している。以下では、第1のボックス体20Aと第2のボックス体20Bとを、共通の構成を有することから単にボックス体20と称して区別せずに説明する場合がある。
【0010】
実施形態の連結部29は、第1のボックス体20Aと第2のボックス体20Bとを互いに折り畳み可能に連結するヒンジである。連結部29は、第1のボックス体20Aと第2のボックス体20Bとを、互いに重なる折り畳み状態と、この折り畳み状態から概ね180°開いて互いに離間する開放状態との2つの状態に開閉可能に連結する。連結部29を介して、第1のボックス体20Aと第2のボックス体20Bとが互いに回転可能に連結されている。第1のボックス体20A及び第2のボックス体20Bのそれぞれに、複数の部品が収容される。実施形態では、第1のボックス体20A及び第2のボックス体20Bに、後述する積層セラミックコンデンサ10が収容される。なお、積層セラミックコンデンサ10は実施形態の部品収容ボックス1に収容される部品の一例であって、この他には、例えばインダクタ等のチップ状の電子部品が収容可能である。また、収容される電子部品等の部品は、完成品に限られず、製造途中の未完成品の場合もある。
【0011】
以下、ボックス体20について説明する。
図4は、ボックス体20の斜視図である。ボックス体20は、偏平な直方体形状を有する箱状の部材である。ボックス体20は、その形状から、厚さ方向T2、幅方向W2及び長さ方向L2を有する。ボックス体20は、厚さ方向T2で互いに対向する第1の主板部21a及び第2の主板部21bと、幅方向W2で互いに対向する第1の側板部22a及び第2の側板部22bと、長さ方向L2で互いに対向する第1の端板部23a及び第2の端板部23bと、を有する。
【0012】
図5は、
図4のV-V断面図である。
図6は、
図5のVI-VI断面図である。
図6において、符号10は、ボックス体20に収容される積層セラミックコンデンサである。
図3~
図6に示すように、ボックス体20は、外枠フレーム24と、内枠フレーム25と、を有する。外枠フレーム24及び内枠フレーム25は、いずれも断面コ字状の板金材である。
【0013】
図5に示すように、外枠フレーム24は、長方形状の第1の平板部24aと、第1の平板部24aの幅方向W2の両端から厚さ方向T2の一方側に屈曲する態様でそれぞれ形成された第1の外側側板部24b及び第2の外側側板部24cと、を有する。内枠フレーム25は、長方形状の第2の平板部25aと、第2の平板部25aの幅方向両端から厚さ方向の他方側に屈曲する態様でそれぞれ形成された第1の内側側板部25b及び第2の内側側板部25cと、を有する。外枠フレーム24及び内枠フレーム25は、その長さはほぼ同じであるが、その幅は内枠フレーム25が外枠フレーム24よりもやや小さい。
【0014】
図5に示すように、外枠フレーム24と内枠フレーム25とは、内側の空間が互いに向かい合う状態から外枠フレーム24の内側に内枠フレーム25が収容されて、箱状に組まれる。そして、
図6に示すように、長さ方向L2の一端側の開口部26aが第1の端板部23aで塞がれ、長さ方向L2の他端側の開口部26bが第2の端板部23bで塞がれて、ボックス体20が組み立てられる。外枠フレーム24の第1の外側側板部24bの内側に、内枠フレーム25の第1の内側側板部25bが近接して対向し、外枠フレーム24の第2の外側側板部24cの内側に、内枠フレーム25の第2の内側側板部25cが近接して対向する。ボックス体20の内部に、部品収容空間20sが形成される。
【0015】
外枠フレーム24の第1の平板部24aは、ボックス体20の第1の主板部21aを構成する。内枠フレーム25の第2の平板部25aは、ボックス体20の第2の主板部21bを構成する。互いに対向する2枚の板部である外枠フレーム24の第1の外側側板部24b及び内枠フレーム25の第1の内側側板部25bは、ボックス体20の第1の側板部22aを構成する。互いに対向する2枚の板部である外枠フレーム24の第2の外側側板部24c及び内枠フレーム25の第2の内側側板部25cは、ボックス体20の第2の側板部22bを構成する。以下では、外枠フレーム24の第1の平板部24aをボックス体20の第1の主板部21aと称し、内枠フレーム25の第2の平板部25aをボックス体20の第2の主板部21bと称する場合がある。また、外枠フレーム24の第1の外側側板部24bと内枠フレーム25の第1の内側側板部25bとを、まとめてボックス体20の第1の側板部22aと称し、外枠フレーム24の第2の外側側板部24cと内枠フレーム25の第2の内側側板部25cとを、まとめてボックス体20の第2の側板部22bと称する場合がある。
【0016】
図3に示すように、第1のボックス体20Aの第2の端板部23bと、第2のボックス体20Bの第2の端板部23bとは、連結部29によって連結されている。連結部29で連結されている2つの第2の端板部23bのそれぞれを、第1のボックス体20A及び第2のボックス体20Bに組み込むことにより、第1のボックス体20Aと第2のボックス体20Bとが開閉可能に連結される。第1のボックス体20Aと第2のボックス体20Bとが折り畳まれた状態では、第1の主板部21a同士が対面する。
【0017】
図3に示すように、実施形態の部品収容ボックス1は、第1のボックス体20Aの外枠フレーム24、内枠フレーム25及び第1の端板部23aと、第2のボックス体20Bの外枠フレーム24、内枠フレーム25及び第1の端板部23aと、連結部29で連結された2つの第2の端板部23bの、計7つの金属部品による組み立て体である。ボックス体20を構成する金属としては、耐久性の観点から例えばステンレス等が好ましい。なお、これら7つの金属部品は、適宜な嵌合形態等により、ねじ等の締結部材を用いることなく組み立てが可能に構成されると好ましい。これにより、ボックス体20の分解・組み立てが容易となるとともに、内部の視認性が良好となることから、分解・組み立て時において、排出後に残存する電子部品の確認及び排除を容易に行うことができる。
【0018】
第1の端板部23a及び第2の端板部23bのうち、少なくとも第1の端板部23aは、ボックス体20に開閉可能に取り付けられる蓋体である。すなわち、ボックス体20の長さ方向一端側の開口部26aは、第1の端板部23aで開閉可能となっている。換言すると、第1の端板部23aは、部品収容空間20sを外部に開放する開口部26aが形成されるように開閉可能に設けられている。第1の端板部23aは、例えばワンタッチで開閉可能なラッチ式開閉機構を用いて開閉可能に設けられていると、使い勝手に優れるため好ましいが、開閉機構としてはこれに限定されない。
【0019】
図4に示すように、ボックス体20の第1の主板部21aは、格子状の桟部31を有する。この桟部31で仕切られる複数の開口部分には、部品収容空間20sを外部に開放する開放部としてのメッシュ部32が設けられている。メッシュ部32は、複数の孔32aを含む金網である。メッシュ部32は、桟部31に支持された状態で、桟部31で仕切られる複数の開口部分に張られている。メッシュ部32は、孔32aの開孔率が40%以上90%以下であることが好ましい。
【0020】
図7は、ボックス体20の内枠フレーム25を示す斜視図である。
図7に示すように、内枠フレーム25の第2の平板部25a、すなわちボックス体20の第2の主板部21bも、第1の主板部21aと同様の格子状の桟部33を有する。この桟部33で仕切られる複数の開口部分には、部品収容空間20sを外部に開放する開放部としてのメッシュ部34が設けられている。メッシュ部34は、複数の孔34aを含む金網である。メッシュ部34は、桟部33に支持された状態で、桟部33で仕切られる複数の開口部分に張られている。メッシュ部34は、孔34aの開孔率が40%以上90%以下であることが好ましい。
【0021】
第1の主板部21a側のメッシュ部32及び第2の主板部21b側のメッシュ部34により、ボックス体20の内部は目視で見やすくなっており、収容される積層セラミックコンデンサ10の種類や形状等を確認することができる。なお、桟部31及び桟部33の幅は、メッシュ部32及びメッシュ部34をなるべく大きくする上で小さいほうがよく、例えば10mm程度であると好ましい。外枠フレーム24においては、メッシュ部32がありながらも桟部31により機械的強度が向上する。また、内枠フレーム25においては、メッシュ部34がありながらも桟部33により機械的強度が向上する。
【0022】
図6に示すように、ボックス体20の内部の部品収容空間20sには、複数の緩衝材40が配置されている。実施形態の緩衝材40は、複数の第1の緩衝材41及び複数の第2の緩衝材42を含む。実施形態の第1の緩衝材41は、弾性を有する第1のプレート43Aにより構成されている。実施形態の第2の緩衝材42は、弾性を有する第2のプレート43Bにより構成されている。
【0023】
図7に示すように、第1のプレート43A及び第2のプレート43Bは、いずれも、幅方向W2に延びる細長い長方形状の薄板である。第1のプレート43A及び第2のプレート43Bのそれぞれは、内枠フレーム25の、第1の側板部22aを構成する第1の内側側板部25bと、第2の側板部22bを構成する第2の内側側板部25cとの間に架け渡されている。複数の第1のプレート43A及び第2のプレート43Bは、互いに平行に配置されている。外枠フレーム24の内側に内枠フレーム25が収容されることにより、第1のプレート43A及び第2のプレート43Bはボックス体20の外面に露出しない。これにより、薄板からなる第1のプレート43A及び第2のプレート43Bに手指が触れることがなく安全である。
【0024】
図8の上側の図は第1のプレート43Aを示し、下側の図は第2のプレート43Bを示している。第1のプレート43Aは、第1のメッシュパターン44Aを有する。第1のメッシュパターン44Aは、複数の第1の通路45aと、隣り合う一対の第1の通路45aの間の複数の第1の枠部45bと、を含む。換言すると、第1のメッシュパターン44Aは、複数の第1の枠部45b及び第1の枠部45bの両側に形成される一対の第1の通路45aを有する。第1の通路45aは、第1のプレート43Aの幅方向(
図8で上下方向)に長い長方形の形状を有する貫通孔であり、第1のプレート43Aの長手方向(
図8で左右方向)に等ピッチに並んでいる。ボックス体20に収容される積層セラミックコンデンサ10は、第1の通路45aを通過可能である。第1の枠部45bは、隣り合う第1の通路45aの間の仕切りである。第1のプレート43Aは、長さ方向両端部に爪部46を有する。爪部46は、第1のプレート43Aの幅よりもやや小さい凸部である。
【0025】
図8に示す第2のプレート43Bは、第2のメッシュパターン44Bを有する。第2のメッシュパターン44Bは、複数の第2の通路47aと、隣り合う一対の第2の通路47aの間の複数の第2の枠部47bと、を含む。換言すると、第2のメッシュパターン44Bは、複数の第2の枠部47b及び第2の枠部47bの両側に形成される一対の第2の通路47aを有する。第2の通路47aは、第2のプレート43Bの幅方向(
図8で上下方向)に長い長方形の形状を有する貫通孔であり、第2のプレート43Bの長手方向(
図8で左右方向)に等ピッチに並んでいる。複数の第2の通路47aのピッチは、第1のプレート43Aの複数の第1の通路45aのピッチと同じである。第2の通路47aの幅は、第1の通路45aの幅と同じであり、ボックス体20に収容される積層セラミックコンデンサ10は、第2の通路47aを通過可能である。第2の枠部47bは、隣り合う第2の通路47aの間の仕切りである。第2の枠部47bの幅は、第1の枠部45bの幅と同じである。第2のプレート43Bは、その長さ方向両端部に、第1のプレート43Aの爪部46と同様の爪部48を有する。
【0026】
第1のプレート43Aの第1のメッシュパターン44Aと第2のプレート43Bの第2のメッシュパターン44Bとは、同じ幅の第1の通路45a及び第2の通路47aのそれぞれが長さ方向(ボックス体20での幅方向W2)に等ピッチに並ぶ同様の構成である。
図8に示すように、第2のプレート43Bの第2のメッシュパターン44Bは、第1のプレート43Aの第1のメッシュパターン44Aの第1の通路45aに対して、第2の通路47aのピッチが半ピッチずれている。したがって、第1のプレート43Aの複数の第1の枠部45bと、第2のプレート43Bの複数の第2の枠部47bとは、半ピッチずれている。後述するように、第1の枠部45b及び第2の枠部47bのそれぞれは、ボックス体20に投入されて落下する積層セラミックコンデンサ10が当たることにより、落下の勢いを緩衝する作用を果たす。
【0027】
図7及び
図9に示すように、複数の第1のプレート43Aのそれぞれは、内枠フレーム25の第1の内側側板部25b及び第2の内側側板部25cのそれぞれに形成されているスリット27に、両端の爪部46が挿入されることにより、内枠フレーム25に着脱可能に取り付けられる。両端の爪部46は、第1のプレート43Aをやや撓ませることによってスリット27に挿入することができる。第2のプレート43Bも、内枠フレーム25の第1の内側側板部25b及び第2の内側側板部25cのそれぞれに形成されているスリット27に、両端の爪部48が挿入されることにより、内枠フレーム25に着脱可能に取り付けられる。
【0028】
ボックス体20においては、
図6に示すように、第1の端板部23aを上側に配置して立てた状態で、第1の端板部23aが外されて開放された上方の開口部26aから、複数の積層セラミックコンデンサ10が部品収容空間20sに投入される。したがって第2の端板部23bは、ボックス体20の底部20dとされる。以下では、第2の端板部23bをボックス体20の底部20dと称する場合がある。
【0029】
ボックス体20が、
図6に示す積層セラミックコンデンサ10が投入される投入姿勢において、複数の第1のプレート43A及び複数の第2のプレート43Bは、開口部26aから底部20dにわたり所定位置に間隔をおいて配置される。実施形態においては、開口部26aから底部20dに向かって、第1のプレート43Aが3段配置され、次に第2のプレート43Bが1段配置され、次いで3段の第1のプレート43Aと1段の第2のプレート43Bが配置され、底部20dの近傍に第1のプレート43Aが1段、計9段が配置されている。ここで、最も開口部26aに近い1段目の第1のプレート43Aは、開口部26aから底部20dに至る落下距離に対し、開口部26aから10%以上13%以下の位置に配置されることが好ましい。ここでいう落下距離は、ボックス体20の長さにほぼ等しい。
【0030】
図6に示す複数の第1のプレート43A及び第2のプレート43Bは、例えば次のように配置される。ボックス体20の上端である開口部26aから、1段目の第1のプレート43AまでのピッチEは、12.6mmとされる。1段目の第1のプレート43Aから3段目の第1のプレート43AまでのピッチFは同じで5mm、3段目の第1のプレート43Aから8段目の第2のプレート43BまでのピッチGは同じで10mmとされる。最も底部20dに近い9段目の第1のプレート43Aから底部20dまでのピッチHは11.2mmとされる。8段目の第2のプレート43Bと9段目の第1のプレート43Aとの間の距離は任意であり、この間に、少なくとも1つの第1のプレート43Aまたは第2のプレート43Bを配置してもよい。なお、実施形態の複数の第1のプレート43A及び第2のプレート43Bの数及び配置パターンは、
図6で示すものに限定されない。
【0031】
図6に示す投入姿勢のボックス体20においては、積層セラミックコンデンサ10の落下方向である第1の端板部23aから第2の端板部23bに向かう方向(矢印Mの方向)でみた場合に、第2のプレート43Bの第2の枠部47bは、第1のプレート43Aの第1の通路45aに重なる位置に配置される。これは、
図8に示したように、第1のプレート43Aの複数の第1の枠部45bと、第2のプレート43Bの複数の第2の枠部47bとが互いに半ピッチずれた千鳥配置になっているからである。
【0032】
以上の構成を備えた2つのボックス体20、すなわち第1のボックス体20Aと第2のボックス体20Bとが連結部29を介して連結されて、部品収容ボックス1が構成される。実施形態に係る部品収容ボックス1は、複数の積層セラミックコンデンサ10が収容されて、運搬や保管、あるいは各種の処理を、部品収容ボックス1ごと行うように使用される。
【0033】
ここで、部品収容ボックス1の使用例を説明する前に、積層セラミックコンデンサ10の構造及び製造方法について簡単に説明しておく。
【0034】
図10に示すように、積層セラミックコンデンサ10は、全体として略直方体形状を有する。この積層セラミックコンデンサ10は、積層体11と、互いに離間して配置された一対の外部電極12と、を備えている。
【0035】
図10において、矢印T1は、積層セラミックコンデンサ10及び積層体11の積層方向を示している。
図10において、矢印L1は、積層セラミックコンデンサ10及び積層体11の、積層方向T1に直交する長さ方向を示している。
図10において、矢印W1は、積層セラミックコンデンサ10及び積層体11の、積層方向T1及び長さ方向L1に直交する幅方向を示している。
【0036】
積層セラミックコンデンサ10の寸法は、例えば、長さ方向L1が3.2mm、幅方向W1が2.5mm、積層方向T1が1mm以上3mm以下程度の、いわゆる3225サイズであるが、これに限定されない。
【0037】
積層体11は、積層方向T1において相対する一対の主面11aと、幅方向W1において相対する一対の側面11bと、長さ方向L1において相対する一対の端面11cと、を有する。
【0038】
積層体11は、積層方向T1に沿って積層された複数の誘電体セラミック層のそれぞれの間に内部電極層が積層された内部構造を有する。誘電体セラミック層は、例えばチタン酸バリウムを主成分とするセラミックス材料により形成される。内部電極層は、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等に代表される金属材料、あるいは他の導電材料により形成される。一対の外部電極12は、積層体11の一対の端面11cのそれぞれを覆って配置される。外部電極12は、NiやCu等を主成分とする金属膜で形成され、表面にSn等によるめっき層を備える場合もある。積層体11の各端面11cにおいては、複数の内部電極層が外部電極12と接触して電気的に接続されている。積層セラミックコンデンサ10は、一対の外部電極12の間に、複数のコンデンサ要素が電気的に並列に接続された構造を備えている。
【0039】
積層セラミックコンデンサ10は、例えば、誘電体セラミック層及び内部電極層となる材料が積層されて積層体11の原形が形成され、その積層体11となる各材料が焼成され、この後、外部電極12が形成されることにより製造される。以下は、その製造方法の一例である。
【0040】
図11は、積層セラミックコンデンサ10の製造フローを概略的に示している。はじめに、複数のセラミックシートの間に導電体ペーストを印刷等の手段で形成したマザーブロックを作製する(ステップS1)。次いで、そのマザーブロックを分断して個片化し、積層体11の主体部分となる積層体チップを複数得る(ステップS2)。次いで、それら個々の積層体チップに対し必要に応じて被覆用セラミックシートを貼り付けて、積層体11の原形を形成する(ステップS3)。次いで、加熱しながら圧力を付与する熱圧着を行って積層体11を加圧成形する(ステップS4)。次いで、得られた積層体11を所定の温度で焼成し、セラミックシートを誘電体セラミック層とするとともに、導電ペーストを内部電極層とする(ステップS5)。次いで、外部電極12用の導電ペーストを塗布して焼き付ける等の方法で、外部電極12を形成する(ステップS6)。
【0041】
次に、上述した積層セラミックコンデンサ10を複数収容することのできる部品収容ボックス1の使用例を説明するが、部品収容ボックス1の使用方法はこれに限られない。
【0042】
図12は、上述したように製造された複数の積層セラミックコンデンサ10に対して行う工程の例を示している。
図12に示すように、製造後の複数の積層セラミックコンデンサ10に対して、まず、所定の電気特性を備えているか否かを検査する検査工程が行われる。次いで、検査後の後処理工程が行われた後、所定の熱処理工程が行われる。
【0043】
図13は、検査工程を行う検査装置100を模式的に示している。検査装置100は、通過する積層セラミックコンデンサ10の電気特性を検査する検査部101を有している。複数の積層セラミックコンデンサ10を収容した部品収容ボックス1は、検査部101の上側に、ボックス体20の開口部26aを塞ぐ第1の端板部23aを下側にして立てた状態でセットされる。第1の端板部23aを開いて、開口部26aから積層セラミックコンデンサ10が落下し、検査部101を通過する間に積層セラミックコンデンサ10の電気特性が検査される。検査部101を通過した検査後の積層セラミックコンデンサ10は、検査部101の下側にセットされる空の部品収容ボックス1内に落下して移し替えられる。空の部品収容ボックス1は、第1の端板部23aで塞がれる開口部26aを上にして立て、第1の端板部23aを開いた状態にセットされる。
【0044】
上側にセットされる検査前のボックス体20の開口部26aには、
図14に示すように漏斗部材110を取り付けるとよい。漏斗部材110は、第1の端板部23aを外したボックス体20の開口部26aに着脱可能に装着される。漏斗部材110は、ボックス体20の開口部26aに装着される装着側開口部110aと、積層セラミックコンデンサ10が排出される排出側開口部110bと、を有する。漏斗部材110は、装着側開口部110aから排出側開口部110bに向かってしだいに断面積が小さくなる薄板テーパ状の外観を有する筒状の部材である。漏斗部材110は、その内部に、上述した第1のプレート43A及び第2のプレート43Bと同様の構造を有する複数のメッシュプレート111が配置されると好ましい。
【0045】
メッシュプレート111は、積層セラミックコンデンサ10が通過可能な複数の通過開口111aと、通過開口111aの両側の棒部111bとが、並列している構造を有する。複数のメッシュプレート111は、装着側開口部110aから排出側開口部110bに向かう落下導入方向に、間隔をおいて複数(図示例では3つ)が配置されている。隣り合うメッシュプレート111においては、落下導入方向でみた場合に通過開口111aと棒部111bとが重なるように千鳥配置されている。漏斗部材110の排出側開口部110bの近傍には、排出側開口部110bを塞ぐシャッター112が着脱可能に挿入される。
【0046】
図14の左側の図のように、第1の端板部23aを外して開口部26aから複数の積層セラミックコンデンサ10をボックス体20の内部に収容した後に、開口部26aに漏斗部材110を装着する。この状態から、
図14の右側に示すように、ボックス体20を上下逆さまにして漏斗部材110を下側に配置して、ボックス体20を上記検査装置100にセットする。そして、ボックス体20から積層セラミックコンデンサ10を検査部101に落下させるときに、シャッター112を外して開口部26aを開く。
【0047】
検査装置100において下側に配置した移し替え用の空の部品収容ボックス1内に検査後の複数の積層セラミックコンデンサ10が収容されたら、
図12に示すように、次の後処理工程に進む。
【0048】
なお、検査前の複数の積層セラミックコンデンサ10を収容する部品収容ボックス1と、検査後に積層セラミックコンデンサ10が移し替えられる部品収容ボックス1は、外観上は共通しており、見分けがつかない。そこで、
図1に示すように、部品収容ボックス1に、識別用の情報コード150を貼り付け、この情報コード150を読み取ることで部品収容ボックス1の種別を確認可能に構成すると好ましい。なお、情報コード150としては、バーコードやQRコード(登録商標)等を使用することができる。
【0049】
後処理工程は、検査工程の後で必要に応じて行う所定の工程である。例えば、検査工程後の複数の積層セラミックコンデンサ10が収容されている部品収容ボックス1から、積層セラミックコンデンサ10を所定数抜き取るか、あるいは全数を取り出して、その積層セラミックコンデンサ10に対して外観確認等の手段によりクラックの有無を検査する工程が挙げられる。この工程においても、最初の検査工程と同様に、部品収容ボックス1に収容して積層セラミックコンデンサ10をクラック検査へ供給するとともに、クラック検査後の積層セラミックコンデンサ10を部品収容ボックス1に収容して回収するようにすることができる。また、後処理工程としては、最初の検査工程で電気特性が不良と判断されて回収された積層セラミックコンデンサ10に対して、電気特性を再度検査することもある。
【0050】
後処理工程で所定の処理を行い、次いで、熱処理工程に進む。なお、各工程間は、部品収容ボックス1をコンテナ130内に収容し、そのコンテナ130を例えばAGV(Automatic Guided Vehicle:無人搬送車)等の輸送手段で輸送する。部品収容ボックス1は、折り畳み状態でコンテナ130内に横置きにして収容される。
【0051】
熱処理工程は、
図15に示すような熱処理ライン140に、後処理を終えた部品収容ボックス1が引き続き導入される。熱処理ライン140は、導入部141に導入された部品収容ボックス1が加熱部142に送られ、加熱部142を通過する所定時間の間、所定温度で複数の積層セラミックコンデンサ10が部品収容ボックス1ごと加熱される。次いで、冷却部143を通過する間に積層セラミックコンデンサ10は常温付近まで冷却される。この後、第1搬送路144、第2搬送路145を経てストック部146に複数の部品収容ボックス1がストックされ、必要に応じて搬出部147から搬出される。なお、熱処理工程での加熱部142による加熱、及び冷却部143による冷却のそれぞれでは、
図2に示すように部品収容ボックス1を開いた状態で行うと好ましい。これにより、積層セラミックコンデンサ10は第1の主板部21a側のメッシュ部32を介してボックス体20の内部が外部に連通するので、加熱効率及び冷却効率が向上する。
【0052】
以上により、大量生産される積層セラミックコンデンサ10は、所定数が部品収容ボックス1に収容され、部品収容ボックス1ごと所定の処理を行うことができる。検査工程を終えた後には、部品収容ボックス1から積層セラミックコンデンサ10を他の容器に移し替えることなく後処理工程及び熱処理工程が一貫して行われる。このように、部品収容ボックス1は、複数の工程で共通して使用される。よって、各工程を行うごとに複数の積層セラミックコンデンサ10が異なるボックスに移し替えられる場合に比べて、積層セラミックコンデンサ10に欠けや割れ等の物理的損傷が生じにくい。また、処理工程にかかる時間を削減することができる。
【0053】
次に、実施形態の部品収容ボックス1の作用を説明する。
図6は、ボックス体20の内部の部品収容空間20sに複数の積層セラミックコンデンサ10が開口部26aから投入されている状態を示している。開口部26aから投入された積層セラミックコンデンサ10は、部品収容空間20sを底部20dに向かって落下していく。なお、以下での第1のプレート43A及び第2のプレート43Bの配置を表す「段目」の数は、開口部26aから底部20dまでの配列の順序をいう。
【0054】
開口部26aを通過した積層セラミックコンデンサ10は、4段目の第2のプレート43Bまでは、例えば、次のような態様で落下する。1段目の第1のプレート43Aの上面に当たってから、3段目の第1のプレート43Aまでの上下方向に連通する各第1の通路45aを通過するか、あるいは横方向にはじかれることにより2段目の第1のプレート43Aや3段目の第1のプレート43Aに当たりながら、第1の通路45aを通過して落下し、4段目の第2のプレート43Bの上面に当たる。また、1段目から3段目までの各第1のプレート43Aに接触せずにこれら3つの第1のプレート43Aの上下方向に連通する各第1の通路45aを通過して、4段目の第2のプレート43Bの上面に当たる場合もある。1段目の第1のプレート43Aには、複数の第1の枠部45bのいずれか1つの上面に当たるか、第1のプレート43Aの両端部の上面に当たるかのいずれかである。4段目の第2のプレート43Bには、複数の第2の枠部47bのいずれか1つの上面に当たるか、第2のプレート43Bの両端部の上面に当たるかのいずれかである。いずれにしろ、積層セラミックコンデンサ10は、1段目から3段目までの第1のプレート43Aの少なくとも1つに当たりながら、あるいは当たらずに、各第1の通路45aを通過した後、4段目の第2のプレート43Bの上面に当たる。落下する積層セラミックコンデンサ10が、第1のプレート43Aに当たったり、4段目の第2のプレート43Bの第2の枠部47bの上面あるいは両端部の上面に当たったりすることにより、積層セラミックコンデンサ10の落下速度は低減する。すなわち、落下の勢いが緩衝される。
【0055】
次いで、積層セラミックコンデンサ10は、4段目の第2のプレート43Bのいずれかの第2の通路47aを通過して再び落下するが、次の5段目の第1のプレート43Aの上面に当たることにより、再び落下の勢いが緩衝される。5段目の第1のプレート43Aには、複数の第1の枠部45bのいずれか1つの上面に積層セラミックコンデンサ10が当たる。次いで、積層セラミックコンデンサ10は、5段目の第1のプレート43Aのいずれかの第1の通路45aを通過して再び落下する。5段目の第1のプレート43Aの第1の通路45aを通過した積層セラミックコンデンサ10は、6段目の第1のプレート43A及び7段目の第1のプレート43Aの少なくとも1つに当たりながら、もしくは当たらずに、上下方向に連通する各第1の通路45aを通過し、8段目の第2のプレート43Bの上面に当たる。8段目の第2のプレート43Bには、複数の第2の枠部47bのいずれか1つの上面に当たるか、第2のプレート43Bの両端部の上面に当たるかのいずれかである。これにより、積層セラミックコンデンサ10の落下の勢いが緩衝される。
【0056】
8段目の第2のプレート43Bの上面に当たった積層セラミックコンデンサ10は、8段目の第2のプレート43Bのいずれかの第2の通路47aを通過して再び落下する。そして、積層セラミックコンデンサ10は、最後の9段目の第1プレート43Aの上面に当たるか、もしくは9段目の第1のプレート43Aの第1の通路45aを通過して、底部20dに落下する。9段目の第1プレート43Aには、主に第1の枠部45bの上面に当たり、これにより落下の勢いが緩衝される。上記のような落下の途中においては、積層セラミックコンデンサ10は第1のプレート43Aや第2のプレート43Bに当たってはじかれることにより、一旦横方向、あるいは斜め上方あるいは斜め下方に移動しながら落下する場合がある。
【0057】
以上は、ボックス体20が空、あるいは積層セラミックコンデンサ10の投入数が少ない段階での作用である。複数の積層セラミックコンデンサ10は底部20d上に堆積し、それ以降は、堆積した積層セラミックコンデンサ10の上に堆積していく。投入数が増えるにつれて、下方から順に第1のプレート43A及び第2のプレート43Bは堆積する積層セラミックコンデンサ10で埋められていく。
【0058】
以上のように、ボックス体20の内部に投入された積層セラミックコンデンサ10は、落下の途中で第1のプレート43A及び第2のプレート43Bに複数回にわたり当たることにより、落下の勢いがその都度緩衝される。これにより、積層セラミックコンデンサ10に欠けや割れ等の物理的損傷が生じにくい。したがって、最終的に出荷する積層セラミックコンデンサ10の歩留まりが向上する。なお、積層セラミックコンデンサ10に欠けや割れ等の物理的損傷が生じにくくする効果を顕著に得る上では、第1のプレート43A及び第2のプレート43Bによる緩衝作用により、ボックス体20内での積層セラミックコンデンサ10の落下速度を、例えば0.8m/sec以下に抑えられると好ましい。また、積層セラミックコンデンサ10は、3段目の第1のプレート43Aまでに少なくとも1回当たるように構成されると、落下の初期の勢いを効果的に緩衝することができるので好ましい。
【0059】
なお、
図6及び
図7に示す実施形態においては、開口部26aから底部20dに向かって、第1のプレート43Aが3段、第2のプレート43Bが1段、の配置パターンが2回繰り返されているが、開口部26aから底部20dに向かう配置のパターンはこれに限られない。例えば、第2のプレート43Bが1段の次に第1のプレート43Aが3段配置されるパターンでもよく、第1のプレート43Aと第2のプレート43Bが交互に配置されてもよい。さらに、メッシュパターンが第1のプレート43Aと第2のプレート43Bとは異なる第3のプレートを含む任意のパターンで配置してもよい。さらに、それらプレートの間隔も、様々な態様に選択される。いずれにしろ、第1のプレート43A及び第2のプレート43Bの配置パターンや間隔は、落下する積層セラミックコンデンサ10を効果的に緩衝して損傷を抑制できるように適宜設定される。
【0060】
以上説明した実施形態に係る部品収容ボックス1は、互いに対向する第1の主板部21a及び第2の主板部21bと、互いに対向する第1の側板部22a及び第2の側板部22bと、互いに対向する第1の端板部23a及び第2の端板部23bと、により、部品収容空間20sが形成される少なくとも1つのボックス体20を備え、部品収容空間20sには、第1の主板部21aと第2の主板部21bとの間にわたって設けられる緩衝材40が配置されている。
【0061】
これにより、ボックス体20に投入される積層セラミックコンデンサ10の落下の勢いが緩衝材40により緩衝されるので、積層セラミックコンデンサ10に欠けや割れ等の物理的損傷が生じにくい。
【0062】
実施形態に係る部品収容ボックス1においては、ボックス体20の部品収容空間20sに設けられる緩衝材40は、少なくとも第1の緩衝材41及び第2の緩衝材42を含み、第1の緩衝材41の緩衝作用位置と第2の緩衝材42の緩衝作用位置とが、互いに異なることが好ましい。
【0063】
これにより、ボックス体20内に投入されて落下する積層セラミックコンデンサ10は、第1の緩衝材41及び第2の緩衝材42のいずれにも緩衝作用を受けることが可能であり、物理的損傷を効果的に抑制することができる。
【0064】
実施形態に係る部品収容ボックス1においては、第1の端板部23a及び第2の端板部23bの少なくとも一方は、部品収容空間20sを外部に開放する開口部26aが形成されるように開閉可能に設けられていることが好ましい。
【0065】
これにより、ボックス体20内に開口部26aから積層セラミックコンデンサ10を容易に投入したり移し替えたりすることができるとともに、その開口部26aが閉じられてボックス体20内への収容状態を容易に保持することができる。
【0066】
実施形態に係る部品収容ボックス1においては、第1の緩衝材41は、第1のメッシュパターン44Aを有する第1のプレート43Aを含み、第1のメッシュパターン44Aは、少なくとも1つの第1の枠部45b及び当該第1の枠部45bの両側に配置される一対の第1の通路45aを有する形態を含む。
【0067】
これにより、第1の緩衝材41を簡素に構成できるとともに、第1の枠部45bにより積層セラミックコンデンサ10の落下の勢いを的確に緩衝して物理的損傷を効果的に抑制することができる。
【0068】
実施形態に係る部品収容ボックス1においては、第2の緩衝材42は、第2のメッシュパターン44Bを有する第2のプレート43Bを含み、第2のメッシュパターン44Bは、少なくとも1つの第2の枠部47b及び当該第2の枠部47bの両側に配置される一対の第2の通路47aを有し、第1の端板部23aから第2の端板部23bに向かう方向でみた場合に、第2の枠部47bが、上記第1の緩衝材41の第1の通路45aに重なる位置に配置されている形態を含む。
【0069】
これにより、第2の緩衝材42を簡素に構成できるとともに、第1の緩衝材41と協働して第2の枠部47bにより積層セラミックコンデンサ10の落下の勢いを的確に緩衝して、積層セラミックコンデンサ10の物理的損傷を効果的に抑制することができる。
【0070】
実施形態に係る部品収容ボックス1においては、第1のプレート43A及び第2のプレート43Bのうち、少なくとも一方を複数有することが好ましい。
【0071】
これにより、ボックス体20内を落下する積層セラミックコンデンサ10を緩衝する第1のプレート43A及び第2のプレート43Bの数が増加するため、緩衝が十分になされて積層セラミックコンデンサ10の物理的損傷をより一層抑制することができる。
【0072】
実施形態に係る部品収容ボックス1においては、ボックス体20は金属製であることが好ましい。
【0073】
これにより、ボックス体20の耐久性が向上するとともに、ボックス体20内に収容される積層セラミックコンデンサ10への熱伝導効率が向上することにより熱処理工程の効率化が図られる。
【0074】
実施形態に係る部品収容ボックス1においては、ボックス体20の第1の主板部21a及び第2の主板部21bのそれぞれに、部品収容空間20sを外部に開放する開放部として、孔32aを含むメッシュ部32、及び孔34aを含むメッシュ部34が設けられていることが好ましい。
【0075】
これにより、メッシュ部32及びメッシュ部34によりボックス体20の内部が外部に連通するため、ボックス体20内に収容される積層セラミックコンデンサ10に対する加熱効率及び放熱効率が向上し、熱処理工程の効率化が図られる。
【0076】
実施形態に係る部品収容ボックス1においては、メッシュ部32及びメッシュ部34のそれぞれは、孔32a及び34aの開孔率が40%以上90%以下であり、第1の主板部21a及び第2の主板部21bのそれぞれは、メッシュ部32及びメッシュ部34を支持する桟部31及び桟部33を有することが好ましい。
【0077】
メッシュ部32の孔32a及びメッシュ部34の34aのそれぞれの開孔率が40%以上90%以下であることにより、ボックス体20内に収容される積層セラミックコンデンサ10に対する加熱効率及び放熱効率が向上し、熱処理工程の効率化がより一層図られる。メッシュ部32及びメッシュ部34は、それぞれ桟部31及び桟部33で補強された状態で支持されることにより、耐久性が確保される。
【0078】
実施形態に係る部品収容ボックス1においては、ボックス体20として、少なくとも第1のボックス体20Aと第2のボックス体20Bとの2つを備え、第1のボックス体20Aと第2のボックス体20Bとを互いに連結する連結部29を有することが好ましい。
【0079】
これにより、部品収容ボックス1に収容する積層セラミックコンデンサ10の収容容量の増加を図ることができるため、部品収容ボックス1ごとの所定の処理の効率化を図ることができる。
【0080】
実施形態に係る部品収容ボックス1においては、第1のボックス体20Aと第2のボックス体20Bとを連結する連結部29は、第1のボックス体20Aと第2のボックス体20Bとを、互いに重なる折り畳み状態と、当該折り畳み状態から互いに離間する開放状態との2つの状態に開閉可能に連結することが好ましい。
【0081】
これにより、第1のボックス体20Aと第2のボックス体20Bとを互いに折り畳み状態とすることにより、省スペースで多数の積層セラミックコンデンサ10を部品収容ボックス1ごと所定の処理を行うことができる。また、開放状態とすることにより、第1のボックス体20A及び第2のボックス体20Bに収容された積層セラミックコンデンサ10を容易に確認することが可能になるとともに、熱処理時において加熱効率及び放熱効率が向上する。
【0082】
実施形態に係る部品収容ボックス1においては、ボックス体20内の部品収容空間20sに、積層セラミックコンデンサ10等の電子部品を収容することができる。
【0083】
実施形態に係る部品収容ボックス1においては、第1の端板部23aに対応して開口部26aが設けられ、第2の端板部23bが底部20dとされ、開口部26aから底部20dに向けて、部品収容空間20sに積層セラミックコンデンサ10が落下状態で投入される構成であって、複数の緩衝材40が、開口部26aから底部20dにわたり配置され、当該複数の緩衝材40のうち、最も開口部26aに近い緩衝材40である第1のプレート43Aは、開口部26aから底部20dに至る落下距離に対し、開口部26aから10%以上13%以下の位置に配置されていることが好ましい。
【0084】
これにより、最も開口部26aに近い緩衝材40である第1のプレート43Aによって、ボックス体20内に投入された積層セラミックコンデンサ10は最初に効果的に緩衝作用を受ける。このため、積層セラミックコンデンサ10に欠けや割れ等の物理的損傷が生じにくい。
【0085】
以上、複数の実施形態について説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0086】
例えば、緩衝材40として、上記実施形態では積層セラミックコンデンサ10が通過する通路及び落下する積層セラミックコンデンサ10が当たる枠部が並列する構成を備えた第1のプレート43A及び第2のプレート43Bを示したが、落下する積層セラミックコンデンサ10が当たって落下速度が低減するように緩衝される構成であれば、いかなる態様であってよい。
【0087】
第1のプレート43A及び第2のプレート43Bの数や配列パターンは任意である。例えば、内枠フレーム25の第1の内側側板部25b及び第2の内側側板部25cに形成するスリット27を多数設け、それらスリット27に選択的に第1のプレート43A及び第2のプレート43Bを装着して、第1のプレート43A及び第2のプレート43Bの数や配列パターンを容易に調整できるようにしてもよい。
【0088】
部品収容ボックス1は、2つのボックス体20、すなわち第1のボックス体20Aと第2のボックス体20Bとの組み合わせであるが、3つあるいはそれ以上の数のボックス体20を組み合わせて1つの部品収容ボックス1を構成してもよい。
【0089】
ボックス体20の第1の主板部21a及び第2の主板部21bのそれぞれにメッシュ部が設けられているが、これに加えて、第1の側板部22a及び第2の側板部22b、第1の端板部23a及び第2の端板部23bのうちの少なくとも1つ、または全てに、メッシュ部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 部品収容ボックス
10 積層セラミックコンデンサ(部品)
20 ボックス体
20A 第1のボックス体
20B 第2のボックス体
20d 底部
20s 部品収容空間
21a 第1の主板部
21b 第2の主板部
22a 第1の側板部
22b 第2の側板部
23a 第1の端板部
23b 第2の端板部
26a 開口部
29 連結部
31、33 桟部
32、34 メッシュ部(開放部)
32a、34a メッシュ部の孔
40 緩衝材
41 第1の緩衝材
42 第2の緩衝材
43A 第1のプレート
43B 第2のプレート
44A 第1のメッシュパターン
44B 第2のメッシュパターン
45a 第1の通路
45b 第1の枠部
47a 第2の通路
47b 第2の枠部