(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023114188
(43)【公開日】2023-08-17
(54)【発明の名称】ウォールチェイサー
(51)【国際特許分類】
B23D 45/16 20060101AFI20230809BHJP
B25F 5/00 20060101ALI20230809BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20230809BHJP
【FI】
B23D45/16
B25F5/00 H
B25F5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022016393
(22)【出願日】2022-02-04
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003052
【氏名又は名称】弁理士法人勇智国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 高弘
(72)【発明者】
【氏名】今井田 大樹
【テーマコード(参考)】
3C040
3C064
【Fターム(参考)】
3C040AA04
3C040CC02
3C040JJ00
3C040LL05
3C064AA06
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA13
3C064BA34
3C064BB02
3C064BB05
3C064BB11
3C064CA03
3C064CA08
3C064CA25
3C064CA27
3C064CA29
3C064CA55
3C064CA60
3C064CA61
3C064CA62
3C064CB06
3C064CB17
3C064CB32
3C064CB63
3C064CB65
3C064CB69
3C064CB72
3C064CB84
3C064CB85
3C064CB91
3C064CB92
(57)【要約】
【課題】 利便性が高められたウォールチェイサーを提供する。
【解決手段】 ウォールチェイサーは、モータと、バッテリ装着部と、第1の把持部を有する第1のハンドルと、第2の把持部を有する第2のハンドルと、を備える。溝切り加工を行う際に被加工物に対してウォールチェイサーを平行移動させる方向の一方側を第1の側と定義し、他方側を第2の側と定義したとき、第1の把持部は、第2の把持部よりも第1の側に配置される。バッテリ装着部は、バッテリ装着部にバッテリが装着されたときに、バッテリが少なくとも部分的に第1の把持部よりも第2の側に位置するように配置される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウォールチェイサーであって、
刃具に回転軸線を中心とした回転駆動力を提供するように構成されたモータと、
前記モータに電力を提供するためのバッテリを着脱可能に構成されたバッテリ装着部と、
第1の把持部を有する第1のハンドルと、
第2の把持部を有する第2のハンドルと
を備え、
溝切り加工を行う際に被加工物に対して前記ウォールチェイサーを平行移動させる方向である移動方向の一方側を第1の側と定義し、他方側を第2の側と定義したとき、前記第1の把持部は、前記第2の把持部よりも前記第1の側に配置され、
前記バッテリ装着部は、前記バッテリ装着部に前記バッテリが装着されたときに、前記バッテリが少なくとも部分的に前記第1の把持部よりも前記第2の側に位置するように配置された
ウォールチェイサー。
【請求項2】
請求項1に記載のウォールチェイサーであって、
前記バッテリ装着部は、前記バッテリ装着部に前記バッテリが装着されたときに、前記バッテリが少なくとも部分的に前記第2の把持部よりも前記第1の側に位置するように配置された
ウォールチェイサー。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のウォールチェイサーであって、
前記バッテリ装着部は、前記バッテリ装着部にバッテリが装着されたときに、前記第1の把持部の中心と前記第2の把持部の中心とを結ぶ仮想直線と、前記バッテリと、が交わるように配置された
ウォールチェイサー。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のウォールチェイサーであって、
前記バッテリ装着部は、前記バッテリ装着部に前記バッテリが装着されたときに、前記バッテリが全体的に、前記移動方向において前記第1の把持部と前記第2の把持部との間に位置するように配置された
ウォールチェイサー。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のウォールチェイサーであって、
前記モータはモータシャフトを備え、
前記バッテリ装着部は、前記バッテリ装着部に前記バッテリが装着されたときに、前記移動方向と前記回転軸線とに直交する方向に見て、前記バッテリと前記モータシャフトとが少なくとも部分的にオーバラップするように配置された
ウォールチェイサー。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のウォールチェイサーであって、
前記バッテリ装着部は、前記移動方向と前記回転軸線とに直交する方向において、前記バッテリの取付方向の前方部分が、後方部分よりも前記回転軸線に近くなるように傾斜した姿勢で、前記バッテリをスライド式に着脱可能に構成された
ウォールチェイサー。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のウォールチェイサーであって、
前記第1のハンドルは、前記第1の把持部を、前記移動方向と非平行、かつ、前記回転軸線と直交する方向に延在するように方向付けることが可能に構成され、
前記第2のハンドルは、前記第2の把持部を、前記回転軸線に平行な方向に延在するように方向付けることが可能に構成された
ウォールチェイサー。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のウォールチェイサーであって、
前記第1のハンドルは、前記第1の把持部を、前記回転軸線に平行な方向に延在するように方向付けることが可能に構成され、
前記第2のハンドルは、前記第2の把持部を、前記回転軸線に平行な方向に延在するように方向付けることが可能に構成された
ウォールチェイサー。
【請求項9】
請求項7を従属元に含む請求項8に記載のウォールチェイサーであって、
前記第1のハンドルは、前記第1の把持部を、前記移動方向と非平行、かつ、前記回転軸線と直交する方向に延在するように方向付けた第1の角度位置と、前記回転軸線に平行な方向に延在するように方向付けた第2の角度位置と、の間で回転可能に構成されるとともに、前記第1の把持部を前記第1の角度位置および前記第2の角度位置のいずれかに選択的に固定可能に構成された
ウォールチェイサー。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載のウォールチェイサーであって、
前記モータは、前記回転軸線よりも前記第1の側に位置し、
前記バッテリ装着部は、前記バッテリ装着部に前記バッテリが装着されたときに、
前記バッテリが少なくとも部分的に前記モータよりも前記第1の側に位置し、
前記回転軸線と平行な方向における前記バッテリの位置と、前記回転軸線と平行な方向における前記モータの位置と、が重なる
ように配置された
ウォールチェイサー。
【請求項11】
請求項10に記載のウォールチェイサーであって、
前記バッテリから前記モータへの電力の供給を制御するように構成されたコントローラを備え、
前記コントローラは、前記加工進行方向において前記モータに隣接する位置であって、前記バッテリ装着部に前記バッテリが装着されたときに、前記移動方向と前記回転軸線とに直交する方向に見て前記バッテリとオーバラップする位置に配置された
ウォールチェイサー。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか一項に記載のウォールチェイサーであって、
前記バッテリと前記刃具とを備えた
ウォールチェイサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォールチェイサーに関する。
【背景技術】
【0002】
壁、床、天井などに溝切り加工を行うためのウォールチェイサーが従来から知られている。例えば下記の特許文献1に開示されるウォールチェイサーは、被加工物(壁、床、天井など)に当接されるためのベースと、ベースの一方側に配置され、ベースに対して揺動可能に構成された本体部と、を備えている。本体部は、刃具に回転駆動力を提供するモータと、モータに電力を供給するためのバッテリと、ユーザが手で把持するための2つの把持部と、を備えている。ベースを被加工物に当接させ、モータを回転させた状態で、ユーザが、2つの把持部を両手でそれぞれ把持しつつ、ベースに近づく方向に本体部を揺動させると、回転する刃具がベースを越えて突出する。この状態で、刃具の回転軸線と直交する方向(加工進行方向とも呼ぶ)へウォールチェイサーを平行移動させることで、被加工物に溝が形成される。こうして形成された溝は、例えば、電気配線のために使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0164449号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のウォールチェイサーは、改善の余地を残している。具体的には、
図19に表すように、このウォールチェイサー101では、略加工進行方向に延在する一方の把持部(主ハンドル102)の、他方の把持部(補助ハンドル103)と反対側の端部にバッテリ104が配置されている。このような位置に比較的重量が大きいバッテリ104が配置されると、バッテリの自重によって加工作業時に大きなモーメントが生じてしまう。具体的には、鉛直方向に延在する壁108にベース106を当接させつつ、ウォールチェイサー101を水平方向(刃具105の側面と平行な方向)に移動させて溝17を形成する場合には、バッテリ104によって下向きの大きなモーメント(図中に白抜き矢印で示す)が発生する。このモーメントによって時計の回転方向にウォールチェイサー101が回転してしまい、溝107が直線に加工できずに曲がってしまう可能性があった。このため、ユーザは、このモーメントに抗うために、大きな力でウォールチェイサーをしっかりと保持する必要がある。このようなことから、利便性が高められたウォールチェイサーを提供することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、ウォールチェイサーを開示する。このウォールチェイサーは、刃具に回転軸線を中心とした回転駆動力を提供するように構成されたモータと、モータに電力を提供するためのバッテリを着脱可能に構成されたバッテリ装着部と、第1の把持部を有する第1のハンドルと、第2の把持部を有する第2のハンドルと、を備えていてもよい。溝切り加工を行う際に被加工物に対してウォールチェイサーを平行移動させる方向である移動方向の一方側を第1の側と定義し、他方側を第2の側と定義したとき、第1の把持部は、第2の把持部よりも第1の側に配置されてもよい。バッテリ装着部は、バッテリ装着部にバッテリが装着されたときに、バッテリが少なくとも部分的に第1の把持部よりも第2の側に位置するように配置されてもよい。
【0006】
上記の構成によれば、バッテリが第1の把持部よりも移動方向における装置内側に配置される。このため、鉛直方向に延在する壁に対して水平方向にウォールチェイサーを平行移動させて溝切り加工を行う場合であっても、バッテリの自重による下向きのモーメントの発生が抑制され、第1の把持部を握る手でウォールチェイサーの第1の側の部分を容易に支持できる。したがって、ユーザの利便性(操作性)が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態によるウォールチェイサーの左側面図であり、本体部は上死点にある。
【
図2】ウォールチェイサーの右側面図であり、本体部は上死点にある。
【
図4】ウォールチェイサーの右側面図であり、本体部は下死点にある。
【
図5】バッテリが取り外されたウォールチェイサーの斜視図であり、本体部は上死点にある。
【
図6】バッテリが取り外されたウォールチェイサーの平面図である。
【
図7】上方から見たウォールチェイサーの斜視図であり、本体部は上死点にある。
【
図8】上方から見たウォールチェイサーの斜視図であり、本体部は下死点にある。
【
図9】上方から見たウォールチェイサーの斜視図であり、本体部は上死点にあり、第1のハンドルは、
図8に示す位置から左へ90度回転した位置にある。
【
図10】上方から見たウォールチェイサーの斜視図であり、本体部は上死点にあり、第1のハンドルは、
図8に示す位置から右へ90度回転した位置にある。
【
図11】下方から見たウォールチェイサーの斜視図であり、本体部は下死点にある。
【
図13】ウォールチェイサーの縦断面図であり、本体部は上死点にある。
【
図14】ウォールチェイサーの縦断面図であり、本体部は下死点にある。
【
図15】ウォールチェイサーの縦断面図であり、操作部材は回転許容位置にある。
【
図16】ウォールチェイサーの縦断面図であり、本体部は上死点にあり、ロック操作部材はロック位置にある。
【
図17】ウォールチェイサーの縦断面図であり、本体部は上死点にあり、ロック操作部材はロック解除位置にある。
【
図18】一部の部品を取り除いた状態のウォールチェイサーの左側面図である。
【
図19】溝加工作業中の特許文献1のウォールチェイサーを模した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では、本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、以下に開示される追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された装置、その製造方法および使用方法を提供するために、他の特徴や発明とは別に、または共に用いることができる。
【0009】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、上記および下記の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、独立および従属クレームに記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0010】
本明細書および/または特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施形態および/または特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲およびグループまたは集団に関する記載は、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0011】
1つまたはそれ以上の実施形態において、バッテリ装着部は、バッテリ装着部にバッテリが装着されたときに、バッテリが少なくとも部分的に第2の把持部よりも第1の側に位置するように配置されてもよい。この構成によれば、バッテリが第2の把持部よりも移動方向における装置内側に配置される。このため、鉛直方向に延在する壁に対して水平方向にウォールチェイサーを平行移動させて溝切り加工を行う場合であっても、バッテリの自重による下向きのモーメントの発生が抑制される。したがって、ユーザは、第2の把持部を握る手でウォールチェイサーの第2の側の部分を容易に支持できる。
【0012】
1つまたはそれ以上の実施形態において、バッテリ装着部は、バッテリ装着部にバッテリが装着されたときに、第1の把持部の中心と第2の把持部の中心とを結ぶ仮想直線と、バッテリと、が交わるように配置されてもよい。この構成によれば、ユーザが一方の手で第1の把持部を握る位置と、他方の手で第2の把持部を握る位置と、を結ぶ直線上にバッテリが位置することになる。このため、バッテリの自重による下向きのモーメントの発生がより抑制され、ユーザは、ウォールチェイサーをより容易に支持できる。なお、第1の把持部が、刃具の回転軸線と平行な軸線を中心として回転可能に構成される場合には、第1の把持部の固定可能な回転位置の全てにおいて、仮想直線とバッテリとが交わってもよいし、第1の把持部の固定可能な回転位置の一部において、仮想直線とバッテリとが交わってもよい。この点は、第2の把持部が、刃具の回転軸線と平行な軸線を中心として回転可能に構成される場合も同様である。
【0013】
1つまたはそれ以上の実施形態において、バッテリ装着部は、バッテリ装着部にバッテリが装着されたときに、バッテリが全体的に、移動方向において第1の把持部と第2の把持部との間に位置するように配置されてもよい。この構成によれば、加工進行方向において、バッテリの位置が、ユーザが一方の手で第1の把持部を握る位置と、他方の手で第2の把持部を握る位置と、の間の中心に近づくので(換言すれば、ウォールチェイサーの重心が、ウォールチェイサーを支持する右手および左手の一方側に偏ることが抑制されるので)、ユーザは、ウォールチェイサーをより安定的に支持することができる。また、ウォールチェイサーを加工進行方向にコンパクト化できる。
【0014】
1つまたはそれ以上の実施形態において、モータはモータシャフトを備えていてもよい。バッテリ装着部は、バッテリ装着部にバッテリが装着されたときに、移動方向と回転軸線とに直交する方向に見て、バッテリとモータシャフトとが少なくとも部分的にオーバラップするように配置されてもよい。この構成によれば、バッテリとモータシャフトとが、刃具の回転軸線と平行な方向に並ばない。したがって、ウォールチェイサーを、刃具の回転軸線と平行な方向にコンパクト化できる。
【0015】
1つまたはそれ以上の実施形態において、バッテリ装着部は、移動方向と回転軸線とに直交する方向において、バッテリの取付方向の前方部分が、後方部分よりも回転軸線に近くなるように傾斜した姿勢で、バッテリをスライド式に着脱可能に構成されてもよい。この構成によれば、ユーザは、バッテリの自重を利用して、バッテリをバッテリ装着部に容易に取り付けることができる。
【0016】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1のハンドルは、第1の把持部を、移動方向と非平行、かつ、回転軸線と直交する方向に延在するように方向付けることが可能に構成されてもよい。第2のハンドルは、第2の把持部を、回転軸線に平行な方向に延在するように方向付けることが可能に構成されてもよい。この構成によれば、天井や床(つまり、水平方向に延在する被加工材)に溝切り加工を行う場合に、第1の把持部および第2の把持部を握るユーザの左右の手が無理のない姿勢になり、利便性が向上する。また、第2の把持部を握ってウォールチェイサーを持ち上げやすい。
【0017】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1のハンドルは、第1の把持部を、回転軸線に平行な方向に延在するように方向付けることが可能に構成されてもよい。第2のハンドルは、第2の把持部を、回転軸線に平行な方向に延在するように方向付けることが可能に構成されてもよい。この構成によれば、壁(つまり、鉛直方向に延在する被加工材)に溝切り加工を行う場合に、第1の把持部および第2の把持部を握るユーザの左右の手が無理のない姿勢になり、利便性が向上する。また、第1の把持部および/または第2の把持部を握ってウォールチェイサーを持ち上げやすい。
【0018】
1つまたはそれ以上の実施形態において、第1のハンドルは、第1の把持部を、移動方向と非平行、かつ、回転軸線と直交する方向に延在するように方向付けた第1の角度位置と、回転軸線に平行な方向に延在するように方向付けた第2の角度位置と、の間で回転可能に構成されるとともに、第1の把持部を第1の角度位置および第2の角度位置のいずれかに選択的に固定可能に構成されてもよい。この構成によれば、状況に応じて、ユーザが使いやすいように第1の把持部を方向付けることができる。例えば、天井や床に溝切り加工を行う場合に、第1の把持部が第1の角度位置に方向付けられ、壁に溝切り加工を行う場合に、第1の把持部が第2の角度位置に方向付けられてもよい。
【0019】
1つまたはそれ以上の実施形態において、モータは、回転軸線よりも第1の側に位置していてもよい。バッテリ装着部は、バッテリ装着部にバッテリが装着されたときに、バッテリが少なくとも部分的にモータよりも第1の側に位置し、回転軸線と平行な方向におけるバッテリの位置と、回転軸線と平行な方向におけるモータの位置と、が重なるように配置されてもよい。この構成によれば、ウォールチェイサーを回転軸線と平行な方向にコンパクト化できる。
【0020】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ウォールチェイサーは、バッテリからモータへの電力の供給を制御するように構成されたコントローラを備えていてもよい。コントローラは、加工進行方向においてモータに隣接する位置であって、バッテリ装着部にバッテリが装着されたときに、移動方向と回転軸線とに直交する方向に見てバッテリとオーバラップする位置に配置されてもよい。この構成によれば、バッテリとコントローラとの間、および、コントローラとモータとの間の距離が小さくなるので、それらを電気的に接続するための電気配線を簡素化できる。
【0021】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ウォールチェイサーは、バッテリと刃具とを備えていてもよい。
【0022】
以下、図面を参照して、例示的な一実施形態としてのウォールチェイサー10についてより詳細に説明する。ウォールチェイサー10は、壁、床、天井などの被加工物に溝切り加工を行うための電動工具である。以下のウォールチェイサー10は、2列溝切カッタとも称されており、同時に2列の溝の加工を行うことができる。
図1および
図2に示すように、ウォールチェイサー10は、ベース部材20と本体部30とを備えている。ベース部材20は、略平板状のベース21を備えている。本体部30は、ベース21に対して一方側に配置される。
図11に示すように、ベース21は、略矩形の形状を有している。ベース21の本体部30と反対側の面は、平坦に形成されており、被加工物(床、天井、壁など)に当接するための当接面23として機能する。
【0023】
図12に示すように、本体部30は、スピンドル45に装着された略円盤状の2つの刃具49,50を、回転軸線AX2を中心として回転駆動するように構成されている。刃具49,50は、ダイヤモンドブレードとも称される。刃具49,50は、互いに平行となるように配置される。ベース部材20の当接面23を被加工物に当接させ、回転する刃具49,50が当接面23を越えて本体部30と反対側へ突出した状態(
図4および
図11参照)で、刃具49,50が平行に並ぶ方向(換言すれば、回転軸線AX2の延在方向)と直交し、かつ、当接面23に平行な方向にウォールチェイサー10を平行移動させることによって、被加工材に対する溝切り加工が進行する。
【0024】
これによって、被加工物の、刃具49,50の移動軌跡に対応する位置に、2つの直線的な溝が形成される。この2つの溝の間の部分は、任意の工具によって削り取られ、最終的に1つの大きな溝が形成される。こうして形成された溝には、電気配線が収容され得る。
【0025】
以下では、説明の便宜上、溝切り加工を行う際に被加工物に対してウォールチェイサー10を平行移動させる方向をウォールチェイサー10の前後方向と定義する。前後方向のうち、刃具49,50の回転軸線AX2に近い側をウォールチェイサー10の前側と定義し、回転軸線AX2に遠い側をウォールチェイサー10の後側と定義する。また、当接面23に直交する方向(換言すれば、前後方向と回転軸線AX2とに直交する方向)において、本体部30が位置する側をウォールチェイサー10の上側と定義し、その反対側をウォールチェイサー10の下側と定義する。また、前後方向および上下方向に直交する方向をウォールチェイサー10の左右方向と定義する。左右方向のうち、後側から前側を見たときの右側をウォールチェイサー10の右側と定義し、その反対側をウォールチェイサー10の左側と定義する。
【0026】
図2に示すように、本体部30は、ギアハウジング31と、モータハウジング32と、リアハウジング33と、カバー本体34と、を備えている。ギアハウジング31、モータハウジング32およびリアハウジング33は、前側から、この順序で前後方向に並んでいる。
図3に示すように、カバー本体34は、ギアハウジング31、モータハウジング32およびリアハウジング33に対して、左側に位置している。
【0027】
図12に示すように、モータハウジング32内には、電動モータ41(以下、単にモータ41と呼ぶ)が収容されている。モータ41は、前後方向に離間して配置された軸受によって回転可能に支持されるモータシャフト42を備えている。モータシャフト42は、前後方向に延在する回転軸線AX1を中心として回転可能である。モータ41(モータシャフト42)は、刃具49,50に回転軸線AX2を中心とした回転駆動力を提供する。
【0028】
図12に示すように、ギアハウジング31内には、モータシャフト42の回転駆動力を刃具49,50に伝達するためのギア機構が収容されている。具体的には、ギアハウジング31内には、小ベベルギア43と、大ベベルギア44と、スピンドル45と、が収容されている。小ベベルギア43は、モータシャフト42の前端部において、モータシャフト42の周りに固定されている。スピンドル45は、左右方向に離間して配置された軸受によって、回転軸線AX2を中心に回転可能に支持されている。回転軸線AX2は、モータシャフト42の回転軸線AX1と交差(より具体的には、直交)している。大ベベルギア44は、スピンドル45の右端部において、スピンドル45の周りに固定されており、小ベベルギア43と噛み合っている。
【0029】
スピンドル45は、ギアハウジング31内を左右方向に延在し、左側においてギアハウジング31から延出し、カバー本体34内まで延在している。カバー本体34内において、スピンドル45の周りには、インナーフランジ46が取り付けられている。インナーフランジ46は、筒状の部材であり、その右端部は、回転軸線AX2に関して径方向外側に向けてフランジ状に突出している。スピンドル45のうちのインナーフランジ46よりも左側には、雄ネジ部が形成されており、当該雄ネジ部には、ロックナット47が取り付けられている。インナーフランジ46の右端部と、ロックナット47との間に、刃具49、少なくとも1つ(
図12の例では、5つ)の環状のスペーサ48、および、刃具50を挟み、ロックナット47を締め付けることによって、スピンドル45に対する刃具49,50の位置が固定される。刃具49と刃具50との間に配置されるスペーサ48の数を変更することによって、刃具49と刃具50との離間距離を調節することができる。
【0030】
このような構成によって、モータ41(モータシャフト42)の回転駆動力は、刃具49,50に伝達される。
図5に示すように、カバー本体34の左側部分には、刃具49,50の回転方向を示す矢印35が付されている。
【0031】
図1および
図2に示すように、ベース部材20は、ベース21から当接面23と反対側(換言すれば、本体部30側)に向けて延在する補助カバー部22を備えている。補助カバー部22は、カバー本体34の内側において、カバー本体34の下側縁部よりも上方まで延在している。
【0032】
図11に示すように、ベース部材20は、その後端部に環状部25を備えている。環状部25は、ベース21の上側に配置されている。また、本体部30は、2つの環状部36を備えている。2つの環状部36は、左右方向における環状部25の両脇にそれぞれ配置されている。この環状部25,36を貫通するように、左右方向に延在する支軸26が配置されている。支軸26を介して、ベース部材20と本体部30とが一体化される。支軸26の両端には、車輪27が取り付けられている。車輪27によって、ウォールチェイサー10を被加工材に押しつけつつ、前後方向に平行移動させて溝切り加工を行う際に、当該平行移動が円滑化される。
【0033】
本体部30は、支軸26を中心として、ベース部材20に対して揺動可能に構成される。本体部30は、支軸26の周囲を取り囲むように配置されたトーションバネ(図示せず)によって、ベース部材20から離れる方向に常時付勢されている。このため、初期状態では、本体部30は、
図1および
図2に示す位置に保持される。このときの本体部30の位置は、上死点とも称される。
図1および
図5に示すように、カバー本体34の左側部分には、円弧状の貫通孔37が形成されている。この貫通孔37を貫通するように、補助カバー部22の左側部分の外面から左側に向けて突起28が突出している。突起28が貫通孔37の下端に位置することによって、上死点の位置が規定されるとともに、カバー本体34の下縁部が補助カバー部22の上縁部よりも上側に変位することが防止される。
図1および
図2に示すように、本体部30が上死点にあるとき、刃具49,50は、ベース21に対して上側に位置している。このとき、ベース部材20の補助カバー部22は、刃具49,50のうちのカバー本体34よりも下側の部分を覆っている。
【0034】
本体部30の揺動動作についての本体部30の下動端の位置(下側の可動限界位置)は、切り込み深さ調節機構38(以下、単に調節機構38と呼ぶ)によって可変に設定され得る。具体的には、
図1および
図2に示すように、切り込み深さ調節機構38は、ボルトと、ボルトに螺号するナットと、操作レバーと、を備えている。ボルトの頭は、カバー本体34の右側部分よりも外側(右側)に位置しており、その周囲には、操作レバーが取り付けられている。カバー本体34の右側部分には、円弧状の貫通孔39が形成されている。ボルトは、この貫通孔39を貫通するように配置される。ナットは、カバー本体34の右側部分よりも内側(左側)に位置している。ユーザは、操作レバーを操作してボルトを緩めると、貫通孔39の円弧形状に沿った任意の位置に調節機構38を移動させることができる。ユーザが調節機構38を締め付けると、ボルトとナットとがカバー本体34の右側部分を左右方向に締め付ける。これによって、調節機構38が、カバー本体34に対して、そのときの位置に固定される。
【0035】
本体部30は、調節機構38のボルトが、補助カバー部22の上縁部29に当接するまで、ユーザによって押し下げられることができる。つまり、調節機構38のボルトと、補助カバー部22の上縁部29と、が当接する位置が、本体部30の下動端の位置となる。調節機構38によって下動端の位置がその可動範囲の最も下側に設定されている状態で、本体部30を下動端まで下げたときの本体部30の位置は、下死点とも称される。
【0036】
図4,8,11に示すように本体部30が下死点にあるとき(あるいは、本体部30が下動端にあるとき)、刃具49,50は、ベース21の貫通孔24(
図11参照)を介して、ベース21の下面(当接面23)を越えて下側に部分的に突出する。このような機構によって、ユーザは、刃具49,50による切り込み深さを調節できる。本体部30が下動端にある状態において、ユーザが本体部30を下方に向けて押し下げる力を解除すると、本体部30は、トーションバネの付勢力によって、上死点まで戻る。
【0037】
図5および
図6に示すように、本体部30は、さらに、モータ41に電力を供給するためのバッテリ54を着脱可能に構成されたバッテリ装着部51を備えている。バッテリ装着部51は、リアハウジング33の上方に位置しており、リアハウジング33と一体的に形成されている。バッテリ装着部51は、バッテリ54を後側から前側に向けてスライド式に着脱可能である。具体的には、バッテリ装着部51は、レール状に延在する複数の端子52を備えている。複数の端子52が延在する方向にバッテリ54をスライドさせてバッテリ54をバッテリ装着部51に装着すると、複数の端子52と、バッテリ54の複数の端子(図示せず)と、が電気的に接続される。
【0038】
図5および
図6に示すように、バッテリ装着部51の外縁部には、バッテリ装着部51にバッテリ54を装着したときに、バッテリ54が載置される略U字状の載置面53が形成されている。
図1および
図2に示すように、本実施形態では、バッテリ54は、上下方向において、バッテリ54の前側部分(取付方向の前方側部分)が、バッテリ54の後側部分よりも、当接面23(刃具49,50の回転軸線AX2)に近くなるように傾斜した姿勢で、バッテリ装着部51に装着される。このため、バッテリ54のスライド方向(換言すれば、端子52および載置面53)も、この傾斜姿勢と同じ傾きで方向付けられている。このような構成によれば、ユーザは、バッテリ54の自重を利用して、バッテリ54をバッテリ装着部51に容易に取り付けることができる。また、バッテリ54を水平方向にスライドさせる場合と比べて、バッテリ54の着脱作業時において、バッテリ54と、後述する第1のハンドル60と、の距離が大きくなるので(より干渉しにくくなるので)、バッテリ54の着脱がいっそう容易になる。ただし、バッテリ54のスライド方向および装着時の姿勢は、任意に設定され得る。
【0039】
図13に示すように、リアハウジング33の内部には、コントローラ55が収容されている。コントローラ55は、バッテリ装着部51の端子52と、モータ41と、に電気的に接続されており、バッテリ54からモータ41への電力の供給を制御する。本実施形態では、コントローラ55は、高温保護回路と過電流保護回路と過放電保護回路とを備えている。ただし、これらの保護回路のうちの1つまたは2つは省略されてもよい。
【0040】
このコントローラ55は、前後方向において、モータ41に隣接する位置に配置されている。また、コントローラ55は、上下方向に見て、バッテリ54とオーバラップする位置に配置されている。このような配置によれば、バッテリ54とコントローラ55との間、および、コントローラ55とモータ41との間の距離が小さくなるので、それらを電気的に接続するための電気配線を簡素化できる。
【0041】
図1および
図2に示すように、本体部30は、さらに、第1のハンドル60と第2のハンドル70とを備えている。第1のハンドル60は、リアハウジング33に隣接して、リアハウジング33の後側に位置している。第1のハンドル60は、いわゆるループハンドルであり、ユーザが手で把持するための第1の把持部61と、筒状の基部63と、第1の把持部61と基部63とをループ状に連結するブリッジ部64,65と、を備えている。第1の把持部61が延在する方向における第1の把持部61の一方側(第1の把持部61とブリッジ部64との連結部分の付近)には、モータ41の起動および停止の操作を行うための操作部材62が取り付けられている。
【0042】
図13に示すように、第1の把持部61の内部には、モータ41の起動および停止の制御信号をコントローラ55へ送出するスイッチ56が収容されている。ユーザが操作部材62を後側へ引き操作すると、操作部材62がスイッチ56のアクチュエータを押圧した状態となり、スイッチ56が、電動モータ41を起動するためのオン状態になる。ユーザが引き操作を解除すると、操作部材62による押圧状態が解除され、スイッチ56が、電動モータ41を停止するためのオフ状態になる。
【0043】
本実施形態では、第1のハンドル60は、モータシャフト42の回転軸線AX1と平行な回転軸線を中心として回転可能に、リアハウジング33の後端部に取り付けられる。具体的には、
図13に示すように、リアハウジング33の筒状の後端部には、周方向に延在する2つの凹部33aが形成されている。第1のハンドル60の筒状の基部63には、周方向に延在する2つの凸部63aが形成されている。2つの凸部63aは、2つの凹部33a内に嵌め込まれている。このため、基部63(ひいては第1のハンドル60)は、抜け止め状態でリアハウジング33の後端部に取り付けられるとともに、回転軸線AX1と平行な回転軸線を中心として回転可能である。
【0044】
本実施形態では、第1のハンドル60は、
図7,9,10にそれぞれ示す異なる3つの角度位置(回転位置)のいずれかで選択的に固定可能に構成される。具体的には、
図13および
図14に示すように、第1のハンドル60のブリッジ部64の基端(前端)付近には、操作部材66が配置されている。操作部材66は、その両脇が基部63によって挟まれており、第1のハンドル60の回転軸線に関する周方向の移動が規制されている。また、操作部材66は、前後方向に移動可能に、基部63およびリアハウジング33に保持されている。
【0045】
操作部材66は、径方向外側に向けて突出する操作部67と、前側に向けて突出する係合部68と、を備えている。リアハウジング33の上部には、係合部68に適合する凹部33bが形成されている。操作部67の後面と基部63の前端面との間には、コイルバネ69が圧縮状態で配置されている。操作部67(ひいては操作部材66)は、コイルバネ69の付勢力によって、常時、前側に付勢されている。このため、初期状態では、
図13及び
図14に示すように、係合部68は、凹部33b内に収容される。その結果、操作部材66、ひいては、第1のハンドル60の周方向の移動が規制される。
【0046】
ユーザが操作部67の前面に指を掛けて、後側へ引き操作すると、操作部材66は、コイルバネ69の付勢力に抗って後側へ移動する。これによって、
図15に示すように、操作部材66の係合部68は、凹部33bの外部まで移動し、係合部68と凹部33bとの係合状態が解除される。このため、操作部材66および第1のハンドル60の周方向の移動が許容される。このとき、操作部材66の後端部は、基部63の前端面に形成された凹部内に収容される。
【0047】
図示は省略するが、リアハウジング33には、凹部33bと同じ形状の凹部が、凹部33bに対して第1のハンドル60の回転軸線を中心に左に90度回転した位置、および、第1のハンドル60の回転軸線を中心に右に90度回転した位置にも形成されている。第1のハンドル60が
図7に示す角度位置にあるとき、操作部67を引き操作しながら第1のハンドル60を左に90度回転させ、その後、操作部67の引き操作を解除すると、操作部材66は、コイルバネ69の付勢力によって前側へ戻る。その結果、係合部68は、リアハウジング33の凹部に入り込む。それによって、第1のハンドル60の周方向の移動が規制され、第1のハンドル60(第1の把持部61)の角度位置が、
図9に示す位置に固定される。第1のハンドル60が
図9に示す位置にあるときは、ユーザは、左手で第1の把持部61を把持すれば、操作部材62の引き操作を人差し指で容易に行うことができる。
【0048】
詳しい説明は省略するが、同様にして、第1のハンドル60が
図7に示す角度位置にあるとき、操作部67を引き操作しながら第1のハンドル60を右に90度回転させ、その後、操作部67の引き操作を解除すると、第1のハンドル60(第1の把持部61)の角度位置が、
図10に示す位置に固定される。第1のハンドル60が
図10に示す位置にあるときは、ユーザは、右手で第1の把持部61を把持すれば、操作部材62の引き操作を人差し指で容易に行うことができる。
【0049】
第1のハンドル60が
図1,2,8に示す位置にあるとき、第1の把持部61は、前後方向と非平行、かつ、回転軸線AX2と直交する方向に延在する。より具体的には、
図1および
図2に示すように、本体部30が上死点にあるときは、第1の把持部61は、前後方向と回転軸線AX2とに直交する方向(つまり、上下方向)に延在する。
図8に示すように本体部30が下死点にあるときは、第1の把持部61は、回転軸線AX2と直交し、かつ、第1の把持部61の下端部が上端部よりも後側に位置するように角度付けられた方向に延在する。第1のハンドル60が、
図9または
図10に示す位置にあるとき、第1の把持部61は、本体部30が上死点にあるか、下死点にあるかにかかわらず、回転軸線AX2と平行に左右方向に延在する。
【0050】
図1および
図2に示すように、第2のハンドル70は、第1のハンドル60よりも前側に配置されている。より具体的には、第2のハンドル70は、カバー本体34の前端付近で、カバー本体34の上部に取り付けられている。
図5に示すように、第2のハンドル70は、いわゆるループハンドルであり、ユーザが手で把持するための第2の把持部71と、基部72,73と、ブリッジ部74,75と、を備えている。基部72,73は、左右方向において、環状部34aの両脇にそれぞれ配置されている。環状部34aは、カバー本体34から上部に突出するようにカバー本体34と一体的に形成された部分である。ブリッジ部74,75は、基部72,73と第2の把持部71との間に隙間が形成されるように基部72,73と第2の把持部71とを連結している。
【0051】
本実施形態では、第2のハンドル70は、刃具49,50の回転軸線AX2と平行な回転軸線を中心として回転可能に構成される。具体的には、
図16に示すように、第2の把持部71と平行に延在する支軸76が、基部72,73および環状部34aを左右方向に貫通している。この構成により、第2のハンドル70は、環状部34aによって支持される支軸76によって、回転可能に支持される。
【0052】
支軸76の左端には、支軸76の先端に形成された雄ネジと螺号する六角ナット77が取り付けられている。六角ナット77は、基部72の内部に、回り止め状態で収容されている。支軸76の右端には、ノブ79が取り付けられている。ノブ79は、基部73よりも右側に位置している。ユーザがノブ79を緩めると、第2のハンドル70は、支軸76を中心として回転可能である。第2のハンドル70が所望の回転位置にあるときに、ユーザがノブ79を締め付けると、六角ナット77とノブ79とによって、基部72,73および環状部34aが左右方向に締め付けられ、第2のハンドル70の回転位置が固定される。このような構成によって、ユーザは、第2の把持部71の固定位置を回転的に変更することができる。なお、基部72,基部73および環状部34aの各々には、複数の凹凸形状が周方向に沿って形成されており、第2のハンドル70は、基部72,73の凹凸と環状部34aの凹凸とが互いに噛み合う任意の位置に固定可能である。
図7および
図8に示すように、第2の把持部71は、本体部30が上死点にあるか、下死点にあるかにかかわらず、回転軸線AX2と平行に左右方向に延在する。
【0053】
上述したウォールチェイサー10は、以下のようにして使用できる。ユーザは、まず、第1の把持部61を一方の手で把持し、第2の把持部71を他方の手で把持する。次いで、ユーザは、当接面23が被加工材と当接するように、ウォールチェイサー10を配置する。次いで、ユーザは、第1のハンドル60を把持する手の指で、操作部材62を引き操作して、モータ41を起動する。次いで、ユーザは、第2のハンドル70を持つ手に力を入れて、本体部30をベース21に向けて押圧し、本体部30を上死点から下死点まで変位させる。そして、ユーザは、ウォールチェイサー10を前後方向に平行移動させ、溝切り加工を行う。本実施形態では、ウォールチェイサー10によって溝切り加工を進める方向(以下、加工進行方向とも呼ぶ)は、前側から後側へ向かう方向である。ただし、加工進行方向が後側から前側へ向かう方向となるようにウォールチェイサー10が設計されてもよい。あるいは、加工進行方向を、前側から後側へ向かう方向、および、後側から前側へ向かう方向からユーザが状況に応じて選択可能となるようにウォールチェイサー10(例えば、刃具49,50の形状)が設計されてもよい。
【0054】
このような操作は、第1の把持部61を右手で把持し、第2のハンドル70を左手で把持して行われてもよいし、その逆であってもよい。例えば、ユーザから見て正面と左側とに、鉛直方向に延在する壁がある場合、ユーザは、第1の把持部61を右手に把持し、第2の把持部71を左手で把持し、左側の壁付近から、ウォールチェイサー10を左側の壁と離れる方向に平行移動させれば、左側の壁付近から正面の壁に溝を形成できる。逆に、ユーザから見て正面と右側とに、鉛直方向に延在する壁がある場合、ユーザは、第1の把持部61を左手に把持し、第2の把持部71を右手で把持し、右側の壁付近から、ウォールチェイサー10を右側の壁と離れる方向に平行移動させれば、右側の壁付近から正面の壁に溝を形成できる。
【0055】
上述したウォールチェイサー10において、バッテリ54は、全体的に第1の把持部61よりも前側に位置している。このため、鉛直方向に延在する壁に当接面23を当接させて、水平方向に溝切り加工を行う場合であっても、バッテリ54の自重による下向きのモーメントの発生が抑制され、第1の把持部61を握る手でウォールチェイサー10の後側の部分を容易に支持できる。また、バッテリ54は、全体的に第2の把持部71よりも後側に位置している。このため、同様の理由により、第2の把持部71を握る手でウォールチェイサー10の前側の部分を容易に支持できる。このような効果は、バッテリ54が部分的に第1の把持部61よりも前側に位置している場合、および/または、バッテリ54が部分的に第2の把持部71よりも後側に位置している場合であっても、ある程度得ることができる。
【0056】
また、バッテリ54は、全体的に、第1のハンドル60と第2のハンドル70との間に位置しているので、前後方向において、バッテリ54の位置が、ユーザが一方の手で第1の把持部61を握る位置と、他方の手で第2の把持部71を握る位置と、の間の中心に近づく。換言すれば、ウォールチェイサー10の重心が、ウォールチェイサー10を支持する右手および左手の一方側に偏ることが抑制される。このため、ユーザは、ウォールチェイサー10をより安定的に支持することができる。また、ウォールチェイサー10を前後方向にコンパクト化できる。
【0057】
また、
図4,7~10に示すように、第1の把持部61の中心C1と、第2の把持部71の中心C2と、を結ぶ仮想直線L1と、バッテリ54と、は立体的に交わっている。このため、ユーザが一方の手で第1の把持部61を把持する位置と、他方の手で第2の把持部71を把持する位置と、を結ぶ直線上にバッテリ54が位置することになる。このため、バッテリ54の自重による下向きのモーメントの発生がより抑制され、ユーザは、ウォールチェイサー10をより容易に支持できる。なお、中心C1,C2とは、立体的な中心位置を意味している。
【0058】
また、
図12~15に示すように、上下方向に見て、バッテリ54とモータシャフト42とは、部分的にオーバラップしている。換言すれば、バッテリ54とモータシャフト42とは、左右方向に並んでいない。したがって、ウォールチェイサー10を、左右方向にコンパクト化できる。また、モータ41は、刃具49,50の回転軸線AX2よりも後側に位置している。また、バッテリ54は、部分的にモータ41よりも後側に位置し、左右方向におけるバッテリ54の位置と、左右方向におけるモータ41の位置と、が重なるように配置される。この配置によっても、ウォールチェイサー10を左右方向にコンパクト化できる。
【0059】
また、第1のハンドル60は、前後方向に延在する回転軸線を中心として回転可能であるから、状況に応じて、第1の把持部61をユーザが使いやすいように方向付けることができる。例えば、天井や床に溝切り加工を行う場合に、第1の把持部61が
図7に示す角度位置に方向付けられれば、第1の把持部61および第2の把持部71を握るユーザの左右の手が無理のない姿勢になり、利便性が向上する。あるいは、壁に溝切り加工を行う場合に、第1の把持部61が
図9または
図10に示す角度位置に方向付けられても、同様の効果が得られる。
【0060】
上述したウォールチェイサー10は、本体部30を上死点にロックする機能を有している。以下、そのような機能について説明する。
図11に示すように、ウォールチェイサー10は、ロック操作部材81を備えている。ロック操作部材81は、第2の把持部71に隣接して配置されている。具体的には、ロック操作部材81は、その長手方向が第2の把持部71の延在方向と平行になるように配置されている。
図11および
図16に示すように、ロック操作部材81は、その短手方向の一方の縁部が第2の把持部71の内部に収容されており、第2の把持部71と平行な回転軸線(左右方向に延在する回転軸線)を中心として回転可能に、第2の把持部71によって支持されている。ロック操作部材81の大部分は、第2の把持部71の外側(基部73,74側)に露出している。
【0061】
ロック操作部材81は、本体部30を上死点にロックするためのロック位置(
図16参照)と、本体部30の上死点から下死点への変位を許容するロック解除位置(
図17参照)と、の間で、手動操作によって変位(回転)可能である。初期状態では、ロック操作部材81は、圧縮バネ87によって付勢される第1のリンクレバー83によって、ロック位置に付勢されている。ユーザが第2の把持部71を把持するときに、ロック操作部材81も一緒に握り込むことによって、ロック操作部材81は、ロック位置からロック解除位置まで回転する。
図17に示すように、ロック操作部材81は、その回転軸線に関する径方向外側に突出する突起82を備えている。
【0062】
図16に示すように、ウォールチェイサー10は、さらに、第1のリンクレバー83を備えている。第1のリンクレバー83は、第1の端部84と第2の端部86とを有し、湾曲部で折れ曲がった略L字状の形状を有している。第1のリンクレバー83の湾曲部よりも第1の端部84側の部分は、第2の把持部71内に収容されている。第1のリンクレバー83の湾曲部よりも第2の端部86側の部分は、ブリッジ部75内に収容されている。
【0063】
湾曲部よりも第2の端部86側の部分の略中央には、前方と後方にそれぞれ円柱形状の突起85が形成されている。第1のリンクレバー83は、突起85と、ブリッジ75の内面と、の接点を支点として、
図16に示す位置と、
図17に示す位置と、の間で傾動可能である。第1の端部84と第2の把持部71の内面との間には、圧縮バネ87が配置されている。圧縮バネ87は、第1の端部84を常時、ロック操作部材81側に付勢している。このため、初期状態では、第1のリンクレバー83は、
図16に示す位置に保持される。第2の端部86には、左右方向に延在する貫通孔が形成されており、この貫通孔を介して、支軸76が第2の端部86を貫通している。
【0064】
図16に示すように、ウォールチェイサー10は、さらに、第1のスリーブ88および第2のスリーブ89を備えている。第1のスリーブ88および第2のスリーブ89は、左右方向に延在する円筒状の部材である。第1のスリーブ88および第2のスリーブ89は、支軸76が貫通するように、支軸76と同軸状に配置されており、支軸76に沿って左右方向に変位可能である。第1のスリーブ88は、第1のリンクレバー83の第2の端部86の左側で第2の端部86と隣接するように、基部73内に収容されている。第2のスリーブ89は、第1のスリーブ88の左側で第1のスリーブ88と隣接するように、環状部34a内に収容されている。別体の2つのスリーブ(第1のスリーブ88および第2のスリーブ89)を使用すれば、第2のハンドル70(基部73)に第1のスリーブ88を取り付けるとともに、カバー本体34(環状部34a)に第2のスリーブを取り付けた後に、第2のハンドル70とカバー本体34とを容易に組み付けることができる。
【0065】
図16および
図18に示すように、ウォールチェイサー10は、さらに、第2のリンクレバー90を備えている。第2のリンクレバー90は、第1の端部91と第2の端部92(
図18参照)とを有し、湾曲部で折れ曲がった形状を有している。第2のリンクレバー90は、カバー本体34内に傾動可能に収容されている。第2のリンクレバー90は、中央付近の前方と後方にそれぞれ円柱形状の突起95を有している。第2のリンクレバー90は、突起95と、カバー本体部34の内面と、の接点を支点として傾動可能である。第1の端部91には、左右方向に関する貫通孔が形成されており、この貫通孔を介して、支軸76が第1の端部91を貫通している。この第1の端部91は、第2のスリーブ89の左側で第2のスリーブ89に隣接している。
【0066】
環状部34aと第1の端部91との間には、圧縮バネ94が配置されている。圧縮バネ94は、第1の端部91を常時、右側に向けて付勢している。このため、初期状態では、第2のリンクレバー90は、
図16に示す位置に保持される。また、圧縮バネ94の付勢力によって、第1の端部91は、常時、第2のスリーブ89と左右方向に接触(係合)する。
【0067】
図16に示すように、第2の端部92には、左側に向けて突出する係合部93が形成されている。ロック操作部材81がロック位置にある
図16の状態では、係合部93は、カバー本体34の貫通孔(図示せず)を通って、カバー本体34右側部分よりも内側に突出している。このとき、係合部93の下方には、補助カバー部22の上縁部29が位置している。このため、ロック操作部材81がロック位置にある
図16の状態では、ユーザが第2のハンドル70に下向きの力を加えて、本体部30を上死点から下死点に向けて変位させようとしても、係合部93が上縁部29に係合(当接)するので、そのような変位は阻止される。
【0068】
一方、ユーザがロック操作部材81を握り操作して、ロック操作部材81がロック位置(
図16)からロック解除位置(
図17)まで回転すると、
図17に示すように、ロック操作部材81の突起82が第1のリンクレバー83の第1の端部84をロック操作部材81から離れる方向に押圧する。これによって、第1のリンクレバー83は、圧縮バネ87の付勢力に抗って、傾動する。これによって、第1のリンクレバー83の第2の端部86は、第1のスリーブ88を左側に押圧する。その結果、第1のスリーブ88および第2のスリーブ89は、左側に向けて移動する。このように、第1のリンクレバー83は、ロック操作部材81のロック位置からロック解除位置への回転的な変位を、第1のスリーブ88および第2のスリーブ89の支軸76に平行な方向の変位に変換する。
【0069】
第1のスリーブ88および第2のスリーブ89が左側に向けて移動すると、第2のリンクレバー90の第1の端部91は、第2のスリーブ89によって左側に押圧される。これによって、第2のリンクレバー90は、圧縮バネ94の付勢力に抗って、第1の端部91が左側に移動し、第2の端部92(ひいては、第2の端部92に形成された係合部93)が右側に移動するように傾動する。このように、第2のリンクレバー90は、第1のスリーブ88および第2のスリーブ89の支軸76に平行な方向の変位を、当該変位とは異なる方向の変位(傾動)に変換する。その結果、係合部93は、上縁部29と干渉(係合)しない位置まで退避する。したがって、本体部30の上死点から下死点への変位が許容される。なお、本体部30を上死点以外の位置のときにロック操作部材81の握り込みをやめると、突起93は補助カバー部22の右側面に当接する。本体部30を上下に揺動させると、突起93の先端が補助カバー部22の右側面の表面を摺動する。本体部30を上死点に戻すと、突起93は上縁部29の上に到達するので、圧縮バネ94の付勢によって自動的にロックされる。
【0070】
上述した構成によれば、第1のリンクレバー83、第1のスリーブ88、第2のスリーブ89および第2のリンクレバー90が、ロック操作部材81と連動するリンク機構として機能し、ロック操作部材81の変位に応じて、係合部93と、補助カバー部22の上縁部29と、の係合関係を変化させる。このため、回転式の第2のハンドル70の第2の把持部71とロック操作部材81とが隣接する配置において上死点ロック機能を好適に実現できる。
【0071】
回転式の第2のハンドル70の第2の把持部71とロック操作部材81とが隣接する配置において上死点ロック機能を実現するためには、第2のハンドル70の回転運動に影響されることなく、ロック操作部材81の変位力を係合部93に伝達することが課題となる。上述の実施形態では、支軸76に平行な方向に変位可能な第1のスリーブ88および第2のスリーブ89をリンク機構の一部として利用することで、そのような課題を解決している。しかも、第1のスリーブ88および第2のスリーブ89は、支軸76が貫通するように支軸76と同軸状に配置されるので、第2のハンドル70およびその周辺の構造をコンパクト化できる。
【0072】
また、第1のリンクレバー83によって、ロック操作部材81の変位力の作用方向を変更して、第1のスリーブ88および第2のスリーブ89に伝達できる。したがって、ロック操作部材81の操作方向を、ユーザが把持しやすい方向に設定できる。また、第2のリンクレバー90によって、第1のスリーブ88および第2のスリーブ89の変位力の作用方向を変更して、係合部93に伝達できる。したがって、係合部93の変位方向を、上死点ロックに適した方向に設定できる。換言すれば、上死点ロックのための設計自由度が向上する。
【0073】
また、第1のリンクレバー83は、第2のハンドル70内に収容されるので、第2のハンドル70およびその周辺の構造をコンパクト化できる。第2のリンクレバー90は、カバー本体34内に収容されるので、本体部30およびその周辺の構造をコンパクト化できる。
【0074】
また、支軸76は第2のリンクレバー90の第1の端部91を貫通しており、第2のリンクレバー90は、第1の端部91が第2のスリーブ89と支軸76の軸線方向に接触することによって、第2のスリーブ89と係合する。このため、簡素な構造によって第2のリンクレバー90を支軸76によって支持しつつ、第2のスリーブ89と第2のリンクレバー90とを容易に連動させることができる。
【0075】
また、ロック操作部材81がロック位置にあるとき、係合部93は、ベース21から上側に延在する補助カバー部22の上縁部29と係合して、本体部30の上死点から下死点への変位を阻止する。このため、ベース21と係合部93とが係合する構成と比べて、第2のリンクレバー90の延長距離を短縮化できる。したがって、リンク機構を簡素化および軽量化できる。ただし、係合部93は、ベース21、または、ベース21に対して固定された任意の部分と係合してもよい。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、上述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各要素の任意の組み合わせ、または、任意の省略が可能である。
【0077】
例えば、第1のハンドル60および第2のハンドル70に代えて、任意の態様(例えば、形状、把持部の向きなど)のハンドルが採用されてもよい。例えば、第1のハンドル60に代えて、第2のハンドル70と同一構造のハンドルが採用されてもよい。あるいは、把持部の位置が固定されたハンドルが採用されてもよい。
【0078】
あるいは、ロック操作部材81は、回転式に限らず、任意の方向に変位する任意の形態に変形され得る。例えば、回転式のロック操作部材81に代えて、左右方向に変位するスライド式の操作部材が採用されてもよい。
【0079】
あるいは、複数の部材間での上述した種々の連動動作は、上述した構成に限らず、同様の機能を達成可能な任意の機械的構成によって達成されてもよい。例えば、第1のスリーブ88および第2のスリーブ89に代えて、支軸76と非同軸状に(第2のハンドル70および環状部34aの外部で)、支軸76に平行に延在する柱状部材が、ロック操作部材81と連動して、支軸76に平行に変位するように配置されてもよい。この場合、柱状部材は、中実であってもよいし、中空であってもよい。また、柱状部材の外径は、円柱形状であってもよいし、角柱形状であってもよい。また、当該柱状部材と連動するように、第1のリンクレバー83および第2のリンクレバー90が、任意の形状および配置に変更されてもよい。
【0080】
あるいは、刃具49,50(2列溝を形成するための刃具)に代えて、3つ以上の刃具(3列以上の溝を形成するための刃具)が使用されてもよい。あるいは、2列以上の刃部分を有する単一の刃具が使用されてもよい。
【0081】
あるいは、ベース部材20は省略されてもよい。この場合、本体部30をベース部材20に対して揺動させるための構成も省略される。
【0082】
上記実施形態の各構成要素と本発明の各構成要素の対応関係を以下に示す。但し、実施形態の各構成要素は単なる一例であって、本発明の各構成要素を限定するものではない。ウォールチェイサー10は、「ウォールチェイサー」の一例である。ウォールチェイサー10の後側は、「第1の側」の一例である。ウォールチェイサー10の前側は、「第2の側」の一例である。刃具49,50は「刃具」の一例である。回転軸線AX2は「回転軸線」の一例である。モータ41は「モータ」の一例である。バッテリ装着部51は「モータ装着部」の一例である。バッテリ54は「バッテリ」の一例である。第1のハンドル60は「第1のハンドル」の一例である。第1の把持部61は「第1の把持部」の一例である。第2のハンドル70は「第2のハンドル」の一例である。第2の把持部71は「第2の把持部」の一例である。モータシャフト42は「モータシャフト」の一例である。コントローラ55は「コントローラ」の一例である。なお、ウォールチェイサー10の後側を「第2の側」、ウォールチェイサー10の前側を「第1の側」と捉えることもできる。この場合、第1のハンドル60は「第2のハンドル」の一例となり、第2のハンドル70は「第1のハンドル」の一例となる。
【符号の説明】
【0083】
10...ウォールチェイサー
20...ベース部材
21...ベース
22...補助カバー部
23...当接面
24...貫通孔
25...環状部
26...支軸
27...車輪
28...突起
29...上縁部
30...本体部
31...ギアハウジング
32...モータハウジング
33...リアハウジング
33a...凹部
33b...凹部
34...カバー本体
34a...環状部
35...矢印
36...環状部
37...貫通孔
38...切り込み深さ調節機構
39...貫通孔
41...電動モータ
42...モータシャフト
43...小ベベルギア
44...大ベベルギア
45...スピンドル
46...インナーフランジ
47...ロックナット
48...スペーサ
49,50...刃具
51...バッテリ装着部
52...端子
53...載置面
54...バッテリ
55...コントローラ
56...スイッチ
60...第1のハンドル
61...第1の把持部
62...操作部材
63...基部
63a...凸部
64...ブリッジ部
66...操作部材
67...操作部
68...係合部
69...コイルバネ
70...第2のハンドル
71...第2の把持部
72,73...基部
74,75...ブリッジ部
76...支軸
77...六角ナット
79...ノブ
81...ロック操作部材
82...突起
83...第1のリンクレバー
84...第1の端部
85...突起
86...第2の端部
87...圧縮バネ
88...第1のスリーブ
89...第2のスリーブ
90...第2のリンクレバー
91...第1の端部
92...第2の端部
93...係合部
94...圧縮バネ
95...突起
C1,C2,C3...中心
L1...仮想直線
AX1...回転軸線
AX2...回転軸線