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▶ 小川 洋一の特許一覧

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  • 特開-杭用キャップ 図1
  • 特開-杭用キャップ 図2
  • 特開-杭用キャップ 図3
  • 特開-杭用キャップ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023011417
(43)【公開日】2023-01-24
(54)【発明の名称】杭用キャップ
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/04 20060101AFI20230117BHJP
【FI】
G01C15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115255
(22)【出願日】2021-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】521306351
【氏名又は名称】小川 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 薫央
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 悠有子
(72)【発明者】
【氏名】小川 洋一
(57)【要約】
【課題】杭に簡易にポールを取り付けることのできる杭用キャップを提供する。
【解決手段】水平面から鉛直上方向に伸びる側面3と、側面3の上端に位置し、測量点を示す表示を有する上端面4と、を有する杭2の、測量点にポール6を取り付けるための杭用キャップ1である。上端面4を覆い、測量点と鉛直方向で重なる位置にポール6を挿入する少なくとも一つの孔11を有する基部10と、基部10の周縁12近傍から鉛直下方向に伸び側面3を覆う側壁部20と、を備える。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面から鉛直上方向に伸びる側面と、前記側面の上端に位置し、測量点を示す表示を有する上端面と、を有する杭の、前記測量点にポールを取り付けるための杭用キャップであって、
前記上端面を覆い、前記測量点と鉛直方向で重なる位置に前記ポールを挿入する少なくとも一つの孔を有する基部と、
前記基部の周縁近傍から鉛直下方向に伸び前記側面を覆う側壁部と、を備える、杭用キャップ。
【請求項2】
前記側壁部は、前記基部を前記上端面に対して水平方向において位置決めする、請求項1記載の杭用キャップ。
【請求項3】
前記基部は、前記上端面の周縁よりも外側に周縁を有し、
前記孔は、前記上端面の周縁上に位置する前記測量点と前記鉛直方向で重なる位置に設置され、
前記側壁部は、前記基部の周縁よりも内側から前記鉛直下方向に伸び、前記孔と前記鉛直方向に重なる位置に空間を有する、請求項1または2記載の杭用キャップ。
【請求項4】
前記孔は、雌螺子を有する、請求項1から3のいずれか一項記載の杭用キャップ。
【請求項5】
前記雌螺子は、前記基部の前記鉛直方向の厚さ以下の長さを有する、請求項4記載の杭用キャップ。
【請求項6】
前記基部は、前記表示と同義の表示を有する、請求項1から5のいずれか一項記載の杭用キャップ。
【請求項7】
水平面から鉛直上方向に伸びる側面と、
前記側面の上端に位置し、測量点を示す表示を有する上端面と、
前記上端面に設けられ、前記測量点にポールを挿入するための少なくとも一つの孔と、
を備える、杭。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭にポールを取り付けるための杭用キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、標示杭に表示プレートや識別体を容易に装着できる標示杭が開示されている。この標示杭は、杭本体の先端側に先鋭部を有し、この先鋭部にキャップが嵌め合わされる。表示プレートや識別体は、このキャップおよび先鋭部に設けられる挿入口に取り付けられる。また、表示プレートや識別体が取り外されると、この挿入口に測量用のポールを立てることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-249508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した標示孔は、杭を新規に設置する際にはポールの支持を兼ねられるため有効である。しかしながら、既存の杭や、新規であっても先鋭部を有さない杭には使用できない。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、杭に簡易にポールを取り付けることのできる杭用キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る杭用キャップは、上述した課題を解決するために、水平面から鉛直上方向に伸びる側面と、前記側面の上端に位置し、測量点を示す表示を有する上端面と、を有する杭に、ポールを取り付けるための杭用キャップであって、前記上端面を覆い、前記測量点と鉛直方向で重なる位置にポールを挿入する少なくとも一つの孔を有する基部と、前記基部の周縁から鉛直下方向に伸び前記側面を覆う側壁部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る杭用キャップにおいては、杭に簡易にポールを取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】杭に取り付けられた杭用キャップを示す斜視図。
図2】杭用キャップを下方から示す斜視図。
図3】杭に取り付けられた杭用キャップの縦断面図。
図4】杭を設置する際の手順を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る杭用キャップ1の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
図1は、杭2に取り付けられた杭用キャップ1を示す斜視図である。
【0011】
図2は、杭用キャップ1を下方(裏側)から示す斜視図である。
【0012】
図3は、杭2に取り付けられた杭用キャップ1の縦断面図である。
【0013】
以下の説明において、「前(前面)」、「後(背面)」、「上」、「下」、「右」、および「左」は、図1から図3における定義「前」、「後」、「上」、「下」、「右」、および「左」に従う。なお、上下方向は、鉛直方向と同義である。
【0014】
杭用キャップ1(以下単に「キャップ1」という。)は、境界杭や標示杭、測量杭などの杭2に用いられる。杭2は、水平面に鉛直上方向に伸びるように立てられ、水平面から鉛直上方向に伸びる側面3と、側面3の上端に位置する上端面4と、を有する。杭2は、例えば角柱や円柱などであり、上端面4は正方形や三角形、円形など種々の形状を有する。
【0015】
上端面4は、水平面と略平行であり、種々の表示を有する。この表示は、測量時の基準となる測量点を意味しうる。杭2が境界杭である場合、表示は、十字や矢印などを用いて測量点としての境界点が示されている。
【0016】
本実施形態においては、杭2は、上端面4が正方形である角柱である境界杭であって、表示として、境界を示す図示しない十字の印を有し、測量点として十字の交点、右前側に位置する角部を形成する周縁5の交点、左右方向に伸びる境界線の右端の3つの点を有する例を用いて説明する。
【0017】
キャップ1は、上端面4に棒状部材であるポール6を杭2の上端面4に取り付けるために用いられる。キャップ1は、例えば合成樹脂などからなる。キャップ1は、杭2の上端面4から杭2の上端側を覆うようにして杭2に被せられることにより、取り付けられる。
【0018】
キャップ1は、基部10と、側壁部20と、を有する。
【0019】
基部10は、杭2の上端面4を覆う、平板状の部材である。基部10は、上端面4よりも大きい寸法を有する。すなわち、基部10は、上端面4の周縁5よりも外側に周縁12を有する。基部10は、杭2の上端面4に設けられる十字と上下方向に重なる位置に、この十字と同義の表示としての、十字23を有する。基部10は、上端面4の測量点と上下方向で重なる位置に、ポール6を挿入する貫通した孔11を有する。
【0020】
孔11は、杭2の測量点となり得る箇所数に応じて設けられる。本実施形態においては、杭2の3箇所の測量点に対応して、これらの測量点と上下方向で重なる位置である3箇所に設けられる。すなわち、孔11は、十字23の交点、右前側に位置する角部、十字23のうち左右方向に伸びる線の右端の3箇所に設置されている。
【0021】
孔11は、雌螺子15を内周面に有する。雌螺子15は、ポール6の下端と嵌まり合い、ポール6を支持する。雌螺子15は、基部10の上下方向の厚さ以下の長さを有する。
【0022】
側壁部20は、基部10の周縁12近傍から鉛直下方向に伸び、杭2の側面3を覆う。側壁部20は、基部10を上端面4に対して左右前後方向(水平方向)において位置決めする。側壁部20は、具体的には、基部10の周縁12よりも内側から伸びている。すなわち、基部10は、側壁部20の外表面よりも外側に突出している。
【0023】
側壁部20は、雌螺子15(孔11)に対応する位置に、空間21を形成するための切欠22を有する。切欠22は、孔11に雌螺子15を形成する際の作業の観点、また雌螺子15と側壁部20との抵触を避ける観点から設けられている。なお、側壁部20は、空間21を形成するための切欠22に代えて、側壁部20を空間21の部分だけ外側に突出させることで、空間21を形成してもよい。
【0024】
次に、キャップ1の取付および使用例について説明する。
【0025】
キャップ1は、図1および図3に示すように、杭2の上端面4を覆うように被せるのみで、取り付けることができる。このとき、基部10は、上端面4の十字と同義の表示である十字23を有するため、キャップ1が取り付けられても杭2の表示は識別可能である。
【0026】
杭2の測量点で、ポール6を用いて測量する場合には、孔11にポール6の下端を挿入するのみで、ポール6を杭2に取り付けることができる。このとき、孔11には雌螺子15が設けられているため、ポール6に雄螺子が形成されている場合には、ポール6は孔11に確実に支持される。基部10は、上端面4の周縁5よりも外側に周縁12を有するように、上端面4よりもひとまわり大きい寸法を有する。このため、杭2の角部や周縁5上に位置する測量点であって、上端面4の周縁5よりも外側にポール6を設置させたい孔11であっても、周縁5よりも外側に基部10が伸びているため、孔11を適切な位置に設置することができる。
【0027】
また、キャップ1は、杭2を地面8に設置する際の位置決めにも有効に利用できる。図4は、杭2を設置する際の手順を示す説明図である。
【0028】
杭2を設置する際、測量用のプリズムなどが取り付けられたポール6が、キャップ1に取り付けられる。この状態で、地面8上の杭2が設置される位置に、キャップ1が設置される(図4(a))。この状態で測量されることにより、杭2の仮位置決めが行われる。
【0029】
次に、位置決めされた位置に、杭2を設置するための穴9が掘られる(図4(b))。掘られた穴9には、上端面4にキャップ1が取り付けられた杭2が設置され、さらに測量されることにより最終的な位置決めがなされる。この位置で杭2は穴9に埋められることにより固定されて、地面8に設置される(図4(c))。
【0030】
このように、キャップ1は、新規に杭2を設置する際の位置決めのための測量や、既設の杭2を用いた測量を行う場合に、単に杭2の上端面4を覆うように被せられることにより、杭2に簡易に取り付けられる。このため、キャップ1は、杭2に簡易にポール6を取り付けることができる。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0032】
例えば、孔に挿入されるポールは、測量以外に杭の目印などに用いられるポールなど、どのような目的に用いられるポールであってもよい。また、杭の種類も、境界杭や測量杭に限定されず、ポールを設置する用途のある杭であれば、どのような目的に用いられる杭であってもよい。
【0033】
また、上記実施形態においては、杭用キャップ1が取り付けられた杭2の例を用いて説明したが、杭自体の上端面に形成されている表示から定義される測量点自体に、ポールを挿入する有底または無底の孔および雌螺子を設けてもよい。すなわち、杭は、水平面から鉛直上方向に伸びる側面と、側面の上端に位置し、測量点を示す表示を有する上端面と、上端面に設けられ、測量点にポールを挿入するための少なくとも一つの孔と、を備える。このような杭は、上記実施形態において説明した、杭用キャップ1が取り付けられる杭2と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 杭用キャップ(キャップ)
2 杭
3 側面
4 上端面
5 周縁
6 ポール
8 地面
9 穴
10 基部
11 孔
12 周縁
15 雌螺子
20 側壁部
21 空間
22 切欠
23 十字

図1
図2
図3
図4