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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114174
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】テーブル装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/44 20060101AFI20230809BHJP
   G12B 5/00 20060101ALI20230809BHJP
   B23Q 1/64 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
B23Q1/44 H
G12B5/00 T
B23Q1/64 D
B23Q1/44 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016375
(22)【出願日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊徳
【テーマコード(参考)】
2F078
3C048
【Fターム(参考)】
2F078CA01
2F078CA08
2F078CB10
2F078CB12
2F078CC02
3C048BB20
3C048BC02
3C048CC01
3C048CC04
3C048CC11
3C048DD00
(57)【要約】
【課題】簡易な構成によりテーブルの傾斜を実現可能なテーブル装置を提供する。
【解決手段】テーブル装置は、第1接続部材を垂直方向に駆動可能な第1垂直駆動装置と、第2接続部材を垂直方向に駆動可能な第2垂直駆動装置と、第3接続部材を垂直方向に駆動可能な第3垂直駆動装置と、第1垂直駆動装置と第2垂直駆動装置と第3垂直駆動装置とによって支持され、垂直方向に直交する水平方向に延びるテーブルと、を備える。第1接続部材と、第2接続部材と、第3接続部材とは、テーブルの下面に接続する。第1接続部材の水平方向における剛性は、第2接続部材および第3接続部材の水平方向における剛性より大きい。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接続部材を垂直方向に駆動可能な第1垂直駆動装置と、
第2接続部材を垂直方向に駆動可能な第2垂直駆動装置と、
第3接続部材を垂直方向に駆動可能な第3垂直駆動装置と、
前記第1垂直駆動装置と、前記第2垂直駆動装置と、前記第3垂直駆動装置と、によって支持され、前記垂直方向に直交する水平方向に延びるテーブルと、
を備えるテーブル装置であって、
前記第1接続部材と、前記第2接続部材と、前記第3接続部材とは、前記テーブルの下面に接続し、
前記第1接続部材の前記水平方向における剛性は、前記第2接続部材および前記第3接続部材の前記水平方向における剛性より大きい、
テーブル装置。
【請求項2】
前記第1接続部材、前記第2接続部材、および前記第3接続部材の前記垂直方向への変位量が同一の場合、前記テーブルは水平状態が維持され、
前記第1接続部材、前記第2接続部材、および前記第3接続部材の前記垂直方向への変位量が異なる場合、前記第2接続部材および前記第3接続部材は撓むように変形し、前記テーブルが前記水平方向から傾斜する、
請求項1に記載のテーブル装置。
【請求項3】
前記第1垂直駆動装置と、前記第2垂直駆動装置と、前記第3垂直駆動装置の各々は、
前記水平方向における第1方向において移動可能な第1部材と、
前記第1接続部材、前記第2接続部材、または前記第3接続部材を支持し、前記垂直方向に移動可能である第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に配置され、前記第1部材の前記第1方向への移動により、前記第2部材が前記垂直方向に移動するように、前記第2部材をガイドするガイド装置と、
を備える
請求項1または2に記載のテーブル装置。
【請求項4】
前記水平方向において前記第1方向と直交する第2方向に沿って、前記第2垂直駆動装置、前記第1垂直駆動装置、前記第3垂直駆動装置の順に配置される
請求項3に記載のテーブル装置。
【請求項5】
前記第1垂直駆動装置は、前記第1方向において、前記第2垂直駆動装置および前記第3垂直駆動装置に対し、逆向きに配置される
請求項4に記載のテーブル装置。
【請求項6】
前記第1接続部材と、前記第2接続部材と、前記第3接続部材の各々は、柱状のピンによって構成される、
請求項1~5のいずれか1項に記載のテーブル装置。
【請求項7】
前記第1接続部材の外径は、前記第2接続部材および前記第3接続部材の外径より大きい、
請求項6に記載のテーブル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーブル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置において、例えば特許文献1に開示されているような、移動可能なテーブルを備えるテーブル装置が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-51054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のテーブル装置は、水平方向の駆動をくさび方式によって垂直方向に変換する位置決めテーブルを有する。上面のテーブルは、球面軸受と直動軸受とによって支持され、これらの軸受を組み合わせてテーブルの傾斜を実現し、物体を正確に位置決めすることを図っている。また、このテーブル装置は、テーブルが傾斜した際に支持点部に集中応力が働き、テーブルが変形することを抑制している。
【0005】
しかしながら、上述の構成では、軸受部の剛性が直列ばねで連結支持されているため、剛性が低下するのみならず、製造コストが上昇するという問題がある。
【0006】
本発明は、簡易な構成によりテーブルの傾斜を実現可能なテーブル装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 第1接続部材を垂直方向に駆動可能な第1垂直駆動装置と、
第2接続部材を垂直方向に駆動可能な第2垂直駆動装置と、
第3接続部材を垂直方向に駆動可能な第3垂直駆動装置と、
前記第1垂直駆動装置と、前記第2垂直駆動装置と、前記第3垂直駆動装置と、によって支持され、前記垂直方向に直交する水平方向に延びるテーブルと、
を備えるテーブル装置であって、
前記第1接続部材と、前記第2接続部材と、前記第3接続部材とは、前記テーブルの下面に接続し、
前記第1接続部材の前記水平方向における剛性は、前記第2接続部材および前記第3接続部材の前記水平方向における剛性より大きい、
テーブル装置。
(2) 前記第1接続部材、前記第2接続部材、および前記第3接続部材の前記垂直方向への変位量が同一の場合、前記テーブルは水平状態が維持され、
前記第1接続部材、前記第2接続部材、および前記第3接続部材の前記垂直方向への変位量が異なる場合、前記第2接続部材および前記第3接続部材は撓むように変形し、前記テーブルが前記水平方向から傾斜する、
(1)に記載のテーブル装置。
(3) 前記第1垂直駆動装置と、前記第2垂直駆動装置と、前記第3垂直駆動装置の各々は、
前記水平方向における第1方向において移動可能な第1部材と、
前記第1接続部材、前記第2接続部材、または前記第3接続部材を支持し、前記垂直方向に移動可能である第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に配置され、前記第1部材の前記第1方向への移動により、前記第2部材が前記垂直方向に移動するように、前記第2部材をガイドするガイド装置と、
を備える
(1)または(2)に記載のテーブル装置。
(4) 前記水平方向において前記第1方向と直交する第2方向に沿って、前記第2垂直駆動装置、前記第1垂直駆動装置、前記第3垂直駆動装置の順に配置される
(3)に記載のテーブル装置。
(5) 前記第1垂直駆動装置は、前記第1方向において、前記第2垂直駆動装置および前記第3垂直駆動装置に対し、逆向きに配置される
(4)に記載のテーブル装置。
(6) 前記第1接続部材と、前記第2接続部材と、前記第3接続部材の各々は、柱状のピンによって構成される、
(1)~(5)のいずれか1つに記載のテーブル装置。
(7) 前記第1接続部材の外径は、前記第2接続部材および前記第3接続部材の外径より大きい、
(6)に記載のテーブル装置。
【0008】
本発明によれば、簡易な構成によりテーブルの傾斜を実現可能なテーブル装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施形態に係るテーブル装置をZ軸方向から見た上面図である。
図2図2は、図1のテーブル装置のテーブルを二点鎖線で示した上面図である。
図3図3は、図1のテーブル装置をY軸方向から見た側面図である。
図4図4は、図1のテーブル装置をX軸方向から見た側面図である。
図5図5は、図1のテーブル装置を図4とは逆のX軸方向から見た側面図である。
図6図6は、テーブルが傾斜状態において、図1のテーブル装置をY軸方向から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平方向における一方向をX軸方向、水平方向においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する垂直方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。X軸は、YZ平面と直交する。Y軸は、XZ平面と直交する。Z軸は、XY平面(水平方向)と直交する。
【0011】
以下、本発明に係るテーブル装置の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係るテーブル装置100をZ軸方向から見た上面図である。図2は、図1のテーブル装置100のテーブル3を二点鎖線で示した上面図である。図3は、図1のテーブル装置100をY方向から見た側面図である。図4は、図1のテーブル装置100をX方向から見た側面図である。図5は、図1のテーブル装置100を図4とは逆のX軸方向から見た側面図である。
【0012】
テーブル装置100は、最下面に板状のベース部材8を備えている。ベース部材8は、例えばテーブル装置100が設置される施設(例えば工場)の床面などに配置される。
【0013】
テーブル装置100は、それぞれベース部材8の上面に設置された、第1垂直駆動装置10Aと、第2垂直駆動装置10Bと、第3垂直駆動装置10Cと、を備えている。テーブル装置100は、さらに、第1垂直駆動装置10Aと、第2垂直駆動装置10Bと、第3垂直駆動装置10Cとによって支持され、水平方向(XY軸方向)の延びるテーブル3を備えている。
【0014】
テーブル3は、Z方向における互いに反対側の面である、上面3A及び下面3Bを備える。上面3A及び下面3Bは水平方向に延びる平面であり、図1に示すように、Z方向から見て円形状である。上面3Aには、テーブル装置100が搬送対象とする物体が配置される。このような物体は、例えば半導体のウェハ、フラットパネルなどを含み、特にその種類は限定されない。テーブル装置100は、このような物体の製造、加工、検査などをするために物体を搬送する。
【0015】
第1垂直駆動装置10Aは、柱状のピンによって構成される第1接続部材22Aを備えている。第2垂直駆動装置10Bは、柱状のピンによって構成される第2接続部材22Bを備えている。第3垂直駆動装置10Cは、柱状のピンによって構成される第3接続部材22Cを備えている。そして、第1垂直駆動装置10A、第2垂直駆動装置10B、第3垂直駆動装置10Cは、それぞれ、第1接続部材22A、第2接続部材22B、第3接続部材22Cを垂直方向に駆動可能である。駆動の方法は後述する。
【0016】
第1接続部材22Aと、第2接続部材22Bと、第3接続部材22Cとが、テーブル3の下面3Bの異なる箇所に接続することにより、テーブル3は、第1垂直駆動装置10Aと、第2垂直駆動装置10Bと、第3垂直駆動装置10Cと、によって支持される。よって、第1垂直駆動装置10A、第2垂直駆動装置10B、第3垂直駆動装置10Cが、第1接続部材22A、第2接続部材22B、第3接続部材22Cを垂直方向に駆動することにより、テーブル3を垂直方向に駆動することができる。
【0017】
次に、第1垂直駆動装置10Aと、第2垂直駆動装置10Bと、第3垂直駆動装置10Cと、のそれぞれの構成について説明する。特に図3において、第3垂直駆動装置10CのY軸方向側面の全体が示されているため、以下、第3垂直駆動装置10Cについて中心に説明する。ただし、第1垂直駆動装置10Aと、第2垂直駆動装置10Bと、第3垂直駆動装置10Cは、先述した第1接続部材22A、第2接続部材22B、第3接続部材22Cを除いて、同等な構成を有しており、以下の説明は、三つの垂直駆動装置に共通である。
【0018】
第3垂直駆動装置10Cは、第1部材1と、第2部材2と、第1ガイド装置(ガイド装置)4と、を含む。第1部材1は、X軸方向である第1方向において移動可能である。第2部材2は、Z軸方向(垂直方向)である第2方向において移動可能であり、第1部材1に対して相対移動可能である。
【0019】
第3垂直駆動装置10Cの第2部材2は、Z軸方向における上方に第3接続部材22Cを支持する。同様に、第1垂直駆動装置10Aの第2部材2は、Z軸方向における上方に第1接続部材22Aを支持し、第2垂直駆動装置10Bの第2部材2は、Z軸方向における上方に第2接続部材22Bを支持する。
【0020】
第1ガイド装置4は、第1部材1と第2部材2との間に配置され、第1部材1のX軸方向への移動により、第2部材2がZ軸方向に移動するように、第2部材2をガイドする。
【0021】
テーブル3は、三個の第2部材2に支持される。本実施形態において、それぞれの第2部材2の上面には、接続板21が配置され、接続板21の上面に第1~第3接続部材22A,22B,22Cが配置される。したがって、それぞれの第2部材2は、接続板21および第1~第3接続部材22A,22B,22Cを介して、テーブル3を支持する。第2部材2と、接続板21と、第1~第3接続部材22A,22B,22Cとは、互いに固定される。なお、接続板21は省略することができる。
【0022】
第1部材1、第2部材2のそれぞれは、テーブル3の下方の空間(-Z側の空間)において移動する。第1部材1、第2部材2のそれぞれは、ベース部材8の上方の空間(+Z側の空間)において移動する。
【0023】
第1部材1は、XY平面(水平面)内において移動可能である。本実施形態において、第1部材1は、X軸方向(第1方向)に移動可能である。XZ平面内における第1部材1の外形は、ほぼ三角形(くさび形)である。図3に示すように、第1部材1は、XY平面と平行な下面1Bと、XY平面に対して傾斜する斜面1Gと、Z軸と平行な側面1Sと、を有する。斜面1G及び側面1Sは、下面1Bよりも上側(+Z側)に配置される。斜面1Gは、+X方向に向かって上方(+Z方向)に傾斜する。斜面1Gの下端部と下面1Bの-X側の端部とが結ばれる。斜面1Gの上端部と側面1Sの上端部とが結ばれる。側面1Sの下端部と下面1Bの+X側の端部とが結ばれる。
【0024】
第2部材2は、第1部材1に移動可能に支持される。第1部材1と第2部材2とは相対移動可能である。第2部材2は、第1部材1の上方(+Z側)において、第1部材1に対して相対移動する。
【0025】
第2部材2は、少なくともZ軸方向(垂直方向)に移動可能である。本実施形態においては、X軸方向に関する第1部材1の移動により、第2部材2がZ軸方向に移動する。XZ平面内における第2部材2の外形は、ほぼ三角形(くさび形)である。図3に示すように、第2部材2は、XY平面と平行な上面2Aと、XY平面に対して傾斜する斜面2Gと、Z軸と平行な側面2Sとを有する。上面2Aは、側面2S及び斜面2Gよりも上側(+Z側)に配置される。斜面2Gは、+X方向に向かって上方(+Z方向)に傾斜する。本実施形態において、斜面1Gと斜面2Gとは平行であり、互いに隙間を介して対向する。斜面2Gの上端部と上面2Aの+X側の端部とが結ばれる。斜面2Gの下端部と側面2Sの下端部とが結ばれる。側面2Sの上端部と上面2Aの-X側の端部とが結ばれる。
【0026】
第1ガイド装置4は、X軸方向に関する第1部材1の移動により、Z軸方向に第2部材2が移動するように第2部材2をガイドする。本実施形態において、第1ガイド装置4は、第1部材1に配置されたレール41と、第2部材2に配置され、レール41上を移動可能なスライダ42とを含む。レール41は、第1部材1の斜面1Gに配置される。スライダ42は、第2部材2の斜面2Gに配置される。
【0027】
本実施形態において、スライダ42は、第2部材2の斜面2Gに2つ配置される。なお、スライダ42は、第2部材2に1つ配置されてもよく、3つ以上配置されてもよい。
【0028】
なお、後述するように、第1垂直駆動装置10Aは、X軸方向において、第2垂直駆動装置10Bおよび第3垂直駆動装置10Cに対し、逆向きに配置される。したがって、第2および第3垂直駆動装置10B,10Cにおける第1部材1、第2部材2、及び第1ガイド装置4の形状や配置は上述の説明の通りであるが、第1垂直駆動装置10Aにおける第1部材1、第2部材2、及び第1ガイド装置4の形状や配置は、上述の説明においてX方向で反転させたものである。
【0029】
第1~第3垂直駆動装置10A,10B,10Cは、さらに、第2ガイド装置(ガイド装置)5を含む。第2ガイド装置5は、第1ガイド装置4と協働して、X軸方向に関する第1部材1の移動により、Z軸方向に第2部材2が移動するように第2部材2をガイドする。第2ガイド装置5の少なくとも一部は、第2部材2に配置される。本実施形態において、第2ガイド装置5は、ベース部材8から起立した壁部材15に配置されたレール51と、第2部材2に配置され、レール51を移動可能なスライダ52と、を含む。スライダ52は、第2部材2の側面2Sに配置される。
【0030】
第2部材2は、X軸方向に関する第1部材1の移動により、Z軸方向に移動するように第1ガイド装置4および第2ガイド装置5にガイドされる。第2および第3垂直駆動装置10B,10Cにおいては、第1部材1が-X方向に移動すると、第2部材2は+Z方向に移動(上昇)し、第1部材1が+X方向に移動すると、第2部材2は-Z方向に移動(下降)する。第1垂直駆動装置10Aにおいては、第1部材1が+X方向に移動すると、第2部材2は+Z方向に移動(上昇)し、第1部材1が-X方向に移動すると、第2部材2は-Z方向に移動(下降)する。
【0031】
テーブル3は、第2部材2に支持されている。そのため、Z軸方向に関する第2部材2の移動(昇降)により、テーブル3も、第2部材2と一緒に移動(昇降)する。すなわち、第2部材2が+Z方向に移動(上昇)すると、テーブル3は第2部材2と一緒に+Z方向に移動(上昇)する。第2部材2が-Z方向に移動(下降)すると、テーブル3は第2部材2と一緒に-Z方向に移動(下降)する。
【0032】
なお、第1ガイド装置4において、第1部材1の斜面1Gにスライダ42が配置され、第2部材2の斜面2Gにレール41が配置されてもよい。また、第2ガイド装置5において、第2部材2の側面2Sにレール51が配置され、壁部材15にスライダ52が配置されてもよい。
【0033】
第1部材1の外形は、ほぼ三角形(くさび形)である。第2部材2の外形も、ほぼ三角形(くさび形)である。すなわち、本実施形態において、テーブル装置100は、所謂、くさび型昇降装置を含む。第1部材1を、くさび部材(第1くさび部材)1と称してもよい。第2部材2を、くさび部材(第2くさび部材)2と称してもよい。
【0034】
第1~第3垂直駆動装置10A,10B,10Cは、さらに、第1部材1をX軸方向に駆動するアクチュエータ7を含む。アクチュエータ7は、第1部材1をXY平面内において移動可能である。アクチュエータ7は、第1部材1を移動するための動力を発生する。アクチュエータ7は、第1部材1がXY平面内において移動するように動力を発生する。本実施形態においては、アクチュエータ7の作動により、第1部材1はX軸方向に移動する。アクチュエータ7は、回転モータを含み、供給される電力により作動する。図2および図3に示すように、アクチュエータ7と第1部材1とは、動力伝達装置11を介して接続される。アクチュエータ7の動力(駆動力)は、動力伝達装置11を介して、第1部材1に伝達される。
【0035】
本実施形態において、動力伝達装置11は、アクチュエータ7の回転運動を直線運動に変換する。本実施形態において、アクチュエータ(回転モータ)7のシャフトが回転し、動力伝達装置11は、この回転運動を、X軸方向の直線運動に変換して、第1部材1に伝達する。第1部材1は、動力伝達装置11を介して伝達されるアクチュエータ7の動力(駆動力)により、X軸方向に移動する。
【0036】
本実施形態において、動力伝達装置11は、ボールねじ11Bを含む。ボールねじ11Bは、アクチュエータ7の作動により回転するねじ軸と、第1部材1に接続され、ねじ軸の周囲に配置されるナットと、ねじ軸とナットとの間に配置されるボールと、を含む。ボールねじ11Bのねじ軸は、支持軸受12により回転可能に支持される。本実施形態において、ボールねじ11Bが回転することにより、ナット及びそのナットが接続されている第1部材1がX軸方向に移動(直線移動)する。
【0037】
アクチュエータ(回転モータ)7がボールねじ11Bのねじ軸を一方向に回転すると、そのねじ軸の回転により、第1部材1が+X方向に移動する。アクチュエータ(回転モータ)7がボールねじ11Bのねじ軸を逆方向に回転すると、そのねじ軸の回転により、第1部材1が-X方向に移動する。すなわち、アクチュエータ7の回転方向(ボールねじ11Bのねじ軸の回転方向)に基づいて、X軸方向に関する第1部材1の移動方向(+X方向及び-X方向のいずれか一方の方向)が決定される。第1部材1の移動方向に基づいて、Z軸方向に関する第2部材2(テーブル3)の移動方向(-Z方向及び+Z方向のいずれか一方の方向)が決定される。
【0038】
第1~第3垂直駆動装置10A,10B,10Cは、さらに、第1部材1をガイドする第3ガイド装置(ガイド装置)9を有する。第3ガイド装置9は、第1部材1をX軸方向にガイドする。第3ガイド装置9は、アクチュエータ7の作動により、X軸方向に第1部材1が移動するように第1部材1をガイドする。第3ガイド装置9の少なくとも一部は、ベース部材8に配置される。本実施形態において、第3ガイド装置9は、ベース部材8に配置されたレール91と、第1部材1に配置され、レール91を移動可能なスライダ92と、を含む。レール91は、ベース部材8の上面に配置される。スライダ92は、第1部材1の下面1Bに配置される。
【0039】
なお、第3ガイド装置9において、ベース部材8の上面にスライダ92が配置され、第1部材1の下面1Bにレール91が配置されてもよい。
【0040】
第1ガイド装置4、第2ガイド装置5、第3ガイド装置9のそれぞれは、直動型の軸受を含む。本実施形態において、第1ガイド装置4、第2ガイド装置5、第3ガイド装置9のそれぞれは、転がり軸受を含む。転がり軸受は、転動体を有する。転動体は、玉及びころの一方又は両方を含む。すなわち、転がり軸受は、玉軸受及びころ軸受の一方又は両方を含む。本実施形態において、第1ガイド装置4、第2ガイド装置5、第3ガイド装置9のそれぞれは、直動型玉軸受(linear ball bearing)を含む。
【0041】
なお、本実施形態において、第1ガイド装置4は、転動体を有する転がり軸受を含むこととした。第1ガイド装置4が、転動体を有しない直動型のすべり軸受を含んでもよいし、直動型の気体軸受を含んでもよい。なお、第1ガイド装置4が、スライダを有しなくてもよい。例えば、第2部材2がZ軸方向に移動するように、第1部材1に設けられたレールに沿って第2部材2の斜面2Gが移動されてもよい。この場合、第1部材1に設けられたレールが、第2部材2をガイドするガイド装置として機能する。同様に、第2ガイド装置5および第3ガイド装置9が、直動型のすべり軸受を含んでもよいし、直動型の気体軸受を含んでもよい。なお、第2ガイド装置5および第3ガイド装置9が、スライダを有しなくてもよい。
【0042】
次に、第1垂直駆動装置10A、第2垂直駆動装置10B、第3垂直駆動装置10Cの配置形態および第1接続部材22A、第2接続部材22B、第3接続部材22Cについて説明する。図1図2図4図5に示すように、テーブル装置100は、XY平面(水平面)内において、X軸方向と直交するY軸方向である第2方向に沿って、第2垂直駆動装置10B、第1垂直駆動装置10A、第3垂直駆動装置10Cの順(-Y軸方向)に配置された、三つの垂直駆動装置を備えている。すなわち、テーブル装置100は、三つの垂直駆動装置を有する三式垂直駆動装置である。
【0043】
また、第1垂直駆動装置10Aは、X軸方向において、第2および第3垂直駆動装置10B,10Cに対し、逆向きに配置される。すなわち、第1垂直駆動装置10Aにおいては、-X軸方向端部にアクチュエータ7が配置されるのに対し、第2垂直駆動装置10Bおよび第3垂直駆動装置10Cにおいては、+X軸方向端部にアクチュエータ7が配置される。そして、第1垂直駆動装置10Aの第2部材2、接続板21、第1接続部材22Aは、Y軸方向において、第2及び第3垂直駆動装置10B,10Cのアクチュエータ7に隣り合うように配置されている。また、第2垂直駆動装置10Bは、図3において、第3垂直駆動装置10Cの奥側(+Y軸方向)において、第3垂直駆動装置10Cにぴったりと重なるように配置されている。
【0044】
このような配置により、第1垂直駆動装置10Aの第1接続部材22A、第2垂直駆動装置10Bの第2接続部材22B、および第3垂直駆動装置10Cの第3接続部材22Cは、XY平面内において互いに異なる位置に配置されている。また、第2垂直駆動装置10Bの第2接続部材22Bおよび第3垂直駆動装置10Cの第3接続部材22Cは、X軸方向において同一位置に配置される。すなわち、図1に示すように、第1接続部材22Aは、X軸上の座標Iの位置に配置されているが、第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cは、X軸上の座標IIの位置に配置されている。
【0045】
本実施形態において、第1接続部材22A、第2接続部材22B、第3接続部材22Cの各々は、柱状のピンによって構成される。より詳しくは、柱状のピンは、Z軸方向から見た断面が円形である、円柱状のピンであり、XY平面に平行な面において外径を有している。図2に示すように、第1接続部材22Aの外径はD1、第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cの外径はD2である。
【0046】
第1接続部材22Aの外径D1は、第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cの外径D2より大きい(外径D1>外径D2)。すなわち、第1接続部材22Aは太いピンにより構成され、第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cは細いピンにより構成される。
【0047】
第1垂直駆動装置10A、第2垂直駆動装置10B、第3垂直駆動装置10Cは、それぞれ、独立して第1接続部材22A、第2接続部材22B、第3接続部材22Cを駆動することができる。図3の状態から、第1接続部材22A、第2接続部材22B、第3接続部材22Cの全てが同じ量だけ上昇すれば、テーブル3が水平状態を保ったまま上昇する。テーブル3の上昇後、第1接続部材22A、第2接続部材22B、第3接続部材22Cの全てが同じ量だけ下降すれば、テーブル3が水平状態を保ったまま下降する。すなわち、第1接続部材22A、第2接続部材22B、第3接続部材22CのZ方向への変位量(上昇量、下降量)が同一の場合、テーブル3は水平状態を維持したままZ方向に変位(上昇、下降)する。このようにして、テーブル装置100は、テーブル3に載せられた物体を搬送することができる。この場合、テーブル3に載せられた物体も、当然水平状態を維持している。
【0048】
ところで、テーブル装置100は、場合によっては、テーブル3に載せられた物体を傾斜させた状態で、製造、加工、検査などをする必要がある。このような場合、第1接続部材22A、第2接続部材22B、第3接続部材22Cのうち、少なくとも一つの接続部材のZ方向への変位量を、他の接続部材のZ方向への変位量と異ならせることにより、テーブル装置100は、テーブル3およびテーブル3に載せられた物体を傾斜した状態にすることができる。第1垂直駆動装置10A、第2垂直駆動装置10B、第3垂直駆動装置10Cは、それぞれ、独立して第1接続部材22A、第2接続部材22B、第3接続部材22Cを駆動することができるため、このような操作が可能である。
【0049】
図6は、テーブル3が傾斜した状態において、図1のテーブル装置100をY軸方向から見た側面図である。本状態は、図1の状態から、第1垂直駆動装置10Aのみが第1接続部材22AをZ軸方向(垂直方向)における上方に駆動した状態である。すなわち、第1垂直駆動装置10Aのアクチュエータ7がボールねじ11Bのねじ軸を一方向に回転し、第1垂直駆動装置10Aの第1部材1が+X方向に移動する。第1垂直駆動装置10Aの第1部材1が+X方向に移動すると、第1垂直駆動装置10Aの第2部材2は+Z方向に上昇する。Z軸方向に関する第2部材2の上昇により、第1垂直駆動装置10Aの接続板21および第1接続部材22Aが上昇し、テーブル3の第1接続部材22Aに接続した側も上昇する。
【0050】
図6においては、第1垂直駆動装置10Aおよび第2垂直駆動装置10Bは駆動していないので、第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cは、図1の状態から動いていない。当然ながら、テーブル3の第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cに接続した側も動かない。これにより、テーブル3はX軸方向に沿って、二点鎖線で示すように傾斜するが、テーブル3の傾斜に伴う応力が、第1接続部材22A、第2接続部材22B、第3接続部材22Cに付与される。
【0051】
ここで、本実施形態においては、上述したように、第1接続部材22Aの外径D1が、第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cの外径D2より大きくなるように設定されている(外径D1>外径D2)。このことは、第1接続部材22Aの水平方向(XY軸方向)の剛性が、第2接続部材22Bおよび第3接続部材22CのXY軸方向の剛性より大きいことを意味する。
【0052】
テーブル3の傾斜に伴う応力が、第1接続部材22A、第2接続部材22B、第3接続部材22Cに付与されたとき、第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cが、わずかに撓む。この撓みは、第1接続部材22Aの水平方向における剛性と、第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cの水平方向における剛性との差に依拠して発生する。なお、図6においては、第3接続部材22Cの変形が実際よりも誇張して描かれている。
【0053】
第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cが撓むように変形すると、第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cは、テーブル3の傾斜に伴う応力を吸収する。これにより、テーブル3は円滑に傾斜し、かつ傾斜状態を安定的に維持することができる。これにより、テーブル3の変形、XY平面内でのテーブル3の予期せぬ移動(変形)のような弊害を防止することが可能となる。また、テーブル3の傾斜駆動を、簡易な構成により実現することができ、コストを低減することも実現可能である。
【0054】
また、テーブル3の傾斜のみならず、テーブル3の水平状態を維持した昇降運動においても、第1接続部材22A、第2接続部材22B、第3接続部材22Cの昇降量を、それぞれ独立して調整することにより、サブμmオーダの水平状態を維持し、かつ再現性が高い精密な搬送も可能になる。なお、図6に示したテーブル3の傾斜により生み出されるテーブル3のZ軸方向の移動距離は、実際の装置では数μm~数10μm程度である。
【0055】
以上説明したように、本実施形態では、第1接続部材22Aの少なくとも水平方向(XY軸方向)の剛性が、第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cの水平方向の剛性より大きい。すなわちテーブル3の傾斜方向に沿って剛性の差異が、第1接続部材22Aと、第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cとの間に設けられている。さらに本実施形態においては、第1接続部材22A、第2接続部材22B、第3接続部材22Cの各々は、断面が円形の円柱状のピンであり、断面に沿ったXY平面において、360度方向に対称な形状を有している。したがって、第1接続部材22Aの水平方向における剛性が、第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cの水平方向における剛性より大きい。これにより、第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cは、より円滑に変形し、撓むことができる。
【0056】
また、上述の実施形態においては、第1接続部材22Aの外径を、第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cの外径と異ならせることにより、第1接続部材22Aの水平方向の剛性を、第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cの水平方向の剛性と異ならせている。しかしながら、このような剛性の差異は、接続部材の外径の差のみならず、他の方法によっても生み出すことが可能である。たとえば、第1接続部材22Aの材料と、第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cの材料を異なるものとすることにより、剛性の差異を生み出してもよい。また、第1接続部材22Aの形状と、第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cの形状を異なるものとすることにより、剛性の差異を生み出してもよい。このように、第1接続部材22Aの少なくとも水平方向の剛性と、第2接続部材22Bおよび第3接続部材22Cの水平方向の剛性が異なればよく、第1接続部材22A、第2接続部材22B、第3接続部材22Cの形態は特に限定されない。
【0057】
また、上述の実施形態においては、垂直駆動装置および接続部材の数は三つであるが、さらに垂直駆動装置および接続部材の数を増やすことも可能である。
【0058】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0059】
1 第1部材
1B 下面
1G 斜面
1S 側面
2 第2部材
2A 上面
2G 斜面
2S 側面
21 接続板
22A 第1接続部材
22B 第2接続部材
22C 第3接続部材
3 テーブル
3A 上面
3B 下面
4 第1ガイド装置(ガイド装置)
41 レール
42 スライダ
5 第2ガイド装置
51 レール
52 スライダ
7 アクチュエータ
8 ベース部材
9 第3ガイド装置
91 レール
92 スライダ
10A 第1垂直駆動装置
10B 第2垂直駆動装置
10C 第3垂直駆動装置
11 動力伝達装置
11B ボールねじ
12 支持軸受
15 壁部材
100 テーブル装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6