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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114151
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】積載具
(51)【国際特許分類】
   B65D 19/44 20060101AFI20230809BHJP
【FI】
B65D19/44 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016334
(22)【出願日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 雅志
(72)【発明者】
【氏名】野田 匡汰
【テーマコード(参考)】
3E063
【Fターム(参考)】
3E063AA14
3E063BA05
3E063CA21
3E063EE01
3E063FF06
3E063FF20
(57)【要約】
【課題】物品の積み込みおよび取り出しが容易な積載具を提供すること。
【解決手段】本開示技術に係る積載具1は、壁部を有する壁部付き物品を積載する積載部9と、積載部9の内側に積載部9から突出して形成され、積載部9に壁部を向けた姿勢で積載部9に積載された壁部付き物品の壁部に内側から対向する内側規制部2と、内側規制部2の外面の一部に設けられ、内側規制部2の外側から内側に向かって積載部9からの突出量が増加している内側傾斜部12とを有している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁部を有する壁部付き物品を積載する積載部と、
前記積載部の内側に前記積載部から突出して形成され、前記積載部に壁部を向けた姿勢で前記積載部に積載された壁部付き物品の壁部に内側から対向する内側規制部と、
前記内側規制部の外面の一部に設けられ、前記内側規制部の外側から内側に向かって前記積載部からの突出量が増加している内側傾斜部とを有する積載具。
【請求項2】
請求項1に記載の積載具であって、
前記内側規制部の外面のうち前記内側傾斜部以外の部分の少なくとも一部に設けられ、垂直であるかもしくは前記内側規制部の外側から内側に向かって前記内側傾斜部より急峻に前記積載部からの突出量が増加している背面部を有する積載具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の積載具であって、
前記積載部の外側に前記積載部から前記内側規制部の突出と同じ向きに突出して形成され、前記壁部付き物品の壁部に外側から対向する外側規制部と、
前記外側規制部と前記積載部との境目に設けられ、前記積載部側から前記外側規制部側に向かって前記積載部からの突出量が増加している外側傾斜部とを有し、
前記内側傾斜部の少なくとも一部と前記外側傾斜部の少なくとも一部とが、前記積載部を間に置いて対向して配置されている積載具。
【請求項4】
請求項3に記載の積載具であって、
複数組の前記積載部と前記内側規制部との組み合わせを有し、
各前記積載部が環状であり、
前記外側規制部として、各前記積載部のいずれとも隣接する中央規制部を有し、
前記中央規制部の周縁には、各前記積載部に対応して複数の前記外側傾斜部が設けられている積載具。
【請求項5】
請求項4に記載の積載具であって、
前記積載部の外側であって当該積載部に対して前記中央規制部の反対側である位置に隅部を有する平面視形状のものであり、
前記隅部に前記積載部から前記内側規制部の突出と同じ向きに突出して形成された隅突出部を有し、
前記隅突出部の前記積載部からの突出量が、前記中央規制部の頂部の前記積載部からの突出量より小さい積載具。
【請求項6】
請求項4に記載の積載具であって、
前記積載部の外側であって当該積載部に対して前記中央規制部の反対側である位置に隅部を有するとともに、隣り合う前記積載部のいずれに対しても外側であって当該隣り合う積載部同士の最近接箇所に対して前記中央規制部の反対側である位置に辺部を有する平面視形状のものであり、
前記隅部に前記積載部から前記内側規制部の突出と同じ向きに突出して形成された隅突出部を有し、
前記外側規制部として、前記辺部に設けられた辺規制部を有し、
前記隅突出部の頂部の前記積載部からの突出量が、前記中央規制部の頂部の前記積載部からの突出量より小さく、
前記辺規制部における前記隅突出部側の部位に、前記隅突出部側に向かって前記積載部からの突出量が減少している辺傾斜部が形成されている積載具。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1つに記載の積載具であって、
略矩形状の平面視形状の一体成形品であり、
前記各内側規制部の内部の領域には、凹んでいる盆状部と、前記盆状部よりさらに凹んでいる凹部とが設けられており、
前記凹部の裏面が、前記積載部の裏面よりも前記積載部から前記内側規制部の突出と逆向きに突出している下方規制部とされている積載具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は、積載具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているパレットは、ドラム缶その他の物品を積載することができる積載具である。パレットに物品を積載している状態で、パレットごと物品を保管しあるいは搬送することができる。同文献のパレットには、環状の溝が形成されている。ドラム缶を積載するとその底面の凸状の縁が溝に嵌まるようにされている。これにより、パレット上でのドラム缶の横滑りや落下を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3077235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の技術には、次のような問題点があった。パレット上への物品の積み込み時、およびパレット上からの物品の取り出し時の作業性があまりよくないのである。一般的にこの種の積載具上への物品の積み込みは、物品をパレットの上に対して水平方向に移動させて行う。このため、環状の溝の位置に対して物品の位置が正しく合うまでは溝に縁が嵌まった安定状態にならない。取り出し時には、まず物品を垂直に持ち上げて溝から縁を脱出させないと、物品を水平に移動させて取り出すことができない。
【0005】
さらに、これらの作業は通常、物品を昇降機付き運搬車(リフト車)で持ち上げて行う。この運搬車の昇降機能により、持ち上げられた物品が傾斜した姿勢となる場合がある。この場合には持ち上げられた物品の傾斜が、積み込み作業、取り出し作業の支障となる場合がある。積み込み時には、新たに積み込もうとする物品が傾斜しているため、パレットの溝の凹凸に物品の底面の縁が引っ掛かることがあるためである。傾斜して持ち上げられている物品と積み込み済みの他の物品との接触により積載位置への位置決めが妨げられることもある。取り出し時には、まず持ち上げの際に物品が傾斜しようとするので、このときに溝の凹凸との引っ掛かりまたは他の物品との接触により持ち上げが妨げられることがある。
【0006】
本開示技術は、前記した従来の積載具が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは、物品の積み込みおよび取り出しが容易な積載具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示技術の一態様における積載具は、壁部を有する壁部付き物品を積載する積載部と、積載部の内側に積載部から突出して形成され、積載部に壁部を向けた姿勢で積載部に積載された壁部付き物品の壁部に内側から対向する内側規制部と、内側規制部の外面の一部に設けられ、内側規制部の外側から内側に向かって積載部からの突出量が増加している内側傾斜部とを有しているものである。
【0008】
上記態様における積載具では、積載部に壁部付き物品を積載することができる。壁部付き物品は積載部上に、積載部に壁部を向けた姿勢で積載される。積載された壁部付き物品の壁部に対して内側から内側規制部が対向する。内側規制部の外面の一部が内側傾斜部とされている。そこでは内側規制部の外側から内側に向かって積載部からの突出量が増加しているので、壁部付き物品の積み降ろし時における壁部と内側規制部との引っ掛かりが起こりにくい。
【0009】
上記態様における積載具では、内側規制部の外面のうち内側傾斜部以外の部分の少なくとも一部に設けられ、垂直であるかもしくは内側規制部の外側から内側に向かって内側傾斜部より急峻に積載部からの突出量が増加している背面部を有することが望ましい。このようになっていることで、積載部に積載されている状態での壁部付き物品が安定する。積載具上への壁部付き物品の積み込み方向が決まっている場合には、内側規制部の外面のうち、積み込み方向の前側となる位置を内側傾斜部とし、後ろ側となる位置を背面部とすることが望ましい。
【0010】
上記のいずれかの態様における積載具はさらに、積載部の外側に積載部から内側規制部の突出と同じ向きに突出して形成され、壁部付き物品の壁部に外側から対向する外側規制部と、外側規制部と積載部との境目に設けられ、積載部側から外側規制部側に向かって積載部からの突出量が増加している外側傾斜部とを有し、内側傾斜部の少なくとも一部と外側傾斜部の少なくとも一部とが、積載部を間に置いて対向して配置されているものであることが望ましい。このようになっていることで、積載部に積載されている壁部付き物品は内外両方から動きを規制されて安定する。積み降ろし時における壁部と規制部との引っ掛かりは、内側でも外側でも起こりにくい。
【0011】
外側規制部を有する態様の積載具では、複数組の積載部と内側規制部との組み合わせを有し、各積載部が環状であり、外側規制部として、各積載部のいずれとも隣接する中央規制部を有し、中央規制部の周縁には、各積載部に対応して複数の外側傾斜部が設けられているものであることが望ましい。これにより、複数個の壁部付き物品を一度に積載することができる。外側傾斜部はまた、上段部と、上段部より下段の下段部とにより構成され、上段部は下段部より傾斜が緩やかであることが望ましい。これにより、積載されている壁部付き物品の外側からの規制をより確実にしつつ、積み込み時の外側規制部の引っ掛かりを防止できる。
【0012】
複数組の積載部と内側規制部とを有する態様の積載具では、積載部の外側であって当該積載部に対して中央規制部の反対側である位置に隅部を有する平面視形状のものであり、隅部に積載部から内側規制部の突出と同じ向きに突出して形成された隅突出部を有し、隅突出部の積載部からの突出量が、中央規制部の頂部の積載部からの突出量より小さいことが望ましい。このようになっていると、隅部から中央規制部へ向かう方向を積み込み方向として壁部付き物品の積み込みを行う場合に、隅突出部があまり邪魔にならない。
【0013】
複数組の積載部と内側規制部とを有する態様の積載具ではあるいは、隣り合う積載部のいずれに対しても外側であって当該隣り合う積載部同士の最近接箇所に対して中央規制部の反対側である位置に辺部を有する平面視形状のものであり、外側規制部として、辺部に設けられた辺規制部を有することが望ましい。このようになっていると、隅部から中央規制部へ向かう方向を積み込み方向として壁部付き物品の積み込みを行う場合に、積み込み位置が横に少しずれていても引っ掛かりが起こりにくい。
【0014】
複数組の積載部と内側規制部とを有する態様の積載具ではまた、積載部の外側であって当該積載部に対して中央規制部の反対側である位置に隅部を有するとともに、隣り合う積載部のいずれに対しても外側であって当該隣り合う積載部同士の最近接箇所に対して中央規制部の反対側である位置に辺部を有する平面視形状のものであり、隅部に積載部から内側規制部の突出と同じ向きに突出して形成された隅突出部を有し、外側規制部として、辺部に設けられた辺規制部を有し、隅突出部の頂部の積載部からの突出量が、中央規制部の頂部の積載部からの突出量より小さく、辺規制部における隅突出部側の部位に、隅突出部側に向かって積載部からの突出量が減少している辺傾斜部が形成されていることが望ましい。
【0015】
上記のいずれかの態様における積載具では、矩形状の平面視形状の一体成形品であり、各内側規制部の内部の領域には、凹んでいる盆状部と、盆状部よりさらに凹んでいる凹部とが設けられており、凹部の裏面が、積載部の裏面よりも積載部から内側規制部の突出と逆向きに突出している下方規制部とされているものであることが望ましい。このようになっていると、4つの壁部付き物品を一度に積載する積載具を、下方規制部に対応する位置決め穴を有するパレット等の部材と組み合わせて使用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示技術によれば、物品の積み込みおよび取り出しが容易な積載具が提供されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態の積載具の斜視図である。
図2】実施の形態の積載具を裏返して見た斜視図である。
図3】実施の形態の積載具の平面図である。
図4図3の一部を拡大して示す拡大平面図である。
図5】実施の形態の積載具の断面図である。
図6図5の一部を拡大して示す拡大断面図(その1)である。
図7図5の一部を拡大して示す拡大断面図(その2)である。
図8】実施の形態の積載具とともに用いるパレットの斜視図である。
図9図8のパレットに実施の形態の積載具を被せた状態を一部切断して示す斜視図である。
図10】実施の形態の積載具の段積み状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示技術を具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、図1図3に示す積載具1として本発明を具体化したものである。図1では積載具1を普通に平置きした状態で、図2では積載具1を裏返して平置きした状態でいずれも斜め上から見て描いている。図3では積載具1を真上から見て描いている。図3に示されるように積載具1は、全体として略正方形形状の板状のものである。ただし種々の凹凸形状の部分が形成されている。積載具1は、真空成形により形成された樹脂の一体成形品である。真空成形以外に圧縮成形あるいは射出成形であってもよい。積載具1では、図1の表面と図2の裏面とで凹凸が逆になっている。以下、主として図1により積載具1を説明する。
【0019】
積載具1には、4箇所に円形環状の凸部である内側規制部2が形成されている。積載具1の板面の中心には、内側規制部2とは別の凸部である中央規制部3が形成されている。4箇所の内側規制部2はそれぞれ、中央規制部3と積載具1の板面の四方の隅部4との間に位置している。隅部4にはそれぞれ、内側規制部2、中央規制部3のいずれとも別の凸部である隅突出部5が形成されている。積載具1における隣り合う隅部4同士を結ぶ辺部6には、内側規制部2、中央規制部3、隅突出部5のいずれとも別の凸部である辺規制部7が形成されている。
【0020】
積載具1のうち内側規制部2の外側であり、中央規制部3、隅突出部5、辺規制部7のいずれでもない部分は平坦部8である。平坦部8は、内側規制部2と中央規制部3との間、内側規制部2と隅突出部5との間、内側規制部2と辺規制部7との間にも存在している。つまり平坦部8は、内側規制部2の周囲全体を取り囲んでいる。平坦部8のうち内側規制部2を取り囲む環状の部分(図4参照)を積載部9という。実際の積載具1では、平坦部8のうち積載部9の部分とそれ以外の部分との間に仕切り線が描かれていてもよいし描かれていなくてもよい。本形態の積載具1には、内側規制部2とその周囲の積載部9との組み合わせが4組ある。
【0021】
内側規制部2は、積載部9の内側に積載部9から突出して形成された部位である。中央規制部3と隅突出部5と辺規制部7とはいずれも、積載部9の外側に積載部9から内側規制部2の突出と同じ向きに突出して形成された部位である。隅部4は、積載部9の外側であって当該積載部9に対して中央規制部3の反対側に位置する部分である。辺部6は、隣り合う積載部9のいずれに対しても外側であって当該隣り合う積載部9同士の最近接箇所(図3中にXで示す。)に対して中央規制部3の反対側に位置する部分である。積載具1は、隅部4および辺部6を有していることにより、上方から見て略正方形の平面視形状をなしている。
【0022】
積載具1は、ドラム缶やホイールのような、円柱形状であってその端部に環状の壁部を有する壁部付き物品を積載するためのものである。積載される壁部付き物品の壁部が積載部9に入り込むことで、積載具1上に壁部付き物品を安定して積載できるものである。1枚の積載具1に4個の壁部付き物品を積載することができる。図5に示すように、内側規制部2は、積載部9上に積載されている壁部付き物品10の壁部11に対して内側から対向する。これにより内側規制部2は、壁部付き物品10の積載具1上でのスライド移動を規制する。図5は、積載具1の図3中における対角線位置での断面を半分のみ描き、それに壁部付き物品10を破線で書き加えたものである。壁部付き物品10は、積載部9に壁部11を向けた姿勢で積載部9に積載されている。
【0023】
中央規制部3は、壁部11に対して外側から対向する。これにより中央規制部3は、壁部付き物品10の積載具1上でのスライド移動を規制する。図5には現れていないが、辺規制部7も、壁部11に対して外側から対向し、壁部付き物品10のスライド移動を規制する。中央規制部3と辺規制部7とはいずれも、外側規制部である。隅突出部5も外側規制部として機能する。隅突出部5は、図5から分かるように、その積載部9からの突出量(図5中で高さ)が、中央規制部3の頂部の積載部9からの突出量よりも小さいものである。隅突出部5の突出量は、中央規制部3、辺規制部7の突出量と比べても小さい。
【0024】
内側規制部2についてさらに説明する。内側規制部2のうち、壁部11に対向する部位は外面である。内側規制部2の外面の一部には、内側傾斜部12が設けられている。図6に示すように内側傾斜部12は、内側規制部2の外側(図6中左側)から内側(図6中右側)に向かって積載部9からの突出量が増加する傾斜面となっている部位である。図6は、図5中のAの範囲を拡大した図である。図4から分かるように積載具1では、内側規制部2の外面の全周のうち約半分程度を内側傾斜部12が占めている。内側傾斜部12は、内側規制部2の外面のうち、隅部4と反対側の方位に形成されている。このため内側傾斜部12は、辺規制部7、中央規制部3、辺規制部7と対面している。
【0025】
内側規制部2の外面のうち内側傾斜部12以外の部分を、背面部13という。背面部13も傾斜面である。図7に示すように背面部13は、内側規制部2の外側(図7中右側)から内側(図7中左側)に向かって積載部9からの突出量が増加する傾斜面となっている部位である。ただし背面部13の傾斜の程度は、内側傾斜部12の傾斜より急峻である。図7は、図5中のBの範囲を拡大した図である。図4から分かるように積載具1では、内側規制部2の外面の全周のうち、内側傾斜部12以外の部分を背面部13が占めている。背面部13は、内側規制部2の外面のうち、隅部4の側の方位に形成されている。このため背面部13は、隅突出部5と対面している。背面部13は、積載部9に対して垂直な面であってもかまわない。
【0026】
中央規制部3についてさらに説明する。中央規制部3は、積載具1の4つの積載部9のいずれとも隣接して配置されている。中央規制部3と積載部9との境目には、外側傾斜部14が形成されている。図6に示すように外側傾斜部14は、積載部9側(図6中右側)から中央規制部3側(図6中左側)に向かって積載部9からの突出量が増加する傾斜面となっている部位である。本形態における外側傾斜部14は図6に示されるように、上段の上段部15と下段の下段部16とで構成されている。上段部15は下段部16より傾斜が緩やかである。外側傾斜部14は、積載部9を間に置いて内側傾斜部12と対向して配置されている。
【0027】
辺規制部7についてさらに説明する。辺規制部7は、隣り合う2つの積載部9に対して隣接して配置されている。辺規制部7と積載部9との境目には、外側傾斜部17が形成されている。外側傾斜部17は、前述の外側傾斜部14と同様に、積載部9側から辺規制部7(中央規制部3とともに外側規制部)側に向かって積載部9からの突出量が増加する傾斜面となっている部位である。また、上段部と下段部とで構成されている。外側傾斜部17は、積載部9を間に置いて内側傾斜部12と対向して配置されている。辺規制部7には、外側傾斜部17以外にも傾斜面が形成されている。辺規制部7における隅突出部5側の部位に形成されている辺傾斜部18である。辺傾斜部18では、隅突出部5の方に向かって積載部9からの突出量が減少している。
【0028】
積載具1では上記の構成により、壁部付き物品10の積み降ろしがしやすいものとなっている。特に、積み降ろし作業を昇降機付き運搬車で行う場合に、壁部付き物品10と積載具1の凹凸形状との引っ掛かりが生じにくい。昇降機付き運搬車による物品の持ち上げの際には、物品が後傾姿勢(特公昭55-10422号公報の第1図参照)または前傾姿勢(同公報の第5図b参照)となる場合がある。その場合には、持ち上げている壁部付き物品10を積載具1上に降ろす際に、また積載具1上の壁部付き物品10を持ち上げる際に、壁部付き物品10が僅かながら回転する。このため下端の壁部11が僅かながら水平方向に移動する。この壁部11の水平方向の移動が、内側傾斜部12、外側傾斜部14、同17により許容されるのである。もし、内側傾斜部12、外側傾斜部14、同17が設けられていないと、この僅かな壁部11の移動が引っ掛かりの原因となり積み降ろし作業の支障となる場合がある。本形態ではこのような支障がない。
【0029】
積載具1に対して昇降機付き運搬車で積み降ろし作業を行う場合、積み込みの方向は、隅部4から対角線方向に中央規制部3へ向かう方向(図3中の矢印C)である。取り出しの方向もこの方向であり、積載されている壁部付き物品10を対角線方向に隅部4の方へ引き出して取り出す。このため、積載具1に対する昇降機付き運搬車のアプローチ位置は隅部4である。昇降機付き運搬車から見た壁部付き物品10の先端位置は、中央規制部3のすぐ手前辺りとなる。積み込み方向の前側となるこの位置が、前述の壁部11の水平方向の移動が最も大きい位置である。本形態ではこの位置を挟んで内側傾斜部12および外側傾斜部14が設けられている。このため積み降ろし作業の支障がほとんどない。
【0030】
昇降機付き運搬車から見た壁部付き物品10の後端位置は、内側規制部2と隅突出部5との間辺りの位置である。積み込み方向の後ろ側となるこの位置では、前述の壁部11の水平方向の移動が比較的小さい。このため、この位置に内側傾斜部12が形成されていなくても積み降ろし作業の支障にはならない。むしろ、この位置の内側規制部2の外面が傾斜の急な背面部13となっていることで、積載部9上に載っている状態での壁部付き物品10の無駄な横滑りが防止されている。このため、積載具1ごと壁部付き物品10を搬送する場合の壁部付き物品10の安定性が高い。
【0031】
外側傾斜部14の下段部16の傾斜が急峻とされていることも、載っている状態での壁部付き物品10の安定性に貢献している。それでいて上段部15の傾斜は緩やかであるため、積み降ろし時の引っ掛かりは生じにくい。隅突出部5は前述のように、突出量の小さいものとされている。このため、隅部4からのアプローチにより壁部付き物品10の積み降ろしをする際に、隅突出部5が引っ掛かりの原因となることはほとんどない。
【0032】
積み込みの際に隅部4に対する昇降機付き運搬車のアプローチ位置が横に少しずれていた場合には、内側傾斜部12と辺規制部7との間で、積載部9と壁部11の位置が少しずれることもありうる。しかし本形態ではその場合でも積み込みに大きな支障はない。内側傾斜部12がその位置まで及んで形成されており、また辺規制部7に外側傾斜部17が形成されているからである。また、辺傾斜部18により、壁部付き物品10が自然に正しい位置に誘導されるからである。
【0033】
積載具1におけるその他の形状部分について説明する。本形態における内側規制部2は環状に形成されており、その内部の領域は凹んでいる盆状部19となっている。盆状部19の領域内には、さらに凹んでいる凹部20が形成されている。凹部20は、積載部9に対する内側規制部2の突出(上向き)とは逆向き、つまり下向きに突出している部位である。このため上方からは凹んで見える。図5図6に示すように凹部20の底部の裏面は、積載部9の裏面よりもさらに下向きに突出している。
【0034】
凹部20は、積載具1を図8のパレット21とともに用いる場合のための形状である。パレット21は、上方から見て積載具1より僅かに小さいサイズの略正方形の平板状の樹脂部材である。パレット21には、フォーク穴22、位置決め穴23が形成されている。位置決め穴23は、パレット21の上に積載具1を被せたときに凹部20の裏面である凸部がはまり込むための穴である。
【0035】
図9が、積載具1をパレット21とともに用いる場合の状況を示している。図9の状態では、パレット21の位置決め穴23に凹部20の裏面の凸部がはまり込んでいる。これによりパレット21上での積載具1の横滑りが防止されている。凹部20の裏面の凸部は、下方規制部として機能している。つまり位置決め穴23は、積載具1における凹部20が形成されている位置に合わせた位置に形成されている。積載具1の品種により凹部20の位置にバリエーションがある場合に備えて、パレット21には多数の位置決め穴23が形成されている。
【0036】
パレット21のフォーク穴22は、フォークリフトのフォークを差し込むための穴である。図9に示されるように、積載具1を被せた状態でもフォーク穴22は露出している。このため、フォークリフトを使用して、パレット21に被られている状態のままで積載具1を持ち上げて搬送することができる。むろん、積載具1上にさらに壁部付き物品10が載っていてもそのままフォークリフトで移動させることができる。
【0037】
図5に戻って、積載具1の縁辺の下縁24は、凹部20の裏面の凸部よりさらに低い位置にある。このため、積載具1をパレット21に被せず単独で床面上に平置きしても、積載具1が湾曲変形していない限り凹部20の裏面は接地しない。凹部20の裏面を接地させる構成であってもよい。また、図10に示すように複数枚の積載具1を段積みすることができる。
【0038】
以上詳細に説明したように本実施の形態によれば、壁部付き物品10を積載する積載具1において、積載部9に積載した壁部付き物品10の壁部11に内側から対向する内側規制部2を設け、内側規制部2の外面の一部を内側傾斜部12とすることにより、積載した壁部付き物品10の横移動を規制しつつ、積み降ろし時の引っ掛かりを防止している。これにより、物品の積み込みおよび取り出しが容易な積載具1が実現されている。内側規制部2の外面の全周を内側傾斜部12とするのではなく一部として残部を背面部13とすることにより、積載している壁部付き物品10の安定性にも配慮している。また、壁部11に外側から対向する中央規制部3、辺規制部7を設け、これらのうち内側傾斜部12と向き合う範囲の積載部9との境目に外側傾斜部14、17を設けている。これによりさらに積み降ろしを容易にしている。
【0039】
さらに、積載部9を4箇所に設けた正方形形状のものとし、中央に中央規制部3を配置しつつ隅部4の隅突出部5の突出量を小さくすることで、隅部4から対角線方向に積み降ろしを行う際の作業性を向上させている。辺規制部7の辺傾斜部18も対角線方向の積み降ろしの作業性に貢献している。また、凹部20を設けることで、パレット21とともに用いる場合の利便性も向上させている。このように多様な凹凸形状を有することで、積載具1の剛性も向上している。
【0040】
本実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示技術を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、積載可能な壁部付き物品10の個数は、4個には限られない。1個だけでもよいし、4個より多くてもよい。中央規制部3、辺規制部7、隅突出部5は必須のものではなく、積載部9と内側規制部2と内側傾斜部12だけであっても積載具1は成立可能である。各傾斜部、各傾斜面は、断面上で見て曲線となる曲面であってもよい。
【0041】
中央規制部3と辺規制部7とをいずれも有する場合、これらが部分的に繋がっていてもよい。壁部付き物品10の積み降ろし作業の方向として、対角線方向以外の方向を想定したものであってもよい。積載可能な壁部付き物品10の個数が4個の場合であっても、上方から見た全体形状は正方形に限らず長方形であってもよく、頂点が角落としされていたり丸められていたり、あるいは辺の一部が上方から見て凹んでいる等の略矩形状であってもよい。あるいは他の多角形であってもよい。内側規制部2の内部領域が盆状部19となっておらず平坦なものであってもよい。盆状部19となっている場合、その高さは、積載部9と同じでもよいし、積載部9と内側規制部2の頂部との中間でもよい。積載する壁部付き物品10の壁部11の形状によっては、積載部9が円環状でなくてもよい。その場合、内側規制部2と中央規制部3もしくは辺規制部7とが部分的に繋がっていてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 積載具 13 背面部
2 内側規制部 14 外側傾斜部
3 中央規制部 15 上段部
4 隅部 16 下段部
5 隅突出部 17 外側傾斜部
6 辺部 18 辺傾斜部
7 辺規制部 19 盆状部
9 積載部 20 凹部
12 内側傾斜部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10